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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/514 20060101AFI20240701BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240701BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61F13/514 400
A61F13/15 141
A61F13/53 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020200662
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088704
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(72)【発明者】
【氏名】藁谷 顕吾
(72)【発明者】
【氏名】村井 淳
(72)【発明者】
【氏名】長島 啓介
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-186207(JP,A)
【文献】登録実用新案第3226498(JP,U)
【文献】特開2018-191732(JP,A)
【文献】国際公開第2020/061026(WO,A1)
【文献】特表2009-522035(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218590(JP,U)
【文献】登録実用新案第3211401(JP,U)
【文献】特開2019-058340(JP,A)
【文献】国際公開第2019/233564(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側面に位置する表面シートと、非肌側面に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、消臭剤を含み、紫色を有し、
前記肌側面は、前記表面シート側から前記吸収性物品を平面視した際に、前記吸収体の紫色が前記表面シートから視認可能な第1着色領域を有し、
前記裏面シートは緑色を有する、
吸収性物品。
【請求項2】
前記表面シート側から前記吸収性物品を平面視した際に、前記肌側面は、前記裏面シートの緑色が前記表面シートから視認可能な第2着色領域を有し、
前記第1着色領域は、前記第2着色領域と比べて、CIE1976(L)表色系における色度a値が大きく、色度b値が小さい
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記表面シート側から前記吸収性物品を平面視した際に、前記肌側面は、前記裏面シートの緑色が前記表面シートから視認可能な第2着色領域を有し、
前記第1着色領域は、CIE1976(L)表色系における色度aが0より大きく10以下であり、色度bが-10以上で0より小さく、
前記第2着色領域は、色度aが-10以上で0より小さく、色度bが-10以上10以下である
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1着色領域と前記第2着色領域の色度a値の差は、前者から後者を引いた場合に4以上10以下であり、
前記第1着色領域と前記第2着色領域の色度b値の差は、前者から後者を引いた場合に-10以上-2以下である
請求項2又は3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記裏面シート側から前記吸収性物品を平面視した際に、
前記非肌側面の、平面視で前記吸収体が位置する領域と位置しない領域との色度a値の差は、前者から後者を引いた場合に1以上10以下であり、
前記非肌側面の、平面視で前記吸収体が位置する領域と位置しない領域との色度b値の差は、前者から後者を引いた場合に-10以上-2以下である
請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シートと前記吸収体の間に、白色のセカンドシートを更に備える
請求項1からのいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンティライナー、おりものシート、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、表面シートと裏面シートとの間に吸収体が配置されて構成される。吸収性物品には、消臭機能を有するものがある(例えば特許文献1参照)。また、排泄された体液による汚れを隠蔽するために、吸収性物品を構成する部材を着色することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-69299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消臭機能を有する吸収性物品において、その機能を視覚的に確認することが難しく、着用者が不安感を持つことがある。また、体液隠蔽のために、吸収性物品を構成する部材が着色される場合、その色により吸収体の存在を視認することができず、着用者が吸収性能に対する不安感を持つ場合がある。
【0005】
本発明の課題は、着用者に吸収性物品が持つ消臭機能を想起させるとともに、吸収性に対する安心感を与えることが可能な吸収性物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る吸収性物品は、表面シートと、裏面シートと、吸収体とを備える。
上記表面シートは肌側面に位置する。
上記裏面シートは非肌側面に位置する。
上記吸収体は、上記表面シートと上記裏面シートとの間に位置する。
上記吸収体は、消臭剤を含み、紫色を有する。
上記肌側面は、上記表面シート側から上記吸収性物品を平面視した際に、上記吸収体の紫色が上記表面シートから視認可能な第1着色領域を有する。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の吸収性物品によれば、着用者に吸収性物品が持つ消臭機能を想起させるとともに、吸収性に対する安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品を表面シート側からみた平面図である。
図2図1のII-II線で切断した断面図である。
図3】(A)は、図1の吸収性物品を表面シート側からみた場合に視認される色を模式的に示した平面図であり、(B)は、図1の吸収性物品を裏面シート側からみた場合に視認される色を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ここでは、吸収性物品の一実施形態としてパンティライナーを例にあげ、説明する。パンティライナーは、一般に生理後期の経血量が少なくなる時期から非生理期間においてショーツ等の下着の股部分における内面に取り付けられ、おりものや経血、又は尿等の体液を吸収するために用いられる。
【0010】
<パンティライナーの全体構成>
図1に示すように、本発明の吸収性物品としてのパンティライナー1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。パンティライナー1における横方向はパンティライナー1の幅方向に対応する。
なお、本明細書では、パンティライナー1の厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側という事がある。また、本明細書において、「肌側面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側である。「非肌側面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。また、本明細書において、「平面視」とは、厚み方向Zから見た平面視を意味する。
【0011】
図1に示すように、パンティライナー1は、縦方向Xに沿って延び、着用時に着用者の着衣の内面に、パンティライナー1の非肌側面1bに配された粘着部(図2の符号6で示す構成)によって固定される。パンティライナー1は、後述する吸収体4を有しており、着用者の経血、おりもの、尿等の液状物(以下、「体液」とも称する)を吸収する機能を有する。
【0012】
図2に示すように、パンティライナー1は、吸収体4と、表面シート2と、裏面シート3と、セカンドシート5と、粘着部6から構成される。
表面シート2はパンティライナー1の肌側面1aを構成する。
裏面シート3はパンティライナー1の非肌側面1bを構成する。
粘着部6は非肌側面1bに設けられる。
パンティライナー1において、裏面シート3、吸収体4、セカンドシート5及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、接着剤やヒートシール等による接合、及び圧搾溝によるエンボス加工等によって、適宜接合されている。
【0013】
<各部構成>
以下、パンティライナー1を構成する各部材について説明する。
【0014】
[吸収体]
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、セカンドシート5と裏面シート3との間に配置される。吸収体4は、体液を肌側面4aから吸収し、内部で拡散させて体液を保持する。
吸収体4としては、パンティライナー、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、パルプ繊維等の繊維材料を含み、かつ、必要に応じ高吸収性ポリマーの粒子を内包する積繊体、パルプ繊維等の繊維材料を含み、かつ必要に応じ高吸収性ポリマーの粒子を内包する吸収紙、2枚の吸収紙の間に高吸収性ポリマーの粒子が配置されてなる吸収シートなどを用いることができる。
【0015】
図2に示すように、吸収体4は、シート状の吸収シートが折り畳まれた状態で配され、2層以上の積層構造を有しているが、折り畳まずに単層構造の吸収体であってもよい。また、吸収体4は、繊維材料を積繊した吸収性コア又は該繊維に吸水性ポリマーの粒子を担持させた混合積繊物である吸収性コアをコアラップシートで被覆したものであってもよい。
【0016】
パンティライナー1では、表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3は同一形状を有し、これらは平面視で重なってパンティライナー1の外形形状を構成する。
吸収体4は、縦方向Xの長さが表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3よりも短く、横方向Yの長さが表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3の最狭幅の寸法よりも短くなっている。平面視で、表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3は、吸収体4の全周縁から外方に延出しており、それらの延出域どうしが互いに接着剤等の接合手段によって接合されている。
【0017】
吸収体4は、例えば染料等によって紫色に着色される。パンティライナー1では、表面シート2側からパンティライナー1を平面視した際、吸収体4の紫色が、表面シート2から透けて着用者によって視認可能に構成されている。パンティライナー1及びこれを構成する部材単体の色については後述する。
【0018】
吸収体4には、抗菌剤や消臭剤といった特定の機能を発揮し得る機能剤が含まれている。抗菌剤や消臭剤を含む吸収体は、例えば、その作製時に抗菌剤や消臭剤を配合することにより作製することができる。液保持層である吸収体4に抗菌剤や消臭材が含まれることにより、吸収体4に保持される体液から発せられる匂いに対する消臭効果が効果的に得られやすく、着用時の着用者に対して与える匂い不快感を軽減することができる。
【0019】
抗菌剤は、典型的には、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現し得る抗菌性物質である。抗菌剤が臭気の発生源に作用するという抗菌性能を有することにより、排泄物に起因する不快な臭いを低減することができる。このため、本明細書において、抗菌剤は消臭剤に含まれる概念である。
抗菌剤としては、パンティライナーや生理用ナプキンなどの吸収性物品において抗菌用途に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、銅、銀、金等の金属、金属担持多孔質粒子等の抗菌性金属担持物、有機系抗菌剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
消臭剤としては、それ自体が臭気に直接作用して、即ち臭気を吸着、中和、分解等して、消臭効果を発現し得る物質であり、当該技術分野においても消臭用途に汎用されているものを用いることができる。例えば、臭気に対する広い消臭スペクトルを有する多孔性の消臭粒体等用いることができる。
このように、抗菌剤に加え消臭剤を用いることにより、更に悪臭の発生を抑制することができる。
【0021】
[表面シート]
表面シート2は、液透過性のシート材として構成され、セカンドシート5の厚み方向Z上方に配置される。表面シート2の肌側面は、パンティライナー1の肌側面1aを構成する。
表面シート2は、パンティライナー1の外形形状を構成する。
表面シート2としては、パンティライナー、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート2は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等から構成される。
【0022】
図1に示すように、表面シート2は、複数の開孔14を有していてもよい。開孔14は、表面シート2を厚さ方向Zに貫通する貫通孔である。図1に示す例では、複数の開孔14が縦方向Xに沿って配されてなる開孔部列140が7列、横方向Yに沿って間欠配置される。複数の開孔部列140からなる開孔部列群は、表面シート2の横方向Yの中央部に縦方向X全長に亘って配される。
複数の開孔14は、例えば千鳥状に配されている。開孔14の平面視形状は、図1に示す楕円形に限定されず、例えば、三角形、正方形、長方形などの多角形、星形等であってもよい。尚、図2の断面図においては、開孔の図示を省略している。
複数の開孔部列140を設けることにより、表面シート2に供給された体液の下方への液移行性が向上する。
【0023】
[セカンドシート]
本実施形態のパンティライナー1のように、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート5が配置されていてもよい。
セカンドシート5は、表面シート2からの体液の引き込みを促進し吸収体4への体液の透過性を向上させ、吸収体4に吸収された体液の表面シート2への液戻りを低減させるなどの役割をするシートである。
セカンドシート5には、パンティライナー、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。セカンドシート5として、例えば親水性不織布や親水性の繊維集合体を用いることができる。不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、レジンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。
セカンドシート5は、平面視で吸収体4よりも大きく、吸収体4を覆うように位置する。本実施形態のパンティライナー1においては、セカンドシート5は表面シート2及び裏面シート3と同一形状を有し、パンティライナー1の全面に配されている。
【0024】
[裏面シート]
裏面シート3は、吸収体4の厚み方向Z下方に配置される。裏面シート3の非肌側面は、パンティライナー1の非肌側面1bを構成する。
裏面シート3は、パンティライナー1の外形形状を構成する。
裏面シート3としては、パンティライナー、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。
裏面シート3は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。当該シート材としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、当該フィルムと不織布とのラミネート等を用いることができる。
裏面シート3の非肌側面には、図示はしないが、着衣に対してパンティライナー1を固定する粘着部が設けられている。
【0025】
裏面シート3は、例えば染料等に着色され、緑色を有する。パンティライナー1では、表面シート2側からパンティライナー1を平面視した際、裏面シート3の緑色が、表面シート2から透けて着用者によって視認可能となっている。詳細については後述する。
【0026】
<パンティライナーを構成する各部材単体及びパンティライナーの外観上の色>
本明細書において、色度、明度及び彩度は、それぞれ、1976年に国際照明委員会(CIE)で企画されたL表色系(CIE1976(L))に基づくものである。
CIE1976(L)表色系におけるL値、a値、b値は色差系によって測定できる。例えば日本電色工業(株)のハンディ型分光色差系NF333(商品名)を用い、光源C、視野角2°の測定条件で、シートの反射光を測定して求めることができる。このとき、背景板としてL値が95以上の白色板を用いて測定することが好ましい。以下、CIE1976(L)表色系を単にL表色系という。
【0027】
[構成部材単体の外観上の色]
(表面シート及びセカンドシートそれぞれの単体の色)
表面シート2及びセカンドシート5は、それぞれ、単体で白色を有する。
本明細書において、「白色」とは、白色又は白色に近い無彩色を含む。本明細書において、白色又は白色に近い無彩色の部材は、L表色系における明度L値が好ましくは90以上、より好ましくは95以上である。
加えて、表面シート2及びセカンドシート5において、色度a値及びb値に関しては、吸収体4の紫色の色度a値よりも小さい、又は、吸収体4の紫色の色度b値より大きい、又は、吸収体4の紫色の色度a値よりも小さく、且つ、色度b値より大きい、ことが好ましい。
【0028】
(吸収体単体の色)
吸収体4は、単体で紫色を有する。
本明細書において、「紫色」とは、L色空間色度図の色度a及び色度bを示す平面において、第4象限の範囲にある色である。換言すると、「紫色」とは、色度a値が0より大きく、且つ、色度b値が0より小さい範囲にある色である。
【0029】
(裏面シート単体の色)
裏面シート3は、単体で緑色を有する。
本明細書において、「緑色」とは、L色空間色度図の色度a及び色度bを示す平面において、赤(+a軸)を軸基準として反時計方向に回転した色相角θが90°<θ<270°の範囲にある色であり、好ましくは90°<θ<210°である。尚、色度aが0の場合は含まれない。
【0030】
[パンティライナーの外観上の色]
(表面シート側から視認される色)
図3(A)に示すように、パンティライナー1を表面シート2側からみたときに、肌側面1aは、吸収体4単体の紫色に起因する色に視認される第1着色領域21と、裏面シート3単体の緑色に起因する色に視認される第2着色領域22とを有する。図において、第1着色領域21を密のドットで示し、第2領域22を粗のドットで示している。
第1着色領域21は、平面視で吸収体4が位置する領域である。第2着色領域22は、平面視で吸収体4が位置しない領域である。
【0031】
表面シート2及びセカンドシート5は、共に透光性を有している。これによって、パンティライナー1を表面シート2側からみたときに、表面シート2及びセカンドシート5を介して、第1着色領域21では、吸収体4の紫色が視認される。
肌側面1aから吸収体4の紫色が視認可能となることにより、着用者は、視覚から、吸収体4の存在を把握し、更に、紫色から抗菌剤や消臭剤を含む吸収体4の消臭機能を想起するとともに消臭領域を把握することができる。このように、パンティライナー1では、着用者に対し、視覚的に、吸収性能に対する安心感及び着用時の不快なにおいの消臭という消臭機能に対する安心感を与えることができる。また、紫色に着色されることによって、体液が目立ちにくく、視覚的な不快感を軽減することができる。このような視覚的不快感軽減に加え、吸収体4に含まれる抗菌剤や消臭剤によって、においによる不快感が軽減されるので、着用者に与える着用時の不快感がより軽減される。
消臭機能を有し、且つ体液の隠蔽効果を奏する吸収体4が視認可能となることにより、パンティライナー1をショーツ等へ装着するときに、体液の遮蔽効果及び消臭機能を意識して、吸収体4が適切な位置に位置するように、パンティライナー1を正しい位置に装着する意識が高まる。副次的な効果として、パンティライナー1が正しい位置に装着されると、着用時の液漏れが抑制され易くなり、体液隠蔽効果及び消臭機能が効果的に発揮され得る。
更に、紫色は、心にある悲しみや怒りを癒す効果があるとされ、リラックス効果を与える色である。例えば、一般に赤色といった暖色系の色は見る者に温かさを感じさせ、青色といった寒色系の色は見る者に冷たさを感じさせるのに対して、紫色は中性色であるため、見る者に冷たさや温かさなどといった極端なイメージを想起させ難い。肌側面1aにこのような紫色を視認できる領域を設けることにより、紫色による心理効果によって、着用初期から着用後期に亘って、着用者の憂鬱な気分を和らげることができリラックス効果が発揮され得る。
【0032】
パンティライナー1において、表面シート2及びセカンドシート5は、共に透光性を有しているので、パンティライナー1を表面シート2側からみたときに、表面シート2及びセカンドシート5を介して、第2着色領域22では、裏面シート3の緑色に起因する色が視認される。本実施形態では、第2着色領域22が緑色に視認される場合を例にあげる。
パンティライナー1において、第1着色領域21と第2着色領域22との色の違いによって吸収体4のおおよその輪郭が視認可能となることにより、吸収体4の形状や寸法を把握することができる。これにより、着用者は、吸収体4の存在から主な吸収領域及び消臭領域を視覚的に把握することができ、吸収性能及び消臭機能に対する安心感をより一層持つことが出来る。
【0033】
第1着色領域21と第2着色領域22との色の違いによって吸収体4の存在を視認しやすくする点から、第1着色領域21は、第2着色領域に比べて、L表色系における色度a値が大きく、色度b値が小さいことが好ましい。第1着色領域21は、第2着色領域に比べて、色度a値が大きいことによってより赤色が強く、色度b値が小さいことによって青色が強い色を有する。吸収体4を視認し易くすることにより、吸収性能に対する安心感をより一層与えやすくなる。
【0034】
第1着色領域21の紫色は、L表色系における色度a値が0より大きく10以下であり、色度b値が-10以上で0より小さいことが好ましい。
第2着色領域22の色は、色度a値が-10以上で0より小さく、色度b値が-10以上10以下であることが好ましい。
第1着色領域21及び第2着色領域22の色度a値及び色度b値をこのような範囲とすることにより、パンティライナー1を表面シート2側からみたときに、吸収体4と裏面シート3との境界を不鮮明とし、吸収体4が浮き出ない印象を着用者に与える。このため、着用者が着用前にパンティライナー1をみたときに、着用者に対して、外観的に、パンティライナーに硬さがあるといった実際とは異なる印象を与えにくく、柔軟性があり着用違和感が少ないパンティライナー1であるという印象を与えることができる。
【0035】
第1着色領域21の色と第2着色領域22の色のL表色系における色度a値の差は、前者から後者を引いた場合に4以上10以下であり、第1着色領域21の色と第2着色領域22の色のL表色系における色度b値の差は、前者から後者を引いた場合に-10以上-2以下であることが好ましい。
第1着色領域21及び第2着色領域22の色度a値及び色度b値をこのような範囲とすることにより、パンティライナー1を表面シート2側からみたときに、吸収体4と裏面シート3との境界をより不鮮明とし、吸収体4がより浮き出ない印象を着用者に与えることができる。このため、外観的に、着用違和感が少ないパンティライナー1であるという印象を着用者に与えることができる。
【0036】
パンティライナー1の肌側面1aにおいて、第1着色領域21は紫色、第2着色領域22は緑色を有している。
中性色である紫色及び緑色を、肌側面1a全面に用いることにより、色による心理効果によって、着用初期から着用後期に亘って、着用者の憂鬱な気分を和らげリラックス効果を与えることができるとともに、着色による体液隠蔽効果によって、視覚的な不快感を軽減することができる。
【0037】
また、パンティライナー1において、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート5を配する場合、本実施形態のようにセカンドシート5を白色とすることがより好ましい。これにより、パンティライナー1を表面シート2側から視認した際、吸収体4単体の紫色がけばけばしい色であっても、白色の表面シート2及びセカンドシート5を介して吸収体4が視認されるので、吸収体4単体の紫色が極端に見えず、第2着色領域22が落ち着いた色で視認され得、けばけばしい印象を与えない。
【0038】
(裏面シート側から視認される色)
図3(B)に示すように、パンティライナー1を裏面シート3側からみたときに、非肌側面1bは、第3領域33と、第4領域34とを有する。図において、第3領域33を密のドットで示し、第4領域34を粗のドットで示している。
第3領域33は、非肌側面1bの、平面視で吸収体4が位置する領域である。第3領域33は、第1着色領域21と平面視で重なる。第3領域33は、表面シート2、セカンドシート5、吸収体4及び裏面シート3が平面視で重なっている領域である。裏面シート3は透光性を有しており、パンティライナー1を裏面シート3側からみたときに、第3領域33は、緑色の裏面シート3を介して紫色の吸収体4が透けて見える領域である。第3領域33は、緑色の裏面シート3と紫色の吸収体4が重なり、灰色に近い色に視認される。
第4領域34は、非肌側面1bの、平面視で吸収体4が位置しない領域である。第4領域34は、第2着色領域22と平面視で重なる。第4領域34は、表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3が平面視で重なっている領域である。第4領域34は、パンティライナー1を裏面シート3側からみたときに、裏面シート3自体の色である緑色に視認される。
【0039】
ここで、一般に使用後のパンティライナー1は、肌側面1aを内側にして、縦方向端部から丸められた状態で廃棄される。この廃棄の状態では、非肌側面1bが表になる。パンティライナー1では、非肌側面1bが緑色を有するため、吸収された経血等の体液を非肌側面1bから視認しづらくすることができる。これにより、パンティライナー1の廃棄時において、視覚的不快感を軽減させることができ、着用者は、廃棄時における体液遮蔽に対する安心感を得ることができる。また、着用前の未使用の状態のパンティライナー1においても、非肌側面1bが緑色であることにより、着用者は廃棄時に経血等の体液が視覚的に遮蔽され得る安心感を得られる。
【0040】
パンティライナー1を裏面シート3側からみたときに、第3領域33と第4領域34との色の違いによって吸収体4は視認可能となっている。
典型的に、パンティライナー1は、未使用の状態で、衛生面や携帯性の観点から個装シートで包装される。パンティライナー1は、個包装時において、裏面シート側に個装シートが配され、パンティライナー1の肌側面1aを上面とした場合に2箇所で谷折りされ、3つ折りの状態に保持される。パンティライナー1をショーツ等へ装着する際、個包装状態のパンティライナー1を広げ、個装シートをパンティライナー1から剥離するときに、着用者は非肌側面1bを見て、吸収体4の位置を視認することができる。これにより、着用者は、パンティライナー1をショーツ等へ装着する際、体液の遮蔽効果及び消臭機能を意識して、吸収体4の位置が適切な場所に位置するようにパンティライナー1を正しい位置に装着する意識が高まる。
【0041】
第3領域33の色は、L表色系における色度a値が-30以上-10以下であることが好ましい。
第4領域34の色は、L色空間色度図の色度a値及び色度b値を示す平面において、赤(+a)を基準として反時計方向に回転した色相角θが90°<θ<270°の範囲にある色であることが好ましい。尚、色度a値及び色度b値がいずれも0の場合は含まれない。
【0042】
第3領域33の色と第4領域34の色のL表色系における色度a値の差は、前者から後者を引いた場合に1以上10以下であり、第3領域33の色と第4領域34の色のL表色系における色度b値の差は、前者から後者を引いた場合に-10以上-2以下であることが好ましい。
第3領域33及び第4領域34の色度a値及び色度b値をこのような範囲とすることにより、パンティライナー1を裏面シート3側からみたときに、吸収体4の位置をより視認しやすくすることができ、パンティライナー1を正しい位置に装着し易くなる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品としてパンティライナー(おりものシート)の例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、尿取りパットや生理用ナプキン等であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…パンティライナー(吸収性物品)
2…表面シート
3…裏面シート
4…吸収体
21…第1着色領域
22…第2着色領域
図1
図2
図3