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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】マイクロLEDディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20240701BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240701BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240701BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240701BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20240701BHJP
【FI】
G09F9/33
G02B5/20 101
G09F9/00 313
G09F9/30 349A
H01L33/48
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022513047
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2020057897
(87)【国際公開番号】W WO2021038425
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】62/893,227
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,スー‐ジン.
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0363472(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0097452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0021569(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314651(US,A1)
【文献】特開2012-215827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241044(US,A1)
【文献】国際公開第2006/019016(WO,A1)
【文献】特開平8-250767(JP,A)
【文献】国際公開第01/084227(WO,A1)
【文献】米国特許第4995043(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/33
G02B 5/20
G09F 9/00
G09F 9/30
H01L 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色、緑色、及び赤色のそれぞれの半値全幅(FWHM)を有する、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのピーク波長に青色、緑色、及び赤色のそれぞれの発光ピークを含む青色、緑色、及び赤色のそれぞれの発光スペクトルを有する青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLEDと、
前記青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLED上に配置され、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのFWHMを有する実質的に互いに異なる青色、緑色、及び赤色の透過帯域を含み、実質的に垂直な入射光について、前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において約50%超の光透過率を有する部分的光透過層であって、前記部分的光透過層の前記青色、緑色、及び赤色のFWHMが、前記青色、緑色、及び赤色の発光マイクロLEDの前記青色、緑色、及び赤色のそれぞれのFWHMよりも少なくとも10%だけ小さい部分的光透過層と、を備える、
ディスプレイ。
【請求項2】
前記青色ピーク波長と前記緑色ピーク波長との間に位置する少なくとも1つの青緑色波長、及び前記緑色ピーク波長と前記赤色ピーク波長との間に位置する少なくとも1つの緑赤色波長の各々について、前記部分的光透過層が、前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の少なくとも1つにおいて約10%未満の光透過率及び約1%超の光吸収率を有し、前記約1%超の光吸収率が光吸収材料を含む前記部分的光透過層によるものであり、前記光吸収材料がカーボンブラックを含む、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
複数の青色光発光源であって、各青色光発光源が、発光強度Ibを有する青色ピーク波長に青色発光ピークを含む発光スペクトルを有し、前記青色光発光源のうちの少なくとも1つの前記発光スペクトルが、青色波長ではない第1の可視波長において第1の発光強度I1を含み、I1/Ib>0.2である複数の青色光発光源と、
前記複数の青色光発光源上に配置された部分的光透過層であって、実質的に垂直な入射光について、前記青色ピーク波長における光透過率Tb、及び前記第1の可視波長における光透過率T1を有し、T1/Tb<0.1である部分的光透過層と、を備える、
ディスプレイ。
【請求項4】
前記部分的光透過層が合計で約50超の数の複数のポリマー層を含む、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記部分的光透過層が、前記青色ピーク波長において約1%超の光吸収率を有し、前記約1%超の光吸収率が光吸収材料を含む前記部分的光透過層によるものであり、前記光吸収材料がカーボンブラックを含む、請求項3に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してマイクロLEDディスプレイに関し、具体的には、マイクロLED光源からの光を選択的に透過する光学フィルタを有するマイクロLEDディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)は、ディスプレイ、照明制御、自動車信号などの多くの異なる適用例に見られる。多くの適用例では、単一のデバイスに複数のマイクロLEDを使用する。マイクロLEDの色及び光強度の許容範囲は広い場合があり、その結果、単一のデバイス内及び複数のデバイス上の両方で、非一様な外観をもたらすことがある。マイクロLEDは、較正されていない場合には輝度及び色に大きな変動を有する。輝度及び色において優れた一様性を得るために、LED製造業者は多くの場合、類似する輝度及び色をもつLEDを「ビンにまとめる」ビニング工程を使用する。ビニング工程では通常、特に大量生産においてLEDの製造コストが増大する。ビニングされていないマイクロLEDを有するディスプレイは、多くの場合、色較正ソリューションを利用して色域を改良する。
【発明の概要】
【0003】
本開示のいくつかの態様では、青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLEDを含むディスプレイが提供される。青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLEDは、青色、緑色、及び赤色のそれぞれの発光スペクトルを有する。青色、緑色、及び赤色の発光スペクトルは、青色、緑色、及び赤色のそれぞれの半値全幅(FWHM)を有し、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのピーク波長に青色、緑色、及び赤色のそれぞれの発光ピークを含む。ディスプレイは、青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLED上に配置された部分的光透過層を含む。部分的光透過層は、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのFWHMを有する実質的に互いに異なる青色、緑色、及び赤色の透過帯域を含む。実質的に垂直な入射光について、部分的光透過層は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において約50%超の光透過率を有する。部分的光透過層の青色、緑色、及び赤色のFWHMは、青色、緑色、及び赤色発光マイクロLEDの青色、緑色、及び赤色のそれぞれのFWHMよりも少なくとも10%だけ小さい。
【0004】
本開示の他の態様では、複数の青色光発光源を含むディスプレイが提供される。各青色光発光源は、発光強度Ibを有する青色ピーク波長に青色発光ピークを含む発光スペクトルを有する。青色光発光源のうち少なくとも1つの発光スペクトルは、青色波長ではない第1の可視波長において第1の発光強度I1を含み、ここでI1/Ib>0.2である。部分的光透過層が、複数の青色光発光源上に配置される。実質的に垂直な入射光について、部分的光透過層は、青色ピーク波長における光透過率Tb、及び第1の可視波長における光透過率T1を有し、ここでT1/Tb<0.1である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の様々な態様は、添付の図面を参照してより詳細に論じられる。
【0006】
図1】本開示の一態様による光学フィルタを有するマイクロLEDディスプレイを概略的に示す図である。
図2】マイクロLEDディスプレイ上に配置された光学フィルタへの垂直入射光を概略的に示す図である。
図3】本開示のいくつかの態様による光学フィルタを備えたRGB光源の発光スペクトルを示すグラフである。
図4】垂直入射光を部分的に透過する光学フィルタの青色、緑色、及び赤色の透過帯域と重ねられた、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのマイクロLEDの青色、緑色、及び赤色のスペクトルのグラフである。
【0007】
これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を示す。しかし、特定の図中のある構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
マイクロLEDディスプレイは、サイネージ、コンピュータモニタ及びテレビなどの比較的大きなデバイスから、小さな、携帯電話、ゲームデバイスなど手持ち型デバイス、及びタッチセンサ式デバイスの適用例にまでわたる多様な適用例に使用されている。バックライト技術を使用しない比較的大きなサイズのマイクロLEDディスプレイユニットは、自発光ディスプレイである。自発光マイクロLEDディスプレイは通常、精密な色域を生み出すために色較正を必要とし、ビニングされていないLEDを使用する際は、なおさらである。
【0010】
図1は、マイクロLEDディスプレイ(200)を示す。いくつかの態様では、ディスプレイ(200)は、青色(10)、緑色(50)、及び赤色(60)の複数の発光マイクロLEDを含む。いくつかの態様では、青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLED(10、50、60)は規則的配列を形成し、基板(40)上に配置されている。個々の光源からなる規則的配列を形成するマイクロLEDは、それらのマイクロLEDが必要に応じて直列方式若しくは並列方式で、又は直列と並列の組み合わせで動作できるように電気的に連通している。マイクロLEDを規則的配列に構成することにより、各マイクロLEDに対する輝度制御を改善し、表示画像と協調して照度を動的に変化させ得る。赤色、緑色、及び青色のマイクロLEDを基板上に直接取り付けることにより表示デバイスの小型化が可能になり、また、ディスプレイの解像度及び色域の観点から有利であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、基板(40)はプリント回路基板(PCB)であってもよく、青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLED(10、50、60)がPCB(40)上に配置される。マイクロLEDの配列は、例えば、機械的締結、はんだ付け、又は接着剤の使用などの、どのような技術によってPCBに取り付けられてもよい。PCBは、マイクロLEDの発光を励起及び制御するためにマイクロLEDに接続された複数の導電トレースを含んでもよい。いくつかの他の態様では、基板(40)は薄膜トランジスタ(TFT)ガラス層を含んでもよい。
【0012】
図4にグラフで示すように、青色、緑色、及び赤色のマイクロLEDは、青色(20)、緑色(70)、及び赤色(80)のそれぞれの発光スペクトルを有する。青色、緑色、及び赤色の発光スペクトルの各々には、青色(22)、緑色(72)、及び赤色(82)のそれぞれのピーク波長に青色(21)、緑色(71)、及び赤色(81)のそれぞれの発光ピークが含まれる。青色(20)、緑色(70)、及び赤色(80)の発光スペクトルは各々、青色(Wb)、緑色(Wg)、及び赤色(Wr)のそれぞれの半値全幅(FWHM)を有する。例えば、青色発光マイクロLEDは430~470nmの範囲の可視波長及び30nm未満のFWHMを有してもよく、緑色発光マイクロLEDは520~565nmの範囲の可視波長及び40nm未満のFWHMを有してもよく、赤色発光マイクロLEDは625~700nmの範囲の可視波長及び25nm未満のFWHMを有してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)は、青色(10)、緑色(50)、及び赤色(60)の複数の発光マイクロLED上に配置される。部分的光透過層(30)は、青色(W’b)、緑色(W’g)、及び赤色(W’r)のそれぞれのFWHMをもつ、青色(90b)、緑色(90g)、及び赤色(90r)の実質的に互いに異なる透過帯域を含む。いくつかの態様では、部分的光透過層(30)への実質的に垂直な入射光(31)(図2に示すように)について、部分的光透過層(30)は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において約50%を超える光透過率を有してもよい。いくつかの事例では、光透過率は、60%超、又は65%超、又は70%超若しくは80%超であってもよい。部分的光透過層(30)は、選択的な波長を通過及び遮断して、くっきりとした狭い出力スペクトルを生成するように構築されてもよい。いくつかの態様では、部分的光透過層(30)は、部分的光透過層(30)の青色(W’b)、緑色(W’g)及び赤色(W’r)のFWHMが青色(10)、緑色(50)、及び赤色(60)の発光マイクロLEDのそれぞれの青色(Wb)、緑色(Wg)、及び赤色(Wr)のFWHMよりも、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30~40%、また、いくつかの事例では少なくとも50%若しくは少なくとも60%だけ小さくなるように構築されてもよい。
【0014】
本開示の実施形態による発光スペクトルの例示的なグラフを図3に示す。青色(10)、緑色(50)、及び赤色(60)の複数の発光マイクロLED上に配置された部分的光透過層(30)を有するディスプレイ(200)では、部分的光透過層(30)の青色(W’b)、緑色(W’g)、及び赤色(W’r)のFWHMは、それぞれ20nm未満、30nm未満、及び15未満であってもよい。いくつかの他の実施形態では、部分的光透過層(30)の青色(W’b)、緑色(W’g)、及び赤色(W’r)のFWHMは、それぞれ、約7.5nm、12nm、及び6nmであってもよい。
【0015】
青緑色波長(91bg)が、青色発光マイクロLED(10)の発する青色光成分と緑色発光マイクロLED(50)の発する緑色光成分との境界をなし、青色ピーク波長と緑色ピーク波長との間にある。緑赤色波長(91gr)が、緑色発光マイクロLED(50)の発する緑色光成分と赤色発光マイクロLED(60)の発する赤色光成分との境界をなし、緑色ピーク波長と赤色ピーク波長との間にある。いくつかの態様では、青色ピーク波長と緑色ピーク波長との間に位置する少なくとも1つの青色波長(91bg)及び、緑色ピーク波長と赤色ピーク波長との間に位置する少なくとも1つの緑色波長(91gr)の各々について、部分的光透過層は、約10%未満、又は約8%未満、又は約5%未満の光透過率を有する。いくつかの事例では、青緑色波長(91bg)は、約500nmであってもよく、緑赤色波長(91gr)は、いくつかの事例では約600nmであってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)の光吸収率は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つにおいて、約1%超、又は3%超、又は5%超、又は10%超であってもよい。部分的光透過層(30)は、光吸収材料を含んでもよい。光吸収材料による部分的光透過層(30)の光吸収率は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つにおいて、約1%超若しくは3%超、又は5%超、又は10%超であってもよい。いくつかの実施形態では、光吸収材料は、カーボンブラックなどを含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)は、フレネル反射を軽減するために反射防止層(100)を含む。反射防止層(100)は、部分的光透過層(30)の主表面(32)上に配置されてもよく、いくつかの態様では青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLED(10、50、60)から離して配置されてもよい。
【0018】
反射防止層(100)を形成するための好適な反射防止方法は、当技術分野で知られている反射を低減/排除するための干渉コーティングであり、これには、適切に設計された高屈折率材料及び低屈折率材料の層、低屈折率材料の単一の層、アルミニウムの薄いコーティングを加水分解して作られるベーマイト、ゾルゲル法コーティング、モスアイ微細構造コーティング、並びにグレーデッドインデックスコーティングが含まれる。光吸収材料の焼結コーティングもまた、好適である。
【0019】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)はハードコート(110)を含む。ハードコート(110)は部分的光透過層(30)の主表面(32)上に、青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLEDから離して配置されてもよい。いくつかの態様では、ハードコート(110)は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において少なくとも約50%の光透過率が可能になるように、最適なカーボンブラック濃度を有する着色ハードコートであってもよい。いくつかの事例では、ハードコート(110)は、ナノ粒子をホストするためのポリマーマトリクス材料又は結合剤として1つ以上の架橋性ポリマー材料を含むコーティング組成物から形成されてもよい。例示的な結合剤としては、例えば、結合剤材料として1つ以上の(メタ)アクリルオリゴマー及び/又はモノマーが挙げられ得る。ハードコート(110)は、いくつかの態様では、防曇剤、帯電防止剤、及び易清浄剤(例えば、指紋防止剤、抗油剤、抗リント剤、防汚剤、又は易清浄機能を付与する他の薬剤)などの、知られている添加剤を更に含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)は、青色(10)、緑色(50)、及び赤色(60)の複数の発光マイクロLED上に配置され、ハードコートの層(110)及び反射防止コーティングの層(100)を含む。
【0021】
他の実施形態では、ディスプレイ(200)は、複数の青色光発光源(10)を含む。各青色光発光源は、青色発光マイクロLEDであってもよい。いくつかの実施形態では、複数の青色光発光源(10)は、基板(40)上に配置される。青色光発光源を基板上に直接取り付けることにより、ディスプレイデバイスの小型化が可能になり、また、ディスプレイの解像度及び色域の観点から有利であり得る。いくつかの実施形態では、基板(40)はプリント回路基板(PCB)であってもよく、複数の青色光発光源(10)はPCB(40)上に配置される。青色光発光源(10)は、例えば、機械的締結、はんだ付け、又は接着剤の使用などの、どのような技術によってPCBに取り付けられてもよい。PCBは、光源の発光を励起及び制御するために光源に接続された複数の導電トレースを含んでもよい。いくつかの他の態様では、基板(40)は、薄膜トランジスタ(TFT)ガラス層を含んでもよい。
【0022】
各青色光発光源(10)は、図4に示すように、青色ピーク波長(22)において発光強度(Ib)を有する青色発光ピーク(21)を含む発光スペクトル(20)を有する。いくつかの事例では、青色ピーク波長(22)は約475nm未満、例えば、約450nmであってもよい。いくつかの態様では、青色光発光源のうち少なくとも1つの発光スペクトルは、青色波長ではない第1の可視波長(23)において第1の発光強度(I1)を含む。いくつかの事例では、第1の可視波長(23)は緑色波長であってもよく、他の事例では、第1の可視波長(23)は赤色波長であってもよい。例えば、第1の可視波長(23)は550~625nmであってもよい。いくつかの実施形態では、青色波長ではない第1の可視波長(23)における第1の発光強度(I1)と発光強度(Ib)との間の比率は、I1/Ib>0.2、又はI1/Ib>0.3、又はI1/Ib>0.4、又はI1/Ib>0.5のようであってもよい。
【0023】
いくつかの態様では、部分的光透過層(30)が、複数の青色光発光源(10)上に配置される。部分的光透過層(30)への実質的に垂直な入射光(31)(図2に示すように)について、部分的光透過層(30)は、青色ピーク波長において光透過率(Tb)を有し、第1の可視波長(23)において光透過率(T1)を有する。いくつかの事例では、青色ピーク波長は約475nm未満であってもよく、約450nmであってもよい。いくつかの事例では、第1の可視波長(23)は緑色波長であってもよく、他の事例では、第1の可視波長(23)は赤色波長であってもよい。例えば、第1の可視波長(23)は、550~625nmであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の可視波長(23)における光透過率(T1)と青色ピーク波長における光透過率(Tb)との間の比率は、T1/Tb<0.1のようであってもよい。他の事例では、第1の可視波長(23)における光透過率(T1)と青色ピーク波長における光透過率(Tb)との間の比率は、T1/Tb<0.05のようであってもよい。
【0024】
いくつかの態様では、部分的光透過層(30)は、合計で約50超、又は100超の数の複数のポリマー層を含んでもよい。ポリマー層は、複数の境界面で反射された光が建設的干渉又は相殺的干渉を受けて、部分的光透過層に所望の反射特性又は透過特性を与えるために十分なだけ薄くてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びPEN/PETコポリマーのうちの1つ以上を含む。ある波長範囲にわたる層ペアの数が少ないほど、狭帯域幅の光源について、対応する入射角で、より低い波長での透過率が高まり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)はフレネル反射を軽減するために反射防止層(100)を含む。反射防止層(100)は、部分的光透過層(30)の主表面(32)上に配置されてもよく、いくつかの態様では、複数の青色発光源(10)から離して配置されてもよい。反射防止層(100)を形成するための好適な反射防止方法は、当技術分野で知られている反射を低減/排除するための干渉コーティングであり、これには、適切に設計された高屈折率材料及び低屈折率材料の層、低屈折率材料の単一の層、アルミニウムの薄いコーティングを加水分解して作られるベーマイト、ゾルゲル法コーティング、モスアイ微細構造コーティング、並びにグレーデッドインデックスコーティングが含まれる。光吸収材料の焼結コーティングもまた、好適である。
【0026】
いくつかの実施形態では、部分的光透過層(30)はハードコート(110)を含む。ハードコート(110)は、部分的光透過層(30)の主表面(32)上に、複数の青色発光源(10)から離して配置されてもよい。いくつかの態様では、ハードコート(110)は、少なくとも約50%の光透過率が可能になるように、最適なカーボンブラック濃度を有する着色ハードコートであってもよい。ハードコート(110)は、いくつかの態様では、防曇剤、帯電防止剤、及び易清浄剤(例えば、指紋防止剤、抗油剤、抗リント剤、防汚剤、又は易清浄機能を付与する他の薬剤)などの、知られている添加剤を更に含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の青色光発光源(10)上に配置された部分的光透過層(30)は、ハードコートの層(110)及び反射防止コーティングの層(100)を含む。以下、例示的な実施形態を示す。
[項目1]
青色、緑色、及び赤色のそれぞれの半値全幅(FWHM)を有する、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのピーク波長に青色、緑色、及び赤色のそれぞれの発光ピークを含む青色、緑色、及び赤色のそれぞれの発光スペクトルを有する青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLEDと、
前記青色、緑色、及び赤色の複数の発光マイクロLED上に配置され、青色、緑色、及び赤色のそれぞれのFWHMを有する実質的に互いに異なる青色、緑色、及び赤色の透過帯域を含み、実質的に垂直な入射光について、前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において約50%超の光透過率を有する部分的光透過層であって、前記部分的光透過層の前記青色、緑色、及び赤色のFWHMが、前記青色、緑色、及び赤色の発光マイクロLEDの前記青色、緑色、及び赤色のそれぞれのFWHMよりも少なくとも10%だけ小さい部分的光透過層と、を備える、
ディスプレイ。
[項目2]
前記青色ピーク波長と前記緑色ピーク波長との間に位置する少なくとも1つの青緑色波長、及び前記緑色ピーク波長と前記赤色ピーク波長との間に位置する少なくとも1つの緑赤色波長の各々について、前記部分的光透過層が、前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の少なくとも1つにおいて約10%未満の光透過率及び約1%超の光吸収率を有し、前記約1%超の光吸収率が光吸収材料を含む前記部分的光透過層によるものであり、前記光吸収材料がカーボンブラックを含む、項目1に記載のディスプレイ。
[項目3]
複数の青色光発光源であって、各青色光発光源が、発光強度Ibを有する青色ピーク波長に青色発光ピークを含む発光スペクトルを有し、前記青色光発光源のうちの少なくとも1つの前記発光スペクトルが、青色波長ではない第1の可視波長において第1の発光強度I1を含み、I1/Ib>0.2である複数の青色光発光源と、
前記複数の青色光発光源上に配置された部分的光透過層であって、実質的に垂直な入射光について、前記青色ピーク波長における光透過率Tb、及び前記第1の可視波長における光透過率T1を有し、T1/Tb<0.1である部分的光透過層と、を備える、
ディスプレイ。
[項目4]
前記各青色光発光源が、青色発光マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)である、項目3に記載のディスプレイ。
[項目5]
I1/Ib>0.4、かつT1/Tb<0.05である、項目3に記載のディスプレイ。
[項目6]
前記複数の青色光発光源が基板上に配置され、前記基板がプリント回路基板であるか、又は前記基板が薄膜トランジスタ(TFT)ガラス層を含む、項目3に記載のディスプレイ。
[項目7]
前記部分的光透過層が合計で約50超の数の複数のポリマー層を含む、項目3に記載のディスプレイ。
[項目8]
前記第1の可視波長が緑色波長又は赤色波長であり、前記青色ピーク波長が約475nm未満である、項目3に記載のディスプレイ。
[項目9]
前記部分的光透過層が、前記青色ピーク波長において約1%超の光吸収率を有し、前記約1%超の光吸収率が光吸収材料を含む前記部分的光透過層によるものであり、前記光吸収材料がカーボンブラックを含む、項目3に記載のディスプレイ。
[項目10]
前記部分的光透過層が、その主表面上に前記複数の青色光発光源から離して配置された反射防止層を含む、項目3に記載のディスプレイ。
図1
図2
図3
図4