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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】圧電センサ
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/87 20230101AFI20240701BHJP
   G01L 1/16 20060101ALI20240701BHJP
   H10N 30/06 20230101ALI20240701BHJP
   H10N 30/077 20230101ALI20240701BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240701BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20240701BHJP
【FI】
H10N30/87
G01L1/16 B
H10N30/06
H10N30/077
H10N30/30
H10N30/857
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021518772
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2018077617
(87)【国際公開番号】W WO2020074075
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】515055203
【氏名又は名称】ヨアノイム リサーチ フォルシュングスゲゼルシャフト エムベーハー
【氏名又は名称原語表記】JOANNEUM RESEARCH FORSCHUNGSGESELLSCHAFT MBH
【住所又は居所原語表記】Leonhardstrasse 59,A-8010 Graz,Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】シュタットローバー,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ツィルクル,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】シャフナー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ツェッペ,アンドレアス
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】棚田 一也
【審判官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2004/105148(JP,A1)
【文献】特表2010-539442(JP,A)
【文献】特開2008-124448(JP,A)
【文献】特開2015-028425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部材(2)と、
前記基板部材(2)の上面(4)に、上方に延びるとともに、横方向に線状に延びて設けられた少なくとも1つの第1電極(3)と、
前記基板部材(2)の前記上面(4)に、上方に延びるとともに、前記第1電極(3)に対して平行に且つ間隔を有して横方向に線状に延びて設けられた少なくとも1つの第2電極(5)と、
前記基板部材(2)の前記上面(4)に前記第1および前記第2電極(3、5)を覆って設けられた圧電体(6)と、を備える圧電センサ(1)であって、
前記第1および前記第2電極(3、5)は互い違いの極性を有するようになっており、
前記圧電体(6)は異方性電気機械結合を有し、
前記第1および前記第2電極(3、5)は少なくとも部分的に前記圧電体(6)に埋め込まれており、前記第1および前記第2電極(3、5)の前記横方向の間隔を形成する空間が前記圧電体(6)により充填されており、
前記空間内に充填された前記圧電体(6)の分極の主配向(7)が、前記第1電極(3)と前記第2電極(5)との間において前記基板部材(2)の前記上面(4)に平行となる横方向であり、且つ、前記第1電極(3)と前記第2電極(5)の線状に延びる方向に対して直角な方向である圧電センサ(1)。
【請求項2】
前記第1および前記第2電極(3、5)は、前記圧電体内で相互篏合した櫛形構造を形成する横方向にかみ合わされた第1電極フィンガーおよび第2電極フィンガーであり、前記電極フィンガーは別々に電気的に接続可能である、請求項1に記載の圧電センサ(1)。
【請求項3】
前記圧電体(6)は焦電体である、請求項1もしくは2に記載の圧電センサ(1)。
【請求項4】
前記基板部材(2)は、柔軟な弾性基板部材(2)である、請求項1~3のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項5】
前記基板部材(2)は、PETなどのポリマー箔である、請求項4に記載の圧電センサ(1)。
【請求項6】
前記圧電センサ(1)は、前記圧電体の上面に設けられた第3電極(11)を備え、前記第3電極(11)は前記圧電体(6)を介して前記第1および前記第2電極(3、5)から離間している、請求項1~5のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項7】
前記第3電極(11)は、前記圧電体(6)の上面に、前記基板部材(2)と平行に延びて配置されている、請求項6に記載の圧電センサ(1)。
【請求項8】
前記第3電極(11)と前記第1および前記第2電極(3、5)の上面(9)との間の前記圧電体(6)の分極の主配向(7)は上下方向であり、前記第3電極(11)が延びる横方向に対して垂直である、請求項6もしくは7に記載の圧電センサ(1)。
【請求項9】
前記圧電センサ(1)は機械的応力による前記圧電体(6)の変形時に前記圧電体(6)により発生した電気的エネルギーを獲得するように配置された低電力回路を備えており、前記低電力回路は無線送信機を用いて信号処理するように配置されている、請求項1~8のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の圧電センサ(1)を複数個備えるセンサアレイ(12)であって、
前記センサアレイ(12)を構成する複数個の前記圧電センサ(1)の前記基板(2)は一体に繋がって同一面に並んで一つの結合した基板を形成しており、
前記第1電極(3)と前記第2電極(5)の延びる方向が、前記一体に繋がった基板上において、前記複数の圧電センサ(1))毎に互いに回転した位置関係を有している、センサアレイ(12)。
【請求項11】
前記センサアレイ(12)は、第1サブアレイおよび第2サブアレイ(13、14)を備え、各サブアレイ(13、14)は、少なくとも2個の圧電センサ(1)を有しており、各サブアレイ(13、14)の前記2個の圧電センサ(1)は、前記一体に繋がった基板上において、互いに45度の回転した位置関係を有して配置されている、請求項10に記載のセンサアレイ(12)。
【請求項12】
電センサ(1)を製造する方法であって、
板部材(2)を提供するステップと、
前記基板部材(2)の上面(4)に、複数の第1および第2電極(3,5)を、それぞれ上方に延び、横方向に間隔を有して設けるステップと、
前記第1および前記第2電極(3,5)の上に活性材料を設けるステップと、を有し、
前記活性材料により圧電体(6)を形成し、前記圧電体(6)は異方性電気機械結合を有しており、
前記第1および前記第2電極(3、5)は少なくとも部分的に前記圧電体(6)に埋め込まれており、前記第1および前記第2電極(3、5)の前記横方向の間隔を形成する空間が前記圧電体(6)により充填されており、
前記空間内に充填された前記圧電体(6)の分極の主配向(7)が、前記基板部材(2)の前記上面(4)に平行で且つ前記第1電極(3)と前記第2電極(5)とを繋ぐ横方向である方法。
【請求項13】
圧電センサ(1)を製造する方法であって、
基板部材(2)を提供するステップと、
前記基板部材(2)上に、活性材料の層(6)を形成するステップと、
前記活性材料の層(6)内に複数の通路(17)を横方向に間隔を有して形成するステップと、
記通路(17)内に電極材料を堆積して、前記基板部材(2)の上面(4)に、複数の第1および第2電極(3,5)を設けるステップと、を有し、
前記活性材料が異方性電気機械結合を有しており、前記活性材料の層により圧電体(6)を形成し、
前記第1および前記第2電極(3、5)の間における前記圧電体(6)の分極の主配向(7)が、前記基板部材(2)の前記上面(4)に平行で且つ前記第1電極(3)と前記第2電極(5)とを繋ぐ横方向である方法。
【請求項14】
前記第1および前記第2電極(3、5)から離間して第3電極(11)を形成するステップをさらに含み、
前記第3電極(11)を形成するステップは、前記第1および前記第2電極(3、5)に対して前記圧電体(6)の上表面に電極材料の層を堆積するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
力を検出するためのアクティブセンサは、通常、圧電効果に基づいている。アクティブセンサは作用時に電気エネルギーを発生させるセンサであって、電気エネルギーを消散させるセンサではない。センサの表面に力が加えられた場合には、加えられた力に対する定量的および定性的な度合いによって機械的応力の一部が電気エネルギーに変換される。圧電センサは、通常、複数の層を備えており、アクティブセンサ材料が垂直層アセンブリを形成する上部電極層と下部電極層の間に埋め込まれている。アクティブセンサ材料は、好ましくは、無機セラミックス、または例えばポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、および/またはポリ(フッ化ビニリデン:トリフルオロエチレン)、(P(VDF:TrFE))である電気活性ポリマー、または(例えばナノ複合材料などの)それらの任意の組み合わせから構成される。これらのポリマー材料は、高い機械的柔軟性を提供し、工業規模で処理することができる。
一般のアクティブセンサでは、センサ材料はセンサフィルムとして具体化されている。センサの表面に加えられた機械的応力は、電極内に補償電荷を発生させるセンサ材料の変形をもたらす。これらの電荷は信号に変換される。この一般のセンサレイアウトでは、電荷の量および信号は、機械的応力が加えられる方向に大きく依存する。センサフィルムに対する法線方向(センサ材料の自発分極に平行な方向を意味する)に、より大きな応力が加えられれば電荷はより大きくなる。フィルムの平面内で作用する(センサフィルムの表面に平行な)横方向の力、張力、トルクは、比較的低い電圧を生成するだけであり、法線成分を持つ力によって生成された信号と区別することはできない。
【0003】
横方向の力を測定するために圧電センサの幾つかの構想が開発されてきている。例えば、センサフィルムを形成するセンサ材料は、センサ材料の内部に横方向の力の法線成分を発生させるために機械的構造で補強されている。別の例では、センサフィルムは、繊維が圧電体である電界紡糸(electrospinning)によって形成されており、これによってセン
サフィルムの感度向上を達成している。圧電センサの表面に加えられる力の接線方向成分や、センサの取り付けまたは埋め込み表面に生じるせん断力またはトルクを検出する場合には、これらの構想はいまだ満足のいく解決策を提供できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、横方向応力に寄与するあらゆる力に対する感度を向上させる圧電センサを提供することを目的とする。
【0005】
解決策は独立請求項に規定されている。より好都合な実施形態は従属請求項に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第2電極と、圧電体を備える圧電センサを提供する。圧電体は異方性電気機械結合(anisotropic electromechanical coupling)を有し、少なくとも1つの第1電極および第2電極は少なくとも部分的に圧電体に埋め込まれている。圧電体は第1面を有し、第1電極および第2電極が第1面から圧電体内で実質的に直角に延びている。
【0007】
本発明は、異方性電気機械結合を示す圧電体(PM)の使用に基づいており、ここで異方性は、i)本質的である。ii)加工または堆積の際に導入される。またはiii)堆積後の処理手段により導入することができる。ここで述べる電気機械結合とは、圧電体に加えられた応力または張力が圧電体の分極内で電気的に測定可能な変化を引き起こす効果をいう。この電気機械結合は通常、横方向よりも、主配向(primary orientation)と記
述する一方向の方が最大である。ゼロではない自発分極を有する圧電性または強誘電性材料に対しては、主配向は全体的な自発分極の方向として定義される。材料の例としては、強誘電体、圧電セラミックス、繊維およびポリマー、強誘電体材料、少なくとも一成分が圧電体である複合材料などがある。iii)に関しては、保磁力(coercive field strength)を超える高い外部電界を印加することで強誘電体ドメインの配向を変化させること
ができる強誘電体がこれに適した圧電体として明示される。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
本発明によるセンサは、圧電体内に埋め込まれた互い違いの極性を有する第1電極および第2電極を備えている。圧電体内における張力または応力は、圧電体を変形させ第1電極および第2電極上に電荷を発生させる。応力が圧電体の第1面に対して横方向に作用するならば、すなわち、分極の主配向に対して平行で、かつ圧電体の第1面から延びる第1電極および第2電極に対して実質的に垂直であるならば、センサ信号は最大になる。好ましくは、電極は第1面から垂直に、すなわち90度の角度で延びる。しかしながら、本発明は正確に90度の角度に限定されない。電極は例えば直角からプラス/マイナス10度以内の範囲で伸びていてもよい。換言すれば、センサの感度は横方向の力や応力に対して最大である。
しかしながら、垂直方向、すなわち、圧電体の第1面に対して垂直方向に作用する応力は、圧電体の異方性のためにより低い感度で検出される。感度に関しては、断面形状、横方向の幾何学的配列、アスペクト比(高さ・幅)、および第1電極と第2電極の分離、および圧電体の厚さや配置を変えることで調整可能である。圧電体が強誘電体の場合には、温度はもちろん、印加交流電圧または直流電圧および周波数を用いるポーリング方法がさらに感度に影響を与える。圧電体内に埋め込まれた第1電極および第2電極が特許請求されているが、この原理は圧電体の下方または上に第1電極および第2電極を配置する場合、特に圧電体が堆積後に横方向に整列した主配向を有する場合、すなわち、堆積後にポーリングを必要としない場合にも当てはまる。
最後の場合の例としては、第1電極および第2電極の縁に主配向を横方向および法線方向に整列した(ポリマーまたは無機)圧電ファイバ(例えばZnOナノワイヤ)などがある。結果として、圧電体の主配向は、圧電体の第1面に対して実質的に平行であり、センサは、以下の様な圧電体層内における高い横方向応力に寄与する任意の力に対して最も感度が高い。
a)直接的にまたは中間層を介して圧電体の表面上に加えられた力の接線成分。
b)センサが取り付けられているまたは埋め込まれている表面上に生じるせん断力。
c)センサが取り付けられているまたは埋め込まれている表面に、または表面上に作用するトルク。
d)センサが取り付けられているまたは埋め込まれているインタフェース領域または領域内で、(GHzまでの)音響および音波で発生する時間的および空間的に変化する力、特に弾性表面波および実体波による力。
圧電体層内での横方向のひずみも圧電センサを形成するセンサ応答を引き起こすので、アクティブひずみセンサとしても有用になる。
【0013】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極および第2電極は、圧電体内で相互篏合した櫛形構造を形成する横方向にかみ合わされた第1電極フィンガーおよび第2電極フィンガーであり、電極フィンガーは別々に電気的に接続可能である。電極フィンガーの篏合数が多いほど、センサの感度は高くなる。
【0014】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極フィンガーおよび第2電極ファインガーは、互いに0<α<90度の角度αで配置されている。センサ信号は、電極フィンガーの間の角度および圧電体の平面内での横方向応力の方向に依存する。相互篏合設計は第1電極および第2電極に対する一つの変形として選択可能である。第1電極および第2電極が平行に配置される必要はない。圧電体で囲まれた又は覆われた第1電極および第2電極の及ぶ領域が、センサの空間分解能を決定する。第1電極および第2電極の互いに対する格子形状および配置は、検出すべき機械的励起のタイプに合わせて調整可能である。
【0015】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極および第2電極は、第1面に対して星形配置を形成する。星形幾何学的配列は、トルクや放射状の対称形の変形(radial symmetric deformation)に対して特に感度を良くするために選択されうる。
【0016】
圧電センサの別の実施形態では、圧電体はさらに焦電体である。圧電体が焦電体でもある場合には、物質内の温度変化がセンサ信号に寄与し、従って検出可能である。このような温度変化は、(部分的に)吸収された熱放射、すなわち、検出領域に照射される、中・近赤外(MIR/NIR)の範囲の電磁波によって引き起こされる可能性がある。第1電極および第2電極は、横方向に配置されて圧電体内に埋め込まれているので、第1電極および第2電極は、吸収された熱放射を再放出または放散することでこの効果にも寄与し、圧電体への照射のみに比べて温度変化を増加させやすい。
【0017】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極および第2電極は、円盤状または楕円形である。電極のこの形状は、熱放射の吸収を増加可能であり、センサを熱および/または放射線の検出に対して適したものにできる。前記形状、および/または適切な材料を使用することにより、λ/4型電波吸収体構造(λ/4 wave absorber structure)に匹敵する吸収の増大および/またはプラズモン効果の利用が達成される。
【0018】
圧電センサの別の実施形態では、圧電センサは基板を備え、圧電体が基板上に層を形成し、基板は柔軟であって、弾性基板であり、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマー箔である。圧電体は、圧電体の主配向が圧電体と基板との間の境界面に平行に位置するように加工されて基板上に付けられる。請求項に係るセンサは、測定用の目標物体に埋め込んだり取り付けたりすることができる。この場合には、基板を省くことができる。センサの柔軟性のおかげで、センサは種々の形状を有する面に取り付け可能である。圧電体内への前述の力の結合は、適切な基板材料を選択することにより最適化できる。結合は、圧電体層、第1電極および第2電極、目標物体の表面に対する、基板の厚さや基板の結合を変化させることにより調整可能である。圧電体で囲まれた又は覆われた第1電極および第2電極が及ぶ領域が、センサの空間分解能を決定する。
【0019】
本発明の別の実施形態では、センサは第3電極を備えており、第3電極は圧電体の第1面、または第1面の反対側の第2面に配置されており、第3電極は第1電極および第2電極から離間している。この実施形態では、第3電極はマルチモードセンサを形成するためにセンサに組み合わせられる。第3電極は、第1電極および第2電極を備えるセンサに追加される。第3電極と第1電極および第2電極とは、別々に接続可能である。第3電極は、圧電体の上面(第1面)または底面(第2面)に配置されている(又はその逆)。さらに、ここで第1電極と第2電極との間の領域に層が存在する(第1電極および第2電極の上面と第3電極との間:この層は圧電体により形成されている)。第3電極のおかげで、
センサは、センサの上面に作用する垂直な力および上面を表す平面に作用する横方向の力(せん断力、トルク)の両方の検出が可能である。
【0020】
センサの別の実施形態では、第3電極は圧電体と基板との間に配置されている。第3電極は、第1電極および第2電極と圧電体で満たされた接続部分との間の領域があることを条件に、圧電体と基板との間の下側接続部分に配置することができる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、第3電極と、第1電極および第2電極の上面との間の圧電体の分極の主配向は、第1電極および第2電極の上下方向の延伸に対して実質的に平行であり、第3電極の横方向の延伸を表す平面に対して実質的に垂直である。第1電極および第2電極(それらの上面)と第3電極との間に圧電体の主配向が主に垂直方向に整列している。第1電極および第2電極の上面と第3電極との間、および第1電極と第2電極との間の領域に強誘電体材料が満たされている場合には、そのような垂直の整列は、ポーリングによって導き出させる。第3電極上に垂直に作用する応力は、その後、第1電極および第2電極の上面と第3電極との間に測定可能な電荷変位を引き起こす。電荷変位は作用力の法線成分の量を表す。作用力の接線成分は、第1電極と第2電極との間の測定可能な電荷変位によって検出可能である。
【0022】
本発明の別の実施形態では、センサは、機械的応力による圧電体の変形時に圧電体により発生した電気的エネルギーを獲得するように配置された低電力回路を備えており、ここで、回路は無線送信機を用いて信号処理するように配置されている。センサは、測定プロセスの際に電気エネルギーを消散しないような方法で活性化されているが、活性化の際に費やされた機械的エネルギーおよび/または熱エネルギーの一部を電気エネルギーへ変換する。このエネルギーは、信号処理用の低電力電子回路および無線送信機に供給することができる。十分なエネルギーが獲得できた場合には、信号送信が行える。従って、センサは自己維持型センサネットワーク内で必須の構成要素を形成することができる。
【0023】
本発明の別の観点では、前述の実施形態の任意の組み合わせにより複数のセンサを備えるセンサアレイが提供され、ここでセンサは互いに回転している。回転している複数のセンサを隣り合わせに配置することにより、応力またはせん断力の方向およびそれらの量を解明することが可能になる。
【0024】
センサアレイの別の実施形態では、センサアレイは、第1サブアレイおよび第2サブアレイを備え、各サブアレイは、少なくとも2個のセンサを有しており、各サブアレイの2個のセンサは、特に互いに45度の角度で延びるように配置されている。横方向の力の方向を解明するためにセンサの変位配置が提供される。この配置のおかげで、作用力は4つの異なるセンサ信号レベルを生成する。第1電極および第2電極の間の圧電体の分極の主配向のために、センサにより生成される信号レベルは作用力と第1電極および第2電極の間の角度に依存する。力の方向とは無関係に、サブアレイごとの少なくとも1つのセンサの傾斜、好ましくは45度の傾斜が、異なる相対的な信号レベルをもたらす。なぜならば、アレイがサブアレイごとの少なくとも1つのセンサ間の角度が、0度を超えて90度未満(0度<角度<90度)を提供するためである。異なる相対的信号レベルにより、力は定性的および定量的に区別可能である。
【0025】
本発明の別の観点では、圧電センサの製造方法が提供される。方法は、複数の第1電極および第2電極を単一層に提供するステップと、第1電極および第2電極上に活性材料を配置するステップとを含む。簡単で工業的規模のプロセスが提供され、ここでプロセスステップは公知のさまざまな製造技術によって実施されうる。単一層は、活性材料の表面と同一平面状となる基板の表面であってもよい。
【0026】
方法の1実施形態では、複数の第1電極および第2電極を単一層に提供するステップは、以下のうちの1つ、またはそれらの任意の組み合わせによって実施される。印刷プロセス、リソグラフィプロセス、マイクロ流体構造化(microfluidic structuring)。特にそれらのプロセスは、インクジェット印刷、スクリーン印刷、エアロゾルジェット印刷、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、または電極層の厚さを増すために金属リフトオフ(metal liftoff)および/または電鋳(electroforming)と組み合わせたインプ
リントリソグラフィ(imprint lithography)、または、導電性インクがマイクロ毛細管
力によって前処理されたマイクロ流体通路に駆動されて広がるマイクロ流体構造化プロセスであってもよい。
【0027】
別の実施形態では、方法は、さらに基板を提供するステップ、基板上に活性材料を配置するステップ、圧電ポリマー層を形成するステップ、圧電ポリマー層内に通路をインプリントするステップ、および/または複数の第1電極および第2電極を提供するために通路内に電極材料を堆積するステップを含む。
【0028】
方法の別の実施形態では、電極材料は導電性インクであり、好ましくは銀、銅、または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)であり、導電性インクは毛細管力により通路内に挿入される。マイクロ流体構造化の使用により、良好な結果が得られる規模を有するプロセスを大変簡単に作る。
【0029】
別の実施形態では、方法はさらに導電性インクを熱的硬化または紫外線硬化またはフォトニック焼結(photonic sintering)させるステップを含む。これはより良い導電性および表面品質、すなわち耐久性をもたらす。
【0030】
方法の別の実施形態では、基板上への活性材料の配置は以下のいずれか1つにより行われる。スピンキャスティング(spin casting)、ドロップコーティング(drop coating)、バーコーティング(bar coating)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア
印刷、物理または化学気相成長(physical or chemical vapor deposition)、原子層堆
積(atomic layer deposition)。
圧電体は、柔軟な弾性基板上に適用されて、これにより検出すべき機械的励起の種類に対して厚さおよび弾性特性(ヤング率)が最適化される。適切なポリマー箔基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)など、または繊維、革などがある。ポリマーまたは複合材料に基づく圧電体の場合には、基板上への圧電体の付与は、上述した製造プロセスにより実現される。
【0031】
方法の別の実施形態では、通路は第1電極および第2電極の形状を画定する、矩形、矩形、台形、または三角形の輪郭を有している。インプリントするステップはホットエンボス(hot-embossing)(T-ナノインプリントリソグラフィ(T-NIL))、または(
圧電体が紫外線硬化可能な場合)紫外線-ナノインプリントリソグラフィ(UV-NIL)、紫外線インプリンティング(UV-imprinting)、金型鋳造(mold casting)で実施さ
れる。特定環境における特定の力の検出用に配置されるセンサを作製するために電極の輪郭形状を変更する方法が使用可能である。
【0032】
別の実施形態では、方法はさらにインプリントするステップ後の圧電ポリマー層の表面処理ステップを含む。これは、導電性インクによる濡れ性を改善し、圧電体と電極材料、例えば硬化した導電インクとの間のより良い接着性に役立つ。
【0033】
方法の別の実施形態では、圧電ポリマー層は、電極よりも高い厚さを有する。これにより、第1電極および第2電極の上面と圧電体の表面との間の層を作製し、第1電極および
第2電極を、第3電極から離して配置することを可能にする。第1電極および第2電極と第3電極との間の層は、第3電極を表す平面に対して少なくとも部分的に垂直に作用する力に対する感度を作りだすために、層の内部の圧電体の分極方向の整列に対する必須条件である。
【0034】
別の実施形態では、方法は、圧電ポリマー層内に強誘電体ドメインを一列に整列させるために、ポーリングステップをさらに含む。強誘電体(FM)が用いられる場合には、ポーリングは、圧電体内に望ましい整列を誘導するために必要である。例えば強誘電体が第1電極と第2電極との間の領域を満たす場合には、そのような整列を次のようなポーリングステップにより誘導することができる。
a)第1電極と第2電極とは自身の極性による高電圧電源に接続されている。ポーリング手順は、強誘電体ドメインが第1電極および第2電極の垂直面に対して実質的に垂直な主配向に一列に整列するように実施される。
b)異なる極性を有する第1電極および第2電極は、共に同一の電位に外部接続(例えば接地)されているが、第3電極は別の電位に接続されている。再びポーリング手順は、第1電極および第2電極と第3電極との間の強誘電体ドメインが主に垂直な配向になるように実施される。両方のステップのシーケンスは、第1電極および第2電極の幾何学的配列、第1電極および第2電極と第3電極との間の平均垂直方向分離(層の厚さ)、および強誘電体の物理的性質に依存する。
【0035】
別の実施形態では、方法はさらに第3電極を形成するステップを含み、ここで第3電極は第1電極および第2電極から離間しており、第3電極形成ステップは第1電極および第2電極に対して実質的に垂直な圧電ポリマー層の表面で電極材料の層を堆積するステップを含む。これにより、マルチモードセンサが作製される。第1電極および第2電極と第3電極との間の圧電体をポーリングするために、異なる極性の第1電極および第2電極は共に同一の電位に外部接続されるが、第3電極は別の電位に接続される。再びポーリング手順は、第1電極および第2電極と第3電極との間の強誘電体ドメインが主に垂直な配向になるように実施される。これにより垂直な力に対する感度を作り出す。
【0036】
方法の別の実施形態では、活性材料は圧電体であり、ここで、圧電体は異方性電気機械結合を有し、複数の第1電極および第2電極は、少なくとも一部が圧電体に埋め込まれている。特に、方法は、圧電体の第1面から圧電体内に実質的に直角に延びる電極を形成するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の例示的な実施形態を以下の図面に関連して述べる。
図1】先行技術の圧電センサを説明する図である。
図2】本発明による圧電センサの概略構造を説明する図である。
図3】本発明による圧電センサのさらなる実施形態の概略構造を説明する図である。
図4図3による圧電センサの概略構造を説明する図である。
図5】本発明によるセンサアレイの概略構造を説明する図である。
図6】本発明によるセンサアレイの概略構造を説明する図である。
図7】本発明によるセンサアレイの概略構造を説明する図である。
図8a】作動状態にある図3の圧電センサを説明する図である。
図8b】作動状態にある図3の圧電センサを説明する図である。
図9a】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明するである。
図9b】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
図9c】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
図9d】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
図9e】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
図10】本発明の一態様によるインプリンティングプロセスのフロー図を説明する図である。
図11】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップの別のシーケンスを説明する図である。
図12】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップの別のシーケンスを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
図1は先行技術の圧電センサ1を示す。センサ1は基板2を備える。第1電気極性の第1電極が基板2の第1面(上面)4に配置されている。センサ1はさらに第2電気極性の第2電極5を備える。第2電極は、第1電極3と第2電極5の間に活性層を形成する圧電体6上に配置されている。圧電体6は、第1電極3、第2電極5、および基板2が表す平面に対して垂直な分極の主配向7を有する。力Fnがセンサ1の上面8に作用すると、誘導された機械的応力は圧電体6の変形をもたらし、従って圧電体6内の電荷の変位をもたらす。第1電極3と第2電極5の間に生じる電圧は、作用する力Fnに対する定量的な大きさを表す。
【0039】
図2は、本発明による圧電センサ1の概略構造を示す。第1電極および第2電極が基板2上に配置されて、基板2の上面4から圧電体6内に実質的に直角(垂直)に延びている。第1電極および第2電極(3、5)、すなわち第1電極3および第2電極5は、実質的に矩形の輪郭を有して互いに逆方向の電気極性である。第1電極および第2電極は、圧電体6内において相互篏合(interdigitating)構造を形成している。第1電極および第2
電極(3、5)は、圧電体6内に埋め込まれており、互いに実質的に平行に配置されている。第1電極および第2電極(3、5)は、センサの上面8から離間している。第1電極および第2電極(3、5)の上面9の間には、第1電極および第2電極(3、5)の上面9を覆うように圧電体6の層10が形成されている。圧電体6は異方性電気機械結合を有する。圧電体6に加えられた応力は、電気的に測定可能な電荷をその分極内に引き起こす。力Fは、法線成分Fnと接線成分Ftを含む。第1電極および第2電極(3、5)の間の圧電体6の分極の主配向7に実質的に平行なFの成分は、圧電体6内における電荷の電気的測定可能な変位に大きく関与する。Ftは、分極の主配向7に対して平行に働くFの成分であり、従って第1電極および第2電極(3、5)の間の圧電体6内における測定可能な分極に大きく関与する。
【0040】
図3は、図2による圧電センサの更なる実施形態の概略構造を示す。第3電極11が、圧電体層6の上に配置されて上部電極を形成している。第3電極11の設置面は、第1電極および第2電極(3、5)のそれぞれの少なくとも一部を覆っている。
【0041】
図4は、図3による圧電センサ1の概略断面図を示す。第3電極11が圧電センサ1の上面8を形成する圧電体6を覆っている。第3電極は、層10によって第1電極および第2電極(3、5)の上面9から離間している。電極(3、5)の間の圧電体6(第3電極11に平行で電極(3、5)に実質的に垂直)の分極に加えて、第1電極および第2電極(3、5)の上面上の層10を形成する圧電体6の分極は、第1電極および第2電極(3、5)に実質的に平行および第3電極11に実質的に垂直な分極の主配向7を有する。
【0042】
図5から図7は、本発明によるセンサアレイ12を示す。センサアレイ12は、同種のセンサ1を複数個備える。それぞれのセンサの第1電極および第2電極は、相互篏合櫛形構造として実施されている。複数のセンサ1の各センサは、第1電極および第2電極(3、5)の間に分極の主配向7を有する。各センサは、その分極の主配向と同じ方向の接線力を検出するように配置されている。作用力の定量的および定性的な測定値の両方を発生させるために、各センサは互いに回転している。複数のセンサは、第1サブアレイ13と第2サブアレイ14に細分化されている。各サブアレイは、少なくとも2個のセンサ1を備える。各センサ1は、接線力またはせん断力が作用する平面の象限を表す。
図6に示すように力F1が仮想的な座標系15の軸に平行に加えられる場合、力F1の方向に平行ではない第1電極および第2電極(3、5)を有するセンサは、測定可能な信号を発生する。そのため、センサ1は作用力F1に対するそれらの回転に応じて異なる信号レベルを発生する。
図7では力F2は座標系15に対して45度の角度で作用する。第1電極および第2電極(3、5)がF2の方向に垂直であるセンサ1は、最高の信号レベルを発生する。第1電極および第2電極(3、5)がF2の方向に平行であるセンサ1は、信号を発生しない(または最小の信号を発生する)。第1電極および第2電極(3、5)がF2の方向に45度回転しているセンサ1は、それぞれが、同じ信号レベルだが異なる符号を有する信号を発生する。
【0043】
図8aおよび図8bは、動作状態にある図3の圧電センサ1を示す。図3に示す第3電極11と同様に第1電極と第2電極(3、5)の電気的接続16が、横方向の力と垂直な力(図8a)、または応力成分(図8b)を区別するために使用されている。図示するように、第3電極11は基準電位Φrefに接続され、基準電位と異なる極性の第1電極3と
の間、および基準電位と異なる極性の第2電極5との間で電位差V+、V-または電流I+
、I-が測定される。信号の和は、センサに作用する垂直な力または応力に比例し、信号
の差は、横方向の力または応力の寄与に対応する。
【0044】
図9aから図9eは、本発明による圧電センサ1の例示的な製造プロセスのプロセスステップを図示する。図9aでは基板2が提供されている。図9bではポリマー圧電体6が印刷プロセスにより、第1電極および第2電極(3、5)の高さよりもかなり高い厚さを有するように形成されて基板2上に提供されている。図9cでは、第1電極および第2電極(3、5)の形状を画定する矩形、台形、または三角形の輪郭18を有するマイクロ流体通路17が、圧電体6にホットエンボス(例えば、ナノインプリントリソグラフィなどの技術(T-NIL))によってインプリントされる。その結果は図9dに示す通路である。図9eでは、任意の表面処理により、導電インク19(例えば銀または銅)がマイクロ流体通路17に堆積および毛細管力により挿入されて、熱硬化される。
【0045】
図10は、圧電センサ1を製造するための例示的なナノインプリントリソグラフィ(NIL)プロセスのフロー図である。紫外線硬化型樹脂を基板2上に塗布し、電極構造を含むスタンプを用いて残留フリーでインプリントして硬化させる。樹脂の上に金属層を堆積する。樹脂の上の金属層をリフトオフして樹脂を除去する。インプリントされた範囲内の金属のみが基板2上に残る。転写された金属層は、同じまたは別の金属の電着によって強化することができ、ここで、プリストラクチャされた金属層は電鋳中に陰極として機能する。
【0046】
図11は、本発明による圧電センサ1の別の典型的な製造プロセスのプロセスステップの別の典型的なシーケンスを示す。このプロセスは以下を含む。
【0047】
a)第1電極および第2電極(3、5)を接続するための、例えばグラビア印刷または
スクリーン印刷など(R2Rで可能)による導電性供給線20の堆積。基板2は、例えばポリイミドなどの(180℃までの)高い熱的安定性を有する箔である。
【0048】
b)圧電体6としてのポリ(フッ化ビニリデン:トリフルオロエチレン)(P(VDF:TrFE))ペーストを供給線20の間に上塗りする。
【0049】
c)マイクロ流体通路17が、図9aから図9eに示した案により圧電体6内にホットエンボスされる。
【0050】
d)例えばオゾンを数分間用いるなどの任意の表面処理のすぐ後で、例えば溶液中の銀ナノ粒子などの導電性インク19が、インプリント設計で提供されたリザーバを介して通路17内に堆積される。これにより(図示しない)更なる通路が提供されて導電性インク19が供給線20と接触するように外側に流れることを可能にする。その後、導電性インク19は高温で焼結され、圧電体6内に埋め込まれた導電性の第1電極および第2電極(3、5)を形成する。
オプションで、第1電極および第2電極(3、5)は同じまたは別の金属の電着により強化することができる。このプロセスを適用すると、基板2としてのポリイミド箔にスクリーン印刷した後で、深さ7μmで幅8.8μmの通路が、P(VDF:TrFE)=70:30%mol内に形成される。銀ナノ粒子導電性インク19をリザーバ内に滴下し、引き続き通路17内に搬送して150℃で硬化させる。銀ナノ粒子導電性インクは通路17の底面と側面を0.2~1.3μmの厚さで覆う層を形成する。
【0051】
図12は、圧電センサ1の第1電極および第2電極(3、5)を構造化する典型的なプロセスのプロセスステップの別の典型的なシーケンスを示す。第1電極および第2電極(3、5)をフォトリソグラフィおよび電鋳により構造化する。このプロセスを以下に示す。
【0052】
a)基板2を、後に電鋳用のシード層21として機能する(例えば、ニッケルまたは銅シード層に硫酸ニッケル浴を使用するなど)導電性を有する金属層21でコーティングする。
【0053】
b)レジスト22をガイド層22として機能するようにフォトリソグラフィで構造化する。
【0054】
c)試料を適切な電解質浴に入れてシード層21を電気的に接続し、レジスト22によって覆われていない領域に金属がガルバニックに堆積するようにする。
【0055】
d)レジスト22を化学的に除去する。
【0056】
e)シード層を金属が電鋳されていないところで湿式または乾式エッチングによって処理する。(図示しない)更なるステップでは、ポリ(フッ化ビニリデン:トリフルオロエチレン)(P(VDF:TrFE))が、電極(3、5)を圧電体6に埋め込むために、スピンキャスティングまたはスクリーン印刷によって、第1電極および第2電極(3、5)上に塗布される。
【符号の説明】
【0057】
1 圧電センサ
2 基板
3 第1電極
4 基板の上面
5 第2電極
6 圧電体
7 分極の主配向
8 センサの上面
9 第1電極および第2電極の上面
10 層
11 第3電極
12 センサアレイ
13 第1サブアレイ
14 第2サブアレイ
15 座標系
16 電気的接続
17 通路
18 通路の輪郭
19 導電性インク
20 供給線
21 金属シード層
22 レジスト/ガイド層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図10
図11a)】
図11b)】
図11c)】
図11d)】
図12