(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240701BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240701BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240701BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240701BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240701BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240701BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20240701BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240701BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
G03B17/02
G02B7/02 Z
H04N23/57
H04N23/68
H04N23/54
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2022533332
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 CN2020133564
(87)【国際公開番号】W WO2021110091
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】201911229578.3
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イファン
(72)【発明者】
【氏名】ルゥオ,ウエイ
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0117972(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
G02B 7/02-7/16
G03B 17/02
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルモータであって、
ボイスコイルモータは、光学キャリアの周囲に順次、半径方向に配列された第1磁性片と、第2磁性片と、第3磁性片と、カウンターウェイトと、を備え、
ボイスコイルモータは、対称に前記光学キャリアの2つの側部に締結された第1コイルをさらに備え、前記第1コイルは、コイル(207a)及びコイル(207b)を含み、前記コイル(207a)は、前記第1磁性片と対向して配置され、前記コイル(207b)は、前記第3磁性片と対向して配置され、
ボイスコイルモータは、対向して配置された第1磁気センサ及び第1誘導磁石をさらに備え、前記第1磁気センサは、前記カウンターウェイトの側部であり、前記光学キャリアに近接した側部に配置され、前記第1誘導磁石は、前記光学キャリアの外壁であり、前記カウンターウェイトに近接した外壁に締結され、
前記第1コイルは、前記光学キャリアを駆動して、前記第1誘導磁石で光軸の方向に移動させるように構成され、
前記第1磁気センサは、前記第1誘導磁石によって生成された磁場信号を第1電気信号に変換するように構成されており、
前記第1磁気センサの1つの表面は、前記カウンターウェイトに取り付けられているか、又は、
前記第1磁気センサは、支持部を使用して前記カウンターウェイトに締結されて
おり、
前記ボイスコイルモータは、さらに、
フレキシブルプリント回路(FPC)基板、および、支持体を備え、
前記支持体は、前記光学キャリアを取り囲み、前記第1磁性片と、前記第2磁性片と、前記第3磁性片と、前記カウンターウェイトとを締結するように構成されており、
前記支持体は、支持部材を使用して前記FPC基板上に締結されている、
ボイスコイルモータ。
【請求項2】
前記光軸の方向に垂直な平面上で、前記第1誘導磁石と前記第1磁性片との間の距離、及び、前記第1誘導磁石と前記第3磁性片との間の距離は、等しい、
請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項3】
前記光軸の方向に垂直な平面上で、前記第1磁気センサは、前記カウンターウェイトの中央に配置されている、
請求項1又は2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項4】
前記光軸の方向での前記第1磁気センサの高さは、前記カウンターウェイトの高さに等しいか、又は、
前記光軸の方向での前記第1磁気センサの高さは、前記カウンターウェイトの高さよりも大きいか又は小さい、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項5】
前記カウンターウェイトは、磁気絶縁材料で形成される、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項6】
前記第1磁性片と前記第3磁性片とは、前記光学キャリアに対して中心対称に配置され、
前記第2磁性片と前記カウンターウェイトとは、前記光学キャリアに対して中心対称に配置されている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項7】
ドライバチップ
が、前記FPC基板に配置され
ており、
前記ドライバチップは、前記第1磁気センサによって伝送された前記第1電気信号を受領し、前記第1コイルに入力された第1電流信号を前記第1電気信号に基づいて調整するように、構成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項8】
カメラモジュールであって、カメラモジュールは少なくとも1つのカメラユニットを含み、
前記カメラユニットは、光学キャリアと、前記光学キャリアの中に取り付けられたレンズアセンブリと、前記光学キャリアの周囲に順次、半径方向に配列された第1磁性片と、第2磁性片と、第3磁性片と、カウンターウェイトと、を含み、
第1コイルが、対称に前記光学キャリアの2つの側部に配置され、前記第1コイルは、コイル(207a)及びコイル(207b)を含み、前記コイル(207a)は、前記第1磁性片と対向して配置され、前記コイル(207b)は、前記第3磁性片と対向して配置され、
前記カメラユニットは、対向して配置された第1磁気センサ及び第1誘導磁石を含み、前記第1磁気センサは、前記カウンターウェイトの側部であり、前記光学キャリアに近接した側部に配置され、前記第1誘導磁石は、前記光学キャリアの外壁であり、前記カウンターウェイトに近接した外壁に締結され、
前記第1コイルは、前記光学キャリアを駆動して、前記第1誘導磁石で光軸の方向に移動させるように構成され、前記第1磁気センサは、前記第1誘導磁石によって生成された磁場信号を第1電気信号に変換するように構成されており、
前記第1磁気センサの1つの表面は、前記カウンターウェイトに取り付けられているか、又は、
前記第1磁気センサは、支持部を使用して前記カウンターウェイトに締結されて
おり、
前記カメラモジュールは、さらに、
フレキシブルプリント回路(FPC)基板、および、支持体を備え、
前記支持体は、前記光学キャリアを取り囲み、前記第1磁性片と、前記第2磁性片と、前記第3磁性片と、前記カウンターウェイトとを締結するように構成されており、
前記支持体は、支持部材を使用して前記FPC基板上に締結されている、
カメラモジュール。
【請求項9】
ドライバチップ
が、前記FPC基板に配置され、
前記ドライバチップは、前記第1磁気センサによって伝送された前記第1電気信号を受領し、前記第1コイルに入力された第1電流信号を前記第1電気信号に基づいて調整するように構成されている、
請求項8記載のカメラモジュール。
【請求項10】
貫通孔と、前記貫通孔の周囲に順次、半径方向に配列された第2コイルと、第3コイルと、第4コイルとが、前記FPC基板にさらに配置され、第2磁気センサは、前記第2コイルに配置され、第3磁気センサは、前記第3コイルに配置され、
前記第2コイルは、前記第1磁性片と対向して配置され、前記第3コイルは、前記第2磁性片と対向して配置され、前記第4コイルは、前記第3磁性片と対向して配置され、
前記第2コイルは、前記光学キャリアを駆動して、前記第1磁性片と一緒に第1方向に移動させるように構成され、前記第2磁気センサは、前記第1磁性片によって生成された磁場信号を第2電気信号に変換するように構成され、
前記第3コイルは、前記光学キャリアを駆動して、前記第2磁性片と一緒に第2方向に移動させるように構成され、前記第3磁気センサは、前記第2磁性片によって生成された磁場信号を第3電気信号に変換するように構成され、
前記第1方向と前記第2方向とは互いに垂直であり、前記第1方向と前記第2方向とはともに、前記光軸の方向に垂直である、
請求項9記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記ドライバチップは、前記第2磁気センサによって伝送された前記第2電気信号を受領し、前記第2コイルに入力された第2電流信号を前記第2電気信号に基づいて調整するように、さらに構成され、
前記ドライバチップは、前記第3磁気センサによって伝送された前記第3電気信号を受領し、前記第3コイルに入力された第3電流信号を前記第3電気信号に基づいて調整するように、さらに構成されている、
請求項10記載のカメラモジュール。
【請求項12】
カメラモジュールは、前記FPC基板の下に前記光軸の方向に配置されたイメージセンサをさらに備え、
前記イメージセンサは、前記FPC基板での貫通孔を介して、前記レンズアセンブリによってキャプチャーされた光信号を受領し、前記光信号を画像電気信号に変換する、
請求項9ないし11のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
カメラモジュールは、前記イメージセンサの下に前記光軸の方向に配置された基板をさらに備え、基板間BTBコネクタは、前記基板に配置され、
前記基板は、前記イメージセンサから出力された画像電気信号を受領し、前記BTBコネクタを使用して前記画像電気信号を出力するように構成されている、
請求項12記載のカメラモジュール。
【請求項14】
メモリと、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上の請求項8ないし13のいずれか1項に記載
のカメラモジュールと、
を備えている、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「VOICE COIL MOTOR, CAMERA MODULE, AND ELECTRONIC DEVICE」と題し、2019年12月4日に中国国家知的所有権庁に出願された中国特許出願第201911229578.3号の優先権を主張し、これは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、端末技術の分野に関し、特に、ボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話やタブレット端末などのインテリジェントモバイル端末の普及に伴い、フォーカシングや防振など、端末でのカメラモジュールの性能の高度な要求を、ユーザはなお求めている。ボイスコイルモータは、カメラモジュール内の重要な部品であり、レンズを駆動して伸縮させるように構成されている。
【0004】
図1に示すように、カメラモジュールは、ボイスコイルモータ101と、レンズアセンブリ102とを含む。1つ以上の磁性片及びコイルが、ボイスコイルモータ101に配置されている。通電された後、コイルは磁性片の磁場と相互作用し、レンズアセンブリ102を駆動して、x軸の方向、y軸の方向、又はz軸の方向に移動させることができる。通常、制御回路、例えばICチップがさらに、ボイスコイルモータ101に配置されている。撮影プロセスにおいて、端末のプロセッサは、ボイスコイルモータ101のICチップに対して、対応する制御命令を送信して、コイルが通電された後に、x軸の方向、y軸の方向、又はz軸の方向に特定の距離だけ移動するようにレンズアセンブリ102を制御するようにICチップに指示することができる。このようにして、レンズアセンブリ102の機能、例えば、防振及びフォーカシングが実現される。
【0005】
しかし、ボイスコイルモータ101内の複数の磁性片の間で磁気干渉などの制御不能な現象が発生する可能性があるため、ICチップがレンズアセンブリ102を制御して移動させると、特定のエラーが発生する可能性がある。この場合に、ボイスコイルモータ101内のレンズアセンブリ102の移動方向と移動距離とを一層迅速かつ精密に制御する方法が、緊急の解決すべき課題となる。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、ボイスコイルモータによるレンズアセンブリの移動を制御する精度を向上させ、速度を増加させ、カメラモジュール全体のフォーカシング及び防振性能をさらに向上させるようにした、ボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子デバイスを提供する。
【0007】
上記の目的を達成するために、本出願は、以下の技術的解決策を使用する。
【0008】
第1の態様によれば、本出願は、ボイスコイルモータを提供する。ボイスコイルモータは、光学キャリアの周囲に順次、半径方向に配列された第1磁性片と、第2磁性片と、第3磁性片と、カウンターウェイトとを備えている。第1コイルが、対称に光学キャリアの2つの側部に締結され、第1コイルは2つのコイルを含み、2つのコイルの一方が第1磁性片と対向して配置され、2つのコイルの他方が第3磁性片と対向して配置されている。
【0009】
ボイスコイルモータは、対向して配置された第1磁気センサ及び第1誘導磁石をさらに備え、第1磁気センサは、カウンターウェイトの側部であり光学キャリアに近接した側部に配置され、第1誘導磁石は、光学キャリアの外壁でありカウンターウェイトに近接した外壁に締結されている。通電された後、第1コイルは、光学キャリアを駆動して第1誘導磁石で光軸の方向に移動させてよい。この場合に、第1磁気センサは、第1誘導磁石によって生成された磁場信号を第1電気信号に変換してよい。光学キャリアの光軸の方向の移動方向と移動距離とを検出することができる。
【0010】
本出願では、第1磁気センサは、従来の技術のように熱を発生するFPC基板上に配置するのではなく、カウンターウェイトに締結されていることが分かる。従って、第1磁気センサはボイスコイルモータの熱源から遠く離れていて、FPC基板の動作時に発生する熱は第1磁気センサの検出精度に影響を与えない。このようにして、ボイスコイルモータは、第1磁気センサと第1誘導磁石とを使用して、光軸の方向のレンズアセンブリの一層精密で高速な閉ループ制御を実施することができ、それによって、カメラモジュールのフォーカシング及び防振性能を向上させることができる。
【0011】
可能な実施では、光軸の方向に垂直な平面上で、第1誘導磁石と第1磁性片との間の距離、及び第1誘導磁石と第3磁性片との間の距離は、等しい。この場合に、第1磁気センサは、第1磁性片、第2磁性片及び第3磁性片の磁場の影響を最小の程度で受け、それによって、第1誘導磁石が光軸の方向に移動したときに、第1磁気センサが磁場の変化を正確に検出できるようにする。
【0012】
可能な実施では、光軸の方向に垂直な平面上で、第1磁気センサは、カウンターウェイトの中央に配置されている。この場合に、第1磁気センサと第1誘導磁石との間隔が最小となり、第1磁気センサの検出精度が確保される。
【0013】
可能な実施では、第1磁気センサの1つの表面は、カウンターウェイトに取り付けられてよく、又は、第1磁気センサは、支持部を使用してカウンターウェイトに締結されてよい。
【0014】
可能な実施では、光軸の方向での第1磁気センサの高さは、カウンターウェイトの高さに等しくてよいか、又は、光軸の方向での第1磁気センサの高さは、カウンターウェイトの高さよりも大きいか又は小さくてよい。
【0015】
可能な実施では、カウンターウェイトは、磁気絶縁材料で形成され、カウンターウェイトによって生じる磁気干渉を低減するようにする。
【0016】
可能な実施では、第1磁性片と第3磁性片とは、光学キャリアに対して中心対称に配置されてよく、第2磁性片とカウンターウェイトとは、光学キャリアに対して中心対称に配置されてよい。
【0017】
可能な実施では、ボイスコイルモータは、フレキシブルプリント回路FPC基板をさらに備え、ドライバチップはFPC基板に配置され、ドライバチップは、第1磁気センサによって伝送された第1電気信号を受領し、第1コイルに入力された第1電流信号を第1電気信号に基づいて調整するように、構成されている。このように、光軸の方向でのボイスコイルモータの移動距離と移動方向との閉ループ制御を実現する。
【0018】
可能な実施では、貫通孔と、貫通孔の周囲に順次、半径方向に配列された第2コイルと、第3コイルと、第4コイルとが、FPC基板にさらに配置され、第2磁気センサは第2コイルに配置され、第3磁気センサは第3コイルに配置され、第2コイルは、第1磁性片と対向して配置され、第3コイルは、第2磁性片と対向して配置され、第4コイルは、第3磁性片と対向して配置されている。この場合に、通電された後、第2コイルは、磁場の作用下で、光学キャリアを駆動して第1磁性片と一緒に第1方向(例えば、x軸の方向)に移動させてよい。通電された後、第3コイルは、磁場の作用下で、光学キャリアを駆動して第2磁性片と一緒に第2方向(例えば、y軸の方向)に移動させてよい。このようにして、光学キャリアは、xy平面上を移動するように実施される。
【0019】
例えば、第2磁気センサを第2コイルに配置してよく、第3磁気センサを第3コイルに配置してよい。このように、光学キャリアが第1磁性片と一緒に第1方向(例えば、x軸の方向)に移動する場合に、第2磁気センサは、第1磁性片によって生成された磁場信号を第2電気信号に変換し、光学キャリアが第2磁性片と一緒に第2方向(例えば、y軸の方向)に移動する場合に、第3磁気センサは、第2磁性片によって生成された磁場信号を第3電気信号に変換する。従って、レンズアセンブリの移動の3軸閉ループ制御は、x軸、y軸、及び光軸の方向に実施される。
【0020】
可能な実施では、ドライバチップは、第2磁気センサによって伝送された第2電気信号を受領し、第2コイルに入力された第2電流信号を第2電気信号に基づいて調整するように、さらに構成され、第1方向でのレンズアセンブリの移動方向と移動距離とを迅速かつ正確に制御する。ドライバチップは、第3磁気センサによって伝送された第3電気信号を受領し、第3コイルに入力された第3電流信号を第3電気信号に基づいて調整するように、さらに構成され、第2方向でのレンズアセンブリの移動方向と移動距離とを迅速かつ正確に制御する。このようにして、レンズアセンブリの防振機能が実現される。
【0021】
例えば、第1磁性片と第3磁性片とは双極磁石であり、第2磁性片は単極磁石であってよい。
【0022】
例えば、第1磁性片によって生成される磁力は、第3磁性片によって生成される磁力に等しく、第2磁性片によって生成される磁力は、第1磁性片によって生成される磁力の2倍であってよい。
【0023】
例えば、第1磁気センサ、第2磁気センサ又は第3磁気センサは、具体的にホールセンサであってよい。
【0024】
第2の態様によれば、本出願はカメラモジュールを提供する。カメラモジュールは少なくとも1つのカメラユニットを含み、カメラユニットは、光学キャリアと、光学キャリアの中に取り付けられたレンズアセンブリと、光学キャリアの周囲に順次、半径方向に配列された第1磁性片と、第2磁性片と、第3磁性片と、カウンターウェイトとを含む。第1コイルが、対称に光学キャリアの2つの側部に締結され、第1コイルは2つのコイルを含み、2つのコイルの一方が第1磁性片と対向して配置され、2つのコイルの他方が第3磁性片と対向して配置されている。カメラユニットは、対向して配置された第1磁気センサ及び第1誘導磁石を含み、第1磁気センサは、カウンターウェイトの側部であり光学キャリアに近接した側部に配置され、第1誘導磁石は、光学キャリアの外壁でありカウンターウェイトに近接した外壁に締結されている。
【0025】
通電された後、第1コイルは、磁場の作用下で、光学キャリアを駆動して、第1誘導磁石とともに光軸の方向に移動させることができる。この場合に、第1磁気センサは、第1誘導磁石によって生成された磁場信号を第1電気信号に変換して、光学キャリア内にあるレンズアセンブリの光軸の方向の移動方向と移動距離とを検出することができる。
【0026】
本出願に提供されるカメラモジュールは、前述のボイスコイルモータを含むことが分かる。前述のボイスコイルモータを使用して、光学キャリア内にあるレンズアセンブリの移動の閉ループ制御を光軸の方向に実現してよい。また、ボイスコイルモータの熱源から離れた位置に第1磁気センサが配置されているため、温度によって第1磁気センサの検出精度が低下する問題を解決することができる。従って、レンズアセンブリの一層正確で高速な閉ループ制御が光軸の方向に実施され、それによってカメラモジュールのフォーカシング性能及び防振性能が向上される。
【0027】
可能な実施では、カメラモジュールはFPC基板をさらに備え、ドライバチップはFPC基板に配置され、ドライバチップは、第1磁気センサによって伝送された第1電気信号を受領し、第1コイルに入力された第1電流信号を第1電気信号に基づいて調整するように構成され、光軸の方向でのレンズアセンブリの移動方向と移動距離とを迅速かつ正確に制御する。このようにして、レンズアセンブリのフォーカシング機能及び防振機能が実現される。FPC基板は、カメラモジュールの各カメラユニットに配置されてよく、又は、カメラモジュールの複数のカメラユニットが1つのFPC基板を共有してよい。
【0028】
可能な実施では、貫通孔と、貫通孔の周囲に順次、半径方向に配列された第2コイルと、第3コイルと、第4コイルとが、FPC基板にさらに配置され、第2磁気センサは第2コイルに配置され、第3磁気センサは第3コイルに配置されている。第2コイルは、第1磁性片と対向して配置され、第3コイルは、第2磁性片と対向して配置され、第4コイルは、第3磁性片と対向して配置されている。
【0029】
通電された後、第2コイルは、光学キャリアを駆動して、第1磁性片と一緒に第1方向に移動させてよい。移動中に、第2磁気センサは、第1磁性片によって生成された磁場信号を第2電気信号に変換してよい。同様に、通電された後、第3コイルは、光学キャリアを駆動して、第2磁性片と一緒に第2方向(第1方向と第2方向は互いに垂直である)に移動させてよい。移動中に、第3磁気センサは、第2磁性片によって生成された磁場信号を第3電気信号に変換してよい。
【0030】
例えば、ドライバチップは、第2磁気センサによって伝送された第2電気信号を受領し、第2コイルに入力された第2電流信号を第2電気信号に基づいて調整するように、さらに構成され;ドライバチップは、第3磁気センサによって伝送された第3電気信号を受領し、第3コイルに入力された第3電流信号を第3電気信号に基づいて調整するように、さらに構成されている。このようにして、カメラモジュールは、レンズアセンブリの移動を、光軸の方向のみならず、第1方向及び第2方向に閉ループ制御することができる。
【0031】
可能な実施では、カメラモジュールは、FPC基板の下に光軸の方向に配置されたイメージセンサをさらに備えている。イメージセンサは、FPC基板での貫通孔を介して、レンズアセンブリによってキャプチャーされた光信号を受領し、光信号を画像電気信号に変換してよい。イメージセンサは、カメラモジュールの各カメラユニットに配置されてよく、又は、カメラモジュールの複数のカメラユニットが1つのイメージセンサを共有してよい。
【0032】
可能な実施では、カメラモジュールは、イメージセンサの下に光軸の方向に配置された基板をさらに備え、基板間BTBコネクタは、基板に配置されている。基板は、イメージセンサから出力された画像電気信号を受領し、BTBコネクタを使用して画像電気信号を出力するように構成されてよく、例えば、画像電気信号をプロセッサ又はメインボードのような電子デバイスのコンポーネントに出力するように構成されてよい。基板とBTBコネクタとは、カメラモジュールの各カメラユニットに配置されてよいし、カメラモジュールの複数のカメラユニットは、1つの基板と1つのBTBコネクタとを共有してよい。
【0033】
第3の態様によれば、本出願は電子デバイスを提供する。電子デバイスは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のメモリと、第2の態様の任意の1つの実施に係る1つ以上のカメラモジュールとを備えている。
【0034】
第2の態様によるカメラモジュール及び上述の第3の態様による電子デバイスは、ともに、上述のボイスコイルモータを含んでよいことが理解可能である。従って、カメラモジュールによって達成することができる有益な効果、及び電子デバイスによって達成することができる有益な効果については、上述のボイスコイルモータの有益な効果を参照するものとする。詳細は、ここでは再度説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】従来技術におけるボイスコイルモータの構造の概略図である。
【
図2】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図1である。
【
図3】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図2である。
【
図4(a)】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図3である。
【
図4(b)】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図3である。
【
図5】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図4である。
【
図6】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図5である。
【
図7】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図6である。
【
図8】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図7である。
【
図9】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図8である。
【
図10】本出願の実施形態による双極磁石の構造の概略図である。
【
図11】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図9である。
【
図12】本出願の実施形態によるボイスコイルモータの構造の概略
図10である。
【
図13】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図1である。
【
図14(a)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図2である。
【
図14(b)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図2である。
【
図15(a)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図3である。
【
図15(b)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図3である。
【
図16(a)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図4である。
【
図16(b)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図4である。
【
図17】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図5である。
【
図18(a)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図6である。
【
図18(b)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図6である。
【
図19(a)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図7である。
【
図19(b)】本出願の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略
図7である。
【
図20】本出願の実施形態による電子デバイスの構造の概略図である。
【0036】
参照番号:
200:ボイスコイルモータ、201:光学キャリア、201a:中空キャビティ、202:第1磁性片、203:第2磁性片、204:第3磁性片、205:カウンターウェイト、207a:第1コイル、207b:第1コイル、301:第1磁気センサ、302:第1誘導磁石、303:支持部、303a:第1溝、303b:第2溝、400:FPC基板、401:ドライバチップ、402:支持体、403:スプリングシート、404:支持部材、501:貫通孔、502:第2コイル、503:第3コイル、504:第4コイル、601:第2磁気センサ、602:第3磁気センサ、603:ハウジング、604:貫通孔、701:レンズアセンブリ、702:イメージセンサ、703:第1基板、704:BTBコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照しながら、本出願の実施形態の実施を詳細に説明する。
【0038】
本出願の一実施形態は、ボイスコイルモータ(voice coil motor, VCM)を提供する。ボイスコイルモータは、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換することが可能な装置である。ボイスコイルモータを使用して、直線運動と、制限された揺動角度での移動とが実現できる。例えば、ボイスコイルモータは、電子デバイスのカメラモジュール内に配置され、カメラモジュール内のレンズを駆動して異なる方向に動かすように構成され、フォーカシング及び防振などのカメラモジュールの機能を実現する。
【0039】
例えば、
図2に示すように、本出願の一実施形態において提供されるボイスコイルモータ200は、光学キャリア201を含んでよい。光学キャリア201は、カメラモジュールのレンズアセンブリを支持するように構成されてよい。レンズアセンブリは、画像を撮影するように構成された、カメラレンズ、偏光子、及びレンズホルダなどの光学デバイスを含んでよい。例えば、なお
図2に示すように、光学キャリア201は、特に、中空キャビティ201aを有する中空構造であってよい。レンズアセンブリは、中空キャビティ201aの中に締結されてよい。ボイスコイルモータ200の中で光学キャリア201は、レンズアセンブリとともに、x軸の方向、y軸の方向、又はz軸の方向に移動できる。光学キャリア201の光軸の方向は、z軸の方向である。z軸に垂直な平面は、x軸及びy軸が位置する平面である。当然、ボイスコイルモータ200は、代わりに、光学キャリア201を含まないことが可能であり、光学キャリア201は、レンズアセンブリ、カメラモジュール、又は電子デバイスを製造する販売元によって提供されてよい。
【0040】
なお、
図2に示すように、本出願のこの実施形態で提供されるボイスコイルモータ200は、さらに、第1磁性片202と、第2磁性片203と、第3磁性片204と、カウンターウェイト205とを含む。光学キャリア201の光軸(即ちz軸)の周りには、第1磁性片202と、第2磁性片203と、第3磁性片204と、カウンターウェイト205とが、光学キャリア201の周囲に順次、半径方向に配列されている。第1磁性片202は、第3磁性片204と反対側に配置され、第2磁性片203は、カウンターウェイト205と反対側に配置されてよい。例えば、第1磁性片202と第3磁性片204とは、光学キャリア201に対して中心対称に配置されてよく、同様に、第2磁性片203とカウンターウェイト205とは、光学キャリア201に対して中心対称に配置されてよい。
【0041】
第1磁性片202と、第2磁性片203と、第3磁性片204とは、磁性片、例えば、磁石から形成された要素である。カウンターウェイト205は、非磁性材料製の要素であり、第2磁性片203の重量のバランスを取るように構成されている。例えば、カウンターウェイト205によって引き起こされる磁気干渉を低減するために、カウンターウェイト205は磁気絶縁材料で形成されてよい。
【0042】
なお、
図2に示すように、本出願のこの実施形態で提供されるボイスコイルモータ200はさらに、光学キャリア201の両側に締結された第1コイル207を含む。
図3は、x軸及びy軸が位置するxy平面上のボイスコイルモータ200の構造の概略図である。2つの第1コイル207(即ち、コイル207a及びコイル207b)が存在してよい。コイル207aは、光学キャリア201の外壁に締結され、第1磁性片202と対向して配置されてよい。コイル207bは、光学キャリア201の外壁に締結され、第3磁性片204と対向して配置されてよい。例えば、コイル207aとコイル207bとは、締結支持体を使用して光学キャリア201の外壁に取り付けられてよく、又は、コイル207aとコイル207bとは、光学キャリア201の外壁に直接貼り付けられてよい。コイル207aとコイル207bとが光学キャリア201に締結される特定の方法は、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0043】
例えば、
図3に示すように、第1磁性片202の磁場の方向Bは、y軸に平行であってよく、コイル207aが通電された後に存在する電流方向Iは、x軸に平行である。この場合に、通電された後、コイル207aは、第1磁性片202の磁場と相互作用し、z軸に平行なローレンツ力を生成することができる。同様に、第3磁性片204の磁場の方向Bもy軸に平行であり、コイル207bが帯電した後に存在する電流方向Iもx軸に平行である。この場合に、通電された後、コイル207bは、第3磁性片204の磁場と相互作用し、さらに、z軸に平行なローレンツ力を生成することができる。
【0044】
このようにして、第1コイル207が通電された後に磁場内で生成されるローレンツ力は、光学キャリア201を駆動してz軸の方向に移動させてよい。それによって光学キャリア201内のレンズアセンブリのフォーカシング機能又は防振機能を実施する。
【0045】
本出願のこの実施形態では、
図2及び
図3に示すボイスコイルモータ200を参照すると、ボイスコイルモータ200は、対向して配置された第1磁気センサ301と第1誘導磁石302とをさらに含んでよい。第1磁気センサ301は、カウンターウェイト205の側部であり光学キャリア201に近接した側部に配置されている。第1誘導磁石302は、光学キャリア201の側部でありカウンターウェイト205に近接した側部に配置されている。第1磁気センサ301とカウンターウェイト205との間には相対運動はなく、また第1誘導磁石302と光学キャリア201との間には相対運動はない。光学キャリア201がレンズアセンブリとともにz軸に沿って移動すると、光学キャリア201上の第1誘導磁石302もまた、光学キャリア201とともにz軸に沿って移動する。この場合に、第1磁気センサ301は、第1誘導磁石302の磁場分布の変化を感知し、リアルタイムで感知された磁場信号を対応する電気信号(例えば、電圧信号又は電流信号)に変換することができる。
【0046】
例えば、
図4(a)は、xz平面上の第1磁気センサ301とカウンターウェイト205との断面の概略図である。第1磁気センサ301は、光学キャリア201に近接したカウンターウェイト205の表面に直接取り付けてよい。例えば、第1磁気センサ301は、溶接又は貼り付けの方式で光学キャリア201上に締結されてよい。一方、
図4(b)は、xz平面上の第1磁気センサ301とカウンターウェイト205との別の断面の概略図である。代替的に、第1磁気センサ301は、支持部303を使用して、光学キャリア201に近接したカウンターウェイト205の表面に取り付けてよい。例えば、支持部303は、第1溝303aと第2溝303bとを含む。第1溝303aの開口方向はカウンターウェイト205を指していて、第2溝303bの開口方向は第1磁気センサ301を指している。カウンターウェイト205は、第1溝303aに締結されてよい。第1磁気センサ301がカウンターウェイト205に締結されるように、第1磁気センサ301は、第2溝303bに締結されてよい。当然、当業者は、別の支持部を使用して、第1磁気センサ301とカウンターウェイト205とを代替的に締結してよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0047】
なお、z軸の方向の第1磁気センサ301の高さは、カウンターウェイト205の高さと等しくてよく、又はこれよりも大きく又は小さくてよいことに留意するものとする。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0048】
図5に示すように、本出願のこの実施形態で提供されるボイスコイルモータ200は、FPC(flexible printed circuit,フレキシブルプリント回路)基板400をさらに含んでよい。FPC基板400は、z軸の方向でボイスコイルモータ200全体の底部に配置され、ボイスコイルモータ200全体を支持し、ボイスコイルモータ200に出力するパワーを提供するように構成されている。例えば、FPC基板400は、第1コイル207に特定の大きさの電流を入力するように構成されてよく、それにより、第1コイル207は、通電された後、磁場中で、光学キャリア201を駆動して移動させるために使用されるローレンツ力を生成する。
【0049】
例えば、
図6に示すように、本出願のこの実施形態で提供されるボイスコイルモータ200は、さらに支持体402を含んでよい。支持体402は、光学キャリア201
の4辺を取り囲み、第1磁性片202と、第2磁性片203と、第3磁性片204と、カウンターウェイト205(
図6には示されていない)とを締結するように構成されている。例えば、支持部303は支持体402の一部であってよい。この場合に、支持体402は、第1磁気センサ301を締結するようにさらに構成されている。支持体402は、支持部材404を使用してFPC基板400上に締結される。例えば、支持部材404は、金属ワイヤ(spring wire)であってよい。さらに、スプリングシート403は、支持体402と光学キャリア201との間のxy平面上に配置されている。スプリングシート403は、応力が加わった後に弾性変形されてよい。
【0050】
この場合に、通電された後、第1コイル207は、第1磁性片202と第3磁性片204との磁場の作用下で、z軸の方向へのローレンツ力を生成し、光学キャリア201を駆動してz軸の方向に移動させてよい。z軸の方向に移動する間、光学キャリア201は、スプリングシート403を引っ張り、その結果、スプリングシート403の弾性変形を生じる。弾性変形に起因するスプリングシート403によって発生する弾性力に打ち勝つことによって、光学キャリア201は、レンズアセンブリをz軸の方向に移動させてよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、なお
図5に示すように、ドライバチップ(driver IC)401が、FPC基板400に配置されている。ドライバチップ401は、ボイスコイルモータ200全体の制御ユニットである。第1磁気センサ301は、導線(
図5には示されていない)を介してドライバチップ401に電気的に接続されてよい。あるいは、ドライバチップ401は、ボイスコイルモータ200上の別の位置に配置されてよい。例えば、ドライバチップ401は、ボイスコイルモータ200のハウジングに配置されてよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。第1磁気センサ301によってリアルタイムで出力された電気信号を受領した後、ドライバチップ401は、電気信号に基づいて、z軸の正又は負の方向でのレンズアセンブリの移動距離を決定してよい。さらに、ドライバチップ401は、移動距離に基づいて、第1コイル207に入力された電流の大きさと方向とを調整して、z軸の方向で、ボイスコイルモータ200の移動距離と移動方向との閉ループ制御を実施してよい。
【0052】
例えば、フォーカシング中に、レンズアセンブリがz軸の正方向に10単位に相当する距離だけ移動する必要がある場合に、電子デバイスのプロセッサは、ボイスコイルモータ200のドライバチップ401に第1命令を伝送してよい。第1命令は、レンズアセンブリを駆動してz軸の正方向に10単位の距離だけ移動させるように、ボイスコイルモータ200に指示するために使用される。単位は、特に、距離単位又は電流単位であってよい。例えば、第1命令の10単位は、特に10μmの距離であってよい。この場合に、ドライバチップ401は、異なる移動距離と入力電流との間の対応に従って、レンズアセンブリを10μm移動させるために第1コイル207に入力される必要がある電流I1の大きさを決定してよい。別の例として、第1命令の10単位は、特に10ミリアンペアの電流であってよい。この場合に、ドライバチップ401は、10ミリアンペアの大きさの電流I1を第1コイル207に入力してよい。
【0053】
通電された後、磁場の作用下で、第1コイル207は、光学キャリア201内のレンズアセンブリを駆動して、z軸に沿って移動させる。光学キャリア201上の第1誘導磁石302もまた、光学キャリア201とともにz軸に沿って移動するため、第1磁気センサ301は、第1誘導磁石302の感知された磁場信号をリアルタイム電気信号に変換し、リアルタイム電気信号をドライバチップ401へ伝送してよい。ドライバチップ401は、第1磁気センサ301によってリアルタイムに出力された電気信号に基づいて、レンズアセンブリがz軸の正方向に10単位の距離だけ移動するかどうかを決定してよい。レンズアセンブリのz軸の正方向への移動距離が、予め設定された値(例えば、10単位)よりも短いか又は長い場合に、ドライバチップ401は、第1コイル207に入力された電流を変化させ、例えば、電流I1を電流I2に調整して、z軸の方向へのボイスコイルモータ200の移動の閉ループ制御を実施してよい。このようにして、レンズアセンブリのz軸の方向のフォーカシング機能が迅速に実現される。
【0054】
別の例として、防振処理中に、レンズアセンブリがz軸の正方向の第15単位に対応する位置で安定化する必要がある場合に、ボイスコイルモータ200のドライバチップ401は、第1磁気センサ301によってリアルタイムで出力された電気信号に基づいて、z軸上のレンズアセンブリの位置を決定してよい。レンズアセンブリが、z軸の正方向において第15単位に対応する位置から逸脱することを検出すると、ドライバチップ401は、第1コイル207に入力された電流の大きさと方向とを変更して、z軸の方向でのボイスコイルモータ200の移動の閉ループ制御を実施してよい。このようにして、レンズアセンブリのz軸の方向の防振機能が迅速に実現される。
【0055】
さらに、FPC基板400は、動作時に熱を発する。第1磁気センサ301がFPC基板400上に配置されると、温度変化の影響により、第1磁気センサ301の検出精度が低下する。従って、本出願のこの実施形態では、第1磁気センサ301は、FPC基板400上に配置される代わりに、カウンターウェイト205上又はその近傍に締結される。この場合に、第1磁気センサ301は、ボイスコイルモータ200の熱源から遠く離れていて、FPC基板400が動作したときに発生する熱は、第1磁気センサ301の検出精度に影響を与えない。このようにして、ボイスコイルモータ200は、第1磁気センサ301と第1誘導磁石302とを使用して、z軸の方向のレンズアセンブリの一層精密で高速な閉ループ制御を実現することができ、それによって、カメラモジュールのフォーカシング性能及び防振性能を向上させる。
【0056】
例えば、なお
図3に示すように、第1磁気センサ301は、xy平面上のカウンターウェイト205の中央に配置されてよい。この場合に、光学キャリア201上の第1磁気センサ301と第1誘導磁石302との距離は最小であり、第1磁気センサ301の検出精度を保証する。また、カウンターウェイト205の中央に第1磁気センサ301が配置されている場合に、第1磁気センサ301は、第1磁性片202と、第2磁性片203と、第3磁性片204とから最も離れている。この場合に、第1磁気センサ301は、第1磁性片202と、第2磁性片203と、第3磁性片204との磁場によって最小の程度で影響されるため、第1磁気センサ301は、第1誘導磁石302がz軸の方向に移動したときの磁場の変化を正確に検出することができる。
【0057】
本出願のいくつかの他の実施形態では、z軸の方向へのレンズアセンブリの移動の閉ループ制御を実施することに加えて、ボイスコイルモータ200は、x軸の方向及びy軸の方向へのレンズアセンブリの移動の閉ループ制御を実施することができる。
【0058】
例えば、
図7は、xy平面上のFPC基板400の構造の概略図である。
図5及び
図7を参照すると、ドライバチップ401に加えて、さらに貫通孔501がFPC基板400上に配置されている。貫通孔501のサイズと形状とは、xy平面上の光学キャリア201のサイズと形状とに一致する。光学キャリア201は、貫通孔501内を移動可能である。また、第2コイル502と、第3コイル503と、第4コイル504とが、貫通孔501の周囲にさらに配置されている。第2コイル502と第4コイル504とは、xy平面上で平行であり、第3コイル503と第2コイル502(又は第4コイル504)とは、xy平面上で互いに垂直である。
図5及び
図7を参照すると、第2コイル502は、z軸の方向で第1磁性片202と対向して配置され、第3コイル503は、z軸の方向で第2磁性片203と対向して配置され、第4コイル504は、z軸の方向で第3磁性片204と対向して配置されている。
【0059】
y軸に平行な磁場を生成することに加えて、第1磁性片202と第3磁性片204とは、z軸に平行な磁場の生成が可能である。この場合に、通電された後、第2コイル502は、第1磁性片202のz軸の方向の磁場と相互作用して、y軸に平行なローレンツ力の生成が可能である。同様に、通電された後、第4コイル504は、第3磁性片204のz軸の方向の磁場と相互作用して、y軸に平行なローレンツ力の生成が可能である。
【0060】
このようにして、
図8に示すように、通電された後、第2コイル502と第4コイル504とは、磁場中のy軸に平行なローレンツ力Fを生成する。第2コイル502と第4コイル504とによって生成されるローレンツ力Fは、支持部材404を押すことができ、その結果、支持部材404の弾性変形を生じ、それによって、支持体402全体をy軸に沿って移動させる。支持体402と光学キャリア201とは、スプリングシート403を使用して接続されるため、支持体402は、y軸に沿って移動する場合に、光学キャリア201を駆動してy軸の方向に移動させる。このように、光学キャリア201内のレンズアセンブリの防振機能が実現される。
【0061】
同様に、
図9に示すように、通電された後、第3コイル503は、第2磁性片203(
図9には示されていない)のz軸の方向の磁場と相互作用し、x軸に平行なローレンツ力Fを生成することができる。第3コイル503によって生成されるローレンツ力Fは、支持部材404を押すことができ、その結果、支持部材404の弾性変形を生じ、それによって、支持体402全体をx軸に沿って移動させる。支持体402と光学キャリア201とは、スプリングシート403を使用して接続されるため、さらに支持体402は、x軸に沿って移動する場合に、光学キャリア201を駆動してx軸の方向に移動させる。このように、光学キャリア201内のレンズアセンブリの防振機能が実現される。
【0062】
いくつかの実施形態において、第1磁性片202と第3磁性片204とは、z軸の方向へのローレンツ力を生成するのに十分な磁場をy軸の方向に提供する必要があるのみならず、y軸の方向へのローレンツ力を生成するのに十分な磁場をz軸の方向に提供する必要がある。従って、第1磁性片202と第3磁性片204とは、双極磁石として提供されてよい。
【0063】
図10に示すように、第1磁性片202(又は第3磁性片204)が双極磁石である場合に、第1磁性片202は、反対の磁気配向(即ち、N極及びS極)を有する2つの磁性部、即ち、第1磁性部22と第2磁性部24とを備えている。反対の磁気配向を有する第1磁性部22と第2磁性部24とは、y軸及びz軸が位置するyz平面上に収束磁場を形成し、磁気漏れを減少させる。従って、対応するローレンツ力を生成するために、十分な磁場強度がy軸及びz軸の方向に与えられる。
【0064】
当然、当業者は、代替的に、第1磁性片202又は第3磁性片204を形成するために、反対の磁気配向を有する2つの単極磁石を、使用することができる。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0065】
本出願のこの実施形態では、
図7に示すFPC基板400に基づいて、
図11に示すように、第2磁気センサ601を第2コイル502(又は第4コイル504)に配置してよく、第3磁気センサ602を第3コイル503に配置してよい。第1磁気センサ301と同様に、第2磁気センサ601と第3磁気センサ602とは、ともに、導線を介してドライバチップ401に電気的に接続されてよい。
【0066】
第3コイル503が、通電された後に光学キャリア201を押圧してx軸の方向に移動させる場合に、第3磁気センサ602は、第2磁性片203の磁場分布の変化を検出し、リアルタイムで感知された磁場信号を対応する電気信号に変換し、その電気信号をドライバチップ401へ伝送してよい。これにより、ドライバチップ401は、光学キャリア201のx軸の方向の移動方向と移動距離との決定が可能である。このように、ドライバチップ401は、光学キャリア201のx軸の方向への移動方向と移動距離とに基づいて、第3コイル503に入力された電流の大きさを調整して、x軸の方向に、光学キャリア201内のレンズアセンブリの移動の閉ループ制御を実施してよい。
【0067】
同様に、第2コイル502と第4コイル504とが、通電された後に光学キャリア201を押圧してy軸の方向に移動させる場合に、第2磁気センサ601は、第3磁性片204の磁場分布の変化を検出し、リアルタイムで感知された磁場信号を対応する電気信号に変換し、その電気信号をドライバチップ401へ伝送してよい。これにより、ドライバチップ401は、光学キャリア201のy軸の方向の移動方向と移動距離との決定が可能である。このように、ドライバチップ401は、y軸の方向の光学キャリア201の移動方向と移動距離とに基づいて、第2コイル502(又は第4コイル504)に入力された電流の大きさを調整して、y軸の方向で、光学キャリア201内のレンズアセンブリの移動の閉ループ制御を実施してよい。
【0068】
例えば、なお
図11に示すように、第2磁気センサ601は、第2コイル502(又は第4コイル504)の中央に配置されてよい。この場合に、第2磁気センサ601と第3磁性片204との間の距離は最小であり、第2磁気センサ601は、他の磁気素子によって引き起こされる干渉から遠く離れていて、第2磁気センサ601の検出精度を保証する。同様に、第3磁気センサ602は、第3コイル503の中央に配置されてよい。この場合に、第3磁気センサ602と第2磁性片203との間の距離は最小であり、第3磁気センサ602は、他の磁気素子によって引き起こされる干渉から遠く離れていて、第3磁気センサ602の検出精度を保証する。
【0069】
例えば、光学キャリア201を押圧してy軸の方向に移動させるローレンツ力は、第1磁性片202と第3磁性片204とが組み合わせで生成する磁場によって与えることができ、一方、光学キャリア201を押圧してx軸の方向に移動させるローレンツ力は、第2磁性片203によって生成される磁場によってのみ与えられる。従って、第2磁性片203によって生成される磁力は、第1磁性片202(又は第3磁性片204)によって生成される磁力の2倍に設定でき、それによって、光学キャリア201を押圧してx軸の方向に移動させるのに十分なローレンツ力が生成されることを確実にする。
【0070】
さらに、第1磁気センサ301と、第2磁気センサ601と、第3磁気センサ602とは、具体的に、ホールセンサのような、感知された磁場信号を電気信号に変換することができるセンサであってよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0071】
第1磁気センサ301と、第2磁気センサ601と、第3磁気センサ602とを使用して、本出願のこの実施形態で提供されるボイスコイルモータ200は、x軸、y軸及びz軸の3方向でのレンズアセンブリの動きをリアルタイムで検出し、レンズアセンブリの動きの閉ループ制御が実施できることが分かる。それによって、レンズアセンブリの移動方向と移動距離とを迅速かつ正確に制御し、カメラモジュール全体のフォーカシング及び防振性能を向上させる。
【0072】
前述の実施形態に示されたボイスコイルモータ200は、ボイスコイルモータ200の特定の内部構造に対する制限を構成しないことが理解可能である。本出願の他のいくつかの実施形態では、ボイスコイルモータ200は、図に示されているものよりも多い又は少ないコンポーネントを含んでよく、又は、いくつかのコンポーネントを組み合わせてよく、又は、いくつかのコンポーネントを分割してよく、又は、異なるコンポーネント構成を有してよい。
【0073】
例えば、
図12に示すように、ボイスコイルモータ200は、ハウジング603をさらに含んでよい。ハウジング603は、ボイスコイルモータ200の中の光学キャリア、磁性片、コイル、及びセンサを収容してよい。
図8に示すように、貫通孔604は、ハウジング603の表面でありxy平面に平行な表面に配置されている。貫通孔604のサイズと形状とは、xy平面上の光学キャリア201のサイズと形状とに一致する。光学キャリア201は、貫通孔604内で、x軸、y軸、又はz軸の方向に移動することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、前述のボイスコイルモータ200に基づいて、本出願の実施形態は、カメラモジュール700をさらに提供する。
図13は、光軸(即ち、z軸)の方向でのカメラモジュール700の断面図である。カメラモジュール700は、ただ1つのレンズアセンブリを有するシングルカメラモジュールである。シングルカメラモジュールは、カメラユニットとも称する。この場合に、カメラモジュール700は、ただ1つのカメラユニットを含む。
【0075】
カメラモジュール700は、レンズアセンブリ701と、イメージセンサ702と、第1基板703と、前述のボイスコイルモータ200とを含む。レンズアセンブリ701は、ボイスコイルモータ200の光学キャリア201内に締結される。イメージセンサ702は、ボイスコイルモータ200のFPC基板400と第1基板703との間に配置されている。
【0076】
例えば、イメージセンサ702は、電荷結合素子(charge coupled device, CCD)又は相補型金属酸化物半導体(complementary metal-oxide-semiconductor, CMOS)フォトトランジスタのような感光素子であってよい。イメージセンサ702は、FPC基板400での貫通孔501を介して、レンズアセンブリ701によってキャプチャーされた光信号を受領し、光信号を画像電気信号に変換し、次いで、第1基板703を介して、変換によって取得された画像電気信号をISP(image signal processor,画像信号プロセッサ)などのデバイスへ伝送して、デジタル画像信号を形成してよい。
【0077】
例えば、なお
図13に示すように、BTB(board to board)コネクタ704が、第1基板703上にさらに配置されてよい。イメージセンサ702から受領した画像電気信号を、第1基板703は、BTBコネクタ704を介して、電子デバイス内の別のデバイス、例えば、メインボード、プロセッサ、又はISPへ伝送することができる。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0078】
いくつかの他の実施形態では、前述のボイスコイルモータ200に基づいて、本出願の実施形態は、カメラモジュール800をさらに提供する。カメラモジュール800は、複数のレンズアセンブリを含むマルチカメラモジュールであってよい。換言すれば、カメラモジュール800は、複数のカメラユニットを含んでよい。
【0079】
カメラモジュール800がデュアルカメラモジュールである例が、使用される。
図14(a)に示すように、カメラモジュール800は、2つのシングルカメラモジュール、即ち、シングルカメラモジュール801とシングルカメラモジュール802とを含んでよい。各シングルカメラモジュールは、レンズアセンブリと、イメージセンサと、第1基板と、ボイスコイルモータとのようなデバイスを含む。
図14(a)に示すように、シングルカメラモジュール801とシングルカメラモジュール802とは、1つの第1基板803を共有してよい。あるいは、
図14(b)に示すように、対応する第1基板804は、シングルカメラモジュール801内に配置されてよく、対応する第1基板805は、シングルカメラモジュール802内に配置されてよい。
【0080】
例えば、カメラモジュール800内の少なくとも1つのシングルカメラモジュールは、前述の実施形態で説明したボイスコイルモータ200を含んでよい。
【0081】
一例として、シングルカメラモジュール801はボイスコイルモータ200を含むが、シングルカメラモジュール802のボイスコイルモータはボイスコイルモータ200ではない。シングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータは、特に、AF(auto focus,オートフォーカス)モータ、又は四隅磁石モータのようなボイスコイルモータであってよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0082】
例えば、
図15(a)は、xy平面上のシングルカメラモジュール801の中のボイスコイルモータ200の構造の概略図である。シングルカメラモジュール801でのボイスコイルモータ200の具体的な構造については、前述の実施形態での
図2ないし
図12の関連する説明を参照するものとする。従って、ここでは、詳細については、再度説明しない。
【0083】
図15(b)は、xy平面上のシングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータ900(図示せず)の構造の概略図である。ボイスコイルモータ900は、四隅磁石タイプのモータである。ボイスコイルモータ900は、光学キャリア901を含み、コイル902が光学キャリア901に巻かれる。光学キャリア901の光軸の周りには、第1磁性片903と、第2磁性片904と、第3磁性片905と、第4磁性片906とが、それぞれボイスコイルモータ900の四隅に配置されてよい。通電された後、コイル902は、磁性片の磁場と相互作用して、z軸に平行なローレンツ力を生成し、光学キャリア901を駆動してz軸の方向に移動させることができる。
【0084】
例えば、なお
図15(a)及び
図15(b)に示すように、シングルカメラモジュール801の中のボイスコイルモータ200内にあり、カウンターウェイト205が配置された側部は、シングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータ900に近接するように設定してよい。ボイスコイルモータ200のカウンターウェイト205は磁性を持たないので、カウンターウェイト205をシングルカメラモジュール802に近づけることで、シングルカメラモジュール801とシングルカメラモジュール802との間の磁性片によって生じる磁気干渉を効果的に分離してよい。
【0085】
さらに、
図16(a)は、シングルカメラモジュール801の中のボイスコイルモータ200でのFPC基板400の構造の概略図である。FPC基板400の特定の構造については、
図5ないし
図12の関連する説明を参照するものとする。従って、ここでは、詳細については、再度説明しない。
【0086】
図16(b)は、シングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータ900内のFPC基板1000の構造の概略図である。同様に、光学キャリア901に対応する貫通孔1001が、FPC基板1000上に配置されている。貫通孔1001の周囲には、第1コイル1002、第2コイル1003、第3コイル1004、及び第4コイル1005が配置されている。第1コイル1002は、第1磁性片903と対向して配置され、第2コイル1003は、第2磁性片904と対向して配置され、第3コイル1004は、第3磁性片905と対向して配置され、第4コイル1005は、第4磁性片906と対向して配置されている。
【0087】
なお、
図16(b)に示すように、通電された後、第1コイル1002と第4コイル1005とは、対応する磁場の作用下で、第1対角方向aへのローレンツ力を生成して、光学キャリア901を駆動して第1対角方向aに移動させてよい。通電された後、第2コイル1003と第3コイル1004とは、対応する磁場の作用下で、第2対角方向bへのローレンツ力を生成して、光学キャリア901を駆動して第2対角方向bに移動させてよい。
【0088】
例えば、
図17に示すように、磁気センサは、第1コイル1002、第2コイル1003、第3コイル1004、及び第4コイル1005のうち任意の2つの隣接するコイルに配置されてよい。例えば、第1ホールセンサ1101は、第1コイル1002に配置されてよく、第2ホールセンサ1102は、第2コイル1003に配置されてよい。このように、光学キャリア901がy軸(又はx軸)の方向に移動する場合に、第1ホールセンサ1101(又は第2ホールセンサ1102)は、感知された磁場変化を対応する電気信号に変換し、電気信号をFPC基板1000上のドライバチップ(図示せず)へ伝送することができる。その結果、ドライバチップは、電気信号に基づいて、及び第1対角方向a(又は第2対角方向b)で、光学キャリア901内のレンズアセンブリの移動に閉ループ制御を実現することができる。
【0089】
このように、カメラモジュール800では、カメラモジュール800内のシングルカメラモジュール801は、x軸、y軸、及びz軸の3方向で、シングルカメラモジュール801のレンズアセンブリの移動に閉ループ制御を実現することができる。カメラモジュール800内のシングルカメラモジュール802は、第1対角方向aと第2対角方向bとで、シングルカメラモジュール802のレンズアセンブリの移動に閉ループ制御を実現することができる。
【0090】
他のいくつかの実施形態では、代わりに、シングルカメラモジュール801とシングルカメラモジュール802との中のボイスコイルモータは、ともに、前述の実施形態で説明したボイスコイルモータ200に設定されてよい。
【0091】
この場合に、
図18(a)は、xy平面上のシングルカメラモジュール801の中のボイスコイルモータ200の構造の概略図である。
図18(b)は、xy平面上のシングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータ200の構造の概略図である。シングルカメラモジュール801の中のボイスコイルモータ200の構造と、シングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータ200の構造とは、カウンターウェイト205が配置された側部に沿って鏡対称に配置されている。
【0092】
換言すれば、シングルカメラモジュール801内にありカウンターウェイト205が配置された側部は、シングルカメラモジュール802内にありカウンターウェイト205が配置された側部に隣接している。このように、シングルカメラモジュール801内の磁性片は、シングルカメラモジュール802内の磁性片から一層遠く、これにより、シングルカメラモジュール801とシングルカメラモジュール802との間の磁性片による磁気干渉を低減する。
【0093】
図18(a)及び
図18(b)に対応して、
図19(a)は、シングルカメラモジュール801の中のボイスコイルモータ200でのFPC基板400の構造概略図である。
図19(b)は、シングルカメラモジュール802の中のボイスコイルモータ200でのFPC基板400の構造概略図である。これに対応して、2つのFPC基板も鏡面対称に配置されている。ボイスコイルモータ200とボイスコイルモータ200でのFPC基板400との具体的な構造については、前述の実施形態の
図2ないし
図12の関連説明を参照するものとする。従って、ここでは、詳細については、再度説明しない。
【0094】
シングルカメラモジュール801とシングルカメラモジュール802との中のボイスコイルモータがともにボイスコイルモータ200である場合に、カメラモジュール800内の各シングルカメラモジュールは、x軸、y軸及びz軸の3方向でのシングルカメラモジュールのレンズアセンブリの移動の閉ループ制御を実施することができる。このようにして、カメラモジュール800全体のフォーカシング及び防振性能が向上される。
【0095】
当然、代替的に、ボイスコイルモータ200は、3つ以上のレンズアセンブリを備えたカメラモジュール内に配置されてよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0096】
さらに、本出願の一実施形態は、電子デバイスを提供する。ボイスコイルモータ200を有するカメラモジュール、例えば、カメラモジュール700、又はカメラモジュール800は、電子デバイス内に配置されてよい。カメラモジュール800が、一例として使用される。
図20に示すように、カメラモジュール800は、電子デバイスの後側ハウジング1401上の任意の位置に配置されてよい。当然、代替的に、カメラモジュール800は、電子デバイスの前側パネル、又は電子デバイス上の別の位置に配置されてよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0097】
電子デバイスは、具体的には、カメラ機能を有する電子デバイス、即ち、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ(ultra-mobile personal computer, UMPC)、ハンドヘルドコンピュータ、ネットブック、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant, PDA)、ウェアラブル電子デバイス、車載デバイス、又はバーチャルリアリティデバイスであってよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0098】
例えば、ボイスコイルモータ200を備えたカメラモジュールに加えて、電子デバイスはさらに、プロセッサ、外部メモリインターフェース、内部メモリ、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus, USB)インターフェース、アンテナ、移動通信モジュール、無線通信モジュール、オーディオモジュール、スピーカ、受話器、マイクロホン、ヘッドセットジャック、センサモジュール、充電管理モジュール、電力管理モジュール、バッテリ、キー、インジケータ、1つ以上のSIMカードインターフェースなどを含んでよい。これは、本出願のこの実施形態で限定されない。
【0099】
前述の説明は、本出願の実施形態の特定の実施形態に過ぎないが、本出願の実施形態の保護範囲を制限することを意図しない。本出願の実施形態において開示される技術的範囲内の任意の変更又は代替は、本出願の実施形態の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本出願の実施形態の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものとする。