(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】洗浄方法および洗浄機
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B08B3/02 A
B08B3/02 B
B08B3/02 D
(21)【出願番号】P 2021205937
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】松井 大貴
(72)【発明者】
【氏名】沢崎 富男
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-144441(JP,A)
【文献】特開平10-180199(JP,A)
【文献】特開昭60-078681(JP,A)
【文献】特開2013-099705(JP,A)
【文献】特開2001-077074(JP,A)
【文献】特開2001-192085(JP,A)
【文献】実開平07-009469(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物の洗浄方法であって、
大気中に配置される複数の洗浄小室であって、第1口と第2口を
それぞれ有する
複数の洗浄小室へ
個別に前記洗浄対象物を挿入し、
ノズルが
大気中に洗浄液を噴射し、
前記ノズルを前記第1口の延長線上に位置づけて、前記ノズルが
大気中に噴射した前記洗浄液の噴流を前記第1口から前記洗浄小室へ流入させて、
前記洗浄小室を前記洗浄液で満たして前記洗浄小室の内部に渦流を発生させ、前記洗浄対象物が前記洗浄小室を満たした前記洗浄液中で遊動することにより、前記洗浄対象物を洗浄し、
洗浄後の前記洗浄対象物
と前記洗浄小室内の前記洗浄液を前記洗浄小室から
排出する、
洗浄方法。
【請求項2】
更に、
前記ノズルを前記第2口の延長線上に位置づけて、前記ノズルが
大気中に噴射した前記洗浄液の噴流を前記第2口から前記洗浄小室へ流入させて、
前記洗浄小室を前記洗浄液で満たして前記洗浄小室の内部に渦流を発生させ、前記洗浄対象物が前記洗浄小室を満たした前記洗浄液中で遊動することにより、前記洗浄対象物を洗浄する、
請求項
1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
洗浄対象物を洗浄する洗浄機であって、
洗浄室と、
前記洗浄室内に配置されたジグであって、
第1ボディと、
前記第1ボディと締結可能な第2ボディであって、内部に複数の洗浄小室を有する第2ボディと、
前記
第2ボディの内部に配置され
る複数の洗浄小室
と、
を有するジグと、
前記洗浄室内に配置され、前記ジグに対して相対的に移動でき、洗浄液を噴射するノズルと、
を有
し、
複数の前記洗浄小室は、それぞれ、前記第1ボディ側に前記洗浄対象物を内部に挿入可能な開口を有し、
前記第1ボディは、複数の前記洗浄小室のそれぞれに対応して接続される、前記洗浄対象物が通過しない大きさを有する複数の第1口を有し、
前記第2ボディは、複数の前記洗浄小室のそれぞれに対応して接続される、前記洗浄対象物が通過しない大きさを有する複数の第2口であって、前記開口とは反対側に位置する複数の第2口を有する、
洗浄機。
【請求項4】
前記洗浄小室
、前記第1口
及び前記第2口は、水平方向に延びる、
請求項
3に記載の洗浄機。
【請求項5】
前記ジグと前記ノズルは、大気中に配置される、
請求項3又は4に記載の洗浄機。
【請求項6】
前記ノズルを前記第1口又は前記第2口の中心軸の延長線上に移動させるノズル移動装置を更に有する、
請求項3~5のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項7】
前記ノズルは、直線状に棒状に延びる前記洗浄液を噴射する、
請求項3~6のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項8】
前記ジグを旋回するジグ旋回装置を更に有する、
請求項3~7のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項9】
前記ノズルは、前記洗浄小室を前記洗浄液で満たす、
請求項3~8のいずれかに記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の洗浄方法および洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に洗浄液の噴流を当てて洗浄するジェット洗浄機に、着座パッド、ピン及びクランプをセットしたテーブルやハンドが知られている(例えば、特許第6830170号。以下、特許文献1)。特許文献1の洗浄機において、対象物は、特定の姿勢および特定の位置でテーブルに固定される。
【0003】
また、部品をバスケットに投入して、バスケットを回転させながらバスケットの外部に配置されたノズルから洗浄液をバスケットに向けて噴射する洗浄機が知られている(例えば、実開平07-009469号公報。以下、特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗浄機は、対象物をテーブルの定位置に固定して、対象物の内の対象部位をピンポイントで洗浄する。特許文献1の洗浄機に、対象物である多数の小型部品を一度にセットすることは手間である。また、小型部品を個別にクランプすると、クランプされる部位が占める割合が増える。
特許文献2の洗浄機では、対象物がバスケット上を転がり、対象物が互いに衝突したり、一つの対象物に付着していた異物が他の対象物に触れたりする。
【0005】
本発明は、多数の小型部品を容易にセットして、多数の洗浄対象物を個別に洗浄可能な部品の洗浄方法および洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面は、洗浄対象物の洗浄方法であって、
第1口と第2口を有する洗浄小室へ前記洗浄対象物を挿入し、
ノズルが洗浄液を噴射し、
前記ノズルを前記第1口の延長線上に位置づけて、前記ノズルが噴射した前記洗浄液の噴流を前記第1口から前記洗浄小室へ流入させて、前記洗浄対象物を洗浄し、
洗浄後の前記洗浄対象物を前記洗浄小室から取り出す、
洗浄方法である。
【0007】
本発明の第2の側面は、洗浄対象物を洗浄する洗浄機であって、
洗浄室と、
前記洗浄室内に配置されたジグであって、
第1口と第2口とを有するボディと、
前記ボディの内部に配置され、前記洗浄対象物が挿入される洗浄小室であって、前記第1口と前記第2口と接続される洗浄小室と、
を有するジグと、
前記洗浄室内に配置され、前記ジグに対して相対的に移動でき、洗浄液を噴射するノズルと、
を有する、洗浄機である。
【0008】
ノズルが洗浄液を噴射し、噴流が洗浄小室に流入するときに、洗浄対象物が洗浄小室から飛び出さず、かつ、第1口を完全にふさがないように、洗浄小室は閉じられて良い。例えば、第1口は、網で閉じられる。
【0009】
洗浄小室は、円柱形又は角柱形である。好ましくは、ボディは、複数の洗浄小室を有する。好ましくは、第1口に向かって見たときに、複数の洗浄小室は、格子状又は千鳥格子状に配列される。
好ましくは、洗浄小室の長手方向の長さは、洗浄対象物の水平方向長さの1.3~2倍である。好ましくは、洗浄小室の断面方向の長さは、洗浄対象物の断面方向の長さの1.2~2倍である。
【0010】
ノズル17は、直進噴射ノズル(straight jet spray nozzle)である。
【0011】
第1口の断面は、例えば、円形、矩形である。
第1口の断面が洗浄対象物よりも小さいとき、好ましくは、第1口の断面は、ボディ外面に向かうにつれて拡大する。このとき、第1口の洗浄小室付近では、第1口の断面が一定でも良い。例えば、第1口のボディ外面付近は、円錐形状に、洗浄小室付近は円柱状に構成される。第1口に向かって観察したときに、第1口は、洗浄小室の中心部に配置されて良い。
【0012】
第2口の断面は、例えば、円形、矩形である。
第2口の断面が洗浄対象物よりも小さいとき、好ましくは、第2口の断面は、ボディ外面に向かうにつれて拡大する。このとき、第2口の洗浄小室付近では、第2口の断面が一定でも良い。例えば、第2口のボディ外面付近は、円錐形状に、洗浄小室付近は円柱状に構成される。第2口に向かって観察したときに、第2口は、洗浄小室の中心部に配置されて良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の部品の洗浄方法および洗浄機によれば、多数の小型部品を容易にセットして、多数の洗浄対象物を個別に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】実施形態1の変形例による洗浄方法を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
図1に示すように、本実施形態の洗浄機10は、洗浄室11と、ポンプ13と、ノズルホルダ15と、ノズル移動装置16と、ノズル17と、ジグ21と、を有する。洗浄機10は、ジグ旋回装置19を有しても良い。洗浄機10は、例えば、日本特許第6934091号、日本特許第5432943号や、モジュール型洗浄機「JCC-module」(株式会社スギノマシン製)に開示されるような洗浄機である。
【0016】
洗浄室11と、ポンプ13と、ノズル移動装置16は、フレーム(不図示)に設置される。ポンプ13は、洗浄室11の外側に配置される。ポンプ13は、液体ポンプであり、例えば渦巻ポンプ、ピストンポンプである。
【0017】
好ましくは、ノズル移動装置16は、洗浄室11の外側に配置される。ノズル移動装置16は、ノズルホルダ15を、ジグ21に対して相対的に移動する。好ましくは、ノズル移動装置16は、左右方向(Y軸)、上下方向(Z軸)、前後方向(X軸)方向に、ノズル17をジグ21に対して移動する。
【0018】
ノズル17は、洗浄室11内に配置される。ノズル17は、ノズルホルダ15と共に移動する。ノズル17は、ポンプ13と接続される。ノズル17は、大気中に配置される。すなわち、ノズル17は、洗浄室11内で洗浄液中に浸漬されるものではない。ノズル17は、噴口17a(
図4参照)を有する。ノズル17は、直線上に棒状に延びる洗浄液を噴射する。噴口17aは、噴口径17bを有する。
【0019】
好ましくは、ジグ旋回装置19は、洗浄室11の外側に配置される。ジグ旋回装置19は、ジグ21を旋回させる。
【0020】
図2に示すように、ジグ21は、ボディ23と、洗浄小室25と、第1口27と、第2口29と、脱落防止網31と、を有する。
洗浄対象物1は、洗浄小室25の内部に挿入される。洗浄対象物1は、例えば、中空円筒状である。洗浄対象物1は、直径1aと長さ1bを有する。
【0021】
例えば、1つ又は2つのジグ21が設置される。ジグ21は、ジグ旋回装置19に設置されても良い。ジグ21は、大気中に配置される。すなわち、ジグ21は、洗浄室11内で洗浄液中に浸漬されるものではない。例えば、1つのジグ21は、1つのボディ23を有する。ボディ23は、第1面23aと第2面23bとを有する平板である。好ましくは、1つのボディ23は、複数の洗浄小室25を有する。
【0022】
複数の洗浄小室25は、ボディ23の第1面23aから見て、格子状に配列される。洗浄小室25は、例えば、円筒形である。各洗浄小室25は、水平方向に延びる。洗浄小室25は、直径25aと長さ25bとを有する。好ましくは、洗浄小室25の直径25aは、洗浄対象物1の直径1aの1.2倍~2倍である。洗浄小室25の長さ25bは、洗浄対象物1の長さ1bの1.5倍~3倍である。例えば、洗浄小室25の直径25aは、ノズル17の噴口径17bの3倍~7倍である。
【0023】
各洗浄小室25は、1つの第1口27を有する。洗浄小室25は、第1口27を介して、ボディ23の第1面23aに開口する。第1口27は、洗浄対象物1が通過できる断面を有する。洗浄小室25は、第1口27から水平方向に延びる。第1口27は、洗浄小室25の断面と同一の形状を有する。
図2において、第1口27は、直径25aを有する円形である。
なお、第1口27は、矩形でも良い。
【0024】
各洗浄小室25は、1つの第2口29を有する。第2口29は、開口29aと、接続口29bを有する。接続口29bは、洗浄小室25の円筒面に接続される。第2面23bは、開口29aを有する。第2口29は、洗浄対象物1が通過しない断面を有する。例えば、第2口29の有効断面積は、ノズル17の噴口径17bの1倍~2倍である。
【0025】
脱落防止網31は、ボディ23に取り外し可能に装着される。脱落防止網31は、例えば、金網である。脱落防止網31は、線径31aと目開き31bを有する。線径31aは、洗浄小室25の直径25aに比較して十分に小さい。目開き31bは、洗浄対象物1の直径1aよりも小さい。例えば、脱落防止網31の線径31aは、洗浄小室25の直径25aの0.1~0.2倍である。脱落防止網31の目開き31bは、洗浄対象物1の直径1aの0.5倍~0.8倍である。
【0026】
以下、
図3を参照して、本実施形態の洗浄方法を説明する。まず、洗浄対象物1をジグ21に挿入する(ステップS1)。そして、ノズル17が洗浄液を噴射する(ステップS2)。洗浄液の噴流により、洗浄対象物1を洗浄する(ステップS3)。そして、洗浄対象物1をジグ21から取り出す(ステップS4)。以下、各ステップを詳細に説明する。
【0027】
図2を参照して、ステップS1では、ロボット又は作業者が、ジグ21から脱落防止網31を取り外し、洗浄小室25を開く。次いで、ロボット又は作業者が、洗浄対象物1を第1口27から洗浄小室25に挿入する。そして、ロボット又は作業者が、ジグ21に脱落防止網31を装着する。
ステップS2では、ポンプ13が洗浄液をノズル17へ送る。そして、ノズル17が洗浄液を噴射する。
【0028】
図1及び
図4を参照して、ステップS3では、ノズル17の噴口17aを第1口27に向けて、複数の第1口27の中心部を次々となぞるように、ノズル移動装置16がノズル17を移動する。好ましくは、噴口17aは、第1口27の中心を通り、洗浄小室25の中心軸に沿った延長線上に位置づけられる。このとき、好ましくは、ノズルオフセット距離18は、噴口径17bの50倍~200倍である。
洗浄液の噴流が、大気中から第1口27を通って洗浄小室25に入る。洗浄小室25は、洗浄液で実質的に満たされる。洗浄液は、第2口29から大気中へ排出される。洗浄小室25内で、洗浄液は渦流を発生させ、洗浄対象物1の表面と接触する。洗浄液内でキャビテーションが発生し、キャビティの消滅による衝撃波が発生する。更に、洗浄対象物1は、洗浄液の渦に乗って揺れ動く。洗浄対象物1は、洗浄小室25内を遊動し、洗浄液によってその表面が洗浄される。洗浄対象物1に付着した油分や切りくずなどの異物は、洗浄液中に混ざり、洗浄液と共に第2口29から排出される。
【0029】
ステップS4において、ロボット又は作業者が、ジグ21から脱落防止網31を取り外し、洗浄小室25を開く。次いで、ロボット又は作業者が、洗浄対象物1を、第1口27を介して洗浄小室25から取り出す。そして、ロボット又は作業者が、ジグ21に脱落防止網31を装着する。
【0030】
本実施形態の洗浄方法によれば、ロボット又は作業者が、洗浄対象物1をジグ21に固定する必要がない。そのため、洗浄対象物1を容易にジグ21に装着又は取り外しできる。
洗浄対象物1は、強力な力でクランプされない。また、洗浄対象物1は、互いに接触しない。そのため、洗浄対象物1は傷みにくい。
【0031】
ノズル17は、直進噴射ノズルである。そのため、洗浄液の強い噴流が洗浄小室25内に流れ込む。洗浄小室25の内部が狭く、洗浄対象物1が挿入されているため、強い勢いで流入した洗浄液が強い乱流となり、渦が発生する。洗浄小室25内に流入した洗浄液の流れが、渦を発生させ、洗浄対象物1が揺れ動きながら、洗浄液により洗浄対象物1の表面が洗浄される。また、渦の発生に伴い、洗浄小室25内にキャビティの発生と消失が繰り返される。これにより、洗浄対象物1の表面が強く洗浄される。
また、接続口29bが洗浄小室25の壁面(
図4では、洗浄小室25の上面)に開口しているため、洗浄対象物1が接続口29bを塞ぎにくい。また、洗浄対象物1が接続口29bにはまり込んで、動かなくなることが抑制される。これにより、洗浄対象物1の洗浄が促進される。
洗浄中において、脱落防止網31は、洗浄対象物1の脱落を防止する。
【0032】
図5に示すように、本実施形態の変形例のジグ22は、第2口29に替えて、第2口30を有する。第2口30は、接続口30bを有する。接続口30bは、洗浄小室25の底面(
図5では、洗浄小室25の右側面)の周辺部に配置される。例えば、接続口30bは、洗浄機12の洗浄小室25の底面の上方に配置される。その他の構造は、洗浄機10と実質的に同一である。
例えば、洗浄対象物3は、つるまきばねである。
【0033】
本実施形態の変形例の接続口30bは、洗浄小室25の底面の周辺部に配置される。そのため、洗浄対象物3が接続口30bにはまり込むことが抑制される。また、接続口30bが上方端部に配置されることにより、洗浄小室25内で洗浄液が全体として上昇流となり、洗浄対象物3を浮かせることが促進される。洗浄対象物3は、つるまきばねであるため、洗浄対象物3の内部に洗浄液の渦流が入り込みやすく、良く洗浄される。
【0034】
<実施形態2>
図6に示すように、本実施形態の洗浄機100は、ジグ121を有する。その他の洗浄機100の構成は、実施形態1の洗浄機10と実質的に同一である。
ジグ121は、ボディ123と、洗浄小室25と、第1口127と、第2口129と、を有する。
【0035】
ボディ123は、第1ボディ123aと、第2ボディ123bと、締結具(不図示)と、を有する。第1ボディ123aと、第2ボディ123bとは、分割面123cで分割され、分離又は合体できる。分割面123cは、洗浄小室25の第1面23a側の端面と第2面23b側の端面との間に配置される。例えば、分割面123cは、洗浄小室25の第1面23a側の底面(
図6では、洗浄小室25の左側面)を構成する。締結具は、例えば、クランプ装置やボルトである。締結具は、第1ボディ123aと、第2ボディ123bとを締結し、また、締結を解除する。
【0036】
例えば、洗浄対象物5は、円筒状であり、両側にそれぞれ、有底穴5bと有底穴5cを有する。洗浄対象物5は、外径5aを有する。例えば、有底穴5bが第1口127に向き、有底穴5cが第2口129に向くように、洗浄対象物5が洗浄小室25内に挿入される。
【0037】
第2ボディ123bは、第1口127を有する。第1口127は、開口127aと、接続口127bと、円筒部127cと、テーパ部127dと、を有する。第1面23aに向かって見たときに、第1口127の中心は、洗浄小室125の中心に一致する。第1面23aは、開口127aを有する。
【0038】
接続口127bは、洗浄小室25に接続される。円筒部127cは、第1口127の洗浄小室25寄りに配置され、接続口127bに接続される。円筒部127cは、内径127fを有する円筒穴である。円筒部127cの内径127fは、洗浄対象物5の外径5aよりも小さく、ノズル17の噴口径17bよりも大きい。円筒部127cの内径127fは、例えば、ノズル17の噴口径17bの1.5~3倍である。
【0039】
テーパ部127dは、円筒部127cと開口127aを接続する。テーパ部127dは、円形の断面を有する。テーパ部127dの断面は、開口127aに近づくにつれて拡大する。テーパ部127dは、例えば、円錐面である。開口127aの開口径127gは、例えば、内径127fの1.5~3倍である。円錐面のテーパ部127dは、例えば、40~90度の頂角127hを有する。
なお、テーパ部127dは、軸方向断面において半径方向内側に凸の曲面でも良い。また、第1口127の断面は、矩形でも良い。
【0040】
第2口129は、第1口127と実質的に同一である。第1ボディ123aは、第2口129を有する。第2口129は、開口129aと、接続口129bとを有する。第2面23bは、開口129aを有する。接続口129bは、洗浄小室25に接続される。
【0041】
以下、
図7を参照して、本実施形態の洗浄方法を説明する。まず、洗浄対象物5をジグ121に挿入する(ステップS11)。そして、ノズル17が洗浄液を噴射する(ステップS12)。洗浄液の噴流により、洗浄対象物5を洗浄する(ステップS13)。次に、ジグ121を旋回する(ステップS14)。洗浄液の噴流により、洗浄対象物5を洗浄する(ステップS15)。そして、洗浄対象物5をジグ121から取出す(ステップS16)。以下、各ステップを詳細に説明する。
【0042】
ステップS11では、ロボット又は作業者が、締結具を解除してボディ123を第1ボディ123aと第2ボディ123bとに分割し、洗浄小室25を開く。次いで、ロボット又は作業者が、洗浄対象物5を洗浄小室25に挿入する。そして、ロボット又は作業者が、第1ボディ123aと第2ボディ123bとを結合する。
ステップS12では、ポンプ13が洗浄液をノズル17へ送る。そして、ノズル17が洗浄液を噴射する。
【0043】
図6及び
図8Aを参照して、ステップS13では、ノズル17の噴口17aを第1口127に向けて、複数の第1口127の中心部を次々となぞるように、ノズル移動装置16がノズル17を移動する。これにより、洗浄液の噴流が、第1口127から洗浄小室25に入る。洗浄小室25は、洗浄液で実質的に満たされる。洗浄液は、第2口129から排出される。洗浄の様子は、実施形態1のステップS3と実質的に同一である。
図8Aに示すように、ステップS14では、ジグ旋回装置19が、ジグ121を180度旋回する。すると、第1面23aに変わって、第2面23bがノズル17を向く。
【0044】
図8Bを参照して、ステップS15では、ノズル17の噴口17aを第2口129に向けて、複数の第2口129の中心部を次々となぞるように、ノズル移動装置16がノズル17を移動させる。ステップS13とは逆に、洗浄液の噴流が、第2口129から洗浄小室25に入る。洗浄小室25は、洗浄液で実質的に満たされる。洗浄液は、第1口127から排出される。洗浄の様子は、実施形態1のステップS3と実質的に同一である。
【0045】
ステップS16では、ロボット又は作業者が、締結具を解除してボディ123を第1ボディ123aと第2ボディ123bとに分割し、洗浄小室25を開く。次いで、ロボット又は作業者が、洗浄対象物5を洗浄小室25から取り出す。そして、ロボット又は作業者が、第1ボディ123aと第2ボディ123bとを結合する。
【0046】
本実施形態の洗浄対象物5は、両端部に有底穴5bと有底穴5cとを有する。ステップS13では、第1口127から洗浄液を入れて、洗浄対象物5を洗浄する。このとき、洗浄対象物5の第1口127側の端面と、有底穴5bと、外径部が良く洗浄される。しかし、洗浄対象物5の第2口129側の端面や有底穴5cは洗われにくい場合がある。
そこで、ステップS14において、ジグ121が反転される。そして、ステップS15において、第2口129から洗浄液を入れて、洗浄対象物5を洗浄する。このとき、洗浄対象物5の第2口129側の端面と、有底穴5cと、外径部が良く洗浄される。
本実施形態では、第1口127と第2口129の役割を切り換えて、第1口127と第2口129から洗浄液の噴流を洗浄小室25の内部に入れる。これにより、洗浄対象物5の両端面の洗浄が促進される。
【0047】
本実施形態では、第1口127及び第2口129の入口がテーパ状に広がる。そのため、第1口127及び第2口129の内径127fがノズル17の噴口径17bと同程度であっても、洗浄液の噴流が第1口127や第2口129から洗浄小室25に入り込みやすい。
【0048】
なお、ノズル移動装置16がジグ121の第2面23b側にノズル17を移動するとともに、ノズル17の向きを180度回転させても良い。このときは、ジグ旋回装置19を取り外してよい。そして、ステップS13において、ジグ121を旋回させる替わりに、ノズル移動装置16がノズル17を第2面23b側に移動し、ノズル17を180度回転させてもよい。
【0049】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1、3、5 洗浄対象物
10、100 洗浄機
11 洗浄室
17 ノズル
21、121 ジグ
25 洗浄小室
27、127 第1口
29、129 第2口