(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電池セル、その製造方法及びそれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/198 20210101AFI20240701BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/191 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240701BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240701BHJP
【FI】
H01M50/198
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/184 C
H01M50/186
H01M50/188
H01M50/191
H01M50/193
H01M50/35 101
H01M50/548 301
(21)【出願番号】P 2022570389
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 KR2022002829
(87)【国際公開番号】W WO2022182210
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0025910
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・イム
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-061268(JP,A)
【文献】特開2021-096952(JP,A)
【文献】特開2008-235256(JP,A)
【文献】特開2006-107894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/30
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、
前記電極リードと前記シーリング部との間の一部領域に形成された、吸湿物質を含むゲッター部と、を含み、
前記ゲッター部は、前記電池ケースの外部側の第1端部及び前記電池ケースの内部側の第2端部を含み、
前記第1端部は、前記リードフィルムで覆われ、且つ、前記シーリング部によっては覆われておらず、
前記第2端部は、前記リードフィルムによって覆われておらず、且つ、前記シーリング部と重なっていない
、電池セル。
【請求項2】
電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、
前記電極リードと前記シーリング部との間の一部領域に形成された、吸湿物質を含むゲッター部と、を含み、
前記ゲッター部は、前記電池ケースの外部側の第1端部及び前記電池ケースの内部側の第2端部を含み、
前記第1端部は、前記リードフィルムで覆われ、且つ、前記シーリング部によっては覆われておらず、
前記ゲッター部は、前記電極リードの直上に形成され、前記リードフィルムは、前記ゲッター部を介在して前記電極リード上に配置されている
、電池セル。
【請求項3】
前記ゲッター部上に位置するリードフィルムの厚さは、100~300μmである、請求項
1または2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記リードフィルムは、前記電極リードと直接接する第1リードフィルム、及び前記ゲッター部を介在して前記第1リードフィルムの上部に配置される第2リードフィルムを含む、請求項1または2に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第2リードフィルムの厚さは、100~300μmである、請求項
4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記
吸湿物質は、酸化カルシウム、酸化バリウム、塩化リチウム、シリカ、カルシウム及びバリウムから選択される少なくとも一
つを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記ゲッター部は、オレフィン系高分子、アクリル系高分子、フッ素系高分子から選択される少なくとも1種を含むバインダー物質をさらに含む、請求項
6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記リードフィルムは、ポリオレフィン系の物質を含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記リードフィルムは、前記電極リードの上部、前記電極リードの下部、及び前記電極リードの上部と下部とを連結する側面を全て囲む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記ゲッター部の厚さは、50~150μmである、請求項1から
9のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ゲッター部のガス透過度は、1.6e
5~1.6e
7バーラーである、請求項1から
10のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
シーリング部の外側に露出する前記ゲッター部の面積は、シーリング部の内側に露出する前記ゲッター部の面積よりも大きい、請求項1から
11のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項13】
前記第1端部と前記リードフィルムの最外側における端部との間の幅は、2mm以上である、請求項1から
12のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項14】
前記リードフィルムのガス透過度は、60℃で20~60バーラーである、請求項1から
13のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項15】
前記リードフィルムの水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02~0.2gである、請求項1から
14のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項16】
電極組立体、及び前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続された電極リードを用意する段階と、
前記電極リードが電池ケースの外側に突出するように前記電極組立体を前記電池ケースの収納部に取り付ける段階と、
前記電池ケースの外周辺を密封してシーリング部を形成する段階と、を含む電池セルの製造方法であって、
前記電極リードを用意する段階は、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するようにリードフィルムを前記電極リードに付着する段階と、
前記電極リード上に
吸湿物質を含むゲッター樹脂をコーティングしてゲッター部を形成する段階と、を含み、
前記ゲッター部は、前記電池ケースの外部側の第1端部及び前記電池ケースの内部側の第2端部を含み、
前記第1端部は、前記リードフィルムで覆われており、且つ、前記シーリング部によっては覆われていない、電池セルの製造方法。
【請求項17】
前記
吸湿物質は、
酸化カルシウム、酸化バリウム、塩化リチウム、シリカ、カルシウム及びバリウムから選択される少なくとも一つ
を含み、
前記ゲッター樹脂は、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂から選択される少なくとも一種を含むバインダーを
さらに含む、請求項
16に記載の電池セルの製造方法。
【請求項18】
前記第2端部は、前記リードフィルムによって覆われておらず、且つ、前記シーリング部と重なっていない、請求項
16または
17に記載の電池セルの製造方法。
【請求項19】
請求項1から
15のいずれか一項に記載の電池セルを含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月25日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0025910号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電池セル、その製造方法及びそれを含む電池モジュールに関し、より具体的には、電池セルの内部で発生したガスを外側に排出しながらも、外側からの水分の浸透は最小化することができる電池セル、その製造方法及びそれを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急増している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置のエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒型または角形の金属缶に収納されている円筒型電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型ケースに収納されているパウチ型電池とに分けられる。ここで、電池ケースに収納される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を備え、充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長尺シート型の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、複数の正極と負極とを、分離膜を介在した状態で順次に積層した積層型とに分けられる。
【0005】
中でも、特に積層型または積層/折畳み型電極組立体をアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型電池ケースに収納した構造のパウチ型電池は、製造コストが低くて軽量であり、変形が容易であるなどの理由から使用量が次第に増加している。
【0006】
図1は、従来の電池セルの上面図である。
図2は、
図1のa-a’に沿った断面図である。
図1及び
図2を参照すると、従来の電池セル10は、電極組立体11が収納部21に取り付けられ、外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部25を含む電池ケース20を含む。ここで、シーリング部25を通って電池ケース20の外側に突出している電極リード30を含み、電極リード30の上下部とシーリング部25との間にはリードフィルム40が位置する。
【0007】
しかし、近年、電池セルのエネルギー密度の増加とともに、電池セルの内部で発生するガスの量も増加するという問題がある。従来の電池セル10の場合、電池セルの内部で発生したガスを排出する部品が含まれておらず、電池セルにガス発生によるベンティング現象が生じ得る。さらに、ベンティング現象によって損傷された電池セルの内部に水分が浸透して副反応が引き起こされ、電池性能の低下及びさらなるガスの発生につながるおそれがある。そこで、電池セルの内部で発生したガスを外側に排出しながらも、外側からの水分の浸透は最小化する電池セルに対する開発要求が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、電池セルの内部で発生したガスを外側に排出しながらも、外側からの水分の浸透は最小化することができる電池セル、その製造方法及びそれを含む電池モジュールを提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述した課題に制限されず、言及されていない課題は、本明細書及び添付される図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による電池セルは、電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、前記電極リードと前記シーリング部との間の一部領域に形成されたゲッター(getter)部と、を含み、前記ゲッター部は、前記電池ケースの外部側の第1端部及び前記電池ケースの内部側の第2端部を含み、前記第1端部は、前記リードフィルムで覆われ、前記シーリング部によっては覆われない。
【0011】
前記第2端部は、前記リードフィルムによって覆われておらず、前記シーリング部と重ならない。
【0012】
前記ゲッター部は、前記電極リードの直上に形成され、前記リードフィルムは、前記ゲッター部を介在して前記電極リード上に配置され得る。
【0013】
前記ゲッター部上に位置するリードフィルムの厚さは、100~300μmであり得る。
【0014】
前記リードフィルムは、前記電極リードと直接接する第1リードフィルム、及び前記ゲッター部を介在して前記第1リードフィルムの上部に配置される第2リードフィルムを含み得る。
【0015】
前記第2リードフィルムの厚さは、100~300μmであり得る。
【0016】
前記ゲッター部は、CaO、LiCl、Ca、Ba、及びBaOから選択される少なくとも一つの吸湿物質を含み得る。
【0017】
前記ゲッター部は、オレフィン系高分子、アクリル系高分子、フッ素系高分子から選択される少なくとも1種を含むバインダー物質をさらに含み得る。
【0018】
前記リードフィルムは、ポリオレフィン系の物質を含み得る。
【0019】
前記リードフィルムは、前記電極リードの上部、前記電極リードの下部、及び前記電極リードの上部と下部とを連結する側面を全て囲み得る。
【0020】
前記ゲッター部の厚さは、50~150μmであり得る。
【0021】
前記ゲッター部のガス透過度(permeability)は、1.6e5~1.6e7バーラー(barrer)であり得る。
【0022】
シーリング部の外側に露出する前記ゲッター部の面積は、シーリング部の内側に露出する前記ゲッター部の面積よりも大きくなり得る。
【0023】
前記第1端部と前記リードフィルムの最外側における端部との間の幅は、2mm以上であり得る。
【0024】
前記リードフィルムのガス透過度は、60℃で20~60バーラーであり得る。
【0025】
前記リードフィルムの水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02~0.2gであり得る。
【0026】
本発明の他の一態様による電池セルの製造方法は、電極組立体、及び前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続された電極リードを用意する段階と、前記電極リードが電池ケースの外側に突出するように前記電極組立体を前記電池ケースの収納部に取り付ける段階と、前記電池ケースの外周辺を密封してシーリング部を形成する段階と、を含む。前記電極リードを用意する段階は、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するようにリードフィルムを前記電極リードに付着する段階と、前記電極リード上にゲッター樹脂をコーティングしてゲッター部を形成する段階と、を含み、前記ゲッター部は、前記電池ケースの外部側の第1端部及び前記電池ケースの内部側の第2端部を含み、前記第1端部は、前記リードフィルムで覆われ、前記シーリング部によっては覆われない。
【0027】
前記ゲッター樹脂は、CaO、LiCl、Ca、Ba、BaOから選択される少なくとも一つの吸湿物質、及びオレフィン係樹脂、アクリル係樹脂、フッ素係樹脂から選択される少なくとも一種を含むバインダーを含み得る。
【0028】
前記第2端部は、前記リードフィルムによって覆われず、前記シーリング部と重ならない。
【0029】
本発明のさらに他の一態様による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明の実施形態によれば、外側にガスを排出しながらも、外側からの水分と反応して、電池セルの内部に水分が浸透することを最小化するゲッター部を備えた電池セル、その製造方法及びそれを含む電池モジュールを提供し、電池セルの内部で発生したガスを外側に排出しながらも、外側からの水分の浸透は最小化することができる。
【0031】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は本明細書及び添付される図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
【
図5a】本発明の一実施形態の変形例による電池セルの一部を示した上面図である。
【
図5b】本発明の一実施形態の変形例による電池セルの一部を示した上面図である。
【
図5c】本発明の一実施形態の変形例による電池セルの一部を示した上面図である。
【
図5d】本発明の一実施形態の変形例による電池セルの一部を示した上面図である。
【
図5e】本発明の一実施形態の変形例による電池セルの一部を示した上面図である。
【
図6】本発明の他の一実施形態による電池セルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の多様な実施形態について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0034】
本発明を明確に説明するため、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体を通して同一または類似の構成要素に対しては、同じ参照符号を付することにする。
【0035】
また、図示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示されているため、本発明が図示によって限定されることはない。図面においては、多様な層及び領域を明確に示すため、厚さを拡大して示している。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示している。
【0036】
また、明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0037】
また、明細書の全体において、「平面図」とするとき、これは対象部分を上方から眺めた場合を意味し、「断面図」とするとき、これは対象部分を垂直に切った断面を側方から眺めた場合を意味する。
【0038】
以下、
図3~
図5を参照して本発明の一実施形態によるパウチ電池セル100について説明する。但し、パウチ電池セル100の両側面のうちの一側面を基準にして説明するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他側面の場合にも同一または類似の説明が適用され得る。
【0039】
図3は本発明の一実施形態による電池セルの上面図であり、
図4は
図3のb-b’に沿った断面図であり、
図5a~5eは本発明の一実施形態の変形例による電池セルの一部を示した上面図である。
【0040】
図3を参照すると、本実施形態による電池セル100は、電池ケース200、電極リード300、及びリードフィルム400を含む。
【0041】
電池ケース200は、電極組立体110が収納部210に取り付けられ、外周辺が密封された構造のシーリング部250を含む。前記シーリング部250は、熱またはレーザーなどによって密封され得る。電池ケース200は、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなり得る。より具体的には、電池ケース200は、ラミネートシートからなり、最外郭を成す外側樹脂層、物質の通過を防止する遮断性金属層、及び密封のための内側樹脂層で構成され得る。
【0042】
また、電極組立体110は、ゼリーロール型(巻取型)、積層型(スタック型)、または複合型(積層/折畳み型)の構造からなり得る。より具体的には、電極組立体110は、正極、負極、これらの間に配置される分離膜からなり得る。
【0043】
電極リード300は、電極組立体110に含まれた電極タブ(図示せず)と電気的に接続され、シーリング部250を通って電池ケース200の外側に突出している。また、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部の少なくとも一方で、シーリング部250に対応する部分に位置する。これにより、リードフィルム400は、熱融着時に電極リード300で短絡が発生することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させることができる。
【0044】
電極リード300上には、少なくとも一部領域に形成されたゲッター(getter)部500を含む。ゲッター部500は、電極リード300とシーリング部250との間の領域に形成され得る。ゲッター部500は、電池ケース200の外側に向かう第1端部510、及び電池ケース200の内側に向かう第2端部520を含む。このとき、第1端部510は、リードフィルム400で覆われ、且つ、シーリング部250によっては覆われず露出するように構成される。これにより、電池セルの内部で発生したガスが第1端部510を通って外側へと排出され得る。
【0045】
また、第2端部520は、電池ケース200の内部に位置しながら(すなわち、電池ケース200に収納されながら)リードフィルム400によっては覆われず、且つ、シーリング部250と重ならないように構成され得る。これにより、電池セルの内部で発生したガスが、第2端部520からゲッター部500を通ってシーリング部250によって覆われない部分、すなわち第1端部510から外側に排出され得る。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記ゲッター部500のガス透過度は、1.6e5~1.6e7バーラー、または1e6~3e6バーラーであり得る。例えば、前記ゲッター部500の二酸化炭素透過度が上述した範囲を満足し得る。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記ゲッター部500の厚さは、50~150μmであり得る。前記ゲッター部500の厚さが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200内部のガスを外側へとより容易に排出できる。
【0048】
このようなゲッター部500は、リードフィルム400の材料に比べて、融点の高い材料からなり得る。また、ゲッター部500は、電池ケース200内に含まれる電解液と反応しない材料からなり得る。一例として、ゲッター部500は、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂のうち少なくとも一種を含むバインダーを含み得る。前記オレフィン系樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリビニルジフルオライド(polyvinyldifluoride、PVDF)からなる群より選択された1種以上の材料を含み得る。前記フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン及びポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)からなる群より選択された1種以上の材料を含み得る。
【0049】
また、ゲッター部500は、吸湿物質を含むことで、ガス透過度を高め、水分の浸透度を最小化できる。一例として、前記吸湿物質は、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO2)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)などであり得るが、これに限定されるものではなく、水(H2O)と反応する物質であれば使用し得る。このように構成することで、リードフィルム400が電池ケース200、特にシーリング部250によって覆われない部分を通じて外側から水分が浸透したとしても、ゲッター部500の吸湿物質と反応して除去されるため、電池ケース200の内部に水分が浸透することを防止することができる。
【0050】
さらに、ゲッター部500は、上述したバインダー及び/または吸湿物質を含むゲッター樹脂を公知のコーティング方法によって電極リード300上にコーティングすることで形成され得る。例えば、インクジェットプリンティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、ブレードコーティングなどのコーティング方法によって形成され得る。これにより、所望の形態で多様に変形してゲッター部500を形成できるだけでなく、電極リード300上にコーティングによってゲッター部500を形成した後、それを電池ケース200の密封時に結合することでゲッター部500を容易に形成することができる。
【0051】
図4を参照すると、ゲッター部500に流れ込んだガスは、ゲッター部500の第1端部上のリードフィルム400を通ってZ軸方向に沿って排出され得る。
【0052】
本発明の一実施形態において、ゲッター部500の第1端部においてシーリング部250の外側に露出する面積は、ゲッター部500の第2端部においてシーリング部250の内側に露出する面積よりも大きくなり得る。ガス排出量はガス排出面積と圧力に比例するが、電池ケース200内側の圧力が電池ケース200外側の圧力よりも高いため、第1端部においてシーリング部250の外側に露出する面積が、第2端部においてシーリング部250の内側に露出する面積よりも大きい場合、電池ケース200の内部で発生したガスを外部へとより容易に排出できる。ここで、「シーリング部の外側」とは、電池ケースの外部側におけるシーリング部の端部よりも電池ケースの外側の領域を意味し、「シーリング部の内側」とは、電池ケースの内部側におけるシーリング部の端部よりも電池ケースの内側の領域を意味する。
【0053】
本発明の一実施形態において、第1端部においてシーリング部250の外側に露出する面積は40~80mm2であり得る。これは、60℃、内部圧力1気圧基準で、1日の間に約0.5~3ccのガスが排出される大きさである。また、水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02~0.2gになる大きさである。
【0054】
図4を参照すると、前記ゲッター部500上に位置するリードフィルム400の厚さHは、100~300μm、または100~200μmであり得る。ゲッター部500上に位置するリードフィルム400の厚さHが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200内部のガスを外側へとより容易に排出できる。
【0055】
図4を参照すると、前記第1端部と前記リードフィルムの最外側における端部との間の幅Wは、2mm以上、または2mm~3mmであり得る。前記第1端部と前記リードフィルムの最外側における端部との間の幅Wが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200の内部で発生したガスが外側に排出される過程でリードフィルム400が破れる現象をより容易に防止することができる。
【0056】
一方、リードフィルム400は、電極リード300の上部、電極リード300の下部に位置し、これらを連結して電極リード300の側面を全て囲むように形成され得る。これにより、リードフィルム400は、電極リード300の側面が外部に露出することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させることができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400のガス透過度は、60℃で20~60バーラー、または30~40バーラーであり得る。例えば、前記リードフィルム400の二酸化炭素透過度が上述した範囲を満足し得る。また、リードフィルム400の厚さ200μmを基準にしてガス透過度が60℃で上述した範囲を満足し得る。前記リードフィルム400のガス透過度が上述した範囲を満足する場合、電池セルの内部で発生するガスをより効果的に排出することができる。
【0058】
本明細書において、ガス透過度はASTM F2476-20で測定し得る。
【0059】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400の水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02~0.2g、または0.02~0.04g、または0.06g、または0.15gであり得る。前記リードフィルム400の水分浸透量が上述した範囲を満足する場合、前記リードフィルム400から流入される水分の浸透をより効果的に防止することができる。
【0060】
前記リードフィルム400の水分浸透量は、ASTM F 1249方式を採択して測定し得る。このとき、MCOON社から公式認証された装置を使用して測定し得る。
【0061】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400は、ガス透過度が60℃で20~60バーラーであり、且つ、水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02~0.2gであり得る。前記リードフィルム400のガス透過度及び水分浸透量が上述した範囲を満足する場合、二次電池の内部で発生するガスを排出すると同時に、外部からの水分浸透をより効果的に防止することができる。
【0062】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400は、ポリオレフィン系樹脂を含み得る。例えば、前記リードフィルム400は、上述したガス透過度及び/または水分浸透量を満足するポリオレフィン系樹脂を含み得る。前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリビニルジフルオライド(PVDF)からなる群より選択された1種以上の材料を含み得る。前記リードフィルム400は、ポリプロピレンを含み、且つ、前記リードフィルム400のガス透過度が60℃で20~60バーラーであり得る。また、水分浸透量が0.06g~0.15gであり得る。この場合、二次電池の内部で発生するガスの排出がより効果的であるだけでなく、外部からの水分浸透の防止も容易である。
【0063】
また、リードフィルム400は、上述した材料からなることで、電池セル100の気密性を維持することができ、内部電解液の漏れも防止することができる。
【0064】
ゲッター部500の形状は、電池ケース200の外側に露出してシーリング部250によって覆われないゲッター部の第1端部が、リードフィルム400によって覆われるように形成された形状であれば、特に限定されない。このように、工程環境を考慮して耐久性及び気密性を制御するように、ゲッター部500の形状を適切に変更可能である。
【0065】
図5a~
図5eに示されたように、本発明の一実施形態の変形例では、ゲッター部500の形状を多様に変形して形成し得る。すなわち、
図5aのようなストライプ状のゲッター部501、
図5bのような外側の長さがさらに長く形成されたゲッター部502、
図5cのような半円状のゲッター部503、
図5dのような橋状のゲッター部504、及び
図5eのような広い面積で形成されたゲッター部505など、多様な形状のゲッター部を形成し得る。ここで、「外側」とは、シーリング部によって覆われていないゲッター部の部分を意味し、「外側の長さ」とは、電極リード300の突出方向と直交する方向におけるゲッター部502の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0066】
以下、本発明の他の一実施形態について
図6を参照して説明する。
【0067】
図6は、本発明の他の一実施形態による電池セルの断面図である。
【0068】
図6に示されたように、本発明の他の一実施形態では、リードフィルム400が、電極リード300の直上に形成された第1リードフィルム410、及びゲッター部500を介在して第1リードフィルム410上に形成された第2リードフィルム420を含む。このような構成は、既に第1リードフィルム410が形成された電極リード300上に、ゲッター部500を塗布した後、第2リードフィルム420を形成することで得られる。したがって、既に第1リードフィルム410が付着されて製造された従来の電極リード300にも簡単にゲッター部500を適用可能である。
【0069】
図6を参照すると、前記第2リードフィルム420の厚さHは、100~300μm、または100~200μmであり得る。前記第2リードフィルム420の厚さHが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200内部のガスを外部へとより容易に排出できる。
【0070】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、電池ケース200の密封力を維持しながらも、電池ケース200の内部で発生したガスを外側へと容易に排出することができる。特に、このとき、ガスが排出される通路を通って外部から水分が浸透しても、ゲッター部500によって直ちに除去できるため、電池ケース200内部への水分の浸透も容易に防止することができる。また、電極リード300上にゲッター樹脂をコーティングする簡単な工程だけでも、ゲッター部500の具現が可能である。
【0071】
本発明のさらに他の実施形態による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。一方、本実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成してもよい。
【0072】
上述した電池モジュール及びそれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスは、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段であり得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュール及びそれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0073】
以上、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の基本概念を用いた当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
10 従来の電池セル
11 電極組立体
20 電池ケース
21 収納部
25 シーリング部
30 電極リード
40 リードフィルム
100 パウチ電池セル
110 電極組立体
200 電池ケース
210 収納部
250 シーリング部
300 電極リード
400 リードフィルム
410 第1リードフィルム
420 第2リードフィルム
500、501、502、503、504、505 ゲッター部
510 第1端部
520 第2端部