(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電池及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20240701BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240701BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/51
H01M50/505
H01M50/204 401D
H01M50/583
H01M50/548 101
(21)【出願番号】P 2022538376
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2021081760
(87)【国際公開番号】W WO2022126883
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】202011507137.8
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522021826
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲時▼代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1000 Chengbei Road, Kunlun Street, Liyang City, Changzhou, Jiangsu 213300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼凡
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼思恩
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/047258(WO,A1)
【文献】特開2011-159518(JP,A)
【文献】特開2018-097988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0064516(US,A1)
【文献】特開2005-166584(JP,A)
【文献】特開2001-325931(JP,A)
【文献】特開2003-077442(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112242594(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれケースと前記ケースの両側に設けられ且つ極性が逆である二つの電極接続部とを有し、第1の電池ユニット及び第2の電池ユニットを備える少なくとも二つの直列に接続された電池ユニットと、
ケースの一側に設けられ、前記第1の電池ユニットの前記二つの電極接続部の一方と前記第1の電池ユニット及び前記第2の電池ユニットの一方のケースとを電気的に接続するための導電部材と、
前記ケースの他側に設けられ、信号検出ラインを有する信号検出部材と、を備え、
前記信号検出ラインは、前記第1の電池ユニットの前記二つの電極接続部の他方と前記第1の電池ユニット及び前記第2の電池ユニットの一方の前記ケースとを電気的に接続するために用いられ、且つ、前記信号検出ライン及び前記導電部材が同一の前記電池ユニットの前記ケースに電気的に接続されることで、前記信号検出ラインが同一の前記電池ユニットの前記ケース及び前記導電部材を介して前記第1の電池ユニットの前記二つの電極接続部とともに検出回路を形成することにより、前記第1の電池ユニットの温度又は電圧信号の検出を実現可能であり、
前記信号検出部材は、プリント回路基板(PCB)又はフレキシブル回路基板(FPC)であり、
前記ケースの一側に設けられ、前記第1の電池ユニットと前記第2の電池ユニットの前記電極接続部を電気的に接続することで直列接続を実現するための第1のバスバー部材を更に備え、
前記導電部材は、前記第1のバスバー部材と前記ケースとを電気的に接続するために用いられ、
前記導電部材は、互いに接続された第1のピンと第2のピンとを備え、前記第1のピンは、前記第1のバスバー部材を電気的に接続するために用いられ、前記第2のピンは、前記ケースを電気的に接続するために用いられ、
前記第1のピンと前記第2のピンとは別体に設けられ、
前記第1のピンと前記第2のピンとを電気的に接続するための接続部材をさらに備え、
前記二つの電極接続部は、第1の電極接続部及び第2の電極接続部を備え、前記少なくとも二つの電池ユニットは、前記第2の電池ユニットと直列に接続される第3の電池ユニットをさらに備え、前記ケースの同じ側に、前記第1の電極接続部と前記第2の電極接続部とは順次交互に分布され、
前記第1のバスバー部材は、前記第1の電池ユニットの第1の電極接続部と前記第2の電池ユニットの前記第2の電極接続部とを接続するために用いられ、
前記ケースの他側に設けられ、前記第2の電池ユニットの前記第1の電極接続部と前記第3の電池ユニットの前記第2の電極接続部とを接続するための第2のバスバー部材をさらに備え、
前記信号検出ラインは、前記第1の電池ユニットの前記第2の電極接続部、前記第2のバスバー部材及び前記ケースを電気的に接続するために用いられる電池。
【請求項2】
前記導電部材は、前記第1のバスバー部材の一側から外向きに延伸して形成される請求項
1に記載の電池。
【請求項3】
前記接続部材に、電流が閾値に達したときに前記第1のピンと前記第2のピンとの間を遮断するように溶断するための第1の溶断部が設けられる請求項
1に記載の電池。
【請求項4】
前記導電部材には、電流が閾値に達したときに前記電極接続部と前記ケースとの間を遮断するように溶断するための第2の溶断部が設けられる請求項1~
3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記第2の溶断部は、前記導電部材の部分断面が収縮して形成される請求項
4に記載の電池。
【請求項6】
前記電極接続部は、第1の方向に沿って前記ケースの外面から突出して設けられ、
前記ケースに第1の接続部が設けられ、前記導電部材に第2の接続部が設けられ、前記第1の接続部と前記第2の接続部のうちの少なくとも一方は、前記第1の方向に沿って延設され、前記第1の接続部と前記第2の接続部とは、前記導電部材を前記ケースに接続するように互いに接続される請求項1~
5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記第1の接続部は、前記第1の方向に沿って前記ケースの外面から突出して設けられ、
前記第2の接続部は、前記第1の接続部の前記ケースと反対側の表面に重なって接続され、又は、前記第2の接続部は、前記第1の接続部の周側に取り囲まれて設けられる請求項
6に記載の電池。
【請求項8】
電気エネルギーを供給するための請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月18日に提出された名称が「電池及び装置」である中国特許出願202011507137.8の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に電池及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車技術がますます改善されるに伴い、電気自動車が人々の生活からますます近くなり、同時に電気自動車にエネルギーを供給する電池の性能要求がますます高くなっている。現在、電池のエネルギー貯蔵量を向上させるために、電池に複数の電池ユニットが設けられ、複数の電池ユニットが電池に並んで設けられるのが一般的である。電池の安全性を保証するために、複数の電池ユニットの電気的パラメータ(例えば電圧又は温度)を収集し検出する必要があり、現在、上記電気的パラメータを収集し検出するための信号検出部材には、配線が複雑であることによる信頼性が低いという問題があった。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例は、電池及び装置を提供し、電池における信号検出部材の配線が複雑であることによる信頼性が低いという問題を解決することを目的とする。
【0005】
本願の第1の態様の実施例は、それぞれケースとケースの両側に設けられ且つ極性が逆である二つの電極接続部とを有し、直列に接続された第1の電池ユニット及び第2の電池ユニットを備える少なくとも二つの電池ユニットと、ケースの一側に設けられ、第1の電池ユニットの二つの電極接続部の一方と第1の電池ユニット及び第2の電池ユニットの一方のケースとを電気的に接続するための導電部材と、ケースの他側に設けられ、信号検出ラインを有する信号検出部材と、を備え、信号検出ラインは、第1の電池ユニットの二つの電極接続部の他方と第1の電池ユニット及び第2の電池ユニットの一方のケースとを電気的に接続するために用いられ、且つ、信号検出ライン及び導電部材が同一の電池ユニットのケースに電気的に接続されることで、信号検出ラインが同一の電池ユニットのケース及び導電部材を介して第1の電池ユニットの二つの電極接続部とともに検出回路を形成することにより、第1の電池ユニットの温度又は電圧信号の検出を実現可能である電池を提供する。
【0006】
いくつかの実施例において、ケースの一側に設けられ、第1の電池ユニットと第2の電池ユニットの電極接続部を電気的に接続することで直列接続を実現するための第1のバスバー部材を更に備え、導電部材は、第1のバスバー部材とケースとを電気的に接続するために用いられる。
【0007】
第1のバスバー部材を設置することにより、第1の電池ユニットと第2の電池ユニットとの直列接続を実現することができるだけでなく、第1のバスバー部材に第1の電池ユニットと第2の電池ユニットの一側に位置する二つの電極接続部の電気的パラメータを備えさせる。導電部材は、第1のバスバー部材とケースとに接続されることで、該二つの電極接続部の電気的パラメータ情報を導電部材とケースを介してケースの他側に伝送することができ、信号検出ラインはケースの他側で第1の電池ユニットと第2の電池ユニットの温度又は電圧信号を検出することができ、さらに検出回路全体のライン配置を簡略化し、検出回路の信頼性を向上させることができる。
【0008】
いくつかの実施例において、導電部材は、第1のバスバー部材の一側から外向きに延伸して形成される。即ち、導電部材は第1のバスバー部材と一体成形され、このようにして、導電部材と第1のバスバー部材の構造を簡略化し、導電部材と第1のバスバー部材との間の接続の安定性及び信頼性を向上させることができる。
【0009】
いくつかの実施例において、導電部材は、互いに接続された第1のピンと第2のピンとを備え、第1のピンは、第1のバスバー部材を電気的に接続するために用いられ、第2のピンは、ケースを電気的に接続するために用いられる。このようにして、導電部材と第1のバスバー部材及びケースとの接続が互いに影響せず、電池の組み立てを簡略化することができる。
【0010】
いくつかの実施例において、第1のピンと第2のピンとは別体に設けられ、電池は、第1のピンと第2のピンとを電気的に接続するための接続部材をさらに備える。
【0011】
いくつかの実施例において、接続部材に、電流が閾値に達したときに第1のピンと第2のピンとの間を遮断するように溶断するための第1の溶断部が設けられる。このようにして、電池の安全性能を向上させることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、二つの電極接続部は、第1の電極接続部及び第2の電極接続部を備え、電池ユニットは、第2の電池ユニットと直列に接続される第3の電池ユニットをさらに備え、ケースの同じ側に、第1の電極接続部と第2の電極接続部とは順次交互に分布され、第1のバスバー部材は、第1の電池ユニットの第1の電極接続部と第2の電池ユニットの第2の電極接続部とを接続するために用いられ、電池は、ケースの他側に設けられ、第2の電池ユニットの第1の電極接続部と第3の電池ユニットの第2の電極接続部とを接続するための第2のバスバー部材をさらに備え、信号検出ラインは、第1の電池ユニットの第2の電極接続部、第2のバスバー部材及びケースを電気的に接続するために用いられる。
【0013】
ケースの同じ側に、第1の電極接続部と第2の電極接続部とは順次交互に分布されることにより、ケースの一側に位置する第1のバスバー部材とケースの他側に位置する第2のバスバー部材は異なる電池ユニットの異なる電極接続部に接続することができ、例えば第1のバスバー部材は第1の電池ユニットの第1の電極接続部と第2の電池ユニットの第2の電極接続部とに接続され、第2のバスバー部材は第2の電池ユニットの第1の電極接続部と第3の電池ユニットの第2の電極接続部とに接続され、三つ以上の電池ユニットは第1のバスバー部材と第2のバスバー部材とを介して直列接続することができる。
【0014】
また、第1の電池ユニットの第1の電極接続部は、第1のバスバー部材、導電部材、同一の電池ユニットのケース、信号検出ラインを介して第1の電池ユニットの第2の電極接続部との間に検出回路を形成することにより、信号検出部材は第1の電池ユニットの温度又は電圧信号を検出することができる。
【0015】
第2の電池ユニットの第2の電極接続部は第1のバスバー部材に接続され、第2の電池ユニットの第1の電極接続部は第2のバスバー部材に接続され、第2の電池ユニットの第2の電極接続部は第1のバスバー部材、導電部材、同一の電池ユニットのケース、信号検出ライン、第2のバスバー部材を介して第2の電池ユニットの第1の電極接続部との間に検出回路を形成することにより、信号検出部材は第2の電池ユニットの温度又は電圧信号を検出することができる。
【0016】
いくつかの実施例において、導電部材には、電流が閾値に達したときに電極接続部とケースとの間を遮断するように溶断するための第2の溶断部が設けられる。このようにして、電池の安全性能を向上させることができる。
【0017】
いくつかの実施例において、第2の溶断部は、導電部材の部分断面が収縮して形成される。
【0018】
これらの実施例では、第2の溶断部の部分断面が小さい。電流が閾値に達すると、第2の溶断部は導電部材の他の部位よりも先に溶断する。導電部材が第2の溶断部の存在する位置から切断され、電極接続部とケースとの間の電気的接続が遮断される。また、第2の溶断部は導電部材の部分断面が収縮して形成されるので、導電部材の構造を簡略化することができ、導電部材内にヒューズを設ける必要がなく、導電部材の加工成形及び取り付けが容易であり、電池の製造及び取付コストを低減することができる。
【0019】
いくつかの実施例において、電極接続部は、第1の方向に沿ってケースの外面から突出して設けられ、ケースに第1の接続部が設けられ、導電部材に第2の接続部が設けられ、第1の接続部と第2の接続部のうちの少なくとも一方は、第1の方向に沿って延設され、第1の接続部と第2の接続部とは、導電部材をケースに接続するように互いに接続される。第1の接続部及び/又は第2の接続部により、電極接続部のケースの外面から突出する高さの差を補うことができ、それにより導電部材とケースとの接続をより安定させることができる。
【0020】
いくつかの実施例において、第1の接続部は、第1の方向に沿ってケースの外面から突出して設けられ、第2の接続部は、第1の接続部のケースと反対側の表面に重なって接続され、又は、第2の接続部は、第1の接続部の周側に取り囲まれて設けられる。
【0021】
本願の第2の態様の実施例は、電気エネルギーを供給するための上記いずれかの第1の態様の実施例の電池を備える装置を提供する。
【0022】
本願の第1の態様の実施例に係る電池において、電池は、電池ユニット、導電部材及び信号検出部材を備える。電池ユニットは、ケースと二つの極性が逆である電極接続部とを有し、第1の電池ユニットと第2の電池ユニットとは互いに直列接続され、導電部材は、第1の電池ユニットの電極接続部の一方を第1の電池ユニット及び第2の電池ユニットの一方のケースに接続するために用いられるので、該ケースは該電極接続部の電気信号を備える。信号検出部材の信号検出ラインは、第1の電池ユニットの電極接続部の他方とケースとを電気的に接続し、かつ信号検出ラインと導電部材とは同一のケースに接続される。即ち、第1の電池ユニットにおけるケースの一側に位置する電極接続部の一方は、該ケース及び導電部材を介して信号検出ラインに接続され、信号検出ラインは同時に第1の電池ユニットにおけるケースの他側に位置する電極接続部の他方に接続される。したがって、信号検出ラインは、導電部材とケースを介して第1の電池ユニットの二つの電極接続部との間に検出回路を形成することにより、信号検出部材は、第1の電池ユニットの温度又は電圧信号を検出することができる。
【0023】
本願の実施例において、信号検出部材はケースの他側に設けられ、信号検出ラインはケースの同じ側で第1の電池ユニットにおけるケースの両側に位置する二つの電極接続部に接続することができ、信号検出ラインは、ケースの両側に跨って設ける必要がない。このため、本願の実施例は、信号検出ラインの配線方式を簡略化し、信号検出ラインの信頼性を向上させ、さらに電池の安全性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明された図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0025】
以下の図面を参照して非限定的な実施例に対する詳細な説明を読むことにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明らかになり、ここで、同一又は類似の参照符号は同一又は類似の特徴を示す。図面において、図面は実際の比率に応じて描かれていない。
【
図1】本願の実施例に係る車両の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例に係る電池の爆発の模式図である。
【
図4】本願の実施例に係る電池の第2の側の構造模式図である。
【
図5】本願の実施例に係る電池の別の視角での構造模式図である。
【
図6】本願の実施例に係る電池の第1の側の構造模式図である。
【
図7】本願の他の実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図8】本願の他の実施例に係る電池の第1の側の構造模式図である。
【
図9】
図7におけるI箇所での部分拡大構造模式図である。
【
図10】本願の他の実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図11】本願の他の実施例に係る電池の第1の側の構造模式図である。
【
図12】
図7におけるI箇所での部分拡大構造模式図の他の実施例である。
【
図13】
図7におけるI箇所での部分拡大構造模式図の他の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願の各態様の特徴及び例示的な実施例について詳細に説明する。以下の詳細な説明において、多くの具体的な細部を提供して、本願の全面的な理解を提供する。しかしながら、当業者にとって、本願はこれらの具体的な細部のうちのいくつかの細部を必要とせずに実施することができる。以下に実施例の説明は本願の例示により本願のよりよい理解を提供するに過ぎない。図面及び以下の説明において、本出願を不必要に曖昧にすることを回避するために、少なくとも部分的な公知の構造及び技術は示されない。そして、明確にするために、一部の構造のサイズを誇張している可能性がある。また、以下に説明された特徴、構造又は特性は任意の適切な方式で一つ以上の実施例に結合することができる。
【0027】
説明すべきものとして、本願の説明において、特に説明がない限り、「複数」の意味は二つ以上である。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が指示する方位又は位置関係は、単に本願を説明しやすく、説明を簡略化するためのものであり、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造・操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、「第1」、「第2」などの用語は、単に説明の目的で用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解できない。
【0028】
次の説明に使用される方向用語は、いずれも図面に示す方向であり、本願の実施例の具体的な構造を限定するものではない。また、説明すべきものとして、本願の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体的な接続であってもよく、また、直接接続であってもよく、中間媒体を介する間接接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0029】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を備えることができるが、本願の実施例はこれらに限定されるものではない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状等を呈することができるが、本願の実施例はこれらに限定されるものではない。電池セルは、一般的に、パッケージの方式で柱状電池セル、角型電池セル及びソフトパック電池セルの三つに分けられるが、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0030】
本願の実施例に記載された電池とは、より高い電圧及び容量を提供するために一つ又は複数の電池セルを備える単一の物理モジュールを指す。例えば、本願に記載された電池は、電池モジュール又は電池パック等を備えることができる。電池は、一般的に一つ又は複数の電池セルを封止するための筐体を備える。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0031】
電池セルは、正極シート、負極シート及びセパレータで構成される電極アセンブリと電解液とを備える。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することにより動作する。正極シートは、正極集電体及び正極活物質層を備え、正極活物質層は正極集電体の表面に被覆され、正極活物質層が被覆されていない集電体は、正極活物質層が被覆された集電体から突出し、正極活物質層が被覆されていない集電体は、正極タブとする。リチウムイオン電池を例とし、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体及び負極活物質層を備え、負極活物質層は負極集電体の表面に被覆され、負極活物質層が被覆されていない集電体は、負極活物質層が被覆された集電体から突出し、負極活物質層が被覆されていない集電体は負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素やシリコン等であってもよい。溶断することなく大電流を流すことを保証するために、正極タブの数は複数であり、かつ積層され、負極タブの数は複数であり、かつ積層されている。セパレータの材質はPPやPE等であってもよい。また、電極組立体は、巻回式構造であってもよく、積層式構造であってもよいが、本願の実施例はこれらに限定されない。電池セルの正極タブ及び負極タブは、それぞれ電池セルにおける逆極性の二つの電極端子に電気的に接続され、電気エネルギーを出力する。
【0032】
現在、電池パックのスペース効率を向上させるために、電池パック内の複数の電池セルは、通常横置きに配置され、即ち電池セルの電極端子は、電池セルの水平方向における両側に位置する。電池セルの温度又は電圧信号を収集するための検出ラインは、二つの電極端子との間に検出回路を形成するために、電池セルの二つの電極端子に接続される必要がある。電池セルの電極端子が電池セルの水平方向における両側に位置する場合、検出ラインは電池セルの両側に配置される必要があるため、検出ラインの配線が複雑になり、検出ラインの信頼性を低下させ、かつ検出ラインのコストが高くなり、電池の安全性能を低下させる。
【0033】
上記技術的問題を解決するために、本願が提案されている。本願をより良く理解するために、本願の実施例の電池及び装置について、
図1~
図13を参照して以下に詳細に説明する。
【0034】
本願の第1の態様の実施例は、電池を電源として用いる電気装置を提供する。この電気装置は、車両、船舶や航空機等であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本願の実施例に記載の技術的解決手段は、いずれも電池を使用する様々な装置に適用可能であり、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、バッテリーカー、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙船等であり、例えば、宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を備える。
【0036】
本願の実施例に記載の技術的解決手段は、上記した装置のみに限定されるものではなく、電池を使用する装置全体に適用することができると理解すべきが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
【0037】
図1を参照すると、本願の実施例は車両1を提供する。車両1は、エンジン駆動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車や長距離型自動車等であってもよい。
【0038】
本願の実施例において、車両1は、モータ1a、コントローラ1b及び電池10を備えることができる。コントローラ1bは、モータ1aに電力を供給するように電池10を制御するために用いられる。モータ1aは、伝動機構により車輪に接続されることで、車両1の走行を駆動する。電池10は、燃料又は天然ガスに代えて又は部分的に代えて、車両1の駆動電源とし、車両1に駆動動力を提供することができる。
【0039】
一例では、車両1の底部又は前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は、車両1に電力を供給するために用いられてもよい。一例において、電池10は、車両1の操作電源として、車両1の回路システムに用いられる。いくつかの実施例において、電池10は、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の作業用電気需要に用いることができる。
【0040】
図2及び
図3を併せて参照すると、
図2は本願の実施例に係る電池10の構造模式図である。
図3は本願の実施例に係る電池10の爆発の模式図である。
【0041】
本願の実施例に係る電池10によれば、電池10は、少なくとも二つの電池ユニット100と、導電部材200と、信号検出部材300とを備え、電池ユニット100は、ケース110及びケース110の両側に設けられかつ極性が逆である二つの電極接続部120を有し、直列に接続された第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bを備え、導電部材200は、ケース110の一側に設けられ、第1の電池ユニット100aの二つの電極接続部120の一方と第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bの一方のケース110とを電気的に接続するために用いられ、信号検出部材300は、ケース110の他側に設けられ、信号検出ライン310を有し、信号検出ライン310は、第1の電池ユニット100aの二つの電極接続部120の他方と第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bの一方のケース110とを電気的に接続するために用いられ、且つ、信号検出ライン310及び導電部材200が同一の電池ユニット100のケース110に電気的に接続されることで、信号検出ライン310が同一の電池ユニット100のケース110及び導電部材200を介して第1の電池ユニット100aの二つの電極接続部120とともに検出回路を形成することにより、第1の電池ユニット100aの温度又は電圧信号の検出を実現可能である。
【0042】
本願の第1の態様の実施例に係る電池10において、電池10は、電池ユニット100、導電部材200及び信号検出部材300を備える。電池ユニット100は、ケース110と二つの極性が逆である電極接続部120とを有し、第1の電池ユニット100aと第2の電池ユニット100bは、互いに直列接続され、導電部材200は、第1の電池ユニット100aの電極接続部120の一方を第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bの一方のケース110に接続するために用いられ、したがって、該ケース110は該電極接続部120の電気信号を有する。信号検出部材300の信号検出ライン310は、第1の電池ユニット100aの電極接続部120の他方及びケース110に電気的に接続され、かつ信号検出ライン310と導電部材200とが同じケース110に接続される。信号検出部材300は、プリント回路基板(完全な名称:Printed circuit board、PCBと略称)又はフレキシブル回路基板(完全な名称:Flexible circuit board、FPCと略称)であってもよく、信号検出ライン310は、PCB又はFPCに配置された金属導電箔、例えば銅箔又はアルミニウム箔であってもよい。第1の電池ユニット100aにおけるケース110の一側に位置する電極接続部120の一方は、該ケース110及び導電部材200を介して信号検出ライン310に接続され、信号検出ライン310は、同時に第1の電池ユニット100aにおけるケース110の他側に位置する電極接続部120の他方に接続される。したがって、信号検出ライン310は、信号検出部材300が第1の電池ユニット100aの温度又は電圧信号を検出することができるように、導電部材200及びケース110を介して第1の電池ユニット100aの二つの電極接続部120との間に検出回路を形成する。
【0043】
本願の実施例において、信号検出部材300は、ケース110の他側に設けられ、信号検出ライン310は、ケース110の同じ側で第1の電池ユニット100aにおけるケース110の両側に位置する二つの電極接続部120に接続することができ、ケース110の両側に跨って設ける必要がない。したがって、本願の実施例は、信号検出ライン310の配線形態を簡素化し、信号検出ライン310の信頼性を向上させ、さらに電池10の安全性能を向上させることができる。
また、本願の実施例に係る電池10において、電池ユニット100のケース110は、導電部材200を介して電極接続部120と互いに接続されるので、電池ユニット100の電極接続部120がケース110に直接接続されることに対して、電極接続部120とケース110との間の絶縁不良による安全性の問題を改善し、電池10の安全性能を向上させることができる。
【0044】
電池ユニット100は、一つの電池セル13を含んでいてもよい。あるいは、電池ユニット100は、互いに並列に接続された二つ以上の電池セル13を備える。電池ユニット100が一つの電池セル13を備える場合、電池ユニット100のケース110は該電池セル13のケース110であり、電極接続部120は、該電池セル13の電極端子13aである。電池ユニット100が二つ以上の互いに並列に接続された電池セル13を備える場合、電池ユニット100のケース110は、該二つ以上の互いに並列に接続されたいずれかの電池セル13のケース110であってもよく、電池ユニット100の電極接続部120はいずれかの電池セル13の電極端子13aであってもよく、又は電池ユニット100の電極接続部120は、二つ以上の電池セル13における極性が同じでかつ互いに並列に接続された電極端子13aからなる電極端子群であってもよい。
【0045】
本願の実施例は、電池ユニット100が一つの電池セル13を備えることを例とする。この時に、電池ユニット100のケース110は該電池セル13のケース110であり、電池ユニット100の電極接続部120が該電池セル13の電極端子13aである。
【0046】
電池ユニット100が一つの電池セル13を備える場合、電池10は、少なくとも二つの電池セル13を備え、電池セル13は、ケース110とケース110の両側に設けられかつ極性が逆である電極端子13aとを有し、電池セル13は直列に接続された第1の電池セル及び第2の電池セルを備える。導電部材200は、第1の電池セルの電極端子13aの一方と第1の電池セル及び第2の電池セルの一方のケース110とを接続するために用いられ、例えば、導電部材200は、第1の電池セルの電極端子13aの一方と第2の電池セルのケース110とを接続するために用いられる。信号検出部材300の信号検出ライン310は、第1の電池セルの電極端子13aの他方及び第2の電池セルのケース110を接続するために用いられる。
【0047】
したがって、第1の電池セルの電極端子13aの一方は、導電部材200、第2の電池ユニット100bのケース110、信号検出ライン310を介して第1の電池セルの電極端子13aの他方との間に検出回路を形成することで、信号検出部材300が信号検出ライン310により第1の電池セルの温度又は電圧信号を検出することができる。
【0048】
他の実施例において、導電部材200は、第1の電池セルの電極端子13aの一方及び第1の電池セルのケース110に接続され、信号検出ライン310は、第1の電池セルの電極端子13aの他方及び第1の電池セルのケース110に接続されてもよい。信号検出ライン310は、導電部材200と第1の電池セルのケース110を介して第1の電池セルの二つの電極端子13aとの間に検出回路を形成することで、信号検出部材300が信号検出ライン310により第1の電池セルの温度又は電圧信号を検出することができる。
【0049】
本願の実施例において、導電部材200及びケース110によりケース110の一側に位置する電極端子13aにおける電気信号をケース110の他側に伝送することにより、信号検出ライン310はケース110の他側に第1の電池セルの二つの電極端子13aを接続することができる。したがって、信号検出ライン310をケース110の両側に跨って設ける必要がなく、信号検出ライン310の配線方式を簡略化し、信号検出ライン310の信頼性を向上させ、さらに電池10の安全性能を向上させることができる。
【0050】
ケース110の両側は、例えばケース110の長手方向(
図2におけるX方向)における両側であり、ケース110の両側は、第1の側と第2の側とを備え、導電部材200は第1の側に位置し、信号検出部材300は第2の側に位置する。即ち、ケース110の一側は第1の側であり、ケース110の他側は第2の側である。
【0051】
図4~
図6を併せて参照すると、
図4は本願の実施例に係る電池10の第2の側の構造模式図である。
図5は本願の実施例に係る電池10の他の視角での構造模式図である。
図6は本願の実施例に係る電池10の第1の側の構造模式図である。
【0052】
本願の実施例に係る電池10によれば、電池10は、ケース110の第1の側に設けられ、第1の電池ユニット100aと第2の電池ユニット100bの電極接続部120を電気的に接続することで、直列接続を実現するための第1のバスバー部材400をさらに備え、導電部材200は、第1のバスバー部材400とケース110とを電気的に接続するために用いられる。
【0053】
本実施例における導電部材200は、第1の電池ユニット100aのケース110又は第2の電池ユニット100bのケース110に接続され、信号検出ライン310に接続されたケース110は導電部材200に接続されたケース110と同じであってもよい。例えば、導電部材200が第1の電池ユニット100aのケース110に接続される場合、信号検出ライン310も第1の電池ユニット100aのケース110に接続され、導電部材200が第2の電池ユニット100bのケース110に接続される場合、信号検出ライン310も第2の電池ユニット100bのケース110に接続される。
【0054】
これらの実施例において、第1のバスバー部材400を設置することにより、第1の電池ユニット100aと第2の電池ユニット100bとの直列接続を実現することができ、第1のバスバー部材400は第1の電池ユニット100aと第2の電池ユニット100bの第1の側の二つの電極接続部120に接続される。導電部材200は、第1のバスバー部材400とケース110に接続され、第1の電池ユニット100aと第2の電池ユニット100bにおける第1の側に位置する電極接続部120の電気的パラメータ情報を導電部材200とケース110を介してケース110の第2の側に伝送することができる。信号検出ライン310は、ケース110の第2の側で第1の電池ユニット100aと第2の電池ユニット100bの温度又は電圧信号を検出することができ、さらに検出回路全体のライン配置を簡略化し、検出回路の信頼性を向上させることができる。
【0055】
電池10内の電池ユニット100の数は三つ以上であり、電池ユニット100はさらに第2の電池ユニット100bに直列に接続された第3の電池ユニット100cを含んでもよい。同じ電池ユニット100における二つの電極接続部120は、第1の電極接続部121及び第2の電極接続部122を備え、第1の電極接続部121は例えば正電極接続部であり、第2の電極接続部122は例えば負電極接続部である。
【0056】
導電部材200は、第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bの一方のケース110に接続されている。例えばケース110がアルミニウムケースである場合、導電部材200は正電極接続部が位置するケース110に接続される。即ち、電池ユニット100の正電極接続部をそのケース110に接続することにより、ケース110自体が正に帯電し、アルミニウムケースの腐食状況を改善することができる。他の実施例において、例えばケース110はスチールシェルである場合、導電部材200は負電極接続部が位置するケース110に接続される。即ち、電池ユニット100の負電極接続部をそのケース110に接続することにより、ケース110自体が負に帯電し、スチールシェルの腐食状況を改善することができる。
【0057】
本願の実施例では、ケース110の材料がアルミニウムであり、ケース110がアルミニウムケースであり、第1の電極接続部121が正電極接続部であり、第2の電極接続部122が負電極接続部である例として挙げて説明する。導電部材200は、第1のバスバー部材400と第1の電池ユニット100aのケース110とに接続される。
【0058】
引き続き
図2~
図6を参照して、三つ以上の電池ユニット100が厚さ方向(即ち
図2におけるY方向)に沿って並んで配置される場合、ケース110の同じ側に、第1の電極接続部121及び第2の電極接続部122が順次交互に分布される。第1のバスバー部材400は、第1の電池ユニット100aの第1の電極接続部121と、第2の電池ユニット100bの第2の電極接続部122とを接続するために用いられる。
【0059】
電池10は、ケース110の第2の側に設けられ、第2の電池ユニット100bの第1の電極接続部121と第3の電池ユニット100cの第2の電極接続部122とを接続するための第2のバスバー部材500をさらに備え、信号検出ライン310は、第1の電池ユニット100aの第2の電極接続部122、第2のバスバー部材500及びケース110を電気的に接続するために用いられる。
【0060】
これらの実施例において、ケース110の同じ側に、第1の電極接続部121と第2の電極接続部122が順次交互に分布され、それによりケース110の第1の側に位置する第1のバスバー部材400とケース110の第2の側に位置する第2のバスバー部材500は、異なる電池ユニット100の異なる電極接続部120に接続することができ、例えば第1のバスバー部材400は第1の電池ユニット100aの第1の電極接続部121と第2の電池ユニット100bの第2の電極接続部122とに接続され、第2のバスバー部材500は、第2の電池ユニット100bの第1の電極接続部121と第3の電池ユニット100cの第2の電極接続部122に接続され、三つ以上の電池ユニット100は第1のバスバー部材400と第2のバスバー部材500により直列接続することができる。
【0061】
本願の実施例において、信号検出部材300が第1の電池ユニット100aの温度又は電圧信号を検出することができるように、第1の電池ユニット100aの第1の電極接続部121は第1のバスバー部材400、導電部材200、第1の電池ユニット100aのケース110、信号検出ライン310を介して第1の電池ユニット100aの第2の電極接続部122との間に検出回路を形成する。
【0062】
信号検出部材300が、第2の電池ユニット100bの温度又は電圧信号を検出することができるように、第2の電池ユニット100bの第2の電極接続部122は、第1のバスバー部材400に接続され、第2の電池ユニット100bの第1の電極接続部121は、第2のバスバー部材500に接続され、第2の電池ユニット100bの第2の電極接続部122は、第1のバスバー部材400、導電部材200、第1の電池ユニット100aのケース110、信号検出ライン310、第2のバスバー部材500を介して第2の電池ユニット100bの第1の電極接続部121との間に検出回路を形成する。
【0063】
いくつかの実施例において、第1の電池ユニット100aが複数の並設された電池ユニット100の一端に位置する場合、即ち、複数の電池ユニット100における第1の電池ユニット100a以外の他の電池ユニット100がいずれも第1の電池ユニット100aのY方向に沿った同じ側に位置する場合、第1の電池ユニット100aの第2の電極接続部122は、信号検出ライン310と直接的に互いに接続されてもよく、又は第1の電池ユニット100aは第3のバスバー部材600により信号検出ライン310と互いに接続されてもよく、第3のバスバー部材600は第1の電池ユニット100aの第2の電極接続部122及び信号検出ライン310を接続するために用いられる。
【0064】
第3のバスバー部材600は、第1のバスバー部材400及び第2のバスバー部材500と異なり、一つの電池ユニット100の電極接続部120を接続するために用いられる。
【0065】
第1の電池ユニット100aの第2の電池ユニット100bと反対側に他の電池ユニット100がさらに設けられる場合、第2のバスバー部材500の数は複数である。第1の電池ユニット100aの第2の電極接続部122と第1の電池ユニット100aの第2の電池ユニット100bと反対側に位置する他の電池ユニット100の第1の電極接続部121とは、別の第2のバスバー部材500により互いに接続され、第2のバスバー部材500と信号検出ライン310とは互いに接続される。
【0066】
第3の電池ユニット100cが複数の並設された電池ユニット100の一端に位置する場合、即ち、第3の電池ユニット100cの第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bと反対側に他の電池ユニット100が設けられない場合、第3の電池ユニット100cの第1の電極接続部121は、導電部材200により第2の電池ユニット100b及び第3の電池ユニット100cの一方のケース110に接続されてもよい。例えば、第1の電極接続部121は正電極接続部であり、ケース110はアルミニウムケースであり、第3の電池ユニット100cの第1の電極接続部121は導電部材200により第3の電池ユニット100cのケース110に接続され、第3の電池ユニット100cの第2の電極接続部122は第2のバスバー部材500により信号検出ライン310に接続されてもよい。
【0067】
第3の電池ユニット100cの第2の電池ユニット100b及び第1の電池ユニット100aと反対側に他の電池ユニット100(例えば第4の電池ユニット100d)がさらに設けられる場合、第1のバスバー部材400の数は二つ以上であり、第3の電池ユニット100cの第1の電極接続部121と第四電池ユニット100dの第2の電極接続部122とは、別の第1のバスバー部材400に接続され、該第1のバスバー部材400は、導電部材200により第3の電池ユニット100cのケース110に接続される。信号検出ライン310と第3の電池ユニット100cの第1の電極接続部121及び第2の電極接続部122との間に検出回路を形成するように、信号検出ライン310は、第3の電池ユニット100cのケース110、第1のバスバー部材400を介して第3の電池ユニット100cの第1の電極接続部121に互いに接続され、信号検出ライン310は、第2のバスバー部材500により第3の電池ユニット100cの第2の電極接続部122に互いに接続される。
【0068】
引き続き
図2~
図6を参照すると、
図2~
図6に12個の直列に設けられた電池ユニット100が示され、各電池ユニット100はそれぞれ一つの電池セル13を備えるため、本願の実施例の電池10は、直列に設けられた12個の電池セル13を備える。
【0069】
電池10は、6つの第1のバスバー部材400と6つの導電部材200とを備え、各第1のバスバー部材400は、それぞれ隣接する二つの電池ユニット100の第1の電極接続部121と第2の電極接続部122に接続され、各導電部材200は、それぞれ各第1のバスバー部材400とケース110に接続される。電池10は、5個の第2のバスバー部材500と、2個の第3のバスバー部材600とを備える。ここで、第3のバスバー部材600は、配列方向の端部に位置する電池ユニット100の電極接続部120のみを接続し、第2のバスバー部材500及び第1のバスバー部材400は、隣接する二つの電池ユニット100の電極接続部120に接続される。
【0070】
他の実施例において、電池ユニット100は、互いに並列に接続された二つ以上の電池セル13をさらに備えることができる。例えば、電池10が12個の電池セル13を備える場合、一つの電池ユニット100は、2つの並列に設けられた電池セル13を備えることができる。この場合、電池10は、6個の電池ユニット100を備えている。このとき、電池10は、3つの第1のバスバー部材400と、3つの導電部材200と、2つの第2のバスバー部材500と、2つの第3のバスバー部材600とを含んでもよい。第1のバスバー部材400、第2のバスバー部材500及び第3のバスバー部材600の材質は、アルミニウム又は銅であってもよい。
【0071】
第1のバスバー部材400の設置方式は様々であり、第1のバスバー部材400は、例えば導線である。又は、第1のバスバー部材400は板状をなして第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bの二つの電極接続部120を覆い、第1のバスバー部材400と第1の電池ユニット100a及び第2の電池ユニット100bの二つの電極接続部120とを互いに接続しやすい。
【0072】
第1のバスバー部材400と導電部材200との接続方式は様々であり、引き続き
図5及び
図6を参照すると、いくつかの実施例において、第1のバスバー部材400と導電部材200は別体に設けられる。導電部材200の材質は、アルミニウムや銅であってもよく、導電部材200は、第1のバスバー部材400によりケース110と溶接固定されてもよい。導電部材200は、互いに接続された第1のピン220及び第2のピン230を備え、第1のピン220は、第1のバスバー部材400を電気的に接続するために用いられ、第2のピン230はケース110を電気的に接続するために用いられる。
【0073】
これらの実施例において、導電部材200は、第1のバスバー部材400とケース110をそれぞれ接続する第1のピン220と第2のピン230とを備えるので、導電部材200と第1のバスバー400及びケース110の両方の接続が互いに影響せず、電池10の組み立てを簡略化することができる。
【0074】
いくつかの実施例において、電池10は、接続部材700をさらに備え、第1のピン220と第2のピン230とは別体に設けられ、接続部材700は、第1のピン220と第2のピン230とを電気的に接続するために用いられる。
【0075】
これらの実施例において、接続部材700は、ケース110が第1のバスバー部材400と電気的に接続可能であるように、第1のピン220及び第2のピン230を接続する。また、電池10が三つ以上の電池ユニット100を備え、導電部材200が二つ以上である場合、二つ以上の導電部材200の第1のピン220及び第2のピン230は、同一の接続部材700に接続され、電池10の内部回路の配置を簡略化することができる。
【0076】
例えば、引き続き
図5及び
図6を参照すると、電池10が12個の電池ユニット100を備え、各電池ユニット100がそれぞれ一つの電池セル13を備え、12個の電池ユニット100が6個の導電部材200により互いに接続される場合、6個の導電部材200の第1のピン220及び第2のピン230は、同一の接続部材700により互いに接続されてもよい。
【0077】
いくつかの実施例において、接続部材700には、電流が閾値に達したときに第1のピン220と第2のピン230との間を遮断するように溶断するための第1の溶断部710が設けられる。
【0078】
これらの実施例において、接続部材700には、電流が閾値に達したときに第1のピン220と第2のピン230との間を遮断するように切断する第1の溶断部710が設けられることにより、電池10の安全性能を向上させることができる。
【0079】
第1の溶断部710の設置方式は様々であり、例えば、第1の溶断部710は接続部材700に内蔵されたヒューズである。電池10は複数の導電部材200を備える場合、複数の導電部材200の第1のピン220及び第2のピン230は同一の接続部材700により互いに接続される。第1の溶断部710の設置個数は複数であり、各第1の溶断部710はそれぞれ各導電部材200の第1のピン220と第2のピン230との間に設けられる。
【0080】
図7及び
図8を併せて参照すると、
図7は、本願の他の実施例に係る電池10の構造模式図を示す。
図8は本願の他の実施例に係る電池10の第1の側の構造模式図を示す。
【0081】
他の実施例において、第1のバスバー部材400と導電部材200とは一体成形されてもよい。
図8に、導電部材200を点線枠で画定し、点線枠は、本願の実施例における電池10の構造を限定するものではない。導電部材200は、第1のバスバー部材400の一側から外向きに延伸して成形され、例えば、第1のバスバー部材400によって高さ方向(
図2におけるZ方向)の一側に外向きに延伸して成形される。このように、導電部材200と第1のバスバー部材400の構造を簡略化し、導電部材200と第1のバスバー部材400との間の接続の安定性及び信頼性を向上させることができる。
【0082】
図9を参照すると、
図9は
図7におけるI箇所での部分拡大構造の模式図である。
【0083】
本願の実施例に係る電池10によれば、導電部材200に第2の溶断部210が設けられてもよく、第2の溶断部210は、電流が閾値に達したときに電極接続部120とケース110との間を遮断するように溶断するために用いられる。導電部材200における電流が閾値に達すると、電極接続部120とケース110との間を遮断するように、第2の溶断部210が溶断され、それにより、電池10の安全性能を向上させることができる。
【0084】
いくつかの実施例において、第2の溶断部210は、導電部材200の部分断面が収縮して形成される。
【0085】
これらの実施例では、第2の溶断部210の部分断面が小さい。電流が閾値に達すると、第2の溶断部210は導電部材200の他の部位よりも先に溶断する。導電部材200は第2の溶断部210の存在する位置から切断され、電極接続部120とケース110との間の電気的接続が遮断される。
【0086】
また、第2の溶断部210は、導電部材200の部分断面が収縮して形成されるので、導電部材200の構造を簡略化し、導電部材200内にヒューズを設ける必要がなく、導電部材200の加工成形や取り付けが容易であり、電池10の製造及び取付コストを低減することができる。
【0087】
他の実施例において、第2の溶断部210は、例えば導電部材200に内蔵されたヒューズであってもよい。
【0088】
引き続き
図7及び
図8を参照すると、導電部材200と第1のバスバー部材400とが一体成形される場合、導電部材200は例えば板状を呈し、第2の溶断部210は導電部材200の部分断面が収縮して形成され、第2の溶断部210の幅は導電部材200における他の位置の幅よりも小さい。第2の溶断部210の寸法が小さく、導電部材200における電流が閾値に達すると、第2の溶断部210は導電部材200の他の部位よりも先に溶断して遮断する。
【0089】
導電部材200は、第1のピン220及び第2のピン230を備え、第1のピン220及び第2のピン230は接続部材700により互いに接続され、かつ接続部材700に第1の溶断部710が設けられる場合、導電部材200に、第2の溶断部210がさらに設けられてもよい。第2の溶断部210は、第1のピン220及び/又は第2のピン230に設けられてよい。第1の溶断部710および第2の溶断部210により、電池10の安全性能をさらに向上させることができる。
【0090】
図10及び
図11を併せて参照すると、
図10は本願のさらに他の実施例に係る電池10の構造模式図を示す。
図11は本願のさらに他の実施例に係る電池10の第1の側の構造模式図を示す。
【0091】
いくつかの実施例において、導電部材200はワイヤであり、例えばアルミニウムワイヤ又は銅ワイヤである。導電部材200は、第1のバスバー部材400とケース110との間に接続されている。例えば、導電部材200の一端は、ボンディングプロセスにより第1のバスバー部材400に接続され、導電部材200の他端はボンディングプロセスによりケース110に接続される。ワイヤの断面積が小さく、導電部材200における電流が閾値に達すると、ワイヤが破断することができ、さらに第1のバスバー部材400とケース110との間を遮断し、電池10の安全性能を向上させる。
【0092】
電池ユニット100の電極接続部120は、通常ケース110の外面から突出して設けられ、導電部材200が電極接続部120に接続される場合、導電部材200とケース110の外面との間には、一定の高さの差が存在し、当該高さの差により、導電部材200とケース110との接続の安定性に影響を及ぼす可能性がある。
【0093】
引き続き
図9を参照すると、いくつかの実施例において、電極接続部120は、第1の方向(
図2におけるX方向)に沿ってケース110の外面から突出して設けられ、ケース110に第1の接続部111が設けられ、導電部材200に第2の接続部240が設けられ、第1の接続部111及び第2の接続部240のうちの少なくとも一つは第1の方向に沿って延設され、第1の接続部111と第2の接続部240は、導電部材200をケース110に接続するように互いに接続される。
【0094】
これらの実施例において、第1の接続部111及び/又は第2の接続部240により、電極接続部120のケース110の外面から突出する高さの差を補うことができ、導電部材200とケース110との接続をより安定させることができる。
【0095】
第1の接続部111及び第2の接続部240の設置方式は様々であり、例えば、第1の接続部111はケース110の外面から突出して設けられ、第2の接続部240は第1の接続部111のケース110と反対側の表面に重なって接続される。これにより、導電部材200の構造を簡素化し、導電部材200の組み立てを容易にすることができる。
【0096】
これらの実施例のうちのいくつかの実施例において、第1の接続部111のケース110の外面から突出する高さは、電極接続部120のケース110の外面から突出する高さと等しいかそれに近く、それにより、第1の接続部111は、電極接続部120のケース110の外面から突出する高さの差を補うことができる。
【0097】
図12を参照すると、
図12は、
図7におけるI箇所での部分拡大構造模式図の他の実施例である。
他の実施例では、第1の接続部111は、ケース110の外面から突出して設けられ、第2の接続部240は、第1の接続部111の周側に取り囲まれて設けられ、このようにして、第1の接続部111と第2の接続部240との相互接続の安定性を向上させることができる。
【0098】
図13を参照すると、
図13は、
図7におけるI箇所での部分拡大構造模式図のさらに他の実施例である。
さらに他の実施例において、第2の接続部240は、電極接続部120のケース110の外面から突出する高さの差を補うことができるように、導電部材200によりケース110の表面に近づく方向に沿って折り曲げて形成される。
【0099】
いくつかの実施例において、第1の接続部111は、ケース110の外面から突出して設けられ、かつ第2の接続部240は導電部材200により第1の接続部111に近づく方向に沿って折り曲げて形成され、第1の接続部111と第2の接続部240は、共に電極接続部120のケース110の外面から突出する高度の差を補うことができる。
【0100】
いくつかの実施例において、電池10は、複数の電池ユニット100の厚さ方向(即ち、
図2におけるY方向)の両側に位置する側板11と、側板11及び複数の電池ユニット100の周辺に囲まれる固定ベルト12とをさらに備える。
【0101】
本願は、その精神及び本質的な特徴から逸脱せず、他の具体的な形式で実現することができる。例えば、システムアーキテクチャは本願の基本的な精神から逸脱しない場合、特定の実施例に記述されたアルゴリズムは修正されてもよい。したがって、現在の実施例は全ての点で例示的なものと見なされて限定的ではなく、且つ、本願の範囲は添付の特許請求の範囲により限定されるが、上記説明によって定義されない。そして、請求項の意味及び均等の範囲内に含まれる全ての変更はいずれも本願の範囲に含まれる。
【0102】
説明すべきものとして、本願の説明において、特に説明がない限り、「複数」の意味は二つ以上である。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が指示する方位又は位置関係は、単に本願を説明しやすく、説明を簡略化するためのものであり、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造・操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に説明の目的で用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示することとは理解できない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にある。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にある。