(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】油状分散体中のアクリル系無水物ポリマー及びアミン化合物を用いてケラチン繊維を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240701BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240701BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20240701BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20240701BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/31
A61K8/898
A61K8/58
A61Q5/06
(21)【出願番号】P 2021519536
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077582
(87)【国際公開番号】W WO2020074699
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】シモン・トパン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ポルタル
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/108594(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271766(US,A1)
【文献】国際公開第2017/108593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪を着色するための方法であって、
1a)前記髪への、
i)1つ又は複数の粒子であって、
a)(C
1~C
4)アルキル(C
1~C
4)(アルキル)アクリレート
又は(C
1
~C
4
)アルキルアクリレート、及び
b)エチレン性不飽和無水化合物
の1つ又は複数のエチレン系コポリマーで構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)1つ又は複数の安定剤であって、
c)(C
3~C
12)シクロアルキル(C
1~C
6)(アルキル)アクリレートモノマー
又は(C
3
~C
12
)シクロアルキルアクリレートモノマーのポリマー;及び
d)(C
3~C
12)シクロアルキル(C
1~C
6)(アルキル)アクリレート
又は(C
3
~C
12
)シクロアルキルアクリレートと
、(C
1~C
4)アルキル(C
1~C
4)(アルキル)アクリレート
又は(C
1
~C
4
)アルキルアクリレートとのコポリマー
から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の炭化水素ベースの油
を含む、油状分散体(A)の塗布、続いて、
1b)前記髪への、
iv)1つ又は複数のアミン化合物であって、
e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン化合物、及び
f)アミノアルコキシシラン
から選択される1つ又は複数のアミン化合物
を含む組成物(B)の塗布;又は
2)前記髪への、前記成分i)、ii)、iii)及びiv)を含む、油状分散体(D)の塗布
を含み、
v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を、前記分散体(A)又は(D)、及び/又は前記組成物(B)と組み合わせて前記髪に塗布するか;又は、v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)を前記髪に塗布する工程をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記油状分散体(A)又は(D)は、a)式H
2C=C(R)-C(O)-O-R’(ここで、Rは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、及びR’は、(C
1~C
4)アルキル基を表す)のものである(C
1~C
4)アルキル(C
1~C
4)(アルキル)アクリレート
又は(C
1
~C
4
)アルキルアクリレートの1つ又は複数のエチレン系コポリマーで構成される1つ又は複数の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記油状分散体(A)又は(D)は、b)エチレン性不飽和を有する無水化合物の1つ又は複数のエチレン系コポリマーで構成される1つ又は複数の粒子を含み、b)は、無水マレイン酸(Ib)及び無水イタコン酸(IIb):
【化1】
(式(Ib)及び(IIb)中、R
a、R
b及びR
cは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表す)
の誘導体から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散体(A)又は(D)の前記粒子i)の前記ポリマーは、前記ポリマーの全質量を基準にして80~99.99質量%の前記成分a)及び0.01~20質量%の前記成分b)を含むか又はそれらから実質的になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子i)の前記ポリマーは、分散体(A)又は(D)中において、前記分散体(A)又は(D)の全質量を基準にして20質量%~60質量%の範囲の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
分散体(A)又は(D)の前記安定剤ii)は、
c)式H
2C=C(R)-C(O)-O-R’’(ここで、Rは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、及びR’’は、(C
5~C
10)シクロアルキル基を表す)のモノマーのポリマー;及び
d)H
2C=C(R)-C(O)-O-R’及びH
2C=C(R)-C(O)-O-R’’(ここで、R、R’及びR’’は、先に定義された通りである)のコポリマー
から選択されるエチレン系ポリマーで構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
分散体(A)又は(D)中の前記炭化水素ベースの油iii)は、無極性であり、すなわち炭素原子及び水素原子のみから形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
分散体(A)又は(D)は、逆相エマルションにおけるものであり、すなわち油中水(W/O)タイプのものであり、且つ1つ又は複数の界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物(B)又は分散体(D)の前記アミン化合物は、アミノアルコキシシランf)から選択され、式(IVa):
R’
1-Si(OR’
2)
z(R’
3)
x (IVa)
(式(IVa)中、
・R’
1は、群:
- 一級アミンNH
2又は二級アミンN(H)R(ここで、Rは、(C
1~C
4)アルキル基を表す)、
- アミノ基若しくは(C
1~C
4)アルキルアミノ基で又はC
1~C
4アミノアルキル基で置換されたアリール基又はアリールオキシ基
から選択される基で置換された直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和、環状又は非環状のC
1~C
10炭化水素ベースの鎖であるか、又は
R’
1は、ヘテロ原子又はカルボニル基(CO)でその鎖において中断されていてもよく、R’
1は、炭素原子を介してケイ素原子に直接結合されており、
・R’
2及びR’
3は、同一であるか又は異なり得、1~6つの炭素原子を含む直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、
・zは、1~3の範囲の整数を表し、及び
・xは、0~2の範囲の整数を表し、
ここで、z+x=3である)
のものから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
組成物(B)又は分散体(D)の前記アミン化合物は、いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するe)ポリアミン化合物から選択され、
- ポリ((C
2~C
5)アルキレンイミン);
- ポリ(アリルアミン);
- ポリビニルアミン及びそのコポリマー;
- NH
2基を含むポリアミノ酸;
- アミノデキストラン;
- アミノポリビニルアルコール;
- アクリルアミドプロピルアミンをベースとするコポリマー;
- キトサン;及び
- 鎖末端又は側鎖にアミノ基を含むポリジ(C
1~C
4)アルキルシロキサン;
- アモジメチコーンであって、式(IVe):
【化2】
(式(IVe)中、
R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり得、(C
1~C
4)アルキル基、(C
1~C
4)アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール(C
1~C
4)アルキル又はアリール(C
1~C
4)アルコキシを表し、
R
cは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し;
R
eは、ヒドロキシル、(C
1~C
4)アルコキシ、アミノ又は(C
1~C
4)アルキルアミノ基を表し、
R
fは、(C
1~C
4)アルキル基、(C
1~C
4)アルコキシ基、ヒドロキシル又は-O-(SiR
2)
x-R’基(ここで、Rは、(C
1~C
4)アルキル基又は(C
1~C
4)アルコキシ基を表し、及びR’は、(C
1~C
4)アルコキシ基又はヒドロキシル基を表す)を表し;
R
gは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し;
ALK及びALK’は、同一であるか又は異なり得、(C
1~C
6)アルキレン基を表し;n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、p及びxは、0以上の整数である)
のアモジメチコーン;
- ポリエーテルアミン、
- ポリテトラヒドロフラン(又はポリテトラメチレングリコール)α,ω-ジアミン、ポリブタジエンα,ω-ジアミン;
- アミン末端官能基を有するポリアミドアミン(PANAM)デンドリマー;
- 一級又は二級アミンの側鎖官能基を担持するポリ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリルアミド
から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
組成物(B)は、請求項1又は7に記載の1つ又は複数の炭化水素ベースの油iii)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
組成物(B)は、水性である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物(B)は、無水である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
v)前記染料及び/又は顔料は、ヘアダイから選択され、
- 酸化染料;
- 直接染料;及び
- 天然染料
から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
v)前記染料及び/又は顔料は、顔料粉体若しくはペースト、レーキ、グリッターフレーク又はそれらの混合物の形態における、有機顔料及び鉱物質顔料又は無機顔料、特定の効果(蛍光、サーモクロミック、フォトクロミック)を有する顔料、コーティングされた又はコーティングされていない真珠箔顔料から選択され;
前記顔料は、分散剤を用いて製品中に分散され得、及び前記顔料は、有機薬剤で表面処理され得る、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記顔料は、
・有機ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン顔料、金属錯体タイプのもの、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、キノフタロンから選択され;白色及び着色有機顔料は、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color Indexにおいて参照顔料Blue 1 Lake、CI42090、69800、69825、73000、74100、74160でコード化されているブルー顔料、Color Indexにおいて参照番号CI11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005でコード化されているイエロー顔料、Color Indexにおいて参照番号CI61565、61570、74260でコード化されているグリーン顔料、Color Indexにおいて参照番号CI11725、15510、45370、71105でコード化されているオレンジ顔料、Color Indexにおいて参照番号CI12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470でコード化されているレッド顔料、インドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料;
・本発明において有用である、鉱物質顔料から選択される鉱物質又は無機顔料、酸化鉄又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1又は14~16のいずれか一項に記載のv)染料及び/又は顔料は、請求項1~8のいずれか一項に記載の分散体(A)又は(D)中にある、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1又は14~16のいずれか一項に記載のv)染料、及び/又は染料顔料、及び/又は顔料は、請求項1又は9~13のいずれか一項に記載の組成物(B)と組み合わせて前記髪に塗布される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
1)前記髪への、請求項1~8のいずれか一項に記載の油状分散体(A)の塗布、続いて、
2)前記髪への、請求項1又は14~16のいずれか一項に記載のv)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)の塗布;続いて、
3)前記髪への、請求項1又は9~13のいずれか一項に記載の組成物(B)の塗布
を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
1)前記髪への、請求項1又は14~16のいずれか一項に記載のv)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)の塗布;続いて、
2)前記髪への、請求項1~8のいずれか一項に記載の油状分散体(A)の塗布、続いて、
3)前記髪への、請求項1又は9~13のいずれか一項に記載の組成物(B)の塗布
を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップ1a)とステップ1b)との間にすすぎ洗いがなく、及び前記髪は、空気中において又は乾燥装置を使用して乾燥される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1)前記髪への、請求項1又は14~16のいずれか一項に記載のv)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)の塗布;続いて、
2)前記髪への、請求項1~10のいずれか一項に記載の油状分散体(D)の塗布
を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
キット又は機器であって、
・第一の区画において:請求項1~8のいずれか一項に記載の分散体(A)、及び
・第二の分離している区画において:請求項1又は9~13のいずれか一項に記載の組成物(B)を含み、
・前記2つの他の区画から分離している第三の区画において:請求項1又は14~16のいずれか一項に記載の1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)を含むか又は含まない、
いくつかの分離している区画を有する、毛髪を着色するのに使用するためのキット又は機器。
【請求項24】
請求項14~16のいずれか一項に記載のv)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含み、v)が1つ又は複数の顔料を表す場合、前記分散体は、無水であり、且ついくつかの一級アミン及び/又は二級アミンを担持するいかなるポリアミン化合物も含まず、且ついかなるアミノアルコキシシランも含まない、髪を着色するための請求項1~7のいずれか一項に記載の油状分散体(A)。
【請求項25】
請求項8に記載の油状分散体(A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば髪を処置するための方法であって、第一の段階での、前記繊維への、i)アルキルアクリレートとアクリル系無水物とのコポリマーの粒子、ii)安定剤、iii)1つ又は複数の炭化水素ベースの油を含む油状分散体(A)の塗布、及び次いで第二の段階での、前記繊維への、iv)1つ又は複数のアミン化合物を含む組成物(B)の塗布又は前記繊維への、前記成分i)、ii)、iii)及びiv)を含む油状分散体(D)の塗布を伴い、本発明の方法は、分散体(A)又は(D)中、及び/又は組成物(B)中、及び/又は別の組成物(C)中に存在し得るv)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を伴うことが理解される、方法に関する。本発明の別の主題は、成分i)~v)を含む多区画キットである。本発明の別の主題は、v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む無水の油状分散体(A)である。
【背景技術】
【0002】
化粧製品は、ケラチン物質上に良好な美容上の性質を有する製品の堆積物を得るために、被膜形成性ポリマーの使用を必要とすることが多い。とりわけ、被膜形成性堆積物が良好な持続性を有することが必要であり、とりわけ、堆積物が、指又は衣類との接触中に移らないことが必要であり、また、水、特に雨との接触時又はシャワー若しくは発汗中に良好な持続性を有することが必要である。皮脂も、被膜形成性堆積物を損なうことがある。
【0003】
ケラチン繊維の染色の分野において、非永久染色のために直接染料を、又は永久染色のために染料前駆体を使用して種々の技法によりケラチン繊維を染色することがすでに公知の慣行である。
【0004】
非永久染色又は直接染色は、直接染料を含む染料組成物によりケラチン繊維を染色することにある。これらの染料は、ケラチン繊維に親和性を有する有色の着色性分子である。それらは、所望の着色を得るのに要する時間ケラチン繊維に塗布され、次いですすぎ落とされる。
【0005】
使用される標準的な染料は、特に、ニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン若しくはトリアリールメタンタイプの染料又は天然染料である。
【0006】
これらの染料のいくつかは、色の濃い髪の上で見える着色の生成を可能にする淡色化条件下で使用できる。
【0007】
酸化染色によりケラチン繊維を永久に染色することも公知の慣行である。この染色技法は、ケラチン繊維に、酸化性塩基などの染料前駆体及びカップラーを含む組成物を塗布することにある。酸化剤の作用下において、これらの前駆体は、髪の中に1つ以上の有色物質を形成する。
【0008】
酸化性塩基及びカップラーとして使用される分子の多様性により、広範囲の色を得ることができ、それから生じる着色は、一般に、永久的で、強く、外部の作用剤、特に光、悪天候、洗浄、発汗及び摩擦に対して耐性がある。
【0009】
色の濃い髪の上で見えるために、これら2つの染色技法には、事前又は同時のケラチン繊維の漂白が必要である。過酸化水素又は過酸塩などの酸化剤により実施されるこの漂白工程は、ケラチン繊維のかなりの劣化を起こし、その美容上の性質が損なわれる。そうなると、髪は、粗く、もつれを解くのがより困難で、よりもろくなる傾向を有する。
【0010】
別の染色方法は、顔料を使用することにある。具体的には、ケラチン繊維の表面上での顔料の使用は、表面の顔料が繊維の自然な色をマスクするため、色の濃い髪の上での目に見える着色を得ることを可能にする。ケラチン繊維を染色するための顔料の使用は、例えば、(特許文献1)に記載されており、ケラチン繊維の一時的な染色のために、少なくとも1つの酸官能基を含む被膜形成性ポリマー粒子の少なくとも1つの分散液及び前記分散液の連続相中に分散している少なくとも1つの顔料を含む組成物の使用を推奨している。
【0011】
この染色方法により得られる着色は、まさに最初のシャンプー洗浄から除去されるという欠点を有する。
【0012】
さらに、ポリシロキサン/ポリウレアブロックコポリマー及び顔料を含む組成物を使用して、髪の着色コーティングを実施することも(特許文献2)から公知の慣行である。しかし、そのような組成物によって得られるコーティングは、必ずしも非常に均質ではなく、毛髪の個別化は必ずしも非常に良好ではない。
【0013】
(特許文献3)から、ポリマー骨格及び少なくとも3つの水素結合を形成することが可能な少なくとも2つの基を含む超分子ポリマーを含む、ケラチン物質を手入れ及び/又は処理するための化粧用組成物を使用すること、並びに(特許文献4)から、ポリマー骨格及び少なくとも3つの水素結合を形成することが可能な少なくとも2つの基を含む超分子ポリマー並びに界面活性剤又はヘアコンディショニング剤を含む髪用組成物を使用することも公知の慣行である。
【0014】
他の化粧品分野では、有機媒体、例えば炭化水素ベースの油中において、ナノメートルサイズのポリマー粒子の分散体を使用することも公知の慣行である。ポリマーは、メイクアップ製品、例えばマスカラ、アイライナー、アイシャドー又は口紅における皮膜形成剤として特に使用されている。(特許文献5)は、その実施例において、ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマーを用いて安定化されたアクリル系ポリマーの、炭化水素ベースの油(流動パラフィン、イソドデカン)中での分散体を記載している。その分散体を皮膚に対して塗布した後に得られる膜は、光沢がほとんどない。(特許文献6)は、唇及びまつ毛をメイクアップするための、炭化水素ベースの油を含む表面安定化ポリマー粒子の分散体の使用を記載している。(特許文献7)は、安定化ポリマーを用いて安定化されたアクリル系ポリマーの、イソドデカン中の分散体を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】仏国特許第2741530号明細書
【文献】仏国特許第2907678号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1392222号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1435900号明細書
【文献】欧州特許出願公開第A-749747号明細書
【文献】仏国特許第3014875号明細書
【文献】国際公開第A2010/046229号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、ブラッシングなどの攻撃因子に対して良好な抵抗性を有し、リーチせず、汗、光、悪天候に対する抵抗性を有し、且つシャンプー洗浄及び前記繊維が受ける可能性がある各種の攻撃因子に対する堅牢性があり、前記繊維が劣化しない一方、ケラチン繊維の完全な個別化を維持する、ケラチン繊維を処置するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この技術的課題は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば髪を処置するための方法であって、
1a)前記繊維への、
i)1つ又は複数の粒子であって、
a)(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレート、及び
b)エチレン性不飽和無水化合物
1つ又は複数のエチレン系コポリマーで構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)1つ又は複数の安定剤であって、
c)(C3~C12)シクロアルキル(C1~C6)(アルキル)アクリレートモノマーのポリマー;及び
d)(C3~C12)シクロアルキル(C1~C6)(アルキル)アクリレートと(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレートとのコポリマー
から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の炭化水素ベースの油
を含む、好ましくは無水である油状分散体(A)の塗布、続いて、
1b)前記繊維への、
iv)1つ又は複数のアミン化合物であって、
e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン化合物、及び
f)アミノアルコキシシラン
から選択される1つ又は複数のアミン化合物
を含む組成物(B)の塗布;又は
2)前記繊維への、前記成分i)、ii)、iii)及びiv)を含む、好ましくは無水である油状分散体(D)の塗布
を含み、
本発明の方法は、
- 分散体(A)又は(D)中;及び/又は
- 組成物(B)中;及び/又は
- 別の組成物(C)であって、前記繊維に塗布される別の組成物(C)
にあるv)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を伴うことが理解される、方法である本発明の方法によって解決された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
このようにしてケラチン繊維を処置する方法により、特にシャンプー洗浄及び水に対する抵抗性を有する前記繊維の処置を得ることが可能となる。
【0019】
本発明による方法は、特に、シャンプー洗浄後に持続性があるように、同時にケラチン繊維の物理的特性を維持しながら、すべてのタイプの繊維、特に色の濃い髪の上に目に見える着色を有する、ケラチン繊維上のコーティング、特に有色コーティングを得ることを可能にする。そのようなコーティングは、ドライヤによる乾燥及び発汗など、髪が受け得る外的攻撃因子に対して特に耐性がある。それは、特に、なめらかで均一な堆積物を得ることを可能にする。さらに、驚くべきことに、ケラチン繊維が完全に個別化されたままであり、何ら問題なくスタイリングできることが観察された。
【0020】
用語「個別化されたケラチン繊維」は、コーティングが、事実上、すべての繊維の周囲に形成されるため、組成物の塗布及び乾燥後、固着せず(又はすべて互いから別れている)、そのため繊維の塊を形成しない、ケラチン繊維、特に髪を意味する。
【0021】
本発明の目的のため且つ特に断らない限り:
・「アルキル基」は、直鎖状又は分岐状で飽和のC1~C8、特にC1~C6、好ましくはC1~C4炭化水素ベースの基、例えばメチル、エチル、イソプロピル及びtert-ブチルであり;
・「アルキレン基」は、直鎖状又は分岐状で二価の飽和C1~C8、特にC1~C6、好ましくはC1~C4炭化水素ベースの基、例えばメチレン、エチレン又はプロピレンであり;
・「シクロアルキル」基は、1~3つの環、好ましくは2つの環を含み、且つ3~13個の炭素原子、好ましくは5~10個の炭素原子を含む環状で飽和の炭化水素ベースの基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル又はイソボルニルであり、そのシクロアルキル基は、場合により、1つ又は複数の(C1~C4)アルキル基、例えばメチルで置換され得、好ましくは、そのシクロアルキル基は、イソボルニル基であり;
・「環状」基は、1~3つの環、好ましくは1つの環を含み、且つ3~10個の炭素原子を含む、環状で飽和又は不飽和、芳香族又は非芳香族の炭化水素ベースの基、例えばシクロヘキシル又はフェニルであり;
・「アリール」基は、6~12個の炭素原子を含み、単環又は二環の、縮合又は非縮合である、環状で不飽和の芳香族の基であり;好ましくは、そのアリール基は、6つの炭素原子を含む1つの環及び例えばフェニルを含み;
・「アリールオキシ」基は、先に定義された通りのアリールを含む、アリール-オキシ、すなわちアリール-O-基、好ましくはフェノキシであり;
・「アリール(C1~C4)アルコキシ」基は、アリール-(C1~C4)アルキル-O-基、好ましくはベンゾキシであり;
・「ケラチン繊維」という用語は、特に、ヒトのケラチン繊維、例えば頭髪、まつ毛、まゆ毛及び体毛、好適には頭髪、まゆ毛及びまつ毛、さらにより好適には頭髪を意味する。
【0022】
油状分散体(A)
好ましい実施形態では、本発明の方法は、好ましくは、無水の媒体中において、ii)少なくとも1つの安定剤を用いて表面安定化されたi)少なくとも1つのポリマーの粒子を含み、iii)少なくとも1つの炭化水素ベースの油も含む油状分散体(A)を含む。
【0023】
さらに、本発明における分散体は、非水性媒体中の、少なくとも1つの表面安定化されたポリマーの、一般的には球状である粒子で構成される。
【0024】
i)ポリマー粒子
本発明の方法の分散体の粒子は、1つ又は複数の、a)(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレート、及びb)エチレン性不飽和無水化合物のエチレン系コポリマーで構成される。
【0025】
「エチレン系コポリマー」という用語は、2つのモノマー、すなわちモノマーa)である(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレートと、モノマーb)であるエチレン性不飽和無水化合物とを重合させることによって得られるポリマーを意味する。
【0026】
「エチレン性不飽和無水化合物」という用語は、少なくとも1つのエチレン性不飽和である、-(Ra)C=C(Rb)-、-C(Ra)=C(Rb)-Rc又は>C=C(Ra)-Rbを含むカルボン酸無水化合物を意味し、ここで、Ra、Rb及びRcは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C1~C4)アルキル基、例えばメチル、好ましくは水素を表す。具体的には、そのエチレン性不飽和無水化合物は、好ましくは、5員又は6員の、エチレン性不飽和を含む環状化合物である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、その粒子i)を構成するポリマーは、以下のアクリレートのコポリマーである:
a)式H2C=C(R)-C(O)-O-R’(ここで、Rは、水素原子又は(C1~C4)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’は、(C1~C4)アルキル基、例えばメチル又はエチル、好ましくはC1~C4アルキル(メタ)アクリレートを表す);及び
b)エチレン性不飽和無水物モノマー。
【0028】
具体的には、その粒子のポリマーは、C1~C4アルキル(メタ)アクリレートと、エチレン性不飽和無水物モノマーとのポリマーである。
【0029】
そのモノマーa)は、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート及びtert-ブチル(メタ)アクリレートから選択される。
【0030】
C1~C4アルキルアクリレートモノマーを使用することが有利である。a)を、メチルアクリレート及びエチルアクリレートから選択することが好適である。
【0031】
その粒子のポリマーは、エチレン性不飽和無水物モノマーb)も含む。
【0032】
本発明のエチレン性不飽和無水化合物b)は、無水マレイン酸(Ib)の誘導体及び無水イタコン酸(IIb)の誘導体から選択することが好適である。
【化1】
(式(Ib)及び(IIb)中、
R
a、R
b及びR
cは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し;好ましくは、R
a、R
b及びR
cは、水素原子を表す)
【0033】
より好適には、本発明のエチレン性不飽和無水物モノマーが式(Ib)であり、さらにより好適には無水マレイン酸である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、その粒子のポリマーは、ポリマーの全質量を基準にして80~99.99質量%のモノマーa)及び0.01~20質量%のモノマーb)を含むか又はそれらから実質的になる。
【0035】
それらの粒子のポリマーは、以下から選択され得る:
- メチルアクリレート/無水マレイン酸のコポリマー;
- エチルアクリレート/無水マレイン酸のコポリマー;及び
- メチルアクリレート/エチルアクリレート/無水マレイン酸のコポリマー。
【0036】
その粒子のポリマーは、非架橋のポリマーであることが有利である。
【0037】
その分散体の粒子のポリマーは、2000~10000000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。
【0038】
その粒子のポリマーは、その分散体中において、分散体(A)の全質量を基準にして20質量%~60質量%の範囲、特に分散体(A)の全質量を基準にして21質量%~58.5質量%、好ましくは分散体(A)の全質量を基準にして30質量%~50質量%の範囲、より好適には分散体(A)の全質量を基準にして36質量%~42質量%の範囲の量で存在し得る。
【0039】
ii)安定剤
本発明における分散体(A)は、1つ又は複数の安定剤ii)も含む。本発明では、単一のタイプの安定剤ii)が使用されることが好ましい。
【0040】
本発明の安定剤は、c)(C3~C12)シクロアルキル(C1~C6)(アルキル)アクリレートモノマーのポリマー;及びd)(C3~C12)シクロアルキル(C1~C6)(アルキル)アクリレートと、(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレートとのコポリマーから選択されるエチレン系ポリマーで構成される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、その安定剤ii)は、以下から選択されるエチレン系ポリマーで構成される:
c)式H2C=C(R)-C(O)-O-R’’(ここで、Rは、水素原子又は(C1~C4)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’’は、(C5~C10)シクロアルキル基、例えばノルボルニル又はイソボルニル、好ましくはイソボルニル表す)のモノマーのポリマー;及び
d)H2C=C(R)-C(O)-O-R’及びH2C=C(R)-C(O)-O-R’’(ここで、R、R’及びR’’は、先に定義された通りである)のコポリマー。
【0042】
特に、その安定剤ii)は、イソボルニル(メタ)アクリレートポリマーであって、イソボルニル(メタ)アクリレートのホモポリマー及びイソボルニル(メタ)アクリレートとC1~C4アルキル(メタ)アクリレートとのランダムコポリマーから選択され、それらは、4超のイソボルニル(メタ)アクリレート/C1~C4アルキル(メタ)アクリレート質量比で存在することが好ましい。前記質量比は、4.5~19の範囲であることが有利である。
【0043】
それらのランダムコポリマーでは、規定された質量比にすることにより、安定である、特に室温で7日間貯蔵した後でも安定であるポリマー分散体を得ることが可能となる。
【0044】
有利には、その安定剤は、上述の質量比による、
- イソボルニルアクリレートのホモポリマー、
- イソボルニルアクリレート/メチルアクリレートのランダムコポリマー、
- イソボルニルアクリレート/エチルアクリレートのランダムコポリマー、及び
- イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/エチルアクリレートのランダムコポリマー
から選択される。
【0045】
分散体(A)中に存在するii)安定剤+i)ポリマーの粒子の合計は、ii)安定剤+i)ポリマー粒子の合計の全質量を基準にして10~50質量%のコポリマーd)及び50~90質量%のポリマーc)で構成されることが有利である。
【0046】
分散体中に存在するii)安定剤+i)ポリマー粒子の合計は、ii)安定剤+i)ポリマー粒子の合計の全質量を基準にして15~30質量%のコポリマーd)及び70~85質量%のポリマーc)を含むことが好適である。
【0047】
iii)炭化水素ベースの油
本発明における分散体(A)は、1つ又は複数の、同一であるか又は異なる、好ましくは同一である炭化水素ベースの油を含む。
【0048】
「油」という用語は、室温(25℃)、大気圧で液体である脂肪物質を意味する。
【0049】
「炭化水素ベースの油」という用語は、炭素原子及び水素原子並びに任意選択的に酸素原子及び窒素原子から実質的に形成又はさらに構成され、且つケイ素原子又はフッ素原子を全く含まない油を意味する。それに含まれ得るのは、ヒドロキシ、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミドの基である。
【0050】
その炭化水素ベースの油は、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、その炭化水素ベースの油は、揮発性であるか又は複数の揮発性油の混合物であり、より好適にはイソドデカン及びオクチルドデカノールから選択される。
【0052】
別の特定の実施形態では、その炭化水素ベースの油は、揮発性油と不揮発性油との混合物である。
【0053】
「揮発性油」という用語は、室温、大気圧下において、皮膚と接触させてから1時間以内に蒸発することが可能な油(又は非水性媒体)を指す。その揮発性油は、揮発性の化粧品用油であり、室温では液状であり、特に室温、大気圧下ではゼロでない蒸気圧を有し、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、好適には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
【0054】
「不揮発性油」という用語は、0.13Pa未満の蒸気圧を有する油を指す。
【0055】
揮発性のシリコーン油としては、以下が挙げられ得る:揮発性の、直鎖状又は環状のシリコーン油、特に8センチストークス(cSt)(8×10-6m2/s)以下の粘度を有し、特に2~10個のケイ素原子、特に2~7つのケイ素原子を含むものであり、それらのシリコーンは、任意選択的に、1~10個の炭素原子を含むアルキル基又はアルコキシ基を含む。本発明において使用可能な揮発性のシリコーン油としては、特に以下が挙げられる:5及び6cStの粘度を有するジメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルへキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物。
【0056】
不揮発性シリコーン油としては、以下を挙げることができる:直鎖状又は環状の不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);シリコーン鎖にペンダントするか又は末端に、アルキル、アルコキシ及び/又はフェニル基(これらの基は、2~24個の炭素原子を含む)を含むポリジメチルシロキサン、;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート並びにペンタフェニルシリコーン油。
【0057】
その炭化水素ベースの油は、以下から選択することができる:
- 8~14個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油、特に、
- 分岐状のC8~C14アルカン、例えば石油由来のC8~C14イソアルカン(イソパラフィンとも呼ばれる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン及び例えば商品名Isopar又はPermethylとして販売されている油、
- 直鎖状のアルカン、例えばn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)(SasolからそれぞれParafol 12-97及びParafol 14-97の名称で販売)及びそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物(国際公開第2008/155 059号パンフレット(Cognis社)の実施例1及び2で得られる)並びにそれらの混合物、
- (合計して3~8つの炭素原子を含む)短鎖エステル、例えばエチルアセテート、メチルアセテート、プロピルアセテート又はn-ブチルアセテート、
- 植物由来の炭化水素ベースの油、例えばグリセロールの脂肪酸エステルで構成されるトリグリセリド(それらの脂肪酸は、C4~C24の範囲の鎖長を有し得、それらの鎖は、直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和であり得る);これらの油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリドであるか、又は代わりに以下である:コムギ胚種油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、アンズ油、ヒマシ油、シアバター油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ハシバミ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、インゲンマメ油、ナタネ油、クロフサスグリ油、オオマツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油及びジャコウバラ油;シアバター;又は他にカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社から販売されているもの又はDynamit Nobel社からMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているもの、
- 10~40個の炭素原子を含む合成エーテル;
- 鉱物由来又は合成由来の直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、スクアラン及び流動パラフィン並びにそれらの混合物、
- 合成エステル、例えば式R1C(O)-O-R2の油(ここで、R1は、1~40個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、特に、1~40個の炭素原子を含む分岐状の炭化水素ベースの鎖を表し、但し、R1+R2≧10である)、例えばパーセリン油(セトステアリルオクタノエート)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12~C15アルキルベンゾエート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、アルキルヘプタノエート若しくはポリアルキルヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート;ヒドロキシル化エステル、例えば、イソステアリルラクテート、ジイソステアリルマレート及び2-オクチルドデシルラクテート;ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、
- 12~26個の炭素原子を含み、分岐状及び/又は不飽和の炭素ベースの鎖を有する、室温で液状である脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール及び2-ウンデシルペンタデカノール。
【0058】
分散体(A)は、炭化水素ベースの油に加えて、シリコーン油を含み得る。シリコーン油が分散体(A)中にある場合、それは、好ましくは、分散体(A)の質量を基準にして10質量%を超えない量、より特に5質量%未満、より好適には2質量%未満の量であることが好ましい。「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子と、特に少なくとも1つのSi-O基とを含む油を意味する。そのシリコーン油は、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0059】
特定の実施形態では、その分散体(A)は、その組成物中に存在する油の全質量の60~100質量%の範囲の含量にある炭化水素ベースの油及び0~40質量%のシリコーン油を含む。本発明の好ましい実施形態では、その組成物は、油として炭化水素ベースの油のみを含む。
【0060】
本発明の炭化水素ベースの油は、無極性であり、すなわち炭素原子及び水素原子のみから形成されることが有利である。
【0061】
その炭化水素ベースの油は、好ましくは、8~14個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油から選択され、それらは、先に述べたように、特に揮発性であり、より特に無極性の油である。
【0062】
本発明の炭化水素ベースの油は、イソドデカンであることが好適である。
【0063】
本発明の別の有利な実施形態では、その炭化水素ベースの油は、不揮発性油と揮発性油との混合物であり、好ましくは、その混合物は、揮発性油としてイソドデカンを含む。特に、その混合物中での不揮発性油は、フェニルシリコーン油であり、好ましくはペンタフェニルシリコーン油から選択される。
【0064】
本発明の特定の実施形態では、その方法で使用される組成物の(B)及び(C)は、先に定義された通りの少なくとも1つの油、特に炭化水素ベースの油も含む。
【0065】
その分散体のポリマー粒子は、好ましくは、5~500nmの範囲、特に10~400nmの範囲、さらにより良好には20~300nmの範囲の数平均サイズを有する。
【0066】
分散体(A)を調製するための方法
本発明における分散体は、限定されないが、一般的に以下の方法で調製することができる。
【0067】
重合は、「分散体」の形態、すなわち1つ又は複数の安定剤、好ましくは1つの安定剤を用いて、形成された粒子を保護しながら、形成されたポリマーを沈降させることにより実施される。
- 第一のステップでは、安定化ポリマーc)又はd)の構成成分のモノマーを、iv)フリーラジカル開始剤と共に合成溶媒として公知の溶媒中で混合し、それらのモノマーを重合させることにより、安定化ポリマー(又は安定剤ii))を調製する;
- 第二のステップでは、粒子i)のポリマーの構成成分のモノマーを、先行するステップで形成させた安定化ポリマーに添加し、フリーラジカル開始剤の存在下において、これらの展開したモノマーの重合を実施する。
【0068】
非水性媒体が不揮発性の炭化水素ベースの油iii)である場合、その重合は、無極性の有機溶媒(合成溶媒)中で実施され得、続けて不揮発性炭化水素ベースの油(これは、前記合成溶媒と混和性がなければならない)を添加し、且つ合成溶媒を選択的に留去する。
【0069】
その第一のステップ中、染料及び/又は顔料を添加し得る。別の変形形態では、染料及び/又は顔料を第二ステップの途中又は第二ステップ後に添加する。
【0070】
したがって、安定化ポリマーのモノマー及びフリーラジカル開始剤がその中に可溶性であり、且つ得られたポリマー粒子がその中に非溶性であり、それらが形成されている間にその中で沈降しなければならないような合成溶媒が選択される。
【0071】
具体的には、無極性で有機のものであって、好ましくはアルカン、例えばヘプタン又はシクロヘキサンから選択される合成溶媒が選択される。
【0072】
その非水性媒体が揮発性の炭化水素ベースの油iii)である場合、その重合は、前記油(したがって合成溶媒としても機能する)中で直接実施することができる。モノマー類も、フリーラジカル開始剤と同様に、その中に可溶性でなければならず、及びその中で得られる粒子のポリマーは、その中に不溶性でなければならない。
【0073】
モノマーは、重合前に合成溶媒中において5質量%~45質量%の比率で存在することが好ましい。反応が開始されるより前にモノマーの全量が溶媒中に存在し得るか、又は重合反応の進行に伴って徐々にモノマーが少しずつ添加され得る。
【0074】
その重合は、1つ又は複数のvi)フリーラジカル開始剤、特に以下のようなタイプのものの存在下で実施することが好適である:
- ペルオキシド、特にtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート:Trigonox21S;2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン:Trigonox141;tert-ブチルペルオキシピバレート:Trigonox25C75(AkzoNobel製)から選択されるもの;又は
- アゾ、特にAIBN:アゾビスイソブチロニトリル;V50:2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドから選択されるもの。
【0075】
重合は、70~110℃の温度範囲で大気圧下において実施することが好ましい。
【0076】
ポリマー粒子i)は、それらが重合で形成される際に安定剤ii)の手段によって表面安定化される。
【0077】
その安定化は、各種の公知の手段、特に重合の際に安定剤ii)を直接添加することによって実施することができる。
【0078】
安定剤ii)は、粒子i)のポリマーのモノマーを重合させる前から混合物中に存在させておくことも好ましい。しかしながら、特に粒子i)のポリマーのモノマーを連続的に添加するような場合、安定剤を連続的に添加することも可能である。
【0079】
使用されるモノマー(安定剤ii)+ポリマー粒子i))の全質量を基準にして10質量%~30質量%、好ましくは15質量%~25質量%の安定剤を使用し得る。
【0080】
そのポリマー粒子の分散体(A)は、有利には、前記分散体の全質量を基準にして30質量%~65質量%、好ましくは前記分散体の全質量を基準にして40質量%~60質量%の固形分を含む。
【0081】
本発明における分散体(A)は、好ましくは、分散体(A)の全質量を基準にして1質量%~50質量%の範囲、好ましくは2質量%~30質量%の範囲の、粒子i)のポリマー+分散ポリマーii)の含量を含む。
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、その本発明における分散体(A)は、無水の組成物である。
【0083】
「無水の」分散体又は組成物という用語は、2質量%未満の水若しくはさらに0.5質量%未満の水のみを含むか、又は特に水を全く含まない分散体又は組成物を指す。適切な場合、そのような少量の水は、特に、残存量の水を含む可能性のある組成物の成分から導入される可能性もある。
【0084】
本特許出願の別の実施形態では、その分散体(A)は、逆相エマルションにおけるものである、すなわち油中水タイプ(W/O)のものである。この場合、その組成物は、1つ又は複数の界面活性剤を含み、それは、好ましくは、ノニオン性である。(A)の逆相エマルションは、好ましくは、メイクアップ、特にまつ毛及びまゆ毛のメイクアップで選択される。
【0085】
組成物(B)
本発明の方法の組成物(B)は、1つ又は複数のアミン化合物iv)を含む。
【0086】
iv)アミン化合物:
本発明の方法において使用されるアミン化合物は、以下から選択される:
e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン、及び
f)アミノアルコキシシラン。
【0087】
本発明における方法で使用されるアミン化合物は、特に、アミノアルコキシシラン化合物、ジアミン化合物及びトリアミン化合物から選択される。
【0088】
本発明の特定の実施形態では、そのポリアミン化合物は、特に2~20個の炭素原子を含み、及びそのポリアミン化合物は、特にポリマー性ではない。
【0089】
「ポリマー性ではない」化合物という用語は、モノマーの重合反応によって直接得ることができない1つ又は複数の化合物を指す。
【0090】
ポリアミン化合物としては、特に以下が挙げられる:N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-プロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-イソプロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-シクロヘキシル-1,3-ジアミノプロパン、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジメチルジプロピレントリアミン、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、リシン、シスタミン、キシレンジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン及びスペルミジン。
【0091】
本発明の別の特定の実施形態では、そのアミン化合物iv)は、例えば、式(IVa)のようなf)アミノアルコキシシランから選択される:
R’1-Si(OR’2)z(R’3)x (IVa)
(式(IVa)中、
・R’1は、
- 一級アミンNH2又は二級アミンN(H)R(ここで、Rは、(C1~C4)アルキル基を表す)、
- アミノ基若しくは(C1~C4)アルキルアミノ基で又はC1~C4アミノアルキル基で置換されたアリール又はアリールオキシ、及び
- アルデヒド-C(O)-H、カルボキシ-C(O)-OH、アミド-C(O)-NH2又は尿素-NH-C(O)-NH2
の群から選択される1つ又は複数の基で置換された直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和、環状又は非環状のC1~C10炭化水素ベースの鎖であり;
R’1は、任意選択的に、1つ又は複数のヘテロ原子(特にO、S、NH)、カルボニル基(CO)又はそれらの組合せ、例えばエステルの-C(O)-O-又はアミドの-C(O)-NH-でその炭化水素ベースの鎖において中断され、R’1は、炭素原子を介してケイ素原子に結合されており、
・R’2及びR’3は、同一であるか又は異なり得、1~6つの炭素原子を含む直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、
・zは、1~3の範囲の整数を表し、及び
・xは、0~2の範囲の整数を表し、ここで、z+x=3である)。
【0092】
R’2は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表すことが好ましい。
【0093】
R’2は、1~4つの炭素原子を有する直鎖のアルキル基を表すことが好ましい。
【0094】
R’2は、エチル基を表すことが好ましい。
【0095】
R’3は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表すことが好ましい。
【0096】
R’3は、1~4つの炭素原子を有する直鎖のアルキル基を表すことが好ましい。
【0097】
R’3は、メチル基又はエチル基を表すことが好ましい。
【0098】
R’1は、非環状の鎖であることが好ましい。
【0099】
好ましくは、R’1は、アミンNH2基又はN(H)R基で置換された直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和のC1~C6炭化水素ベースの鎖であり、ここで、Rは、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又はC6芳香族基である。
【0100】
R’1は、アミン基NH2で置換された飽和で直鎖状のC1~C6炭化水素ベースの鎖であることが好適である。
【0101】
R’1は、アミン基NH2で置換された飽和で直鎖状のC2~C4炭化水素ベースの鎖であることがより好適である。
【0102】
R’1は、アミン基NH2で置換された飽和で直鎖状のC1~C6炭化水素ベースの鎖であることが好ましい。
【0103】
R’2は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0104】
R’3は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表す、
【0105】
好ましくは、zは、3に等しい。
【0106】
式(IVa)のアミノアルコキシシランは、以下から選択することが好ましい:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノエチルトリエトキシシラン(AETES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、p-アミノフェニルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン。
【0107】
アミノアルコキシシラン(IVa)は、以下から選択することが好ましい:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノエチルトリエトキシシラン(AETES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン。
【0108】
アミノアルコキシシラン(IVa)は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)であることが好ましい。
【0109】
アミン化合物は、以下から選択することが好ましい:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-プロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-イソプロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-シクロヘキシル-1,3-ジアミノプロパン、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジメチルジプロピレントリアミン、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン及びリシン。
【0110】
アミン化合物は、以下から選択されることが好適である:エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン及び3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)。
【0111】
アミン化合物は、エチレンジアミン又は3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)であることがより好適である。
【0112】
アミン化合物は、e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン、特にアミンポリマー、特に500~1000000の範囲、好ましくは500~500000の範囲、好適には500~100000の範囲の質量平均分子量を有するものからも選択され得る。
【0113】
アミンとして又はポリアミンポリマーe)としては、ポリ((C
2~C
5)アルキレンイミン)を使用し得、特に以下が使用できる:
- ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミン、特にポリ(エチレンイミン)(例えば、Aldrich Chemical社から商品番号46,852-3として販売されている製品);
- ポリ(アリルアミン)(例えば、Aldrich Chemical社から商品番号47,913-6として販売されている製品);
- ポリビニルアミン及びそのコポリマー、特にビニルアミドを含むもの;特に例を挙げれば、ビニルアミン/ビニルホルムアミドのコポリマー、例えばBASF社からLupamin(登録商標)9030の名称で販売されているもの;
- 例えば、ポリリシンのような、NH
2基を含むポリアミノ酸、例えばJNC株式会社(JNC Corporation)(旧、チッソ(Chisso))から販売されている製品;アミノデキストラン、例えばCarboMer Inc社から販売されている製品;
- アミノポリビニルアルコール、例えばCarboMer Inc社から販売されている製品のアクリルアミドプロピルアミンをベースとするコポリマー;
- キトサン;及び
- ポリジ(C
1~C
4)アルキルシロキサン、特に鎖末端又は側鎖にアミノ基を含むポリジメチルシロキサンは、特に末端又は側鎖アミノ(C
1~C
6)アルキル基、例えばアミノプロピル、より特に式(IVb)、又は(IVc)、又は(IVd):
【化2】
(式(IVb)中、
R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C
1~C
4)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C
1~C
4)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C
1~C
4)アルキル、例えばメチルを表し;R
c及びR’
cは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、水素原子、(C
1~C
4)アルキル基、アミノ(C
1~C
4)アルキル又は(C
1~C
4)アルキルアミノ(C
1~C
4)アルキル基、好ましくは水素原子又はアミノ(C
1~C
4)アルキル基、例えばアミノエチルを表し;Xは、共有結合、酸素原子、好ましくは共有結合を表し;ALK及びALK’は、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくは(C
1~C
4)アルキレン、例えばプロピレンを表し;nは、2超の整数を表し、及びより特に、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~55000であるようなものである)
のものであり;
式(IVb)のポリジ(C
1~C
4)アルキルシロキサンは、以下の式(IV’b)であることが好適であり:
【化3】
(式(IVb)中、
nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~55000であるようなものである)。アミノシリコーン(IVb)又は(IV’b)の例としては、Gelest社からDMS-A11、DMS-A12、DMS-A15、DMS-A21、DMS-A31、DMS-A32及びDMS-A35の名称で販売されているものを挙げることができる;
式(IV’’b)中、R
c、R’
c、ALK、ALK’及びnは、(IVb)について先に定義された通りである。
好ましくは、ALK及びALK’が同一であり、且つ(C
1~C
4)アルキレン基、例えばプロピレンを表し、R
c及びR’
cが同一であり、且つアミノ(C
1~C
4)アルキル基、例えばアミノエチルを表す。
特に挙げることができるのは、Genesee Polymersから商品名GP-RA-157として販売されている、ジメトキシシリルエチレンジアミノプロピルジメチコーン(RN:71750-80-6)である。
【化4】
(式(IVc)中、
R
a、R
b及びR
dは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C
1~C
4)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C
1~C
4)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C
1~C
4)アルキル、例えばメチルを表し、R
dは、(C
1~C
4)アルキルアミノ基又はアミノ基で置換された(C
1~C
6)アルキル基も表し得、R
cは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;ALKは、(C
1~C
6)アルキル基、好ましくは(C
1~C
4)アルキレン、例えばプロピレンを表し;n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、及びより特に、m及びnの値は、シリコーンの質量平均分子量が1000~55000であるようなものである)、
式(IVc)のポリジ(C
1~C
4)アルキルシロキサンは、以下の式(IV’c)を有することが好適である:
【化5】
(式(IV’c)中、
n及びmの値は、シリコーンの質量平均分子量が1000~55000であるようなものである)。シリコーン(IVc)の例としては、Gelest社からAMS-132、AMS-152、AMS-162、AMS-163、AMS-191及びAMS-1203の名称で販売されているものを挙げることができる:
【化6】
(式(IVd)中、
R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C
1~C
4)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C
1~C
4)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C
1~C
4)アルキル、例えばメチルを表し;及びR
dは、任意選択的に(C
1~C
4)アルキルアミノ基又はアミノ基で置換された(C
1~C
6)アルキル基、好ましくは(C
1~C
4)アルキル、例えばイソブチル、tert-ブチル又はn-ブチルを表し、R
cは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;ALKは、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくは(C
1~C
4)アルキレン、例えばプロピレンを表し;nは、2超の整数を表し、及びより特に、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~5000であるようなものである);
式(IVc)のポリジ(C
1~C
4)アルキルシロキサンは、以下の式(IV’c)を有することが好適である:
H
2NCH
2CH
2CH
2-Si(CH
3)
2-O-[Si(CH
3)
2-O]n-Si(CH
3)
2C
4H
9 (IV’d)
(式(IV’d)中、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~3000であるようなものである)。シリコーン(IVd)の例としては、Gelest社からMCR-A11及びMCR-A12の名称で販売されている製品を挙げることができる;
- 式(IVe)のアモジメチコーン:
【化7】
(式(IVe)中、
R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C
1~C
4)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C
1~C
4)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C
1~C
4)アルキル、例えばメチルを表し;
R
cは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
R
eは、ヒドロキシル、(C
1~C
4)アルコキシ、アミノ又は(C
1~C
4)アルキルアミノ基を表し、
R
fは、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ、ヒドロキシル又は-O-(SiR
2)
x-R’(Rは、(C
1~C
4)アルキル基又は(C
1~C
4)アルコキシ基を表し、及びR’は、(C
1~C
4)アルコキシ基又はヒドロキシル基を表す)を表し、好ましくは、R
fは、(C
1~C
4)アルキル、(C
1~C
4)アルコキシ又は-O-(SiR
2)
x-R’基(ここで、Rは、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’は、ヒドロキシル基又は(C
1~C
4)アルコキシ基、例えばメトキシを表す)を表し;
R
gは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し;
ALK及びALK’は、同一であるか又は異なり得、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくは(C
1~C
4)アルキレン、例えばエチレン又はプロピレンを表し;
n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し;
p及びxは、0以上の整数であり;
好ましくは、pが2~20であり、及びより特に、m、n、p及びxの値は、シリコーンの質量平均分子量は、2000~700000、好適には5000~500000であるようなものである);
式(IVe)のアモジメチコーンは、以下の式(IV’e)であることが好適である:
【化8】
(式(IV’e)中、
ALKは、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくはエチレンを表し、ALK’は、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくはプロピレンを表し;及びm、n及びpは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、ここで、m、n及びpは、その化合物の質量平均分子量がほぼ5000~500000にし;好ましくは、pは、8~20の整数を表す);
- 別の好ましい実施形態では、式(IVe)のアモジメチコーンは、以下の式のものから選択される:
【化9】
(式(IV’’e)中、
- R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ、好ましくは(C
1~C
4)アルキル、例えばメチルを表し;
- R
cは、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
- R
fは、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル、(C
1~C
4)アルコキシ、例えばメトキシ又は-O-(SiR
2)
x-R’(ここで、Rは、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’は、ヒドロキシル又は(C
1~C
4)アルコキシ基、例えばメトキシを表す)を表し;
- R
gは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し;
- ALKは、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくはエチレンを表し;
- ALK’は、(C
1~C
6)アルキレン基、好ましくはプロピレンを表し;
n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、xは、0以上の整数であり;好ましくは、m、n及びxの値は、シリコーンの質量平均分子量が2000~700000、好適には5000~500000であるようなものである)。
- さらにより特に、(IV’’e)は、以下の式を表し:
【化10】
- R
f、R
g、ALK、ALK’、m、nは、(IV’’e)について定義された通りである。式(IV’’e)及び上記の式に属するアモジメチコーン及びトリメチルシロキシアモジメチコーンは、例えば、Wacker社から販売されているAMDタイプのアモジメチコーン及びトリメチルシロキシアモジメチコーン(Belsil(登録商標))であるが、アミノエチルアミノプロピル基を担持する、カチオン性60%水性エマルションとして、メトキシ及び/又はヒドロキシル官能基及びα-ωシラノールを担持するポリジメチルシロキサンも挙げられる(供給業者番号:Xiameter MEM-8299Emulsion(Dow Corning)又は供給業者番号:Belsil ADM 4000E(Wacker);
- ノニオン性15%マイクロエマルションとして貯蔵されているアミノエチルイミノプロピル基を担持するポリジメチルシロキサン(供給業者番号:Belsil ADM Log1);
- ポリエーテルアミン、Huntsman社からの参照名Jeffamineとして知られているもの;及び特にポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールα,ω-ジアミン(鎖末端のアミン官能基を担持している)、例えばJeffamine D-230、D-400、D-2000、D-4000、ED-600、ED-9000、ED-2003の名称で販売されているもの;
- ポリテトラヒドロフラン(又はポリテトラメチレングリコール)α,ω-ジアミン、ポリブタジエンα,ω-ジアミン;
- アミン末端官能基を有するポリアミドアミン(PANAM)デンドリマー;
- 一級又は二級アミンの側鎖官能基を担持するポリ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリルアミド、例えばポリ(3-アミノプロピル)メタクリルアミド又はポリ(2-アミノエチル)メタクリレート。
【0114】
ポリアミン化合物e)で、いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するアミノポリマーとしては、好ましくは、鎖末端又は側鎖に一級アミン基を含むポリジ(C1~C4)アルキルシロキサンが使用される。
【0115】
本発明における方法において使用されるそのポリアミン化合物e)は、鎖末端及び/又は側鎖に一級アミン基を含むポリジ(C1~C4)アルキルシロキサンから選択されることが有利である。
【0116】
より好適には、本発明の方法の組成物(B)中に含まれるアミン化合物iv)は、先に定義された通りの式(IVb)及び(IVe)、さらにより好適には先に定義された通りの(IV’b)及び(IV’e)のものから選択される。
【0117】
本発明の特定の実施形態では、組成物(B)は、1つ又は複数の先に定義された通りの炭化水素ベースの油iii)も含む。分散体(A)中及び組成物(B)中に含まれる炭化水素ベースの油は、同一であることが有利である。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、組成物(B)の炭化水素ベースの油は、8~14個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油、特に先に説明したような無極性の油から選択される。組成物(B)の炭化水素ベースの油は、イソドデカンであることがさらにより好適である。
【0119】
本発明の特定の実施形態では、組成物(B)が水性又は水-アルコール性である。「水-アルコール性」という用語は、水と、直鎖状又は分岐状のC2~C4アルカノール、好ましくはエタノールとの混合物を指す。
【0120】
本発明の1つの有利な実施形態では、組成物(B)は、水性又は水-アルコール性であり、好ましくは1つ若しくは複数のキトサン及び/又は1つ若しくは複数のポリアミノ酸、好ましくはポリリシンをさらに含む。
【0121】
本発明の別の有利な実施形態では、組成物(B)が水性であって、水中のエマルションの形、特に油中水(W/O)タイプのエマルションの形で、1つ又は複数の先に定義された通りのアルコキシシランf)を含む。
【0122】
本発明のさらに別の有利な実施形態では、組成物(B)は、水性であり、水中油(O/W)タイプのエマルションの形態において、1つ又は複数の先に定義された通りのポリアミンe)を含む。
【0123】
本発明における方法において使用されるアミン化合物は、アミン化合物iv)のアミン基/先に定義された通りのエチレン性不飽和無水化合物の無水物b)のモル比を有利には0.01~10の範囲、好ましくは0.1~5の範囲、好適には0.1~2の範囲、より好適には0.1~1の範囲として使用される。
【0124】
本発明の少なくとも2ステップの方法により、ケラチン繊維が受ける可能性がある外部攻撃因子に対する良好な抵抗性、特に水及び連続的なシャンプー洗浄に対する良好な抵抗性を有する、染料及び/又は顔料の析出物を得ることが可能となる。
【0125】
加えて、本発明の方法により、不揮発性化合物、特に油を捕捉することも可能となり、その結果、例えば化粧品特性を改良するか又はケラチン繊維にきらめきを与え、且つケラチン繊維が受ける可能性がある外部攻撃因子、特に連続的なシャンプー洗浄に関して持続性があるような形で実施することができる。
【0126】
不揮発性油としては、以下が挙げられる:動物由来の炭化水素ベースの油、例えばペルヒドロスクアレン;炭化水素ベースの植物油、例えば4~10個の炭素原子の脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド又は代わりにヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、グレープシード油、ゴマ油、アンズ油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、ホホバ油、シアバター油;鉱物由来又は合成由来の直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン及びそれらの誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam;特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えばプルセリン油、イソプロピルミリステート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルサイトレート、脂肪族アルキルのヘプタノエート、オクタノエート又はデカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート;及びペンタエリスリトールエステル;12~26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール;部分炭化水素ベース及び/又はシリコーンベースのフルオロ油;シリコーン油、例えば揮発性又は不揮発性、直鎖状又は環状のポリメチルシロキサン(PDMS)(それらは、室温で液状又はペースト状であり得る)、例えばシクロメチコーン又はジメチコーン、任意選択的にフェニル基を含む、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルトリメチルジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコーン、フェニルジメチコーン、ポリメチルフェニルシロキサン;それらの混合物。
【0127】
これらの油は、分散体(A)の全質量を基準にして0.01質量%~60質量%、さらに良好には0.1質量%~50質量%の範囲の含量で存在し得る。
【0128】
油状分散体(D)
本発明における油状分散体(D)は、先に述べたような成分i)、ii)、iii)、iv)を含む。ケラチン繊維を塗布する前に分散体(A)と組成物(B)とを混合することにより、油状分散体(D)を得ることが好ましい。
【0129】
成分i)、ii)及びiii)は、油状分散体(D)中において、先に分散体(A)について述べたのと同じ含量で含まれ得る。
【0130】
成分iv)は、油状分散体(D)中において、先に組成物(B)について述べたのと同じ含量で含まれ得る。
【0131】
本発明における分散体(A)及び(D)並びに組成物(B)及び(C)は、当業者には周知の、脂溶性染料及び微粉の染料、例えば顔料、真珠箔顔料及びグリッターフレークから選択される1つ又は複数の染料も含み得る。染料は、組成物中において、それらを含む分散体又は組成物の質量を基準にして0質量%~30質量%、好ましくは0質量%~10質量%の範囲の顔料で存在し得る。
【0132】
本発明における分散体(A)及び(D)並びに組成物(B)及び(C)は、1つ又は複数の充填剤も、特にそれらを含む分散体又は組成物の質量を基準にして0.01質量%~30質量%の範囲の含量で含み得る。
【0133】
v)染料及び顔料
本発明の特定な実施形態では、本発明の分散体(A)若しくは(D)並びに/又は組成物(B)及び/若しくは組成物(C)は、v)1つ又は複数のヘアダイ及び/又は顔料を含む。
【0134】
本発明の特定な実施形態では、分散体(A)は、v)1つ又は複数のヘアダイを含む。
【0135】
本発明の別の特定な実施形態では、分散体(D)は、v)1つ又は複数のヘアダイを含む。
【0136】
本発明のさらに別の特定な実施形態では、組成物(B)は、v)1つ又は複数のヘアダイを含む。
【0137】
本発明の好ましい実施形態では、組成物(C)は、v)1つ又は複数のヘアダイを含む。
【0138】
「ヘアダイ」という用語は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば髪を染色するために使用される、酸化染料、直接染料を指す。
【0139】
好適なヘアダイとしては、以下が挙げられる:
- 酸化染料(これは、一般的には、1つ又は複数の酸化性塩基から選択され、任意選択的に1つ又は複数のカップリング剤と組み合わされる);例を挙げれば、酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及びヘテロサイクリック塩基並びに対応する付加塩から選択され、任意選択的に特にメタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤及びヘテロサイクリックカップリング剤並びにまた対応する付加塩から選択されるカップリング剤と組み合わされる;
- 直接染料、特にアゾ直接染料;(ポリ)メチン染料、例えばシアニン、ヘミシアニン及びスチリル;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料、天然の直接染料(単独又は混合物の形態)。それらの直接染料は、アニオン性、カチオン性又は中性であり得る。
- 天然染料、以下から選択されるもの:ヘンノタンニン酸、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン及びオルセイン並びにまたこれらの天然染料を含む抽出物又は浸出物。
【0140】
ヘアダイは、それらを含む組成物の全質量の、より特に0.001質量%~10質量%、好ましくは0.005質量%~5質量%を占めるようにする。
【0141】
本発明の特定な実施形態では、分散体(A)は、v)1つ又は複数の顔料を含む。
【0142】
本発明の別の特定な実施形態では、分散体(D)は、v)1つ又は複数の顔料を含む。
【0143】
本発明の別の特定な実施形態では、組成物(B)は、v)1つ又は複数の顔料を含む。
【0144】
本発明の別の好ましい実施形態では、組成物(C)は、v)1つ又は複数の顔料を含む。
【0145】
「顔料」という用語は、ケラチン繊維を着色する各種の顔料を指す。それらの顔料の、25℃、大気圧(760mmHg)での水中への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満である。
【0146】
それらは、化粧料において通常使用される親水性及び親油性の液相には元々不溶性であるか、又は必要に応じてレーキの形態で配合することにより不溶性が付与された、白色又は着色の固体粒子である。より特に、それらは、水-アルコール性媒体に貧溶性又は不溶性の顔料である。
【0147】
使用可能な顔料は、特に、当技術分野では公知の有機及び/又は鉱物質の顔料、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているものから選択される。顔料としては、特に有機及び無機顔料、例えば以下の文献に定義され、記載されているものが挙げられる:Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,“Pigment organics”,2005,Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20 371及び同,“Pigments,Inorganic,1.General”,2009,Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20_243.pub3。
【0148】
これらの顔料は、顔料粉体又はペーストの形態であり得る。それらは、被覆されていることも、被覆されていないこともある。
【0149】
顔料は、例えば、無機顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢剤又はグリッターフレークなど特殊な効果を有する顔料及びこれらの混合物から選択できる。
【0150】
顔料は、無機顔料であり得る。用語「無機顔料」は、Ullmann’s encyclopaediaの無機顔料の章の定義を満たすあらゆる顔料を指す。本発明において有用である無機顔料の中で、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンが言及され得る。
【0151】
顔料は、有機顔料であり得る。用語「有機顔料」は、Ullmann’s encyclopaediaの有機顔料の章の定義を満たすあらゆる顔料を指す。有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体タイプ、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0152】
特に、白色又は有色の有機顔料は、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color Indexにおいて参照番号CI42090、69800、69825、73000、74100、74160で分類されているブルー顔料、Color Indexにおいて参照番号CI11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005で分類されているイエロー顔料、Color Indexにおいて参照番号CI61565、61570、74260で分類されているグリーン顔料、Color Indexにおいて参照番号CI11725、15510、45370、71105で分類されているオレンジ顔料、Color Indexにおいて参照番号CI12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470で分類されているレッド顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載の通りインドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択され得る。
【0153】
本発明の特定の実施形態では、そこで使用される顔料は、有機顔料の顔料ペースト、例えばHoechst社から以下の名称で販売されている製品である:
- Cosmenyl Yellow IOG:Yellow 3 pigment(CI11710);
- Cosmenyl Yellow G:Yellow 1 pigment(CI11680);
- Cosmenyl Orange GR:Orange 43 pigment(CI71105);
- Cosmenyl Red R:Red 4 pigment(CI12085);
- Carmine Cosmenyl FB:Red 5 pigment(CI12490);
- Cosmenyl Violet RL:Violet 23 pigment(CI51319);
- Cosmenyl Blue A2R:Blue 15.1 pigment(CI74160);
- Cosmenyl Green GG:Green 7 pigment(CI74260);
- Cosmenyl Black R:Black 7 pigment(CI77266)。
【0154】
本発明による顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載される複合顔料の形態であり得る。これらの複合顔料は、特に、
- 無機の核、
- 有機顔料を核に固定するための少なくとも1つの結合剤、及び
- 少なくとも部分的に核を覆っている少なくとも1つの有機顔料
を含む粒子で構成され得る。
【0155】
用語「レーキ」は、不溶性粒子上に吸着された染料を指し、このように得られた集合体は、使用中に不溶性のままである。染料が吸着する無機の鉱物質基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。有機染料の中でも、コチニールカーマインが言及され得る。
【0156】
レーキの例としては、以下の名称で公知の製品を挙げることができる:D&C Red 21(CI45380)、D&C Orange 5(CI45370)、D&C Red 27(CI45410)、D&C Orange 10(CI45425)、D&C Red 3(CI5430)、D&C Red 7(CI15850:1)、D&C Red 4(CI15510)、D&C Red 33(CI17200)、D&C Yellow 5(CI19140)、D&C Yellow 6(CI15985)、D&C Green(CI61570)、D&C Yellow 1O(CI77002)、D&C Green 3(CI42053)又はD&C Blue 1(CI42090)。
【0157】
その上に染料を吸着させる鉱物質の物質は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸(Ca/Na)又はホウケイ酸(Ca/Al)及びアルミニウムである。
【0158】
染料の中で、コチニールカーマインが言及され得る。以下の名称で知られている染料も言及され得る:D&C Red 21(CI45380)、D&C Orange 5(CI45370)、D&C Red 27(CI45410)、D&C Orange 10(CI45425)、D&C Red 3(CI45430)、D&C Red 4(CI15510)、D&C Red 33(CI17200)、D&C Yellow 5(CI19140)、D&C Yellow 6(CI15985)、D&C Green(CI61570)、D&C Yellow 10(CI77002)、D&C Green 3(CI42053)、D&C Blue 1(CI42090)。
【0159】
言及され得るレーキの例は、以下の名称:D&C Red 7(CI15850:1)で知られている製品である。
【0160】
顔料は、特殊な効果を有する顔料でもあり得る。用語「特殊な効果を有する顔料」は、観察条件(光、温度、観察角度など)の関数として変化する、不均一な着色外観(特定の色調、特定の輝き及び特定のレベルの明るさを特徴とする)を一般に作りだす顔料を指す。そのため、それらは、標準的で均一な不透明、半透明又は透明な色調を与える有色顔料と対照をなす。
【0161】
特殊な効果を有する数種類の顔料:蛍光性、フォトクロミック又はサーモクロミック顔料など低い屈折率を有するもの及び真珠光沢剤又はグリッターフレークなど高い屈折率を有するものが存在する。
【0162】
言及され得る特殊な効果を有する顔料の例には、酸化鉄により被覆されたチタンマイカ、酸化鉄により被覆されたマイカ、オキシ塩化ビスマスにより被覆されたマイカ、酸化クロムにより被覆されたチタンマイカ、特に上述の種類の有機染料により被覆されたチタンマイカなどの真珠光沢顔料及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料がある。それらは、その表面で金属酸化物及び/又は有機染料の少なくとも2つの連続する層が置かれているマイカ粒子であり得る。
【0163】
真珠光沢剤は、より詳細には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色の色又は色合いを有し得る。
【0164】
本発明に関連して使用され得る真珠光沢剤の例として、特に、Engelhard社により名称Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)で販売されている金色の真珠光沢剤;特にMerck社により名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)で、Eckart社により名称Prestige Bronzeで、並びにEngelhard社により名称Super bronze(Cloisonne)で販売されている青銅色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Orange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)で、並びにMerck社により名称Passion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)で販売されている橙色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Nu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)で販売されている茶色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Copper 340A(Timica)で、及びEckart社により名称Prestige Copperで販売されている銅色の色合いを有する真珠光沢剤;特にMerck社により名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている赤色の色合いを有する真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Yellow(4502)(Chromalite)で販売されている黄色の色合いを有する真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Sunstone G012(Gemtone)で販売されている金色の色合いを有する赤色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)で販売されている金色の色合いを有する黒色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Matte blue(17433)(Microna);Dark Blue(117324)(Colorona)で販売されている青色の真珠光沢剤;特にMerck社により名称Xirona Silverで販売されている銀色の色合いを有する白色の真珠光沢剤;並びに特にMerck社により名称Indian summer(Xirona)で販売されている金-緑 桃色-橙色の真珠光沢剤並びにこれらの混合物が言及され得る。
【0165】
マイカ担体上の真珠光沢剤に加えて、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸ナトリウムカルシウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムなどの合成基材に基づく多層顔料も想定され得る。
【0166】
基材に付着されていない、干渉効果を有する顔料、例えば液晶(WackerのHelicones HC)又は干渉ホログラフィックグリッターフレーク(SpectratekのGeometric Pigments又はSpectra f/x)が言及され得る。特殊な効果を有する顔料は、日光で蛍光を発する物質であるか紫外蛍光を生み出す物質であるかにかかわらない蛍光顔料、リン光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び例えばQuantum Dots Corporation社により販売されている量子ドットも含む。
【0167】
本発明に使用できる顔料の多様性により広範囲の色を得ることが可能であり、金属効果又は干渉効果などの特定の光学効果を得ることも可能である。
【0168】
本発明による化粧用組成物に使用される顔料の大きさは、一般的には10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より好ましくは30nm~50μmである。
【0169】
顔料は、分散体により製品中に分散され得る。
【0170】
用語「分散体」は、分散している粒子を凝塊形成又は凝集から保護し得る化合物を指す。この分散体は、分散すべき粒子の表面に強い親和性を有する1つ以上の官能基を有する界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はこれらのいくつかの混合物であり得る。特に、それらは、物理的に又は化学的に顔料の表面に結合される。これらの分散体は、連続媒体に相溶性があるか又は可溶性である少なくとも1つの官能基も含む。前記薬剤が電荷を有し得、それは、アニオン性、カチオン性、両性イオン性又は中性であり得る。
【0171】
本発明の特定の実施形態では、使用される分散剤は、以下から選択される:より特に12-ヒドロキシステアリン酸のエステル及びポリオール、例えばグリセロール又はジグリセロールのC8~C20脂肪酸エステル、例えば分子質量約750g/molのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAvecia社からSolsperse 21000の名称で販売されている製品、Henkel社から参照名Dehymyls PGPHとして販売されているポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名称)又はポリヒドロキシステアリン酸、例えばUniqema社から参照名Arlacel P100として販売されている製品並びにそれらの混合物。
【0172】
本発明の組成物に使用できる他の分散体として、重縮合脂肪酸の四級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社により販売されているSolsperse 17000並びにDow Corning社により参照名DC2-5185及びDC2-5225 Cで販売されているものなどのポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物が言及され得る。
【0173】
本発明による化粧用組成物に使用される顔料は、有機作用剤により表面処理され得る。
【0174】
例えば、事前に表面処理された顔料は、本発明に関連して有用であり、本発明による組成物に分散される前に、特にCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,pages 53-64に記載されているものなどの有機作用剤により、化学、電子、電気化学、機械化学又は機械的性質の表面処理を全体的又は部分的に受けた顔料である。これらの有機作用剤は、例えば、アミノ酸;蝋、例えばカルナバワックス及び蜜蝋;脂肪酸、脂肪アルコール及びその誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸並びにこれらの誘導体など;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウム塩、例えばステアリン酸アルミニウム又はラウリン酸アルミニウム;金属アルコキシド;多糖類、例えばキトサン、セルロース及びこれらの誘導体;ポリエチレン;(メタ)アクリルポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン及びシロキシシリケート;有機フッ素化合物、例えばペルフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物から選択できる。
【0175】
本発明による化粧用組成物に有用である表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物によっても処理された可能性があり、且つ/又は数回の表面処理を受けた可能性がある。
【0176】
本発明に関連して有用である表面処理された顔料は、当業者に周知である表面処理技法により調製することができるか、又はそのまま市販されていることもある。
【0177】
好ましくは、表面処理された顔料は有機層により被覆されている。
【0178】
顔料が処理される有機作用剤は、溶媒蒸発、表面作用剤の分子間の化学反応又は表面作用剤と顔料との間の共有結合の生成により、顔料上に堆積し得る。
【0179】
そのため、表面処理は、例えば、表面作用剤と顔料の表面との化学反応及び表面作用剤と顔料又は充填剤との間の共有結合の生成により実施され得る。この方法は、特に米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0180】
顔料に共有結合する有機作用剤が好ましくは使用される。
【0181】
表面処理のための作用剤は、表面処理された顔料の総質量に対して、0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、なおより好適には1質量%~10質量%に相当し得る。
【0182】
好ましくは、顔料の表面処理は、以下の処理から選択される:
- PEG-シリコーン処理、例えばLCWにより販売されているAQ表面処理;
- キトサン処理、例えばLCWにより販売されているCTS表面処理;
- トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばLCWにより販売されているAS表面処理;
- メチコン処理、例えばLCWにより販売されているSI表面処理;
- ジメチコーン処理、例えばLCWにより販売されているCovasil 3.05表面処理;
- ジメチコーン/トリメチルシロキシシリケート処理、例えばLCWにより販売されているCovasil 4.05表面処理;
- ラウロイルリジン処理、例えばLCWにより販売されているLL表面処理;
- ラウロイルリジンジメチコーン処理、例えばLCWにより販売されているLL/SI表面処理;
- ミリスチン酸マグネシウム処理、例えばLCWにより販売されているMM表面処理;
- ジミリスチン酸アルミニウム処理、例えば三好化成により販売されているMI表面処理;
- ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えばLCWにより販売されているFHC表面処理;
- イソステアリルセバケート処理、例えば三好化成により販売されているHS表面処理;
- ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えば三好化成により販売されているNAI表面処理;
- ジメチコーン/ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えば三好化成により販売されているSA/NAI表面処理;
- ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業により販売されているPF表面処理;
- アクリレート/ジメチコーンコポリマー及びペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業により販売されているFSA表面処理;
- ポリメチルヒドロシロキサン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業により販売されているFS0I表面処理;
- ラウリルリジン/トリステアリン酸アルミニウム処理、例えば大東化成工業により販売されているLL-StAI表面処理;
- オクチルトリエチルシラン処理、例えば大東化成工業により販売されているOTS表面処理;
- オクチルトリエチルシラン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業により販売されているFOTS表面処理;
- アクリレート/ジメチコーンコポリマー処理、例えば大東化成工業により販売されているASC表面処理;
- トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理、例えば大東化成工業により販売されているITT表面処理;
- 微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロース処理、例えば大東化成工業により販売されているAC表面処理;
- セルロース処理、例えば大東化成工業により販売されているC2表面処理;
- アクリレートコポリマー処理、例えば大東化成工業により販売されているAPD表面処理;
- ペルフルオロアルキルホスフェート/トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理、例えば大東化成工業により販売されているPF+ITT表面処理。
- 本発明による組成物は、1つ以上の表面未処理の顔料をさらに含み得る。
- 本発明の1つの特定の実施形態によると、顔料は無機顔料である。
- 本発明の別の特定の実施形態によると、顔料は真珠光沢剤から選択される。
【0183】
本発明の特定の実施形態では、その分散剤は、分散体(A)又は(D)、組成物(B)又は(C)中の有機顔料と共に、又はサブミクロンサイズの粒子状の形態にある無機顔料と共に存在する。
【0184】
「サブミクロン」又は「サブミクロンの」という用語は、ミクロ化方法によってミクロ化され、1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmの平均粒子サイズを有する顔料を指す。
【0185】
1つの実施形態では、その分散剤及び顔料は、0.5:1~2:1、特に0.75:1~1.5:1又はさらに0.8:1~1.2:1の(分散剤:顔料)量比で存在する。
【0186】
特定の実施形態では、その分散剤は、顔料を分散させるのに適しており、且つ縮合硬化性配合物と相溶性がある。
【0187】
「相溶性がある」という用語は、例えば、前記分散剤が組成物の油性相中又は顔料を含む分散体中に混和することが可能であり、且つそれが効果を阻害又は抑制しないことを意味する。その分散剤は、カチオン性であることが好ましい。
【0188】
したがって、分散剤は、シリコーン骨格、例えばシリコーンポリエーテルを有し、且つアミノシリコーンタイプの分散剤であり得る。好適な分散剤としては、以下が挙げられる:
- アミノシリコーン、すなわち1つ又は複数のアミノ基を含むシリコーン、例えばBYKからBYK LPX 21879の名称及び参照番号で販売されているもの並びにGenesee Polymersから販売されている、GP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、
- シリコーンアクリレート、例えばEvonikから販売されている、Tego(登録商標)RC902、Tego(登録商標)RC922、Tego(登録商標)RC1041及びTego(登録商標)RC1043、
- カルボキシル基を担持するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えば信越(Shin-Etsu)から販売されているX-22162及びX-22370;エポキシシリコーン、例えばGenesee Polymersから販売されているGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682及びGP-695又はEvonikから販売されているTego(登録商標)RC1401、Tego(登録商標)RC1403、Tego(登録商標)RC1412。
【0189】
特定の実施形態では、その分散剤がアミノシリコーンタイプであり、正に荷電している。
【0190】
油性相の反応剤と反応することが可能で、そのため、アミノシリコーンによって形成される3Dネットワークを改良することが可能な化学基を担持する分散剤も挙げることができる。例えば、エポキシシリコーン顔料の分散剤は、アミノシリコーンプレポリマーのアミノ基と化学的に反応して、顔料を含むアミノシリコーン膜の凝集力を増大させることができる。
【0191】
本発明の顔料v)は、以下から選択されることが好ましい:カーボンブラック、酸化鉄、特に褐色酸化鉄又は黒色酸化鉄及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、特に青色及び紫色のトリアリールメタン顔料、例えばBlue 1 Lake、アゾ顔料、特に赤色アゾ顔料、例えばD&C Red 7、リソールレッドのアルカリ土類金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩。
【0192】
本発明の特定の実施形態では、その顔料の量は、組成物及びそれらを含む分散体の質量を基準にして0.5%~40%、好ましくは1%~20%の範囲である。
【0193】
二段ステップ塗布方法:
本発明の有利な変形形態では、本発明の方法は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、好ましくは髪を処置するための方法であって、
1)前記繊維への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油;及び
v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料
を含む、油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記繊維への、
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物
を含む組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0194】
本発明の別の有利な変形形態では、本発明の方法は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、好ましくは髪を処置するための方法であって、
1)前記繊維への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む、油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記繊維への、
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物;及び
v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料
を含む組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0195】
本発明のさらに別の変形形態では、本発明の方法は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、好ましくは髪を処置するための方法であって、
1)前記繊維への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む、油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記繊維への、
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物
を含む組成物(B)の塗布;続けて、
3)前記繊維への、
v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料
を含む組成物(C)の塗布
を含む方法である。
【0196】
本発明のさらに別の有利な変形形態では、本発明の方法は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、好ましくは髪を処置するための方法であって、
1)前記繊維への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む、油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記繊維への、v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)の塗布;続けて、
3)前記繊維に対する、先に定義された通りの、e)及びf)から選択される、iv)1つ又は複数のアミン化合物を含む、組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0197】
本発明の特に好ましい変形形態では、本発明の方法は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、好ましくは髪を処置するための方法であって、
1)前記繊維への、v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)の塗布;続けて、
2)前記繊維への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む油状分散体(A)の塗布;続けて、
3)前記繊維に対する、先に定義された通りの、e)及びf)から選択される、iv)1つ又は複数のアミン化合物を含む、組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0198】
本発明の別の変形形態では、本発明の方法は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、好ましくは髪を処置するための方法であって、
1)前記繊維への、v)1つ又は複数の染料及び/又は顔料を含む組成物(C)の塗布;続けて、
2)前記繊維への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油;及び
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物
を含む、油状分散体(D)の塗布
を含む方法である。
【0199】
本発明の別の特定の変形形態では、先に定義されたヘアダイiv)は、組成物(C)中に存在する。前記組成物は、組成物(A)と同時又は組成物(B)と同時に塗布され得る。ステップ1a)後、すなわち組成物(A)を塗布した後、組成物(C)を塗布することが好ましく;より好適には、組成物(A)及び(B)にはいかなるヘアダイを含まず、且つ1つ又は複数の、先に定義された通りのヘアダイv)を含む組成物(C)を、本発明の方法のステップ1a)後に塗布し、続けて組成物(B)をケラチン繊維に塗布する。
【0200】
分散体(A)及び(D)並びに組成物(B)及び(C)は、化粧料であり、すなわち、それらは、化粧料として許容される成分のみを含む。
【0201】
本発明の特定の実施形態では、分散体(A)又は(D)並びに組成物(B)及び(C)が無水である。
【0202】
別の有利な実施形態では、分散体(A)又は(D)及び組成物(B)が無水であり、組成物(C)が水性である。
【0203】
本発明の特定の実施形態では、組成物(B)が水性又は水-アルコール性である。
【0204】
本発明の別の特定の有利な実施形態では、組成物(C)が水性又は水-アルコール性である。
【0205】
さらに別の有利な実施形態では、分散体(A)又は(D)が無水であり、及び組成物(B)及び組成物(C)が水性又は水-アルコール性、好ましくは水性である。
【0206】
本発明による組成物(B)及び(C)並びに分散体(A)及び(D)は、水、香料、保存剤、充填剤、UV-スクリーニング剤、油、蝋、界面活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー、ポリマー、増粘剤及び染料から選択される化粧品用添加剤を含み得る。
【0207】
本発明による組成物(B)及び(C)並びに分散体(A)及び(D)は、脂溶性染料又は水溶性染料などの他の染料も含み得る。この染料は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%の範囲の含量で存在し得る。
【0208】
脂溶性染料は、例えば、スダンレッド、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、大豆油、スダンブラウン、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー及びアナトーである。水溶性染料は、例えば、ビートルート液又はメチレンブルーである。
【0209】
一実施形態によると、本発明による分散体(A)又は(D)並びに組成物(B)及び(C)は、無水組成物である。
【0210】
本発明の方法の第一のステップにおいて、分散体(A)又は(D)を1つ又は複数の揮発性で無極性の溶媒、特にイソドデカン中に適用することが好適である。
【0211】
上述の分散体(A)又は(D)及び組成物(B)又は(C)は、湿っているか又は乾燥したケラチン繊維の上及びまた淡色又は濃色の繊維、天然又は着色した繊維、パーマネントウェーブをかけた繊維、漂白した繊維又はほぐした繊維など各種のタイプの上で使用することができる。
【0212】
本発明の方法の特定な実施形態では、その繊維は、分散体(A)又は(D)を塗布する前に洗浄される。
【0213】
繊維への塗布は、各種の標準的な手段を介して、特に櫛、細かいブラシ、粗いブラシを使用するか又は指を用いて実施することができる。
【0214】
分散体(A)又は(D)又は組成物(B)及び(C)を塗布した後、その繊維を放置して乾燥させ得るか、又は例えば30℃以上の温度で乾燥させ得る。特定の実施形態では、この温度が40℃よりも高い。特定の実施形態では、この温度は、45℃よりも高く、且つ220℃未満である。
【0215】
繊維を乾燥させたら、空気流を用いて、さらに熱を加えて乾燥させることが好ましい。
【0216】
乾燥させているとき、髪の房に対して、例えば櫛を通して、ブラッシングにより又は指を通して機械的な作用を加え得る。この操作は、同様に、繊維を自然乾燥又は他の方法で乾燥させてから実施され得る。
【0217】
本発明の方法の乾燥ステップは、乾燥装置、例えばフード、ヘアドライヤ、ヘアアイロン、クリマゾーンなどを用いて実施され得る。
【0218】
フード又はヘアドライヤを用いてその乾燥ステップを実施する場合、その乾燥温度は、40~110℃、好ましくは50~90℃とする。
【0219】
ヘアアイロンを用いてその乾燥ステップを実施する場合、その乾燥温度は、110~220℃、好ましくは140~200℃とする。
【0220】
乾燥が完了したら、任意選択的に最終的なすすぎ洗い又はシャンプーを実施し得る。
【0221】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ステップ1a)を、乾燥したケラチン繊維に実施する。
【0222】
本発明の方法の別の特別な実施形態では、湿っているか又は濡れているケラチン繊維に対してステップ1a)を実施する。
【0223】
本発明の方法の有利な変形形態では、ステップ1a)とステップ1b)との間にすすぎ洗いがなく、及びケラチン繊維の乾燥は、自然乾燥にするか又はヘアドライヤのような乾燥装置を用いて実施する。ステップ1a)中の分散体(A)の塗布後、組成物(B)を塗布するに、1分間~6時間、特に10分間~5時間、より特に30分間~4時間及び好ましくは約3時間の待ち時間があることが好ましい。
【0224】
本発明の方法の特定の変形形態では、ステップ1a)とステップ1b)との間で水を用いたすすぎ洗いを、1回又は連続して数回実施し、任意選択的に続けて自然乾燥させるか又は乾燥装置、例えばヘアドライヤを使用して乾燥させる。
【0225】
別の変形形態では、ステップ1a)後、中間のすすぎ洗い又は乾燥なしで、ステップ1b)が続く。ステップ1a)で分散体(A)を塗布した後、1分間~6時間、特に10分間~5時間、より特に30分間~4時間及び好ましくは約3時間待ち時間を設けた後、組成物(B)を塗布することが好ましい。
【0226】
第一のステップは、組成物(C)を塗布するステップであり、続けて油状分散体(A)を塗布、次いで組成物(C)の塗布(ステップ1)と分散体(A)を塗布するステップ(ステップ2)との間に組成物(B)を塗布するのなら、そのケラチン繊維は、好ましくは、自然に乾燥させるか又は乾燥装置、例えばヘアドライヤを使用して乾燥させる。
【0227】
第一のステップは、油状分散体(A)を塗布するステップであり、及び第二ステップは、組成物(C)を塗布するステップであり、及び第三のステップは、先に定義された通りの組成物(C)の塗布(ステップ2)と、組成物(B)の塗布のステップ(ステップ3)との間で組成物(B)を塗布するステップである場合、そのケラチン繊維は、好ましくは、自然に乾燥させるか又は乾燥装置、例えばヘアドライヤを使用して乾燥させる。
【0228】
第一のステップは、油状分散体(A)の塗布であり、続けて組成物(B)の塗布、次いで組成物(C)の塗布(ステップ3)と、組成物(B)を塗布するステップ(ステップ2)との間で組成物(C)を塗布する場合、そのケラチン繊維は、好ましくは、自然に乾燥させるか又は乾燥装置、例えばヘアドライヤを使用して乾燥させる。
【0229】
キット
本発明の主題は、キット又は機器であって、:
・第一の区画において:分散体(A)(先に定義された通りのもの)、
・第二の分離している区画において:組成物(B)(先に定義された通りのもの)、及び
・任意選択的に、他の2つから分離している第三の区画において:組成物(C)(先に定義された通りのもの)
を含むいくつかの分離している区画を有するキット又は機器でもある。
【0230】
組成物のパッケージアセンブリーは、公知のもので、化粧用組成物(特にボトル、チューブ、スプレーボトル又はエアロゾルボトル)を保存するのに適したものであれば、どのようなパッケージであり得る。
【0231】
本発明の主題は、v)染料及び/又は顔料を含み、v)が1つ又は複数の顔料を表す場合、その分散体は、無水であり、且ついくつかの一級アミン及び/又は二級アミンを担持するいかなるポリアミン化合物も含まず、且ついかなるアミノアルコキシシランも含まないことが理解される、先に定義された油状分散体(A)でもある。
【0232】
本発明の主題は、先に定義された通りの逆相エマルション(W/O)の状態における油状分散体(A)でもある。
【実施例】
【0233】
以下の実施例において、本発明をさらに詳細に説明する。
【0234】
実施例1:
[粒子i)+安定剤ii)]をまとめて、以下を含む油状分散体(A)を形成させる:
- 70質量%の、(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレートa)(例えば、エチルアクリレート)、
- 10質量%の、エチレン性不飽和無水化合物b)(例えば、無水マレイン酸)、及び
- 20質量%の、(C3~C12)シクロアルキル(C1~C6)(アルキル)アクリレートモノマーc)(例えば、イソボルニルアクリレート)のポリマー。
【0235】
これらの油状分散体の調製は、1リットルのパイロット反応器で実施した。その合成は、二段のステップで実施する。
【0236】
第一のステップでは、イソボルニルアクリレートを、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)中、少量のエチルアクリレート及びラジカル重合開始剤(T21S)の存在下で重合させる。第一のステップでは、イソボルニルアクリレート/エチルアクリレートの質量比は、92/8である。
【0237】
第二のステップでは、残りのエチルアクリレート及び無水マレイン酸を、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びラジカル重合開始剤Trigonox21S(T21S)の存在下で添加する。
【0238】
ストリッピングさせた後、そのポリマーは、イソドデカン中52%の固形分含量である。安定剤及び粒子状のコアを得るために採用した比率を、以下の表にまとめた。
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
実験のプロトコール:
イソドデカン/エチルアセテート(60/40)、イソボルニルアクリレート、エチルアクリレート及びT21Sを原料として反応器内に導入する。アルゴン下、撹拌しながら媒体を加熱して90℃とする。この第一のステップの際の固形分含量は、35.9%である。
【0244】
2時間加熱した後、NMRは、イソボルニルアクリレートの消費率が97%であることを示す(エチルアクリレートの消費率:97%)。
【0245】
2時間の反応後、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)を、原料に導入する。その媒体を加熱して、90℃とする。
【0246】
媒体が90℃に達したら、エチルアクリレート/無水マレイン酸、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びT21Sを分注しながら2時間かけて導入する。分注による導入が終わったとき、その媒体は、乳状となっている。その固形分含量は、40%である。
【0247】
7時間かけて合成した後、出発モノマーは、トレース量のみが残っている。
【0248】
次いで、1Lのイソドデカン及びエチルアセテートを留去する(NMRは、モノマーがもはや存在せず、エチルアセテートが分散体から完全に除去されていたことを示す)。その固形分含量は、約52%である。
【0249】
実施例2:
以下の方法で、粒子i)+安定剤ii)の組合せを調製した:
- 75質量%の、(C1~C4)アルキル(C1~C4)(アルキル)アクリレートa)(例えば、エチルアクリレート)、
- 5質量%の、エチレン性不飽和無水化合物b)(例えば、無水マレイン酸)、及び
- 20質量%の、(C3~C12)シクロアルキル(C1~C6)(アルキル)アクリレートモノマーc)(例えば、イソボルニルアクリレート)のポリマー。
【0250】
その合成は、1リットルのパイロット反応器中、二段のステップで実施した。
【0251】
第一のステップでは、イソボルニルアクリレートを、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)中、少量のエチルアクリレート及びラジカル重合開始剤(T21S)の存在下で重合させる。第一のステップでは、イソボルニルアクリレート/エチルアクリレートの質量比は、92/8である。
【0252】
第二のステップでは、残りのエチルアクリレート及び無水マレイン酸を、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びラジカル重合開始剤(T21S)の存在下で添加する。
【0253】
ストリッピングさせた後、そのポリマーは、イソドデカン中49%の固形分含量である。
【0254】
安定剤及び粒子状のコアを得るために採用した比率を、以下の表にまとめた。
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
実験のプロトコール:
イソドデカン/エチルアセテート(60/40)、イソボルニルアクリレート、エチルアクリレート及びT21Sを原料として反応器内に導入する。アルゴン下、撹拌しながら媒体を加熱して90℃(公称中央温度)とする。この第一のステップの際の固形分含量は、35.9%である。
【0260】
2時間加熱した後、NMRは、イソボルニルアクリレートの消費率が98%であることを示す(エチルアクリレートの消費率:97%)。
【0261】
2時間の反応後、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)を、原料に導入する。その媒体を加熱して、90℃とする。
【0262】
媒体が90℃に達したら、エチルアクリレート/無水マレイン酸、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びT21Sを添加により2時間かけて導入する。添加による導入が終わったとき、その媒体は、乳状となっている。その固形分含量は、40%である。
【0263】
7時間かけて合成した後、出発モノマーは、トレース量のみが残っている。
【0264】
次いで、1Lのイソドデカン及びエチルアセテートをストリッピングする(NMRは、モノマーがもはや存在せず、エチルアセテートが分散体から完全に除去されていたことを示す)。その固形分含量は、約49%である。
【0265】
【0266】
「毛髪のメイクアップ」又はケラチン繊維のコーティング、すなわち染料/顔料を用いたケラチン繊維のコーティングの点で、それら各種の組合せを評価した。下記の比較例組成物を用いて、コーティングのシャンプー洗浄に対する抵抗性の比較を実施した。
【0267】
2ステップ方法:
下記の組成物及び分散体を調製した。それらの量は、分散体又は組成物100gあたりの量で表す。
【0268】
【0269】
【0270】
ケラチン繊維(天然の髪、90%の白髪を含む、90%NWとも呼ばれている)に塗布するためのプロトコールのいくつかのステップ:
- ケラチン繊維(乾燥させた髪)への分散体(Ax)の塗布(浴比:0.5gの分散体又は組成物/gの髪);
- ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥;
- 分散体(Ax)の塗布の3時間後、組成物(Bx)の塗布(浴比:0.5gの組成物(Bx)/gの髪);及び、次いで、
- ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥。
【0271】
そのようにした塗布の24時間後、シャンプー洗浄に対する抵抗性についての評価を実施する。
【0272】
実施例3:2ステップでの塗布 - (実施例1+カーボンブラック)を含む分散体(A1)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
分散体(A1)のみを塗布することによる、試験を実施した。分散体(A1)単独で塗布した後、且つ本発明における場合、すなわち分散体(A1)及び組成物(B1)又は(B2)を塗布した後、シャンプー洗浄に対する抵抗性の試験を観察した。
【0273】
その評価結果は、下の表にまとめた。
【0274】
分散体(A1)を塗布した後、シャンプーをする前と、2回シャンプーした後:分散体(A1)を塗布した後に得られた黒い着色は、2回のシャンプー洗浄した後、ほとんど完全に消失したことが目視でも認められる。
【0275】
これらの観察は、L*、a*、b*測色法の結果からも確認した。
【0276】
髪の房それぞれについての測色データは、Minolta CM-3610d分光測光計を用いて測定する。このL*a*b*系では、L*は、明度を表し、a*は、緑/赤の色の軸を示し、及びb*は、青/黄の色の軸を示す。Lの値が高いほど、より明るく又は色の強度がより低くなる。逆に、Lの値が低いほど、より暗く又は色の強度がより高くなる。a*の値が高くなるほど、シェードがより赤くなり、及びb*の値が高くなるほど、シェードがより黄色くなる。
【0277】
【0278】
分散体(A1)を塗布した後、シャンプーをする前と、2回シャンプーした後:分散体(A1)を塗布した後に得られた強い黒い着色(L=28.92)が2回のシャンプー洗浄後にほぼ完全に消失した(L=62.23)ことが認められる。
【0279】
分散体(A1)、次いで組成物(B1)を塗布した後の、0回、次いで1回及び次いで5回のシャンプー洗浄:
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、1回及び5回の連続シャンプー洗浄後の着色とでは、現れた強い黒の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、5回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。
【0280】
その測色の結果は、L*、a*及びb*の測色並びに色ビルドアップ性の結果で確認された。
【0281】
ここで、髪での色ビルドアップ性は、染色したNW毛髪(天然のグレーの髪、90%の白髪を含む)と、非染色(すなわち未処置)のNW毛髪の髪の房間での着色の変動に相当し、以下の式に従った(ΔE)によって測定される。
【数1】
【0282】
この式において、L*、a*及びb*は、NW毛髪を染色した後に測定した値を表し、及びL0
*、a0
*及びb0
*は、NW毛髪を染色する前に測定した値を表す。DEの値が高いほど、着色のビルドアップがより良好である。
【0283】
【0284】
上の表から、L、a及びbの値は、1回のシャンプー洗浄後と、5回のシャンプー洗浄後とでは、顕著には変化していないことがわかる。
【0285】
実施例4:2ステップでの塗布 - (実施例1+顔料:Nacre)を含む分散体(A2)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
下記の組成物及び分散体を調製した。それらの量は、分散体又は組成物100gあたりの量で表す。
【0286】
【0287】
【0288】
本発明の方法を実施した直後に現れた強い発色と、20回もの連続シャンプー洗浄後に見出された着色とでは、変化はない。
【0289】
【0290】
実施例5:2ステップでの塗布 - (実施例1+顔料:Nacre)を含む分散体(A2)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
【0291】
【0292】
【0293】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、10回、さらに20回の連続シャンプー洗浄後とでは、発色した藍色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、10回を超えるシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。これらの色の結果は、測色法でも確認された。
【0294】
【0295】
上の表から、10回又はさらに20回の連続シャンプー洗浄後でもL、a及びb並びにΔEの値に顕著な変化がないことがわかる。
【0296】
実施例6:2ステップでの塗布 - (実施例2+顔料:Nacre)を含む分散体(A3)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
【0297】
【0298】
【0299】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、10回の連続シャンプー洗浄後とでは、発色した藍色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、10回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。ケラチン繊維上での色の結果は、L、a、b測色法を用いて確認された。
【0300】
【0301】
上の表から、10回の連続シャンプー洗浄後でもL、a及びbの値に顕著な変化がないことがわかる。
【0302】
実施例7:2ステップでの塗布 - (実施例1+顔料:黒色酸化鉄)を含む分散体(A4)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
【0303】
【0304】
【0305】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、10回の連続シャンプー洗浄後の着色とでは、現れた強くて深い黒の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、10回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。
【0306】
実施例8:2ステップでの塗布 - (実施例1+顔料:Lake blue 1)を含む分散体(A5)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
【0307】
【0308】
【0309】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、10回の連続シャンプー洗浄後に着色とでは、発色した強い青色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、10回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。
【0310】
実施例9:2ステップでの塗布 - (実施例1+顔料:Red 7)を含む分散体(A6)、続けてアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
【0311】
【0312】
【0313】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、10回の連続シャンプー洗浄後の着色とでは、発色した強い赤色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、10回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。
【0314】
実施例10:3ステップでの塗布 - 顔料Black 2を含む組成物(C1)の塗布、続けて実施例1を含む分散体(A7)の塗布、次いでアミン化合物2を含む組成物(B1)の塗布
塗布プロトコール:3ステップのプロトコール
90%NW毛髪に対して塗布するためのプロトコールのいくつかのステップ:
1.乾燥させた髪に対して、化粧品用溶媒(水、イソドデカン)中に担持された顔料のみを塗布、組成物(C)の塗布
2.ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥
3.乾燥後、分散体(A7)の直接塗布(浴比:0.5gの配合物/gの髪)
4.ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥
5.(A7)の塗布の3時間後、組成物(B1)の塗布(浴比:0.5gの配合物/gの髪)
6.ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥
7.(B1)の塗布の24時間後、シャンプー洗浄に対する抵抗性についての評価の実施。
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、1回及び5回の連続シャンプー洗浄後の着色とでは、現れた強く深い黒の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、10回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。ケラチン繊維上での色の結果は、L、a、b測色法を用いて確認される。
【0319】
【0320】
上の表から、5回、さらに10回の連続シャンプー洗浄後でもL、a及びb並びにΔEの値に顕著な変化がないことがわかる。
【0321】
実施例11~13
以下の実施例11~13では、下記の分散体及び組成物を調製した。それらの量は、分散体又は組成物100gあたりのg単位の量で表す。
ケラチン繊維(天然の髪、90%の白髪を含む、90%NWとも呼ばれている)に塗布するためのプロトコールのいくつかのステップ:
- ケラチン繊維(乾燥させた髪)への組成物(Cx)の塗布(浴比:0.5gの分散体又は組成物/gの髪);
- ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥;
- 分散体(Cx)の塗布の1時間後、組成物(D)の塗布(浴比:0.5gの組成物(D)/gの髪);及び、次いで、
- ヘアドライヤを用いた髪の房の乾燥。
【0322】
そのようにした塗布の24時間後、シャンプー洗浄に対する抵抗性についての評価を実施する。
【0323】
実施例11
【0324】
【0325】
【0326】
髪の房それぞれについての測色データを、次いでMinolta CM-3610d分光測光計を用いて測定する。
【0327】
【0328】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、5回の連続シャンプー洗浄後とでは、現れた強い赤色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、5回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。
【0329】
実施例12
【0330】
【0331】
【0332】
髪の房それぞれについての測色データを、次いでMinolta CM-3610d分光測光計を用いて測定する。
【0333】
【0334】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、1回及び5回の連続シャンプー洗浄後に着色とでは、現れた強い赤色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、5回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。
【0335】
実施例13
【0336】
【0337】
【0338】
髪の房それぞれについての測色データを、次いでMinolta CM-3610d分光測光計を用いて測定する。
【0339】
【0340】
目視では、本発明の方法を実施した直後に得られたのと、1回及び5回の連続シャンプー洗浄後の着色とでは、現れた強い赤色の着色に変化はない。加えて、処置後、それらの毛髪が個別化されたように見え、相応の嵩を有し、これらは、5回のシャンプー洗浄後でも認められる。感触は、極めて良好である。