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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】タッチスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20240701BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H9/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022193893
(22)【出願日】2022-12-05
(65)【公開番号】P2024080725
(43)【公開日】2024-06-17
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙波 宏章
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0056788(US,A1)
【文献】特開2019-040802(JP,A)
【文献】特開2009-135059(JP,A)
【文献】特開2002-009362(JP,A)
【文献】特開2013-150067(JP,A)
【文献】米国特許第05917165(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00 - 36/02
H01H 9/00 - 9/28
H01H 89/00 - 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面にタッチ操作部を有する樹脂製のタッチパネルと、
前記タッチパネルの裏側に該タッチパネルと間隔をおいて配置される回路基板と、
弾性変形可能な材料で構成されており、前記タッチパネルと前記回路基板との間に配置
されて前記タッチパネルと前記回路基板を電気的に接続する導電部品と、を有し、
前記導電部品は、前記タッチパネルと前記回路基板とを結ぶ方向である軸方向に延びて
おり、内側に軸方向両側に貫通する貫通孔が形成された筒状であり、前記タッチパネル側
の軸方向端部であるパネル側端部と、前記回路基板側の軸方向端部である基板側端部と、
前記パネル側端部と前記基板側端部を軸方向につなぐ中間部と、を有しており、
前記中間部に、前記導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたときに屈曲する屈曲部が、前
記導電部品の全周にわたって連続して設けられており、
前記導電部品の、前記パネル側端部および前記基板側端部における肉厚は、前記中間部
における肉厚より厚くなっており、
前記屈曲部は、前記中間部の前記パネル側端部との連結部に設けられるパネル側屈曲部
と、前記中間部の前記基板側端部との連結部に設けられる基板側屈曲部と、前記パネル側
屈曲部と前記基板側屈曲部の中間に設けられる中間屈曲部と、を有しており、
前記導電部品は、前記中間屈曲部における肉厚が最薄となっており、
前記導電部品は、軸方向と直交する横断面形状が、長手方向の両側にある一対の短辺部
と、長手方向と直交する短手方向の両側にある一対の長辺部と、を有する矩形とされてお
り、
前記導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたとき、前記短辺部に設けられる前記屈曲部の
中間屈曲部は内折れし、前記長辺部に設けられる前記屈曲部の中間屈曲部は外折れする、タッチスイッチ装置。
【請求項2】
おもて面にタッチ操作部を有する樹脂製のタッチパネルと、
前記タッチパネルの裏側に該タッチパネルと間隔をおいて配置される回路基板と、
弾性変形可能な材料で構成されており、前記タッチパネルと前記回路基板との間に配置
されて前記タッチパネルと前記回路基板を電気的に接続する導電部品と、を有し、
前記導電部品は、前記タッチパネルと前記回路基板とを結ぶ方向である軸方向に延びて
おり、内側に軸方向両側に貫通する貫通孔が形成された筒状であり、前記タッチパネル側
の軸方向端部であるパネル側端部と、前記回路基板側の軸方向端部である基板側端部と、
前記パネル側端部と前記基板側端部を軸方向につなぐ中間部と、を有しており、
前記中間部に、前記導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたときに屈曲する屈曲部が、前
記導電部品の全周にわたって連続して設けられており
前記タッチパネルと前記回路基板との間に配置されるガイドプレートを、さらに有して
おり、
前記ガイドプレートは、前記導電部品の軸方向と直交する方向に前記導電部品に接近す
る方向に延びており延び方向先端部で前記導電部品の外周面に当接可能なリブを有しており
前記導電部品の軸方向断面の一側部における前記タッチパネルと前記回路基板との間の
距離は、前記導電部品の前記軸方向断面の他側部における前記タッチパネルと前記回路基
板との間の距離よりも大となっており、
前記リブは、前記導電部品の外側で、少なくとも前記導電部品の前記軸方向断面の前記
一側部に対向する位置に設けられている、タッチスイッチ装置。
【請求項3】
前記リブは、前記導電部品の基板側端部に当接可能とされている、請求項2に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項4】
前記回路基板上に光源が設けられており、
前記光源は前記導電部品の貫通孔内に配置されることで前記導電部品によって包囲され
ており、前記光源からの光は前記導電部品の貫通孔を通って前記タッチパネルに達する、
請求項1~3のいずれかに記載のタッチスイッチ装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式のタッチスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室内用照明装置として、図7図8に示すような、静電容量式のタッチスイッチ装置1が使用されることがある。静電容量式のタッチスイッチ装置1は、おもて面に人がタッチ操作するタッチ操作部(シンボルマークが設けられる部分)2aを有し裏面に電極が配設される樹脂製のタッチパネル(カバー)2と、タッチパネル2の裏側にタッチパネル2と間隔をおいて配置されており人のタッチ操作部2aへのタッチ操作を検出して制御する回路基板3と、タッチパネル2と回路基板3との間に配置されてタッチパネル2と回路基板3を電気的に接続する導電部品4と、を有している。そして、人がタッチ操作部2aをタッチ操作すると、人と電極との間の静電容量の変化に基づいて、スイッチのON/OFFが切り替わるようになっている。
【0003】
タッチ操作部2aは複数設けられており、タッチ操作部2a毎に導電部品4がそれぞれ設けられている。また、タッチ操作部2aを照光させるために回路基板3上にLED等の光源5が設けられており、光源5にて導電部品4を通してタッチ操作部2aを照光するために、導電部品4の中央に貫通孔6が設けられている。
【0004】
特許文献1,2は、従来のタッチスイッチ装置を開示している。
(i)特許文献1(特開2016-81818号公報)
特許文献1は、図9に示すように、導電部品4aが積極的に屈曲させる屈曲部を備えていないタッチスイッチ装置を開示している。
(ii)特許文献2(特開2008-210800号公報)
特許文献2は、図10に示すように、導電部品4bが積極的に屈曲させる屈曲部4b2を備えるタッチスイッチ装置を開示している。導電部品4bは、四側の側壁の一方の対向側壁4b1のみを有しており、他方の対向側壁を有していない。そして、一方の対向側壁4b1に内折れ(谷折れ)する屈曲部4b2が設けられている。
【0005】
しかし、上記公報開示の技術には、つぎの問題点がある。
図11に示すようにタッチパネル2が湾曲した形状となっている場合、タッチ操作部2a毎にタッチパネル2と回路基板3との距離(高さ)が異なる。しかし、特許文献1に開示のタッチスイッチ装置(図9)では、導電部品4aが積極的に屈曲させる屈曲部を備えていないため、タッチパネル2と回路基板3との距離(高さ)に合わせて導電部品4aを変形させて高さを調整するのが困難である。タッチパネル2と回路基板3との距離(高さ)に対応させて高さの異なる導電部品4aを複数種類準備することも考えられるが、コスト増となってしまう。
【0006】
特許文献2に開示のタッチスイッチ装置(図10)では、導電部品4bが屈曲部4b2を備えているため、タッチパネル2と回路基板3との距離(高さ)に合わせて導電部品4bを変形(追従)させることは比較的容易に可能であるが、四側の側壁の他方の対向側壁を有していないため、そこから光が導電部品4bの外部に漏れてしまい、タッチ操作部2aの照光にムラが生じてしまう。また、一方の対向側壁4b1に設けられる屈曲部4b2は内折れ(谷折れ)するため、屈曲部4b2の折れ具合によっては、屈曲部4b2で折れ曲がった対向側壁4b1によって光源5の光が遮られるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-81818号公報
【文献】特開2008-210800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、(i)タッチパネルと回路基板の距離(高さ)が変わっても同一の導電部品で対応できる、(ii)導電部品がタッチ操作部への照光に影響を与えることを抑制できる、の少なくとも一方を達成できるタッチスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) おもて面にタッチ操作部を有する樹脂製のタッチパネルと、
前記タッチパネルの裏側に該タッチパネルと間隔をおいて配置される回路基板と、
弾性変形可能な材料で構成されており、前記タッチパネルと前記回路基板との間に配置されて前記タッチパネルと前記回路基板を電気的に接続する導電部品と、を有し、
前記導電部品は、前記タッチパネルと前記回路基板とを結ぶ方向である軸方向に延びており、内側に軸方向両側に貫通する貫通孔が形成された筒状であり、前記タッチパネル側の軸方向端部であるパネル側端部と、前記回路基板側の軸方向端部である基板側端部と、前記パネル側端部と前記基板側端部を軸方向につなぐ中間部と、を有しており、
前記中間部に、前記導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたときに屈曲する屈曲部が、前記導電部品の全周にわたって連続して設けられている、タッチスイッチ装置。
(2) 前記導電部品の、前記パネル側端部および前記基板側端部における肉厚は、前記中間部における肉厚より厚くなっている、(1)記載のタッチスイッチ装置。
(3) 前記屈曲部は、前記中間部の前記パネル側端部との連結部に設けられるパネル側屈曲部と、前記中間部の前記基板側端部との連結部に設けられる基板側屈曲部と、前記パネル側屈曲部と前記基板側屈曲部の中間に設けられる中間屈曲部と、を有しており、
前記導電部品は、前記中間屈曲部における肉厚が最薄となっている、(2)記載のタッチスイッチ装置。
(4) 前記回路基板上に光源が設けられており、
前記光源は前記導電部品の貫通孔内に配置されることで前記導電部品によって包囲されており、前記光源からの光は前記導電部品の貫通孔を通って前記タッチパネルに達する、(1)記載のタッチスイッチ装置。
(5) 前記導電部品は、軸方向と直交する横断面形状が、長手方向の両側にある一対の短辺部と、長手方向と直交する短手方向の両側にある一対の長辺部と、を有する矩形とされており、
前記導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたとき、前記短辺部に設けられる前記屈曲部の中間屈曲部は内折れし、前記長辺部に設けられる前記屈曲部の中間屈曲部は外折れする、(3)記載のタッチスイッチ装置。
(6) 前記タッチパネルと前記回路基板との間に配置されるガイドプレートを、さらに有しており、
前記ガイドプレートは、前記導電部品の軸方向と直交する方向に前記導電部品に接近する方向に延びており延び方向先端部で前記導電部品の外周面に当接可能なリブを有する、(1)記載のタッチスイッチ装置。
(7) 前記リブは、前記導電部品の基板側端部に当接可能とされている、(6)記載のタッチスイッチ装置。
(8) 前記導電部品の軸方向断面の一側部における前記タッチパネルと前記回路基板との間の距離は、前記導電部品の前記軸方向断面の他側部における前記タッチパネルと前記回路基板との間の距離よりも大となっており、
前記リブは、前記導電部品の外側で、少なくとも前記導電部品の前記軸方向断面の前記一側部に対向する位置に設けられている、(6)記載のタッチスイッチ装置。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)のタッチスイッチ装置によれば、導電部品が、タッチパネルと回路基板とを結ぶ方向である軸方向に延びており、内側に軸方向両側に貫通する貫通孔が形成された筒状であり、導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたときに屈曲する屈曲部が中間部に全周にわたって連続して設けられているため、屈曲部を屈曲させることで導電部品の軸方向長さ(高さ)を比較的容易に変えることができる。すなわち、タッチパネルと回路基板との距離(高さ)に合わせて導電部品を比較的容易に変形(追従)させることができる。よって、タッチパネルと回路基板の距離が変わっても同一の導電部品で対応できる。
【0011】
上記(2)のタッチスイッチ装置によれば、導電部品の、パネル側端部および基板側端部における肉厚が、中間部における肉厚より厚くなっているため、つぎの効果を得ることができる。
(i)中間部に設けられる屈曲部が屈曲することでタッチパネルと回路基板との距離に合わせて導電部品の軸方向長さが変えられる場合であっても、導電部品のパネル側端部および基板側端部における肉厚を確保でき、パネル側端部とタッチパネルとの接触面積、および基板側端部と回路基板との接触面積を確保できる。そのため、タッチパネルから導電部品への導通範囲を確保し、導電部品から回路基板への導通範囲を確保する点で有利である。
(ii)パネル側端部と基板側端部を変形させないか変形させても無視できる程度で中間部に設けられる屈曲部を屈曲させることができる。そのため、タッチパネルと回路基板との距離に合わせて導電部品の軸方向長さが変わる際に、導電部品の軸方向全体にわたって導電部品の形状が崩れてしまうことを抑制できる。
【0012】
上記(3)のタッチスイッチ装置によれば、屈曲部が、パネル側屈曲部と、基板側屈曲部と、中間屈曲部と、を有しており、中間屈曲部における肉厚が最薄となっているため、導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたときに、中間屈曲部を起点にして導電部品の中間部を断面「く」の字形状に変形させることができる。
【0013】
上記(4)のタッチスイッチ装置によれば、光源が導電部品の貫通孔内に配置されることで導電部品によって包囲されており、光源からの光が導電部品の貫通孔を通ってタッチパネルに達するため、光源からの光でタッチパネルのタッチ操作部を照光できる。
【0014】
また、光源が筒状の導電部品の貫通孔内に配置されることで導電部品によって包囲されているため、光源からの光が導電部品の軸方向以外の方向に導電部品の貫通孔から導電部品の外部に漏れることを抑制できる。そのため、光源からの光が導電部品の軸方向以外の方向に導電部品の貫通孔から漏れてタッチ操作部の照光にムラが生じてしまうことを抑制できる。結果として、導電部品がタッチ操作部への照光に影響を与えることを抑制できる。
【0015】
上記(5)のタッチスイッチ装置によれば、導電部品が軸方向に圧縮荷重を受けたとき、短辺部に設けられる中間屈曲部が内折れし、長辺部に設けられる中間屈曲部が外折れするため、つぎの効果を得ることができる。
(i)短辺部と長辺部に設けられる中間屈曲部の両方が外折れする場合と異なり、導電部品自体の伸びをほとんど要することなく、導電部品の軸方向長さ(高さ)を変えることができる。
(ii)短辺部に設けられる中間屈曲部が外折れし長辺部に設けられる中間屈曲部が内折れする場合、または、短辺部と長辺部に設けられる中間屈曲部の両方が内折れする場合に比べて、中間屈曲部が設けられる位置における貫通孔の軸方向と直交する横断面積を大きくできる。よって、回路基板上に光源が設けられており該光源からの光が導電部品の貫通孔を通ってタッチパネルに達するようにされている場合であっても、光源からの光であってタッチ操作部を照光するための光が、屈曲部で折れ曲がった導電部品によって遮られる(光が通る通路が狭くなること)ことを抑制できる。結果として、導電部品がタッチ操作部への照光に影響を与えることを抑制できる。
【0016】
上記(6)のタッチスイッチ装置によれば、ガイドプレートが、導電部品の軸方向と直交する方向に導電部品に接近する方向に延びており延び方向先端部で導電部品の外周面に当接可能なリブを有するため、ガイドプレートのリブに当接するまでしか導電部品は軸直交方向に移動することができない。そのため、装置の組立時であって導電部品が回路基板とタッチパネルとによって軸方向に圧縮荷重を受けたときに、導電部品が軸直交方向へ位置ズレすることを抑制できる。
【0017】
上記(7)のタッチスイッチ装置によれば、リブが、導電部品の基板側端部に当接可能とされているため、リブが導電部品の中間部に当接可能とされている場合と異なり、リブが中間部に設けられる屈曲部の屈曲を阻害することを抑制できる。
【0018】
上記(8)のタッチスイッチ装置によれば、導電部品の軸方向断面の一側部におけるタッチパネルと回路基板との間の距離が、導電部品の軸方向断面の他側部におけるタッチパネルと回路基板との間の距離よりも大となっており、リブが、導電部品の外側で、少なくとも導電部品の前記軸方向断面の前記一側部に対向する位置に設けられているため、タッチパネルと回路基板との距離(高さ)に合わせて導電部品が変形する際に、導電部品の軸直交方向への位置ズレが生じやすい方向への位置ズレを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明実施例のタッチスイッチ装置の分解斜視図である。
図2】本発明実施例のタッチスイッチ装置の平面図である。
図3図2のA-A線拡大断面図である。なお、図面の明瞭化のために断面表示は省略されている。
図4図2のB-B線拡大断面図である。
図5】本発明実施例のタッチスイッチ装置における導電部品の拡大側面図である。(a)は、長辺部側から見た側面図である。(b)は、短辺部側から見た側面図である。
図6】本発明実施例のタッチスイッチ装置における導電部品の拡大断面図である。(a)は、図5のC-C線断面図である。(b)は、図5のD-D線断面図である。
図7】従来のタッチスイッチ装置の平面図である。
図8】従来のタッチスイッチ装置の模式断面図である。
図9】従来のタッチスイッチ装置における導電部品の、積極的に屈曲させる屈曲部を備えていない場合の斜視図である。
図10】従来のタッチスイッチ装置における導電部品の、積極的に屈曲させる屈曲部を備えている場合の斜視図である。
図11】従来のタッチスイッチ装置の、タッチパネルが湾曲した形状となっている場合における模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明実施例のタッチスイッチ装置(以下、単に装置ともいう)10について説明する。
【0021】
装置10は、静電容量式のスイッチ装置である。装置10は、特に限定されるものではないがたとえば、自動車に搭載されており、車室内用照明装置に使用される。なお、装置10が自動車に搭載される場所は、車室天井(オーバーヘッド)部位であってもよく、車両の左右のシート間に配置されるコンソール部位であってもよく、シートの車両前方に配置されるインストルメントパネル部位であってもよく、その他の部位であってもよい。また、装置10は、オン/オフのためのタッチ操作を要するスイッチ装置であれば、照明装置でなくてもよい。
【0022】
装置10は、図1に示すように、タッチパネル20と、回路基板30と、導電部品40と、光源50と、ガイドプレート60と、ケース70と、を有する。
【0023】
タッチパネル20は、タッチパネルカバーまたはカバーといってもよい。タッチパネル20は、おもて面(意匠面)20aに人がタッチ操作するタッチ操作部(シンボルマークが設けられる部分)20cを有している。タッチパネル20は、裏面20bに図示略の電極が必要に応じて配設されていてもよい。
【0024】
タッチパネル20は、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの硬質樹脂製である。タッチパネル20は、図4に示すように、二色成形等にて一体化される、おもて側パネル21と、おもて側パネル21の裏側に配置される裏側パネル22と、を有している。裏側パネル22は、タッチ操作部20cが設けられる位置では、おもて側パネル21を挿通してタッチパネル20のおもて面20aに露出している。おもて側パネル21は、光源50からの光を透過不能とされており、裏側パネル22は、たとえば乳白色であり光源50の光を透過可能とされている。これにより、光源50からの光でタッチ操作部20c(シンボルマーク)を照光可能となっている。
【0025】
回路基板30は、タッチパネル20の裏側に該タッチパネル20と間隔をおいて配置されている。回路基板30は、人のタッチ操作部20cへのタッチ操作を検出して制御する。
【0026】
導電部品40は、タッチ操作部20cと同数設けられており、タッチ操作部20cの裏側に配置されている。導電部品40は、タッチパネル20と回路基板30との間に配置されている。導電部品40は、導電性を有するゴム製であり、弾性変形可能とされている。導電部品40は、タッチパネル20および回路基板30に接着等で固定はされていないが、導電部品40の復元力でタッチパネル20と回路基板30とに押し付けられて接触した状態にあり、タッチパネル20と回路基板30を電気的に接続する。
【0027】
導電部品40は、タッチパネル20と回路基板30とを結ぶ方向である軸方向(図4の上下方向)に延びている。導電部品40は、内側に軸方向の両側に貫通する貫通孔41が形成された角筒状である。導電部品40には、貫通孔41を除いて、孔、切れ目等は一切設けられていない。導電部品40は、タッチパネル20側の軸方向端部であるパネル側端部42と、回路基板30側の軸方向端部である基板側端部43と、パネル側端部42と基板側端部43を軸方向につなぐ中間部44と、を有する。
【0028】
導電部品40の、パネル側端部42および基板側端部43における肉厚は、中間部44における肉厚よりも厚くなっている。導電部品40は、中間部44からパネル側端部42に段差状に肉厚が厚くなっており、中間部44から基板側端部43に段差状に肉厚が厚くなっている。パネル側端部42は、中間部44に対して貫通孔41から離れる方向(外側)に膨出しており、基板側端部43は、中間部44に対して貫通孔41の内側に膨出している。
【0029】
中間部44に、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたときに屈曲する屈曲部45が、導電部品40の全周にわたって連続して設けられている。
【0030】
屈曲部45は、中間部44のパネル側端部42との連結部に設けられるパネル側屈曲部45aと、中間部44の基板側端部43との連結部に設けられる基板側屈曲部45bと、パネル側屈曲部45aと基板側屈曲部45bの中間(中央)に設けられる中間屈曲部45cと、を有している。そして、導電部品40は、中間屈曲部45cにおける肉厚が最薄となっている。
【0031】
図1図5図6に示すように、導電部品40は、軸方向と直交する横断面形状が、長手方向の両側にある一対の短辺部40aと、長手方向と直交する短手方向の両側にある一対の長辺部40bと、短辺部40aと長辺部40bをつなぐR形状のコーナー部(角部)40cと、を有する矩形(略矩形を含む)とされている。図6に示すように、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたとき、短辺部40aに設けられる中間屈曲部45cは内折れし(谷折れし、貫通孔41内側に折れ)、長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cは外折れする(山折れする、貫通孔41外側に折れる)。なお、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたときに、短辺部40aに設けられる中間屈曲部45cが確実に内折れし、長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cが確実に外折れするために、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けていない自由状態にあるときに、短辺部40aに設けられる中間部44を、短辺部40aの外側面のみを中間屈曲部45cが最奥となるように内側に凹ませた「く」の字(略「く」の字を含む)形状とし、長辺部40bに設けられる中間部44を、長辺部40bの内側面のみを中間屈曲部45cが最奥となるように外側に凹ませた「く」の字(略「く」の字を含む)形状としてもよい。この場合、コーナー部40cでは、短辺部40aの外側面の「く」の字から長辺部40bの内側面の「く」の字へと徐変しており、短辺部40a、長辺部40bおよびコーナー部40cの中間屈曲部45c同士は、厚さが一定で、連なって形成されている。
【0032】
また、図示はしないが、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたときに、短辺部40aに設けられる中間屈曲部45cが確実に内折れし、長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cが確実に外折れするために、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けていない自由状態にあるときに、短辺部40aに設けられる中間部44の全体が内側に若干「く」の字に折れ曲がっており、長辺部40bに設けられる中間部44の全体が外側に若干「く」の字に折れ曲がっていてもよい。
【0033】
光源50は、LED等であり、タッチ操作部20cと同数設けられている。光源50は、図4に示すように、タッチ操作部20cの裏側にタッチパネル20と間隔をおいて配置されている。光源50は、回路基板30のタッチパネル20側の面上に設けられている。光源50は、導電部品40の貫通孔41内に配置されることで導電部品40によって包囲されている。このため、光源50からの光は導電部品40の貫通孔41を通ってタッチパネル20に達する。
【0034】
ガイドプレート60は、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの硬質樹脂製である。ガイドプレート60は、タッチパネル20と回路基板30との間に配置されている。ガイドプレート60には、内側に導電部品40が挿入されて配置される導電部品配置部61が形成されている。導電部品配置部61は、導電部品40と同数形成されており、各導電部品配置部61に1個の導電部品40が挿入されている。
【0035】
ガイドプレート60は、導電部品40の軸直交方向に導電部品40に接近する方向に延びており延び方向先端部で導電部品40の外周面に当接可能なリブ62を有する。リブ62は、導電部品40の基板側端部43のみに当接可能とされている。リブ62は、導電部品40の外側で、導電部品40の全周にわたって(導電部品40を全周で囲むようにして)設けられていてもよく、導電部品40の周方向の一部のみに設けられていてもよい。
【0036】
リブ62が、導電部品40の外側で、導電部品40の周方向の一部のみに設けられる場合、具体的には以下の位置に設けられている。
図4に示すように、導電部品40の軸方向断面の一側部におけるタッチパネル20と回路基板30との間の距離D1が、導電部品40の前記軸方向断面の他側部におけるタッチパネル20と回路基板30との間の距離D2よりも大となっている場合、リブ62は、導電部品40の外側で、少なくとも導電部品40の前記軸方向断面の前記一側部に対向する位置に設けられている。
【0037】
ケース70は、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの硬質樹脂製である。装置10は、ケース70が自動車に設けられる所定の装置搭載部位に固定して取付けられることで、該装置搭載部位に固定される。装置10は、回路基板30,導電部品40,光源50およびガイドプレート60がケース70内に配置された状態で、タッチパネル20をケース70に爪嵌合等により取付けることで、組立てられる。タッチパネル20は、タッチパネル20と回路基板30とで導電部品40に軸方向に圧縮荷重をかけながら、ケース70に取付けられる。そして、タッチパネル20がケース70に取付けられた状態にあるとき、導電部品40はタッチパネル20と回路基板30とにより軸方向に圧縮荷重を受けた状態にある。
【0038】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(A)導電部品40が、タッチパネル20と回路基板30とを結ぶ方向である軸方向に延びており、内側に軸方向両側に貫通する貫通孔41が形成された筒状であり、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたときに屈曲する屈曲部45が中間部44に全周にわたって設けられているため、屈曲部45を屈曲させることで導電部品40の軸方向長さ(高さ)を比較的容易に変えることができる。すなわち、タッチパネル20と回路基板30との距離(高さ)に合わせて導電部品40を比較的容易に変形(追従)させることができる。よって、タッチパネル20と回路基板30の距離が変わっても同一(品番)の導電部品40で対応できる。
【0039】
(B)導電部品40の、パネル側端部42および基板側端部43における肉厚が、中間部44における肉厚より厚くなっているため、つぎの作用、効果を得ることができる。
(i)中間部44に設けられる屈曲部45が屈曲することでタッチパネル20と回路基板30との距離に合わせて導電部品40の軸方向長さが変えられる場合であっても、導電部品40のパネル側端部42および基板側端部43における肉厚を確保でき、パネル側端部42とタッチパネル20との接触面積、および基板側端部43と回路基板30との接触面積を確保できる。そのため、タッチパネル20から導電部品40への導通範囲を確保し、導電部品40から回路基板30への導通範囲を確保する点で有利である。
(ii)パネル側端部42と基板側端部43を変形させないか変形させても無視できる程度で中間部44に設けられる屈曲部45を屈曲させることができる。そのため、タッチパネル20と回路基板30との距離に合わせて導電部品40の軸方向長さが変わる際に、導電部品40の軸方向全体にわたって導電部品40の形状が崩れてしまうことを抑制できる。
【0040】
(C)屈曲部45が、パネル側屈曲部45aと、基板側屈曲部45bと、中間屈曲部45cと、を有しており、中間屈曲部45cにおける肉厚が最薄となっているため、導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたときに、中間屈曲部45cを起点にして導電部品40の中間部44を断面「く」の字形状に変形させることができる。
【0041】
(D)光源50が導電部品40の貫通孔41内に配置されることで導電部品40によって包囲されており、光源50からの光が導電部品40の貫通孔41を通ってタッチパネル20に達するため、光源50からの光でタッチパネル20のタッチ操作部20cを照光できる。
【0042】
(E)光源50が筒状の導電部品40の貫通孔41内に配置されることで導電部品40によって包囲されているため、光源50からの光が導電部品40の軸方向以外の方向に導電部品40の貫通孔41から導電部品40の外部に漏れることを抑制できる。そのため、光源50からの光が導電部品40の軸方向以外の方向に導電部品40の貫通孔41から漏れてタッチ操作部20cの照光にムラが生じてしまうことを抑制できる。結果として、導電部品40がタッチ操作部20cへの照光に影響を与えることを抑制できる。
【0043】
(F)導電部品40が軸方向に圧縮荷重を受けたとき、短辺部40aに設けられる中間屈曲部45cが内折れし、長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cが外折れするため、つぎの作用、効果を得ることができる。
(i)短辺部40aと長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cの両方が外折れする場合と異なり、導電部品40自体の伸びをほとんど要することなく、導電部品40の軸方向長さ(高さ)を変えることができる。
(ii)短辺部40aに設けられる中間屈曲部45cが外折れし長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cが内折れする場合、または、短辺部40aと長辺部40bに設けられる中間屈曲部45cの両方が内折れする場合に比べて、中間屈曲部45cが設けられる位置における貫通孔41の軸方向と直交する横断面積を大きくできる。よって、回路基板30上に光源50が設けられており該光源50からの光が導電部品40の貫通孔41を通ってタッチパネル20に達するようにされている場合であっても、光源50からの光であってタッチ操作部20cを照光するための光が、屈曲部45で折れ曲がった導電部品40によって遮られる(光が通る通路が狭くなること)ことを抑制できる。結果として、導電部品40がタッチ操作部20cへの照光に影響を与えることを抑制できる。
【0044】
(G)ガイドプレート60が、導電部品40の軸方向と直交する方向に導電部品40に接近する方向に延びており延び方向先端部で導電部品40の外周面に当接可能なリブ62を有するため、ガイドプレート60のリブ62に当接するまでしか導電部品40は軸直交方向に移動することができない。そのため、装置10の組立時であって導電部品40が回路基板30とタッチパネル20とによって軸方向に圧縮荷重を受けたときに、導電部品40が軸直交方向へ位置ズレすることを抑制できる。
【0045】
(H)リブ62が、導電部品40の基板側端部43に当接可能とされているため、リブ62が導電部品40の中間部44に当接可能とされている場合と異なり、リブ62が中間部44に設けられる屈曲部45の屈曲を阻害することを抑制できる。
【0046】
(I)導電部品40の軸方向断面の一側部におけるタッチパネル20と回路基板30との間の距離D1が、導電部品40の前記軸方向断面の他側部におけるタッチパネル20と回路基板30との間の距離D2よりも大となっており、リブ62が、導電部品40の外側で、少なくとも導電部品40の前記軸方向断面の前記一側部に対向する位置に設けられているため、タッチパネル20と回路基板30との距離(高さ)に合わせて導電部品40が変形する際に、導電部品40の軸直交方向への位置ズレが生じやすい方向への位置ズレを抑制できる。
【0047】
(J)導電部品40が弾性変形可能とされているため、タッチパネル20と回路基板30との距離(高さ)に合わせて導電部品40が変形しているときに、導電部品40の復元力で導電部品40をタッチパネル20と回路基板30に押し付けることができ、タッチパネル20から導電部品40を介する回路基板30への導電性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 タッチスイッチ装置
20 タッチパネル
20a おもて面
20b 裏面
20c タッチ操作部(シンボルマーク)
21 おもて側パネル
22 裏側パネル
30 回路基板
40 導電部品
40a 短辺部
40b 長辺部
40c コーナー部
41 貫通孔
42 パネル側端部
43 基板側端部
44 中間部
45 屈曲部
45a パネル側屈曲部
45b 基板側屈曲部
45c 中間屈曲部
50 光源
60 ガイドプレート
61 導電部品配置部
62 リブ
70 ケース
図1
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