IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7512324内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法
<>
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図1
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図2
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図3
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図4
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図5
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図6
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図7
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図8
  • 特許-内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】内視鏡のチャネルを反復的に充填及びパージするための機器及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A61B1/12 510
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022091519
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2018171317の分割
【原出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2022119982
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】15/704,276
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】サンウク・ヤン
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/032644(WO,A2)
【文献】特開2005-192641(JP,A)
【文献】特開2010-063610(JP,A)
【文献】特開2012-071030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再処理機のベースン内に位置付けられた医療装置の外側表面および内部チャネルを再処理するための方法であって、
(a)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに洗剤を送達するために第1のポンプを起動し、前記外側表面に洗剤を送達するために第2のポンプを起動する工程と、
(b)第2の所定期間にわたって前記内部チャネルに水を送達して前記洗剤をすすぎ落すために前記第1のポンプを起動し、前記ベースンに水を送達して前記外側表面から前記洗剤をすすぎ落すために前記第2のポンプを起動する工程であって、前記医療装置の前記外側表面が前記洗剤と水の混合物に暴露される工程と、
(c)第3の所定期間にわたって前記内部チャネルに加圧空気を送達して、前記内部チャネル内に収容された残留する水又は前記洗剤をパージするために第3のポンプを起動する工程と、
(d)前記ベースンに第1の所定体積の消毒剤を送達するために第4のポンプを起動する工程であって、前記第1の所定体積の消毒剤が送達される前に前記ベースンに水が充填され、前記第1の所定体積の消毒剤が前記ベースンに向けて方向付けられることにより、前記ベースンで前記第1の所定体積の消毒剤が水と混合され、前記医療装置の前記外側表面が前記第1の所定体積の消毒剤と水の混合物に暴露され、前記第1の所定体積の消毒剤と水の混合物は前記内部チャネルに送達される工程と、
(e)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記第1の所定体積の消毒剤および水をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、
(f)前記ベースンに第2の所定体積の消毒剤を送達するために前記第4のポンプを再起動する工程であって、前記第2の所定体積の消毒剤が送達される前に前記ベースンに水が充填され、前記第2の所定体積の消毒剤が前記ベースンに向けて方向付けられることにより、前記ベースンで前記第2の所定体積の消毒剤が水と混合され、前記医療装置の前記外側表面が前記第2の所定体積の消毒剤と水の混合物に暴露され、前記第2の所定体積の消毒剤と水の混合物は前記内部チャネルに送達される工程と、
(g)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記第2の所定体積の消毒剤および水をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、
(h)前記第1又は第2の所定体積の消毒剤と水の混合物よりも高濃度の消毒剤を前記内部チャネルに送達する工程と、を含方法。
【請求項2】
(i)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネル内に収容された前記洗剤をパージするために、前記第1の所定期間の後に前記第3のポンプを起動する工程を前記工程(a)と前記工程(b)との間に更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(ii)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる洗剤を送達するために前記第1のポンプを再起動する工程と、
(iii)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる洗剤をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、を前記工程(i)と前記工程(b)との間に更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(ii)と前記工程(iii)とをサイクルの所定回数が満たされるまで反復する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(a)前記第2の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる水を送達するために前記第2のポンプを再起動する工程と、
(b)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる水をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、を前記工程(c)と前記工程(d)との間に更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる水を送達するために前記第2のポンプを再起動する動作と、前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる水をパージするために前記第3のポンプを再起動する動作と、をサイクルの所定回数が満たされるまで反復する工程を前記工程(c)と前記工程(d)との間に更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
サイクルの所定回数が満たされるまで、前記工程(f)~(g)を反復する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記医療装置は複数の前記内部チャネルを有し、前記方法は、前記医療装置の各前記内部チャネルに対して前記工程(a)~(g)を行う工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ベースン内の前記消毒剤の濃度を決定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記洗剤を送達するための経過時間を監視する工程を更に含み、前記経過時間が前記第1の所定期間と等しいときに前記第1のポンプを停止する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の所定期間に関連して前記水を送達するための経過時間を監視する工程を更に含み、前記経過時間が前記第2の所定期間と等しいときに前記第1のポンプを停止する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記内部チャネルに送達される前記消毒剤の体積を監視する工程を更に含み、送達された前記体積が前記内部チャネルの容量と等しいときに前記内部チャネルへの前記消毒剤の送達を停止する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記内部チャネルに送達される前記加圧空気から微生物を濾過する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記内部チャネルに送達された前記消毒剤を加熱する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記消毒剤と水の混合物を前記ベースンから排液し、排液された前記消毒剤と水の混合物を前記ベースン内に循環させ、それによって前記医療装置の外側表面を前記消毒剤と水の混合物に暴露する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
所定時間にわたって前記循環を継続する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
再処理機のベースン内に位置付けられた少なくとも1つの医療装置の外側表面および内部チャネルを再処理するための方法であって、
(a)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルおよび前記外側表面に洗剤を送達するためにポンプアセンブリを起動する工程と、
(b)第2の所定期間にわたって前記内部チャネルに水を送達して前記洗剤をすすぎ落し、前記ベースンに水を送達して前記外側表面から前記洗剤をすすぎ落すために前記ポンプアセンブリを起動する工程であって、前記医療装置の前記外側表面が前記洗剤と水の混合物に暴露される工程と、
(c)第3の所定期間にわたって前記内部チャネルに加圧空気を送達して、前記内部チャネル内に収容された残留する水又は前記洗剤をパージするために前記ポンプアセンブリを起動する工程と、
(d)前記ベースンに第1の所定体積の消毒剤を送達するために前記ポンプアセンブリを起動する工程であって、前記第1の所定体積の消毒剤が送達される前に前記ベースンに水が充填され、前記第1の所定体積の消毒剤が前記ベースンに向けて方向付けられることにより、前記ベースンで前記第1の所定体積の消毒剤が水と混合され、前記医療装置の前記外側表面が前記第1の所定体積の消毒剤と水の混合物に暴露され、前記第1の所定体積の消毒剤と水の混合物は前記内部チャネルに送達される工程と、
(e)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記第1の所定体積の消毒剤および水をパージするために前記ポンプアセンブリを起動する工程と、
(f)前記ベースンに第2の所定体積の消毒剤を送達するために前記ポンプアセンブリを起動する工程であって、前記第2の所定体積の消毒剤が送達される前に前記ベースンに水が充填され、前記第2の所定体積の消毒剤が前記ベースンに向けて方向付けらることにより、前記ベースンで前記第2の所定体積の消毒剤が水と混合され、前記医療装置の前記外側表面が前記水と前記第2の所定体積の消毒剤の混合物に暴露され、前記第2の所定体積の消毒剤と水の混合物は前記内部チャネルに送達される工程と、
(g)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記第2の所定体積の消毒剤および水をパージするために前記ポンプアセンブリを起動する工程と、
(h)前記第1又は第2の所定体積の消毒剤と水の混合物よりも高濃度の消毒剤を前記内部チャネルに送達する工程と、を含方法。
【請求項18】
第4の所定期間にわたって前記工程(f)に従う前記混合物を循環させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記工程(h)は、前記高濃度の消毒剤が最小滞留時間にわたって前記内部チャネル内に維持されたかどうかを評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(h)は、前記高濃度の消毒剤が最小滞留時間にわたって前記内部チャネル内に維持されたかどうかを評価することを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
以下の論考は、医療処置に使用される内視鏡及び他の器具の再処理(すなわち、汚染除去)に関する。具体的には、下記の論考は、内視鏡などの医療装置を第1の医療手順において使用した後に、この医療装置が、後続の医療処置において安全に使用できるようにその医療装置を再処理するために使用できる機器及び方法に関する。下記の論考は主に内視鏡に関して述べるが、この論考は特定の他の医療装置にも同様に適用できることを理解されたい。
【0002】
内視鏡は、内視鏡の長さの少なくとも一部分に沿って延在する1本又は2本以上の作業チャネル又は管腔を有し得る。そのようなチャネルは、患者内の解剖学的領域内に他の医療装置等を通過させるための経路を提供するよう構成することができる。これらのチャネルは、一部の旧式の洗浄及び/又は消毒技法を用いて洗浄及び/又は消毒するのが難しい場合がある。よって、内視鏡は、内視鏡内のチャネルを含め内視鏡を洗浄するために特に構成された再処理システム内に配置され得る。そのような内視鏡再処理システムは、内視鏡を洗浄及び消毒することができる。そのような内視鏡再処理システムは、内視鏡を受容するよう構成されたベースンを、そのベースン内で内視鏡の外側の上に洗浄液を流すポンプと共に含み得る。このシステムは更に、内視鏡の作業チャネルに連結するポートと、内視鏡の作業チャネルを通して洗浄液を流す付属のポンプとを含み得る。そのような専用の内視鏡再処理システムにより実行されるプロセスは、洗剤洗浄サイクル、次いですすぎサイクル、次いで滅菌又は消毒サイクル、次いでもう1回のすすぎサイクルを含み得る。滅菌又は消毒サイクルには、消毒液及び水すすぎが用いられ得る。このプロセスは任意で、水の排水を助けるためのアルコールフラッシュを含み得る。すすぎサイクルの後には、乾燥のためのエアフラッシュ及び貯蔵を行ってもよい。
【0003】
使用済み内視鏡の再処理に使用可能なシステム及び方法の例は、参照により開示が本明細書で援用される2006年1月17日発行の「Automated Endoscope Reprocessor Connection with Integrity Testing」と題する米国特許第6,986,736号、参照により開示が本明細書で援用される2009年1月20日発行の「Automated Endoscope Reprocessor Solution Testing」と題する米国特許第7,479,257号、参照により開示が本明細書で援用される2010年3月30日発行の「Method of Detecting Proper Connection of an Endoscope to an Endoscope Reprocessor」と題する米国特許第7,686,761号、及び、参照により開示が本明細書で援用される2012年8月21日発行の「Automated Endoscope Reprocessor Germicide Concentration Monitoring System and Method」と題する米国特許第8,246,909号に記述されている。市販の内視鏡再処理システムの例は、Advanced Sterilization Products(Irvine,California)によるEVOTECH(登録商標)内視鏡洗浄再処理装置(ECR)である。
【0004】
再処理システムのいくつかの変形形態は、消毒サイクルの完了時に、消毒液の使用した分量が、消毒液の分量の単回使用の後に廃棄されるよう、ちょうど1回分の使用となる消毒液のある分量を提供することができる。再処理システムのいくつかの他の変形形態は、消毒液の使用済み分量の濃度レベルをチェックし、その使用済みの消毒液を再使用するか(すなわち、濃度レベルが依然として許容可能である場合)、又は、その使用済みの消毒液を廃棄する(すなわち、濃度レベルがもはや許容できない場合)ことができる。消毒液のモニタリング及び再使用を提供する再処理システムの変形形態の例は、参照により開示が本明細書で援用される2012年8月21日発行の「Automated Endoscope Reprocessor Germicide Concentration Monitoring System and Method」と題する米国特許第8,246,909号、参照により開示が本明細書で援用される2016年5月18日出願の「Apparatus and Method for Reprocessing a Medical Device」と題する米国特許出願第15/157,800号、及び、参照により開示が本明細書で援用される2016年5月18日出願の「Apparatus and Method to Measure Concentration of Disinfectant in Medical Device Reprocessing system」と題する米国特許出願第15/157,952号に開示されている。
【0005】
これまでに様々なシステム及び方法が、医療装置を再処理するために作製され、使用されてきたが、本発明者より以前に、本明細書に記載される技術を作った者又はこれを用いた者は誰もいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、特定の実施例に関する以下の説明を添付の図面と併せ読むことによってよりよく理解できるものと考えられ、添付の図面では、同様の参照番号は、同じ要素を特定している。
図1】例示的な再処理システムの正面図である。
図2】明確にするために単一の汚染除去ベースンだけが示されている、図1の再処理システムの概略図である。
図3図1の再処理システムを用いて汚染除去することができる内視鏡の近位部分及び遠位部分の断面側面図である。
図4】第2の例示的な再処理システムの概略図である。
図5】第3の例示的な再処理システムの概略図である。
図6図4図5の再処理システムの例示的な変更例の部分概略図である。
図7図6の再処理システムによって利用される例示的な再処理方法を表す流れ図であり、内視鏡の内部チャネルは、以前に使用された消毒剤を用いた反復的な消毒サイクルを受けている。
図8図1の再処理システムの例示的な変更例の部分概略図である。
図9図8の再処理システムによって利用される別の例示的な再処理方法を表す流れ図であり、内視鏡の内部チャネルは反復的な消毒サイクルを受けている。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例の以下の説明文は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明より、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載された技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0009】
本明細書に記載された教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、本明細書に記載された他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる点も、更に理解されよう。したがって、以下に記載された教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して個別に考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0010】
I.使い捨ての消毒剤を用いた例示的な医療装置再処理機器
図1図2は、内部を通って形成されるチャネル又は管腔を含む内視鏡及び他の医療装置の汚染除去に使用され得る、例示的な再処理システム(2)を示す。この例のシステム(2)は概ね、第1のステーション(10)と、第2のステーション(12)と、を含む。ステーション(10、12)は、2つの異なる医療装置の汚染除去を同時に又は順次提供するため、あらゆる点で少なくとも実質的に類似している。第1及び第2の汚染除去ベースン(14a、14b)は、汚染された装置を受容する。それぞれのベースン(14a、14b)は、対応する蓋(16a、16b)によって選択的に密閉される。本例では、蓋(16a、16b)は対応するベースン(14a、14b)と協働して微生物遮断関係をもたらし、汚染除去操作時に、ベースン(14a、14b)内に環境微生物が入ることを防止する。単なる例示として、蓋(16a、16b)は、脱気用に内部に形成される微生物除去フィルタ又はHEPA空気フィルタを含んでよい。
【0011】
制御システム(20)は、汚染除去及びユーザーインターフェイス操作を制御するための、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、例えば、プログラム可能論理制御装置(PLC)を含む。本明細書においては、1つの制御システム(20)が汚染除去ステーション(10、12)の双方を制御するものとして図示されているが、それぞれのステーション(10、12)は専用の制御システムを含み得ることを、当業者は理解されよう。視覚的ディスプレー(22)は、汚染除去パラメータ及び機械の状態を操作者に表示し、少なくともの1台のプリンタ(24)が、記録をファイルする又は汚染除去装置若しくはその保管パッケージに添付するための、汚染除去パラメータのハードコピー出力を印刷する。プリンタ(24)は単に任意のものであることを理解されたい。一部の変形形態では、視覚的ディスプレー(22)は、タッチスクリーン入力装置と組み合わされている。加えて又は代替的に、キーパッド及び/又は他のユーザー入力機構が、汚染除去プロセスパラメータの入力用及び機械制御用に提供される。圧力メータなどの他の視覚的ゲージ(26)は、汚染除去のデジタル若しくはアナログ出力、又は医療装置の漏洩検査データを提供する。
【0012】
図2は、再処理システム(2)の1つの汚染除去ステーション(10)だけを図示しているが、汚染除去ステーション(12)が、汚染除去ステーション(10)のように構成され、動作可能であり得ることを、当業者は理解するであろう。また、再処理システム(2)には、単一の汚染除去ステーション(10、12)のみ又は2つを超える汚染除去ステーション(10、12)が提供され得ることを理解されたい。
【0013】
汚染除去ベースン(14a)は、その内部に内視鏡(200)(図3を参照のこと)又は他の医療装置を汚染除去のために受容する。内視鏡(200)の任意の内部チャネルは、フラッシュライン(30)などのフラッシュ導管に接続される。この例では、それぞれのフラッシュライン(30)が専用のポンプ(32)を有するように、それぞれのフラッシュライン(30)は、対応するポンプ(32)の排出口に接続される。本例のポンプ(32)は、液体及び空気などの流体を、フラッシュライン(30)及び内視鏡(200)の任意の内部チャネルを通してポンプ圧送する蠕動ポンプを含む。あるいは、任意の他の好適な種類のポンプ(複数可)を使用することが可能である。本例では、ポンプ(32)は、フィルタ付き排水管及びバルブ(S1)を介してベースン(14a)から液体を引き込むか、又はバルブ(S2)を介して空気供給システム(36)から汚染除去空気を吸引するか、のどちらかを行うことができる。本例の空気供給システム(36)は、ポンプ(38)と、微生物除去空気フィルタ(40)と、を含み、微生物除去空気フィルタは、流入する空気流から微生物を濾過する。
【0014】
圧力スイッチ又はセンサ(42)は、フラッシュライン内の過剰圧力を感知するため、それぞれのフラッシュライン(30)と流体連通している。感知された任意の過剰圧力又は流量不足は、関連するフラッシュライン(30)が接続されている内視鏡(200)チャネル内の部分的又は完全な閉塞(例えば、身体の組織又は乾燥した体液による)を示している可能性がある。どのセンサ(42)が過剰圧力又は流量不足を感知するかにより、他のフラッシュライン(30)に対してそれぞれのフラッシュライン(30)を隔離することは、特定の閉塞されたチャネルを簡単に特定し、隔離することを可能にする。
【0015】
ベースン(14a)は、温水口及び冷水口を含む用水又は水道水接続部などの水源(50)、及びブレイクタンク(56)内へ流入する混合バルブ(52)と流体連通している。0.2μm以下の絶対孔径フィルタなどの微生物除去フィルタ(54)は、流入する水を汚染除去し、その水は、逆流を防止するためにエアギャップを通してブレイクタンク(56)内に送達される。センサ(59)は、ベースン(14a)内の液体レベルを監視する。適切な温水源が利用可能ではない場合は、任意の水加熱器(53)が提供されてもよい。フィルタ(54)の状態は、内部を通る水の流量を直接監視することにより、又はフロートスイッチなどを使用してベースン充填時間を監視することによって間接的に、監視され得る。流量が選択した閾値より降下した場合、これは、交換が必要とされるフィルタ要素の部分的な詰まりを示す。
【0016】
ベースン排水口(62)は、内視鏡(200)の細長い部分が挿入され得る、拡張された螺旋管(64)を介してベースン(14a)から液体を排出する。排水口(62)は、再循環ポンプ(70)及び排水ポンプ(72)と流体連通している。再循環ポンプ(70)は、ベースン排水口(62)からスプレーノズルアセンブリ(60)へと流体を再循環させ、スプレーノズルアセンブリ(60)は、液体をベースン(14a)及び内視鏡(200)上へ噴霧する。粗目スクリーン(71)及び細目スクリーン(73)は、再循環する流体内の粒子を濾過して取り除く。排水ポンプ(72)は、ベースン排水口(62)から下水排水口(74)へ液体をポンプ圧送する。レベルセンサ(76)は、ポンプ(72)から下水排水口(74)への液体の流れを監視する。ポンプ(70、72)は、ベースン(14a)が排水させられている間に、液体がベースン(14a)内に噴霧されるように同時に動作して、ベースン(14a)からの及び内視鏡(200)からの残留物の流れを促進し得る。言うまでもなく、単一ポンプ及びバルブアセンブリは、二重ポンプ(70、72)と置換され得る。
【0017】
温度センサ(82)を備えた、再循環ポンプ(70)の上流のインラインヒータ(80)は、洗浄及び/又は消毒に最適な温度に液体を加熱する。圧力スイッチ又はセンサ(84)は、循環ポンプ(70)の下流の圧力を測定する。一部の変形形態では、圧力センサ(84)の代わりに流れセンサを使用して、循環ポンプ(70)の下流で流体の流れを測定する。洗剤溶液(86)は、定量ポンプ(88)を介して循環ポンプ(70)の下流の流れの中に量り入れられる。フロートスイッチ(90)は、使用可能な洗剤(86)のレベルを示す。消毒剤(92)は、定量ポンプ(94)を介して循環ポンプ(70)の上流の流れの中に量り入れられる。消毒剤(92)をより正確に計量するために、ポンプ(94)が、流体レベルスイッチ(98)及び制御システム(20)の制御下で、計量プレチャンバ(96)を充填する。単に例示として、消毒液(92)は、Advanced Sterilization Products(Irvine,California)によるCIDEX(登録商標)Activated Glutaraldehyde Solutionなどの活性化されたグルタルアルデヒド溶液を含み得る。単に更なる例示として、消毒液(92)は、Advanced Sterilization Products(Irvine,California)によるCIDEX(登録商標)オルトフタルアルデヒド溶液などのオルトフタルアルデヒド(OPA)を含み得る。更に単なる例示として、消毒液(92)は、過酢酸(PAA)を含み得る。
【0018】
一部の内視鏡(200)は、内視鏡(200)の内部チャネル及び他の部分を形成する個々の管状部材などを取り囲む、可撓性の外部筐体又はシースを含む。この筐体は、閉鎖された内部空間を画定し、この閉鎖された内部空間は、医療処置の間、患者の組織及び流体から隔離される。シースは、シースの下の内部空間を汚染させるであろう切断部分又は他の穴のない、無傷の状態で維持されることが重要であり得る。したがって、本例の再処理システム(2)は、かかるシースの完全性を検査するための手段を含む。特に、エアポンプ(例えば、ポンプ(38)又は別のポンプ(110))は、導管(112)及びバルブ(S5)を介して、内視鏡(200)のシースによって画定される内部空間を加圧する。本例では、HEPA又は他の微生物除去フィルタ(113)は、加圧する空気から微生物を除去する。圧力調節器(114)は、シースの偶発的な過剰加圧を防止する。完全加圧時に、バルブ(S5)は閉鎖され、圧力センサ(116)は導管(112)内の圧力の降下をチェックする。圧力の降下は、内視鏡(200)のシースを介した空気の漏れを示す。検査手順が完了すると、バルブ(S6)は、任意のフィルタ(118)を介して導管(112)及び内視鏡(200)のシースを選択的に脱気する。空気バッファー(120)は、空気ポンプ(110)からの圧力の脈動を平滑化する。
【0019】
本例では、それぞれのステーション(10、12)はまた、操作者に潜在的な漏洩を警告するための滴下ベースン(130)及び漏液センサ(132)も含む。
【0020】
バルブ(S3)によって制御されるアルコール供給部(134)は、内視鏡(200)のチャネル(210、212、213、214、217、218)からの水の除去を補助するために、すすぎ工程後にチャネルポンプ(32)にアルコールを供給し得る。
【0021】
ライン(30)内の流量は、チャネルポンプ(32)及び圧力センサ(42)を介して監視され得る。圧力センサ(42)のうちの1つが高すぎる圧力を検出すると、それに関連付けられているポンプ(32)がオフにされる。ポンプ(32)の流量と、そのオンにされた持続時間が、関連付けられたライン(30)内の流量の妥当な指標を提供する。これらの流量は、内視鏡(200)のチャネルのいずれかにおける閉塞をチェックするために、プロセスの間監視される。あるいは、ポンプ(32)のサイクルがオフになる時間からの圧力の低下を用いて、より速い低下率をより高い流量に関連付けた状態で流量を推定することもできる。
【0022】
より微細な漏洩を検出するため、個々のチャネルにおける流量のより正確な測定が望ましい場合がある。その目的のために、複数のレベル指示センサ(138)を有する計量管(136)が、チャネルポンプ(32)の入力部に流体接続する。一部の変形形態では、計量管(136)の低い箇所に基準接続部が提供され、複数のセンサ(138)が基準接続部の上に垂直に配置される。参照点から流体を通ってセンサ(138)に至る電流を通すことにより、どのセンサ(138)が液浸しているか判定することができ、これによって、計量管(136)内のレベルを判定することができる。加えて又は代替的に、任意の他の好適な構成部品及び技術を使用して、流体レベルを感知することができる。バルブ(S1)を閉じて脱気バルブ(S7)を解放することにより、チャネルポンプ(32)は計量管(136)からのみ汲み上げを行う。汲み上げられる流体の量は、センサ(138)に基づき非常に正確に判定され得る。各チャネルポンプ(32)を隔離状態で作動させることにより、内部を通る流量は、計量管(136)から出された時間及び流体の体積に基づいて、正確に判定され得る。
【0023】
上述の入出力装置の他にも、示される電気装置及び電子機械装置のすべては、制御システム(20)に動作可能に接続されて、それにより制御される。特に、制限なく、スイッチ及びセンサ(42、59、76、84、90、98、114、116、132、136)はマイクロコントローラ(28)に入力(I)を提供し、マイクロコントローラ(28)は、洗浄及び/又は消毒サイクル並びにそれに従った他の機械操作を制御する。例えば、マイクロコントローラ(28)は、ポンプ(32、38、70、72、88、94、100、110)、バルブ(S1、S2、S3、S5、S6、S7)、及び加熱器(80)に動作可能に接続された出力(O)を含み、有効な洗浄及び/又は消毒サイクル並びに他の操作についてこれらの装置を制御する。
【0024】
図3に示すように、内視鏡(200)はヘッド部分(202)を有する。ヘッド部分(202)は、その中に形成された開口部(204、206)を含む。開口部(204、206)には、内視鏡(200)の通常使用時に、空気/水バルブ(図示せず)及びサクションバルブ(図示せず)が配置される。可撓性シャフト(208)は、ヘッド部分(202)に装着される。結合型の空気/水チャネル(210)及び結合型の吸引/生検チャネル(212)は、シャフト(208)に収容される。別個の空気チャネル(213)と水チャネル(214)も、ヘッド部分(202)内に配置され、これらは接合ポイント(216)の位置で空気/水チャネル(210)に合流する。本明細書で使用する用語「接合ポイント」は、幾何学的ポイントに限られたものではなく、交差する接合部を指すものであり、この用語は互換的に使用され得ることが理解されよう。更に、別個の吸引チャネル(217)及び生検チャネル(218)は、ヘッド部分(202)に収容され、接合ポイント(220)の場所にある吸引/生検チャネル(212)に合流する。
【0025】
ヘッド部分(202)では、空気チャネル(213)及び水チャネル(214)が、空気/水バルブ(図示せず)の開口部(204)へ通じている。吸引チャネル(217)は、サクションバルブ(図示せず)の開口部(206)へ通じている。更に、可撓性の給送ホース(222)はヘッド部分(202)に接続してチャネル(213’、214’、217’)を収容し、チャネル(213’、214’、217’)は、対応する開口部(204、206)を介して空気チャネル(213)、水チャネル(214)、及び吸引チャネル(217)に接続される。実際に、給送ホース(222)は、光導体ケーシングとも呼ばれ得る。相互に接続する空気チャネル(213、213’)を、以下、集合的に空気チャネル(213)と呼ぶ。相互に接続する水チャネル(214、214’)を、以下、集合的に水チャネル(214)と呼ぶ。相互に接続する吸引チャネル(217、217’)を、以下、集合的に吸引チャネル(217)と呼ぶ。空気チャネル(213)の接続部(226)、水チャネル(214)の接続部(228、228a)、及び吸引チャネル(217)の接続部(230)は、可撓性ホース(222)の末端部分(224)(光導体コネクタとも呼ばれる)上に配置される。接続部(226)が使用中である場合、接続部(228a)は閉鎖される。生検チャネル(218)の接続部(232)は、ヘッド部分(202)に配置される。
【0026】
開口部(204、206)に挿入されたチャネルセパレータ(240)が示されている。チャネルセパレータ(240)は、本体(242)とプラグ部材(244、246)とを含み、プラグ部材(244、246)は対応する開口部(204、206)を閉塞する。プラグ部材(244)の同軸インサート(248)は、開口部(204)の内側へ延在し、環状フランジ(250)内で終端し、それにより、開口部(204)の一部を閉塞して、チャネル(214)からチャネル(213)を切り離す。ライン(30)を開口部(226、228、228a、230、232)に接続することにより、洗浄及び消毒用の液体が、内視鏡チャネル(213、214、217、218)内を通って流れ、チャネル(210、212)を介して内視鏡(200)の遠位先端(252)から流出し得る。チャネルセパレータ(240)は、そのような液体が、開口部(204、206)から漏れ出ることなく、内視鏡(200)全体を確実に通って流れるようにし、また、チャネル(213、214)を互いに隔離することにより、各チャネル(213、214)がそれぞれ独立の流れ経路を有するようにする。チャネル及び開口部の異なる配置を有する様々な内視鏡には、そのような相違に対応しながら、ヘッド(202)内のポートを塞ぎ、かつチャネルを互いに分離した状態にし、これにより各チャネルを他のチャネルとは独立に洗い流せるように、改変をチャネルセパレータ(240)に行う必要があり得ることが、当業者には理解されよう。あるいは、1つのチャネルにおける閉塞は、単に、接続された閉塞のないチャネルへと流体を迂回させることがある。
【0027】
末端部分(224)の漏れポート(254)は、内視鏡(200)の内部分(256)内へとつながり、これはその物理的完全性をチェックするのに使用される。これはすなわち、いずれのチャネルと内部(256)との間にも、また外部から内部(256)へも、漏れが形成されていないことを確実にするためである。
【0028】
II.使い捨ての消毒剤を用いた例示的な医療装置再処理方法
再処理システム(2)の例示的な使用において、操作者は、フットペダル(図示せず)を作動させて、ベースン蓋(16a)を開けることから始めることができる。各蓋(16a、16b)は、それぞれのフットペダルを有し得る。一部の変形形態では、フットペダルから圧力が除去されると、蓋(16a、16b)の動きが停止する。蓋(16a)が開いた状態で、操作者は内視鏡(200)のシャフト(208)を螺旋状循環管(64)に挿入する。内視鏡(200)の末端部分(224)及びヘッド部(202)は、ベースン(14a)内に位置付けられ、給送ホース(222)は、可能な限り広い直径でベースン(14a)内に渦巻き状に巻かれる。次に、フラッシュライン(30)が、対応する内視鏡開口部(226、228、228a、230、232)に装着される。空気ライン(112)もコネクタ(254)に接続する。一部の変形形態では、フラッシュライン(30)は色分けされ、ステーション(10)に配置されたガイドが、色分けされた接続の参照を提供する。
【0029】
顧客が選択可能な構成に応じて、制御システム(20)は操作者に対し、ユーザーコード、患者ID、内視鏡コード、及び/又は専門医コードを入力するよう促すことができる。この情報は、手動(例えば、タッチスクリーン(22)を介して)、自動(例えば、取り付けられたバーコード読み取り機を用いて)、あるいは任意の他の好適な方法で入力することができる。情報が入力された状態で(必要な場合)、操作者は次に蓋(16a)を閉じることができる。一部の変形形態では、蓋(16a)を閉じるには、フェイルセーフ機構を提供するため、操作者がハードウェアボタン及びタッチスクリーン(22)ボタンを同時に押す必要がある。フェイルセーフ機構は、ベースン蓋(16a)を閉じることにより操作者の手が引き込まれたり挟まれたりするのを防ぐためのものである。蓋(16a)を閉鎖する途中で、ハードウェアボタン又はソフトウェアボタンが解放されると、蓋(16a)の運動は停止する。
【0030】
蓋(16a)が閉じたら、操作者はタッチスクリーン(22)のボタンを押して、洗浄/消毒プロセスを開始する。洗浄/消毒プロセスの開始時に、空気ポンプ(38)がオンになり、内視鏡(200)本体内の圧力が監視される。圧力が所定レベル(例えば、250mbar)に達すると、ポンプ(38)がオフになり、所定の安定化時間(例えば、6秒)の間、圧力を安定させる。圧力が、特定の期間(例えば、45秒)、特定の圧力(例えば、250mbar)に達していないと、プログラムが停止され、操作者に漏洩が通知される。圧力が安定期間中に閾値よりも低下すると(例えば、100mbar未満)、プログラムが停止され、操作者に状態が通知される。圧力が一旦安定すると、圧力低下は、特定の期間(例えば、60秒)にわたって監視される。圧力低下が既定の速度よりも速くなると(例えば、60秒以内に10mbarを超える)、プログラムが停止され、操作者に状態が通知される。圧力低下が既定の速度よりも遅くなると(例えば、60秒内に10mbar未満)、再処理システム(2)は次の工程に進む。流体の漏洩を防止するため、残りのプロセス時に、わずかな正圧が内視鏡(200)の本体内に保持される。
【0031】
第2の漏洩検査では、各種のポート(226、228、228a、230、232)への接続の妥当性と、チャネルセパレータ(240)の適切な配置をチェックする。螺旋管(64)内に内視鏡(200)の遠位端を沈ませるように、ある量の水がベースン(14a)に入れられる。バルブ(S1)が閉鎖され、バルブ(S7)が開放される。また、ポンプ(32)が逆に動作して真空に引き、最終的に液体を内視鏡チャネル(210、212)内に引き込む。圧力センサ(42)が監視され、いずれか1つのチャネル(210、212)内の圧力が、所定の時間枠内に既定の量を超える分の低下及び/又は上昇がないことが確認される。既定の量を超える分の低下及び/又は上昇がある場合、接続のいずれかが正しく行われておらず、空気がチャネル(210、212)内に漏れていることを示している可能性が高い。いずれにしても、許容されない圧力低下が存在する場合、制御システム(20)はサイクルを取り消し、おそらくは欠陥のある接続部を示し、好ましくはどのチャネル(210、212)が機能していないかも一緒に示す。
【0032】
漏洩検査に合格した場合は、再処理システム(2)は予すすぎサイクルに進む。この工程の目的は、内視鏡(200)の洗浄及び消毒の前に、チャネル(210、212、213、214、217、218)を通して水を流し、廃棄物を除去することである。予すすぎサイクルを開始するため、ベースン(14a)に濾過された水が充填され、水位はベースン(14a)の下の圧力センサ(59)によって検出される。水は、ポンプ(32)を経由してチャネル(210、212、213、214、217、218)の内側を通り、排水口(74)へと直接ポンプ圧送される。この水は、この段階において、内視鏡200の外側表面の周りには再循環されない。水がチャネル(210、212、213、214、217、218)を通って圧送される際、排水ポンプ(72)がオンにされて、ベースン(14a)も確実に空になるようにされる。排水プロセスが完了したことを排水スイッチ(76)が検出すると、排水ポンプ(72)はオフにされる。排水プロセス中、滅菌空気が空気ポンプ(38)を介して内視鏡チャネル(210、212、213、214、217、218)すべてを通して同時に吹き込まれ、持ち越し汚染の可能性を最小限に抑える。
【0033】
予備すすぎサイクルが完了したら、再処理システム(2)は洗浄サイクルに進む。洗浄サイクルを開始するため、ベースン(14a)に温水(例えば、約35℃)が充填される。水温は、加熱された水と加熱されていない水の混合を制御することにより、制御される。水レベルは、圧力センサ(59)により検出される。再処理システム(2)は次いで、蠕動性定量ポンプ(88)を用いて、再処理システム(2)内を循環する水に酵素洗剤を添加する。体積は、送達時間、ポンプ速度、及びポンプ(88)の管の内径を制御することによって制御される。洗剤溶液(86)は、既定の期間(例えば、1~5分、又はより具体的には約3分)、チャネルポンプ(32)及び外部循環ポンプ(70)によって、内部の内視鏡チャネル(210、212、213、214、217、218)全体に及び内視鏡(200)の外側表面にわたって、能動的にポンプ圧送される。インラインヒータ(80)は、この温度を所定の温度(例えば、約35℃)に維持する。
【0034】
洗剤溶液(86)が特定の時間(例えば、2~3分間)にわたって循環された後、チャネル(210、212、213、214、217、218)を通る流量が測定される。チャネル(210、212、213、214、217、218)のいずれかを通る流量が、そのチャネル(210、212、213、214、217、218)についての所定の流量よりも少ない場合、チャネル(210、212、213、214、217、218)は閉塞しているものとして識別され、プログラムが停止し、操作者にはこの状態が通知される。蠕動ポンプ(32)は所定の流量で作動し、関連付けられている圧力センサ(42)において許容できない高圧測定値が存在する場合にはサイクルを停止する。チャネル(210、212、213、214、217、218)が閉塞している場合、所定の流量が圧力センサ(42)をトリガし、この流量を適切に通過させることができないことを示す。この例においてはポンプ(32)が蠕動ポンプであるため、この作動流量を、圧力のためにオフにされたサイクル時間の割合と組み合わせることにより、実際の流量が得られる。流量はまた、ポンプ(32)サイクルがオフになった時間からの、圧力低下に基づいて推定することができる。
【0035】
洗浄サイクルの終了時に、排水ポンプ(72)がオンにされて、洗剤溶液(86)をベースン(14a)及びチャネル(210、212、213、214、217、218)から除去する。排水レベルセンサ(76)が、排液が完了したことを示した時に、排水ポンプ(72)は停止する。排水プロセス中、滅菌空気が内視鏡(200)のすべてのチャネル(210、212、213、214、217、218)を通して同時に吹き込まれ、持ち越し汚染の可能性を最小限に抑える。
【0036】
洗浄サイクルが完了した後、再処理システム(2)はすすぎサイクルを開始する。すすぎサイクルを開始するために、ベースン(14a)は再び温水(例えば、約35℃)で充填される。水温は、加熱された水と加熱されていない水の混合を制御することにより、制御される。水レベルは、圧力センサ(59)により検出される。すすぎ水は、特定の期間(例えば、1分間)、チャネルポンプ(32)によって、内視鏡(200)のチャネル(210、212、213、214、217、218)内を、並びに、循環ポンプ(70)及びスプリンクラーアーム(60)によって、内視鏡(200)の外側全体を循環する。すすぎ水がチャネル(210、212、213、214、217、218)を通ってポンプ圧送されると、チャネル(210、212、213、214、217、218)を通る流量が測定され、その流量が任意の所定のチャネル(210、212、213、214、217、218)に対する既定の量を下回る場合、そのチャネル(210、212、213、214、217、218)は閉塞していると特定され、プログラムが停止され、操作者に状態が通知される。
【0037】
すすぎサイクルの終了時に、排水ポンプ(72)がオンにされて、すすぎ水をベースン(14a)及びチャネル(210、212、213、214、217、218)から除去する。排水レベルセンサ(76)が、排液が完了したことを示した時に、排水ポンプ(72)は停止する。排水プロセス中、滅菌空気が内視鏡(200)のすべてのチャネル(210、212、213、214、217、218)を通して同時に吹き込まれ、持ち越し汚染の可能性を最小限に抑える。一部の変形形態では、上述のすすぎ及び排水サイクルが少なくとももう1回繰り返され、これにより内視鏡(200)及びベースン(14a)の表面からの洗剤溶液(86)の最大限のすすぎを確保する。
【0038】
再処理システム(2)が、所望の回数のすすぎ及び乾燥サイクルを完了した後、再処理システム(2)は消毒サイクルに進む。消毒サイクルを開始するために、ベースン(14a)に熱い温水(例えば、約53℃)が充填される。水温は、加熱された水と加熱されていない水の混合を制御することにより、制御される。水レベルは、圧力センサ(59)により検出される。充填プロセス中、チャネルポンプ(32)はオフにされ、これによってベースン(14a)内の消毒液(92)を確実に使用時濃度にしてから、内視鏡(200)のチャネル(210、212、213、214、217、218)を通して循環させるようにする。
【0039】
次に、測定された体積の消毒液(92)が消毒用計量予備チャンバ(96)から引き出され、定量ポンプ(100)経由でベースン(14a)内の水中に送達される。消毒液(92)の体積は、計量予備チャンバ(96)の底部に対する充填レベルスイッチ(98)の位置決めによって制御される。計量プレチャンバ(96)は、充填レベルスイッチ(98)が液体を検出するまで充填される。計量予備チャンバ(96)内の消毒液(92)のレベルが、計量予備チャンバ(96)の先端の真下になるまで、消毒液(92)が計量予備チャンバ(96)から引き出される。必要な体積が分配された後、計量予備チャンバ(96)は、消毒液(92)の瓶から再充填される。ベースン(14a)が充填されるまで消毒液(92)は添加されないため、給水に問題が生じた場合、濃縮された消毒剤が、消毒剤を洗い流す水がない状態で内視鏡(200)上に残されることはない。消毒液(92)が添加されている間は、ベースン(14a)内の消毒液(92)が、内視鏡(200)のチャネル(210、212、213、214、217、218)を通って循環する前に、所望の使用濃度であることを確実にするため、チャネルポンプ(32)はオフになる。
【0040】
使用消毒液(92)は、ポンプ(32)によって内部チャネル(210、212、213、214、217、218)全体に、また循環ポンプ(70)によって内視鏡(200)の外側表面にわたって、能動的にポンプ圧送される。これは、任意の好適な期間(例えば、少なくとも5分)実行され得る。消毒液(92)の温度は、一貫した温度(例えば、約52.5℃)に留まるように、インラインヒーター(80)によって制御され得る。消毒プロセス中に、内視鏡(200)の各チャネル(210、212、213、214、217、218)を通る流量は、チャネル(210、212、213、214、217、218)を通って測定された量の溶液を送達する時間を測定することによって検証される。バルブ(S1)が閉鎖され、バルブ(S7)が開放され、次いでそれぞれのチャネルポンプ(32)が既定の体積を、計量管(136)から関連するチャネル(210、212、213、214、217、218)に送達する。この体積と、体積を送達するための所要時間とは、チャネル(210、212、213、214、217、218)を介した非常に正確な流量を提供する。その直径及び長さのチャネル(210、212、213、214、217、218)に対して予期される流量の異常は、制御システム(20)によってフラグ付けされ、プロセスが停止される。使用中の消毒液(92)がチャネル(210、212、213、214、217、218)を通ってポンプで送り込まれる際、チャネル(210、212、213、214、217、218)を通る流量も、上述のように測定される。
【0041】
消毒サイクルの終了時に、排水ポンプ(72)が起動し、ベースン(14a)及びチャネル(210、212、213、214、217、218)から消毒液(92)溶液を除去する。排水プロセス中、滅菌空気が内視鏡(200)のすべてのチャネル(210、212、213、214、217、218)を通して同時に吹き込まれ、持ち越し汚染の可能性を最小限に抑える。
【0042】
消毒液(92)がベースン(14a)から排出された後、再処理システム(2)は最終すすぎサイクルを開始する。このサイクルを開始するために、ベースン(14a)に、フィルタ(例えば、0.2μmフィルタ)を通した滅菌温水(例えば、約45℃)が充填される。すすぎ水は、好適な期間(例えば、1分間)、ポンプ(32)によってチャネル(210、212、213、214、217、218)内を、並びに循環ポンプ(70)及びスプリンクラーアーム(60)によって内視鏡(200)の外側全体を循環する。すすぎ水がチャネル(210、212、213、214、217、218)を通ってポンプ圧送されると、前述のように、チャネル(210、212、213、214、217、218)を通る流量が測定される。排水ポンプ(72)がオンにされて、すすぎ水をベースン(14a)及びチャネル(210、212、213、214、217、218)から除去する。排水プロセス中、滅菌空気が内視鏡(200)のすべてのチャネル(210、212、213、214、217、218)を通して同時に吹き込まれ、持ち越し汚染の可能性を最小限に抑える。いくつかの変形形態では、内視鏡(200)及びベースン(14a)の表面から消毒液(92)の残留を最大限にすすぐことを保証するため、上述のすすぎ及び排出サイクルが少なくとも更に2回繰り返される。
【0043】
最終すすぎサイクルが完了した後、再処理システム(2)は最終漏れ試験を開始する。とりわけ、再処理システム(2)は、内視鏡(200)の本体を加圧して、上述のように漏洩率を測定する。最終漏れ試験が成功であった場合、再処理システム(2)は、タッチスクリーン(22)を介してサイクルの正常な完了を示す。プログラムの完了時から、蓋(16a)が開放される時間まで、内視鏡(200)の本体内の圧力は、既定の速度で脱気バルブ(S5)を開くことにより(例えば、1分毎に10秒間バルブ(S5)が開かれる)、大気圧に正規化される。
【0044】
顧客が選択する構成によって、再処理システム(2)は、有効なユーザー識別コードが入力されるまで、蓋(16a)が開かれないようにし得る。ユーザーID、内視鏡ID、専門医ID、及び患者IDを含む、完了したプログラムに関する情報は、プログラム全体を通して取得されたセンサデータと共に格納される。プリンタが再処理システム(2)に接続されている場合、かつ、操作者が要求した場合、消毒プログラムの記録が印刷されることになる。有効なユーザー識別コードが入力された後は、(例えば、上述のようにフットペダルを使用して)蓋(16a)を開放することができる。内視鏡(200)は次いで、フラッシュライン(30)から分離され、ベースン(14a)から取り出される。蓋(16a)は次いで、上述のようにハードウェアボタン及びソフトウェアボタンの両方を使用して閉鎖され得る。
【0045】
III.再利用可能な消毒剤を用いた例示的な医療装置再処理
一部の事例では、1回の利用毎に消毒剤を排出し、処分するのではなく、消毒剤を収集して1回又は2回以上再使用することが望ましい場合がある。例えば、消毒剤を再使用すると、再処理システム(2)の耐用年数にわたって使用する合計消毒剤量が減り、それ故、運用コスト全体が減少し得る。加えて、消毒剤貯蔵部(92)から提供される消毒剤などの濃縮消毒剤は、所望の濃度の消毒液として水と混合されるまで、再処理システム(2)に又はその複数の部分に悪影響を及ぼし得る。したがって、消毒液を貯蓄して再使用すると、濃縮消毒剤の存在が減少し、それ故、再処理システム(2)の耐用年数が増大し得る。
【0046】
図4は例示的な再処理システム(310)を示しており、この再処理システムは、ベースン(14a)から消毒剤をポンプ圧送し、消毒サイクルの完了後に消毒剤を収集するための消毒剤貯蔵リザーバ(360)を有する。本明細書で論じられている再処理システム(410、510、610)の別の変形形態も、例示の消毒剤貯蔵リザーバ(360)を含む。消毒剤の再使用の様々な態様は、再処理システム(2、310、410、510、610)のいずれかに関して、また本明細書に記載されているような任意の組み合わせで使用され得ることが理解されよう。
【0047】
図4に示すように、再処理システム(310)は第2の例示の再処理システム(310)と共に、水及び/又は消毒剤などの流体を受容する一次ポンプ(312)を含み、様々なサイクルに関して上述のようにバルブ(336、338、340、342、344)の集合に向かって流体をポンプ圧送する。より具体的には、消毒バルブ(340)は、消毒サイクル中の循環状態と収集状態との間を遷移するように構成される。消毒バルブ(340)が循環状態にある場合、バルブ(336、338、340、342、344)の集合は、再処理時の継続的な循環を保つため、フラッシュライン(30)及びノズルアセンブリ(322)に向かって消毒剤を戻すように構成される。消毒サイクルの終わりに、消毒バルブ(340)は循環状態から収集状態に遷移し、バルブ(336、338、340、342、344)の残りの集合と共に、将来的な消毒サイクルでの再使用のために、消毒剤を消毒剤貯蓄リザーバ(360)へ方向付ける。本明細書で使用するように、用語「消毒剤」は、濃縮消毒剤、又は任意の濃度での消毒剤を含む任意の溶液を指す。用語「消毒剤」は、このように、本発明を特定の濃度又は溶液の消毒剤に不必要に制限することを意図しない。
【0048】
再処理システム(310)は、消毒剤貯蔵リザーバ(360)とベースン(14a)との間で流体連通する消毒剤ポンプ(94)を更に含む。消毒剤ポンプ(94)は、このように、消毒剤を直接ベースン(14a)にポンプ圧送する。チェックバルブ(330)はまた、ベースン(14a)と消毒剤ポンプ(94)との間で流体連通し、ベースン(14a)内の流体がポンプ(94)に向かって逆流することを抑制するように構成される。いくつかの変形形態では、消毒剤貯蔵リザーバ(360)はブレイクタンクの形態をなし、そのため、一次ポンプ(312)及び消毒剤ポンプ(94)は、消毒剤貯蔵リザーバ(360)と個別に及び/又は同時に相互作用するように構成される。ただし、代替的な連結具及び他の機構を使用して、消毒剤を収集して再使用するために、再処理システム(310)内で任意の形状の消毒剤貯蔵リザーバ(360)を流体結合させ得ることが理解されよう。本発明は、このように、特定の消毒剤貯蔵リザーバ(360)に制限されることを意図しない。
【0049】
本例の再処理システム(310)は、ベースン(14a、14b)を備えたステーション(10、12)(図1参照)に容易に組み込まれ得る。このように、上述のとおり、図4に示されているベースン(14a)は、給水源(50)から水を受容し、そこから排水管(74)を経由してすべての水を放出する。例示のベースン(14a)は、その中で延在する複数のフラッシュライン(30)と、複数のノズル(324)を有するノズルアセンブリ(322)を含む。フラッシュライン(30)及びノズル(324)はそれぞれ、水及び/又は任意の添加剤(概ね流体と呼ばれ得る)を、再処理の目的でベースン(14a)内の内視鏡(200)(図3を参照のこと)に向かって方向付けるように構成されている。上述のように、フラッシュライン(30)は、それぞれの対応のチャネル(210、212、217、218)(図3を参照のこと)用に特に構成された、対応の既定の導管流量で、対応のチャネル(210、212、217、218)(図3を参照のこと)内に流体を放出するように構成されている。この目的のために、一次ポンプ(312)は、流体の既定の供給流量を、間に流体連結されている共通のマニホールド(326)を介してフラッシュライン(30)に集合的にポンプ圧送する。
【0050】
複数のフラッシュバルブ(314、316、318、320)は、それぞれのフラッシュライン(30)にそれぞれに位置付けられ、それぞれのフラッシュライン(30)が対応の既定の導管流量で流体を放出するように、一次ポンプ(312)からの流体の流れのバランスを取るように集合的に構成されている。一部の変形形態では、フラッシュライン(30)は、4つの異なる、流体の対応する既定の導管流量をチャネル(210、212、217、218)(図3を参照のこと)に送達する。一部の他の変形形態では、代替の医療機器に適応するため、対応する既定の導管流量の1つ又は2つ以上がほぼ等量である。いずれにせよ、任意の既定の導管流量で流体を送達するように構成された任意の数のフラッシュライン(30)が、1つ又は2つ以上のタイプの医療機器に適応するために使用され得る。
【0051】
給水源(50)は、水を3ウェイ導入バルブ(328)に送達し、3ウェイ導入バルブ(328)は、水をフィルタ(54)、チェックバルブ(330)、及び2ウェイバルブ(332)を通してベースン(14a)内に方向付ける。再処理システム(2)(図2を参照のこと)と同様に、水はレベルセンサ(59a、59b、76)によって検出される所望の量まで収集され得る。水は、ベースン(14a)から排出され、フラッシュライン(30)及びノズルアセンブリ(322)に向かって分配するため、加熱器(80)及び2ウェイバルブ(334)を通過して一次ポンプ(312)に到達し得る。より具体的には、2ウェイバルブ(336、338、340、342、344)の集合が一次ポンプ(312)の下流に流体接続され、内部を通る流体の流れを本明細書に論じられている様々なサイクルに対して許可又は阻止する。例えば、フラッシュバルブ(336)及びノズルバルブ(338)は、それぞれにフラッシュライン(30)及びノズルアセンブリ(322)に向かった流れを制御するように構成される。
【0052】
加えて、消毒剤バルブ(340)、排水バルブ(342)、及びリターンバルブ(344)はそれぞれ、内視鏡(200)の消毒、再処理システム(310)からの排出、及び再処理システム(310)の自己消毒を提供するように構成されている。消毒及び自己消毒について以下で更に詳細に論じることにする。本例では、開放されたフラッシュバルブ(336)及びノズルバルブ(338)を介して、流体の既定の供給流量全体を方向付けるように、消毒バルブ(340)、排水バルブ(342)、及びリターンバルブ(344)は完全に閉鎖されていると仮定する。ただし、再処理のサイクルを完了するために、複数の望ましい割合のうちのいずれか1つで流体を方向付けるよう、バルブ(336、338、340、342、344)の集合は、完全に開放する、部分的に開放する、及び/又は完全に閉鎖することが可能である。このように、本発明は、本明細書に記載するように、開放された及び/又は閉鎖されたバルブの組み合わせに特に限定されることを意図しない。
【0053】
フラッシュバルブ(336)の下流では、洗剤及びアルコール貯蔵部(86、134)などの添加剤貯蔵部、及び洗剤定量ポンプ(88)、アルコール定量ポンプ(346)、並びにガスポンプ(38)が、フラッシュライン(30)に向かって流れる水と一緒に又はその代わりに受容されるように流体接続する。一連の任意の2ウェイバルブ(348)は、様々な添加剤の流れを更に制御するため、ポンプ(88、346、38)の下流に流体接続され得る。いずれにせよ、水などの流体は、既定の供給流量でマニホールド(326)内に受容される。図4の例示の再処理システム(310)に示すように、4つのフラッシュライン(30)はそれぞれ、マニホールド(326)に流体接続し、内視鏡(200)のチャネル(210、212、217、218)(図3を参照のこと)と接続するためにベースン(14a)内に延在する。より具体的には、それぞれのフラッシュライン(30)は、チャネル(210、212、217、218)(図3を参照のこと)を対応のフラッシュライン(30)と流体連結するため、内視鏡(200)に対して流体シールを施すように構成されている連結ポート(350)を、ベースン(14a)内に含む。
【0054】
上に簡単に論じているように、それぞれのフラッシュライン(30)は、既定の導管流量に応じて、フラッシュライン(30)に沿った流体の流れのバランスを取るように構成されている、対応のフラッシュバルブ(314、316、318、320)を含む。一部の変形形態では、既定の供給流量に応じて流体入口マニホールド(326)に既定の制限を設けるため、フラッシュバルブ(314、316、318、320)は、互いに相対的な(relative to each to each other)大きさに設定されたオリフィスバルブの形状になっている。マニホールド(326)内の圧力がフラッシュライン(30)を通って均等に分配されると、既定の導管流量の流体が、対応のフラッシュバルブ(314、316、318、320)のそれぞれを貫流し、連結ポート(350)から放出される。あるいは、フラッシュバルブ(314、316、318、320)はそれぞれ、操作者が様々な流量を調節して、再処理システム(310)にて異なる医療機器に適応し得るよう、別個の既定の流量を提供するように構成された可変バルブを含み得る。
【0055】
更に、ノズルバルブ(338)はまた、一次ポンプ(312)から水などの流体を受容し、ノズルアセンブリ(322)に向かって流体を方向付ける。それぞれのノズル(324)は、本例では概ね同一であり、ほぼ同等の既定のノズル流量でベースン(14a)内の内視鏡(200)(図3を参照のこと)の外側上に流体を放出するように構成されている。この目的のため、それぞれのノズル(324)及び流体ライン(30)が、その既定の導管流量及び既定のノズル流量のそれぞれに従って流体を放出するように、ノズルバルブ(338)は、フラッシュバルブ(314、316、318、320)と共に更に既定の供給流量のバランスを取るように構成される。フラッシュバルブ(314、316、318、320)のように、ノズルバルブ(338)も、操作者が様々な流量を調節して、再処理システム(310)で異なる医療機器に適応し得るよう、別個の既定の流量に設定するように構成された可変バルブであってよい。あるいは、開放位置にあるノズルバルブ(338)は、様々な既定の流量が、それぞれの対応のノズル(324)における制限によって簡単にバランスが取られるように、軽微な抵抗性をもたらし得る。
【0056】
使用中、再処理システム(310)は、給水設備(50)からベースン(14a)内に水を受容する。あるいは、ベースン(14a)は、1つの添加剤のみ又は水と添加剤との組み合わせを受容し得る。いずれにせよ、ベースン(14a)内に収集された流体は、一次ポンプ(312)内に受容され、そこから既定の供給流量でポンプ圧送される。バルブ(338、340、342、344)の集合は概ね、マニホールド(326)及びノズルアセンブリ(322)に向かって既定の供給流量で流体を方向付けるように構成される。上で更に詳細に論じているように、マニホールド(326)に向かって流れる流体はまた、洗剤などの添加剤の1つを受容し得る。
【0057】
流体の既定の部分がマニホールド(326)に流れ込み、一方、流体の残りの既定の部分は、ノズルバルブ(338)を貫流する。フラッシュバルブ(336)及びノズルバルブ(338)は、少なくとも2つの異なる対応の既定の導管流量で、それぞれのフラッシュライン(30)に沿って流体の流れを方向付けるため、対応のフラッシュライン(30)それぞれに既定の制限を生じさせる。かかる既定の制限及び制限(and restriction)は、フラッシュバルブ(336)及びノズルバルブ(338)に、様々な既定の流量に従って貫流する流体の配分をもたらす。例えば、フラッシュバルブ(336)及びノズルバルブ(338)は、4つの異なる対応の既定の導管流量で、4つのフラッシュライン(30)に沿って流体を方向付けるように構成され得る。それに応じてバランスが取られると、内視鏡(200)(図3を参照のこと)を再処理するための既定の導管流量を用いて、それぞれの連結ポート(350)から対応のチャネル(210、212、217、218))(図3を参照のこと)内に流体が放出される。バルブ(336、338)を介してかかる既定の流量を生成することは、本明細書に記載された再処理の任意のサイクルで使用され得るものであり、本発明を何らかの特定の再処理サイクルに制限することを意図しないことが理解されよう。
【0058】
本例の再処理システム(310)は、それぞれのフラッシュライン(30)及びノズル(324)に既定の供給流量の流体を供給する、1つの一次ポンプ(312)のみを含む。ただし、任意の数のポンプを直列又は並列などの組み合わせで使用して、上述のように流体を方向付け得ることが理解されよう。したがって、本発明は、1つの一次ポンプ(312)のみに不必要に制限されることを意図しないことが理解されよう。単に更なる例として、再処理システム(310)は、参照により開示が本明細書で援用される2016年5月18日出願の「Apparatus and Method for Reprocessing a Medical Device」と題する米国特許出願第15/157,800号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。
【0059】
図5は別の例示的な再処理システム(310’)を示し、この再処理システムは、消毒剤バルブ(340)とポンプ(94)との間で流体接続された別の例示的な消毒剤貯蔵リザーバ(360’)を有する。消毒剤貯蔵リザーバ(360’)は、消毒剤貯蔵リザーバ(360)(図4を参照のこと)に概ね似ているが、再処理用の消毒剤を更に準備して維持するための付加的な機構も含む。特に、消毒剤貯蔵リザーバ(360’)は、再処理用の消毒剤を加熱するように構成された消毒剤加熱器(361’)を含む。いくつかの変形形態では、消毒剤加熱器(361’)は、以下に更に詳細に論じられている理由から、再処理システム(310’)を循環する流体をより迅速に加熱するため、使用を見越して消毒剤を予熱するように構成される。あるいは又は加えて、消毒剤加熱器(361’)は、使用の目的で消毒剤貯蔵リザーバ(360’)からポンプ(94)に向かって流れる間に消毒剤を加熱し得る。いずれの場合も、消毒剤加熱器(361’)は、流体が再処理システム(310’)を貫流するときに流体を集合的に加熱するため、加熱器(80)と共に流体を加熱するように構成され得る。
【0060】
消毒剤貯蔵リザーバ(360’)は、消毒剤貯蔵リザーバ(360’)を貫流する及び/又はその内部に収容される消毒剤を監視するため、最大レベルセンサ(362’)、最小レベルセンサ(363’)、及び温度センサ(364’)を更に含む。最大及び最小レベルセンサ(362’、363’)は、消毒剤貯蓄リザーバ(360’)内に収容される消毒剤の量を見積もり、制御システム(20)(図1を参照のこと)などの別のシステムと通信するように構成される。例えば、最大及び最小レベルセンサ(362’、363’)並びに制御システム(20)(図1を参照のこと)は、最大レベルを超える、最小レベルを下回る、又は概ね動作に望ましい最大レベルと最小レベルとの間にある消毒剤の量を集合的に監視する。温度センサ(364’)はまた、制御システム(20)(図1を参照のこと)などの別のシステムと通信して、消毒剤の温度を監視する。
【0061】
消毒剤を更に監視するため、再処理システム(310’)はまた、消毒剤濃度測定サブシステム(365’)を含み、消毒剤濃度測定サブシステム(365’)は、再処理システム(310’)内の少なくとも1つの場所から、試料採取及び検査のために消毒剤を受容するように構成される。この目的のため、本例の消毒剤濃度測定サブシステム(365’)は、フィルタ(54)から及び少なくとも1つのフラッシュライン(30)から、消毒剤試料を受容する。消毒剤濃度測定サブシステム(365’)は、内部を貫流する流体内に存在する消毒剤の濃度について、フィルタ(54)及びフラッシュライン(30)から受容された消毒剤試料を検査するように構成される。測定された消毒剤の濃度が、濃度の既定の範囲内にない、又は既定の最小濃度を下回る場合、消毒剤濃度測定サブシステム(365’)はその旨を操作者に通知する。かかる測定及び通知は、上により詳細に論じられている制御システム(20)(図1を参照のこと)との通信によって更に促進され得る。
【0062】
試料採取及び検査の完了時に、消毒剤濃度測定サブシステム(365’)が更に使用可能になるように、消毒剤が排水サンプ(130)に排出される。同時に、流体が消毒剤濃度測定サブシステム(365’)に向かって方向付けられない場合、フィルタ(54)は直接排水サンプ(130)に排出する。本明細書に記載されているとおり、消毒剤濃度を測定し、操作者に通知する様々な装置及び方法が使用され得、このため、本発明は、任意の特定の消毒剤濃度測定サブシステム(365’)に不必要に制限されることを意図しないことが理解されよう。単に更なる例として、消毒剤濃度測定サブシステム(365’)は、参照により開示が本明細書で援用される2016年5月18日出願の「Apparatus and Method to Measure Concentration of Disinfectant in Medical Device Reprocessing system」と題する米国特許出願第15/157,952号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能となり得る。
【0063】
再処理システム(310’)での追加の監視は、ベースン温度センサ(366’)、排水サンプオーバーフローセンサ(367’)、及び複数の流れセンサ(368’)によって提供される。ベースン温度センサ(366’)は概ね、その中の流体の温度を測定するように構成される一方、排水サンプオーバーフローセンサ(367’)は、操作者に警告するため、排水サンプ(130)内に収集された過剰な流体を測定するように構成される。それぞれの流れセンサ(368’)は、再処理システム(310’)を介した流体の循環全体を監視するため、内部を貫流する流体の体積流量を測定するように構成される。温度センサ(366’)、排水サンプオーバーフローセンサ(367’)、及びフローセンサ(368’)はそれぞれ、再処理システム(310)を使用するために、本明細書に論じられている1つ又は2つ以上の任意のセンサで集合的に動作するよう、制御システム(20)(図1を参照のこと)と通信し得る。ただし、再処理システム(310’)を監視する代替の装置及び方法を使用することができ、本明細書に記載の本発明は、再処理システム(310’)に不必要に制限されることを意図しないことが理解されよう。
【0064】
IV.フローサイクルを循環させるための例示的な医療装置再処理機器及び方法
いくつかの例では、様々な溶液、液体、及び/又は加圧空気の流れを内視鏡に通して方向付けることによって、内視鏡の内部チャネル内のバイオバーデン低減を高めることが望ましくあり得る。内視鏡の内部チャネル内に洗剤及び/又は消毒剤を堆積させることは、チャネルのバイオバーデンレベルを低下させることになり得るが、内視鏡の内部チャネル内のバイオバーデンレベルを低減させることは、内部チャネルの径が小さく、ときには外形が不規則であるがために、特に困難となり得る。いくつかの例では、特定の期間にわたって内視鏡の内部チャネル内の消毒剤又は洗剤を単純に維持することは、所望のレベルのバイオバーデン低減効率を達成するのに必要な時間を著しく増加させ得る。いくつかの例では、内視鏡(200)は、十二指腸内視鏡など、ケーブル又はワイヤが中に配置されたエレベータチャネルを含み得る。エレベータチャネル内に収容されたケーブル又はワイヤが存在することにより、エレベータチャネルを通じて流動し得る消毒剤の体積が制限されるときに更なる制約が生じる。ケーブルがツイストケーブルの形態をなす場合、様々なバイオバーデン及び他の粒子を収容することが可能な多数の間隙及び隙間が存在する。
【0065】
内視鏡(200)の内部チャネル(210、212、213、214、217、218)、及び十二指腸内視鏡のエレベータチャネルは、内視鏡(200)の外側表面よりも耐薬品性の高い材料から形成されてもよい。単に例示的な例として、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)は、テフロン、又は化学又は熱暴露に対してより高度な許容度を有する金属から形成されてもよい。それにより、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)は、より高濃度の消毒剤若しくは洗剤及び/又はより高い温度に暴露されることが可能となる。加えて、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)は外形が幅狭であり、ときには輪郭が不規則であるため、より高レベルの濃度を利用することは、内視鏡(200)の外側表面よりも内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を消毒する方が困難であるがゆえに、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)内におけるバイオバーデン低減を効果的に達成するために望ましくあり得る。
【0066】
様々な処理溶液を方向付けて内視鏡(200)に通すことを交互に行う再処理機器が、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)のバイオバーデン低減効率を増大させるために望ましくあり得る。様々な液体、洗剤、及び消毒剤が内視鏡(200)の内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を通じて流動する循環サイクルを提供することは、チャネル(210、212、213、214、217、218)内のバイオバーデンレベルを低下させるのに有益であり得る。これらのタイプの液体は、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を通じて反復的に流動するので、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)の内壁に、流量と比例した剪断応力が生成される。内部チャネル(210、212、213、214、217、218)の内壁は、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)が損傷を受けずに暴露され得る程度の剪断応力に制限される。したがって、液体の流量を増大させ、中に収容された液体を追い出すように、内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を通じて加圧空気を方向付けることが望ましくあり得る。より多くの流体が空気と共に追い出されるため、チャネル(210、212、213、214、217、218)内の液体の流量は著しく増大する。以下に示されるハーゲンポアズイユの式で表されるように、流量の量はチャネル(210、212、213、214、217、218)の長さに反比例する。
【0067】
【数1】
式中、交換可能な単位(例えば、SI):「Q」は体積流量であり、「V(t)」は、時間「t」の関数とした、輸送される液体の体積であり、「v」は、チューブの長さに沿った平均流体速度であり、「x」は流れの方向における距離であり、「R」はチューブの内径であり、「ΔP」は、2つの端部の間の差圧であり、「n」は動的流体速度であり、「L」はチューブの長さである。
【0068】
この例では、内壁の剪断応力が増大し、バイオバーデン除去量が増加する。剪断応力の大きさは、次の式:
【0069】
【数2】
で示すように流量に比例し、式中、「μ」は水の粘度であり、「Q」は流量である。
【0070】
洗剤又は消毒剤が通過した後に内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を通じて加圧空気の流れを反復的に方向付けることは、内視鏡(200)から残存する液体を追い出して、以前のサイクルからのいかなる残留物も実質的に除去されるようにするために、更に望ましくあり得る。内視鏡(200)の内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を反復的に充填及びパージすることにより、一定レベルのバイオバーデンを除去するために必要な総時間が低減され得る。また、高濃度の消毒剤を導入する任意の後続サイクルにおいて、その消毒剤は、チャネル(210、212、213、214、217、218)内の残留流体によって希釈される可能性がより低くなる。以下の説明では、医療機器の内部チャネルに様々な物質及び溶液の反復サイクルを供給するように構成された再処理システムの様々な例が提示される。再処理システムは、洗剤、水、加圧空気などの様々な物質を送達するように構成された単一のポンプアセンブリを含んでもよい。この例では、再処理システムは、単一のポンプアセンブリを通じて様々な物質を個別に送達するために一連のバルブを選択的に開放及び閉鎖するように構成されてもよい。代替的に、以下に示すように、再処理システムは、様々な各物質を内部チャネル(210、212、213、214、217、218)に送達するために、別個の専用ポンプを含んでもよい。個々のポンプについては以下で説明するが、以下で説明する再処理方法が実現するために、単一のポンプシステムを利用しても、ポンプアセンブリを利用してもよいことを理解されたい。
【0071】
A.事前に希釈された消毒剤を用いた医療装置再処理機器及び方法
いくつかの事例では、上記で既に説明したように、内視鏡(200)の内部チャネル(210、212、213、214、217、218)の先行する洗浄サイクルから得られる、以前に使用された消毒剤を、後続のサイクルで再利用することが望ましくあり得る。将来的なサイクルのために内視鏡(200)の内部チャネル(210、212、213、214、217、218)内に消毒剤を再堆積させることを伴う再処理方法は、各後続サイクルのための更なる消毒剤の必要性を低減すると共に、内視鏡(200)の内部構成要素を適切に消毒するのに有益となり得る。このようにして、複数の洗浄サイクルで消毒剤を再利用することは、十分な殺菌活性のレベルを達成すると共にコストを最小化することになり得る。以前に利用された消毒剤を内部チャネル(210、212、213、214、217、218)の中に送達する各段階の間に、消毒剤の希釈係数は劇的に減少し得る。チャネル(210、212、213、214、217、218)内の消毒剤の濃度は、次の式:C=C-(C×R)を用いて推定され得る。式中、「C」は「n」回のパージ及び充填サイクルの後のチャネル内の消毒剤濃度であり、「C」は初期の無希釈の消毒剤濃度であり、「R」は、パージ後のチャネル内にある流体の残留率である。以下の表は、種々のパラメータにおけるチャネル消毒剤濃度を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
以下の説明では、循環する洗浄サイクルを通じて内視鏡(200)の内部チャネル(210、212、213、214、217、218)を適切に汚染除去するように構成された再処理システム及び方法の様々な例が提示される。最終的に、内視鏡(200)の内部構成要素を消毒するための系統的アプローチを提示することは、適切な程度のバイオバーデン低減が各段階で達成されることを確実にするために有益となり得る。以下で説明する再処理方法は、様々な再処理システム(2、310、310’)のいずれにも、また上記で説明した様々な内視鏡(200)のいずれにも容易に組み込まれ得ることを理解されたい。以下で説明する再処理方法が用いられ得る他の好適な方式は、本明細書の教示に鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0074】
図6は、消毒剤貯蔵部(411)と、洗剤貯蔵部(415)と、空気供給システム(421)と、水供給部(425)とを含んだ例示的な再処理システム(410)のブロック図を示している。別段に以下で記載されていない限り、再処理システム(410)、消毒剤貯蔵部(411)、洗剤貯蔵部(415)、空気供給システム(421)、及び水リザーバ(425)はそれぞれ、上記で説明した再処理システム(2、310、310’)、消毒剤貯蔵部(92、360)、消毒剤(86)、空気供給システム(36)、及び水供給部(50)と全く同様に構成されかつ動作可能である。内視鏡(400)の内部チャネル(420)は、フラッシュライン(444)を介して、消毒剤貯蔵部(411)、洗剤貯蔵部(415)、空気供給システム(421)及び水リザーバ(425)と流体連通する。再処理システム(410)は、消毒液(92)、洗剤溶液(86)、空気及び水を個々にかつ順次に内視鏡(400)の内部チャネル(420)に送達するように動作可能である。1つの内視鏡(400)のみが再処理システム(410)において再処理されるものとして示されているが、再処理システム(410)は、2つ以上の内視鏡(400)を同時に及び/又は順次的に再処理することが可能となり得ることを理解されたい。
【0075】
フラッシュライン(444)は、再処理システム(410)に動作可能に接続された各チャネル(420)に対するフラッシュバルブ(446)を含んでいる。フラッシュバルブ(446)は、消毒剤貯蔵部(411)、洗剤貯蔵部(415)、空気供給システム(421)、及び水リザーバ(425)の下流に配置されている。本例では、消毒剤貯蔵部(411)は順に、消毒剤ポンプ(412)、流れセンサ(413)及びチェックバルブ(414)と流体連通しており、そのため、消毒剤ポンプ(412)は、フラッシュライン(444)によって、消毒剤貯蔵部(411)から流れセンサ(413)へ、そしてチェックバルブ(414)を通して消毒剤(92)を移送するように構成されている。この事例では、消毒液(92)は、適切なバイオバーデン低減を内部チャネル(420)にもたらすことが可能な高濃度の消毒剤である。
【0076】
流れセンサ(413)は、消毒剤ポンプ(412)から内視鏡(400)の内部チャネル(420)に送達される濃縮消毒剤(92)の流れを監視するように動作可能である。再処理システム(410)の制御システム(20)は、内視鏡(400)と流体連通しているフラッシュバルブ(446)を開放し、流れセンサ(413)によって監視されたデータを回収するための制御アルゴリズム(図7を参照)を実行するように構成されている。制御システム(20)は、フラッシュバルブ(446)を閉鎖することによって、内部チャネル(420)が十分な量の濃縮消毒剤(92)を受容したことを流れセンサ(413)から取得されたデータが示すときに、消毒剤ポンプ(412)と内視鏡(400)との間の流体連通を終了させるように動作可能である。
【0077】
同様に、消毒剤貯蔵部(415)は順に、洗剤ポンプ(416)、流れセンサ(417)及びチェックバルブ(418)と流体連通しており、そのため、洗剤ポンプ(416)は、フラッシュライン(444)によって、流れセンサ(417)へ、そしてチェックバルブ(418)を通して洗剤溶液(86)を移送するように構成されている。流れセンサ(417)は、洗剤(86)が洗剤ポンプ(416)から内視鏡(400)の内部チャネル(420)に送達されるときに経過時間を監視するように動作可能である。再処理システム(410)は、流れセンサ(417)によって監視された経過時間が所定の時間閾値に達すると、洗剤ポンプ(416)とフラッシュバルブ(446)との間の流体連通を終了させるように構成される。それに代わってあるいはそれに関連して、再処理システム(410)は、洗剤ポンプ(416)が洗剤(86)を内部チャネル(420)にポンプ圧送する動作を中止するように構成される。各事例では、再処理システム(410)は、流れセンサ(417)によって感知されるように、内部チャネル(420)が十分な量の洗剤(86)を受容したときに、フラッシュバルブ(446)を閉鎖するように構成される。
【0078】
空気供給システム(421)は、空気ポンプ(422)、フィルタ(423)及びチェックバルブ(424)と連通している。空気ポンプ(422)は、空気供給システム(421)からフィルタ(423)及びチェックバルブ(424)を通じて加圧空気を押込み、それによって内視鏡(400)の内部チャネル(420)の中へかつそれを通じて空気の流れを送達するように構成される。フィルタ(423)は、空気供給システム(421)から抽出された流入空気流から微生物を濾過及び除去するように動作可能である。いくつかの例示的な例では、フィルタ(423)はHEPA微生物除去フィルタを含む。いくつかの変形形態では、再処理システム(410)は、空気ポンプ(422)及びチェックバルブ(424)と連通するフィルタ(423)を含まなくてもよい。水リザーバ(425)は、水ポンプ(426)、流れセンサ(427)及びチェックバルブ(428)と連通している。水ポンプ(426)は、フラッシュライン(444)によって、水リザーバ(425)から流れセンサ(427)へ、そしてチェックバルブ(428)を通して水をポンプ圧送するように構成されている。再処理システム(410)は、流れセンサ(427)からのデータに基づいて、水ポンプ(426)から内視鏡(400)の内部チャネル(420)に送達される水の量を測定するように動作可能である。再処理システム(410)は更に、流れセンサ(427)によって感知されるように、内部チャネル(420)が十分な量の水を受容したと判断すると、フラッシュバルブ(446)を閉鎖するように構成される。
【0079】
再処理システム(410)は更に、フラッシュライン(444)によって内視鏡(400)の内部チャネル(420)と流体連通するベースン(14a)を含んでいる。ベースン(14a)は、内部チャネル(420)から放出された任意の流体又は空気を受容するように動作可能である。更に、ベースン(14a)は、フラッシュライン(444)によって消毒剤ポンプ(412)と流体連通し、そのため、消毒剤ポンプ(412)は、ベースン(14a)内の放出された流体を消毒剤ポンプ(412)に引き込むように動作可能である。放出された流体は、消毒剤ポンプ(412)が再起動して、流れセンサ(413)、チェックバルブ(414)を通じて内部チャネル(420)の中に後続の量の消毒剤(92)をポンプ圧送するとき、再処理システム(410)を通じて再循環される。例えば、内部チャネル(420)から最近放出された、以前に使用された消毒剤(92)をベースン(14a)が保持する状態で、ベースン(14a)は、以前に使用された消毒剤(92)を再利用のために消毒剤ポンプ(412)に移送するように動作可能である。この事例では、消毒剤ポンプ(412)は、以前に使用された消毒剤(92)を再び内部チャネル(420)の中にポンプ圧送するように構成されている。同時に、消毒剤ポンプ(412)は更に、ベースン(14a)から受容された、以前に使用された消毒剤(92)との混合及び送達のために、消毒剤貯蔵部(411)から消毒剤(92)の新たな一部分を取得するように構成されている。
【0080】
図6で分かるように、再処理システム(410)は、消毒剤貯蔵部(411)と消毒剤ポンプ(412)との間に一列に並んだ第1の可変バルブ(448)と、ベースン(14a)と消毒剤ポンプ(412)との間にある第2の可変バルブ(450)とを含んでいる。再処理システム(410)はそれぞれ、可変バルブ(448、450)を選択的に開放及び閉鎖して、消毒剤(92)を消毒剤貯蔵部(411)から引き出し、それとは別にあるいはそれと同時に流体をベースン(14a)から引き込むように動作可能である。例えば、第1の可変バルブ(448)が開放状態にあり、第2の可変バルブ(450)が閉鎖状態にあると、消毒剤ポンプ(412)の動作は、消毒剤貯蔵部(411)から消毒剤(92)を引き込む。第1の可変バルブ(448)が閉鎖状態にあり、第2の可変バルブ(450)が開放状態にあると、消毒剤ポンプ(412)はベースン(14a)内から流体を引き出すように動作可能である。
【0081】
いくつかの変形形態では、再処理システム(410)は、可変バルブ(448、450)を同時に開放して維持するように構成される。この事例では、フラッシュバルブ(446)とは異なり、可変バルブ(448、450)は、選択的に調節されるように構成された可変オリフィスを含んでいる。再処理システム(410)は、可変バルブ(448、450)のオリフィスのサイズを調節し、それによって、消毒剤貯蔵部(411)から引き込まれる消毒剤(92)の量、及び消毒剤ポンプ(412)の動作によってベースン(14a)から引き出さられる放出流体の量を選択的に制御するように構成されている。この事例では、再処理システム(410)は、可変バルブ(448、450)の開放寸法を協働的に操作し、それによって、後続の消毒サイクルの間に、多様な投与量及び/又は濃度の消毒剤(92)を内部チャネル(410)に送達するように動作可能である。図示されていないが、再処理システム(410)が単一のポンプアセンブリを含み、したがって、同じポンプアセンブリが洗剤(86)、水、加圧空気、及び洗剤(92)を送達するように構成されてもよいことを理解されたい。この事例では、再処理システム(410)は、一連のフラッシュバルブ(446)を選択的に開放及び閉鎖して、単一のポンプアセンブリによって様々な物質を個別に送達するように構成されている。
【0082】
図7は、内視鏡(400)の内部チャネル(420)の所定回数の充填及びパージサイクルを実施するために再処理システム(410)によって用いられ得る、例示的な再処理方法(480)の各工程を表す流れ図を示している。工程(482)において、再処理システム(410)は、洗剤ポンプ(412)を始動して、フラッシュライン(444)を介して内視鏡(400)に洗剤溶液(86)を送達する。再処理システム(410)は、所定の流量で内部チャネル(420)を通じて洗剤(86)を送達するように構成されている。工程(484)において、洗剤(86)が洗剤貯蔵部(415)から内視鏡(400)に移送され、流れセンサ(417)は、洗剤ポンプ(416)が内部チャネル(420)に向かって洗剤(86)を能動的にポンプ圧送するときの流れの経過時間を測定する。再処理システム(410)は、経過した流れ時間が洗剤送達に対する所定の時間閾値に等しいとき、洗剤ポンプ(416)の動作を中止する。その後に、工程(486)において、再処理システム(410)は水ポンプ(426)を始動して、フラッシュライン(444)を介し、及び内部チャネル(420)を通じて内視鏡(400)に水を送達し、それによって、内部チャネル(420)から外へ、そしてベースン(14a)の中へと、残留する洗剤(86)をすすぎ落す。この事例では、流れセンサ(427)は、水ポンプ(426)が内部チャネル(420)に向かって水を能動的にポンプ圧送しているときの流れの経過時間を測定する。再処理システム(410)は、経過した流れ時間がすすぎに対する所定の時間閾値に等しいとき、水ポンプ(426)の動作を中止する。
【0083】
工程(488)において、再処理システム(410)は空気ポンプ(422)を始動して、フィルタ(423)を通じて内視鏡(400)の中へと、空気供給システム(421)から加圧空気を送る。空気流は内部チャネル(420)を通過し、それによって、中に含まれた残留するあらゆる洗剤(86)又は水を内部チャネル(420)からパージする。空気ポンプ(422)は、特定の流れ時間が経過して再処理システム(410)が空気ポンプ(422)の動作を中止することが通知されるまで、内部チャネル(420)を通じて加圧空気を引き続き流動させる。再処理システム(410)は、経過した流れ時間が空気パージに対する所定の時間閾値に達すると、空気ポンプ(422)を終了させる。工程(490)において、空気ポンプ(422)が停止した状態にあると、消毒剤ポンプ(412)は同時に、内視鏡(400)の内部チャネル(420)に高濃度の消毒剤(92)をポンプ圧送し始める。
【0084】
工程(492)で分かるように、再処理システム(410)は、消毒剤貯蔵部(411)から内視鏡(400)に移送される消毒剤(92)の体積を監視し、送達された体積が所定の閾値に実質的に等しいときに、消毒剤ポンプ(412)の動作を中止する。再処理システム(410)は、消毒剤ポンプ(412)の停止と同時にすべてのフラッシュバルブ(446)を閉鎖する。この事例では、工程(494)で分かるように、再処理システム(410)は、内視鏡(400)の内部チャネル(420)が最小滞留時間にわたって高濃度の消毒剤(92)を貯蔵しているか否かを評価する。単に例示的な例として、所定の滞留時間は、約10秒から約30秒の範囲であり得る。図示されていないが、いくつかの変形形態では、再処理システム(410)が最小滞留時間にわたって内部チャネル(420)内に高濃度の消毒剤(92)を保持することを見送ってもよいことを理解されたい。それに代わって、フラッシュバルブ(446)は、消毒剤ポンプ(412)の停止後も依然として開放したままであってもよく、また再処理システム(410)は、上記で説明したように、それぞれ順番に水ポンプ(526)及び空気ポンプ(422)を始動してもよい。
【0085】
工程(496)において、内部チャネル(420)が最小滞留時間にわたって消毒剤(92)を維持したと再処理システム(410)が判断すると、フラッシュバルブ(446)が再開放され、空気ポンプ(422)が再起動される。この事例では、加圧空気が内部チャネル(420)を通じて流動され、それによって内視鏡(400)から消毒剤(92)がパージされる。内部チャネル(420)内からベースン(14a)の中へと放出される消毒剤(92)の流量は加圧空気の流れによって増加され、それによってバイオバーデン除去が増進される。工程(497)において、消毒剤(92)がベースン(14a)の中へと放出され、その中に収容されている状態で、再処理システム(410)は、上記で説明した充填及びパージプロセスが所定の「n」回、実施されたか否かを判断する。単に例示的な例として、所定の「n」回は2回であっても、3回であっても、4回であっても、5回であっても、6回であっても、それ以上であってもよい。完了されるべき更なる充填及びパージサイクルが残っていると再処理システム(410)によって判断されると、再処理システム(410)は、工程(498)で分かるように、後に次のサイクルで使用するために、以前に使用された消毒剤(92)をベースン(14a)から消毒剤ポンプ(412)へと移送する。
【0086】
この事例では、完了されるべき更なる充填及びパージサイクルが残っていないと再処理システム(410)が判断するまで、再処理システム(410)は引き続き工程(490)~工程(497)を実施することになる。換言すれば、再処理システム(410)が再処理方法(480)を所定の「n」回、実施したとき、再処理方法(480)は工程(499)に進むことになる。工程(499)において、再処理システム(410)は、再処理方法(480)の継続を中止する。
【0087】
B.濃縮消毒剤を用いた医療装置再処理機器及び方法
前述したように、いくつかの事例では、内視鏡(200)は、十二指腸内視鏡など、ケーブル又はワイヤが中に配置されたエレベータチャネルを含み得る。十二指腸内視鏡のエレベータチャネル内に収容されるケーブルは、バイオバーデン、水、粒子、及び他の物質を間に収めることが可能な様々な間隙及び隙間を有するツイストケーブルの形態をなしてもよい。更に、ツイストケーブル又はワイヤの表面張力により、水及び他の粒子は、消毒剤がエレベータチャネルの中に送達された後も、その間隙及び隙間に残存し得る。エレベータチャネル内に収容された残存する水又は他の物質は、消毒のためにエレベータチャネルの中に後に送達される消毒剤を希釈し、それによって、内部チャネルのバイオバーデンレベルを低減するプロセスをより困難なものにする傾向を有し得る。それに加えて、エレベータチャネル内にケーブル又はワイヤが存在することにより、エレベータチャネルを通じて流動し得る消毒剤の体積をケーブル又はワイヤが著しく制限するため、更なる制約が生じる。
【0088】
最終的に、エレベータチャネルが小径を有し、中に収容されたケーブル又はワイヤが存在する状態で、内視鏡(200)内のバイオバーデンレベルを低減する難しさが著しく高まる。上記で説明した再処理システム(410)及び再処理方法(480)と類似した再処理システム及び方法を提供することは、繰り返される洗浄サイクルを通じて内視鏡の内部チャネルを適切に消毒するために望ましくあり得る。しかしながら、中に収容されたケーブル又はワイヤを含んだエレベータチャネルを再処理する難しさが増大するため、再処理システム及び方法が各サイクルの間に消毒剤濃縮物を利用することが望ましくなり得る。この事例では、消毒剤の濃度が繰り返される各サイクルで比較的高く、十二指腸内視鏡のエレベータチャネルにおけるバイオバーデン低減効率が十分に増大するのを確実にするため、以前に使用された消毒剤は再処理システムを通じて再循環されない。
【0089】
内視鏡の内部構成要素を消毒するための系統的アプローチを提示することは、適切な程度のバイオバーデン低減が各段階で達成されることを確実にするために有益であり得る。以下の説明では、各サイクルごとに濃縮消毒剤を用いる繰り返される洗浄サイクルを通じて、内視鏡(200)の内部チャネルを適切に消毒するように構成された再処理システム及び方法の様々な例が提示される。以下で説明する再処理方法は、様々な再処理システム(2、310、310’、410)のいずれにも、また上記で説明した様々な内視鏡(200)のいずれにも容易に組み込まれ得ることを理解されたい。以下で説明する再処理方法が用いられ得る他の好適な方式は、本明細書の教示に鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0090】
図8は、消毒剤貯蔵部(511)と、洗剤貯蔵部(515)と、空気供給システム(521)と、水供給部(525)とを含んだ例示的な再処理システム(510)のブロック図を示している。別段に以下で記載されていない限り、再処理システム(510)、消毒剤貯蔵部(511)、洗剤貯蔵部(515)、空気供給システム(521)、及び水リザーバ(525)はそれぞれ、上記で説明した再処理システム(2、310、310’、410)、消毒剤貯蔵部(92、360、411)、消毒剤貯蔵部(86、415)、空気供給システム(36、421)、及び水供給部(50、425)と全く同様に構成されかつ動作可能である。内視鏡(500)の内部チャネル(520)は、フラッシュライン(544)を介して、消毒剤貯蔵部(411)、洗剤貯蔵部(515)、空気供給システム(521)及び水リザーバ(525)と流体連通する。再処理システム(510)は、消毒液(92)、洗剤溶液(86)、空気及び水を個々にかつ順次に内視鏡(500)の内部チャネル(520)に送達するように動作可能である。1つの内視鏡(500)のみが再処理システム(510)において再処理されるものとして示されているが、再処理システム(510)は、2つ以上の内視鏡(500)を同時に及び/又は順次的に再処理することが可能であり得ることを理解されたい。
【0091】
フラッシュライン(544)は、再処理システム(510)に動作可能に接続された各チャネル(520)に対するフラッシュバルブ(546)を含んでいる。フラッシュバルブ(546)は、消毒剤貯蔵部(511)、洗剤貯蔵部(515)、空気供給システム(521)、及び水リザーバ(525)の下流に配置されている。本例では、消毒剤貯蔵部(511)は順に、消毒剤ポンプ(512)、流れセンサ(513)及びチェックバルブ(514)と流体連通しており、そのため、消毒剤ポンプ(512)は、フラッシュライン(544)によって、消毒剤貯蔵部(511)から流れセンサ(513)へ、そしてチェックバルブ(514)を通して消毒剤(92)を移送するように構成されている。この事例では、消毒液(92)は、適切なバイオバーデン低減を内部チャネル(520)にもたらすことが可能な高濃度の消毒剤又は滅菌剤である。
【0092】
流れセンサ(513)は、消毒剤ポンプ(512)から内視鏡(500)の内部チャネル(520)に送達される濃縮消毒剤(92)の流れを監視するように動作可能である。再処理システム(510)の制御システム(20)は、内視鏡(500)と流体連通しているフラッシュバルブ(546)を開放し、流れセンサ(513)によって監視されたデータを回収するための制御アルゴリズム(図9を参照)を実行するように構成されている。制御システム(20)は、フラッシュバルブ(546)を閉鎖することによって、内部チャネル(520)が十分な量の消毒剤(92)を受容したときに、消毒剤ポンプ(512)と内視鏡(500)との間の流体連通を終了させるように動作可能である。
【0093】
同様に、消毒剤貯蔵部(515)は順に、消毒剤ポンプ(516)、流れセンサ(517)及びチェックバルブ(518)と流体連通しており、そのため、消毒剤ポンプ(516)は、フラッシュライン(544)によって、流れセンサ(517)へ、そしてチェックバルブ(518)を通して消毒液(86)を移送するように構成されている。流れセンサ(517)は、洗剤(86)が洗剤ポンプ(516)から内視鏡(500)の内部チャネル(520)に送達されるときに経過時間を監視するように動作可能である。換言すれば、再処理システム(510)は、流れセンサ(517)によって監視された経過時間が消毒剤(86)を内視鏡(500)に送達するための所定の時間閾値を満たすと、フラッシュバルブ(546)を閉鎖することによって洗剤ポンプ(516)とフラッシュバルブ(546)との間の流体連通を終了させるように構成される。それに代わってあるいはそれに関連して、再処理システム(510)は、洗剤ポンプ(516)が洗剤(86)を内部チャネル(520)にポンプ圧送する動作を中止するように構成される。各事例では、再処理システム(510)は、流れセンサ(517)によって感知されるように、内部チャネル(520)が十分な量の洗剤(86)を受容したときに、フラッシュバルブ(546)を閉鎖するように構成される。
【0094】
空気供給システム(521)は、空気ポンプ(522)、フィルタ(523)及びチェックバルブ(524)と連通している。空気ポンプ(522)は、空気供給システム(521)からフィルタ(523)及びチェックバルブ(524)を通じて加圧空気を押込み、それによって内視鏡(500)の内部チャネル(520)の中へかつそれを通じて空気の流れを送達するように構成される。フィルタ(523)は、空気供給システム(521)から抽出された流入空気流から微生物を濾過及び除去するように動作可能である。いくつかの例示的な例では、フィルタ(523)はHEPA微生物除去フィルタを含む。いくつかの変形形態では、再処理システム(510)は、空気ポンプ(522)及びチェックバルブ(524)と連通するフィルタ(523)を含まなくてもよい。水リザーバ(525)は、水ポンプ(526)、流れセンサ(527)及びチェックバルブ(528)と流体連通している。水ポンプ(526)は、フラッシュライン(544)によって、水リザーバ(525)から流れセンサ(527)へ、そしてチェックバルブ(528)を通して水をポンプ圧送するように構成されている。
【0095】
再処理システム(510)は、フラッシュバルブ(546)を開放するように、また水ポンプ(526)から内視鏡(500)の内部チャネル(520)に送達される水の量を測定するように動作可能である。流れセンサ(527)は、内部チャネル(520)に送達される水の量を監視するように動作可能である。この事例では、再処理システム(510)は、内部チャネル(520)が十分な量の水を受容したときに、フラッシュバルブ(546)を閉鎖するように構成される。再処理システム(510)は更に、フラッシュライン(544)によって内視鏡(500)の内部チャネル(520)と流体連通するベースン(14a)を含んでいる。ベースン(14a)は、内部チャネル(520)から放出された任意の流体又は空気を受容するように動作可能である。前述したように、図示されていないが、再処理システム(510)が単一のポンプアセンブリを含み、したがって、同じポンプアセンブリが洗剤(86)、水、加圧空気、及び濃縮洗剤(92)を送達するように構成されてもよいことを理解されたい。この事例では、再処理システム(510)は、一連のフラッシュバルブ(546)を選択的に開放及び閉鎖して、単一のポンプアセンブリによって様々な物質を個別に送達するように構成されている。
【0096】
図9は、内視鏡(500)の内部チャネル(520)の所定回数の充填及びパージサイクルを実施するために再処理システム(510)によって用いられ得る、例示的な再処理方法(580)の各工程を表す流れ図を示している。工程(582)において、再処理システム(510)は、洗剤ポンプ(512)を始動して、フラッシュライン(544)を介して内視鏡(500)に洗剤溶液(86)を送達する。再処理システム(510)は、所定の流量で内部チャネル(520)を通じて洗剤(86)を送達するように構成されている。工程(584)において、洗剤(86)が洗剤貯蔵部(515)から内視鏡(500)に移送されると、流れセンサ(517)は、ポンプ(516)が内部チャネル(520)に向かって洗剤(86)を能動的にポンプ圧送するときの流れの経過時間を測定する。再処理システム(510)は、経過した流れ時間が洗剤送達に対する所定の時間閾値に等しいとき、洗剤ポンプ(516)の動作を中止する。その後に、工程(586)において、再処理システム(510)は水ポンプ(526)を始動して、フラッシュライン(544)を介して内視鏡(500)に内部チャネル(520)を通じて水を送達し、それによって、内部チャネル(520)から外へ、そしてベースン(14a)の中へと、残留する洗剤(86)をすすぎ落す。この事例では、流れセンサ(527)は、水ポンプ(526)が内部チャネル(520)の中に水をポンプ圧送しているときの流れの経過時間を測定する。再処理システム(510)は、経過した流れ時間がすすぎに対する所定の時間閾値に等しいとき、水ポンプ(526)の動作を中止する。
【0097】
工程(588)において、再処理システム(510)は空気ポンプ(522)を始動して、フィルタ(523)を通じて内視鏡(500)の中へと、空気供給システム(521)から加圧空気を送る。空気流は内部チャネル(520)を通過し、それによって、中に含まれた残留する洗剤(86)又は水を内部チャネル(520)からパージする。空気ポンプ(522)は、特定の流れ時間が経過して再処理システム(510)が空気ポンプ(522)の動作を中止することが通知されるまで、内部チャネル(520)を通じて加圧空気を引き続き流動させる。再処理システム(510)は、経過した流れ時間が空気パージに対する所定の時間閾値に達すると、空気ポンプ(522)を終了させる。工程(590)において、空気ポンプ(522)が停止した状態にあると、消毒剤ポンプ(512)は同時に、内視鏡(500)の内部チャネル(520)に高濃度の消毒剤(92)をポンプ圧送し始める。工程(592)で分かるように、再処理システム(510)は、消毒剤貯蔵部(511)から内視鏡(500)に移送される消毒剤(92)の体積を監視し、送達された体積が所定の閾値に実質的に等しいときに、消毒剤ポンプ(512)の動作を中止する。再処理システム(510)は、消毒剤ポンプ(512)の停止と同時にすべてのフラッシュバルブ(546)を閉鎖する。この事例では、工程(594)で分かるように、再処理システム(510)は、内視鏡(500)の内部チャネル(520)が最小滞留時間にわたって高濃度の消毒剤(92)を貯蔵しているか否かを評価する。単に例示的な例として、所定の滞留時間は、約10秒から約30秒の範囲であり得る。図示されていないが、いくつかの変形形態では、再処理システム(510)が最小滞留時間にわたって内部チャネル(520)内に高濃度の消毒剤(92)を保持することを見送ってもよいことを理解されたい。それに代わって、フラッシュバルブ(546)は、消毒剤ポンプ(512)の停止後も依然として開放したままであってもよく、また再処理システム(510)は、上記で説明したように、それぞれ順番に水ポンプ(526)及び空気ポンプ(522)を始動してもよい。
【0098】
工程(596)において、内部チャネル(520)が最小滞留時間にわたって消毒剤(92)を維持したと再処理システム(510)が判断すると、フラッシュバルブ(546)が再開放され、空気ポンプ(522)が再起動される。この事例では、加圧空気が内部チャネル(520)を通って流され、それによって内視鏡(500)から消毒剤(92)がパージされる。内部チャネル(520)内からベースン(14a)の中へと放出される消毒剤(92)の流量は加圧空気の流れによって増加され、それによってバイオバーデン除去が増進される。工程(598)において、消毒剤(92)がベースン(14a)の中へと放出され、その中に収容されている状態で、再処理システム(510)は、上記で説明した充填及びパージプロセスが所定の「n」回、実施されたか否かを判断する。完了されるべき更なる充填及びパージサイクルが残っていると再処理システム(510)によって判断されると、完了されるべき更なる充填及びパージサイクルが残っていないと再処理システム(510)が判断するまで、再処理システム(510)は工程(590)~工程(598)を引き続き実施することになる。換言すれば、再処理システム(510)が再処理方法(580)を所定の「n」回、実施したとき、再処理方法(580)は工程(599)に進むことになる。工程(599)において、再処理システム(510)は、再処理方法(480)の継続を中止する。
【0099】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権をも意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、その他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられている。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれかの理由により追加されたものとしても、仮定されるべきではない。
【実施例
【0100】
(実施例1)
医療装置の内部チャネルを再処理するための方法であって、(a)第1の所定期間にわたって内部チャネルに洗剤を送達するために第1のポンプを起動する工程と、(b)第2の所定期間にわたって内部チャネルに水を送達して洗剤をすすぎ落すために第2のポンプを起動する工程と、(c)第3の所定期間にわたって内部チャネルに加圧空気を送達して、内部チャネル内に収容された残留する水又は洗剤をパージするために第3のポンプを起動する工程と、(d)内部チャネルに所定体積の消毒剤を送達するために第4のポンプを起動する工程と、(e)内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネルからチャンバの中に消毒剤をパージするために第3のポンプを再起動する工程と、(f)内部チャネルに更なる消毒剤を送達するために第4のポンプを再起動する工程と、(g)内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネルからチャンバの中に更なる消毒剤をパージするために第3のポンプを再起動する工程と、を含む方法。
【0101】
(実施例2)
内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネル内に収容された洗剤をパージするために、第1の所定期間の後に第3のポンプを起動する工程を更に含む、実施例1に記載の方法。
【0102】
(実施例3)
(a)第1の所定期間にわたって内部チャネルに更なる洗剤を送達するために第1のポンプを再起動する工程と、(b)内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネルから更なる洗剤をパージするために第3のポンプを再起動する工程と、を更に含む、実施例2に記載の方法。
【0103】
(実施例4)
第1の所定期間にわたって内部チャネルに更なる洗剤を送達するために第1のポンプを起動することを再起動する動作と、内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネルから更なる洗剤をパージするために第3のポンプを再起動する動作と、をサイクルの所定回数が満たされるまで反復する工程を更に含む、実施例3に記載の方法。
【0104】
(実施例5)
(a)第1の所定期間にわたって内部チャネルに更なる水を送達するために第2のポンプを再起動する工程と、(b)内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネルから更なる水をパージするために第3のポンプを再起動する工程と、を更に含む、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0105】
(実施例6)
第1の所定期間にわたって内部チャネルに更なる水を送達するために第2のポンプを再起動する動作と、内部チャネルに加圧空気を送達して内部チャネルから更なる水をパージするために第3のポンプを再起動する動作と、をサイクルの所定回数が満たされるまで反復する工程を更に含む、実施例5に記載の方法。
【0106】
(実施例7)
サイクルの所定回数が満たされるまで、工程(f)~(g)を反復する工程を更に含む、実施例1~6のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0107】
(実施例8)
医療装置は複数の内部チャネルを有し、方法は、医療装置の各内部チャネルに対して工程(a)~(g)を反復する工程を更に含む、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0108】
(実施例9)
チャンバから排出される消毒剤の濃度を決定する工程を更に含む、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0109】
(実施例10)
洗剤を送達するための経過時間を監視する工程を更に含み、経過時間が第1の所定期間と等しいときに第1のポンプを停止する工程を更に含む、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0110】
(実施例11)
第2の所定期間に関連して水を送達するための経過時間を監視する工程を更に含み、経過時間が第2の所定期間と等しいときに第2のポンプを停止する工程を更に含む、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0111】
(実施例12)
送達される消毒剤の体積を監視する工程を更に含み、送達された体積が内部チャネルの容量と等しいときに第4のポンプを停止する工程を更に含む、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0112】
(実施例13)
内部チャネルに送達された加圧空気から微生物を濾過する工程を更に含む、実施例1~12のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0113】
(実施例14)
第4のポンプによって内部チャネルに送達された消毒剤を加熱する工程を更に含む、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0114】
(実施例15)
チャンバ内で消毒剤と水との混合物を循環させ、それによって医療装置の外側表面を混合物に暴露する工程を更に含む、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0115】
(実施例16)
所定時間にわたって混合物の循環を継続する工程を更に含む、実施例15に記載の方法。
【0116】
(実施例17)
少なくとも1つの医療装置の内部チャネルを再処理するための方法であって、(a)第1の所定期間にわたって内部チャネルに洗剤を送達するためにポンプアセンブリを起動する工程と、(b)第2の所定期間にわたって内部チャネルに水を送達して洗剤をすすぎ落すためにポンプアセンブリを再起動する工程と、(c)第3の所定期間にわたって内部チャネルに加圧空気を送達して、内部チャネル内に収容された残留する水又は洗剤をパージするためにポンプアセンブリを再起動する工程と、(d)内部チャネルに所定体積の消毒剤を送達するためにポンプアセンブリを再起動する工程と、(e)内部チャネルに加圧空気を送達してチャンバの中に消毒剤をパージするためにポンプアセンブリを再起動する工程と、(f)内部チャネルに後続の体積の消毒剤を送達するためにポンプアセンブリを再起動する工程と、(g)内部チャネルに加圧空気を送達してチャンバの中に後続の体積の消毒剤をパージするためにポンプアセンブリを再起動する工程と、を含む方法。
【0117】
(実施例18)
チャンバ内の消毒剤をポンプアセンブリに向けて方向付ける工程を更に含む、実施例17に記載の方法。
【0118】
(実施例19)
サイクルの所定回数が満たされるまで、(f)~(g)を反復する工程を更に含む、実施例17に記載の方法。
【0119】
(実施例20)
医療装置再処理機であって、(a)医療装置の内部チャネルと結合するように構成されたポートと、(b)洗剤、水、加圧空気、及び消毒剤と流体連通し、ポートに洗剤を送達するように構成され、ポートに水を送達するように更に構成され、ポートに加圧空気を送達するように更に構成され、ポートに消毒剤を送達するように更に構成されたポンプシステムと、(c)制御モジュールであって、制御アルゴリズムを実行してポンプシステムからポートに洗剤を送達し、第1の所定時間閾値で送達を終了するように動作可能であり、制御アルゴリズムを実行して、第1の所定時間閾値が満たされたときにポンプシステムからポートに水を送達し、所定体積閾値で送達を終了するように動作可能であり、制御アルゴリズムを実行して、所定体積閾値が満たされたときにポンプシステムからポートに加圧空気を送達し、第2の所定時間閾値で送達を終了するように動作可能であり、制御アルゴリズムを実行して、第2の所定時間閾値が満たされたときにポンプシステムからポートに消毒剤を送達し、所定体積閾値で送達を終了するように動作可能であり、少なくとも所定回数のサイクルにわたってポンプシステムからポートへの加圧空気及び消毒剤の順次的な送達を反復するように構成された、制御モジュールと、を備える医療装置再処理機。
【0120】
VI.その他
本明細書に参考として組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。そのようなものであるから、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0121】
以上、本発明の種々の実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0122】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置の内部チャネルを再処理するための方法であって、
(a)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに洗剤を送達するために第1のポンプを起動する工程と、
(b)第2の所定期間にわたって前記内部チャネルに水を送達して前記洗剤をすすぎ落すために第2のポンプを起動する工程と、
(c)第3の所定期間にわたって前記内部チャネルに加圧空気を送達して、前記内部チャネル内に収容された残留する水又は洗剤をパージするために第3のポンプを起動する工程と、
(d)前記内部チャネルに所定体積の消毒剤を送達するために第4のポンプを起動する工程と、
(e)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルからチャンバの中に前記消毒剤をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、
(f)前記内部チャネルに更なる消毒剤を送達するために前記第4のポンプを再起動する工程と、
(g)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記チャンバの中に前記更なる消毒剤をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、を含む方法。
(2) 前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネル内に収容された前記洗剤をパージするために、前記第1の所定期間の後に前記第3のポンプを起動する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) (a)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる洗剤を送達するために前記第1のポンプを再起動する工程と、
(b)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる洗剤をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる洗剤を送達するために前記第1のポンプを起動することを再起動する動作と、前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる洗剤をパージするために前記第3のポンプを再起動する動作と、をサイクルの所定回数が満たされるまで反復する工程を更に含む、実施態様3に記載の方法。
(5) (a)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる水を送達するために前記第2のポンプを再起動する工程と、
(b)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる水をパージするために前記第3のポンプを再起動する工程と、を更に含むことを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0123】
(6) 第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに更なる水を送達するために前記第2のポンプを再起動する動作と、前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記内部チャネルから前記更なる水をパージするために前記第3のポンプを再起動する動作と、をサイクルの所定回数が満たされるまで反復する工程を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(7) サイクルの所定回数が満たされるまで、工程(f)~(g)を反復する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記医療装置は複数の内部チャネルを有し、前記方法は、前記医療装置の各内部チャネルに対して工程(a)~(g)を反復する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記チャンバから排出される前記消毒剤の濃度を決定する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記洗剤を送達するための経過時間を監視する工程を更に含み、前記経過時間が前記第1の所定期間と等しいときに前記第1のポンプを停止する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0124】
(11) 前記第2の所定期間に関連して前記水を送達するための経過時間を監視する工程を更に含み、前記経過時間が前記第2の所定期間と等しいときに前記第2のポンプを停止する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 送達される消毒剤の体積を監視する工程を更に含み、前記送達された体積が前記内部チャネルの容量と等しいときに前記第4のポンプを停止する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記内部チャネルに送達された前記加圧空気から微生物を濾過する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記第4のポンプによって前記内部チャネルに送達された前記消毒剤を加熱する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 前記チャンバ内で前記消毒剤と前記水との混合物を循環させ、それによって前記医療装置の外側表面を前記混合物に暴露する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0125】
(16) 所定時間にわたって前記混合物の前記循環を継続する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 少なくとも1つの医療装置の内部チャネルを再処理するための方法であって、
(a)第1の所定期間にわたって前記内部チャネルに洗剤を送達するためにポンプアセンブリを起動する工程と、
(b)第2の所定期間にわたって前記内部チャネルに水を送達して前記洗剤をすすぎ落すために前記ポンプアセンブリを再起動する工程と、
(c)第3の所定期間にわたって前記内部チャネルに加圧空気を送達して、前記内部チャネル内に収容された残留する水又は洗剤をパージするために前記ポンプアセンブリを再起動する工程と、
(d)前記内部チャネルに所定体積の消毒剤を送達するために前記ポンプアセンブリを再起動する工程と、
(e)前記内部チャネルに加圧空気を送達してチャンバの中に前記消毒剤をパージするために前記ポンプアセンブリを再起動する工程と、
(f)前記内部チャネルに後続の体積の消毒剤を送達するために前記ポンプアセンブリを再起動する工程と、
(g)前記内部チャネルに加圧空気を送達して前記チャンバの中に前記後続の体積の消毒剤をパージするために前記ポンプアセンブリを再起動する工程と、を含む方法。
(18) 前記チャンバ内の前記消毒剤を前記ポンプアセンブリに向けて方向付ける工程を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) サイクルの所定回数が満たされるまで、(f)~(g)を反復する工程を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 医療装置再処理機であって、
(a)医療装置の内部チャネルと結合するように構成されたポートと、
(b)洗剤、水、加圧空気、及び消毒剤と流体連通し、前記ポートに前記洗剤を送達するように構成され、前記ポートに前記水を送達するように更に構成され、前記ポートに前記加圧空気を送達するように更に構成され、前記ポートに前記消毒剤を送達するように更に構成されたポンプシステムと、
(c)制御モジュールであって、
制御アルゴリズムを実行して前記ポンプシステムから前記ポートに前記洗剤を送達し、第1の所定時間閾値で送達を終了するように動作可能であり、
前記制御アルゴリズムを実行して、前記第1の所定時間閾値が満たされたときに前記ポンプシステムから前記ポートに前記水を送達し、所定体積閾値で送達を終了するように動作可能であり、
前記制御アルゴリズムを実行して、前記所定体積閾値が満たされたときに前記ポンプシステムから前記ポートに前記加圧空気を送達し、第2の所定時間閾値で送達を終了するように動作可能であり、
前記制御アルゴリズムを実行して、前記第2の所定時間閾値が満たされたときに前記ポンプシステムから前記ポートに前記消毒剤を送達し、前記所定体積閾値で送達を終了するように動作可能であり、
少なくともサイクルの所定回数にわたって前記ポンプシステムから前記ポートへの前記加圧空気及び前記消毒剤の順次的な送達を反復するように構成された、制御モジュールと、を備える医療装置再処理機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9