(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】注射針と注射装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61M5/158 500B
(21)【出願番号】P 2021502228
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2020007272
(87)【国際公開番号】W WO2020175412
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2019031144
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008537
【氏名又は名称】ASTI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【氏名又は名称】島野 美伊智
(72)【発明者】
【氏名】小粥 教幸
(72)【発明者】
【氏名】稲生 昭典
(72)【発明者】
【氏名】野中 勇
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/115455(WO,A1)
【文献】特開2015-198786(JP,A)
【文献】特表2011-509735(JP,A)
【文献】特表2014-513558(JP,A)
【文献】特開2003-088584(JP,A)
【文献】特開2003-135598(JP,A)
【文献】特表2013-514114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液収容空間を備えた針基と、
上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、
を具備してなる注射針において、
上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、
上記開口部は上記針基本体の横断面を上から視た時短い辺の側に設けられていることを特徴とする注射針。
【請求項2】
請求項1記載の注射針において、
上記開口部は上記薬液収容空間成形用のスライド型を抜く為のものであることを特徴とする注射針。
【請求項3】
薬液収容空間を備えた針基と、
上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、
を具備してなる注射針において、
上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、
上記針基本体には凹部が形成されていて、上記開口部は上記凹部の底部に設けられており、上記凹部は上記開口部に対して大きく形成されていることを特徴とする注射針。
【請求項4】
請求項3記載の注射針において、
上記蓋材は上記凹部に係合される基端部から上記開口部を閉塞する先端部に向けて先細に形成されていることを特徴とする注射針。
【請求項5】
薬液収容空間を備えた針基と、
上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、
を具備してなる注射針において、
上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、
上記蓋材は封止剤が固化したものであることを特徴とする注射針。
【請求項6】
請求項5記載の注射針において、
上記封止剤は接着剤であることを特徴とする注射針。
【請求項7】
薬液収容空間を備えた針基と、
上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、
を具備してなる注射針において、
上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、
上記針基本体と上記蓋材は予め一体化されていることを特徴とする注射針。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れかに記載の注射針において、
上記複数本の針は縦複数列/横一列に配置されていることを特徴とする注射針。
【請求項9】
薬液収容空間を備えた針基と、
上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、
を具備してなる注射針において、
上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、
上記複数本の針の先端は傾斜刃面となっていて、この傾斜刃面の向きは不規則的であることを特徴とする注射針。
【請求項10】
請求項1~請求項8の何れかに記載の注射針において、
上記複数本の針の傾斜刃面の向きは規則的であることを特徴とする注射針。
【請求項11】
請求項
10記載の注射針において、
上記複数本の針の傾斜刃面し全て同じ方向に指向していることを特徴とする注射針。
【請求項12】
請求項
10記載の注射針において、
上記複数本の針は縦複数列/横複数列に配置されていて、中心の針を除くその他の針の傾斜刃面は放射方向内側又は放射方向外側に指向していることを特徴とする注射針。
【請求項13】
シリンジと、上記シリンジの先端に取り付けられた請求項1~請求項12の何れかに記載された注射針と、を具備したことを特徴とする注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の針を備えた注射針と注射装置に係り、特に、構成が簡単で容易に製造することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、美容を目的とするボトックス(登録商標)・ヒアルロン酸の皮内から皮下への投与、腋窩多汗症の治療のためのボトックス(登録商標)の皮内から皮下への投与、頭髪の再生のためのステロイド、PRP(Platelet-Rich・Plasma:多血小板血漿)、細胞等の皮内から皮下への投与は、通常、1回の治療で数回から数十回行われる。これを1本針の注射針で行おうとすると治療に多くの労力と長い時間を要してしまう。
そこで、複数本の注射針を備えた注射針、いわゆる「マルチ針」の使用が提案されている。
この種のマルチ針の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1乃至特許文献4がある。
【0003】
まず、特許文献1に記載された発明による薬液注入針は、薬液注入針本体と、この薬液注入針本体に取付けられた3本の針から構成されている。上記薬液注入針本体の基端側には空間部が形成されていて、その空間部に注射器の基端が差し込まれる。
次に、特許文献2に記載された発明によるマルチニードルは、ニードルハブを備えていて、このニードルハブが第1本体と第2本体から構成されている。上記第1本体には複数本のニードルが収容され、上記第2本体には空間部が形成されていて、上記空間部内に注射器の先端が差し込まれる。
【0004】
次に、特許文献3に記載された発明による注射針は、針基、嵌合収容部、針管シールド部、等から構成されていて、針基には複数本の針が取り付けられるとともに、嵌合収容部側には空間部が形成されていて、その空間部内に注射器の先端が差し込まれる。
さらに、特許文献4に記載された発明による皮膚透過性強化装置は、支持部と連結部材とを備えていて、上記支持部には複数本のカニューラが取り付けられているとともに、上記連結部材には空間部が形成されていて、その空間部内に注射器の先端が差し込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6068057号公報
【文献】特表2011-509735号公報
【文献】特開2018-47227号公報
【文献】特許第4836392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の注射針、注射装置では、次のような問題があった。
まず、特許文献1に記載された発明の場合には、薬液注入針本体が単一部材から構成されていて構成は簡単であるが、針の本数とピッチに限界があるという問題があった。
因みに、針の本数を増加させようとすると、薬液注入針本体の注射器側部位に対して針側部位の径が大きくなっていき、薬液注入針本体の形状も必然的に複雑化していき、製造上の問題(成形時に使用するスライド型の取り出しに関する問題)により単一部品で構成することが困難になることが予想される。
又、特許文献2に記載された発明の場合には、第1本体と第2本体の二つの部品がそれぞれ比較的大型、且つ、複雑な形状をなしているという問題があった。
又、特許文献3に記載された発明の場合には、針基、嵌合収容部、針管シールド部、等、複数個の部品から構成されていて、構成が複雑であるとともにその製造も困難であった。
さらに、引用文献4に記載された発明の場合にも、上記特許文献2に記載された発明の場合と同様に、支持部材と連結部材の二つの部品がそれぞれ比較的大型、且つ、複雑な形状をなしているため、製造が困難であるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、複数本の針を備えていて、構成が簡単で容易に製造することができる注射針と注射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1による注射針は、薬液収容空間を備えた針基と、上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、を具備してなる注射針において、上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、上記開口部は上記針基本体の横断面を上から視た時短い辺の側に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項2による注射針は、請求項1記載の注射針において、上記開口部は上記薬液収容空間成形用のスライド型を抜く為のものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による注射針は、薬液収容空間を備えた針基と、上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、を具備してなる注射針において、上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、上記針基本体には凹部が形成されていて、上記開口部は上記凹部の底部に設けられており、上記凹部は上記開口部に対して大きく形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4による注射針は、請求項3記載の注射針において、上記蓋材は上記凹部に係合される基端部から上記開口部を閉塞する先端部に向けて先細に形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項5による注射針は、薬液収容空間を備えた針基と、上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、を具備してなる注射針において、上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、上記蓋材は封止剤が固化したものであることを特徴とするものである。
又、請求項6による注射針は、請求項5記載の注射針において、上記封止剤は接着剤であることを特徴とするものである。
又、請求項7による注射針は、薬液収容空間を備えた針基と、上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、を具備してなる注射針において、上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、上記針基本体と上記蓋材は予め一体化されていることを特徴とするものである。
又、請求項8による注射針は、請求項1~請求項7の何れかに記載の注射針において、上記複数本の針は縦複数列/横一列に配置されていることを特徴とするものである。
又、請求項9による注射針は、薬液収容空間を備えた針基と、上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、を具備してなる注射針において、上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されていて、上記複数本の針の先端は傾斜刃面となっていて、この傾斜刃面の向きは不規則的であることを特徴とするものである。
又、請求項10による注射針は、請求項1~請求項8の何れかに記載の注射針において、上記複数本の針の傾斜刃面の向きは規則的であることを特徴とするものである。
又、請求項11による注射針は、請求項10記載の注射針において、上記複数本の針の傾斜刃面し全て同じ方向に指向していることを特徴とするものである。
又、請求項12による注射針は、請求項10記載の注射針において、上記複数本の針は縦複数列/横複数列に配置されていて、中心の針を除くその他の針の傾斜刃面は放射方向内側又は放射方向外側に指向していることを特徴とするものである。
又、請求項13による注射装置は、シリンジと、上記シリンジの先端に取り付けられた請求項1~請求項12の何れかに記載された注射針と、を具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載の注射針によると、薬液収容空間を備えた針基と、上記針基に取り付けられその基端が上記薬液収容空間に連通する複数本の針と、を具備してなる注射針において、上記針基は、上記針の軸方向に直交する方向に上記薬液収容空間を開口する開口部を備えた針基本体と、上記針基本体の上記開口部を閉塞する蓋材と、から構成されているので、複数本の針を備えていて、構成が簡単で容易に製造することができる。
又、請求項2による注射針によると、請求項1記載の注射針において、上記開口部は上記薬液収容空間成形用のスライド型を抜く為のものであるので、スライド型の抜きも確実なものとなり、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項3による注射針によると、請求項1又は請求項2記載の注射針において、上記開口部は上記針基本体の横断面を上から視た時短い辺の側に設けられているので、開口部の大きさを小さくし、且つ、蓋材の大きさを小さくすることができる。
又、請求項4による注射針によると、請求項1~請求項3の何れかに記載の注射針において、上記針基本体には凹部が形成されていて、上記開口部は上記凹部の底部に設けられており、上記凹部は上記開口部に対して大きく形成されているので、上記蓋材による上記開口部の閉塞も容易である。
又、請求項5による注射針によると、請求項4記載の注射針において、上記蓋材は上記凹部に係合される基端部から上記開口部を閉塞する先端部に向けて先細に形成されているので、上記効果をより高めることができる。
又、請求項6による注射針によると、請求項1~請求項5の何れかに記載の注射針において、上記蓋材は封止剤が固化したものであるので、別途、蓋材を成形する必要はなく、部品点数の減少と組立の容易化を図ることがてきる。
又、請求項7による注射針によると、請求項6記載の注射針において、上記封止剤は接着剤であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項8による注射針によると、請求項1~請求項5の何れかに記載の注射針において、上記針基本体と上記蓋材は予め一体化されているので、部品点数の減少と組立の容易化を図ることができる。
又、請求項9による注射針によると、請求項1~請求項8の何れかに記載の注射針において、上記複数本の針は縦複数列/横一列に配置されているので、複数本の針が横一列に並んだ注射針を容易に製造することができる。
又、請求項10による注射針によると、請求項1~請求項8の何れかに記載の注射針において、上記複数本の針は縦複数列/横複数列に配置されているので、複数本の針が縦横に並んだ注射針を容易に製造することができる。
又、請求項11による注射針によると、請求項1~請求項10の何れかに記載の注射針において、上記複数本の針の先端は傾斜刃面となっていて、この傾斜刃面の向きは不規則的であるので、様々な方向から薬液を注射することができる。
又、請求項12による注射針によると、請求項1~請求項10の何れかに記載の注射針において、上記複数本の針の傾斜刃面の向きは規則的であるので、薬液を所定の方向に注射することができる。
又、請求項13による注射針によると、請求項12記載の注射針において、上記複数本の針の傾斜刃面は全て同じ方向に指向しているので、薬液を所定の方向に注射することができる。
又、請求項14による注射針によると、請求項12記載の注射針において、上記複数本の針は縦複数列/横複数列に配置されていて、中心の針を除くその他の針の傾斜刃面は放射方向内側又は放射方向外側に指向しているので、薬液を所定の方向に注射することができる。
又、請求項15による注射装置によると、シリンジと、上記シリンジの先端に取り付けられた請求項1~請求項14の何れかに記載された注射針と、を具備しているので、複数本の針を備えた注射針付きの注射装置を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、注射針及び注射装置の使用状態を示す正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図2(a)は注射針を上方前方側から視た斜視図、
図2(b)は注射針を下方後方側から視た斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図3(a)は注射針の正面図、
図3(b)は注射針の右側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、注射針の背面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図5(a)は
図3(b)のVa-Va断面図、
図5(b)は
図3(a)のVb-Vb断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態を示す図で、注射針及び注射装置の使用状態を示す正面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図7(a)は注射針を上方前方側から視た斜視図、
図7(b)は注射針を下方後方側から視た斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態を示す図で、注射針の正面図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図9(a)は注射針の平面図、
図9(b)は注射針の底面図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図8のX-X断面図である。
【
図11】本発明の第3、第4の実施の形態を示す図で、
図11(a)は第3の実施の形態による注射針の縦断面図、
図11(b)は第4の実施の形態による注射針の縦断面図である。
【
図12】本発明の第5、第6の実施の形態を示す図で、
図12(a)は第5の実施の形態による注射針の縦断面図、
図12(b)は第6の実施の形態による注射針の縦断面図である。
【
図13】本発明の第7の実施の形態を示す図で、
図13(a)は蓋材により開口部を閉塞する前の注射針の縦断面図、
図13(b)は蓋材により開口部を閉塞した状態の注射針の縦断面図である。
【
図14】本発明の第8の実施の形態を示す図で、
図14(a)は蓋材により開口部を閉塞する前の注射針の縦断面図、
図14(b)は蓋材により開口部を閉塞した状態の注射針の縦断面図である。
【
図15】本発明の第9の実施の形態を示す図で、
図15(a)は開口部を閉塞する前の注射針の縦断面図、
図15(b)は蓋材の部位を溶着している状態の注射針の縦断面図、
図15(c)は蓋材により開口部を閉塞した状態の注射針の縦断面図である。
【
図16】本発明の第10の実施の形態を示す図で、
図16(a)は開口部を閉塞する前の注射針の縦断面図、
図16(b)は蓋材の部位を溶着している状態の注射針の縦断面図、
図16(c)は蓋材により開口部を閉塞した状態の注射針の縦断面図である。
【
図17】本発明の第11の実施の形態を示す図で、注射針の縦断面図である。
【
図18】本発明の第12の実施の形態を示す図で、
図18(a)は蓋材により開口部を閉塞する前の注射針の縦断面図、
図18(b)は蓋材により開口部を閉塞した状態の注射針の縦断面図である。
【
図19】本発明の第13の実施の形態を示す図で、注射針の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1乃至
図5を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように、注射装置1はシリンジ3とこのシリンジ3の先端に連結された注射針5とから構成されている。上記シリンジ3はシリンダ4とこのシリンダ4内に移動可能に収容された図示しないピストンとから構成されている。上記シリンダ4内には薬液7が吸引・保持されていて、上記ピストンを押圧操作することにより、上記シリンダ4内に吸引・保持されている薬液7が上記注射針5側に供給され注射が行われる。
【0012】
上記注射針5は、
図1乃至
図5に示すように、針基11と上記針基11に取り付けられた複数本(この実施の形態の場合には縦5列/横1列で合計5本)の針13とから構成されている。
図2、
図4、及び、
図5に示すように、上記針基11は針基本体15とこの針基本体15に形成された後述する開口部を閉塞する蓋材17とから構成されている。
【0013】
図3に示すように、上記針基本体15は
図3中上部に略中空円筒形状のシリンジ接続部19を備えていて、このシリンジ接続部19には中空部22が形成されている。この中空部22内には、
図1、
図5に示すように、上記シリンジ3のシリンダ4の先端部が挿し込まれる。
図5に示すように、上記中空部22は、
図5中上から下に向かって僅かに縮径されるようにテーパ状に形成されていて、一方、上記シリンダ4の先端部も先端に向かって僅かに縮径されるようにテーパ状に形成されている。それによって、シリンダ4は中空部22内に隙間なく挿し込まれる。
【0014】
上記シリンジ接続部19の先端外周部であって180°対向する両側にはルアーロック接続用凸部20、20が突設されている。上記シリンジ3の代わりにルアーロックを備えた図示しない別の種類のシリンジを使用する場合は、上記ルアーロック接続用凸部20、20を使用して、上記注射針5と上記図示しないシリンジを連結する。
【0015】
例えば、
図3(a)、
図4、
図5(a)に示すように、上記針基本体15の
図3(a)中下部には、複数個(この第1の実施の形態の場合は5個)の針接続部21が縦5列/横1列(
図3(a)中左右方向)に等間隔で配置されている。既に説明した針13はこれら針接続部21のそれぞれに1本ずつ設置されている。
【0016】
図3(a)に示すように、上記針基本体15の幅方向(
図3(a)中左右方向)両端には、凸部23、23が突設されている。これら凸部23、23は、図示しないキャップを被冠する際に係止部として機能する。
【0017】
図5に示すように、上記針基本体15内には薬液収容空間31が設けられているとともに、この薬液収容空間31と中空部22を連通する連通孔32が設けられている。上記シリンジ3側から供給された薬液7は上記連通孔32を介して上記薬液収容空間31内に供給されそこから全ての針13に供給される。
【0018】
図5(b)に示すように、上記針基本体15の背面側(
図5(b)中右側)には凹部33が設けられている。上記薬液収容空間31の上記針13の軸方向(
図5(b)中上下方向)に直交する方向(
図5(b)中右方向)、すなわち、上記凹部33の底部35には開口部37が設けられている。上記開口部37の大きさは上記凹部33の大きさよりも小さく設定されている。
【0019】
一方、上記蓋材17の先端側(
図5(b)中左側)には上記開口部37を閉塞するための閉塞用凸部39が形成されていて、先端部に向けて(
図5(b)中左側に向けて)先細の形状となっている。上記蓋材17を上記凹部33に係合させることにより、上記閉塞用凸部39が上記開口部33に挿し込まれる。上記蓋体17は上記開口部37に接着、溶着、圧入、等によって固定される。
尚、上記凹部33の縁部(
図5(b)中右側)に面取加工が施されていて拡径されており、上記蓋材17を上記凹部33に係合させ易くなっている。
【0020】
上記開口部33は針基本体15の成形時に薬液収容空間31を成形するためのスライド型(中子)を取り出す型取出口として機能する。又、上記薬液収容空間31内には薬液7が使用されることなく残留することになり、よって、その容積はできるだけ小さいことが望ましい。本実施の形態の場合には、
図5(a)に示すように、薬液収容空間31の高さは針13の突出高さに対して僅かに高く設定されていて、且つ、
図5(b)に示すように、薬液収容空間31の幅については針13の外径に対して僅かに大きく設定されている。その結果、全ての針13に薬液7を供給する機能を維持しつつ、上記薬液収容空間31の容積はできるだけ小さな大きさになっている。
尚、上記中空部22、連通孔32を成形するためのスライド型(中子)は、中空部22の上端開口側から取り出される。
【0021】
図5(b)に示すように、上記針基本体15には、上記薬液収容空間31に連絡され上記針接続部21の先端面(
図5(b)中下側の面)に開口された針取付用貫通孔41が形成されている。上記針13は上記針取付用貫通孔41に挿入・固定されている。上記針取付用貫通孔41の先端部(
図5(b)中下側)は先端側(
図5(b)中下側)に向けて徐々に拡径されていて、上記注射針5の製造時に先端側(
図5(b)中下側)から上記針13を上記針用貫通孔41に挿入し易くなっている。上記注射針5は接着剤等によって固定される。
【0022】
図5(b)に示すように、上記針基本体15の正面側(
図5(b)中左側)には凹部51が設けられている。この凹部51は成形時のヒケ防止のための肉盗みや減量化を目的として設けられている。
又、上記針13の先端には傾斜刃面13aが設けられていて、この実施の形態の場合には、5本の針13の傾斜刃面13aが全て同じ方向に向いている。
【0023】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
まず、シリンジ3を注射針5から取り外した状態とし、図示しないピストンを引いて上記シリンジ3のシリンダ4の先端側から薬液7を上記シリンダ4内に吸引・保持する。
次に、上記シリンジ3のシリンダ4の先端部を、上記注射針5のシリンジ接続部19の中空部22内に挿し込む。それによって、シリンジ3の先端に注射針5が一体に取り付けられる。
【0024】
次に、上記注射針5の全ての針13の先端を図示しない患者の皮膚に穿刺し、上記シリンジ3の図示しないピストンを押圧操作する。それによって、シリンダ4内の薬液7は上記シリンダ4内部から連通孔32を介して薬液収容空間31に供給され、薬液収容空間31から全ての上記針13に供給される。そして、全ての針13から図示しない患者の皮内から皮下に投与される。
【0025】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
まず、複数本の針13を備えたいわゆるマルチ針である注射針5の構成の簡略化と製造の容易化を図ることができる。
すなわち、本実施の形態による注射針5の針基11は、単一部品ではないが、針基本体15と蓋材17とから構成されていて、その構成は簡単である。特に、針基本体15は針基11の略全ての部分を備えた形状になっていて、殆ど単一部品といっても良い部品であり、それによって、蓋材17を小さくて、且つ、極めて単純な形状の部品とすることができ、総合的にみて構成は簡略化される。
又、針基本体15と蓋材17のそれぞれを、例えば、射出成形により成形すればよいので、その製造も容易である。
その際、針基本体15には開口部37が設けられているので、薬液収容空間31を成形するためのスライド型(中子)の取り出しも容易である。又、蓋材17は上記したように小さくて極めて単純な形状をなしているので、その製造も容易である。
【0026】
又、本実施の形態の場合には、最終的にデットスペースとなる薬液収容空間31を必要な機能を維持しつつできるだけ小さく設定しているので、注射されずに残留する薬液7を減量させることができる。
又、薬液収容空間31をできるだけ小さくしたことにより開口部37も小さなものとなっており、そのような小さな開口部37の閉塞は面倒であるが、本実施の形態の場合には、比較的大きな凹部33を設けその底部に上記開口部37を位置させ、一方、蓋材17については、基端側から先端の閉塞用凸部39に向けて先細の形状としたので、蓋材17の基端部を上記比較的大きな凹部33に係合させることにより、閉塞用凸部39を開口部37に容易に挿し込むことができ、開口部37の閉塞作業の容易化を図ることができる。
【0027】
尚、本実施の形態の注射針5は、5本の注射針13が縦5列/横1列に設けられた、いわゆる「マルチ針」であるので、一度で広範囲に注射することができ、注射に要する労力の軽減と時間の短縮を図ることができる。又、薬液7が注射される深さのばらつきをなくすことができ、薬液未投与部位を少なくすることができる。
【0028】
次に、
図6乃至
図10を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態の場合も、
図6に示すように、注射装置101はシリンジ3とこのシリンジ3のシリンダ4の先端に連結された注射針105とから構成されている。上記シリンダ4内には薬液7が吸引・保持されていて、上記シリンジ3の図示しないピストンを押圧操作することにより上記シリンダ4内の薬液7が上記注射針105側に供給される。
【0029】
上記注射針105は、
図6乃至
図10に示すように、針基111と上記針基111に取り付けられた複数本(この実施の形態の場合には縦3列/横3列で合計9本)の針113とから構成されている。
図7、
図9、
図10に示すように、上記針基111は針基本体115と針基本体の後述する開口部を閉塞する蓋材117とから構成されている。
【0030】
図8、
図10に示すように、上記針基本体115は図中上側に略中空円筒形状のシリンジ接続部119を備えている。上記シリンジ接続部119には、
図10に示すように、中空部122が形成されていて、この中空部122内に上記シリンジ3のシリンダ4の先端部が挿し込まれる。
図10に示すように、上記中空部122は、
図10中上から下に向かって僅かに縮径されるようにテーパ状に形成されていて、一方、上記シリンダ4の先端部も先端に向かって僅かに縮径されるようにテーパ状に形成されている。それによって、シリンダ4は中空部122内に隙間なく挿し込まれる。
【0031】
上記シリンジ接続部119の先端外周部であって180°対向する両側にはルアーロック接続用凸部120、120が突設されている。上記シリンジ3の代わりにルアーロックを備えた図示しない別の種類のシリンジを使用する場合は、上記ルアーロック接続用凸部120、120を使用して、上記注射針105と上記図示しないシリンジを連結する。
【0032】
図6乃至
図10に示すように、上記針基本体115の外周側には、凸部123が鍔状に設けられているとともに4個の凸部124、124、124、124が設けられている。上記4個の凸部124、124、124、124は図示しないキャップが被冠される際にキャップ側に設けられた係合凹部が係合する係合凸部として機能するとともに上記凸部124はキャップの先端が当接するストッパとして機能する。
【0033】
図10に示すように、上記針基本体115内には薬液収容空間131が設けられている。この薬液収容空間131も、前記第1の実施の形態の場合と同様に、必要な機能を維持しつつその容積はできるだけ小さなものに設定されている。上記針基本体115の正面側(
図10中左側)には凹部133が設けられている。上記薬液収容空間131の上記針13の軸方向(
図10中上下方向)に直交する方向(
図510中左方向)、すなわち、上記凹部133の底部側には開口部137が設けられている。上記開口部137の大きさは上記凹部133の大きさよりも小さく設定されている。
【0034】
一方、上記蓋材117は先端側(
図10右側)に向けて先細の形状となっている。上記蓋材117を上記凹部133に係合させることにより、蓋材117の先端部によって上記開口部137が閉塞される。開口部137に対してより大きな凹部133に蓋材117を係合させれば良いので、作業も容易である。
【0035】
図8、
図9、
図10に示すように、上記針基本体115の上記薬液収容空間131の下側(
図9(b)中紙面垂直方向手前側)には、針取付用貫通孔141が複数個(この実施の形態の場合には縦3列/横3列で合計9個)設けられている。既に説明した針113はこれら針取付用貫通孔141にそれぞれ取り付けられている。上記針取付用貫通孔141の先端部(
図10中下側)は先端側(
図10中下側)に向けて拡径されていて、上記注射針105の製造時に先端側(
図10中下側)から上記針13を上記針取付用貫通孔141に挿入し易くなっている。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
又、上記複数本の針113の先端には傾斜刃面113aが形成されていて、
図9(a)において外側に配置された8本の針113の傾斜刃面は放射方向内側を向いている。中心の針113の傾斜刃面1113aは任意の方向に向いている。
【0036】
この第2の実施の形態の場合も前記第1の実施の場合と同様の作用・効果を奏することができる。
又、針13は、縦3列/横3列で合計9本配置されているので、前記第1の実施の形態の場合以上に広い範囲に効果的に注射を行うことができる。
【0037】
次に、
図11(a)を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態の場合には、薬液収容空間31の開口部37が薬液収容空間31の幅広側(横断面の長方形の長辺側)に設けられていたが、この実施の形態の場合には、開口部33が薬液収容空間31の幅狭側(横断面の長方形の短辺側、
図11(a)中左端)に設けられている。又、前記第1の実施の形態の場合には凹部33を設けその底部に開口部37を設けていたが、この実施の形態ではそのような凹部は設けられていない。又、前記第1の実施の形態の場合には蓋材17として樹脂の成形品を使用していたが、この実施の形態の蓋材17は、例えば、樹脂製或いはアルミニウム製の粘着テープである。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0038】
この場合には、前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、開口部37の大きさが小さくなり、それに伴い、蓋材17の大きさも小さくて済む。又、蓋材17が樹脂の成形品ではなく樹脂製或いはアルミニウム製の粘着テープであるので製造が容易になるとともに組立作業も簡単になる。又、成形品としては一つで済む。
【0039】
次に、
図11(b)を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。前記第2の実施の形態の場合には、凹部133の底部に開口部137を設けていたが、この実施の形態の場合にはそのような凹部は設けられていない。又、前記第2の実施の形態の場合には、上記開口部137を閉塞する蓋材117として樹脂の成形品を使用していたが、この実施の形態の蓋材117は樹脂製或いはアルミニウム製の粘着テープである。
尚、その他の構成は前記第2の実施の形態と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0040】
この場合には、前記第2の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、蓋材17が樹脂の成形品ではなく樹脂製或いはアルミニウム製の粘着テープであるので製造が容易になるとともに組立作業も簡単になる。又、成形部品としては一つで済む。
【0041】
次に、
図12(a)を参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。前記第3の実施の形態の場合には、蓋材17として樹脂製或いはアルミニウム製の粘着テープを使用したが、この実施の形態の場合には、接着剤を使用している。
尚、その他の構成は前記第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0042】
よって、前記第3の実施の形態の場合と略同様の効果を奏することができる。
【0043】
次に、
図12(b)を参照して本発明の第6の実施の形態を説明する。前記第4の実施の形態の場合には、蓋材117として樹脂製或いはアルミニウム製の粘着テープを使用したが、この実施の形態の場合には、接着剤を使用している。
尚、その他の構成は前記第4の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0044】
よって、前記第4の実施の形態の場合と略同様の効果を奏することができる。
【0045】
次に、
図13を参照して本発明の第7の実施の形態を説明する。この実施の形態の場合には、
図13(a)に示すように、蓋材17を針基本体15に一体に設けておく。そして、
図13(b)に示すように、薬液収容空間33内のスライド型を引き抜いた後屈曲させるとともに溶着或いは接着させて、開口部37を閉塞する。
尚、その他の構成は前記第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0046】
よって、前記第3の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。又、蓋材17を別の成形品やテープ、接着剤等を用意することはないので製造が容易であり、且つ、組立作業も簡単である。
【0047】
次に、
図14を参照して本発明の第8の実施の形態を説明する。この実施の形態の場合には、
図14(a)に示すように、蓋材117を針基本体115に一体に設けておく。そして、
図14(b)に示すように、薬液収容空間133内のスライド型を引き抜いた後屈曲させるとともに溶着或いは接着させて、開口部137を閉塞する。
尚、その他の構成は前記第4の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0048】
よって、前記第4の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。又、蓋材17を別の成形品として容易することはないので製造が容易であり、且つ、組立作業も簡単である。
【0049】
次に、
図15を参照して本発明の第9の実施の形態を説明する。この実施の形態の場合には、まず、
図15(a)に示すように、針基本体15の開口部37が形成されている部分が突き出ている。次に、
図15(b)に示すように、例えば、超音波溶着器201によって上記突き出た部分を溶着する。それによって、
図15(c)に示すように、その部分が蓋材17となり開口部37が閉塞される。
尚、その他の構成は前記第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0050】
よって、前記第3の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。又、蓋材17を別の成形品として容易することはないので製造が容易であり、且つ、組立作業も簡単である。
【0051】
次に、
図16を参照して本発明の第10の実施の形態を説明する。この実施の形態の場合には、まず、
図16(a)に示すように、針基本体115の開口部137が形成されている部分が突き出ている。次に、
図16(b)に示すように、例えば、超音波溶着器201によって上記突き出た部分を溶着する。それによって、
図16(c)に示すように、その部分が蓋材117となり、開口部137が閉塞される。
尚、その他の構成は前記第4の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0052】
よって、前記第4の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。又、蓋材117を別の成形品として容易することはないので製造が容易であり、且つ、組立作業も簡単である。
【0053】
次に、
図17を参照して本発明の第11の実施の形態を説明する。前記第3の実施の形態の場合には、薬液収容空間31の片側に開口を設け蓋材17によって閉塞するようにしたが、この第11の実施の形態の場合には、両側に開口を設けて蓋材17、17によって閉塞するようにしている。
尚、その他の構成は前記第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
この場合には、薬液収容空間31を成形するための中子を両側の開口から挿入することができるので、中子自体を薄肉或いは小径にすることができ、それによって、薬液収容空間31を小さくしてデッドスペースをさらに少なくすることができる。
【0054】
次に、
図18を参照して本発明の第12の実施の形態を説明する。前記第7の実施の形態の場合には、蓋材17を接着或いは溶着して開口部37を閉塞するようにしたが、この第12の実施の形態の場合には、蓋材17に突起151を設け、この突起151を開口部37に圧入するようにしている。
尚、その他の構成は前記第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
よって、前記第7の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0055】
次に、
図19を参照して本発明の第13の実施の形態を説明する。前記第2の実施の形態において、薬液収容空間131を形成するために、図中仮想線で示すような二つの中子161、161を使用することが考えられる。中子161はE字形状をなしていて、図中斜線で示す部位には成形時に樹脂が入り込むことになる。
尚、その他の構成は前期第2の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
このような構成でも同様の効果を奏することができ、デッドスペースを効果的に少なくすることができる。
【0056】
尚、本発明は前記第1乃至第13の実施の形態に限定されない。
まず、前記第1乃至第13の実施の形態の場合には、針基を針基本体と蓋材とから構成したが、それに限定されるものではなく、様々な二部品構造が想定される。例えば、縦に二つ割りにしたような構造も考えられる。
又、前記第1乃至第13の実施の形態の場合には、針が、縦5列/横1列で合計5本、縦3列/横3列で合計9本の場合を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、針の本数、配置については様々な場合が考えられる。
又、針基本体や蓋材の形状、大きさについても様々な場合が考えられる。
又、前記第1乃至第13の実施の形態においては、針の傾斜刃面の向きを規則的に設けたが、不規則に設ける場合もある。
又、前記第1乃至第13の実施の形態の場合には、薬液収容空間の開口の数を1、2としたが、3個以上の場合も考えられる。
又、針の配置と中子の形状の組み合わせで適宜デッドスペースを低減する形態をとることができる。
又、第7、8、12の実施の形態の場合には、一体成形された蓋材を折り曲げて開口部を塞ぐようにしたが、本体の任意の場所に薄肉部を介するなどして一体に蓋材を設けて、それを切断又はちぎるなどして開口部に接着又は溶着、圧入するなどしても良い。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えば、皮膚に対する注射に用いる注射針と注射装置に係り、特に、複数本の針を備えていて、構成が簡単で容易に製造することができるように工夫したものに関し、例えば、美容施術に用いる注射針と注射装置に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 注射針
11 針基
13 針
15 針基本体
17 蓋材
31 薬液収容空間
33 凹部
37 開口部