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特許7512260半導体ウエハの温度を制御する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】半導体ウエハの温度を制御する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240701BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L21/66 T
H01L21/02 Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021515485
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019075051
(87)【国際公開番号】W WO2020064470
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】1815815.4
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509255602
【氏名又は名称】メトリックス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】METRYX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリオット・グレガー
(72)【発明者】
【氏名】トニス・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ベリー・マーク
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507474(JP,A)
【文献】特表2017-517874(JP,A)
【文献】特開平5-149741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/02
G01G 19/52
G01G 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハ質量計測方法であって、
半導体ウエハの進入温度に関する情報を検知することであって、前記半導体ウエハの冷却または加熱が行われる場合に、前記半導体ウエハの冷却または加熱が開始される前に前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報を検知すること;および
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報に基づいて前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御すること;
によって前記半導体ウエハの温度を制御することを備え、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関する検知した前記情報に基づいて前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を設定すること、または、前記半導体ウエハの冷却または加熱を行わないことを決定すること;および
続いて前記半導体ウエハを半導体ウエハ質量計測装置の測定領域の上にロードすること
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報は、非接触式の測定方法を用いて検知される、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報を検知することは、前記半導体ウエハによって放出される放射線を検知することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法は、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報を閾値と比較すること;および
前記半導体ウエハの冷却または加熱を比較結果に基づいて制御すること
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法は、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報を閾値と比較すること;
比較結果に基づいて、前記半導体ウエハを複数のカテゴリのうちの1つに分類すること;および
前記半導体ウエハの冷却または加熱を分類結果に基づいて制御すること
を含む、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記半導体ウエハの冷却または加熱の速度を制御することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハは、電力式の冷却または加熱デバイスを用いて冷却または加熱される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記冷却または加熱デバイスの電力を制御することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記半導体ウエハの前記進入温度が所定温度と等しいか、所定温度の所定範囲内である場合に前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間がゼロになるように制御することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、測定した前記半導体ウエハの温度と所定温度との温度差が±2K未満、または±1K未満、または±0.5K未満、または±0.1K未満であれば、利用可能な冷却または加熱工程を飛ばすことを含む、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記測定領域は、測定チャンバの内部にあり;
前記半導体ウエハの温度は、前記測定チャンバの温度と実質的に等しいか、前記測定チャンバの温度の±2K以内、または±1K以内、または±0.5K以内、または±0.1K以内となるように制御される、方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報を検知することは、前記半導体ウエハと熱接触しているものの温度に関する情報を検知することを含む、方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報を検知することは、前記半導体ウエハを搬送するために使用されるエンドエフェクタの温度に関する情報を検知することを含む、方法。
【請求項14】
半導体ウエハを冷却または加熱するための冷却または加熱部分;
前記半導体ウエハの進入温度に関する検知した情報に基づいて、冷却または加熱部分を介して半導体ウエハの冷却または加熱を制御するように構成されたコントローラであって、前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報は、前記半導体ウエハの冷却または加熱が行われる場合に、前記半導体ウエハの冷却または加熱が開始される前に検知される、コントローラ;および
測定領域;
を含む半導体ウエハ質量計測装置であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関する検知した前記情報に基づいて前記冷却または加熱部分を介して前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御するために、前記コントローラは、前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を前記冷却または加熱部分によって制御するように構成される、または、前記冷却または加熱部分を介して前記半導体ウエハの冷却または加熱を行わないことを決定するように構成される、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報を閾値と比較するように;かつ
前記半導体ウエハの冷却または加熱を比較結果に基づいて制御するように
構成される、装置。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報を閾値と比較するように;
比較結果に基づいて、前記半導体ウエハを複数のカテゴリのうちの1つに分類するように;
前記半導体ウエハの冷却または加熱を分類結果に基づいて制御するように
構成される、装置。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記半導体ウエハが前記冷却または加熱部分と接触している継続時間を制御するように構成される、装置。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記冷却または加熱部分の冷却または加熱速度を制御するように構成される、装置。
【請求項19】
請求項14~18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記冷却または加熱部分は、電力式の冷却または加熱デバイスを含む、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記電力式の冷却または加熱デバイスの電力を制御するように構成される、装置。
【請求項21】
請求項14~20のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記半導体ウエハの前記進入温度が所定温度と等しいか、所定温度の所定範囲内である場合に前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間がゼロになるように制御するように構成される、装置。
【請求項22】
請求項14~21のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、測定した前記半導体ウエハの温度と所定温度との温度差が±2K未満、または±1K未満、または±0.5K未満、または±0.1K未満であれば、利用可能な冷却または加熱工程を飛ばすように構成される、装置。
【請求項23】
請求項14~22のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、前記半導体ウエハの前記進入温度に関する前記情報を検知するように構成された検知器を含む、装置。
【請求項24】
請求項14~22のいずれか一項に記載の装置;および
前記半導体ウエハの温度に関する前記情報を検知するように構成された検知器
を含むシステム。
【請求項25】
請求項23に記載の装置または請求項24に記載のシステムであって、
前記検知器は、前記半導体ウエハからの赤外放射線を検知する赤外線検知器を含む、装置またはシステム。
【請求項26】
請求項14~23,25のいずれか一項に記載の装置であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報は、前記半導体ウエハと熱接触しているものの温度に関する検知した情報を含む、装置。
【請求項27】
請求項14~23、25のいずれか一項に記載の装置であって、
前記半導体ウエハの前記進入温度に関して検知した前記情報は、前記半導体ウエを搬送するために使用されるエンドエフェクタの温度に関する検知した情報を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般に、半導体ウエハの温度を制御する方法および半導体ウエハの温度を制御する装置に関する。
【0002】
いくつかの実施形態では、本発明は、半導体ウエハ質量計測方法および半導体ウエハ質量計測装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ電子機器は、堆積技術(CVD、PECVD、PVDなど)および除去技術(例えば化学エッチング、CMPなど)を含む多様な技術を用いて半導体ウエハ上に製造される。半導体ウエハは、その質量を変化させる他の方法、例えば洗浄、イオン注入、リソグラフィなどによってさらに処理されることがある。
【0004】
処理工程のウエハのいずれかの側の質量の変化を測定することは、製品ウエハの計測を実施するために魅力的な方法である。この方法は、比較的低コストかつ高速で、様々なウエハ回路パターンに自動的に適応できる。その上、この方法は、代替技術よりも高い精度の結果を出せることが多い。例えば、多くの一般的な材料で、材料層の厚みを原子スケールまで分解できる。問題のウエハは、対象の処理工程の前後で計量される。質量の変化は、製造設備の性能および/またはウエハの所望の特性と相関している。
【0005】
半導体ウエハ上で実行される処理工程は、半導体ウエハの質量にごくわずかな変化を起こす可能性があり、これは高精度で測定することが望ましいことがある。例えば、半導体ウエハの表面から少量の材料を取り除くと、半導体ウエハの質量が数ミリグラム減少することがあり、この変化を約±100μg以上の分解能で測定することが望ましいことがある。
【0006】
このような高レベルの測定精度では、測定対象の半導体ウエハの温度変化または測定用天秤の温度によって生じる測定出力の誤差が大きくなることがある。例えば、半導体ウエハと測定用天秤または収容器との間におよそ0.005℃の温度差があると、半導体ウエハの所定の質量におよそ5μgの誤差が生じることがある。測定装置の様々な部分どうしの温度変化(すなわち温度の不均一性)が、例えば測定装置を用いて測定する半導体ウエハの熱負荷によって生じると、測定出力に誤差が生じる。さらに、半導体ウエハの温度が測定装置の測定用収容器よりも高い場合、測定用収容器内の空気に気流(例えば対流)が発生することがあり、これが測定出力に影響することがある。さらに、測定用収容器内の空気は、温まって密度および圧力が変化することがあるため、空気によって半導体ウエハに浮力がかかることがある。これも測定出力に影響することがある。これらの影響の大きさは、一般には微々たるものと考えられ、低精度の質量測定、例えば約数ミリグラムの分解能で実施される測定では無視される(または検知されない)。
【0007】
製造ラインで処理された直後の半導体ウエハの温度は、400~500℃またはそれ以上になることがある。処理の後、半導体ウエハは、製造ラインの様々な処理場所どうしの間を搬送させるために、直近に処理された他の半導体ウエハ(例えば計25)と一緒にフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)にロードされてよい。FOUPが半導体ウエハを計量する計量デバイスに到着したとき、半導体ウエハの温度は依然として高いことがあり、例えば70℃またはそれ以上であることがある。逆に、計量デバイスの温度はおよそ20℃であることがある。したがって、半導体ウエハと計量デバイスとの間には重大な温度差があることがある。上記のように、半導体ウエハと計量デバイスとの重大な温度差が、重量測定に誤差をもたらすことがある。高精度の重量測定の場合、ごくわずかな温度差(例えば1℃未満、例えば0.001℃)によって生じる誤差であっても重大なことがある。
【0008】
国際特許公報第02/03449号には、測定用天秤の温度変化または測定される半導体ウエハの温度変化によって生じる測定出力の誤差を減らすことを狙いとする半導体ウエハ質量計測方法が記載されている。国際特許公報第02/03449号に記載されている方法では、半導体ウエハをフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)から取り除き、半導体ウエハ質量計測装置のチャンバに熱結合している受動型熱転写プレートに載せてから、半導体ウエハを半導体ウエハ質量計測装置の測定領域に配置する。受動型熱転写プレートは、半導体ウエハの温度をチャンバの温度と同等にしてその差を±0.1℃以内にする。この温度の同等により、半導体ウエハが測定チャンバの中にロードされたときに起こりうる上記の誤差が軽減される可能性がある。したがって、この方法により、測定を行う前に半導体ウエハの温度を同等にしない方法と比較して、測定出力がより精確になり得る。
【0009】
国際特許第2015/082874号には、国際特許公報第02/03449号に記載の半導体ウエハ質量計測方法を発展させたものが記載されており、半導体ウエハの温度を半導体ウエハ質量計測装置の温度と同等にして、半導体ウエハ質量計測装置の熱負荷を軽減するために(さもないと半導体ウエハ質量計測装置の温度が変化するおそれがある)熱転写プレートを用いる前に、半導体ウエハから熱負荷の大部分が除去される。国際特許第2015/082874号に開示されている一実施形態では、熱負荷の大部分が能動型熱転写プレートを用いて半導体ウエハから除去され、その後、半導体ウエハの温度は、測定チャンバの上面に取り付けられている受動型熱転写プレートを用いて測定チャンバの温度と同等にされ、測定チャンバと熱平衡の状態になる。
【発明の概要】
【0010】
熱転写プレート、例えば能動型熱転写プレートを用いて半導体ウエハを冷却する場合、半導体ウエハは、通常、熱転写プレートの最上部に載せることによって熱転写プレートと接触させて配置される。
【0011】
通常、半導体ウエハは、最初の進入温度が所定温度分布内にある半導体ウエハをすべて冷却して実質的に同じ所定温度することを確実にするのに十分であると考えられる一定期間にわたって熱転写プレートと接触した状態で配置される。例えば、すべての半導体ウエハを40秒の一定期間にわたって能動型熱転写プレート上に載せてよい。
【0012】
しかしながら、これは、半導体ウエハを所定温度まで冷却するのに実際に必要な期間よりも長い期間にわたって低温の半導体ウエハを熱転写プレートと接触させて配置するということである。したがって、これによって半導体ウエハ処理の処理量が低下し、半導体ウエハ処理の生産性が低下する。特に、半導体ウエハを冷却する工程は、半導体ウエハ処理の速度を制限する工程となる可能性があり、それにより、半導体ウエハの冷却時間が長くなると、必然的に半導体ウエハ処理の合計時間が長くなるため、処理量が低下し、生産性が低下する。
【0013】
本発明者らが気づいたことは、半導体ウエハ処理の処理量および生産性は、半導体ウエハを冷却する際に半導体ウエハの最初の進入温度を考慮することによって改善される可能性があり、例えばそれによって、低温の半導体ウエハを高温の半導体ウエハと同じだけ長く冷却しないか、例えば半導体ウエハを、温度がすでに所定温度と等しいか所定温度の所定範囲内である場合は一切冷却しないということである。
【0014】
さらに一般には、半導体ウエハ処理のその他の状況で、半導体ウエハの処理を実行する前に進入する半導体ウエハの温度を所定温度に制御する必要がある場合にも同じ検討が当てはまる。
【0015】
したがって、最も一般には、本発明は、半導体ウエハの冷却または加熱を半導体ウエハの進入温度に基づいて少なくとも部分的に制御する方法を提供する。このような方法は、半導体ウエハ計測方法などの半導体処理方法の一部として実施できるものである。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、半導体ウエハの温度を制御する方法であって、本方法は、
半導体ウエハの温度に関する情報を検知すること;および
半導体ウエハの温度に関して検知した情報に基づいて半導体ウエハの冷却または加熱を制御すること
を含む、方法が提供される。
【0017】
本発明の第1の態様では、半導体ウエハの冷却または加熱は、半導体ウエハの温度に関する情報に基づいて制御される。これはつまり、半導体ウエハの温度は、半導体ウエハの冷却または加熱を行う際に考慮され、それによって低温の半導体ウエハを高温の半導体ウエハとは別に冷却または加熱できるということである。そのため、半導体ウエハの冷却または加熱は、半導体ウエハの温度に対して最適化でき、それによって処理量および生産性を改善できる。半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、例えば半導体ウエハの温度がすでに所望温度と等しいか所望温度の所定範囲内である場合に、半導体ウエハを冷却または加熱しないと判断することを含んでいてよい。換言すると、半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、半導体ウエハを冷却または加熱する継続時間をゼロに設定することを含んでいてよく、それによって半導体ウエハの冷却または加熱は行われない。
【0018】
本発明の第1の態様は、以下の任意選択の特徴をいずれか1つ、または適合性がある場合はその組み合わせを任意選択で含んでいてよい。
【0019】
通常、半導体ウエハの温度は、半導体ウエハの進入温度であり、半導体ウエハの冷却または加熱が行われる場合は、例えば半導体ウエハの冷却または加熱が開始されてまもなく、または開始(直)前の半導体ウエハの温度である。例えば、半導体ウエハの温度は、半導体ウエハの冷却または加熱が行われる場合、半導体ウエハの冷却または加熱前の1分未満、または30秒未満、または10秒未満に測定されてよい。
【0020】
通常、半導体ウエハの温度は、半導体ウエハの冷却または加熱が行われる予定の場合、半導体ウエハの冷却または加熱が開始される前の3秒未満、例えばウエハが熱転写プレートに載せられる前の3秒未満に測定される。すると、測定された温度は、半導体ウエハの冷却または加熱が行われる場合、半導体ウエハの冷却または加熱が開始される時の半導体ウエハの温度と精確に一致する。
【0021】
半導体ウエハの温度に関する情報は、半導体ウエハの実際の温度であってよい。あるいは、その情報は、半導体ウエハの実際の温度を示す、または表す、または比例する情報、例えば半導体ウエハによって放出される赤外(IR)放射線の量であってよい。
【0022】
半導体ウエハの温度に関する情報を検知することは、通常、半導体ウエハの温度に関する情報を測定すること、例えば半導体ウエハによって放出されるIR放射線の量を測定することを意味する。
【0023】
半導体ウエハの温度に関する情報は、非接触式の測定方法を用いて検知されてよい。
【0024】
例えば、半導体ウエハの温度に関する情報を測定することは、半導体ウエハによって放出される放射線、例えばIR放射線を検知することを含んでいてよい。通常、本方法は、半導体ウエハによって放出される放射線の量を測定することが必要となる。半導体ウエハによって放出されるIR放射線の量は半導体ウエハの温度によって異なるため、半導体ウエハによって放出されるIR放射線の量は、半導体ウエハの温度を指す。
【0025】
当然ながら、半導体ウエハの温度に関する情報は、別の方法で測定されてよい。
【0026】
例えば、半導体ウエハの温度に関する情報は、代わりに、接触式の方法を用いて、例えば温度センサを半導体ウエハと接触させることによって測定されてよい。
【0027】
いくつかの例では、半導体ウエハの温度に関する情報を測定することは、半導体ウエハと熱接触しているものの温度、例えば半導体ウエハを搬送するのに使用されるロボットアームのエンドエフェクタの温度に関する情報を測定することを含んでいてよい。この情報は、赤外放射線の量を測定するなどの非接触式の方法を用いて取得されてよい。
【0028】
いくつかの例では、非接触式の温度測定デバイスを、半導体ウエハを搬送するのに使用されるロボットアームまたはロボットアームのエンドエフェクタに埋め込んでよい。
【0029】
いくつかの例では、非接触式の測定は、サーモグラフィカメラを用いて行われてよい。
【0030】
当然ながら、半導体ウエハの温度に関する情報を得る方法の組み合わせまたは2つ以上の方法を本発明で用いてよく、例えば接触式の方法と非接触式の方法を組み合わせて用いてよい。
【0031】
半導体ウエハの冷却または加熱は、半導体ウエハの温度のみに左右される方法で制御されてよく、それによって半導体ウエハのそれぞれ異なる温度に対しては別々の冷却または加熱の制御が行われる。
【0032】
あるいは、本方法は、半導体ウエハの温度に関して検知された情報を1つ以上の閾値と比較すること、および比較結果に基づいて半導体ウエハの冷却または加熱を制御することを含んでいてよい。
【0033】
例えば、温度が閾値よりも大きい(または閾値以上)である半導体ウエハは、冷却または加熱を第1の方法で制御させてよく、温度が閾値よりも小さい(または閾値以下)である半導体ウエハは、冷却または加熱を第2の方法で制御させてよい。
【0034】
したがって、本質的には、半導体ウエハは、「低温」または「高温」のいずれかのカテゴリに分類されてよく、その後、半導体ウエハの加熱または冷却は、この分類に基づいて制御されてよい。例えば、半導体ウエハの冷却を制御する場合、「低温」カテゴリにあるウエハを「高温」カテゴリにあるウエハよりも短い時間にわたって冷却してもよいし、「低温」カテゴリにあるウエハを一切冷却しなくてもよい。すなわち「低温」カテゴリのウエハの冷却を飛ばしてよく、「高温」カテゴリにあるウエハに対して冷却を行う。
【0035】
さらに一般には、半導体ウエハは、「常温」または「非常温」であると分類されてよい。
【0036】
例えば、本方法は、半導体ウエハの温度に関して検知した情報を閾値と比較すること;比較結果に基づいて、半導体ウエハを複数のカテゴリに分類すること;および分類結果に基づいて半導体ウエハの冷却または加熱を制御することを含んでいてよい。
【0037】
半導体ウエハから放出される赤外放射線の量は、半導体ウエハの何らかのコーティングに著しく影響されることがある。特に、シリコンは、赤外線波長に対して本質的に透明であるのに対し、通常半導体ウエハに塗布されるコーティングは、赤外線波長に対して通常は透明ではなく、代わりに通常は度合いの異なる赤外線放射率を有する。したがって、閾値は、測定される半導体ウエハの特定の構成、例えば半導体ウエハの何らかの表面コーティングを考慮して算出されてよい。
【0038】
このような閾値は、半導体ウエハの様々な温度に対して特定の構成(例えば特定の表面コーティング)を有する半導体ウエハからIR信号を測定することによって実験で算出できる。あるいは、このような閾値を論理に基づいて計算してもよい。
【0039】
さらに一般には、閾値は、半導体ウエハに通常使用される複数のコーティングの赤外線放射率に基づいて、例えば平均値に基づいて、または最小値または最大値に基づいて事前に算出されてよい。
【0040】
カテゴリの数は、上記で考察した「低温」または「高温」のカテゴリのように2つとすることもできるし、2つより多くすることもできる。実際には、可能なカテゴリの数は、どのような数にもできる。
【0041】
通常、一つひとつのカテゴリが、半導体ウエハの加熱または冷却を制御する特定の方法に一意に対応しており、それによって異なるカテゴリの半導体ウエハが互いに別々に冷却または加熱される。半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、半導体ウエハを冷却または加熱する継続時間を制御することを含んでいてよい。半導体ウエハの温度が所望温度、例えば周囲温度または測定チャンバの温度と等しい場合、半導体ウエハの量または半導体ウエハの冷却または加熱は、ゼロになるように制御されてよく、それによって半導体ウエハの加熱も冷却も行われない。したがって、半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間をゼロになるように制御してよい。
【0042】
半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、測定した半導体ウエハの温度と所定温度、例えば測定領域の温度、例えば測定チャンバの温度との温度差が±2K未満、または±1K未満、または±0.5K未満、または±0.1K未満であれば、利用可能な冷却または加熱の工程を飛ばすことを含んでいてよい。
【0043】
例えば、これは、半導体ウエハが熱転写プレートなどの加熱または冷却部分と接触している継続時間を制御することを含んでいてよい。
【0044】
それに代えて、またはそれに加えて、これは、半導体ウエハを加熱または冷却するのに使用する電力式の加熱または冷却部分、例えば抵抗性ヒータまたはペルティエデバイスに電気を供給する継続時間を制御することを含んでいてよい。
【0045】
例えば、半導体ウエハを冷却する場合、低温のウエハを高温のウエハよりも短い時間にわたって冷却できる。逆に、半導体ウエハを加熱する場合、高温のウエハを低温のウエハよりも短い時間にわたって加熱できる。そのため、処理量および生産性を改善できる。あるいは、半導体ウエハの冷却または加熱を飛ばしてもよく、それによって冷却または加熱は行われず、その場合、半導体ウエハの温度は、所望温度と等しいか、所望温度の所定範囲内である。
【0046】
それに代えて、またはそれに加えて、半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、半導体ウエハの冷却または加熱の速度を制御することを含んでいてよい。半導体ウエハの温度が所望温度と等しいか、所望温度の所定範囲内である場合、冷却または加熱の速度は、ゼロになるように制御されてよく、それによって冷却または加熱は行われない。
【0047】
冷却または加熱の速度は、温度変化を温度変化が起きている時間で割ったものを指す。したがって、冷却または加熱の速度が高いほど、温度変化が速いことになる。
【0048】
例えば、半導体ウエハを冷却する場合、高温のウエハを冷却するのにかかる時間を短縮するために、高温のウエハを低温のウエハよりも速い速度で冷却できる。逆に、半導体ウエハを加熱する場合、低温のウエハを加熱するのにかかる時間を短縮するために、低温のウエハを高温のウエハよりも速い速度で加熱できる。そのため、処理量および生産性を改善できる。
【0049】
半導体ウエハは、受動型の冷却または加熱デバイス、例えば受動型熱転写プレート、または能動型の冷却または加熱デバイス、例えば能動型熱転写プレートを用いて冷却されてよい。
【0050】
この文脈では、「受動型」は、冷却または加熱デバイスが冷却/加熱要素を介して冷却されたり加熱されたりするのではなく、周りの周囲環境のみから温度を受けることを意味する。
【0051】
受動型熱転写プレートとは、通常、熱質量が高く、かつ/または熱伝導率が高い材料のプレートまたはブロックである。
【0052】
例えば、受動型熱転写プレートは、アルミニウムなどの金属のプレートまたはブロックであってよい。
【0053】
加熱または冷却が受動型熱転写プレートを用いて行われる場合、受動型熱転写プレートは、あとで半導体ウエハが処理される処理チャンバ、例えば計測装置の測定チャンバと実質的に熱平衡状態であってよい(熱平衡は、温度差が0.1℃未満であることを意味してよい)。例えば、受動型熱転写プレートは、例えば熱伝導率の高いボルトを用いて処理/測定チャンバの外面に取り付けられてよい。
【0054】
逆に、「能動型」は、冷却または加熱デバイスが電力による加熱または冷却デバイスで加熱または冷却されることを意味する。
【0055】
例えば、半導体ウエハは、ペルティエデバイスを用いて冷却されるか、または抵抗性加熱デバイスを用いて加熱されてよい。
【0056】
代わりに、半導体ウエハの加熱は、例えば電気ヒータを用いて達成されてよい。
【0057】
代わりに、半導体ウエハの冷却は、例えば冷蔵システム、または水冷却システムを用いて達成されてよい。
【0058】
しかしながら、通常は熱転写プレートを用いることで半導体ウエハの冷却または加熱をより精確にできる。
【0059】
能動型熱転写プレートは、1つ以上の電力式の冷却または加熱デバイスで加熱または冷却される、熱質量が高くかつ/または熱伝導率が高い材料のプレートまたはブロックを含んでいてよい。例えば、材料のプレートまたはブロックは、アルミニウムなどの金属のプレートまたはブロックであってよい。
【0060】
半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、電力式の冷却または加熱デバイスの電力を制御することを含んでいてよい。電力式の冷却または加熱デバイスの電力を上げることは、通常、冷却または加熱デバイスによってもたらされる半導体ウエハの冷却または加熱の速度を上げることに相当し、電力式の冷却または加熱デバイスの電力を下げることは、通常、冷却または加熱デバイスによってもたらされる半導体ウエハの冷却または加熱の速度を下げることに相当する。電力式の冷却または加熱デバイスの電力を制御することは、電力式の冷却または加熱デバイスに供給される電力、または同デバイスが使用する電力を制御することを含んでいてよい。半導体ウエハの温度が所望温度と等しいか、所望温度の所定範囲内である場合、電力式の冷却または加熱デバイスの電力は、ゼロになるように制御されてよい。
【0061】
本発明の第1の態様による半導体ウエハの温度を制御する方法は、半導体ウエハが処理される半導体ウエハ処理方法の一部であってよい。
【0062】
したがって、本発明によれば、本発明の第1の態様の方法を用いて半導体ウエハの温度を制御すること;および続いて半導体ウエハを半導体ウエハ処理装置の処理領域の上にロードすることを含む半導体ウエハ処理方法が提供されてよい。
【0063】
このような処理方法では、半導体ウエハの温度は、所定処理温度と実質的に等しくなるように制御されてよく、この処理温度は、半導体ウエハの処理を行うための半導体ウエハの所望温度である。これは、上記で考察した受動型または能動型の冷却を用いて、例えば上記で考察した受動型または能動型の熱転写プレートを用いて達成されてよい。
【0064】
あるいは、半導体ウエハの温度は、最初に、所定処理温度の±2K以内、または±1K以内、または±0.5K以内、または±0.1K以内である温度になるように制御されてよく、本方法は、次に、実質的に所定の処理温度になるように半導体ウエハを冷却または加熱するさらに別の工程をさらに含んでいてよい。そのため、半導体ウエハを冷却または加熱して所定の処理温度にするのは、2工程の冷却または加熱プロセスであってよい。
【0065】
例えば、本発明の第1の態様による方法は、能動型冷却部分を用いて半導体ウエハの冷却または加熱を制御し、その後、続いて半導体ウエハを処置する予定の処理チャンバと実質的に熱平衡状態にある受動型冷却部分などの受動型冷却部分(例えば上記で考察した受動型熱転写プレート)を用いて半導体ウエハの冷却または加熱を制御することを含んでいてよい。
【0066】
半導体ウエハの進入温度が所定の処理温度と等しいか、所定の処理温度の所定範囲内である場合、能動型冷却部分を用いて半導体ウエハを冷却または加熱することを飛ばしてよく、代わりに、半導体ウエハは、受動型冷却部分のみを用いて冷却または加熱されてよい。これによって半導体ウエハの処理量が著しく上昇する。
【0067】
本処理方法は、計測方法、例えば質量計測方法であってよい。
【0068】
具体的な例では、処理方法は、本発明の第1の態様の方法を用いて半導体の温度を制御すること;および続いて半導体ウエハ質量計測装置の測定領域の上に半導体ウエハをロードすることを含む半導体ウエハ質量計測方法であってよい。
【0069】
このような質量計測方法では、半導体ウエハの温度は、1工程の加熱または冷却プロセスか、上記で考察した2工程の冷却または加熱プロセスのいずれかを用いて、半導体ウエハ質量計測装置の測定領域の温度と等しくなるように制御される。本発明の第1の態様の方法は、2工程冷却プロセスの2工程のうちのいずれか一方または両方に適用されてよい。
【0070】
測定領域は、測定チャンバの内部であってよく、半導体ウエハの温度は、測定チャンバの温度と実質的に等しくなるように、または測定チャンバの温度の±2K以内、または±1K以内、または±0.5K以内、または±0.1K以内となるように制御されてよい。
【0071】
本発明の第2の態様によれば、半導体ウエハの温度を制御する装置であって、装置は、
半導体ウエハを冷却または加熱するための冷却または加熱部分;および
半導体ウエハの温度に関して検知した情報に基づいて、冷却または加熱部分によって半導体ウエハの冷却または加熱を制御するように構成されたコントローラ
を含む、装置が提供される。
【0072】
適合性がある場合、本発明の第2の態様は、上記で考察した本発明の第1の態様の特徴のいずれかを含んでいてよい。
【0073】
これらの特徴が方法の工程に関するものである場合、コントローラは、方法の工程を実施するために装置を制御するように構成されてよい。
【0074】
それに加えて、またはそれに代えて、本発明の第2の態様は、以下の任意選択の特徴をいずれか1つ、または適合性がある場合はその組み合わせを含んでいてよい。
【0075】
コントローラは、半導体ウエハの温度に関して検知した情報を閾値と比較するように;かつ半導体ウエハの冷却または加熱を比較結果に基づいて制御するように構成されてよい。
【0076】
コントローラは、半導体ウエハの温度に関して検知した情報を閾値と比較するように;比較結果に基づいて、半導体ウエハを複数のカテゴリに分類するように;かつ分類結果に基づいて半導体ウエハの冷却または加熱を制御するように構成されてよい。
【0077】
コントローラは、半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を制御するように構成されてよい。半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を制御することは、半導体ウエハの冷却または加熱を行わないと判断することを含んでいてよく、それによって半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間はゼロになる。
【0078】
例えば、冷却または加熱部分が電力式の冷却または加熱部分である場合、半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を制御することは、冷却または加熱部分に電力が供給される継続時間を制御することを含んでいてよい。
【0079】
例えば、コントローラは、冷却または加熱部分の冷却または加熱速度を制御するように構成されてよい。半導体ウエハの冷却または加熱の速度を制御することは、半導体ウエハの冷却または加熱を行わないと判断することを含んでいてよく、それによって半導体ウエハの冷却または加熱の速度はゼロになる。
【0080】
あるいは、半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を制御することは、半導体ウエハが冷却または加熱部分と接触している継続時間を制御することを含んでいてよい。
【0081】
例えば、装置は、冷却または加熱部分の上に半導体ウエハをロードする/冷却または加熱部分から半導体ウエハをアンロードするために、1つ以上の搬送部分(例えば1つ以上のエンドエフェクタを有する1つ以上のロボットアーム)を備えていてよく、コントローラは、半導体ウエハが冷却または加熱部分の上に必要な継続時間にわたってロードされるように半導体ウエハのロード/アンロード時間を制御してよい。
【0082】
冷却または加熱部分は、電力式の冷却または加熱デバイスを備えていてよい。
【0083】
コントローラは、電力式の冷却または加熱デバイスの電力を制御するように構成されてよい。
【0084】
上記で考察したように、冷却または加熱部分は、受動型熱転写プレートまたは能動型熱転写プレートであってよい。
【0085】
装置は、半導体ウエハの温度に関する情報を、例えば半導体ウエハによって放出される放射線の量を測定することによって検知するように構成された検知器を備えていてよい。
【0086】
検知器は、半導体ウエハが冷却または加熱部分にロードされる前に半導体ウエハの温度に関する情報を検知するように構成されてよい。半導体ウエハの温度がすでに所定温度の所定範囲内であれば、半導体ウエハの冷却または加熱を行わないと判断してよいため、これは有利であり、その場合、半導体ウエハは冷却または加熱部分の上にロードされない。
【0087】
あるいは、検知器は、半導体ウエハが冷却または加熱部分にロードされたとき、またはロードされている間に半導体ウエハの温度に関する情報を検知するように構成されてよい。
【0088】
ただし、検知器は、別個に装置に設けられてよく、その場合、本発明は代わりに、本発明の第2の態様による装置を備えているシステム、および半導体ウエハの温度に関する情報を検知するように構成された検知器を提供してよい。
【0089】
検知器は、半導体ウエハからの赤外放射線を検知するための赤外線検知器を含んでいてよい。通常、半導体ウエハによって放出される赤外放射線の量は、測定され、半導体ウエハの温度の質(他の測定値との比較による)または量(計算による)の指標を出すために使用される。
【0090】
装置は、半導体ウエハの1つ以上の特徴を測定または変更するために半導体ウエハを処理できる処理領域をさらに含んでいる半導体ウエハ処理装置であってよい。
【0091】
装置は、半導体ウエハの重量および/または質量、または半導体ウエハの重量および/または質量の変化を算出できる測定領域をさらに含んでいる半導体ウエハ質量計測装置であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
ここで、添付の図面を参照して、単なる例示として本発明の実施形態を考察する。
図1】本発明の第1の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
好適な実施形態の詳細な説明および本発明のその他の任意選択の特徴
図1は、本発明の第1の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置を示している。半導体ウエハ質量計測装置は、半導体ウエハを受け入れる計量皿3を有する計量秤1を備えている。計量秤1は、計量皿3にロードされた半導体ウエハの重量を示す測定出力を提供するように構成される。
【0094】
計量秤1は、計量チャンバ5の中に位置しており、計量チャンバは、例えば計量秤の周りの空気の空気密度、空気圧および空気温度を実質的に均一に維持し、通風を防止して電磁シールドを実現するために、計量秤1の周囲に閉じ込め環境を形成する。計量チャンバ5は、例えば計量チャンバ5の側壁にある適切なサイズのスロットなどの開口(図示せず)を有して、半導体ウエハを例えばロボットアームを介して計量チャンバ5の中に搬送して計量皿3に載せられるようにする。使用していないとき、開口は、開くようになっている扉またはカバー(図示せず)で覆われ、計量秤1を用いて測定するときに計量チャンバ5を実質的に閉じるかシールできるようにしてよい。
【0095】
計量チャンバ5の最上部には、受動型熱転写プレート7を載せる。受動型熱転写プレート7は、熱伝導率が良好な一塊の材料(例えばAl)を含む。受動型熱転写プレートは、受動型熱転写プレートが熱を受けたときに温度がゆっくりわずかに変化するように熱質量も高く、受動型熱転写プレートの上面全体にわたって実質的に均一な温度を維持するように横方向の熱伝導率も良好であることが好ましい。この実施形態では、受動型熱転写プレート7は、アルミニウムで作製されるが、他の実施形態では、熱伝導率が良好なその他の任意の材料を使用してよい。
【0096】
受動型熱転写プレート7は、受動型熱転写プレート7と計量チャンバ5との間に良好な熱接触があるように計量チャンバ5の最上部に直接載せられる。受動型熱転写プレート7は、計量チャンバ5と直接物理的に接触している状態である。受動型熱転写プレート7は、例えば1つ以上のボルト(図示せず)および/または熱伝導性の接着層(図示せず)を用いて計量チャンバ5に取り付けられるか固定されてよい。
【0097】
受動型熱転写プレート7と計量チャンバ5との間の熱接触が良好である結果、受動型熱転写プレート7は、計量チャンバ5と実質的に熱平衡の状態にあってよく、したがって、計量チャンバ5と実質的に同じ温度であってよい。計量秤1は、同じく計量チャンバ5と実質的に熱平衡の状態にあってよく、したがって、同じく計量チャンバ5と実質的に同じ温度であってよい。このように、受動型熱転写プレート7は、計量秤1と実質的に熱平衡の状態にあってよく、したがって、計量秤1と実質的に同じ温度であってよい。
【0098】
計量秤1および計量皿3は、半導体ウエハ質量計測装置の測定領域を含むものとみなしてよい。あるいは、計量チャンバ5は、半導体ウエハ質量計測装置の測定領域を含むものとみなしてよい。
【0099】
図1の半導体ウエハ質量計測装置はさらに、能動型熱転写プレート9、IRセンサ10、およびコントローラ12を備え、これらについて以下でさらに詳細に考察する。
【0100】
能動型熱転写プレート9の下面に複数のペルティエデバイス11を装着する。各ペルティエデバイス11は、その下面にヒートシンク13が装着されている。ペルティエデバイス11およびヒートシンク13から熱を取り除くために熱転写プレート9の下面の下の領域17に気流15を提供できる。もちろん、気流の構成は、図1に示したものと異なっていてよく、例えば空気がファンによって領域17の下から吹き出してもよい。
【0101】
図1では、能動型熱転写プレート9は、計量チャンバ5の右手側に配置されているのが示されている。しかしながら、他の実施形態では、能動型熱転写プレート9をこれとは異なるように配置でき、例えば異なる側に、計量チャンバ5の上または下、あるいは図1で示したよりも計量チャンバ5の近くまたは遠くに離して配置できる。他の実施形態では、能動型熱転写プレート9は、受動型熱転写プレート7に直接または間接的に装着または接続されてよい。
【0102】
使用時には、ウエハ搬送機、例えばEFEMのロボットアームのエンドエフェクタを使用して半導体ウエハをFOUP(図示せず)から、あるいは別の処理装置(図示せず)から取り除き、半導体ウエハを能動型熱転写プレート9まで搬送し、半導体ウエハを能動型熱転写プレート9上に配置する。半導体ウエハをFOUP(または他の処理装置)から取り除くとき、半導体ウエハの温度はおよそ70℃であることがある。例えば、半導体ウエハは、半導体デバイス製造ラインの処理ステーションで処理されていることがあり、半導体ウエハがFOUPにロードされる前にこの処理で半導体ウエハが400~500℃の温度に加熱されていることがある。
【0103】
半導体ウエハが能動型熱転写プレート9上に配置されると、半導体ウエハの温度が下がるように半導体ウエハから能動型熱転写プレート9に熱が伝導される。通常、半導体ウエハは、半導体ウエハと能動型熱転写プレート9とが熱均衡に達するように(例えば実質的に同じ温度になるように)、能動型熱転写プレート9上に十分長時間にわたって置かれる。以下で考察するように、この実施形態では、能動型熱転写プレート9を介した半導体ウエハの冷却は、IRセンサ10が測定した半導体ウエハの進入温度に基づいてコントローラ12によって制御される。以下で考察するように、場合によっては、能動型熱転写プレート9を介した半導体ウエハの冷却は行われないことがあり、その場合、半導体ウエハは、能動型熱転写プレート9に載せられないことがある。
【0104】
半導体ウエハから能動型熱転写プレート9への熱の転写は、能動型熱転写プレート9の温度を上げるように作用する。その場合、半導体ウエハと能動型熱転写プレート9との熱平衡温度は、半導体ウエハの所望温度とは異なることがある。半導体ウエハからの熱負荷によって能動型熱転写プレート9の温度が上昇するのを防止するために、能動型熱転写プレート9は、半導体ウエハから取り除いた熱負荷を能動的に散逸させるように動作可能である。特に、ペルティエデバイス11は、能動型熱転写プレート9から能動的に熱を取り除くように動作する。換言すると、ペルティエデバイス11に電力を供給して、ペルティエデバイスが、能動型熱転写プレート9と接触しているペルティエデバイスの上面からヒートシンク13が装着されている下面に熱を転写する能動ヒートポンプとして機能するようにする。
【0105】
ペルティエデバイス11およびヒートシンク13から熱を取り除くために、ペルティエデバイス11およびヒートシンク13が配置されている能動型熱転写プレート9の下の領域17には気流15が提供される。したがって、能動型熱転写プレート9を用いて半導体ウエハから取り除かれた熱は、気流15によって半導体ウエハ質量計測装置の計量チャンバ5から搬送され、散逸し、それによってこの熱は、半導体ウエハ質量計測装置の温度には影響しなくなる。気流15は、例えば領域17内または同領域の縁に置かれた1つ以上のファンによって発生してよい。換言すると、熱は能動型熱転写プレート9から能動的に散逸する。
【0106】
上記のように、能動型熱転写プレート9から能動的に熱を散逸させることで、能動型熱転写プレート9に熱が蓄積されるのを防止する。熱が蓄積されると、熱転写プレート9の温度が上昇する原因となる。この実施形態では、半導体ウエハから取り除かれた熱は、能動型熱転写プレート9によって散逸されることで効果的/効率的に処理される。これによって半導体ウエハの温度を、熱転写プレート9を用いてより正確に/精密に制御することが可能になり得る。
【0107】
能動型熱転写プレート9は、半導体ウエハから熱負荷の大部分を取り除くように動作し、それによって半導体ウエハの温度は、計量皿3に載せられたときに半導体ウエハの所望温度近くまで下がる。能動型熱転写プレート9は、半導体ウエハの温度を所望温度まで下げるために取り除く必要のある熱の90%以上、または95%以上を取り除いてよい。別の言い方をすれば、能動型熱転写プレート9は、計量皿3に載せられたときに半導体ウエハの温度を最初の温度から所望温度に下げるのに必要な温度変化の90%以上、または95%以上を引き起こしてよい。
【0108】
この実施形態では、半導体ウエハの温度を計量チャンバ5の温度と実質的に一致させることが望まれ、それによって、半導体ウエハが計量皿3にロードされたとき、半導体ウエハと計量チャンバ5との温度差が実質的になくなる(したがって、実質的に半導体ウエハと計量秤1との温度差がなくなる)。この実施形態では、能動型熱転写プレート9は、半導体ウエハを計量チャンバ5の温度から±1℃以内に冷却し得る。例えば、計量チャンバの温度が20℃の場合、能動型熱転写プレート9は、半導体ウエハを(20±1)℃の温度に冷却し得る。ただし、他の実施形態では、最低限、能動型熱転写プレート9が半導体ウエハの必要な温度変化の50%以上、かつ好ましくは80%以上を実現するとすれば、能動型熱転写プレート9によってもたらされる冷却量はこれとは異なっていてよい。
【0109】
能動型熱転写プレート9を用いて半導体ウエハが所望温度に近い温度に冷却されると、半導体ウエハは、ウエハ搬送機を用いて受動型熱転写プレート7に搬送される。
【0110】
しかしながら、上記のように、半導体ウエハの温度が所望温度の所定範囲内、例えば計量チャンバ5の温度の所定範囲内である場合、能動型熱転写プレート9を用いて半導体ウエハを冷却する前に、能動型熱転写プレート9を用いて半導体ウエハを冷却することを飛ばすよう判断されてよく、代わりに半導体ウエハは、最初に能動型熱転写プレート9によって冷却されずに受動型熱転写プレート7まで搬送されてよい。
【0111】
上記で考察したように、半導体ウエハが受動型熱転写プレート7に載せられたとき、半導体ウエハと受動型熱転写プレート7との間には良好な熱接触がある。したがって、半導体ウエハは、半導体ウエハから受動型熱転写プレート7に熱が伝達されることによって冷却される。通常、半導体ウエハは、受動型熱転写プレート7と半導体ウエハとが実質的に熱平衡状態になるように十分な時間にわたって受動型熱転写プレート7に載せられ、それによって両者が実質的に同じ温度になる(すなわち半導体ウエハの温度は、受動型熱転写プレート7の温度と一致するか等しくなり、したがって、計量チャンバ5と一致するか等しくなる)。例えば、半導体ウエハは、最大60秒間にわたって熱転写プレート7に載せられてよい。
【0112】
半導体ウエハは、受動型熱転写プレート7に載せられる前に熱負荷の大部分が能動型熱転写プレート9によって既に取り除かれている(半導体ウエハの温度が所望温度の所定範囲内であったために能動型熱転写プレート9を用いた冷却を飛ばした場合を除く)。したがって、温度が同等になる過程での受動型熱転写プレート7への熱負荷は極めて小さく、したがって受動型熱転写プレート7および計量チャンバ5(熱質量が大きい)の温度は、温度が同等になる過程では実質的に一定のままである。さらに、半導体ウエハを受動型熱転写プレート7と熱平衡の状態にするために交換される熱は比較的少ない。
【0113】
半導体ウエハの温度が計量チャンバ5の温度と実質的に等しい場合(例えば半導体ウエハが所定時間にわたって熱転写プレート7上にある場合)、半導体ウエハは、ウエハ搬送機によって熱転写プレート7から計量皿3へ搬送される。計量秤1は、その後、半導体ウエハの重量を示す測定出力を提供するだめに使用される。半導体ウエハの温度は、実質的に計量チャンバの温度と一致しており、計量チャンバの温度は大幅に変化しないため(計量チャンバへの熱負荷は極めて小さいため)、測定出力のいかなる温度誤差も実質的にゼロとしてよい。例えば、計量チャンバ5内に発生する有意な対流はなく、半導体ウエハ上での浮力に有意な変化はなく(この浮力は計量チャンバ5内の空気が温められることで生じる)、計量皿3の上には半導体ウエハがあるため計量秤1に有意な温度変化(例えば温度上昇または温度の不均一性)はない。
【0114】
上記のように、本実施形態の半導体ウエハ質量計測装置は、IRセンサ10およびコントローラ12を含む。IRセンサ10およびコントローラ12は図面には概略的に描かれており、当然ながらその実際の構成および配置は図面に示したものとは異なる。
【0115】
IRセンサ10は、半導体ウエハが能動型熱転写プレート9に載せられる前に半導体ウエハによって放出される赤外(IR)放射線を測定するように配置される。半導体ウエハによって放出されるIR放射線を測定したものは、能動型熱転写プレート9に載せられる前の半導体ウエハの進入温度を示す。
【0116】
上記のように、通常、半導体ウエハは、半導体ウエハと能動型熱転写プレート9とが熱平衡に達するのに(例えば両者が実質的に同じ温度になるように)十分長い時間にわたって能動型熱転写プレート9に載せられる。以前これは、全部の半導体ウエハを同じ時間にわたって、例えば40秒間にわたって能動型熱転写プレート9に載せることによって達成されていた。しかしながら、本発明者は、これは、いくつかの低温の半導体ウエハを、半導体ウエハを能動型熱転写プレートと熱平衡状態にするのに実際に必要な時間よりも長く能動型熱転写プレート9に載せるという意味であることに気づいた。
【0117】
逆に、本発明では、コントローラ12は、能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却を、IRセンサが実施する測定に基づいて制御する。
【0118】
特に、コントローラ12は、IRセンサから測定結果を受け取るように、かつ能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却を受け取った測定結果に基づいて制御するように構成される。
【0119】
この実施形態では、コントローラ12は、能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却継続時間をIRセンサ10の測定結果に基づいて制御するように構成される。特に、コントローラ12は、低温の半導体ウエハ(測定したIRの強度が小さい)の冷却継続時間が高温の半導体ウエハ(測定したIRの強度が大きい)の冷却継続時間よりも短くなるように制御するように構成される。半導体ウエハの温度が所望温度(例えば計量チャンバ5の温度)と等しいか、所望温度の所定範囲内である場合、能動型熱転写プレートを用いて半導体ウエハを冷却しないと判断してよい。換言すると、能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却継続時間は、ゼロになるように制御されてよい。
【0120】
この実施形態では、コントローラ12は、進入する各々の半導体ウエハが「低温」か「高温」のいずれであるかをIRセンサ10の測定結果に基づいて分類し、かつ能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却継続時間をこの分類に基づいて制御するように構成される。
【0121】
当然ながら、他の実施形態では、コントローラ12は、さらに一般には、進入する各々の半導体ウエハが「常温」か「非常温」のいずれであるかをIRセンサ10の測定結果に基づいて分類するように構成されてよい。
【0122】
例えば、半導体ウエハのためにIRセンサ10で測定したIR放射線の強度は、所定閾値と比較されて、その強度が所定閾値よりも大きい(または所定閾値以上)かどうかを見てよい。強度が所定閾値よりも大きい(または所定閾値以上)である場合、半導体ウエハは「高温」と分類されてよく、そうでない場合は、半導体ウエハは「低温」と分類されてよい。
【0123】
「高温」と分類された半導体ウエハは、第1の継続時間にわたって冷却されてよく、「低温」と分類された半導体ウエハは、それよりも短い第2の継続時間にわたって冷却されてよく、この時間は例えばゼロであってよい(換言すると、「低温」のウエハは能動型熱転写プレート9で冷却されなくてよい)。例えば、すべての半導体ウエハを40秒間にわたって能動型熱転写プレート9で冷却する代わりに、例えば「高温」のウエハを40秒間冷却し、「低温」のウエハを30秒間冷却するのでもよい。このように、「高温」のウエハと「低温」のウエハとの混合物を冷却する合計冷却時間は短くなり、処理量および生産性が増す。
【0124】
当然ながら、3つ以上の分類があってもよく、最も高温の半導体ウエハは、冷却時間が「高温」ウエハよりも長い、例えば50秒である第3のカテゴリに分類されてよい。
【0125】
この実施形態では、能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却継続時間は、半導体ウエハが能動型熱転写プレート上にロードされる時間量を制御することによって制御される。そのため、コントローラ12は、能動型熱転写プレート9による半導体ウエハの冷却継続時間を適切に制御するために、半導体ウエハが能動型熱転写プレート9上にロードされる時間、および半導体ウエハが能動型熱転写プレート9からアンロードされる時間を制御してよい。上記のように、半導体ウエハが能動型熱転写プレート9上にロードされる時間量は、ゼロになるよう制御されてよい。
【0126】
他の実施形態では、コントローラ12は、この代わりに、またはこれに加えて、能動型熱転写プレート9の有効な冷却量を制御してよい。例えば、コントローラ12は、ペルティエデバイス11に供給される電力を制御して、ペルティエデバイスから提供される冷却率を変化させるようにしてもよい。
【0127】
代替実施形態では、半導体ウエハの冷却は、例えばIRセンサ10によるIRの測定結果と半導体ウエハの適切な冷却継続時間とを結び付ける関係性を用いて、IRセンサ10の測定結果のみに基づいて制御されてよい。このような関係性は、適切な実験によって事前に設定されてよい。
【0128】
あるいは、半導体ウエハは、例えばIRセンサ10の測定出力と複数の所定閾値とを比較することによって3つ以上のカテゴリに分類されてもよい。
【0129】
代替実施形態では、IRセンサ10およびコントローラ12は、その代わりに、またはそれに加えて、受動型熱転写プレート7用に設けられてよい。そのため、受動型熱転写プレート7による半導体ウエハの冷却は、IRセンサ10の測定に基づいてコントローラ12で制御されてよい。
【0130】
図2は、第2の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置を示している。第2の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置が第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態の受動型熱転写プレート7が省略されていることである。それ以外では、この実施形態のその他の特徴は、上記で考察した第1の実施形態の特徴と同じであってよいため、これらの特徴は再度詳細に説明しない。
【0131】
第2の実施形態では、半導体ウエハは、能動型熱転写プレート9から計量チャンバ5に直接搬送されてよい。
【0132】
この実施形態では、能動型熱転写プレート9は、半導体ウエハの温度を計量チャンバの温度5と実質的に一致させるように制御されることが好ましい。
【0133】
図3は、第3の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置を示している。第3の実施形態による半導体ウエハ質量計測装置が第1の実施形態と異なる点は、能動型熱転写プレート9が省略されていること、そして代わりにIRセンサ10およびコントローラ12が受動型熱転写プレート7のために設けられていることである。
【0134】
そのため、第3の実施形態では、IRセンサは、受動型熱転写プレート7上にロードされる前に半導体ウエハからのIR放射線を測定し、これは、受動型熱転写プレート7での半導体ウエハの進入温度を指している。
【0135】
次に、コントローラ12は、第1の実施形態に関して上記で考察した方法とほぼ同じ方法で、例えば半導体ウエハが受動型熱転写プレート7上にロードされている時間量を制御することによって、受動型熱転写プレート7による半導体ウエハの冷却継続時間を制御する。
【0136】
代替実施形態では、受動型熱転写プレート7は、計量チャンバ5に載せられなくてよく、代わりに別個に計量チャンバ5に提供されてよい。
【0137】
上記で考察した実施形態では、半導体ウエハの冷却は、IRセンサ10が検出した半導体ウエハからのIRの強度に基づいて制御される。
【0138】
いくつかの事例では、半導体ウエハは、半導体ウエハがある特定の温度である場合に半導体ウエハによって放出されるIRの強度に影響を与えることができる1つ以上のコーティングを有していてよい。
【0139】
したがって、本発明はさらに、半導体ウエハの特定の構成に対して、例えば半導体ウエハの何らかの表面コーティングのIR放出率を考慮に入れることによって、センサ10および/またはコントローラ12を較正することをさらに含んでいてよい。
【0140】
例えば、半導体ウエハを特定のカテゴリに分類するためにIRセンサ10の測定結果を所定閾値と比較した場合、その所定閾値は、測定される半導体ウエハの特定の構成、例えば半導体ウエハの何らかの表面コーティングを考慮して算出されてよい。
【0141】
このような所定値は、半導体ウエハの様々な温度に対して特定の構成(例えば特定の表面コーティング)を有する半導体ウエハからのIR信号を測定する実験で算出され得る。あるいは、このような所定値は、論理に基づいて計算されてもよい。
【0142】
表記の実施形態は、半導体ウエハの冷却に関するものである。しかしながら、他の実施形態では、代わりに能動型および/または受動型の熱転写プレートを用いて半導体ウエハを加熱してよい。
【0143】
上記の実施形態の能動型および/または受動型の熱転写プレートは、他の種類の冷却デバイスまたは加熱デバイスに置き換えられてよい。
【0144】
上記の実施形態は、半導体ウエハが計量秤の上にロードされている場合の半導体ウエハ質量計測に関する。ただし、他の実施形態は、半導体ウエハが別の種類の測定領域の上にロードされる他の種類の計測に関するものであってよく、またはさらに一般には、半導体ウエハが処理領域の上にロードされる他の種類の半導体ウエハ処理に関するものであってよい。また本開示は以下の形態として実現できる。
[形態1]
半導体ウエハ質量計測方法であって、
半導体ウエハの温度に関する情報を検知すること;および
前記半導体ウエハの温度に関して検知した前記情報に基づいて前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御すること;
によって前記半導体ウエハの温度を制御することを備え、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を制御すること;および
続いて前記半導体ウエハを半導体ウエハ質量計測装置の測定領域の上にロードすること
を含む、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの温度に関する前記情報は、非接触式の測定方法を用いて検知される、方法。
[形態3]
形態1または形態2に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの温度に関する前記情報を検知することは、前記半導体ウエハによって放出される放射線を検知することを含む、方法。
[形態4]
形態1~3のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法は、
前記半導体ウエハの温度に関して検知した前記情報を閾値と比較すること;および
前記半導体ウエハの冷却または加熱を比較結果に基づいて制御すること
を含む、方法。
[形態5]
形態1~4のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法は、
前記半導体ウエハの温度に関して検知した前記情報を閾値と比較すること;
比較結果に基づいて、前記半導体ウエハを複数のカテゴリのうちの1つに分類すること;および
前記半導体ウエハの冷却または加熱を分類結果に基づいて制御すること
を含む、方法。
[形態6]
形態1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記半導体ウエハの冷却または加熱の速度を制御することを含む、方法。
[形態7]
形態1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハは、電力式の冷却または加熱デバイスを用いて冷却または加熱される、方法。
[形態8]
形態7に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記冷却または加熱デバイスの電力を制御することを含む、方法。
[形態9]
形態1~8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、前記半導体ウエハの温度が所定温度と等しいか、所定温度の所定範囲内である場合に前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間がゼロになるように制御することを含む、方法。
[形態10]
形態1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ウエハの冷却または加熱を制御することは、測定した前記半導体ウエハの温度と所定温度との温度差が±2K未満、または±1K未満、または±0.5K未満、または±0.1K未満であれば、利用可能な冷却または加熱工程を飛ばすことを含む、方法。
[形態11]
形態1~10のいずれか一項に記載の半導体ウエハ質量計測方法であって、
前記測定領域は、測定チャンバの内部にあり;
前記半導体ウエハの温度は、前記測定チャンバの温度と実質的に等しいか、前記測定チャンバの温度の±2K以内、または±1K以内、または±0.5K以内、または±0.1K以内となるように制御される、方法。
[形態12]
半導体ウエハを冷却または加熱するための冷却または加熱部分;
前記半導体ウエハの温度に関して検知した情報に基づいて、冷却または加熱部分を介して半導体ウエハの冷却または加熱を制御するように構成されたコントローラ;および
測定領域;
を含む半導体ウエハ質量計測装置であって、
前記コントローラは、前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間を前記冷却または加熱部分によって制御するように構成される、装置。
[形態13]
形態12に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記半導体ウエハの温度に関して検知した前記情報を閾値と比較するように;かつ
前記半導体ウエハの冷却または加熱を比較結果に基づいて制御するように
構成される、装置。
[形態14]
形態12または形態13に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記半導体ウエハの温度に関して検知した前記情報を閾値と比較するように;
比較結果に基づいて、前記半導体ウエハを複数のカテゴリのうちの1つに分類するように;
前記半導体ウエハの冷却または加熱を分類結果に基づいて制御するように
構成される、装置。
[形態15]
形態12~14のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記半導体ウエハが前記冷却または加熱部分と接触している継続時間を制御するように構成される、装置。
[形態16]
形態12~15のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記冷却または加熱部分の冷却または加熱速度を制御するように構成される、装置。
[形態17]
形態12~16のいずれか一項に記載の装置であって、
前記冷却または加熱部分は、電力式の冷却または加熱デバイスを含む、装置。
[形態18]
形態17に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記電力式の冷却または加熱デバイスの電力を制御するように構成される、装置。
[形態19]
形態12~18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記半導体ウエハの温度が所定温度と等しいか、所定温度の所定範囲内である場合に前記半導体ウエハの冷却または加熱の継続時間がゼロになるように制御するように構成される、装置。
[形態20]
形態12~19のいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、測定した前記半導体ウエハの温度と所定温度との温度差が±2K未満、または±1K未満、または±0.5K未満、または±0.1K未満であれば、利用可能な冷却または加熱工程を飛ばすように構成される、装置。
[形態21]
形態12~20のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、前記半導体ウエハの温度に関する前記情報を検知するように構成された検知器を含む、装置。
[形態22]
形態12~20のいずれか一項に記載の装置;および
前記半導体ウエハの温度に関する前記情報を検知するように構成された検知器
を含むシステム。
[形態23]
形態21に記載の装置または形態22に記載のシステムであって、
前記検知器は、前記半導体ウエハからの赤外放射線を検知する赤外線検知器を含む、装置またはシステム。
[形態24]
形態12~21のいずれか一項に記載の装置であって、
前記装置は、測定領域をさらに含む半導体ウエハ質量計測装置である、装置。
図1
図2
図3