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  • 特許-滅菌装置の負荷容量決定方法 図1
  • 特許-滅菌装置の負荷容量決定方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】滅菌装置の負荷容量決定方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20240701BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
A61L2/20 106
A61L101:22
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021560190
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2020052827
(87)【国際公開番号】W WO2020201932
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】62/826,695
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521437806
【氏名又は名称】アドバンスト・ステリライゼーション・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】フライヤー・ベンジャミン・エム
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-090296(JP,A)
【文献】特開2000-217894(JP,A)
【文献】特開昭57-142254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0207306(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0313441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00
A61L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌器を動作させる方法であって、
前記滅菌器のチャンバ内に非滅菌状態の負荷を配置するステップと、
前記チャンバ内の圧力を第1の圧力まで低下させるステップと、
前記チャンバ内の前記圧力を前記第1の圧力から第2の圧力まで上昇させるステップと、
前記チャンバ内の前記圧力が前記第1の圧力から前記第2の圧力まで上昇した期間を決定するステップと、
前記期間を、時間データを容量データに相関させる情報と比較するステップと、
前記負荷の容量を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記負荷の前記容量を閾値容量と比較するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閾値容量は、チャレンジ負荷容量に対応し、前記チャレンジ負荷容量より下では、前記滅菌器のチャンバ内において監視される滅菌剤の時間に対する濃度の積分が、経時的に最小濃度が達成されることを保証する閾値を満たし、前記チャレンジ負荷容量より上では、前記時間に対する濃度の積分が、前記閾値を満たさない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記負荷の前記容量が閾値容量よりも大きいと決定するステップと、
前記チャンバを開けるステップと、
前記負荷を前記チャンバから前記非滅菌状態で取り出すステップと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記負荷の前記容量が閾値容量未満であると決定するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記容量を、負荷容量データを処置期間データに相関させる情報と比較するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
滅菌サイクルを開始する前に処置期間を決定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記滅菌サイクルを開始する前に、前記滅菌器のディスプレイに前記処置期間を表示するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記滅菌サイクルを開始するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
処置の残りの期間を決定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処置の残りの期間を決定するステップは、滅菌剤の移送フェーズの後に実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記滅菌剤は、過酸化水素を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
時間データを容量データに相関させる前記情報が、第1のルックアップテーブルとして、記憶媒体に記憶される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
時間データを容量データに相関させる前記情報は、第1の最良適合の関数として、記憶媒体に記憶される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2のルックアップテーブルとして、記憶媒体に記憶される、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2の最良適合の関数として、記憶媒体に記憶される、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
滅菌器であって、
器具の負荷を保持するように構成されたチャンバと、
前記チャンバに接続され、前記チャンバ内の圧力を第1の圧力まで低下させるように構成された真空ポンプと、
前記チャンバを前記滅菌器の外部に接続する通気弁と、
時間データを容量データに相関させる情報が記憶された非一時的記憶媒体と、
プロセッサであって、
前記記憶媒体にアクセスし、
前記チャンバ内の前記圧力が前記第1の圧力から第2の圧力まで上昇する期間を決定し、
前記期間を、時間データを容量データに相関させる前記情報と比較し、
前記負荷の容量を決定する、
ように構成されている、プロセッサと、を含む、滅菌器。
【請求項18】
閾値容量が、前記記憶媒体に記憶され、前記プロセッサは、前記負荷の前記容量を前記閾値容量と比較するようにさらに構成されている、請求項17に記載の滅菌器。
【請求項19】
チャレンジ負荷容量に対応し、前記チャレンジ負荷容量より下では、前記滅菌器のチャンバ内において監視される滅菌剤の時間に対する濃度の積分が、経時的に最小濃度が達成されることを保証する閾値を満たし、前記チャレンジ負荷容量より上では、前記時間に対する濃度の積分が、前記閾値を満たさない、請求項18に記載の滅菌器。
【請求項20】
負荷容量データを処置期間データに相関させる情報が、前記記憶媒体に記憶され、前記プロセッサは、容量情報を、負荷容量データを処置期間データに相関させる前記情報と比較することによって処置期間を決定するようにさらに構成されている、請求項19に記載の滅菌器。
【請求項21】
時間データを容量データに相関させる前記情報は、第1のルックアップテーブルとして、前記記憶媒体に記憶される、請求項20に記載の滅菌器。
【請求項22】
時間データを容量データに相関させる前記情報は、第1の最良適合の関数として、前記記憶媒体に記憶される、請求項20に記載の滅菌器。
【請求項23】
容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2のルックアップテーブルとして、前記記憶媒体に記憶される、請求項20に記載の滅菌器。
【請求項24】
容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2の最良適合の関数として、前記記憶媒体に記憶される、請求項20に記載の滅菌器。
【請求項25】
前記プロセッサは、ユーザインターフェースを介して前記処置期間を伝達するようにさらに構成されている、請求項20に記載の滅菌器。
【請求項26】
前記ユーザインターフェースは、ディスプレイを含む、請求項25に記載の滅菌器。
【請求項27】
滅菌剤の供給源をさらに含む、請求項25に記載の滅菌器。
【請求項28】
前記滅菌剤は、過酸化水素を含む、請求項27に記載の滅菌器。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本明細書に開示される主題は、ガス状滅菌剤を用いた真空チャンバ内での器具の滅菌に関する。
【0002】
〔背景〕
医療装置または器具は、汚染された装置が対象に使用され、対象に感染を引き起こす可能性を最小にするために、典型的には使用前に滅菌される。さまざまな滅菌技術は、ガスプラズマおよびエチレンオキシド(EtO)を伴うか、または伴わずに、蒸気、過酸化水素および気相滅菌などのさまざまな滅菌剤を使用して利用され得る。
【0003】
ある種の滅菌技術は、周囲圧力または大気圧以外の圧力で実施される。例えば、Johnson & Johnson companyのEthicon US, LLCの一部門である、Advanced Sterilization Products(「ASP」)のSTERRAD(登録商標)システム、STERRAD(登録商標)NXシステムまたはSTERRAD(登録商標)100NXシステムは、真空チャンバを含み、かつ低い圧力、例えば26.66Pa(200ミリトル)未満で動作する、滅菌システムまたは滅菌器の例であり、これは、液体として真空チャンバに注入された過酸化水素を気化させ、過酸化水素をガス状の形態で維持し、滅菌されている器具上にこの滅菌剤が凝縮するのを避けるのに役立つ。さまざまな滅菌器、例えば前述のSTERRAD(登録商標)システムは、医療装置が確実に滅菌されるのを助けるためにプロセス目標および閾値が満たされていると決定するように、または器具が滅菌されていないことを示し得るプロセスエラーを職員に通知するように、さまざまなプロセスパラメータを監視することができる。1つのプロセスパラメータは、真空チャンバ内の滅菌剤、例えば過酸化水素の体積濃度である。これらのシステムはそれぞれ、過酸化水素の濃度を監視して、経時的に最小濃度が達成されることを保証する。具体的には、STERRAD(登録商標)システムは、過酸化水素の濃度を時間の関数として監視し、曲線下面積またはAUCと呼ばれることもある、この濃度の時間に対する積分が所定の閾値を超えると、滅菌プロセスを継続することができる。しかしながら、このAUC閾値が満たされない場合、システムはプロセスを中止する可能性がある。
【0004】
AUC閾値が満たされない場合、過酸化水素の凝縮が原因である可能性がある。チャンバ内の利用可能な容積(すなわち、器具が占有していない容積)および器具の温度を含む、さまざまな要因が過酸化水素の凝縮に寄与し得る。すなわち、器具がチャンバのかなりの部分を占有する場合、器具の温度が低すぎる場合、またはその組み合わせである場合、過酸化水素蒸気が凝縮する可能性がある。したがって、STERRAD(登録商標)システムは、最小AUC閾値が確実に達成されることをチェックし、これにより、凝縮が実質的に起こらず、滅菌処置が有効であった(すなわち、器具が滅菌された)という保証を提供する。
【0005】
〔開示の概要〕
本明細書には滅菌器を動作させる方法が開示され、これは、滅菌器のチャンバ内に非滅菌状態の負荷を配置するステップと、チャンバ内の圧力を第1の圧力まで低下させるステップと、チャンバ内の圧力を第1の圧力から第2の圧力まで上昇させるステップと、チャンバ内の圧力が第1の圧力から第2の圧力まで上昇した期間を決定するステップと、この期間を、時間データを容量データに相関させる情報(例えば、ルックアップテーブルまたは最良適合の関数)と比較するステップと、負荷の容量を決定するステップと、を含む。この方法は、負荷の容量を閾値容量と比較するステップをさらに含み得る。さらに、閾値容量は、チャレンジ負荷容量(challenge-load volume)に対応し得る。したがって、本方法は、負荷の容量が閾値容量よりも大きいと決定するステップをさらに含み得、その場合、負荷の滅菌を回避する決定がなされ得る。したがって、チャンバは開放されていてよく、負荷は非滅菌状態でチャンバから取り出され得る。代替的に、本方法は、負荷の容量が閾値容量未満であると決定するステップを含み得る。したがって、本方法は、容量を、負荷容量データを処置期間データに相関させる情報と比較するステップをさらに含み得る。したがって、処置期間は、滅菌サイクルを開始する前に決定することができ、処置期間は、ユーザに伝達され、例えば、滅菌サイクルを開始する前に滅菌器のディスプレイに表示され得る。次に、例えば、その後、滅菌サイクルを開始することができる。このサイクルの間、特に滅菌剤、例えば過酸化水素の移送フェーズが完了した後、サイクルの残りの期間が決定され、ユーザに伝達され得る。
【0006】
この方法を実施するのに適した滅菌器も開示される。滅菌器は、器具の負荷を保持するように構成されたチャンバと、チャンバに接続され、チャンバ内の圧力を第1の圧力まで低下させるように構成された真空ポンプと、チャンバを滅菌器の外部に接続する通気弁と、時間データを容量データに相関させる情報が記憶された非一時的記憶媒体と、記憶媒体にアクセスし、チャンバ内の圧力が第1の圧力から第2の圧力まで上昇する期間を決定し、この期間を、時間データを容量データに相関させる情報と比較し、負荷の容量を決定するように構成されたプロセッサと、を含み得る。
【0007】
閾値容量は、記憶媒体に記憶され得る。さらに、プロセッサは、負荷の容量を、チャレンジ負荷容量に対応し得る閾値容量と比較するように構成され得る。さらに、負荷容量データを処置期間データに相関させる情報は、記憶媒体に記憶され得、プロセッサは、容積情報を、負荷容量データを処置期間データに相関させる情報と比較することによって処置期間を決定するようにさらに構成され得る。
【0008】
プロセッサは、ユーザインターフェース、例えばディスプレイを介して処置期間を伝達するようにさらに構成され得る。滅菌器はまた、滅菌剤、例えば過酸化水素の供給源を含み得る。
【0009】
本明細書は、本明細書に記載された主題を特に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられるが、その主題は、添付の図面と共に理解される特定の実施例に関する以下の説明からよりよく理解されると考えられ、添付図面では、同様の参照符号は同じ要素を特定している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】滅菌器の概略図を示す。
図2】滅菌器を使用する方法のフローチャートを示す。
【0011】
〔発明を実施する形態〕
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同じ符号が付されている図面を参照して読むべきである。図面は、必ずしも縮尺通りではないが、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定としてではなく、例として示す。この説明は、当業者が本発明を製造および使用することを明らかに可能にし、本発明を実施する最良の態様であると現在考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、改作、変形例、代替案および使用を説明する。
【0012】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、構成要素の一部または集合が、本明細書に記載されるような、その意図された目的のために機能することを可能にする、適切な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。加えて、本明細書で使用される場合、用語「患者」、「宿主」、「ユーザ」および「対象」は、任意のヒトまたは動物の対象を指し、システムまたは方法をヒトでの使用に制限することを意図しないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を表す。
【0013】
滅菌器100、例えばSTERRAD(登録商標)100NXシステムの概略図が図1に反映されている。滅菌器100は、内部に滅菌される器具の負荷(パック)114を保持するように構成された真空チャンバ112を含む。1つ以上の滅菌インジケータ(例えば、生物学的インジケータ102)は、チャンバ112内に配置され、例えば、図示のように、負荷114上に置かれるか、またはこれに固定され得る。チャンバ112は、約40.00Pa(約0.3トル)~399.97Pa(3トル)の低い圧力に対処するのに十分に頑強であり、そこに導入された任意の滅菌剤との反応またはその吸収を回避するのに十分に不活性である、任意の材料から形成され得る。このような材料は、アルミニウムおよびステンレス鋼を含むことができる。チャンバ112はまた、ドアのような開放可能かつ密閉可能なバリア116を含むことができ、これは、チャンバ112内への負荷114の配置および取り出しを可能にするために開けられ得る。バリアは、チャンバ112内の低い圧力に耐え、チャンバ112と周囲環境との間の漏れを回避するために、十分に頑強であり、かつ十分に頑強なシールを含むべきである。所望の動作圧力に到達可能な真空ポンプ118が、チャンバ112から空気および他のガス、例えば水蒸気を抜く。真空ポンプ118は、これをチャンバ112に接続するためのホースまたはパイプ120を含むことができる。真空ポンプ118は、弁122を含んでもよく、弁は、チャンバ112内の圧力変化を補助または防止するために、開放または閉鎖され得る。例えば、弁が開いていて真空ポンプが作動している場合、チャンバ112内の圧力を低下させることができる。あるいは、弁が開いていて真空ポンプが作動していない場合、チャンバ内の圧力は、周囲圧力に向かって上昇されるか、またはこれと等しくされ得、弁122は通気弁と考えられ得る。他の実施形態では、別の通気弁123を使用してチャンバ112を通気してもよい。圧力モニタまたは変換器124が、チャンバ112内の圧力を測定する。特に好適な圧力モニタは、MKS Instrumentsから入手可能なキャパシタンスマノメータである。加熱要素126が、チャンバ112を加熱するために使用され得る。これは、チャンバ112を均一に加熱するのに十分な場所でチャンバ112の外側に結合された別個の要素を含むことができる。ホースもしくはパイプ130をさらに含むか、またはこれに接続され得る、滅菌剤の供給源128、例えば滅菌剤を収容するリザーバまたはカートリッジが、チャンバ112に接続される。いくつかの実施形態では、リザーバ128は、チャンバ112と供給源128との間に配置されて、供給源128からホース130を通ってチャンバ112内に入る滅菌剤の流れを制御する、弁132をさらに含むか、またはこれに接続され得る。滅菌システム100はまた、プリンタ、ディスプレイ、およびアラームなどの出力装置をさらに含み得るユーザインターフェース136を含み得る。ユーザインターフェース136はまた、キーパッドまたはタッチスクリーンのような入力装置を含んでもよい。最後に、システム100は、過酸化水素データを監視および出力することができる過酸化水素モニタ146を含んでもよい。
【0014】
デジタルコンピュータなどの制御システム138が、滅菌器100およびその種々の構成要素の動作を制御する。制御システム138は、1つ以上のマイクロプロセッサ140を使用することができる。これはまた、例えば情報およびデータを記憶することができる、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、またはフラッシュメモリなどの、非一時的記憶媒体142を使用してもよい。圧力データまたは過酸化水素濃度のようなアナログデータが収集される場合、アナログデータをデジタルデータに変換するために、アナログデジタル(A2D)変換器144を使用することができる。タイマーまたはクロック回路145が、時間を記録する。制御システム138は、ソフトウェアおよび/またはロジックをさらに含み得、それによって、マイクロプロセッサ140は、負荷114の容量と、例えば負荷114の容量に基づいて、閾値AUCに達するのに必要な時間またはおよその時間と、を決定することができる。プロセッサ140は、例えば、負荷114の容量が閾値容量より大きいか、AUC閾値が満たされたか、またはAUC閾値がある時間内に満たされなかったと決定すると、滅菌プロセスを自動的に終了するように構成され得る。明確にするために、プロセッサ140と滅菌器100の他の構成要素との間のある種の接続は示されていない。しかしながら、滅菌器100は、プロセッサ140が滅菌器100の全ての機能を制御し得るように構成されることを理解されたい。
【0015】
滅菌器100による、すなわち、制御システム138およびプロセッサ140による、負荷114の容量の決定は、少なくとも2つの理由で有用であり得る。第一に、負荷114の容量が真空チャンバ112の容量に対して大きすぎる場合、チャンバ112内のガス状過酸化水素が凝縮し、閾値AUCに達するのを防ぎ得る。これらの場合には、プロセッサ140は、ユーザインターフェース136を介して医療従事者に問題を警告することができ、また、いくつかの構成では、滅菌処置が負荷に対して実行されるのを防止することもできる。第二に、負荷114の容量があまり大きくない場合、負荷の容量は、プロセッサ140によって使用されて、チャンバ212内で閾値AUCに達するのに必要な時間、またはおよその時間を決定することができ、その結果、プロセッサ140は、ユーザインターフェース136を介して、滅菌プロセスが続くと予想される時間を医療従事者に警告することができる。したがって、時間の節約が、滅菌プロセスの早期に達成され、医療従事者に警告され得、医療従事者は迅速に時間の節約に備え、それを利用することができる。
【0016】
チャンバ112内の負荷114の容量の決定は、次式を用いて求めることができる:
【数1】

式中、Qは、スループット、すなわち、通気弁(例えば、弁122、123またはその両方)を通って所定の期間内に流れる標準状態容量単位の数であり、Vは、チャンバ112の容量、または負荷114によって占有されないチャンバ112の容量であり、Δtは、測定期間であり、ΔPは、測定期間中の圧力変化である。この方程式に関する追加情報は、Steve Hansen, “Leaks: The Good, the Bad and the Ugly,” 7 Bell Jar 1 (1998)で入手可能である。
【0017】
本開示の主題に関連するように、第一に、スループットQは、圧力変換器124が正確に測定することができ、圧力上昇が線形または実質的に線形である何らかの圧力間隔としてΔPを固定することによって、既知の容量の空のチャンバについて決定することができる。例えば、STERRAD(登録商標)100NXシステムでは、チャンバ112の容量は約152リットルであり、変換器124は、圧力を正確に、すなわち約0.133Pa(約0.001トル)まで、約2666.45Pa(約20トル)から約79993.4Pa(約600トル)まで測定する。出願人は、STERRAD(登録商標)100NXシステムにおいてトライアルを実施し、その間にチャンバ112を2666.45Pa(20トル)の低い試験圧力までポンプダウンした。次いで、チャンバ112内の圧力が79993.4Pa(600トル)の高い試験圧力に上昇するまで、チャンバ112を環境に通気した。チャンバを低い試験圧力から高い試験圧力まで通気しながら、時間および圧力データを収集した。このデータから、上記の式を用いて、通気弁を通る平均Qを約813.40kPa(約6101トル)*リットル/秒として計算した。システムのQが分かったので、出願人は次に、さまざまな負荷をチャンバ112内に収容して追加のトライアルを行った。そのような負荷は、約4リットル、約19リットル、約30リットルを占有していた。再び、チャンバ112を約2666.45Pa(約20トル)までポンプダウンし、通気した。時間および圧力データを、再び、約2666.45Pa(約20トル)から79993.4Pa(600トル)まで収集した。このデータから、出願人は、空のチャンバと比較して、約4リットル容量の通気時間が約1秒だけ減少し、約19リットルの通気時間が約2秒だけ減少し、約30リットルの通気時間が約4秒だけ減少したことを観察した。
【0018】
このデータおよび他の負荷容量に関する追加データに基づいて、時間データを負荷容量データに相関させる情報、例えば、ルックアップテーブルまたは最良適合の関数を生成し、記憶媒体142に記憶することができ、プロセッサ140は、チャンバ112内の圧力を第1の圧力から第2の圧力に上昇させるのに必要な時間に基づいて負荷114の容量を決定し得る。出願人は、低い試験圧力には2666.45Pa(20トル)、高い試験圧力には79993.4Pa(600トル)の値を使用したが、他の圧力値、例えば、低い試験圧力には約666.61Pa(約5トル)~約3999.67Pa(約30トル)、高い試験圧力には約66.66kPa(約500トル)~約93.33kPa(約700トル)を使用してもよい。試験圧力がどのようなものであっても、鍵となるのは、低い試験圧力から高い試験圧力までチャンバ112を通気するのに要する時間を決定することであり、それにより、所与の滅菌器100について平均Qが決定され得、以下に記載される後続の負荷決定方法で使用され得る情報、例えば、通気時間を負荷容量に相関させるルックアップテーブルまたは最良適合の関数を作成するためにデータが生成され得る。
【0019】
この情報はまた、例えば、いわゆる「チャレンジ」負荷(後述)に対応する、閾値容量を含み得、これより下では閾値AUCが達成され得、これより上では閾値AUCが達成され得ない。この情報は、オプションとして、AUCに到達し得るかまたは到達し得ない可能性をプロセッサが正確に予測し得る精度をさらに精緻化するための温度情報も含むことができる。例えば、容量負荷と容量温度の所定の組み合わせ(下記の表1を参照)は、閾値AUCへの到達の成功および失敗と相関され得、記憶媒体142に記憶され得、例えば、前述のルックアップテーブルに含まれ得るか、またはやはり記憶媒体142に記憶される別のルックアップテーブルにおいて提供され得る。温度が考慮される実施形態では、温度は、例えば、熱電対を負荷上に配置し、それをプロセッサ140、記憶媒体142、またはその両方に接続して、負荷の温度データをプロセッサ140に提供することによって、監視され得る。あるいは、ユーザは、例えば熱電対または非接触赤外線温度計を用いることによって、チャンバ112内に負荷を配置する前に負荷の温度を測定してもよい。
【0020】
負荷114の容量およびオプションとして温度が決定された後、プロセッサ140は、前段落に記載された閾値容量などの記憶媒体142に記憶された情報を参照して閾値AUCが達成され得るか否かを決定し得る。AUCが達成されない可能性があるとプロセッサ140が決定した場合、プロセッサ140は、ユーザインターフェース136を介して医療従事者に警告し、オプションとして、負荷に対して滅菌処置フォームが開始されるのを防止することができる。AUCが達成され得るとプロセッサ140が決定した場合、プロセッサ140は、滅菌処置の期間を決定し、滅菌処置が開始する前にこの期間を医療従事者に警告し得る。
【0021】
STERRAD(登録商標)100NXシステムを引き続き参照すると、このシステムは、例えば、負荷が単一チャネル可撓性内視鏡、カメラ付き可撓性内視鏡、または再充電式電池を含み得る場合に、医療従事者が負荷のさまざまな特徴に基づいて選択することができる、さまざまなプロセスパラメータの下で、滅菌処置を実行することができる。STERRAD(登録商標)100NXシステムで滅菌される大部分の外科用器具は、約47分間持続する、システムの標準サイクルを使用して滅菌される。標準サイクルは、2つのハーフサイクルを含み、各ハーフサイクルは、ポンプダウンフェーズ、滅菌剤(過酸化水素)移送フェーズ、およびプラズマフェーズのような種々のフェーズを含む。それぞれを移送フェーズと呼ぶことができる過酸化水素移送フェーズにおいて、過酸化水素は、典型的にはチャンバ112内の圧力が約399.97Pa(約3トル)であるときに、チャンバ112内にポンピングされ始める。チャンバ112内への過酸化水素の継続的な導入は、チャンバ内の過酸化水素の圧力および濃度を上昇させる。市販版のSTERRAD(登録商標)100NXでは、5.5mLの液体過酸化水素が約8分間かけてチャンバ112内にポンピングされる。液体過酸化水素はチャンバ内の圧力が低いためにガス状形態に相変化する。8分間の期間は、本明細書においてチャレンジ負荷容量およびチャレンジ負荷温度と呼ばれる、大きな容量(例えば、約5.2リットル以上)および低温(例えば、約5℃より低い)を有するいわゆる「チャレンジ」負荷に対応して出願人が行った決定に基づいて、市販版のSTERRAD(登録商標)100NXでは固定される。出願人は、8分以内に、少なくとも747mg-sec/LのAUCが達成され、これは、十分な濃度の過酸化水素が、チャレンジ負荷を滅菌するのに十分な時間の間、チャンバ112内に存在することに相当すると決定した。しかしながら、出願人の市販のシステムで滅菌された多くの負荷は、チャレンジ負荷容量よりも小さい容量を有し、チャレンジ負荷温度よりも温かい。したがって、これらの負荷については、AUCは一般に8分未満で達成されるが、それにもかかわらず、移送フェーズは8分間続く。
【0022】
このシナリオは、時間と過酸化水素を節約する機会を提供する。具体的には、滅菌システムは、所定のAUC閾値(例えば、約747mg-sec/L)が満たされたと決定された場合に、移送フェーズを終了するように構成され得る。医療従事者と彼らの医療施設にとっての、これらの予想される時間節約の値を最大化するために、時間節約を滅菌プロセスの前または初期に医療従事者に伝えることは有益である。
【0023】
出願人は、チャレンジ負荷よりも小さいか、温かいか、または小さく温かい、負荷について、STERRAD(登録商標)100NXシステムの移送フェーズ中に約747mg-sec/Lの所定のAUC閾値を達成するのに必要な時間を決定するためにさまざまなトライアルを行った。これらのトライアルからの例示的データを表1に示す。表1に報告されているような容量および温度を有する負荷は、STERRAD(登録商標)100NXシステムのような滅菌器でしばしば滅菌される。
【表1】
【0024】
市販のSTERRAD(登録商標)100NXの移送フェーズは約8分間続くため、また、標準サイクル中に2つの移送フェーズが実行されるため、標準サイクルにおける全体的な時間節約は、8分間と、表1に記載されているAUCに達するまでの時間との差の2倍として計算することができる。したがって、表1にも報告されているように、現在の47分間の全処置期間をこの量だけ短縮することができる。特に、報告されたトライアルは、現在の47分間よりも実質的に短い時間の処置期間にわたり続いた。時間節約は、より低いチャレンジ負荷、例えば、2.2リットル未満の温かい負荷(約35℃)でさらに大きくなり得る。
【0025】
上述したことに基づいて、負荷容量およびオプションとして温度を処置期間に相関させる、情報、例えば、ルックアップテーブルまたは最良適合の関数を、記憶媒体142に入力して記憶させることができる。したがって、例えば上述したように、負荷の容量、およびオプションとして温度を決定すると、プロセッサ140は、全体的な滅菌プロセスの予想される期間を決定し、それを、ユーザインターフェース136を介して医療従事者に報告することができる。
【0026】
本明細書に図示され、記載されるテクノロジーにより、また、図2を参照すると、出願人は、チャンバを含む滅菌器、例えば図1の滅菌器100によって実施される滅菌処置を実施するための方法200およびその変形例を考案している。方法200は、ステップ202で開始し、このステップで、滅菌器100のユーザ、例えば医療従事者は、例えば、非滅菌医療装置または複数の非滅菌医療装置を含む負荷114を、滅菌器100のチャンバ112内に配置する。ステップ204において、ユーザは、ドア116を閉じることによってチャンバ112を閉じる。次に、ステップ206で、システムが起動される。ステップ204でドア116を閉じることで、システムを起動するようにプロセッサ140に自動的に指示してもよく、または、ユーザは、ユーザインターフェース136を使用して滅菌器100を起動し、システムを起動するようにプロセッサ140に通知してもよい。ステップ208において、プロセッサ140は、閉鎖構成から開放構成に変更するように弁122に指示し、真空ポンプ118も起動させる。圧力変換器124からの出力は、プロセッサ140によって監視される。真空ポンプ118は、チャンバ112内の圧力が第1の圧力まで低下したことをプロセッサ140が決定するまで、動作し続け、チャンバ112内の圧力を低下させる。好ましくは、第1の圧力は、上述したように負荷容量を通気時間に相関させるために使用されるデータを収集する際に使用される、低い試験圧力に等しいか、またはほぼ等しくすべきである。この実施例では、低い試験圧力は2666.45Pa(20トル)であった。この決定を行うと、プロセッサ140は真空ポンプ118を停止させ、オプションとして弁122を閉じる。次に、ステップ210で、チャンバ210内の圧力が第2の圧力まで上昇するようにチャンバ112を環境に通気する。好ましくは、第2の圧力は、上述したように負荷容量を通気時間に相関させるために使用されるデータを収集する際に使用される、高い試験圧力に等しいか、またはほぼ等しくすべきである。その実施例では、高い試験圧力は79993.4Pa(600トル)であった。ポンプダウンステップ208の終了時に弁122が閉じない、方法の変形例では、ステップ210が、真空ポンプ118の停止直後に開始する。ポンプダウンステップ208の終了時に弁122が閉じる、方法の変形例では、プロセッサ140は、弁122を再び開くか、弁123を開くか、またはその両方によって、ステップ210を開始することができる。ステップ210でポンプ123のみを開いたままにしておくと、ポンプ118の寿命を延ばすのに役立つ場合があるが、ステップ210では、負荷容量を通気時間に相関させるために使用されるデータが作成されたときに開いていたのと同じ弁が開いていることが重要であり、そうでなければQが異なり得る。プロセッサ140は、ステップ210全体にわたり圧力変換器124およびタイマー145からデータを収集して、ステップ210の期間、すなわち、チャンバを第1の圧力から第2の圧力まで、またはそれらの間の他の圧力まで通気する時間を決定する。ステップ212において、プロセッサ140は、このデータを、例えば記憶媒体142内のルックアップテーブルに記憶されているような、負荷容量を通気時間に相関させる情報と比較して、ステップ202においてチャンバ112内に配置された負荷114の容量であるVを決定する。例えば、プロセッサ140は、低い試験圧力に対応する2666.45Pa(20トル)の第1の圧力から、高い試験圧力に対応する79993.4Pa(600トル)の第2の圧力まで、チャンバ112を通気するのに必要な時間は、4リットルの容量を有する負荷がチャンバ112内に配置されたときにチャンバを通気するのに要した時間とほぼ同じ時間かかったと決定することができる。したがって、プロセッサ140は、Vが約4リットルに等しいと決定することができる。
【0027】
ステップ214において、プロセッサ140は、Vが閾値容量Vよりも大きいかどうかを決定するためにチェックし、閾値容量Vは、上述したチャレンジ負荷容量と等しいか、または(例えば、チャレンジ負荷容量から安全率、例えばその容量の約5%~約15%、例えば約10%を引いたものと等しくすることによって)別様にチャレンジ負荷容量に対応し得る。V>Vの場合、これは、滅菌器100が負荷114を滅菌することができない可能性があることを示す。そのような場合、ステップ216において、プロセッサ140は、ユーザインターフェース136を介して、メッセージ、警報、またはその両方により、滅菌器100が負荷114を滅菌できない可能性があることをユーザに通知する。好ましくは、プロセッサ140はまた、ドア116を開けるか、またはロック解除することによって、システムを自動的に停止し、チャンバ112を開ける。したがって、ステップ218において、ユーザは、チャンバから非滅菌負荷を取り出すことができる。おそらく、ユーザは、そのとき、負荷を、元の負荷よりも小さな容量をそれぞれが有する複数の負荷へと再包装しようとするであろう。代替的に、ステップ216において、ユーザインターフェース136は、AUC閾値に達しないかもしれない危険にさらされて滅菌処置を継続するオプションをユーザに提供してもよい。したがって、滅菌器100は、負荷が非滅菌のままであるかもしれないことをユーザが理解するように、実際上AUC閾値に達していないかどうかをユーザに通知するように構成され得る。代替的に、滅菌器100は、処置時間を延長するか、または追加の過酸化水素を注入して、AUC閾値に達し得る可能性を増加させるように構成されてもよい。
【0028】
しかし、ステップ214において、V<Vであれば、これは、滅菌器100が負荷114を滅菌できるはずであることを示す。したがって、ステップ220において、プロセッサ140は、負荷容量を処置期間に相関させる、記憶媒体142内の情報、例えば、ルックアップテーブルまたは最良適合の関数を参照する。したがって、プロセッサ140は、滅菌器100が負荷114を滅菌するのに要する時間を決定することができる。ステップ222において、プロセッサ140は、ユーザインターフェース136のディスプレイを介してこの予測時間をユーザに通知することができる。この時間は予測とみなされるべきであり、すなわち、閾値AUCに達するための実際の時間とは幾分異なる可能性があるが、出願人は、予測がかなり正確であり、ユーザが自分の時間をどのように最善に使用するか(例えば、次の滅菌のために別の負荷を準備する、管理作業を行う、または休憩をとる)を決定する際に、それに頼ることができると判断した。オプションとして、ディスプレイは、予測時間からのカウントダウンを提供し得る。
【0029】
ステップ222と同時に、またはその直後に、ステップ224において、プロセッサ140は、滅菌サイクルを開始し、次いで実施する。各過酸化水素移送フェーズの間、プロセッサ140は過酸化水素濃度を監視し、閾値AUCに達したと決定したらそのフェーズを終了する。したがって、ある種の変形例では、移送フェーズに続いて、プロセッサ140は、サイクルの残りの部分にかかるはずの時間、すなわち、処置の残りの期間を決定し、これを、ユーザインターフェース136を介してユーザに報告することができる。
【0030】
滅菌サイクルが完了すると、すなわち、ステップ224が完了すると、プロセッサ140は、ドア116をロック解除するか、またはドア116を開けることによって、チャンバ112を開けることができる。したがって、ステップ228において、ユーザは、滅菌状態の負荷114をチャンバ112から取り出すことができる。
【0031】
本明細書に記載される実施例または実施形態のいずれも、上述のものに加えて、またはその代わりに、さまざまな他の特徴を含んでもよい。本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに関して切り離して見るべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には明らかとなるはずである。
【0032】
本明細書に含まれる主題の例示的な実施形態を示し、説明してきたが、本明細書に記載される方法およびシステムのさらなる改作は、特許請求の範囲から逸脱することなく、適切な修正によって達成され得る。さらに、上記の方法およびステップが、特定の順序で起こる特定のイベントを示す場合、特定のステップは、記載された順序で実行される必要はなく、ステップにより実施形態がそれらの意図された目的のために機能することを可能にする限り、任意の順序で実行されることが意図される。したがって、開示の趣旨の範囲内にあるか、または特許請求の範囲に記載された発明と同等である、発明の変形例が存在する限り、本特許はそれらのバリエーションもカバーすることを意図している。そのような修正のいくつかは、当業者には明らかであるはずである。例えば、上述した実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比、ステップなどは、例示的なものである。したがって、特許請求の範囲は、明細書および図面に記載された構造および動作の具体的な詳細に限定されるべきではない。
【0033】
〔実施の態様〕
(1) 滅菌器を動作させる方法であって、
前記滅菌器のチャンバ内に非滅菌状態の負荷を配置するステップと、
前記チャンバ内の圧力を第1の圧力まで低下させるステップと、
前記チャンバ内の前記圧力を前記第1の圧力から第2の圧力まで上昇させるステップと、
前記チャンバ内の前記圧力が前記第1の圧力から前記第2の圧力まで上昇した期間を決定するステップと、
前記期間を、時間データを容量データに相関させる情報と比較するステップと、
前記負荷の容量を決定するステップと、を含む、方法。
(2) 前記負荷の前記容量を閾値容量と比較するステップをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記閾値容量は、チャレンジ負荷容量に対応する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記負荷の前記容量が閾値容量よりも大きいと決定するステップと、
前記チャンバを開けるステップと、
前記負荷を前記チャンバから前記非滅菌状態で取り出すステップと、
をさらに含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記負荷の前記容量が閾値容量未満であると決定するステップをさらに含む、実施態様3に記載の方法。
【0034】
(6) 前記容量を、負荷容量データを処置期間データに相関させる情報と比較するステップをさらに含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 滅菌サイクルを開始する前に処置期間を決定するステップをさらに含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記滅菌サイクルを開始する前に、前記滅菌器のディスプレイに前記処置期間を表示するステップをさらに含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記滅菌サイクルを開始するステップをさらに含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 処置の残りの期間を決定するステップをさらに含む、実施態様9に記載の方法。
【0035】
(11) 前記処置の残りの期間を決定するステップは、滅菌剤の移送フェーズの後に実施される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記滅菌剤は、過酸化水素を含む、実施態様11記載の方法。
(13) 時間データを容量データに相関させる前記情報が、第1のルックアップテーブルを含む、実施態様7に記載の方法。
(14) 時間データを容量データに相関させる前記情報は、第1の最良適合の関数を含む、実施態様7に記載の方法。
(15) 容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2のルックアップテーブルを含む、実施態様7に記載の方法。
【0036】
(16) 容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2の最良適合の関数を含む、実施態様7に記載の方法。
(17) 滅菌器であって、
器具の負荷を保持するように構成されたチャンバと、
前記チャンバに接続され、前記チャンバ内の圧力を第1の圧力まで低下させるように構成された真空ポンプと、
前記チャンバを前記滅菌器の外部に接続する通気弁と、
時間データを容量データに相関させる情報が記憶された非一時的記憶媒体と、
プロセッサであって、
前記記憶媒体にアクセスし、
前記チャンバ内の前記圧力が前記第1の圧力から第2の圧力まで上昇する期間を決定し、
前記期間を、時間データを容量データに相関させる前記情報と比較し、
前記負荷の容量を決定する、
ように構成されている、プロセッサと、を含む、滅菌器。
(18) 閾値容量が、前記記憶媒体に記憶され、前記プロセッサは、前記負荷の前記容量を前記閾値容量と比較するようにさらに構成されている、実施態様17に記載の滅菌器。
(19) 前記閾値容量は、チャレンジ負荷容量に対応する、実施態様18に記載の滅菌器。
(20) 負荷容量データを処置期間データに相関させる情報が、前記記憶媒体に記憶され、前記プロセッサは、容量情報を、負荷容量データを処置期間データに相関させる前記情報と比較することによって処置期間を決定するようにさらに構成されている、実施態様19に記載の滅菌器。
【0037】
(21) 時間データを容量データに相関させる前記情報は、第1のルックアップテーブルを含む、実施態様20に記載の滅菌器。
(22) 時間データを容量データに相関させる前記情報は、第1の最良適合の関数を含む、実施態様20に記載の滅菌器。
(23) 容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2のルックアップテーブルを含む、実施態様20に記載の滅菌器。
(24) 容量データを処置期間データに相関させる前記情報は、第2の最良適合の関数を含む、実施態様20に記載の滅菌器。
(25) 前記プロセッサは、ユーザインターフェースを介して前記処置期間を伝達するようにさらに構成されている、実施態様20に記載の滅菌器。
【0038】
(26) 前記ユーザインターフェースは、ディスプレイを含む、実施態様25に記載の滅菌器。
(27) 滅菌剤の供給源をさらに含む、実施態様25に記載の滅菌器。
(28) 前記滅菌剤は、過酸化水素を含む、実施態様27に記載の滅菌器。
図1
図2