(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】無菌接続を形成する装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240701BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20240701BHJP
A61M 5/162 20060101ALI20240701BHJP
A61J 1/20 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M5/145 508
A61M5/162 500J
A61J1/20 314B
(21)【出願番号】P 2022077369
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2020137829の分割
【原出願日】2016-03-02
【審査請求日】2022-06-08
(32)【優先日】2015-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・クレメンテ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・ビー・ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ロートン・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ウバック
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン・ラマスワミ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エス・コッド
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ビーバー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・エル・ボーケルマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・フェルドマン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-524217(JP,A)
【文献】特公平04-060662(JP,B2)
【文献】特表2014-528791(JP,A)
【文献】特表2012-501771(JP,A)
【文献】特開昭54-071893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/145
A61M 5/162
A61M 39/18
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置であって、
穿孔可能シールによって覆われる開口を有する薬物容器と、
穿孔可能シールに隣接する薬物容器に結合され、内部空間を少なくとも部分的に画定する剛性壁を有する接続ハブであって、穿孔可能シールの少なくとも一部は、接続ハブが薬物容器に結合された後に、UV滅菌を用いて滅菌されるように構成されている、接続ハブと、
穿孔部材であって、穿孔部材の先端が薬物容器の外側にある非作動位置と、穿孔部材の先端が穿孔可能シールを穿孔して薬物容器に入り込む送達位置とを有する穿孔部材
と、
非作動位置から送達位置に
穿孔部材を自動的に移動
させるように構成され
た挿入ドライバとを備え、
穿孔部材の先端が、非作動位置から送達位置に移動する際に接続ハブの内部空間を通って移動するように構成されている、薬物送達装置。
【請求項2】
穿孔部材が中空針を含む、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項3】
挿入ドライバが、穿孔部材リテーナに力を及ぼすように構成されたばねを備える、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項4】
薬物を追い出すために薬物容器内に移動可能に配置されたプランジャシールを備える、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項5】
電気式皮膚センサを備える、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項6】
患者に取り付けられる粘着面を有するハウジングを備え、薬物容器が、ハウジング内に少なくとも部分的に配置される、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項7】
非作動位置においてハウジング内に少なくとも部分的に配置された皮下送達部材を備える、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項8】
挿入のために皮下送達部材の一部をハウジングの壁内の開口を通って患者に移動させるように構成された挿入機構を備える、請求項7に記載の薬物送達装置。
【請求項9】
挿入機構が、回転付勢部材を含む、請求項8に記載の薬物送達装置。
【請求項10】
穿孔部材と挿入機構とを接続する滅菌流体導管を備える、請求項8に記載の薬物送達装置。
【請求項11】
穿孔部材と同軸上に配置された導入器部材を備え、穿孔部材が、非作動位置から送達位置に移動する際に導入器部材に嵌まり込むように構成されている、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項12】
接続ハブの壁内の開口を覆うフィルムを備える、請求項11に記載の薬物送達装置。
【請求項13】
導入器部材が、導入器部材の先端が接続ハブの内部空間内にある非作動位置と、導入器部材の先端がフィルムを穿孔する作動位置とを有する、請求項12に記載の薬物送達装置。
【請求項14】
穿孔部材がフィルムに接触しないように導入器部材がフィルムを穿孔した後で、穿孔部材が導入器部材に嵌まり込むように構成されている、請求項13に記載の薬物送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月2日に出願された米国仮特許出願第62/127,021号、及び2015年4月15日に出願された米国仮特許出願第62/148,082号に対する優先権を主張するものであり、これらの各々は、あらゆる目的のために全体が本明細書に参照として含まれている。
【0002】
本発明は、無菌接続に関する。より詳細には、本発明は、腐敗性の環境下で無菌接続を形成し、それにより、構成要素を薬物送達装置に組み入れることを可能にする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の薬物の非経口送達、すなわち、消化管を経る手段以外の手段での送達は、いくつかの理由で薬物送達の望ましい方法となっている。この注入による薬物送達の形態は、送達される物質の効果を増強でき、未変化の薬剤がかなりの濃度で意図された部位に到達することを保証する。同様に、全身毒性といった、他の送達経路に関連する望ましくない副作用が、非経口送達によって回避できる可能性を秘めている。哺乳動物である患者の消化器系を避けることで、消化管や肝臓の触媒酵素によって引き起こされる有功成分の分解を回避し、所望の濃度で、必要量の薬物を標的部位に確実に到達させることができる。
【0004】
従来から、手動で操作するシリンジ及びペン型注入器が、患者に非経口の薬物を送達するために使用されてきた。さらに最近では、液体医薬品の体内への非経口送達は、針及びリザーバを用いたボーラス注入による投与、重力駆動式のディスペンサーによる継続的な投与、または経皮パッチの技術による投与によって成し遂げられる。ボーラス注入は、患者の臨床上の要求に完全には合致しない可能性があり、またそれらが投与される特定時に、要求したよりも多くの個別投与量が必要となることがある。重力式の供給システムによる薬の継続的な送達は、患者の可動性や生活習慣を損なわせ、治療を過度に単純な流速やプロファイルに限定する。薬物送達の別の形態、つまり経皮パッチにも同様に制約がある。経皮パッチは、有効性のために特定の分子薬物組成物が必要になる場合が多く、経皮パッチによる薬物投与の制御は厳しく制限される。
【0005】
患者に液体医薬品を送達するための携行式輸液ポンプが開発されてきた。これらの輸液装置は、ボーラスの要求、連続輸液及び速度可変の送達を達成する高度な流体送達プロファイルを提供することができる。このような輸液の特性により、通常、薬物及び治療の有効性が増し、患者の身体に対する毒性が低下するに至る。現在入手可能な携行式輸液装置は高価であり、輸液のプログラム及び準備をするのが困難であり、かさばり、重くて極めて壊れやすい傾向がある。これらの装置の充填は困難なことがあり、患者は、意図する薬品と充填した付属品の両方を携える必要がある。装置は長期間使用することが意図され、そのための適切な機能性と安全性を確実にするために、特別なケア、メンテナンス及びクリーニングが頻繁に必要となり、患者や医療提供者にとって費用対効果が高いものではない。
【0006】
シリンジ及びペン型注入器と比較して、ポンプ式送達装置は、昼夜を問わず任意の時間に薬物の投与量を計算して患者に自動的に送達することができるという点で、患者にとってはるかに便利である可能性がある。さらに、代謝センサまたは代謝モニターと共に使用する場合、ポンプは、感知またはモニターされた代謝レベルに基づいて、必要な適切な時間に、適切な用量の流体媒体を供給するように、自動的に制御し得る。その結果、ポンプ式送達装置は、糖尿病をはじめとした多様な種類の医学的状態に関する現代の医療処置の重要な一態様をなすようになった。
【0007】
多くの患者の要求を満たすためにポンプ式送達システムが利用されてきたが、手作業で操作するシリンジ及びペン型注入器は、一体型の安全機構を今でも備え、薬物送達の状態や、用量投与の終了を容易に読み取って判別することができるため、依然として薬物送達に好んで選択されることが多い。
【0008】
しかし、手動で操作するシリンジ及びペン型注入器は、普遍的に適用可能であるわけでなく、すべての薬物の送達に好適というわけではない。正確かつ信頼性があり、臨床医及び患者に、液体医薬品を非経口で送達するための、小型、低コスト、軽量で、使いやすい代替物を提供することができる、調節可能な(及び/またはプログラム可能な)輸液システムが依然必要とされている。
【0009】
使い易く、費用対効果が高く、一体型の安全機構を含む薬物送達装置に対する強い市場の需要がある。しかし、このような装置を製造するのに費用を要する可能性があり、結果として患者のコストが増す。製造コストの大部分は、薬物を患者に導入する前に、薬物容器から針まで無菌の流体経路を維持する必要があるということに起因している場合がある。いくつかの市販の製品は、無菌ではない環境下で構成要素を製造し、次に装置全体を滅菌することによって、装置の無菌性を維持することが求められる。そのようなプロセスの認識された欠点は、ほとんどの医薬化合物が装置の滅菌プロセスに耐えることができないので、装置を滅菌した後であって、しかも薬物を注入する前に、薬物容器を別個に充填する必要があるということである。あるいは、薬物送達装置は、プレフィルド式装置として製造することができ、この場合には組立て中に装置に無菌で薬物を充填する。このような製造プロセスは、プロセス全体で無菌の状態を保たなければならず、また充填ラインと組立てラインを装置のために特別に調整する必要があり、そのため、コストがかかる可能性がある。したがって、これにより製薬会社及び契約する医薬品充填業者に相当な運用コストが追加される。
【0010】
薬物送達装置は、概して、様々な構成要素を成形または形成し、次いで構成要素を組立てることによって作製される。組立て工程及び他の処理操作によって、典型的には、薬物送達装置の清浄度基準を満たすべく、表面に付着した微粒子を除去するために、続いて洗浄しなければならない装置を製造している。通常の薬物送達装置は、洗浄後に包装され、滅菌される。このような送達装置は、いくつかの一般的なタイプに分類されている。第1のタイプは、組立ててから、薬物または他の注入可能な溶液のバイアルまたはアンプルと共に出荷され得る無菌包装を施すものである。バイアルまたはアンプルは、概して、ガラスなどの透明な材料で作製されており、長期保管中に薬物の安定性を損なわない。送達装置は、使用する時点で薬物または他の溶液が充填されて、患者への注入に供される。これらの装置には、使用する時点で装置を充填する時間と手間が増えて、送達装置及び/または薬物溶液を汚染する可能性が高まるという欠点がある。アンプルが開かれたとき、アンプルに由来するガラス粒子が薬物溶液を汚染するというさらなるリスクもある。
【0011】
これらの欠点のいくつかは、使用する前に適切な薬物溶液で満たすことのできるプレフィルド式の送達装置を提供することによって克服される。プレフィルド式の送達装置は、用語が当技術分野で知られているように、薬剤製造業者によって充填され、使用準備が整った状態で、医療提供者または自己投与する患者に発送される装置である。プレフィルド式の送達装置は、薬物溶液の汚染のリスクを低減する上に、利便性及び適用の容易さがあるという利点を有する。プレフィルド式の薬物送達装置は概して、適切な清浄レベルを維持するクリーンルーム内で組立てて包装される。クリーンルームには、広範なフィルタアセンブリと空気制御システムが装備されており、室内の空気に由来する微粒子と発熱物質を除去し、微粒子と発熱物質が室内に入るのを防ぐ。クリーンルーム内の作業者及び他の人員は、空気及び製造または組立て中の薬物送達装置の汚染を減らすために、適切な防護服を着用する必要がある。人間や機器がクリーンルームに出入りするとき、汚染のリスクや、異物や発熱物質が入り込むリスクが高まる。様々な工程により、清潔で無菌の薬物送達装置を形成することができる。しかし、薬物送達装置のその後の取扱い、充填及び印刷により、装置が汚染される可能性がある。よって、使用前にこのような通常の薬物送達装置を洗浄し、滅菌することが必要である。したがって、清潔で滅菌された医療機器を製造し、組立て、そのような機器を充填する改良されたシステムが、業界において引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、2つ以上の構成要素またはサブアセンブリの間で無菌接続を確立する装置及び方法を提供する。当該装置は、薬物送達ポンプなどの医療機器において使用することができる。いくつかの実施形態で、薬物容器と流体経路接続アセンブリとの間に接続が設けられる。流体経路接続アセンブリは、接続ハブ、穿孔部材、及び穿孔部材リテーナを含むことができる。当該機構はさらに、開口部を覆う第1のフィルムまたはシールを含むことができ、それによって開口部に隣接する空洞の無菌の状態を維持する。薬物容器は流体薬物を保持し、穿孔可能シールを含むことができる。第2のフィルムは、薬物容器及びシールの1つ以上の構成要素の開口部を覆うことができ、それによって穿孔可能シールの無菌の状態を維持し得る。穿孔部材に第1のフィルムと第2のフィルムを穿孔させ、穿孔可能シールに患者への流体薬物の送達をするための流体経路を開かせ得る。
【0013】
第1の実施形態で、本発明は流体経路の接続を提供する。流体経路接続アセンブリは、接続ハブと、穿孔部材と、穿孔部材リテーナと、キャップ、穿孔可能シール、及びバレルを備える薬物容器とを含み、穿孔部材は、接続ハブによって画定される滅菌空洞に少なくとも一部が配置される。薬物容器は、流体経路接続アセンブリを通した標的への送達に供される薬物流体を含み得る。穿孔可能シールは、穿孔部材によって穿孔され得るシールバリアを含む。流体経路接続アセンブリは、接続ハブの開口部を覆って開口部を覆って固定するように取り付けられ、微生物などの異物が、接続ハブによって形成される滅菌空洞に入るのを防止する第1のフィルムをさらに含むことができる。薬物容器は、第2のフィルムであって、穿孔可能シール及び第2のフィルムによって形成された空洞を覆って固定するように接続されて、微生物などの異物が空洞に入るのを防ぐ第2のフィルムをさらに含んでもよい。第1のフィルム及び第2のフィルムは、穿孔部材によって穿孔することができる。流体経路の接続は、使用者が直接開始させてもよいし、使用者による何らかの初期の工程の後に(本明細書に記載のように)装置の別の機構によって作動させてもよい。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、ハウジング及びアセンブリプラットフォームを有する一体型の滅菌メンテナンス機構を備えた薬物送達ポンプを提供し、その上に作動機構、流体経路接続アセンブリ、動力及び制御システム、薬物容器を有する駆動機構が据付けられてもよく、前述の流体通路接続アセンブリは、接続ハブと、穿孔部材と、穿孔部材リテーナと、キャップ、穿孔可能シール、及びバレルを有する薬物容器とを含み、穿孔部材は、接続ハブによって画定される滅菌空洞内に少なくとも一部が配置される。薬物容器は、流体経路接続アセンブリを通した標的への送達に供される薬物流体を含み得る。穿孔可能シールは、シールバリアを含み、このバリアは穿孔部材により穿孔し得る。流体経路接続アセンブリは第1のフィルムをさらに含むことができ、これは接続ハブの開口部を覆って開口部を覆って固定するよう取り付けられ、微生物などの異物が、接続ハブによって形成される滅菌空洞に入るのを防止する。流体経路接続アセンブリは第2のフィルムをさらに含むことができ、第2のフィルムは、穿孔可能シールによって形成された空洞を覆って固定するよう接続され、流体経路接続アセンブリは微生物などの異物が空洞に入るのを防止する。第1のフィルム及び第2のフィルムは、穿孔部材によって穿孔し得る。
【0015】
本明細書に記載されている装置は、過剰な量の薬剤の送達または速過ぎる速度での送達、例えば制御が利かないまたは不所望な薬剤送達となる暴走状態を防止する機構をさらに含み得る。このような自動安全機構を設けることにより、患者の安全を確保することができる。例えば、糖尿病に対するインスリンまたは他の治療薬などのいくつかの薬剤は、処方のパラメータに従って送達されなければ危険であり、致死の潜在可能性がある場合さえある。以下に説明する安全機構は、送達が規定されたパラメータから逸脱した場合に薬剤の送達を確実に停止させることができる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、流体経路接続アセンブリは、1つ以上の付勢部材を含むことができる。1つのそのような実施形態では、流体経路接続アセンブリを接続するように付勢するように、すなわち薬物容器と流体導管との間の流体経路を開き、これにより薬物が針挿入機構及び標的内へと流れることを可能とするように付勢部材を含み得る。このような構成では、流体流路接続アセンブリは、例えばピンまたは阻止態様の移動に応じた接続を容易にするように付勢される。少なくとも1つの実施形態において、付勢部材(複数可)は、流体経路接続アセンブリの内部にあってもよく、及び/または流体経路接続アセンブリの外部にあってもよく、一旦トリガされた接続を促進する。加えてまたは別法として、1つまたは複数の付勢部材が、流体経路接続アセンブリを切断するように含まれてもよい。これにより、薬物送達ポンプによって自動的に、または使用者による行動に応じて、エラー状態の通知に伴い流体経路を切断する望ましい安全機構を提供することができる。流体経路接続アセンブリが切断されると、薬物流体の流れが薬物容器と流体導管との間で制限または遮断され、針挿入機構及び標的内への流体の流れが制限または防止される。
【0017】
本開示の態様によれば、薬物送達ポンプの薬物容器と共に使用される流体経路接続アセンブリが提供される。薬物容器は、バレル、キャップ、及び穿孔可能シールを含む。流体経路接続アセンブリは、非作動構成、作動構成、及び送達構成を含む。流体経路接続アセンブリは、開口部を含む接続ハブ、第1のフィルム、導入器部材、穿孔部材、及び穿孔部材リテーナを含む。第1のフィルムは開口部に沿って密封される。接続ハブは、第1のフィルムによって密閉された滅菌空洞を含む。導入器部材は、非作動構成の滅菌空洞内に少なくとも一部が配置される。穿孔部材は、導入器部材に嵌まり込むように構成される。穿孔部材は、非作動構成の導入器部材内に少なくとも一部が配置された穿孔先端を含む。穿孔部材リテーナは、穿孔部材に接続されている。導入器部材は、接続ハブに対して、非作動構成から、導入器部材が第1のフィルムを穿孔する作動構成に移動するように構成される。穿孔部材は、導入器部材に嵌まり込んで、非作動構成から、穿孔先端が導入器部材内に配置されていない送達構成に移動するように構成される。穿孔部材は、送達構成において穿孔可能シールを穿孔するように適合され、穿孔部材は、送達構成において穿孔部材接続ハブを通る流体経路を備える。少なくとも1つの実施形態では、流体経路接続アセンブリと薬物容器との組合せが提供される。少なくとも1つの実施形態では、ハウジングと、作動機構と、流体経路接続アセンブリと、薬物容器とを含む薬物送達ポンプが提供される。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、流体経路接続アセンブリは、停止メカニズムに応答して、穿孔部材を送達構成から後退構成に移動させ、穿孔部材を穿孔可能シールから係合解除させるように構成される。
【0019】
本発明の新規な実施形態は、薬物容器への流体経路の接続、及び装置の動作前、動作中、及び動作後の流体経路の無菌性を維持することができ、装置の能動的な安全性の制御を可能にするこうした接続を利用する薬物ポンプを提供する。本明細書を通して、特に記載しない限り、「comprise(含む)」、「comprises(含む)」、及び「comprising(含む)」または関連する用語、例えば「include(含む)」または「からなる」は、排他的ではなく包括的に使用され、述べた整数または整数の群は、1つ以上の他の言及していない整数または整数の群を含むことができる。以下でさらに説明するように、本発明の実施形態は、医療機器の業界において標準的な構成要素と考えられる1つ以上の追加の構成要素を含むことができる。構成要素及びこのような構成要素を含む実施形態は、本発明の企図の範囲内であり、本発明の範囲(breadth及びscope)内に入るものとして理解するべきである。
【0020】
本発明の以下の非限定的な実施形態を、以下の図面を参照しながら本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】薬物送達ポンプの実施形態の等角図である。
【
図1B】
図1Aに示す薬物送達ポンプの内部の構成要素の等角図を示す。
【
図2A】据付けられていない構成における、流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の等角図である。
【
図2B】据付けられている構成であるが非作動構成における、
図2Aに示す実施形態の等角図である。
【
図3A】本発明の少なくとも1つの実施形態による流体経路接続アセンブリの分解図を示す。
【
図3B】分解した
図3Aの流体経路接続アセンブリの断面図を示す。
【
図4A】据付けられている構成であるが非作動構成における、流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図4B】
図4Aに示す実施形態の、一部拡大した断面側面図である。
【
図5A】作動構成における、
図4Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図5B】
図5Aに示す実施形態の、一部拡大した断面側面図である。
【
図6A】送達構成における、
図4A及び
図5Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図6B】
図6Aに示す実施形態の、一部拡大した断面側面図である。
【
図7】本発明の少なくとも1つの実施形態による接続ハブの等角図を示す。
【
図8】本発明の少なくとも1つの実施形態によるプレートの等角図を示す。
【
図9】本発明の少なくとも1つの実施形態による穿孔部材リテーナの実施形態の等角図を示す。
【
図10】本発明の少なくとも1つの実施形態による導入器部材リテーナの実施形態の等角図を示す。
【
図11A】据付けられていない構成における、流体経路接続アセンブリと薬物容器の第2の実施形態の等角図である。
【
図11B】据付けられている構成であるが非作動構成における、
図11Aに示す実施形態の等角図である。
【
図12A】据付けられている構成であるが非作動構成における、
図11A~11Bの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図13A】作動構成における、
図12Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図14A】送達構成における、
図12A及び13Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図15A】据付けられている構成であるが非作動構成における、
図11A~11Bの流体経路接続アセンブリと容器のさらなる等角図である。
【
図16A】作動構成における、
図11A~11Bの流体経路接続アセンブリと容器のさらなる等角図である。
【
図17A】送達構成における、
図11A~11Bの流体経路接続アセンブリと容器のさらなる等角図である。
【
図18B】
図18Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の一部拡大した等角図である。
【
図19】本発明の少なくとも1つの実施形態による接続ハブの等角図を示す。
【
図20】本発明の少なくとも1つの実施形態による導入器部材リテーナの実施形態の等角図を示す。
【
図21】本発明の少なくとも1つの実施形態による穿孔部材リテーナの実施形態の等角図を示す。
【
図22】本発明の少なくとも1つの実施形態による流体経路接続アセンブリの等角分解図を示す。
【
図23A】据付けられていない構成における、
図22の流体経路接続アセンブリと薬物容器の等角図を示す。
【
図23B】据付けられている構成であるが非作動構成における、
図23Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の等角図である。
【
図23C】作動構成における、
図23Bの流体経路接続アセンブリと薬物容器の等角図である。
【
図23D】送達構成における、
図23B~23Cの流体経路接続アセンブリと薬物容器の等角図である。
【
図24A】据付けられている構成であるが非作動構成における、
図23Bの流体経路接続アセンブリと薬物容器の断面側面図である。
【
図25A】作動構成における、
図23Bの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図26A】送達構成における、
図24A及び25Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の実施形態の断面側面図である。
【
図27】本発明の少なくとも1つの実施形態による接続ハブの等角図を示す。
【
図28】本発明の少なくとも1つの実施形態による導入器部材リテーナの実施形態の側面図を示す。
【
図29】本発明の少なくとも1つの実施形態による穿孔部材リテーナの実施形態の等角図を示す。
【
図30】
図22~26Bの流体経路接続アセンブリを組み込んだ薬物送達ポンプの内部構成要素の一部の等角図を示す。
【
図31A】流体接続中における本発明の少なくとも1つの実施形態の流体経路接続アセンブリと薬物容器の一部の等角図である。
【
図31B】切断されたときの
図31Aの流体経路接続アセンブリと薬物容器の一部の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
駆動機構、薬物送達ポンプ、または本発明の構成要素の相対的な位置のいずれかを記載するために本明細書で使用する「軸方向の」または「軸方向に」という用語は、概して、長手方向軸「A」を示し、駆動機構は、必ずしもその周りに対称的に配置される必要はないが、好ましくは対称的に配置される。「半径方向」という用語は、概して軸Aに対する垂直方向を示す。「近位」、「rear(後ろの)」、「rearward(後ろに)」、「back(後ろの)」、または「backward(後ろに)」という用語は、概して、方向「P」にある軸方向を示す。「遠位」、「front(前の)」、「frontward(前に)」、「押下げ」または「forward(前に)」という用語は、概して、方向「D」にある軸方向を示す。本明細書で使用する「ガラス」という用語は、通常はガラスである必要のある医薬グレードの用途で使用するのに適した他の同様の非反応性材料を含むと理解されるべきであり、例えば環状オレフィンコポリマー(COC)や環状オレフィンポリマー(COP)などの特定の非反応性ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を含み得る。熱可塑性ポリマーは熱によって再度軟化して元の状態になることができるが、熱硬化性ポリマーにはそれが可能でない。本明細書で使用する「プラスチック」という用語は、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、またはアクリル樹脂などの成形可能な熱可塑性ポリマーを主に示し、硬化剤、充填剤、補強剤、着色剤及び/または可塑剤などの他の成分も典型的には含み、これは熱及び圧力下で形成または成形することができる。本明細書で使用する「プラスチック」という用語は、プラスチックと相互作用し得る治療用液と直接接触する用途で使用することが認可されているか、さもなければプラスチックから液体に入る可能性のある置換基によって分解され得るガラス、非反応性ポリマー、またはエラストマーを含むことを意図していない。「エラストマー」、「エラストマーの」または「エラストマー材料」という用語は、主に、プラスチックよりも容易に変形可能であるが、医薬グレードの流体での使用が認可されており、周囲温度及び圧力下で浸出またはガス移動の影響を受けにくい架橋性の熱硬化性ゴム状ポリマーを示す。「流体」は主に液体を示すが、液体に固体を分散させた懸濁液や、ポンプの流体を含む部分の内部にある液体内に溶けているか、さもなければ一緒に存在する気体も含むことができる。本明細書に記載された様々な態様及び実施形態によれば、「付勢部材」に言及され、これはエネルギーを蓄積及び放出することができる任意の部材であってよい。非限定的な例には、例えば、コイルばね、圧縮または引張ばね、ねじりばね、板ばね、弾性圧縮可能または弾性バンド、または同様の機能を有する任意の他の部材などのばねが含まれる。本発明の少なくとも1つの実施形態では、付勢部材はばねである。
【0023】
本発明の新規な装置は、流体経路の無菌性及び/または無菌の状態を維持する容器接続と、そのような無菌流体経路接続アセンブリを薬物容器に組み込む薬物送達ポンプとを提供する。このような装置は安全で使い易く、自己投与する患者には審美的にも人間工学的にも魅力的である。流体経路の接続は、使用者が直接開始させてもよいし、使用者による何らかの初期の工程の後に(本明細書で説明されるように)装置の別の機構によって作動させてもよい。本明細書で説明している装置は、訓練を受けていない使用者に対し装置の作動、動作、及びロックアウトを平易にする機構を組み込んでいる。本発明の新規な装置は、公知の従来技術の装置に関連する問題を伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規な薬物送達ポンプ、流体経路接続アセンブリ、及びそれらの各構成要素における特定の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照しながら本明細書にさらに記載される。
【0024】
通常の薬物送達装置は、装置の最終滅菌が薬物容器内の医薬品については完了できないため、使用時に充填することが必要な場合が多い。様々な医薬品は、組立て後の装置の滅菌に必要な温度、圧力、及び他の条件に耐えることができない。換言すれば、既存の製造プロセスは装置全体の滅菌が必要であるため、滅菌前に薬物を装置に「プレフィルド」することはできない。これにより、装置の最終的な組立後に複雑な工程が追加され、費用のかかる付加的な設備、別個に薬物容器を取扱うこと、及び/または注入前に充填工程を自分で行うために患者を訓練することが必要となることが多い。本発明の実施形態は、代わりに、様々な製造工程を通じて流体経路アセンブリの無菌性及び/または無菌の状態を維持する、プレフィルドされた薬物送達装置の製造、組立て及び使用を可能にする。
【0025】
さらに、本発明の新規な実施形態を組み込んだ薬物送達装置は、最終的に滅菌する必要がないので、装置の構成要素は、通常は滅菌環境に耐えない安価な場合が多い他の材料で構成することができる。例えば、組立後に滅菌する必要がないので、より安価なプラスチックを特定の装置の構成要素に利用することができる。さらに、本発明の実施形態は、最終滅菌を必要とする装置には適していない方法で、装置のアーキテクチャ及び/または構成要素を統合することを可能にする。例えば、装置全体の滅菌が必要な場合、装置のアーキテクチャは、滅菌ガスまたは物質が標的の表面に効果的に到達できるようにする、適切な構成要素の間隔が必要となることが多い。最終滅菌の必要性を排除することにより、これらのスペースの削減または排除が可能になり、最終滅菌が必要な装置には得られない、より小型の全体的な寸法、人的要因、利点、及び/または工業上の設計の選択肢を提供する装置のアーキテクチャを実現する。
【0026】
換言すれば、本発明の実施形態は、薬物流体と接触する構成要素、及び/または滅菌及び/または無菌の流体経路を維持するために必要な構成要素のみを製造業者が滅菌することを可能にできる。また、これらの実施形態は薬物送達装置の組立てに関連する充填及び仕上げの工程の間、薬剤充填業者がこれらの構成要素の無菌性及び/または無菌の状態を維持することを可能にし得る。同様に、本発明の流体経路接続アセンブリを組み込んだ薬物送達装置は、組立て後に装置を滅菌するように構成する必要がないので、より小型またはより効率的な幾何学形状を有することができる。
【0027】
さらに、本発明の実施形態は、薬物容器を充填する標準的な充填・仕上げプロセスが利用できるようにする。これによって、薬物送達装置を構築するために使用される製造プロセスは大幅に単純化される。標準的な充填・仕上げプロセスは、シリンジなどの複数の薬物容器を保持するトレイを利用している。本発明の実施形態により、薬物送達装置の製造業者、製薬会社、または契約する薬物充填業者が、同じ標準的な充填・仕上げプロセスを用いて注入または輸液ポンプ用の薬物容器に充填することが可能になる。これらの薬物容器は、費用効率が高い方法で、一般産業界の慣行であるように、無菌で充填することができる。さらに、流体経路接続アセンブリを据付けた後、組み合わされたアセンブリは、装置の構成要素の残りの部分を滅菌する必要なく、薬物送達装置に嵌合することができる。したがって、本発明の実施形態は、流体経路アセンブリを費用効率が高く合理的なプロセスで滅菌、組立て、充填し、薬物送達装置に組み込むことを可能にする新規な構成要素を提供することができる。
【0028】
薬物容器及び他の薬物送達装置を充填するプロセスでは、2つ以上の滅菌された構成要素またはサブアセンブリを接続することが時に必要である。例えば、着用可能な注入器または薬物ポンプは、標準的な薬剤充填・仕上げプロセスを使用して流体薬物で充填できる薬物容器を含み得る。薬物容器を充填した後、薬物容器を1つ以上の追加の構成要素またはサブアセンブリに接続する必要があり、その結果、薬物容器とこれらの構成要素との間の流体連通を確立することができる。流体経路を無菌の状態で維持することは、薬物及び/または流体経路へ有害な微生物または微粒子が入り込むのを防止する上で重要である。2つ以上の無菌の構成要素またはサブアセンブリの接続は、典型的にはクリーンルームのような無菌の環境で行われ、それによって有害な微生物または微粒子がアセンブリに混入しないことを確実にする。しかし、これは、薬物送達装置を製造するためのコストの増加につながる可能性がある。
【0029】
本発明の新規な装置は、一体型の安全機構を有する流体経路接続アセンブリと、このような流体経路接続アセンブリを組み込んだ薬物送達ポンプとを備える。このような装置は安全で使い易く、自己投与する患者には審美的にも人間工学的にも魅力的である。本明細書で説明する装置は、訓練を受けていない使用者に対してでも装置の作動、動作、及びロックアウトを平易にする機構を組み込んでいる。本発明の新規な装置は、公知の従来技術の装置に関連する問題を伴わずに、これらの望ましい特徴を提供する。新規な薬物送達ポンプ、流体経路接続アセンブリ、及びそれらの各構成要素の特定の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照しながら本明細書にさらに記載される。本明細書に記載の装置は、制御下の物質を送達するために構成することができ、さらに、薬剤のいわゆる「暴走」送達を防止する機構を含むことができる。制御下の物質を送達するとき、これは患者を保護するための重要な安全機構である可能性がある。例えば、インスリンなどの一部の薬剤は、過剰な量を投与した場合、及び/または速過ぎる速度で投与した場合、危険であり、致死の潜在可能性がある場合さえある。このような自動安全停止機構を設けることにより、患者の安全を確保することができる。
【0030】
本明細書で使用する「ポンプ」という用語は、作動の際に標的に流体を投与することができる任意の数の薬物送達システムを含むことを意図する。そのような薬物送達システムには、例えば、注入システム、輸液ポンプ、ボーラス注入器などが含まれる。
図1A~1Cは、本発明の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達装置を示す。薬物送達装置は、治療薬物の標的内への送達を管理するために利用してもよい。
図1A~1Cに示すように、薬物ポンプ10は、ポンプハウジング12を含む。ポンプハウジング12は、薬物ポンプの製造、組立て、及び操作を容易にするために、固定するように係合可能な1つまたは複数のハウジングサブコンポーネントを含むことができる。例えば、薬物ポンプ10はポンプハウジング12を含み、ポンプハウジング12は上側ハウジング12Aと下側ハウジング12Bとを含む。薬物ポンプは、さらに、作動機構14、状態標識(図示せず)、及び窓18を含むことができる。ウィンドウ18は、薬物ポンプの動作を覗き見ることができる任意の半透明または透過性の表層部であってよい。
図1Bに示すように、薬物ポンプ10は、アセンブリプラットフォーム20、薬物容器50を有する駆動機構100、挿入機構200、流体経路接続アセンブリ300、及び動力及び制御システム400をさらに含む。滅菌流体導管30(
図30のように)は、流体経路接続アセンブリ300を挿入機構200に流体接続することができる。このような薬物ポンプの構成要素のうちの1つ以上は、モジュールであることができ、例えば、別個の構成要素として予め組立てられ、製造時に薬物ポンプ10のアセンブリプラットフォーム20の所定の位置に構成されてもよい。
【0031】
ポンプハウジング12は、すべての装置構成要素を含み、装置10を使用者の組織などの標的に取り外し可能に取付ける手段を提供する。また、ポンプハウジング12は環境の影響から装置10の内部の構成要素を保護する。ポンプハウジング12は、訓練されていない及び/または身体的に障害を有することのある使用者が容易に包装し、保管し、取扱い、また使用することを容易にするように、人間工学的及び審美的に、サイズ、形状、及び関連する特徴が設計される。さらに、ポンプハウジング12の外面は、製品のラベリング、安全指示などを設けるために利用してもよい。さらに、上述したように、ハウジング12は、動作のフィードバックを使用者に提供することができる状態標識(図示せず)及び窓18などの特定の構成要素を含むことができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態で、薬物ポンプ10は、使用者が移動させて動力及び制御システム400への開始コマンドをトリガする作動機構14を提供する。好ましい実施形態では、作動機構は、スタートボタン14であり、上側ハウジング12A(
図1A)の開口部などのポンプハウジング12を穿孔して配置されるか、上側ハウジング12Aと下側ハウジング12Bとの間(図示せず)に配置され、動力及び制御システム400の制御アーム(図示せず)に接触する。少なくとも一実施形態で、スタートボタン14はプッシュボタンであってもよく、他の実施形態では、オン/オフスイッチ、トグル、または当技術分野で知られている任意の類似の作動機構であってもよい。ポンプハウジング12はまた、状態標識(図示せず)及び窓18を含むことができる。他の実施形態では、作動機構14、状態標識、窓18、及びそれらの組合せのうちの1つ以上は、上側ハウジング12Aまたは下側ハウジング12B、例えば薬物ポンプ10を標的に置いたときに使用者から見える側などに設けることができる。ハウジング12は、本発明の他の構成要素及び実施形態を参照しながら、以下でさらに詳細に説明される。
【0033】
薬物ポンプ10は、作動機構を押し下げることにより使用者が作動させると開始され、流体経路を標的に挿入し、薬物容器、流体経路、及び滅菌流体導管の間の必要な接続が可能になるか、接続されるか、開き、薬物容器内に貯えられた薬物流体を強制的に流体経路及び滅菌流体導管を介して標的に送達するように構成されている。これらの動作の各々は、作動機構の押下げ時に同時に開始されてもよく、あるいは、1つ以上の動作を遅らせてもよい。流体経路の接続は、使用者が直接開始させてもよいし、使用者による何らかの初期の工程の後に(本明細書に記載のように)装置の別の機構によって作動させてもよい。
【0034】
例えば、薬物ポンプが早期に作動するのを防止するために、1つ以上の任意選択の安全機構を利用することができる。例えば、薬物ポンプ10が標的と接触しなければ、動力及び制御システム400または作動機構14が確実に係合できないようにするために、任意のオンボディセンサ24を安全機構として一実施形態に設けることがある。そのような一実施形態では、オンボディセンサは、下側ハウジング12Bの底部に配置され、そこで、標的と接触することができる。オンボディセンサが変位すると、作動機構の押下げが許容される。したがって、少なくとも1つの実施形態では、オンボディセンサ24は、例えば、機械でのロックアウトなどの機械による安全機構であり、作動機構14による薬物ポンプ10のトリガを防止する。別の実施形態では、オンボディセンサは、動力及び制御システム400に信号を送り、作動を可能にする機械によるロックアウトなどの電気機械的センサであってもよい。さらに他の実施形態では、オンボディセンサは、動力及び制御システム400の作動を可能にする前に組織を検知しなければならない容量式センサやインピーダンスベースのセンサのような、電気に基づくものであり得る。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、ハウジング12は、有害物質が薬物ポンプに入るのを少なくとも一部防止するように構成される。例えば、ハウジングは、薬物ポンプ内に流体が通るのを制限するように構成してもよい。これにより、シャワー中、水泳中、または他の活動中に装置を着用することができる。電気式皮膚センサを使用することで、薬物ポンプへの潜在的な侵入箇所を排除することができる。これらの概念は互いに排他的なものではなく、例えば、薬物ポンプの早期作動を防止するために、本発明の範囲内で1つ以上の組合せを利用してもよい。好ましい実施形態では、薬物ポンプ10は、1つ以上の機械的なオンボディセンサを利用する。本明細書では、新規な薬物ポンプの他の構成要素を参照しながら、一体型のさらなる安全機構について説明する。
【0036】
動力及び制御システム
動力及び制御システム400は、薬物ポンプ内の様々な電気的な構成要素、1つまたは複数のフィードバック機構、マイクロコントローラ、回路基板、1つまたは複数の導電性パッド、及び1つまたは複数の相互接続のためのエネルギーを供給する電源を含む。当業者に理解されるように、そのような電気システムに一般的に使用されている他の構成要素も含み得る。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、ピエゾアラームのような可聴アラーム、及び/または発光ダイオード(LED)のような光インジケータを含み得る。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであってもよい。動力及び制御システム400は、使用者とのいくつかの装置の相互作用を制御し、駆動機構100とインターフェース接続する。一実施形態では、動力及び制御システム400は、制御アームとインターフェース接続し、オンボディセンサ24及び/または作動機構14を作動させたときを識別する。また、動力及び制御システム400は、光の移動を可能にする透過性または半透明の材料であり得るポンプハウジング12の状態標識16とインターフェース接続して、視覚的フィードバックを使用者に提供し得る。動力及び制御システム400は、1つまたは複数の相互接続を介して駆動機構100とインターフェース接続して、作動、薬物送達、及び投与終了などの状態表示を使用者に中継する。そのような状態表示は、可聴アラームなどの聴覚性の音及び/またはLEDを介したような視覚インジケータを介して使用者に提示されてもよい。好ましい実施形態では、動力及び制御システムと薬物ポンプの他の構成要素との間の制御インターフェースは、使用者による作動時まで係合または接続されていない。これは、薬物ポンプの偶発的な動作を防止し、貯蔵、輸送などの間に電源に含まれるエネルギーをさらに維持することができる望ましい安全機構である。
【0037】
動力及び制御システム400は、いくつかの異なる状態標識を使用者に提供するように構成されてもよい。例えば、動力及び制御システム400は、オンボディセンサ及び/またはトリガ機構が押された後、装置の始動チェックがエラーを提示しないなら、動力及び制御システム400が状態標識16を介して準備完了状態信号を提供するように構成することができる。準備完了状態信号を提示した後、任意のオンボディセンサを用いた実施形態では、オンボディセンサが標的と接触したままである場合、動力及び制御システム400は、駆動機構100に、流体経路接続アセンブリ300と滅菌流体導管を通る治療薬物の送達を開始する動力を供給する。本発明の好ましい実施形態では、挿入機構200及び流体経路接続アセンブリ300は、作動機構14の使用者の操作によって直接または間接的に作動させることができる。薬物送達プロセス中、動力及び制御システム400は、状態標識16を介して分配状態信号を提示するように構成されている。薬物が標的内に投与された後、また、付加的なドエル時間の終了後、実質的に全投与量が標的に送達されたことを確実にするために、動力及び制御システム400は、状態標識16を介して除去可能状態信号を供給することができる。これは、ポンプハウジング12の窓18を介して駆動機構及び薬物投与量の送達を見ることによって、使用者が独立して確認してもよい。さらに、動力及び制御システム400は、例えば、故障または動作が失敗した事態を示すアラートなど、1つまたは複数のアラート信号を、状態標識16を介して提示するように構成することができる。
【0038】
他の動力及び制御システムの構成を、本発明の新規な薬物ポンプに関し利用することができる。例えば、ある作動の遅延を薬物送達の間に利用することができる。上述したように、システム構成内に任意に含まれるこのような1つの遅延はドエル時間であり、これは実質的に全薬物用量が送達されてから使用者に完了したことを通知するのを確実にする。同様に、装置の作動は、薬物ポンプの作動前に薬物ポンプ10の作動機構14を遅れて押下げること(すなわち押込み)が必要となることがある。さらに、システムは、使用者が投与終了信号に応答し、薬物ポンプを停止またはパワーダウンすることを可能にする機構を含むことができる。このような機構は、装置の偶発的な作動停止を防止するために、作動機構を遅れて押下げることが同様に必要となることがある。このような機構により、薬物ポンプに望ましい安全性が組み込まれ、使い易いパラメータが得られる。付加的な安全機構を作動機構に組み込み、部分的な押下げを防ぎ、それによって薬物ポンプの部分的な作動を防止することができる。例えば、作動機構及び/または動力及び制御システムは、部分的な作動を防止するために、装置が完全にオフまたは完全にオンになるように構成することができる。このような機構は、新規な薬物ポンプの他の態様に関連させて以下にさらに詳細に記載される。
【0039】
挿入機構
複数の挿入機構が、本発明の薬物ポンプ内で利用され得る。少なくとも1つの実施形態では、挿入機構200は、1つ以上のロックアウト窓を有する挿入機構ハウジングと、(
図1B及び
図1Cに示すように)アセンブリプラットフォーム及び/またはポンプハウジングに接続するためのベースとを含む。アセンブリプラットフォーム20へのベースの接続は、
図1Cに示すように、例えば、ベースの底面がアセンブリプラットフォームの穴を通り抜けてベースが標的に直接的に接触し得るようにするものでもよい。このような構成では、ベースの底部は、薬物ポンプ10の使用前に除去可能なシール用の膜を含むことができる。挿入機構は、1つ以上の挿入付勢部材、針、後退付勢部材、カニューレ、及びマニホールドをさらに含み得る。マニホールドは滅菌流体導管に接続し得、薬物送達の間、マニホールド、カニューレを経て、そして標的内へと流体が流れることが可能になる。
【0040】
本明細書で使用する「針」は、鋼製の硬質の中空針といった通常の中空針、及びより一般的に「トロカール」と呼ばれるコアが中実の針を含むが、これに限定されない様々な針を示すものと意図している。一部の実施形態では、針は27ゲージのコアが中実のトロカールであり、他の実施形態では、針は意図している薬物及び薬物投与のタイプ(例えば、皮下、筋肉内、皮内など)用のカニューレを挿入するのに適した任意のサイズの針である場合がある。一実施形態では、挿入機構は、概して、WO 2013/033421 A2として公開された国際特許出願PCT/US2012/53174号、WO 2013/033467 A2として公開された国際特許出願PCT/US2012/053241号、または国際特許出願PCT/US2015/052815号に記載されており、これらは全体が、あらゆる目的のために本明細書に参照として含まれている。
【0041】
駆動機構
複数の駆動機構を利用して、流体を薬物容器50から標的内に送達するように強いることができる。そのような1つの実施形態では、駆動機構100は、駆動ハウジング、状態スイッチ相互接続部、及びクリンプキャップ324、穿孔可能シール326、バレル58、及びバレル内のプランジャシール60を有する薬物容器50を含む。薬物容器は、穿孔可能シールとプランジャシールとの間のバレル内に、挿入機構及び薬物ポンプを介して標的内に送達する薬物流体を含み得る。本明細書に記載のシールは、いくつかの材料から構成することができるが、好ましい実施形態では、1つ以上のエラストマーまたはゴムから構成される。駆動機構は、流体経路接続アセンブリの穿孔部材を薬物容器のバレル58へ挿入するのを案内するための接続マウントをさらに含むことができる。駆動機構100は、1つ以上の駆動付勢部材、1つ以上の解除機構、及び1つまたは複数のガイドをさらに含むことができる。駆動機構の構成要素は、流体を薬物容器から穿孔可能シール、または好ましくは流体経路接続アセンブリの穿孔部材を通って強制的に流出させ、流体経路接続アセンブリ、滅菌流体導管、及び標的への挿入機構を介して送達するよう機能する。
【0042】
1つの特定の実施形態では、駆動機構100は、付勢部材(複数可)として1つまたは複数の圧縮ばねを使用する。使用者が薬物ポンプを作動させると、動力及び制御システム400が作動して、圧縮ばね(複数可)を、エネルギーを与えられた状態から直接または間接的に解放することができる。解放時に、圧縮ばね(複数可)は、プランジャシールに当接して作用して、流体薬物を薬物容器から押し出すことができる。流体経路接続アセンブリ300は、駆動機構が作動する前、それと同時またはその後に、穿孔可能シールを介して接続することができ、流体が薬物容器から流体経路接続アセンブリ、滅菌流体導管、及び挿入機構を通って、そして薬物送達の標的内に流れるのを可能にする。少なくとも1つの実施形態では、流体は、挿入機構のマニホールドまたは針、及びカニューレのみを通って流れ、それにより、薬物送達の前及び間での流体経路の無菌性が維持される。そのような構成要素及びそれらの機能は、以下でさらに詳細に説明される。
【0043】
駆動機構100の構成要素は、作動時に、薬物容器のプランジャシールが遠位方向へ軸方向並進するよう駆動するために使用し得る。任意選択的に、駆動機構100は、例えば、実質的に全薬物用量が標的に送達されたことを確実にし、フィードバック接触機構が接続されたことを確認するために、プランジャシールのさらなる軸方向並進を可能にする1つ以上のコンプライアンス機構を含むことができる。加えてまたは別法として、プランジャシールそれ自体は、薬物容器からの薬物流体のコンプライアンスの押出しを可能にする圧縮性を幾分有することができる。駆動機構100は、同様に、駆動機構及び装置の動作前、動作中及び動作後の駆動機構の状態を測定し、使用者に伝達するために、相互接続部及びコンタクトなどの1つまたは複数の状態表示機構を含むことができる。さらに、駆動機構100は、早期作動防止機構などの1つ以上の安全機構を含み、機構と装置の安全性と使用性を向上させることができる。駆動機構100に関するさらなる詳細は、本明細書において、薬物ポンプの他の構成要素を参照しながら提供する。一実施形態では、挿入機構は、概して、WO 2013/033421 A2として公開された国際特許出願PCT/US2012/05174号、またはWO 2014-036239A2として公開された国際特許出願PCT/US2013/057259号に記載されているようにすることができ、それらはあらゆる目的のために全体が参照により本明細書に含まれている。
【0044】
流体経路接続アセンブリ
本流体経路接続アセンブリの実施形態は、流体流路の無菌の状態を維持しながら、腐敗的環境での2つ以上の構成要素またはサブアセンブリ間の接続を可能にする。理解されるように、流体経路接続アセンブリは、任意の向きに配置してよい。例えば、
図2A~10に示すように、穿孔部材は薬物容器と、軸方向で一直線になるようにしてもよい。他の実施形態では、
図22~29に示すように、流体経路接続アセンブリの穿孔部材が薬物容器に対してある角度をなすように、流体経路接続アセンブリを配置することができる。代替の実施形態では、穿孔部材は円弧状に配置する場合がある。そのような構成の例示的な実施形態を
図11A~21に示す。流体経路接続アセンブリの向きは、薬物ポンプ10の所望の全体的なサイズ及び形状、及び薬物ポンプ内の利用可能な空間に基づいて選択してもよい。
【0045】
図2A~10は、そのような流体経路接続アセンブリの一実施形態を示す。
図2A~2Bでわかるように、流体経路接続アセンブリ300は、薬物容器50に接続し得る。
図2Aは接続前のこれらの構成要素を示し、
図2Bは接続後の構成要素を示す。本明細書で説明するように、流体経路接続アセンブリ300は、流体流路の無菌の状態を損なうことなく薬物容器50に据付けることができる。流体経路接続アセンブリ300は、導入器部材320、穿孔部材316、導入器部材リテーナ330、穿孔部材リテーナ314、接続ハブ312、プレート334、付勢部材336、滅菌ブーツ340、及び第1のフィルム318を含む。
図3A~3Bは、流体経路接続アセンブリ300の分解図を示す。
【0046】
本発明の一態様(
図4A及び
図4B参照)によれば、接続ハブ312は空洞312Aを含む。滅菌ブーツ340は、空洞312Aを無菌でさらに画定し得る。一実施形態では、滅菌ブーツ340は、第1の端部で接続ハブ312に固定するように接続され、第2の端部で導入器部材リテーナ330に接続される。滅菌ブーツ340は、エラストマーなどの可撓性材料から構成され、それによって動作中に滅菌ブーツは接続ハブ312と導入器部材リテーナ330の両方との係合を維持するように変形できる。第1のフィルム318は、接続ハブ312の開口部312Bを覆うように配置され、微生物及び他の汚染物質が開口部312Bを通って空洞312Aに入るのを防ぐ。このようにして、滅菌ブーツ340、接続ハブ312、及び第1のフィルム318が含まれる、またはこれらで境界が作られる領域は、空洞312Aを画定し、空洞312Aの無菌の状態を維持する。
【0047】
図2Bに示すような据付けられていない構成、また
図4A~4Bに示すような初期の非作動構成では、導入器部材320の少なくとも一部が、無菌の空洞312A内に配置される。穿孔部材316の少なくとも穿孔先端は、導入器部材320の内腔320A内に部分的に保持され、穿孔部材316は、導入器部材320内に嵌まり込ませて配置される。また、穿孔部材316は、穿孔部材リテーナ314に少なくとも一部配置される。このようにして、導入器部材320及び穿孔部材316は、同じ様に空洞312A内で無菌の状態に維持される。
【0048】
穿孔部材316は、穿孔部材リテーナ314に係合し、穿孔部材リテーナ314の並進が穿孔部材316に伝達されて、動作中実質的に固定された空間的関係を維持するようにする。穿孔部材316は、当業者に公知の任意の方法、例えば接着、プレスフィット、ステーキングなどを用いて穿孔部材リテーナ314と係合することができる。穿孔部材316は、例えば中空針であってもよい。
【0049】
導入器部材320は、導入器部材リテーナ330によって少なくとも一部が保持され、導入器部材リテーナ330と係合され、導入器部材リテーナ330の並進が導入器部材320に伝達されて、動作中に実質的に固定された空間的関係を維持するようにする。導入器部材320は、当業者に公知の任意の方法、例えば、接着、プレスフィット、ステーキング、または任意の他の適切な方法を用いて導入器部材リテーナ330と係合させることができる。
【0050】
穿孔部材リテーナ314及び導入器部材リテーナ330は、接続ハブ312と係合し、穿孔部材316の長軸に平行な方向(
図4Bに示す軸「A」)に、接続ハブに対して並進するように構成することができる。接続ハブ312、穿孔部材リテーナ314、及び導入器部材リテーナ330は、以下でより詳細に説明するように、互いに対する配向及び位置を維持するための1つまたは複数の機構を含むことができる。
【0051】
流体経路接続アセンブリ300は、穿孔部材316及び導入器部材320の一方または両方を薬物容器50に向けて前進させるように配置した挿入ドライバを、さらに備えていてもよい。この実施形態では、少なくとも1つの付勢部材336が、穿孔部材316及び導入器部材320の一方または両方を薬物容器50に向かって前進させるよう設けられる。付勢部材336は、最初は圧縮状態またはエネルギーが与えられた状態にあり、展開または消勢した状態になるのを制止する。付勢部材336の第1の端部は、軸方向に固定されたプレート334と接触し、付勢部材336の第2の端部は、穿孔部材リテーナ314と接触する。一実施形態では、付勢部材336は、穿孔部材リテーナ314の肩部314Dと接触する。組立て中、プレート334の動きは、プレート334(
図8参照)の通路334Aを通って挿入される接続ハブ312(
図7参照)のスナップ312Cと係合することによって、制限される。初期の構成において、穿孔部材リテーナ314(
図9参照)の軸314Aは、プレート334の中心孔334Bを通り抜け、インターロック338(
図2A、2B、4A、4B参照)によって係合される。インターロック338は、プレート334の遠位側に配置され、プレート334に対する穿孔部材リテーナ314の並進を防止するために、軸314A上の1つ以上のローブ314Bと係合する。このようにして、付勢部材336の展開または消勢が、制止される。本明細書でさらに説明するように、穿孔部材リテーナ314の並進を抑制しない構成へとインターロック338を変形することで、付勢部材336の展開及び流体経路の薬物容器50への接続が可能になる。
【0052】
薬物容器50は、穿孔可能シール326とバレル58との間の接続を維持するクリンプキャップ324を含むことができる。穿孔可能シールは、流体薬物をバレル内に維持し、微生物及び他の物質が薬物室に入るのを防ぐ。凹部328(
図4Bで最もよく見える)は、穿孔可能シール326の幾何学形状によって形成される。凹部328を囲むように薬物容器に第2のフィルム322が貼り付けられ、それによって凹部328を無菌の状態に維持する。
【0053】
第1のフィルム及び第2のフィルムは、関連する表面の無菌の状態を維持するのに必要なバリア特性を付与することを可能にする任意の材料で構成できる。好ましい実施形態において、フィルムは、箔材料から構築される。あるいは、フィルムは、任意のタイプの滅菌可能な膜、フィルム、または箔であってもよい。さらに、フィルムは、除去可能及び/または穿孔可能であり、さらに通気性及び/または透過性でもよい。
【0054】
流体経路接続アセンブリと薬物容器を接合する前に、第1のフィルム318と第2のフィルム322の両方の外面に表面処理を施すことができる。表面処理は、抗菌剤、抗菌薬、または抗ウイルス化合物を含有して、シール表面のそのような物質の数を制限または減少させることができる。
【0055】
接続ハブ312は、バレル係合態様312Dを含むことができる。バレル係合態様312Dは、クリンプキャップ324及び/またはバレル58のネック58Aに係合するように構成された1つ以上の可撓性アーム312Eを含み得る。接続中、可撓性アーム312Eは、クリンプキャップ324または薬物容器の別の部分と係合することができ、それによって薬物容器に対する流体経路接続アセンブリの軸方向の並進を制限する。この位置では、第1のフィルム318及び第2のフィルム322は、互いに接触しているか近接している。一実施形態では、第1のフィルム318及び第2のフィルム322は、接着剤を含み、組立て中にフィルムが互いに結合されるようにする。
【0056】
図4A~4Bは、据付けられている非作動構成、すなわち、接合された後の接続ハブ312と薬物容器50の断面側面図を示す。この構成では、導入器部材320は少なくとも一部が空洞312A内に配置され、インターロック338の穿孔部材リテーナ314との係合は、付勢部材336を圧縮状態またはエネルギーを与えられた状態に保持する。第1のフィルム318及び第2のフィルム322は無損傷であり、それによって空洞312A及び穿孔可能シール326の無菌の状態をそれぞれ維持する。
【0057】
作動構成が
図5A~5Bに示されている。一実施形態では、作動でインターロック338を変位または変形することができ、そのため穿孔部材リテーナ314が並進するのをもはや制限しない。作動すると、穿孔部材リテーナ314及び導入器部材リテーナ330は、接続ハブ及び薬物容器50に対して軸方向に並進できる。並進は、付勢部材336の展開または消勢により引き起こすことができる。一実施形態では、付勢部材336は圧縮ばねである。穿孔部材リテーナ314は、導入器部材リテーナ330と接触しているので、穿孔部材リテーナ314が並進すると、導入器部材リテーナ330は、穿孔部材リテーナ314と共に並進する。例えば、穿孔部材リテーナ314(
図9参照)の近位面314Cは、導入器部材リテーナ330(
図10参照)の突出部330Aと接触することができる。近位面314Cは、突出部330Aと接触する面取りされたまたは丸みのある部分を含むことができる。穿孔部材リテーナ314と導入器部材リテーナ330との接触面は、穿孔部材リテーナ314が、軸方向の力に加えて、突起部330A、そしてこれによって延長部330Dに半径方向内向きの力を加えるように構成することができる。しかし、最初に、延長部330Dのフィンガ330Cは、接続ハブ312のリブ312Gと接触することによって、内側に変位することを防止する(
図3A、3B、5B参照)。したがって、導入器部材リテーナ330は、穿孔部材リテーナ314と共に並進する。穿孔部材リテーナ314の並進により、穿孔部材316が並進し、導入器部材リテーナ330が並進することによって、導入器部材320の並進が生じる。この並進により、導入器部材320が、
図5A~5Bに示すように、第1のフィルム318及び第2のフィルム322を穿孔させる。穿孔部材316は、導入器部材320内に配置されるので、第1のフィルム318及び第2のフィルム322と接触せず、したがってフィルムの表面上に存在する汚染物質は、穿孔部材316と接触しないということが理解されよう。
【0058】
導入器部材320が第1のフィルム318及び第2のフィルム322を穿孔した後、導入器部材リテーナ330の並進は、その並進が凹部328に配置された導入器部材の先端で終わるように制限される(すなわち、導入器部材は穿孔可能シール326を通り抜けない)。導入器部材リテーナ330の並進は、例えば、近位面330Bの一部分が接続ハブ312のフランジ312Fと接触することにより制限できる。導入器部材リテーナ330の近位面330B全体がフランジ312Fに接触する必要はない。例えば、フィンガ330Cがフランジ312Fに接触してもよい。この位置では、フィンガ330Cはもはや接続ハブ312のリブ312Gと接触していない。このため、延長部330Dは半径方向内側に撓むことができる。その結果、付勢部材336の継続的な展開と穿孔部材リテーナ314の並進により、延長部330Dが内側に移動し、穿孔部材リテーナ314が導入器部材リテーナ330を通り過ぎることができる。
【0059】
ここで
図6A~6Bに話を移すと、流体経路接続アセンブリ300の送達構成が示されている。付勢部材336の継続的な展開により、穿孔部材リテーナ314がさらに変位して、穿孔部材316により穿孔可能シール326が穿孔するように導くことができる。したがって、導入器部材リテーナ330のさらなる並進が、接続ハブ312との接触により防止された状態で、付勢部材336を継続的に展開することで、穿孔部材リテーナ314を、導入器部材リテーナ330に対して近位方向に並進させる。穿孔可能シールが穿孔した後、薬物容器から穿孔部材316を通る流体経路が確立される。当業者であれば、穿孔部材316はまた(
図30のように)導管30と流体連通することができ、導管は、患者に送達するために、流体の内容物を挿入機構などの送達機構に運ぶように構成されることが理解されよう。
【0060】
代替の実施形態では、第1及び第2のフィルムの穿孔は、組立て時に生じる。このような実施形態では、使用時またはそれに近い時点での穿孔可能シールの穿孔は、作動機構との相互作用により開始することができる。
【0061】
少なくとも1つの実施形態で、第1及び第2のフィルムは、導入器部材により第1の時間、例えば組立ての時に穿孔され、穿孔部材が、後に、例えば作動時に穿孔可能シールを穿孔する。そのような実施形態では、穿孔部材の端部は、使用時まで凹部328内に配置された状態であってよい。穿孔可能シールは、薬物室内の油圧及び/または空気圧に応じて、穿孔可能シール326が変形するか変位して、穿孔部材と接触するように構成できる。穿孔可能シール326のこの変形は、穿孔部材316によるシールの穿孔に至る。このような実施形態では、導入器部材320は、第1及び第2のフィルムを穿孔した後に後退させることができる。
【0062】
図2A~10に示す実施形態は、穿孔部材316が薬物容器50と実質的に軸方向に一列になるように構成されているが、当業者は、この向きを任意の向きに構成できることを認識するであろう。例えば、穿孔部材316の軸は、薬物容器50の中心軸に直交するように配向してもよい。あるいは、軸は、平行と直交との間の任意の角度に配向してもよい。この角度または向きの選択は、薬物ポンプ10の空間条件に基づいて選ぶことができる。
【0063】
別の実施形態では、
図11A~21に示すように、導入器部材及び穿孔部材は円弧状に配置される。流体経路接続アセンブリが弧状構成であると、流体経路接続アセンブリのフットプリントを縮小し、薬物ポンプ10の全体的なサイズをより小さくすることができる。流体経路接続アセンブリ1300は、導入器部材1320、穿孔部材1316、導入器部材リテーナ1330、穿孔部材リテーナ1314、接続ハブ1312、軸1342、及び第1のフィルム1318を含む。上述したように、接続ハブ1312は、例えば薬物容器1050のクリンプキャップ1324及び/またはネック1058Aと係合することによって、薬物容器1050に係合するように構成していてもよい。
【0064】
導入器部材1320は、直接的または間接的に導入器部材リテーナ1330に連結し得る。例えば、図示の実施形態で導入器部材1320は第1のスリーブ1344に固定するよう接続される。次に、第1のスリーブ1344は、第2のスリーブ1346と係合する。最後に、第2のスリーブ1346は、導入器部材リテーナ1330と、例えば図示された掛合により係合する。第1のスリーブ1344及び第2のスリーブ1346は、穿孔部材1316が通り抜けることができる隔壁1348を、さらに保持することができる。
【0065】
同様に、穿孔部材1316は、穿孔部材リテーナ1314に直接的または間接的に連結されてもよい。図示された実施形態では、穿孔部材1316は、保護器1350と係合される。保護器1350は、例えば、図示された掛合した構成によって、穿孔部材リテーナ1314と係合する。
【0066】
図12A~12Bに示す初期の非作動構成では、導入器部材1320は最初、空洞1312A内に少なくとも一部が配置されている。穿孔部材1316は、導入器部材1320の内腔1320A内に少なくとも一部が配置される。空洞1312Aは、第1のフィルム1318によって無菌の状態で維持される。空洞1312Aの無菌の状態は、キャップ1354とリングシール1352によってさらに維持できる。リングシール1352は、キャップ1354によって接続ハブ1312及び/または導入器部材1320と密封式に係合されて、保持される。リングシール1352はここでは円形断面で示されているが、リングシールは、当業者に知られている任意の形状をとり得る。あるいは、例えば、無菌の状態を中隔によって維持することができる。
【0067】
作動させると、導入器部材リテーナ1330及び穿孔部材リテーナ1314は、軸1342を中心として回転する。軸1342は、
図19に示すように、接続ハブ1312と一体に形成され得、ハウジング12の機構であってもよく、または、接続ハブ1312またはハウジング12と係合するピンまたは他の構成要素であってもよいということが理解されよう。これらの実施形態の後者の2つは具体的に図示されていないが、当業者は容易に理解するであろう。穿孔部材1316及び導入器部材1320の一方または両方を薬物容器1050に向けて前進させるために、挿入ドライバを設けることができる。例えば、軸の軸周りの回転は、ねじりばねのような付勢部材が消勢することによって引き起こすことができる。あるいは、薬物ポンプ10の駆動部材によって回転を引き起こすことができる。例えば、針挿入機構200は、作動時に、穿孔部材リテーナ1314の一側面に接触し、穿孔部材リテーナ1314及び導入器部材リテーナ1330の回転を引き起こす駆動部材を含むことができる。別の実施形態では、針挿入機構の付勢部材は、穿孔部材リテーナ1314に当接し、その回転を引き起こす。
【0068】
穿孔部材リテーナ1314及び導入器部材リテーナ1330は、最初は単一体として回転することができる。
図15B及び21を参照すると、導入器部材リテーナ1330は、最初に突出部1314Eと歯1314Fとの間に配置してもよい。これらは両方とも穿孔部材リテーナ1314の機構である。リテーナは、
図13A~13Bに示す作動構成に関連して移動する。この位置では、導入器部材1320は、第1のフィルム1318及び第2のフィルム1322を穿孔しているが、穿孔可能シール1326は穿孔していない。この位置またはその近くで、穿孔部材リテーナ1314の可撓性アーム1314Gが接続ハブ1312及び/またはキャップ1354に接触する。そのため、穿孔部材リテーナ1314を継続的に回転させることで、可撓性アーム1314Gが下方に変位する。その結果、突出部1314Eと導入器部材リテーナ1330との接触は、もはや導入器部材リテーナ1330の回転を引き起こさない。したがって、穿孔部材リテーナ1314のさらなる回転は、導入器部材リテーナ1330のさらなる回転を引き起こさない。
【0069】
図14A~14Bに示された送達構成に示しているように、穿孔部材リテーナ1314の回転が継続すると、穿孔部材1316が穿孔可能シール1326を穿孔し、そのため薬物容器1050から穿孔部材1316を通る流路を開く。穿孔部材1316は、患者への流体薬物の送達を可能にするために、例えば流体導管によって、挿入機構200に流体連通し得る。
図18A~18Bに示すように、この構成において、歯1314Fは、穿孔部材1316の後退を防ぐために、キャップ1354及び/または接続ハブ1312と係合することができる。
【0070】
図22は、流体経路接続アセンブリ2300の別の実施形態の分解図を示す。流体経路接続アセンブリ2300は、接続ハブ2312、導入器部材2320、導入器部材リテーナ2330、穿孔部材2316、穿孔部材リテーナ2314、及び任意選択で、阻止態様2356を含む。さらに、第1のフィルム2318が、流体経路接続アセンブリの少なくとも一部の無菌の状態を維持するように設けられてもよい。また、流体経路接続アセンブリは、上述の流体経路接続アセンブリの少なくとも一部の無菌の状態を維持するように構成されたリングシール2352及び隔壁2348を含むことができる。阻止態様2356は、インターロック2338が連結態様2312Hで接続ハブ2312に係合する状態で構成することができる。加えてまたは別法として、阻止態様2356は、ハウジング12の態様と係合するように構成してもよい。阻止態様2356は、これらの係合箇所の周りを回転するように構成してもよい。
【0071】
図23Aは、組立前の非作動構成の薬物容器50と流体経路接続アセンブリ2300を示す。上記の議論から理解されるように、この組立て工程は、制御されていない環境、または従来技術の設計に必要とされる環境ほど制御されていない環境で行うことができる。穿孔可能シール2326をバレル2058に連結するクリンプキャップ2324に流体経路接続アセンブリ2300を据付けるために、バレル係合態様は、穿孔可能シール2326またはクリンプキャップ2324に係合する接続ハブ2312の1つ以上の可撓性アーム2312Eを含むことができる。
図23B~23Dは、一旦薬物容器2050に据付けられた流体経路接続アセンブリ2300の動作段階の等角図を示す。
【0072】
まず、
図23Bに示す非作動構成では、阻止態様2356が穿孔部材リテーナ2314と最初に係合して、阻止態様2356が穿孔部材リテーナ2314の薬物容器2050への並進を防止するようになっている。加えてまたは別法として、最初に導入器部材リテーナ2330(
図28参照)の1つ以上のアーム2330Eが、接続ハブ2312(
図27参照)の1つ以上の一次窓2312Jに配置される。この係合は、流体経路接続アセンブリの偶発性の作動をさらに防止することができる。例えば、少なくとも1つの実施形態では、アーム2330Eは、一次窓2312Jからの係合解除に抗って偶発的に作動するのを防止するほどの曲げ剛性を付与するように構成される。作動のため十分に力を加えると、アーム2330Eを一次窓2312Jから係合解除して、導入器部材リテーナ2330が並進可能になる。
【0073】
作動時に、例えば、軸Cの周りを回転することによって、阻止態様2356が変位する。阻止態様2356の変位後、穿孔部材リテーナ2314は、
図30に示す回転付勢部材2210などの挿入ドライバから駆動力を加えるのに応答して、薬物容器2050に向かって並進することができる。
図30は、流体経路接続アセンブリ2300を作動させる1つの方法を示す詳細図である。示しているように、回転付勢部材2210は最初、圧縮状態またはエネルギーを与えられた状態で保持される。回転付勢部材2210の第1の端部は、ここでは穿孔部材リテーナ2314である流体経路接続アセンブリ2300の態様と係合している。さらに、回転可能なラッチなどの阻止態様2356は、回転付勢部材2210が消勢すること、したがって、流体経路接続アセンブリ2300の作動を防ぐ。流体経路接続アセンブリ2300を作動させるために、係止態様2356が変位でき、もはや回転付勢部材2210が消勢することを制限しないようにする。そのため、係合態様2356が変位した途端、回転付勢部材2210は少なくとも一部が消勢し、流体経路接続アセンブリ2300は、薬物容器2050への流体流路を開き、流体経路接続アセンブリ2300を介して、薬物容器2050を針挿入機構200と流体連結し、滅菌流体導管30は穿孔部材2316と針挿入機構200に連結される。阻止態様2356の変位は、使用者が作動機構14を押下げるのに応じて起こり得、代替的に別個の機構との相互作用によって制御できる。
【0074】
ここで
図23B~26Bに戻ると、最初に、以下でさらに説明するように、穿孔部材リテーナ2314及び導入器部材リテーナ2330は、薬物容器2050に向かって一緒に移動する。
図23Cは、作動構成、すなわち導入器部材2320が第1の膜2318及び第2の膜2322を穿孔した後の流体経路接続アセンブリを示す。第1の膜2318及び第2の膜2322の穿孔後、導入器部材2320は、さらなる移動が制限される。一実施形態では、この構成では、導入器部材リテーナ2330のアーム2330Eが、1つまたは複数の二次窓2312K内に配置される。この係合は、導入器部材リテーナを定位置に係止し、薬物容器の方または薬物容器から離れる偶発的な並進を防止する。穿孔部材リテーナ2314の継続的な並進により、穿孔部材2316は、薬物容器2050からの流体流路を開くために、穿孔可能シール2326を穿孔する。この送達構成を
図23Dに示す。
【0075】
図24A及び24Bは、初期の非作動構成の流体経路接続アセンブリの断面図を示す。これらの図面で見られるように、阻止態様2356が穿孔部材リテーナ2314と係合して、穿孔部材リテーナ2314が薬物容器に向かって並進するのを防止する。穿孔部材2316は導入器部材2320内に少なくとも一部が配置されている。示すように、この実施形態または任意の実施形態で、導入器部材2320は、導入器部材リテーナ2330の一体的な部分であってもよい。導入器部材2320及び穿孔部材2316は、両方とも、少なくとも一部が滅菌空洞2312Aに配置され、接続ハブ2312、第1のフィルム2318、リングシール2352、及び隔壁2348によって画定される。穿孔部材リテーナ2314の肩部2314Hは、導入器部材リテーナ2330の延長部2330Dと接触している。延長部2330Dは、導入器部材リテーナ2330の比較的可撓な態様で構成されている。しかし、最初の構成では、接続ハブ2312と接触することによって延長部2330Dが撓むことが防止される。したがって、最初、穿孔部材リテーナ2314の薬物容器2050への並進は、穿孔部材リテーナ2314の相応する並進を引き起こしている。
【0076】
図25A~25Bは、中間の作動構成の流体経路接続アセンブリ2300を示す。この構成では、阻止態様2356は、穿孔部材リテーナ2314の並進を制限しないように移動している。導入器部材2320は、第1のフィルム2318と第2のフィルム2322を穿孔し、穿孔部材2316は、穿孔可能シール2326に隣接して配置されている。また、この構成では、延長部2330Dは、接続ハブ2312の凹部2312Lに隣接して配置される。したがって、延長部2330Dは、もはや外側(すなわち、
図25Bの斜線の矢印の方向)に曲がることが制限されていない。延長部2330Dが凹部2312L内に外向きに撓むことができるので、穿孔部材リテーナ2314のさらなる並進により、肩部2314Hが延長部2330Dから係合解除する。これにより、穿孔部材リテーナ2314は、導入器部材リテーナ2330の並進を引き起こさずに、薬物容器2050に向かって並進することが可能になる。
図26A~26Bの送達構成で示すように、これにより、穿孔部材2316は、穿孔可能シール2326を穿孔し、薬物容器2050から流体流路を開くことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、追加のフィルムまたはシールが、導入器部材320、1320、2320の先端に存在してもよく、導入器部材の内腔を密封し、それにより導入器部材の内腔、及びしたがって穿孔部材をさらに隔離し、穿孔部材の無菌の状態を維持するようにしている。このフィルムは、導入器部材が第1のフィルム318、1318、2318及び第2のフィルム322、1322、2322を穿孔する際に無損傷を保つことが可能である。これにより、シールの表面に存在する微生物または他の汚染物質が、穿孔部材と接触するのをさらに防ぐことができる。
【0078】
少なくとも1つの他の実施形態では、第1及び第2のフィルムは、流体経路接続アセンブリ300を薬物容器50に据付ける直前に、流体経路接続アセンブリ及び薬物容器から除去される。フィルムを除去する前、この配置は、薬物容器及び空洞312Aの穿孔可能シールの無菌性を維持する。接続ハブ312及び薬物容器50は、接続ハブのバレルへの接続が、穿孔可能シールと穿孔部材の無菌の状態を維持するための密封式の係合をもたらすように構成できる。このような実施形態では、接続ハブ312及び/または薬物容器50は、密封式の係合をもたらすように構成されたエラストマーの態様を含むことができる。
【0079】
別の実施形態では、接続ハブ312を薬物容器50に据付けた後、空洞312A及び穿孔可能シール326は、UV滅菌を用いて滅菌してもよい。接続ハブ312は、滅菌後に微生物及び他の異物が無菌の表面に接触することができないように、薬物容器と密封式係合させてもよい。そのような実施形態で、接続ハブの少なくとも一部は、ガラスのような実質的に半透明の材料で構成していることがある。
【0080】
本明細書に記載された各実施形態では、接続ハブ、穿孔部材リテーナ、及び/または導入器部材リテーナは、組立て、保管、輸送及び取り扱い中の流体経路接続アセンブリの偶発性の作動を防止する1つ以上の機構を含み得る。これらの機構は、閾値を超える力を加えない場合に作動するのを防ぐことができる。これらの機構は、例えば、閾値を上回る力が加えられたときに、移動または切断される可撓な態様または壊れやすい態様を含むことができる。
【0081】
上述の利点に加えて、本明細書に記載の挿入機構は、流体経路を切断することによって、標的組織への薬剤の流れを終了させることもできる。これは、患者を保護するための重要な安全機構となり得る。例えば、インスリンなどの一部の薬剤は、過剰な量を投与した場合、及び/または速過ぎる速度で投与した場合、危険であり、致死の潜在可能性がある場合さえある。このような自動安全停止機構を設けることにより、薬剤のいわゆる「暴走」送達を防止することができ、それによって患者の安全を確保することができる。流れを終了するための方法と関連する構造は、本明細書で開示された1つまたは複数の特定の挿入機構に関連させて論じることができるが、本方法及び関連する構造は、本明細書に開示されているか、本開示の精神及び範囲内にある流体経路接続アセンブリのいずれかで、利用または適合できるということが理解されよう。
【0082】
流体経路接続アセンブリを経る薬剤の送達の中断は、例えば、薬物送達の異常によって、または使用者からの入力によって、トリガされ得る。例えば、使用者は、既に薬物投与量を服用したことに気付き、装置からの薬物の送達を一時停止または終了することを望む場合がある。使用者が装置にこのような入力をした途端、薬物の送達を停止することができ、及び/または、以下に説明するように、穿孔部材が通る流体経路を、穿孔部材を後退位置に後退させることによって、停止させることができる。
【0083】
加えてまたは別法として、装置は、動作中に異常のアラートを受信した場合に、薬物送達を一時停止または終了することができる。例えば、駆動機構が正しく機能していない場合、流体経路接続アセンブリは、穿孔可能シールから穿孔部材を後退させて、流体経路接続アセンブリを通じた薬物送達を終了させるようトリガし、薬剤の過剰供給を防止することができる。流体経路接続アセンブリのこの特性により、標的への薬物送達のための価値ある安全機構が得られる。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬物ポンプを標的組織から取り除くことに伴い、後退が作動する。他の実施形態では、標的組織への物質の送達でエラーが生じたと判定された場合に、後退が作動する。例えば、薬剤が流れるのを妨げる薬物送達経路の閉鎖は、薬物送達ポンプの感知機能により検出できる。閉鎖していることを感知すると、電気または機械による入力を利用して、針の後退を開始することができる。
【0085】
加えてまたは別法として、流体経路接続アセンブリを切断するための1つまたは複数の付勢部材を、含むことができる。これは、薬物送達ポンプによって自動的に、または使用者による動作に際して、エラー状態を通知した途端に流体経路を切断するのに望ましい安全機構を提供することができる。例えば、係止態様は、最初に、二次的付勢部材が元のエネルギーを得た状態から拡張するのを抑制することができる。係止態様の作動時に、二次的付勢部材はその元の位置から消勢され、それにより、穿孔部材が穿孔可能シールから外れるよう穿孔部材リテーナに作用して軸方向に並進させる。流体経路接続アセンブリが一旦切断されると、薬物流体の流れは薬物容器と流体導管との間で制限または阻止され、針挿入機構及び標的への流体の流れが制限または阻止される。本明細書に記載しているように、切断は、薬物流体を標的に過剰に送達するのを防ぐための追加の安全予防策として、システムによって自動的に、及び/または使用者が直接的または間接的に開始させたときに、いくつかの動作によってトリガし得る。
【0086】
1つのこのような実施形態を
図31A及び31Bに示す。
図31Aに示すように、二次的付勢部材362は、まず、接続ハブ312と、係止態様360の1つ以上の解除アーム360Aとの間に制限される。係止態様360は、接続ハブ312の近位面に対して配置され、1つ以上の解除アームが遠位方向に延びる。薬物ポンプの作動中に障害があった場合、または使用者が作動させたときに、係止態様360は、軸Aを中心として
図31Aに示す位置から
図31B示す位置まで回転させられる。この回転は、例えば、スローアームと作動アーム360Bとの接触によって引き起こすことができる。係止態様360が回転すると、1つまたは複数の解除アーム360Aのそれぞれが、接続ハブ312の傾斜面312Mに接触する。傾斜面312Mとの接触は、1つ以上の解除アーム360Aの半径方向外向きへの変位を引き起こし、あるいは1つ以上の解除アーム360Aの破砕が生じる。その結果、二次的付勢部材362は、展開または消勢することができる。二次的付勢部材362は、穿孔部材リテーナ314と接触し、穿孔部材リテーナ314を遠位方向に並進させる。この並進により、穿孔部材を穿孔可能シールから後退させる。したがって、穿孔部材を介して追加の薬剤が送達されることはなく、それによって患者への送達が終了する。
図31Bに示すように、回転後、1つ以上の解除アーム360Aの各々は、半径方向外側に撓むことができ、二次的付勢部材362が消勢できるようになり、次いで半径方向内側に戻り、接続ハブのノッチ312Nに配置される。これにより、係止態様360は、それ以上回転するのを防止することができる。
【0087】
例示された実施形態のいずれも、このような安全機構を備えることができる。あるいは、薬物ポンプの構成要素が、流体経路接続アセンブリの一部に直接係合して、穿孔可能シールから穿孔部材を後退させることができる。例えば、摺動アームまたはスローアームが穿孔部材リテーナ2314に接触し、摺動アームまたはスローアームの変位が、穿孔部材リテーナ2314の変位を引き起こし、穿孔部材を穿孔可能シールから後退させることができる。
【0088】
穿孔可能シールから穿孔部材を後退させることは、例えば、テザーにおける伸張の停止または喪失、駆動機構の機能不全、標的組織からの薬物ポンプの除去、または使用者による作動の場合に作動し得る。安全機構は、純粋に機械的であってもよく、あるいは、動力及び制御システムを含んでもよい。例えば、動力及び制御システムからの電気信号により、穿孔可能シールから穿孔部材が後退し始めるようにすることができる。
【0089】
上述の説明から理解されるように、本明細書で開示される流体経路接続アセンブリ及び薬物ポンプは、薬物容器からの自動薬物送達のための効率的で容易に動作するシステムを提供する。本開示の新規な装置は、流体経路の無菌の状態を維持する容器の接続と、このような流体経路接続アセンブリを薬物容器に組み込む薬物送達ポンプとを提供する。このような装置は安全で使い易く、自己投与する患者には審美的にも人間工学的にも魅力的である。本明細書で説明している装置は、訓練を受けていない使用者に対して装置の作動、動作、及びロックアウトを平易にする機構を組み込んでいる。流体経路は、使用者が薬物送達を望むまで切断しているので、流体経路接続アセンブリ、薬物容器、薬物流体、及び装置全体の無菌の状態が維持される。これらの態様により、使用者は、非常に望ましい貯蔵、輸送、及び安全性の利点が得られる。さらに、本開示の流体経路接続アセンブリ及び薬物ポンプの新規な構成は、装置の動作全体を通して流体経路の無菌の状態を維持する。薬物流体が装置内を移動する経路は無菌の状態が完全に維持されるので、この構成要素のみを製造プロセス中に滅菌する必要がある。そのような構成要素には、駆動機構の薬物容器、流体経路接続アセンブリ、滅菌流体導管、及び挿入機構が含まれる。少なくとも1つの実施形態では、動力及び制御システム、アセンブリプラットフォーム、作動機構、ハウジング、及び薬物ポンプの他の構成要素は、滅菌する必要がない。これにより、装置の製造可能性が大幅に改善され、関連するアセンブリのコストが削減される。そのため、本発明の装置は、組立て完了時に最終滅菌する必要がない。さらなる利点は、本明細書に記載された構成要素がモジュール式であるように設計され、例えば、ポンプの薬物のハウジング及び他の構成要素が、接続ハブ312、1312、2312、または本明細書に記載された他のいくつかの他の構成要素の変形を受け入れ、動作するように容易に構成できることである。
【0090】
流体経路接続アセンブリ300、1300、2300、薬物送達ポンプ10、または個々の構成要素のいずれかの組立て及び/または製造には、当技術分野におけるいくつかの公知の材料及び方法論を利用することができる。例えば、イソプロピルアルコールやヘキサンといったいくつかの公知の洗浄液を使用して、構成要素及び/または装置を洗浄することができる。同様に、いくつかの公知の粘着剤または接着剤を製造プロセスで使用することができる。さらに、新規な構成要素及び装置の製造中に、公知のシリコン処理及び/または潤滑流体及びプロセスを使用することができる。さらに、最終的な製品の無菌性を確実にするために、製造段階または組立て段階の1つまたは複数で、公知の滅菌プロセスを利用することができる。
【0091】
流体経路接続アセンブリと薬物容器は、いくつかの方法論で組立てることができる。1つの組立て方法に、薬物容器50を組立てて、標的に送達するための流体で充填するものがある。薬物容器50は、キャップ324と、穿孔可能シール326と、バレル58と、プランジャシール60とを含む。プランジャシール60は、バレル58内に挿入できる。バレル58の開口している遠位端に穿孔可能シールを挿入する前に、バレル58は、開口している遠位端に薬物流体を充填させることができる。次いで、穿孔可能シール326をキャップ324とバレル58との間、バレル58の遠位端に、固定するように係合させることができる。このようにして、薬物容器は、標準的な充填・仕上げプロセス及び装置を用いて充填及び密封することができる。例えば、標準的なバイアルの充填及び密封で一般的に使用されるプロセス及び装置を使用して、薬物容器50を充填し、密封することができる。さらに、キャップ324は、そのようなプロセスで一般的に使用されるものと同様のクリンプキャップであってもよい。キャップ324を適用する前か後に、第2のシールまたはフィルム322を薬物容器50の遠位面に適用することができる。
【0092】
穿孔部材316は、穿孔部材リテーナ314に固定するように係合することができる。穿孔部材リテーナ314の軸314Aは、プレート334の中心孔334Bを通して挿入することができ、インターロック338は、穿孔部材リテーナ314と係合して、付勢部材336の展開を防止することができる。導入器部材320は、導入器部材リテーナ330に固定するように接続し得る。さらに、滅菌ブーツ340は、導入器部材リテーナ330に接続できる。穿孔部材316が導入器部材320の内腔320A内に少なくとも一部配置されるように、導入器部材リテーナ330を穿孔部材リテーナ314内に配置することができる。次に、接続ハブ312は、スナップ312Cを通路334Aに挿入することによって、プレート334に接続できる。この位置では、導入器部材320の一部が空洞312A内に配置され、滅菌ブーツ340が接続ハブ312と係合される。第2のフィルム322は、接続ハブ312の開口部312Bに配置され、空洞312Aを画定することができる。さらに、組立てている間に、流体導管は、穿孔部材316に流体接続してもよい。挿入機構200は、組立てて、流体導管の他端に取付けてもよい。次いで、流体経路接続アセンブリを薬物容器50に組立てることができる。流体経路接続アセンブリの薬物容器への接続は、クリーンルームまたは滅菌環境で行っても、行わなくてもよい。第1のフィルム318と第2のフィルム322が、それぞれ穿孔可能シール326と空洞312Aの無菌の状態を維持するので、流路は汚染物質に曝されない。
【0093】
また、組立ての工程は、任意選択で、接続ハブの近位面に対して係止態様を配置する工程を含むこともできる。組立ての工程はまた、二次的付勢部材が係止態様によって圧縮またはエネルギーを与えられた状態で保持されるように、接続ハブの一部の周りに二次的付勢部材を同心円状に配置する工程を含むことができる。
【0094】
図11A~21に示す実施形態では、アセンブリは、これまでに概説した工程を含むことができ、追加の工程または異なる工程を含むこともできる。追加の工程または異なる工程は、キャップ1354を接続ハブ1312に接続することを含んでもよく、リングシール1352が接続ハブ1312とキャップ1354との間に配置されるようにする。追加の工程または異なる工程はまた、穿孔部材リテーナ1314及び導入器部材リテーナ1330を軸1342に配置する工程を含むことができ、それらが軸1342を中心にして回転できるようにする。さらに、工程は、導入器部材1320を第1のスリーブ1344に固定するように係合する工程と、第1のスリーブ1344を第2のスリーブ1346に係合させる工程を含むことができ、隔壁1348がスリーブ間に配置されるようにする。また、工程は穿孔部材1316を保護器1350に固定するように係合する工程を含むことができる。
【0095】
また、
図22~29に示す実施形態は、これまでに概説した工程のいずれかを使用して組立てることができ、追加の工程または異なる工程を含むこともできる。追加の工程または異なる工程は、例えば、接続ハブの連結態様で接続ハブと阻止態様を連結することを含むことができる。
【0096】
駆動機構100は、薬物容器50の近位端に取付けられてもよい。このサブアセンブリの特定の構成要素は、アセンブリプラットフォーム20に、またはハウジング12の内部に直接据付けることができるが、他の構成要素は、使用者により作動するためのガイド390に据付けられる。
【0097】
薬物ポンプの製造には、流体経路接続アセンブリと薬物容器の両方を、別個にまたは組み合わせた構成要素として、薬物ポンプのアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取付ける工程が含まれる。製造方法はさらに、駆動機構、薬物容器、及び挿入機構をアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取付けることを含む。動力及び制御システム、作動機構及び制御アームを含む、上述したような薬物ポンプの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取付けたり、予め成形したり、事前に組立てたりしてもよい。接着パッチやパッチライナーを、装置の動作中に標的と接触する薬物ポンプのハウジングの表面に取付け得る。
【0098】
薬物ポンプを動作させる方法は、使用者によって作動機構を作動させる工程と、制御アームを変位させて挿入機構を作動させる工程と、流体経路接続アセンブリを作動させる工程と、駆動制御機構を作動させて薬物ポンプを介する流体薬物の流れを駆動するための動力及び制御システムを作動させる工程とを含み、流体経路接続アセンブリを作動させることにより、穿孔部材が穿孔可能シールを穿孔し、それによって薬物容器から流体経路接続アセンブリへの流体経路を開く。当該方法は、作動機構を作動させる前に任意選択のオンボディセンサを係合させる工程をさらに含むことができる。さらに、当該動作させる方法は、駆動制御機構及び薬物容器内のプランジャシールを並進させて、流体薬物が強制的に薬物容器、流体経路接続アセンブリ、滅菌流体導管、及び挿入機構を経て流れるようにして流体薬物を標的に送達する工程を含むことができる。
【0099】
前述の説明は、開示されたシステム及び技術の例を提供していることが理解されるであろう。しかし、本開示の他の実施態様は、先の例とは細部が異なっていてもよいことが企図されている。その開示または例に対するすべての言及は、その時点で議論されている特定の例を参照することを意図しており、より一般的に開示の範囲に関する限定を示唆することを意図するものではない。特定の機構に関する区別及び否認の言葉はすべて、それらの機構に対する優先性が欠如していることを示すことを意図したものであり、他に示されていない限り、そのような開示の範囲から完全に排除されるものではない。