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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】生化学試験用の干渉センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/45 20060101AFI20240701BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01N21/45 A
G01N33/483 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022505387
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020043555
(87)【国際公開番号】W WO2021021653
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】62/879,086
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522033760
【氏名又は名称】アクセス・メディカル・システムズ,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、ジエンボー
(72)【発明者】
【氏名】タン、ホン
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0305599(US,A1)
【文献】特開2009-007636(JP,A)
【文献】特開平02-240605(JP,A)
【文献】特開2004-317314(JP,A)
【文献】実開昭56-110410(JP,U)
【文献】特表2007-510907(JP,A)
【文献】特表平05-500567(JP,A)
【文献】特表2014-501933(JP,A)
【文献】特開2006-038754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01N 33/48-G01N 33/98
H01L 21/00-H01L 21/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
ACS PUBLICATIONS
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の分析物を検出するための干渉センサであって、前記干渉センサは、
モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設された第1及び第2の表面を有する、ガラスを含む前記モノリシック基材と、
前記モノリシック基材の前記第2の表面上にコーティングされたフッ化マグネシウム(MgF)を含む干渉層と、
前記干渉層上にコーティングされた分析物結合分子の層と、を備え
前記モノリシック基材と前記干渉層との間の第1の界面が、光が前記干渉センサ上に照射されるときに第1の反射面として機能し、
前記分析物結合分子に結合する試料中の分析物分子によって形成されたバイオ層と、前記試料を含有する溶液との間の第2の界面が、前記光が前記干渉センサ上に照射されるときに第2の反射面として機能する、干渉センサ。
【請求項2】
前記モノリシック基材が、前記第1の表面と前記第2の表面との間に規定される、少なくとも5ミリメートル(mm)の長さを有し、前記モノリシック基材のアスペクト比が少なくとも51である、請求項1に記載の干渉センサ。
【請求項3】
前記干渉層が少なくとも500ナノメートル(nm)の厚さを有する、請求項1に記載の干渉センサ。
【請求項4】
前記干渉層と前記分析物結合分子の層との間に位置付けられた二酸化ケイ素(SiO)を含む接着層をさらに備える、請求項1に記載の干渉センサ。
【請求項5】
前記接着層が10nm未満の厚さを有する、請求項4に記載の干渉センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の干渉センサを製造するための方法であって、前記方法が、
モノリシック基材を取得することと、
前記モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設された前記モノリシック基材の第1及び第2の表面を研磨することと、
フッ化マグネシウム(MgF)を含む第1の透明材料を、前記モノリシック基材の前記第2の表面上に堆積して、干渉層を形成することと、
分析物結合分子を前記干渉層に結合することと、を備える、方法。
【請求項7】
前記モノリシック基材がガラスを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記干渉層が少なくとも900nmの厚さを有する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
第2の透明材料を前記干渉層上に堆積して、接着層を形成することをさらに備え、前記分析物結合分子の層が前記接着層に結合している、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の透明材料が、二酸化ケイ素である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、試料中の分析物分子が生化学試験の過程にわたって結合することができる、干渉センサに関する。
【背景技術】
【0002】
分析物分子と分析物結合分子との間の結合事象に基づく診断試験は、医療、獣医、農業、および研究用途で広く使用されている。これらの診断試験を用いて、分析物分子が試料中に存在するかどうか、試料中の分析物分子の量、または分析物分子が分析物結合分子に結合する速度を検出することができる。共に、分析物結合分子およびその対応する分析物分子は、分析物-抗分析物結合対(または単に「結合対」)を形成する。結合対の実施例としては、核酸の相補鎖、抗原-抗体対、および受容体-受容体結合剤が含まれる。分析物は、結合対のいずれかのメンバーであり得、抗分析物は、結合対の他のメンバーであり得る。
【0003】
歴史的に、診断試験は、その上に固定された分析物結合分子を有する固体の平坦な表面を用いてきた。試料中の分析物分子は、定義された検出ゾーン内で高い親和性でこれらの分析物結合分子に結合する。「固相アッセイ」として知られるこのタイプのアッセイでは、固体表面は、分析物分子の分析物結合分子への結合を促進する条件下で試料に曝露される。一般に、結合事象は、結合事象を示す質量、反射率、厚さ、色、または別の特性の変化を測定することによって直接的に検出される。例えば、分析物分子が発色団、蛍光標識、または放射性標識で標識される場合、結合事象は、(もし存在する場合)検出ゾーン内で検出され得る標識の量に基づいて検出可能である。代替的に、分析物分子は、検出ゾーン内の分析物結合分子に結合した後に標識され得る。
【0004】
米国特許第5,804,453号は、物質が結合するその遠位端に直接的にコーティングされた試薬(すなわち、捕捉分子)を有する光ファイバを使用して、試料溶液中の物質の濃度を決定する方法を開示している。次いで、遠位端を、分析物を含有する試料中に浸漬する。分析物の試薬層への結合は、干渉パターンを生成し、分光計によって検出される。
【0005】
米国特許第7,394,547号は、第1の光学的に透明な要素が、それらの間に空隙を有する光ファイバ先端に機械的に取り付けられており、次いで、50ナノメートル(nm)を超える厚さを有する干渉層としての第2の光学要素が、第1の要素の遠位端に取り付けられている、バイオセンサを開示している。バイオ層は、第2の光学要素の周辺表面上に形成される。厚さが5~50nmであり、屈折率が1.8を超える追加の反射面層が、干渉層と第1の要素との間にコーティングされる。スペクトル干渉の変化に基づいて試料中の分析物を検出する原理は、この参照文献に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
米国特許第7,319,525号は、光ファイバのセクションが、光ファイバセクションの近位端と先端コネクタとの間の空隙を有する1つ以上の光ファイバからなる先端コネクタに機械的に取り付けられている、異なる構成を開示している。干渉層、次いでバイオ層は、光ファイバセクションの遠位表面上に構築される。
【0007】
従来技術は、薄膜干渉計に基づくバイオセンサの利用における機能性を提供するが、これらの干渉計の性能に改善の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】光源、検出器、導波路、および光学アセンブリ(「プローブ」とも呼ばれる)を含む、バイオセンサ干渉計を示している。
図1B】従来のプローブの実施例を示している。
図2】様々な実施形態によるプローブの実施例を示している。
図3】様々な実施形態によるプローブの別の実施例を示している。
図4A】薄膜干渉計における検出の原理を示している。
図4B】薄膜干渉計における検出の原理を示している。
図5】様々な実施形態によるスライドの実施例を示している。
図6】様々な実施形態によるスライドの別の実施例を示している。
図7】プローブを製造するためのプロセスのフロー図を示している。
図8A】様々な実施形態による、プローブの側面斜視図を含む。
図8B】様々な実施形態による、底面斜視図を含む。
図8C】様々な実施形態による、上面斜視図を含む。
図9】チャネル(CH)1~4に割り当てられた従来のプローブ(すなわち、下の4つの曲線)およびCH5~8に割り当てられたMgFプローブ(すなわち、上の4つの曲線)を有する、APSプローブにおけるタンパク質Aの結合曲線(nmにおけるシフトを伴う)を示している。
図10】CH1~4に割り当てられた従来のプローブ(すなわち、下の4つの曲線)およびCH5~8に割り当てられたMgFプローブ(すなわち、下の4つの曲線)を有する、タンパク質AプローブにおけるヒトIgGの結合曲線を示している。
【0009】
本技術の様々な特徴は、図面と併せた発明を実施するための形態の研究から、当業者に明らかになるであろう。図面は、例示のみを目的として、発明を実施するための形態全体を通して説明される様々な実施形態を示している。具体的な実施形態が例として示されているが、本技術は、様々な修正および代替形態に適している。その意図は、例示および/または説明されてきた特定の実施形態に技術を限定することではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの事業体は、生化学試験を実施するように設計されたシステムを開発した。図1Aおよび図1Bは、そのようなシステムの1つの実施例を示している。特に、図1Aは、光源102、検出器104、導波路106、および光学アセンブリ108(「プローブ」とも呼ばれる)を含む、バイオセンサ干渉計100(または単に「干渉計」)を示している。プローブ108は、結合媒体を介して導波路106に接続され得る。
【0011】
光源102は、導波路106によってプローブ108に向かって誘導される光を放出し得る。例えば、光源102は、所与のスペクトル(例えば、400nm以下~700nm以上)内の少なくとも50ナノメートル(nm)、100nm、または150nmの範囲にわたって光を生成するように構成された発光ダイオード(LED)であってもよい。あるいは、干渉計100は、可視範囲内の異なる波長の光を放出するように設計されたLEDなどの異なる特徴的な波長を有する複数の光源を用いてよい。同じ機能は、異なる波長を有する光をプローブ108上に方向付けるための適切なフィルタを備えた単一の光源によって達成され得る。
【0012】
検出器104は、好ましくは、プローブ108から受信された干渉光のスペクトルを記録することができる、オーシャン光学USB4000などの分光計である。あるいは、光源102が異なる波長をプローブ108上に方向付けるように動作する場合、検出器104は、各波長で強度を記録することができる単純な光検出器であり得る。別の実施形態では、検出器104は、複数の波長の各々で強度の検出を可能にする、複数のフィルタを含み得る。
【0013】
導波路106は、光源102によって放出された光をプローブ108に運び、次いで、プローブ108内の表面によって反射された光を検出器104に運ぶように構成され得る。一部の実施形態では、導波路106は、光ファイバ(例えば、単一モード光ファイバケーブル)の束であり、一方で、他の実施形態では、導波路106は、マルチモード光ファイバケーブルである。
【0014】
図1Bに示されるように、プローブ108は、モノリシック基材114、薄膜層(「干渉層」とも呼ばれる)、および分析物結合分子120に結合した分析物分子122を含む、生体分子層(「バイオ層」とも呼ばれる)を含む。モノリシック基材114は、光が通過することができる透明な材料を含む。干渉層はまた、透明な材料を含む。光がプローブ108に照射されるとき、干渉層の近位表面は、第1の反射面として作用し得、バイオ層は、第2の反射面として作用し得る。以下にさらに説明するように、第1および第2の反射面によって反射された光は、干渉計100によって監視され得る干渉パターンを形成し得る。
【0015】
干渉層は、通常、干渉パターンの検出性を改善するために、そのような手法で組み合わされた複数の層を含む。ここで、例えば、干渉層は、五酸化タンタル(Ta)層116および二酸化ケイ素(SiO)層118を含む。五酸化タンタル層116は、その主目的が干渉層の近位表面での反射率を改善することであるため、薄くてもよい(例えば、10~40nm程度)。一方、二酸化ケイ素層118は、その主目的が第1の反射面と第2の反射面との間の距離を増加させることであるため、比較的厚くてもよい(例えば、650~900nm程度)。
【0016】
診断試験を実施するために、プローブ108は、試料112を含むマイクロウェル110(または単に「ウェル」)に懸濁され得る。試料112内の分析物分子122は、診断試験の過程でプローブ108の遠位端に沿って分析物結合分子120に結合し、これらの結合事象は、検出器104によって観察され得る干渉パターンをもたらす。干渉計100は、干渉パターンの位相特性におけるシフトを検出することによって、プローブ108の遠位端に沿って形成されたバイオ層の厚さを監視することができる。
【0017】
しかしながら、このような設計には、いくつかの不利な点がある。1つの欠点は、これらのプローブを伴う生化学試験中に観察される低い信号強度である。別の欠点は、バイオ層が延長された事前の時間にわたって成長するときに生じ得る結合曲線の負のシフト(例えば、20~40分にわたって生じる数十サイクル)である。
【0018】
本明細書で紹介するものは、これらの欠点に対処する干渉センサ(「干渉バイオセンサ」または「感知装置」とも呼ばれる)である。具体的には、干渉センサは、モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設された第1および第2の表面を有するモノリシック基材と、モノリシック基材の第2の表面上にコーティングされた干渉層と、干渉層上にコーティングされた分析物結合分子の層と、を含むことができる。干渉層は、フッ化マグネシウム(MgF)を含み得る。モノリシック基材と干渉層との間の第1の界面は、光が干渉センサに照射されるときに、第1の反射面として機能し、一方で、分析物結合分子に結合する試料中の分析物分子によって形成されるバイオ層と、試料を含む溶液との間の第2の界面は、光がプローブに照射されるときに、第2の反射面として機能する。上述したように、バイオ層の厚さは、第1および第2の反射面によって反射される光の干渉パターンに基づいて推定され得る。
【0019】
干渉センサの実施形態は、例示の目的のために試料を含む溶液内に懸濁されるように設計されたプローブのコンテキスト内で説明されてよい。しかしながら、当業者は、これらの特徴が、生化学試験の過程にわたって平面表面上に溶液を流すことによってバイオ層が形成される平面表面(例えば、スライド)などの他の感知表面に等しく適用可能であることを認識するであろう。
【0020】
定義
「約」という用語は、記載の値の±10%以内を意味する。
【0021】
「分析物結合分子」という用語は、分析物分子との結合反応に関与することができる任意の分子を指す。分析物結合分子の例としては、(i)抗原分子、(ii)抗体分子、(iii)タンパク質分子、(iv)リガンド、および(v)一本鎖核酸分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
「干渉センサ」という用語は、干渉パターンを生成するためにバイオ層が形成される任意の感知装置を指す。干渉センサの1つの例は、分析物分子を有する試料を含有する溶液中に懸濁されるように設計されたプローブである。干渉センサの別の例は、生化学試験の過程にわたってバイオ層を形成することができる平面表面を有するスライドである。
【0023】
「プローブ」という用語は、感知側にコーティングされた薄膜層を有する少なくとも2~1のアスペクト比(長さ対幅)を有するモノリシック基材を指す。
【0024】
「モノリシック基材」という用語は、1つの屈折率を有するガラス、石英、またはプラスチックなどの均一な組成を有する固体材料片を指す。
【0025】
「導波路」という用語は、(光としての)電磁波の伝播を制限および方向付けるように設計されたデバイス(例えば、ダクト、同軸ケーブル、または光ファイバ)を指す。導波路の1つの例は、超高周波波をチャネルするための金属チューブである。
【0026】
プローブ概要
図2は、様々な実施形態によるプローブ200の実施例を示している。プローブ200は、モノリシック基材202の遠位端に沿って固定された干渉層204を含む。分析物結合分子206は、干渉層204の遠位表面に沿って堆積され得る。生化学試験の過程で、バイオ層は、分析物結合分子206に結合する試料中の分析物分子208として形成されることになる。
【0027】
図2に示されるように、モノリシック基材202は、例えば、干渉計の導波路に結合され得る近位表面(「結合側」とも呼ばれる)と、追加の層が堆積される遠位表面(「感知側」とも呼ばれる)とを有する。一般に、モノリシック基材202は、少なくとも3ミリメートル(mm)、5mm、10mm、または15mmの長さを有する。好ましい実施形態では、モノリシック基材202のアスペクト比(長さ対幅)は、少なくとも5対1である。そのような実施形態では、モノリシック基材202は、柱状形態を有すると言ってよい。モノリシック基材202の断面は、円、楕円、正方形、長方形、三角形、五角形などであり得る。モノリシック基材202は、好ましくは、干渉層204の屈折率よりも実質的に高い屈折率を有し、その結果、干渉層204の近位表面は、プローブ200上に方向付けられた光を効果的に反射する。モノリシック基材の好ましい屈折率は、1.5、1.8、または2.0より高くてもよい。したがって、モノリシック基材202は、ガラス(2.0の屈折率)などの高屈折率材料を含み得るが、モノリシック基材202の一部の実施形態は、石英(1.46の屈折率)またはプラスチック(1.32~1.49の屈折率)などの低屈折率材料を含み得る。透明プラスチックの例としては、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネートなどが含まれる。
【0028】
干渉層204は、モノリシック基材202の遠位表面上にコーティングされた少なくとも1つの透明材料を含む。これらの透明材料は、ナノメートル(例えば、単層)の分率から数マイクロメートルの厚さの範囲の薄膜の形態で、モノリシック基材202の遠位表面上に堆積される。干渉層204は、少なくとも500nm、700nm、または900nmの厚さを有し得る。例示的な厚さは、500~5,000nm(および好ましくは、800~1,200nm)である。本明細書では、例えば、干渉層204は、約900~1,000nm、または940nmの厚さを有する。
【0029】
従来のプローブとは対照的に、干渉層204は、バイオ層と実質的に同様の屈折率を有する。これは、プローブ200の遠位端からの反射が、干渉層204と分析物結合分子206との間の界面ではなく、主に分析物分子208に起因することを確実にする。一般に、バイオ層は、およそ1.36の屈折率を有するが、これは、プローブ200の遠位端に沿った分析物結合分子(およびしたがって分析物分子)のタイプに応じて変化し得る。
【0030】
一部の実施形態では、干渉層204は、フッ化マグネシウム(MgF)を含み、一方で、他の実施形態では、干渉層204は、1.36の屈折率を有するフッ化カリウム(KF)、1.39の屈折率を有するフッ化リチウム(LiF)、1.32の屈折率を有するフッ化ナトリウム(NaF)、1.39の屈折率を有するリチウムカルシウムフッ化アルミニウム(LiCaAlF)、1.37の屈折率を有するフッ化ストロンチウム(SrF)、1.38の屈折率を有するフッ化アルミニウム(AlF)、1.34の屈折率を有する六フッ化アルミニウムナトリウム(NaAlF)(「凍結石」とも呼ばれる)、1.34の屈折率を有するフッ化アルミニウムナトリウム(NaAl14)(「キオライト」とも呼ばれる)などを含む。追加的または代替的に、干渉層204は、FICOLL(登録商標)(スクロースおよびエピクロロヒドリンのコポリマー)などの1.4未満の屈折率を有するポリマーを含み得る。フッ化マグネシウムは、プローブ200の遠位端に沿って形成されたバイオ層の屈折率と実質的に同一である、1.38の屈折率を有する。比較のために、従来のプローブの干渉層は通常、二酸化ケイ素を含み、純粋な二酸化ケイ素の屈折率は、約1.46である。より純度の低い形態の二酸化ケイ素は、高い屈折率(例えば、可視範囲内で約1.5)を有する。一般に、干渉層204の屈折率は、1.32~1.42、1.36~1.42、または1.38~1.40である。干渉層204およびバイオ層は、同様の屈折率を有するため、光は、干渉層204からバイオ層内に移動し、次いでバイオ層から干渉層204内に戻るときに、最小限の散乱を経験するであろう。
【0031】
バイオ層の厚さは、干渉計のハードウェア(例えば、光学構成要素)に基づいて全体的な感度を最適化するように設計される。従来の固定化化学は、分析物結合分子206を干渉層204の遠位表面に共有結合的に(例えば、化学的に)または非共有結合的に(例えば、吸着によって)付着させるために使用され得る。
【0032】
分析物結合分子206の層は、好ましくは、プローブ200の遠位端が濃密にコーティングされている条件下で形成され、その結果、分析物分子208の分析物結合分子206への結合は、層を充填するのではなく、バイオ層の厚さの変化をもたらす。分析物結合分子206の層は、単層または多層マトリックスであり得る。
【0033】
生化学試験の間、プローブ200は、試料を含む空洞(例えば、ウェル)内に懸濁され得る。プローブベースの検出技術の例は、「Optical Sensor of Bio-Molecules using Thin-Film Interferometer」と題する米国特許第8,597,578号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。生化学試験の過程で、分析物分子208が分析物結合分子206に結合するにつれて、プローブ200の遠位端に沿ってバイオ層が形成される。
【0034】
光がプローブ200上に照射されるとき、干渉層204の近位表面は、第1の反射面として作用し得、バイオ層の遠位表面は、第2の反射面として作用し得る。プローブ200に対する分析物分子208の存在、濃度、または結合速度は、これらの2つの反射面によって反射される光ビームの干渉に基づいて推定され得る。分析物分子208が分析物結合分子206に付着する(またはそこから分離する)のにつれて、第1の反射面と第2の反射面との間の距離は変化する。プローブ200内のすべての他の構成要素の寸法は同じままであるため、第1および第2の反射面によって反射される光によって形成される干渉パターンは、結合事象によるバイオ層厚の変化に応じて位相がずれている。
【0035】
光ファイバの代わりにモノリシック基材202を使用することは、いくつかの利点を提供する。上述したように、モノリシック基材202の屈折率は、干渉層204の屈折率よりも高いことが好ましい。例えば、モノリシック基材202の屈折率は、干渉層204の屈折率よりも少なくとも0.1、0.2、0.4、0.5、または0.6高くてもよい。モノリシック基材202は、均一な組成を有する固体材料片であるため、干渉層204よりも高い屈折率を有する材料を選択することが容易である。逆に、光ファイバは、典型的には、屈折率が低い別の誘電体材料(「クラッディング」とも呼ばれる)によって囲まれ、その屈折率を操作することを困難にする、誘電体材料(「コア材料」とも呼ばれる)を有する円形断面誘電体導波路である。
【0036】
動作中、光源によって放出される入射光信号210は、モノリシック基材202を通してバイオ層に向かって運ばれる。プローブ200内で、光は、第1の反射面で反射され、第1の反射光信号212をもたらす。光はまた、第2の反射面で反射され、第2の反射光信号214をもたらす。第2の反射面は、最初に、分析物結合分子206とプローブ200が浸漬される試料との間の界面に対応する。結合が生化学試験の間に生じると、第2の反射面は、分析物分子208と試料との間の界面となる。
【0037】
第1および第2の反射光信号212、214は、図4Aに示されるように、スペクトル干渉パターンを形成する。分析物分子208が干渉層204の遠位表面上の分析物結合分子206に結合するとき、第2の反射光信号214の光路は長くなる。その結果、図4Bに示すように、スペクトル干渉パターンがT0からT1に移行する。位相シフトをリアルタイムで連続的に測定することにより、シフト量対時間として、運動学的結合曲線をプロットすることができる。干渉層204の遠位表面に固定された分析物結合分子に対する分析物分子の関連付け速度は、試料中の分析物濃度を計算するために使用され得る。したがって、位相シフトの尺度は、薄膜干渉計の検出原理である。
【0038】
図4Aを参照すると、薄膜干渉計の性能は、交流(AC)成分を最大化し、直流(DC)オフセットを最小化することによって改善され得る。別の言い方をすれば、AC成分が対象の信号を表し、DCオフセットがノイズを表すので、AC対DC比を増加させることによって、薄膜干渉計の性能を改善することができる。これらの目的を達成するために、(1)入射光信号210および反射光信号212、214がプローブ200を通って移動する効率を高めることができ、(2)光源とプローブ200との間の結合効率を高めることができ、および/または(3)分光計とプローブ200との間の結合効率を高めることができる。
【0039】
干渉層204およびバイオ層の屈折率を実質的に一致させることは、すなわち、プローブ200内の他の表面(例えば、干渉層204と分析物結合分子206との間の界面)からの反射を可能な限り低減することによって、これらの目標の第1の目的を達成する。干渉層204の屈折率がバイオ層の屈折率に近づくに場合(例えば、干渉層204については1.38、バイオ層については1.36)、バイオ層が構築されるのにつれてスペクトル干渉パターンのシフトが増加する。これは、T0とT1との間のデルタが、干渉層204および周囲材料(例えば、試料)の屈折率の差に基づいているためである。しかしながら、干渉層204の屈折率が小さくなるにつれて、T0、T1の大きさも小さくなる。スペクトル干渉パターンには、マグニチュードとシフトとの間のトレードオフがある。高いレベルでは、目標は、2つのピークをできるだけ分離させながら識別することができるように、十分に大きい大きさを有することである。一実施例として、干渉層204の屈折率を低下させると、より多くのシフトがもたらされるが、より小さなAC対DC比がもたらされる(すなわち、より大きなDC成分および/またはより小さなAC成分により、信号が「ノイズが多い」結果になる)。
【0040】
一部の実施形態では、反射層(図示せず)は、反射層がモノリシック基材202と干渉層204との間に位置付けられるように、モノリシック基材202の遠位端に沿って堆積される。その主な目的が、第1の反射光信号212がモノリシック基材202と干渉層204との間の界面で反射することを確実にすることであるため、反射層は、モノリシック基材202または干渉層204のいずれかよりも高い屈折率を有する材料を含み得る。例えば、反射層は、2.3~2.4の屈折率を有する硫化亜鉛(ZnS)、2.3~2.4の屈折率を有する二酸化チタン(TiO)、2.2~2.3の屈折率を有する一酸化チタン(TiO)、1.9~2.3の屈折率を有する三酸化チタン(Ti)、2.2~2.3の屈折率を有する酸化チタン(Ti)、216の屈折率を有する酸化タンタル(Ta)、2.16の屈折率を有する五酸化タンタル(Ti)、1.8~1.9の屈折率を有する一酸化ケイ素(SiO)、1.67の屈折率を有するセスキオキシドアルミニウム(Al)、1.97~2.05の屈折率を有する二酸化ジルコニウム(ZrO)、2.01の屈折率を有する一酸化亜鉛(ZnO)、2.1の屈折率を有する三酸化チタンランタン(LaTiO)、1.8の屈折率を有する酸化インジウムスズ(ITO)、2.1~2.3の屈折率を有する五酸化ニオブ(Nb)、2.58の屈折率を有するセレン化亜鉛(ZnSe)、2.35の屈折率を有する二酸化セリウム(CeO)、1.87の屈折率を有する酸化イットリウム(Y)、1.95の屈折率を有する酸化ハフニウム(HfO)、または1.8の屈折率を有する酸化ガドリニウム(Gd)を含み得る。反射層は、干渉層204と比較して非常に薄くてもよい。例えば、反射層は、約3~10nmの厚さを有し得る。
【0041】
図3は、様々な実施形態によるプローブ300の別の実施例を示している。図3のプローブ300は、図2のプローブ200と実質的に同様であり得る。しかしながら、本明細書では、プローブ300は、モノリシック基材302に固定された干渉層304の遠位表面に沿って堆積された接着層310を含む。接着層310は、分析物結合分子306の接着を促進する材料を含み得る。そのような材料の一例は、二酸化ケイ素である。接着層310は、一般に、干渉層304と比較して非常に薄く、したがって、バイオ層に向かって移動する、またはそこから戻る光に対するその影響は最小限である。例えば、接着層310は、約3~10nmの厚さを有し得、一方で、干渉層304は、約800~1,000nmの厚さを有し得る。分析物結合分子306および分析物分子308によって形成されたバイオ層は、通常、数nmの厚さを有する。図2のプローブ200と非常によく似ているが、図3のプローブ300はまた、反射層がモノリシック基材302と干渉層304との間に位置付けられるように、モノリシック基材302の遠位端に沿って堆積された反射層(図示せず)を有してもよい。反射層の厚さは、接着層310の厚さとほぼ同じであり得る。
【0042】
上述のように、これらの特徴は、他の形態を有する感知表面にも同様に適用可能である。そのような感知表面の一例は、平面表面を有するスライド(「チップ」とも呼ばれる)であり、生化学試験の過程で平面表面上に溶液を流すことによって、その上にバイオ層が形成される。平面表面のいくつかの実施例を、図5および図6を参照して以下で考察する。
【0043】
図5は、様々な実施形態によるスライド500の実施例を示している。スライド500は、干渉層504が堆積される基材502を含む。一部の実施形態では、干渉層504は、基材502の上面全体に沿って堆積され、一方で、他の実施形態では、干渉層504は、基材502の上面の一部分に沿って堆積される。例えば、干渉層504は、基材502の上面内に形成されたチャネルまたはウェル内に堆積されてもよい。上記で考察されたように、図2および図3のモノリシック基材202、302は、一般に、幅よりもはるかに大きい高さである。ここで、しかしながら、その逆が当てはまる場合がある。実際、基材502の幅は、長さよりも、5、7.5、10、または20倍大きくてもよい。実施例として、基材は、約1mmの高さ/厚さで、約75×26mmであってもよい。
【0044】
診断試験の過程で、分析物分子508は、干渉層504の上面に沿って固定された分析物結合分子506に結合して、バイオ層を形成することができる。バイオ層の厚さを確立するために、図5に示されるように、スライド500の上面に光を照射することができる。より具体的には、光源によって放出される入射光信号510は、スライド500の上面に沿って形成されたバイオ層で示され得る。これは、入射光信号510が周囲媒体516を通って移動することを必要とし得、周囲媒体516は、真空、空気、または溶液であり得る。入射光信号510は、第1の反射面で反射され、第1の反射光信号512をもたらす。第1の反射面は、バイオ層と周囲媒体516との間の界面を表し得る。入射光信号510はまた、第2の反射面で反射され、第2の反射光信号514をもたらす。第2の反射面は、干渉層504と基材502との間の界面を表し得る。上述のように、第1および第2の反射光信号512、514は、バイオ層の厚さを確立するために分析され得る、スペクトル干渉パターンを形成する。入射光信号510は基材502を介して運ばれないため、基材502は、透明であってもよく、または透明でなくてもよい(例えば、不透明であってもよい)ことに留意されたい。
【0045】
図6は、様々な実施形態によるスライド600の別の実施例を示している。図6のスライド600は、図5のスライド500とほぼ同様であり得る。したがって、スライド600は、干渉層604および分析物結合分子606が堆積される基材602を含んでもよい。診断試験の過程で、分析物分子608は、分析物結合分子606に結合して、バイオ層を形成することができる。
【0046】
ここで、しかしながら、入射光信号610は、スライド600の下面に示されている。動作中、入射光信号610は、基材602を通してバイオ層に向かって運ばれる。スライド600内で、光は、第1の反射面で反射され、第1の反射光信号612をもたらす。第1の反射面は、干渉層604と基材602との間の界面を表し得る。光はまた、第2の反射面で反射され、第2の反射光信号614をもたらす。第2の反射面は、バイオレイヤと周囲媒体616との間の界面を表し得る。上述のように、第1および第2の反射光信号612、614は、バイオ層の厚さを確立するために分析され得る、スペクトル干渉パターンを形成する。
【0047】
図5および図6には示されていないが、スライド500、600は、基材502、602と干渉層504、604との間に配置され、その界面に沿った反射率を向上させる反射層、および/または分析物結合分子506、606を固定するために干渉層504、604の上面に沿って配置された接着層を含むことができる。
【0048】
図7は、干渉センサを製造するためのプロセス700のフロー図を示している。最初に、製造業者は、モノリシック基材を取得する(ステップ701)。例えば、製造業者は、異なる生化学試験、分析物結合分子などのために設計された複数のモノリシック基材の中からモノリシック基材を選択してもよい。モノリシック基材の好ましい屈折率は、1.5、1.8、または2.0よりも高くてもよい。したがって、製造業者によって取得されたモノリシック基材は、ガラス(2.0の屈折率)などの高屈折率材料、または石英(1.46の屈折率)もしくはプラスチック(1.32~1.49の屈折率)などの低屈折率材料を含み得る。上述のように、一部の実施形態では、モノリシック基材は、柱状形態(例えば、図2および図3のモノリシック基材202、302)を有し、一方で、他の実施形態では、モノリシック基材は、平面形態(例えば、図5および図6のモノリシック基材502、602)を有する。
【0049】
次いで、製造業者は、モノリシック基材の表面上に透明材料を堆積させて、干渉層を形成することができる(ステップ702)。例えば、透明材料は、ナノメートル(例えば、単層)の分率から数マイクロメートルの厚さの範囲の薄膜の形態で、モノリシック基材の遠位表面上に堆積されてもよい。通常、干渉層は、少なくとも500nm、700nm、または900nmの厚さを有する。例示的な厚さは、500~5,000nm(および好ましくは、800~1,200nm)である。
【0050】
一部の実施形態では、製造業者は、別の透明材料を干渉層の表面上に堆積させて、接着層を形成する(ステップ703)。接着層は、分析物結合分子の接着を促進する材料を含み得る。そのような材料の一例は、二酸化ケイ素である。接着層は、一般に、干渉層と比較して非常に薄いため、干渉センサに沿って移動する光に対するその影響は最小限である。例えば、接着層は、約3~10nmの厚さを有し得る。
【0051】
その後、製造業者は、分析物結合分子を接着層の表面に固定することができる(ステップ704)。上述のように、分析物結合分子の層は、干渉センサの表面(例えば、プローブの遠位端、または平面チップの遠位表面)が濃密にコーティングされている条件下で形成され得る。これにより、生化学試験の過程で分析物分子が分析物結合分子に結合すると、これらの結合事象が、分析物結合分子の層を充填するのではなく、バイオ層の厚さに変化をもたらすことが確実になる。分析物結合分子の層は、単層または多層マトリックスであり得る。
【0052】
物理的可能性に反しない限り、上述のステップは、様々な順序および組み合わせで実施され得ることが想定される。例えば、製造業者は、干渉層の遠位表面に沿って接着層を作成しないことを選択してもよい。そのような実施形態では、分析物結合分子は、干渉層の遠位表面に直接的に固定され得る。
【0053】
追加のステップがまた、実施され得る。例えば、製造業者は、モノリシック基材の表面上に反射層を形成してもよい。上述したように、反射層は、モノリシック基材および干渉層よりも高い屈折率を有する透明材料を含み得る。その位置のため、この透明材料は、干渉層が形成される前(すなわち、ステップ702が実施される前)に、モノリシック基材の表面上に堆積され得る。別の実施例として、製造業者は、接着層を形成する前に、(例えば、熱、空気、放射線などを使用して)干渉層を硬化させてもよい。同様に、製造業者は、(i)接着層を反射層に固定する前に反射層を硬化させ得、および/または(ii)分析物結合分子を接着層に固定する前に接着層を硬化させ得る。別の実施例として、製造業者は、モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設されたモノリシック基材の第1および第2の表面を研磨してもよい。研磨は、モノリシック基材への干渉層の接着性を改善するために実施され得る。
【0054】
図8Aは、様々な実施形態によるプローブ800の側面図を含む。図8Bは、プローブ800の底面斜視図を含み、一方で、図8Cは、プローブ800の上面斜視図を含む。プローブ800は、ロッドセクション802(「ロッド構成要素」とも呼ばれる)および可撓性支持構成要素804(「可撓性スカート」とも呼ばれる)を含む。可撓性支持構成要素804は、ロッドセクション802の第1の部分が可撓性支持構成要素804の上側から延在し、ロッドセクション802の第2の部分が可撓性支持構成要素804の下側から延在するように、ロッドセクション802の長さに沿って中央に位置され得る。したがって、可撓性支持構成要素804は、ロッドセクション802の中央部分に位置されてもよい。
【0055】
ロッドセクション802は、図2のモノリシック基材202などのモノリシック基材であってもよい。ロッドセクション802は、少なくとも3mm、5mm、10mm、または15mmの長さを有し得る。ロッドセクション802の第1および第2の部分は、異なるサイズであってもよいことに留意されたい。例えば、可撓性支持構成要素804の上側から延在しているロッドセクション802の第1の部分は、2~5mmであってもよく、一方で、可撓性支持構成要素804の下側から延在しているロッドセクション802の第2の部分は、5~10mmであってもよい。
【0056】
可撓性支持構成要素804は、フランジセクション806およびスリーブセクション808を含むことができる。一部の実施形態では、フランジセクション806およびスリーブセクション808は、各構成要素の製造後に互いに連結される。他の実施形態では、フランジセクション806およびスリーブセクション808は、成形プロセス、押出プロセスなどを介して形成される単一の構成要素の一部である。可撓性支持構成要素804は、シリコーンゴム、ニトリルゴム、またはいくつかの他のエラストマーを部分的または全体的に含むことができる。例えば、一部の実施形態では、可撓性支持構成要素804全体が、可撓性材料を含み、一方で、他の実施形態では、フランジセクション806のみが可撓性材料を含む。
【0057】
図8Bに示されるように、可撓性支持構成要素804の下側は、内側凹面816によって画定される窪み810を含むことができる。窪み810内に位置する内側延長特徴部818は、ロッドセクション802の周りに固定されてもよい。内側延長特徴部818を含む実施形態では、窪み810は、ロッドセクション802の周りに半径方向に延在している環状窪みの形態をとることができる。
【0058】
上述したように、ロッドセクション802の遠位端812(「底端」とも呼ばれる)は、その上に固定された干渉層を有し得、分析物結合分子は、干渉層上にコーティングされ得る。生化学試験の過程で、バイオ層は、分析物結合分子に結合する試料中の分析物分子として形成されることになる。光がプローブ800の近位端814に照射されるとき、干渉層の近位表面は、第1の反射面として作用し得、バイオ層は、第2の反射面として作用し得る。
【0059】
プローブ800がウェルに装填される場合、圧力が、可撓性支持構成要素804のフランジセクション806の底面に対してウェルの上面によって加えられる。このような圧力により、ロッドセクション802の遠位端812がウェル内に懸架される。フランジセクション806は、ウェルに装填されたときに、ロッドセクション802の遠位端812がウェルの内面に接触することを防ぐように設計され得る。ウェルは、直線形式で配設された複数のウェルを含むカートリッジ、またはグリッド形式で配設された複数のウェルを含むマイクロプレートに含まれ得る。
【0060】
備考
本技術の様々な実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的で提供されている。包括的であること、または特許請求された主題を開示された正確な形態に限定することは意図されない。
【0061】
多くの修正および変形は、当業者に明らかであろう。実施形態は、本技術の原理およびその実際の用途を最もよく説明するために選択および説明され、それにより、関連する当業者は、特許請求の範囲の主題、様々な実施形態、および企図される特定の用途に適した様々な修正を理解することができる。
【実施例
【0062】
本発明は、範囲内で本発明をそれらに記載される特定の手順に限定するものとして解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに説明される。
【0063】
実施例1.従来のプローブ(SiOプローブ)の調製
従来のプローブを図1Bに示す。長さ20mm、直径1mmの石英(屈折率1.46)ロッドの両端を、光学研磨機を使用して鏡面に研磨した。ロッドを洗浄し、精製水中で洗った後、それらを固定装置内に配列し、次に、イオンビーム補助物理蒸着(PVD)機械に装填した。PVD機械では、電子ビームを使用して、表面上にコーティングされるターゲット材料に衝撃を与えて、ターゲット材料を気化させ、次いで、イオンビームを適用して、表面上に蒸気を堆積させ、薄膜層を形成する。これらの石英ロッドを最初に20nmのTa層でコーティングし、続いて730nmのSiO層でコーティングした。表面をTa/SiO層でコーティングした後、ロッドを化学気相蒸着(CVD)機械(例えば、イールドエンジニアリング製のLab Kote)内に配置し、アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)の薄層をコーティングした。APS層は、典型的には、厚さ1~2nmである。APSは、タンパク質固定を可能にするために堆積される。APSは、疎水性相互作用およびイオン性相互作用の組み合わせによって、タンパク質をプローブの表面に吸着させる。タンパク質はまた、架橋試薬を使用した共有結合によってAPSのアミノ基に結合され得る。APSは、単層のみであり、したがって、約7nm厚であり得る。
【0064】
実施例2A.本発明の一実施形態のプローブの調製(図3
本発明のプローブの実施例を図3に示す。プローブは、「MgFプローブ」または「MgF-APSプローブ」と呼ばれてもよい。長さ20mm、直径1mmのガラス(屈折率2.0)ロッドの両端を、光学研磨機を使用して鏡面に研磨した。ロッドを洗浄し、精製水中で洗った後、それらを固定装置内に配列し、次に、イオンビーム補助物理蒸着(PVD)機械に装填した。PVD機械では、電子ビームを使用して、表面上にコーティングされるターゲット材料に衝撃を与えて、ターゲット材料を気化させ、次いで、イオンビームを適用して、表面上に蒸気を堆積させ、薄膜層を形成する。ガラスロッドを最初に940nmのMgF層でコーティングし、続いて5nmのSiO層でコーティングした。表面をMgF/SiO層でコーティングした後、ロッドを化学気相蒸着(CVD)機械内に配置し、典型的には1~2nmの厚さであるAPSの薄層をコーティングした。
【0065】
実施例2B.本発明の別の実施形態のプローブの調製(図2
本発明のプローブの別の実施例を図2に示す。プローブは、「MgF2プローブ」または「MgF2-APSプローブ」と呼ばれてもよい。長さ20mm、直径1mmのガラス(屈折率2.0)ロッドの両端を、光学研磨機を使用して鏡面に研磨した。ロッドを洗浄し、精製水中で洗った後、それらを固定装置内に配列し、次に、イオンビーム補助物理蒸着(PVD)機械に装填した。PVD機械では、電子ビームを使用して、表面上にコーティングされるターゲット材料に衝撃を与えて、ターゲット材料を気化させ、次いで、イオンビームを適用して、表面上に蒸気を堆積させ、薄膜層を形成する。ガラスロッドを、SiO2層の薄層なしで、940nmのMgF2の単層でコーティングした。表面をMgF2層でコーティングした後、ロッドを化学気相蒸着(CVD)機械内に配置し、典型的には1~2nmの厚さであるAPSの薄層をコーティングした。
【0066】
実施例3.MgFプローブと従来のプローブのタンパク質A結合の比較
並行比較研究のために、従来のAPSプローブ(実施例1)およびMgF-APSプローブ(実施例2A)を、結合試験のためにタンパク質Aで固定化した。
【0067】
表1に示すように、2つのタイプのプローブに、96ウェルプレートにおいて3つのステップを行った。
【表1】
【0068】
実験は、Probe Life社のGator干渉計器具とソフトウェアバージョン1.3を使用して行った。結果を図9に示し、表2に要約する。図9は、チャネル(CH)1~4に割り当てられた従来のプローブ(すなわち、下の4つの曲線)およびCH5~8に割り当てられたMgF2プローブ(すなわち、上の4つの曲線)を有する、APSプローブにおけるタンパク質Aの結合曲線(nmにおけるシフトを伴う)を示している。
【表2】
【0069】
結果は、MgF-APSプローブが、nmにおける波長シフトの上限によって示されるように、従来のプローブと比較して2.24倍以上の結合信号(nmシフト)を得たことを示している。
【0070】
実施例4.MgFプローブと従来のプローブのIgG/タンパク質A結合の比較
タンパク質Aは、5つのIg結合ドメインを有し、Fc領域内、およびまたヒトVH3ファミリーの場合、Fab領域内の重鎖に結合するため、我々は、プローブ表面上のヒトIgG(Equitech-Bio SLH56)およびタンパク質Aを繰り返し固定して、nmシフトの上限を試験することができた。
【0071】
2つのAPSプローブ(従来のプローブ、実施例1、およびMgFプローブ、実施例2A)は、96ウェルプレート中で50回、工程1~4を周期的に実行した。
1.K緩衝液(PBS、0.02% BSA、0.002% Tween-20、200μL)を1000rpm下で10秒間
2.K緩衝液(200μL)中の2μg/mLのヒト全IgGを、1000rpm下で60秒間
3.K緩衝液(200μL)を1000rpm下で10秒間
4.K緩衝液(200μL)中の10μg/mLのタンパク質Aを、1000rpm下で60秒間
【0072】
実験は、Probe Life社のGator器具およびソフトウェアバージョン1.3を使用して行った。結果を図10に示す。特に、図10は、CH1~4に割り当てられた従来のプローブ(すなわち、下の4つの曲線)およびCH5~8に割り当てられたMgFプローブ(すなわち、上の4つの曲線)を有する、タンパク質AプローブにおけるヒトIgGの結合曲線を示している。
【0073】
図10の結果は、MgFプローブが、負のシフトに変わることなく、120nmの波長シフトに達したのに対し、従来のプローブが、負のnmシフトを示すようになる前に、7nmの波長シフトに達しただけであることを示している。信号(nmシフト)は、MgFプローブでは従来のプローブよりもはるかに高かった。
【0074】
実施例5.MgFプローブと従来のプローブのタンパク質結合および再生の比較
抗マウスFcでコーティングしたプローブの調製
2つのAPSプローブ(実施例1および2A)を、1000rpmで10分間、96ウェルプレートにおけるPBS緩衝液中の50μg/mLのストレプトアビジン(Invitrogen,21122)に浸すことによって、ストレプトアビジンでコーティングしたプローブを作製した。
【0075】
親和性に精製されたヤギ抗マウスIgG Fc-γ断片特異的(Jackson-Immuno,115-005-071)を実験に使用した。この抗マウスFcは、ヒト、ウシおよびウマの血清タンパク質に対する交差反応が最小限である。抗マウスIgGを、EZ-リンクNHS-PEG4-ビオチン(Thermo Scientific,A39259)で標準プロトコルを用いてビオチン化した。ビオチン化抗体をK緩衝液(Probe Life,120011)に希釈した。ストレプトアビジンでコーティングしたプローブを、0.5mg/mLのビオチン-抗マウス-Fc中に10分間浸漬し、K緩衝液中で30秒間洗浄して、プローブの表面上の任意の非特異的な結合相互作用を除去した。
【0076】
アッセイ
抗マウスFcでコーティングした乾燥プローブをQ緩衝液(PBS+0.2% BSA+0.02% Tween-20)に浸し、任意のアッセイの前に5分間水和した。
【0077】
Q緩衝液に溶解したマウスIgGを用いて、0.5~200μg/mlの範囲のマウスIgG濃度を生成した。この濃度シリーズを使用して、従来のプローブとMgFプローブを並行して試験し、結合容量、信号強度、および再生の観点から両方のプローブの性能を比較した。両方のプローブを再生するために、150mMのNaClを有する10mMのグリシンpH1.75を再生溶液として使用した。
【0078】
実験は、Probe Life社のGator器具(GA007)およびそのソフトウェアバージョン1.3を使用して行った。試料ならびに再生溶液を、Greiner Bio(参照番号655209)からのマイクロプレート中で調製した。
【0079】
反応および再生プロトコルを表3に示す。再生は10回繰り返される。
【表3】
【0080】
結果
従来のプローブとMgFプローブの結合容量の並行比較を行い、結合強度、結合速度、および再生を理解した。結果を、表4および表5に要約する。
【0081】
表4は、MgFプローブが、従来のプローブよりもはるかに高い信号(nm波長シフト)およびより速い結合速度を有することを示している。
【表4】
【0082】
表5は、10ラウンドの再生後、MgFプローブが元の信号強度の52%(30μg/mLのmIgG)および41%(3μg/mLのmIgG)を保持したのに対し、従来のプローブが元の信号強度の29%(30μg/mLのmIgG)および30%(3μg/mLのmIgG)しか保持しなかったことを示している。
【表5】
【0083】
実施例6.MgFプローブと従来のプローブの小分子結合の比較
この実施例では、阻害剤の1つであるフロセミドへの酵素、炭酸アンヒドラーゼII(CAII)の結合を、実施例2BのMgF2プローブで検出し、SiO2光学層を有する従来のバイオ層干渉法(BLI)センサと比較した。また、抗体である抗エストラジオールを、その抗原であるエストラジオールへの結合について試験した。フロセミドおよびエストラジオールは、それぞれ330および272ダルトンの分子量を有するため、小分子標識フリー検出のための優れたモデルである。
【0084】
材料の調製
ウシ炭酸アンヒドラーゼII(CAII)およびヒト抗エストラジオール抗体のビオチン標識
ビオチン化反応には、CAII(Sigma-Aldrich)、抗エストラジオール(US Biological)、NHS-LC-LC-ビオチン(ThermoFisher)を使用した。標識反応の前に、材料のさらなる精製は行わなかった。CAIIおよび抗フルオレセイン抗体を、1のモル結合比(MCR)で標識化した。無水DMFを使用して、NHS-LC-LC-ビオチンを溶解し、直ちにそれぞれのタンパク質に添加し、ボルテックスし、室温で1時間進行させた。標識反応の後、ビオチン化タンパク質をPD-10カラム(GE Healthcare)を使用して精製した。
【0085】
架橋FICOLL(登録商標)の調製
架橋されたFICOLL(登録商標)を調製する方法は、米国特許第8,309,369号に記載されている。20mg/mlのPBS中に、FICOLL(登録商標)400kD(Skold Technology)当たり88個のアミンを含有するようにアミノ化された2mlのFICOLL(登録商標)400(Sigma/Aldrich)に、DMFにおける50mg/mlで10μLのSPDP(Invitrogen、スクシンイミジル6-[3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオナミド]ヘキサノエート)を加えた。SPDP対FICOLL(登録商標)分子結合比(MCR)は、15であった。混合物を室温で1時間反応させた後、透析を行った。チオールの組み込みは、標準的な方法によって、FICOLL(登録商標)400kD当たり5.5であると推定された。
【0086】
FICOLL(登録商標)400で標識したSPDP上のチオールを脱保護するために、38mg/mLのPBSで30μLのDTTを、1mLのPBS中で20mgに添加し、室温で2時間反応させた。SH-FICOLL(登録商標)をPD10カラム上で精製した。
【0087】
SMCCを、アミノ化FICOLL(登録商標)400(88アミン/FICOLL(登録商標))に、以下のように2つの調製物でリンクさせた。1.)1mlのPBS中に10mgでアミノ化されたFICOLL(登録商標)400を、30のSMCC/FICOLL(登録商標)MCRに対して10mg/mLのDMFで25μLのSMCCと混合した。混合物を室温で2時間反応させ、続いてPD10カラム(GE Healthcare)上で精製した。2.)1mLのPBS中に10mgでアミノ化されたFICOLL(登録商標)400を、15のSMCC/FICOLL(登録商標)MCRに対して10mg/mLのDMFで12.5ulのSMCCと混合した。混合物を室温で2時間反応させ、続いてPD10カラム上で精製した。
【0088】
SH-FICOLL(登録商標)400とSMCC-FICOLL(登録商標)400を架橋するために、以下の2つの調製物を作製した。1.)1mLのPBS SH-FICOLL(登録商標)400中の10mgを、1mLのPBS SMCC-FICOLL(登録商標)400(30MCR)中の10mgと混合した。2.)1mLのPBS SH-FICOLL(登録商標)400中の10mgを、1mLのPBS SMCC-FICOL(登録商標)400(15MCR)中の10mgと混合した。混合物を30℃で一晩反応させた。
【0089】
SH-FICOLL(登録商標)400とSMCC-FICOLL(登録商標)400を提供するために、以下の2つの調製物を作製した。1.)1mLのPBS SH-FICOLL(登録商標)400中の10mgを、30MCRで1mLのPBS SMCC-FICOLL(登録商標)400中の10mgと混合した。2.)1mLのPBS SH-FICOLL(登録商標)400中の10mgを、1mLのPBS SMCC-FICOLL(登録商標)400(15MCR)中の10mgと混合した。混合物を30℃で一晩反応させた。
【0090】
ストレプトアビジン架橋FICOLL(登録商標)コンジュゲートの合成
1mgのSPDP標識架橋FICOLL(登録商標)を、室温で1時間、592のMCRで、PBSに溶解させた38mg/mLのDTT(ThermoFisher、20290)で脱保護した。8mgのストレプトアビジン(SA)(Prozyme、SA10)を、無水DMFに溶解させたスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)で、室温で1時間、1のMCRで標識化した。SMCC標識またはDTT脱保護反応の後、ストレプトアビジン(SA)または架橋FICOLL(登録商標)を、PD-10カラム(GE Healthcare、17085101)を使用して精製した。精製した架橋FICOLL(登録商標)およびSAを50mLのチューブ内で混合し、カップリング反応を室温で一晩進行させた。翌日、PBSに溶解させた12μLの16mg/mLのN-エチルマレイミドを反応混合物に加え、室温で30分間反応させ、未反応のシステインをキャップした。キャッピング反応の後、反応混合物を4B-CLカラム上で精製した。
【0091】
ストレプトアビジン架橋FICOLL(登録商標)によるMgFプローブのコーティング
すべての揺動速度は1000rpmであった。最初に、MgFプローブ(実施例2B)をエタノールで120秒間洗浄した。次に、プローブをPBSで60秒間洗浄した後、100μg/mLのストレプトアビジン架橋FICOLL(登録商標)で600秒間コーティングした。長期保存のための防腐剤として、PBS中の15%のスクロースで60秒間、プローブをコーティングする前に、各30秒でさらに2回のPBS洗浄を行った。次いで、プローブを40℃のオーブン中で20分間乾燥させた。
【0092】
MgFプローブ上のビオチン化CAIIおよびビオチン化抗エストラジオールの装填
特に明記しない限り、すべての揺動速度は1000rpmであった。最初に、プローブをQ緩衝液中で120秒間平衡化した。次に、ビオチン化CAIIまたはビオチン化抗エストラジオールを、10μg/mLで、400rpmのオービタルシェーカー上で1800秒間装填した。1mMのビオシチンを、その後の二重参照実験のために参照プローブ(CAIIを含有しないプローブ)上に装填した。60秒間の最終洗浄を行った。
【0093】
ストレプトアビジンSiOプローブ上のビオチン化CAIIおよび抗エストラジオール抗体の装填
特に明記しない限り、すべての揺動速度は1000rpmであった。最初に、オクテットSAプローブ(ForteBio、18-5019)をQ緩衝液中で120秒間平衡化した。次に、ビオチン化CAIIまたは抗エストラジオール抗体を、400rpmで1800秒間、10ug/mLで共に装填した。1mMのビオシチンを、参照実験のために参照プローブ上に装填した。60秒間の最終洗浄を行った。
【0094】
アッセイプロトコルおよびデータ処理
MgFプローブアッセイ
すべての揺動速度は1000rpmであった。アッセイおよびデータ収集は、30℃でGatorTM機器(GatorBio)上で実施された。フロセミド(Acros 448970010)を10μMで使用し、エストラジオール(Sigma-Aldrich、1250008)を6.4nMで使用した。CAIIまたは抗エストラジオール抗体を装填したプローブを、結合ステップの開始前に、アッセイ緩衝液(PBS+0.05% DMSO)中で600秒間予め湿潤させた。次に、アッセイ緩衝液中に60秒のベースラインを確立し、続いて0.05%のDMSOを有するPBS中のフロセミドまたはエストラジオールとの180秒の関連付けステップを確立した。参照実験では、次いで、第2のカラム上のビオシチン装填プローブをフロセミドに曝露した。
【0095】
MgFプローブデータ処理
エストラジオールおよびフロセミド結合データを、参照ウェル減算オプションを使用して、Gatorデータ分析バージョン1.7.2で処理した。Y軸は、各ベースラインに対して合わせられ、最後の50秒間平均化される。データから高周波ノイズを除去するために、Savitzky-Golayフィルタリングを適用した。次いで、結合曲線データを計算し、ピコメートル(pm)で波長シフトとして示した。
【0096】
従来のプローブ(SiO)アッセイ
すべての揺動速度は1000rpmであった。アッセイおよびデータ収集を、30℃でOctetRED機器(ForteBio)で行った。MgF2プローブに関して上述されたものと同じアッセイプロトコルを使用した。
【0097】
従来のプローブデータ処理
フロセミドデータを、参照減算オプションを使用して、Octetデータ分析10.0で処理した。参照オプションでは、フロセミド結合信号が、参照プローブを活性フロセミドプローブから減算することによって得られた。
【0098】
エストラジオール結合データを、参照プローブ減算オプションを使用して処理した。このオプションでは、結合信号が、参照プローブを活性エストラジオールプローブから減算することによって得られた。
【0099】
両方の場合において、y軸は、各ベースラインに対して合わせられ、1~59秒平均化される。データから高周波ノイズを除去するために、Savitzky-Golayフィルタリングを適用した。次いで、結合曲線データを計算し、ピコメートル(pm)で波長シフトとして示した。
【0100】
MgFプローブと従来のプローブの比較結果
表6は、MgFおよび従来のSiOプローブとの炭酸アンヒドラーゼ/フロセミド結合の比較結果を示している。MgFプローブ上のCAIIに対する10μMのフロセミドの結合信号は、210.7pm(ピコメートル)であり、従来のSiOプローブ上の11.7pmと比較して18倍高かった。
【表6】
【0101】
表7は、MgFプローブおよび従来のSiOプローブとの抗エストラジオール/エストラジオール結合の比較結果を示している。従来のSiOプローブは、ごくわずかな結合信号(2pm)を生成し、一方で、MgFプローブは、90.9pmの有意な結合信号を生成した。
【表7】
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 試料中の分析物を検出するための干渉センサであって、前記干渉センサが、
モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設された第1および第2の表面を有する、ガラスを含む、前記モノリシック基材と、
前記モノリシック基材の前記第2の表面上にコーティングされたフッ化マグネシウム(MgF )を含む、干渉層と、
前記干渉層上にコーティングされた分析物結合分子の層と、を含み、
前記モノリシック基材と前記干渉層との間の第1の界面が、光が前記干渉センサ上に照射されるときに第1の反射面として機能し、
前記分析物結合分子に結合する試料中の分析物分子によって形成されたバイオ層と、前記試料を含有する溶液との間の第2の界面が、前記光が前記干渉センサ上に照射されるときに、第2の反射面として機能する、干渉センサ。
[2] 前記モノリシック基材が、少なくとも5ミリメートル(mm)の長さを有し、前記モノリシック基材のアスペクト比が、少なくとも5~1である、[1]に記載の干渉センサ。
[3] 前記干渉層が、少なくとも500ナノメートル(nm)の厚さを有する、[1]に記載の干渉センサ。
[4] 前記干渉層と前記分析物結合分子の層との間に位置付けられた二酸化ケイ素(SiO )を含む、接着層をさらに含む、[1]に記載の干渉センサ。
[5] 前記接着層が、10nm未満の厚さを有する、[4]に記載の干渉センサ。
[6] 干渉センサであって、
モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設された第1および第2の表面を有する、前記モノリシック基材と、
前記モノリシック基材の屈折率より少なくとも0.1小さい屈折率を有する、干渉層と、
生化学試験中に試料中の分析物分子が結合して、バイオ層を形成する、分析物結合分子の層と、を含み、
前記干渉層の前記屈折率が、前記バイオ層の前記屈折率の0.05以内である、干渉センサ。
[7] 前記干渉層の厚さが、500~5,000nmである、[6]に記載の干渉センサ。
[8] 前記干渉層の前記厚さが、800~1,200nmである、[7]に記載の干渉センサ。
[9] 前記モノリシック基材が、ガラスを含む、[6]に記載の干渉センサ。
[10] 前記干渉層が、フッ化マグネシウムを含む、[6]に記載の干渉センサ。
[11] 前記モノリシック基材の前記屈折率が、少なくとも1.8である、[6]に記載の干渉センサ。
[12] 前記分析物結合分子の層を前記干渉層に接続する、接着層をさらに含む、[6]に記載の干渉センサ。
[13] 前記接着層が、二酸化ケイ素を含み、前記接着層が、10nm未満の厚さを有する、[12]に記載の干渉センサ。
[14] 前記モノリシック基材が、柱状形態を有する、[6]に記載の干渉センサ。
[15] 前記モノリシック基材の中央部分に位置する可撓性支持構成要素であって、
前記モノリシック基材の第1の部分が、前記可撓性支持構成要素の上側から延在しており、
前記モノリシック基材の第2の部分が、前記可撓性支持構成要素の下側から延在している、可撓性支持構成要素をさらに含む、[14]に記載の干渉センサ。
[16] 前記可撓性支持構成要素が、フランジおよび前記フランジの下方に位置するスリーブを含む、[15]に記載の干渉センサ。
[17] 前記可撓性支持構成要素が、シリコーンゴムを含む、[15]に記載の干渉センサ。
[18] 前記可撓性支持構成要素が、ウェルに装填されたときに前記干渉センサを支持するように構成されている、[15]に記載の干渉センサ。
[19] 前記モノリシック基材と前記干渉層との間に相互接続された反射層であって、
前記反射層が、前記モノリシック基材の前記屈折率および前記干渉層の前記屈折率よりも高い屈折率を有する、反射層をさらに含む、[6]に記載の干渉センサ。
[20] [1]に記載の干渉センサを製造するための方法であって、前記方法が、
モノリシック基材を取得することと、
前記モノリシック基材の反対側の端部で互いに実質的に平行に配設された前記モノリシック基材の第1および第2の表面を研磨することと、
フッ化マグネシウム(MgF )を含む第1の透明材料を、前記モノリシック基材の前記第2の表面上に堆積して、干渉層を形成することと、
分析物結合分子を前記干渉層に結合することと、を含む、方法。
[21] 前記モノリシック基材が、ガラスを含む、[20]に記載の方法。
[22] 前記干渉層が、少なくとも900nmの厚さを有する、[20]に記載の方法。
[23] 第2の透明材料を前記干渉層上に堆積して、接着層を形成することであって、
前記分析物結合分子の層が、前記接着層に結合している、形成することをさらに含む、[20]に記載の方法。
[24] 前記第2の透明材料が、二酸化ケイ素である、[23]に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10