(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H05K9/00 R
(21)【出願番号】P 2022065380
(22)【出願日】2022-04-11
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 真也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勝志
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信之
(72)【発明者】
【氏名】野澤 鉄文
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-198861(JP,A)
【文献】特開2021-150517(JP,A)
【文献】特開2009-117421(JP,A)
【文献】特開2021-145047(JP,A)
【文献】特開2010-267927(JP,A)
【文献】特開2012-238813(JP,A)
【文献】国際公開第2022/059263(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0185864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と第2の面とを有している回路基板と、
前記第1の面を覆い、前記回路基板のシールドとして機能する第1部材と、
前記第2の面側に配置されている第2部材と
を有し、
前記第1部材は、前記第1の面に実装されている電子部品を取り囲んでいる第1包囲領域を有し、前記第1包囲領域は、その少なくとも一部に、前記回路基板の外縁の外側に位置している第1外側領域を有し、
前記第2部材は、前記回路基板の外縁の外側に位置している第2外側領域を有し、
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、前記第1外側領域と前記第2外側領域のうちの他方に固定されている少なくとも1つの外側固定部と、前記少なくとも1つの外側固定部から前記回路基板の外縁に沿った方向に離れている少なくとも1つの凸部とを有し、前記第1部材と前記第2部材は前記少なくとも1つの外側固定部と前記少なくとも1つの凸部により互いに接触している
電子機器。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第2の面を覆い、前記回路基板のシールドとして機能する部材であり、前記第2の面に実装されている電子部品を取り囲んでいる第2包囲領域を有し、
前記第2包囲領域は、その少なくとも一部に、前記第2外側領域を有している
請求項1に記載される電子機器。
【請求項3】
前記第1包囲領域は、前記回路基板の前記第1の面に形成されているグラウンドパターンと接している第1内側領域を有している
請求項1に記載される電子機器。
【請求項4】
前記第1内側領域は、前記回路基板に固定されている少なくとも1つの内側固定部と、前記少なくとも1つの内側固定部から前記第1包囲領域の延伸方向に離れており、前記グラウンドパターンに接している少なくとも1つの内側接触部とを有している
請求項
3に記載される電子機器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの外側固定部と前記少なくとも1つの凸部は、前記第1部材と前記第2部材との接点であり、
前記少なくとも1つの内側固定部と前記少なくとも1つの内側接触部は、前記第1部材と前記グラウンドパターンとの接点であり、
前記回路基板の前記外縁を挟んで隣り合う2つの前記接点の距離は、前記第1部材が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満である
請求項4に記載される電子機器。
【請求項6】
前記少なくとも1つの外側固定部と前記少なくとも1つの凸部は、前記第1部材と前記第2部材との接点であり、
前記少なくとも1つの内側固定部と前記少なくとも1つの内側接触部は、前記第1部材と前記グラウンドパターンとの接点であり、
前記回路基板の前記外縁を挟んで隣り合う2つの前記接点の距離は、20mm以下である
請求項4に記載される電子機器。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凸部は、板金加工により形成されている
請求項1に記載される電子機器。
【請求項8】
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、
前記回路基板の外縁に沿った方向に離れている複数の凸部を有し、
前記
複数の凸部のうちの隣り合う2つの凸部の間に前記少なくとも1つの外側固定部が形成されている
請求項1に記載される電子機器。
【請求項9】
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうちの他方に固定されている複数の外側固定部を有し、
前記
複数の外側固定部のうちの隣り合う2つの外側固定部の間に前記少なくとも1つの凸部が形成されている
請求項1に記載される電子機器。
【請求項10】
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、
前記回路基板の外縁に沿った方向に離れている複数の凸部を有し、
前記2つの外側固定部の間に、
前記複数の凸部のうちの2つ以下
の凸部が形成されている
請求項9に記載される電子機器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの外側固定部と前記少なくとも1つの凸部との間の距離は、前記第1部材又は前記第2部材が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満である
請求項1に記載される電子機器。
【請求項12】
前記少なくとも1つの外側固定部と前記少なくとも1つの凸部との間の距離は、20mm以下である
請求項1に記載される電子機器。
【請求項13】
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、前記第1外側領域と前記第2外側領域のうちの他方に固定されている複数の外側固定部と、前記回路基板の外縁に沿った方向に離れている複数の凸部とを有し、
前記
複数の外側固定部のうちの隣り合う2つ
の外側固定部の間に、
前記複数の凸部のうちの2つ以下
の凸部が形成され、
前記第1内側領域は、前記少なくとも1つの内側固定部として複数の内側固定部を含み、隣り合う2つの内側固定部の間に、前記少なくとも1つの内側接触部として、2つ以下の内側接触部が形成され、
前記複数の外側固定部と前記2つ以下の凸部は、前記第1部材と前記第2部材との接点であり、
前記複数の内側固定部と前記2つ以下の内側接触部は、前記第1部材と前記グラウンドパターンとの接点であり、
隣り合う2つの前記接点の距離はいずれも前記第1部材又は前記第2部材が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満である
請求項4に記載される電子機器。
【請求項14】
前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、前記第1外側領域と前記第2外側領域のうちの他方に固定されている複数の外側固定部と、前記回路基板の外縁に沿った方向に離れている複数の凸部とを有し、
前記
複数の外側固定部のうちの隣り合う2つの外側固定部の間に、
前記複数の凸部のうちの2つ以下
の凸部が形成され、
前記第1内側領域は、前記少なくとも1つの内側固定部として複数の内側固定部を含み、隣り合う2つの内側固定部の間に、前記少なくとも1つの内側接触部として、2つ以下の内側接触部が形成され、
前記複数の外側固定部と前記2つ以下の凸部は、前記第1部材と前記第2部材との接点であり、
前記複数の内側固定部と前記2つ以下の内側接触部は、前記第1部材と前記グラウンドパターンとの接点であり、
隣り合う2つの前記接点の距離はいずれも20mm以下である
請求項4に記載される電子機器。
【請求項15】
前記第1包囲領域は、前記回路基板の前記第1の面に形成されているグラウンドパターンと接している第1内側領域を有し、
前記第2包囲領域は、前記回路基板の前記第2の面に形成されている第2グラウンドパターンと接している第2内側領域を有している
請求項2に記載される電子機器。
【請求項16】
前記第1内側領域は、固定具によって前記回路基板に固定されている少なくとも1つの第1内側固定部と、前記少なくとも1つの第1内側固定部から第1包囲領域の延伸方向に離れており、前記グラウンドパターンに凸部を介して接している少なくとも1つの第1接触部とを有し、
前記第2内側領域は、前記固定具によって前記回路基板に固定されている少なくとも1つの第2内側固定部と、前記少なくとも1つの第2内側固定部から第2包囲領域の延伸方向に離れており、前記第2グラウンドパターンに凸部を介して接している少なくとも1つの第2接触部とを有している
請求項15に記載される電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器において、回路基板に実装されるチップやデータの伝送線路から出るノイズを遮蔽するノイズ対策(EMI対策)が行われている。下記特許文献1に記載される電子機器では、回路基板の外周部に設けられているグラウンドパターンに、回路基板を覆う基板シールドの縁が接することにより、回路基板シールドの外にノイズが漏れることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構造では、回路基板の外周部の全周に亘ってグラウンドパターンが必要であるため、グラウンドパターンの領域の分だけ電子部品の実装領域が狭められる。
【0005】
本開示の目的は、回路基板におけるグラウンドパターンの領域を狭めることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電子機器は、第1の面と第2の面とを有している回路基板と、前記第1の面を覆い、前記回路基板のシールドとして機能する第1部材と、前記第2の面側に配置されている第2部材とを有し、前記第1部材は、前記第1の面に実装されている電子部品を取り囲んでいる第1包囲領域を有し、前記第1包囲領域は、その少なくとも一部に、前記回路基板の外縁の外側に位置している第1外側領域を有し、前記第2部材は、前記回路基板の外縁の外側に位置している第2外側領域を有し、前記第1外側領域と前記第2外側領域のうち一方は、前記第1外側領域と前記第2外側領域のうちの他方に固定されている少なくとも1つの外側固定部 と、前記少なくとも1つの外側固定部から前記回路基板の外縁に沿った方向に離れている少なくとも1つの凸部とを有し、前記第1部材と前記第2部材は前記少なくとも1つの外側固定部と前記少なくとも1つの凸部により互いに接触している。これによれば、回路基板におけるグラウンドパターンの領域の広さを抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の実施形態の一例である電子機器の内部に設けられる回路基板ユニットの平面図である。
【
図3A】回路基板ユニットから上側基板シールドを取り外した状態を示す平面図である。
【
図3B】回路基板ユニットから下側基板シールドを取り外した状態を示す底面図である。
【
図4】
図1AのIV-IV線における断面図である。
【
図6】外側接触領域における上側基板シールドと下側基板シールドとの断面を示す模式図である。
【
図7】
図3Aの部分拡大図であり、回路基板の上側グラウンドパターンと、下側基板シールドの外側接触領域とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.回路基板ユニットの概要]
図1Aは、本開示の実施形態の一例である電子機器の内部に設けられる回路基板ユニット10の表側を示す平面図である。
図1Bは、回路基板ユニット10の裏側を示す底面図である。
図2A及び
図2Bは、回路基板ユニット10の構成要素を示す分解斜視図である。各図に示すように、回路基板ユニット10は、回路基板20と、第1回路基板シールド30(第1部材)と、第2回路基板シールド40(第2部材)とを有している。回路基板20は、第1の面20U(
図2Aを参照)と第2の面20D(
図2Bを参照)とを有している。第1回路基板シールド30は、回路基板20の第1の面20Uを覆っている。第2回路基板シールド40は、回路基板20の第2の面20Dを覆っている。
図1Aに示すように、回路基板ユニット10には、ヒートパイプ11とヒートシンク12が取り付けられている。
【0009】
以下の説明では、
図2などに示すZ軸のZ1方向及びZ2方向を、それぞれ上方及び下方と称する。そして、回路基板20の第1の面20Uを上面20Uと称し、回路基板20の第2の面20Dを下面20Dと称する。第1回路基板シールド30を上側基板シールド30と称し、第2回路基板シールド40を下側基板シールド40と称する。また、以下の説明では、回路基板20が、
図2などに示すX軸に沿った外縁20F,20Bと、Y軸に沿った外縁20L,20Rを有する例を説明する。
図2などに示すX軸のX1方向及びX2方向を、それぞれ左方向及び右方向と称し、Y軸のY1方向及びY2方向を、それぞれ前方及び後方と称する。回路基板20の前側の外縁20F、後側の外縁20D、左側の外縁20L、右側の外縁20Rを、それぞれ、前縁20F,後縁20D,左縁20L,右縁20Rと称することもある。ただし、これらの方向及び配置位置は、回路基板ユニット10の部品、部材、及び部分などの要素の形状や相対的な位置関係を説明するため規定されるものであり、電子機器における回路基板ユニット10の姿勢を限定するものではない。
【0010】
[2.回路基板ユニットの内部構造]
図2Aに示すように、回路基板20の上面20Uには、集積回路チップ21a,21bやトランジスタ21cなどの複数の電子部品が実装されている。また、
図2Bに示すように、回路基板20の下面20Dにも、集積回路チップ21d,21eなどの複数の電子部品が実装されている。なお、
図2Bに示す例において、集積回路チップ21dの下面は、熱伝導部材により覆われている。
【0011】
上側基板シールド30及び下側基板シールド40は、回路基板20上で発生する電磁波などのノイズが回路基板ユニット10の外部に漏れることを抑制するためのものである。上側基板シールド30及び下側シールド部材40は、鉄やアルミニウムなどの導電性の金属板に絞り加工などの板金加工を施すことで製造される。上側基板シールド30は、複数の螺子51,52によって、下側基板シールド40に固定されている。回路基板20は、複数の螺子51によって、上側基板シールド30及び下側基板シールド40に固定されている。なお、回路基板20及び基板シールド30,40は、螺子51,52に限らず、リベットなどにより固定されてもよい。
【0012】
図2Cは、
図1AのIIC-IIC線における断面図である。
図2Dは、
図1AのIID-IID線における断面図である。
図2C及び
図2Dに示すように、回路基板20の上側には、回路基板と上側基板シールド30とによって閉じられた空間であるシールド空間S1が形成されている。また、回路基板20の下側には、回路基板20と下側基板シールド40とによって閉じられた空間であるシールド空間S2が形成されている。
【0013】
図3Aは、
図1Aに示した回路基板ユニット10から上側基板シールド30を取り外した状態を示す平面図である。
図3Bは、
図1Bに示した回路基板ユニット10から下側基板シールド40を取り外した状態を示す底面図である。
図3A及び
図3Bにおいてそれぞれハッチングが施された箇所には、電子回路の基準電位となるグラウンドパターン22U,22Dがそれぞれ形成されている。
【0014】
図3Aに示すように、回路基板20の上面20Uに形成されている上側グラウンドパターン22U(第1グラウンドパターン)は、この上面20Uにおいて、集積回路チップ21a,21bやトランジスタ21cなどの複数の電子部品が実装されている上側実装領域R1を取り囲んでいる。グラウンドパターン22Uは、所定の幅を持った線状であり、実装領域R1を連続的に取り囲んでいる。グラウンドパターン22Uの少なくとも一部分は、回路基板20の縁に沿って形成されている。また、
図3Bに示すように、回路基板20の下面20Dに形成されている下側グラウンドパターン22D(第2グラウンドパターン)は、この下面20Dにおいて、集積回路チップ21e,21fなどの複数の電子部品が実装されている下側実装領域R2を取り囲んでいる。
【0015】
図1A及び
図2Aに示すように、上側基板シールド30は、回路基板20の上面20Uに実装されている集積回路チップ21a,21bやトランジスタ21cなどの複数の電子部品(
図2Aを参照)を取り囲んでいる上側包囲領域31(第1包囲領域)(
図1Aを参照)を有している。これと同様に、
図1B及び
図2Bに示すように、下側基板シールド40は、回路基板20の下面20Dに実装されている集積回路チップ21d,21eなどの複数の電子部品(
図2Bを参照)を取り囲んでいる下側包囲領域41(第2包囲領域)(
図1Bを参照)を有している。回路基板ユニット10の平面視において、上側基板シールド30の上側包囲領域31は、回路基板20に重畳している部分と、下側基板シールド40に重畳している部分を有している。また、下側基板シールド40下側包囲領域41は、回路基板20に重畳している部分と、上側基板シールド30に重畳している部分とを有している。上側包囲領域31の少なくとも一部分は、下側包囲領域41と重畳している。
【0016】
図1Aに示すように、上側基板シールド30の上側包囲領域31は、回路基板20の外縁の内側に位置している内側接触領域32F,32B(第1内側接触領域)と、回路基板20の外縁の外側に位置している外側接触領域33L,33R(第1外側接触領域)を有している。これと同様に、
図1Bに示すように、下側基板シールド40の下側包囲領域41は、回路基板20の外縁の内側に位置している内側接触領域42F,42B(第2内側接触領域)と、回路基板20の外縁の外側に位置している外側接触領域43L,43R(第2外側接触領域)を有している。
【0017】
図1A及び
図2Aに示すように、上側基板シールド30の上側包囲領域31において、内側接触領域32Fは、回路基板20の前縁20Fに沿って形成されており、内側接触領域32Bは、回路基板20の後縁20Bに沿って形成されている。また、上側基板シールド30の上側包囲領域31において、外側接触領域33Lは、回路基板20の左縁20Lに沿って形成されており、外側接触領域33Rは、回路基板20の右縁20Rに沿って形成されている。内側接触領域32F,32Bは、外側接触領域33L,33Rと接している。そして、内側接触領域32F,32B及び外側接触領域33L,33Rは、回路基板20の上面20Uにおいてノイズの発生源となる複数の電子部品が実装されている上側実装領域R1(
図3Aを参照)の全周を囲っている。内側接触領域32F,32B及び外側接触領域33L,33Rは、上側実装領域R1の縁の位置から外側に向かって所定の幅を有するように形成されており、且つ、上側実装領域R1の全周を囲うように連続的に形成されている。
【0018】
また、
図1B及び
図2Bに示すように、下側基板シールド40の下側包囲領域41において、内側接触領域42Fは、回路基板20の前縁20Fに沿って形成され、内側接触領域42Bは、回路基板20の後縁20Bに沿って形成され、外側接触領域43Lは、回路基板20の左縁20Lに沿って形成され、外側接触領域43Rは、回路基板20の右縁20Rに沿って形成されている。内側接触領域42F,42Bは、外側接触領域43L,43Rと接している。内側接触領域42F,42B及び外側接触領域43L,43Rは、回路基板20の下面20Dにおいてノイズの発生源となる複数の電子部品が実装されている下側実装領域R2(
図3Bを参照)の全周を囲っている。内側接触領域42F,42B及び外側接触領域43L,43Rは、下側実装領域R2の縁の位置から外側に向かって所定の幅を有するように形成されており、且つ、下側実装領域R2の全周を囲うように連続的に形成されている。
【0019】
[3.回路基板の内側におけるノイズの遮断構造]
図4は、
図1AのIV-IV線における断面図である。上側基板シールド30の内側接触領域32F(
図1Aを参照)は、
図4に示すように、回路基板20の上面20Uと接している。上側基板シールド30の内側接触領域32Bも、回路基板20の上面20Uと接している。より具体的には、内側接触領域32F,32Bは、回路基板20の上面20Uに形成されている上側グラウンドパターン22U(
図3Aのハッチングで示した箇所を参照)と接している。
図2C及び
図4に示すように、内側接触領域32F,32Bにおいて、上側基板シールド30が回路基板20のグラウンドパターン22Uと接することにより、回路基板20の上面20Uで発生した電磁波などのノイズが、その上面20Uと上側基板シールド30によって閉じられたシールド空間S1の外側に漏れることを抑制できる。
【0020】
また、
図4に示すように、下側基板シールド40の内側接触領域42F,42B(
図1Bを参照)は、回路基板20の下面20Dに形成されている下側グラウンドパターン22D(
図3Bのハッチングで示した箇所を参照)と接している。
図2C及び
図4に示すように、内側接触領域42F,42Bにおいて、下側基板シールド40が回路基板20のグラウンドパターン22Dと接することにより、回路基板20の下面20Dで発生したノイズが、その下面20Dと下側基板シールド40によって閉じられたシールド空間S2の外側に漏れることを抑制できる。
【0021】
上側基板シールド30の内側接触領域32F,32Bは、
図2A、
図2B、及び
図4に示すように、回路基板20に固定するための複数の取付穴36(内側固定部)を有している。これと同様に、下側基板シールド40の内側接触領域42F,42Bも、回路基板20に固定するための複数の取付穴46を有している。回路基板20のグラウンドパターン22U,22Dは、複数の取付穴26を有している。
図4に示すように、上側基板シールド30、回路基板20、及び、下側基板シールド40にそれぞれ設けられている取付穴36,26,46の位置は一致しており、これらの取付穴36,26,46に、1本の螺子51が取り付けられている。このように、1本の螺子で上側基板シールド30、回路基板20、及び、下側基板シールド40を共締めすることにより、取付穴36,26,46の位置において、基板シールド30,40が、回路基板20のグラウンドパターン22U,22Dに接触し、回路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。
【0022】
図3Aに示すように、回路基板20の上面20Uに形成されている上側グラウンドパターン22Uは、上方に突出している複数の凸部61Uを有している。凸部61Uの位置は、上側グラウンドパターン22Uに設けられた取付穴26から、上側グラウンドパターン22Uの延伸方向に離れている。換言すると、上側グラウンドパターン22Uの延伸方向において、隣り合う2つの取付穴26の間に凸部61Uは形成されている。これと同様に、
図3Bに示すように、回路基板20の下面20Dに形成されている下側グラウンドパターン22Dは、下方に突出している複数の凸部61Dを有している。凸部61Dの位置は、下側グラウンドパターン22Dに設けられた取付穴26から、下側グラウンドパターン22Dの延伸方向に離れている。凸部61U,61Dは、半田などの導電性の部材をグラウンドパターン22U,22Dに載せることによって形成されてよい。隣り合う取付穴26の間において形成される凸部61U,61Dの数は、2個以下が好ましい。
【0023】
路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。また、凸部61U,61Bは、基板シールド30,40に板金加工を施すことで形成されてよい。このようにすることで、回路基板20の内側における凸部61U,61Dの形成を容易にできる。
【0024】
図1A及び
図4に示すように、上側基板シールド30の内側接触領域32F,32Bは、凸部61Uを介して上側グラウンドパターン22Uに接触している内側接触部38 (第1接触部)を有している。これと同様に、下側基板シールド40の内側接触領域42F,42B(
図1Bを参照)は、凸部61Dを介して下側グラウンドパターン22Dに接触している内側接触部48(第2接触部)を有している。このようにすることで、凸部61U,61Dの位置において、基板シールド30,40と回路基板20のグラウンドパターン22U,22Dとの接触の安定性が十分に確保され、回路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。
【0025】
以下の説明では、螺子51が差し込まれる回路基板20及び基板シールド30,40の取付穴26,36,46の位置と、凸部61U,61Dが設けられる位置とを、内側接点とも称する。回路基板20のグラウンドパターン22U,22D上に設けられる複数の内側接点のうち、隣り合う2つの内側接点の間の距離は、外部への漏洩を抑制したいノイズの波長に基づいて決定することが望ましい。
【0026】
上側基板シールド30の内側接触領域32F,32Bにおいて、凸部61Uと接触する内側接触部38は、取付穴36から内側接触領域32F,32Bの延伸方向に離れている。また、隣り合う2つの凸部61Uの一方の凸部61Uと接触する内側接触部38は、他方の凸部61Uと接触する内側接触部38から内側接触領域32F,32Bの延伸方向に離れている。これと同様に、下側基板シールド40の内側接触領域42F,42Bにおいて、凸部61Dと接触する内側接触部48は、取付穴46から、内側接触領域42F,42Bの延伸方向に離れており、隣り合う2つの凸部61Bの一方の凸部61Bと接触する内側接触部48は、他方の凸部61Bと接触する内側接触部48から内側接触領域42F,42Bの延伸方向に離れている。そして、それらの距離(すなわち、隣り合う2つの内側接点の間の距離)は、基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定されてよい。また、隣り合う2つの内側接点の間の距離は、いずれも20mmであることが好ましい。これにより、無線通信などで使用される周波数帯のノイズの漏洩を効果的に抑制できる。隣り合う2つの内側接点の間の距離は、いずれも15mm以下であることが好ましい。隣り合う2つの接点の間の距離は、いずれも10mm以下であることが更に好ましい。
【0027】
図3A及び
図3Bにおいて、取付穴26,36,46を略同じサイズの丸で示し、凸部61U,61Dを取付穴26,36,46よりも小さい丸で示している。
図3A及び
図3Bに示すように、内側接触領域32F,32B,42F,42Bに設けられている複数の取付穴26,36,46と、複数の凸部61U,61Bとの位置における全ての内側接点において、隣り合う2つの内側接点の間の距離は、いずれも20mm以下(5GHzに対応する波長の3分の1未満)に設定されている。このようにすることで、内側接触領域32F,32B,42F,42Bからノイズが漏洩することを、より効果的に抑制できる。
【0028】
[4.回路基板の外側におけるノイズの遮断構造]
図5は、
図1AのV-V線における断面図である。上側基板シールド30の外側接触領域33L(
図1Aを参照)と、下側基板シールド40の外側接触領域43L(
図1Bを参照)は、
図2D及び
図5に示すように、互いに接触している。また、上側基板シールド30の外側接触領域33Rと、下側基板シールド40の外側接触領域43Rも、互いに接触している。このように、外側接触領域33L,33R,43L,43Rにおいて、上側基板シールド30が下側基板シールド40に接触することにより、回路基板20上で発生したノイズが、基板シールド30,40によって閉じられたシールド空間S1,S2の外側に漏れることを抑制できる。すなわち、回路基板20の外側にノイズを遮断する領域を確保できるため、回路基板20の内側において、グラウンドパターン22U,22Dの領域を狭めることができる。
【0029】
図3Aに示すように、回路基板20の上面20Uには、回路基板20の左縁20Lに沿って上側グラウンドパターン22Uが形成されていない領域23Uと、回路基板20の右縁20Rに沿って上側グラウンドパターン22Uの取付穴26及び凸部61Uが形成されていない領域24Uが存在する。それらの領域23U,24Uに向かうノイズを、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rによって遮断することにより、シールド空間S1の外側にノイズが漏れることを抑制し、且つ、上側グラウンドパターン22Uの領域を狭め、回路基板20の縁(
図3Aでは左縁20L及び右縁20R)の付近まで、電子部品が実装される上側実装領域R1を拡張できる。
【0030】
また、
図3Bに示すように、回路基板20の下面20Dにも、回路基板20の左縁20Lに沿って下側グラウンドパターン22Dが形成されていない領域23Dと、回路基板20の右縁20Rに沿って下側グラウンドパターン22Dの取付穴26及び凸部61Dが形成されていない領域24Dが存在する。また、
図2Dに示すように、それらの領域23D,24Dに向かうノイズを、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rによって遮断することにより、シールド空間S2の外側にノイズが漏れることを抑制し、且つ、下側グラウンドパターン22Dの領域を狭め、回路基板20の縁(
図3Bでは左縁20L及び右縁20R)の付近まで、電子部品が実装される下側実装領域R2を拡張できる。
【0031】
図3B及び
図5に示すように、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rは、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rに固定するための複数の取付穴37(外側固定部)を有している。また、
図3A及び
図5に示すように、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rも、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rに固定するための複数の取付穴47を有している。
図5に示すように、基板シールド30,40にそれぞれ設けられている取付穴37,47の位置は一致しており、これらの取付穴37,47に、1本の螺子52が取り付けられている。このように、1本の螺子で基板シールド30,40を共締めすることにより、取付穴37,47の位置において、上側基板シールド30が下側基板シールド40に接触し、回路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。
【0032】
図3Aに示すように、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rは、上方に突出している複数の凸部62(外側接触凸部)を有している。凸部62の位置は、外側接触領域43L,43Rに設けられた取付穴47から、回路基板20の左縁20L、右縁20Rに沿った方向(外側接触領域43L,43Rの延伸方向)に離れている。換言すると、外側接触領域43L,43Rの延伸方向において、2つの取付穴47の間に凸部62が形成されている。下側基板シールド40の凸部62は、外側接触領域43L,43Rに板金加工を施すことで形成されている。このようにすることで、下側基板シールド40における凸部62の形成が容易になる。これに限らず、半田などの導電性の部材を外側接触領域43L,43Rに載せることよって凸部62が形成されてもよい。隣り合う取付穴47の間において形成される凸部62は、2個以下が好ましい。
【0033】
図1A及び
図5に示すように、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rは、下側基板シールド40の凸部62と接触している外側接触部63を有している。これにより、凸部62の位置において、上側基板シールド30と下側基板シールドと40の接触を図り、回路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。
【0034】
図2C及び
図2Dに示すように、回路基板20の上面20U側のシールド空間S1は、回路基板20(より具体的には、上側グラウンドパターン20U)と上側基板シールド30の内側接触領域32F,32Bとの接触、及び、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rと下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rとの接触によって形成されている。これと同様に、回路基板20の下面20D側のシールド空間S2は、回路基板20(より具体的には、下側グラウンドパターン20D)と下側基板シールド40の内側接触領域42F,42Bとの接触、及び、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rと下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rとの接触により形成される。つまり、
図2Dに示すように、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rに形成されている凸部62と、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rに設けられている外側接触部63は、回路基板20の上下にそれぞれ形成されているシールド空間S1,S2におけるノイズの対策で共用されている。外側接触領域33L,43Lにおいて、凸部62及び外側接触部63を介してシールド基板30,40が互いに接触し、外側接触領域33R,43Rにおいて、凸部62及び外側接触部63を介してシールド基板30,40が互いに接触することにより、回路基板20の上下にそれぞれ形成されているシールド空間S1,S2からノイズが漏れることを抑制できる。
【0035】
以下の説明では、螺子52が差し込まれる基板シールド30,40の取付穴37,47の位置と、凸部62が設けられる位置とを、外側接点とも称する。つまり、外側接点とは、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rと、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rとが対向し、且つ平面視において重畳している部分において、上側基板シールド30と下側基板シールド40との接触が確保されている箇所である。上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rと、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rとに設けられる複数の外側接点のうち、隣り合う2つの外側接点の間の距離は、内側接点と同様に、外部への漏洩を抑制したいノイズの波長に基づいて決定することが望ましい。
【0036】
下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rにおいて、凸部62は、取付穴37から外側接触領域43L,43Rの延伸方向に離れている。そして、取付穴37と凸部62との間の距離と、隣り合う2つの凸部62の間の距離(すなわち、隣り合う2つの外側接点の間の距離)は、基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定されてよい。取付穴37と凸部62との間の距離と、隣り合う2つの凸部62の間の距離は、いずれも20mmに設定されてよい。このようにすることで、無線通信などで使用される周波数帯のノイズの漏洩を効果的に抑制できる。取付穴37と凸部62との間の距離と、隣り合う2つの凸部62の間の距離は、いずれも15mm以下であることが好ましい。取付穴37と凸部62との間の距離と、隣り合う2つの凸部62の間の距離は、いずれも10mm以下であることが更に好ましい。
【0037】
図3A及び
図3Bにおいて、取付穴37,47を略同じサイズの丸で示し、凸部62を取付穴37,47よりも小さい丸(点)で示している。
図3A及び
図3Bに示すように、外側接触領域33L,33R,43L,43Rに設けられる全ての外側接点において、隣り合う2つの外側接点の間の距離は、いずれも20mm以下に設定されてよい。このようにすることで、外側接触領域33L,33R,43L,43Rからノイズが漏洩することを、より効果的に抑制できる。隣り合う2つの外側接点の間の距離は、いずれも15mm以下であることが好ましい。隣り合う2つの外側接点の間の距離は、いずれも10mm以下であることが更に好ましい。
【0038】
図3A及び
図5に示すように、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rにおいて、2つの取付穴37の間に少なくとも1つの凸部62が形成されている。また、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rにおいて、2つの凸部62の間に1つの取付穴37が形成されている。なお、2つの凸部62の間に配置される取付穴37の数は、2以上の複数であってもよい。
【0039】
図6は、外側接触領域33L,33R,43L,43Rにおける上側基板シールド30と下側基板シールド40との断面の模式図であり、グラウンドパターン22U,22Dの延伸方向に沿った切断面で得られる断面の概略を示している。
図6に示すように、上側基板シールド30は、取付穴37の位置で螺子52の頭部52aによって下側基板シールド40に押し付けられることにより、下側基板シールド40と接触する。そして、下側基板シールド40に対して撓むことにより、上側基板シールド30の外側接触部63が凸部62と接触する。このため、上側基板シールド30は、凸部62が形成されている下側基板シールド40よりも撓み易いことが望ましい。例えば、上側基板シールド30は、下側基板シールド40の材料とは異なる材料で形成されてよい。上側基板シールド30は、下側基板シールド40の材料よりも柔らかい(剛性が低い)材料で形成されてよい。例えば、上側基板シールド30は、下側基板シールド40の材料である鉄よりも柔らかいアルミニウムによって形成されてよい。また、少なくとも上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rにおける上側基板シールド30の上下方向における厚みを、下側基板シールド40の厚みより小さくしてもよい。
【0040】
図6に示すように、上側基板シールド30は、下側基板シールド40の凸部62によって外側接触部63が持ち上げられることにより、上方向に撓む。これにより、2つの凸部62の間に隙間Cが形成される場合がある。ここで、下側基板シールド40において、2つの取付穴47の間に形成される凸部62の数を3つにすると、これらの3つの凸部62のうちの2つの間の凸部62は、隙間Cの付近に配置される可能性がある。このため、
図3Aに示すように、下側基板シールド40において、2つの取付穴47の間に配置される凸部62の数は、2つ以下とすることが望ましい。換言すると、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rにおいて、2つの取付穴37の間に設けられる凸部62と接触する外側接触部63の数は、2つ以下とすることが望ましい。また、回路基板20の上側グラウンドパターン22Uにおいて、2つの取付穴26の間に配置される凸部61Uの数(内側接触部38の数)も、2つ以下とすることが望ましく、
図3Bに示すように、回路基板20の下側グラウンドパターン22Dにおいて、2つの取付穴26の間に配置される凸部61Dの数(内側接触部48の数)も、2つ以下とすることが望ましい。このようにすることで、上側基板シールド30と下側基板シールド40との接触の安定性が十分に確保され、回路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。
【0041】
図3A及び
図3Bに示すように、外側接触領域33L,33R,43L,43Rにおいて、隣り合う2つの取付穴37,47の間に配置される凸部62の数(外側接触部63の数)は、2つ以下である。また、内側接触領域32F,32Bにおいて、隣り合う2つの取付穴36の間に配置される凸部61Uの数(内側接触部38の数)も2つ以下であり、内側接触領域42F,42Bにおいて、隣り合う2つの取付穴46の間に配置される凸部61Dの数(内側接触部48の数)も2つ以下である。これにより、電子部品を取り囲んでいる領域からノイズが漏れることを効果的に抑制できる。
【0042】
図7は、
図3Aの部分拡大図であり、回路基板20の上側グラウンドパターン22Uと、下側基板シールド40の外側接触領域43Lとを示す図である。
図7に示すように、回路基板20の上側グラウンドパターン22Uに形成されている取付穴26と、下側基板シールド40の外側接触領域43Lに形成されている凸部62は、回路基板20の左縁20Lを挟んで互いに反対側に位置している。また、上側基板シールド30の内側接触領域32B(
図1Aを参照)に形成されている取付穴36(
図3Bを参照)と、下側基板シールド40の内側接触領域42B(
図1Bを参照)に形成されている取付穴46は、上下のグラウンドパターン22U,22Dに共通して形成されている取付穴26と同位置に配置されている。従って、
図7に示す回路基板20及下側シールド40に、上側基板シールド30が重なっている状態で、内側接触領域32B,42Bに形成されている取付穴26,36,46と、外側接触領域43Lに形成される凸部62(外側接触領域33Lにおける外側接触部63)は、回路基板20の左縁20Lを挟んで互いに反対側に位置している。
【0043】
ここで、内側接触領域32B,42Bに形成されている取付穴26,36,46から、回路基板20の左縁20Lを挟んで反対側に位置する最も近い凸部62(外側接触部63)との間の距離D1は、基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定されてよい。また、距離D1は、20mm以下、より好ましくは、15mm以下、又は10mm以下に設定されてもよい。また、取付穴26,36,46から回路基板20の左縁20Lを挟んで反対側に位置する最も近い取付穴47までの間に形成される凸部62は、2個以下が好ましい。その場合、取付穴26,36,46、47から凸部62までの距離、および、凸部62の間の距離は、いずれも基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定されてよく、また、20mm以下、より好ましくは、15mm以下、又は10mm以下に設定されてもよい。このようにすることで、上側基板シールド30における内側接触領域32Bと外側接触領域33Lとの境界、及び、下側基板シールド40における内側接触領域42Bと外側接触領域43Lとの境界において、ノイズを遮蔽できるようになる。
【0044】
また、
図7に示すように、下側基板シールド40の外側接触領域43Lに形成される取付穴47と、上側グラウンドパターン22Uに形成されている凸部61Uは、回路基板20の左縁20Lを挟んで互いに反対側に位置している。また、上側基板シールド30の外側接触領域33L(
図1Aを参照)に形成されている取付穴37(
図3Bを参照)は、下側基板シールド40に形成されている取付穴47と同位置に配置されている。従って、外側側接触領域33L,43Lに形成されている取付穴37,47と、上側グラウンドパターン22Uに形成されている凸部61Uは、回路基板20の左縁20Lを挟んで互いに反対側に位置している。また、取付穴37,47と、上側グラウンドパターン22Uに凸部61Uを介して接している上側基板シールド30の内側接触部38(
図4を参照)とは、回路基板20の左縁20Lを挟んで互いに反対側に位置している。これと同様に、取付穴37,47は、下側グラウンドパターン22Dの凸部61D及びこれに接している下側基板シールド40の内側接触部48とは、回路基板20の左縁20Lを挟んで互いに反対側に位置してもよい。
【0045】
ここで、外側接触領域33L,43Lに形成されている取付穴37,47と、上側グラウンドパターン22Uに形成されている凸部61U(上側基板シールド30の内側接触部38)との間の距離D2は、距離D1と同様に、基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定されてよい。また、距離D2は、20mm以下、より好ましくは、15mm以下、又は10mm以下に設定されてもよい。また、取付穴37,47と、下側グラウンドパターン22Dに形成されている凸部61D(下側基板シールド40の接触部48)との間の距離も、基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定されてよいし、20mm以下、より好ましくは、15mm以下、又は10mm以下に設定されてもよい。このようにすることでも、上側基板シールド30における内側接触領域32Bと外側接触領域33Lとの境界、及び、下側基板シールド40における内側接触領域42Bと外側接触領域43Lとの境界において、ノイズを遮蔽できるようになる。
【0046】
また、
図7に示すように、回路基板20及び下側基板シールド40には、回路基板ユニット10の製造工程において、回路基板20と下側基板シールド40を仮固定するための穴29,49が形成されている。ここで、この穴29,49を取付穴29,49とし、取付穴29,49の位置に上側基板シールドの取付穴36を形成し、取付穴36,29,49に1つの螺子51を差し込むことにより、取付穴36,29,49の位置で、回路基板20及びシールド30,40を接触させてもよい。そして、取付穴36,29,49と取付穴37,47との間の距離D3を、距離D1と同様に、基板シールド30,40が遮蔽するノイズの波長の3分の1未満、より好ましくは、波長の4分の1未満に設定してもよい。また、距離D3は、20mm以下、より好ましくは、15mm以下、又は10mm以下に設定されてもよい。このようにすることでも、内側接触領域42Bと外側接触領域43Lとの境界において、ノイズを遮蔽できるようになる。
【0047】
また、以上に説明した上側基板シールド30における内側接触領域32Bと外側接触領域33Lとの境界におけるノイズの遮蔽構造は、内側接触領域32Fと外側接触領域33Lとの境界、内側接触領域32Bと外側接触領域33Rとの境界、及び、内側接触領域32Fと外側接触領域33Rとの境界にも形成されてよい。このようにすることで、回路基板20の上面20Uにおいてノイズの発生源となる複数の電子部品が実装されている上側実装領域R1を取り囲う内側接触領域32F,32B、及び外側接触領域33L,33Rの境界の全てにおいて、ノイズを遮蔽できるようになる。すなわち、上側実装領域R1を連続的に取り囲んでいる領域において、ノイズを遮蔽できるようになる。また、下側基板シールド40における内側接触領域42Bと外側接触領域43Lとの境界におけるノイズの遮蔽構造は、内側接触領域42Fと外側接触領域43Lとの境界、内側接触領域42Bと外側接触領域43Rとの境界、及び、内側接触領域42Fと外側接触領域43Rとの境界にも形成されてよい。このようにすることで、回路基板20の下面20Dにおいてノイズの発生源となる複数の電子部品が実装されている下側実装領域R2を取り囲う内側接触領域42F,42B、及び外側接触領域43L,43Rの境界の全てにおいて、ノイズを遮蔽できるようになる。すなわち、下側実装領域R2を連続的に取り囲んでいる領域において、ノイズを遮蔽できるようになる。
【0048】
[5.まとめ]
以上のように、本実施形態では、上側基板シールド30の内側接触領域32F,32Bが回路基板20の上側グラウンドパターン22Uに接触し、下側基板シールド40の内側接触領域42F,42Bが回路基板20の下側グラウンドパターン22Dに接触している。そして、上側基板シールド30の外側接触領域33Lが下側基板シールド40の外側接触領域43Lと接し、上側基板シールド30の外側接触領域33Rが下側基板シールド40の外側接触領域43Rと接している。外側接触領域33L,33R,43L,43Rは、取付穴37,47と凸部62を含むことにより、外側接触領域33L,33R,43L,43Rにおける基板シールド30,40の接触が図られている。このようにすることで、回路基板20上で発生したノイズが回路基板ユニット10の外部に漏れることを抑制できる。また、回路基板20の外側にノイズを遮断する領域を確保できるため、回路基板20の内側において、グラウンドパターン22U,22Dの領域を狭めることができる。その結果、回路基板20において電子部品などを実装する面積を広げたり、回路基板20を小型にすることができる。
【0049】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
(1)実施形態では、回路基板20の外側におけるノイズの遮断構造として、下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rが、上方に突出している複数の凸部62を有し、これに上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rが接触する例を説明した。これに限らず、上側基板シールド30の外側接触領域33L,33Rが、下方に突出している複数の凸部62を有し、これに下側基板シールド40の外側接触領域43L,43Rが接触するようにしてもよい。このようにすることでも、凸部62の位置において、上側基板シールド30と下側基板シールド40とが接触し、回路基板20上で発生したノイズの遮断性能を向上できる。
【0051】
(2)実施形態では、上側基板シールド30の上側包囲領域31が、回路基板20の外縁の内側に位置している内側接触領域32F,32Bと、回路基板20の外縁の外側に位置している外側接触領域33L,33Rを有し、これらの接触領域で、回路基板20の上面20Uにおいて、電子部品が配置される領域の全周を囲う例を説明した。ここで、回路基板30,40において、回路基板20の外縁の外側に位置している外側接触領域は、回路基板20の外縁の全周を囲ってもよい。このようにすることで、回路基板20の内側にグラウンドパターン22U,22Dを形成せずに、回路基板20の外側にノイズが漏洩することを抑制できる。
【0052】
(3)実施形態では、上側基板シールド30が、外側接触領域33L,33Rの2つの領域を有し、下側基板シールド40が、外側接触領域43L,43Rの2つの領域を有する例を説明したが、基板シールド30,40が有する外側接触領域の数は、1つであってもよい。また、基板シールド30,40が互いに接触する外側接触領域において、取付穴37の数と取付穴47の数は1つであってもよく、凸部62の数も1つであってもよい。このような例においても、回路基板20の外側にノイズを遮断する領域を確保することができ、回路基板20の内側において、グラウンドパターン22U,22Dの領域を狭めることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 回路基板ユニット、20 回路基板、20U 上面、20D 下面、21a,21b,21d,21e 集積回路チップ、21c トランジスタ、22U 上側グラウンドパターン、22D 下側グラウンドパターン、30 上側基板シールド、31 上側包囲領域、40 下側基板シールド、41 下側包囲領域、32F,32B,42F,42B 内側接触領域、33L,33R,43L,43R 外側接触領域、26,36,37,46,47 取付穴、38,48 内側接触部、51,52 螺子、61U,61D,62 凸部、63 外側接触部、C 隙間、D1,D2,D3 距離、S1,S2 シールド空間。