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特許7512404液晶表示素子用シール剤及び液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】液晶表示素子用シール剤及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20240701BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20240701BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20240701BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
C09K3/10 B
C08F2/50
C08F2/44 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022551776
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2022029229
(87)【国際公開番号】W WO2023032543
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2021144022
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】大浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/235357(WO,A1)
【文献】特開2009-114424(JP,A)
【文献】特開2008-179797(JP,A)
【文献】特開2009-227955(JP,A)
【文献】国際公開第2011/122025(WO,A1)
【文献】特開2011-215362(JP,A)
【文献】特表2016-532675(JP,A)
【文献】国際公開第2013/105162(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
C08F 2/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と光重合開始剤と充填剤を含有する液晶表示素子用シール剤であって、
前記光重合開始剤は、1分子中に2以上のカルバゾール骨格を有する化合物を含み、
前記充填剤は、真球度が1.00以上1.05以下であり、かつ、平均粒子径が1.0μm以下である
ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
【請求項2】
前記光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含む請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
【化1】
式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、結合手、アリーレン基を有する構造、又は、ヘテロアリーレン基を有する構造である。
【請求項3】
前記光重合開始剤は、下記式(4-1)で表される化合物、下記式(4-2)で表される化合物、及び、下記式(4-3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤。
【化2】
【請求項4】
熱重合開始剤を含有する請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項5】
請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤の硬化物を有する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより枠状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を貼り合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-133794号公報
【文献】国際公開第02/092718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。装置の小型化の手法としては、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
しかしながら、狭額縁設計ではシール剤がブラックマトリックスの直下に配置されるため、滴下工法を行うと、シール剤を光硬化させる際に照射した光が遮られることとなる。今後、狭額縁化が進み液晶材料が変更される場合、従来は問題のなかったシール剤であっても、未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出することによる液晶汚染が発生するおそれがある。そのため、より低液晶汚染性に優れるシール剤が求められていた。
【0005】
また、通常、シール剤を光硬化させる方法として紫外線の照射が行われているが、近年、フォトマスク工程のレス化や消費エネルギーの低減等の観点から、可視光を用いた液晶表示素子の製造が進められている。シール剤を硬化させるために照射される光の波長は年々長波長化しており、より長波長の光で硬化させることが可能なシール剤が求められていた。
【0006】
本発明は、長波長の光に対する硬化性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示1は、硬化性樹脂と光重合開始剤と充填剤を含有する液晶表示素子用シール剤であって、上記光重合開始剤は、1分子中に2以上のカルバゾール骨格を有する化合物、及び、チタノセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含み、上記充填剤は、真球度が1.00以上1.05以下であり、かつ、平均粒子径が1.0μm以下である液晶表示素子用シール剤である。
本開示2は、下記式(1)で表される化合物を含む本開示1の液晶表示素子用シール剤である。
本開示3は、上記光重合開始剤は、下記式(4-1)で表される化合物、下記式(4-2)で表される化合物、及び、下記式(4-3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示1又は2の液晶表示素子用シール剤である。
本開示4は、熱重合開始剤を含有する本開示1、2又は3の液晶表示素子用シール剤である。
本開示5は、本開示1、2、3又は4の液晶表示素子用シール剤の硬化物を有する液晶表示素子である。
【0008】
【化1】
【0009】
式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、結合手、アリーレン基を有する構造、又は、ヘテロアリーレン基を有する構造である。
【0010】
【化2】
【0011】
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、従来よりも長波長の光の照射によりシール剤を硬化させて液晶表示素子を作製することを検討した。しかしながら、可視光に対する反応性により優れるとされる公知の光重合開始剤を用いた場合でも、このような長波長の光を照射した場合、シール剤を充分に硬化させることができずに液晶汚染を生じさせることがあった。近年、液晶表示素子の配線が複雑化し、配線密度が増加しているため、シール剤への入射光の入光効率が低下している。本発明者らは、長波長の光を照射した場合に液晶汚染が生じる原因が、入射光を均一に散乱させることができずにシール剤の未硬化部分が増えたこと、及び、長波長の光を照射した場合は深部硬化性に優れるものの表面硬化性が低下することから、加熱時に液晶の差し込みが生じ、液晶との接触面積が増加するためであると考えた。そこで本発明者らは、特定の光重合開始剤と、真球度及び平均粒子径がそれぞれ特定の範囲である充填剤とを組み合わせて用いることにより、長波長の光に対する硬化性(遮光部硬化性、深部硬化性、及び、表面硬化性)に優れる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
なお、長波長の光の照射によりシール剤を硬化させる場合とは、可視光、具体的には波長450nmの光の照射によりシール剤を硬化させる場合を意味する。
【0012】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤は、1分子中に2以上のカルバゾール骨格を有する化合物、及び、チタノセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。上記光重合開始剤として1分子中に2以上のカルバゾール骨格を有する化合物、及び、チタノセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を後述する充填剤と組み合わせて用いることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、長波長の光に対する硬化性に優れるものとなる。なかでも、上記光重合開始剤は、紫外線(具体的には波長340nm)から可視光(具体的には波長450nm)までの広い範囲の波長の光に対する反応性に優れ、かつ、シール剤を保管する際等に照射されるイエローランプの波長(具体的には波長580nm)の光に対しては反応性をほとんど有さないことから、上記式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0013】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。
上記Rが炭素数1~20のアルキル基である場合、該アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
上記Rがシクロアルキル基である場合、該シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロブチル基等が挙げられる。
上記Rがアラルキル基である場合、該アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記Rが複素環基である場合、該複素環基としては、例えば、2-ベンゾフラニル基等が挙げられる。
上記Rがアリール基である場合、該アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、本発明の液晶表示素子用シール剤を電子部品の接着等に用いる場合、周辺環境にカチオン成分が多くなることから、該カチオン成分の補足が可能であるという観点でカルボキシル基が好ましい。
【0014】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。
上記Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。
上記Rがシクロアルキル基である場合、該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基は、アルキル基を有していてもよい。
上記Rがアラルキル基である場合、該アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基等が挙げられる。
上記Rが複素環基である場合、該複素環基としては、例えば、2-ベンゾチオフェニル基等が挙げられる。
上記Rがアリール基である場合、該アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、本発明の液晶表示素子用シール剤を電子部品の接着等に用いる場合、周辺環境にカチオン成分が多くなることから、該カチオン成分の補足が可能であるという観点でカルボキシル基が好ましい。
上記Rが極性基を有するアルキル基である場合、該極性基を有するアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基等が挙げられる。
上記Rが極性基を有するシクロアルキル基である場合、該極性基を有するシクロアルキル基としては、例えば、2-カルボキシシクロヘキシル基、2-カルボキシ-4-メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0015】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。
上記Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。上記アルキル基は、アリール基を有していてもよい。
上記Rがシクロアルキル基である場合、該シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記Rがアラルキル基である場合、該アラルキル基としては、例えば、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記Rが複素環基である場合、該複素環基としては、例えば、2-チエニル基等が挙げられる。
上記Rがアリール基である場合、該アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、本発明の液晶表示素子用シール剤を電子部品の接着等に用いる場合、周辺環境にカチオン成分が多くなることから、該カチオン成分の補足が可能であるという観点でカルボキシル基が好ましい。
上記Rが極性基を有するアルキル基である場合、該極性基を有するアルキル基としては、例えば、1-カルボキシエチル基、2-カルボキシエチル基、1-カルボキシプロピル基、3-カルボキシプロピル基、1-カルボキシペンチル基、カルボキシ(フェニル)メチル基等が挙げられる。
【0016】
上記式(1)中、Rは、結合手、アリーレン基を有する構造、又は、ヘテロアリーレン基を有する構造である。
上記Rがアリーレン基を有する構造である場合、該アリーレン基としては、例えば、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基等が挙げられる。上記アリーレン基を有する構造としては、具体的には例えば、下記式(2-1)~(2-5)で表される構造等が挙げられる。
上記Rがヘテロアリーレン基を有する構造である場合、該ヘテロアリーレン基としては、例えば、チエニレン基、フラニレン基、ピリジレン基等が挙げられる。なかでも、チエニレン基が好ましい。上記ヘテロアリーレン基を有する構造としては、具体的には例えば、下記式(3-1)~(3-6)で表される構造等が挙げられる。
【0017】
【化3】
【0018】
式(2-1)~(2-5)中、*は、結合位置を表す。
【0019】
【化4】
【0020】
式(3-1)~(3-6)中、*は、結合位置を表す。
【0021】
なかでも、長波長(例えば、波長450nm)の光に対する反応性に優れ、かつ、イエローランプ下における安定性に優れることから、上記光重合開始剤は、上記式(1)で表される化合物として、上記式(4-1)で表される化合物、上記式(4-2)で表される化合物、及び、上記式(4-3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0022】
上記式(1)で表される化合物の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が5重量部である。上記式(1)で表される化合物の含有量が0.01重量部以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が長波長の光に対する硬化性により優れるものとなる。上記式(1)で表される化合物の含有量が5重量部以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が低液晶汚染性により優れるものとなる。上記式(1)で表される化合物の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は2重量部である。
【0023】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、充填剤を含有する。
上記充填剤は、真球度が1.00以上1.05以下であり、かつ、平均粒子径が1.0μm以下である。真球度が1.00以上1.05以下であり、かつ、平均粒子径が1.0μm以下である充填剤と、上述した光重合開始剤とを組み合わせて用いることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、長波長の光に対する硬化性に優れるものとなる。
【0024】
上記充填剤は、真球度が1.00以上1.05以下である。上記充填剤の真球度がこの範囲であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、長波長の光であっても入射光を均一に散乱させることができ、遮光部硬化性に優れるものとなる。上記真球度の好ましい上限は1.04、より好ましい上限は1.02である。上記真球度は、1.00であることが最も好ましい。
なお、本明細書において上記「真球度」は、粒子の長径と短径との比(長径/短径)の平均値を意味する。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて、1万倍の倍率で観察した10個の粒子における、断面積が最大となる断面について測定した(長径/短径)の平均値を意味する。この際、断面積が最大となる断面が観察できていない粒子については、真球度を導出する対象とはしないものとする。上記走査型電子顕微鏡としては、電界放出形走査電子顕微鏡S-4800(日立ハイテクノロジーズ社製)等を用いることができる。
【0025】
上記充填剤は、平均粒子径が1.0μm以下である。上記充填剤の平均粒子径が1.0μm以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、深部硬化性に優れるものとなる。上記充填剤の平均粒子径の好ましい上限は0.9μm、より好ましい上限は0.8μmである。
なお、本明細書において、上記充填剤の平均粒子径は、シール剤に配合する前の粒子については、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することにより得られる値を意味する。また、シール剤に含まれる粒子については、硬化前のシール剤を水とアセトニトリルの混合溶媒に分散し、上記充填剤を分散させて得られた分散液について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。上記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、マスターサイザー2000(マルバーン社製)等を用いることができる。
【0026】
上記充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤を用いることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。
上記充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0027】
上記充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が40重量部である。上記充填剤の含有量がこの範囲であることにより、塗布性等を悪化させることなく、長波長の光に対する硬化性を向上させる効果により優れるものとなる。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は3重量部である。
【0028】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記(メタ)アクリル化合物は、反応性の観点から1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するものが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。更に、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
【0029】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるもの等が挙げられる。
【0033】
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、スルフィド型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、アルキルポリオール型エポキシ化合物、ゴム変性型エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0034】
上記ビスフェノールA型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1004(いずれも三菱ケミカル社製)、EPICLON EXA-850CRP(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、RE-810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EX-201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX-4000H(三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-50TE(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-80DE(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP4032、EPICLON EXA-4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-670-EXP-S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、NC-3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ESN-165S(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱ケミカル社製)、EPICLON 430(DIC社製)、TETRAD-X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ZX-1542(日鉄ケミカル&マテリアル社製)、EPICLON 726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX-611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、YR-450、YR-207(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX-147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC-1312、YSLV-80XY、YSLV-90CR(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱ケミカル社製)、EXA-7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0035】
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、ダイセル・オルネクス社製のエポキシ(メタ)アクリレート、新中村化学工業社製のエポキシ(メタ)アクリレート、共栄社化学社製のエポキシ(メタ)アクリレート、ナガセケムテックス社製のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ダイセル・オルネクス社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3708、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYL RDX63182等が挙げられる。
上記新中村化学工業社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、EA-1010、EA-1020、EA-5323、EA-5520、EA-CHD、EMA-1020等が挙げられる。
上記共栄社化学社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシエステルM-600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA等が挙げられる。
上記ナガセケムテックス社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、デナコールアクリレートDA-141、デナコールアクリレートDA-314、デナコールアクリレートDA-911等が挙げられる。
【0036】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多官能イソシアネート化合物に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0037】
上記多官能イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0038】
また、上記多官能イソシアネート化合物としては、ポリオールと過剰の多官能イソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長された多官能イソシアネート化合物も使用することができる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0039】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0040】
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、東亞合成社製のウレタン(メタ)アクリレート、ダイセル・オルネクス社製のウレタン(メタ)アクリレート、根上工業社製のウレタン(メタ)アクリレート、新中村化学工業社製のウレタン(メタ)アクリレート、共栄社化学社製のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記東亞合成社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、M-1100、M-1200、M-1210、M-1600等が挙げられる。
上記ダイセル・オルネクス社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、EBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL1290、EBECRYL2220、EBECRYL4827、EBECRYL4842、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL6700、EBECRYL8402、EBECRYL8803、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260等が挙げられる。
上記根上工業社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、アートレジンUN-330、アートレジンSH-500B、アートレジンUN-1200TPK、アートレジンUN-1255、アートレジンUN-3320HB、アートレジンUN-7100、アートレジンUN-9000A、アートレジンUN-9000H等が挙げられる。
上記新中村化学工業社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、U-2HA、U-2PHA、U-3HA、U-4HA、U-6H、U-6HA、U-6LPA、U-10H、U-15HA、U-108、U-108A、U-122A、U-122P、U-324A、U-340A、U-340P、U-1084A、U-2061BA、UA-340P、UA-4000、UA-4100、UA-4200、UA-4400、UA-5201P、UA-7100、UA-7200、UA-W2A等が挙げられる。
上記共栄社化学社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、AH-600、AI-600、AT-600、UA-101I、UA-101T、UA-306H、UA-306I、UA-306T等が挙げられる。
【0041】
上記硬化性樹脂は、得られる液晶表示素子用シール剤の接着性を向上させること等を目的として、エポキシ化合物を含有してもよい。上記エポキシ化合物としては、例えば、上述したエポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物や、部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物とは、例えば、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する化合物を意味する。
【0042】
上記硬化性樹脂として上記(メタ)アクリル化合物と上記エポキシ化合物とを含有する場合、又は、上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物を含有する場合、上記硬化性樹脂中の(メタ)アクリロイル基とエポキシ基との合計中における(メタ)アクリロイル基の比率を30モル%以上95モル%以下になるようにすることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基の比率がこの範囲であることにより、液晶汚染の発生を抑制しつつ、得られる液晶表示素子用シール剤が接着性により優れるものとなる。
【0043】
上記硬化性樹脂は、得られる液晶表示素子用シール剤を低液晶汚染性により優れるものとする観点から、-OH基、-NH-基、-NH基等の水素結合性のユニットを有するものが好ましい。
【0044】
上記硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0045】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱重合開始剤を含有することが好ましい。
上記熱重合開始剤を含有することにより、得られる液晶表示素子用シール剤が加熱時に速やかに硬化して表面硬化性に優れるものとなり、液晶の差し込みを抑制する効果により優れるものとなる。
【0046】
上記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等で構成されるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物で構成される高分子アゾ開始剤が好ましい。
上記熱重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
【0047】
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、液晶汚染を抑制しつつ、硬化性樹脂と容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
【0048】
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-0501、VPS-1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物としては、例えば、V-65、V-501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
【0049】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0050】
上記熱重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が10重量部である。上記熱重合開始剤の含有量が0.05重量部以上であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が熱硬化性により優れるものとなる。上記熱重合開始剤の含有量が10重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が低液晶汚染性や保存安定性により優れるものとなる。上記熱重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0051】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱硬化剤を含有してもよい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0052】
上記有機酸ヒドラジドとしては、例えば、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアUDH-J等が挙げられる。
【0053】
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の塗布性等を悪化させることなく、熱硬化性により優れるものとすることができる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
【0054】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
【0055】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0056】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、液晶汚染の発生を抑制しつつ、接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0057】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、更に、必要に応じて、反応性希釈剤、揺変剤、スペーサー、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0058】
本発明の液晶表示素子用シール剤を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、光重合開始剤と、増感剤や必要に応じて添加するシランカップリング剤等とを混合する方法等が挙げられる。
【0059】
本発明の液晶表示素子用シール剤に導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。
【0060】
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0061】
本発明の液晶表示素子用シール剤の硬化物を有する液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子としては、狭額縁設計の液晶表示素子が好ましい。具体的には、液晶表示部の周囲の枠部分の幅が2mm以下であることが好ましい。
また、本発明の液晶表示素子を製造する際の本発明の液晶表示素子用シール剤の塗布幅は1mm以下であることが好ましい。
【0062】
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、液晶滴下工法が好適に用いられ、具体的には例えば、以下の各工程を有する方法等が挙げられる。
まず、ITO薄膜等の電極及び配向膜を有する2枚の透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシールパターンの枠内に滴下塗布し、真空下で他方の透明基板を重ね合わせる工程を行う。その後、本発明の液晶表示素子用シール剤のシールパターン部分にカットフィルター等を介して光を照射することにより、シール剤を光硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。また、上記シール剤を光硬化させる工程に加えて、シール剤を加熱して熱硬化させる工程を行ってもよい。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、長波長の光に対する硬化性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0065】
(式(4-1)で表される化合物の合成)
N-エチルカルバゾール5重量部と、2,5-チオフェンジカルボン酸ジクロリド2.81重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを、ジクロロメタン40mLに加え、室温にて終夜撹拌した。得られた反応液に、アセチルクロリド2.21重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを加え、室温で更に4時間撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(A1)を得た。
得られた生成物(A1)3重量部と、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.76重量部と、ピリジン0.86重量部とを、エタノール30mLに加え、10時間還流撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、濾過した。濾物を水で洗浄した後、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(B1)を得た。
得られた生成物(B1)1.5重量部をN,N-ジメチルホルムアミド25重量部に溶解した後、アセチルクロリド0.59重量部を加えた。得られた溶液を10℃以下に冷却しながらトリエチルアミン0.78重量部を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた反応液を水へと注いだ後、濾過した。濾物を、ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒(ジクロロメタン:ヘキサン=2:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、上記式(4-1)で表される化合物を得た。
なお、得られた上記式(4-1)で表される化合物の構造は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IRにより確認した。
【0066】
(式(4-2)で表される化合物の合成)
N-(2-エチルヘキシル)カルバゾール5重量部と、2,5-チオフェンジカルボン酸ジクロリド2.81重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを、ジクロロメタン40mLに加え、室温にて終夜撹拌した。得られた反応液に、アセチルクロリド2.21重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを加え、室温で更に4時間撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(A2)を得た。
得られた生成物(A2)3重量部と、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.76重量部と、ピリジン0.86重量部とを、エタノール30mLに加え、10時間還流撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、濾過した。濾物を水で洗浄した後、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(B2)を得た。
得られた生成物(B2)1.5重量部をN,N-ジメチルホルムアミド25重量部に溶解した後、アセチルクロリド0.59重量部を加えた。得られた溶液を10℃以下に冷却しながらトリエチルアミン0.78重量部を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた反応液を水へと注いだ後、濾過した。濾物を、ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒(ジクロロメタン:ヘキサン=2:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、上記式(4-2)で表される化合物を得た。
なお、得られた上記式(4-2)で表される化合物の構造は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IRにより確認した。
【0067】
(式(4-3)で表される化合物の合成)
3-(9H-カルバゾール-9-イル)プロピオン酸エチル5重量部と、ヘキサノイルクロリド2.64重量部と、塩化アルミニウム2.62重量部とを、ジクロロメタン80mLに加え、室温にて終夜撹拌した。得られた反応液に、2,5-チオフェンジカルボン酸ジクロリド1.84重量部と、塩化アルミニウム5.24重量部とを加え、室温で更に4時間撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(A3)を得た。
エタノール20mL中の生成物(A3)4.0重量部に、濃度20重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.77重量部を加え、3時間還流した。反応終了後、水50mLを加え、濃塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水及び食塩水で洗浄し、その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、生成物(B3)を得た。
得られた生成物(B3)3重量部と、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.58重量部と、ピリジン0.65重量部とを、エタノール30mLに加え、10時間還流撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、濾過した。濾物を水で洗浄した後、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(C3)を得た。
得られた生成物(C3)1.5重量部をN,N-ジメチルホルムアミド20重量部に溶解した後、アセチルクロリド0.45重量部を加えた。得られた溶液を10℃以下に冷却しながらトリエチルアミン0.59重量部を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた反応液を水へと注いだ後、ろ過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより化合物を単離することにより、上記式(4-3)で表される化合物を得た。
なお、得られた上記式(4-3)で表される化合物の構造は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IRにより確認した。
【0068】
(実施例1~26、参考例27及び比較例1~7)
表1~3に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1~26、参考例27及び比較例1~7の液晶表示素子用シール剤を調製した。遊星式撹拌機としては、あわとり練太郎(シンキー社製)を用いた。
【0069】
<評価>
実施例、参考例、及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1~3に示した。
【0070】
(波長340nmの光に対する遮光部硬化性)
実施例、参考例、及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤をディスペンス用のシリンジに充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサーにてシール剤の厚さが4μmとなるようにガラス基板上に塗布した。ディスペンス用のシリンジとしては、PSY-10E(武蔵エンジニアリング社製)を用い、ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。シール剤を塗布した基板の該シール剤上に、スリット幅100μmの開口部を有する厚さ500μmのスリットガラスを被せ、該スリットガラスの上からメタルハライドランプを用いて100mW/cmの光を30秒照射し、遮光部硬化性測定用試験片を得た。光照射は、波長340nm以下の光をカットするカットフィルター(340nmカットフィルター)を介して行った。得られた試験片からスリットガラスを外し、スリットガラス開口部直下を0μmとしたときスリットガラス開口部直下からスリットガラス遮光部方向へのシール剤が硬化した距離(硬化距離)を測定した。硬化距離の測定は、赤外分光装置を用いてシール剤のFT-IR測定を行い、(メタ)アクリロイル基由来ピークの変化量を測定し、光照射後に(メタ)アクリロイル基由来のピークが50%以上減少した場合を硬化していると判定して行った。赤外分光装置としては、FTS3000(BIORAD社製)を用いた。
【0071】
(波長450nmの光に対する遮光部硬化性)
メタルハライドランプ及び340nmカットフィルターを用いず、450nmLEDランプを用いて100mW/cmの光を10秒照射したこと以外は、上記「(波長340nmの光に対する遮光部硬化性)」と同様にして遮光部硬化性測定用試験片を得た。450nmLEDランプとしては、UELCL-P-450-X(アイグラフィクス社製)を用いた。得られた試験片からスリットガラスを外し、スリットガラス開口部直下を0μmとしたときスリットガラス開口部直下からスリットガラス遮光部方向へのシール剤が硬化した距離(硬化距離)を測定した。硬化距離の測定は、赤外分光装置を用いてシール剤のFT-IR測定を行い、(メタ)アクリロイル基由来ピークの変化量を測定し、光照射後に(メタ)アクリロイル基由来のピークが50%以上減少した場合を硬化していると判定して行った。赤外分光装置としては、FTS3000(BIORAD社製)を用いた。
【0072】
(イエローランプ下での安定性(580nm硬化防止性))
実施例、参考例、及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を離型フィルムに厚み300μmで塗工し、イエロールームに8時間静置した。8時間静置した後のシール剤の形状を保持できない場合を「○」、シール剤の形状を保持できる場合を「△」としてイエローランプ下における安定性(580nm硬化防止性)を評価した。
【0073】
(表面硬化性)
実施例、参考例、及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を、塗工機を用いて厚み100μmでガラス基板上に塗布した。シール剤を塗工した基板の該シール剤部分に、450nmLEDランプを用いて100mW/cmの光を3秒照射した。450nmLEDランプとしては、UELCL-P-450-X(アイグラフィクス社製)を用いた。次いで、80℃で10分間加熱することにより、表面硬化性測定用試験片を得た。得られた試験片について、タックテスター(レスカ社製、「タッキング試験機TAC-II」)を用いてシール剤部分の粘着力を測定した。
測定値が5gf以下であった場合を「◎」、5gfを超え10gf未満であった場合を「○」、10gf以上であった場合を「×」として表面硬化性を評価した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、長波長の光に対する硬化性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる液晶表示素子を提供することができる。