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特許7512287直接染料と不飽和複素環式塩を使用してケラチン物質を染色するための方法、及びそれらを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】直接染料と不飽和複素環式塩を使用してケラチン物質を染色するための方法、及びそれらを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240701BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240701BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240701BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240701BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240701BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/35
A61K8/40
A61K8/41
A61K8/46
A61Q5/10
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021535996
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2019085636
(87)【国際公開番号】W WO2020127255
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】1874060
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・サベル
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・ゲラール
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-502235(JP,A)
【文献】特表2020-502207(JP,A)
【文献】特表2015-517558(JP,A)
【文献】特表2003-513898(JP,A)
【文献】特表2003-523375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0021160(US,A1)
【文献】特開2003-335640(JP,A)
【文献】特開平06-049775(JP,A)
【文献】国際公開第2007/118616(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/006418(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/115156(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/115155(WO,A1)
【文献】特開2009-203211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの直接染料;及び
b)式(I)及び(II)
【化1】
(式(I)中、
は、ヒドロキシルによって置換されていてもよい、直鎖飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表し;
式(II)中、
は、ヒドロキシルによって置換されていてもよい、直鎖飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表し;
式(I)及び式(II)において、
R’は、水素原子、又は、ヒドロキシルによって置換されていてもよい直鎖飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表し;
は、ヒドロキシル基、又は、ヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、-SOH、スルホネート、及びベンゼンから選択される1つの基によって置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表し;
nは0であり;
は、
【表1】
から選択されるアニオン性の対イオンを表す)
の少なくとも1つの複素環式塩、及びそれらの互変異性形態
を含む組成物を使用して、ケラチン物質を染色するための方法であって、
a)直接染料が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%であり、
b)複素環式塩(I)又は(II)が、それらを含む組成物の総質量に対して、3質量%~80質量%の量で存在し、
-R1、R’又はRの炭化水素ベースの基の1つが、カルボキシレート又はスルホネート基によって置換されている場合は、Yは不在であり、式(I)及び(II)の塩の電気的中性が確保され;
-成分a)及びb)は、一緒に又は別々に、すなわち順次前記ケラチン物質に塗布される、方法。
【請求項2】
前記直接染料a)が、アクリジン;アクリドン;アントラントロン;アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ又はアゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン;アゾメチン;ベンザントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスイソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;シアニン;(ジ)アジン;ビスアジン;(ジ)オキサジン;(ジ)チアジン;(ジ)フェニルアミン;(ジ)フェニルメタン;(ジ)ケトピロロピロール;フラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダンスロン;インジゴイド、チオインジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフタニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾラントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリン;チアジン;チオピロニン;トリアリールメタン又はキサンテン及び天然直接染料から選択される、中性、カチオン性又はアニオン性直接染料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記直接染料a)が中性直接染料であり;以下の式(IIIa)と(III’a)のヒドラゾノ染料、(IVa)のアゾ及びスチリル染料、(IV’a)と(IV’’a)のジアゾ及びジスチリル染料、(Va)のアントラキノン染料、及び(VIa)と(VI’a)のアゾメチン染料から選択される、請求項1又は2に記載の方法であって、
【表2】
(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)、及び(VI’a)の式中、
Arは、i)置換されていてもよい(C~C)アルキル、ii)置換されていてもよい(C~C)アルコキシ、iii)ヒドロキシル基によってアルキル基上で置換されていてもよい(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)置換されていてもよいN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノの少なくとも1つの電子供与性基によって置換されたアリールラジカルを表し、又は別形として、Arはジュロリジン基を表し;
Ar’は、1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル又は(C~C)アルコキシ基によって置換されていてもよい二価の(ヘテロ)アリーレン基を表し;
Ar’’は、少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’の電子吸引性基、又はii)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル、iv)(C~C)アルコキシによって置換されていてもよい(ヘテロ)アリールラジカルを表し;
同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子、又は基NR’’を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR、R、R、及びRは、水素又はハロゲン原子、又はヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロ、及びニトロソから選択される基を表し;
R’及びR’’は、(C~C)アルキル基を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子を表し、又は置換されていてもよい(C~C)アルキル基を表し;
又は、別形として、Ar’’の置換基を有するR、及び/又はArの置換基を有するR、及び/又はRとRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
同一であっても又は異なっていてもよいT及びT’は、基C(R)又はNを表し;
Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-又は-C(X)-ALK-C(X)-を表し(式中、ALKは、直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルキレン基を表す);
同一であっても又は異なっていてもよいR22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-アリールオキシ又はアリールチオ;
-アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ
から選択される基を表し;
Z’は、水素原子又は基NR2829を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR28及びR29は、水素原子を表し、又は
-(C~C)アルキル;
-ポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
-i)(C~C)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、(C~C)アルキル基を表す);iv)スルホネートの1つ又は複数の基によって置換されていてもよいアリール;
-シクロアルキル;
から選択される基を表し;
Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29から選択される基を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR’28及びR’29は、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す、方法。
【請求項4】
前記直接染料a)が、
【表3】
及びその有機又は無機の酸又は塩基塩、その光学的又は幾何学的異性体、及びその溶媒和化合物から選択される中性直接染料である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記直接染料a)が、以下の式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)、及び(X)のアニオン性直接染料から選択される、請求項1又は2に記載の方法:
a)式(III)又は(III’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化2】
((III)及び(III’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR、R、R、R10、R’、R’、R’、及びR’10は、水素原子を表し、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又は(C~C)アルキル又はアリール基を表し;同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子又はNRを表す(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す));
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-R’’-S(O)-(式中、R’’は、水素原子、アルキル基、又はアリール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ又はアリール(C~C)(アルキル)アミノ基を表す);
-R’’’-S(O)-X’-(式中、R’’’は、(C~C)アルキル基又は置換さていてもよいアリール基を表し、X’は先に定義した通りである);
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M及びiv)アルコキシ(式中、Mは先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基によって置換されていてもよいアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
-置換されていてもよいヘテロアリール;
-シクロアルキル;
-Ar-N=N-(式中、Arは、1つ又は複数のアルキル、(O)S(O)-,M又はフェニルアミノ基によって置換されていてもよいアリールを表す)
から選択される基を表し;
-又は代案としては2つの接基RとR又はRとR又はRとR10が一緒になって、縮合ベンゾ基A’を形成し;R’とR’又はR’とR’又はR’とR’10が一緒になって、縮合ベンゾ基B’を形成し(式中、A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)置換されていてもよいアリール(C~C)(アルキル)アミノから選択される1つ又は複数の基によって置換されていてもよい(式中、M、R°、X、X’、X’’、及びArは、先に定義した通りである));
Wは、シグマ結合σ、酸素又は硫黄原子、又は二価のラジカルi)-NR-(式中、Rは先に定義した通りである)、又はii)メチレン-C(R)(R)-を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子又はアリール基を表し、又は代案としてはR及びRは、それらが担持する炭素原子と一緒になってスピロシクロアルキルを形成する);
式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’又はCのうちの1つに、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル(O)CO-,Mを含む;
b)式(IV)及び(IV’)のピラゾロンアニオン性アゾ染料:
【化3】
(IV)及び(IV’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR11、R12、及びR13は、水素又はハロゲン原子、(C~C)アルキル基又は-(O)S(O),M(式中、Mは先に定義した通りである)を表し;
14は、水素原子、(C~C)アルキル基又は-C(O)O,M基(式中、Mは先に定義した通りである)を表し;
15は水素原子を表し;
16はオキソ基を表し、その場合はR’16は不在であり、又は代案としてはR15とR16が一緒になって二重結合を形成し;
同一であっても又は異なっていてもよいR17及びR18は、水素原子を表し、又は
-(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-Ar-O-S(O)-(式中、Arは、1つ又は複数のアルキル基によって置換されていてもよいアリールを表す);
から選択される基を表し;
19及びR20は一緒になって、二重結合、又は置換されていてもよいベンゾ基D’のいずれかを形成し;
同一であっても又は異なっていてもよいR’16、R’19、及びR’20は、水素原子を表し、又は(C~C)アルキル又はヒドロキシル基を表し;
21は、水素原子又は(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは先に定義したようであり;
Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;
【化4】
は、Yがオキソ基である場合は単結合を表し、Yがヒドロキシル基を表す場合は二重結合を表し;
式(IV)及び(IV’)は、環D又はEの1つに、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M、又は1つのカルボキシレートラジカルC(O)O-,Mを含む;
c)式(V)及び(V’)のアントラキノン染料:
【化5】
(V)及び(V’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-アルキル及び(O)S(O),Mから選択される1つ又は複数の基によって置換されていてもよいアリールオキシ又はアリールチオ(式中、Mは先に定義した通りである);
-アルキル及び(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基によって置換されていてもよいアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
-(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
Z’は、水素原子又は基NR2829を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR28及びR29は、水素原子又は
-(C~C)アルキル;
-ポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
-i)(C~C)アルキル、n-ドデシル、n-ブチル;ii)(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである)の1つ又は複数の基によって置換されていてもよいアリール;
-シクロアルキル;
から選択される基を表す);
Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29から選択される基を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR’28及びR’29は、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す);
式(V)及び(V’)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル-C(O)O,Mを含む;
d)式(VI)、(VI’)、及び(VI’’)のニトロ染料:
【化6】
(VI)及び(VI’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR30、R31、及びR32は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-1つ又は複数のヒドロキシル基によって置換されていてもよい(C~C)アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基によって置換されていてもよい(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-ポリハロ(C~C)アルキル;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);
-(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
-ヘテロシクロアルキル;
-水素原子又は(C~C)アルキル基を表す、同一であっても又は異なっていてもよいR及びR
から選択される基を表し;
Wは先に定義した通りであり;
ALKは直鎖又は分岐鎖の二価C~Cアルキレン基を表し;
nは1又は2であり;
pは両端を含む1~5の間の整数を表し;
qは両端を含む1~4の間の整数を表し;
uは0又は1であり;
nが1である場合は、Jはニトロ又はニトロソ基を表し;
nが2である場合は、Jは酸素又は硫黄原子又は二価のラジカル-S(O)-を表し(式中、mは1又は2の整数を表す);
M’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
【化7】
は、存在してもよく又は存在しなくてもよく、先に定義した1つ又は複数の基R30によって置換されていてもよいベンゾ基を表し;
式(VI)及び(VI’)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル-C(O)O,Mを含む;
d)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化8】
(VII)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR33、R34、R35、及びR36は、水素原子又は(C~C)アルキル、置換されていてもよいアリール、及び置換されていてもよいアリール(C~C)アルキルから選択される基を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、及びR44は、水素原子、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は水素原子又はアルキル又はアリール基を表し;同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子又はNRを表す(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す));
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
-又は代案としては2つの隣接基R41とR42又はR42とR43又はR43とR44は一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-から選択される、1つ又は複数の基によって置換されていてもよい縮合ベンゾ基を形成する(式中、M、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);
前記環G、H、I又はI’の少なくとも1つは、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-又はカルボキシレートラジカル-C(O)Oを含む;
e)式(VIII)のキサンテンベースの染料:
【化9】
(VIII)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR45、R46、R47、及びR48は、水素又はハロゲン原子を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR49、R50、R51、及びR52は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
Gは、酸素又は硫黄原子又は基NRを表し(式中、Rは先に定義した通りである);
Lは、アルコキシドO,M;チオアルコキシドS,M又は基NRを表し(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、Mは先に定義したようである);
L’は、酸素又は硫黄原子又はアンモニウム基:Nを表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子、(C~C)アルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表す);L’は、酸素原子を表し、又は1つ又は複数のアルキル又は(O)S(O)-,M基によって置換されていてもよいフェニルアミノ基を表し(式中、m及びMは先に定義した通りである);
同一であっても又は異なっていてもよいQ及びQ’は、酸素又は硫黄原子を表し;
は先に定義した通りである;
f)式(IX)のインドールベースの染料:
【化10】
(IX)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、及びR60は、水素原子を表し、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル又はアリール基を表し;同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子又はNRを表す(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す));
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
Gは、酸素又は硫黄原子又は基NRを表し(式中、Rは先に定義した通りである);
同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
式(IX)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル-C(O)O,Mを含む;
g)式(X)のキノリンベースの染料:
【化11】
(X)の式中、
61は、水素又はハロゲン原子又は(C~C)アルキル基を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR62、R63、及びR64は、水素原子又は基(O) S(O-)-、M を表す(式中、M は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
又は代案としてはR61とR62、又はR61とR64は一緒になって、1つ又は複数の基(O)S(O)-,Mによって置換されていてもよいベンゾ基を形成し(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す)
式(X)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O) S(O )-,M を含む
【請求項6】
前記式(I)の塩が、R’が、水素原子を表し、又はヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、-SOH、-SO 及びフェニルから選択される、1つ又は複数の基によって置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表すような塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の塩が、Rが、直鎖又は分岐鎖、飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表すような塩である、請求項1又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記式(II)の塩が、Rが、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表すような塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記式(II)の塩が、Rが、ヒドロキシル基、1つ又は複数のヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、-SOH、-SO 、及びフェニル基によって置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表すような塩である、請求項1又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記式(I)及び(II)の塩が、化合物1~40
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載のa)1つ又は複数の直接染料と、請求項1及び6~10のいずれか一項に記載のb)1つ又は複数の不飽和複素環(I)又は(II)とを含む組成物を繊維に塗布するステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
i)請求項1~5のいずれか一項に記載のa)1つ又は複数の直接染料を含む組成物を前記ケラチン物質に塗布する第1のステップと、次にii)請求項1及び6~10のいずれか一項に記載のb)1つ又は複数の式(I)又は(II)の不飽和複素環式塩を含む組成物を前記ケラチン物質に塗布するステップと;又は
i)請求項1及び6~10のいずれか一項に記載のb)1つ又は複数の式(I)又は(II)の不飽和複素環式塩を含む組成物を前記ケラチン物質に塗布する第1のステップと;次にii)請求項1~5のいずれか一項に記載のa)1つ又は複数の直接染料を含む組成物を前記ケラチン物質に塗布するステップと
のいずれかを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項に記載のa)直接染料が、それらを含む組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%に相当する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記a)直接染料が、22°Cの温度及び大気圧(760mmHg、すなわち.1.013×10Pa)で、5質量%未満の水への溶解度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1及び6~10のいずれか一項に記載のb)複素環式塩(I)又は(II)が、それらを含む組成物の総質量に対して、10質量%~70質量%の量で存在する、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
成分a)及びb)を含む前記組成物のpHが、3~13の間である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~5のいずれか一項に記載のa)1つ又は複数の直接染料と、請求項1及び6~10のいずれか一項に記載のb)1つ又は複数の不飽和複素環(I)又は(II)とを含む、請求項11及び13~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの直接染料を含有する少なくとも第1のコンパートメントと、請求項1及び6~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの式(I)又は(II)の複素環式塩を含有する少なくとも第2のコンパートメントとを含む、マルチコンパートメントデバイス又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)1つ又は複数の直接染料及びb)1つ又は複数の特定の複素環式塩を使用して、ケラチン物質、特にケラチン繊維、好ましくは毛髪などのヒトのケラチン繊維を処理するための美容的方法と、成分a)及びb)を含む組成物と、a)及びb)を含むキットとに関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を、オルト又はパラ-フェニレンジアミン、オルト又はパラ-アミノフェノール、及び複素環化合物などの酸化性塩基として一般的に知られている酸化染料前駆体を含有する染料組成物で染色することは、既知の慣行である。これらの酸化性塩基は、一般的に発色剤と組み合わされる。これらの塩基及び発色剤は無色又は弱く着色された化合物であり、酸化生成物と組み合わされると、酸化縮合のプロセスによって着色された化合物を生じてもよい。
【0003】
このような酸化染色によって、「永続的な」着色が可能になる。
【0004】
さらに、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を、直接染料を含有する染料組成物で染色することは、既知の慣行である。使用される標準的な染料は、特に、ニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン、又はトリアリールメタンタイプの染料又は天然染料である。これらの染料は、ケラチン繊維に対する親和性を有する着色又は発色分子である。
【0005】
1つ又は複数の直接染料を含有する組成物は、所望の着色を得るために必要な時間にわたりケラチン繊維に塗布され、次に洗い流される。その結果生じる着色料は、特に有彩色の着色料であるが、直接染料をケラチン繊維に結合させる相互作用の性質と、繊維の表面及び/又はコアからの脱着が、それらの弱い染色力及び洗浄又は汗に対する持続性の低さの原因となっているため、一時的又は半永久的である。
【0006】
直接染色製品は、髪の自然な色を変え、又は白髪をカバーできるようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの製品を使用することによって得られる着色の強さは、適用当日の使用者の期待に比べて、ときとして弱すぎると判断される。
【0008】
さらに、特定の染料、特にアニオンタイプの染料の使用は、毛髪の染色中に頭皮を汚す傾向がある。
【0009】
さらに、直接着色には、特に、紫外線、悪天候、及び連続したシャンプーの作用下で、時間の経過と共に色あせするという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、驚くべきことに、1つ又は複数の直接染料と1つ又は複数の不飽和複素環式塩とを前記ケラチン繊維に塗布することを含む、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を処理するための美容的方法が、特に優れた色の蓄積を得ることを可能にし、さらに、色が鮮やかで有彩色であることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
したがって、本発明は、
a)好ましくはアニオン性又は中性である、少なくとも1つの直接染料;及び
b)式(A)の少なくとも1つの不飽和複素環式塩、及びその光学的、幾何学的又は互変異性体、及び水和物などの溶媒和化合物:
【化1】
を使用して、ケラチン物質、特にケラチン繊維、好ましくは毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための方法に関し:
(A)の式中、
○Hetは、アンモニウムに加えて、1~3つのヘテロ原子、優先的に1つ又は2つの窒素又は酸素原子、好ましくは1つの窒素原子を含む、5~10員環(優先的に5又は6員環)のカチオン性不飽和芳香族複素環式基を表し、前記複素環式基は、1つ又は複数のR’又はR基によって任意選択的に置換され;
○同一であっても又は異なっていてもよいR及びR’は、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシ、-SOH、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表し;
○Rは、ヒドロキシルラジカル;アミノラジカル;特にヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシ、-SOH、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表し;
○Yは、アニオン性の対イオンを表し;
>R1、R’又はRの炭化水素ベースの基の1つが、カルボキシレート又はスルホネート基によって置換されている場合は、Yは不在であり、式(A)の塩の電気的中性が確保され;
>成分a)及びb)は、一緒に又は別々に、すなわち順次前記物質に塗布され、好ましくは、成分a)及びb)は、前記繊維に一緒に塗布される
ものと理解される。
【0012】
本発明の別の主題は、先に定義した成分a)及びb)を含む化粧用組成物である。本発明の別の主題は、毛髪繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための組成物の使用である。
【0013】
本発明のその他の主題、特性、態様、及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことでさらに明確に明らかになるであろう。
【0014】
後続の文章では、別段の指示がない限り:
○本発明による染料は、1つ又は複数の発色団を含有し、これらの染料は、特に400~700nmの間の波長λabsで光を吸収でき;
○本発明による「蛍光」染料は、少なくとも1つの蛍光発色団を含有する染料であり、これらの染料は、特に両端を含む400~800nmの間の波長λabsで可視領域を吸収でき、吸収された波長よりも長い、両端を含む400~800nmの間の波長を含む波長λemで可視領域を再放出できる。ストークスシフトとしても知られている吸収波長と発光波長の差は、両端を含む1nm~100nmの間である。より優先的には、蛍光染料は、両端を含む420~550nmの間の波長λabsで吸収でき、両端を含む470~600nmの間の波長λemで可視領域で再放出できる染料であり;
○「アルキレン」基は、直鎖又は分岐鎖C~C10;特にC~C、より具体的にはC~C;i)ヒドロキシル、ii)(C~C)アルコキシ、iii)(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)R-Z-C(Z)-Z-、及びv)R-Z-S(O)-Z-から選択される同一であっても又は異なっていてもよい1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された非環式炭化水素ベースの二価の鎖を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいZ、Zは、酸素又は硫黄原子又はNR‘基を表し、Zは、結合、酸素又は硫黄原子、又はNR‘基を表し;Rは、アルカリ金属、水素原子、アルキル基を表し、又はカチオン分子の別の部分及びRが水素原子又はアルキル基を表してtが1又は2に等しい場合は不在である);好ましくは、「アルキレン」基は、基-(CH-を表し、pは1~6の間、好ましくは1~4の間の整数であり;
○「任意選択的に置換された炭化水素ベースの基」は、特に1つ又は複数の共役又は非共役の二重結合pを任意選択的に含む、C~Cの炭化水素ベースの鎖を表し、特に炭化水素ベースの鎖は飽和しており;前記鎖は、i)ヒドロキシル、ii)(C~C)アルコキシ、iii)(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)R-Z-C(Z)-Z-、及びv)R-Z-S(O)-Z-から選択される同一又は異なってもよい1つ又は複数の基によって任意選択的に置換され(式中、同一であっても又は異なっていてもよいZ及びZは、酸素又は硫黄原子又はNR‘基を表し、Zは、結合、酸素又は硫黄原子、又はNR‘基を表し;Rは、アルカリ金属、水素原子、アルキル基を表し、又は代案としてはカチオン分子の別の部分及びRが水素原子又はアルキル基を表してtが1又は2に等しい場合は不在である);より具体的には、基iv)は、カルボキシレート-C(O)O又は-C(O)O金属(金属=アルカリ金属)、カルボキシル-C(O)-OH、グアニジノHH-C(NH)-NH-、アミジノHH-C(NH)-、(チオ)ウレア{ureo}HN-C(O)-NH-及びHN-C(S)-NH-、アミノカルボニル-C(O)-NRa’又はアミノチオカルボニル-C(S)-NRa’;カルバモイルRa’-C(O)-NRa’-又はチオカルバモイルRa’-C(S)-NRa’-から選択され(式中、同一であっても又は異なっていてもよいRa’は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す);
○「アリール」又は「ヘテロアリール」ラジカル、又はラジカルのアリール又はヘテロアリール部分は、
- ヒドロキシル;C~Cアルコキシ;(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ;アシルアミノ;少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するか、又はそれらが付着する窒素原子と一緒に任意選択的に置換された飽和又は不飽和の5~7員環の、好ましくは5又は6員環の、任意選択的に別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を含む複素環を形成できる、2つの同一であるか又は異なるC~Cアルキルラジカルによって置換されたアミノから選択される、任意選択的に1つ又は複数のラジカルによって置換されたC~C10、好ましくはC~Cアルキルラジカル;
- ハロゲン原子;
- ヒドロキシル基;
- C~Cアルコキシラジカル;
- C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシラジカル;
- アミノラジカル;
- 5又は6員環のヘテロシクロアルキルラジカル;
- C~C)アルキルラジカルによって、優先的にメチルによって任意選択的に置換された任意選択的にカチオン性の5又は6員環のヘテロアリールラジカル、優先的にイミダゾリウム;
- 少なくとも
i)ヒドロキシル基、
ii)1つ又は2つの任意選択的に置換されたC~Cアルキルラジカルによって任意選択的に置換されたアミノ基(前記アルキルラジカルは、それらが付着する窒素原子と一緒になって、少なくとも1つのその他の窒素又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された5~7員環の複素環をおそらく形成する)、
iii)第四級アンモニウム基-NR’R’’R’’’、M(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR’、R’’及びR’’’は、水素原子を表し、又はC~Cアルキル基を表し;Mは、対応する有機又は無機酸の又は対応するハロゲン化物の対イオンを表す);
iv)又はC~C)アルキルラジカルによって、優先的にメチルによって任意選択的に置換された任意選択的にカチオン性の5又は6員環のヘテロアリールラジカル、優先的にイミダゾリウム
を任意選択的に担持する、1つ又は2つの同一であるか又は異なるC~Cアルキルラジカルによって置換されたアミノラジカル
から選択される炭素原子によって担持される少なくとも1つの置換基、
-アシルアミノラジカル(-NR-C(O)-R’)(式中、ラジカルRは、水素原子であり、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するC~Cアルキルラジカルであり、R’ラジカルは、C~Cアルキルラジカルである);
-カルバモイルラジカル((R)N-C(O)-)(式中、同一であっても又は異なっていてもよいラジカルRは、水素原子を表し、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するC~Cアルキルラジカルを表す);
-アルキルスルホニルアミノラジカル(R’-S(O)-N(R)-)(式中、ラジカルRは、水素原子を表し、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するC~Cアルキルラジカルを表し、ラジカルR’は、C~Cアルキルラジカル又はフェニルラジカルを表す);-アミノスルホニルラジカル((R)N-S(O)-)(式中、同一であっても又は異なっていてもよいラジカルRは、水素原子を表し、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキルラジカルを表す);
-酸又は塩化(好ましくはアルカリ金属又は置換又は非置換のアンモニウム)形態のカルボキシルラジカル;
-シアノ基;
-ニトロ又はニトロソ基;
-ポリハロアルキル基、優先的にトリフルオロメチル
によって置換されてもよく;
非芳香族ラジカルの環式又は複素環式部分は、
-ヒドロキシル;
-C~Cアルコキシ又はC~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ;
-C~Cアルキル;
-アルキルカルボニルアミノ(R-C(O)-N(R’)-)(式中、ラジカルR’は、水素原子であり、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するC~Cアルキルラジカルであり、ラジカルRは、C~Cアルキルラジカルであり、又は同一であっても又は異なっていてもよい1つ又は2つのC~Cアルキル基によって任意選択的に置換された少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するアミノラジカルであり、前記アルキルラジカルは、それらが付着する窒素原子と一緒になって、少なくとも1つのその他の窒素又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された5~7員環の複素環をおそらく形成する);
-アルキルカルボニルオキシ(R-C(O)-O-)(式中、ラジカルRは、C~Cアルキルラジカルであり、又は1つ又は2つの同一であるか又は異なるC~Cアルキル基によって任意選択的に置換された少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するアミノ基であり、前記アルキルラジカルは、それらが付着する窒素原子と一緒になって、少なくとも1つのその他の窒素又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された5~7員環の複素環をおそらく形成する);
-アルコキシカルボニル(R-G-C(O)-)(式中、ラジカルRは、C~Cアルコキシラジカルであり、Gは酸素原子であり、又はC~Cアルキル基によって任意選択的に置換された少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に担持するアミノ基であり、前記アルキルラジカルは、それらが付着する窒素原子と一緒になって、少なくとも1つのその他の窒素又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された5~7員環の複素環をおそらく形成する)
の基から選択される少なくとも1つの置換基によって置換されてもよく;
-環式又は複素環式ラジカル、又はアリール又はヘテロアリールラジカルの非芳香族部分もまた、1つ又は複数のオキソ基によって置換されてもよく;
-炭化水素ベースの鎖は、1つ又は複数の二重結合及び/又は1つ又は複数の三重結合を含む場合は不飽和であり;
-「アリール」ラジカルは、6~22個の炭素原子を含む、縮合又は非縮合の単環式又は多環式の炭素ベースの基を表し(式中、少なくとも1つの環は芳香族である);優先的には、アリールラジカルは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチルであり;
-「ヘテロアリール」基は、窒素、酸素、硫黄及びセレンから選択される1~6個のヘテロ原子を含む、任意選択的にカチオン性の、5~22員環の単環式又は縮合若しくは非縮合の多環式基を表し、その少なくとも1つの環は芳香族であり;優先的には、ヘテロアリールラジカルは、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリジニル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチリル、及びそれらのアンモニウム塩から選択され;
-「複素環式」基は、1つ又は複数の芳香族又は非芳香族不飽和を含有してもよい、5~22員環の単環式又は縮合又は非縮合の多環式ラジカルであり、窒素、酸素、及び硫黄原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含み;
-「ヘテロシクロアルキル」ラジカルは、モルホリニル、ピペラジニル、又はピペリジルなどの飽和複素環式ラジカルであり;
-「カチオン性ヘテロアリール」基は、環内又は環外の四級化カチオン基を含む、先に定義したヘテロアリールラジカルであり、
-カチオン電荷が環内である場合は、それはメソメリー効果を介して電子の非局在化に含まれ、例えば、それはピリジニウム、イミダゾリウム、又はインドリニウム基であり:
【化2】
(式中、R及びR’は上記で定義したヘテロアリール置換基であり、特にメチルなどの(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基である);
電荷が環外である場合は、例えば、それは当該ピリジル、インドリル、イミダゾリル、ナフタルイミジルなどのヘテロアリールの外側にある、トリメチルアンモニウムなどのアンモニウム又はホスホニウム置換基Rであり:
【化3】
(式中、Rは上記で定義したヘテロアリール置換基であり、RはアンモニウムR-、ホスホニウムR-又はアンモニウムR-(C~C)アルキルアミノ基であり(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR、R、及びRは、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表す));
「環外電荷を担持するカチオン性アリール基」は、四級化カチオン基が前記環の外側にあるアリール環であり;特にフェニル又はナフチルなどのアリールの外側にある、トリメチルアンモニウムなどのアンモニウム又はホスホニウムR置換基であり:
【化4】
-「アルキル」基は、直鎖又は分枝C~C10、好ましくはC~Cの炭化水素ベースのラジカルであり;
「アルケニレンラジカル」は、先に定義した不飽和の炭化水素ベースの二価ラジカルであり、1~4つの共役又は非共役二重結合-C=C-を含有してもよく;アルケニレン基は、特に1つ又は2つの不飽和を含有し;
-アルキルラジカルに適用される「任意選択的に置換された」という用語は、前記アルキルラジカルが、i)ヒドロキシル、ii)C~Cアルコキシ、iii)アシルアミノ、iv)1つ又は2つの同一であるか又は異なるC~Cアルキルラジカルによって任意選択的に置換されたアミノ(前記アルキルラジカルは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む5~7員環の複素環をおそらく形成する);v)又は第四級アンモニウム基-NR’R’’R’’’、M(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR’、R’’、及びR’’’は、水素原子又はC~Cアルキル基を表し、又は代案としては-NR’R’’R’’’は、C~Cアルキル基によって任意選択的に置換されたイミダゾリウムなどのヘテロアリールを形成し、Mは、有機又は無機酸の又は対応するハロゲン化物の対イオンを表す)のラジカルから選択される1つ又は複数のラジカルによって置換されてもよいことを意味し;
-「アルコキシラジカル」は、アルキルラジカルが直鎖又は分岐鎖C~C10、優先的にC~Cの炭化水素ベースのラジカルである、アルキルオキシラジカルであり;
-アルコキシ基が任意選択的に置換されている場合は、これはアルキル基が上文で定義したように任意選択的に置換されていることを意味し;
-「トーン深度」はヘアスタイリングの専門家に知られている単位であり、書籍”Science des traitements capillaires[Science of hair treatment]”by Charles ZVIAK 1988,edited by Masson,pages 215 and 278に掲載されており;トーン深度は1(黒色)から10(非常に明るいブロンド)に及び、1単位が1つのトーンに対応し、数値が高いほど明るい色合いになり;
-「暗色」ケラチン繊維は、L*=0が黒に相当しL*=100が白に相当するとして、CIEL*a*b*システムで測定された明度L*が45以下、好ましくは40以下のケラチン繊維であり;
-「天然又は人工的な暗色の毛髪」は、トーン深度が6(ダークブロンド)以下、好ましくは4(栗色)以下の毛髪のことである。人工的に染色された毛髪は、例えば、直接染料又は酸化染料などの染料処理によって色が修飾されたた毛髪であり;
-「アニオン性対イオン」という用語は、カチオン性塩のカチオン性電荷を相殺する、有機又は無機酸塩に由来するアニオン又はアニオン性基を指し;有機又は無機塩に由来するアニオン性対イオンは、分子の電気的中性を確保し;したがって、アニオンがいくつかのアニオン性電荷を含む場合は、当該アニオンが電気的中性に役立ってもよいことが理解され;
-さらに、本発明の文脈で使用でされてもよい付加塩は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水性アンモニア、アミン又はアルカノールアミンなどのアルカリ金属水酸化物のような以下に定義する塩基性化剤などの化粧用に許容可能な塩基との付加塩から特に選択され;
-「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」と同等であり;
-「~と~の間」及び「~から~まで」という表現では、値の範囲の限界がその範囲に含まれ;
-濃度範囲に対する「両端を含む」という表現は、範囲の限界が定義された間隔に含まれることを意味する。
【0015】
a)直接染料:
「直接染料」という用語は、酸化染料以外の天然及び/又は合成染料を意味する。それは、繊維上で表面的に広がる染料である。それらは、イオン性又は非イオン性、すなわちアニオン性、カチオン性、中性又は非イオン性であってもよい。直接染料は、同じ種類のイオン性のもの又はそうでなければ混合物であってもよい。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、直接染料a)は、アクリジン;アクリドン;アントラントロン;アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ又はアゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンザントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスイソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;シアニン、(ジ)アザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニンなどの(ジ)アザカルボシアニン;(ジ)アジン;ビス-アジン;(ジ)オキサジン;(ジ)チアジン;(ジ)フェニルアミン;(ジ)フェニルメタン;(ジ)ケトピロロピロール;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダンスロン;インジゴイド、チオインジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリルタイプのジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフタニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(ヘテロ)芳香族化合物;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾラントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリン;チアジン;チオピロニン;トリアリールメタン又はキサンテン、及び天然直接染料から選択される中性、カチオン性又はアニオン性の直接染料であり、より優先的には、本発明の直接染料a)は、アントラキノン、(ポリ)アゾ、アゾメチン、及びスチルベンから選択される。
【0017】
直接染料a)は、特に、中性、カチオン性(又は塩基性染料)、又はアニオン性(又は酸性染料)である、ニトロベンゼン直接染料;中性、カチオン性(又は塩基性染料)、又はアニオン性(又は酸性染料)である、アゾ直接染料;中性、カチオン性(又は塩基性染料)、又はアニオン性(又は酸性染料)である、テトラアザペンタメチン直接染料;カチオン性(又は塩基性染料)又はアニオン性(又は酸性染料)である、キノン直接染料;特に中性、カチオン性(又は塩基性染料)又はアニオン性(又は酸性染料)であるアントラキノン;中性、カチオン性(又は塩基性染料)、又はアニオン性(又は酸性染料)である、アジン直接染料;中性、カチオン性(又は塩基性染料)、又はアニオン性(又は酸性染料)である、トリアリールメタン直接染料;中性、カチオン性(又は塩基性染料)、又はアニオン性(又は酸性染料)である、アゾメチン直接染料;及び天然直接染料から選択される。
【0018】
より具体的には、直接染料a)は、アゾ直接染料;シアニン、ヘミシアニン、及びスチリル染料などの(ポリ)メチン染料;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料、及び天然直接染料から、単独で又は混合物として選択される。
【0019】
本発明による中性、アニオン性又はカチオン性直接染料は、好ましくは、アクリジン;アクリドン;アントラントロン;アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンザントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスアジン;ビスイソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;ジアジン;ジケトピロロピロール;ジオキサジン;ジフェニルアミン;ジフェニルメタン;ジチアジン;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダンスロン;インジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリルタイプのジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフタニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(ヘテロ)芳香族化合物;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾラントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾール;チアジン;チオインジゴ;チオピロニン;トリアリールメタン又はキサンテン染料から選択される。
【0020】
優先的には、直接染料a)は中性直接染料であり;好ましくは、以下の式(IIIa)と(III’a)のヒドラゾノ染料、(IVa)のアゾ及びスチリル染料、(IV’a)と(VI’’a)のジアゾ及びジスチリル染料、(Va)のアントラキノン染料、及び(VIa)と(VI’a)のアゾメチン染料から選択される。
【0021】
【表1】
【0022】
(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)、及び(VI’a)の式中、
○Arは、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アミノ、iv)ヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、v)アリール(C~C)アルキルアミノ、vi)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノのような少なくとも1つの電子供与性基によって置換された、フェニル又はナフチルなどのアリールラジカルを表し、又は別形としてArはジュロリジン基を表し;
○Ar’は、好ましくは1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル又は(C~C)アルコキシ基によって任意選択的に置換されたフェニレン、特にパラフェニレン、ナフタレンなどの任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基を表し;
○Ar’’は、好ましくは少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’などの電子吸引性基、又はii)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル、iv)(C~C)アルコキシによって任意選択的に置換された(ヘテロ)アリールラジカルを表し;(ヘテロ)アリールは、ニトロ、ニトロソ、及びアミノから選択される少なくとも1つの基によって任意選択的に置換された特にイミダゾリル、トリアゾリル、インドリル又はピリジル又はフェニルから選択され、好ましくはフェニル基に対してパラ位で置換されており;
○同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子、又は基NR’’、好ましくは酸素原子を表し;
○同一であっても又は異なっていてもよいR、R、R、及びRは、水素又はハロゲン原子、又はヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロ、及びニトロソから選択される基を表し;
○R’及びR’’は、(C~C)アルキル基を表し;
○同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子を表し、又は好ましくは水酸基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
又は、別形として、Ar’’の置換基を有するR、及び/又はArの置換基を有するR、及び/又はRとRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R及びRは、水素原子を表し、又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
○同一であっても又は異なっていてもよいT及びT’は、基C(R)又はN、好ましくはNを表し;
○Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-又は-C(X)-ALK-C(X’)-を表し(式中、ALKは、先に定義されたように、メチレン及びX及びX’などの直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルキレン基を表す)、
同一であっても又は異なっていてもよいR22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-アリールオキシ又はアリールチオ;
-アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ
から選択される基を表し;
○Z’は、水素原子又は基NR2829を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR28及びR29は、水素原子又は
-(C~C)アルキル;
-ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
-1つ又は複数の基によって、特にi)(C~C)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-の基によって任意選択的に置換されたアリール(式中、R°は、(C~C)アルキル基、スルホネートを表す);
-シクロアルキル;特にシクロヘキシル
から選択される基を表す);
○Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29から選択される基を表す(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR’28及びR’29は、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)。
【0023】
一実施形態によれば、直接染料a)は、式(IV’’a)、特に式(IV’’’a)であり、またその光学的、幾何学的又は互変異性異性体、その有機又は無機酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和化合物であり:
【化5】
(IV’’’a)の式中、
-同一であっても又は異なっていてもよく、好ましくは同一であるR及びRは、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基又はグルコシルなどの糖、好ましくは水素原子を表し;
-同一であっても又は異なっていてもよく、好ましくは同一であるR及びRは、水素原子、(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基、又は-O-グルコシルなどの-O-糖基を表し、好ましくはメトキシなどの(C--C)アルコキシであり;
-同一であっても又は異なっていてもよく、好ましくは同一であるXは、酸素又は硫黄原子又はN-Rを表し(式中、Rは水素原子、好ましくは酸素原子を表す);
-ALKは、メチレン又はエチレン、好ましくはメチレンなどの(C~C)アルキレン基を表す。
【0024】
式(IV’’a)の染料は、クルクミン、デメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクルクミンに由来してもよい。
【0025】
優先的には、本発明の直接染料a)は、アゾ染料(IVb)、ジスチリル染料(VI’’b)、アントラキノン染料(Vb)、及びアゾメチン染料(VIb):
【0026】
【表2】
【0027】
及びその有機又は無機酸又は塩基の塩、その光学的又は幾何学的異性体、及び水和物などのその溶媒和化合物から選択され、好ましくは(E)及び(G)から選択される、中性直接染料である。
【0028】
本発明の別の特定の実施形態によれば、直接染料a)は、カチオン性直接染料、又は酸性物質に対するそれらの親和性の理由から、一般に「塩基性」直接染料又は「塩基性染料」と称される染料から選択される。
【0029】
カチオン性アゾ染料としては、特に、Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,”Dyes,Azo”,J.Wiley & Sons,updated on 19 April 2010に記載されているカチオン性染料について言及されてもよい。
【0030】
本発明に従って使用されてもよいアゾ染料のうち、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料について言及されてもよい。本発明の特定の実施形態によれば、直接染料は、「塩基性染料」として知られているカチオン性染料から選択される。
【0031】
Colour Index International 3rd editionに記載されているアゾ染料のうち、特にBasic Red 22;Basic Red 76;Basic Yellow 57;Basic Brown 16;Basic Brown 17について言及されてもよい。
【0032】
カチオン性キノン染料のうち、前述のColour Index Internationalで言及されるものが好適であり、これらのうち、特にBasic Blue 22;Basic Blue 99について言及されてもよい。
【0033】
使用に適したアジン系染料のうち、例えば、Basic Blue 17、Basic Red 2などのColour Index Internationalに収載されているものについて言及されてもよい。
【0034】
本発明で使用されてもよいカチオン性トリアリールメタン染料のうち、Colour Indexに収載されているものに加えて、Basic Green 1、Basic Violet 3、Basic Violet 14、Basic Blue 7、及びBasic Blue 26の染料について言及されてもよい。
【0035】
米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載される直接染料についても言及されてもよい。百科事典”The Chemistry of Synthetic Dyes”by K.Venkataraman,1952,Academic Press,vol.1 to 7;in the”Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”,in the chapter”Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley and Sons;及びin various chapters of”Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsに列挙されるものについても言及されてもよい。
【0036】
好ましくは、直接染料は、アゾ及びヒドラゾノタイプの染料から得られるものから選択される。
【0037】
特定の実施形態によれば、直接染料は、カチオン性アゾ染料であり、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許第918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許第1560664号明細書、仏国特許第1540423号明細書、仏国特許第1567219号明細書、仏国特許第1516943号明細書、仏国特許第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許第1974-27645号明細書、Acta Histochem.(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載されている。
【0038】
好ましくは、本発明の直接染料は、第四級アンモニウム基を含み;より優先的には、カチオン電荷は環内にある。
【0039】
これらのカチオン性ラジカルは、例えば、
-環外(ジ/トリ)(C~C)アルキルアンモニウム電荷を担持し、又は
-アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピリラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム又はキサンチリウムから選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含むなどの環内電荷を担持する、カチオン性ラジカルである。
【0040】
下記の式(IIb)と(IIIb)のヒドラゾノカチオン性染料、及び式(IVb)と(Vb)のアゾカチオン性染料について言及されてもよく:
【化6】
(IIb)~(Vb)の式中:
-Hetは、イミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムなどの環内カチオン電荷を優先的に担持する、優先的にメチルなどの少なくとも1つの(C~C)アルキル基を有する、カチオン性ヘテロアリールラジカルを表し;
-Arは、環外カチオン電荷を担持するフェニル又はナフチルなどのアリールラジカル、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを表し;
-Arは、優先的にi)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)ヒドロキシル基によってアルキル基上で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノのような1つ又は複数の電子供与基によって、任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表し、又は代案としては、Arはジュロリジン基を表し;
-Ar’’は、優先的に1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ又はフェニル基によって任意選択的に置換されたフェニル又はピラゾリルなどの任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;
-同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子を表し、又は優先的にヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
-そうでなければ、Hetの置換基を有するR及び/又はArの置換基を有するRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、R及びRは、水素原子を表し、又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
-Qは、ハロゲン化物、アルキルスルフェート又はアルキルスルホネートなどのアニオン性対イオンを表す。
【0041】
特に、先に定義した式(IIb)~(Vb)の環内カチオン電荷を担持するアゾ及びヒドラゾノ直接染料について言及されてもよい。より具体的には、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載される、環内カチオン電荷を担持する式(IIb)~(Vb)のカチオン性直接染料。優先的には、以下の直接染料:
【化7】
(II-1)及び(IV-1)の式中、
-Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
-同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子を表し、又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
-Rは、水素原子を表し、又は任意選択的に置換された(C~C)アルキル、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、又はヒドロキシル基によってアルキル基上で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノなどの電子供与性基を表し;特に、Rは水素原子であり、
-Zは、CH基又は窒素原子を表し、優先的にはCHであり、
-Qは、上記で定義されるアニオン性対イオンであり、特に、塩化物などのハロゲン化物、又はメチルスルフェート又はメシチルなどのアルキルスルフェートである。
【0042】
特に、式(II-1)及び(IV-1)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87、及びBasic Orange又はそれらの誘導体から選択され:
【化8】
式中、Q’は、先に定義したアニオン性対イオンであり、特に、塩化物などのハロゲン化物、又はメチルスルフェート又はメシチルなどのアルキルスルフェートである。
【0043】
本発明の特定の実施形態によれば、直接染料は蛍光性であり、すなわちそれらは先に定義したように少なくとも1つの蛍光性発色団を含有する。
【0044】
言及されてもよい蛍光染料としては、アクリジン、アクリドン、ベンザントロン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イルイデン-kN)メチル]-1H-ピロラート-kN}ボロン(BODIPY(登録商標))、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(特にシアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフタニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクアラン、スチルベン、キサンテンの染料から選択される中性、アニオン性、又はカチオン性染料が挙げられる。
【0045】
欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されている蛍光染料;百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes“by K.Venkataraman,1952,Academic Press,vol.1 to 7;in the”Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”,in the chapter”Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley and Sons、及びin various chapters of”Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsに収載されているもの;及びインターネット上で配布されている、又は以前の印刷版であるハンドブック”A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005に収載されているものについてもまた、言及されてもよい。
【0046】
本発明の好ましい別形によれば、蛍光染料はカチオン性ポリメチンであり、以下の式(Vb)のものなどの少なくとも1つの第四級アンモニウムラジカルを含む:
【化9】
(Vb)の式中、
-Wは、特に1つ又は複数の(C~C)アルキル基によって任意選択的に置換された特に1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換された第四級アンモニウムを含むカチオン性複素環又はヘテロアリール基を表し;
-Arは、優先的にi)塩素又はフッ素などの1つ又は複数のハロゲン原子;ii)1つ又は複数の(C~C)アルキル基、好ましくはメチルなどのC~C基;iii)1つ又は複数のヒドロキシル基;iv)メトキシなどの1つ又は複数の(C~C)アルコキシ基;v)ヒドロキシエチルなどの1つ又は複数のヒドロキシ(C~C)アルキル基、vi)好ましくは(ジ)ヒドロキシエチルアミノなどの1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換されたC~Cアルキル部分を有する、1つ又は複数のアミノ基又は(ジ)(C~C)アルキルアミノ、vii)1つ又は複数のアシルアミノ基;viii)ピペラジニル、ピペリジルなどの1つ又は複数のヘテロシクロアルキル基、又はピロリジニル、ピリジル、及びイミダゾリニルなどの5又は6員環のヘテロアリール基によって任意選択的に置換されたフェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
-m’は1~4の整数を表し;特にmは1又は2であり、より優先的には1であり;
同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子を表し、又は任意選択的に置換された(C~C)アルキル基、優先的にはC~Cアルキル基を表し、又は代案としては、Wと隣接するR及び/又はArと隣接するRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、RはWと隣接し、それらはシクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
は、先に定義したアニオン性対イオンである。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、直接染料a)は、アニオン性直接染料、又はアルカリ性物質に対するそれらの親和性の理由から、一般に「酸性」直接染料と称される染料から選択される。「アニオン性直接染料」は、その構造中に少なくとも1つのCOR又はSOR置換基を含む直接染料を意味する(式中、Rは水素原子、又は金属又はアミンに由来するカチオン、又はアンモニウムイオンを示す)。アニオン性染料は、直接ニトロ酸染料、アゾ酸染料、アジン酸染料、トリアリールメタン酸染料、インドアミン酸染料、アントラキノン酸染料、インジゴイド染料、天然酸染料から選択されてもよく、好ましくは、直接染料a)は酸性アントラキノン染料である。
【0048】
本発明による酸性染料としては、以下の式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)、及び(X)の染料について言及されてもよい:
a)式(III)又は(III’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化10】
(III)及び(III’)の式中、
○同一であっても又は異なっていてもよいR、R、R、R10、R’、R’、R’、及びR’10は、水素原子を表し、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はフェニルなどの(C~C)アルキル又はアリール基を表し;同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子又はNRを表す(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す));
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-R’’-S(O)-(式中、R’’は、水素原子、アルキル基、又はアリール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ又はアリール(C~C)(アルキル)アミノ基;優先的にフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
-R’’’-S(O)-X’-(式中、R’’’は、(C~C)アルキル基又は任意選択的に置換されたアリール基を表し、X’は先に定義した通りである);
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O-),M(式中、Mは先に定義した通りである)、及びiv)(C~C)アルコキシから選択される、1つ又は複数の基によって任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
-任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にベンゾチアゾリル基;
-シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
-Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基;優先的には、1つ又は複数のアルキル、(O)S(O)-,M又はフェニルアミノ基によって任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表し;
-又は代案としては2つの接基RとR又はRとR又はRとR10が一緒になって、縮合ベンゾ基A’を形成し;R’とR’又はR’とR’又はR’とR’10が一緒になって、縮合ベンゾ基B’を形成し(式中、A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換される(式中、M、R°、X、X’、X’’、及びArは、先に定義した通りである));
○Wは、シグマ結合σ、酸素又は硫黄原子、又は二価のラジカルi)-NR-(式中、Rは先に定義した通りである)、又はii)メチレン-C(R)(R)-を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子又はアリール基を表し、又は代案としてはR及びRは、それらが担持する炭素原子と一緒になってスピロシクロアルキルを形成する);優先的には、Wは硫黄原子を表し、又はR及びRは一緒になってシクロヘキシルを形成し;
式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’又はCのいずれかに、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル(O)CO-,M;優先的にスルホン酸ナトリウムを含むものと理解される。
【0049】
式(III)の染料の例として、Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 28、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Pigment red 57、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Yellow 6、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3、Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Food yellow 3又はSunset Yellowについて言及されてもよく;
式(III’)の染料の例として、Acid Red 111、Acid Red 134、Acid Yellow 38について言及されてもよく;
b)式(IV)及び(IV’)のピラゾロンアニオン性アゾ染料:
【化11】
(IV)及び(IV’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR11、R12、及びR13は、水素又はハロゲン原子、(C~C)アルキル基又は-(O)S(O),Mを表し(式中、Mは先に定義した通りである);
14は、水素原子、(C~C)アルキル基又は-C(O)O,M基を表し(式中、Mは先に定義した通りである);
15は水素原子を表し;
16はオキソ基を表し、その場合はR’16は不在であり、又は代案としてはR15とR16が一緒になって二重結合を形成し;
同一であっても又は異なっていてもよいR17及びR18は、水素原子を表し、又は
-(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-Ar-O-S(O)-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基、優先的に1つ又は複数のアルキル基によって任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表し;
19及びR20は一緒になって、二重結合、又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
同一であっても又は異なっていてもよいR’16、R’19、及びR’20は、水素原子を表し、又は(C~C)アルキル又はヒドロキシル基を表し;
21は、水素原子又は(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、先に定義したようであり;優先的には、Rは水素原子を表し、Rはフェニルなどのアリール基を表し;
Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し:
【化12】
は、Yがオキソ基である場合は単結合を表し、Yがヒドロキシル基である場合は二重結合を表し;
式(IV)及び(IV’)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M、又は1つのカルボキシレートラジカルC(O)O-、環D又はEの1つの上のM;優先的にスルホン酸ナトリウムを含むものと理解される。
式(IV)の染料の例として、Acid Red 195、Acid Yellow 23、Acid Yellow 27、Acid Yellow 76について言及されてもよく;式(IV’)の染料の例として、Acid Yellow 17について言及されてく;
c)式(V)及び(V’)のアントラキノン染料:
【化13】
(V)及び(V’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-アルキル及び(O)S(O),Mから選択される1つ又は複数の基によって優先的に置換された、任意選択的に置換されたアリールオキシ又はアリールチオ(式中、Mは先に定義した通りである);
-アルキル及び(O)S(O)-,M(式中Mは先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
-(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
Z’は、水素原子又は基NR2829を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR28及びR29は、水素原子又は
-(C~C)アルキル;
-ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
-1つ又は複数の基によって、特にi)メチル、n-ドデシル、n-ブチルなどの(C~C)アルキル;ii)(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義したようであり、優先的にR°は(C~C)アルキル基を表す)の基によって任意選択的に置換されたアリール;
-シクロアルキル;特にシクロヘキシル
から選択される基を表す);
Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29から選択される基を表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR’28及びR’29は、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す);
式(V)及び(V’)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル-C(O)O,M;優先的にスルホン酸ナトリウムを含むものと理解される。
式(V)の染料の例として、Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3;EXT violet No.2について言及されてもよく;
式(V’)の染料の例として、Acid Black 48について言及されてもよく;
d)式(VI)、(VI’)、及び(VI’’)のニトロ染料:
【化14】
(VI)及び(VI’)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR30、R31、及びR32は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシによって任意選択的に置換された1つ又は複数のヒドロキシル基、(C~C)アルキルチオによって任意選択的に置換された1つ又は複数のヒドロキシル基;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-ポリハロ(C~C)アルキル;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);
-(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-(ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
-ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノなどのヘテロシクロアルキル;
-特に、水素原子を表す、R30、R31、及びR32
-水素原子又は(C~C)アルキル基を表す、同一であっても又は異なっていてもよいR及びR
から選択される基を表し;
Wは先に定義したようであり;Wは特に-N(H)-基を表し;
ALKは直鎖又は分岐鎖の二価C~Cアルキレン基を表し;特に、ALKは-CH-CH-基を表し;
nは1又は2であり;
pは両端を含む1~5の間の整数を表し;
qは両端を含む1~4の間の整数を表し;
uは0又は1であり;
nが1である場合は、Jはニトロ又はニトロソ基;特にニトロを表し;
nが2である場合は、Jは酸素又は硫黄原子又は二価のラジカル-S(O)-を表し(式中、mは1又は2の整数を表す);優先的には、Jは-SO-ラジカルを表し;
M’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;
【化15】
は、存在しても又は存在しなくてもよく、先に定義した1つ又は複数の基R30によって任意選択的に置換されたベンゾ基を表し;
式(VVI)及び(VVI’)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル-C(O)O,M;優先的にスルホン酸ナトリウムを含むものと理解され;
式(VI)の染料の例として、Acid Brown 13及びAcid Orange 3について言及されてもよく;式(VI’)の染料の例として、Acid Yellow 1、2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-(2”-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;EXT D&C Yellow 7について言及されてもよく;
d)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化16】
(VII)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR33、R34、R35、及びR36は、水素原子を表し、又は(C~C)アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキルから選択される基を表し;特に(C~C)アルキル基;及び(O)S(O)-,M基によって任意選択的に置換されたベンジルを表し(式中、M及びmは先に定義した通りである);
同一であっても又は異なっていてもよいR37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、及びR44は、水素原子、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル又はアリール基を表し;同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子又はNRを表す(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す));
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
-又は代案としては2つの隣接基R41とR42又はR42とR43又はR43とR44は一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-から選択される、1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された縮合ベンゾ基を形成し(式中、M、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);
特に、R37~R40は水素原子を表し、同一であっても又は異なっていてもよいR41~R44は、ヒドロキシル基又は(O)S(O)-,Mを表し;R43とR44が一緒になってベンゾ基を形成する場合は、それは(O)S(O)-基によって優先的に置換され;
環G、H、I又はI’の少なくとも1つは、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-又はカルボキシレートラジカル-C(O)O;優先的にスルホネートを含むものと理解される。
式(VII)染料の例として、Acid Blue 1;Acid Blue 3;Acid Blue 7、Acid Blue 9;Acid Violet 49;Acid Green 3;Acid Green;及びAcid Green 50について言及されてもよく;
e)式(VIII)のキサンテンベースの染料:
【化17】
(VIII)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR45、R46、R47、及びR48は、水素又はハロゲン原子を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR49、R50、R51、及びR52は、水素又はハロゲン原子、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
特に、R53、R54、R55、及びR48は、水素又はハロゲン原子を表し;
Gは、酸素又は硫黄原子又は基NRを表し(式中、Rは先に定義した通りである);特に、Gは酸素原子を表し;
Lは、アルコキシドO,M;チオアルコキシドS,M又は基NRを表し(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、Mは先に定義したようであり;Mは特にナトリウム又はカリウムである);
L’は、酸素又は硫黄原子又はアンモニウム基:Nを表し(式中、同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子、(C~C)アルキル基又は任意選択的に置換されたアリール基を表す);L’は、特に酸素原子を表し、又は1つ又は複数のアルキル又は(O)S(O)-,M基によって任意選択的に置換されたフェニルアミノ基を表し(式中、m及びMは先に定義した通りである);
同一であっても又は異なっていてもよいQ及びQ’は、酸素又は硫黄原子を表し;特にQ及びQ’は、酸素原子を表し;
は先に定義した通りである。
式(VIII)の染料の一例として、Acid Yellow 73;Acid Red 51;Acid Red 52;Acid Red 87;Acid Red 92;Acid Red 95;Acid Violet 9について言及されてもよく;
f)式(IX)のインドールベースの染料:
【化18】
(IX)の式中、
同一であっても又は異なっていてもよいR53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、及びR60は、水素原子を表し、又は
-(C~C)アルキル;
-(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
-ヒドロキシル、メルカプト;
-ニトロ、ニトロソ;
-R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は水素原子又はアルキル又はアリール基を表し;同一であっても又は異なっていてもよいX、X’、及びX’’は、酸素又は硫黄原子又はNRを表す(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す));
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
-(O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
Gは、酸素又は硫黄原子又は基NRを表し(式中、Rは先に定義した通りである);特に、Gは酸素原子を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR及びRは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
式(IX)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M又は1つのカルボキシレートラジカル-C(O)O,M;優先的にスルホン酸ナトリウムを含むものと理解される。
式(IX)の染料の例として、Acid Blue 74について言及されてもよい。
【0050】
g)式(X)のキノリンベースの染料:
【化19】
(X)の式中、
61は、水素又はハロゲン原子又は(C~C)アルキル基を表し;
同一であっても又は異なっていてもよいR62、R63、及びR64は、水素原子又は基(O)S(O)-,Mを表し(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
又は代案としてはR61とR62、又はR61とR64は一緒になって、1つ又は複数の基(O)S(O)-,Mによって任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
式(X)は、少なくとも1つのスルホネートラジカル(O)S(O)-,M、優先的にスルホン酸ナトリウムを含むものと理解される。
【0051】
式(X)の染料の例として、Acid Yellow 2、Acid Yellow 3、及びAcid Yellow 5について言及されてもよい。
【0052】
より具体的には、本発明で有用な式(III)~(VIII)の染料は、以下から選択される:
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
これらの染料のほとんどは、The Society of Dyers and Colorists,P.O.Box 244,Perkin House,82 Grattan Road,Bradford,Yorkshire,BD1 2LU Englandが出版するColor Indexに記載されている。
【0056】
最も特に好ましいアニオン性染料は、Color Indexで、C.I.58005(1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.60730(2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチルベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15510(4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15985(6-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)アゾ]-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.17200(5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-2,7-ナフタレンジスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.20470(1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシ-3,6-ナフタレンジスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.42090(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イルイデン]-3-スルホベンゼンメタナミニウム水酸化物の二ナトリウム塩、分子内塩)、C.I.61570(2,2’-[(9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-1,4-アントラセンジイル)ジイミノ]ビス[5-メチル]ベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩)のコードの下に指定される染料である。
【0057】
構造(III)~(X)のメソメリー又は互変異性形態に対応する化合物が、使用されてもよい。
【0058】
好ましくは、本発明のアニオン性直接染料は、Acid Violet 43などの式(V)の染料から選択される。
【0059】
アニオン性直接染料は、特に、組成物の総質量に対して、およそ0.001質量%~20質量%、優先的にはおよそ0.005質量%~10質量%に相当する。より具体的には、アニオン性染料は、0.01質量%~5質量%に相当する。
【0060】
本発明に従って使用されてもよい天然直接染料のうち、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメシン酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセイン、ブラジリン、ブラジレイン、ヘマチン、及びヘマトキシリンについて言及されてもよい。これらの天然染料を含有する抽出物又は浸出液、特にヘンナベースのパック剤又は抽出物もまた使用されてもよい。
【0061】
好ましくは、直接染料a)は、22℃の温度及び大気圧(760mmHg、すなわち1.013×10Pa)で、5質量%未満、より優先的には1質量%未満、なおもより優先的には0.5質量%未満の水への溶解度を有する。
【0062】
直接染料a)は、有利には、それらを含む組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、優先的には0.05質量%~質量5%、より優先的にはそれらを含む組成物の総質量に対して、0.3質量%~3質量%に相当する。
【0063】
a)式(A)の不飽和複素環式塩:
本発明の方法及び組成物で使用される第2の成分b)は、先に定義した式(A)の不飽和複素環式塩である。
【0064】
本発明の特定の実施形態によれば、式(A)の塩は、以下の式(I)及び(II)のものから、及びそれらの互変異性体からも選択される:
【化20】
(I)及び(II)の式中、
は、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシ、-SOH、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表し;
は、水素原子を表し、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシ、-SOH、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表し;
は、ヒドロキシル基を表し、ヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、-SOH、スルホネート、及びベンゼンから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表し;
nは0、1、2又は3であり;好ましくは、nは0又は1であり;
は、アニオン性の対イオンを表し;
-R1、R’又はRの炭化水素ベースの基の1つが、カルボキシレート又はスルホネート基によって置換されている場合は、Yは不在であり、式(A)の塩の電気的中性が確保され;
-nが2又は3に等しい場合は、置換基は同一であるか又は異なる
ものと理解される。
【0065】
本発明の特定の実施形態によれば、式(A)、(I)、及び(II)の塩は、Rが、ヒドロキシル、(C)アルコキシ、-SOH、-SO 、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖、飽和又は不飽和の(C~C10)炭化水素ベースの基を表すような塩であり;優先的には、Rは、直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルキル基を表す。より優先的には、Rは、1つ又は複数のヒドロキシル、フェニル、-SOH、及び-SO 基によって任意選択的に置換された直鎖の(C~C)アルキル基を表し、又は代案としてはRは、直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルケニル基、好ましくはビニル又はアリルを表す。
【0066】
特定の実施形態によれば、式(I)の塩は、R’が、水素原子を表し、又はヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、-SOH、-SO 、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表すような塩である。優先的には、R’は、水素原子、又は直鎖又は分岐鎖、より優先的には直鎖、飽和の(C~C)炭化水素ベースの基、特にメチルを表す。
【0067】
特定の実施形態によれば、式(I)の塩はRが、メチルなどの直鎖又は分岐鎖、飽和の(C~C)炭化水素ベースの基を表すような塩であり;好ましくは、nは1であり、Rは2位にある。
【0068】
特定の実施形態によれば、式(II)の塩は、Rが、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表すような塩であり;特に、Rは、直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルキル基を表し、好ましくは、Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表す。
【0069】
特定の実施形態によれば、式(II)の塩は、Rがヒドロキシル基を表し、1つ又は複数のヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、-SOH、-SO 、及びフェニル基によって任意選択的に置換された直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の(C~C12)炭化水素ベースの基を表すような塩であり;優先的には、Rは、ヒドロキシル基を表し、又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;Rは、好ましくは2’、3’又は4’位に位置する。
【0070】
特定の実施形態によれば、式(A)、(I)又は(II)の塩では、Yがi)塩化物、臭化物などのハロゲン化物、ii)水素スルフェートiii)ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びビス(フルオロスルホニル)イミドなどの(ビス)(ポリ)ハロ(C~C12)(アルキル)スルホニルイミド、iv)(C~C12)アルキルスルフェート、v)ヘキサフルオロホスフェートなどの(ポリ)ハロホスフェート、vi)(C~C12)(アルキル)ホスフェート、ホスフェート、vii)テトラフルオロボレートなどの(ポリ)ハロボレート、viii)カーボネート、ix)ビカーボネート、x)(C~C12)アルキルカーボネート、xi)ジシアナミド、xii)ニトレート、xiii)チオシアネート、xiv)フォルメート、xv)(C~C12)アルキルカルボキシレート(式中、(C~C12)アルキル基は、1つ又は複数のハロゲン原子によって、又はヒドロキシル、(C~C)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C~C)アルキルカルボニル、(C~C)アルキルカルボニルオキシ、(C~C)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SOH、トリフルオロアセテートなどの(C~C)アルコキシから選択される基によって置換されてもよい);xvi)(C~C12)アリールカルボキシレート(式中、アリール基は、1つ又は複数のハロゲン原子によって、又はヒドロキシル、(C~C)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C~C)アルキルカルボニル、(C~C)アルキルカルボニルオキシ、(C~C)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SOH、(C~C)アルコキシから選択される基によって置換されてもよい);xvii)(C~C12)アルキルスルホネート(式中、(C~C12)アルキル基は、1つ又は複数のハロゲン原子によって、又はヒドロキシル、(C~C)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C~C)アルキルカルボニル、(C~C)アルキルカルボニルオキシ、(C~C)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SOH、トリフレートなどの(C~C)アルコキシ、特にメチルスルホネート又はメシレートなどの(C~C)アルキルスルホネートから選択される基によって置換されてもよい);xviii)(C~C12)アリールスルホネート(式中、アリール基は、1つ又は複数のハロゲン原子によって、又はヒドロキシル、(C~C)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C~C)アルキルカルボニル、(C~C)アルキルカルボニルオキシ、(C~C)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SOH、ベンゼンスルホネート及びトルエンスルホネート又はトシレートなどの(C~C)アルコキシから選択される基によって置換されてもよい)から選択されるアニオン性の対イオンを表す。
【0071】
優先的には、Yは下記を表す。
【0072】
【表5】
【0073】
より優先的には、Yは、i)、xvii)、及びxviii)から選択され;より優先的には、Yは、塩化物、臭化物、メチルスルフェート、及びトシレートから選択される。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(A)、(I)又は(II)の塩は、化合物1~40から選択される:
【0075】
【表6】
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
【表9】
【0079】
式中、Yは、先に定義したアニオン性対イオンを表し;好ましくは、式(A)、(I)又は(II)の塩は、化合物2、3、4、5、34、及び36、より優先的には2、4、5、及び36から選択される。
【0080】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の複素環式塩は、イオン性液体である。
【0081】
本発明の目的で、「イオン性液体」という用語は、有機化合物の塩を意味し、前記塩は、150℃以下、好ましくは100℃以下の融点を有する。好ましくは、塩は300℃まで液体のままであり、より優先的には、塩は室温、すなわち50℃以下、0℃以上の温度で液体である。
【0082】
融点は、示差熱量分析によって10℃/分の昇温速度で測定され、測定中に得られた吸熱融解ピークの最上部に対応する温度が融点となる。
【0083】
本発明の複素環式塩(A)は、それらを含む組成物の総質量に対して、好ましくは1質量%~99.5質量%、優先的には3質量%~90質量%、なおもより優先的には10質量%~90質量%、なおもより良くは20質量%~80質量%、より優先的には30質量%~70質量%、なおもより優先的には40質量%~60質量%に至る比率で存在する。
【0084】
ケラチン物質を染色するための方法
本発明による、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための方法は、前記繊維に一緒に又は別々に、すなわち順次塗布される成分a)及びb)を使用する。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、成分a)及びb)は、前記物質に一緒に塗布される。1つの別形によれば、成分a)及びb)は、ケラチン物質に塗布される化粧用組成物中にある。前記化粧用組成物は、先に定義した1つ又は複数の直接染料a)と、先に定義した式(A)の1つ又は複数の不飽和複素環式塩とを含む。好ましくは、a)及びb)を含む化粧用組成物は水性である。より優先的には、組成物は、成分a)、b)、及び水のみを含む。
【0086】
別の実施形態によれば、本発明のケラチン繊維を染色するための方法は、i)先に定義したa)1つ又は複数の直接染料を含む組成物をケラチン物質に塗布する第1のステップと、次にii)先に定義したb)1つ又は複数の式(A)の不飽和複素環式塩をケラチン物質に塗布する第2のステップとを含む。好ましくは、a)を含む組成物及びb)を含む組成物は、水性である。
【0087】
別の特定の実施形態によれば、本発明のケラチン物質を染色するための方法は、i)先に定義したb)1つ又は複数の式(A)の不飽和複素環式塩を含む組成物を塗布する第1のステップと、次にii)先に定義したa)1つ又は複数の直接染料を含む組成物をケラチン物質に塗布するステップとを含む。好ましくは、a)を含む組成物及びb)を含む組成物は、水性である。
【0088】
組成物は、湿潤又は乾燥ケラチン物質、特に湿潤又は乾燥ケラチン繊維に塗布されてもよい。
【0089】
好ましくは、先に定義したa)及びb)を含む組成物のケラチン物質への塗布は、好ましくは室温で、すなわち25℃~30℃の間の温度で実行される。
【0090】
本発明の有利な別形によれば、成分a)及びb)の塗布後、ケラチン物質をすすぎ、任意選択的にシャンプーし、次に、例えば30℃以上の温度で乾燥させるか、放置乾燥させる。
【0091】
特定の実施形態によると、この温度は40°Cを超える。特定の実施形態によると、この温度は45°Cを超え220°C未満である。
【0092】
好ましくは、ケラチン物質が乾燥される場合は、それらは熱の供給に加えて、空気の流れによって乾燥される。
【0093】
乾燥中に、櫛でとかしたり、ブラッシングしたり、指を通したりするなど、髪の房に機械的作用を与えてもよい。この操作は、ケラチン物質が自然に又は別の様式で乾燥された後に、同様に実行されてもよい。
【0094】
本発明の方法のケラチン繊維の乾燥ステップは、フード、ヘアドライヤー、矯正アイロン、クリマゾンなどの乾燥装置を用いて実行されてもよい。
【0095】
乾燥ステップがケラチン繊維上で実行される場合は、それはフード又はヘアドライヤーを用いて実行されてもよく;乾燥温度は、40~110℃の間、好ましくは50~90℃の間である。
【0096】
乾燥ステップがケラチン繊維上で実行される場合は、それは矯正アイロンを用いて実行されてもよく;乾燥温度は、110~220℃の間、好ましくは140~200℃の間である。
【0097】
乾燥が完了したら、最終すすぎ又はシャンプーが任意選択的に実行されてもよい。
【0098】
組成物は、好ましくは、毛髪の量に対する塗布される組成物の量の質量比が0.1~10の間、より具体的には0.2~5の間で、湿潤又は乾燥ケラチン物質に塗布される。
【0099】
組成物
本発明の別の主題は、先に定義したa)1つ又は複数の直接染料と、先に定義したb)式(A)の1つ又は複数の不飽和複素環塩とを含む、化粧用組成物である。組成物は、好ましくは水性である。
【0100】
本発明の組成物は化粧用であり、すなわち化粧用媒体中にある。
【0101】
化粧用媒体:
「化粧用媒体」と言う用語は、染料支持体としても知られている、ケラチン繊維を染色するのに適した媒体を意味し、一般的に水、又は水と1つ又は複数の有機溶媒との混合物、又は有機溶媒混合物から形成される化粧用媒体である。好ましくは、組成物は水を含み、その含有量は組成物の総質量に対して、両端を含む5%~95%の間である。より優先的には、本発明の組成物は、a)及びb)以外のいかなる成分も含まない。
【0102】
「有機溶媒」という用語は、別の物質を化学的に修飾することなく、溶解できる有機物質を意味する。
【0103】
有機溶媒:
言及されてもよい有機溶媒の例としては、エタノール及びイソプロパノールなどの低級C~Cアルカノール;例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテルなどのポリオール及びポリオールエーテル;及び例えば、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノールなどの芳香族アルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0104】
有機溶媒は、好ましくは染料組成物の総質量に対して、両端を含むおよそ0.1質量%~40質量%の間、より優先的には組成物の総質量に対して、およそ1質量%~30質量%の間、なおもより具体的には両端を含む5質量%~25質量%の間の比率で、好ましくは存在する。
【0105】
本発明の組成物はまた、室温及び大気圧で液体である、本発明のカチオン性複素環式塩(A)以外の1つ又は複数の化合物を含んでもよい。液体化合物は、好ましくは溶媒であり、特に、水;エタノール及びイソプロパノールなどの脂肪C~Cアルコール;アセトン、炭酸プロピレン、ベンジルアルコール、グリコールエーテル誘導体などの水に可溶性又は分散性である有機溶媒;グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなどのポリオールから選択される溶媒である。より優先的には、前記液体化合物は極性溶媒であり、なおもより優先的には極性プロトン性溶媒である。
【0106】
pH
成分a)及びb)を含む組成物のpHは、一般敵に3~13の間であり、好ましくは5~10の間であり、より優先的には6~9.5の間である。この組成物又はこれらの組成物のpHは、化粧品で従来から使用されている酸性化又は塩基性化剤で調整されてもよい。
【0107】
酸性化剤のうち、言及されてもよい例としては、先に言及した有機酸、又は無機酸が挙げられる。
【0108】
「無機酸」という用語は、無機化合物に由来する任意の酸を意味する。無機酸のうち、塩酸、オルトリン酸、硫酸、スルホン酸、及び硝酸について言及されてもよい。
【0109】
また、塩酸;オルトリン酸;硫酸;例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸又は乳酸などのカルボン酸;及びスルホン酸などの無機又は有機酸が使用されてもよい。
【0110】
塩基性化剤のうち、言及されてもよい例としては、水性アンモニア;アルカリ金属炭酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン及びそれらの誘導体;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び式(B)の化合物が挙げられる。
【化21】
(B)の式中、Wは、1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキレン基であり、同一であっても又は異なっていてもよいR、R、R、及びRは、水素原子を表し、又は1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換されたC~Cアルキル基を表す。好ましくは、pH修飾剤は、水性アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,3-プロパンジアミンなどのアルカリ性剤;又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアルカリ性水酸化物;そうでなければリン酸又は塩酸などの酸性化剤から選択されてもよい。
【0111】
成分a)及びb)を含む組成物は、液体形態、セラム形態、増粘形態、特にゲル、クリーム、ワックス又はペースト、又はフォーム形態であってもよい。
【0112】
本発明の組成物は、成分a)及びb)以外の1つ又は複数の活性剤を含んでもよい。
【0113】
ステップa)で使用される組成物は、溶媒、還元剤、酸性又はアルカリ性剤、及び塩以外の1つ又は複数の追加的な化粧用活性剤もまた、含有してもよい。
【0114】
これらの活性剤は、一般的に、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤;天然又は合成起源のカチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性イオン性、会合性又は非会合性増粘ポリマー;オイル、ガム、樹脂の形態のシリコーン;又は非シリコーン植物;無機又は合成オイル;UVスクリーン剤;螺鈿及び二酸化チタンのような金属酸化物及び粘土などの充填剤;香料;解膠剤;ビタミン剤;及び保存料から選択される。
【0115】
本発明の対象はまた、先に定義したa)少なくとも1つの直接染料を含有する、少なくとも第1のコンパートメントと、先に定義したb)式(A)の少なくとも1つの複素環式塩を含有する、少なくとも第2のコンパートメントとを含む、マルチコンパートメントデバイス又はキットである。
【0116】
本質的に限定するものではない以下の実施例によって、本発明を説明する。
【実施例
【0117】
評価された染料:
【化22】
複素環式塩:
【化23】
【0118】
組成物の調製:
比較組成物(比較1~6)及び本発明の組成物(発明1~6)は、以下の表に記載されている量を順守して調製した。
【0119】
【表10】
【0120】
【表11】
【0121】
【表12】
【0122】
【表13】
【0123】
【表14】
【0124】
髪の房への塗布:
プロトコル1:
5gの比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、33℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0125】
プロトコル2:
1gの比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、27℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0126】
プロトコル3:
比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)のpHを乳酸で3に調節し、次に1gの配合物を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、27℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0127】
プロトコル4:
比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)のpHを水性アンモニアで7に調節し、次に1gの配合物を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、27℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0128】
プロトコル5:
1gの比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、9.5に等しいpHで27℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0129】
プロトコル6:
1gの比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、33℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0130】
プロトコル7:
1gの比較組成物(比較x)又は本発明による組成物(発明x)を90%の白髪を含む0.5gの天然毛髪に、9.5に等しいpHで33℃で30分間塗布する。次に、毛髪をすすぎ、シャンプーして乾燥させる。
【0131】
比色分析測定:
色の蓄積(ΔE*)は、ミノルタ分光光度計CM3610A比色計(光源D65)を使用して、CIEL*a*b*システムで評価した。このL*a*b*システムでは、L*は色の強度を表し、a*は緑/赤の色軸の色合いを示し、b*は青/黄色の色軸の色合いを示す。L*の値が低いほど、色は暗く又は濃くなる。a*の値が高いほど、色合いはより赤みを帯び、b*の値が高いほど、色合いはより青みを帯びる。
【0132】
下の表では、ΔE*は、次式に従ってL*a*b*の値から算出される。
【数1】
式中、L*、a*、及びb*は、上記プロトコル1~4の各手段による処理後の髪の房で測定された値を表し、L*、a*、及びb*は、未処理対照の髪の房で測定された値を表す。
【0133】
ΔE*値が高いほど、色の蓄積又はバリエーションが良好になる。
【0134】
結果を下の表に示す。
【0135】
染色結果:
得られた様々な蓄積結果を下の表に示す:
【0136】
【表15】
【0137】
上記の試験結果から、試験されたpHにかかわりなく、式(A)の飽和複素環式塩の存在によって色の蓄積が有意に改善されることが分かる。さらに、得られた色は非常に鮮やかである。