(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】反射率を向上させた塗料
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240701BHJP
G02B 5/122 20060101ALI20240701BHJP
C09D 5/33 20060101ALI20240701BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240701BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240701BHJP
C09C 1/62 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
C09D201/00
G02B5/122
C09D5/33
C09D7/61
C09D5/00 D
C09C1/62
(21)【出願番号】P 2022559400
(86)(22)【出願日】2021-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2021058057
(87)【国際公開番号】W WO2021198120
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-30
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ムンドゥス,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】カンティム,トマス
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-179174(JP,A)
【文献】特開平05-209142(JP,A)
【文献】特表2008-539322(JP,A)
【文献】特開2009-235369(JP,A)
【文献】特開2016-099340(JP,A)
【文献】特開2014-020128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
G02B
C09C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)任意のプライマー層、ii)ベースコート層、及びiii)クリアコート層を含み、そのi)~iii)の層の少なくとも1つが再帰反射性顔料を
含み、
前記再帰反射性顔料が、10μm~100μmの範囲の平均直径及び20nm~1,000nmの範囲の材料厚さを有する金属フレークであり、前記金属フレークが少なくとも1つの再帰反射構造の構造を有し、前記再帰反射構造がキューブコーナー構造であり、そのキューブコーナー構造のベース面が2~30μmの範囲の辺の長さを有する正三角形を形成している、自動車用コーティング。
【請求項2】
前記再帰反射性顔料が前記クリアコート層iii)に存在する、請求項1に記載の自動車用コーティング。
【請求項3】
前記再帰反射性顔料が前記ベースコート層ii)に存在する、請求項1に記載の自動車用コーティング。
【請求項4】
前記再帰反射性顔料が前記プライマー層i)に存在し、前記ベースコート層ii)が780nm~3,000nmの範囲の波長を有する赤外線(NIR)放射を透過する、請求項1に記載の自動車用コーティング。
【請求項5】
前記層のそれぞれにおける再帰反射性顔料の濃度が、前記層の総質量に対して0.01~10質量%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用コーティング。
【請求項6】
前記再帰反射性顔料が前記コーティング層の表面全体に均一に分布し、前記再帰反射性顔料によって覆われた前記コーティング層の表面積の割合が、前記コーティング層の総表面積に対して、少なくとも0.01%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車用コーティング。
【請求項7】
前記ベースコート層ii)が再帰反射性顔料の効果を有しない顔料を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車用コーティング。
【請求項8】
前記金属フレークの材料厚さが100nm~300nmの範囲にあり、前記ベース面の辺の長さが5~30μmの範囲にある、請求項1~7のいずれか1項に記載の自動車用コーティング。
【請求項9】
前記金属フレークが少なくとも2つの再帰反射構造の特徴を有し、少なくとも1つの再帰反射構造がその金属フレークの前面に存在し、少なくとも1つの再帰反射構造がその金属フレークの裏面に存在する、請求項8に記載の自動車用コーティング。
【請求項10】
前記再帰反射性顔料が、薄い金属箔をエンボス加工することによって得られたものである、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動車用コーティング。
【請求項11】
前記再帰反射性顔料が、プリフォーム上又は基板上における金属の物理気相成長(PVD)により得られたものである、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動車用コーティング。
【請求項12】
前記プリフォームが、アクリル樹脂、アクリル共重合体、PVC、ポリスチレン、及びポリエステルから選択される耐熱性ポリマーからなり、前記基板がガラスからなる、請求項11に記載の自動車用コーティング。
【請求項13】
自動車部品にプライマーを施与してプライマーコート層を生成し、その後、顔料塗料を施与してベースコート層を生成し、その後、透過性塗料を施与してクリアコート層を生成することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の自動車用コーティングを製造する方法であって、前記プライマー、前記顔料塗料、及び前記透過性塗料の少なくとも1つが、再帰反射性顔料を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
自動車部品に前記プライマー、前記顔料塗料及び前記透過性塗料の少なくとも1つを施与する前に、前記プライマー、前記顔料塗料及び前記透過性塗料の少なくとも1つに再帰反射顔料を分散させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再帰反射顔料が、10μm~100μmの範囲の平均直径及び20nm~1,000nmの範囲の材料厚さを有する金属フレークであり、前記金属フレークが、少なくとも1つの再帰反射構造の特徴を有し、前記再帰反射構造が、キューブコーナー構造であり、前記キューブコーナー構造のベース面が、2~30μmの範囲の辺の長さを有する正三角形を形成している、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁放射(特に、Lidarシステムで使用されるような近赤外放射)についての反射率が向上したコーティング層(特に、自動車用コーティング層)、及びそのコーティング層を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自律走行に向けたモビリティの変革を成功させるためには、自動車において数多くの計測及びセンサーシステムの信頼性の高いアプリケーションが必要である。その鍵となるテクノロジーの1つがLidar(light detection and ranging:光検出及び測距)である。Lidarセンサーでは、一定速度又は可変速度で変化することがある特定の角度方向又は角度範囲で物体表面にレーザー光を照射し、そして、レーザーの経路に沿って物体によって反射又は散乱された(すなわち、入射したレーザービーム/光線の反対方向の)信号/光線が測定される。この角度分解能が物体の位置に関する情報を与える一方で、放出及び受信された信号/光線(パルス光源)の遅延又は(周波数変調連続波(FMCW)光源に関する)周波数は、物体までの距離に関する情報を与える。更に、ドップラーシフトは、物体の動きを知ることができる。
【0003】
この方法では、十分に高い信号が物体から散乱又は反射され、その放射体のすぐ近くに設置されたLidarシステムの検出器に当たる必要がある。特に色の濃い塗料は、レーザーパルスが散乱又は反射されるよりも吸収されるので、Lidarの波長では反射率が非常に低くなる。また、金属系の塗料は鏡面反射率が高くなる。従って、Lidar検出器ではこのような塗料を検出できずに、誤った距離データを作り出す可能性がある。
【0004】
再帰反射は、(例えば、交通標識又は安全服において)広く応用されている公知原理である。再帰反射は、入射した放射線を放射体に向かって反射させ、それによってその放射源の視点からの物体の視認性を向上させる。
【0005】
US2016/0146926A1は、光検出及び測距(Lidar)装置とLidarターゲットとを含むシステムを開示する。Lidar機器は、Lidarターゲットに光ビームを向けるように構成される。このシステムは、Lidarターゲットと接触している再帰反射材も含む。一実施形態では、再帰反射材料は、ある期間にわたってLIDARターゲットから払い落とされるように構成された再帰反射ダストを含む。或いは、再帰反射材料は、再帰反射塗料、再帰反射コーティング、再帰反射テープ、再帰反射布、再帰反射表面仕上げ、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、再帰反射材料は、コーナーキューブ(corner cube)又は再帰反射球を含むことができる再帰反射構造を含む。
【0006】
WO2018/081613A1は、近赤外電磁放射によって照射される物体の表面の検出距離を増加させるための方法を開示する。この方法は、(a)同じ近赤外放射をより多く吸収する色合わせコーティングでコーティングされた同じ物体と比較して、近赤外範囲の波長で測定して近赤外電磁放射検出距離を少なくとも15%増加させる近赤外反射コーティングで少なくとも部分的にコーティングされた物体に向かって近赤外電磁放射源からの近赤外電磁放射を向けること(なお、色合わせコーティングはΔE色合わせ値が近赤外反射コーティングと比較して1.5以下である)、及び(b)近赤外反射性コーティングから反射された近赤外電磁放射を検出することを含む。
【0007】
US2014/0154520A1は、高レベルの輝度及び色強度を有するエンボス加工された微粒子薄板金属フレークを調製するための方法を記載している。45°以上の単線エンボス角を有する回折格子パターンを複製することによってエンボス加工された反射金属フレークは、75μm越えのD50平均粒子径及び約50nm~約100nmのフレーク厚を有する。このフレークは、高い色強度又は色度との組み合わせで光学的に明白なグリッター又はスパークル効果として特徴付けられる極めて高い輝度を生み出すコーティング及び印刷インクに適用される。
【0008】
WO2019/109025A1は、高転写効率アプリケータを利用して基材にコーティングするためのコーティング組成物を開示している。コーティング組成物は、キャリアと、バインダーと、腐食防止顔料とを含む。コーティング組成物は、約0.01~約12.6のオーネゾルゲ数(Oh)を有する。コーティング組成物は、約0.02~約6,200のレイノルズ数(Re)を有する。コーティング組成物は、0超~約1730のデボラ数(De)を有する。
【0009】
WO03/011980A1は、表面に回折構造が形成された単層又は多層フレークを含む回折性顔料フレークを開示している。多層フレークは、反射コア層の対向する側に対称的な積層コーティング構造を有することができるか、又は反射コア層の周りにカプセル化コーティングで形成することができる。回折顔料フレークは、液体媒体(例えば、塗料又はインク)に散在させて、様々な物体に応用するための回折組成物を製造することができる。
【0010】
US2008/107841A1は、反射性クリアコート組成物を開示している。このクリアコート組成物は、1以上の樹脂からなるポリマーバインダーと、太陽放射スペクトルの近赤外線(NIR)領域の少なくとも一部において少なくとも30%の反射率及び太陽放射スペクトルの可視領域の少なくとも一部において29%以下の反射率を有する反射性フレークとを含む。反射性クリアコート組成物は、自動車車両の外装硬化塗装面上に硬化させることができる。得られた硬化型クリアコート組成物は、日射に曝されている間に自動車の客室内で発生する温度を低下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】US2016/0146926A1
【文献】WO2018/081613A1
【文献】US2014/0154520A1
【文献】WO2019/109025A1
【文献】WO03/011980A1
【文献】US2008/107841A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示の目的は、Lidarシステムで使用される電磁波に対する反射率が向上した自動車用コーティング層を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示は、コーティング層によって電磁放射の指向性反射を向上させる構造化効果顔料を含む自動車用コーティング層を提供する。本開示のコーティングに含まれる効果顔料の表面は、(少なくとも意図された(例えば、Lidarの)波長領域において)鏡面状である。効果顔料の幾何学的特性によって、入射放射線が入射放射線の方向に戻るように再帰反射される。
本開示はまた、自動車用コーティング層を製造するための方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の例示の再帰反射性顔料の模式図である。
【
図2】完全な吸収体基板上に標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング(最新の従来技術)をコーティングした場合の反射についてのシミュレーションを示す図である。
【
図3】完全な吸収体基板上に本開示の再帰反射性顔料を含むコーティング層をコーティングした場合の反射についてのシミュレーションを示す図である。
【
図4】標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング、回折格子表面を有するアルミニウムフレークを含むコーティング、及び本開示による再帰反射性顔料を含むコーティングのそれぞれを完全な吸収体基板上にコーティングした場合の反射のシミュレーションを比較した図である。
【
図5】標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング、回折格子面を有するアルミニウムフレークを含むコーティングのそれぞれを強吸収基板上にコーティングした場合の反射の測定結果を比較した図である。
【
図6】2つの再帰反射構造を有する本開示の例示の再帰反射性顔料の模式図である。
【
図7】(1)銀で作成された平面鏡、(2)白色コーティング、及び(3)本開示による銀でコーティングされたキューブコーナー(cube corner)構造についての入射角に基づくLIDARでの反射の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示では、再帰反射の概念を効果顔料に適用している。一般に、このような効果顔料は、特殊な色又は光沢効果を作り出すために自動車塗料に分散されている。金属フレーク(metal flake)は、効果顔料として広く使用されている。効果顔料に入射した光は、個々のフレークの(ほぼ)平坦な表面によって、ほとんど鏡面反射方向に反射される。
【0016】
対照的に、本開示のコーティングに使用されるフレークは、再帰反射幾何学で3次元的に構造化されている。従って、そのようなフレークの構造化領域に入射する放射線は、鏡面反射方向ではなく、その放射源に反射される。好適な効果顔料の一例は、再帰反射性表面構造を有するマイクロメーターサイズの金属フレーク(例えば、アルミニウムフレーク)である。
【0017】
再帰反射構造は、入射した光を入射方向とは反対方向に狭いビームで反射させる。再帰性反射は、再帰反射物体を通常の反射よりもはるかに明るく(通常10~1000倍程度)見せる働きを有する。
【0018】
再帰反射率の直接測定値は、物体の平面における再帰反射光度I(カンデラ、cd)と照度E(ルクス、lx)の比である。これは、光度係数CILと呼ばれる。単位は、カンデラ/ルクスである。
【0019】
大きな再帰反射面が特定の幾何学的状況で再帰反射する能力の尺度は、ランプによって再帰反射面の位置で生成され、照射の方向に対して垂直に測定された輝度Lと照度Eの比である。この比率は、再帰反射輝度の係数RLと呼ばれ、カンデラ/平方メートル/ルクス(cd×m-2×lx-1)の単位で表される。
【0020】
別の尺度が、再帰反射物体が再帰反射表面のサンプルである場合において実際に使用され、この尺度は、CIL/表面の平方メートルである。この比率は、再帰反射係数 RAと呼ばれ、カンデラ/ルクス/平方メートル(cd×lx-1×m-2)の単位で表される。CIL値は、表面積A(平方メートル)で除算することにより、再帰反射係数RAに変換される。
【0021】
2つの尺度は、RA=RL×cos(β)又はRL=RA/cos(β)(式中、βは照射方向と表面の法線との間で測定された入射角である)に関連している。この角度は、通常、再帰反射面に関連させて入射角と呼ばれる。
【0022】
RAは、ASTM E1709又はEN 12899-1に従って測定することができる。一実施形態では、本開示のコーティングは、0.6cd×lx-1×m-2越え、例えば、3cd×lx-1×m-2越え、又は30cd×lx-1×m-2越えのRA値を有する。一実施形態では、本開示のコーティングは、0.6~600cd×lx-1×m-2、例えば、1~400cd×lx-1×m-2、又は5~300cd×lx-1×m-2の範囲のRA値を有する。
【0023】
一実施形態では、本開示の再帰反射性顔料は、850nm~950nmの範囲の波長、例えば905nmの波長の光を再帰反射させる。別の実施形態では、本開示の再帰反射性顔料は、1500nm~1600nmの範囲の波長、例えば、1550nmの波長を有する光を再帰反射させる。
【0024】
一実施形態では、再帰反射性顔料は、楕円形の金属フレーク、例えば、アルミニウムフレークであり、20μm~100μm、例えば、40μmの範囲の長さを有する第1の主軸と、10μm~70μm、例えば、25μmの範囲の長さを有する第2の主軸とを有する。特定の実施形態では、第1の主軸の長さは40μmであり、第2の主軸の長さは25μmである。
【0025】
別の実施形態では、再帰反射性顔料は、10μm~100μm、例えば、20μmの範囲の直径を有する円形の金属フレーク、例えば、アルミニウムフレークである。
【0026】
一実施形態では、金属フレークは、20nm~1,000nm、例えば、100nm~300nm、例えば、250nmの範囲の材料厚さを有する。用語「材料厚さ」は、その最も大きい表面(複数可)に対して垂直な金属フレークの厚さを示すために使用される。
【0027】
一実施形態では、再帰反射性顔料は、少なくとも1つの再帰反射構造を有するマイクロメートルサイズの金属フレークである。一実施形態では、金属フレークは、少なくとも1つの再帰反射構造がエンボス加工されていることを特徴とする。更なる実施形態では、金属フレークは、少なくとも2つの再帰反射構造を備え、一方は金属フレークの前面において、他方は金属フレークの裏面において備えられている。
【0028】
一実施形態において、キューブコーナー構造は、金属フレークの中心にエンボス加工されている。一実施形態では、エンボス構造のベース面は、フレークの主平面において、2~30μm、例えば5~30μm、例えば17μmの範囲の辺長を有する正三角形を形成している。このようにして、再帰反射構造は、四面体の形態をとる。別の実施形態では、2つの実質的に同一のキューブコーナー構造が、互いに距離を置いて、金属フレークの反対側の面にエンボス加工されている。一方のキューブコーナー構造は、金属フレークの前面にエンボス加工され、他方のキューブコーナー構造は、金属フレークの裏面にエンボス加工されている。
【0029】
本開示の再帰反射性顔料は、(金属表面による)高い表面反射率と(再帰反射構造による)反射の指向性とを兼ね備えている。
【0030】
顔料が(少なくともほぼ)再帰反射性を示すのであれば、適用される形状は特に限定されない。例えば、再帰反射構造は、再帰反射ボール又はビーズの形態をとることもでき、あるいは、活動的な再帰反射面積を減少させるコーナー付近の死角領域を減らすために、キューブコーナー構造の部分を組み合わせることもできる。例えば、個々のマイクロプリズムを異なる方向にわずかに傾けた列の並び又はクラスターを用いると、より広い入射角で再帰反射性を広げることができる。また、基本的なピラミッド型ユニットから死角を除いた矩形部を選択し、そして多くのこれらの小型ユニットを互いに突き合わせたものを組み立てることも可能である。
【0031】
一実施形態では、本開示の再帰反射性顔料は、薄い金属箔、例えば、アルミニウム箔をエンボス加工することによって製造される。さらなる実施形態では、金属フレーク、例えば、アルミニウムフレークがエンボス加工される。別の実施形態では、本開示の再帰反射性顔料は、プリフォーム又は基板上の金属(例えば、アルミニウム)の物理気相成長(PVD)により製造される。本開示の文脈では、プリフォームは、所望の表面構造を特徴とする支持体である。一実施形態では、プリフォームは、異なるエンボス技術によって製造され、エンボス加工された表面は、その後、薄い反射性金属膜で金属化される。再帰反射性顔料を得るために、金属膜は表面から除去される。一実施形態では、プリフォームは耐熱性ポリマーで構成されている。本開示の文脈では、耐熱性ポリマーは、溶融又は分解することなく少なくとも100℃の温度に耐えることができるポリマーである。適切なポリマーの例としては、アクリル樹脂、アクリル共重合体、PVC、ポリスチレン、及びPETなどのポリエステルが挙げられる。更に別の実施形態では、再帰反射性顔料の製造は、ガラス基板上に金属膜を形成することを含む。更なる実施形態では、金属膜は、ガラス基板から除去されない。
【0032】
本開示は、i)任意のプライマー層、ii)ベースコート層、及びiii)クリアコート層を含み、その層i)~iii)の少なくとも1つが、本開示の再帰反射性顔料を含む、自動車用コーティングを提供する。
【0033】
一実施形態では、再帰反射性顔料は、クリアコート層iii)に存在する。更なる実施形態において、再帰反射性顔料は、ベースコート層ii)に存在する。更なる実施形態において、再帰反射性顔料は、プライマー層i)に存在し、ベースコート層ii)は、赤外線を透過する。本開示の文脈において、赤外線(IR)放射は、780nm~3,000nmの範囲の波長を有する電磁放射(近赤外線放射、NIR)である。更なる実施形態において、ベースコートii)は、IR-A放射線、すなわち、780nm~1,400nmの範囲内の波長を有する放射線を透過する。
【0034】
一実施形態では、再帰反射性顔料は、層i)~iii)のうちの1つのみに存在する。別の実施形態では、再帰反射性顔料は、層i)~iii)のうちの2つにおいて存在する。一実施形態では、再帰反射性顔料は、クリアコート層i)及びベースコート層ii)に存在する。別の実施形態では、再帰反射性顔料は、プライマー層i)及びベースコート層ii)に存在し、ベースコート層ii)は、IR放射を透過する。更に別の実施形態では、再帰反射性顔料は、プライマー層i)及びクリアコート層iii)に存在し、ベースコート層ii)は、IR放射を透過する。更に別の実施形態では、再帰反射性顔料は、層i)~iii)の3つ全てに存在し、ベースコート層ii)はIR放射を透過する。再帰反射性顔料が2つ以上の層に存在する場合、再帰反射性顔料は、再帰反射性顔料を含む全ての層で同じであってもよく、又は異なる再帰反射性顔料が再帰反射性顔料を含む各層で存在してもよい。
【0035】
一実施形態では、それぞれの層における再帰反射性顔料の濃度は、層の総質量に対して0.01~10質量%の範囲にある。更なる実施形態では、それぞれの層における再帰反射性顔料の濃度は、層の総質量に対して、0.1~5質量%の範囲、例えば、0.5~2質量%、例えば、1質量%の範囲にある。
【0036】
再帰反射性顔料は、コーティングの表面全体に均一に分布している。一実施形態では、再帰反射性顔料によって覆われた自動車用コーティング層の表面積の割合は、コーティングの全表面積に対して、少なくとも0.01%、例えば、少なくとも1%、又は少なくとも5%である。一実施形態では、再帰反射性顔料によって覆われた自動車用コーティング層の表面積の割合は、コーティングの総表面積に対して、0.01%~90%の範囲、例えば、1%~70%、又は3%~50%、又は5%~35%、又は25%~35%の範囲である。
【0037】
一実施形態では、本開示のコーティングにおける再帰反射性顔料のフレークの向きは、コーティングの表面に対して実質的に平行であり、すなわち、コーティングの表面とフレークの主面との間の角度は、(0°±4°)である。
【0038】
一実施形態では、ベースコート層ii)は、平坦な金属フレーク、玉虫色粒子、又は干渉色顔料などの非反射性効果顔料を更に含む。更なる実施形態では、ベースコートを製造するために使用される塗料、すなわちメタリック塗料又は玉虫色塗料に存在する効果顔料の一部分が、本開示の再帰反射性顔料によって置き換えられる。
【0039】
本開示の再帰反射性顔料は、他の効果顔料と組み合わせて分散させることができる。それは、散乱顔料を含む層の下に位置するコーティング層において(例えば、固体コーティングにおいて)も使用することができる。
【0040】
本開示はまた、本開示のコーティングを製造するための方法も提供する。この方法は、自動車部品(例えば、自動車の車体の一部)にプライマーを施与してプライマーコート層を生成し、その後、顔料塗料を施与してベースコート層を生成し、その後、透明塗料を施与してクリアコート層を生成することを含む。この方法は、塗料の少なくとも1つが、本開示の再帰反射性顔料を含むことを特徴とする。
【0041】
この方法の特定の実施形態において、再帰反射性顔料は、少なくとも1つの再帰反射構造を有するマイクロメートルサイズの金属フレークである。一実施形態では、金属フレークは、10μm~100μm、例えば20μm~70μmの範囲の平均直径、及び20nm~1,000nmの範囲の材料厚を有する。一実施形態では、金属フレークは、少なくとも1つの再帰反射構造がエンボス加工されていることを特徴とする。更なる実施形態では、金属フレークは、少なくとも2つの再帰反射構造、少なくとも1つは金属フレークの前面に存在し、少なくとも1つは金属フレークの裏面に存在することを特徴とする。一実施形態では、少なくとも1つの再帰反射構造は、キューブコーナー構造であり、キューブコーナー構造の底面は、2~30μmの範囲の辺の長さを有する正三角形を形成している。更なる実施形態において、金属フレークは、少なくとも2つのキューブコーナー構造、少なくとも1つは金属フレークの前面に存在し、及び少なくとも1つは金属フレークの裏面に存在することを特徴とする。
【0042】
この方法の特定の実施形態では、再帰反射性顔料は、20μm~100μmの範囲の長さを有する第1の主軸と、10μm~70μmの範囲の長さを有する第2の主軸と、20nm~1,000nmの範囲の材料厚さを有する楕円形の金属フレークであり、この金属フレークは、その中にエンボス加工された少なくとも1つの再帰反射構造を特徴とし、エンボス加工された再帰反射構造は、キューブコーナー構造であり、キューブコーナー構造の底面は、5~30μmの範囲の辺の長さを有する正三角形を形成していることを特徴とする。更なる実施形態では、金属フレークは、金属フレークの対向する面にエンボス加工された2つのキューブコーナー構造を特徴とする。
【0043】
既に上述したように、本開示のコーティングにおける再帰反射性顔料のフレークの向きは、コーティングの表面に対して実質的に平行である。その2つの面の各々に少なくとも1つのキューブコーナー構造を有するフレークを含む顔料を使用することによって、少なくとも2つのキューブコーナー構造のうちの少なくとも1つが、入射放射線を再帰反射するための正しい向きを常に有することが確認される。
【0044】
本開示の主題は、添付の図面を参照して更に記載され説明される。
【0045】
[図面の詳細な説明]
図1は、本開示の例示の再帰反射性顔料の模式図である。この再帰反射性顔料は、主軸がそれぞれ40μm及び25μmの楕円形状を有するアルミニウムフレークである。金属フレークの厚さは250nmである。アルミニウムフレークには、キューブコーナー構造がエンボス加工されている。入射した光線は、キューブコーナー構造の3つの内面すべてで反射され、入射光線の逆反射を引き起こす。エンボス加工によってできた四面体構造のベース面は、一辺が17μmの正三角形の形状をしている。
図1は、再帰反射性顔料の傾けた斜視側面図a)、再帰反射性顔料の底面図b)、再帰反射性顔料の斜視上面図c)を示している。
【0046】
図2は、完全な吸収体基板上に標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング(最新の従来技術)をコーティングした場合の反射のシミュレーション(縦軸は W/sr)を示している。このデータは、クリアコートの表面全体に分散させた主軸がそれぞれ40μmと25μmであり表面が平らな(すなわち、エンボス構造のない)9,000個の標準楕円アルミニウムフレークを有するクリアコートの反射を表している。フレークは、コーティングの表面に対して、0°の傾斜角度(±4°の標準偏差)で、実質的に平行に配列されている。フレークは、コーティングの全表面の約5%を覆っている。コーティングの表面は、入射角V=-45°で照射され、表面法線に対してV=-90°からV=90°までのコーティング表面からの反射は、図に示すとおりである。ピークIは、クリアコートと空気の界面での鏡面反射に、アルミニウムフレークの鏡面反射を加えたものを表している。
【0047】
図3は、
図1の構造化アルミニウムフレークを含むコーティングを完全吸収体基板上に形成した場合の反射のシミュレーション(縦軸はW/sr)である。このデータは、クリアコートの表面全体に分散させた9,000個のアルミニウムフレークを有するクリアコートの反射を表している。フレークは、コーティング表面に対して0°の傾斜角度(±4°の標準偏差)で、実質的に平行に整列している。フレークは、コーティングの全表面の約5%を覆っている。コーティング表面を入射角V=-45°、H=0°で照射し、表面法線に対して、V=-90°からV=90°までのコーティング表面からの反射を図に示す。ピークIは、クリアコートと空気との界面での鏡面反射に、アルミニウムフレークの鏡面反射を加えたものを表している。
図2と比較すると、コーティング表面に平行に配列されたアルミニウムフレークの総表面積がエンボス構造によって減少しているために、ピークIの強度が若干減少している。ピークIIは、構造化されたアルミニウムフレークからの再帰反射によるものである。このシミュレーションによると、入射放射線の約1%が再帰反射される。
【0048】
図2では標準的な(すなわち平坦な表面の)アルミニウムフレークを使用し、一方、
図3では(本開示による)構造化アルミニウムフレークを使用している。どちらの場合も、鏡面方向への強い反射が観察される(V=45°、H=0°)。しかし、本開示の再帰反射型効果顔料を使用した場合には、標準的な効果顔料では観察されない照射方向(V=-45°、H=0°)への反射信号の強い増大が見られる。これは、このようなコーティングに入射するLidarパルスが、標準的な効果顔料のみを使用したコーティングと比較して、より良好に検出されることを証明している。
【0049】
図4は、
- 標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング2、
- n=-2からn=+2までの各回折次数について20%の回折効果を仮定した、周期性g=1.3μmの回折格子表面(US2014/0154520A1に記載)を有するアルミニウムフレークを含むコーティング3、及び
- 本開示の再帰反射性顔料を含むコーティング4
(なお、各々は、完全吸収体基板上に形成されている)
からの905nmの波長λを有するLidar信号の反射についてのシミュレートを比較したものである。
【0050】
反射したLidar信号の相対強度(%)は、コーティングの表面法線に対するLidar信号の入射角度(°)の関数として描かれている。また、ランバート参考例1の反射曲線も図に示されている。
【0051】
曲線2、3、4は、クリアコート層で覆われた、完全な吸収体基板上の20μmのベースコート層からなるコーティングの反射率のシミュレーションを表している。ベースコートは、ベースコートの総質量に対して1質量%の顔料を含む。顔料は、ベースコート層全体に均一に分布し、コーティングの全表面積の約31%を覆っている。
【0052】
ランバート参考例1の反射率は、入射角が大きくなるにつれて減少する。ランバート参考例1は、ランバートの余弦法則に従う理想的な拡散反射面を有している。
【0053】
標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング2は、コーティング表面に平行に方向付けられているアルミニウムフレークからの鏡面反射により、低い入射角で高い反射率を示している。入射角が大きくなると、反射率は急速に低下し、ほぼゼロになる。
【0054】
周期性g=1.3μmの回折格子面(US2014/0154520A1に記載)を有するアルミニウムフレークを含むコーティング3は、入射信号(それぞれn=-1、n=-2)の回折によって、入射角約25~30°及び約45°においてLidar反射率の2つの局所最大値を示す。
【0055】
本開示の再帰反射性顔料を含むコーティング4(
図1に示す)は、入射角の全範囲において、ランバート参考例1の反射率を超える反射率を示す。入射角が5°の場合、コーティング4の反射率は、ランバート参考例の反射率の21倍である。再帰反射の効果を65%と仮定すると(キューブコーナー構造の3面すべてで反射された光線のみが入射光線の方向に反射されるため)、コーティング4の反射率は、コーティング中の分散フレークの総表面積のみを考慮すると、ランバート参考例1の反射率の37倍の理論値となる。これは、上記シミュレーションの結果と同じ範囲であり、これによってシミュレーション結果の妥当性を示している。
【0056】
図5は、強吸収基板上での、標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング及び回折格子面を有するアルミニウムフレークを含むコーティングそれぞれの反射測定結果を比較したものである。反射したLidar信号の相対強度(%)は、コーティングの表面法線に対するLidar信号の入射角度(°)の関数として描かれている。
【0057】
各曲線は、黒色プラスチック基材上の多層コーティングからの905nmの波長λを有するLidar信号の反射の測定値を示している。多層コーティングは、順に、プライマー層、20μmの第1ベースコート層BC1、20μmの第2ベースコート層BC2、及びクリアコート層から構成されている。
【0058】
曲線1は、BC1の総質量に対して、BC1に分散された10質量%のカーボンブラックと、BC2の総質量に対して、BC2に分散された1.43質量%のUS2014/0154520 A1(Metalure(登録商標)Prismatic H-50720,ECKART GmbH,91235 Hartenstein、ドイツ)に記載の回折格子表面を有するアルミニウムフレークとを含むコーティングの反射曲線の測定値である。
【0059】
曲線2は、BC1の総質量に対して、BC1に分散された20質量%のNIR透過性黒色顔料と、BC2の総質量に対して、BC2に分散された1.43質量%のUS2014/0154520A1(Metalure(登録商標)Prismatic H-50720,ECKART GmbH,91235 Hartenstein、ドイツ)に記載の回折格子表面を有するアルミニウムフレークとを含むコーティングの反射曲線の測定値である。
【0060】
曲線3は、BC1の総質量に対して、BC1に分散された10質量%のカーボンブラックと、BC2の総質量に対して、BC2に分散された1質量%の標準アルミニウムフレーク(Metalure(登録商標) A-31017AE,ECKART GmbH,91235 Hartenstein、ドイツ)とを含むコーティングの反射曲線の測定値である。
【0061】
曲線4は、BC1の総質量に対して、BC1に分散された20質量%のNIR-透過性黒色顔料と、BC2の総質量に対して、BC2に分散された1質量%の標準アルミニウムフレーク(Metalure(登録商標) A-31017AE,ECKART GmbH,91235 Hartenstein、ドイツ)とを含むコーティングの反射曲線の測定値である。
【0062】
US2014/0154520A1に記載されているような回折格子表面を有するアルミニウムフレークを含むコーティング1及び2は、低い入射角で高い反射率を示し、そして、約25~30°の入射角でLidar反射率の更なる局所最大を示す。この局所的な最大値は、Lidar波長の1つの回折次数がLidar源に向けられるときに現れる。
【0063】
標準的なアルミニウムフレークを含むコーティング3及び4は、コーティング表面に平行に方向付けられているアルミニウムフレークからの鏡面反射により、低い入射角で高い反射率を示している。入射角が大きくなると、反射率は急速に低下し、その後ほぼゼロになる。
【0064】
図6は、2つの再帰反射構造を有する本開示の例示の再帰反射性顔料の模式図である。再帰反射性顔料は、それぞれ40μm及び25μmの主軸を有する楕円形の形状を有するアルミニウムフレークである。金属フレークの厚さは250nmである。アルミニウムフレークの対向面には、2つのキューブコーナー構造がエンボス加工されている。エンボス加工で作られた四面体構造のベース面は、一辺が17μmの正三角形の形状をしている。
図6は、再帰反射性顔料の斜視側面図である。図示のように、キューブコーナー構造の1つに入射した入射光線は、キューブコーナー構造の3つの内面全てによって反射され、入射光線の再帰反射を引き起こす。キューブコーナー構造の背面に当たった入射光線は、散乱される。フレークは2つの面のそれぞれにキューブコーナー構造を有しているため、どちらの面に照射しても再帰反射が起こる。
【0065】
図7は、本開示の再帰反射構造体のLidar信号増強の可能性を示す実験結果を示すグラフである。3種類(1)~(3)のサンプルを用意した:
- サンプル(1)は、PETフィルム(平面コート、構造なし)にUVコートをコーティングし、その後、銀(Ag)により約120nmの厚さの層を生成することによって調製したAgコート平面鏡である、
- サンプル(2)は、白色ベースコートの上にクリアコートを有する白色ベースコート(L
*=95)である、
- サンプル(3)は、PETフィルムにUVコートをコーティングすることによって準備した銀がコートされたキューブコーナー構造サンプル(表面にキューブコーナー構造(~100%の充填密度、各キューブコーナーのエッジ長約100μm)を有することを特徴とする)である。その後、UVコートを銀でコーティングし、約120nmの厚さのAg層を形成した。
このサンプルに905nmのLidarセンサーを照射した。
【0066】
図7は、サンプル(1)~(3)についての、反射Lidar信号の校正相対強度(%)を入射角(AOI)(°)の関数として示している。「校正されたLidar信号」の100%は、入射角(AOI)=0での完全な拡散面の信号レベルと同等である。100%より大きい信号強度のすべては、人為的に最大値100%に設定されている。従って、グラフに示したデータでは、異なるサンプルについて測定された信号強度の定量的な比較はできない。しかし、このデータは、再帰反射構造(3)が、a)広い範囲にわたる入射角(AOI)及びb)白色散乱面(2)の信号を超える、強い測定信号を生成していることを示している。従って、キューブコーナー構造により、Lidarの反射率が効果的に向上することが実証されている。