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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】チケットホルダ付き車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20240701BHJP
   F16B 2/20 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B60J3/02 N
B60J3/02 F
F16B2/20 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020214996
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100795
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩元
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/230797(WO,A1)
【文献】特開2004-042783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0352928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
F16B 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
板状のバイザ本体と、
前記バイザ本体に装着されて前記バイザ本体と協働してチケットを保持するチケットホルダと、
前記チケットホルダと対向する位置において前記バイザ本体の表面を貫通または前記バイザ本体の表面に凹設された逃がし部と
前記バイザ本体および前記逃がし部を覆う表皮を有するチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記チケットホルダは、前記バイザ本体側へ膨らむ凸部を有し、
前記逃がし部が前記凸部に対向するチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項2に記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記逃がし部は、前記凸部の相互に対向する両辺を超えて拡がる幅長さを有するチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記チケットホルダの前記凸部は、チケットが挿入される先端から前記チケットホルダの基部に向けて徐々に前記バイザ本体側へ進出する斜面を有するチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1つに記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
車体に着脱されるサポートシャフトと、前記サポートシャフトを前記バイザ本体に装着する固定台を有し、
前記固定台に前記チケットホルダが設けられているチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記チケットホルダが設けられる前記バイザ本体の表面の裏面に配置される第2チケットホルダを有し、
前記チケットホルダと前記第2チケットホルダが一体に前記バイザ本体に装着されるチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1つに記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体に装着されるバニティーミラーのトリムを有し、
前記チケットホルダが前記トリムの端縁から延出しているチケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チケットホルダ付き車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チケットホルダを備えるサンバイザが開示されている。チケットホルダは、樹脂製で板状のホルダ本体を有している。ホルダ本体は、裏面に突出するボスがサンバイザ本体に形成された開口孔に挿入される。ボスが接着剤でサンバイザ本体に固着される。これによりホルダ本体がサンバイザ本体に装着される。ホルダ本体の裏面には、保持用突起が形成されている。ホルダ本体とサンバイザ本体の間にチケットが挿入されると、ホルダ本体が弾性変形する。ホルダ本体の弾性変形を利用して保持用突起がチケットをサンバイザ本体へ押し付ける。これによりチケットがホルダ本体とサンバイザ本体の間で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3115524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしホルダ本体の弾性変形量は、限界がある。そのためホルダ本体とバイザ本体の間で保持できるチケットの厚みには、限界がある。そこで厚みが厚いチケットを保持することができるチケットホルダを備える車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、板状のバイザ本体を有する。バイザ本体には、バイザ本体と協働してチケットを保持するチケットホルダが装着される。バイザ本体は、チケットホルダと対向する位置においてバイザ本体の表面を貫通または凹設された逃がし部を有する。
【0006】
チケットホルダとバイザ本体の間にチケットが挿入されると、チケットホルダが弾性変形する。チケットは、チケットホルダに押されて逃がし部に向けて弾性変形する。そのためチケットホルダの弾性変形とチケット自身の弾性変形の両方を利用してチケットがチケットホルダとバイザ本体の間に保持される。チケットは、逃がし部に向けて弾性変形するために、チケットの厚みが厚い場合であっても逃がし部を利用してチケットホルダとバイザ本体の間に保持される。換言すると、逃がし部によってチケットホルダが大きく弾性変形することを避けつつ、厚みが厚いチケットをチケットホルダとバイザ本体の間に保持できる。
【0007】
本開示の他の1つの特徴によると、チケットホルダは、バイザ本体側へ膨らむ凸部を有する。逃がし部が凸部に対向するように位置している。したがってチケットは、チケットホルダの凸部を利用して確実にバイザ本体の逃がし部に向けて弾性変形される。かくして確実にチケットを弾性変形させることができる。しかも凸部によって押されることで、チケットがチケットホルダとバイザ本体の間から抜けることが抑制される。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体における逃がし部は、凸部の相互に対向する両辺を超えて拡がる幅長さを有する。したがって凸部は、逃がし部の幅の間に位置する。そのため凸部に対向するチケットの第1部が凸部によって逃がし部内にまたは逃がし部に向けて押されやすい。一方、第1部の両側のチケットの第2部は、逃がし部を通って凸部の両側へ戻りやすい。しかるにチケットが確実に弾性変形できる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、チケットホルダの凸部は、チケットが挿入される先端からチケットホルダの基部に向けて徐々にバイザ本体側へ進出する斜面を有する。したがって、チケットをチケットホルダに挿入することで、チケットがチケットホルダの凸部に沿って円滑にバイザ本体側へ弾性変形される。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザはバイザ本体および逃がし部を覆う表皮を有する。したがってチケットホルダは、表皮をバイザ本体の逃がし部に向けて押す。表皮は逃がし部において凹むように弾性変形する。チケットが表皮とチケットホルダの間に差し込まれる際、表皮はチケットが逃がし部に引っ掛かることを防止する。これによりチケットがチケットホルダとバイザ本体の隙間に円滑に差し込まれる。しかもバイザ本体の逃がし部は表皮で被覆されるため、見栄えのよい車両用サンバイザが得られる。
【0011】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザは車体に着脱されるサポートシャフトと、サポートシャフトをバイザ本体に装着する固定台を有する。固定台にはチケットホルダが設けられている。したがってチケットホルダは、サポートシャフトをバイザ本体に装着する固定台を利用してバイザ本体に装着される。これにより車両用サンバイザの部品点数を少なくできる、あるいは車両用サンバイザの製造工程を簡易にできる。
【0012】
本開示の他の1つの特徴によると、チケットホルダが設けられるバイザ本体の表面の裏面に第2チケットホルダが配置される。チケットホルダと第2チケットホルダは、一体にバイザ本体に装着される。これにより、バイザ本体の両面にチケットを保持できるため、バイザ本体がフロントガラスに沿う使用位置と、天井面に沿う格納位置とのいずれにおいてもチケットホルダを使用できる。しかも2つのチケットホルダは、一体であるために協働してバイザ本体に保持される。
【0013】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザはバイザ本体に装着されるバニティーミラーのトリムを有する。チケットホルダはトリムの端縁から延出している。したがってチケットホルダは、ミラーのトリムをバイザ本体に装着することでバイザ本体に装着される。これにより車両用サンバイザの部品点数を少なくできる、あるいは車両用サンバイザの製造工程を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両内部の一部と車両天井に取付けられた車両用サンバイザの斜視図である。
図2】第1実施形態に係るサンバイザ本体とチケットホルダの斜視図である。
図3】第1実施形態に係るチケットホルダがサンバイザ本体に装着された状態を示す平面図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6】他の実施形態に係るサンバイザ本体の図5に相当する図である。
図7】他の実施形態に係るチケットホルダの図3に相当する図である。
図8】他の実施形態に係るチケットホルダの図4に相当する図である。
図9】他の実施形態に係るサンバイザ本体とチケットホルダの斜視図である。
図10】他の実施形態に係るサンバイザ本体とチケットホルダの斜視図である。
図11】他の実施形態に係るチケットホルダの斜視図である。
図12】他の実施形態に係るチケットホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1つの実施形態について図1図5を用いて説明する。車両用サンバイザ1は、図1に示すように、車室内においてフロントガラス20の上辺に隣接する天井面21に装着される。車両用サンバイザ1は、板状のバイザ本体2と、バイザ本体2に取り付けられるチケットホルダ3を備える。
【0016】
図1に示すようにバイザ本体2は、支軸11によって天井面21に回転可能に支持される。支軸11は、略L字状の棒であって、横軸11aと縦軸11bを有する。横軸11aは長軸状であり、バイザ本体2の一辺に回転可能に挿入される。縦軸11bは、横軸11aの先端から上方に、横軸11aに対して略直交して延出する。縦軸11bの先端がブラケット12に回転可能に装着される。ブラケット12は、車室の天井面21に取付けられる。
【0017】
図1に示すようにバイザ本体2は、サポート軸13によって天井面21に固定されたフック23に取外し可能に装着される。サポート軸13は、略円柱状である。サポート軸13がフック23に取付けられることで、バイザ本体2がサポート軸13と横軸11aを軸中心としてフロントガラス20に沿う使用位置Pと、天井面21に沿う格納位置Kとの間で回動する。サポート軸13をフック23から取り外すことで、バイザ本体2は、縦軸11b回りに回動可能となる。これによりバイザ本体2はフロントガラス20に沿う使用位置Pと、サイドガラス22に沿うサイド位置Sとの間で回動する。
【0018】
図2,4に示すようにバイザ本体2は、厚み方向に重ねられた平板状の第1シェル2bと、第2シェル2cを備える。以下、バイザ本体2を格納位置Kに位置させて、使用者から見た状態を基準に前後、左右、表裏と方向を規定して説明する。バイザ本体2はサポート軸13が装着される前辺2iを有する。前辺2iは、後方に窪んだ形状のホルダ固定部2eを有する。ホルダ固定部2eにサポート軸13を含む固定台4が装着される。固定台4には、チケットホルダ3が設けられる。バイザ本体2は、チケットホルダ3に対向する位置に逃がし部2aを有する。
【0019】
図2,3に示すように固定台4は、ホルダ固定部2eの窪んだ形状に沿って湾曲した円弧状である。固定台4はホルダ固定部2eを表側と裏側から覆う。固定台4にサポート軸13が備えられている。これによりサポート軸13は、チケットホルダ3と共にバイザ本体2に装着される。サポート軸13はバイザ本体2に挿入される横軸11aの延長線上に位置する。図4に示すように固定台4は、1つのバイザ本体2の第2シェル2c側と当接する裏片4aにチケットホルダ3を有していない。バイザ本体2は、ホルダ固定部2eの第2シェル2c側に裏片係合部2gを有する。裏片係合部2gは固定台4の裏片4aの形状に沿って凹んでいる。
【0020】
図3,4に示すようにチケットホルダ3は、バイザ本体2と協働してチケットWを保持する。チケットWは、例えば切符、入場券のほか、薄肉の板状部材を含む。チケットWは、紙製、樹脂製等材質を問わない。チケットホルダ3は、固定台4から後方に延出したホルダ片3dを有している。チケットホルダ3は、例えば樹脂製素材等から形成される。
【0021】
図3,4に示すようにホルダ片3dは、固定台4の後端からバイザ本体2に沿って延出する。ホルダ片3dは、基部3cと、基部3cから延出する左右の押さえ部3aと、先端部3bを有している。基部3cは、固定台4の後端に沿って左右方向に延出している。左右の押さえ部3aは、基部3cの左右各端から後方に延出している。左右の押さえ部3aは先端に向けて互いの距離が近くなっている。先端部3bは左右の押さえ部3aの先端同士を連結する。ホルダ片3dは、押さえ部3aと先端部3bと基部3cに囲まれた開口部3fを有している。チケットWは、チケットホルダ3の先端部3bから基部3cに向けて、チケットホルダ3とバイザ本体2の隙間に挿入される。
【0022】
図3,4に示すようにチケットホルダ3の基部3cは、固定台4から離れるほど表側へ湾曲している。押さえ部3aは、長手方向中央においてバイザ本体2側へ膨らむ凸部3gを有している。凸部3gは、先端部3bから基部3cに向けて徐々にバイザ本体2側へ進出する斜面を有している。この構成により、チケットWを先端部3bからチケットホルダ3のホルダ片3dとバイザ本体2の隙間に差し込むと、ホルダ片3dはチケットWに押されてバイザ本体2の表面から離れる方向に弾性変形する。一方、チケットWは凸部3gに案内されることにより円滑に挿入される。さらにチケットWは、凸部3gによってバイザ本体2の表面に向かって押さえられる。
【0023】
図4に示すように固定台4には、バイザ本体2に装着される装着部6が設けられる。装着部6は、板状であって、固定台4の前辺から後方に延出している。装着部6は、ホルダ片3dの裏側に位置し、ホルダ片3dと略平行に固定台4から延出する。装着部6は後方端部に、左右方向に長い四角形状の穴6aを有する(図2参照)。装着部6の穴6aはホルダ片3dの開口部3fと対向する場所に位置する。装着部6は、バイザ本体2のホルダ固定部2eから第1シェル2bと第2シェル2cの間に差し込まれている。装着部6の穴6aは、第2シェル2cに設けられた爪2fに係止されている。固定台4は、サポート軸13の左右両端が接する左右の辺にそれぞれ留め部4bを有している(図2参照)。固定台4がバイザ本体2に装着されると、留め部4bはホルダ固定部2eと嵌合する。これにより、固定台4とホルダ固定部2eが協働して、表裏方向におけるチケットホルダ3のがたつきを抑制できる。
【0024】
図3,4に示すようにバイザ本体2の表面には、少なくとも1つの例えば左右の逃がし部2aが形成されている。左右の逃がし部2aは、それぞれ第1シェル2bの表面がチケットホルダ3の左右の凸部3gと対向する場所に位置する。左右の逃がし部2aは、例えば四角形状であり、前後方向に長い。逃がし部2aは、バイザ本体2の表面から中空部に貫通している。逃がし部2aの幅は、凸部3gの幅よりも広く、逃がし部2aの幅内に凸部3gが位置する。そのため逃がし部2aは、凸部3gがバイザ本体2から直接力を受けることを避ける。これによりバイザ本体2からチケットホルダ3に加えられる負荷、例えば基部3cに掛かる負荷が低減される。
【0025】
図4,5に示すようにバイザ本体2と逃がし部2aは、表皮2dに覆われている。表皮2dは、例えば塩化ビニル樹脂等、軟質樹脂製の素材から形成される。
【0026】
上述するように車両用サンバイザ1は、図2に示すように板状のバイザ本体2を有する。バイザ本体2には、バイザ本体2と協働してチケットWを保持するチケットホルダ3が装着される。バイザ本体2は、チケットホルダ3と対向する位置においてバイザ本体2の表面を貫通した逃がし部2aを有する。
【0027】
図4に示すようにチケットホルダ3とバイザ本体2の間にチケットWが挿入されると、チケットホルダ3が弾性変形する。チケットWは、チケットホルダ3に押されて逃がし部2aに向けて弾性変形する。そのためチケットホルダ3の弾性変形とチケットW自身の弾性変形の両方を利用してチケットWがチケットホルダ3とバイザ本体2の間に保持される。チケットWは、逃がし部2aに向けて弾性変形するために、チケットWの厚みが厚い場合であっても逃がし部2aを利用してチケットホルダ3とバイザ本体2の間に保持される。換言すると、逃がし部2aによってチケットホルダ3が大きく弾性変形することを避けつつ、厚みが厚いチケットWをチケットホルダ3とバイザ本体2の間に保持できる。
【0028】
図4に示すようにチケットホルダ3は、バイザ本体2側へ膨らむ凸部3gを有する。逃がし部2aが凸部3gに対向するように位置している。したがってチケットWは、チケットホルダ3の凸部3gを利用して確実にバイザ本体2の逃がし部2aに向けて弾性変形される。かくして確実にチケットWを弾性変形させることができる。しかも凸部3gによって押されることで、チケットWがチケットホルダ3とバイザ本体2の間から抜けることが抑制される。
【0029】
図5に示すようにバイザ本体2における逃がし部2aは、チケットホルダ3における凸部3gの相互に対向する両辺を超えて拡がる幅長さを有する。したがって凸部3gは、逃がし部2aの幅の間に位置する。そのため凸部3gに対向するチケットWの第1部が凸部3gによって逃がし部2a内にまたは逃がし部2aに向けて押されやすい。一方、第1部の両側のチケットWの第2部は、逃がし部2aを通って凸部3gの両側へ戻りやすい。しかるにチケットWが確実に弾性変形できる。
【0030】
図4に示すようにチケットホルダ3の凸部3gは、チケットWが挿入される先端からチケットホルダ3の基部3cに向けて徐々にバイザ本体2側へ進出する斜面を有する。したがって、チケットWをチケットホルダ3に挿入することで、チケットWがチケットホルダ3の凸部3gに沿って円滑にバイザ本体2側へ弾性変形される。
【0031】
図4に示すようにバイザ本体2に逃がし部2aを設けることによって、チケットホルダ3が大きく弾性変形することを避けることができる。これにより、基部3cに掛かる負荷が低減される。したがって温度変化または経時等による変形、破損等を抑制し、長期にわたってチケットホルダ3の保持性能の維持を図ることができる。
【0032】
図4,5に示すように車両用サンバイザ1は、バイザ本体2および逃がし部2aを覆う表皮2dを有する。したがってチケットホルダ3は、表皮2dをバイザ本体2の逃がし部2aに向けて押す。表皮2dは逃がし部2aにおいて凹むように弾性変形する。チケットWが表皮2dとチケットホルダ3の間に差し込まれる際、表皮2dはチケットWが逃がし部2aに引っ掛かることを防止する。これによりチケットWがチケットホルダ3とバイザ本体2の隙間に円滑に差し込まれる。しかもバイザ本体2の逃がし部2aは表皮2dで被覆されるため、見栄えのよい車両用サンバイザ1が得られる。
【0033】
図2に示すように車両用サンバイザ1は、車体に着脱されるサポート軸13(サポートシャフト)と、サポート軸13をバイザ本体2に装着する固定台4を有する。固定台4にはチケットホルダ3が設けられている。したがってチケットホルダ3は、サポート軸13をバイザ本体2に装着する固定台4を利用してバイザ本体2に装着される。これにより車両用サンバイザ1の部品点数を少なくできる、あるいは車両用サンバイザ1の製造工程を簡易にできる。
【0034】
本開示は、図1~5に開示した実施形態の外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、図2,5に示すバイザ本体2は、貫通穴である逃がし部2aを有している。このバイザ本体2に代えて車両用サンバイザ1は、図6に示すバイザ本体9を有していても良い。図6に示すバイザ本体9は、発泡素材9f(例えばPP発泡ビーズ、発泡ウレタン等)を用いた中実板状である。
【0035】
図6に示すようにバイザ本体9は、図5に示す逃がし部2aに代えて凹状の逃がし部9gを有している。バイザ本体9の表面には、少なくとも一つの逃がし部9g、例えば左右2つの逃がし部9gが形成されている。逃がし部9gは、バイザ本体9の表面から厚み方向内側へ凹んでいる。左右の逃がし部9gは、それぞれバイザ本体9の表面がチケットホルダ3の左右の凸部3gと対向する場所に位置する。左右の逃がし部9gは、例えば平面視において四角形状であり、前後方向に長い。バイザ本体9と逃がし部9gは、表皮9dによって覆われる。表皮9dは、チケットホルダ3の凸部3gによって押されることで、逃がし部9gに沿う。
【0036】
バイザ本体2は、図2に示す逃がし部2aに代えて図7に示す逃がし部2hを有していても良い。逃がし部2hは、チケットホルダ3の左右の押さえ部3aの幅よりも狭い幅を具備する。チケットホルダ3の押さえ部3aは、図2に示す凸部3gに代えて図7に示す凸部3hを有していても良い。凸部3hは、押さえ部3aから逃がし部2hに向かって突出している。凸部3hは、例えば平面視で四角形状である。凸部3hは、平面視において逃がし部2hの領域内に位置し、逃がし部2hよりも前後方向に短く、左右方向に短い。換言すると、逃がし部2hは、チケットホルダ3の凸部3hの左辺と右辺を超えて拡がる幅長さを有する。
【0037】
図7に示すように逃がし部2hは、凸部3hの前辺と後辺を超えて拡がる長さを有する。したがって左右方向だけでなく前後方向においても、凸部3hに対向するチケットWの第1部が凸部3hによって逃がし部2h内にまたは逃がし部2hに向けて押されやすい。一方、第1部の両側のチケットWの第2部は、逃がし部2hを通って凸部3hの両側へ戻りやすい。そのため前後方向においてもチケットWを弾性変形させ易い。
【0038】
図4に示すようにバイザ本体2の片側面にのみチケットホルダ3が設けられている。これに代えて図8に示すようにバイザ本体2の両面にチケットホルダ3,5が設けられても良い。第2のチケットホルダ5は、図4に示す固定台4の裏片4aに代えて固定台4の裏側縁に設けられる。第2のチケットホルダ5は、チケットホルダ3が設けられるバイザ本体2の表面の裏面に配置される。チケットホルダ3と第2のチケットホルダ5は、一体にバイザ本体2に装着される。第2のチケットホルダ5は、チケットホルダ3の押さえ部3aと先端部3bと基部3cと凸部3gを含むホルダ片3dと同様に、押さえ部5aと先端部5bと基部5cと凸部5gを含むホルダ片5dを有する。
【0039】
これにより、バイザ本体2の両面にチケットWを保持できるため、バイザ本体2がフロントガラス20に沿う使用位置Pと、天井面21に沿う格納位置Kとのいずれにおいてもチケットホルダ3,5を使用できる。しかも2つのチケットホルダ3,5は、一体であるために協働してバイザ本体2に保持される。
【0040】
図8に示すようにバイザ本体2は、第2のチケットホルダ5の押さえ部5aに対向する位置に逃がし部2jが形成される。逃がし部2jは、図5に示す逃がし部2aと同様に形成される。
【0041】
車両用サンバイザ1は、図2に示すサポート軸13とチケットホルダ3に代えて図9に示すサポート軸14とチケットホルダ7を有していても良い。サポート軸14は、バイザ本体2の前辺2iにおいて後方に窪んだ部分に取り付けられている。サポート軸14は支軸11の横軸11aと同軸上に位置している。
【0042】
図9に示すようにチケットホルダ7は、バイザ本体2の長辺及び短辺のいずれかまたは両方の任意の位置に装着される。チケットホルダ7は、チケットWを保持するホルダ片7dを有する。ホルダ片7dは例えばバイザ本体2の両面に配置される。ホルダ片7dはそれぞれバイザ本体2の表面または裏面に沿って延出している。表裏のホルダ片7dはそれぞれ基部7cと、基部7cから延出する押さえ部7aと、先端部7bを有している。チケットホルダ7は表裏のホルダ片7dを連結する連結部7eを有する。連結部7eは連結される表裏の基部7cに沿って左右方向に延出している。チケットホルダ7は弾性変形してバイザ本体2に装着される。連結部7eはバイザ本体2の長辺または短辺に当接する。
【0043】
図9に示すチケットホルダ7は、固定台を介さずバイザ本体2の端縁において前後、左右のどちら側からでも装着できる。したがって、バイザ本体2の仕様等に応じてチケットホルダ7の装着位置を選択できる。バイザ本体2はその表面と裏面において、チケットホルダ7の押さえ部7aと対向する位置に逃がし部2n,2mを有する。逃がし部2n,2mは、例えば図5に示す逃がし部2a、または図6に示す逃がし部9g、または図7に示す逃がし部2hと同様に形成される。チケットホルダ7の押さえ部7aには、逃がし部2n,2mに向けて突出する凸部を設けても良い。チケットホルダ7は一つの車両用サンバイザ1に対して複数装着しても良い。
【0044】
車両用サンバイザ1は、図2に示すチケットホルダ3に代えて図10に示すチケットホルダ8を有していても良い。図10に示す車両用サンバイザ1は、バイザ本体2に装着されるバニティーミラー16のトリム16aを有する。チケットホルダ8はトリム16aの端縁から延出している。バニティーミラー16は矩形状であり、バイザ本体2の片側の面に装着されている。バニティーミラー16の周縁に枠状のトリム16aが備えられている。
【0045】
図10に示すようにチケットホルダ8は、トリム16aの端縁からバイザ本体2に沿って延出したホルダ片8dを有する。ホルダ片8dは、基部8cと、基部8cから延出する前後の押さえ部8aと、先端部8bを有している。基部8cは、トリム16aの1つの短辺からミラー16から遠ざかる方向に延出している。前後の押さえ部8aは、基部8cの前後各端からミラー16から遠ざかる方向に延出している。前後の押さえ部8aは先端に向けて互いの距離が近くなっている。先端部8bは前後の押さえ部8aの先端同士を連結する。ホルダ片8dは、押さえ部8aと先端部8bと基部8cに囲まれた開口部8fを有している。
【0046】
図10に示すようにバイザ本体2はその表面において、チケットホルダ8の押さえ部8aと対向する位置に逃がし部2pを有する。逃がし部2pは、例えば図5に示す逃がし部2a、または図6に示す逃がし部9g、または図7に示す逃がし部2hと同様に形成される。チケットホルダ8の押さえ部8aには、逃がし部2pに向けて突出する凸部を設けても良い。チケットホルダ8は、ミラー16のトリム16aをバイザ本体2に装着することでバイザ本体2に装着される。これにより車両用サンバイザ1の部品点数を少なくできる、あるいは車両用サンバイザ1の製造工程を簡易にできる。
【0047】
図2に示すチケットホルダ3は、サポート軸13及び固定台4と一体となり一つの部品とされている。このサポート軸13に代えて、図11に示すようにサポート軸15がチケットホルダ3及び固定台4と別部品に分けられても良い。サポート軸15は、中空の略円柱状に代えて中実であっても良く、部分的に軸周りの径が異なる形状でも良い。サポート軸15は、チケットホルダ3及び固定台4がバイザ本体2に装着された後、バイザ本体2の横軸11aと同軸の位置に装着される。このほか、チケットホルダ3と固定台4が別部品に分けられても良い。
【0048】
車両用サンバイザ1は、図2に示すチケットホルダ3に代えて図12に示すチケットホルダ10とサポート軸17を有していても良い。サポート軸17は中実の棒状であり、軸方向中央部分の径が両端より大きい。図12に示すチケットホルダ10は、チケットWを保持するホルダ片10dを有する。ホルダ片10dは、例えばバイザ本体2の表面に配置される。ホルダ片10dはバイザ本体2の表面に沿って延出している。ホルダ片10dは基部10cと、押さえ部10aと、先端部10bを有している。ホルダ片10dは図2に示すチケットホルダ3のホルダ片3dと同様に形成される。チケットホルダ10はバイザ本体2の裏面に配置される裏片10eと、ホルダ片10dと裏片10eを連結する連結部10hを有する。連結部10hは基部10cに沿って左右方向に延出している。
【0049】
図12に示すようにチケットホルダ10の連結部10hは、バイザ本体2に装着される装着部6を有する。装着部6は、板状であって、連結部10hから後方に延出している。装着部6は図4に示すチケットホルダ3の装着部6と同様に形成される。チケットホルダ10はサポート軸17の後方におけるホルダ固定部2eに装着される。サポート軸17はチケットホルダ10がバイザ本体2に装着された後、バイザ本体2の横軸11aと同軸上に装着される。バイザ本体2はその表面において、チケットホルダ10の押さえ部10aと対向する位置に逃がし部2rを有する。逃がし部2rは、例えば図5に示す逃がし部2a、または図6に示す逃がし部9g、または図7に示す逃がし部2hと同様に形成される。チケットホルダ10の押さえ部10aには、逃がし部2rに向けて突出する凸部を設けても良い。
【0050】
バイザ本体2に対するチケットホルダ3の装着の位置や向きは、車両の仕様等に応じて任意に設定される。例えば図1に示す車両用サンバイザ1は、バイザ本体2が天井面21に沿う格納位置Kに位置した状態でチケットホルダ3にチケットWが挿入される。これに代えて車両用サンバイザ1は、バイザ本体2がフロントガラス20に沿う使用位置Pに位置した状態でチケットWが挿入されるようにチケットホルダ3が装着されても良い。
【0051】
図2,11に示すバイザ本体2は、固定台4に設けられたチケットホルダ3が固定台4と共に装着される。これに代えて、固定台4を介さずにチケットホルダ3のみバイザ本体2に装着されても良い。
【0052】
図3に示すバイザ本体2及び逃がし部2aは表皮2dに覆われている。表皮2dは様々な種類、厚さを任意に選択できる。さらに表皮2dの種類や厚さに応じて、逃がし部2aの大きさ等を適宜設定できる。これにより厚みの厚いチケットWであっても、凸部3gによって逃がし部2aに向かって弾性変形し、安定して保持される。なお、バイザ本体2は全体が表皮で覆われずに、樹脂製等の板状部材が表面加工されても良い。さらに表皮2dは、逃がし部2aのみを覆っても良い。
【0053】
図4に示すチケットホルダ3の凸部3gは、先端部3bから基部3cに向けて徐々にバイザ本体2側へ進出する斜面を有している。これに代えて、バイザ本体2の逃がし部とチケットホルダ3の凸部3gは、バイザ本体2の仕様等に応じて様々な形状、大きさに設定される。例えば押さえ部3aの長さ及び幅より小さい四角形状の凸部が、ホルダ片から逃がし部に向かって突出しても良い。さらに突出した凸部の形状は、円弧状等他の形状でも良い。
【0054】
図3に示すチケットホルダ3のホルダ片3dは、開口部3fを有している。これに代えて、チケットホルダ3は開口部がないホルダ片を有していても良い。例えばホルダ片と同じ幅を有する押さえ部から左右の凸部が突出していても良い。
【0055】
図2,4に示すチケットホルダ3は、装着部6の穴6aが第2シェル2cに設けられた爪2fに係止されている。チケットホルダ3はこの装着部6に代えて、爪を設けた装着部を備えても良い。例えば爪を有する装着部をバイザ本体2に差し込むと、装着部の爪はバイザ本体2内における係止部材に係止される。
【0056】
図5に示すバイザ本体2は、第1シェル2bと第2シェル2cを重ねた中空板状になっている。これに代えて、バイザ本体2はブロー成形による中空板状であっても良い。またPP発泡ビーズ、発泡ウレタン等から中実板状に形成されても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 車両用サンバイザ
2 バイザ本体
2a 逃がし部
2b 第1シェル
2c 第2シェル
2d 表皮
2e ホルダ固定部
3 チケットホルダ
3a 押さえ部
3b 先端部
3c 基部
3d ホルダ片
3f 開口部
3g 凸部
4 固定台
5 第2のチケットホルダ
6 装着部
11 支軸
12 ブラケット
13 サポート軸(サポートシャフト)
W チケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12