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特許7512303バレルケーシングポンプ及びバレルケーシングポンプの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】バレルケーシングポンプ及びバレルケーシングポンプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/42 20060101AFI20240701BHJP
   F04D 1/08 20060101ALI20240701BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
F04D29/42 B
F04D1/08 A
F04D29/44 D
F04D29/42 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021556612
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020055622
(87)【国際公開番号】W WO2020187562
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】102019001882.6
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】アマン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,ホルガー
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
F04D 1/08
F04D 29/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルケーシング(1)と、前記バレルケーシング内に挿入される少なくとも1つのステージケーシング(9,9’)と、を有する遠心ポンプであって、
最後の前記ステージケーシング(9’)から圧力ノズル(3)への移行部に形成されたエンドへリックス(10)を有し、
前記エンドへリックス(10)は、前記最後のステージケーシング(9')の輪郭(18)、終端側で前記バレルケーシング(1)を閉じるカバー(4)の輪郭(19)、及び、前記バレルケーシング(1)の内側輪郭(11)によって形成される、螺旋状の流れ空間(15)を有していることを特徴とする、遠心ポンプ。
【請求項2】
少なくとも1つの方向変換装置(17)が、ノーズ(13)の領域で前記バレルケーシング(1)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
前記ノーズ(13)から始まる前記螺旋状の流れ空間(15)は、流れ方向で径方向に次第に拡大すると同時に一定の軸方向幅を伴うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
前記螺旋状の流れ空間(15)は、特定の外周角(α’)から、好ましくは前記ノーズ(13)から始まる約90°から、流れ方向で軸方向に拡大し、前記流れ空間(15)の径方向の拡大は、好ましくは、この範囲から一定のままであることを特徴とする請求項3に記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
前記カバー(4)の前記輪郭(19)及び前記最後のステージケーシング(9’)の前記輪郭(18)は、いずれの場合にも、前記螺旋状の流れ空間(15)の横方向案内壁として作用することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記ポンプは、1つ又は複数のガイドホイール(8,8’)、特に前記最後のステージケーシングから前記圧力ノズル(3)への移行領域にある少なくとも1つのガイドホイール(8’)を備え、前記螺旋状の流れ空間(15)の内径が前記ガイドホイールの外径にほぼ対応することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項7】
バレルケーシング(1)と、前記バレルケーシング内に挿入される少なくとも1つのステージケーシング(9,9’)とを有する従来型の遠心ポンプと、最後の前記ステージケーシング(9’)から圧力ノズル(3)への移行領域における従来の流れ空間(15)とから始まって、螺旋状の流れ空間(15)の3Dテンプレートが、前記従来型の遠心ポンプの最大の可能な流れ空間直径と利用可能な流れ空間幅とを考慮してもたらされるとともに、前記バレルケーシング(1)の内側輪郭(11)、前記最後のステージケーシング(9’)及びカバー(4)の輪郭(18,19)の機械的処理のためのテンプレートとして使用されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の遠心ポンプを製造するための方法。
【請求項8】
前記圧力ノズル(3)の領域における前記バレルケーシング(1)の前記内側輪郭(11)は、前記3Dテンプレートの規定に従って、アンギュラヘッドにより受けられる切削工具、特に、切削カッターを有する加工機によって移動されることを特徴とする請求項5に記載の遠心ポンプを製造するための方法。
【請求項9】
前記バレルケーシング(1)内の螺旋輪郭の切削の後に方向変換装置(17)が溶接され、前記方向変換構成要素(17)も好ましくは前記3Dテンプレートを使用して形成され、
前記螺旋輪郭(12)の一部は、外周にわたって増大する前記螺旋状の流れ空間(15)の径方向の拡大を有する領域(14)をもたらすことを特徴とする請求項5又は6に記載の遠心ポンプを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレルケーシングと、該バレルケーシング内に挿入される少なくとも1つのステージケーシングとを有する遠心ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ダブルケーシングポンプ又はバレルケーシングポンプとも呼ばれるそのような遠心ポンプは、バレルのようなケーシングによって取り囲まれる遠心ポンプである。吸引ノズルと圧力ノズルとを備えるバレルケーシングは、シャフトに対して垂直に位置する平面内のカバーで閉じられる。一般に、この場合、これらは、高圧及び超高圧ポンプとして、特にボイラーフィードポンプとしても使用するためのマルチステージポンプである。バレルケーシング内には、複数のステージケーシングが軸方向に直列に並んで配置される。各ステージケーシングは、ポンプインペラを備えるとともに、随意的に固定ガイドホイールを備える。
【0003】
個々のステージケーシングは、一般に、コヒーレントポンプ挿入モジュールとしてポンプシャフトと共に構成される。圧力ノズル内の最後のガイドホイール又は最後のステージケーシングからの流れの移行は、一般に、バレルケーシング内に形成される流れ空間を介して実行される。例外的なケースでは、移行領域のエンドヘリックスに別個のインサートが代わりに使用される。エンドヘリックスは、螺旋輪郭が切削される別個の鋳造構成要素によって生成される。
【0004】
別個のケーシングインサートの螺旋輪郭はフロー技術の観点から最適に開発されるが、この付加的な構成要素は圧力ケーシングの強度に寄与しないため、それによって、バレルケーシングと圧力ノズルの周囲は、使用される螺旋輪郭を変更するために、大幅に大きくなるように構成される必要がある。その結果、螺旋インサートを備えたポンプ構成は、従来の流れ空間を備えたポンプ構成よりもかなり大きくなり、最終的には、特に大型のポンプタイプで製造コストが大幅に増加する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、著しく単純であり、したがって、製造するのにより費用効果が高い、エンドヘリックスを伴う汎用ポンプを開発することである。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴に係る遠心ポンプで達成される。遠心ポンプの有利な実施形態が従属請求項に記載される。
【0007】
本発明によれば、最後のステージケーシングからバレルケーシングの圧力ノズルへの移行領域において、バレルケーシングの内側輪郭によって、螺旋状の流れ空間が少なくとも部分的に直接に形成されることが提案される。螺旋輪郭は、別個の挿入構成要素によって生成されることは絶対にないが、代わりに、いかなる場合でも設けられる構成要素が使用される。しかしながら、螺旋輪郭は、移行領域におけるバレルケーシングの内側輪郭によってだけでなく、最後のステージケーシングの隣接する輪郭と終端側でバレルケーシングに挿入されるカバーの隣接する輪郭との組み合わせにおいても生成される。したがって、エンドヘリックスは、複数の、特に少なくとも3つの構成要素から構成される。
【0008】
この背景に対して、従来技術で提供されていたように、別個の螺旋インサートを完全に省くことができる。これにより、ポンプの製造が大幅に簡素化されて費用効果が高くなる。特に、構成要素のそれぞれの輪郭は、従来の加工方法を使用して生成されるべきである。簡単な製造により追加コストを低く抑えるべきである。
【0009】
更に、多要素、特に三部品エンドヘリックスを伴うポンプは、エンドヘリックスを伴わない場合よりも大きな寸法を有するべきではなく、つまり、バレルケーシングは、終端側流れ空間を伴う同等のポンプと比較して理想的には大きくない。これを達成するために、流れ空間を伴う同等のポンプで利用可能なスペースは、バレルケーシングの寸法付けに関する所定の要件になると想定される。この場合、バレルケーシングの規定された利用可能な構造空間に応じて、前述の構成要素の協働により、移行領域において最良の想定し得る螺旋状の流れ領域を生み出す試みがなされる。適用可能な場合、結果として得られる螺旋輪郭は技術的な流れの観点からは理想的ではないことが認められるが、それでもポンプの寸法は大きくない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、理想的ではない螺旋輪郭を伴う最後のポンプステージの効率の最大の増加を得ることである。エンドヘリックスの結果として、最後のステージの損失レベルを大幅に減らすことができるため、全体的なポンプ効率への影響も顕著になる。
【0011】
バレルケーシングの内側輪郭の製造中、特に螺旋形状を最適化するために、内側輪郭の加工後に少なくとも1つの方向変換構成要素がバレルケーシングの内側に溶接されるようにする。エンドヘリックスのポンプノーズの領域での対応する方向変換構成要素の溶接は有利である。理想的には、この方向変換構成要素が唯一の付加的な構成要素である。
【0012】
好ましい実施形態によれば、成形された螺旋状の流れ空間は、それが最初にノーズから流れ方向で径方向に拡大し、特に次第に拡大し、理想的には一貫した態様で次第に拡大することを特徴とする。更に、この外周にわたる流れ領域は、一定の軸方向の拡大を有することが好ましい。しかしながら、理論的には、この領域における流れ領域が軸方向にも拡大することも考えられる。
【0013】
他の好ましい実施形態によれば、径方向の拡大は、規定された外周角から一定のままであり、この場合、角度は、約45°から約135°の範囲内であり、好ましくは、約90°の角度を有する。流れ空間がこの角度から軸方向に拡大することは有利である。
【0014】
特に好ましい態様において、終端側カバーの輪郭及び最後のステージケーシングの輪郭は、形成された螺旋状の流れ空間の横方向の案内壁として作用する。
【0015】
遠心ポンプは、1つ又は複数のポンプホイール又は個々のポンプステージのインペラに加えて、1つ又は複数のガイドホイールも備え、この場合、特に、ステージごとに1つのガイドホイールが設けられる。更に、圧力ノズル内の流れ方向から見たときの最後のステージケーシングからの移行領域に少なくとも1つのガイドホイールが配置される。これにより、螺旋状の流れ空間の内径をガイドホイールの外径に適合させることができ、すなわち、ガイドホイールの外径に実質的に対応することができる。
【0016】
好ましい実施形態によれば、遠心ポンプは、フィードポンプ、特に発電所用のボイラーフィードポンプである。したがって、フィードポンプとしてのそのような遠心ポンプ、特に発電所用のバレルフィードポンプの有利な使用も本発明の範囲内である。
【0017】
遠心ポンプに加えて、本発明の他の態様は、本発明に係る遠心ポンプを製造するための方法にも関連する。これは、当初、バレルケーシングを有する従来型の遠心ポンプ構造及び最後のステージケーシングから圧力ノズルへの移行領域における従来の流れ空間に基づいている。このことは、本発明に係る遠心ポンプを製造するために、バレルケーシングのほぼ同一の外形寸法が想定されることを意味する。この規定と、最後のポンプステージから圧力ノズルへの移行領域における空間条件とに基づいて、最初に、3Dテンプレート、つまり、所望の螺旋空間の3次元モデルが作成される。この例では、テンプレートは、想定し得る最大流れ空間の直径と利用可能な流れ空間の幅とを考慮して作成される。3次元テンプレートは、一般に、デジタルテンプレートである。
【0018】
考慮中の移行領域では、随意的に、少なくとも1つのガイドホイールも設けられ、したがって、その外径もまたテンプレート設計のために考慮されなければならず、特に、所望の螺旋空間の内径は、ガイドホイールの外径に適合される。
【0019】
作成されるテンプレートは、その後、エンドヘリックスを構成するための構成要素の輪郭を加工するためのパターンとして、すなわち、バレルケーシングの内側輪郭、最後のステージケーシングの輪郭、及び、カバーの関連する輪郭を機械的に加工するためのパターンとして使用される。
【0020】
例えば、テンプレートを考慮して適切な工具でそれぞれの輪郭を加工及び移動するプログラム可能な加工機が、関連する構成要素の輪郭の機械的な加工に使用されることが考えられる。特にシェルエンドミルによる、それぞれの輪郭の切削加工工程が特に適している。
【0021】
具体的には、バレルケーシングの内側輪郭が、テンプレートのパターンに従って、加工機によりアンギュラヘッドを用いて受けられる切削工具と共に内側から移動されて、螺旋輪郭を生成することが考えられる。
【0022】
バレルケーシング内に少なくとも1つの方向変換構成要素を取り付ける、特に溶接する必要がある場合、この構成要素も、例えば、切削、研削、冷間成形、レーザーカージングなどによって、テンプレートのパターンに従って事前に製造される。
【0023】
以下、図面に示される実施形態を参照して、本発明の他の利点及び特性について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ポンプシャフトに沿う本発明に係るポンプの断面図である。
図2a】圧力ノズルへの移行領域におけるバレルケーシングの断面図である。
図2b】圧力ノズルへの移行領域におけるバレルケーシングの断面図である。
図3a】圧力ノズルへの移行領域における本発明に係る組み立てられたポンプの断面図である。
図3b】圧力ノズルへの移行領域における本発明に係る組み立てられたポンプの断面図である。
図4a】加工された螺旋状の流れ空間の図である。
図4b】加工された螺旋状の流れ空間の図である。
図5a】最後のステージケーシングの関連する輪郭の側面図である。
図5b】最後のステージケーシングの関連する輪郭の平面図である。
図6a】終端側カバーの関連する輪郭の平面図である。
図6b】終端側カバーの関連する輪郭の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、吸引ノズル2及び圧力ノズル3の両方を有するバレルケーシング1を伴う遠心ポンプを示す。バレルケーシング1は、バレルケーシング1に固定される、特に接続手段5を介して螺合されるカバー4によってその圧力側端部で閉じられる。
【0026】
バレルケーシング1には、回転軸Aを中心に回転できるように配置されるシャフト6を有する挿入モジュールが配置される。シャフト6には、複数のインペラ7,7’が前後に並んで配置され、それにより、個々の、この例では5つのポンプステージが形成される。各ポンプステージは固定ガイドホイール8を更に有し、この場合、流れ方向から見たときの最後のガイドホイールが参照番号8’で特定される。圧力ノズル3に隣接するインペラ、又は、流れ方向から見たときの最後のインペラが7’で示される。この実施形態において、インペラ7,7’はラジアルホイールである。或いは、例えば、セミアキシャルホイールが使用されてもよい。各インペラ7はステージケーシング9によって取り囲まれる。隣り合うステージケーシング9は互いに隣接する。圧力ノズル3に隣接するステージケーシング又は流れ方向から見たときの最後のステージケーシングは、9’で示されるとともに、流れ方向から見たときに最後のインペラ7’の前方に配置されるインペラ7を取り囲む。
【0027】
図1は、バレルケーシング1の内側輪郭11とカバー4及び最後のステージケーシング9’の輪郭との協働によって最後のステージケーシング9’から圧力ノズル3への移行領域に形成されるエンドヘリックス10を示す。
【0028】
図2a及び図2bに示されるように、本発明に係るこの目的のため、圧力ノズル3への移行領域におけるバレルケーシング1の内側輪郭11は、切削加工工程によって機械的に所望の螺旋輪郭12にされる。螺旋輪郭12は、図2aに示されるように圧力ノズル3のノーズ13に近い領域で始まり、最初に、外周にわたって増大する利用可能な流れ空間15の径方向の拡大を有する領域14をもたらし、言い換えると、バレルケーシング1の内側輪郭11は、一定の幅で内側輪郭11の深さを増大させる。図示の実施形態において、径方向の拡大は、約25°の外周角αから90°の外周角α’に至るまで増大する。別の実施形態では、増大する径方向の拡大が外周角α’=135°にまで及ぶことができる。
【0029】
領域14には螺旋輪郭12の領域16が隣接しており、この領域16では、図示の実施形態において、径方向の拡大が角度α’約90°から一定のままであり、代わりに、螺旋輪郭12は、該螺旋輪郭12がその後に圧力ノズル3で開放するまで軸方向でのみ依然として拡大する。ノーズ13の領域では、当初の流れ空間15が方向変換装置17によって径方向で狭められる。
【0030】
図3a及び図3bは、圧力ノズル3への移行領域における本発明に係る組み立てられたポンプの断面図である。変形例として、方向変換装置17は、別個の構成要素として構成され、ノーズ13を形成する。方向変換装置17は、圧力ノズル3の領域でバレルケーシング1に溶接される。
【0031】
螺旋輪郭12の例示的な進展を図4a及び随意的4bの図で見ることができる。
【0032】
図4aは、領域14及び螺旋輪郭12の領域16が中心に又は圧力ノズル3と対称に方向付けられることを実線として示す。破線で示される螺旋輪郭12’又は一点鎖線で示される螺旋輪郭12”は、領域14’又は14”が偏心して又は圧力ノズル3と非対称に方向付けられる更なる変形例を示す。したがって、領域16’及び16”は、偏心して又は圧力ノズル3と非対称に方向付けられる。
【0033】
図4bは、螺旋輪郭12の領域14の長さが変化し得ることを示す。一点鎖線で示される螺旋輪郭12’”が延在領域14’”を有し、この場合、領域16’”が短くされた状態で構成される。図4bに示される長さ変化が図4aの実施形態にも適用できることは自明である。
【0034】
図5a、5bは、組み立てポンプ状態において形成されたエンドヘリックス10の案内壁を形成する、加工された輪郭18の領域における最後のステージケーシング9’の部分的な図を示す。
【0035】
対向する案内壁を形成するための重要な輪郭19を伴うカバー4を図6a、6bの図において見ることができる。
【0036】
この例では3つの部分を成して構成される多要素エンドヘリックス10は、理想的な螺旋輪郭を生成することなく、端部螺旋輪郭の想定し得る損失レベルゲインの大部分(約80%)を使用する。したがって、ポンプをより大きな態様で構成する必要がない。特にバレルケーシング構造タイプのマルチステージフィードポンプでは、効率の面で高いゲインを実現できる。ステージの数が少ないほど、効率の面でゲインが大きくなる。新たな構造形態は、径方向に小さいガイドホイール8’を伴うフィードポンプを使用しても、ポンプをより大きく構成する必要なく、エンドヘリックス10を組み込むことができるようにする。
【0037】
図示のポンプの製造においては、与えられたガイドホイールの外径、想定し得る最大の流れ空間の直径、及び、流れ空間の幅に従った3D螺旋輪郭が、CADを使用してバレルケーシング1に最初にもたらされる。流れ空間の寸法は、螺旋輪郭を伴わないポンプの構造における仕様に対応する。したがって、螺旋輪郭を伴う結果として得られるポンプは、より大きな寸法を有さない。
【0038】
3Dテンプレートの作成では、ガイドホイールの出口と圧力ノズルの中心との間の軸方向の位置を自由に選択できる。生成された3次元螺旋輪郭は、3つの構成要素、すなわち、バレルケーシング1、ステージケーシング9’、及び、組み立てられた状態で螺旋状の流れ空間15を形成する圧力側カバー4の構築のためのテンプレートとしての役割を果たす。シェルエンドミルを使用して構成要素又はそれぞれの輪郭11、18及び19をもたらすことができる。バレルケーシング1の内側輪郭11を加工するために、プログラム可能な加工機が使用され、該加工機により、切削カッターが受けられるアンギュラヘッドを介して、3次元螺旋輪郭12が、テンプレートの規定に従って内側から移動される。
【0039】
横方向案内壁の製造、すなわち、圧力側カバー4の輪郭19及び最後のステージケーシング9’の輪郭18の加工のため、螺旋輪郭12の3次元テンプレートも使用される。バレルケーシング1の加工後、すなわち、螺旋輪郭12の製造後、方向変換装置17を更に溶接しなければならない。この方向変換装置17も3次元テンプレートを使用して事前に構成される。

図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b