(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】エンドキャップコンポーネント、電池セル、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20240701BHJP
H01M 50/645 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/317 20210101ALI20240701BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/645
H01M50/103
H01M50/186
H01M50/184 A
H01M50/317 101
(21)【出願番号】P 2022562349
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2021111618
(87)【国際公開番号】W WO2022078034
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】202022269855.8
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522021826
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲時▼代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1000 Chengbei Road, Kunlun Street, Liyang City, Changzhou, Jiangsu 213300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】康文▲竜▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼小平
(72)【発明者】
【氏名】▲ケイ▼承友
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161596(JP,A)
【文献】特開2017-188465(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017156(WO,A1)
【文献】特開2017-91721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/15
H01M 50/645
H01M 50/103
H01M 50/186
H01M 50/184
H01M 50/317
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル用のエンドキャップコンポーネントであって、
スルーホールが設置されたエンドキャップと、
前記スルーホールを封止するために用いられ、前記エンドキャップに接続されて接続位置を形成する封止部材と、
ストッパーであって、前記スルーホールに設置され、少なくとも一部の前記ストッパーと前記スルーホールの側壁との間にチャンネルが形成され、前記チャンネルは、前記電池セル内の流体を前記接続位置にガイドするために用いられるストッパーとを含
み、
前記ストッパーの前記側壁に面する表面に第一の切り欠けが設置され、前記第一の切り欠けと前記側壁との間に前記チャンネルが形成される、エンドキャップコンポーネント、
【請求項2】
前記スルーホールの軸方向に沿って前記スルーホールの前記封止部材に近い側へ、前記チャンネルの断面積は、徐々に減少する、請求項
1に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項3】
前記スルーホールの軸方向に沿って前記スルーホールの前記封止部材に近い側へ、前記チャンネルの断面積は、徐々に減少する、請求項
2に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項4】
前記スルーホールの軸方向に沿って前記スルーホールの前記封止部材に近い側へ、前記チャンネルの断面積は、徐々に減少する、請求項
2に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項5】
前記スルーホールは、自体の軸方向に二つの対向するポートを有し、前記第一の切り欠けは、常に二つの前記ポートを貫通する、請求項
1~
4のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項6】
前記ストッパーは、順次設置される第一の部分と第二の部分とを含み、前記第一の部分は、前記スルーホール内に位置し、前記第一の切り欠けは、前記第一の部分に設置され、前記第二の部分は、前記エンドキャップから突出する、請求項
1~
5のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項7】
前記第二の部分に第二の切り欠けが設置され、前記第二の切り欠けは、前記第一の切り欠けと連通する、請求項
6に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項8】
前記第二の切り欠けは、前記第一の切り欠けと数が同じであり、一対一で対向して設置される、請求項
7に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項9】
前記スルーホールは、円孔であり、前記第一の部分は、前記スルーホールの形状に嵌合する円柱体であり、前記第一の切り欠けは、前記第一の部分の前記スルーホールの側壁に面する表面に設置され、前記ストッパーの残りの部分の表面は、前記スルーホールの側壁と緊密に貼り合わせられる、請求項
6~
8のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項10】
前記第二の部分は、円柱体であり、前記第一の部分と同軸に設置される、請求項
9に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項11】
前記第二の部分の径方向サイズは、前記第一の部分の径方向サイズよりも小さい、請求項
10に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項12】
前記第一の切り欠けの数は、二つ以上であり、二つ以上の前記第一の切り欠けは、前記スルーホールの周方向に間隔をあけて設置される、請求項
1~
11のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項13】
前記第一の切り欠けの数は、三つ以上であり、隣接する二つずつの前記第一の切り欠け間のなす角は、同じである、請求項
12に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項14】
前記第一の切り欠けが形成される表面は、平面である、請求項
1~
13のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項15】
前記第一の切り欠けが形成される表面は、弧面である、請求項
1~
13のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項16】
前記エンドキャップに凹部がさらに設置され、前記凹部は、前記スルーホールに対向して設置され、前記スルーホールと連通し、前記凹部は、前記封止部材を収容するために用いられる、請求項1~
15のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネント。
【請求項17】
電池セルであって、
内部空間、及び、前記内部空間と連通する開口を有するハウジングと、
請求項1~
16のいずれか1項に記載のエンドキャップコンポーネントとを含み、前記エンドキャップコンポーネントは、前記開口を密閉し、前記チャンネルは、前記内部空間と連通する、電池セル。
【請求項18】
請求項
17に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項19】
電気エネルギーを提供するための請求項
17に記載の電池セルを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年10月13日に提出された、名称が「エンドキャップコンポーネント、電池セル、電池及び電力消費装置」の中国特許出願202022269855.8の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、エネルギー貯蔵の技術分野に関し、特にエンドキャップコンポーネント、電池セル、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
充放電可能な電池セルは、エネルギー密度が高く、パワー密度が高く、サイクル使用回数が多く、貯蔵時間が長いなどの利点があるため、電気自動車に一般的に応用されている。現在、電池セルの封止性能は電池セルの発展を制約しているため、電池セル封止性能に関する技術研究は研究課題の一つとなっている。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は、電池セルの封止要求を満たすことができるエンドキャップコンポーネント、電池セル、電池及び電力消費装置を提供する。
【0005】
一方面によれば、本出願の実施例に基づいて電池セル用のエンドキャップコンポーネントを提案する。エンドキャップコンポーネントは、スルーホールが設置されたエンドキャップと、スルーホールを封止するために用いられ、エンドキャップに接続されて接続位置を形成する封止部材と、ストッパーであって、スルーホールに設置され、少なくとも一部のストッパーとスルーホールの側壁との間にチャンネルが形成され、チャンネルは、電池セル内の流体を接続位置にガイドするために用いられるストッパーとを含む。
【0006】
上記設置により、電池セルの内部の流体がチャンネルを通って接続位置に流れることができる。封止部材とエンドキャップとの間の接続位置に漏れが発生すると、封止部材とエンドキャップとの間に漏れが発生したか否かをフィードバックするために、電池セルの内部の流体が検出されることができ、それにより出荷前に、漏れたエンドキャップコンポーネントに対して救済対策を取る。この設置により、エンドキャップコンポーネントの封止性をよりよく確保し、電池セルの封止要求を満たすことができる。
【0007】
本出願の実施例の一方面によれば、ストッパーの側壁に面する表面に第一の切り欠けが設置され、第一の切り欠けと側壁との間にチャンネルが形成される。上記設置により、チャンネルが加工形成しやすくなり、ストッパーの強度損失を小さくすることができ、ストッパーが変形しにくくなり、ストッパーの変形により、チャンネルの詰り現象の発生を効果的に回避し、さらに封止部材とエンドキャップとの間接続位置の封止性能を検出する精度を確保することができる。
【0008】
本出願の実施例の一方面によれば、スルーホールの軸方向に沿ってスルーホールの封止部材に近い側へ、チャンネルの断面積は、徐々に減少する。上記設置により、チャンネルの下端開口をできるだけ増大させることができ流体が接続位置に流れることに有利であるとともに、ストッパーとスルーホールとの嵌合の安定性を確保する。
【0009】
本出願の実施例の一方面によれば、スルーホールは、自体の軸方向に二つの対向するポートを有し、第一の切り欠けは、常に二つのポートを貫通する。上記設置により、チャンネルの疎通性を保持することができ、流体がチャンネルを通って封止部材とエンドキャップとの間の接続位置に流れることを確保することができる。
【0010】
本出願の実施例の一方面によれば、ストッパーは、順次設置される第一の部分と第二の部分とを含み、第一の部分は、スルーホール内に位置し、第一の切り欠けは、第一の部分に設置され、第二の部分は、エンドキャップから突出する。ストッパーは、上記構造形式を採用することにより、ストッパーとスルーホールの側壁との間にチャンネルを形成する要求を確保した上で、ストッパーの構成を簡単にし、成形しやすくし、スルーホール内で着脱しやすくすることができる。
【0011】
本出願の実施例の一方面によれば、第二の部分に第一の切り欠けと連通する第二の切り欠けが設置される。一方では、第二の切り欠けの設置により、ストッパーを収納箱内(即ち各エンドキャップのスルーホールに嵌合する前)で所定方向に従って位置決めすることができ、マニピュレータが容易に把持してスルーホール内に取り付けることができる。他方では、第二の切り欠けの設置により、流体がチャンネル内に入ることに有利である。さらに他方では、第二の切り欠けの設置により、第二の部分432の径方向サイズを第一の部分431の径方向サイズよりも小さくすることができ、ストッパーの組み立てに有利である。
【0012】
本出願の実施例の一方面によれば、第一の切り欠けが形成される表面は、平面であるか、又は、弧面である。第一の切り欠けの表面が平面である場合、成形しやすいように、所定の方向に沿って切断して形成されてもよい。第一の切り欠けの表面が弧形面である場合、チャンネルのサイズ要求を満たした上で、ストッパーのスルーホール壁面との接触面積を確保し、ストッパーとエンドキャップとの間の接続強度を確保することができる。
【0013】
本出願の実施例の一方面によれば、エンドキャップに凹部がさらに設置され、凹部は、スルーホールに対向して設置されスルーホールと連通し、凹部は、封止部材を収容するために用いられる。凹部を設置することにより、封止部材を取り付けやすくし、エンドキャップに接続して接続位置を形成しやすくし、スルーホールの封止に有利である。封止部材をエンドキャップから突出して設置する必要がなく、エンドキャップコンポーネントの全体厚さを減少させることができる。
【0014】
別の方面によれば、本出願の実施例は、電池セルを提供する。この電池セルは、内部空間、及び内部空間と連通する開口を有するハウジングと、上記のエンドキャップコンポーネントとを含み、エンドキャップコンポーネントは、開口を密閉し、チャンネルは、内部空間と連通する。
【0015】
本出願の実施例による電池セルは、上記各実施例によるエンドキャップコンポーネントを含む。そのチャンネルの設置により、電池セルの内部の流体がチャンネルを通って接続位置に流れることができる。封止部材とエンドキャップとの間の接続位置で漏れると、封止部材とエンドキャップとの間に漏れが発生したか否かをフィードバックするために、電池セルの内部の流体が検出されることができ、それにより出荷前に、漏れた電池セルに対して救済対策を取り、電池セルの封止性を確保することができる。
【0016】
また別の実施例の方面によれば、本出願の実施例は、上記の電池セルを含む電池を提供する。
【0017】
本出願の実施例による電池は、上記実施例による電池セルを含む。この電池セルは、封止性能が良好であり、安全性が高い。
【0018】
さらに別の実施例方面によれば、本出願の実施例は、電力消費装置を提供する。この電力消費装置は、電気エネルギーを提供するための上記の電池セルを含む。
【0019】
本出願の実施例による電力消費装置は、上記実施例による電池セルを含む。この電池セルは、封止性能が良好であり、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例において使用される必要がある添付図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下の記述における添付図面は、ただ本出願の何らかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、それらの添付図面に基づき、他の添付図面を取得することもできる。
【
図1】本出願の一実施例の車両の構造概略図である。
【
図2】本出願の一実施例の電池の分解概略図である。
【
図3】本出願の一実施例の電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本出願の一実施例の電池セルの分解構造概略図である。
【
図5】本出願の一実施例のエンドキャップコンポーネントの構造概略図である。
【
図6】本出願の一実施例のエンドキャップコンポーネントの分解概略図である。
【
図7】本出願の一実施例のエンドキャップコンポーネントの平面図である。
【
図8】
図7におけるA-A方向に沿う断面図である。
【
図10】本出願の一実施例のエンドキャップの局所断面図である。
【
図11】本出願の別の実施例のエンドキャップコンポーネントのストッパーがエンドキャップに嵌合する局所断面図である。
【
図12】本出願のまた別の実施例のエンドキャップコンポーネントのストッパーがエンドキャップに嵌合する局所断面図である。
【
図13】本出願の一実施例のストッパーの構造概略図である。
【
図14】本出願の一実施例のストッパーの側面図である。
【
図15】本出願の別の実施例のストッパーの構造概略図である。
【
図16】本出願の別の実施例のストッパーの側面図である。
【
図17】本出願の別の実施例のストッパーの平面図である。
【
図18】本出願のまた別の実施例のストッパーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、添付図面と実施例を結び付けながら本出願の実施の形態についてさらに詳細に記述する。以下の実施例の詳細な記述と添付図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を制限するためのものではなく、即ち本出願は、記述されている実施例に限られない。
【0022】
本出願の記述では、なお、特に説明がない限り、「複数」とは、二つ以上を意味する。用語の「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などが指示する方位又は位置関係は、本出願の記述を容易にし、記述を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定方位を有したり、特定方位で構成又は操作されたりすることを指示又は示唆するものではないため、本出願に対する限定としては理解されない。なお、用語の「第一」、「第二」、「第三」などは、記述するためのものにすぎず、相対重要性を指示又は示唆するとして理解してはいけない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0023】
本出願で言及される「実施例」は、実施例を結び付けながら記述される特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置にこのフレーズが現れることは、必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と排他的な独立した実施例又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に記述されている実施例を他の実施例と結び付けてもよいことを明示的かつ非明示的に理解している。
【0024】
本出願の記述では、なお、特に明確な規定と限定がない限り、用語の「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続でもよいし、取り外し可能接続でもよいし、一体的接続でもよい。直接接続でもよいし、中間媒体を介する間接的接続でもよい。当業者にとって、上記の用語の本出願における具体的な意味を具体的な状況に応じて理解することができる。
【0025】
出願者は、封止性が低いため、内部の電極アセンブリが湿潤空気によって侵入され、極めて急速に減衰する問題が電池セルに頻繁に発生することに気づいた後、電池セルの各構造を研究分析したところ、注液や排気などの要求を満たすためにエンドキャップコンポーネントのエンドキャップに通常スルーホールを設置する必要があることを発見した。スルーホールの封止に、ストッパー及び封止部材を設置し、ストッパーをエンドキャップコンポーネントのスルーホール内に入れて、スルーホールを封止状態にし、そして封止部材をスルーホールの一端に置いてエンドキャップコンポーネントに溶接してスルーホールの二重封止を実現することが一般的である。ヘリウム検出プロセスにより、封止部材とエンドキャップとの間の溶接が信頼できるかどうかを検出する。上記設置により、スルーホールの端部に位置する封止部材とエンドキャップコンポーネントとの間の溶接が故障すると、スルーホール内に位置するストッパーとスルーホールとの間が依然として封止効果を形成するため、ヘリウム検出で溶接故障を検出できないという問題が発生してしまう。この電池セルは、スルーホール内のストッパーが複雑な使用状況で欠落すると、この時、ストッパー及び封止部材の二重封止作用が失われ、電池セルの内部の電極アセンブリが空気における湿潤ガスの侵入により、性能が極めて急速に減衰する。
【0026】
出願者が発見した上記問題に基づいて、出願者は、電池セルの封止要求を満たすために、電池セルのエンドキャップコンポーネントの構造を改良する。
【0027】
本出願をよりよく理解するために、以下は、
図1~
図18を結び付けながら本出願の実施例について詳細に記述する。
【0028】
本出願の実施例は、電池を電源として使用する電力消費装置を提供する。この電力消費装置は、車両、船舶又は航空機などであってもよいが、これらに限られない。
【0029】
図1に示すように、本出願の一実施例は、車両1を提供する。車両1は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。本出願の一実施例では、車両1は、モータ1a、コントローラ1b及び電池10を含んでもよい。コントローラ1bは、モータ1aに給電するように電池10を制御するために用いられる。モータ1aは、伝動機構を介して車輪に接続され、それにより、走行するように車両1を駆動する。電池10は、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供してもよい。一例では、車両1の底部又は先頭又は後尾に電池10が設置されてもよい。電池10は、車両1に給電するために用いられてもよい。一例では、電池10は、車両1の操作電源として、車両1の回路システムに用いられてもよい。一例では、電池10は、車両1の起動、ナビゲーションと運行時の作動電力消費需要に用いられてもよい。
【0030】
図2に示すように、電池10は、二つ以上の電池モジュール20を含んでもよい。いくつかの実施例では、電池10は、ボックス11をさらに含む。電池モジュール20は、ボックス11内に設置される。二つ以上の電池モジュール20は、ボックス11内に配列配置される。ボックス11のタイプは、制限されない。ボックス11は、枠状ボックス、円盤状ボックス又は箱状ボックスなどであってもよい。いくつかの実施例では、ボックス11は、電池モジュール20を収容するための第一のボックス111と、第一のボックス111に蓋設される第二のボックス112とを含む。第二のボックス112と第一のボックス111は、蓋設された後、電池モジュール20を収容する収容キャビティを形成する。いくつかの実施例では、電池10は、一つの電池モジュール20を含んでもよい。他の実施例では、電池10は、ボックス11と、ボックス11内に直接設置される複数の電池セルとを含む。
【0031】
図3に示すように、電池モジュール20は、二つ以上の電池セル30を含む。電池モジュール20の設置形態は、複数種ある。一実施例では、電池モジュール20は、収容部(図示しない)と、収容部内に位置する二つ以上の電池セル30とを含む。二つ以上の電池セル30は、収容部内に並列設置される。収容部の設置形態は、複数種あり、例えば収容部は、ケーシングと、ケーシング箇所に蓋設されるカバープレートとを含む。又は、収容部は、順次囲んで接続される側板と端板とを含む。又は、収容部は、対向して設置される両端板と、端板及び電池セル30の外を取り囲むバンドとを含む。
【0032】
図4に示すように、本出願の実施例の電池セル30は、ハウジング31と、ハウジング31内に設置される電極アセンブリ32とを含む。本出願の実施例のハウジング31は、四角形、円殻又は他の形状であってもよい。ハウジング31は、電極アセンブリ32及び電解液を収容する内部空間と、内部空間と連通する開口とを有する。ハウジング31は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、鋼材又はプラスチックなどの材料で製造されてもよい。
【0033】
本出願の実施例の電極アセンブリ32は、第一の極板と、第二の極板と、第一の極板と第二の極板との間に位置するセパレータとを積層又は巻回することにより形成されてもよい。そのうち、セパレータは、第一の極板と第二の極板との間に介在する絶縁体である。本実施例では、例示的に、第一の極板を正極板とし、第二の極板を負極板として例示的に説明する。正極板と負極板は、いずれも、コーティング領域と、未コーティング領域とを含み、正極板活物質は、正極板のコーティング領域にコーティングされるが、負極板活物質は、負極板のコーティング領域にコーティングされる。コーティング領域に、活物質が薄板金属箔で形成される集電体にコーティングされ、未コーティング領域にコーティング活物質がない。電極アセンブリ32は、二つのタブ322、即ち正極タブと負極タブとをさらに含む。正極板のコーティング領域と負極板のコーティング領域に本体部321が形成される。正極板の未コーティング領域に積層して正極タブが形成されるが、負極板の未コーティング領域に積層して負極タブが形成される。いくつかの実施例では、本体部321は、高さ方向に沿って対向して設置される二つの端面を有し、正極タブと負極タブは、それぞれ本体部321の一つの端面から延出することができる。
【0034】
引き続き
図4~
図10に示すように、本出願の実施例の電池セル30は、ハウジング31に封止接続されるエンドキャップコンポーネント40をさらに含む。エンドキャップコンポーネント40は、エンドキャップ41、電極端子45、封止部材42及びストッパー43を含む。電極端子45は、電極アセンブリ32のタブ322に電気的に接続されてもよく、電極端子45は、エンドキャップ41に設置される。電極端子45の外形は、円形であってもよく、四角形であってもよく、ここで限定しない。
【0035】
エンドキャップ41にスルーホール411が設置され、封止部材42は、スルーホール411を封止するために用いられ、封止部材42は、エンドキャップ41に接続されて接続位置46を形成する。ストッパー43は、スルーホール411に設置され、少なくとも一部のストッパー43とスルーホール411の側壁との間にチャンネル44が形成され、チャンネル44は、電池セル30内の流体を接続位置46にガイドするために用いられる。
【0036】
本出願の実施例によるエンドキャップコンポーネント40は、電池セル30に用いられる場合、ハウジング31の開口を密閉することができ、具体的に、エンドキャップ41を介してハウジング31に封止接続することができる。エンドキャップ41におけるスルーホール411の設置により、電解液を注入するか、又は、電池セル30内のガスなどを排出するために用いることができ、封止部材42は、スルーホール411を封止することができ、エンドキャップ41との間に接続位置46を形成することができる。ストッパー43は、スルーホール411内に位置し、スルーホール411の側壁との間にチャンネル44を形成することができ、チャンネル44は、ハウジング31の内部空間と連通する。ストッパー43は、電池セル30の内部の流体に対して局所的なバリア作用を果たすことができる。チャンネル44の設置により、封止部材42とエンドキャップ41との間の接続位置46に漏れが発生すると、封止部材42とエンドキャップ41との間に漏れが発生したか否かをフィードバックするために、電池セル30の内部の流体がチャンネル44を通って接続位置46に流れて検出されることができ、それによりエンドキャップコンポーネント40の封止性をよりよく確保し、電池セル30の封止要求を満たすことができる。
【0037】
例えば、電池セル30の内部に一定量のヘリウムガスが注入されてもよく、封止部材42とエンドキャップ41との間の接続位置46が溶接不良などで漏れると、ヘリウムガスは、ストッパー43とスルーホール411の側壁との間に形成されるチャンネル44を通って接続位置46に流れる。接続位置46で漏れた位置が検出機器により検出されることができ、再溶接するか、又は、他の救済対策を採用して、封止部材42とエンドキャップ41との間の接続位置46の封止性能を確保し、さらに電池セル30の安全性及び耐用年数を確保する。
【0038】
本出願の実施例によるエンドキャップコンポーネント40では、そのチャンネル44がストッパー43とスルーホール411の側壁との間に形成されるため、チャンネル44が加工形成しやすくなり、ストッパー43の強度損失を小さくすることができ、ストッパー43が変形しにくくなる。ストッパー43の変形により、チャンネル44の詰り現象の発生を効果的に回避し、さらに封止部材42とエンドキャップ41との間の接続位置46の封止性能を検出する精度を確保することができる。
【0039】
図11に示すように、いくつかの実施例では、スルーホール411の軸方向Xに沿ってスルーホール411の封止部材42に近い側へ、チャンネル44の断面積は、徐々に減少する。上記設置により、チャンネル44の下端開口をできるだけ増大させることができ、流体が接続位置46に流れることに有利であるとともに、ストッパー43のスルーホール411との嵌合の安定性を確保する。
【0040】
引き続き
図11に示すように、例示的に、スルーホール411の軸方向Xに沿ってスルーホール411の封止部材42に近い側へ、チャンネル44の断面積は、徐々に減少してもよい。
【0041】
図12に示すように、いくつかの実施例では、スルーホール411の軸方向Xに沿ってスルーホール411の封止部材42に近い側へ、チャンネル44の断面積は、徐々に減少してもよく、同様に、チャンネル44の断面積が徐々に減少する要求を満たすことができる。
【0042】
引き続き
図4~
図12に示すように、いくつかの実施例では、上記各実施例によるエンドキャップコンポーネント40は、そのエンドキャップ41に凹部412がさらに設置されてもよく、凹部412は、スルーホール411に対向して設置されてスルーホール411と連通する。いくつかの実施例では、凹部412は、スルーホール411の軸方向Xにスルーホール411に対向して設置されてもよく、凹部412は、封止部材42を収容するために用いる。凹部412を設置することにより、封止部材42を取り付けやすくし、エンドキャップ41に接続して接続位置46を形成しやすくし、スルーホール411に対する封止に有利である。封止部材42をエンドキャップ41から突出して設置する必要がなく、エンドキャップコンポーネント40の全体厚さを減少させることができる。
【0043】
いくつかの実施例では、封止部材42のストッパー43に近い側に逃げ溝421が設置されてもよく、逃げ溝421を設置することにより、封止部材42を組み立てる時、ストッパー43との干渉を回避することができ、封止部材42の組み立てに有利である。
【0044】
図13~
図14に示すように、いくつかの実施例では、本出願の上記各実施例によるエンドキャップコンポーネント40では、そのストッパー43のスルーホール411の側壁に面する表面に第一の切り欠け433が設置されてもよく、第一の切り欠け433と側壁との間にチャンネル44が形成される。ストッパー43に第一の切り欠け433を設置することにより、ストッパー43がスルーホール411の側壁と完全に貼り合わせることができず、チャンネル44の形成に有利である。
【0045】
ストッパー43の側壁に第一の切り欠け433を形成することにより、それとスルーホール411の側壁との間にチャンネル44を形成することは、一つの実施の形態に過ぎず、上記態様に限らないことが理解され得る。いくつかの実施例では、スルーホール411の側壁に第一の切り欠け433を設置してもよく、同様に、ストッパー43がスルーホール411の側壁と完全に貼り合わせることができず、両者間にチャンネル44を形成する需要を満たすことができる。
【0046】
いくつかの実施例では、上記各実施例によるエンドキャップコンポーネント40では、スルーホール411が自体の軸方向Xに二つの対向するポートを有し、第一の切り欠け433が常に二つのポートを貫通する。上記設置により、チャンネル44の疎通性を保持することができ、流体がチャンネル44を通って封止部材42とエンドキャップ41との間の接続位置46に流れることを確保することができる。
【0047】
引き続き
図13~
図14に示すように、いくつかの実施例では、ストッパー43は、順次設置される第一の部分431と第二の部分432とを含んでもよく、第一の部分431は、スルーホール411内に位置し、第一の切り欠け433は、第一の部分431に設置され、第二の部分432は、エンドキャップ41から突出して設置される。ストッパー43が上記構造形式を採用することにより、ストッパー43とスルーホール411の側壁との間にチャンネル44を形成する要求を確保した上で、ストッパー43の構成を簡単にし、成形しやすくし、スルーホール411内で着脱しやすくすることができる。
【0048】
例示的に、ストッパー43の第一の部分431と第二の部分432は、スルーホール411の軸方向Xに順次設置されてもよい。
【0049】
いくつかの実施例では、第一の部分431及び第二の部分432は、いずれも柱状体であってもよく、第一の部分431の形状は、スルーホール411の断面形状と少なくとも部分的にマッチングしてもよい。
【0050】
いくつかの例では、スルーホール411は、円孔であってもよく、第一の部分431は、スルーホール411形状に嵌合する円柱体であってもよく、第一の切り欠け433は、第一の部分431のスルーホール411の側壁に面する表面に設置され、ストッパー43とスルーホール411との間の接続の安定性を確保するために、ストッパー43の残りの部分の表面は、スルーホール411の側壁に緊密に貼り合わせられてもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、第二の部分432の形状は、同様に円柱体であってもよい。第二の部分432は、第一の部分431と同軸に設置されてもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、第二の部分432の径方向サイズを第一の部分431の径方向サイズよりも小さくしてもよく、さらに流体がチャンネル44から接続位置46に流れることに有利である。
【0053】
第一の部分431及び第二の部分432がいずれも円柱体であるように限定されることは、一つの実施の形態にすぎず、上記態様に限らないことが理解され得る。いくつかの実施例では、チャンネル44の形成要求を満たせば、第一の部分431及び第二の部分432をいずれも四角柱、五角柱などの他の多角形柱体、例えば、正多角形柱体にしてもよい。
【0054】
引き続き
図13~
図14に示すように、いくつかの実施例では、ストッパー43が第二の部分432を含む場合、第二の部分432に第一の切り欠け433と連通する第二の切り欠け434が設置されてもよい。一方では、第二の切り欠け434の設置により、ストッパー43を収納箱内で(即ち各エンドキャップ41のスルーホール411に嵌合する前)所定方向に従って位置決めすることができ、マニピュレータが容易に把持してスルーホール411内に取り付けることができる。他方では、第二の切り欠け434の設置により、流体がチャンネル44内に入ることに有利である。さらに他方では、第二の切り欠け434の設置により、第二の部分432の径方向サイズを第一の部分431の径方向サイズよりも小さくすることができ、ストッパー43の組み立てに有利である。いくつかの実施例では、第二の部分432の第一の部分431から離れる端がコーン構造であることにより、ストッパー43をスルーホール411内に容易に挿着する。
【0055】
引き続き
図13~
図14に示すように、いくつかの実施例では、上記各実施例によるエンドキャップコンポーネント40では、そのストッパー43の第一の切り欠け433が形成される表面は、平面であってもよく、スルーホール411の軸方向Xに沿って直接切り出して形成されてもよい。
【0056】
無論、スルーホール411の軸方向Xに沿ってスルーホール411の封止部材42に近い側へ、チャンネル44の断面積が徐々に減少する需要を満たすために、スルーホール411の軸方向Xと交差する方向に沿って切り出して形成されてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、ストッパー43の第二の切り欠け434が形成される表面は、平面であってもよく、第二の切り欠け434は、第一の切り欠け433と連通する。
【0058】
図15~
図17に示すように、いくつかの実施例では、チャンネル44を形成し、流体を接続位置46にガイドする要求を満たせば、ストッパー43の第一の切り欠け433が形成される表面を弧面にしてもよく、それに応じて第二の切り欠け434が形成される表面は、弧形面又は平面であってもよい。
【0059】
上記各実施例によるエンドキャップコンポーネント40では、そのストッパー43に含まれる第一の切り欠け433の数は、一つであってもよく、この場合、第二の切り欠け434は、数が一つであり、第一の切り欠け433に対向して設置され、互いに連通してもよい。
【0060】
無論、いくつかの実施例では、
図18に示すように、ストッパー43に含まれる第一の切り欠け433の数は、二つ以上であってもよく、二つ以上の第一の切り欠け433は、スルーホール411の周方向に間隔をあけて設置される。
【0061】
いくつかの実施例では、第一の切り欠け433の数が三つ以上の場合、隣接する二つずつの第一の切り欠け433間のなす角が同じであり、流体を封止部材42とエンドキャップ41で形成される接続位置46の各箇所に均一にガイドすることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、第一の切り欠け433の数が二つ以上の場合、第二の切り欠け434は、第一の切り欠け433と数が同じであり、一対一で対向して設置されてもよく、対向して設置される第一の切り欠け433は、第二の切り欠け434と互いに連通する。
【0063】
本出願の実施例によるエンドキャップコンポーネント40では、電池セル30に用いられる場合、エンドキャップ41を介して電池セル30のハウジング31に封止接続されてもよく、電池セル30の化成段階の後、負圧機器で負圧引きを行う。負圧引きが完了すると、電池セル30の内部に一定量のヘリウムガスを注入し、ストッパー43をスルーホール411内に入れ、そして封止部材42をエンドキャップ41に接続し、例えば、レーザー溶接を採用してもよい。ストッパー43とスルーホール411の側壁との間にチャンネル44が形成され、チャンネル44が封止部材42とエンドキャップ41との間に形成される接続位置46と連通するため、電池セル30の内部のヘリウムガスを接続位置46の各箇所にガイドすることができ、接続位置46に溶接不良などの原因による漏れが発生すると、ヘリウム検出プロセスにより、検出することができ、出荷前に、漏れたエンドキャップコンポーネント40に対して救済対策を取り、出荷される電池セル30の封止性をよりよく確保し、その安全レベル及び耐用年数をさらに向上させる。
【0064】
好適な実施例を参照して本出願を記述したが、本出願の範囲を逸脱することなく、様々な改良を行ってその部品を等価物で置換することができる。特に、構造的衝突がない限り、各実施例に記載されている各技術の特徴は、いずれもいずれかの方式で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示されている特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0065】
1 車両、1a モータ、1b コントローラ、10 電池、11 ボックス、111 第一のボックス、112 第二のボックス、20 電池モジュール、30 電池セル、31 ハウジング、32 電極アセンブリ、321 本体部、322 タブ、40 エンドキャップコンポーネント、41 エンドキャップ、411 スルーホール、412 凹部、42 封止部材、421 逃げ溝、43 ストッパー、431 第一の部分、432 第二の部分、433 第一の切り欠け、434 第二の切り欠け、44 チャンネル、45 電極端子、46 接続位置、X 軸方向。