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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20240701BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240701BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20240701BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240701BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240701BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240701BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W64/00 171
H04W84/06
H04W88/06
H04W72/0446
H04W72/0453
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022505916
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007377
(87)【国際公開番号】W WO2021182134
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2020044706
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新畑 香緒莉
(72)【発明者】
【氏名】鷹見 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】河上 寛
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-010339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0306675(US,A1)
【文献】特開2003-284150(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065814(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部に記憶され空域単位で無線通信の周波数分割複信の制限に関する制限情報と、飛行体の高度を含む位置の情報とに基づいて、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択する選択部を備え、
前記選択部は、
前記飛行体の高度が所定高度以上である場合には、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限し、
前記飛行体の高度が前記所定高度未満である場合には、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限しない
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を切り替えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークにおいて、さらなる高速データレートや低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)が仕様化された(非特許文献1)。LTEではマルチアクセス方式として、下り回線(下りリンク)にOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)をベースとした方式を用い、上り回線(上りリンク)にSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)をベースとした方式を用いている。また、LTEからのさらなる広帯域化及び高速化を目的として、LTEの後継システム(例えば、LTEアドバンスト又はLTEエンハンスメントと呼ぶこともある(以下、「LTE-A」という))も検討され、仕様化されている(Rel.10/11)。
【0003】
LTE、LTE-Aシステムの無線通信における複信形式(Duplex-mode)として、上りリンク(UL)と下りリンク(DL)を周波数で分割する周波数分割複信(FDD)と、上りリンクと下りリンクを時間で分割する時間分割複信(TDD)とがある。TDDの場合、上りリンクと下りリンクの通信に同じ周波数領域が適用され、上りリンクと下りリンクが時間で分けられて無線信号波の送受信が行われる。
【0004】
LTEシステムのTDDにおいては、図1に例示するように、上りサブフレーム(UL SF)と下りサブフレーム(DL SF)とを含むフレーム構成となっている。さらに、DLからULへの切り替えを行う場合には、特別サブフレーム(SP SF)が設定される。特別サブフレームは、DLリンクの延長期間(DL extension)、ガード期間(GP)、及び上りリンクの延長期間(UL extention)で構成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】3GPP TS 36.300"Evolved UTRA and Evolved UTRAN Overall description"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドローンと呼ばれるような無人の飛行体に搭載された無線通信端末のように、全方向において見通しがよい上空において通信を実行する無線通信端末が存在する。この場合、無線基地局から想定していないほど遠くに存在する無線通信端末が、その無線基地局と無線接続することがある。この場合、無線通信端末から送信されたULデータが無線接続された無線基地局に伝搬するまでに長い遅延が生じる。
【0007】
図2は、無線通信端末及び無線基地局間の時間分割複信の上りリンクにおいて長い遅延が発生した場合に、他の無線通信端末に対する悪影響が生じる原因を説明する図である。図2においては、或る飛行体に搭載された無線通信端末DR1が無線基地局BS1に無線接続され、別の飛行体に搭載された無線通信端末DR2が無線基地局BS2に無線接続され、地上のユーザが持つ無線通信端末MT1が無線基地局BS2に無線接続されているときの様子が例示されている。このとき、無線通信端末DR1及び無線基地局BS1間の距離L0>無線通信端末DR1及び無線通信端末MT1間の距離L2>無線通信端末DR1及び無線通信端末DR2間の距離L1とする。
【0008】
無線通信端末から無線基地局に対するULデータの送信タイミングは、Time Alignment機能によって調整される。例えば、無線通信端末DR1は、無線基地局BS1にて割り当てられたUL期間のタイミングよりも伝搬遅延の量だけ先にULデータの送信を開始する。このULデータの送信が他の無線通信端末のDL期間と時間的に重複した場合には干渉等の問題が生じるため、DL延長期間とUL延長期間との間にGPが設けられている。このGPの期間長は、無線基地局ごとに適切な値が設定される。図2では、無線基地局BS1におけるGPの期間長>無線基地局BS2におけるGPの期間長である。なお、ここでは各無線基地局間において、各サブフレームの始端及び終端のタイミングは同期していることを前提とする。つまり、無線基地局BS1,BS2において、上りサブフレーム及び下りサブフレームの始端及び終端のタイミングは同じである。
【0009】
前述したように、飛行体に搭載された無線通信端末は無線接続している無線基地局から想定していないほど遠くに存在することがあるから、図2の例で無線通信端末DR1から無線基地局BS1に対する伝搬遅延の量が、無線基地局BS1において設定されたGPの期間長よりも長くなることがある。その結果、無線通信端末DR1から送信されたULデータが、無線通信端末DR2や無線通信端末MT1によって受信されることがあり、さらにこのときの受信強度が閾値以上の場合には、干渉等の悪影響が生じることが懸念される。例えば図2の例では、無線通信端末DR1から送信されたULデータが無線通信端末MT1に到達したタイミングはGPに属するので特に問題はない。一方、無線通信端末DR1から送信されたULデータが無線通信端末DR2に到達したタイミングはDL期間に属するから、その受信強度が閾値以上の場合には、無線通信端末DR2に対する干渉等が問題となる。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、記憶部に記憶され空域単位で無線通信の周波数分割複信の制限に関する情報と、飛行体の位置とに基づいて、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択する選択部を備えることを特徴とする制御装置を提供する。
【0012】
前記記憶部は、第5世代移動通信システムに準拠した通信方式を用いた無線通信が許可された空域の位置情報、又は、第5世代移動通信システムに準拠した通信方式を用いた無線通信が禁止された空域の位置情報を記憶しており、前記選択部は、前記記憶部に記憶されている位置情報と前記飛行体の位置とを比較して前記選択を行うようにしてもよい。
【0013】
前記記憶部には、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信相手となる無線基地局群において、当該無線通信端末との無線通信によって生じた干渉を計測した結果に基づく前記位置情報が記憶されているようにしてもよい。
【0014】
前記選択部は、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信相手となる無線基地局群の数乃至密度に関する情報に基づいて、前記選択を行うようにしてもよい。
【0015】
前記選択部は、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信相手となる無線基地局群の無線エリアに在圏する無線通信端末の数乃至密度に関する情報に基づいて、前記選択を行うようにしてもよい。
【0016】
前記選択部は、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信相手となる無線基地局群が設置された地域において、当該無線通信端末との無線通信によって干渉を生じさせる事象が予定されているか否かに基づいて、前記選択を行うようにしてもよい。
【0017】
前記選択部が前記選択を行うときに用いる前記飛行体の位置は、当該飛行体の高度を含むようにしてもよい。
【0018】
前記選択部は、前記飛行体の高度が所定高度以上である場合には、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限し、前記飛行体の高度が所定高度未満である場合には、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限しないようにしてもよい。
【0019】
前記飛行体の高度が所定高度未満である場合において、前記選択部は、前記飛行体において測位された当該飛行体の高度を含む第1の位置情報と、前記飛行体における測位方式とは異なる測位方式で測位された前記飛行体の高度を含む第2の位置情報とを取得し、前記第1の位置情報に含まれる高度と前記第2の位置情報に含まれる高度との差が閾値未満であるときは、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限せず、前記第1の位置情報に含まれる高度と前記第2の位置情報に含まれる高度との差が閾値以上であるときは、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限するようにしてもよい。
【0020】
前記選択部は、前記飛行体において測位された当該飛行体の高度を含む第1の位置情報と、前記飛行体における測位方式とは異なる測位方式で測位された前記飛行体の高度を含む第2の位置情報とを取得し、前記第1の位置情報に含まれる高度、又は、前記第2の位置情報に含まれる高度の少なくともいずれか一方が或る高度未満である場合において、前記第1の位置情報に含まれる高度と前記第2の位置情報に含まれる高度との差が閾値未満であるときは、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限せず、前記第1の位置情報に含まれる高度と前記第2の位置情報に含まれる高度との差が閾値以上であるときは、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明は、コンピュータに、空域単位で無線通信の周波数分割複信の制限に関する情報を記憶している記憶部の記憶内容と、飛行体の位置とに基づいて、前記飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択する選択部を実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式を適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】LTEシステムの時間分割複信におけるフレーム構成を例示する図である。
図2】無線通信端末及び無線基地局間の時間分割複信の上りリンクにおいて長い遅延が発生した場合に、他の無線通信端末に対する悪影響が生じる原因を説明する図である。
図3】飛行管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図4】飛行体に搭載された無線通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】サーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】飛行管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図7】サーバ装置が記憶する情報の一例を示す図である。
図8】無線通信端末の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[構成]
図3は、本実施形態に係る飛行管理システム1の構成の一例を示す図である。飛行管理システム1は、ドローンなどの飛行体10と、飛行体10に搭載された無線通信端末20と、無線基地局41を含む無線通信網40と、無線通信網40に接続されたサーバ装置50とを備える。なお、このほかに、地上のユーザが利用する無線通信端末30が複数存在するが、これらの地上のユーザが利用する無線通信端末は飛行管理システム1を構成するものではない。
【0025】
飛行体10は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び補助記憶装置のほか、無線通信端末20と接続される通信IF(Interface)等からなるコンピュータと、そのコンピュータにより制御される各種センサ、モータ及び回転翼等を含む駆動機構とを備える。飛行体10は、予め定められた飛行計画に従って駆動機構を制御することで、空中を飛行する。
【0026】
無線通信端末20と無線基地局41を含む無線通信網40とにより、無線通信システムが構築される。この無線通信システムは、第4世代移動通信システム(以下、4Gという)及び第5世代移動通信システム(以下、5Gという)と呼ばれる通信方式に従った無線通信システムである。4G及び5Gの通信方式においてはそれぞれ、複信形式(Duplex-mode)として、上りリンク(UL)と下りリンク(DL)を周波数で分割する周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)と、上りリンクと下りリンクを時間で分割する時間分割複信(TDD:Time Division Duplex)とがある。無線通信端末20は、4G及び5Gの双方の通信方式に対応しており、4G又は5Gのいずれかを選択し、さらに、選択した4G又は5Gにおいて周波数分割複信又は時間分割複信のいずれかを選択して、選択した通信方式に従って無線基地局41と無線通信を行う。地上に居るユーザが利用する無線通信端末は、地上において無線基地局41と無線通信を実行する。一方、飛行体10に搭載された無線通信端末20は、地上に限らず、空中において無線基地局41と無線通信を実行する。
【0027】
飛行体に搭載された無線通信端末は無線接続している無線基地局から想定していないほど遠くに存在することがある。これにより、図2を用いて説明したように、飛行体に搭載された無線通信端末DR1から無線基地局BS1に対する伝搬遅延の量が、無線基地局BS1において設定されたGPの期間長よりも長くなることがある。その結果、無線通信端末DR1から送信されたULデータが、他の飛行体に搭載された無線通信端末DR2や地上の無線通信端末MT1によって受信されることがあり、さらにこのときの受信強度が閾値以上の場合には、干渉等の悪影響が生じることが懸念される。例えば図2の例では、無線通信端末DR1から送信されたULデータが無線通信端末MT1に到達したタイミングはGPに属するので特に問題はない。一方、無線通信端末DR1から送信されたULデータが無線通信端末DR2に到達したタイミングはDL期間に属するから、その受信強度が閾値以上の場合には、無線通信端末DR2に対する干渉等が問題となる。
【0028】
このような干渉等の問題があることから、従来は、飛行体に搭載された無線通信端末の通信方式は周波数分割複信のみに制限されていた。しかし、このような通信方式の制限はできるだけ緩和することが望ましい。そこで、本実施形態に係る飛行管理システム1において、飛行体が上記の干渉等の問題を生じさせる可能性が高い空域を飛行しているか否かという観点から、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択する。
【0029】
図4は、無線通信端末20のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信端末20は、物理的には、プロセッサ2001、メモリ2002、ストレージ2003、通信装置2004、入力装置2005、出力装置2006及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。無線通信端末20のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0030】
無線通信端末20における各機能は、プロセッサ2001、メモリ2002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ2001が演算を行い、通信装置2004による通信を制御したり、メモリ2002及びストレージ2003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0031】
プロセッサ2001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ2001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ2001によって実現されてもよい。
【0032】
プロセッサ2001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ2003及び通信装置2004の少なくとも一方からメモリ2002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。無線通信端末20の機能ブロックは、メモリ2002に格納され、プロセッサ2001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ2001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ2001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ2001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワーク2から無線通信端末20に送信されてもよい。
【0033】
メモリ2002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ2002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ2002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0034】
ストレージ2003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ2003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。ストレージ2003は、飛行体10の姿勢や推力などを制御するプログラムなどが記憶される。
【0035】
通信装置2004は、無線通信によってコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置2004は、周波数分割複信及び時間分割複信を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されている。送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置2004によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0036】
入力装置2005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイスである。入力装置2005は、例えば気圧センサを含む。出力装置2006は、外部への出力を実施する出力デバイスである。なお、入力装置2005及び出力装置2006は、一体となった構成であってもよい。
【0037】
測位装置2007は、例えばGPS(1Global Positioning System)及び地表面に対する測距カメラにより、無線通信端末20の位置、つまり飛行体10の位置を測位するデバイスである。測位装置2007によって測位される位置は、緯度及び経度(主にGPSによって測位される)と、高度(主に測距カメラによって測位される)とを含む3次元空間における位置である。
【0038】
プロセッサ2001、メモリ2002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。本実施形態において、プロセッサ2001及びその周辺装置は、飛行体10の位置を測位して、その飛行体10の位置に基づいて無線通信端末20の通信方式を選択する、本発明に係る制御装置として機能する。
【0039】
また、無線通信端末20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ2001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0040】
サーバ装置50は、飛行体10の飛行を管理する情報処理装置である。具体的には、サーバ装置50は、各飛行体10の飛行計画を記憶するとともに、各飛行体10の識別情報とその飛行状況を記録する。飛行状況には、飛行体10が飛行している位置と、その位置に飛行体10が到達した日時とが含まれている。これらの位置及び日時は、飛行体10の無線通信端末20から無線通信網40を介してサーバ装置50に通知される。また、サーバ装置50は、その位置及び日時が飛行計画内であるかどうかを判断し、その判断結果に基づき、必要に応じて無線通信網40及び無線通信端末20経由で飛行体10に対する飛行指示を行う。これらの飛行体10の飛行管理はすでに周知の技術を用いて実現すればよく、本明細書では詳細な説明は省略する。なお、サーバ装置50は、飛行体10において測定された気圧を海面気圧で補正することで、飛行体10の高度を測位する機能を備えている。
【0041】
図5は、サーバ装置50のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置50のハードウェア構成は、図4に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、サーバ装置50を構成してもよい。
【0042】
サーバ装置50は、物理的には、プロセッサ5001、メモリ5002、ストレージ5003、通信装置5004、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。サーバ装置50における各機能は、プロセッサ5001、メモリ5002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ5001が演算を行い、通信装置5004による通信を制御したり、メモリ5002及びストレージ5003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。サーバ装置50のハードウェア構成は、図2に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、サーバ装置50を構成してもよい。
【0043】
プロセッサ5001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ5001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ5001によって実現されてもよい。
【0044】
プロセッサ5001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ5003及び通信装置5004の少なくとも一方からメモリ5002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。サーバ装置50の機能ブロックは、メモリ5002に格納され、プロセッサ5001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ5001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ5001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ5001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワーク2からサーバ装置50に送信されてもよい。
【0045】
メモリ5002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ5002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ5002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0046】
ストレージ5003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ5003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0047】
通信装置5004は、無線通信網40を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0048】
プロセッサ5001、メモリ5002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0049】
サーバ装置50は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ5001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0050】
図6は、無線通信端末20及びサーバ装置50の機能構成の一例を示す図である。図6に示すように、無線通信端末20においては、測位部21、選択部22及び通信部23という機能が実現され、サーバ装置50においては、記憶部51及び通信部52という機能が実現される。
【0051】
無線通信端末20において、測位部21は、無線通信端末20(つまり飛行体10)の位置を測位する。この位置は、飛行体10の緯度、経度及び高度を含む。
【0052】
無線通信端末20における通信部23及びサーバ装置50における通信部52は、無線通信網40を介してデータ通信を行う。特に無線通信端末20における通信部23は、5G及び4Gに対応しており、且つ、周波数分割複信及び時間分割複信のいずれかの通信方式を選択して、無線基地局41と無線通信を行う。
【0053】
無線通信端末20において、選択部22は、測位部21により測位された飛行体10の位置に基づいて、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限するか否かを選択する。サーバ装置50において、記憶部51には、5Gに準拠した通信方式を用いた無線通信が許可された空域の位置に関する情報、5Gに準拠した通信方式を用いた無線通信が禁止された空域の位置に関する情報、及び、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群の数乃至密度に関する情報を記憶している。
【0054】
ここで、図7は、記憶部51が記憶している情報の一例を示す図である。図7に示すように、記憶部51は、各空域を識別する識別情報である「空域ID」と、当該空域の緯度、経度及び高度の範囲から成り当該空域の位置を示す「位置情報」と、その空域が、5Gに準拠した通信方式を用いた無線通信が許可された空域(5G利用許可空域という)であるか否かを示す5G利用許可空域フラグ、5Gに準拠した通信方式を用いた無線通信が禁止された空域(5G利用禁止空域という)であるか否かを示す5G利用禁止空域フラグ、及び、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群の数乃至密度が閾値以上である空域(人口密集空域という)であるか否かを示す人口密集空域フラグとが対応付けられて記憶されている。図7において、例えば空域ID「A001」の空域は、位置「P1」に相当する空域であり、5G利用許可空域に該当するが、5G利用禁止空域及び人口密集空域には該当しないことが例示されている。
【0055】
5G利用許可空域は、例えば施設の屋内空間、工場内の空間、地下空間等のように、前述した干渉の影響が小さくなるように、無線基地局41群の位置や配置が考慮されている、或いは、無線基地局41群において干渉抑制機能が実装されている空域である。つまり、5G利用可能空域では、無線通信端末20と、その無線通信端末20が無線接続している無線基地局41との間の時間分割複信の上りリンクにおいて、閾値以上の伝搬遅延は発生しないようになっている。5G利用許可空域においては、5G及び4Gに準拠した通信方式のいずれもが利用可能であり、さらに、時間分割複信及び周波数分割複信のいずれもが利用可能である。
【0056】
一方、5G利用禁止空域は、前述した干渉の影響が特に大きい空域である。つまり、5G利用禁止空域では、無線通信端末20と、その無線通信端末20が無線接続している無線基地局41との間の時間分割複信の上りリンクにおいて、閾値以上の伝搬遅延が発生する可能性が高い。5G利用禁止空域においては、5G及び4Gに準拠した通信方式のいずれもが利用可能であるが、これら5G及び4Gにおいて周波数分割複信のみが利用可能である。
【0057】
人口密集空域とは、その空域直下の地上において無線通信端末を利用するユーザが閾値以上であり、前述した干渉の影響が特に大きいとみなされる空域である。つまり、人口密集空域では、無線通信端末20と、その無線通信端末20が無線接続している無線基地局41との間の時間分割複信の上りリンクにおいて、閾値以上の伝搬遅延が発生し、その影響が地上の無線通信端末に及ぶ可能性が高い。ここでは、各空域直下の地上において無線通信端末を利用するユーザが閾値以上であるか否かは、その空域直下に設置された無線基地局41群(つまりその空域の位置情報に含まれる緯度及び経度の範囲に設置されている無線基地局41群)の数乃至密度が閾値以上であるか否かによって決定されている。
【0058】
上述したような閾値以上の伝搬遅延に基づく干渉が発生する可能性が高い空域は、次のようにして特定されてもよい。各無線基地局41においては、無線接続している無線通信端末20との間の伝搬遅延の量を特定することが可能であるから、サーバ装置50は各無線基地局41から伝搬遅延の量に関する情報(つまり無線通信端末20との無線通信によって生じた干渉を計測した結果に相当する情報)を収集して、閾値以上の伝搬遅延が発生している無線基地局41からその伝搬遅延の量に相当する距離(無線信号波の伝搬速度×伝搬遅延の量)の範囲内の空域を特定する。また、別の方法としては、サーバ装置50が各無線基地局41のセルの位置及びサイズと、地図情報と、所定の電波伝搬モデルとに基づいてシミュレーションを行い、閾値以上の伝搬遅延が発生する空域を特定するという方法もある。ここで用いられる閾値は、例えば上記無線通信端末20が無線接続している無線基地局41におけるGPの期間長である。このような空域においては、図2に例示したとおり、飛行体10に搭載された無線通信端末20から送信されたULデータの伝搬遅延が十分に長くなってしまうことから、時間的に相当先の時点からULデータの送信が開始され、その結果、そのULデータが別の無線通信端末によって受信されてしまう可能性がある。
【0059】
なお、このようなULデータの伝搬遅延の量は日時に応じて変動するから、図7に例示した5G利用許可空域フラグ、5G利用禁止空域フラグ、及び、人口密集空域フラグは、日時に応じて変動する情報であってもよい。
【0060】
このように、記憶部51は、干渉等の問題を生じさせる可能性が高い空域であるか否かを判断するための情報を記憶している。より具体的には、記憶部51は、無線通信端末20と、その無線通信端末20が無線接続している無線基地局41との間の時間分割複信の上りリンクにおいて、閾値以上の伝搬遅延が発生する可能性が閾値以上である空域であるか否かを判断するための、空域の位置情報を記憶している。選択部22は、この記憶部51を参照し、記憶部51に記憶されている位置情報と測位された飛行体の位置とに基づいて、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限するか否かを選択する。よって、記憶部51は、飛行体10の空域単位で無線通信の周波数分割複信の制限に関する情報を記憶していると言える。
【0061】
[動作]
次に本実施形態の動作を説明する。図8は無線通信端末20の処理手順を示すフローチャートである。図8において、選択部22は、測位部21により定期的に測位される飛行体10の位置を示す位置情報を取得する(ステップS11)。
【0062】
次に、選択部22は、飛行体10が5G利用許可空域を飛行しているか否かを判断する(ステップS12)。具体的には、選択部22は、測位部21により測位された位置情報を指定し、その位置情報が示す位置が記憶部51に記憶された5G利用許可空域に含まれるか否か、その位置情報が示す位置が記憶部51に記憶された5G利用禁止空域に含まれるか否か、及びその位置情報が示す位置が記憶部51に記憶された人口密集空域に含まれるか否かを問い合わせるリクエストを、通信部23からサーバ装置に送信し、そのリクエストに対する応答を参照して上記判断を行う。ここで、飛行体10が5G利用許可空域を飛行していれば(ステップS12;YES)、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限しない(ステップS13)。この場合、通信部23は、5G(又は4Gでもよい)の時間分割複信及び周波数分割複信のうち任意の通信方式での無線通信を行うことになる。
【0063】
飛行体10が5G利用許可空域を飛行していなければ(ステップS12;NO)、選択部22は、上記リクエストに対する応答を参照して、飛行体10が5G利用禁止空域を飛行しているか否かを判断する(ステップS14)。ここで、飛行体10が5G利用禁止空域を飛行していれば(ステップS14;YES)、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限する(ステップS18)。この場合、通信部23は、5G又は4Gの周波数分割複信のみを用いた無線通信を行うことになる。
【0064】
飛行体10が5G利用禁止空域を飛行していなければ(ステップS14;NO)、選択部22は、上記リクエストに対する応答を参照して、飛行体10が人口密集空域を飛行しているか否かを判断する(ステップS15)。ここで、飛行体10が人口密集空域を飛行していなければ(ステップS15;NO)、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限しない(ステップS13)。この場合、通信部23は、5G(又は4G)の時間分割複信及び周波数分割複信のうち任意の通信方式での無線通信を行うことになる。
【0065】
飛行体10が人口密集空域を飛行していれば(ステップS15;YES)、選択部22は、飛行体10の位置情報に含まれる高度が一定期間、所定高度未満であるか否かを判断する(ステップS16)。飛行体の高度が高い場合には、図2を用いて説明したように、無線基地局から想定していないほど遠くに存在する飛行体の無線通信端末が、その無線基地局と無線接続することがあり、これにより生じたULデータの伝搬遅延が悪影響を及ぼす。一方、飛行体の高度が低い場合には、飛行体の無線通信端末と無線基地局との間にある建設物等の障害物によって、無線基地局から遠くに存在する飛行体の無線通信端末がその無線基地局と無線接続する可能性が小さい。上記の所定高度は、このような飛行体10の高度によって干渉等の問題が生じる可能性が閾値以上となるか否かを判断する基準となる高度であり、選択部22によって予め記憶されている。
【0066】
飛行体10の位置情報に含まれる高度が一定期間、所定高度未満でない場合(つまり高度が一定期間、所定高度以上である場合)には(ステップS16;NO)、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限する(ステップS18)。この場合、通信部23は、5G又は4Gの周波数分割複信のみを用いた無線通信を行うことになる。
【0067】
飛行体10の位置情報に含まれる高度が一定期間、所定高度未満である場合には(ステップS16;YES)、選択部22は、飛行体10において第1の測位方式で測位された飛行体10の高度と、サーバ装置50によって、第1の測位方式とは異なる第2の測位方式で測位された飛行体10の高度とを比較し、その差が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS17)。具体的には、選択部22は、無線通信端末20で測定された気圧をサーバ装置50が保有する海面気圧情報から補正して得た飛行体10の高度を通信部23を用いてサーバ装置50から取得し、無線通信端末20の測距カメラによって測位された飛行体10の高度と比較し、その差が閾値未満であるか否かを判断する。
【0068】
これら高度の差が閾値未満であれば(ステップS17;YES)、飛行体10において第1の測位方式で測位された飛行体10の高度は信頼性が高いと言えるので、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限しない(ステップS13)。この場合、通信部23は、5G(又は4G)の時間分割複信及び周波数分割複信のうち任意の通信方式での無線通信を行うことになる。
【0069】
これら高度の差が閾値以上であれば(ステップS17;NO)、飛行体10において第1の測位方式で測位された飛行体10の高度は信頼性が低いと言えるので、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限する(ステップS18)。この場合、通信部23は、5G又は4Gの周波数分割複信のみを用いた無線通信を行うことになる。
【0070】
このように、選択部22は、飛行体10の無線通信端末20において測位された飛行体10の高度を含む位置情報(第1の位置情報という)と、飛行体10の無線通信端末20における測位方式とは異なる測位方式でサーバ装置50によって測位された飛行体10の高度を含む位置情報(第2の位置情報という)を取得し、第1の位置情報に含まれる高度と第2の位置情報に含まれる高度との差が閾値未満であるときは、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限せず、第1の位置情報に含まれる高度と第2の位置情報に含まれる高度との差が閾値以上であるときは、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限する。
【0071】
なお、選択部22は、少なくとも飛行体10の位置に基づいて、無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択すればよい。つまり、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限した場合において、4Gで周波数分割複信を行うか又は5Gで周波数分割複信を行うかは任意に選択してよい。また、選択部22は、無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限しない場合には、4Gで周波数分割複信又は時間分割複信を行うか、或いは、5Gで周波数分割複信又は時間分割複信を行うかを任意に選択してもよい。
【0072】
以上説明した実施形態によれば、無線通信端末20及び無線基地局41間の時間分割複信の上りリンクにおいて長い遅延が発生して他の無線通信端末に対する干渉等の悪影響が予想される場合には、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限し、そのような悪影響が予想されない場合には、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限せず、時間分割複信及び周波数分割複信のうち任意の通信方式での無線通信を行うことができる。
【0073】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
[変形例1]
選択部22は、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群の無線エリアに在圏する無線通信端末の数乃至密度に関する情報に基づいて、無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択するようにしてもよい。つまり、選択部22は、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群の無線エリアにおいて、無線通信端末の数乃至密度が閾値以上の場合には、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限し、無線通信端末の数乃至密度が閾値未満の場合には、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限しない。各無線基地局41群の無線エリアに在圏する無線通信端末の数乃至密度は、これら各無線基地局41において周知技術により特定することが可能である。その数乃至密度に関する情報は各無線基地局41から無線通信網40経由でサーバ装置50に通知され、その通知内容が記憶部51に記憶される。選択部22は、記憶部51の記憶内容に基づいて上記選択を行うようにすればよい。
【0074】
[変形例2]
例えばコンサート、展示会、スポーツの競技等のイベントが開催される地域には、地上において無線通信端末を所持するユーザが多数集まることから、そのような地域の上空にある空域は、干渉の問題を生じさせる可能性が高い空域に相当する。つまり、地上においてユーザが多く集まるような事象があるような地域の上空において、飛行体10の無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限したほうが望ましい。そこで、選択部22は、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群が設置された地域において、当該無線通信端末20との無線通信によって干渉を生じさせる事象が予定されているか否かに基づいて、無線通信端末20の通信方式を、周波数分割複信に制限するか否かを選択するようにしてもよい。つまり、選択部22は、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局群が設置された地域において、当該無線通信端末20との無線通信によって干渉を生じさせる事象が予定されている場合には、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限する。一方、選択部22は、飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群が設置された地域において、当該無線通信端末20との無線通信によって干渉を生じさせる事象が予定されていない場合には、無線通信端末20の通信方式を周波数分割複信に制限しない。飛行体10に搭載された無線通信端末20の通信相手となる無線基地局41群が設置された地域において、当該無線通信端末20との無線通信によって干渉を生じさせる事象が予定されているか否かは、例えばそのような事象が開催される場所、日時及び規模(例えばその事象に対して集まるユーザの予定数)を記憶したスケジュールサーバ装置から無線通信網40経由でサーバ装置50に通知され、その通知内容が記憶部51に記憶されていればよい。選択部22は、記憶部の記憶内容に基づいて上記選択を行うようにすればよい。
【0075】
[変形例3]
上記実施形態では、本発明に係る制御装置が飛行体10の無線通信端末20に備えられていたが、サーバ装置50に備えられていてもよい。つまり、サーバ装置50が本発明に係る制御装置として機能する。この場合、無線通信端末20は測位部を備え、サーバ装置50は記憶部及び選択部を備えることになる。また、無線通信端末20が、測位部、記憶部及び選択部を備えてもよい。
【0076】
[そのほかの変形例]
上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0077】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0078】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0079】
本明細書で説明した情報又はパラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
【0080】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素(例えば、TPCなど)は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0081】
本明細書で使用する「判定(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判定」、「決定」は、例えば、判断(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判定」「決定」は、何らかの動作を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0082】
本発明は、無線通信端末20又はサーバ装置50において行われる処理のステップを備える情報処理方法として提供されてもよい。また、本発明は、無線通信端末20又はサーバ装置50において実行されるプログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0083】
ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0084】
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0085】
本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及び/又はシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC)は、キャリア周波数、セルなどと呼ばれてもよい。
【0086】
本明細書で使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0087】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0088】
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書或いは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0089】
本開示の全体において、例えば、英語でのa、an、及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0090】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0091】
1:飛行管理システム、10:飛行体、20、30:無線通信端末、21:測位部、22:選択部、23:通信部、2001:プロセッサ、2002:メモリ、2003:ストレージ、2004:通信装置、2005:入力装置、2006:出力装置、40:無線通信網、41:無線基地局、50:サーバ装置、5001:プロセッサ、5002:メモリ、
5003:ストレージ、5004:通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8