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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20240701BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61B1/06 531
G02B23/26 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021017376
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120467
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小師 敦
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-270391(JP,A)
【文献】特開2004-248835(JP,A)
【文献】特開平11-267099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入管の先端部に組み込まれた発光モジュールを備える内視鏡において、
前記発光モジュールは、複数の発光素子が実装された実装基板を含み、
前記実装基板は、中央部に前記発光素子を光源とする撮像素子が挿通される孔が設けられた環状を成し、前記発光素子が表面実装される第1面と、前記第1面の周縁に位置する側面とを備え、
前記側面には、前記発光素子に導通する導電部が設けられており、
前記導電部には、前記発光素子に電力を供給するための電源線が接続され
前記側面には、切欠き部が形成されており、
前記導電部は、前記切欠き部に設けられており、
前記実装基板は、複数の基板が積層された多層基板であり、
前記第1面の反対側に位置する第2面には、放熱体が密着しており、
前記切欠き部は、前記多層基板を構成する複数の基板のうち、前記放熱体が密着している基板以外の基板に形成されている
内視鏡。
【請求項2】
前記側面は、前記孔の内周面を構成する内周側側面である
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記第1面の反対側に位置する第2面には、放熱体が密着しており、
前記放熱体における前記第2面に密着する密着面には、凹部が設けられており、
前記凹部によって、前記放熱体と前記導電部とは離間する
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記電源線は、
前記内視鏡に接続されるプロセッサ装置側から延設され、
前記挿入管の延伸方向において、前記導電部に対し平行に接続される
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記導電部は、前記発光素子の正極側に接続される正極側導電部と、前記発光素子の負極側に接続される負極側導電部とを含み、
前記負極側に接続される負極側導電部の個数は、前記正極側に接続される正極側導電部の個数よりも少ない
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検者の体腔内に挿入することで所望の箇所の観察、処置を可能とする医療用機器であり、体腔内に挿入される挿入管の先端部に組み込まれた撮像部と、該撮像部の撮像視野を照明する照明装置とを備えている。特許文献1には、180°以上の広い角度範囲での照明を実現する照明装置を備え、広視野角での観察を可能とした内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-16021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡装置においては、照明装置に電力を供給するための電源線が接続される導電部を設けるにあたり、当該導電部の好適な配設に関する点が考慮されていないという問題点がある。
【0005】
一つの側面では、発光素子に電力を供給するための電源線が接続される導電部を好適に配設することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における内視鏡は、挿入管の先端部に組み込まれた発光モジュールを備える内視鏡において、前記発光モジュールは、複数の発光素子が実装された実装基板を含み、前記実装基板は、中央部に前記発光素子を光源とする撮像素子が挿通される孔が設けられた環状を成し、前記発光素子が表面実装される第1面と、前記第1面の周縁に位置する側面とを備え、前記側面には、前記発光素子に導通する導電部が設けられており、前記導電部には、前記発光素子に電力を供給するための電源線が接続される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、発光素子に電力を供給するための電源線が接続される導電部を好適に配設する内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る内視鏡の外観図である。
図2】挿入管の先端部の拡大図である。
図3】実装基板と電源線との接続状態の一例を説明する説明図である。
図4】実装基板の一例を説明する模式的平面図である。
図5】実装基板の一例を説明する模式的側断面図である。
図6】実施形態2(放熱体に凹部)に係る実装基板の一例を説明する模式的側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、実施形態1に係る内視鏡1の外観図である。内視鏡1は、挿入管2、操作部3、ユニバーサルチューブ4及びコネクタ部5を備えている。挿入管2は、体腔内に挿入される部分であり、長尺の軟性部20と、該軟性部20の一端に湾曲部21を介して連結された先端部22とを備える。軟性部20の他端は、円筒形の連結部23を介して操作部3に連結されている。ユニバーサルチューブ4は、操作部3に一端を連結され挿入管2と異なる向きに延びており、コネクタ部5は、ユニバーサルチューブ4の他端に連設されている。
【0010】
操作部3は、医師等の内視鏡1の使用者(操作者)により把持されて各種の操作を行うために設けてあり、湾曲操作ノブ30、複数の操作ボタン31等を備えている。湾曲操作ノブ30は、連結部23及び軟性部20の内部に通したワイヤ(図示せず)により湾曲部21に連結されている。湾曲部21は、湾曲操作ノブ30の操作により軸断面内で互いに直交する2方向に湾曲し、体腔内に挿入された先端部22の向きが変化する。
【0011】
内視鏡1は、コネクタ部5を介してプロセッサ装置10に接続し内視鏡1装置として用いられる。プロセッサ装置10は、プロセッサ装置10は、制御部、記憶部、信号処理回路等を備えており、記憶部に記憶された制御プログラムにより内視鏡装置を統合制御する。
【0012】
図2は、挿入管の先端部の拡大図である。先端部22は、湾曲部21に一側を固定された筒形のハウジング24を備えている。ハウジング24の他側は、中央の対物レンズ25と、該対物レンズ25の周囲を囲う環状の配光レンズ26とによって覆われている。ハウジング24の内部には、対物レンズ25の内側に面して撮像素子6が組み込まれている。撮像素子6は、対物レンズ25を介して体腔等の体内部位である観察物(被写体)を撮像する。対物レンズ25は、挿入管2の先端部22に設けられた孔部の内枠に嵌め込まれており、観察窓として機能する。配光レンズ26の内側に面して発光モジュール7が組み込まれている。
【0013】
撮像素子6は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等の半導体素子及び、撮像面上に結像させるための光学系により構成され、対物レンズ25を通して体腔内を撮像する。対物レンズ25は、例えば広角レンズであり、撮像素子6は、対物レンズ25を含む光学系の設定により、180°以上等の所定の視野角での撮像が可能となるように構成されている。撮像素子6は、撮像した観察物(被写体)の撮像データ(画像信号)を、撮像素子6に接合されている信号線を介して出力する。撮像素子6が出力した撮像データ(画像信号)は、例えばAD変換又はホワイトバランス補正等の前処理が行われ、プロセッサ装置10に出力される。
【0014】
発光モジュール7は、撮像素子6の周囲を囲う環状の実装基板72と、配光レンズ26に対向する実装基板72の第1面(実装面)上に実装された複数の発光素子71を含む。これら複数の発光素子は、例えば、白色LED、狭帯域LED、又は双方のLEDの組み合わせにより構成される。当該複数の発光素子は、環状の実装基板72の円周に沿って、例えば、1個ずつ、又は2個ずつまとまって、等間隔で配置されている。環状を成す実装基板72は、中央部にて円形の孔が形成されるものとなり、撮像素子6は、当該円形の孔の中心に位置する。これにより、撮像素子6の外周面と、実装基板72に形成された孔の内周面(内周側側面)とは、対向するものとなる。
【0015】
配光レンズ26は、対物レンズ25の周縁部から外向きに広がり、湾曲部分を経てハウジング24の周壁に連続する形状を有する筒状レンズである。発光素子71の発光は、配光レンズ26を通して出射され、撮像素子6の撮像視野を照明する。撮像素子6による撮像は、発光素子71の発光による照明下にて実施される。
【0016】
図3は、実装基板72と電源線8との接続状態の一例を説明する説明図である。図4は、実装基板72の一例を説明する模式的平面図である。図5は、実装基板72の一例を説明する模式的側断面図である。実装基板72は、複数の基板720(本実施形態では4つの基板720)が積層されて構成される多層基板である。実装基板72は、発光素子71が実装される実装面である第1面721と、第1面721の反対側に位置する第2面722とを含み、第2面722には放熱体9が密着して設けられている。これにより、放熱体9と実装基板72とは熱的に接続される。
【0017】
多層基板である実装基板72を構成する個々の基板720において、発光素子71が実装される実装面である第1面721は、最も先端側(対物レンズ25の側)に位置する基板720の表面に相当し、放熱体9が密着する第2面722は、最も後端側(湾曲部21の側)に位置する基板720の裏面に相当する。
【0018】
第1面721の周縁に位置する側面は、環状を成す実装基板72に形成される孔73の内周面となる内周側側面723と、実装基板72の外周側側面726とを含む。内周側側面723には、実装基板72の厚み方向に切りかかれた切欠き部724が、複数個、形成されている。すなわち、多層基板である実装基板72を構成する基板720それぞれの側面に切欠き部724が形成されており、これら基板720の切欠き部724それぞれが、基板720の厚み方向にて連続するように設けられることにより、多層基板の内周側側面723にて、当該多層基板の厚み方向に沿う溝状の切欠き部724が、形成されるものとなる。
【0019】
切欠き部724は、実装基板72(多層基板)を構成する全ての基板720に形成されているものであってもよく、又は、発光素子71が実装される実装面である第1面721を備える基板720を少なくとも含む一部の基板720においてのみ、形成されているものであってもよい。本実施形態においては、切欠き部724は、多層基板を構成する複数の基板720のうち、放熱体9が密着している基板720以外の基板720に形成されている。すなわち、放熱体9が密着している基板720、すなわち第2面722の基板720には切欠き部724が設けられていない。このように多層基板を構成する複数の基板720のうち、放熱体9に密着している基板720には切欠き部724及び導電部725を設けないことにより、放熱体9に密着している基板720によって、放熱体9と、他の基板720の切欠き部724に設けられた導電部725とを絶縁することができる。
【0020】
内周側側面723に形成された切欠き部724、すなわち内周側側面723にて厚み方向に形成された溝には、導電部725が設けられている。導電部725は、銅、銅合金又は導電体ペースト等の導電性の良い導電材により構成され、例えばケーブル接続用ランドである。導電部725は、内周側側面723に形成された切欠き部724(溝)を埋めるように設けられている。
【0021】
導電部725における第1面721の側の端部は、第1面721の上に位置するように設けられ、L字状を成すものであってもよい。本実施形態における図示のとおり、L字状を成す導電部725において、切欠き部724に設けられた導電部725の部位はL字の縦辺部に相当し、第1面721の上に位置する導電部725の部位はL字の横辺部に相当するものであってもよい。L字の縦辺部に相当する導電部725の部位に、電源線8の芯線81が接合される。
【0022】
導電部725は、第1面721及び積層されている各基板720の面に設けられた配線パターン、ランド又はスルーホール等を介して、発光素子71の端子又は発光素子ランド711と電気的に接続されている。上述のとおり、発光素子71はLED等により構成され、導電部725は、当該LEDのアノード(正極側)に接続される導電部725(正極側導電部)と、カソード(負極側)に接続される導電部725(負極側導電部)とを含む。
【0023】
導電部725の個数は、複数の発光素子71それぞれに対する個々の制御態様に基づき決定され、例えば、発光素子71(LED)を8個搭載した時に、個々の発光素子71(LED)の明るさを制御する場合は、アノード側に8個の導電部725(正極側導電部)を設け、カソード側は1つの回路にまとめることによる1個の導電部725(負極側導電部)又は、2つの回路として断線に対する冗長性を持たせた2個の導電部725(負極側導電部)とするものであってもよい。このようにカソード側の導電部725(負極側導電部)の個数は、アノード側の導電部725(正極側導電部)の個数よりも少なくするものであってもよい。
【0024】
実装基板72の内周側側面723に設けられる切欠き部724及び導電部725は、実装基板72を環状すべく孔73を形成(くり抜く)際に、VIA(ビアホール)を半割にして作成してもよく、又は実装基板72を成形後にパターン成形してもよい。
【0025】
導電部725には、プロセッサ装置10から延設された電源線8の芯線81が接合されている。プロセッサ装置10からの電力は、電源線8及び導電部725を介して発光モジュール7に供給され、発光素子71を点灯させる。
【0026】
プロセッサ装置10側から延設される電源線8は、挿入管2の延伸方向を基準に、導電部725に対し平行(並行)、すなわち多層基板の厚み方向に沿う溝状の切欠き部724と平行となるように接続される。これにより、導電部725に接合される電源線8の芯線81の軸方向は、挿入管2の延伸方向と平行であり、実装基板72の厚み方向となり、当該芯線81も、実装基板72の孔73の内側に位置するものとなる。このようにプロセッサ装置10側から延設される電源線8は、挿入管2の延伸方向において、導電部725に対し平行に接続されるため、導電部725が接続される部位の近傍における電源線8の個所において、当該電源線8が屈曲することを抑制することができる。これにより、電源線8を導電部725から引き剥がす方向に作用する応力が発生することを抑制し、電源線8と導電部725との接続強度を担保又は向上させることができる。
【0027】
放熱体9は、熱伝導性の高い金属製であり、実装基板72と同様な環状による板部材によって、構成される。環状を成す放熱体9には、実装基板72と同様に中央部に孔が設けられており、放熱体9の孔と、実装基板72の孔73とは同心円を構成する。放熱体9の孔の内部には、複数の電源線8、及び撮像素子6に接続される信号線が位置する。
【0028】
実装基板72の第2面722に放熱体9は密着しており、実装基板72と放熱体9とは熱的に接続されている。これにより、発光素子71によって発生した熱は、放熱体9を介して周囲の空間に放熱され、当該発光素子71の温度上昇を抑制して冷却することができる。実装基板72の第2面722と、放熱体9とは、電気的に絶縁されていることは言うまでもない。実装基板72(第2面722)と放熱体9(密着面91)とが直接的に密着している場合に限定されず、実装基板72(第2面722)と放熱体9(密着面91)との間に絶縁性を有する熱伝導ペーストが設けられているものであってもよい。
【0029】
撮像素子6の外周面と、導電部725が設けられている実装基板72の内周側側面723とは、対向しており、当該撮像素子6の外周面と実装基板72の内周側側面723との間にて形成される空隙には、絶縁性を有する樹脂部材等が設けられているものであってもよい。絶縁性を有する樹脂部材等を、当該空隙に封入して設けることにより、導電部725及び当該導電部725に接続されている芯線81と、撮像素子6との絶縁性を担保することができる。
【0030】
本実施形態において、切欠き部724及び導電部725は、実装基板72の内周側側面723に設けられとしたがこれに限定されず、実装基板72の外周側側面726に設けられるものであってもよい。本実施形態において、実装基板72は多層基板であるとしたがこれに限定されず、実装基板72は1枚の基板720にて構成される単層基板であってもよい。
【0031】
本実施形態によれば、発光素子71に電力を供給するための電源線8が接続される導電部725は、当該発光素子71が表面実装される第1面721の周縁に位置する内周側側面723に設けられている。これにより、当該第1面721に導電部725(導電部725における芯線81と接合される部位)を設けることを不要とすることができ、挿入管2の先端部に内包される実装基板72において、当該導電部725を好適に配設することができる。第1面721の面積を小さくし、発光モジュール7を組み込む挿入管2の先端部のサイズを小さくすることができる。第1面721の面積を小さくすることにより、実装基板72に設けられる孔73の径を大きくすることができ、これにより実装基板72の外径及び挿入管2の先端部のサイズを大きくすることなく、孔73に挿通されて配置される撮像素子6のサイズを大きくすることができる。第1面721の実装スペースを拡大させ、第1面721における発光素子71の配置自由度(実装自由度)を向上させ、発光素子71の実装数を増加させ、これら複数の発光素子71を多数配置することができる。導電部725は、撮像素子6が挿通される孔73の内周面を構成する内周側側面723に設けられているため、当該孔73の内部に導電部725を設けることができる。これにより、挿入管2の先端部のサイズを小さくすることができる。
【0032】
本実施形態によれば、導電部725は、側面に形成された切欠き部724に設けられているため、当該導電部725と、切欠き部724が形成されていない側面との間にて形成される凸部の高さを小さくすることができる。切欠き部724が形成されている側面が、孔73の内周面を構成する内周側側面723である場合、切欠き部724に導電部725を設けることにより、孔73の内周面にて導電部725が突出することを抑制することができ、孔73の径を大きくすることができる。
【0033】
本実施形態によれば、複数の基板720が積層された多層基板によって実装基板72を構成することにより、導電部725と発光素子71とを接続する配線パターンの配線自由度を向上させることができる。多層基板による実装基板72において、発光素子71の実装面である第1面721の反対側に位置する第2面722には、ヒートシンク等の放熱体9が密着している。当該多層基板を構成する複数の基板720のうち、放熱体9が密着している基板720以外の基板720には切欠き部724が設けられているが、放熱体9が密着している基板720、すなわち第2面722を有する基板720には切欠き部724が設けられていない。従って、放熱体9が密着している基板720(第2面722を含む基板720)には、導電部725が設けられていない。このように多層基板を構成する複数の基板720のうち、放熱体9に密着している基板720には切欠き部724及び導電部725を設けないことにより、放熱体9に密着している基板720によって、放熱体9と、他の基板720の切欠き部724に設けられた導電部725とを絶縁することができる。
【0034】
本実施形態によれば、プロセッサ装置10側から延設される電源線8は、挿入管2の延伸方向において、導電部725に対し平行に接続されるため、導電部725が接続される部位の近傍における電源線8の個所において、当該電源線8が屈曲することを抑制することができる。これにより、電源線8が導電部725から引き剥がされる応力が発生することを抑制し、電源線8と導電部725との接続強度(はんだ付け面の信頼性)を向上させることができる。電源線8の芯線81を内周側側面723に設けることにより、電源線8の屈曲が抑制されるため、当該屈曲(折り曲げ)による曲げ部(R部)によって孔73の中心部に挿入される撮像素子6への干渉が無くなるものとなる。これにより、実装基板72の内周側側面723と、撮像素子6の外周面との面間距離(クリアランス)は、電源線8の外径寸法分を確保すればよく、実装基板72の孔73の内径の寸法(実装基板72内径寸法)を小さくすることができる。
【0035】
(実施形態2)
図6は、実施形態2(放熱体9に凹部92)に係る実装基板72の一例を説明する模式的側断面図である。本実施形態においては、多層基板である実装基板72を構成する全ての基板720の側面に切欠き部724が形成されており、これら基板720の切欠き部724それぞれが、基板720の厚み方向にて連続するように設けられている。これにより、多層基板の内周側側面723にて厚み方向に延びる溝状の切欠き部724が形成される。すなわち、放熱体9が密着している基板720、すなわち第2面722を有する基板720においても、切欠き部724が設けられている。
【0036】
多層基板である実装基板72を構成する全ての基板720に切欠き部724を形成することにより、実装基板72の側面において、当該実装基板72の厚みと同じ長さとなる切欠き部724(溝)を形成することでき、挿入管2の延伸方向に平行となる切欠き部724の長さを長くすることができる。当該切欠き部724の全域において導電部725が設けられており、これにより、挿入管2の延伸方向に平行となる導電部725の長さを長くすることができ、当該導電部725と、電源線8の芯線81とを接合するにあたっての、接合面積を大きくし、導電部725と芯線81(電源線8)との接合強度を向上させることができる。
【0037】
実装基板72の第2面722に対向して密着する放熱体9の密着面91には、縁部の一部を欠落させる(切り欠く)ことにより形成される凹部92が設けられている。凹部92は、環状を成す放熱体9の孔の内周の縁部(内周縁)に沿って、密着面91に形成されている。
【0038】
凹部92は、導電部725に対応して設けられており、密着面91に形成されている凹部92の個数は、実装基板72の内周側側面723に設けられている導電部725の個数と同数であってもよい。凹部92と導電部725との位置的対応関係は、実装基板72を平面視した際、すなわち実装基板72の第1面721に対する垂直方向において、凹部92と導電部725との領域が重複する関係を含む。
【0039】
密着面91に設けられた凹部92によって、実装基板72の導電部725、特に第2面722を有する基板720(最も後端側に位置する基板720)に設けられた導電部725の部位と、放熱体9とを確実に離間させ、導電部725と放熱体9との絶縁距離を確保することができる。
【0040】
導電部725と放熱体9との絶縁距離を確保するための凹部92は、個々の導電部725に対応して、密着面91の内周縁に複数個、形成されるとしたが、これに限定されない。放熱体9の密着面91に設けられた孔の内周縁にて、全周に亘って欠落させる(切り欠く)ことにより、凹部92が形成されるものであってもよい。
【0041】
本実施形態によれば、実装基板72において、発光素子71の実装面である第1面721の反対側に位置する第2面722には、ヒートシンク等の放熱体9が密着しており、当該第2面722に密着する放熱体9の密着面91、すなわち第2面722に対向する、放熱体9の面(密着面91)には、凹部92が設けられている。密着面91に設けられた凹部92によって、実装基板72の導電部725と、放熱体9とを離間させることができ、導電部725に対する放熱体9の絶縁を担保することができる。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 内視鏡
10 プロセッサ装置
2 挿入管
20 軟性部
21 湾曲部
22 先端部
23 連結部
24 ハウジング
25 対物レンズ
26 配光レンズ
3 操作部
30 湾曲操作ノブ
31 操作ボタン
4 ユニバーサルチューブ
5 コネクタ部
6 撮像素子
7 発光モジュール
71 発光素子
711 発光素子ランド
72 実装基板
720 基板
721 第1面
722 第2面
723 内周側側面
724 切欠き部
725 導電部(正極側導電部、負極側導電部)
726 外周側側面
73 孔
8 電源線
81 芯線
9 放熱体
91 密着面
92 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6