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特許7512284光学調整及び画像修正のための検出ユニットを有する光造形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】光学調整及び画像修正のための検出ユニットを有する光造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240701BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240701BHJP
   B29C 64/227 20170101ALI20240701BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240701BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240701BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/129
B29C64/227
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021534688
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020056495
(87)【国際公開番号】W WO2020182878
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】19020118.6
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ミハリカ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バスラー、フランツ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-318574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0186066(US,A1)
【文献】特開2002-316364(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272598(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0243989(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性物質(3)から3次元オブジェクト(2)を生成するための光造形装置(1)であって、
焦点層(5)に堆積された前記光硬化性物質(3)を硬化させるために、前記光硬化性物質(3)に向かって画像を投影するための光学ユニット(4)と、
前記光学ユニット(4)を制御するための制御ユニット(6)と、
を備える光造形装置(1)において、
検出領域(9)に移動可能に配置され、生成プロセス中又は生成休止時に、前記光学ユニット(4)によって投影された前記画像の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するための検出手段(8)を備える検出ユニット(7)と、
前記検出領域(9)の内外に前記検出手段(8)を移動させるための第1の駆動手段(10)と、
を更に備え、
前記光学ユニット(4)が、前記光学ユニット(4)に連結され、前記検出領域(9)の内外に前記焦点層(5)を移動させるための第2の駆動手段(11)を更に備え、
前記制御ユニット(6)が、前記第1の駆動手段(10)及び前記第2の駆動手段(11)を制御し、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、前記光学ユニット(4)を調整し、及び/又は投影される画像を修正するように更に適応されている
ことを特徴とする、光造形装置(1)。
【請求項2】
前記第1の駆動手段(10)が、光軸(O)と直角の方向(X)に沿って前記検出領域(9)の内外に前記検出手段(8)を移動させるように更に適応されていることを特徴とする、請求項1に記載の光造形装置(1)。
【請求項3】
前記第2の駆動手段(11)が、前記焦点層(5)を、光軸(O)に沿って前記検出領域(9)の内外に移動させるように適応されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光造形装置(1)。
【請求項4】
前記検出ユニット(7)が取り外し可能であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項5】
前記検出手段(8)が1つ又は複数のセンサ(8a~8e)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項6】
1つ又は複数のセンサ(8a~8g)の各々が、アクティブセンサエリア(80)を備え、及び/又は1つ又は複数のセンサ(8a~8g)が、前記光学ユニット(4)による露光の波長を検出するのに好適であることを特徴とする、請求項5に記載の光造形装置(1)。
【請求項7】
前記検出手段(8)が、アレイ状に前記センサ(8a~8e)を支持するためのアーム(12)を備え、ここにおいて、前記第1の駆動手段(10)が、前記アーム(12)に連結され、前記アーム(12)を、前記検出領域(9)の内外に移動させるように更に適応されており、前記アーム(12)が、前記光学ユニット(4)に面する前記光硬化性物質(3)の表面に平行になるように配置されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の光造形装置(1)。
【請求項8】
前記第2の駆動手段(11)が、3つの相互に垂直の方向(X、Y、Z)を中心として前記光学ユニット(4)を独立して回転させるように更に適応されており、前記方向のうちの1つ(Z)が、前記光学ユニット(4)に面する前記光硬化性物質(3)の表面と直角であり、前記制御ユニット(6)が、前記第2の駆動手段(11)を制御することによって光軸(O)の傾斜を除去するように前記光学ユニット(4)を調整するように更に適応されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項9】
前記第1の駆動手段(10)が、前記検出領域(9)内の前記光学ユニット(4)によって積極的に露光される領域の外に前記検出手段(8)を移動させるように適応されており、前記検出手段(8)が、前記積極的に露光される領域に前記光学ユニット(4)によって投影された前記画像から生じる少なくとも迷光放射を検出し、前記検出された迷光放射を示す信号を出力するように適応されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項10】
前記光学ユニット(4)が、前記生成プロセス中又は前記生成休止時に、前記光硬化性物質(3)に向かって、前記検出手段(8)によって完全に遮られることになる比較的小さい画像を投影して、検出中に前記光硬化性物質(3)が硬化するのを防止するように適応されており、前記検出手段(8)が、前記画像の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するように適応されており、前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、前記光学ユニット(4)を調整するか、又は投影される画像を修正するように更に適応されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項11】
前記光学ユニット(4)が、前記焦点層(5)に向かって較正画像(13)を投影するように適応されており、前記較正画像(13)が、前記投影された較正画像(13)の強度及び鮮鋭度の検出を可能にするために、照明される交互のピクセル(15)の1つ又は複数の行(14)を備え、前記較正画像(13)が、前記焦点層(5)の傾斜の検出を可能にするために前記焦点層(5)の両端部に対応する前記ピクセル(15)の少なくとも左右の領域(130、131)を備えることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項12】
前記検出手段(8)が、前記第1の駆動手段(10)が前記検出領域(9)内で光軸(O)と直角の方向(X)に沿って前記検出手段(8)を段階的又は連続的に移動させる間に前記光学ユニット(4)によって投影された前記画像の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するように適応されており、前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像に基づいて補償行列を決定し、投影される画像を補償行列に基づいて変更するように更に適応されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項13】
前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、倍率、層画像の鮮鋭度、及び前記光学ユニット(4)の前記焦点層の位置を調整し、光学歪みを補償するように更に適応されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項14】
前記光学ユニット(4)が、前記焦点層(5a、5b)に堆積された前記光硬化性物質(3)を硬化させるために、前記光硬化性物質(3)に向かって2つ以上の画像をそれぞれ独立して投影するための2つ以上のサブ光学ユニット(4a、4b)を備え、
前記検出手段(8)が、前記生成プロセス中又は生成休止時に、前記サブ光学ユニット(4a、4b)によって投影された前記2つ以上の画像の各々の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するように適応されており、
前記第2の駆動手段(11)が、前記焦点層(5a、5b)を前記検出領域(9)の内外に移動させるために前記サブ光学ユニット(4a、4b)に各々連結された2つの第2のサブ駆動手段(11a、11b)を備え、
前記第2のサブ駆動手段(11a、11b)が、前記焦点層(5a、5b)を前記検出領域(9)の内外に同時に駆動するために相互に結合されており、
前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、前記サブ光学ユニット(4a、4b)を調整し、及び/又は投影される画像を修正し、前記焦点層(5a、5b)における同じ結像特性を得るように更に適応されている
ことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
【請求項15】
前記制御ユニット(6)が、前記焦点層(5a、5b)にギャップ及びオーバーラップなく並べてそれぞれの画像を投影するように、出力された信号に基づいて前記2つ以上のサブ光学ユニット(4a、4b)を調整するように更に適応されていることを特徴とする、請求項14に記載の光造形装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光造形装置に関する。本発明は、より具体的には、光造形装置のための較正技法に関する。
【背景技術】
【0002】
光造形装置は、例えば液体モノマーなどの光硬化性物質を、例えば、デジタルマスクによって又はレーザビームの走査によって生成されることができる層状画像で段階的又は連続的に露光することにより、所望の形状を有する3次元オブジェクトを製造するプロセスのために使用される。光造形の基本原理は、通称、ラピッドプロトタイピング又は3Dプリンティングとも呼ばれる。光造形製造プロセスでは、デジタルマスクを作成するピクセルベースのディスプレイとは別に、代替的に制御可能なマイクロミラーと共にレーザビームも使用して、層状画像、特にピクセルベースの層状画像を光硬化性物質の基準面に投影して、それを段階的又は連続的に硬化させることができる。この基準面は、光硬化性物質の硬化が生じる焦点層を介して画定される。用途に応じて、硬化層は、硬い又は軟らかい稠度を有することができ、また液状光硬化性物質の体積内に位置することができる。硬化層を基準面から分離するために、生成プロセスの次のステップの前に、硬化層は最初に、基準面に対して相対的に移動可能であるプラットフォームに、重合プロセスにおける接着を通して転写される。生成プロセスの次のステップにおいて、新しい光硬化性物質が、最後の硬化層、すなわち重合フロントと、基準面との間を流れることが確実にされる。これは、例えば、プラットフォームの単純な相対移動又はストロークの組合せによって達成することができる。次いで、流入した光硬化性物質を、次の露光によって硬化させることができる。生成プロセスのステップは、投影された層状画像にしたがってオブジェクトが生成されるまで繰り返される。
【0003】
光学ユニットは、3次元オブジェクトの製造プロセスにおいて重要な役割を果たす。光学ユニットは、層状画像を電磁放射線の形態で光硬化性物質に投影する。光造形装置の全ライフサイクルにわたって安定した正確なオブジェクト寸法を保証するために、光学ユニット、すなわち光源、投影手段、デジタルミラーデバイスなどの実際の状態が、最初に較正されたまま、設置位置に留まることが重要である。したがって、光造形製造プロセスでは、光学ユニットの特性、例えば倍率(magnification scale)が変化するときに問題が生じる。これは、バッチの3Dオブジェクトが、例えばオブジェクトサイズの変化により、特定の時間が経過してからしか使用者によって観察されない誤差を有し得るという結果を招く。先行技術では、倍率の安定性及びオブジェクトのサイズの関連する正確性は、使用者によって、較正体を生成し、それらを測定することによって時として制御される。これらの較正体は、通常、使用者によって保管され、バッチと共に配送されなければならない。この目的のために、様々な測定面を有するダイス又は階段状オブジェクトが較正オブジェクトとして使用される。先行技術では、光学ユニットの特性、例えば、光造形装置の焦点層の位置は、工場で較正され、その後、サービス技術者による光造形装置への介入のみにより較正することができる。光造形装置のためのいくつかの較正技法が先行技術からも既知である。
【0004】
EP1726927A1は、非結像光を検出するセンサが投影画像を較正するために使用される投影装置を開示している。
【0005】
US2003/0179435A1は、偏向光を検出するセンサが光源を較正するために使用されるプロジェクタ装置を開示している。
【0006】
EP1849587A1は、光の均一分布を達成するために単一のビットマップマスクごとに重ね合わされる一定のグレースケール補償行列を使用する光造形装置を開示している。
【0007】
WO2016016443A1は、光強度を改善するための光ホモジナイザを有する光造形装置を開示している。
【0008】
US2009/0184444A1は、紫外線硬化性樹脂によって反射されたフィードバック光を検出する光学造形装置を開示している。
【0009】
EP1106332A2は、光造形装置の出荷前又は損傷後にUV硬化性液体の表面の正確な位置に位置付けられたピンホール較正プレートを使用する光造形装置及び光造形ビームプロファイリングを開示している。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、多用途で広範かつ柔軟な方法で、生成プロセス中又は生成休止時に選択的に光学調整及び画像修正を行うことができる光造形装置を提供することである。
【0011】
本発明は、光硬化性物質から3次元オブジェクトを生成するための光造形装置を提供する。光造形装置は、焦点層に堆積された光硬化性物質を硬化させるために光硬化性物質に向かって画像を投影するための光学ユニットと、光学ユニットを制御するための制御ユニットとを備える。光造形装置は、検出領域に移動可能に配置され、生成プロセス中又は生成休止時に、光学ユニットによって投影された画像の少なくとも一部を検出し、検出された画像を示す信号を制御ユニットに出力するための検出手段を備える検出ユニットと、検出領域の内外に検出手段を移動させるための第1の駆動手段と、を更に備え、光学ユニットは、光学ユニットに連結され、検出領域の内外に焦点層を移動させるための第2の駆動手段を更に備え、制御ユニットが、第1の駆動ユニット及び第2の駆動手段を制御し、検出された画像を示す信号に基づいて、選択的に、光学ユニットを調整し、及び/又は投影される画像を修正するように更に適応されている。
【0012】
本発明の主な有利な効果は、光学ユニットの物理的特性、例えば、光学ユニット又はその構成部品の位置の変化、焦点層の変化、画像鮮鋭度の変化、倍率の変化、強度分布の変化、照明の均一性の変化、光学歪み、任意のピクセル誤差など、3Dオブジェクトの製造プロセスに悪影響を及ぼすものが、生成プロセス中又は生成休止時に、選択的に異なる投影深度及び画像サイズで内蔵検出ユニットを介して検出され、光学調整及び/又は画像修正のいずれかにより直ちに除去されることができるということである。これによって、製造プロセス中における較正オブジェクトの3Dプリンティング及びこれらの較正オブジェクトの測定の必要性を省くことができ、したがって、較正プロセスはあまり複雑でなくなり、主にデジタルとなる。
【0013】
本発明によれば、検出領域は、光学ユニットより上かつ光硬化性物質を貯蔵するバット(vat)の下側に配設されて、省スペースでコンパクトなタワー状構造を達成することができる。検出領域は、代替的に、光学ユニットより上かつ光硬化性物質を貯蔵するバットより上に配設されてもよい。バットは取り外し可能であり得、検出領域は、バットが取り外された空間内に配設されてもよい。第1の駆動手段は、光軸と直角である方向に沿って検出領域の内外に検出手段を移動させる。この方向は、光硬化性物質を貯蔵する矩形のバットの両辺のいずれか一辺と平行であり得る。これによって、検出手段は、投影層又は検出領域内の焦点層内で光軸に対して移動させることができる。第2の駆動手段は、光軸に沿って検出領域の内外に焦点層を移動させる。焦点層は、光学ユニット全体又は結像レンズなどのその光学部品のいずれかを移動させることによって、検出領域の内外に移動させることができる。第1及び第2の駆動手段の両方は、モータ及びモータを動作させるための関連するアクチュエータを含む機械的構成体を有する。
【0014】
本発明によれば、検出ユニットは、固定されていてもよいし、又は好ましくは光造形装置に取り外し可能に組み込まれていてもよい。検出ユニットは、光硬化性物質を貯蔵するバットなどの移動可能かつ機能的な部分上に配置され得る。代替的に、追加の透明なドロワを使用してもよい。ドロワは、バットと交換されてもよいし、又はバットより下若しくは上に受容されてもよい。走査プロセス中に検出手段をガイドする機械部品が、移動可能なバット/ドロワ及び/又は光造形装置の本体上に配設され得る。したがって、検出ユニットは、移動可能なバット又はドロワとともに光造形装置から引き出され得る。検出ユニットは、取り付け、データ通信、及び取り外し可能なバットの機能的構成部品の制御に使用されるものと同じ機械インターフェース及び電気インターフェースを使用し得る。このような機能的構成部品は、光硬化性物質を拭き取るために使用される回転/並進ワイパーであり得る。
【0015】
本発明によれば、検出手段は、1つ又は複数のセンサ、好ましくは1つ又は複数のセンサアレイ又はラインセンサを備える。センサは、組み合わせて1つ又は複数のグループのセンサにされ得る。1つ又は複数のセンサアレイは、検出領域の内外に移動されるように第1の駆動手段に連結されたアーム上に配置され得る。アームは、バットより下に、光学ユニットに面する光硬化性物質の表面に平行に配置され得る。アームは、バットの幅以下の長さを有し得る。1つ又は複数のセンサは、感光ダイオードであってもよいし、又はCCDカメラ若しくはCMOSカメラなどのアクティブセンサエリアを有してもよい。1つ又は複数のセンサは、アクティブセンサエリア上にレンズ、フィルタ、アパーチャ、反射器などの光学素子を有し得る。1つ又は複数のセンサは、光学ユニットの光源の光学特徴、すなわち、自然放射(ambient radiation)又は温度に関連する波長スペクトルの少なくとも一部、及び光硬化プロセスに必要な波長スペクトルの少なくとも一部を検出するために使用され得る。これによって、光源の経年変化、許容差の範囲内の光源の実際の光出力、及び室温の上昇を検出し、それに応じて補償することができる。1つ又は複数のセンサは、検出中に被写界深度における焦点位置を変化させることによって、ボクセルの体積のエネルギー密度を検出するために使用され得る。露光される層画像のグレースケールが、光源温度、光源パワー、及び光硬化性物質に導入される放射エネルギーなどに基づいて、光硬化性物質の硬化プロセスのために最適化され得る。
【0016】
本発明によれば、制御ユニットは、第2の駆動手段を制御することによって光軸の傾斜を除去するように光学ユニットを調整する。第2の駆動手段は、3つの相互に垂直な方向を中心として光学ユニットを独立して回転させることができ、ここにおいて、これらの方向のうちの1つは、光学ユニットに面する光硬化性物質の表面と直角である。光学ユニットは、自在継手から懸架されていてもよいし、又はそれによって支持されていてもよい。焦点層の傾斜は、例えば、焦点層に向かって投影される較正画像を使用することによって検出され得る。焦点層の両端部の間に整列された較正画像内の交互のピクセルの行が、それぞれの方向を中心とする傾斜を示す、強度及び鮮鋭度の変化の検出を可能にする。較正画像は、生成休止時に投影され得る。代替的に、較正画像は、3Dオブジェクトの生成のために積極的に露光される必要がない領域に生成プロセス中に投影されてもよい。いずれのケースでも、較正画像は、光硬化性物質の硬化を防止するために1つ又は複数のアクティブセンサエリア上にのみ投影され得る。これによって、検出ユニットによる光学ユニットの光学的特徴の連続的なモニタリングが可能になる。
【0017】
本発明によれば、検出手段はまた、オブジェクト生成のために積極的に露光される領域内に光学ユニットによって投影された画像から生じる迷光放射を検出し得る。迷光放射の検出中、第1の駆動手段は、検出手段を、光学ユニットによって積極的に露光される領域の外に移動させ得るが、検出領域の外には移動させない。したがって、例えば少なくとも1つのセンサが生成プロセスを妨害しないように第1の駆動手段を介して置かれる特定の位置で、生成プロセス中に検出領域内で迷光放射を検出することが可能である。これによって、迷光放射によって引き起こされる光硬化性物質の放射線量を検出し、許容放射線量と比較することができる。迷光放射線量のレベルに依存して、光硬化性物質は、新しい光硬化性物質の添加により循環及び/又は新しくされ得る。また、迷光放射を検出するための少なくとも1つのセンサが、必ずしも使用者がアクセス可能ではない、マシンルームの一体部分であるように検出領域内に恒久的に配置され得る。
【0018】
本発明によれば、光学ユニットは、検出中に光硬化性物質の硬化を防止するために検出手段によって完全に遮られることになる比較的小さい画像を光硬化性物質に向かって投影し得る。次いで、検出手段は、この小さい画像の少なくとも一部を検出し、制御ユニットは、検出に基づいて、生成プロセスのために光学ユニットを調整するか、又は投影される画像を修正する。これらの小さい画像は、生成休止時、例えば2つの連続する層画像の露光の合間に、センサ上に投影されることができる。代替的に、小さい画像は、層画像で光学ユニットを介して積極的に露光される必要がない検出領域内の位置に移動されるセンサ上に投影されることができ、したがって、検出ユニットによる光学ユニットの光学的特徴の連続的なモニタリングも、生成プロセス中に行われ得る。これによって、過剰な放射線を引き起こすことなく連続的なモニタリングが可能となる。
【0019】
本発明によれば、検出手段は、第1の駆動手段が検出領域内で光軸と直角の方向に沿って検出手段を段階的又は連続的に移動させたときに、光学ユニットによって投影された画像の少なくとも一部を検出し得る。この走査プロセス中、検出手段は、走査された画像を示す信号を制御ユニットに出力し得る。次いで、制御ユニットは、検出された画像に基づいて補償行列を決定し、投影される画像を補償行列に基づいて修正し得る。これによって、光学歪みを補償することができる。
【0020】
本発明によれば、制御ユニットは、検出された画像に基づいて、倍率、層画像の鮮鋭度、焦点層の位置を調整し、光学ユニットの光学歪みを補償し得る。しかしながら、検出が可能でないとき、光学ユニット、例えば光源に不良があるという結論を出力することができる。第1/第2の駆動手段は、焦点層の位置を特定し、その光学的特徴を決定するために走査プロセスを行い得る。光造形デバイスは、倍率、層画像の鮮鋭度、焦点層の位置、又は投影距離を、少なくとも特定の範囲で光学ユニット内の1つ又は複数の結像/ズームレンズの相対移動により変更し得る。光造形装置はまた、少なくとも1つのミラーなどの対応する光学素子の相対移動によって焦点層位置の調整を可能にする少なくとも1つの折り返しビーム経路を有し得る。光学ユニットから生じ得る光学歪みなどの結像誤差は、異なる投影サイズについて全体的だけでなく局所的にも領域ごとに検出され得、光造形装置の動作を管理するパラメータを修正するため、又は光学歪みを補償するための補償行列を確立することにより層画像を修正するために使用されることができる。
【0021】
本発明によれば、光学ユニットは、それぞれ焦点層に堆積された光硬化性物質を硬化させるために、光硬化性物質に向かって2つ以上の画像を独立して投影するための2つ以上のサブ光学ユニットを備え得る。検出手段は、生成プロセス中又は生成休止時に、これらの2つ以上の画像の各々の少なくとも一部を検出し、検出された画像を示す信号を制御ユニットに出力し得る。第2の駆動手段は、検出領域の内外に焦点層を移動させるための、サブ光学ユニットに各々連結された2つの第2のサブ駆動手段を備え得る。これら第2のサブ駆動手段は、焦点層を検出領域の内外に同時に駆動するために相互に結合され得る。制御ユニットは、検出された画像を示す信号に基づいてサブ光学ユニットを調整し、及び/又は投影される画像を修正し、例えば、均一性、ピクセルサイズなどの焦点層における同じ結像特性を得ることができる。これによって、個々の露光の光学的特徴を適合させることができる。較正画像は、少なくとも1つ又は2つの測定点及び/又は領域を画定する明るいピクセル及び暗いピクセルを有するマスクを含み得、測定点及び/又は領域の局所距離及びサイズは、予め知られており、光学ユニット又はサブ光学ユニットを較正し、層状画像を修正するために使用される。
【0022】
本発明によれば、制御ユニットは、第2の駆動ユニットに、検出手段によって出力された信号に基づいて2つ以上のサブ光学ユニットを調整させて、焦点層にギャップ、ジャンプ、及びオーバーラップなく並べてそれぞれの画像を生成し得る。これによって、個々の露光の合間の間隔をなくすことができ、移行を平滑化することができる。
【0023】
本発明によれば、制御ユニットは、3Dオブジェクトを保持するプラットフォームに対してバットを前後に傾斜又は平行移動させ得る。これによって、硬化層の取り外しプロセスを迅速化することができ、生成プロセスを加速させることができる。
【0024】
本発明によれば、光造形装置は、使用者による積極的な測定を必要とせずに較正を行う。これによって、光学ユニットの特徴的な特性、例えば光源を安定に又は既定の特定の範囲に保つことができる。加えて、予防較正ルーチンが、各生成プロセスの前及び/又はある回数の生成プロセスの完了後に、自動的に又は使用者要求に応じて行われ得る。光造形装置はまた、生成プロセスにおける様々な1つ又は複数のステップのための光学ユニットの少なくとも1つの重要な特徴の点で生成プロセスにとって重要である検出/走査プロトコルを記憶し、任意選択的に、生成された3Dオブジェクトの包括的なプロセスプロトコルを可能にするためにLAN/WLANなどを介して周辺デバイスにそれを転送し得る。これらは、CAD CAMモジュールに転送され得る。光造形装置はまた、オンライン較正及び不良診断と、ローカル又はリモートで較正及び不良診断を実行/モニタリングすることを可能にし得る。
【0025】
下記の説明において、例示的な実施形態を使用し、図面を参照することによって、本発明の更なる態様及び有利な効果をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】焦点層が検出手段と一致する位置に後退した状態における、本発明の第1の実施形態による光造形装置の概略図である。
図2】焦点層が検出手段より下の位置にあるときの状態における、図1の光造形装置の概略図である。
図3】焦点層が傾斜し、少なくとも部分的に検出手段上にある位置にあるときの状態における、図1の光造形の概略図である。
図4】焦点層が生成プロセス中にバットの底部にあり、検出手段が検出領域の外に移動されたときの、図1の光造形装置の概略図である。
図5a】本発明の一実施形態による光造形装置の検出手段に使用されるセンサの概略図である。
図5b】本発明の一実施形態による光造形装置の検出手段に使用されるセンサのアレイの概略図である。
図6】本発明の一実施形態による、光造形装置を調整し、層状画像を修正するために使用される較正画像の概略図である。
図7】本発明の一実施形態による、投影された較正画像における検出された強度変動の概略図である。
図8】本発明の一実施形態による光造形装置の検出ユニットによって検出された歪み画像の概略図である。
図9】光学ユニットが2つの独立したサブ光学ユニットを有する、本発明の第2の実施形態による光造形装置の概略図である。
【0027】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を指し、例示的な実施形態の下記の説明において参照される。
1.光造形装置
1a.マシンルーム
1b.バット
1c.プラットフォーム
1d.アクチュエータ
2.オブジェクト
3.光硬化性物質
4.光学ユニット
40.シャーシ
41.結像レンズ
42.ズームレンズ
4a.サブ光学ユニット
40a.シャーシ
41a.結像レンズ
42a.ズームレンズ
4b.サブ光学ユニット
40b.シャーシ
41b.結像レンズ
42b.ズームレンズ
5.焦点層
5a.焦点層
5b.焦点層
6.制御ユニット
7.検出ユニット
8.検出手段
8a~8f.センサ
80.アクティブセンサエリア
9.検出領域
10.第1の駆動手段
100.アクチュエータ
11.第2の駆動手段
110.アクチュエータ
111.アクチュエータ
112.アクチュエータ
11a.第2のサブ駆動手段
110a.アクチュエータ
111a.アクチュエータ
112a.アクチュエータ
11b.第2のサブ駆動手段
110b.アクチュエータ
111b.アクチュエータ
112b.アクチュエータ
12.アーム
13.較正画像
130.左領域
131.右領域
14.行
15.ピクセル
【0028】
図4は、3Dオブジェクトの生成プロセス中の第1の実施形態による光造形装置(1)を示す。図4に示すように、光造形装置(1)は、少なくとも3Dオブジェクト(2)を段階的及び/又は連続的に生成するためのマシンルーム(1a)を有する。3Dオブジェクト(2)は、バット(1b)内に貯蔵された光硬化性物質(3)から生成される。光硬化性物質(3)は液状であり、様々な稠度を有することができ、また、例えばペースト状であってもよい。光硬化性物質(3)は、硬化された後にプラットフォーム(1c)に接着する。プラットフォーム(1c)は、1つのモータ及びアクチュエータ(1d)を少なくとも介してバット(1b)に対して上方又は下方に駆動されることができる。光造形装置(1)におけるすべてのプロセスは、制御ユニット(6)を介して制御及び調節される。光造形装置(1)はまた、CAD CAMモジュールとのワイヤレス及び/又はワイヤード通信のためのインターフェースも有する。光造形装置(1)は、焦点層(5)に堆積された光硬化性物質(3)を硬化させるために、光硬化性物質(3)に向かって画像を投影するための光学ユニット(4)を有する。光学ユニット(4)は、光源、デジタルミラーデバイス(DMD)、結像レンズ(41)、ズームレンズ(42)等を有する。シャーシ(40)は、画像の投影に必要なすべての構成部品を収容している。光源は、例えば365nm又は385nmの波長を有する電磁放射線、好ましくはUV放射線を放出する。図4に示すように、光学ユニット(4)はバット(1b)の下に位置するが、必ずしもそうである必要はない。
【0029】
図1は、光学ユニット(4)によって投影された画像を検出するための検出プロセスを行うときの第1の実施形態の光造形装置(1)を示す。図1に示すように、光造形装置(1)は、検出領域(9)内に移動可能に配置されて、生成プロセス中又は生成休止時に、光学ユニット(4)によって投影された画像の少なくとも一部を検出し、検出された画像を示す信号を制御ユニット(6)に出力する検出手段(8)を備える検出ユニット(7)を有する。検出手段(8)は、好ましくは複数のセンサ(8a~8e)を有する。図5aに示すように、各センサ(8a~8f)は、好ましくはCMOSカメラなどのアクティブセンサエリア(80)を有する。図1及び図5bに示すように、検出手段(8)は、アレイ状にセンサ(8a~8f)を支持するためのアーム(12)を有する。検出ユニット(7)はまた、x-y平面で検出手段(8)を移動させるための第1の駆動手段(10)も有する。第1の駆動手段(10)は、アーム(12)に連結され、モータ及びアクチュエータ(100)によって、アーム(12)を、光軸(O)と直角の方向(X、Y)に沿って検出領域(9)の内外に移動させることができる。これによって、投影された画像を部分的又は全体的に走査することができ、データを、信号を介して制御ユニット(6)に転送することができる。アーム(12)は、光学ユニット(4)に面する光硬化性物質(3)の表面に平行に配置される。光学ユニット(4)は、検出領域(9)の内外に焦点層(5)を移動させるためにモータ及びアクチュエータ(110、111、112)を介して光学ユニット(4)に連結された第2の駆動手段(11)を有する。結像レンズ(41)及びズームレンズ(42)は、鮮鋭度及び倍率を設定するように、モータ及び関連するアクチュエータ(111、112)を介して駆動されることができる。光学ユニット(4)全体は、モータ及び関連するアクチュエータ(110)を介して光軸(O)に沿って駆動されることができる。図1に示すように、焦点層(5)は、理想的な整列状態にあり、すなわちバット(1b)に対して平行であるが、光学ユニット(4)によって投影された鮮鋭な画像を検出することができるように、センサ(8a~8f)のアクティブセンサエリア(80)と一致する位置に後退している。投影される画像は、焦点深度で鮮鋭に観察することができる、例えばテストパターン、チェス盤パターンなどの較正画像であり得る。検出ユニット(7)は、倍率、光学歪み、投影された画像の鮮鋭度、及び焦点層(5)の位置を検出することができる。制御ユニット(6)はまた、第1の駆動ユニット(10)及び第2の駆動手段(11)を制御し、検出された画像を示す信号に基づいて、光学ユニット(4)を調整し、及び/又は投影される画像を修正することができる。これによって、倍率、層画像の鮮鋭度、及び光学ユニット(4)の焦点層(5)の位置を、生成プロセスのために正確に調整することができ、光硬化性物質(3)を硬化させるために投影される画像において光学歪みを補償することができる。
【0030】
図9は、光学ユニット(4)によって投影された画像を検出するための検出プロセスを行うときの第2の実施形態による光造形装置(1)を示す。図9に示すように、光造形装置(1)の光学ユニット(4)は、2つの独立したサブ光学ユニット(4a、4b)を有する。当然ながら、より多くのサブ光学ユニット(4a、4b)を光造形装置(1)に組み込んで、より大きい画像エリアを得てもよい。各サブ光学ユニット(4a、4b)は、それぞれの焦点層(5a、5b)に堆積された光硬化性物質(3)を硬化させるために光硬化性物質(3)に向かってそれぞれの画像を投影するために、光源、デジタルミラーデバイス、結像レンズ(41a、41b)、及びズームレンズ(42a、42b)などの光学部品を有する。2つの別個のシャーシ(40a、40b)は、それぞれ2つの画像を投影するのに必要なすべての構成部品を収容している。第2の実施形態の検出手段(8)は、第1の実施形態について説明した検出手段(8)と同様であり、サブ光学ユニット(4a、4b)によって投影された画像を少なくとも部分的に検出することができる。第2の駆動手段(11)は、検出領域(9)の内外に焦点層(5a、5b)を移動させるために、モータ及びアクチュエータ(110a、111a、112a;110b、111b、112b)それぞれを介してサブ光学ユニット(4a、4b)に各々連結された2つの第2のサブ駆動手段(11a、11b)を有する。結像レンズ(41a、41b)及びズームレンズ(42a、42b)は、鮮鋭度及び倍率を設定するように、モータ及び関連するアクチュエータ(111a、112a)を介して駆動されることができる。光学ユニット(4a、4b)全体は、モータ及び関連するアクチュエータ(110a、110b)を介して光軸(O)に沿って駆動されることができる。ここで、第2のサブ駆動手段(111a、111b)は、焦点層(5a、5b)を検出領域(9)の内外に同時に駆動するために、互いに相互に結合され得る。これは、共通のモータを使用することによって達成することができる。図9に示すように、焦点層(5a、5b)は、理想的な整列状態にあり、すなわちバット(1b)に対して平行であり、ギャップ、ジャンプ、及びオーバーラップなく並んで位置しており、サブ光学ユニット(4a、4b)によって投影された画像を鮮鋭に検出することができるように、センサ(8a~8f)のアクティブセンサエリア(80)上の位置に後退している。投影される画像は、焦点層(5a、5b)の相対的な位置付け及び焦点深度における鮮鋭度の決定を可能にする、例えばテストパターン、チェス盤パターンなどの較正画像であり得る。制御ユニット(6)は、モータ及びアクチュエータ(110a、111a、112a;110b、111b、112b)を含むセンサ技術を介して両方の焦点層(5a、5b)において同じ結像特性を得るために、検出された画像を示す信号に基づいて、サブ光学ユニット(4a、4b)を調整し、及び/又は投影される画像を修正する。制御ユニット(6)は、焦点層(5a、5b)におけるそれぞれの画像が、ジャンプ、ギャップ、及びオーバーラップなく並んで位置するように、検出結果に基づいて2つのサブ光学ユニット(4a、4b)を調整する。
【0031】
図2は、光学ユニット(4)が、焦点層(5)がバット(1b)より下にある結像不良を有するときの第1の実施形態による光造形装置(1)を示す。図2では、鮮鋭な画像が存在する焦点深度が、アクティブセンサエリア(80)の外側、特にそれより下にある。検出手段(8)によって検出された画像は、アクティブセンサエリア(80)が焦点層(5)と一致しないのでぼやけている。図2の結像不良を補正するために、制御ユニット(6)は、図1のように焦点層(5)が検出手段(8)上に位置するように、センサ技術によって光学ユニット(4)を駆動することができ、続いて光学ユニット(4)は、図4のように生成プロセスのためにバット(1b)内の基準エリア上に焦点層(5)を駆動することができる。
【0032】
図3は、光学ユニット(4)が、焦点層(5)がわずかに傾斜してバット(1b)より下に位置する結像不良を有する、第1の実施形態による光造形装置(1)を示す。焦点層(5)が少なくとも1つのセンサ(8b)のアクティブセンサエリア(80)と部分的に一致するので、これは、領域的な(region-wise)鮮鋭な結像をもたらす。他のセンサ(8a、8c、8d、8e)は、ぼやけた画像を検出する。制御ユニット(6)は、第2の駆動手段(11)にアクチュエータによって光学ユニット(4)を調整させて光軸(O)の傾斜を除去する。第2の駆動手段(11)は、3つの相互に垂直な方向(X、Y、Z)を中心としてモータによって光学ユニット(4)を独立して回転させることができ、ここにおいて、該方向のうちの1つ(Z)は、光学ユニット(4)に面する光硬化性物質(3)の表面と直角である。
【0033】
図4は、第1の駆動手段(10)が、光学ユニット(4)によって積極的に露光される領域の外に検出手段(8)を移動させたが、検出領域(9)の外には移動させていない生成プロセス中の第1の実施形態による光造形装置(1)を示す。アーム(12)は、必ずしも常に検出領域(9)全体の外に移動される必要はない。これは、積極的に露光される領域が露光可能な最大領域よりも小さく、したがって投影された画像がアーム(12)によって遮られないときに可能である。しかし、検出手段(8)が積極的に露光される領域の外にあるときでも、検出手段(8)は、積極的に露光される領域内に光学ユニット(4)によって投影された画像から生じる少なくとも迷光放射を検出し、検出された迷光放射を示す信号を出力するために使用されてもよい。アーム(12)はまた、積極的に露光される領域の外側に留まり、可能な限り多くの迷光放射を検出するように検出領域(9)の内側で連続的に移動されてもよい。また、光学ユニット(4)は、生成休止時に、検出手段(8)によって完全に遮られることになる比較的小さい画像のみを光硬化性物質(3)に向かって投影して、検出中に光硬化性物質(3)が硬化するのを防止することも可能である。検出手段(8)は、この比較的小さい画像の少なくとも一部を検出し、光学ユニット(4)の光学特性を示す信号を制御ユニット(6)に出力する。制御ユニット(6)は、出力信号に基づいて投影される画像を修正するように光学ユニット(4)を調整する。
【0034】
図6は、光学ユニット(4)によって投影され、焦点層(5)に向かって投影される較正画像(13)を示す。較正画像(13)は、投影された較正画像(13)の強度及び鮮鋭度の検出を可能にするために、照明される交互のピクセル(15)の1つ又は複数の行(14)を有する。左領域(130)は、ピクセル(15)の行(14)が明るく、暗いマスクから明確に分離されている鮮鋭な画像を示す。右領域(131)は、ピクセル(15)の行(14)がぼやけており、暗いマスクから明確に分離されていない不鮮鋭な画像を示す。右領域(131)では、ピクセルベースの画像を明確に認識することができない。しかしながら、左右の領域(130、131)を含む較正画像(13)全体を見たとき、結像不良は図3のような傾斜を示す。したがって、較正画像(13)は、焦点層(5)の両端部に沿って整列された該ピクセル(15)の少なくとも左右の領域(130、131)を含み、焦点層(5)の傾斜を検出することを可能にし得る。
【0035】
図7は、検出された較正画像(13)内の左右の領域(130、131)をつなぐ破線に沿った方向(Y)で測定された強度プロファイル(I)を示す。強度プロファイル(I)は、左右の領域(130、131)内の明るい/ぼやけたピクセル(15)に対応する極大点及び極小点を各々有する2つのピークを有する。左右の領域(130、131)は、鮮鋭度が異なり、右に見える下側ピークを通して見ることができる。2つのピークにおける極大点及び極小点を明確に見ることができ、左右の領域(130、131)の行(14)におけるピクセル(15)に1対1の対応で関連付けられる。図7は、ある程度の鮮鋭度を有する傾斜画像を示す。図7から明らかなように、センサ(8a~8f)は、必ずしも結像に本質的に必要というわけではない。同じ強度プロファイルがまた、フォトダイオードなどを介して得られ、数学的方法を使用して分析されて、ピクセルのサイズ、鮮鋭度、及び数を決定することができる。図7に示すように、2つのピークの幅は、左右の領域(130、131)内の対応するピクセル(15)の幅に比例する。これによって、局所的な倍率を決定することができる。2つのピークを結ぶ点線は、強度(I)の変化を示す。図7に示すように、右ピークの極大点及び極小点は、右領域(131)の較正画像(13)の鮮鋭度の不良により、左ピークの極大点及び極小点よりも小さい。部分的に不鮮鋭な画像にもかかわらず、強度の変化及び暗いマスクと明るい/ぼやけたピクセル(15)との間の移行を観察することができる。また、焦点層(5)の傾斜に関連する光の不均一な分布を観察することも可能である。
【0036】
図8は、投影された画像が検出ユニット(7)を介して走査される様子を示す。検出手段(8)は、光軸(O)と直角の方向(X)に沿って光学ユニット(4)の投影視野全体にわたって検出領域(9)内で第1の駆動手段(10)によって段階的又は連続的に移動される。検出手段(8)は、走査プロセス中に検出された画像を示す信号を出力する。これによって、検出された画像の歪み又は局所的な倍率の変化に基づいて補償行列が決定される。その後、制御ユニット(6)は、歪みを補償するために、この補償行列に基づいて投影される画像を変更する。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 光硬化性物質(3)から3次元オブジェクト(2)を生成するための光造形装置(1)であって、
焦点層(5)に堆積された前記光硬化性物質(3)を硬化させるために、前記光硬化性物質(3)に向かって画像を投影するための光学ユニット(4)と、
前記光学ユニット(4)を制御するための制御ユニット(6)と、
を備える光造形装置(1)において、
検出領域(9)に移動可能に配置され、生成プロセス中又は生成休止時に、前記光学ユニット(4)によって投影された前記画像の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するための検出手段(8)を備える検出ユニット(7)と、
前記検出領域(9)の内外に前記検出手段(8)を移動させるための第1の駆動手段(10)と、
を更に備え、
前記光学ユニット(4)が、前記光学ユニット(4)に連結され、前記検出領域(9)の内外に前記焦点層(5)を移動させるための第2の駆動手段(11)を更に備え、
前記制御ユニット(6)が、前記第1の駆動手段(10)及び前記第2の駆動手段(11)を制御し、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、前記光学ユニット(4)を調整し、及び/又は投影される画像を修正するように更に適応されている
ことを特徴とする、光造形装置(1)。
[2] 前記第1の駆動手段(10)が、光軸(O)と直角の方向(X)に沿って前記検出領域(9)の内外に前記検出手段(8)を移動させるように更に適応されていることを特徴とする、[1]に記載の光造形装置(1)。
[3] 前記第2の駆動手段(11)が、前記焦点層(5)を、光軸(O)に沿って前記検出領域(9)の内外に移動させるように適応されていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の光造形装置(1)。
[4] 前記検出ユニット(7)が取り外し可能であることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[5] 前記検出手段(8)が1つ又は複数のセンサ(8a~8e)を備えることを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[6] 1つ又は複数のセンサ(8a~8g)の各々が、CMOSカメラなどのアクティブセンサエリア(80)を備え、及び/又は1つ又は複数のセンサ(8a~8g)が、前記光学ユニット(4)による露光の波長を検出するのに好適であることを特徴とする、[5]に記載の光造形装置(1)。
[7] 前記検出手段(8)が、アレイ状に前記センサ(8a~8e)を支持するためのアーム(12)を備え、ここにおいて、前記第1の駆動手段(10)が、前記アーム(12)に連結され、前記アーム(12)を、前記検出領域(9)の内外に移動させるように更に適応されており、前記アーム(12)が、前記光学ユニット(4)に面する前記光硬化性物質(3)の表面に平行になるように配置されていることを特徴とする、[5]又は[6]に記載の光造形装置(1)。
[8] 前記第2の駆動手段(11)が、3つの相互に垂直の方向(X、Y、Z)を中心として前記光学ユニット(4)を独立して回転させるように更に適応されており、前記方向のうちの1つ(Z)が、前記光学ユニット(4)に面する前記光硬化性物質(3)の表面と直角であり、前記制御ユニット(6)が、前記第2の駆動手段(11)を制御することによって光軸(O)の傾斜を除去するように前記光学ユニット(4)を調整するように更に適応されていることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[9] 前記第1の駆動手段(10)が、前記検出領域(9)内の前記光学ユニット(4)によって積極的に露光される領域の外に前記検出手段(8)を移動させるように適応されており、前記検出手段(8)が、前記積極的に露光される領域に前記光学ユニット(4)によって投影された前記画像から生じる少なくとも迷光放射を検出し、前記検出された迷光放射を示す信号を出力するように適応されていることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[10] 前記光学ユニット(4)が、前記生成プロセス中又は前記生成休止時に、前記光硬化性物質(3)に向かって、前記検出手段(8)によって完全に遮られることになる比較的小さい画像を投影して、検出中に前記光硬化性物質(3)が硬化するのを防止するように適応されており、前記検出手段(8)が、前記画像の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するように適応されており、前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、前記光学ユニット(4)を調整するか、又は投影される画像を修正するように更に適応されていることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[11] 前記光学ユニット(4)が、前記焦点層(5)に向かって較正画像(13)を投影するように適応されており、前記較正画像(13)が、前記投影された較正画像(13)の強度及び鮮鋭度の検出を可能にするために、照明される交互のピクセル(15)の1つ又は複数の行(14)を備え、前記較正画像(13)が、前記焦点層(5)の傾斜の検出を可能にするために前記焦点層(5)の両端部に対応する前記ピクセル(15)の少なくとも左右の領域(130、131)を備えることを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[12] 前記検出手段(8)が、前記第1の駆動手段(10)が前記検出領域(9)内で光軸(O)と直角の方向(X)に沿って前記検出手段(8)を段階的又は連続的に移動させる間に前記光学ユニット(4)によって投影された前記画像の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するように適応されており、前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像に基づいて補償行列を決定し、投影される画像を補償行列に基づいて変更するように更に適応されていることを特徴とする、[1]~[11]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[13] 前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、倍率、層画像の鮮鋭度、及び前記光学ユニット(4)の前記焦点層の位置を調整し、光学歪みを補償するように更に適応されていることを特徴とする、[1]~[12]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[14] 前記光学ユニット(4)が、前記焦点層(5a、5b)に堆積された前記光硬化性物質(3)を硬化させるために、前記光硬化性物質(3)に向かって2つ以上の画像をそれぞれ独立して投影するための2つ以上のサブ光学ユニット(4a、4b)を備え、
前記検出手段(8)が、前記生成プロセス中又は生成休止時に、前記サブ光学ユニット(4a、4b)によって投影された前記2つ以上の画像の各々の少なくとも一部を検出し、前記検出された画像を示す信号を前記制御ユニット(6)に出力するように適応されており、
前記第2の駆動手段(11)が、前記焦点層(5a、5b)を前記検出領域(9)の内外に移動させるために前記サブ光学ユニット(4a、4b)に各々連結された2つの第2のサブ駆動手段(11a、11b)を備え、
前記第2のサブ駆動手段(11a、11b)が、前記焦点層(5a、5b)を前記検出領域(9)の内外に同時に駆動するために相互に結合されており、
前記制御ユニット(6)が、前記検出された画像を示す前記信号に基づいて、前記サブ光学ユニット(4a、4b)を調整し、及び/又は投影される画像を修正し、例えば、均一性、ピクセルサイズなどの、前記焦点層(5a、5b)における同じ結像特性を得るように更に適応されている
ことを特徴とする、[1]~[13]のいずれか一項に記載の光造形装置(1)。
[15] 前記制御ユニット(6)が、前記焦点層(5a、5b)にギャップ及びオーバーラップなく並べてそれぞれの画像を投影するように、出力された信号に基づいて前記2つ以上のサブ光学ユニット(4a、4b)を調整するように更に適応されていることを特徴とする、[14]に記載の光造形装置(1)。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9