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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】フィルム加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20240701BHJP
   B23K 26/10 20060101ALI20240701BHJP
   B65H 23/02 20060101ALI20240701BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240701BHJP
【FI】
B23K26/10
B65H23/02
B23K26/00 G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021518406
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018713
(87)【国際公開番号】W WO2020226179
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019088469
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】会田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】功刀 俊介
(72)【発明者】
【氏名】真弓 聡
(72)【発明者】
【氏名】武田 直樹
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201209(JP,A)
【文献】特開昭56-052782(JP,A)
【文献】特開平01-028159(JP,A)
【文献】特開2001-072290(JP,A)
【文献】実開平01-088660(JP,U)
【文献】特開2016-016520(JP,A)
【文献】特開平01-246535(JP,A)
【文献】特開2001-036106(JP,A)
【文献】特開2012-61506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B65H 23/00-23/16
B65H 23/24-23/34
B65H 27/00
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/14
H01L 31/00-31/02
H01L 31/04-31/06
H01L 31/08-31/18
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式の搬送手段により長手方向に搬送されるフィルムの幅方向を、吸着ステージの吸着面に均一に吸着し、前記吸着面上で前記フィルムを加工するフィルム加工装置であって、
前記フィルムの幅方向の両端部を、前記フィルムの幅方向の中央部に対して相対的に鉛直下方に下げる逆反り冶具を有し、
前記フィルムは、モノシリック構造のフィルムデバイスに用いられる積層フィルムであり、前記積層フィルムは、金属箔または樹脂フィルム上に、電極層、半導体層または発電層が設けられた積層体であるフィルム加工装置。
【請求項2】
前記逆反り冶具は、前記フィルムと接触する面が鉛直上方に膨出するように湾曲した形状をなしている請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項3】
前記逆反り冶具は、前記フィルムを搬送する複数の搬送ローラーを含み、前記搬送ローラーは、前記フィルムの厚さ方向に沿って高さを調整可能に配置されている請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項4】
前記逆反り冶具は、前記フィルムを通過させるスリットを有する板状部材を含み、前記スリットが、鉛直上方に膨出するように湾曲した形状を有する請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項5】
前記逆反り冶具は、前記フィルムに気体を吹き付ける複数の気体吹付部を含む請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項6】
前記逆反り冶具は、前記フィルムの裏面側において、前記フィルムの幅方向の中央部を上方に押し上げる押上部材と、前記フィルムの表面側において、前記フィルムの幅方向の両端部を下方に押し下げる押下部材とを含む請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項7】
前記逆反り冶具は、前記フィルムの表面側において、前記フィルムの幅方向の両端部を、前記フィルムの幅方向に引っ張る引張部材を含む請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項8】
前記逆反り冶具は、前記フィルムをその幅方向の両端から挟み、かつ、前記両端に接するように配置され、前記フィルムの厚さ方向に沿って延在する複数のガイドローラーを含む請求項1に記載のフィルム加工装置。
【請求項9】
前記吸着ステージの吸着面と対向して配置され、前記フィルムの表面にレーザー光を照射し、前記フィルムの表面を加工するレーザー照射手段を有する請求項1~8のいずれか1項に記載のフィルム加工装置。
【請求項10】
ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式の搬送手段により長手方向に搬送されるフィルムを、吸着ステージの吸着面に吸着し、前記吸着面上で前記フィルムを加工するフィルム加工装置であって、
前記フィルムの幅方向の両端部を、前記フィルムの幅方向の中央部に対して相対的に鉛直下方に下げる逆反り冶具を有し、
前記逆反り冶具は、前記フィルムと接触する面が鉛直上方に膨出するように湾曲した形状をなしており、
前記逆反り冶具は、前記フィルムを搬送する複数の搬送ローラーを含み、前記搬送ローラーは、前記フィルムの厚さ方向に沿って高さを調整可能に配置されており、
前記複数の搬送ローラーの高さの差が、前記フィルムの搬送方向と鉛直方向の断面図において両端の搬送ローラーの中心軸同士を結ぶ直線を基準とした中央のローラーの中心軸の高さが、両端の搬送ローラーの中心軸間の距離の2/1000~50/1000である太陽電池用フィルム加工装置。
【請求項11】
前記吸着ステージの吸着面と対向して配置され、前記フィルムの表面にレーザー光を照射し、前記フィルムの表面を加工するレーザー照射手段を有する請求項10に記載の太陽電池用フィルム加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム加工装置に関する。
本願は、2019年5月8日に、日本に出願された特願2019-088469号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の電子機器において、薄型でかつ可撓性を有する部品が求められている。そのような部品を実現するためには、基材としてフィルムが用いられている。フィルムの表面には、目的とする機能を付与するために、種々の加工が施される。ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式でフィルムを搬送しながら、フィルムの表面を加工する場合には、フィルムの搬送を一時停止して、フィルムを平坦なステージ(加工台)上に固定する。このようなフィルムの加工方法としては、例えば、フィルムの一面側を外周面で支持するローラー状の支持手段に支持されたフィルムの他面側からレーザー光を照射して、フィルム基板の主面をパターニングする装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、フィルムをステージ上に固定する方法としては、例えば、真空吸着が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-27918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムに応力があり、フィルムが反っている(フィルムの幅方向の両端部がステージとは反対側に反っている)場合、ステージ上に大面積のフィルムを配置し、フィルムを真空吸着してステージ上に吸着(固定)する際に、フィルムの幅方向(フィルムの搬送方向(長手方向)に直交する方向)の中央部はステージに接するものの、フィルムの幅方向の両端部はステージから浮き上がる。従って、ステージにフィルムを真空吸着しようとしても、フィルムの幅方向の両端部がステージの吸着穴に密着せず、フィルムの幅方向の両端部を真空吸着できないという課題があった。
【0005】
ステージにフィルムの両端部を真空吸着できないと、ステージ上において、フィルムの平面度が低下し、フィルムの表面に対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができなかった。特に、前記フィルムが、フィルムデバイス等の半導体デバイスの基板である場合、フィルムの僅かな凹凸がデバイスの歩留まりの低下を招くこともあり、フィルムを平坦に保ったまま加工することを可能にする技術の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送するフィルムの反りを緩和して、フィルムをステージ上に均一に真空吸着することができるフィルム加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式の搬送手段により長手方向に搬送されるフィルムを、吸着ステージの吸着面に吸着し、前記吸着面上で前記フィルムを加工するフィルム加工装置であって、前記フィルムの幅方向の両端部を、前記フィルムの幅方向の中央部に対して相対的に鉛直下方に下げる逆反り冶具を有するフィルム加工装置。
[2]前記逆反り冶具は、前記フィルムと接触する面が鉛直上方に膨出するように湾曲した形状をなしている[1]に記載のフィルム加工装置。
[3]前記逆反り冶具は、前記フィルムを搬送する複数の搬送ローラーを含み、前記搬送ローラーは、前記フィルムの厚さ方向に沿って高さを調整可能に配置されている[1]に記載のフィルム加工装置。
[4]前記逆反り冶具は、前記フィルムを通過させるスリットを有する板状部材を含み、前記スリットが、鉛直上方に膨出するように湾曲した形状を有する[1]に記載のフィルム加工装置。
[5]前記逆反り冶具は、前記フィルムに気体を吹き付ける複数の気体吹付部を含む[1]に記載のフィルム加工装置。
[6]前記逆反り冶具は、前記フィルムの裏面側において、前記フィルムの幅方向の中央部を上方に押し上げる押上部材と、前記フィルムの表面側において、前記フィルムの幅方向の両端部を下方に押し下げる押下部材とを含む[1]に記載のフィルム加工装置。
[7]前記逆反り冶具は、前記フィルムの表面側において、前記フィルムの幅方向の両端部を、前記フィルムの幅方向に引っ張る引張部材を含む[1]に記載のフィルム加工装置。
[8]前記逆反り冶具は、前記フィルムをその幅方向の両端から挟み、かつ、前記両端に接するように配置され、前記フィルムの厚さ方向に沿って延在する複数のガイドローラーを含む[1]に記載のフィルム加工装置。
[9]前記吸着ステージの吸着面と対向して配置され、前記フィルムの表面にレーザー光を照射し、前記フィルムの表面を加工するレーザー照射手段を有する[1]~[8]のいずれかに記載のフィルム加工装置。
[10]フィルムデバイスに用いられるフィルム用である[1]~[9]のいずれかに記載のフィルム加工装置。
[11]モノシリック構造のフィルムデバイスに用いられるフィルム用である[1]~[9]のいずれかに記載のフィルム加工装置。
[12]太陽電池に用いられるフィルム用である[1]~[9]のいずれかに記載のフィルム加工装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送するフィルムの反りを緩和して、フィルムをステージ上に均一に真空吸着することができるフィルム加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示し、図1におけるフィルムの搬送方向と鉛直方向の断面図である。
図3】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示し、図1におけるフィルムの搬送方向と鉛直方向の断面図である。
図4】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図である。
図5】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示し、図1におけるフィルムの搬送方向と鉛直方向の側面図である。
図6】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。
図7】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。
図8】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。
図9】本発明を適用した一実施形態であるフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のフィルム加工装置の実施形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
(1)第1実施形態
[フィルム加工装置]
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルムを真空吸着する吸着ステージを備え、吸着ステージの吸着面にフィルムを吸着(固定)する装置である。
以下、図1および図2を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のフィルム加工装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1におけるフィルムの搬送方向(X方向)と鉛直方向の断面図である。なお、図1において、フィルムの長手方向に沿う矢印はフィルムの搬送方向を示す。
本実施形態のフィルム加工装置1は、吸着ステージ10と、レーザー照射手段20と、リニアガイド30と、搬送手段40とを備える。
【0013】
吸着ステージ10は、長尺のフィルム100の一部、すなわち、吸着ステージ10の吸着面10a上に配置されたフィルム100を真空吸着する。
吸着ステージ10は、天板と、底板と、天板と底板の間に介在する外枠とを有する。天板には、天板を厚さ方向に貫通する複数の吸引孔を有する。天板、底板および外枠で形成される内空間を、真空ポンプにより真空引きすることにより、天板にフィルム100を吸着する。
吸着ステージ10の大きさ、すなわち、吸着ステージ10の吸着面10aの面積は、フィルム100の幅に応じて適宜調整されるが、例えば、縦400mm×横400mmであることが好ましい。
【0014】
本実施形態のフィルム加工装置1は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、図2に示すような逆反り冶具60を有する。逆反り冶具60は板状の部材からなり、上面(吸着ステージ10の吸着面10a側の面)60aが上方に膨出するように湾曲している。すなわち、フィルム100の幅方向(Y方向)の断面において、逆反り冶具60の上面60aは両端から中央に向かうに従い、鉛直上方に膨出する円弧とされている。搬送中のフィルム100を、吸着ステージ10の前段にて、逆反り冶具60の上面60aに接触させて逆反りさせることにより、反りを緩和してから、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに配置する。
なお、本願発明において「鉛直上方に膨出するように湾曲した形状」とは、例えば、逆反り冶具は板状の部材からなる場合、その厚さ方向の断面が弧形であることを意味するが、具体的な形状については特に制限はなく、真円の弧であっても楕円の弧であってもよい。また、上記断面の中央部は直線状で、両端部のみが曲線状となっていてもよい。
また、「湾曲」の程度についても本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、例えば、孤の両端を結ぶ直線を基準とした孤の高さが、孤の幅の2/1000~50/1000であることが好ましく、5/1000~15/1000であることがより好ましい。
【0015】
逆反り冶具60の上面60aの形状は、図2に示すように湾曲していることが好ましいが、上面60aの中央部とその近傍が平坦(平面)の形状であってもよい。
【0016】
逆反り冶具60は、フィルム100の搬送方向において、少なくとも吸着ステージ10の前段に設けられていればよいが、吸着ステージ10の後段にも設けてもよい。すなわち、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段および後段にそれぞれ逆反り冶具60を設け、吸着ステージ10を挟んで、一対の逆反り冶具60に設けてもよい。なお、逆反り冶具60は、吸着ステージ10の前段または後段に設けられていればよい。吸着ステージ10の前段または後段に逆反り冶具60が設けられていれば、吸着ステージ10の幅方向の中央部において、フィルム100に平坦な部分ができるため、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を吸着し易くなる。
逆反り冶具60は、板状の部材に限らず、同様の形状をなすように配置されたガイドローラーであってもよい。
【0017】
レーザー照射手段20は、吸着ステージ10の吸着面10aと対向して配置され、フィルム100の表面100aにレーザー光を照射し、フィルム100の表面100aを加工する。
図1に示すように、レーザー照射手段20は、本体部21と、レーザー照射部22と、アライメントカメラ23とを有する。
本体部21は、レーザー発振器やレーザー光学系を備える。
レーザー照射部22は、レーザー発振器から発振されたレーザーを走査するガルバノスキャナ、レーザーの光路を曲げるミラー、レーザーを集光して照射するレンズ等を備える。
アライメントカメラ23は、フィルム100の表面(加工面)100aを撮影し、画像中から特定部位や印を見付けて、位置を検出し、レーザーを照射する位置を決める。
【0018】
リニアガイド30は、レーザー照射手段20を、図1に示すX方向またはY方向に直線的に移動させて、レーザー照射手段20を所定の位置に配置する。
リニアガイド30は、吸着ステージ10を、その吸着面10a側から跨ぐように配置されている。リニアガイド30は、門型の形状をなしている。リニアガイド30は、図1に示すX方向に移動可能となっている。これにより、レーザー照射手段20を、吸着ステージ10の吸着面10aに吸着されたフィルム100の表面100aのX方向における所定の位置に配置できる。
【0019】
レーザー照射手段20は、門型のリニアガイド30における吸着ステージ10の吸着面10aを跨ぐ部分の側面30aに設けられている。レーザー照射手段20は、側面30a上において、図1に示すY方向に移動可能となっている。これにより、レーザー照射手段20を、吸着ステージ10の吸着面10aに吸着されたフィルム100の表面100aのY方向における所定の位置に配置できる。
【0020】
搬送手段40は、フィルム100を巻き取る巻き取り用のロール41と、フィルム100を送り出す送り出し用のロール42とを有する。すなわち、搬送手段40は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式により、フィルム100を長手方向に搬送するフィルム搬送手段である。
【0021】
フィルム100は、搬送手段40によってステップ搬送される。詳細には、フィルム100は、搬送手段40によって、1度に、吸着ステージ10の吸着面10aのX方向の長さに相当する長さ分だけ搬送される。
【0022】
本実施形態のフィルム加工装置1は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、逆反り冶具60を有する。そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具60で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0023】
なお、本実施形態では、逆反り冶具60としては、上面60aが上方に膨出するように湾曲している板状の部材を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、逆反り冶具としてクラウンロールを用いてもよい。
また、本実施形態では、フィルム加工装置1がレーザー照射部22を有し、そのレーザー照射部22によりレーザー加工を施す場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明のフィルム加工装置では、吸着ステージの吸着面に吸着されたフィルムにフォトリソグラフィによる加工を施してもよい。
【0024】
[フィルムの加工方法]
本実施形態のフィルム加工装置1を用いたフィルムの加工方法を説明する。
搬送手段40により搬送されているフィルム100を、逆反り冶具60の上面60aに接触させて逆反りさせる。
次いで、搬送手段40により、フィルム100を所定の長さ搬送して、吸着ステージ10の吸着面10a上に、フィルム100の加工対象領域を配置する。
次いで、図示しない真空ポンプにより、吸着ステージ10の内空間を真空引きすることにより、内空間内を負圧にして、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を吸着する。
次いで、リニアガイド30により、吸着ステージ10の吸着面10aに吸着したフィルム100の所定の位置にレーザー照射手段20のレーザー照射部22を配置するとともに、レーザー照射部22からフィルム100の表面100aにレーザーを照射して、レーザー加工を施す。
加工が終了した後、搬送手段40により、フィルム100を所定の長さ搬送して、吸着ステージ10の吸着面10a上に、未加工のフィルム100の加工対象領域を配置する。
なお、吸着ステージ10の吸着面10a上に配置されるフィルム100は、吸着ステージ10の前段で逆反り冶具60の上面60aに接触して、逆反りする。
以上の操作を繰り返すことにより、フィルム100の表面100aにレーザー加工を施す。
【0025】
このようにして加工されたフィルム100は、フィルム型の半導体デバイス(フィルムデバイス)として太陽電池、ディスプレイ、センサーなどに用いられる。特に、モノリシック構造の太陽電池のようにフィルムの片側に薄膜を積層している場合、反りが発生しやすい。モノシリック構造の太陽電池の場合、積層フィルムを搬送し、吸着ステージ10の吸着面10a上でパターニングを行う。積層フィルムとしては、金属箔、樹脂フィルム上に、電極層、半導体層、発電層などの薄膜からなる積層体が挙げられる。
【0026】
(2)第2実施形態
[フィルム加工装置]
図1および図3を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
図3は、図1におけるフィルムの搬送方向と鉛直方向の断面図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。
本実施形態の加工装置は、逆反り冶具200の構造が第1実施形態と異なっている。
【0027】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、図3に示すような、フィルム100を搬送する複数の搬送ローラー201を含む逆反り冶具200を有する。搬送ローラー201は、回転しながらフィルム100を下から支えて、フィルム100を搬送する。搬送ローラー201は、図3に示す構造のものに限定されず、円盤状の基台と、基台の中央に形成した穴の中に、回転自在に収容された球体(ボール)とを有するものであってもよい。搬送ローラー201は、フィルム100の裏面100a側に配置されている。搬送ローラー201は、フィルム100の幅方向に沿って、所定の間隔を置いて配置されている。搬送ローラー201は、フィルム100の反り量に応じて、フィルム100の厚さ方向に沿う高さを調整可能となっている。搬送ローラー201の高さを調整することにより、フィルム100の反り量を調整する。具体的には、フィルム100の幅方向の中央部100Bが高くなるように、フィルム100の幅方向の中央部100Bに配置された搬送ローラー201Cをフィルム100の厚さ方向において高い位置に配置する。また、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが低くなるように、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aに配置された搬送ローラー201A,201Eをフィルム100の厚さ方向において低い位置に配置する。フィルム100の幅方向の中央部100Bと両端部100A,100Aの間に配置された搬送ローラー201B,210Dを、搬送ローラー201Cと搬送ローラー201A,201Eの間の位置に配置する。これにより、搬送中のフィルム100を、吸着ステージ10の前段にて、搬送ローラー201で逆反りさせることにより、反りを緩和してから、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに配置する。
【0028】
搬送ローラー201は、フィルム100を厚さ方向の上下から挟み込むように設けられていてもよい。また、搬送ローラー201は、フィルムの搬送方向に沿って複数設けてもよい。複数の搬送ローラー201の高さをフィルムの搬送方向に沿って少しずつ変えることにより、吸着ステージ10に近付くに従って、フィルム100の反り量を大きくする。これにより、フィルム100に急激に力が加わることがなく、フィルム100に皺や割れが発生することを抑制できる。
なお、搬送ローラー201の数については、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、通常、少なくとも3個であり、3個~50個であることが好ましく、5個~10個であることがより好ましい。
複数の搬送ローラー201の高さの差についても、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、例えば、図3に示す断面において両端の搬送ローラー(201A、201E)の中心軸同士を結ぶ直線を基準とした中央のローラー(201C)の中心軸の高さが、両端の搬送ローラーの中心軸間の距離の2/1000~50/1000であることが好ましく、5/1000~15/1000であることがより好ましい。
【0029】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100を搬送する複数の搬送ローラー201を含む逆反り冶具200を有する。そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具200で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0030】
(3)第3実施形態
[フィルム加工装置]
図1および図4を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
図4は、本実施形態のフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。なお、図4(a)において、フィルムの長手方向に沿う矢印はフィルムの搬送方向を示す。
本実施形態の加工装置は、逆反り冶具210の構造が第1実施形態と異なっている。
【0031】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段および後段に、図4に示すような逆反り冶具210を有する。逆反り冶具210は、フィルム100を通過させるスリット211を有する板状の部材を含む。スリット211が、鉛直上方に膨出するように湾曲した形状を有する。スリット211の形状は、逆反り冶具210の両端(フィルム100の搬送方向とは垂直方向の両端)から中央に向かうに従い、鉛直上方に膨出する円弧とされている。スリット211は、逆反り冶具210を厚さ方向(フィルム100の搬送方向)に貫通している。搬送中のフィルム100を、吸着ステージ10の前段および後段にて、スリット211内を通過させて逆反りさせることにより、反りを緩和する。スリット211を有する逆反り冶具210は、少なくとも吸着ステージ10の前段に設けられていればよい。
なお、スリット211が有する「鉛直上方に膨出するように湾曲した形状」についても、上で説明した第1実施形態の場合と同様である。
【0032】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段および後段に、フィルム100を通過させるスリット211を有する板状部材を含む逆反り冶具210を有する。そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具210で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0033】
(4)第4実施形態
[フィルム加工装置]
図1および図5を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
図5は、図1におけるフィルムの搬送方向と鉛直方向の側面図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。
本実施形態の加工装置は、逆反り冶具220の構造が第1実施形態と異なっている。
【0034】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100に空気を吹き付ける複数の気体吹付部221を含む逆反り冶具220を有する(図5)。気体吹付部221は、フィルム100の裏面100b側において、フィルム100の幅方向の中央部100Bに設けられ、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aに設けられている。気体吹付部221は、吹付口221aからフィルム100の幅方向の中央部100Bおよび両端部100A,100Aに空気を吹き付けることにより、フィルム100を逆反りさせる。これにより、吸着ステージ10の前段にて、気体吹付部221から吹き付けた空気で、搬送中のフィルム100を逆反りさせることにより、反りを緩和してから、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに配置する。
なお、フィルム100に吹き付ける空気の温度については、フィルム100の物性に影響を与えないような温度であれば特に制限はなく、例えば、気体吹付部221の吹出し口付近における温度が10℃~50℃であることが好ましく、20℃~30℃であることがより好ましい。
なお、気体吹付部221の数については、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、通常、少なくとも3個であり、3個~20個であることが好ましく、5個~10個であることがより好ましい。
【0035】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段および後段に、フィルム100に空気を吹き付けるための複数の気体吹付部221を含む逆反り冶具220を有する。そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具220で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0036】
なお、逆反り冶具220は、フィルム100の裏面100b側において、フィルム100の幅方向の中央部100Bに設けられているか、あるいは、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aに設けられていればよい。
【0037】
(5)第5実施形態
[フィルム加工装置]
図1および図6を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
図6は、本実施形態のフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。なお、図6において、フィルムの長手方向に沿う矢印はフィルムの搬送方向を示す。
本実施形態の加工装置は、逆反り冶具230の構造が第1実施形態と異なっている。
【0038】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100の裏面100b側において、フィルム100の幅方向の中央部100Bを上方に押し上げる押上部材231と、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを下方に押し下げる押下部材232とを含む逆反り冶具230を有する(図6)。押上部材231によりフィルム100の幅方向の中央部100Bを上方に押し上げ、押下部材232によりフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを下方に押し下げることにより、フィルム100を逆反りさせる。これにより、吸着ステージ10の前段にて、押上部材231および押下部材232で、搬送中のフィルム100を逆反りさせることにより、反りを緩和してから、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに配置する。
なお、押上部材231と押下部材232の数については、本発明の効果が得られる限り特に制限はない。例えば、押上部材231は、通常、少なくとも1個であり、1個~10個であることが好ましく、2個~5個であることがより好ましい。押下部材232は、通常、少なくとも2個であり、2個~20個であることが好ましく、4個~10個であることがより好ましい。
【0039】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100の幅方向の中央部100Bを上方に押し上げる押上部材231と、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを下方に押し下げる押下部材232とを含む逆反り冶具230を有する。そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具230で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0040】
また、押上部材231の代わりに、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の中央部100Bを上方に引き上げる(引っ張り上げる)部材を用い、押下部材232の代わりに、フィルム100の裏面100b側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを下方に引き下げる(引っ張って下げる)部材が設けられていてもよい。フィルム100を引き上げるには、引き上げる部材にフィルムを吸着し、フィルム100を引き下げるには、引き下げる部材にフィルムを吸着する。
また、押上部材231の代わりに、フィルム100の裏面100b側からフィルム100の幅方向の中央部100Bを押し上げる風船を用い、押下部材232の代わりに、フィルム100の表面100a側からフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを押し上げる風船を用いてもよい。
【0041】
なお、逆反り冶具230は、フィルム100の裏面100b側において、フィルム100の幅方向の中央部100Bに設けられているか、あるいは、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aに設けられていればよい。
【0042】
(6)第6実施形態
[フィルム加工装置]
図1および図7を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
図7は、本実施形態のフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。なお、図7において、フィルムの長手方向に沿う矢印はフィルムの搬送方向を示す。
本実施形態の加工装置は、逆反り冶具240の構造が第1実施形態と異なっている。
【0043】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを、フィルム100の幅方向に引っ張る引張部材241を含む逆反り冶具240を有する(図7)。引張部材241によりフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aをフィルム100の幅方向に引っ張ることにより、フィルム100を逆反りさせる。これにより、反りを緩和してから、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに配置する。
なお、引張部材241の数については、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、通常、少なくとも1対であり、1対~5対であることが好ましく、2対~4対であることがより好ましい。
【0044】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100の表面100a側において、フィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを、フィルム100の幅方向に引っ張る引張部材241を含む逆反り冶具240を有する。そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具240で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0045】
(7)第7実施形態
[フィルム加工装置]
図1および図8を参照して、本実施形態のフィルム加工装置を説明する。
図8は、本実施形態のフィルム加工装置における吸着ステージおよび逆反り冶具を示す斜視図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。なお、図8において、フィルムの長手方向に沿う矢印はフィルムの搬送方向を示す。
本実施形態の加工装置は、逆反り冶具250の構造が第1実施形態と異なっている。
【0046】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100をその幅方向の両端100c,100cから挟み、かつ、前記両端100c,100cに接するように配置され、フィルム100の厚さ方向に沿って延在する複数のガイドローラー251を含む逆反り冶具250を有する(図8)。ガイドローラー251により、フィルム100を両端100c,100cから幅方向の中央部100B側に押すことにより、フィルム100を逆反りさせる。なお、吸着ステージ10の吸着面10aとは反対側に反っているフィルム100を、ガイドローラー251により、フィルム100を両端100c,100cから幅方向の中央部100B側に押す場合には、ガイドローラー251の前段にて、フィルム100の幅方向の中央部100Bを上方に押し上げてから、フィルム100を押す。これにより、反りを緩和してから、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに配置する。また、ガイドローラー251を回転させながら、フィルム100を押すことにより、フィルム100がガイドローラー251と接することによって傷付くことを抑制できる。
なお、ガイドローラー251の数については、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、通常、少なくとも1対であり、1対~10対であることが好ましく、3対~6対であることがより好ましい。
【0047】
本実施形態のフィルム加工装置は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の前段に、フィルム100をその幅方向の両端100c,100cから挟み、かつ、両端100c,100cに接するように配置され、フィルム100の厚さ方向に沿って延在する複数のガイドローラー251を含む逆反り冶具250を有する。
そのため、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送されるフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aが反っていても、その反りを逆反り冶具250で緩和して、そのフィルム100の幅方向の両端部100A,100Aを吸着ステージ10の吸着面10aに接近させることができる。従って、吸着ステージ10の吸着面10aにフィルム100を均一に真空吸着させて、フィルム100の表面100aに対して、所定の加工や、均一な加工を施すことができる。
【0048】
なお、本発明のフィルム加工装置は、逆反り冶具が、フィルムの搬送方向において、吸着ステージの前段または後段に設けられていればよい。この場合、例えば、図9に示すように、逆反り冶具260は、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の後段に設けられ、フィルム100の幅方向の中央部100Bを裏面側から押し上げる押上部材や、フィルム100の幅方向の中央部100Bを裏面側から気体を吹き付ける気体吹付部であることが好ましい。このように、逆反り冶具260が、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の後段に設けられていれば、フィルム100の搬送方向において、吸着ステージ10の中間部にて、フィルム100の反りの向きが反転する際に、フィルム100の中央部(吸着ステージ10上にあるフィルム100の搬送方向と垂直方向の中央部)100Bに平坦な部分が生じる。その結果、その平坦な部分にて、フィルム100を吸着ステージ10の吸着面10aに吸着し易くなる。なお、図9において、フィルムの長手方向に沿う矢印はフィルムの搬送方向を示す。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のフィルム加工装置は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で搬送するフィルムの反りを緩和して、フィルムをステージ上に均一に真空吸着することができる。そのため、本発明のフィルム加工装置で加工されたフィルムを電子機器に適用した場合に、設計通りに機能する電子機器が得られる。
【符号の説明】
【0050】
1 フィルム加工装置
10 吸着ステージ
20 レーザー照射手段
21 本体部
22 レーザー照射部
23 アライメントカメラ
30 リニアガイド
40 搬送手段
41 巻き取り用のロール
42 送り出し用のロール
60,200,210,220,230,240,250,260 逆反り冶具
100 フィルム
201 搬送ローラー
211 スリット
221 気体吹付部
231 押上部材
232 押下部材
241 引張部材
251 ガイドローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9