(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】再液化システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
F25B9/00 A
(21)【出願番号】P 2022561389
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 US2021031392
(87)【国際公開番号】W WO2021226525
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-07
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(73)【特許権者】
【識別番号】318006941
【氏名又は名称】エア・リキード・アドバンスド・テクノロジーズ・ユー.エス.・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ゲリフ、ピエール-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ギーヤール、アラン
(72)【発明者】
【氏名】フラヴィアン、ジル
(72)【発明者】
【氏名】フォラカ、ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】コン、ポール
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-072087(JP,A)
【文献】特開2018-132294(JP,A)
【文献】特開2019-117026(JP,A)
【文献】特公昭43-010341(JP,B1)
【文献】英国特許出願公告第00875752(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある設計容量を有するモータとコンプレッサとを
備える、少なくともN個のサブクーラと、
少なくともN個のメイン極低温タンクと、少なくともN個の再循環ポンプと、少なくとも1つのモータの速度を制御する少なくとも1つの可変速システムと、を
備える極低温液体再液化システムであって、
・ Nが2と等しい場合にはN-1個の可変速システムが前記モータと
前記コンプレッサとの間で共有され、又は
・ Nが2より大きい場合にはN-2個の可変速システムが前記モータと
前記コンプレッサとの間で共有される、
極低温液体再液化システム、の信頼性及び可用性を向上させる方法であって、
前記方法は、
・ 再液化システムを液体極低温流体
の使用部に接続するステップであって、
前記使用部にはその後、液体極低温流体が供給されるステップと、
・ 前記液体極低温流体
の前記使用部内で前記液体極低温流体を気化させるステップと、
・
気化された前記液体極低温流体を前記メイン極低温タンクに送り戻すステップと、
を
備え、
・ 可変速システムを伴う第一のモータと
第一のコンプレッサが設計容量に到達したか、又はそれに近い状態になったとき、
〇 前記第一のモータは前記可変速システムから切り離されて既存の送電網に接続され、それゆえ、前記可変速システムを解放し、
〇 前記可変速システムは第二のモータ及び
第二のコンプレッサに接続され、
〇 その後、前記第二のモータ及び
前記第二のコンプレッサが始動される、方法。
【請求項2】
前記極低温流体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、酸素、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、水素、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、全て2020年5月8日を出願日とする、米国仮特許出願第63/021,868号、同第63/021,880号、及び同第63/021,889号の米国特許法第119条(a)及び(b)に基づく優先権の利益を主張するものであり、それらの内容全体を参照によって本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの特定の用途において、液体窒素等の極低温液体流が冷却目的のために使用され得る。この場合、液体窒素は通常、少なくとも部分的に気化するため、この窒素蒸気を再凝縮させて、窒素生成物及び低温エネルギ(冷却)の損失を回避する必要があろう。このような流れを再凝縮させるために使用される典型的な方法は、気体を冷却して、液化が完了するまで一部のエンタルピを抽出することである。エンタルピ抽出は典型的に、他の液体との間接的な熱交換を通じて行われ、これは典型的に弁及び/又はタービンにおける凝縮、冷却、及び圧力降下といった幾つかの様々なステップを経る。
【0003】
典型的な別の解決策は、気体流をサブクール状態の液体と混合することであり、それによってこの気体とサブクール状態の液体との間の直接的熱交換で気体流が凝縮する。この混合は典型的に、タンク気相部で実施できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
極低温液体再液化システムの信頼性及び可用性を向上させる方法が提供される。再液化システムは、少なくともN個のサブクーラであって、モータと、ある設計容量のコンプレッサとを含む、N個のサブクーラと、少なくとも1つのモータの速度を制御する少なくとも1つの可変速システムと、を含み得る。再液化システムは、Nが2と等しい場合にはモータとコンプレッサが共有するN-1個の可変速システムを、又はNが2より大きい場合にはモータとコンプレッサが共有するN-2個の可変速システムを含む。方法は、再液化システムを液体極低温流体使用部に接続するステップであって、そこにはその後、液体極低温流体が供給されるステップと、液体極低温流体を液体極低温流体使用部内で気化させるステップと、気化極低温流体をメイン極低温タンクに送り戻すステップと、を含む。可変速システムを伴う第一のモータとコンプレッサが設計容量に到達したか、又はそれに近い状態になったとき、第一のモータは可変速システムから切り離されて既存の送電網に接続され、それゆえ、可変速システムを解放し、可変速システムは第二のモータ及びコンプレッサに接続され、その後、第二のモータ及びコンプレッサが始動される。
【0005】
再液化システムは、2つの異なる液体極低温流体使用部を含み得て、そこに、2つの異なるメイン極低温タンクを利用して、共通のサブクーラ及び再循環ループで液体極低温流体が提供され、2つの異なるメイン極低温タンク内の圧力は、2つの異なるサブクール状態の液体極低温流体弁に作用する圧力コントローラで制御される。及び又は、再液化システムは、少なくとも1つの液体極低温流体使用部を含み得て、そこにリード・ラグ配置の2つ以上のサブクールシステムから冷却が提供され、メイン極低温タンク内の圧力は、各サブクーラ出口弁について出口弁に作用する圧力コントローラで制御される。
【0006】
本発明の性質と目的をよりよく理解するために、以下の詳細な説明を下記のような添付の図面と共に参照すべきであり、図中、同様の要素には同じ又は同様の参照番号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1つの実施形態による基本的なシステム全体の概略図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態による2トレインシステムの液体極低温流体使用部及びメイン極低温タンクの詳細を示す概略図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による2トレインシステムのサブクールシステムの詳細を示す概略図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態によるターボブレイトンシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の例示的な実施形態を以下に説明する。本発明は様々な改変や代替的形態をとることができるが、その特定の実施形態が図中に例として示され、本明細書中で詳しく説明されている。しかしながら、本明細書中の特定の実施形態の説明は、本発明を開示されている特定の形態に限定しようとするものではなく、反対に、付属の特許請求の範囲により定義される本発明の主旨と範囲に含まれるすべての改良、同等物、及び代替物をカバーすることが意図されていると理解すべきである。
【0009】
もちろん、このような実際の実施形態の開発においては、開発者の特定の目標を達成するために、例えばシステム関連及びビジネス関連の制約への適合等、目的ごとの数多くの意思決定を行わなければならず、これは実際のケースでそれぞれ異なることが認識されるであろう。さらに、このような開発活動は複雑で時間がかかるかもしれないと認識されるであろうが、それでも本開示の利益を受けた当業者にとってはさほど困難なことではないであろう。
【0010】
簡潔にするために、下記は
図1に示されるような1つの極低温タンクと1つのサブクーラを備える簡略化されたシステムの基本動作の説明である。要素の番号は総称的であるが、当業者であれば、説明が第一のトレイン(A)にも第二のトレイン(B)にも等しく当てはまると認識するであろう。2つの極低温タンク及び/又は2つのサブクーラを含む動作の詳細を以下に示す。
【0011】
以下のシステムは液体窒素の使用を説明しているが、当業者であれば、標的システムを冷却するために必要な温度レベルに応じて、何れの適当な極低温流体(酸素、メタン、その他)も同じコンセプトで使用され得ると認識するであろう。
【0012】
液体窒素114は、メイン極低温タンク102の中に飽和状態(圧力P1)で貯蔵される。窒素蒸気115はメイン極低温タンク102のヘッドスペースを占める。通常の動作中、液体窒素114の一部がメイン極低温タンク102から抽出されて、液体窒素使用部116に送られる。液体窒素使用部116は、液体窒素流103を内部冷却目的に利用する。液体窒素流103はそれゆえ、気化し、気化した窒素流104はメイン極低温タンク102へと再循環される。
【0013】
同時に、液体窒素114の一部はメイン極低温タンク102から温暖再循環流107として抽出され、再循環ポンプ110に送られる。すると、加圧された液体窒素はサブクーラ106に入る。サブクーラ106は液体窒素を少なくとも摂氏数度で冷却する。サブクール状態の再循環流108はその後、メイン極低温タンク102に戻され、そこで霧状で気相部115に導入される。液体窒素使用部116から戻った気化した窒素流104は、サブクール状態の液体と接触すると冷却され、再び飽和液体114へと凝縮される。
【0014】
メイン極低温タンク102は、第一の圧力伝送器119を含み得る。第一の圧力伝送器119は、1つ又は複数の周辺インタフェースコントローラ(PIC:peripheral interface controller)とインタフェースし得る。第一のPIC 120は、第一の圧力伝送器119及び再循環制御弁109の両方に機能的に接続される。サブクーラバイパスライン118は、温暖再循環流107及びサブクール状態の再循環流108に流体的に接続され、それによって加圧された再循環流の少なくとも一部が再循環ポンプ110から出てサブクーラ106をバイパスすることができる。サブクーラバイパスライン118は第二の圧力伝送器122を含み得る。第二の圧力伝送器122は、1つ又は複数のPICsとインタフェースし得る。第二のPCI 123は、第二の圧力伝送器122とバイパス制御弁125の両方に流体的に接続される。第三のPIC 124は、第二の圧力伝送器122と再循環ポンプ110の両方に機能的に接続される。
【0015】
メイン極低温タンク102内の圧力は主として、サブクーラ106から出たサブクール状態の再循環流108上の再循環制御弁109により制御される。
【0016】
再液化システムはまた、液体バッファタンク111と、バッファタンク移送流112と、バッファタンク移送制御弁113と、を含む。液体バッファタンク111は、必要に応じて、液体窒素トラックトレーラ(図示せず)等の外部液体窒素供給源117から補給され得る。
【0017】
以下の実施形態においては、説明を容易にし、不必要な混同を避けるために、2トレイン(トレインA及びトレインB)を用いるシステムが例示されている。当業者であれば、3つ以上のトレインにも、その設計を検討することが望ましいのであれば、説明されている同じ方法を容易に当てはめられることがわかるであろう。
【0018】
本発明の1つの実施形態が
図2及び3に概略的に示されている。再液化システムは、第一の極低温タンク102A、第二の極低温タンク102B、第一の液体窒素流103A、第二の液体窒素流103B、第一の気化窒素流104A、第二の気化窒素流104B、第一の気化窒素流104Aに流体的に取り付けられた第一の通気弁105A、及び第二の気化窒素流104Bに流体的に取り付けられた第二の通気弁105Bを含む。
【0019】
再液化システムはまた、第一のサブクーラ106A、第二のサブクーラ106B、温暖再循環流107、温暖再循環流の第一の部分107A、温暖再循環流の第二の部分107B、サブクール状態の再循環流108、サブクール状態の再循環流の第一の部分108A、サブクール状態再循環流の第二の部分108B、第一の再循環制御弁109A、第二の再循環制御弁109B、第一の再循環ポンプ110A、第二の再循環ポンプ110B、及び第三の再循環ポンプ110Cを含む。
【0020】
第一のサブクーラ106Aと第二のサブクーラ106Bのほか、追加のサブクーラがある場合はあり得る全てのサブクーラは、冷却水供給ライン132及び冷却水戻りライン133によって冷却され得る。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、液体寒剤が2つ以上のサブクールシステムの中で並行してサブクールされる。これら2つ以上のサブクールシステムは、同様又は異なる冷却能力を有することができる。サブクールシステムを並行して使用することによる利点は、プラントの全体的な利用可能性が向上することのほか、再液化プラントの冷却能力も増大することである。
【0022】
第一の極低温タンク102B内の圧力は、2つの所望の最大値間に、圧力が所定の最低閾値に到達する場合は第一の昇圧コイル126A、及び圧力が所定の最高閾値に到達する場合は第一の通気弁105Aによって保持される。
【0023】
第一及び第二の昇圧コイル126A/Bは当業界でよく知られている。これらは典型的に周囲温度気化器であり、これは環境からの熱を使ってタンク内の少量の極低温液体114Aを気化させる。この少量の気化した液体はその後、必要に応じて、内部圧力を保持又は上昇させるためにタンク内に再び収容される。
【0024】
第一の極低温タンク102B内の圧力は、上で定義された所定の最低及び所定の最高圧力値間に設定される一定の値に制御される。この圧力の制御は、サブクーラ出口弁109A/Bに作用する圧力コントローラ127A/Bにより確実に行われる。リード・ラグ制御方式が実装されて、次のサブクーラの冷却能力が、その前のサブクーラの出口弁が全開か、ほぼ全開となってからでなければ増大しないようになっている。
【0025】
本明細書で使用されるかぎり、「設計容量に到達した、又はそれに近い状態」という用語は、設計容量の80%以内、好ましくは設計容量の90%以内、及びより好ましくは設計容量の95%以内を意味するものと定義される。
【0026】
本明細書で使用されるかぎり、「リード・ラグシステム」という用語は、システムの需要が1つの単独のユニットの設計容量を超える場合、「リード(先行)」機器がその設計容量に達した、又はそれに近い状態になると、「ラグ(後続)」機器がシステムの需要を満たすために起動され、利用されるものと定義される。このような「リード・ラグ」システムは当業界でよく知られている。
【0027】
本明細書で使用されるかぎり、弁に関する「全開か、ほぼ全開となる」という用語は全開位置の80%以内、好ましくは全開位置の90%、より好ましくは全開位置の95%以内を意味するものと定義される。
【0028】
各サブクーラは、それぞれの出口におけるサブクール状態の液体寒剤の温度を制御する。温度の設定点は各サブクーラについて同じとすることができ、関連する極低温タンク102A/B内の飽和温度(典型的に摂氏10°未満)より摂氏数度低くすべきである。
【0029】
各サブクーラを通じて流れのバランスを正確にとるために、以下を考慮に入れなければならない。
- そのサブクーラの冷却デューティ(典型的に、関連するターボマシンの速度)
- サブクーラの下流の温度と温度設定点との差。
【0030】
全容量又はほぼ全容量で使用されているサブクーラは、出口温度が設定点より高く、また別の容量が他のサブクーラ(複数の場合もある)上で依然として利用可能であるとき、それが受け取る流れがそれ以外のものと比較して多すぎることになる。このサブクーラの下流の弁が最大開状態となるか、又は最大開状態に近付くように作用する特定のコントローラにより、この特定の状況で、このサブクーラでの流れを減少させることができる。
【0031】
本発明の他の実施形態では、通常の動作状態中、第一の極低温タンク102Aからの液体窒素は、並列に設定された1つまた複数のサブクールユニットの中でサブクールされる。サブクール状態の窒素はその後、第一の極低温タンク102A内に噴霧され、第一の液体極低温流体使用部116Aからの過熱蒸気104Aと混合される。
【0032】
第二の極低温タンク102Bは、第一の極低温タンク102Aより高圧に保持され、高圧で動作する。第一の極低温タンク102Aからの第一の液体極低温流体流103Aは、第二の液体極低温流体流103Bより低温であり、第二の極低温タンク102Bの圧力へと上昇させられ、第二の液体極低温流体使用部116Bからの過熱蒸気104Bと混合される。
【0033】
第二の極低温タンク102Bからの液体極低温流体114Bは、第一の極低温タンク102A内の液体極低温流体114Aの水位を保持するために、戻り管路128を通じて第一の極低温タンク102Aに再び移送される。サブクーラ106A/Bが弱運転とされるか、又は停止されたとき、システムは依然として何れの温度レベルでも動作できる。すると、液体極低温流体流103A/Bは液体極低温流体使用部116A/Bにより気化させられて通気弁105A/Bから排出される。
【0034】
第一の極低温タンク102A内の液体極低温流体114Aの残量が下限に近付きつつある場合、第二の極低温タンク102Bからの液体極低温流体114Bを使って第一の極低温タンク102Aに補充できる。第二の極低温タンク102B内で液体極低温流体114Bの残量が下限に近付きつつある場合、第一の極低温タンク102Aからの液体極低温流体114Aは、位相ポンプ110Cを使って温暖極低温液体供給ライン131を通じて第二の極低温タンク102Bの補充に使用できる。
【0035】
前述のシステムにさらに別のサブクーラ106を追加することができる。各サブクーラ106A/Bは、希望に応じて同じ冷却温度を提供するように構成できる。サブクールユニットの数を増やすことは、システムの全体的な能力と可用性に寄与する。
【0036】
1つの実施形態において、各サブクーラ106A/Bは第一の極低温タンク102Aから切断され得て、第二の極低温タンク102Bのみに接続できる。この構成により、極低温タンク102A/Bの一方が他方より高温で動作するときに、全体的な冷却システムの効率を向上させることができる。
【0037】
次に
図4を参照すると、典型的なターボブレイトンサイクルが示されている。ターボブレイトンは低温冷却装置で、典型的にはその範囲は-100℃~-273℃であり、したがって、極低温である。これは極低温の作動流体サイクルを含む閉鎖型作動回路である。冷却作動流体は温暖再循環流107とサブクーラ熱交換器408によって熱交換し、そこから熱を取り出す。
【0038】
作動回路は、直列に配置された次の要素、すなわち第一の圧縮ステージ403、第二の圧縮ステージ405(好ましくは、等エントロピ又は実質的に等エントロピ)、中間冷却器404、後段冷却器406、及び流体を冷却するための伝熱式熱交換器407(好ましくは等圧又は実質的に等圧)、流体を膨張させるためのターボエキスパンダ409(好ましくは、等エントロピ又は実質的に等エントロピ)及び伝熱式熱交換器407、並びに流体を加熱するためのサブクーラ熱交換器408(好ましくは、等圧又は実質的に等圧)を含む。
【0039】
典型的なターボブレイトンシステムは、それぞれ第一の圧縮ステージ403と第二の圧縮ステージ405を駆動するための、好ましくは電気式の、第一のモータ401と第二のモータ402を含む。ターボエキスパンダ409は典型的に、第一のモータ401を駆動するラジアルタービンを含む。より正確には、ターボエキスパンダ409は、第一のモータ401による第一の圧縮ステージの駆動を支援する。
【0040】
それゆえ、この機器は2つのモータ401/402を使用し、第二のモータ402はその片方の端において、第二の圧縮ステージ405のみを駆動する。第二の圧縮ステージ405は第一の圧縮ステージ403の下流にある(下流とは、回路10内での作動流体の循環方向に関する)。
【0041】
この新規の構成により、エンタルピΔhsの全体的な増分を2つの圧縮ステージにわたり分散させることが可能となり、その結果、一方のステージのエンタルピΔhsの上昇を緩和させ、圧縮ステージの比速度を高め、各コンプレッサの最適な比速度に近付けることができる。
【0042】
このようなエンタルピΔhsの全体的な上昇は2つのコンプレッサステージ403/405間で分散され、繰り返しになるが、それが圧縮ステージの比速度を上昇させて、最適な比速度に近付け、又は到達させることが可能となる。この新規の構成により、2つの圧縮ステージ403/405は最適な比速度付近で、又は最適な比速度で動作できる(先行技術のように第一のステージだけではない)。
【0043】
1つの動作モードにおいて、2つのモータ401/402は同じであり、2つのモータの速度は同じであり、2つのコンプレッサ403/405の比速度は同じで、最適である。
【0044】
他の動作モードでは、2つの圧縮ステージ403/405は可変速モータにより制御され、異なる速度で動作することにより、2つのモータ401/402の機械的出力及び/又は回転速度が異なる場合でも最適な比速度付近で、又は最適な比速度で動作し得る。2つの圧縮ステージ403/405の圧縮比は、2つの圧縮ステージの比速度が最適値にできるだけ近くなるように選択され得る。
【0045】
再び
図2及び3を参照すると、本発明の他の実施形態において、液体寒剤は2つ又は複数のサブクールシステムを使って並行してサブクールされ得る。これら2つ以上のサブクールシステムは同様の、又は異なる冷却能力を有することができる。サブクールシステムの並行使用の利点は、プラント全体の利用可能性が向上することのほか、プラントの冷却能力も増大することである。
【0046】
ターボブレイトンシステムに関して上述したように、サブクールシステムの中には、始動中及び/又はそのターボ機械の動作を低負荷と高負荷間で効率的に制御するために、可変速システムを必要とするものがある。同じ大きさの複数のサブクーラを備えるシステムの場合、これらの異なるサブクーラ間で可変速システムを共有することも想定できる。1つのサブクーラが始動すると、可変速システムはそのランプアップを制御するために使用される。そのサブクーラの最大冷却能力に近い負荷に到達し、ある程度の追加の冷却が必要になると、上述のサブクーラに連結された可変速システムは他のサブクーラに切り替えられて始動させられ、最大冷却能力に近いサブクーラは可変速システムの切替前に電気ネットワークに連結される。この移行中、サブクーラのシステムは負荷の変動に追従できないため、そのサブクーラからのこのような冷却の欠如を補償するために、第一の極低温タンク102Aからの一部の液体窒素が使用されることになる。
【0047】
2つのサブクーラが取り付けられている場合、1つの可変速システムを各サブクーラの各ターボ機械間で共有させることができる。Nが2である場合、1つの可変速システム(すなわち、N-1個)のみが存在する。Nが2より多い場合、1つ又は複数の可変速システム(すなわち、N-2)が存在する。可変速システムは、N個のサブクーラのターボエキスパンダ間で共有され得る。
【0048】
非限定的な例として、N=3の場合、1つの可変速システム及び2つの定速システムが存在する。このような状況では、ターボエキスパンダ1(可変速システムを備える)が設計容量に到達したか、又はそれに近い状態になると、ターボエキスパンダ2(連続する次のもの)が始動され、ランプアップされる。ある速度で、可変速システムはターボエキスパンダ1からターボエキスパンダ2に切り替えられ、今度はターボエキスパンダ1が定速で動作する。本明細書で使用されるかぎり、「設計容量に到達した、又はそれに近い状態」という用語は、設計容量の80%以内、好ましくは設計容量の90%以内、より好ましくは設計容量の95%以内を意味するものと定義される。
【0049】
本発明の性質を説明するために本明細書で述べた詳細、材料、ステップ、及び部品の配置における多くの他の変更が当業者により付属の特許請求の範囲に明記されている本発明の原理と範囲の中でなされ得ると理解されたい。それゆえ、本発明は上述の例の中の具体的な実施形態に限定されることは意図されていない。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 少なくともN個のサブクーラであって、モータと、ある設計容量のコンプレッサとを含む、N個のサブクーラと、少なくとも1つのモータの速度を制御する少なくとも1つの可変速システムと、を含み、
・ Nが2と等しい場合にはN-1個の可変速システムが前記モータとコンプレッサとの間で共有され、又は
・ Nが2より大きい場合にはN-2個の可変速システムが前記モータとコンプレッサとの間で共有される、
極低温液体再液化システムの信頼性及び可用性を向上させる方法であって、
・ 再液化システムを液体極低温流体使用部に接続するステップであって、そこにはその後、液体極低温流体が供給されるステップと、
・ 前記液体極低温流体使用部内で前記液体極低温流体を気化させるステップと、
・ 前記気化極低温流体を前記メイン極低温タンクに送り戻すステップと、
を含み、
・ 可変速システムを伴う第一のモータとコンプレッサが設計容量に到達したか、又はそれに近い状態になったとき、
〇 前記第一のモータは前記可変速システムから切り離されて既存の送電網に接続され、それゆえ、前記可変速システムを解放し、
〇 前記可変速システムは第二のモータ及びコンプレッサに接続され、
〇 その後、前記第二のモータ及びコンプレッサが始動される、方法。
[2] 前記再液化システムは、少なくとも1つのメイン極低温タンクと、サブクーラと、再循環ポンプと、を含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記極低温流体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、酸素、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、水素、及びこれらの組合せからなる群より選択される、[1]に記載の方法。
[4] 極低温流体再液化システムの信頼性と可用性を向上させる方法であって、
・ 再液化システムを少なくとも1つの液体極低温流体使用部に接続するステップであって、そこにはその後、液体極低温流体が供給されるステップと、
・ 前記液体極低温流体使用部内で前記液体極低温流体を気化させるステップと、
・ 前記気化極低温流体を前記メイン極低温タンクに送り戻すステップと、
を含み、
・ 2つの異なる液体極低温流体使用部に、2つの異なるメイン極低温タンクを利用して、共通のサブクーラ及び再循環ループにより液体極低温流体が提供され、前記2つの異なるメイン極低温タンク内の圧力は、2つの異なるサブクール状態の液体極低温流体弁に作用する圧力コントローラで制御され、及び/又は
・少なくとも1つの液体極低温流体使用部に、リード・ラグ配置の2つ以上のサブクールシステムから冷却が提供され、前記メイン極低温タンク内の圧力は、各サブクーラ出口弁について出口弁に作用する圧力コントローラで制御される方法。
[5] 前記再液化システムは、少なくとも1つのメイン極低温タンク、少なくとも1つのサブクーラ、及び少なくとも1つの再循環ポンプを含む、[4]に記載の方法。
[6] 前記極低温流体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、酸素、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、水素、及びこれらの組合せからなる群より選択される、[4]に記載の方法。
[7] 2つ以上の再液化システムが使用される場合、これらは同じ温度レベルで動作する、[4]に記載の方法。
[8] 2つ以上の再液化システムが使用される場合、これらは異なる温度レベルで動作する、[4]に記載の方法。
[9] 前記サブクールシステムは下流流体温度と流体温度設定点とを含み、前記サブクーラ間の流量のバランスは、前記サブクーラの冷却デューティと、前記サブクーラの前記下流流体温度と前記流体温度設定点との差を使ってとられる、[4]に記載の方法。
【符号の説明】
【0050】
102 メイン極低温タンク
103 液体極低温流体流
104 気化極低温流体流
105 通気弁
106 サブクーラ
107 温暖再循環流
108 サブクール状態の再循環流
109 再循環制御弁
110 再循環ポンプ
111 液体バッファタンク
112 バッファタンク移送流
113 バッファタンク移送制御弁
114 液体極低温流体(メイン極低温タンク内)
115 極低温流体蒸気(メイン極低温タンク内)
116 液体極低温流体使用部
117 外部液体極低温流体源
118 サブクーラバイパスライン
119 第一の圧力伝送器(メイン極低温タンク内)
120 第一の周辺インタフェースコントローラ
122 第二の圧力伝送器(サブクーラバイパスライン内)
123 第二の周辺インタフェースコントローラ
124 第三の周辺インタフェースコントローラ
125 バイパス制御弁
102A 第一の極低温タンク
102B 第二の極低温タンク
103A 第一の液体極低温流体流
103B 第二の液体極低温流体流
104A 第一の気化極低温流体流
104B 第二の気化極低温流体流
105A 第一の通気弁
105B 第二の通気弁
106A 第一のサブクーラ
106B 第二のサブクーラ
107 温暖再循環流
107A 温暖再循環流の第一の部分
107B 温暖再循環流の第二の部分
108 サブクール状態の再循環流
108A サブクール状態の再循環流の第一の部分
108B サブクール状態の再循環流の第二の部分
109A 第一の再循環制御弁
109B 第二の再循環制御弁
110A 第一の再循環ポンプ
110B 第二の再循環ポンプ
110C 移送ポンプ
114A 液体極低温流体(第一の極低温タンク内)
114B 液体極低温流体(第二の極低温タンク内)
115A 極低温流体蒸気(第二の極低温タンク内)
115B 極低温流体蒸気(第二の極低温タンク内)
116A 第一の液体極低温流体使用部
116B 第二の液体極低温流体使用部
119A 第一の圧力伝送器(メイン極低温タンク内)
119B 第二の圧力伝送器(メイン極低温タンク内)
120 第一の周辺インタフェースコントローラ
122 第二の圧力伝送器(サブクーラバイパスライン内)
123 第二の周辺インタフェースコントローラ
124 第三の周辺インタフェースコントローラ
125 バイパス制御弁
126A 第一の昇圧コイル
126B 第二の昇圧コイル
127A 第一の圧力コントローラ
127B 第二の圧力コントローラ
128 戻り管路
129 温暖極低温液体戻り流
130 温暖再循環供給流
130A 温暖再循環供給流の第一の部分
130B 温暖再循環供給流の第二の部分
131 温暖極低温液体供給ライン
132 冷却水供給ライン
133 冷却水戻りライン