(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】改善された超高速冷却システムおよび使用の方法
(51)【国際特許分類】
F25D 3/10 20060101AFI20240701BHJP
F25B 19/02 20060101ALI20240701BHJP
A01N 1/02 20060101ALI20240701BHJP
A01N 3/00 20060101ALI20240701BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20240701BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
F25D3/10 C
F25B19/02
A01N1/02
A01N3/00
B05B1/04
B05B1/14 Z
(21)【出願番号】P 2021504138
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 US2019026162
(87)【国際公開番号】W WO2019195791
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-04-15
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520385102
【氏名又は名称】シュウ・ハン
(73)【特許権者】
【識別番号】520385113
【氏名又は名称】ヘンリー・ダブリュー・ホワイト
(73)【特許権者】
【識別番号】520385124
【氏名又は名称】ピーター・コウレン
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シュウ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ダブリュー・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・コウレン
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0255313(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0070401(US,A1)
【文献】米国特許第05105627(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366229(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0256622(US,A1)
【文献】国際公開第2017/041980(WO,A1)
【文献】米国特許第04535838(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0069119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 3/10
F25B 19/02
A01N 1/02
A01N 3/00
B05B 1/04
B05B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置であって、
マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットと、
サンプルホルダーシステムと、
液体クライオジェンの供給源および蒸気クライオジェンの供給源と
を含み、
前記マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、
マニホールドと、
複数の入口ポートおよび複数の退出ポートを形成している、複数の内部デバイスブレードユニットと、
複数の外部デバイスブレードユニットと
を含み、
前記冷却装置は、複数の液体クライオジェンジェットおよび複数の蒸気クライオジェンジェットを送達するように構成されており、
前記液体クライオジェンジェットの少なくとも1つが、第1側面に
位置する第1蒸気クライオジェンジェット
と、
前記第1側面に対向する第2側面に
位置する第2蒸気クライオジェンジェット
とによって
挟み込まれる、
冷却装置。
【請求項2】
前記液体クライオジェンジェットおよび前記蒸気クライオジェンジェットは、位置的にインターレースされている、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記内部デバイスブレードユニットおよび外部デバイスブレードユニットは、ステンレス鋼、真鍮、銅、またはアルミニウムから構成されている、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記サンプルホルダーシステムは、冷却を受けることとなる材料を含む、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記材料は、複数の質量および組成から構成されている、
請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記装置は、前記サンプルホルダーシステムの中に複数のサンプルホルダーを含む、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記サンプルホルダーシステムは、サンプルストローユニット、サンプルボタンユニット、サンプルストローキャリッジユニット、サンプルボタンキャリッジユニット、サンプルストローおよびボタンキャリッジユニットの組み合わせ、ならびにサンプルホルダーキャリッジユニットを含む、サンプルを冷却するためのユニットのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
1つまたは複数の薄い生体材料組織サンプルの超高速冷却の目的のために、および、サンプル純度を維持するために、
前記サンプルボタンユニットは、閉じたコンテナを含み、
前記閉じたコンテナは、除去可能な蓋部と、冷却の温度範囲にわたって高い熱伝導率を有する少なくとも1つの薄いウィンドウとを有しており、
前記生体材料組織サンプルは、前記薄いウィンドウと密接に熱的に接触した状態で維持され得る、
請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
生体材料サンプルの1つまたは複数の小さいユニットの超高速冷却の目的のために、および、サンプル純度を維持するために、
前記サンプルストローユニットは、閉じたコンテナを含み、
前記閉じたコンテナは、除去可能なエンドキャップと、冷却の温度範囲にわたって高い熱伝導率を有する少なくとも1つの薄いウィンドウとを有しており、
生体材料サンプルの前記小さいユニットは、前記薄いウィンドウと密接に熱的に接触した状態で維持され得る、
請求項7に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記装置は、複数のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを含む、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項1に記載の冷却装置を利用する方法によって材料を冷却するステップを含む、
冷却の方法。
【請求項12】
材料を冷却する前記方法は、
冷却されることとなる前記材料を前記サンプルホルダーシステムの中へロードするステップと、
前記蒸気クライオジェンのための排気システムを活性化させるステップと、
前記マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットによって発生させられる複数の液体クライオジェンジェットおよび複数の蒸気クライオジェンジェットの下に前記サンプルホルダーシステムを挿入するステップと、
前記材料を冷却するステップと
を含む、
請求項11に記載の冷却の方法。
【請求項13】
前記冷却装置から冷却された前記サンプルホルダーシステムを除去するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
冷却された前記サンプルホルダーシステムを保管するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
それぞれのロードされた個々のサンプルホルダーをシールするステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
冷却の速度は、前記材料をガラス化するのに十分になっている、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
冷却の速度は、前記材料を部分的にガラス化するのに十分になっている、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
冷却の速度は、前記材料を凍結保存するのに十分になっている、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記材料は、凍結保護剤の非存在下で凍結保存される、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記材料は、生体材料である、
請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記生体材料は、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織を含む群から選択される、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記生体材料は、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および、少なくとも1つの凍結保護剤(CPA)の存在下で生物工学によって作られた組織を含む群から選択される、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記生体材料の冷却速度は、約10
3K/minから約10
6K/minである、
請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記生体材料の面積は、約10cmx10cmである、
請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記生体材料の面積は、約10
-4cm
2から約1000cm
2である、
請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記材料は、約1ナノグラムから約10グラムの間の質量を有している、
請求項11に記載の方法。
【請求項27】
前記材料は、無機材料である、
請求項11に記載の方法。
【請求項28】
前記冷却の方法は、診断細胞学または組織固定において使用するためのものである、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2018年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/652,986号の優先権を主張し、それは、具体的に、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
政府の出資
[0002]本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金1R43OD020163-01および1R43OD026279-01A1の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
[0003]本開示は、概して、材料の冷却に関する。本開示は、具体的には、生体材料の超高速冷却に関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]改善された超高速冷却システムに関して大変興味深いのは、大量の細胞、細胞培養、組織、および臓器などのような、生体材料の凍結保存効率の改善におけるその使用に関する適用である。CRISPRおよび遺伝子ライブラリー開発などのような現代の遺伝子工学技術は、また、凍結保存手順から極端に高いスループットを必要とする天文学的な数の細胞株を発生させている。現代の組織工学および組織移植技術は、実用的で効率的な凍結保存方法を必要とする膨大な数の人工組織およびドナー組織を発生させている。
【0005】
[0005]従来の凍結保存技術は、もともと、細胞浸透性のまたは非浸透性の凍結保護剤を利用することによって小さい体積の懸濁液を凍結させることから、前世紀の半ばに開発された。現在まで、このゆっくりと発展している技術は、すでに多数の技術的および実用的な問題に直面しており、それは、以下のものを結果として生じさせる:i)凍結保護剤の供給源および品質に起因する規制上の懸念;ii)複雑で時間のかかる手順;iii)細胞および組織の損傷および/または機能性の喪失もしくは変化;ならびに、iv)異なる細胞タイプまたはサンプルにわたる手順または結果の変動。これらの重大な課題を克服するために、任意の凍結保護剤媒体の最小の使用を必要とするか、または、任意の凍結保護剤媒体の使用を必要とせず、生体材料の中の水成分のガラス化もしくは部分的なガラス化を実現する、生体材料の凍結保存のための改善された超高速冷却システムおよび使用の方法に対する必要性が存在している。超高速冷却の間の生体材料の保護のために、閉じたシステムとしてサンプルをカプセル化し、高い冷却速度を維持し、また、冷却プロセスの間のクライオジェンからの機械的損傷および汚染に対するサンプルの保護を提供する、サンプルホルダーに対する必要性が存在している。
【0006】
[0006]超高速冷却速度を実現するための実用的なアプローチは、サンプルを冷却するために極低温液体(たとえば、液体窒素またはヘリウム)を使用することである。静的な極低温液体(たとえば、液体窒素またはヘリウム)のコンテナの中へサンプルを直接的に突っ込むことによって生体材料を冷却するための従来のアプローチは、液体の蒸発を不可避的に発生させ、いわゆるプール沸騰プロセスとして、サンプル表面の間に蒸気層を形成させる。蒸気層の不十分な熱伝導率に起因して、サンプル表面からの熱流束は、著しく低減され、手順は、一般的に、冷却(すなわち、ガラス化手順)の間の任意の氷の形成を防止するために、極めて高い濃度(典型的に、>50%v/v)の凍結保護剤を必要とする。蒸発していない極低温液体フローを使用することは、潜在的に、液体とサンプル表面との間のガス層を除去することによって、冷却速度を著しく増加させることが可能であり、強制対流による熱流束を増加させることが可能である。穴加工、金属材料加工(たとえば、切削)、または他の用途のために典型的に使用される、高圧の蒸発していない極低温液体ジェットデバイスは、液体ジェットの非常に高い圧力(>34.48MPa(5,000psi))および小さい対象エリアに起因して、生体材料の冷却に採用されることは技術的に非実用的である(たとえば、[5、6、7]に説明されているNitrojet(登録商標)システム)。2相同軸のクライオジェンジェット技術[8、9](すなわち、蒸発を防止するために同軸の円錐形状のクライオジェンガスジェットによって保護される円錐形状の極低温液体ジェット)(たとえば、穴加工または他の加工プロセスの間の金属材料の冷却のために使用されるIceFly(登録商標)システム)は、高い圧力を低減させ、液体蒸発を防止するが、対象のエリアは、円錐形状の液体窒素ジェットの形状を維持するための手順に起因して非常に制限されている。
【0007】
[0007]現在、生体材料サンプル表面と極低温液体フローとの直接的な接触なしに、これらのジェット技術によって冷却されることとなる生体材料のための保持デバイス設計も存在しておらず、それは、機械的な衝撃によって発生させられる汚染および組織の損傷の潜在的な問題を引き起こす。臨床的使用(たとえば、組織移植)および生物医学研究(たとえば、組織および細胞の凍結保存、診断細胞学、組織または細胞の凍結固定)の両方のための生体材料の超高速冷却に対する必要性が存在している。大きいサンプル表面をカバーするために複数の蒸発していない液体フローを使用する冷却システム、ならびに、サンプルを保持し、冷却の間の蒸発していない極低温液体フローおよびそれらの蒸気とサンプルとの直接的な接触を防止する、閉じた保護システムが必要とされている。また、生体材料サンプルおよびクライオジェンジェットを分離し、サンプルとジェットとの間の高い熱流束を維持する高い熱伝導性のサンプルカバーも必要とされている。
【0008】
[0008]超高速冷却速度を実現するために、大量の蒸発していない液体クライオジェンを直接的にサンプル表面の上に送達すると同時に、特に、冷却されている表面に近接した場所において、送達および冷却のプロセスの間の液体クライオジェンの蒸発を防止するかまたは大きく低減させる、改善された超高速冷却システムを有することが有利であることとなる。大面積、小さい厚さ、および大きい質量(すなわち、面積は、約1cm2、好ましくは、約1000cm2以上になっており、重要なサンプル部分(すなわち、凍結保存の標的とされるサンプル部分)の厚さが約10マイクロメートル(μm)、好ましくは、約100μm以下になった状態になっており、質量は、約1グラム(gm)、好ましくは、約10gm以上になっている)を含む特性の組み合わせを有するサンプルとともに使用するための改善された超高速冷却システムを使用することが有利であることとなる。大きい表面積を有するサンプルの超高速冷却のために、大面積にわたって均一な超高速冷却を提供する冷却システムに対する必要性が存在している。そのようなシステムは、材料の加工および保存における多くの用途において使用され得る(それに限定されないが、生体材料の凍結保存、生体材料の凍結固定、および、また、他の材料の合成および加工を含む)。生体材料の保存のために、そのようなシステムは、それらの培養媒体または保持媒体の使用の有無にかかわらず(少量のそれらの培養媒体または保持媒体を含む)、多くの用途において使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]本開示の実施形態は、冷却装置であって、冷却装置は、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットと、サンプルホルダーシステムとを含み、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、マニホールドと;複数の内部デバイスブレードユニットと;複数の外部デバイスブレードユニットとを含む、冷却装置である。ある実施形態では、冷却装置は、液体クライオジェンの供給源と、蒸気クライオジェンの供給源とをさらに含む。ある実施形態では、複数の内部デバイスブレードユニットは、複数の入口ポートを形成している。ある実施形態では、複数の内部デバイスブレードユニットは、複数の退出ポートを形成している。ある実施形態では、冷却装置は、複数の液体クライオジェンジェットおよび複数の蒸気クライオジェンジェットをさらに含む。ある実施形態では、液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットは、位置的にインターレースされており、それぞれの液体クライオジェンジェットがそれぞれの側を蒸気クライオジェンジェットによって隣接されるようになっている。ある実施形態では、内部デバイスブレードユニットおよび外部デバイスブレードユニットは、ステンレス鋼、真鍮、銅、またはアルミニウムから構成されている。ある実施形態では、サンプルホルダーシステムは、冷却を受けることとなる材料を含む。ある実施形態では、材料は、複数の質量および組成から構成されている。ある実施形態では、装置は、サンプルホルダーシステムの中に複数のサンプルホルダーを含む。ある実施形態では、サンプルホルダーシステムは、サンプルストローユニット、サンプルボタンユニット、サンプルストローキャリッジユニット、サンプルボタンキャリッジユニット、組み合わせサンプルストローおよびボタンキャリッジユニット、組み合わせサンプルストローおよびボタンキャリッジユニット、ならびにサンプルホルダーキャリッジユニットを含む、サンプルを冷却するためのユニットのうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、1つまたは複数の薄い生体材料組織サンプルの超高速冷却の目的のために、および、サンプル純度を維持するために、サンプルボタンユニットは、閉じたコンテナを含み、閉じたコンテナは、除去可能な蓋部と、冷却の温度範囲にわたって高い熱伝導率を有する少なくとも1つの薄いウィンドウとを有しており、上記生体材料組織サンプルは、薄いウィンドウと密接に熱的に接触した状態で維持され得る。ある実施形態では、生体材料サンプルの1つまたは複数の小さいユニットの超高速冷却の目的のために、および、サンプル純度を維持するために、サンプルストローユニットは、閉じたコンテナを含み、閉じたコンテナは、除去可能なエンドキャップと、冷却の温度範囲にわたって高い熱伝導率を有する少なくとも1つの薄いウィンドウとを有しており、生体材料サンプルの上記小さいユニットは、上記薄いウィンドウと密接に熱的に接触した状態で維持され得る。ある実施形態では、装置は、複数のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを含む。
【0010】
[0010]本開示の実施形態は、上記の冷却装置を利用する方法によって材料を冷却するステップを含む、冷却の方法である。ある実施形態では、材料を冷却する方法は、冷却されることとなる材料をサンプルホルダーシステムの中へロードするステップと;蒸気クライオジェンのための排気システムを活性化させるステップと;マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットによって発生させられる複数の液体クライオジェンジェットおよび複数の蒸気クライオジェンジェットの下にサンプルホルダーシステムを挿入するステップと;材料を冷却するステップとを含む。ある実施形態では、サンプルホルダーシステムは、冷却後に除去される。ある実施形態では、冷却された材料は、サンプルホルダーシステムから除去される。ある実施形態では、それぞれのロードされた個々のサンプルホルダーは、シールされる。ある実施形態では、方法は、それぞれのロードされた個々のサンプルホルダーをシールするステップをさらに含む。ある実施形態では、冷却の速度は、材料をガラス化するのに十分になっている。ある実施形態では、冷却の速度は、材料を部分的にガラス化するのに十分になっている。ある実施形態では、冷却の速度は、材料を凍結保存するのに十分になっている。ある実施形態では、材料は、凍結保護剤の非存在下で凍結保存される。ある実施形態では、材料は、生体材料である。ある実施形態では、生体材料は、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織を含む群から選択される。ある実施形態では、生体材料は、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および、少なくとも1つの凍結保護剤(CPA)の存在下で生物工学によって作られた組織を含む群から選択される。ある実施形態では、生体材料の冷却速度は、約103K/minから約106K/minである。ある実施形態では、生体材料の面積は、約10cmx10cmである。ある実施形態では、生体材料の面積は、約10-4cm2から約1000cm2である。ある実施形態では、材料は、約1ナノグラムから約10グラムの間の質量を有している。ある実施形態では、材料は、無機材料である。ある実施形態では、冷却の方法は、診断細胞学または組織固定において使用するためのものである。
【0011】
[0011]先述のものは、以下に続く詳細な説明がより良好に理解され得るように、本開示の特徴をかなり広く概説してきた。本開示の追加的な特徴および利点は、以降で説明されることとなり、それは、特許請求の範囲の対象を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012]本開示の上記記載のおよび他の強化および目的が取得されるようにするために、上記に簡潔に説明されている本開示のより具体的な説明が、添付の図面に図示されているその特定の実施形態を参照することによって提供されることとなる。これらの図面は、本開示の単なる典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、その範囲を限定するように考えられるべきではないということを理解して、本開示は、添付の図面の使用を通して、追加的な具体性および詳細とともに説明されることとなる。
【
図1】[0013]超高速冷却システムの概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図2】[0014]20個の内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを有する実施形態に関する超高速冷却システムのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットによって発生させられる液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットの場所および形状を図示する斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図3】[0015]10個の液体クライオジェンジェットおよび11個の蒸気クライオジェンジェットのための視認可能な退出アパーチャーを備えた、デバイスブレードユニットのスタックから分離されているマニホールドを示す斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図4】[0016]10個の液体クライオジェンジェットおよび11個の蒸気クライオジェンジェットのための視認可能な進入アパーチャーを備えた、デバイスブレードユニットのスタックから分離されているマニホールドを示す斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図5】[0017]スタック可能なデバイスブレードユニットによって形成されている10個の液体クライオジェンジェットおよび11個の蒸気クライオジェンジェットのための進入アパーチャーを示す、複数の内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとの拡大図を示す斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図6】[0018]その視認可能な側において、蒸気クライオジェンジェットチャネルの半分のラインドパターン(lined pattern)形状を示す、ブレードの斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図7】[0019]その視認可能な側において、液体クライオジェンジェットチャネルの半分のラインドパターン形状を示す、ブレードの斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図8】[0020]10個の液体クライオジェンジェットおよび11個の蒸気クライオジェンジェットを形成するためのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを通る液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンに関する経路を示す斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図9】[0021]複数のサンプルストローユニットを含有することができるサンプルストローキャリッジリザーバーユニットの概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図10】[0022]サンプルストローユニットを示す概略図である。サンプルストローの上側部分は、薄い上側層を含有し、ストローの内部の上に位置付けされているサンプルから薄い上側層に衝突する液体クライオジェンへの高い熱伝達率を促進させる。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図11】[0023]液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェン供給チューブ、蒸気クライオジェンシュラウド、ならびに、複数のサンプルストローユニットを含有することができる除去可能なサンプルストローキャリッジリザーバーユニットを備えたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを示す斜視図面である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図12A】[0024]ドナー組織またはバイオ人工組織とともに使用するためのサンプルボタンユニットを示す概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図12B】[0024]ドナー組織またはバイオ人工組織とともに使用するためのサンプルボタンユニットを示す概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図12C】[0024]ドナー組織またはバイオ人工組織とともに使用するためのサンプルボタンユニットを示す概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図13A】[0025]細胞単層または複数の細胞層の組織とともに使用するためのサンプルボタンユニットを示す概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図13B】[0025]細胞単層または複数の細胞層の組織とともに使用するためのサンプルボタンユニットを示す概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図13C】[0025]細胞単層または複数の細胞層の組織とともに使用するためのサンプルボタンユニットを示す概略図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図14A】[0026]2相ブレードジェットアッセンブリユニットのマニホールドのための1つの作業サンプルを示す図である。1つの作業サンプルは、2つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを含有しており、2つの不可視のガス窒素ジェットの間に1つの可視の液体窒素ジェットを発生させる。
【
図14B】[0026]2相ブレードジェットアッセンブリユニットのマニホールドのための1つの作業サンプルを示す図である。1つの作業サンプルは、2つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを含有しており、2つの不可視のガス窒素ジェットの間に1つの可視の液体窒素ジェットを発生させる。
【
図14C】[0026]2相ブレードジェットアッセンブリユニットのマニホールドのための1つの作業サンプルを示す図である。別の作業サンプルは、6つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを含有しており、4つの不可視のガス窒素ジェットによって分離されている3つの可視の液体窒素ジェットを発生させる。液体クライオジェンブレードジェットアッセンブリおよび蒸気クライオジェンブレードジェットアッセンブリは、位置的にインターレースされており、それぞれの液体クライオジェンブレードジェットが、それぞれの側を極めて近接して蒸気クライオジェンブレードジェットによって隣接されるようになっている。
【
図14D】[0026]2相ブレードジェットアッセンブリユニットのマニホールドのための1つの作業サンプルを示す図である。別の作業サンプルは、6つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを含有しており、4つの不可視のガス窒素ジェットによって分離されている3つの可視の液体窒素ジェットを発生させる。液体クライオジェンブレードジェットアッセンブリおよび蒸気クライオジェンブレードジェットアッセンブリは、位置的にインターレースされており、それぞれの液体クライオジェンブレードジェットが、それぞれの側を極めて近接して蒸気クライオジェンブレードジェットによって隣接されるようになっている。
【
図15A】[0027]動作の間のいくつかの段階における完全に動作中の超高速冷却デバイスを示す図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図15B】[0027]動作の間のいくつかの段階における完全に動作中の超高速冷却デバイスを示す図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図15C】[0027]動作の間のいくつかの段階における完全に動作中の超高速冷却デバイスを示す図である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【
図16】[0028]単一の液体窒素ジェットおよび2つの蒸気窒素ジェットを含有する超高速冷却システムを使用して、周囲の室温(公称25℃)から公称-196℃へ冷却されるプロセスの間の小さい200μm直径の熱電対プローブに関する温度対時間のグラフ表示である。
【
図17】[0029]超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットのストリームの下への設置によって、サンプルボタンユニットの中に保持されているタマネギ組織サンプルを公称-196℃に冷却し、30秒にわたって温水(公称37℃)の中で解凍し、染色し、写真を撮ることに続いて、顕微鏡を通して撮影されたタマネギ組織サンプルの最上部の層(すなわち、表皮細胞層)の光学的な画像である。表皮細胞層は、薄い20ミクロン厚さのステンレス鋼フィルム(液体窒素ジェットおよび2つの蒸気窒素ジェットがその上に衝突した)と熱的に接触していた。
【
図18】[0030]オープンバス液体窒素の中へタマネギ組織サンプルを浸すことによって公称-196℃にタマネギ組織サンプルを徐冷し、30秒にわたって温水(公称37℃)の中で解凍し、染色し、写真を撮ることに続いて、顕微鏡を通して撮影されたタマネギ組織サンプルの最上部の層(すなわち、表皮細胞層)の光学的な画像である。
【
図19A】[0031]超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットと2つの蒸気ジェットとのストリームの中への設置によって、サンプルボタンユニットの中に保持されている角膜組織を公称-196℃に冷却し、温水ジェット(公称37℃)の下で解凍することに続いて、顕微鏡を通して撮影された、19A.DMSO無しの組織の解凍後の角膜内皮に対して直接的に微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を示す図である。
【
図19B】[0031]超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットと2つの蒸気ジェットとのストリームの中への設置によって、サンプルボタンユニットの中に保持されている角膜組織を公称-196℃に冷却し、温水ジェット(公称37℃)の下で解凍することに続いて、顕微鏡を通して撮影された、19B.10%DMSOによって処理された組織の解凍後の角膜内皮に対して直接的に微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を示す図である。
【
図19C】[0031]超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットと2つの蒸気ジェットとのストリームの中への設置によって、サンプルボタンユニットの中に保持されている角膜組織を公称-196℃に冷却し、温水ジェット(公称37℃)の下で解凍することに続いて、顕微鏡を通して撮影された、19C.20%DMSOによって処理された組織の解凍後の角膜内皮に対して直接的に微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を示す図である。
【
図19D】[0031]超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットと2つの蒸気ジェットとのストリームの中への設置によって、サンプルボタンユニットの中に保持されている角膜組織を公称-196℃に冷却し、温水ジェット(公称37℃)の下で解凍することに続いて、顕微鏡を通して撮影された、19A.DMSO無しの組織;19B.10%DMSOによって処理された組織;19C.20%DMSOによって処理された組織の解凍後の角膜内皮に対して直接的に微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を示す図である。液体ジェットおよび蒸気ジェットのそれぞれは、ブレードの形状になっていた。凍結保存前の新鮮な組織(それは、それぞれの組織に関する基準または100%として使用された)からのものと比較された解凍後の内皮細胞カウントは、3つの処理に関して19Dに実証されている。
【
図19E】[0031]超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットと2つの蒸気ジェットとのストリームの中への設置によって、サンプルボタンユニットの中に保持されている角膜組織を公称-196℃に冷却し、温水ジェット(公称37℃)の下で解凍することに続いて、顕微鏡を通して撮影された、19A.DMSO無しの組織;19B.10%DMSOによって処理された組織;19C.20%DMSOによって処理された組織の解凍後の角膜内皮に対して直接的に微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を示す図である。液体ジェットおよび蒸気ジェットのそれぞれは、ブレードの形状になっていた。解凍後の内皮細胞の健康状態(微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を使用するサロゲートマーカーとしての細胞真円度の査定に基づく)は、19Eの中の新鮮な組織のものと比較された。
【
図20】[0032]10μlのマウスの脂肪由来の間葉系幹細胞懸濁液(20A)および10μlの人間の脂肪由来の間葉系幹細胞懸濁液(20B)について、自動細胞カウンター(Countess II、Invitrogen)を使用した標準的なトリパンブルー排除法の解凍後の生死判別試験結果の2つの例を示す図である。細胞懸濁液サンプルは、サンプルボタンユニットの中に保持され、超高速冷却システムによって発生させられる3つの液体窒素ジェットと4つの液体蒸気ジェットとのストリームの中への設置によって公称-196℃に冷却され、温水ジェット(公称37℃)の下で解凍した。液体ジェットおよび蒸気ジェットのそれぞれは、ブレードの形状になっていた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0033]本明細書で示されている詳細は、例としてのものであり、単に本開示の好適な実施形態の例示目的の議論の目的のためのものに過ぎず、また、最も有用であると考えられるもの、および、本開示のさまざまな実施形態の原理および概念的態様の容易に理解される説明を提供するために提示されている。この点において、本開示の基本的な理解のために必要なものよりも詳細に、本開示の構造的な詳細を示すための試みは行われておらず、図面とともに行われる説明が、どのように本開示のいくつかの形態が実際に具現化され得るかということを当業者に明らかにする。
【0014】
[0034]以下の定義および説明は、以下の例の中で明確にはっきりと修正されない場合には、または、その意味の適用が任意の構築を無意味または本質的に無意味にするときには、任意の将来の構築において制御するものにあることが意味および意図されている。用語の構築がそれを無意味または本質的に無意味にする場合、定義は、Webster’s Dictionary 3rd Editionから取られるべきである。
【0015】
[0035]生体材料の凍結保存のプロセスは、非常に少ない凍結保存媒体の使用を伴うか、または、さらにより好ましくは、凍結保存媒体の使用を伴わない、超高速冷却技法の使用を必要とする。加えて、大きいスループットを伴う生体材料の凍結保存は、大きい表面積を有する生体材料を均一に冷却することができる超高速冷却システムの使用を必要とする。生体材料のガラス化を作り出すために、そのような超高速システムに関して必要とされる冷却速度は、約106K/minである。超高速冷却速度を実現するために、サンプル生体材料、または、冷却されることとなる生体材料の少なくとも重要な部分は、薄くなっていなければならない。たとえば、厚さが約50ミクロン以下の層が、材料からクライオジェンへの高速熱伝達を促進させるために好適である。別の例として、0.1mlから1mlの範囲の中のサンプル体積が必要とされる場合には、100cm2の近くまたはそれを上回るサンプル面積を有することが望ましい。そうであるので、所望の冷却速度のための装置および方法は、100cm2の近くまたはそれを上回る拡張された面積を冷却することができるべきである。
【0016】
[0036]超高速冷却を実現するために、蒸発していない液体クライオジェンを表面積の上へ送達することが望ましい。その理由は、気泡が、送達プロセスの間の蒸発に起因して液体クライオジェンフローの中に形成する可能性があり、サンプル表面からの全熱流束を著しく低減させ、したがって、冷却速度を著しく低減させるからである。ある実施形態では、液体クライオジェンの送達の間の蒸発を減少させるかまたは防止するために、事前冷却された蒸気クライオジェンフロー層によって液体クライオジェンフロー表面をカバーし、液体クライオジェンフローを本質的に取り囲み、すなわち、2相フロー方法の使用によって、環境から隔離することが望ましい。大きい表面積を有するサンプルに関して、必要とされる大量の液体クライオジェンの蒸発を低減させるかまたは防止するために、および、表面の上での均一な冷却速度を実現するために、液体クライオジェンのフローを複数のセクションへと分割することが望ましい。液体クライオジェンフローのそれぞれのセクションは、好ましくは、長くて幅の狭いブレード形状になっており、すなわち、ブレードジェットになっており、液体クライオジェンブレードジェットのそれぞれの両方の表面は、極めて近接して位置付けされている蒸気クライオジェンブレードジェットによって取り囲まれてカバーされている。要するに、構造的に、超高速冷却デバイスのクライオジェン送達部分は、2相および複数のジェットブレードシステムの形態になっているべきであり、液体クライオジェンブレードジェットのアレイが、蒸気クライオジェンブレードジェットのアレイによって分離された状態になっている。2つの外部蒸気クライオジェンブレードジェットを除いて、それぞれの液体または蒸気クライオジェンブレードジェットは、
図1に示されているように、他方の相の2つのクライオジェンブレードジェットの間に挟まれている。外部クライオジェンブレードジェットは、いずれかの相のものであることが可能であるが、好ましくは、蒸気クライオジェンブレードジェットである。
【0017】
[0037]壊れやすいサンプル材料(たとえば、生体材料など)の保護のために、超高速冷却プロセスの間に、サンプルホルダーを有することが望ましく、サンプルホルダーは、サンプルをカプセル化しており、サンプルホルダーは、冷却プロセスの間の損傷に対するサンプルの保護のために、衝突するクライオジェンへの高い熱伝達特性を示す少なくとも1つの露出された表面を有している。大きい表面積を有する壊れやすいサンプルの冷却のために、大面積にわたって均一な冷却を提供することができる冷却システムに対する必要性が存在している。生体材料に関して、サンプル全体、または、少なくとも、凍結保存もしくは凍結固定に重要なサンプルの部分のいずれかをガラス化するか、または、少なくとも部分的にガラス化するのに十分に高い冷却速度を有することが望ましい。生体材料サンプル純度を維持するために、浸透性の凍結保護剤(CPA、たとえば、DMSOおよびグリセロール)を完全に回避すること、または、既存の凍結保存方法において通常使用される濃度よりも著しく低いCPAの濃度を少なくとも有することのいずれかが望ましい。また、サンプルは、生体材料のための培養媒体または保持媒体を含むことが可能である。CPAの使用がないときでも、または、低濃度のCPAを伴うときでも、超高速冷却プロセスによる生体材料の保存において、約106K/min以上の冷却速度の使用によって生体材料をガラス化するかまたは少なくとも部分的にガラス化することが非常に有利である。そのような超高速冷却システムは、多目的であるべきであり、それが、複数のサンプル形状およびサイズならびに複数のサンプル組成(それに限定されないが、生体材料、細胞、組織、網膜、有機材料、異種層を有する材料などのような無機材料、基板の上にエピタキシャルに成長した半導体層、単結晶材料、および多結晶材料を含む)とともに使用するための大規模な機械的な再設計なしに適合され得るようになっている。本明細書において、CPAという用語の使用は、凍結保存方法を利用しない保存プロセスにおいて一般に使用されるCPAを含むものとする。
【0018】
[0038]ある実施形態では、超高速冷却システムは、サンプルホルダーユニット、サンプルキャリッジユニット、およびサンプルキャリッジリザーバーユニットを含むことが可能である。サンプルキャリッジリザーバーユニットは、移送の間にサンプルキャリッジリザーバーユニットの中に位置付けされている液体クライオジェンのリザーバーの中での浸漬を維持することによって、超高速冷却デバイスからストレージデューワーの中へのガラス化されたおよび部分的にガラス化されたサンプルの移送を促進させる。サンプルキャリッジリザーバーユニットは、キャリッジサンプルホルダーを含有することが可能である。
【0019】
[0039]ある実施形態では、サンプルキャリッジユニットは、キャリッジユニットであり、サンプルホルダーユニットがキャリッジユニットの中へ設置される。サンプルホルダーユニットは、所望の冷却速度および冷却されることとなるエリアのサイズを実現する目的のために、多様な形状、サイズ、および設計のものであることが可能である。サンプルホルダーユニットに関する形状および設計は、それに限定されないが、複数のタイプのストローおよび複数のタイプのボタンを含む。
【0020】
[0040]超高速冷却システムは、細胞または組織の凍結保存または生体材料凍結固定において使用するために、大きい体積および質量のガラス化された水、すなわち、結晶化なしの固体状態の水、または、部分的にガラス化された水、すなわち、結晶化なしに固化される水の部分を形成することができるべきである。
【0021】
[0041]超高速冷却システムは、多目的であるべきであり、それが、
複数の異なるサンプルホルダーユニット、サンプルキャリッジユニット、およびサンプルキャリッジリザーバーユニットとともに使用するために;
そこからの挿入および除去のためのさまざまな市販のクライオストレージユニットとともに使用するために;
多種多様な商業的に関連する材料の合成および加工とともに使用するために;ならびに、
さまざまな市販の液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェン(それに限定されないが、液体窒素、蒸気窒素、液体酸素、蒸気酸素、液体アルゴン、および蒸気アルゴンを含む)とともに使用するために、
大規模な機械的な再設計なしで適合され得るようになっている。
【0022】
[0042]生体材料の凍結保存において使用されるときに、本開示の改善された超高速冷却システムは、低温電子顕微鏡法において使用するためのものとは異なっている。
[0043]改善された超高速冷却システムは、生体材料の凍結固定において使用されるときには、低温電子顕微鏡法において使用するためのものを含む。
【0023】
[0044]本開示の実施形態は、
図2~
図8に示されているように、10個の液体クライオジェンジェットおよび11個の蒸気クライオジェンジェットを形成するマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットである。クライオジェンは、それに限定されないが、窒素、酸素、およびアルゴンを含むリストから選択され得る。
【0024】
[0045]本開示の実施形態は、
図15A~
図15Bに示されているように、完全に動作中の超高速冷却デバイス1500である。
図15Aは、フレキシブルパイプ1503の端部にベンティングファン1502を含む外部蒸気シュラウド1501の外観図を示している。
図15Bは、作業状況の間の実施形態の動作の1つの斜視実証図を示している。
図15Cは、
図15Bの代替的な斜視図を示しており、以下のアイテム:冷却プロセスによって発生させられるクライオジェンのためのベンティングファン1502;ベンティングファン1502および内側のワークスペースをリンク接続するフレキシブルパイプ1503;クライオジェンを2相ブレードジェットアレイに提供するための1つの液体クライオジェン入口部および2つの蒸気クライオジェン入口ポートを備えた、3つの入力ポートを含むマニホールド1504;液体クライオジェンデューワーの中に容易に保管され得るサンプル移送キット1505;サンプル移送キット1505のローディングおよび除去のためのドア1506;凍結保存のために組織サンプルを保持する閉じた保護システムである使い捨てのボタンサンプルホルダー1507;サンプル移送キット1505によって処理されることとなるサンプルホルダー1507を含有するサンプルホルダーシステム1508;サンプルローディングおよび除去の自動的な実施を可能にするモーターサブシステム1509;交互の液体ジェットおよび蒸気ジェットを含むジェット1510;ならびに、液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットを発生させる2相ブレードジェットアッセンブリユニット1511を含む。
図15Cは、サンプルホルダー1507を含有するサンプル移送キット1505が2相ブレードジェットアッセンブリユニット1511の下の位置に移動させられたときの作業状況の間の実施形態の動作の1つの斜視実証図を示しており、サンプルは、液体ジェットおよび蒸気ジェット1510によって冷却されている。液体ジェットは、蒸発しておらず、低圧液体クライオジェン合流フロー平面を形成している。クライオジェンは、それに限定されないが、窒素、酸素、およびアルゴンを含むものから選択され得る。
【0025】
[0046]上記に識別された図および以下の明細書を参照して、別の例示的な実施形態は、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットに関し、また、動作の間のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットに関する。この実施形態は、
図14A~
図14Dに示されている。
図14Aおよび
図14Bは、2つの蒸気窒素ブレードジェットによってカバーされている単一の液体窒素ブレードジェットのためのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを示している。ユニットは、2つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを含有しており、それらは、1つの長くて幅の狭い液体クライオジェンジェットと、液体クライオジェンジェットに近接してそれぞれの側に沿って位置付けされている2つの長くて幅の狭い蒸気クライオジェンジェットとを発生させる。
図14Aは、液体窒素供給および入力ポート1401と;冷温ガス窒素供給および入力ポート1402と;マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニット1403と;2つの蒸気窒素出口部ポート1404および1405と;液体窒素出口部ポート1406とを含む2相ブレードジェットアッセンブリユニットの詳細を示している。
図14Bは、動作の間のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの中を示している。液体クライオジェン供給ライン1401は、動作の間に霜でカバーされている。ある実施形態では、液体窒素供給は、標準的な1.586MPa(230psi)液体窒素タンクにリンク接続された市販の相分離器からのものであり、蒸気窒素供給は、同じ液体窒素タンクのガスポートから直接的なものである。蒸気クライオジェン供給ライン1402は、わずかに霜でカバーされているに過ぎない。明確に見ることができるものは、液体窒素ジェット1406である。テーブルに衝突するときの液体窒素ジェット1406は、断面が長方形になっており、約5mmの幅および約2cmの長さであるように目に見える。
【0026】
[0047]
図14Cおよび
図14Dは、3つの液体窒素ブレードジェットに関するマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを示しており、3つの液体窒素ブレードジェットのそれぞれは、2つの蒸気窒素ブレードジェットによって挟まれており、したがって、4つの蒸気窒素ブレードジェットを使用している。
図14Cおよび
図14Dは、AおよびBに示されているデバイスユニットと同様である。
図14Cおよび
図14Dは、6つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとによって形成されたデバイスユニットである。3つの液体窒素ブレードジェット1408、1409、および1410のアレイは、約2cmx2cmのエリアをカバーする。4つの蒸気窒素ブレードジェットは、1404、1405、1406、および1407である。
【0027】
[0048]ある実施形態では、液体クライオジェンの単一のジェットのための2つの入口ポートのそれぞれの寸法は、1.5mmx1.5mmである。同様に、蒸気クライオジェンの2つのジェットのそれぞれのための単一の入口ポートの寸法は、1.5mmx1.5mmである。マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの底部に位置付けされている液体窒素ジェットおよび蒸気窒素ジェットの両方のための退出ポートの間隔は、幅の狭い方向に1mmであり、長い方向に9.85mmである。入口部における上部から退出部における底部へ、それぞれのブレードの上の内向きのスロープは、約0.72度である。
【0028】
[0049]ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの2つの内部ブレードの外部寸法は、以下の通りである:19.85mmの幅(退出するクライオジェンのジェットの長い寸法の方向);3.12mmの長さ(退出するクライオジェンのジェットの短い寸法の方向);および19.67mmの高さ(退出するクライオジェンのジェットの方向)。液体クライオジェンのための2つの入口ポートに関する中心間分離距離は、3.75mmである。
【0029】
[0050]ある実施形態では、マニホールドは、単一のブロックから構成されている。マニホールドブロックの下側部分は、単一の液体クライオジェンジェットに関連付けられた2つの入口ポートに液体クライオジェンを送達するように機械加工された内部ポートを含む。マニホールドブロックの上側部分は、2つの蒸気クライオジェンジェットに関連付けられた2つの入口ポートに蒸気クライオジェンを送達するように機械加工された内部ポートを含む。
【0030】
[0051]ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの2相ブレードジェットアッセンブリは、ネジ山付きの孔部およびタップスクリューの使用によって、1セットのブレードの中へ締結されている。
【0031】
[0052]ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットのマニホールドブロックは、ネジ山付きの孔部およびタップスクリューの使用によって、2相ブレードアッセンブリに締結されている。
【0032】
[0053]ある実施形態では、2つの蒸気窒素ブレードジェットは、液体窒素ブレードジェットのそれぞれの側に位置付けされている。
図14Bにおいて、2つの蒸気窒素ブレードジェットは、ぼんやりとしており、明確に見ることはできない。クライオジェンの選択は、窒素に限定されない。クライオジェンは、それに限定されないが、窒素、酸素、およびアルゴンを含むことが可能である。
【0033】
[0054]ある実施形態では、改善された超高速冷却システムは、改善されたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットと、サンプルホルダーユニットと、サンプルホルダーキャリッジユニットと、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットと、使用された液体クライオジェンからの蒸気クライオジェンの除去のための排気ユニットを備えたシュラウドと、圧力下での液体クライオジェンのストレージのための、および、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上に位置付けされている複数の液体マニホールドポートに液体クライオジェンの制御圧力およびフローを提供するための液体クライオジェンユニットと、圧力下での蒸気クライオジェンのストレージのための、および、改善されたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上に位置付けされている複数の蒸気クライオジェンマニホールドポートに蒸気クライオジェンの制御圧力およびフローを提供するための蒸気クライオジェンユニットとを含み、また、使用の方法を含む。
【0034】
[0055]ある実施形態では、改善された超高速冷却システムは、複数の改善されたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットと、複数のサンプルホルダーユニットと、複数のサンプルホルダーキャリッジユニットと、複数のサンプルホルダーキャリッジユニットと、複数のサンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットと、使用された極低温液体からの蒸気クライオジェンの除去のための排気ユニットを備えたシュラウドと、圧力下での液体クライオジェンのストレージのための、および、改善されたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上に位置付けされている複数の液体マニホールドポートに液体クライオジェンの制御圧力およびフローを提供するための液体クライオジェンユニットと、圧力下での蒸気クライオジェンのストレージのための、および、改善されたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上に位置付けされている複数の蒸気クライオジェンマニホールドポートに蒸気クライオジェンの制御圧力およびフローを提供するための蒸気クライオジェンユニットとを含み、また、使用の方法を含む。
【0035】
[0056]さまざまな実施形態では、それに限定されないが、液体窒素、液体酸素、および液体アルゴンを含む、複数の液体クライオジェンが使用され得る。液体窒素に関する沸点は、約77Kである。液体酸素に関する沸点は、約90Kである。液体アルゴンに関する沸点は、約87Kである。
【0036】
[0057]さまざまな実施形態では、本開示の改善された超高速冷却システムは、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織を含む、複数の生体材料とともに使用され得る。
【0037】
[0058]さまざまな実施形態では、改善された超高速冷却システムは、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織(それらは、薄くなっており、大面積(それに限定されないが、10cmx10cmを含む)をカバーする)を含む、生体材料を含有する複数のストローユニットとともに使用され得る。ある実施形態では、冷却速度は、それに限定されないが、106K/minを含む。ある実施形態では、超高速冷却システムは、浸透性のCPAを使用しない。ある実施形態では、超高速冷却システムは、浸透性のCPAを使用しておらず、生体材料が、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化される。ある実施形態では、超高速冷却システムは、所定の濃度の浸透性のCPAを使用し、それは、任意の凍結保存方法の使用を伴わない細胞および組織の保存において用いられる濃度と比較して低い。ある実施形態では、超高速冷却システムは、所定の濃度の浸透性のCPAを使用し、それは、任意の凍結保存方法の使用を伴わない細胞および組織の保存において用いられる濃度と比較して低く、生体材料は、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化される。
【0038】
[0059]ある実施形態では、超高速冷却システムは、水、および、さまざまな溶質を含有する水のガラス化の間に形成される氷の異なる相を検討するのに使用するために、大きい体積および質量のガラス化されたまたは部分的にガラス化された氷の水結晶を形成することができる。
【0039】
[0060]ある実施形態では、超高速冷却システムは、多目的であり、それが、
そこからの挿入および除去のためのさまざまな市販のクライオストレージユニットとともに使用するために;
多種多様な商業的に関連する材料の合成および加工とともに使用するために;ならびに、
さまざまな市販の液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェン(それは、それに限定されないが、液体窒素および蒸気窒素、液体酸素および蒸気酸素、および液体アルゴンおよび蒸気アルゴンを含む)とともに使用するために、
大規模な機械的な再設計なしで適合され得るようになっている。
【0040】
[0061]ある実施形態では、超高速冷却システムは、それに限定されないが、人間の生体材料、細胞、幹細胞、組織、皮膚、角膜、網膜、有機材料、およびプロセス無機材料、単結晶材料、多結晶材料、および、異種層を有する材料を含む、生体材料をガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなる。
【0041】
[0062]先行技術は、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織(それらは、薄くなっており、大面積(それに限定されないが、10cmx10cmを含む)をカバーする)を含む生体材料を冷却するための超高速冷却システムを教示しておらず、それは、冷却速度(それに限定されないが、106K/minを含む)を有しており:
浸透性のCPAの使用なしに;
浸透性のCPAの使用なしに、そして、生体材料は、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化され;
任意の凍結保存方法の使用なしに細胞および組織の保存において用いられる濃度と比較して低い濃度の浸透性のCPAの使用を伴って;または、
任意の凍結保存方法の使用なしに細胞および組織の保存において用いられる濃度と比較して低い濃度の浸透性のCPAの使用を伴って、そして、生体材料は、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化される。
【0042】
[0063]ある実施形態では、改善された超高速冷却システムは、それに限定されないが、異種層を有する材料などのような無機材料、基板の上のエピタキシャルに成長した半導体層、単結晶材料、および多結晶材料を含む生体材料以外の材料を冷却するために使用され得る。
【0043】
[0064]超高速冷却プロセスによって生体材料をガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
[0065]超高速冷却プロセスによって生体材料の大面積をガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0044】
[0066]改善された超高速冷却システムによって冷却される生体材料の面積は、より大きい冷却面積を所有する再設計されたマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを用いることによって増加させられ得る。
【0045】
[0067]改善された超高速冷却システムによって冷却された生体材料の面積は、複数のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを用いることによって増加させられ得る。
【0046】
[0068]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、10-4cm2に等しいかまたは約10-4cm2であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0047】
[0069]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、10-2cm2に等しいかまたは約10-2cm2であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0048】
[0070]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、1cm2に等しいかまたは約1cm2であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0049】
[0071]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、10cm2に等しいかまたは約10cm2であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0050】
[0072]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、10cmx10cmに等しいかまたは約10cmx10cmであり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0051】
[0073]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、20cmx20cmに等しいかまたは約20cmx20cmであり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0052】
[0074]超高速冷却プロセスによって生体材料の面積を均一にガラス化する能力を所有することが非常に有利であり、生体材料の面積は、1000cm2に等しいかまたは約1000cm2であり、冷却速度は、約106K/min以上である。
【0053】
[0075]改善された超高速冷却システムは、1つのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットまたは複数のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットのいずれかを利用することが可能である。2つ以上のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが生体材料を冷却するために利用される場合には、生体材料のより大きい面積が、超高速冷却速度で均一に冷却され得る。
【0054】
[0076]改善された超高速冷却システムによって均一に冷却され得る面積は、1000cm2よりも大きいかまたは約1000cm2である。
[0077]1つまたは2つ以上のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが利用される場合には、改善された超高速冷却システムは、超高速冷却速度で、最大で1000cm2のおよび1000cm2を超える範囲の面積を有する、生体材料を均一に冷却するために使用され得る。
【0055】
[0078]1つまたは2つ以上のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが利用される場合には、改善された超高速冷却システムは、超高速冷却速度で、最大で1000cm2のおよび1000cm2を超える範囲の面積を有する、生体材料を均一にガラス化するために使用され得る。
【0056】
[0079]1つまたは2つ以上のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが利用される場合には、改善された超高速冷却システムは、超高速冷却速度で、厚さ約50ミクロン以下を有する、および、最大で1000cm2のおよび1000cm2を超える範囲の面積を有する、生体材料を均一に冷却するために使用され得る。
【0057】
[0080]1つまたは2つ以上のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが利用される場合には、改善された超高速冷却システムは、超高速冷却速度で、厚さ約50ミクロン以下を有する、および、最大で1000cm2のおよび1000cm2を超える範囲の面積を有する、生体材料を均一にガラス化するために使用され得る。
【0058】
[0081]機械的な設計の変化が、それに限定されないが、冷却速度、大面積にわたる冷却速度の均一性、液体クライオジェンの使用の効率、生体材料の厚さ、安全、および、冷却される面積を含む、設計パラメーターの性能を最適化するために必要である場合には、窒素以外の液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンは、本開示の改善された超高速冷却システムの中で利用され得る。ある実施形態では、これらの液体クライオジェンは、それに限定されないが、酸素クライオジェンおよびアルゴンクライオジェンを含むことが可能である。ある実施形態では、これらの蒸気クライオジェンは、それに限定されないが、酸素クライオジェンおよびアルゴンクライオジェンを含むことが可能である。
【0059】
[0082]改善された超高速冷却システムは、それに限定されないが、動物または人間の中の生体材料の修復および交換を含む、健康関連の用途において使用するための生体材料を凍結保存するために利用され得る。ある実施形態では、生体材料は、それに限定されないが、眼の角膜および眼の網膜を含む。
【0060】
[0083]本開示の全体を通して記載されているような生体材料という用語は、CPAを伴うかまたは低濃度のCPAを伴う、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織を含むリストの中の生体材料を包含している。
【0061】
[0084]改善された超高速冷却システムは、改善された超高速冷却システムの機械的な構築の大きな変化を必要とすることなく、市販されているかまたはカスタム製造されているかのいずれかである複数のコンポーネントとともに使用するために再構成され得る。
【0062】
[0085]先行技術は、それに限定されないが、細胞、幹細胞、組織、動物の組織、生物工学によって作られた組織、人工臓器、野菜組織、生殖細胞質、花粉、卵、精子、タンパク質、ペプチド、抗体、体液、血液、血清、リンパ液、植物の樹液、ニューロン、胚、皮膚、角膜、および網膜を含むリストの中の生体材料を均一に冷却するための超高速冷却システムを教示しておらず、それらは、薄くなっており、
大面積(それに限定されないが、10cmx10cmの面積を含む)をカバーし、冷却速度(それに限定されないが、106K/minを含む)を有しており、浸透性のCPAの使用を伴っておらず、そして、生体材料は、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化され;
大面積(それに限定されないが、10cmx10cmの面積を含む)をカバーし、冷却速度(それに限定されないが、106K/minを含む)を有しており、浸透性のCPAの使用を伴っておらず、そして、生体材料は、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化され;または、
大面積(それに限定されないが、10cmx10cmの面積を含む)をカバーし、冷却速度(それに限定されないが、106K/minを含む)を有しており、任意の凍結保存方法の使用なしに細胞および組織の保存において用いられる濃度と比較して低い濃度の浸透性のCPAの使用を伴っており、そして、生体材料は、ガラス化されるかまたは部分的にガラス化される。
【0063】
[0086]したがって、大面積を有する生体材料を少なくとも約106K/minの速度で均一に冷却するための改善された超高速冷却システムに対する必要性が存在している。そのうえ、
それに限定されないが、生体材料の凍結保存を含む使用のために、少なくとも約106K/minの速度で、生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;
少なくとも約100cm2の面積を有する生体材料を少なくとも約106K/minの速度で冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており、そのうえ、それに限定されないが、生体材料の凍結保存を含む使用のために、106K/minの速度で生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;
少なくとも約10cmx10cmの面積を有する生体材料を少なくとも約106K/minの速度で冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており、そのうえ、それに限定されないが、生体材料の凍結保存を含む使用のために、106K/minの速度で生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;
少なくとも約1gmの質量を有する生体材料を少なくとも約106K/minの速度で冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており、そのうえ、それに限定されないが、生体材料の凍結保存を含む使用のために、106K/minの速度で生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;
少なくとも約10gmの質量を有する生体材料を少なくとも約106K/minの速度で冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており、そのうえ、それに限定されないが、生体材料の凍結保存を含む使用のために、106K/minの速度で生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;
大面積を有する生体材料を少なくとも約106K/minの速度で冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており、
それに限定されないが、生体材料の凍結保存を含む使用のために、少なくとも約106K/minの速度で、浸透性のCPAの使用を伴っておらず、または、凍結保存なしで用いられるものよりも低い濃度のCPAの使用を伴って、生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;
それに限定されないが、生体材料のガラス化を含む使用のために、少なくとも約106K/minの速度で、浸透性のCPAの使用を伴っておらず、または、凍結保存なしで用いられるものよりも低い濃度のCPAの使用を伴って、生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在しており;および/または、
それに限定されないが、動物および人間の健康において使用するための生体材料の凍結保存を含む使用のために、少なくとも約106K/minの速度で、生体材料を冷却するための超高速冷却システムに対する必要性が依然として存在している。
【0064】
[0087]ある実施形態では、本開示の目的は、生体材料を凍結保存するために使用される改善された超高速冷却システム、および、その使用の方法を提供することである。
[0088]ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、複数のブレードおよび複数の液体クライオジェンジェットを有することが可能である。ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、それに限定されないが、窒素、酸素、およびアルゴンを含む、液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンとともに使用するために設計および最適化され得る。
【0065】
[0089]ある実施形態では、10個の液体クライオジェンジェットおよび11個の蒸気クライオジェンジェットを供給する2相ブレードジェットアッセンブリユニットの中のマニホールドは、2つの液体クライオジェンを供給するポートおよび1つの蒸気クライオジェンを供給するポートを有することとなる。別の実施形態では、追加的なポートが用いられ得る。
【0066】
[0090]ある実施形態では、マニホールドは、ブレードのスタックの上に位置付けされている1つまたは複数の選択されたポートの中へ液体クライオジェンを分配し、また、ブレードのスタックの上の表面の上に位置付けされている1つまたは複数の選択されたポートの中へ蒸気クライオジェンを分配し、蒸気クライオジェンポートは、液体クライオジェンポートと交互になっている。さらなる実施形態において、蒸気クライオジェンポートは、ブレードのスタックの外部横方向端部に位置付けされており、それぞれの液体クライオジェンポートが蒸気クライオジェンポートによって境界を定められているようになっている。ブレードは、除去された材料の領域を除いて、両側において平坦になっており、上部表面の上のポートに進入する液体クライオジェンまたは蒸気クライオジェンが、それぞれ、ブレードのスタックの底部側に位置付けされている対応する液体/蒸気退出部に方向付けされるようになっている(
図6、
図7)。加えて、任意の2つの隣接するブレードの向かい合う表面のそれぞれの上の除去された材料のパターンおよび深さの両方は、同一になっている。そのうえ、入口ポートから退出ポートへ進行する際に、材料が除去される深さは、液体ブレードおよび蒸気ブレードの両方に関して減少し、入口ポートが退出ポートよりも深くなるようになっている。ある実施形態では、入口ポート深さは、0.75mmの深さであることが可能であり、一方、退出ポートは、0.5mmの幅であることが可能である。これらの特定の例に関して、ブレードの平面に対して垂直の方向への入口ポートの寸法は、1.5mmであることとなり、ブレードの平面に対して垂直の方向への退出ポートの寸法は、1.0mmであることとなる。そうであるので、この実施形態に関して、液体クライオジェンは、ブレードのスタックの下方の表面の上に位置付けされている交互の退出ポートから細い幅の広いジェットの形態で1.0mmの幅で出て来る。明確化のために、出て来る液体クライオジェンのジェットの長さは、1.0mmよりもはるかに長く、恐らく約10mmである。ある実施形態では、フローの方向に対して垂直の液体クライオジェンの断面形状は、その幅よりもかなり長い長さを有するブレードの形状になっており、それに限定されないが、10/1から201/1の範囲の中の長さ/幅の比率を有している。ある実施形態では、フローの方向に対して垂直の蒸気クライオジェンの断面形状は、その幅よりもかなり長い長さを有するブレードの形状になっており、それに限定されないが、10/1から20/1の範囲の中の長さ/幅の比率を有している。
【0067】
[0091]液体クライオジェンのための入口ポートの数、および、蒸気クライオジェンのための入口ポートの数は、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの設計とともに変化することが可能である。そのうえ、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの中のすべてのブレードユニットが同一である必要があるわけではない。
【0068】
[0092]ある実施形態では、それぞれの液体クライオジェンジェットは、それぞれの側を蒸気クライオジェンジェットによって境界を定められている。クライオジェンジェットは、退出ポートに極めて近接して位置付けされている冷却されることとなる生体材料の薄層に衝突する。2つの長い側を蒸気クライオジェンジェットによって取り囲まれているそれぞれの液体クライオジェンジェットのこの幾何学形状は、生体材料に衝突する前の液体クライオジェンジェットの中での蒸気クライオジェンの形成を緩和し、それによって、液体クライオジェンジェットの冷却速度を増加させる。それぞれの液体クライオジェンジェットがそれぞれの側を蒸気クライオジェンジェットによって隣接されている構成は、2相構成と称される。
【0069】
[0093]改善された超高速冷却システムは、さらに、より大きいエリアを冷却することおよび複数の異なる形状の冷却されることとなるエリアを冷却することを含む目的のために、複数のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを使用することに関する。
【0070】
[0094]超高速冷却システムは、さらに、サンプルホルダーユニットに関する。サンプルホルダーユニットは、超高速冷却を受けることとなるサンプル材料をカプセル化する。ある実施形態では、サンプルホルダーユニットは、それに限定されないが、ストローおよびボタンを含むホルダーから構成され得る。
【0071】
[0095]超高速冷却システムは、さらに、サンプルストローユニットに関する。ある実施形態では、サンプルストローユニットは、幅広くなっており、上部表面壁部を有しており、上部表面壁部は、薄くなっており、熱の良導体である。ある実施形態では、サンプルストローの長さは、サンプルストローのそれぞれの端部に十分な空間を備えた所望の質量のサンプル生体材料のローディングが、サンプルストローのそれぞれの端部をローディングおよびキャッピングする間の漏れを防止するように、十分に長くなっているべきである。
【0072】
[0096]ある実施形態では、冷却されることとなる生体材料の質量は、典型的に、約1mgから約1gmの範囲の中にある。ある実施形態では、質量は、1mgよりも小さくなっていることが可能である。ある実施形態では、質量は、1ナノグラムであることが可能である。ある実施形態では、超高速冷却システムが十分な数の液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットを伴って設計されている場合には、ならびに、生体材料サンプルが十分に薄くなっており、十分に面積が大きい場合には、質量は、1gmよりも大きくなっていることが可能である。ある実施形態では、質量は、10gmであることが可能である。
【0073】
[0097]ある実施形態では、複数のサンプルストローユニットが、凍結保存されることとなる生体材料をロードされ得る。ある実施形態では、キャップが、ロードされたサンプルストローのそれぞれの端部の上方に設置され、超高速冷却プロセスの間に、および、また、任意の凍結保存ストレージの間に、生体材料サンプルの純度を維持する。
【0074】
[0098]ある実施形態では、それぞれのロードされたサンプルストローユニットは、超高速冷却プロセスの間に、サンプルストローユニットの薄い表面壁部が、マニホールド2相ジェットアッセンブリの下側表面から退出する液体クライオジェンジェットの近位にあることとなり、また、それに直接的に露出されることとなるような配向で、最初に、サンプルキャリッジユニットの中へ設置される。生体材料を含有するサンプルストローユニットの薄い上部表面壁部が液体クライオジェンジェットの大きい表面積に対して露出されるという配向は、生体材料の大面積の超高速冷却を提供する。ある実施形態では、1つまたは複数の熱電対が、1つまたは複数のサンプルボタンユニットに極めて近接してサンプルストローキャリッジユニットに取り付けられ、サンプルストローユニットの温度をモニタリングする。サンプルストローユニットの底部表面壁部の厚さは、薄い上部壁部と同程度に極薄になっている必要はない。その理由は、生体材料から液体クライオジェンジェットへの熱伝達が、主に上部表面壁部を通して起こるからである。
【0075】
[0099]サンプルストローユニットの中の生体材料のローディングプロセスをモニタリングしやすくするために、および、生体材料の適正なローディングが起こったことを検証するために、それぞれのサンプルストローユニットの1つまたは複数の壁部の上に透明な可視ウィンドウを有することが望ましく、目視検査技法の使用によって、生体材料がサンプルストローユニットの中へ適正にロードされたことの検証を促進させる。ある実施形態では、透明な可視ウィンドウは、底部表面壁部の中に位置付けされている。
【0076】
[0100]ある実施形態では、生体材料サンプルがサンプルストローユニットの中へロードされたかどうかを決定する方法は、それに限定されないが、透明な壁部を通した目視検査、ならびに、アンロードされたストローの質量およびローディングが試みられたストローの質量の差を含む。
【0077】
[0101]ある実施形態では、1つまたは複数の熱電対は、サンプルストローキャリッジユニットに固着され得る。ある実施形態では、1つまたは複数の熱電対は、1つまたは複数のサンプルボタンユニットに固着され得る。
【0078】
[0102]凍結保存に関して、超高速冷却システムによって冷却されたサンプルストローユニットは、液体クライオジェンの中に保管され得り、または、生体材料の保存のために設計されたフリーザーの中に保管され得る。
【0079】
[0103]ある実施形態では、超高速冷却システムは、サンプルボタンユニットを含む。ある実施形態では、サンプルボタンユニットは、丸くて浅くて幅広くなっており、上部表面壁部を有しており、上部表面壁部は、薄くなっているとともに、熱の良導体でもある。サンプルボタンユニットの内部は、複数の生体材料タイプの凍結保存を促進させるように設計され得る。それに限定されないが、組織および細胞を含む、生体材料タイプのために設計されたものを含む、サンプルボタンユニットのための複数の設計が存在している。
【0080】
[0104]ある実施形態では、サンプルボタンユニットの内部底部表面は、細胞または組織などのような、特定の生体材料タイプを促進させるように設計され得る。ある実施形態では、サンプルボタンは、蓋部を含有し、サンプルボタンユニットの内側の生体材料をシールし、超高速冷却プロセスの間に、および、任意の凍結保存ストレージの間に、純度を維持する。次いで、サンプルボタンユニットは、その上部の設置によってシールされる。複数のサンプルボタンユニットが、凍結保存されることとなる生体材料をロードされ得る。
【0081】
[0105]ある実施形態では、それぞれのロードされたサンプルボタンユニットは、超高速冷却プロセスの間に、サンプルボタンキャリッジユニットの中に位置付けされているサンプルボタンユニットの薄い上部表面壁部が、マニホールド2相ジェットアッセンブリの下側表面から退出する液体クライオジェンジェットの近位にあることとなり、また、それに直接的に露出されることとなるような配向で、最初に、サンプルボタンキャリッジユニットの中へ設置される。
【0082】
[0106]生体材料を含有するサンプルボタンユニットの薄い上部表面壁部が液体クライオジェンジェットの大きい表面積に対して露出されるという配向は、生体材料の大面積の超高速冷却を提供する。
【0083】
[0107]ある実施形態では、1つまたは複数の熱電対が、1つまたは複数のサンプルボタンユニットに極めて近接してサンプルボタンキャリッジユニットに取り付けられ、サンプルボタンユニットの温度をモニタリングする。ある実施形態では、液体クライオジェンブレードジェットがボタンユニットの上部表面に衝突する場合には、サンプルボタンユニットの底部表面壁部の厚さは、薄い上部壁部と同程度に極薄になっている必要はない。その理由は、生体材料から液体クライオジェンジェットへの熱伝達が、主に上部表面壁部を通して起こるからである。1つまたは複数の熱電対が、サンプルボタンキャリッジユニットに固着され得る。1つまたは複数の熱電対は、1つまたは複数のサンプルボタンユニットに固着され得る。
【0084】
[0108]凍結保存に関して、超高速冷却システムによって冷却されたサンプルボタンユニットは、液体クライオジェンの中に保管され得り、または、生体材料の保存のために設計されたフリーザーの中に保管され得る。
【0085】
[0109]改善された超高速冷却システムは、複数のサンプルホルダーシステムを含有するように設計され得る。
[0110]サンプルホルダーシステムは、それに限定されないが、サンプルボタンユニットと、サンプルストローユニットと、サンプルボタンキャリッジユニットと、サンプルストローキャリッジユニットと、サンプルストローおよびボタンキャリッジユニットと、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットとを含む、サンプルホルダータイプであることが可能である。ある実施形態では、超高速冷却システムは、さらに、サンプルホルダーキャリッジユニットに関する。サンプルホルダーキャリッジユニットは、超高速冷却を受けることとなる複数のサンプルホルダーユニットを保持する。サンプルホルダーキャリッジユニットは、サンプルストローキャリッジユニットおよびサンプルボタンキャリッジユニットを含むサンプルホルダーキャリッジユニットから構成され得る。
【0086】
[0111]改善された超高速冷却システムは、複数のサンプルユニットを含有するように設計されている複数のサンプルホルダーキャリッジユニットを含有するように設計され得る。
【0087】
[0112]サンプルホルダーキャリッジユニットは、複数のサンプルユニット形状を含有するように設計され得る。サンプルホルダーキャリッジユニットは、複数のサンプルユニットサイズを含有するように設計され得る。サンプルホルダーキャリッジユニットは、同時に複数のサンプルユニット形状およびサイズを含有するように設計され得る。ある実施形態では、サンプルユニットの形状は、ストローユニットおよびボタンユニットを含む。
【0088】
[0113]サンプルストローユニットのみを含有するように設計されているサンプルホルダーキャリッジユニットは、サンプルストローキャリッジユニットとして指定され得る。サンプルボタンユニットのみを含有するように設計されているサンプルホルダーキャリッジユニットは、サンプルボタンキャリッジユニットとして指定され得る。複数のタイプのサンプルユニットを含有するように設計されているサンプルホルダーキャリッジユニットは、サンプル複数のキャリッジユニットとして指定され得る。
【0089】
[0114]複数の異なるサンプルユニットとともに使用するように設計されたサンプルホルダーキャリッジユニットは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の超高速冷却領域の中へ、冷却されることとなる複数のサンプルを挿入および除去するのに好都合の手段を提供する。
【0090】
[0115]熱電対は、サンプルホルダーキャリッジユニットに取り付けられ、温度をモニタリングすることが可能である。ある実施形態では、サンプルホルダーキャリッジユニットを挿入および除去する手段が存在している。ある実施形態では、サンプルホルダーキャリッジの上のハンドルは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の超高速冷却領域からサンプルホルダーキャリッジユニットを挿入および除去するために、オペレーターによって使用され得る。
【0091】
[0116]ある実施形態では、超高速冷却システムは、さらに、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットに関する。サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットは、超高速冷却を受けることとなる複数のサンプルホルダーキャリッジユニットを保持する。サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットは、サンプルストローキャリッジリザーバーユニットおよびサンプルボタンキャリッジリザーバーユニットから構成され得る。ある実施形態では、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の超高速冷却領域からのサンプルキャリッジユニットの除去の後に存在し続けることとなる液体クライオジェンのリザーバーを含有するように設計されている。サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの中の液体クライオジェンのリザーバーは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の超高速冷却領域からのサンプルキャリッジユニットの除去のプロセスの間に、および、液体クライオジェンストレージコンテナの中へのサンプルユニットのその後の設置の間に、サンプルホルダーユニットを液体クライオジェンの温度に維持する。
【0092】
[0117]ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の領域の中へのサンプルキャリッジユニットの挿入およびサンプルキャリッジユニットの除去は、人間のオペレーターによって手動の手段によって行われ得る。
【0093】
[0118]ある実施形態では、オペレーターは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の超高速冷却領域からのサンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの挿入および除去のために保護グローブを使用することが可能である。
【0094】
[0119]ある実施形態では、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットは、ハンドルを有することが可能であり、ハンドルは、オペレーターによって把持され得る複数の突出部の特徴を有するそのようなハンドルによって手動の挿入および除去を促進させる目的のためのものである。ある実施形態では、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットは、ハンドルを有することが可能であり、ハンドルは、複数の孔部(ロッドがオペレーターによって孔部の中へ挿入および除去され得る)を含有する複数の突出部の特徴を有するそのようなハンドルによって手動の挿入および除去を促進させる目的のためのものである。
【0095】
[0120]ある実施形態では、オペレーターは、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの挿入および除去のためにツールを使用することが可能である。サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの挿入および除去のためにオペレーターによって使用されるツールは、保護グローブおよび/またはフックを備えたロッドを含むことが可能である。
【0096】
[0121]ある実施形態では、フックを備えたロッドは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の超高速冷却領域からサンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットを除去するために使用され得る。
【0097】
[0122]サンプルホルダーキャリッジは、さらに、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の領域の中への複数のサンプルストローユニットの挿入および除去のために設計されたサンプルストローキャリッジユニットに関する。
【0098】
[0123]サンプルホルダーキャリッジは、さらに、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の領域の中への複数のサンプルボタンユニットの挿入および除去のために設計されたサンプルキャリッジユニットに関する。
【0099】
[0124]さまざまな実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの冷却クライオジェンジェットの真下の領域の中へのサンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの移動およびサンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの除去は、自動制御によって、または、人間のオペレーターによって、遠隔から制御されるモーターによって行われ得る。
【0100】
[0125]電動式の輸送システムは、それに限定されないが、利便性、動作の速度、および、オペレーターへのより高い安全性を含む、改善された超高速2相冷却システムの動作の間のサンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの挿入および除去のステップにおける利点を提供することが可能である。
【0101】
[0126]超高速冷却システムは、さらに、冷却手順の前、間、および後に発生させられる蒸気クライオジェンを捕獲および排気することができる蒸気クライオジェンシュラウドに関する。ある実施形態では、主要なコンポーネントは、屋根に接続されているかまたは建物の外部壁部を通るベンティングパイプの中の排気ファンである。
【0102】
[0127]ある実施形態では、超高速冷却システムは、さらに、蒸気クライオジェンが液体クライオジェンの上方に位置付けされた状態の、液体クライオジェンを含有する液体クライオジェンストレージおよび供給ユニットに関する。ある実施形態では、液体クライオジェンストレージおよび供給ユニットは、マニホールド2相ジェットアッセンブリユニットのマニホールドの上にそれぞれ位置付けされている液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェン入口部へ断熱ホースの中を輸送される、加圧された液体クライオジェンおよび加圧されたクライオジェン蒸気の供給源である。液体クライオジェンストレージおよび供給ユニットの蒸気クライオジェン領域の中の内部圧力は、蒸気クライオジェンの加圧タンクによって提供される。調節可能な圧力リリーフ弁およびガス調整器が、所望のレベルに内部圧力を調節および維持するために使用される。ある実施形態では、液体クライオジェンを搬送する断熱ホースは、流量計および調節可能なフロー弁を有しており、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットのマニホールドの上に位置付けされている液体クライオジェン入口部への液体クライオジェンのフローを調整する。ある実施形態では、蒸気クライオジェンを搬送する断熱ホースは、流量計および調節可能なフロー弁を有しており、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上の2つの蒸気クライオジェン入口部への蒸気クライオジェンのフローを調整する。
【0103】
[0128]ある実施形態では、第1のブレードジェットは、複数の対応する入口ポートの中へ液体クライオジェンを受け入れ、アッセンブリを通してクライオジェンを方向付け、クライオジェンのジェットを形成する対応するクライオジェン退出ポートを通してそれぞれのクライオジェンを放出し、個々の退出ポートは、一列に位置決めされており、クライオジェンジェットの収集が、加圧された液体クライオジェンのブレードを形成するようになっており;第2のブレードジェットアッセンブリは、複数の対応する入口ポートの中へ蒸気クライオジェンを受け入れ、アッセンブリを通してクライオジェンを方向付け、蒸気クライオジェンのジェットを形成する対応するクライオジェン退出ポートを通してそれぞれのクライオジェンを放出し、個々の退出ポートは、一列に位置決めされており、蒸気クライオジェンの個々のストリームが、蒸気クライオジェンのブレードを形成するようになっており;それぞれのブレードは、2つの個々のブレードジェットが単一の水平方向の平面の中で重なり合うように位置決めされており、ここで、組み合わされたジェットは、交互の相のクライオジェンのストリームを示し、組み合わされたジェットは、それぞれの端部において個々の液体クライオジェンストリームによって終端されており、それぞれの蒸気ストリームは、2つの液体ストリームの間に位置決めされており、それぞれの内部液体ストリームは、2つの蒸気ストリームの間に位置決めされている。
【0104】
[0129]ある実施形態では、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、少なくとも約10cmx10cmの断面積を有している。本開示の実施形態は、複数のマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを含む超高速冷却システムに関し、それぞれのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、少なくとも約10cmx10cmの断面積を有している。
【0105】
[0130]ある実施形態では、冷却プロセスの間に利用されるマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの数および構成の適正な選択は、均一に超高速冷却を可能にし、また、
広範な面積を所有する生体材料の凍結保存;
広範な面積を所有する生体材料のガラス化;
広範な面積を所有する生体材料の部分的なガラス化;
大きい体積の生体材料の凍結保存;
大きい体積の生体材料のガラス化;および/または、
大きい体積の生体材料の部分的なガラス化
を可能にする。
【0106】
[0131]超高速冷却システムを含む上記のコンポーネントの設計、調節、および動作は、複数のサンプルストローユニットの中へロードされており、および、77Kの近くの温度に均一に冷却されることとなるサンプルキャリッジユニットの中に設置されている、周囲の室温にある生体材料の薄い大面積サンプルを急速に冷却するように最適化されている。ある実施形態では、生体材料の冷却速度は、少なくとも約106K/minである。凍結保存された生体材料が、この方法によって作り出され得る。
【0107】
[0132]
図1は、超高速冷却システムの概略図であり、それは、以下のコンポーネント:マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニット101と;選択された圧力で液体クライオジェンを供給することができる、および、選択された圧力で蒸気クライオジェンを供給するための、液体クライオジェンストレージおよび供給ユニット102と;マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上に位置付けされている1つまたは複数の液体クライオジェンポートに液体クライオジェンを供給するためのホース103と;マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの上に位置付けされている1つまたは複数の蒸気クライオジェンポートに蒸気クライオジェンを供給するためのホース104と;液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットが、サンプルホルダーシステムの中に位置付けされているサンプルを急速に冷却するように、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの下方に位置付けされているサンプルホルダーシステム105とを示している。サンプルホルダーシステムは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットから独立して支持され得り、または、それは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを含むユニット、ならびに、サンプルの急速冷却および操作要員に対する安全を促進させる他のユニットの中へ挿入され得る。液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェン供給ホースの上に位置付けされているインライン圧力調整器、流量計、および調節可能なフロー弁は示されておらず、それらは、それぞれ、液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンの圧力およびフローを調整するために使用されている。蒸気クライオジェンの除去のためのシュラウドは示されていない。概略図は、正しい縮尺にはなっていない。
【0108】
[0133]
図2は、20個の内部デバイスブレードユニット204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223と2つの外部デバイスブレードユニット202および203とを有する実施形態に関する超高速冷却システムのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットによって発生させられる液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットの場所を図示する斜視図面である。この実施形態は、10個の液体クライオジェンジェット225、227、229、231、233、235、237、239、241、243および11個の蒸気クライオジェンジェット224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244を発生させる。図面は、正しい縮尺にはなっていない。マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、ステンレス鋼を使用して製作されている。また、それに限定されないが、極低温グレードのステンレス鋼、真鍮、銅、およびアルミニウムを含む、他の材料も利用され得る。マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、複数のボルト締結具によって一緒に締結されている。代替的に、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、複数のリベット締結具によって一緒に締結され得る。そのうえ、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、複数の溶接によって一緒に締結され得る。加えて、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットは、それに限定されないが、ボルト締結具、リベット締結具、および溶接を含む、締結方法の組み合わせによって一緒に締結され得る。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0109】
[0134]
図3は、ある実施形態に関する下方からの斜視図面であり、それは、10個の液体クライオジェンジェット304、306、308、310、312、314、316、318、320、322および11個の蒸気クライオジェンジェット303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323のための視認可能な退出アパーチャーを備えた、デバイスブレードユニット302のスタックから分離されているマニホールド301を示している。また、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが完全に組み立てられているときに複数の内部デバイスブレードユニットのスタックの上に位置付けされている複数の液体クライオジェン入口部に蒸気クライオジェンを供給するためのマニホールド排気ポートが示されている。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0110】
[0135]
図4は、ある実施形態に関する上方からの斜視図面であり、それは、10個の液体クライオジェンジェット404、406、408、410、412、414、416、418、420、422および11個の蒸気クライオジェンジェット403、405、407、409、411、413、415、417、419、421、423のための視認可能な進入入口部を備えた、デバイスブレードユニット402のスタックから分離されているマニホールド401を示している。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0111】
[0136]
図5は、複数の内部デバイスブレードユニット506のスタックのマニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの拡大された斜視図面であり、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットが完全に組み立てられているときに、複数の内部デバイスブレードユニット506のスタックの上に位置付けされている複数の液体クライオジェン入口部501に液体クライオジェンを供給するためのブレードの配置を示している。また、蒸気クライオジェン入口部502も示されている。外部デバイスブレードユニット504が、複数の内部ブレードユニットのそれぞれの端部に位置付けされている。複数の内部ブレードユニット506と2つの外部デバイスブレードユニット503、504とを含む完全なスタックが、複数の締結具505によってコンパクトなスタックを形成するように一緒に保持されている。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0112】
[0137]
図6は、ブレードの斜視図面であり、それは、蒸気クライオジェンチャネルの半分のラインドパターン形状を示しており、それは、その最上部縁部601に位置付けされている単一の蒸気クライオジェン供給入口部の半分、および、その最下部縁部604に位置付けされている蒸気クライオジェンジェットの半分に関する退出ポートを含む。そのようなブレードの反対側は、液体クライオジェンチャネルの半分のラインドパターン形状を有することとなり、それは、その最上部縁部602、603に位置付けされている2つの液体クライオジェン供給入口部の半分、および、その最下部縁部に位置付けされている液体クライオジェンジェットの半分に関する退出ポート(図示せず)を含む。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0113】
[0138]
図7は、ブレードの斜視図面であり、それは、その視認可能な側において、液体クライオジェンチャネルの半分のラインドパターン形状を示しており、それは、その最上部縁部702、703に位置付けされている2つの液体クライオジェン供給入口部の半分、および、その最下部縁部704に位置付けされている液体クライオジェンジェットの半分に関する退出ポートを含む。そのようなブレードの反対側は、蒸気クライオジェンチャネルの半分のラインドパターン形状を有することとなり、それは、その最上部縁部701に位置付けされている単一の蒸気クライオジェン供給入口部の半分、および、その最下部縁部に位置付けされている蒸気クライオジェンジェットの半分に関する退出ポート(図示せず)を含む。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0114】
[0139]ここで、
図5、
図6、および
図7に関する図面および説明を一緒に考えると、ブレードのタイプおよび配置は、以下の通りである。左から進み、最も左の端部から始まり右へ行く経路を辿ると、第1の外部デバイスブレードが位置付けされており、第1の外部デバイスブレードは、蒸気クライオジェンチャネルの半分を有しており、蒸気クライオジェンチャネルは、スタックが組み立てられたときに第1の内部デバイスブレードユニットの表面の近位になることとなるその表面の中へ機械加工されている。次いで、右へ進むと、第1の内部デバイスブレードユニットは、蒸気クライオジェンチャネルの半分を有することとなり、蒸気クライオジェンチャネルは、第1の外部デバイスブレードの表面の近位になることとなるその表面の中へ機械加工されている。これらの2つの半分チャネルは、互いに接触した状態になることとなる。そのうえ、蒸気クライオジェンチャネルに関する同一のパターンが、これらの2つのデバイスブレードユニットの上に形成されており、そうであるので、完全な蒸気クライオジェンチャネルを形成することとなる。超高速冷却システムの動作の間に、この特定のチャネルは、蒸気クライオジェンジェットを発生させることとなり、蒸気クライオジェンジェットは、冷却されることとなる複数のサンプルストローの表面の上に衝突することとなる。繰り返しになるが、スタックに沿って右に進むと、第1の内部デバイスブレードは、液体クライオジェンチャネルの半分を有することとなり、液体クライオジェンチャネルは、第1の外部デバイスブレードの遠位にあるその表面の中へ機械加工されている。繰り返しになるが、右に進むと、第2の内部デバイスブレードは、液体クライオジェンチャネルの半分を有することとなり、液体クライオジェンチャネルは、第1の内部デバイスブレードの近位にあるその表面の中へ機械加工されている。そうであるので、これらの2つの半分チャネルは、完全な液体クライオジェンチャネルを形成することとなり、超高速冷却システムの動作の間に、液体クライオジェンジェットを発生させることとなり、液体クライオジェンジェットは、冷却されることとなる複数のサンプルホルダーユニット(たとえば、サンプルストローユニット)の表面に衝突することとなる。繰り返しになるが、右に進むと、第2の内部デバイスブレードは、蒸気クライオジェンチャネルの半分を有することとなり、蒸気クライオジェンチャネルは、第1の内部デバイスブレードの遠位のその表面の中に機械加工されている。また、第3の内部デバイスブレードは、蒸気クライオジェンチャネルを有することとなり、蒸気クライオジェンチャネルは、第2の内部デバイスブレードの近位のその表面の中へ機械加工されている。そうであるので、これらの2つの半分チャネルは、完全な蒸気クライオジェンチャネルを形成することとなり、超高速冷却システムの動作の間に、蒸気クライオジェンジェットを発生させることとなり、蒸気クライオジェンジェットは、冷却されることとなる複数のサンプルホルダーユニット(たとえば、サンプルストローユニット)の表面に衝突することとなる。内部デバイスブレードを配向させてスタックするこの方法が、スタックの中を左から右へ進んで続けられる場合には、交互のチャネルが、蒸気クライオジェンチャネルまたは液体クライオジェンチャネルのいずれかを形成することとなる。本開示の超高速冷却デバイスの中で使用するように設計されているスタックの中の最後の内部デバイスブレードが、第2の外部デバイスブレードの近位のその表面の中へ機械加工された蒸気クライオジェンチャネルの半分を有するまで、内部スタックが続けられる場合には、および、第2の外部デバイスブレードが、最後の内部デバイスブレードの近位のその表面の中へ機械加工された蒸気クライオジェンチャネルの半分を有する場合には、そうであるので、最後のチャネルは、蒸気クライオジェンチャネルであることとなり、蒸気クライオジェンジェットを発生させることとなり、蒸気クライオジェンジェットは、冷却されることとなる複数のサンプルストローの表面に衝突することとなる。要するに、上記に説明されているような複数の内部デバイスブレードおよび2つの外部デバイスブレードの配置を備えた超高速冷却システムの動作は、一連の液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットを発生させることとなり、そのような液体クライオジェンジェットのそれぞれが、両側を蒸気クライオジェンによって隣接された状態になっている。そのうえ、すべての外部デバイスブレードおよび内部デバイスブレードの外部横方向寸法特徴が同一である場合には、ならびに、それぞれの外部デバイスブレードおよび内部デバイスブレードの上の蒸気クライオジェンチャネルの場所が同一であり、また、表面の上で適正に中心を合わせられる場合には、すべての内部デバイスブレードが同一になることが可能であり、また、両方の外部デバイスブレードが同一になることが可能である。1つの例として、デバイスブレードのスタックは、20個のバイスブレードと2つの同一の外部デバイスブレードとを含むことが可能である。そうであるので、デバイスブレードの製作が促進され得る。そのうえ、内部デバイスブレードおよび外部デバイスブレードの中の半分チャネルの製作の方法は、機械加工に限定されない。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0115】
[0140]
図8は、斜視図面であり、それは、液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンに関する経路を示しており、それは、最初に、マニホールド801、802を通り、次いで、内部デバイスブレードおよびエンドキャップデバイスブレード803を通り、最後に、それぞれ、液体クライオジェン805、807、809、811、813、815、817、819、821、823(実線)および蒸気クライオジェン804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824(点線)のジェットとして出て来る。結果として、それぞれの液体クライオジェンジェットは、すべてのそのような液体クライオジェンジェットの近位にそれぞれの側に位置付けされている2つの蒸気クライオジェンジェットによって隣接されている。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0116】
[0141]
図9は、サンプルストローキャリッジリザーバーユニット901の3次元斜視図面であり、サンプルストローキャリッジリザーバーユニット901は、複数のサンプルストローキャリッジユニット902を含有することが可能である。それぞれのサンプルストローキャリッジユニットは、この図示では、多数のサンプルストローユニット905を含有している。単なる図示の目的のために、サンプルストローユニットがどのようにサンプルストローキャリッジユニットの中に横たわるように配置されているかということを示すために、いくつかのサンプルストローユニットが、サンプルストローキャリッジユニットの上方に所定の距離に表示されており、サンプルストローユニットは、超高速冷却システムの動作の間に、サンプルストローキャリッジユニットの中に置かれることとなる。冷却プロセスの間に、液体クライオジェンジェットは、サンプルストローキャリッジユニットの中に位置付けされている、示されている複数のサンプルストローユニットの平坦な最上部の表面に衝突することとなる。熱電対が、サンプルストローキャリッジユニットに固着され得る。サンプルストローキャリッジユニットは、サンプルストローキャリッジリザーバーユニットのリザーバーの中の液体クライオジェンと熱的に接触している。結果として、サンプルストローキャリッジリザーバーユニットは、サンプルストローキャリッジユニットのすべてが液体クライオジェンストレージユニットに輸送されてその中へ浸漬されるのに十分な時間にわたって、その中に含有されているサンプルストローキャリッジユニットの温度を、液体クライオジェン温度の沸点の近くまたは周りの温度に維持するのに十分な量の液体クライオジェンを保持する容量を有している。人間のオペレーターは、本開示の超高速冷却システムに極めて近接して液体クライオジェンストレージユニットを位置付けすることとなるということを予期することが合理的である。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0117】
[0142]
図10は、概略図であり、それは、寸法的に薄い平坦化された上部層を有するサンプルストローユニットの断面の端面図を示している。上部は、複数の液体クライオジェンジェットがサンプルストローユニットの上に下向きに衝突するときに、高速熱伝達に対処するために薄くなっている。サンプルストローユニットが石英などのような透明な材料から構築されている場合には、オペレーターは、ローディングプロセスの間にサンプルストローユニットの材料内容物を見ることが可能であり、ストローが所望の量のサンプル材料によって充填されているということ、および、そのようなサンプル材料がサンプルストローユニットの中に適正に位置付けされて分配されているということを保証する。他方では、サンプルストローユニットがステンレス鋼などのような不透明な材料から構築されることとなる場合には、少なくとも1つの可視ウィンドウの追加は(表面上は下側表面の中にまたは側部表面の上に位置付けされている)、ローディングプロセスの間のサンプルストローユニットのサンプル内容物をオペレーターが見ることを可能にすることとなり、サンプルストローユニットが所望の量のサンプル材料によって充填されているということ、および、そのようなサンプル材料がサンプルストローユニットの中に適正に位置付けされて分配されているということを保証する。エンドキャップ(図示せず)が、冷却の前に、ロードされたサンプルストローユニットのそれぞれの端部に設置され、冷却プロセスの間のサンプル汚染を回避する。概略図は、正しい縮尺にはなっていない。
【0118】
[0143]
図11は、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットの斜視図面であり、それは、以下のもの:マニホールド1107の上の2つの液体クライオジェンポート1103、1104に液体クライオジェンを供給する2つの液体クライオジェン供給チューブ1101、1102と;マニホールドの上の蒸気クライオジェンポート1106に蒸気クライオジェンを供給する1つの蒸気クライオジェンチューブ1105と;2つの外部デバイスブレード1108、1109および複数の内部デバイスブレード1110、1111、1112、1113、1114、1115、1116、1117、1118、1119、1120、1122、1123、1124、1125、1126、1127、1128、1129を含むスタックのマニホールドおよび上側部分と;示されている排気ファンが排気パイプ1143の端部に位置付けされた状態の排気パイプ1131によって、冷却手順の前、間、および後のいずれかに発生させられた蒸気クライオジェンを捕獲および排気することができるスタックの下側部分を取り囲む蒸気クライオジェンシュラウドユニット1130と;複数のサンプルストローユニット1133、1134、1135、1136、1137、1138、1139、1140、1141をロードされたサンプルストローキャリッジユニット1132とを示している。サンプルストローキャリッジユニット1132は、蒸気クライオジェンシュラウド1130の中の開口部を通してサンプルストローキャリッジリザーバー1142の中に存在している。サンプルストローキャリッジリザーバーユニットの図は、蒸気クライオジェンシュラウド1130によって隠されている。冷却後に、サンプルストローキャリッジリザーバーユニットは、所定の期間(長期の時間の期間を含む)にわたって、超高速冷却システムの中に低温状態で維持され得る。また、サンプルストローキャリッジリザーバーユニットは、長期間のストレージのために液体クライオジェンストレージユニット(すなわち、クライオジェンデューワー)に移送され得る。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0119】
[0144]
図12A~
図12Cは、本開示の例示的な実施形態に関する概略図であり、それらは、ドナー組織またはバイオ人工組織1203とともに使用するためのステンレス鋼フィルム1202を備えたサンプルボタンユニット1201の3つの図を示している。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0120】
[0145]
図13A~
図13Cは、本開示の例示的な実施形態に関する概略図であり、それらは、細胞単層または複数の細胞層の組織1303とともに使用するためのステンレス鋼フィルム1302を備えたサンプルボタンユニット1301の3つの図を示している。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0121】
[0146]
図14A~
図14Bは、
図14Aおよび
図14Bから構成されており、それらは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットおよびクライオジェン供給ラインを示している。ユニットは、2つの内部デバイスブレードユニットと2つの外部デバイスブレードユニットとを含有している。
図14Aにおいて、ユニットは動作中ではない。
図14Aの中のアイテムは、以下の通りに識別される:液体クライオジェン供給ライン1401;蒸気クライオジェン供給ライン1402;マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニット1403;2つの蒸気クライオジェン退出ポート1404のうちの1つ;単一の液体クライオジェン退出ポート1405。
図14Bにおいて、ユニットは動作中である。識別される
図14Bの中のアイテムは、液体クライオジェンジェット1406である。2つの蒸気クライオジェンジェット(液体クライオジェンジェットのそれぞれの側に位置付けされているもの)は見ることができない。クライオジェンは、窒素である。
図14Cおよび
図14Dは、
図14Aおよび
図14Bに示されているユニットと同様のユニットを示しており、ユニットは、6つの内部デバイスブレードユニットおよび2つの外部デバイスブレードユニットによって作製されており、3つの液体窒素ブレードジェット1408、1409、および1410のアレイ、ならびに、4つの蒸気窒素ブレードジェット1404、1405、1406、および1407に関するアレイを発生させ、1つだけの液体窒素ブレードジェットを備えたユニットがカバーするよりも約3倍大きいエリアをカバーする。
【0122】
[0147]
図15A~
図15Cは、動作の間のいくつかの段階における完全に動作中の超高速冷却システムを示している。
図15Aは、その蒸気シュラウド1501の中に全体的に囲まれているときの冷却システムの図である。
図15Bは、動作特徴の切り欠き図を示しており、それは、以下の通りに識別される:蒸気のための排気ファン1502;蒸気排気のための排気パイピング1503;液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンのためのマニホールドポート1504;サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニット1505;サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットの挿入および除去のためのドア1506;サンプルボタンユニット1507;サンプルボタンキャリッジユニット1508;ならびに、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットを冷却クライオジェンジェットの中へ挿入するためのおよび冷却クライオジェンジェットから抽出するためのモーター1509。
図15Cは、
図15Bに対する代替的な斜視図を示している。作業状況の間の実施形態の冷却動作の間に、サンプルホルダー1507(それは、
図15Cでは、冷却領域の直ぐ外側に示されており、また、液体ジェットおよび蒸気ジェットの下で冷却される直前の(および、直後の)場所における位置に示されている)を含有するサンプル移送キット1505の位置は、短い時間の期間にわたって(たとえば、冷却プロセスが起こるために約20秒)2相ブレードジェットアッセンブリユニット1511の下の位置へ迅速に移動させられることとなり、サンプルが液体ジェット(実線)および蒸気ジェット(点線)1510によって冷却され得るようになっている。超高速冷却システムがストレージのためにも使用される場合には、サンプルは、冷却ジェットの下に留まることが可能である。そうでなければ、冷却段階からの後退の後に、サンプルホルダーキャリッジリザーバーユニットは、使用するために、冷却されたサンプルを直ぐに提供するために使用され得るか、または、長期間のストレージのために液体クライオジェンストレージユニット(すなわち、クライオジェンデューワー)に移送され得る。図面は、正しい縮尺にはなっていない。
【0123】
[0148]
図16は、単一の液体窒素ジェットおよび2つの蒸気窒素ジェットを含有する超高速冷却システムを使用して、周囲の室温(公称25℃)から公称-196℃へ冷却されるプロセスの間の熱電対プローブに関する温度対時間のグラフ表示である。
【0124】
[0149]
図17は、超高速冷却システムによって発生させられる液体窒素ジェットのストリームの中への設置によって公称-196℃にタマネギ組織サンプルを冷却し、次いで、30秒にわたって温水(公称37℃)の中で解凍し、染色し、次いで、写真を撮ることに続いて、顕微鏡を通して撮影されたタマネギ組織サンプルの最上部の表皮細胞層の光学的な画像である。タマネギ組織サンプルの最上部の表皮細胞層は、薄い20ミクロン厚さのステンレス鋼フィルム(液体窒素ブレードジェットおよび2つの蒸気窒素ブレードジェットがその上に衝突した)と接触していた。そうであるので、タマネギ組織サンプルの最上部の表皮細胞層は、タマネギ組織サンプルの内側パルプ領域よりも速い速度で冷却した。
【0125】
[0150]
図18は、オープンバス液体窒素の中へタマネギ組織サンプルを浸すことによって公称-196℃にタマネギ組織サンプルを徐冷し、次いで、30秒にわたって温水(公称37℃)の中で解凍し、染色し、次いで、写真を撮ることに続いて、顕微鏡を通して撮影されたタマネギ組織サンプルの最上部の表皮細胞層の光学的な画像である。
【0126】
[0151]
図19A~
図19Eは、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットを使用した角膜内皮の凍結保存の冷却の効率および均一性を図示している。解凍後の内皮の完全性は、19A.DMSO無しの組織;19B.10%DMSOによって処理された組織;19C.20%DMSOによって処理された組織の角膜内皮に対して直接的に微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法によって実証された。解凍後の内皮細胞カウントは、木の処理に関して19Dで実証されているように、凍結保存前の新鮮な組織(それは、それぞれの組織に関する基準または100%として使用された)からのものと同等であった。冷却の均一性は、それに限定されないが、単位面積当たりの解凍後の内皮細胞カウントを含む、物理的特性の均一性によって実証される。解凍後の内皮細胞の健康状態(微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を使用するサロゲートマーカーとしての細胞真円度の査定に基づく)は、19Eで実証されているように、新鮮な組織のものと同等であった。
【0127】
[0152]
図20A~
図20Bは、10μlのマウスの脂肪由来の間葉系幹細胞懸濁液(20A)および10μlの人間の脂肪由来の間葉系幹細胞懸濁液(20B)について、自動細胞カウンター(Countess II、Invitrogen)を使用した標準的なトリパンブルー排除法の解凍後の生死判別試験結果の2つの例を示している。
図20Aに関して、細胞カウンターは、細胞カウンターによってマークされた2001として、合計細胞密度4.46x10
5/ml、生細胞99%、および死細胞1%のような統計を提供した。
図20Bに関して、細胞カウンターは、カウンターによってマークされた2002、2003、および2004として、合計細胞密度2.93x10
5/ml、生細胞94%、および死細胞6%のような統計を提供した。また、冷却の均一性は、それに限定されないが、単位面積当たりの解凍後の内皮細胞カウントを含む、物理的特性の均一性によって実証される。
【0128】
[0153]ある実施形態では、生体材料を冷却するための超高速冷却システムの方法は、以下のステップ:冷却されることとなる生体材料サンプルをサンプルホルダーシステムの中へロードするステップと;生体材料の適正な設置およびローディングを保証するためにサンプルホルダーシステムをチェックするステップと;必要とされる場合には上部蓋部を取り付けることによって、それぞれのサンプルホルダーシステムをシールするステップと;選択され得るように、サンプルホルダーシステムまたは個々のサンプルホルダーに熱電対を固着するステップと;安全目的のために蒸気クライオジェンのための排気システムを活性化させるステップと;最適な冷却速度を実現するために、マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットへの液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンに関する圧力およびフローを調節するステップと;マニホールド2相ブレードジェットアッセンブリユニットによって発生させられる液体クライオジェンジェットおよび蒸気クライオジェンジェットの下にサンプルホルダーシステムを挿入するステップと;推奨される時間にわたって最適な超高速の速度でサンプルを冷却するステップと;サンプルホルダーシステムを除去するステップと;冷却された生体材料サンプルを所望の温度で保管するステップ(望まれる場合には、液体クライオジェンの中でのストレージを含む)とを含む。
【0129】
[0154]サンプルホルダーシステムまたは個々のサンプルホルダーに熱電対を固着するステップは、随意的である。
[0155]改善された超高速冷却システムは、大面積、薄さ、およびかなりの質量(それに限定されないが、約1グラム(gm)のオーダー)の組み合わせを有するサンプルとともに使用するために、液体クライオジェンおよび蒸気クライオジェンを利用する。そのような開示は、それに限定されないが生体材料の凍結保存を含む、材料の加工および保存における使用を含む多くの用途において使用され得る。明確化のために、生体材料の凍結保存において使用するための本開示の改善された超高速冷却システムは、低温電子顕微鏡法において使用するものとは異なっている。改善された超高速冷却システムは、大量の細胞、細胞培養、組織、および臓器などのような、生体材料における凍結保存効率を改善するために使用され得る。
【0130】
[0156]改善された超高速冷却システムは、非常に少ない凍結保存媒体の使用とともにまたは凍結保存媒体無しのいずれかで、生体材料の凍結保存のプロセスを改善するために使用され得る。加えて、本開示の改善された超高速冷却システムは、大きいスループットを伴って生体材料の凍結保存を改善するために、および、大きい表面積を有する生体材料の凍結保存を改善するために使用され得る。改善された超高速冷却システムは、超高速冷却のプロセスによって、1つの固体材料として形成された異なる組成を有する材料の薄層を分離することが可能である。例は、1つの組成を含む結晶層が、合成される材料とは異なる組成を含む基板の上に、化学蒸着などのようなプロセスによって合成されるということであることとなる。いくつかの用途に関して、基板層からの合成された層の分離は、薄い結晶フィルムを生み出すこととなり、その薄い結晶フィルムは、基板(その上で薄い結晶フィルムが成長した)とともに依然として手付かずのままである場合にはそのような薄い結晶フィルムに関して存在することとはならない用途および有用性を有することとなる。
【0131】
[0157]冷却速度は、生体材料を凍結保存するのに十分であり、また、診断細胞学および組織固定用途において使用するのに十分である。
[実施例]
[実施例1]
[0158]熱電対プローブは、単一の液体窒素ブレードジェットおよび2つの蒸気窒素ブレードジェットを含有する本開示の超高速冷却システムを使用して、室温(周囲温度)から-196℃(77K)へ冷却された。
図16は、単一の液体窒素ジェットおよび2つの蒸気窒素ジェットを含有する本開示の超高速冷却システムの例示的な実施形態によって発生させられる液体窒素ジェットのストリームの中への設置によって周囲の室温(公称25℃)から冷却されるプロセスの間の熱電対プローブに関する温度対時間のグラフ表示である。最終的な温度は、公称-196℃である。平衡は、0.23秒以内に生じた。熱電対先端部の直径は、約200ミクロンであり、それは、最小の市販の熱電対である。熱電対の冷却プロセスに関して、-20℃(細胞内水の典型的な核形成温度)から-196℃への冷却時間は、おおよそ0.13秒であり、冷却は、10
5K/min(8x104K/min)に接近している。たとえば、液体窒素プールの中へ直接的に突っ込むことによって、蒸発している液体クライオジェンの中で冷却される同じサイズの熱電対に関して、液体窒素の蒸発は、蒸気コートを発生させ、冷却速度は、一般的に、10
4K/minのオーダーである。したがって、液体窒素フローが蒸発していないという事実は、熱電対の比較的に高い冷却速度によって実証されている。熱電対のサイズの制限に起因して、はるかに薄いサンプルの冷却速度を測定することは困難であるが、サンプル厚さまたはサイズが10μmのオーダーである場合には、同じ温度領域の中の冷却速度は、同じ冷却方法が使用されるときには10
6K/minに接近するはずであるということが推定され得る。そのような推定は、所望の超高速冷却速度(すなわち、生体材料サンプル(その厚さは、10μmのオーダーである)(たとえば、細胞、細胞シート、1つまたはいくつかの層の細胞によって作製された人工組織)に関して10
6K/minのオーダーになっている)を実現するために、蒸発していない液体窒素フローを使用する効率を間接的に実証している。また、推定は、凍結保存にとって重要な表面の部分であって、また、厚さが約10μmの表面の部分(たとえば、角膜内皮、網膜色素上皮、および、細胞の1つまたはいくつかの層としての表面を備えた人工組織)を備えた生体材料サンプルに関しても有効である。そのような高い冷却速度は、細胞内溶液の直接的なガラス化を実現することが可能である。ガラス化は、結晶化がないときの凝固手順である。動的モデルを使用して行われた以前の理論的な予測[1、2、3]に基づいて、ならびに、細胞内溶液の融点およびガラス化傾向についての我々の研究[4]において、10
6K/min程度の高い冷却速度が、浸透性の凍結保護剤を使用することなく細胞内溶液をガラス化するために必要とされる。任意の浸透性の凍結保護剤または巨大分子なしの純水または細胞外溶液に関して、10
7K/min以上が、それらのガラス化のために必要とされる。細胞内溶液と細胞外溶液とのガラス化のために必要とされる冷却速度の差は、細胞質の中の巨大分子の高い体積比(おおよそ50%)によって引き起こされ、また、以前に実証されているように[4]、これらの分子がガラス化のための臨界冷却速度を著しく低下させるという事実によって引き起こされる。結果的に、10
6K/minのオーダーの冷却速度は、細胞内の氷の形成に起因する任意の細胞損傷を潜在的に防止する。その間に、10
6K/minのオーダーの冷却速度は、また、細胞外溶液の中の氷晶サイズを著しく低減させ、それは、細胞外形成に起因する細胞損傷を最小化する。したがって、10
6K/minよりも高い冷却速度の使用は、細胞内の氷の形成を防止することによって、および、細胞外の氷の形成を最小化することによって、凍結保護剤を必要とすることなく、理想的な細胞凍結保存を実現することとなる。冷却速度が約10
5K/minであり、使用される凍結保護剤が存在しないときには、細胞内の氷の形成が起こり、細胞小器官に機械的損傷を引き起こし、細胞機能の一部の喪失を引き起こす可能性があるが、細胞内巨大分子の存在に起因して、部分的なガラス化が依然として実現され得る。したがって、凍結保護剤がなくても、いくつかの細胞構造体は、10
5K/min冷却速度で十分に維持され得り(たとえば、プラズマ膜)、細胞または組織の形態学が保存され得るようになっており、それは、多数の用途(たとえば、診断細胞学および組織固定)にとって依然として実用的に有用である。
[実施例2]
[0159]タマネギ組織の小さいサンプルが、タマネギから切除された。より具体的には、タマネギ組織サンプルは、タマネギパルプ組織から構成されており、タマネギパルプ組織の最上部の層は、表皮細胞層であった。タマネギ組織サンプルの質量は、公称1グラムであった。タマネギ組織サンプルは、単一の液体窒素ブレードジェットおよび2つの蒸気窒素ブレードジェットを含有する本開示の超高速冷却システムを使用して室温(周囲温度)から-196℃(77K)へ冷却された。凍結保護剤は使用されなかった。液体窒素ブレードジェットは、垂直方向に下向きに方向付けられ、サンプルチャンバーの上部に衝突し、それによって、厚さが20ミクロンの薄いステンレス鋼フォイルに衝突した。タマネギ組織サンプルの表皮細胞層は、ステンレス鋼フォイルと良好に熱的に接触した状態になっていた。熱が、タマネギ組織サンプルから抽出された。熱は、タマネギ組織サンプルの最上部の表面層から、すなわち、タマネギ組織サンプルの表皮細胞層を通して、最も急速に抽出された。
図17は、単一の液体窒素ジェットおよび2つの蒸気窒素ジェットを含有する本開示の超高速冷却システムの例示的な実施形態によって発生させられる液体窒素ジェットのストリームの中への設置によって公称-196℃にタマネギ組織サンプルを冷却することに続いて、顕微鏡を通して撮影されたタマネギ組織サンプルの表皮細胞層の光学的な画像である。約20秒にわたる液体窒素ジェットへの露出に続いてタマネギ組織層サンプルによって到達された最終的な温度は、公称-196℃であった。20秒の露出の後に、タマネギ組織層サンプルを含有するサンプルキャビティーは、30秒にわたって温水(公称37℃)の中に迅速に浸漬された。次いで、タマネギ組織層サンプルは、キャビティーから除去され、過剰な水が吸収材組織によって即座に除去され、トリパンブルー染色の薄層の適用がそれに即座に続いた。次いで、タマネギ層組織サンプルの上部(すなわち、表皮細胞層)が、低倍率の顕微鏡の下で見られ、細胞の生死判別を査定し、写真が撮影された。画像の中のそれぞれのダークスポットは、表皮細胞層の中の死細胞を識別している。死細胞はほとんど見ることができない。したがって、光学的な画像は、高い生存率を示している-タマネギ組織サンプルの表皮細胞層の中のほとんどの細胞が保存され、タマネギ組織サンプルの表皮細胞層の上の細胞のパターンも保存された。表皮細胞層の冷却の均一性が、それに限定されないが、単位面積当たりの解凍後の内皮細胞カウントを含む、表皮細胞層の物理的特性の維持された均一性によって実証されている。また、表皮細胞層の冷却の均一性は、解凍後の表皮細胞層サンプルの表面物理的特性の均一性によって実証されている。
【0132】
[0160]タマネギ組織サンプルの中の表皮細胞層に関して、ガラス化または少なくとも部分的なガラス化がないときに、凍結保護剤なしでは細胞の高い生存率は可能ではない。タマネギ組織層の中の表皮細胞層の中の細胞の形態学は、劇的に変化しなかった。したがって、この実験において実証されたように、タマネギ組織サンプルの表皮細胞層が急速冷却プロセスの間にガラス化されたかまたは部分的にガラス化された場合にのみ、凍結保護剤を伴わないこの表皮細胞層の中の高い生存率が生じることが可能である。おそらく、タマネギ組織サンプルの表皮細胞層は、部分的にガラス化され、小さい氷晶の存在が伴っていた。この実験は、単一の液体窒素ジェットおよび2つの蒸気窒素ジェットを含有する本開示の超高速冷却システムの例示的な実施形態が、タマネギ組織サンプルの中の表皮細胞層をガラス化するのに十分な冷却速度を発生させる能力を有しているということを実証している。タマネギ組織サンプルの最上部の表面層が少なくとも約105K/minの速度で冷却される場合にのみ、タマネギ組織サンプルの最上部の表面層のそのようなガラス化が起こることが可能である。
【0133】
[0161]より多い数の液体窒素ジェットおよび周囲の蒸気窒素ジェットを含有する本開示の他の実施形態が、また、少なくとも約105K/minの速度でタマネギ組織層の中の細胞をガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなり、より可能性が高いことには、少なくとも約106K/minの速度でタマネギ組織層の中の細胞をガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなるということを予期することが合理的である。
【0134】
[0162]また、より多い数の液体窒素ジェットおよび周囲の蒸気窒素ブレードジェットを含有する本開示の他の実施形態は、また、少なくとも約106K/minの速度で生体材料および他の材料をガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなるということを予期することが合理的である。
【0135】
[0163]そのうえ、より多い数の液体窒素ジェットおよび周囲の蒸気窒素ジェットを含有する本開示の他の実施形態は、また、少なくとも約106K/minの速度で生体材料および他の材料をガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなり、そのような生体材料は、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織を含むリストの中のものを含むということを予期することが合理的である。
【0136】
[0164]そのうえ、より多い数の液体窒素ジェットおよび周囲の蒸気窒素ジェットを含有する本開示の他の実施形態は、また、少なくとも約106K/minの速度で生体材料および他の材料をガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなり、そのような生体材料は、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織(それらの培養媒体または保持媒体を伴う)を含むリストの中のものを含むということを予期することが合理的である。
【0137】
[0165]そのうえ、本開示の超高速冷却システムの実施形態は、それに限定されないが、生体材料、細胞、組織、網膜、有機材料、無機材料、単結晶材料、多結晶材料、および、約10-4cm2から少なくとも約1000cm2の範囲の中の表面積を所有する異種層を有し、約1ナノグラムから少なくとも約10グラムの範囲の中の質量を有する、材料を含むリストの中の材料をガラス化するかまたは部分的にガラス化するのに十分な冷却速度を所有することとなるということを結論付けることも合理的である。
【0138】
[0166]そのうえ、本開示の超高速冷却システムの実施形態は、十分な冷却速度を所有することとなり、冷却速度は、少なくとも約10
3K/minから少なくとも約10
6K/minの間にあるということを結論付けることも合理的である。本開示の超高速冷却システムの実施形態は、CPAを伴うかまたは低濃度のCPAを伴う、それに限定されないが、人間の生体材料、タンパク質、ペプチド、細胞、幹細胞、抗体、ニューロン、人間の組織、臓器、角膜、皮膚、網膜、卵、精子、胚、体液、血液、血清、リンパ液、動物の組織、植物の生体材料、植物の組織、生殖細胞質、花粉、植物の樹液、および生物工学によって作られた組織を含むリストの中の生体材料をガラス化するかまたは部分的にガラス化するのに十分に均一な冷却速度を所有することとなるということを結論付けることも合理的である。
[実施例3]
[0167]異なる小さいタマネギ組織サンプルが、実施例2において上記に使用されたものと同じタマネギ組織層から(すなわち、同じタマネギ組織の葉または鱗片から)切除された。このタマネギ組織サンプルは、室温(周囲温度)から-196℃(77K)へ冷却された。しかし、異なる冷却方法が利用された。凍結保護剤は使用されなかった。
図18は、オープンバス液体窒素の中へタマネギ組織サンプルを浸すことによって公称-196℃にタマネギ組織サンプルを徐冷することに続いて、顕微鏡を通して撮影されたこの特定のタマネギ組織サンプルの光学的な画像である。タマネギ組織サンプルは剥き出しなっており、周囲の凍結保護剤を伴っていなかった。タマネギ組織サンプルの質量は、公称1グラムであった。タマネギ層は、その上側層としてステンレス鋼の20ミクロン厚さのシートを有するサンプルキャビティーの中に囲まれていた。20秒の露出の後に、タマネギ組織を含有するサンプルキャビティーは、30秒にわたって温水(公称37℃)の中に即座に浸漬された。次いで、タマネギ組織サンプルは、キャビティーから除去され、過剰な水が吸収材組織によって即座に除去され、トリパンブルー染色の薄層の適用がそれに即座に続いた。次いで、タマネギ組織サンプルは、低倍率の顕微鏡の下で見られ、細胞の生死判別を査定し、写真が撮影された。写真の中の光学的な画像は、低い生存率を示している-ほとんどの細胞が保存されず、表面の上の細胞のパターンも保存されなかった。特に、タマネギ組織サンプルの表面の上の多くの場所に大きい構造体が出現することによって示されているように、このタマネギ組織サンプルの中の細胞の形態学は劇的に変化した。タマネギ組織サンプルが超高速冷却システムによって冷却されたときの表皮細胞層の生き残った細胞の観察された高い数と、この例に示されているような液体窒素の中にタマネギ組織サンプルを浸すことによって冷却されたときの表皮細胞層の生き残った細胞の観察された低い数との比較は、超高速冷却システムによって実現される冷却速度が、本発明の超高速冷却システムによって冷却されるときに、液体窒素の中に浸すことによって実現される速度よりも大きかったということを明確に実証している。そのうえ、冷却の均一性の欠如が、また、表皮細胞層の解凍後のサンプルの表面物理的特性の表皮細胞層の均一性の欠如、たとえば、導入された大きい構造体の形態学的特徴の均一性の欠如によって実証されている。
[実施例4]
[0168]豚の角膜から切除された小さいサンプルが、単一の液体窒素ブレードジェットおよび2つのガス窒素ブレードジェットを含有する本発明の超高速冷却システムを使用して、室温(周囲温度)から-196℃へ冷却された。豚の角膜は、おおよそ0.5cmx0.5cmx0.5cmのピースへと処理およびカットされ、およびそれぞれのピースは、内皮の全層、すなわち、サイズがおおよそ10ミクロンの角膜内皮細胞の単一の層を1つの表面の上に維持する。組織は、最初に、標準的な保持媒体(Dulbecco’s Modified Eagle Media(DMEM))の中に4℃で設置される。サンプルホルダーは、深さが0.5cmの保持キャビティーとともに、および、そのカバーシートとして20ミクロン厚さのステンレス鋼のシートとともに作製された。任意の凍結保護剤を伴わない角膜組織サンプルのそれぞれのピースは、それぞれのサンプルホルダーの中に囲まれていた。それぞれの組織の角膜内皮は、カバーシートに面しており、その内側表面に直接的に接触しており、内皮のために液体窒素ジェットによって提供され得る最大冷却速度を実現し、液体窒素フローへの細胞の露出を防止した。サンプルは、カバーシート表面がジェットのフローを垂直方向に受ける状態で、液体窒素ブレードジェットの真下に設置されていることによって冷却された。内皮細胞の冷却速度は、小さい細胞サイズに起因して、測定することが技術的に困難であるが、それは、10
6K/minのオーダーに接近すると推定され得る。
図15において実証されているように、200ミクロンサイズのサンプルに関して、-20℃(細胞内水の典型的な核形成温度)から-196℃への冷却時間は、おおよそ0.13秒であり、冷却は、10
5K/minに接近した状態になっており、したがって、20ミクロン厚さのカバーシート(熱電対のサイズの10%)に関して、シートの内側表面に直接的に接触している組織の表面の冷却速度は、10
6K/minに接近するはずである。高い冷却速度のレベルは、任意の凍結保護剤を使用することなく、細胞内溶液の直接的なガラス化を結果として生じさせることが可能である。組織に関する最終的な温度は、公称-196℃であった。10秒の露出の後に、サンプルキャビティーは、37℃ウォータージェットの下で即座に解凍された。別の2つの処理が、それぞれ、DMEM媒体の中の追加的な10%および20%ジメチルスルホキシド(DMSO)によって、同じサイズの角膜組織ピースを使用することによって生成され、同じアプローチにおいて冷却および加温された。角膜内皮の解凍後の品質は、微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法に基づく内皮細胞数の定量化によって評価された。細胞の健康状態が、微分干渉コントラスト光学顕微鏡検査法を使用してサロゲートマーカーとして細胞真円度を有することによって査定された。3つの処理の結果の比較が、
図19A~
図19Eに示されている。
図19A~
図19Eに実証されているように、すべての3つの処理(19A.DMSO無し;19B.10%DMSOによる;19C.20%DMSOによる)からの角膜内皮の解凍後の完全性は、超高速冷却プロセスから良好に維持されている。細胞生死判別(19D)および健康状態(19E)は、新鮮な角膜の読み値と同等であったが、20%DMSOを使用した第3の処理は、DMSOの比較的に高い濃度によって発生させられる毒性に起因して、細胞生死判別に影響を与えた。その効率は、従来の角膜凍結保存アプローチ(それは、典型的に、内皮の部分的な剥離および30~50%の細胞死を結果として生じさせる)において長く存在する問題を解決する。DMSOのない処理が、DMSOを使用した他の処理とおおよそ同じ解凍後の内皮完全性、生死判別、および健康状態を生み出した、3つの処理の結果の間の比較によれば、任意の凍結保護剤無しの角膜組織凍結保存を実現する際の本発明の能力の効率が実証された。内皮細胞層の冷却の均一性は、それに限定されないが、内皮細胞層の単位面積当たりの解凍後の内皮細胞カウントを含む、内皮細胞層の物理的特性の均一性によって実証される。また、冷却の均一性は、内皮細胞層の解凍後のサンプルの表面物理的特性の均一性によって実証される。
[実施例5]
[0169]幹細胞懸濁液のサンプルは、任意の細胞浸透性の凍結保護剤(たとえば、DMSO)なしで、3つの液体窒素ブレードジェットおよび4つのガス窒素ブレードジェットのアレイを含有する本発明の超高速冷却システムを使用して、室温(周囲温度)から-196℃へ冷却された。10
5細胞/mlよりも高い細胞密度を有するそれらの培養媒体(ウシ胎児血清を伴うDMEM媒体)の中に懸濁されたマウスおよび人間の脂肪由来の間葉系幹細胞(それぞれ、mMSCおよびhMSC)が準備された。サンプルホルダーは、深さが20μmおよび直径が3cmの保持キャビティーとともに、ならびに、そのカバーシートとして110μm厚さのサファイヤチップとともに作製された。高親水性のサファイヤおよびキャビティー表面への細胞の付着を防止するために、10%多糖類(Ficoll)が、細胞懸濁液に追加された。それぞれのサンプルは、20μm深さのチャンバーの中へ10%Ficollを供給された10μlmMSCまたはhMSC細胞懸濁液をシールすることによって作り出され、細胞懸濁液は、
図12に図示されているように、サファイヤカバーシップと平坦なホルダー底部との間に、厚さ20μmおよび面積5cm
2の非常に薄いディスク形状を自然に形成した。隔離された細胞が組織の中のもののような支持構造体を有していないという事実に起因して、液体窒素フローの衝撃から結果として生じる細胞機械的損傷を防止するために、サファイヤチップが、スチールフィルムの代わりに使用された。サンプルは、サファイヤ表面の全体をカバーするためにカバーシート表面がすべての3つの液体ジェットを垂直方向に受ける状態で、液体窒素ブレードジェットアレイの真下に設置されることによって冷却された。細胞に関する冷却速度は、小さい細胞サイズに起因して、測定することが技術的に困難であるが、それは、10
5K/minよりも高くなっていると推定され得り、すなわち、サファイヤチップの厚さに起因して、
図16において実現されたものと同様である。組織に関する最終的な温度は、公称-196℃であった。10秒の露出の後に、サンプルキャビティーは、37℃ウォータージェットの下で即座に解凍された。解凍後の生死判別が、標準的なトリパンブルー排除アッセイおよび自動細胞カウンターの使用に基づいて査定された。解凍後の機能性は、それぞれの10μlの解凍された懸濁液サンプルを96ウェルプレートの1つのウェルに追加するときの細胞プレーティング効率によって査定された。解凍後の生死判別は、新鮮なサンプルのものと同等であった(>90%生死判別)。それぞれ、1つのmMSCおよび1つのhMSCサンプルに関して
図20Aおよび
図20Bに示されている2つの典型的な例として、大部分の細胞は、細胞カウンターによって識別された明るい色の円形によって生細胞としてマークされた状態になっており、それに対して、いくつかは、暗い円形によって死細胞としてマークされた状態になっている。しかし、細胞は、培養プレートのウェルの中にプレート(plate)しなかった。細胞機能性の喪失は、比較的に厚いサファイヤチップの使用の結果として、比較的に遅い冷却速度から結果として生じる部分的な細胞内の氷の形成から結果として生じる可能性がある。したがって、この例は、任意の浸透性の凍結保護剤なしで細胞膜凍結損傷を上手く防止するための方法を使用することの効率を十分に実証している。冷却の均一性は、サンプルの中のすべての幹細胞の高い生存率(およそ>10
5細胞)によって実証されている(100%の生存に接近している)。高い生存率は、10
6K/minに接近するかまたはそれを超える冷却速度を実証している。
【0139】
[0170]本明細書で開示および特許請求されている組成および方法のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに作製および実行され得る。本開示の組成および方法が、好適な実施形態の観点から説明されてきたが、本開示の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、組成および方法に、ならびに、本明細書で説明されている方法のステップの中に、または、ステップのシーケンスの中に、変形例が適用され得るということが当業者に明らかになることとなる。より具体的には、関連する特定のエージェントまたはオブジェクトが、同じまたは同様の結果が実現されることとなる状態で、本明細書で説明されているオブジェクトおよびエージェントと置換され得るということが明らかになることとなる。当業者に明らかなすべてのそのような同様の置換例および修正例は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の精神、範囲、および概念の中にあると見なされる。
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