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特許7512424ポリオール、モノアルコール、脂肪アミン、及び少なくとも0.1%のカルボン酸を含む無水化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ポリオール、モノアルコール、脂肪アミン、及び少なくとも0.1%のカルボン酸を含む無水化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20240701BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240701BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240701BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240701BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/36
A61Q5/00
A61Q5/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022566203
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021060834
(87)【国際公開番号】W WO2021219547
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】2004289
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】サーベル・マルグ
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】Conditioner (ID: 1159162),Mintel GNPD [online],2009年08月,[検索日;2023年8月30日], https://www.gnpd.com
【文献】Conditioner (ID: 1488859),Mintel GNPD [online],2011年02月,[検索日;2023年8月30日], https://www.gnpd.com
【文献】Mask (ID: 3967199),Mintel GNPD [online],2016年04月,[検索日;2023年8月30日], https://www.gnpd.com
【文献】Conditioner (ID: 5276581),Mintel GNPD [online],2017年11月,[検索日;2023年8月30日], https://www.gnpd.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水化粧用組成物であって:
(i)1種又は複数種のポリオールと、
(ii)2~6個の炭素原子を含む1種又は複数種のモノアルコールと、
(iii)1種又は複数種の脂肪アミンと、
(iv)1種又は複数種の1~6個の炭素原子を含むカルボン酸を、前記組成物の総質量に対し少なくとも0.1質量%と、
を含み、
5質量%以下の水を含む、又は水を含まない、無水化粧用組成物。
【請求項2】
2~6つのヒドロキシルOH基を含み;2~8個の炭素原子を含む、1種又は複数種の直鎖飽和ポリオールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリオールを、前記組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%の範囲の総量で含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
2~6個の炭素原子を含む前記モノアルコールは、直鎖且つ飽和である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記C2~C6モノアルコールを、前記組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%の範囲の総量で含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
- ポリオール(i)の総量とC2~C6モノアルコール(ii)の総量との質量比は、1:0.5~1:2の間にあり;及び/又は
- ポリオール(i)及びC2~C6モノアルコール(ii)の総量は、前記組成物の総質量に対し、30質量%~99質量%の範囲にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記脂肪アミンは:
- 脂肪アミドアミン;
- 三級脂肪アミン;
- これらの化合物の混合物;
から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪アミンは、式(A):RCONHR”N(R’)
(式中、
- Rは、5~29個の炭素原子を含む一価炭化水素系基を表し;
- R”は、二価炭化水素系基を表し;
- R’は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の一価炭化水素系基を表す)
に対応する脂肪アミドアミンから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂肪アミンは、式(B):RN(R’)
(式中、
- Rは、6~30個の炭素原子を含む一価炭化水素系基を表し;
- R’は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の一価炭化水素系基を表す)
の三級脂肪アミンから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪アミンを、前記組成物の総質量に対し、0.1質量%~15質量%の範囲の総量で含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記(iv)の1種又は複数種のカルボン酸が、次に示す式(I):
【化1】
(式中、
- nは、0~10の間の整数であり;
- Aは、1~6個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の直鎖、分岐、環状であるか又は芳香族である、一価炭化水素系基(n=0の場合)又は多価炭化水素系基(nが0でない場合)
に相当する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記カルボン酸を、前記組成物の総質量に対し、0.1質量%以上の総量で含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
1種又は複数種の脂肪アルコールを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記脂肪アルコールを、前記組成物の総質量に対し、0.5質量%~20質量%の範囲の総量で含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
脂肪アルコール以外の1種又は複数種の脂肪性物質を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ケラチン物質を処理するための美容的方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に適用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又は複数種のモノアルコール及び1種又は複数種のポリオールに加えて、1種又は複数種の脂肪アミン及び1種又は複数種のカルボン酸を含む化粧用組成物に関する。本発明はまた、前記化粧用組成物を使用してケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を処理するための美容的方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、一般に、光や悪天候といった大気中の外的作用因子によっても、また、ブラッシング、コーミング、染色、ブリーチング、パーマネントウェーブ、及び/若しくは縮毛矯正などの機械的若しくは化学的処理によっても、それどころか洗髪の繰り返しによってさえも、損傷を受け、脆くなる。
【0003】
つまり毛髪は、こうした様々な因子によって損傷を受け、時間の経過と共に、特に傷みやすい部分、より具体的には毛先が、乾燥し、キメが粗くなり、脆くなり、又はツヤを失う可能性がある。
【0004】
このような欠点を克服するために、毛髪をコンディショニングし、特に、滑らかさ、輝き、柔軟性、しなやかさ、軽さ、自然な感触、及びもつれが解けやすい性質という点で満足のいく美容特性を付与する組成物を使用する、ヘアケア処理の力を借りるのが一般的な手法である。毛髪に定期的に適用することが意図されたこのようなヘアケア組成物は、例えば、ヘアコンディショナー、パック、又は美容液とすることができ、これらは幾分粘稠性のあるジェル、ヘアローション、又はケアクリームの形態であり得る。
【0005】
現在上市されている製品は、概して濃厚な質感を有しており、適用すること及び頭髪全体に広げることが難しい。そのため、使用者は、これらの製品を使用する際に幾分不快感を覚える。
【0006】
また、使用者は、含まれる成分の大部分が天然に由来する製品を益々求めるようになってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、使用が容易であり、特に毛髪への適用が容易であり、ケラチン繊維に良好な特性、特に官能特性及びケア効果(care properties)をもたらし、それと同時に、含まれる成分の大部分が天然由来である、毛髪用組成物を提案することにある。
【0008】
好ましくは、本発明による組成物は、四級アンモニウム基を有する界面活性剤、例えば、アルキル鎖長がC8~C22であるジメチルジアルキルアンモニウム又はトリメチルアルキルアンモニウム化合物などを含まない(0%)。
【0009】
同じく好ましくは、本発明による化合物は、カチオン性ポリマー、特にビニル単位を有するものを含まない(0%)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の主題の一つは、
(i)1種又は複数種のポリオールと、
(ii)2~6個の炭素原子を含む1種又は複数種のモノアルコールと、
(iii)1種又は複数種の脂肪アミンと、
(iv)1種又は複数種の1~6個の炭素原子を含むカルボン酸を、前記組成物の総質量に対し少なくとも0.1%と、を含む無水化粧用組成物にある。
【0011】
本発明の主題はまた、先に定義した組成物を前記ケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を処理するための美容的方法にもある。
【0012】
本発明による組成物は、有利には、透明な組成物の形態にあり、特に600nmの波長で、例えば、Perkin-Elmer Lambda 40 UV-VIS分光計を用いて測定した透過率の測定値が少なくとも80%、より良好には少なくとも90%、更に良好には少なくとも95%である。
【0013】
本発明による組成物は、作業性が良好であり、特に、頭髪全体に適用すること及び容易に広げることを可能にするのに十分な粘度を有する。
【0014】
特に、本発明による組成物の粘度は、25℃で10mPa・s~10000mPa・sの範囲となり得る。粘度は、ブルックフィールドRVT粘度計を用いて、20rpm(回転/分)で、スピンドルのサイズを、製造業者の標準的な推奨に従い、一般には円盤型スピンドルNo.1~No.4の範囲から選択し、25℃で測定することができる。
【0015】
更に、本発明による組成物は、ケラチン繊維に良好な美容特性、例えば、均一な柔軟性や滑らかな感触に加えて、しなやかさも与える。更に、ケラチン繊維のもつれも解けやすくなるが、本組成物によってケラチン繊維が重たくなることはない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の他の主題、特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことで更に明らかとなるであろう。
【0017】
以下の本文では、別段の指定がない限り、数値範囲の境界値は、その範囲、とりわけ「~の間」及び「~から~の範囲」の表現に包含される。
【0018】
更に、本説明において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等である。
【0019】
本発明による組成物は無水である。
【0020】
「無水」という用語は、組成物が、最終組成物の総質量に対し、水を5質量%以下、好ましくは水を2%以下、より良好には水を1%以下、更に良好には水を0.5%以下含み、優先的には水を含まない(0%)ことを意味する。
【0021】
1/ポリオール
本発明による組成物は、1種又は複数種のポリオールを含む。
【0022】
好ましくは、前記ポリオールは、直鎖且つ飽和であり、2~6個のヒドロキシルOH基、特に2~4個、より良好には2~3個、優先的には2個のOH基を含むことができる。
【0023】
これらは、2~8個の炭素原子、特に2~6個の炭素原子を含むことができる。
【0024】
これらはオキシアルキレン基もグリセロールをベースとする基も含まない。
【0025】
これらは、有利には、室温(25℃)の大気圧(1atm)下で液体である。
【0026】
好ましくは、本発明によるポリオールは、2個のOH基(ジオール)及び2~6個の炭素原子を含み、直鎖且つ飽和である。
【0027】
優先的には、これらは、プロピレングリコール(プロパン-1,2-ジオール)、プロパン-1,3-ジオール、ブチレングリコール(ブタン-1,3-ジオール)、ペンチレングリコール(ペンタン-1,2-ジオール)、及びこれらの混合物から選択することができる。非常に優先的には、ポリオールはプロピレングリコールである。
【0028】
本発明による組成物は、好ましくは、前記ポリオールを、組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%の範囲、より良好には20質量%~60質量%の範囲、更には25質量%~55質量%の範囲、優先的には30質量%~50質量%、更に良好には35質量%~45質量%の範囲の総量で含む。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、1種又は複数種の飽和直鎖C2~C6ジオールを、組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%の範囲、より良好には20質量%~60質量%の範囲、更には25質量%~55質量%の範囲、優先的には30質量%~50質量%の範囲、更に良好には35質量%~45質量%の範囲の総量で含む。
【0030】
優先的には、本発明による組成物は、プロピレングリコールを、組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%、より良好には20質量%~60質量%、更には25質量%~55質量%、優先的には30質量%~50質量%、更に良好には35~45質量%の範囲の総量で含む。
【0031】
2/モノアルコール
本発明による組成物は、2~6個の炭素原子を含む1種又は複数種のモノアルコールを含む。
【0032】
好ましくは、前記モノアルコールは直鎖且つ飽和である。これらは2~4個の炭素原子を含むことができる。これらはオキシアルキレン基もグリセロールをベースとする基も含まない。
【0033】
好ましくは、モノアルコールは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びブタノール、並びにこれらの混合物から選択され、優先的にはエタノールである。
【0034】
本発明による組成物は、好ましくは、前記C2~C6モノアルコールを、組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%、より良好には20質量%~60質量%、更には25質量%~55質量%の範囲の総量で含む。
【0035】
本発明による組成物は、優先的には、エタノールを、組成物の総質量に対し、10質量%~70質量%、より良好には20質量%~60質量%、更には25質量%~55質量%の範囲の総量で含む。
【0036】
好ましくは、ポリオール(i)の総量とC2~C6モノアルコール(ii)の総量との質量比は、有利には0.5~2の間、より良好には0.7~1.5の間にある。
【0037】
好ましくは、ポリオール(i)及びC2~C6モノアルコール(ii)の総量は、組成物の総質量に対し、30質量%~99質量%、優先的には50質量%~98質量%、より良好には60質量%~95質量%の範囲にある。
【0038】
3/脂肪アミン
本発明による組成物は、1種又は複数種の脂肪アミンを含む。
【0039】
「脂肪アミン」という用語は、任意選択的に(ポリ)オキシアルキレン化された少なくとも1つの一級、二級、若しくは三級アミン基又はこれらの塩を含み、且つ少なくとも1つのC~C30炭化水素系鎖を含む化合物を意味する。
【0040】
好ましくは、本発明による脂肪アミンは、(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0041】
本発明に関連して使用することができる脂肪アミンは、脂肪酸アミドアミン、三級脂肪アミン、又はこれらの化合物の混合物であり得る。
【0042】
したがって、脂肪アミンとしては、脂肪アミドアミン、特に、C6~C30脂肪鎖がアミン基又はアミド基に結合していてもよい脂肪アミドアミンを挙げることができる。
【0043】
「アミドアミン」という用語は、少なくとも1つのアミド基及び少なくとも1つの一級、二級、又は三級アミン基を含む化合物を意味する。
【0044】
「脂肪アミドアミン」という用語は、少なくとも1つのC~C30炭化水素系鎖を含むアミドアミンを意味する。
【0045】
好ましくは、本発明によるアミドアミンは四級化されていない。
【0046】
好ましくは、本発明によるアミドアミンは(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0047】
本発明に関連して使用することができるアミドアミンとしては、式Aのアミドアミンを挙げることができる:RCONHR”N(R’)(A)
(式中、
- Rは、1つ又は複数のヒドロキシル(OH)基で任意選択的に置換された、5~29個の炭素原子、好ましくは7~23個の炭素原子を含む一価炭化水素系基、特に、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C29、好ましくはC~C23アルキル基、好ましくは、直鎖又は分岐のC~C29、より良好にはC~C23アルキル基、又はC~C29、より良好にはC~C23アルケニル基、優先的には、飽和であるか又は二重結合不飽和(C=C)を含む直鎖又は分岐のC~C23基を表し;
- R”は、好ましくは直鎖の、1~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子、より良好には3個の炭素原子を含む二価炭化水素系基を表し;
- R’は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の一価炭化水素系基、好ましくは、メチル又はエチル基を表す)。
【0048】
好ましくは、式(A)中:
- R’は、同一であり、メチルを表し;
- R”は、2~4個の炭素原子、より良好には3個の炭素原子を含む二価の直鎖炭化水素系基を表し;
- Rは、飽和であるか又は不飽和(C=C)を含む、C7~C23直鎖又は分岐炭化水素系基を表す。
【0049】
式(A)のアミドアミンは、単独で又は混合物として、次に示す化合物から選択することができる:
- オレアミドプロピルジメチルアミン、
- ステアラミドプロピルジメチルアミン、特に、Inolex Chemical Company社からLexamine S13の名称で販売されている製品、
- イソステアラミドプロピルジメチルアミン、
- ステアラミドエチルジメチルアミン、
- ラウラミドプロピルジメチルアミン、
- ミリスタミドプロピルジメチルアミン、
- ベヘナミドプロピルジメチルアミン、
- ジリノレアミドプロピルジメチルアミン、
- パルミタミドプロピルジメチルアミン、
- リシノレアミドプロピルジメチルアミン、
- ソイアミドプロピルジメチルアミン、
- アボカドアミドプロピルジメチルアミン、
- コカミドプロピルジメチルアミン、
- ミンクアミドプロピルジメチルアミン、
- エンバクアミドプロピルジメチルアミン、
- セサミドプロピルジメチルアミン、
- トール油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン、
- オリーブアミドプロピルジメチルアミン、
- パルミタミドプロピルジメチルアミン、
- ステアラミドエチルジエチルアミン、
- ブラシカアミドプロピルジメチルアミン。
【0050】
好ましくは、脂肪アミドアミンは、オレアミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物から選択される。
【0051】
脂肪アミンとして、三級脂肪アミン、特に、式(B)の三級脂肪アミンも挙げることができる:RN(R’)
(式中、
- Rは、6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子を含む一価炭化水素系基、特に、直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC~C30、好ましくはC~C24アルキル基、好ましくは、直鎖若しくは分岐のC~C30、より良好にはC~C24アルキル基、又は直鎖若しくは分岐のC~C30、好ましくはC~C24アルケニル基を表し;
- R’は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の一価炭化水素系基、好ましくはメチル基を表す)。
【0052】
式Bに対応する脂肪アミンとして、次に示す化合物を挙げることができる:ジメチルラウラミン、ジメチルベヘナミン、ジメチルココアミン、ジメチルミリスタミン、ジメチルパルミタミン、ジメチルステアラミン、ジメチル牛脂アミン、ジメチルソイアミン、及びこれらの混合物。
【0053】
好ましくは、本発明による組成物は、脂肪アミドアミン、特に上に定義した式(A)に対応する1種又は複数種の脂肪アミドアミンから選択され、より具体的には、オレアミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物から選択される、脂肪アミンを含む。
【0054】
本発明による組成物は、好ましくは、前記脂肪アミンを、組成物の総質量に対し、0.1質量%~15質量%、より良好には0.5質量%~10質量%、更には1質量%~5質量%の範囲の総量で含む。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、前記脂肪アミドアミン、特に、上に定義した式(A)の脂肪アミドアミンを、組成物の総質量に対し、0.1質量%~15質量%、より良好には0.5質量%~10質量%、更に1質量%~5質量%の範囲の総量で含む。
【0056】
より良好には、本発明による組成物は、オレアミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物から選択される脂肪アミドアミンを、組成物の総質量に対し、0.1質量%~15質量%、より良好には0.5質量%~10質量%、更には1質量%~5質量%の範囲の総量で含む。
【0057】
4/カルボン酸
本発明による組成物は、次に示す式(I)に対応する1種又は複数種のカルボン酸を含む:
【化1】
(式中、
- nは、0~10の間の整数、より良好には1~5の間の整数、更に良好にはn=1又は2、好ましくはn=2であり;
- Aは、1~30個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子、より良好には1~6個の炭素原子を含む、任意選択的に1つ又は複数のヒドロキシル基(OH)及び/又はアミノ基(NR1R2(式中、R1及びR2は、互いに独立に、H又はC1~C4アルキルを表す))で置換された、飽和若しくは不飽和の直鎖、分岐、環状であるか又は芳香族でさえある、一価炭化水素系基(n=0の場合)又は多価炭化水素系基(nが0でない場合)である)。
【0058】
好ましくは、Aは、任意選択的に1つ又は複数のヒドロキシル基及び/又はアミノ基で置換された一価又は多価の(C~C)アルキレン基又はフェニレン基である。
【0059】
好ましくは、式(I)のカルボン酸は、Aが1つ又は2つのヒドロキシル及び/又はアミノ基、好ましくは1つのヒドロキシル基で置換された(C~C)アルキレン基、より良好には(C~C)アルキレン基又はフェニレン基であり、n=0~2である、α-ヒドロキシ酸である。
【0060】
特に、式(I)中、
- n=0であり、Aが、任意選択的に1つ若しくは複数のヒドロキシル基(OH)、特に1つ若しくは2つのOH、好ましくは1つのOHで置換された、一価の(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基であるか;
- n=0であり、Aが、1つのOH基で置換されたフェニル基であるか;又は
- n=1若しくは2であり、Aが、1つ若しくは複数のヒドロキシル及び/若しくはアミノ基、特に1つ若しくは2つのOH、好ましくは1つのOHで置換された、二価若しくは三価の(C~C)アルキル、より良好には(C~C)アルキル基である、カルボン酸を挙げることができる。
【0061】
優先的には、カルボン酸は、次に示すものから選択することができる:
- クエン酸(n=2、A(三価)=-CH2-CHOH-CH2-)
- サリチル酸(n=0、A=OHで置換されたフェニル)
- 乳酸(n=0、A(一価)=-CH(OH)CH3)
- 酒石酸(n=1、A(二価)=-CH(OH)-CH(OH)-)
- グルタミン酸(n=1、A(二価)=-CH(NH2)-CH2-CH2-)
【0062】
更に優先的には、カルボン酸はクエン酸である。
【0063】
本発明による組成物は、好ましくは、前記カルボン酸を、組成物の総質量に対し、0.1質量%以上、より良好には0.2質量%以上、更に良好には0.3質量%以上、優先的には0.4質量%以上の総量で含む。
【0064】
本発明による組成物は、好ましくは、前記カルボン酸を、組成物の総質量に対し、0.1質量%~5質量%の範囲、より良好には0.2質量%~2.5質量%の範囲、更に良好には0.3質量%~1.5質量%の範囲、優先的には0.4質量%~1質量%の範囲の総量で含む。
【0065】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、クエン酸を、組成物の総質量に対し、0.1質量%~5質量%、より良好には0.2質量%~2.5質量%、更に良好には0.3質量%~1.5質量%、優先的には0.4質量%~1質量%の範囲の総量で含む。
【0066】
5/好ましくは固体である脂肪アルコール
本発明による組成物は、有利には、1種又は複数種の脂肪アルコール、好ましくは1種又は複数種の固体脂肪アルコールを含むことができる。
【0067】
使用可能な固体脂肪アルコールは、室温(25℃)の大気圧(1atm)下で固体であり、且つ水に不溶である、即ち、25℃、1atmにおける水への溶解度が1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満のものである。
【0068】
「脂肪アルコール」という用語は、8~40個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1つのヒドロキシル基OHを含む脂肪族アルコールを意味する。この脂肪アルコールは、オキシアルキレン化もグリセロール化もされていない。
【0069】
この脂肪アルコールは、上に述べたポリオール及びモノアルコールとは異なる。
【0070】
好ましくは、固体脂肪アルコールは、構造R-OHを有し、Rは、8~40個、より良好には10~30個、更には12~24個の炭素原子を含む、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された直鎖アルキル基を指す。
【0071】
優先的には、固体脂肪アルコールは、構造R-OHを有し、Rは、8~40個、より良好には10~30個、更には12~24個の炭素原子を含む直鎖アルキル基(1つ又は複数のOH基で置換されていない)を指す。
【0072】
使用可能な固体脂肪アルコールは、単独で又は混合物として、次に示すものから選択的することができる:
- ラウリルアルコール(1-ドデカノール);
- ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール);
- セチルアルコール(1-ヘキサデカノール);
- ステアリルアルコール(1-オクタデカノール);
- アラキジルアルコール(1-エイコサノール);
- ベヘニルアルコール(1-ドコサノール);
- リグノセリルアルコール(1-テトラコサノール);
- セリルアルコール(1-ヘキサコサノール);
- モンタニルアルコール(1-オクタコサノール);
- ミリシルアルコール(1-トリアコンタノール)。
【0073】
優先的には、固体脂肪アルコールは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物、例えば、セチルステアリルアルコール又はセテアリルアルコールから選択される。
【0074】
本発明による組成物は、好ましくは、前記脂肪アルコールを、組成物の総質量に対し、0.5質量%~20質量%、優先的には1質量%~18質量%の範囲の総量で含むことができる。
【0075】
より良好には、本発明による組成物は、好ましくは、前記固体脂肪アルコールを、組成物の総質量に対し、0.5質量%~20質量%、優先的には1質量%~18質量%の範囲の総量で含む。
【0076】
6/他の成分
本発明による組成物は、有利には、有利には液体であり、より良好には植物又は合成由来のトリグリセリド、特に植物油、並びに脂肪酸の及び/又は脂肪アルコールのエステル、並びにこれらの混合物から選択される、上述の脂肪アルコール以外の1種又は複数種の脂肪性物質も含むことができる。
【0077】
植物又は合成由来のトリグリセリドの中では、6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン若しくはオクタン酸トリグリセリド、又は代わりに、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、カボチャ(marrow)油、グレープシード油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミア油、アララ(arara)油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シア脂油、及びカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearinerie Dubois社から販売されているもの若しくはDynamit Nobel社からMiglyol(登録商標)810、812及び818の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0078】
脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル(これは、有利には、上に述べたトリグリセリドとは異なる)に関しては、特に、飽和又は不飽和の直鎖又は分枝のC~C26脂肪族一価又は多価酸と、飽和又は不飽和の直鎖又は分枝のC~C26脂肪族一価又は多価アルコールとのエステル、より具体的には、これらのエステルの総炭素数が10以上であるものを挙げることができる。
【0079】
モノエステルの中でも、ベヘン酸ジヒドロアビエチル;ベヘン酸オクチルドデシル;ベヘン酸イソセチル;乳酸セチル;乳酸アルキル(C12~15);乳酸イソステアリル;乳酸ラウリル;乳酸リノレイル;乳酸オレイル;オクタン酸(イソ)ステアリル;オクタン酸イソセチル;オクタン酸オクチル;オクタン酸セチル;オレイン酸デシル;イソステアリン酸イソセチル;ラウリン酸イソセチル;ステアリン酸イソセチル;オクタン酸イソデシル;オレイン酸イソデシル;イソノナン酸イソノニル;パルミチン酸イソステアリル;アセチルリシノール酸メチル;ステアリン酸ミリスチル;イソノナン酸オクチル;イソノナン酸2-エチルヘキシル;パルミチン酸オクチル;ペラルゴン酸オクチル;ステアリン酸オクチル;エルカ酸オクチルドデシル;エルカ酸オレイル;パルミチン酸エチル及びイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチル、又はステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル;リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、を挙げることができる。
【0080】
また、この変形形態に関連して、C~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC~C22アルコールとのエステル及びモノ、ジ、又はトリカルボン酸とC~C26ジ、トリ、テトラ、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用することができる。
【0081】
とりわけ、以下のものを挙げることができる:セバシン酸ジエチル;セバシン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジ-n-プロピル;アジピン酸ジオクチル;アジピン酸ジイソステアリル;マレイン酸ジオクチル;ウンデシレン酸グリセリル;ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル;モノリシノール酸ペンタエリスリチル;テトライソノナン酸ペンタエリスリチル;テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル;テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;テトラオクタン酸ペンタエリスリチル;ジカプリル酸プロピレングリコール;ジカプリン酸プロピレングリコール;エルカ酸トリデシル;クエン酸トリイソプロピル;クエン酸トリイソステアリル;トリ乳酸グリセリル;トリオクタン酸グリセリル;クエン酸トリオクチルドデシル;クエン酸トリオレイル;ジオクタン酸プロピレングリコール;ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール;ジイソノナン酸ジエチレングリコール;及びジステアリン酸ポリエチレングリコール。
【0082】
上に述べたエステルの中でも、パルミチン酸エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチル、又はステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキルエステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、又は2-オクチルデシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、又はオクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0083】
好ましくは、脂肪アルコール以外の液体脂肪性物質は、植物又は合成由来のトリグリセリドから選択される。
【0084】
本発明による組成物は、好ましくは、脂肪アルコール以外の前記脂肪性物質を、組成物の総質量に対し、0.1質量%~15質量%、優先的には0.5質量%~10質量%の範囲の総量で含むことができる。
【0085】
優先的には、本発明による組成物は、脂肪アルコール以外の前記液体脂肪性物質、特に、前記植物又は合成由来のトリグリセリドを、組成物の総質量に対し、0.1質量%~15質量%、優先的には0.5質量%~10質量%の範囲の総量で含む。
【0086】
本発明の主題は、先に定義された組成物を前記ケラチン繊維に適用することを含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を処理するための美容的方法にもある。
【0087】
本発明による化粧用組成物は、乾いた又は濡れたケラチン繊維、好ましくは、任意選択的に予めシャンプー洗浄された、濡れたケラチン繊維に適用することができる。
【0088】
有利には、本組成物は、ケラチン繊維上に1分間~20分間の範囲の放置時間で放置される。
【0089】
ケラチン繊維は、好ましくは、前記化粧用組成物を適用した後に、例えば水で洗い流される。
【0090】
特に、本発明による方法は、ケラチン繊維、特に毛髪を、例えばケア及び/又はコンディショニングし、特に、もつれの解けやすさ、滑らかさ、及び/又はしなやかさを付与することを可能にする、毛髪処理方法である。
【0091】
以下に示す実施例は本発明を説明する役割を果たすが、その本質を限定するものではない。
【0092】
以下の実施例において、別段の指定がない限り、量は全て、組成物の総質量に対する活性物質の質量百分率(%AM)として示す。
【実施例
【0093】
実施例1
本発明による組成物A及びBを、次表にその含有量(g%AM)を示す成分から調製する:
【0094】
【表1】
【0095】
得られた透明な液体組成物は、好ましくは予め洗浄された、湿った又は濡れた毛髪に容易に適用される。これらは洗い流すタイプのヘアコンディショナーとして使用することができる。
【0096】
組成物を適用し、水で濯いだ後の毛髪は、よりしなやかで、滑らかな感触を有することが分かる。更にこの毛髪は、ツヤもあり、もつれも解けやすい。