(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ロボットシステム及び受動アーム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20240701BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240701BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20240701BHJP
B25J 9/16 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B25J9/06 A
B25J13/00 Z
B25J19/00 Z
B25J19/00 C
B25J9/16
(21)【出願番号】P 2022571407
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2021046801
(87)【国際公開番号】W WO2022138502
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2020211593
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020211594
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 眞一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 順二
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-267180(JP,A)
【文献】国際公開第2008/108401(WO,A1)
【文献】特開昭60-201845(JP,A)
【文献】特開平09-001492(JP,A)
【文献】特開平06-055484(JP,A)
【文献】特開平08-066889(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055766(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/091722(WO,A1)
【文献】特開2019-048364(JP,A)
【文献】特開2013-031890(JP,A)
【文献】特開2018-122367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B62D 65/00 - 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に作用を加えるロボットエンドエフェクタとロボット連結部とを含むロボットアームと、
2つ以上の自由度を有
する受動アームであって、前記2つ以上の自由度を形成し且つ前記受動アームに外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部と、前記ロボット連結部と連結及び連結解除されるアーム連結部
と、前記対象物と係合可能である係合部
とを
含み、前記アーム連結部と連結されている前記ロボットアームによって動作させられる受動アームと、
前記ロボットアームの第1動作及び第2動作を制御する制御装置とを備え、
前記2つ以上の受動可動部は、進退動作可能である進退可動部と、回動動作可能である第1回動可動部及び第2回動可動部とを含み、
前記受動アームは、
前記進退可動部と連結される第1リンクと、
前記進退可動部及び前記第1回動可動部を連結する第2リンクと、
前記第1回動可動部及び前記第2回動可動部を連結する第3リンクと、
前記第2回動可動部と連結される第4リンクとをさらに含み、
前記第1リンクは前記受動アームの基端側に位置し、
前記第4リンクは前記受動アームの先端側に位置し、
前記第1回動可動部の回動軸方向及び前記第2回動可動部の回動軸方向は、同方向であり、
前記進退可動部の進退方向は、前記第1回動可動部の回動軸方向及び前記第2回動可動部の回動軸方向と交差する方向であり、
前記第1動作は、前記ロボットアームが前記対象物に前記ロボットエンドエフェクタを作用させる前記ロボットアームの動作であり、
前記第2動作は、前記ロボットアームが前記対象物に前記受動アームを作用させる前記ロボットアームの動作であり、
前記制御装置は、前記第2動作では、前記ロボットアームに前記ロボット連結部と前記アーム連結部とを連結させることと、前記ロボットアームに前記受動アームを動作させて前記対象物に前記係合部を係合させることと、前記ロボットアームに前記対象物と係合した前記受動アームを動作させて前記対象物に動作させることとを実行するように構成される
ロボットシステム。
【請求項2】
前記受動アームは、
前記受動可動部の動作の係止を、作動流体の作用によって行う2つ以上の係止装
置を含み、
前記係止装置は、前記受動可動部の動作の係止を実行及び解除することによって、前記受動アームに姿勢の保持及び保持解除をさせ、
前記係止装置は、前記作動流体が供給されている間、前記係止を解除し、前記作動流体が供給停止されている間、前記係止を実行し、
前記制御装置は、前記係止装置への前記作動流体の供給及び供給停止を制御するように構成される
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記受動アーム及び前記ロボットアームのいずれか又は両方に配置され且つ前記アーム連結部と前記ロボット連結部との連結を検出する第1センサと、
前記受動アームに配置され且つ所定の方向に存在する物体を検出する第2センサとをさらに備え、
前記制御装置は、
前記第1センサから受け取る検知信号に基づき、前記ロボット連結部と前記アーム連結部との連結及び連結解除のための前記ロボットアームの動作を制御し、
前記第2センサから受け取る検知信号に基づき、前記係合部の係合対象部と前記係合部とを係合させる前記ロボットアームの動作を制御する
請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記受動アームの位置を移動させるアーム移動装置と、
前記ロボットアームの位置を移動させるロボット移動装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記アーム移動装置及び前記ロボット移動装置の動作を制御するように構成され、
前記制御装置は、前記対象物の情報に基づき、前記対象物に対応する位置に前記受動アームを移動させるように前記アーム移動装置の動作を制御し、前記対象物に対応する位置に前記ロボットアームを移動させるように前記ロボット移動装置の動作を制御する
請求項1から3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
2つ以上の前記ロボットアームと、
2つ以上の自由度を有する第1受動アームであって、前記ロボット連結部と連結及び連結解除される第1受動アーム連結部と、前記対象物と係合可能である第1受動アーム係合部とを含み、前記第1受動アーム連結部と連結されている前記ロボットアームによって動作させられ、前記対象物に含まれ且つ側方に開閉動作可能である第1開閉体を開閉す
る第1受動アームと、
前記対象物に含まれ且つ上下方向に開閉動作可能である第2開閉体を開閉する前記受動アームである第2受動アームと、
前記第1受動アームの位置を移動させる第1アーム移動装置と、
前記第2受動アームの位置を移動させる第2アーム移動装置とをさらに備え、
前記第1受動アー
ム係合部は、前記第1開閉体に係合可能であり、
前記第2受動アームの前記係合部は、前記第2開閉体に係合可能であり、
前記制御装置は、
前記対象物の情報に基づき、前記対象物に対応する位置に前記第1受動アーム及び前記第2受動アームを移動させるように前記第1アーム移動装置及び前記第2アーム移動装置の動作を制御
し、
前記第1受動アーム及び前記第2受動アームに対する前記ロボットアームの前記第2動作を制御するように構成される
請求項1から4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記アーム連結部は、前記ロボット連結部と互いに対して回動可能に連結される
請求項1から
5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記アーム連結部が前記ロボット連結部と連結された状態での前記アーム連結部及び前記ロボット連結部の回動軸方向は、前記
第1回動可動部
及び前記第2回動可動部の回動軸方向に沿う方向である
請求項
6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記第3リンクは平行リンクであり、
前記第3リンクは、
前記第1回動可動部及び前記第2回動可動部を連結する第1部材と、
前記第1部材に沿って延び且つ一端で前記第2リンクに回動可能に連結される第2部材と、
一端で前記第2部材の他端と回動可能に連結され且つ他端で前記第4リンクと一体に回動するように前記第2回動可動部と連結される第3部材とを含む
請求項
1から7のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記受動アームは、前記第4リンクの先端に連結され且つ前記対象物に対して作用を加えるように構成されるアームエンドエフェクタを
、前記係合部として含み、
前記アーム連結部は、前記アームエンドエフェクタ又は前記第4リンクに配置され、
前記アームエンドエフェクタは、
前記第4リンクが延びる方向と交差する方向に延びる延出部と、
前記アームエンドエフェクタから前記第4リンクに向かう方向に前記延出部の先端から突出し且つ前記対象物の窪み又は開口に係合可能である突出部とを含む
請求項
1から8のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
アーム本体と、
前記アーム本体に配置されるアーム連結部であって、自身で駆動可能であり且つ対象物に作用を加えるロボットエンドエフェクタとロボット連結部とを含む
、ロボットアームの前記ロボット連結部と
の連結
及び連結解除が自在な形状を有するアーム連結部とを備え、
前記アーム本体は、
前記アーム本体に2つ以上の自由度を与え且つ前記アーム本体に外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部
であって、進退動作可能である進退可動部と、回動動作可能である第1回動可動部及び第2回動可動部とを含む2つ以上の受動可動部と、
前記進退可動部と連結される第1リンクと、
前記進退可動部及び前記第1回動可動部を連結する第2リンクと、
前記第1回動可動部及び前記第2回動可動部を連結する第3リンクと、
前記第2回動可動部と連結される第4リンクとを含み、
前記第1リンクは前記アーム本体の基端側に位置し、
前記第4リンクは前記アーム本体の先端側に位置し、
前記第1回動可動部の回動軸方向及び前記第2回動可動部の回動軸方向は、同方向であり、
前記進退可動部の進退方向は、前記第1回動可動部の回動軸方向及び前記第2回動可動部の回動軸方向と交差する方向であり、
前記アーム連結部は、前記ロボット連結部と連結された状態で前記アーム本体と前記ロボットアームとの相対的な回動を可能にする
受動アーム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本件出願は、2020年12月21日に日本特許庁に出願された特願2020-211593号及び特願2020-211594号の優先権及びその利益を主張するものであり、それらの全体を参照することにより本件出願の一部をなすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ロボットシステム、制御方法及び受動アームに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ロボットは、様々な用途に用いられる。例えば、特開2013-31890号公報は、車体の塗装システムを開示する。塗装システムは、車体のドアの開閉とドア開放状態の保持とを行うドア開閉用ロボットと、車体のドア内部を塗装することができる塗装用ロボットとを備える。
【発明の概要】
【0004】
特開2013-31890号公報の塗装システムにおいて、塗装用ロボット及びドア開閉用ロボットはいずれも、自身で動作することができる能動アームを含む。2種類の作業それぞれのために能動アームが設けられるため、コストが上昇する。
【0005】
本開示は、コスト低減を可能にするロボットシステム、制御方法及び受動アームを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、ロボットアームと、2つ以上の自由度を有し且つ前記ロボットアームと連結及び連結解除される受動アームであって、対象物と係合可能である係合部を有し、前記受動アームと連結されている前記ロボットアームによって動作させられる受動アームと、前記ロボットアームの第1動作及び第2動作を制御する制御装置とを備え、前記第1動作は、前記ロボットアームが前記対象物に作用する前記ロボットアームの動作であり、前記第2動作は、前記ロボットアームが前記対象物に前記受動アームを作用させる前記ロボットアームの動作であり、前記制御装置は、前記第2動作では、前記ロボットアームと前記受動アームとを連結させることと、前記ロボットアームに前記受動アームを動作させて前記対象物に前記係合部を係合させることと、前記ロボットアームに前記対象物と係合した前記受動アームを動作させて前記対象物に動作させることとを実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る第1塗装ロボットの構成の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る第2塗装ロボットの構成の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1受動アームの構成の一例を示す側面図である。
【
図6】
図6は、第1受動アームの構成の一例を示す上面図である。
【
図7】
図7は、第2受動アームの構成の一例を示す正面図である。
【
図8】
図8は、第2受動アームの構成の一例を示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る第1から第3制御装置及びその周辺の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る第1及び第2制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係るロボットシステムの開動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係るロボットシステムの閉動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本開示の例示的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。本明細書及び請求項では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0009】
[ロボットシステムの構成]
図1及び
図2を参照しつつ、例示的な実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を説明する。
図1及び
図2は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す斜視図である。本実施の形態では、ロボットシステム1は、自動車の製造工場において車体VBの塗装作業を行うためのシステムであるとして、以下の説明を行う。しかしながら、ロボットシステム1の用途は塗装作業に限定されない。車体VBは対象物の一例である。
【0010】
ロボットシステム1は、塗装エリアPAに配置される。塗装エリアPAは、壁及び天井等により囲まれている。塗装エリアPAには、塗装を受ける車体VBを方向D1Aに搬送するための塗装ライン装置PLが配置されている。方向D1Aは、塗装エリアPAの床面に沿う方向であり、例えば、水平方向である。塗装ライン装置PLの構成は特に限定されず、既知の構成であってもよい。塗装ライン装置PLの例として、コンベヤにより車体VBを搬送する装置、及び、軌道に沿って車体VBを搬送する装置等がある。
【0011】
ロボットシステム1は、1つ以上の第1受動アーム100と、1つ以上の第2受動アーム200と、1つ以上の第1塗装ロボット300Aと、1つ以上の第2塗装ロボット300Bと、1つ以上の第1受動アーム100それぞれの移動装置410と、1つ以上の第2受動アーム200それぞれの移動装置420と、1つ以上の第1塗装ロボット300Aそれぞれの移動装置430と、1つ以上の第2塗装ロボット300Bそれぞれの移動装置440と、制御装置500Aから500Cとを含む。
【0012】
1つ以上の第1受動アーム100と、1つ以上の第2受動アーム200と、1つ以上の第1塗装ロボット300Aと、1つ以上の第2塗装ロボット300Bと、移動装置410から440とは、同じ塗装エリアPAに配置され、同じ車体VBに塗装に関連する作業を行うことができる。図面表示の便宜上、上記構成要素は、
図1と
図2とに分けて示されている。
図1では、1つ以上の第1受動アーム100、1つ以上の第1塗装ロボット300A、並びに移動装置410及び430が描かれ、
図2では、1つ以上の第2受動アーム200、1つ以上の第2塗装ロボット300B、並びに移動装置420及び440が描かれている。本実施の形態では、上記構成要素は、同じ空間に配置される。
【0013】
図1には示されていないが、本実施の形態では、2つの第1受動アーム100が、塗装ライン装置PLに対して側方向D2A及びD2Bそれぞれに配置され、2つの第1塗装ロボット300Aが、塗装ライン装置PLに対して側方向D2A及びD2Bそれぞれに配置される。第1受動アーム100はそれぞれ、塗装エリアPAの床面上に配置され、第1塗装ロボット300Aはそれぞれ、塗装エリアPAの壁面上に配置される。第1塗装ロボット300Aは、第1受動アーム100を用いて、車体VBのドアVD及びドアVDの内側の部分を塗装することができる。ドアVDは第1開閉体の一例である。
【0014】
方向D2A及びD2Bは、互いに反対方向である。方向D2A及びD2Bは、方向D1A及びD1Bに垂直であり且つ塗装エリアPAの床面に沿う方向であり、例えば、水平方向である。方向D3A及びD3Bは、互いに反対方向である。方向D3A及びD3Bは、方向D1A、D1B、D2A及びD2Bに垂直であり且つ塗装エリアPAの床面に垂直な方向であり、例えば、鉛直方向である。方向D3Aは上向きの方向であり、方向D3Bは下向きの方向である。
【0015】
本実施の形態では、1つの第2受動アーム200が、塗装ライン装置PLに対して方向D2Bに配置され、1つの第2塗装ロボット300Bが、塗装ライン装置PLに対して方向D2Aに配置される。第2受動アーム200は、塗装エリアPAの壁面上に配置され、第2塗装ロボット300Bは、塗装エリアPAの床面上に配置される。第2塗装ロボット300Bは、第2受動アーム200を用いて、車体VBのフロントフードVF、フロントフードVFの内側の部分、リヤゲートVG及びリヤゲートVGの内側の部分を塗装することができる。リヤゲートVGは、リヤトランクフード等も含み得る。フロントフードVF及びリヤゲートVGは第2開閉体の一例である。
【0016】
第1塗装ロボット300Aは、移動装置430を介して塗装エリアPAの壁面に取り付けられる。移動装置430は、塗装エリアPAの壁面に取り付けられ、方向D1Aに延びる。移動装置430は、第1塗装ロボット300Aを支持する支持台431と、支持台431を移動させる移動駆動装置432とを備える。移動装置430は、第1塗装ロボット300Aと共に支持台431を方向D1A及びD1Bに移動させることができる。
【0017】
第1受動アーム100は、移動装置410を介して塗装エリアPAの床面に取り付けられる。移動装置410は、塗装エリアPAの床面に取り付けられ、方向D1Aに延びる。移動装置410は、移動装置430の下方に配置される。移動装置410は、第1受動アーム100を支持する支持台411と、支持台411を移動させる移動駆動装置412とを備える。移動装置410は、第1受動アーム100と共に支持台411を方向D1A及びD1Bに移動させることができる。
【0018】
第2塗装ロボット300Bは、移動装置440を介して塗装エリアPAの床面に取り付けられる。移動装置440は、塗装エリアPAの床面に取り付けられ、方向D1Aに延びる。移動装置440は、第2塗装ロボット300Bを支持する支持台441と、支持台441を移動させる移動駆動装置442とを備える。移動装置440は、第2塗装ロボット300Bと共に支持台441を方向D1A及びD1Bに移動させることができる。
【0019】
第2受動アーム200は、移動装置420を介して塗装エリアPAの壁面に取り付けられる。移動装置420は、塗装エリアPAの壁面に取り付けられ、方向D1Aに延びる。移動装置420は、移動装置440から方向D2Bの位置で、移動装置440と対向するように配置される。移動装置420は、第2受動アーム200を支持する支持台421と、支持台421を移動させる移動駆動装置422とを備える。移動装置420は、第2受動アーム200と共に支持台421を方向D1A及びD1Bに移動させることができる。
【0020】
移動装置410から440の構成は特に限定されず、例えば、既知の構成であってもよい。限定されないが、本実施の形態では、移動装置410から440はそれぞれ、方向D1Aに延びる2つの軌道上で支持台411から441を移動させる軌道式の移動装置である。移動駆動装置412から442は、電力を動力源とし、電気モータとしてサーボモータを含む。例えば、移動駆動装置412から442は、サーボモータによって回転駆動され且つ回転することによって支持台411から441を移動させる回転体を含んでもよい。例えば、回転体は、軌道上で支持台411から441と共に走行するローラ又はギヤ、支持台411から441と接続されたチェーン又はベルトを駆動するローラ、支持台411から441と接続されたボールねじ等であってもよい。
【0021】
第1制御装置500Aは、第1塗装ロボット300A、第1受動アーム100並びに移動装置410及び430等の動作を制御するように構成される。限定されないが、本実施の形態では、第1制御装置500Aは、第1塗装ロボット300A及び第1受動アーム100の1つのペアとこれらの移動装置410及び430とを制御するように構成される。上記ペアのそれぞれに、第1制御装置500Aが設けられる。第2制御装置500Bは、第2塗装ロボット300B、第2受動アーム200並びに移動装置420及び440等の動作を制御するように構成される。限定されないが、本実施の形態では、第2制御装置500Bは、第2塗装ロボット300B及び第2受動アーム200の1つのペアとこれらの移動装置420及び440とを制御するように構成される。第3制御装置500Cは、第1制御装置500Aと、第2制御装置500Bと、塗装ライン装置PLの制御装置CPLとを互いに連携させて動作させる制御をするように構成される。
【0022】
[塗装ロボットの構成]
図3及び
図4を参照しつつ、塗装ロボット300A及び300Bの構成の一例を説明する。
図3は、実施の形態に係る第1塗装ロボット300Aの構成の一例を示す斜視図である。
図4は、実施の形態に係る第2塗装ロボット300Bの構成の一例を示す斜視図である。第1塗装ロボット300Aは、ロボットアーム310Aと、ロボットアーム310Aの先端に取り付けられるエンドエフェクタ320Aとを備える。第2塗装ロボット300Bは、ロボットアーム310Bと、ロボットアーム310Bの先端に取り付けられるエンドエフェクタ320Bとを備える。
【0023】
ロボットアーム310A及び310Bはそれぞれ、エンドエフェクタ320A及び320Bの位置及び姿勢を自在に移動させることができる。ロボットアーム310A及び310Bは、自身で駆動することができる能動アームである。エンドエフェクタ320A及び320Bは、対象物に対して作用を加えることができる構成を有し、本実施の形態では、対象物に塗料を吹き付けることができる。
【0024】
限定されないが、本実施の形態では、ロボットアーム310A及び310Bは、6つの自由度を有する6軸垂直多関節型のアームである。本実施の形態では、ロボットアーム310A及び310Bの構成は異なっているが、同じであってもよい。
【0025】
ロボットアーム310Aは、基台317Aと、6つのリンク311Aから316Aと、6つの回転関節JTA1からJTA6と、アーム駆動装置MA1からMA6とを備える。基台317Aは、移動装置430の支持台431に固定される。回転関節JTA1からJTA6は、基台317A及びリンク311Aから316Aを相対回転可能に接続する。リンク316Aの先端部は、メカニカルインタフェースを含み、エンドエフェクタ320Aと接続されることができる。アーム駆動装置MA1からMA6はそれぞれ、回転関節JTA1からJTA6を回転駆動する。アーム駆動装置MA1からMA6は、電力を動力源とし、本実施の形態では、電気モータとしてサーボモータを含む。アーム駆動装置MA1からMA6は、
図9に示される。
【0026】
ロボットアーム310Bは、基台317Bと、6つのリンク311Bから316Bと、6つの回転関節JTB1からJTB6と、アーム駆動装置MB1からMB6とを備える。基台317Bは、移動装置440の支持台441に固定される。回転関節JTB1からJTBは、基台317B及びリンク311Bから316Bを相対回転可能に接続する。リンク316Bの先端部は、メカニカルインタフェースを含み、エンドエフェクタ320Bと接続されることができる。アーム駆動装置MB1からMB6はそれぞれ、回転関節JTB1からJTB6を回転駆動する。アーム駆動装置MB1からMB6は、電力を動力源とし、本実施の形態では、電気モータとしてサーボモータを含む。アーム駆動装置MB1からMB6は、
図9に示される。
【0027】
エンドエフェクタ320A及び320Bはそれぞれ、塗料を噴射可能である塗装ガン321A及び321Bを備える。塗装ガン321A及び321Bはそれぞれ、ロボットアーム310A又は310Bに沿って延びる複数の配管と接続されており、複数の配管は、塗料タンク及び空気供給装置600と接続される。空気供給装置600は、加圧空気を発生することができる装置であり、例えば、空気を圧縮して吐出するエアコンプレッサ等であってもよい。空気供給装置600は、
図9に示される。
【0028】
塗装ガン321Aと空気供給装置600とを連通する配管には、当該配管を連通及び遮断する開閉弁601Aが配置される。本実施の形態では、開閉弁601Aは、エンドエフェクタ320Aに配置されるが、他の場所に配置されてもよい。塗装ガン321Bと空気供給装置600とを連通する配管には、当該配管を連通及び遮断する開閉弁601Bが配置される。本実施の形態では、開閉弁601Bは、エンドエフェクタ320Bに配置されるが、他の場所に配置されてもよい。開閉弁601A及び601Bは、
図9に示され、例えば電磁弁であってもよい。開閉弁601Aの動作は第1制御装置500Aによって制御され、開閉弁601Bの動作は第2制御装置500Bによって制御される。空気供給装置600が発生する加圧空気によって、塗料タンク内の塗料が塗装ガン321A及び321Bに送られ、塗装ガン321A及び321Bから噴射する。塗料タンク及び空気供給装置600は、ロボットアーム310A及び310Bとは別に配置される。
【0029】
エンドエフェクタ320A及び320Bはそれぞれ、ロボット連結体322A及び322Bをさらに備える。ロボット連結体322Aは、第1受動アーム100の先端部と連結することができる。限定されないが、本実施の形態では、ロボット連結体322Aは、屈曲した棒状体である。ロボット連結体322Aは、エンドエフェクタ320Aから側方に突出するように延びて屈曲した後、塗装ガン321Aの噴射孔の開口方向に沿って延びる。
【0030】
ロボット連結体322Bは、第2受動アーム200の先端部と連結することができる。限定されないが、本実施の形態では、ロボット連結体322Bは、棒状体であり、エンドエフェクタ320Bから側方に突出するように延びる。
【0031】
塗装ロボット300A及び300Bの構成は、上記構成に限定されない。例えば、ロボットアーム310A及び310Bの関節の数量は、6つに限定されず、5つ以下又は7つ以上であってもよい。ロボットアーム310A及び310Bの型式も、垂直多関節型に限定されず、他の型式であってもよい。ロボットアーム310A及び310Bはそれぞれ、ロボット連結体322A及び322Bを受動アーム100及び200の先端部に連結させ、受動アーム100及び200を動作させることができればよい。
【0032】
[第1受動アームの構成]
図5及び
図6を参照しつつ、第1受動アーム100の構成の一例を説明する。
図5及び
図6はそれぞれ、第1受動アーム100の構成の一例を示す側面図及び上面図である。
図5及び
図6において、図面表示の便宜上、部材の内部に配置される要素も実線で表示される。
【0033】
第1受動アーム100は、アーム本体110と、アーム本体110の先端に連結されるエンドエフェクタ120とを備える。アーム本体110は、2つ以上の自由度で動作でき、本実施の形態では、3自由度で動作できる。エンドエフェクタ120は、対象物に作用を加えることができる構成を有する。エンドエフェクタ120は係合部の一例である。
【0034】
アーム本体110は、4つのリンク111aから111dと、3つの受動可動部112aから112cとを含む。リンク111aは、アーム本体110の基部の一例であり、移動装置410の支持台411に固定される。リンク111bから111dはそれぞれ、柱状の形状を有する。アーム本体110において、リンクの数量は、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよく、受動可動部の数量は、2つ以下であってもよく、4つ以上であってもよい。
【0035】
受動可動部112aは、リンク111aとリンク111bの基端部とを相対的に回動可能に接続する。受動可動部112aは、リンク111bの基端部に一体に回動するように接続される回動軸112aaと、リンク111aに固定され且つ回動軸112aaを回動可能に支持する軸受112abとを含む。リンク111bは、回動軸112aaの軸心S11を中心に回動可能である。限定されないが、本実施の形態では、リンク111bは、軸心S11と垂直な方向に延びる。受動可動部112aは回転関節として機能することができる。受動可動部112aは第1回動可動部の一例である。
【0036】
本明細書及び請求項において、「垂直」、「鉛直」、「水平」及び「平行」はそれぞれ、完全に垂直、鉛直、水平又は平行である場合と、完全な垂直、鉛直、水平又は平行の近傍を含む実質的に垂直、鉛直、水平又は平行とみなすことができる場合とを含み得る。
【0037】
受動可動部112bは、リンク111bの先端部とリンク111cの基端部とを相対的に回動可能に接続する。リンク111bは、受動可動部112aと受動可動部112bとを連結する。受動可動部112bは、リンク111cの基端部に一体に回動するように接続される回動軸112baと、リンク111bに固定され且つ回動軸112baを回動可能に支持する軸受112bbとを含む。リンク111cは、回動軸112baの軸心S12を中心に回動可能である。限定されないが、本実施の形態では、リンク111cは、軸心S12と垂直な方向に延びる。軸心S12は、軸心S11と同様の方向に延び、例えば、軸心S11と平行に延びる。受動可動部112bは回転関節として機能することができる。受動可動部112bは第2回動可動部の一例である。
【0038】
リンク111cは、軸心S12と垂直な方向に回動軸112baから延びる第1部分111caと、第1部分111caの先端部から延びる第2部分111cbとを含む。第2部分111cbは、第1部分111caから離れる方向D4Aに延びる。限定されないが、本実施の形態では、第2部分111cbは、軸心S12と平行に延び、円筒状の形状を有する。よって、軸心S12は、方向D4Aに延びる。
【0039】
受動可動部112cは、リンク111cの第2部分111cbの先端部とリンク111dとを、相対的な進退動作を可能に接続する。リンク111cは、受動可動部112bと受動可動部112cとを連結する。受動可動部112cは進退可動部の一例である。
【0040】
リンク111dは、第2部分111cbに沿ってスライド可能に第2部分111cbに配置される。リンク111dは、方向D4A及びD4Bにスライド可能である。方向D4Bは、方向D4Aの反対方向である。例えば、リンク111dは円筒状の形状を有し、第2部分111cbの先端部がリンク111dの基端部内に挿入される。リンク111dの基端部は自由端を形成し、リンク111dの先端部はエンドエフェクタ120と接続される。
【0041】
受動可動部112cは、軸部112caと係止体112cbとを含む。係止体112cbは、第2部分111cb内に配置される。軸部112caは、リンク111d及び第2部分111cb内を通って延び、係止体112cbを貫通する。軸部112caの一端は、リンク111dの先端部又はエンドエフェクタ120と接続される。軸部112caの他端は、拡大されており、拡大端部を形成する。
【0042】
軸部112caは、リンク111dと共に、第2部分111cbに対して方向D4A及びD4Bにスライド移動可能である。例えば、軸部112ca及びリンク111dは、リンク111dの先端部又はエンドエフェクタ120が第2部分111cbの先端部に当接するまで、方向D4Bに移動することができる。軸部112ca及びリンク111dは、軸部112caの拡大端部が係止体112cbに当接するまで、方向D4Aに移動することができる。係止体112cbは、第2部分111cbからの軸部112caの逸出を防ぐことができる。
【0043】
アーム本体110は、付勢部材113をさらに備える。付勢部材113は、リンク111dを、係止体112cbから離れる方向に、具体的には方向D4Aに付勢する。これにより、リンク111dが、方向D4Bへ向かう外力を受けていないとき、リンク111d及び第2部分111cbは、方向D4Aに伸長した状態を維持することができる。例えば、上記状態において、付勢部材113は、軸部112caの拡大端部を係止体112cbに当接させるような付勢力を有してもよい。限定されないが、本実施の形態では、付勢部材113はコイルバネである。付勢部材113は、リンク111dの先端部又はエンドエフェクタ120と係止体112cbとの間に配置され、軸部112caの周りに巻き付けられる。
【0044】
限定されないが、本実施の形態では、エンドエフェクタ120は、リンク111dに対して移動しないように、リンク111dの先端部と接続される。エンドエフェクタ120は棒状体である。エンドエフェクタ120は、延出部121と突出部122とを含む。延出部121は、方向D4A及びD4Bに対して交差する方向、例えば、垂直な方向に延びる。突出部122は、延出部121の一方の端部から方向D4Bに向かって突出する。突出部122は、車体VBのドアVDの上部にある隙間VDaに係合可能であり、具体的には、隙間VDaに挿入可能である。隙間VDaは、
図1に示される。隙間VDaは、ドアVDの外板と内板との間に形成され、窓の出入りが可能である隙間である。隙間VDaは、対象物の窪みの一例である。
【0045】
エンドエフェクタ120は、アーム連結部130を一体的に含む。アーム連結部130は、延出部121の他方の端部に配置される。アーム連結部130は、方向D4A及びD4Bにアーム連結部130を貫通する係合穴131を有する。係合穴131は、第1塗装ロボット300Aのロボット連結体322Aを挿入できる穴である。アーム連結部130は係合部の一例である。
【0046】
第1受動アーム100は、方向D4A及びD4Bがそれぞれ方向D3A及びD3Bに沿うように配置される。第1受動アーム100は、水平方向の回動の2つの自由度と、鉛直方向の進退移動の1つの自由度との3つの自由度により、エンドエフェクタ120を移動させることができる。第1塗装ロボット300Aのロボットアーム310Aは、ロボット連結体322Aを上方から係合穴131に挿入することができる。
【0047】
第1受動アーム100は、センサ141及び142を備える。第1センサ141は、アーム連結部130に配置され、係合穴131内のロボット連結体322Aの有無を検出する。第2センサ142は、エンドエフェクタ120の突出部122に配置され、突出部122の突出方向である方向D4Bに存在する物体の有無を検出する。第2センサ142は、第2センサ142から検出対象領域内の物体までの距離を検出できてもよい。センサ141及び142は、検出結果を第1制御装置500Aに出力する。第1センサ141は、ロボット連結体322Aに配置されてもよく、アーム連結部130及びロボット連結体322Aの両方に配置されてもよい。
【0048】
センサ141及び142の構成は特に限定されず、上記機能を有すればよい。例えば、センサ141及び142は、物理的な接触、光波、レーザ、磁気、電波、電磁波、超音波又はこれらの2つ以上の組み合わせ等を用いて検出動作を行うように構成されてもよい。第1センサ141の例は、接触センサ、近接センサ、光電センサ、レーザセンサ、電波式センサ、電磁波式センサ、超音波センサ又はこれらの2つ以上の組み合わせ等である。第2センサ142の例は、光電センサ、レーザセンサ、電波式センサ、電磁波式センサ、超音波センサ、各種ライダ(LiDAR)又はこれらの2つ以上の組み合わせ等である。
【0049】
第1受動アーム100は、受動可動部112aから112cそれぞれの動作を係止可能である係止装置151から153を備える。係止装置151及び152はそれぞれ、受動可動部112a及び112bの回動動作を係止する。係止装置153は、受動可動部112cの進退動作を係止する。限定されないが、本実施の形態では、係止装置151から153は、摩擦力を用いて係止する。係止装置151から153は、係合及び嵌合等の他の方法を用いて係止する構成を有してもよい。
【0050】
本実施の形態では、係止装置151及び152はそれぞれ、車輪のディスクブレーキ装置と同様の構成を有する。係止装置151は、回動軸112aaに一体に接続されるディスク151aと、摩擦材151bと、摩擦材151bをディスク151aに押し当てるように動作する係止駆動装置151cとを備える。ディスク151aは、当該ディスク151aが接続される回動軸112aaと一体に回動する。同様に、係止装置152は、回動軸112baに一体に接続されるディスク152aと、摩擦材152bと、係止駆動装置152cとを備える。例えば、係止駆動装置151c及び152cはそれぞれ、摩擦材151b及び152bを押圧するピストンを含んでもよい。係止装置151及び152はそれぞれ、リンク111a及び111b内に配置される。
【0051】
係止装置153は、軸部112caの外周面を掴む又は挟む等の把持をするように動作可能である把持装置153aを備える。例えば、把持装置153aは、係止駆動装置151c及び152cと同様に、摩擦材を軸部112caに押し付ける構造を有してもよい。係止装置153は、リンク111cの第2部分111cb内に配置され、具体的には、係止体112cbと軸部112caの拡大端部との間に配置される。
【0052】
限定されないが、本実施の形態では、係止駆動装置151c及び152c並びに把持装置153aはそれぞれ、作動流体の供給を受け、作動流体の供給及び供給停止によって係止の実行及び解除をする構成を有する。本実施の形態では、作動流体は、空気供給装置600によって供給される加圧空気であるが、作動油等の液体であってもよい。係止駆動装置151c及び152c並びに把持装置153aはそれぞれ、配管と開閉弁602A、603A及び604Aとを介して、空気供給装置600と接続される。開閉弁602A、603A及び604Aは、電気的に動作し、配管を連通及び遮断することができる。開閉弁602A、603A及び604Aは、
図9に示され、例えば電磁弁であってもよい。本実施の形態では、開閉弁602A、603A及び604Aは、第1受動アーム100に配置されるが、第1受動アーム100の外部に配置されてもよい。開閉弁602A、603A及び604Aの動作は、第1制御装置500Aによって制御される。係止駆動装置151c及び152c並びに把持装置153aはそれぞれ、開閉弁602A、603A及び604Aの開状態で加圧空気の供給を受け、開閉弁602A、603A及び604Aの閉状態で加圧空気の供給遮断を受ける。
【0053】
例えば、係止駆動装置151c及び152cはそれぞれ、ばね等の付勢部材を備え、付勢部材の付勢力により摩擦材151b及び152bをディスク151a及び152aに押し当て、供給される加圧空気により摩擦材151b及び152bをディスク151a及び152aから離すように構成される。係止駆動装置151c及び152cはそれぞれ、開閉弁602A及び603Aの閉状態で係止を実行し、開閉弁602A及び603Aの開状態で係止を解除する。係止駆動装置151c及び152cの係止及び係止解除と、開閉弁602A及び603Aの閉状態及び開状態との関係は、上記と逆であってもよい。
【0054】
例えば、把持装置153aは、ばね等の付勢部材を備え、付勢部材の付勢力により軸部112caの外周面を把持し、供給される加圧空気により軸部112caの把持を解除するように構成される。把持装置153aは、開閉弁604Aの閉状態で把持による係止を実行し、開閉弁604Aの開状態で把持による係止を解除する。把持装置153aの把持による係止及び係止解除と、開閉弁604Aの閉状態及び開状態との関係は、上記と逆であってもよい。
【0055】
[第2受動アームの構成]
図7及び
図8を参照しつつ、第2受動アーム200の構成の一例を説明する。
図7及び
図8はそれぞれ、第2受動アーム200の構成の一例を示す正面図及び側面図である。
図7及び
図8において、図面表示の便宜上、部材の内部に配置される要素も実線で表示される。
【0056】
第2受動アーム200は、アーム本体210と、アーム本体210の先端に連結されるエンドエフェクタ220とを備える。アーム本体210は、2つ以上の自由度で動作でき、本実施の形態では、3自由度で動作できる。エンドエフェクタ220は、対象物に作用を加えることができる構成を有する。エンドエフェクタ220は係合部の一例である。
【0057】
アーム本体210は、4つのリンク211aから211dと、3つの受動可動部212aから212cと、荷重体213とを含む。リンク211aは、アーム本体210の基部の一例であり、移動装置420の支持台421に固定される。リンク211aは、長手方向が方向D5Aである矩形板状の形状を有する。アーム本体210において、リンクの数量は、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよく、受動可動部の数量は、2つ以下であってもよく、4つ以上であってもよい。
【0058】
受動可動部212aは、リンク211aとリンク211bとを、相対的な進退動作を可能に接続する。受動可動部212aは進退可動部の一例である。リンク211bは、矩形板状の形状を有し、リンク211aと対向して配置される。
【0059】
受動可動部212aは、2つのガイド部212aaと、2つ以上の係合部212abとを含む。各ガイド部212aaは、リンク211aの表面上に配置される。各ガイド部212aaは、リンク211aの表面から突出し且つ方向D5Aに帯状に延びる。2つのガイド部212aaは、互いに平行に延びる。2つのガイド部212aaは、リンク211bの移動を案内する軌道を形成し、レールであってもよい。
【0060】
2つ以上の係合部212abは、リンク211bに配置され、ガイド部212aaとスライド可能に係合する。係合部212abは、ガイド部212aaから逸脱しないように係合を維持しつつ、ガイド部212aaに沿ってスライド移動することができる。限定されないが、本実施の形態では、4つの係合部212abが配置され、2つの係合部212abが1つのガイド部212aaと係合し、他の2つの係合部212abが別のガイド部212aaと係合する。リンク211bは、ガイド部212aaに沿って方向D5A及びD5Bに移動可能である。方向D5Bは、方向D5Aの反対方向である。
【0061】
受動可動部212bは、リンク211bとリンク211cの基端部とを相対的に回動可能に接続する。リンク211bは、受動可動部212aと受動可動部212bとを連結する。受動可動部212bは、リンク211bに一体に接続される回動軸212baと、リンク211cの基端部に固定され且つ回動軸212baを回動可能に支持する軸受212bbとを含む。リンク211cは、回動軸212baの軸心S21を中心に回動可能である。限定されないが、本実施の形態では、リンク211cは、軸心S21と垂直な方向に延びる。軸心S21は、方向D5A及びD5Bと垂直な方向に延びる。軸心S21は、リンク211a及び211bと交差する方向、例えば、垂直な方向に延びる。受動可動部212bは回転関節として機能することができる。受動可動部212bは回動可動部の一例である。
【0062】
受動可動部212cは、リンク211cの先端部とリンク211dの基端部とを相対的に回動可能に接続する。リンク211cは、受動可動部212bと受動可動部212cとを連結する。受動可動部212cは、リンク211dの基端部に一体に接続される回動軸212caと、リンク211cの先端部に固定され且つ回動軸212caを回動可能に支持する軸受212cbとを含む。リンク211dは、回動軸212caの軸心S22を中心に回動可能である。限定されないが、本実施の形態では、軸心S22は、軸心S21と同様の方向に延び、例えば、軸心S21と平行に延びる。受動可動部212cは回動可動部の一例である。
【0063】
リンク211cは、平行リンクの構成を有する。リンク211cは、第1部材211ca、第2部材211cb及び第3部材211ccを含む。第1部材211ca、第2部材211cb及び第3部材211ccは、柱状の部材である。
【0064】
第1部材211caは、受動可動部212b及び212cを連結する。具体的には、第1部材211caの一端は、受動可動部212bによってリンク211bと回動可能に接続され、第1部材211caの他端は、受動可動部212cによってリンク211dの基端部と回動可能に接続される。
【0065】
第2部材211cbは、第1部材211caに沿って延び、一端でリンク211bに回動可能に連結される。具体的には、第2部材211cbの一端は、第1部材211caから離れた位置でリンク211bと接続される。第2部材211cbの他端は、第3部材211ccの一端と回動可能に接続される。第3部材211ccは、一端で第2部材211cbの他端と回動可能に連結され、他端で受動可動部212cと連結される。
【0066】
第1部材211caにおける2つの接続部分の距離は、第2部材211cbにおける2つの接続部分の距離と同等である。リンク211bと第1部材211caとの接続部分とリンク211bと第2部材211cbとの接続部分との距離は、第3部材211ccにおける2つの接続部分の距離と同等である。よって、第1部材211caが回動したとき、第3部材211ccは平行移動する。
【0067】
限定されないが、本実施の形態では、第3部材211ccの他端は、リンク211dと一体に回動するように、リンク211dの基端部と連結される。これにより、第1部材211caが回動したとき、リンク211dは、第3部材211ccと共に平行移動する。よって、リンク211dの姿勢が維持される。
【0068】
リンク211dは、柱状の形状を有する。リンク211dは、受動可動部212cから軸心S22の方向D6Aに延びる第1部分211daと、第1部分211daの先端部から延びる第2部分211dbとを含む。第2部分211dbは、第1部分211daから離れる方向D7Aに延びる。限定されないが、本実施の形態では、第1部分211daは、軸心S22と平行に延び、方向D6Aは、方向D5A及びD5Bに垂直であり且つリンク211a及び211bから離れる方向である。第2部分211dbは、第1部分211daと垂直に延び、方向D7Aは、方向D6Aに垂直であり且つリンク211a及び211bから離れる方向である。リンク211dの先端部はエンドエフェクタ220と接続される。
【0069】
限定されないが、本実施の形態では、エンドエフェクタ220は、リンク211dに対して移動しないように、リンク211dと接続される。エンドエフェクタ220は棒状体である。エンドエフェクタ220は、延出部221と突出部222とを含む。延出部221は、方向D7Aに対して交差する方向、例えば、垂直な方向に延びる。延出部221の両端は、リンク211dよりも方向D5A及びD5Bへ突出する。突出部222は、延出部221の両端それぞれから方向D7Bに向かって突出する。方向D7Bは、方向D7Aと反対方向である。突出部222は、車体VBのフロントフードVF及びリヤゲートVGに取り付けられる保持具Vaの開口に係合可能であり、具体的には、当該開口に挿入可能である。保持具Vaは、
図2に示される。保持具Vaは、フロントフードVF及びリヤゲートVGの開閉の際に保持される金具である。
【0070】
アーム連結部230が、リンク211dの先端部に一体的に配置される。アーム連結部230は、方向D6Aに開口する係合穴231を有する。係合穴231は、第2塗装ロボット300Bのロボット連結体322Bを挿入できる穴である。アーム連結部230は係合部の一例である。
【0071】
荷重体213は、所定以上の質量を有する物体である。リンク211cと一体に移動するようにリンク211cに連結される。荷重体213は、受動可動部212bを挟んでリンク211cと反対側に配置される。荷重体213は、連結部材213aによって第1部材211caと一体的に連結される。連結部材213aは、荷重体213を、第1部材211ca及び受動可動部212bから離すように位置決めする。荷重体213は、受動可動部212bを中心とする下向きの回転モーメントM1を第1部材211caに発生し得る。荷重体213は、上記物体に限定されず、第1部材211caに回転モーメントを与えることができればよい。例えば、荷重体213は、回転モーメントM1を第1部材211caに与える渦巻きばね等の付勢部材であってもよい。
【0072】
第2受動アーム200は、方向D5A及びD5Bがそれぞれ方向D1A及びD1Bに沿い、方向D6Aが方向D2Aに沿い、方向D7A及びD7Bがそれぞれ方向D3B及びD3Aに沿うように配置される。第2受動アーム200は、鉛直方向の回動の2つの自由度と、水平方向の進退移動の1つの自由度との3つの自由度により、エンドエフェクタ220を移動させることができる。塗装ロボット300Bのロボットアーム310Bは、ロボット連結体322Bを側方から係合穴231に挿入することができる。
【0073】
第2受動アーム200は、第1受動アーム100の第1センサ141と同様の第1センサ241と、第2センサ142と同様の第2センサ242とを備える。第1センサ241は、アーム連結部230に配置され、第2センサ242は、エンドエフェクタ220の突出部222のいずれか又は両方に配置される。センサ241及び242は、検出結果を第2制御装置500Bに出力するように構成される。第1センサ241は、ロボット連結体322Bに配置されてもよく、アーム連結部230及びロボット連結体322Bの両方に配置されてもよい。
【0074】
第2受動アーム200は、受動可動部212a及び212bそれぞれの動作を係止可能である係止装置251及び252を備える。限定されないが、本実施の形態では、係止装置251及び252は、摩擦力を用いて係止する。係止装置251は、受動可動部212aの進退動作を係止する。係止装置252は、第1受動アーム100の係止装置151及び152と同様の構成を有し、受動可動部212bの回動動作を係止する。
【0075】
係止装置252は、第1部材211ca内に配置される。係止装置252は、回動軸212baと一体的に取り付けられるディスク252aと、摩擦材252bと、係止駆動装置252cとを備える。
【0076】
係止装置251は、リンク211bの係合部212abに配置される。具体的には、係止装置251は、2つのガイド部212aaそれぞれの係合部212abに配置される。係止装置251は、ガイド部212aaの外面を掴む把持装置251aを備える。把持装置251aは、第1受動アーム100の把持装置153aと同様の構成を有してもよい。
【0077】
把持装置251a及び係止駆動装置252cはそれぞれ、空気供給装置600によって供給される加圧空気の供給及び供給停止によって係止の実行及び解除をする。把持装置251a及び係止駆動装置252cはそれぞれ、配管と開閉弁602B及び603Bとを介して、空気供給装置600と接続される。開閉弁602B及び603Bは、電気的に動作する構成を有し、それぞれの動作は、第2制御装置500Bによって制御される。開閉弁602B及び603Bは、
図9に示され、例えば電磁弁であってもよい。本実施の形態では、開閉弁602B及び603Bは、第2受動アーム200に配置されるが、第2受動アーム200の外部に配置されてもよい。把持装置251a及び係止駆動装置252cは、加圧空気の供給時に係止を解除し、加圧空気の供給遮断時に係止を実行するように構成される。把持装置251a及び係止駆動装置252cの係止及び係止解除と、加圧空気の供給及び供給遮断との関係は、上記と逆であってもよい。
【0078】
[制御装置の構成]
図9を参照しつつ、実施の形態に係る制御装置500Aから500C及びそれらの周辺の構成の一例を説明する。
図9は、実施の形態に係る制御装置500Aから500C及びそれらの周辺の構成の一例を示すブロック図である。
【0079】
第3制御装置500Cは、第1制御装置500Aと、第2制御装置500Bと、塗装ライン装置PLのライン制御装置CPLと、入出力装置700と、互いに信号を送受信できるように、有線通信、無線通信又はこれらの組み合わせを介して互いに接続される。いかなる有線通信及び無線通信が用いられてもよい。
【0080】
第3制御装置500Cは、入出力装置700に入力される指令、情報及びデータ等を入出力装置700から受け取り、当該指令、情報及びデータ等に従って制御を行う。第3制御装置500Cは、入出力装置700に、ロボットシステム1の様々な情報及びデータ等を出力する。第3制御装置500Cは、第1制御装置500Aと、第2制御装置500Bと、ライン制御装置CPLとから、それぞれの制御対象の構成要素の動作の状態を示す情報を受信し、当該情報に基づき、各制御対象の構成要素の動作タイミングの指令を第1制御装置500A、第2制御装置500B及びライン制御装置CPLに送信するように制御してもよい。動作タイミングは、動作を実行するタイミングである。第3制御装置500Cは、空気供給装置600と接続され、空気供給装置600の動作を制御するように構成されてもよい。ライン制御装置CPLからの塗装ライン装置PLの動作の状態を示す情報は、対象物の情報の一例である。
【0081】
第3制御装置500Cは、コンピュータ装置を含んでもよく、I/O通信等により信号を他の制御装置等に送受信し、当該信号に基づき他の制御装置等の動作を制御するように構成されてもよい。
図9では、第3制御装置500Cは、1つの第1制御装置500Aと、1つの第2制御装置500Bとに接続されているが、第3制御装置500Cが制御対象とする第1制御装置500A及び第2制御装置500Bそれぞれの数量は、いかなる数量であってもよい。
【0082】
第1制御装置500Aは、第3制御装置500Cから受け取る動作タイミングの指令等に従って、第1塗装ロボット300A、第1受動アーム100並びに移動装置410及び430等の動作を制御する。例えば、第1制御装置500Aは、アーム駆動装置MA1からMA6のサーボモータ、開閉弁601Aから604A、センサ141及び142、並びに移動装置410及び430のサーボモータの動作を制御するように構成されてもよい。限定されないが、本実施の形態では、第1制御装置500Aは、制御プログラムに従った自動運転により、各制御対象の動作を制御する。第1制御装置500Aは、コンピュータ装置を含み、さらにサーボモータ等の電気的構成要素の駆動回路を含んでもよい。
【0083】
第2制御装置500Bは、第3制御装置500Cから受け取る動作タイミングの指令等に従って、第2塗装ロボット300B、第2受動アーム200並びに移動装置420及び440等の動作を制御する。例えば、第2制御装置500Bは、アーム駆動装置MB1からMB6のサーボモータ、開閉弁601Bから603B、センサ241及び242、並びに移動装置420及び440のサーボモータの動作を制御するように構成されてもよい。限定されないが、本実施の形態では、第2制御装置500Bは、制御プログラムに従った自動運転により、各制御対象の動作を制御する。第2制御装置500Bは、コンピュータ装置を含み、さらにサーボモータ等の電気的構成要素の駆動回路を含んでもよい。
【0084】
制御装置500A及び500Bは、各サーボモータをサーボ制御するように構成されてもよい。制御装置500A及び500Bは、各サーボモータから、当該サーボモータに備えられる回転センサの検出結果を取得し、当該サーボモータの駆動回路から当該サーボモータへの供給電流値を取得し、回転センサの検出結果と供給電流値とをフィードバック情報として用いて、当該サーボモータへの電流の指令値を決定してもよい。供給電流値は、駆動回路からサーボモータへ供給する電流の指令値であってもよく、サーボモータに設けられ得る電流センサの検出結果であってもよい。
【0085】
ライン制御装置CPLは、塗装ライン装置PLの動作を制御する。ライン制御装置CPLは、ラインコントローラ等の制御盤を含んでもよい。ラインコントローラは、「工程制御盤」又は「ライン制御盤」とも呼ばれる。
【0086】
入出力装置700は、操作者等のユーザによる指令、情報及びデータ等の入力を受け付け、第3制御装置500C等に出力する。入出力装置700は、第3制御装置500C等から送られる情報及びデータ等を受け取り、当該情報及びデータ等をユーザに提示する。入出力装置700は、入力装置と、ディスプレイ等の提示装置とを含む。入力装置は既知のいかなる入力装置であってもよく、提示装置は、視覚及び聴覚等を通じてユーザに知覚可能な情報を与える既知のいかなる装置であってもよい。
【0087】
例えば、制御装置500Aから500Cは、電子回路基板、電子制御ユニット、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、並びにその他の電子機器等であってもよい。制御装置500Aから500Cは回路を含み、当該回路はプロセッサ及びメモリを含んでもよい。回路は処理回路を含み得る。回路は、プロセッサとしてCPU(中央処理装置:Central Processing Unit)等を含み、メモリとして、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性半導体メモリ及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性半導体メモリ等を含んでもよい。例えば、CPUが動作するためのプログラムは、ROM等に予め保持されている。CPUは、ROMからプログラムをRAMに読み出して展開する。CPUは、RAMに展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。制御装置500Aから500Cは、メモリに加えて、ストレージを含んでもよい。ストレージは、半導体メモリ、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)及び固体ドライブ(SSD:Solid State Drive)等の記憶装置を含んでもよい。
【0088】
制御装置500Aから500Cの一部又は全ての機能は、プロセッサ及びメモリ等からなるコンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。制御装置500Aから500Cは、単一の装置による集中制御により各処理を実行するように構成されてもよく、複数の装置の協働による分散制御により各処理を実行するように構成されてもよい。
【0089】
限定されないが、例えば、プロセッサは、CPU、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、IC(集積回路)チップ、LSI(Large Scale Integration)等に形成された論理回路又は専用回路によって各処理を実現してもよい。複数の処理は、1つ又は複数の集積回路により実現されてもよく、1つの集積回路により実現されてもよい。
【0090】
[制御装置の機能的構成]
図10を参照しつつ、実施の形態に係る第1制御装置500A及び第2制御装置500Bの機能的構成の一例を説明する。
図10は、実施の形態に係る第1制御装置500A及び第2制御装置500Bの機能的構成の一例を示すブロック図である。第1制御装置500A及び第2制御装置500Bは、同様の機能的構成を有する。
【0091】
第1制御装置500Aは、情報処理部501Aと、第1信号処理部502Aと、第2信号処理部503Aと、第1移動制御部504Aと、第2移動制御部505Aと、アーム制御部506Aと、塗装弁制御部507Aと、係止弁制御部508Aと、記憶部509Aとを機能的構成要素として含む。記憶部509Aの機能は、メモリ等によって実現されてもよい。記憶部509A以外の機能的構成要素の機能は、プロセッサ等によって実現されてもよい。上記の機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0092】
記憶部509Aは、種々の情報及びデータ等を記憶し、記憶している情報及びデータ等の読み出しを可能にする。例えば、記憶部509Aは、制御プログラム及び各種データ等を記憶する。
【0093】
情報処理部501Aは、第3制御装置500Cから受信する指令、情報及び信号等を処理し、第1制御装置500A内の対応する機能的構成要素に出力する。例えば、上記指令は、動作タイミング等を含み得る。情報処理部501Aは、第1制御装置500Aの機能的構成要素が出力する情報及び信号等を処理し、第3制御装置500Cに送信する。
【0094】
第1信号処理部502Aは、第1センサ141から信号を受け取り、当該信号を処理する。第1信号処理部502Aは、第1センサ141の信号に基づき、第1受動アーム100のアーム連結部130の係合穴131に、第1塗装ロボット300Aのロボット連結体322Aが挿入されているか否かを検出し、検出結果をアーム制御部506A等に出力する。
【0095】
第2信号処理部503Aは、第2センサ142から信号を受け取り、当該信号を処理する。第2信号処理部503Aは、第2センサ142の信号に基づき、第1受動アーム100のエンドエフェクタ120の突出部122からその突出方向D4Bに物体が存在するか否かを検出し、検出結果をアーム制御部506A等に出力する。例えば、突出部122が車体VBのドアVDの隙間VDaの真上に位置し隙間VDaに向いているとき、第2センサ142が物体を検知しないため、第2信号処理部503Aは、物体の非存在を検出し、それにより、隙間VDaの存在を検出することができる。突出部122が隙間VDaに所定量以上挿入されると、第2センサ142がドアVDの外板の内面を検知するため、第2信号処理部503Aは、物体の存在を検出し、それにより、隙間VDa内への突出部122の挿入完了を検出することができる。
【0096】
第1移動制御部504Aは、第3制御装置500Cからの動作タイミング等の指令及び制御プログラムに従って、移動装置410の動作を制御する。例えば、第1移動制御部504Aは、移動装置410の支持台411の位置及び速度等の目標値を演算し、当該目標値に従って支持台411を移動させるための指令値を移動駆動装置412に出力する。指令値は、サーボモータへ供給する電流の指令値であってもよい。例えば、第1移動制御部504Aは、塗装ライン装置PLによる車体VBの移動と同調するように、移動駆動装置412に支持台411を移動させ得る。
【0097】
第2移動制御部505Aは、第3制御装置500Cからの動作タイミング等の指令及び制御プログラムに従って、移動装置430の動作を制御する。例えば、第2移動制御部505Aは、移動装置430の支持台431の位置及び速度等の目標値を演算し、当該目標値に従って支持台431を移動させるための指令値を移動駆動装置432に出力する。指令値は、サーボモータへ供給する電流の指令値であってもよい。例えば、第2移動制御部505Aは、塗装ライン装置PLによる車体VBの移動と同調するように、移動駆動装置432に支持台431を移動させ得る。
【0098】
アーム制御部506Aは、第3制御装置500Cからの動作タイミング等の指令及び制御プログラムに従って、ロボットアーム310Aの動作を制御する。例えば、アーム制御部506Aは、エンドエフェクタ320Aの位置、姿勢、位置の移動速度及び姿勢の移動速度等の目標値を演算し、当該目標値に従ってエンドエフェクタ320Aを移動させるための指令値をアーム駆動装置MA1からMA6に出力する。指令値は、サーボモータへ供給する電流の指令値であってもよい。さらに、アーム制御部506Aは、信号処理部502A及び503Aから受け取る検出結果を用いて、エンドエフェクタ320Aを位置決めするためのロボットアーム310Aの動作を制御する。
【0099】
塗装弁制御部507Aは、制御プログラムに従って、開閉弁601Aの動作を制御する。つまり、塗装弁制御部507Aは、エンドエフェクタ320Aの塗装ガン321Aからの塗料の噴射を制御する。
【0100】
係止弁制御部508Aは、制御プログラムに従って、第1受動アーム100の係止装置151から153の開閉弁602Aから604Aの動作を制御する。つまり、係止弁制御部508Aは、係止装置151から153の係止動作を制御する。係止弁制御部508Aは、信号処理部502A及び503Aから受け取る検出結果を、制御に用いてもよい。
【0101】
第2制御装置500Bは、第1制御装置500Aと同様に、情報処理部501Bと、第1信号処理部502Bと、第2信号処理部503Bと、第1移動制御部504Bと、第2移動制御部505Bと、アーム制御部506Bと、塗装弁制御部507Bと、係止弁制御部508Bと、記憶部509Bとを機能的構成要素として含む。記憶部509Bの機能は、メモリ等によって実現されてもよい。記憶部509B以外の機能的構成要素の機能は、プロセッサ等によって実現されてもよい。第2制御装置500Bの各機能的構成要素の機能は、第1制御装置500Aと同様であるため、第2制御装置500Bの各機能的構成要素について、第1制御装置500Aとの相違点を中心に説明し、類似点の説明を省略する。第2制御装置500Bの上記の機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0102】
第1信号処理部502Bは、第1センサ241から受け取る信号を処理し、処理結果をアーム制御部506B等に出力する。第1信号処理部502Bは、当該信号に基づき、第2受動アーム200のアーム連結部230の係合穴231に、第2塗装ロボット300Bのロボット連結体322Bが挿入されているか否かを検出する。
【0103】
第2信号処理部503Bは、第2センサ242から受け取る信号を処理し、処理結果をアーム制御部506B等に出力する。例えば、第2信号処理部503Bは、車体VBのフロントフードVF又はリヤゲートVGの保持具Vaの開口に対して、第2受動アーム200のエンドエフェクタ220の突出部222が当該開口の真下に位置し当該開口に向いていることを検出することができる。
【0104】
第1移動制御部504Bは、第3制御装置500Cからの指令及び制御プログラムに従って、移動装置420の動作を制御する。
【0105】
第2移動制御部505Bは、第3制御装置500Cからの指令及び制御プログラムに従って、移動装置440の動作を制御する。
【0106】
アーム制御部506Bは、第3制御装置500Cからの指令及び制御プログラムに従って、ロボットアーム310Bの動作を制御する。さらに、アーム制御部506Bは、信号処理部502B及び503Bから受け取る検出結果を用いて、エンドエフェクタ320Bを位置決めするためのロボットアーム310Bの動作を制御する。
【0107】
塗装弁制御部507Bは、制御プログラムに従って開閉弁601Bの動作を制御し、エンドエフェクタ320Bの塗装ガン321Bからの塗料の噴射を制御する。
【0108】
係止弁制御部508Bは、制御プログラムに従って、第2受動アーム200の係止装置251及び252の開閉弁602B及び603Bの動作を制御し、係止装置251及び253の係止動作を制御する。係止弁制御部508Bは、信号処理部502B及び503Bから受け取る検出結果を、制御に用いてもよい。
【0109】
[ロボットシステムの動作]
実施の形態に係るロボットシステム1の動作の例を説明する。まず、
図1及び
図11を参照しつつ、第1塗装ロボット300A及び第1受動アーム100を用いて車体VBのドアVDを開放する場合のロボットシステム1の動作の一例を説明する。
図11は、実施の形態に係るロボットシステム1の開動作の一例を示すフローチャートである。
【0110】
ステップS101において、第1制御装置500Aは、移動装置410及び430にそれぞれ、第1塗装ロボット300A及び第1受動アーム100を、開放動作のための初期位置に移動させる。例えば、初期位置は、車体VBに対して予め設定される位置であってもよい。初期位置は、第1塗装ロボット300Aが、ロボット連結体322Aを、第1受動アーム100のアーム連結部130の係合穴131に挿入できる位置であってもよい。第1受動アーム100は、予め初期状態で保持されている。初期状態では、アーム本体110は、移動装置410の支持台411を基準とする所定の姿勢で保持され、エンドエフェクタ120は、支持台411を基準とする所定の位置及び姿勢で保持される。空気供給装置600は稼働しており、係止装置151から153は係止状態である。
【0111】
次いで、ステップS102において、第1制御装置500Aは、第1塗装ロボット300Aのロボットアーム310Aに動作させ、ロボット連結体322Aを係合穴131に挿入させ、ロボット連結体322Aをアーム連結部130に連結させる。つまり、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aと第1受動アーム100とを連結する。
【0112】
次いで、ステップS103において、第1制御装置500Aは、第1センサ141の信号に基づき、係合穴131へのロボット連結体322Aの挿入完了、つまり連結完了を検出する。
【0113】
次いで、ステップS104において、第1制御装置500Aは、開閉弁602Aから604Aに閉状態から開状態に動作させ、係止装置151から153の全てに係止解除させる。
【0114】
次いで、ステップS105において、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aに動作させ、第1受動アーム100のエンドエフェクタ120を、車体VBの閉状態のドアVDの隙間VDaの上方に移動する。
【0115】
次いで、ステップS106において、第1制御装置500Aは、第2センサ142にセンシングさせつつ、ロボットアーム310Aにエンドエフェクタ120を水平方向に移動させる。
【0116】
第1制御装置500Aは、第2センサ142の信号に基づき隙間VDaを検出すると(ステップS107でYes)ステップS108に進み、未検出の場合(ステップS107でNo)ステップS106を繰り返す。隙間VDaが検出されるとは、エンドエフェクタ120の突出部122の下方への突出方向に隙間VDaが位置することが検出されることである。
【0117】
ステップS108において、第1制御装置500Aは、第2センサ142にセンシングさせつつ、ロボットアーム310Aにエンドエフェクタ120を下方向D3Bに移動させ、突出部122を隙間VDaに挿入する。
【0118】
第1制御装置500Aは、第2センサ142の信号に基づき隙間VDaへの突出部122の挿入完了を検出すると(ステップS109でYes)、ロボットアーム310Aに、下方向D3Bへのエンドエフェクタ120の移動を停止させ、ステップS110に進む。第1制御装置500Aは、未検出の場合(ステップS109でNo)にステップS108を繰り返す。これにより、エンドエフェクタ120の延出部121がドアVDに衝突することが防がれる。
【0119】
ステップS110において、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aに、エンドエフェクタ120を水平方向に移動させ、車体VBのドアVDを開放する。
【0120】
次いで、ステップS111において、第1制御装置500Aは、車体VBのドアVDを所定の位置まで開放すると、開閉弁602Aから604Aに開状態から閉状態に動作させ、係止装置151から153の全てに係止動作させる。これにより、第1受動アーム100は、ドアVDを開放状態に維持する。
【0121】
次いで、ステップS112において、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aに動作させ、ロボット連結体322Aを係合穴131から引き抜かせ、ロボット連結体322A及び係合穴131の連結を解除する。
【0122】
次いで、ステップS113において、第1制御装置500Aは、第1センサ141の信号に基づき、係合穴131からのロボット連結体322Aの引き抜きの完了、つまり、ロボット連結体322A及び係合穴131の連結解除完了を検出する。
【0123】
次いで、ステップS114において、第1制御装置500Aは、開閉弁601Aに閉状態から開状態に動作させ、ロボットアーム310Aに塗装動作を実行させる。これにより、第1塗装ロボット300Aは、車体VBの内部の塗装作業を行うことができる。
【0124】
第2制御装置500Bは、第1制御装置500Aの上記処理と同様の処理を行うことによって、第2塗装ロボット300B及び第2受動アーム200を用いて車体VBのフロントフードVF及びリヤゲートVGそれぞれを開放することができる。第2制御装置500Bは、ステップS105からS108と同様の処理では、ロボットアーム310Bに、第2受動アーム200のエンドエフェクタ220の突出部222の一方を、保持具Vaの開口に下方から挿入させる。ステップS109と同様の処理は省略されてもよい。
【0125】
次に、
図1及び
図12を参照しつつ、第1塗装ロボット300A及び第1受動アーム100を用いて車体VBのドアVDを閉鎖する場合のロボットシステム1の動作の一例を説明する。
図12は、実施の形態に係るロボットシステム1の閉動作の一例を示すフローチャートである。
【0126】
ステップS201において、第1制御装置500Aは、第1塗装ロボット300Aの所定の塗装作業が完了すると、開閉弁601Aに開状態から閉状態に動作させ、塗装作業を終了する。
【0127】
次いで、ステップS202において、第1制御装置500Aは、第1塗装ロボット300Aのロボットアーム310Aに動作させ、ロボット連結体322Aを第1受動アーム100のアーム連結部130の係合穴131に挿入させ、ロボットアーム310Aと第1受動アーム100とを連結する。
【0128】
次いで、ステップS203において、第1制御装置500Aは、第1センサ141の信号に基づき、係合穴131へのロボット連結体322Aの挿入完了、つまり連結完了を検出する。
【0129】
次いで、ステップS204において、第1制御装置500Aは、開閉弁602Aから604Aに閉状態から開状態に動作させ、係止装置151から153の全てに係止解除させる。
【0130】
次いで、ステップS205において、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aに、エンドエフェクタ120を水平方向に移動させ、車体VBのドアVDを閉鎖する。
【0131】
次いで、ステップS206において、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aにエンドエフェクタ120を移動させ、第1受動アーム100を初期状態にする。初期状態は、ドアVDを開放する動作でのステップS101における初期状態と同じである。例えば、初期状態は、第1受動アーム100が方向D1Aに搬送される車体VBと干渉せず、第1受動アーム100が他の塗装作業を行う塗装ロボット300A及び300Bと干渉しないような、第1受動アーム100の状態であってもよい。
【0132】
次いで、ステップS207において、第1制御装置500Aは、第1受動アーム100の初期状態への移行完了後、開閉弁602Aから604Aに開状態から閉状態に動作させ、係止装置151から153の全てに係止動作させる。これにより、第1受動アーム100は、初期状態を維持する。
【0133】
次いで、ステップS208において、第1制御装置500Aは、ロボットアーム310Aに動作させ、ロボット連結体322Aを係合穴131から引き抜かせ、ロボット連結体322A及び係合穴131の連結を解除する。
【0134】
次いで、ステップS209において、第1制御装置500Aは、第1センサ141の信号に基づき、係合穴131からのロボット連結体322Aの引き抜きの完了、つまり、ロボット連結体322A及び係合穴131の連結解除完了を検出する。
【0135】
次いで、ステップS210において、第1制御装置500Aは、開閉弁601Aに閉状態から開状態に動作させ、ロボットアーム310Aに他の部位の塗装動作をさせる。
【0136】
第2制御装置500Bは、第1制御装置500Aの上記処理と同様の処理を行うことによって、第2塗装ロボット300B及び第2受動アーム200を用いて車体VBのフロントフードVF及びリヤゲートVGそれぞれを閉鎖することができる。
【0137】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0138】
例えば、実施の形態に係るロボットシステム1では、能動ロボットである塗装ロボット300A及び300Bと、受動アーム100及び200とを用いて動作させる対象は、車体VBの開閉可能なドアVD、フロントフードVF及びリヤゲートVGである。しかしながら、ロボットシステム1が動作させる対象は、これらに限定されない。ロボットシステム1は、動作可能又は移動可能であるいかなる対象物に用いられてもよい。例えば、ロボットシステム1は、外力が加えられることによって受動的に動作又は移動する対象物に用いられてもよい。ロボットシステム1は、能動ロボットと受動アーム100又は200とを用いて対象物に動作又は移動させ、受動アーム100又は200に動作後又は移動後の状態に対象物を維持させつつ、能動ロボットに対象物に対する作業等を実行させるような様々なケースに用いられ得る。
【0139】
実施の形態では、ロボットシステム1は、産業用ロボットである塗装ロボット300A及び300Bを備え、産業に関する作業を行うが、これに限定されない。例えば、ロボットシステム1は、サービスロボットを備え、人にサービスを提供するように構成されてもよい。当該サービスは、介護、医療、清掃、警備、案内、救助、調理、商品提供等の様々なサービスであってもよい。
【0140】
実施の形態では、ロボットシステム1の制御装置500Aから500Cは、自動運転制御により、塗装ロボット300A及び300B、移動装置410から440、並びに、受動アーム100及び200の係止装置151から153、251及び252等の制御対象に動作させるように構成されるが、これに限定されない。例えば、制御装置500Aから500Cは、手動運転制御、又は、自動運転制御及び手動運転制御の組み合わせにより、1つ以上の制御対象に動作させるように構成されてもよい。例えば、手動運転制御は、操作者が操作装置に入力する操作内容に逐次従って、制御対象に動作させる制御であってもよい。例えば、手動運転制御では、制御対象は、操作装置を操作する操作者の動作に従った動作を実行し得る。
【0141】
実施の形態では、係止装置151から153、251及び252は、気体又は液体の作動流体を動力源とし、作動流体の供給及び供給停止によって係止の実行及び解除をするが、これに限定されない。係止装置151から153、251及び252の動力源は、いかなる動力源であってもよい。例えば、係止装置151から153、251及び252は、電力を動力源とし、係止の実行及び解除の動作のための電動アクチュエータを備えてもよい。
【0142】
実施の形態では、制御装置500A及び500Bは、第1センサ141及び241の検知信号を用いて、ロボット連結体322A及び322Bとアーム連結部130及び230との連結及び連結解除を検出するが、これに限定されない。例えば、制御装置500A及び500Bは、ロボットアーム310A及び310Bのサーボモータの電流値の変化に基づき、上記の連結及び連結解除を検出するように構成されてもよい。制御装置500A及び500Bは、第2センサ142及び242の検知信号を用いて、隙間VDa及び保持具Vaの開口等の挿入対象の検出、並びに、挿入対象への突出部122及び222の挿入完了を検出するが、これに限定されない。例えば、制御装置500A及び500Bは、ロボットアーム310A及び310Bのサーボモータの電流値の変化に基づき、挿入対象及びその周囲との接触及び非接触を検出し、それにより、挿入対象及び挿入対象への挿入完了を検出するように構成されてもよい。いずれの場合も、制御装置500A及び500Bは、ロボットアーム310A及び310Bのサーボモータの電流値の変化に基づき、ロボット連結体322A及び322B、又は、突出部122及び222への接触を検出すると、サーボモータのゲインを下げて対象物に与える衝撃を緩和するように制御してもよい。
【0143】
本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の一態様に係るロボットシステムは、ロボットアームと、2つ以上の自由度を有し且つ前記ロボットアームと連結及び連結解除される受動アームであって、対象物と係合可能である係合部を有し、前記受動アームと連結されている前記ロボットアームによって動作させられる受動アームと、前記ロボットアームの第1動作及び第2動作を制御する制御装置とを備え、前記第1動作は、前記ロボットアームが前記対象物に作用する前記ロボットアームの動作であり、前記第2動作は、前記ロボットアームが前記対象物に前記受動アームを作用させる前記ロボットアームの動作であり、前記制御装置は、前記第2動作では、前記ロボットアームと前記受動アームとを連結させることと、前記ロボットアームに前記受動アームを動作させて前記対象物に前記係合部を係合させることと、前記ロボットアームに前記対象物と係合した前記受動アームを動作させて前記対象物に動作させることとを実行するように構成される。
【0144】
上記態様によると、受動アームは、2つ以上の自由度を有するため、対象物と係合するための動作と、対象物に動作させるための動作とを行うことができる。第2動作の際、制御装置は、受動アームと連結されているロボットアームを動作させることによって、受動アームに対象物と係合させ対象物の動作を実行させることができる。制御装置は、受動アームが対象物に係合している状態で、ロボットアームに受動アームとの連結を解除させ、ロボットアームに対象物への第1動作を行わせることができる。これにより、対象物との係合の維持が必要である場合でも、ロボットアームが対象物への第1動作を行うことができる。受動アームは、ロボットアームによって動作させられるように構成されるため、その可動部分に駆動装置を必要とせず、構造の簡略化を可能にする。よって、ロボットシステムは、ロボットアーム単独での対象物への作業が困難である場合に、当該ロボットアームに、作業の補助のために受動アームを利用させることができる。ロボットシステムが備える複数のアームが、能動アームであるロボットアームのみで構成されず、ロボットアーム及び受動アームで構成されるため、コスト低減が可能である。
【0145】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記2つ以上の自由度を形成し且つ前記受動アームに外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部と、前記受動可動部の動作の係止を、作動流体の作用によって行う2つ以上の係止装置とを含み、前記係止装置は、前記受動可動部の動作の係止を実行及び解除することによって、前記受動アームに姿勢の保持及び保持解除をさせ、前記係止装置は、前記作動流体が供給されている間、前記係止を解除し、前記作動流体が供給停止されている間、前記係止を実行し、前記制御装置は、前記係止装置への前記作動流体の供給及び供給停止を制御するように構成されてもよい。
【0146】
上記態様によると、制御装置は、各係止装置に各受動可動部を係止させることによって、受動アームに姿勢を保持させることができる。例えば、制御装置は、受動アームに対象物の動作を実行させるときに各係止装置に係止動作を解除させ、当該動作の後に各係止装置に係止動作させてもよい。これにより、受動アームは、対象物を動作後の状態に保持することができ、制御装置は、保持状態の対象物に対して、ロボットアームに第1動作をさせることができる。第1動作中、対象物が意図せず動作することに起因するロボットアームと対象物との接触が防がれる。制御装置は、第1動作完了後、受動アームに元の状態に戻る等の動作をさせた後に、各係止装置に係止動作させてもよい。これにより、受動アームが意図せず動作することに起因する受動アームと対象物又はロボットアームとの接触が防がれる。
【0147】
さらに、受動アームは、係止装置を駆動するためのモータ等の駆動装置を備えず、その構造の簡略化を可能にする。例えば、受動アームには、係止装置に作動流体を供給するための配管が設けられるだけでもよい。制御装置は、作動流体の供給及び供給停止を制御するバルブ等の流体制御手段の動作を制御するように構成されてもよい。制御装置の制御系統の簡略化が可能である。
【0148】
さらに、係止装置の係止解除中、作動流体が供給され、係止装置の係止動作中、作動流体の供給が停止される。例えば、係止動作の期間が係止解除の期間よりも長い使用環境では、作動流体を供給する配管等への負荷が低く抑えられる。作動流体の供給源の異常等に起因して、意図しないタイミングで作動流体の供給が停止した場合、係止装置が係止動作するため、意図しない受動アームの動作が防がれる。
【0149】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記受動アーム及び前記ロボットアームのいずれか又は両方に配置され且つ前記受動アームと前記ロボットアームとの連結を検出する第1センサと、前記受動アームに配置され且つ所定の方向に存在する物体を検出する第2センサとをさらに備え、前記制御装置は、前記第1センサから受け取る検知信号に基づき、前記ロボットアームと前記受動アームとの連結及び連結解除のための前記ロボットアームの動作を制御し、前記第2センサから受け取る検知信号に基づき、前記係合部の係合対象部と前記係合部とを係合させる前記ロボットアームの動作を制御してもよい。
【0150】
上記態様によると、制御装置は、受動アームとロボットアームとを確実に連結する制御と、受動アームとロボットアームとを確実に連結解除する制御とを可能にする。制御装置は、受動アームとロボットアームとの連結及び連結解除のためのロボットアームの複雑な位置制御を必要としない。さらに、制御装置は、係合部を係合対象部に確実に係合させる制御を可能にする。制御装置は、上記係合のためにロボットアームの複雑な位置制御を必要としない。よって、制御装置の制御の簡略化が可能になる。
【0151】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記受動アームの位置を移動させるアーム移動装置と、前記ロボットアームの位置を移動させるロボット移動装置とをさらに備え、前記制御装置は、前記アーム移動装置及び前記ロボット移動装置の動作を制御するように構成され、前記制御装置は、前記対象物の情報に基づき、前記対象物に対応する位置に前記受動アームを移動させるように前記アーム移動装置の動作を制御し、前記対象物に対応する位置に前記ロボットアームを移動させるように前記ロボット移動装置の動作を制御してもよい。
【0152】
上記態様によると、制御装置は、対象物に合わせて受動アームの位置を変えることができる。例えば、対象物が製造ラインによって移動される場合、制御装置は、対象物の情報に含まれる対象物の位置及び速度等の情報に基づき、受動アームの位置を決定し、決定された位置に受動アームを移動させることができる。例えば、制御装置は、移動する対象物に追従させるように受動アームを移動させることができる。
【0153】
さらに、制御装置は、対象物に合わせてロボットアームの位置を変えることができる。例えば、対象物が製造ラインによって移動される場合、制御装置は、対象物の情報に含まれる対象物の位置及び速度等の情報に基づき、ロボットアームの位置を決定し、決定された位置にロボットアームを移動させることができる。例えば、制御装置は、移動する対象物に追従させるようにロボットアームを移動させることができる。
【0154】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記対象物は、開閉動作可能な開閉体を含み、前記係合部は、前記開閉体に係合可能であってもよい。上記態様によると、制御装置は、ロボットアームを用いて、受動アームに開閉体の開閉動作をさせることができる。
【0155】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記開閉体としての第1開閉体を開閉する前記受動アームである第1受動アームと、前記開閉体としての第2開閉体を開閉する前記受動アームである第2受動アームと、前記第1受動アームの位置を移動させる第1アーム移動装置と、前記第2受動アームの位置を移動させる第2アーム移動装置とをさらに備え、前記第1開閉体は、側方に開閉動作可能であり、前記第2開閉体は、上下方向に開閉動作可能であり、前記制御装置は、前記対象物の情報に基づき、前記対象物に対応する位置に前記第1受動アーム及び前記第2受動アームを移動させるように前記第1アーム移動装置及び前記第2アーム移動装置の動作を制御してもよい。
【0156】
上記態様によると、制御装置は、対象物の作用対象の開閉体の位置に合わせて第1及び第2受動アームの位置を変えることができる。例えば、第1受動アームが2つ以上の開閉体を作用対象とする場合、制御装置は、ロボットアームの作業の進捗に合わせて、作用を与えるべき開閉体の位置に第1受動アームを移動させることができる。
【0157】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記2つ以上の受動可動部は、進退動作可能である1つ以上の進退可動部と、回動動作可能である1つ以上の回動可動部とを含んでもよい。上記態様によると、受動アームの自由度が多様化する。これにより、受動アームの小型化と、動作時に受動アームが通過する領域のコンパクト化とが可能になる。
【0158】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記ロボットアームと連結される前記受動アームのアーム連結部は、前記受動アームと連結される前記ロボットアームのロボット連結部と連結された状態で、前記受動アームと前記ロボットアームとの相対的な回動を可能にしてもよい。上記態様によると、連結状態のロボットアームと受動アームとは、ロボット連結部において互いに対して回動可能であるため、ロボットアームの動作に追従して受動アームに動作させるための構成が簡易になる。ロボット連結部及びアーム連結部が互いに対して回動可能であるよう構成されてもよく、ロボット連結部自体が回動可能であるように構成されてもよく、アーム連結部自体が回動可能であるように構成されてもよい。
【0159】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記2つ以上の自由度を形成し且つ前記受動アームに外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部を含み、前記2つ以上の受動可動部は、回動動作可能である1つ以上の回動可動部を含み、前記受動アームと連結される前記ロボットアームのロボット連結部における、前記受動アームに対する前記ロボットアームの回動軸方向は、前記回動可動部の回動軸方向に沿う方向であってもよい。上記態様によると、受動アームが動作する際に通過する領域は、ロボット連結部でのロボットアームの回動軸及び回動可動部の回動軸に交差する方向でコンパクト化され得る。例えば、ロボット連結部でのロボットアームの回動方向、及び、回動可動部での受動アームの動作方向は、同一平面に沿う方向であってもよい。
【0160】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記2つ以上の自由度を形成し且つ前記受動アームに外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部と、前記2つ以上の受動可動部を介して互いに連結される3つ以上のリンクと、前記受動アームの先端に配置され且つ前記対象物に対して作用を加えるように構成されるエンドエフェクタとを含み、前記ロボットアームと連結される前記受動アームのアーム連結部は、前記エンドエフェクタに配置されてもよい。
【0161】
上記態様によると、受動アームの先端が、ロボットアームによって目的位置、目的姿勢又はこれらの組み合わせに移動され得る。受動アームの先端は、ロボットアームの動作に追従して移動する。具体的には、受動アームの先端のエンドエフェクタが、ロボットアームによって目的位置、目的姿勢又はこれらの組み合わせに移動され得る。エンドエフェクタは、ロボットアームの動作に追従して移動する。よって、ロボットアームによる受動アームの動作の制御が容易になる。
【0162】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記受動アームの先端に配置され且つ前記対象物に対して作用を加えるように構成されるエンドエフェクタを含み、前記エンドエフェクタは、前記対象物の開閉可能な開閉体に係合可能であってもよい。上記態様によると、受動アームは、ロボットアームによって動作させられ、エンドエフェクタを開閉体に係合させ開閉体を開放又は閉鎖することができる。ロボットアームは、受動アームが開閉体を開放又は閉鎖している状態で対象物に第1動作を行うことができる。
【0163】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記2つ以上の自由度を形成し且つ前記受動アームに外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部を含み、前記2つ以上の受動可動部は、回動動作可能である第1回動可動部及び第2回動可動部と、進退動作可能である進退可動部とを含み、前記第1回動可動部の回動軸方向、前記第2回動可動部の回動軸方向、及び前記進退可動部の進退方向は、同方向であり、前記受動アームは、前記第1回動可動部と連結される第1リンクと、前記第1回動可動部及び前記第2回動可動部を連結する第2リンクと、前記第2回動可動部及び前記進退可動部を連結する第3リンクと、前記進退可動部と連結される第4リンクと、前記第4リンクの先端に連結され且つ前記対象物に対して作用を加えるように構成されるエンドエフェクタと、前記第4リンクを前記進退方向で前記進退可動部から離れる方向に付勢する付勢部材とを含み、前記第1リンクは前記受動アームの基端側に位置し、前記第4リンクは前記受動アームの先端側に位置し、前記ロボットアームと連結される前記受動アームのアーム連結部は、前記エンドエフェクタ又は前記第4リンクに配置され、前記エンドエフェクタは、前記進退方向と交差する方向に延びる延出部と、前記進退方向で前記進退可動部に向かう方向に前記延出部の先端から突出し且つ前記対象物の窪み又は開口に係合可能である突出部とを含んでもよい。
【0164】
上記態様によると、受動アームは、第1回動可動部及び第2回動可動部の回動軸方向と垂直な方向に、第2リンク及び第3リンクを旋回させることができる。受動アームは、第4リンクを、第3リンクに対して、進退可動部の進退方向である上記回動軸方向に移動させることができる。よって、受動アームは、第4リンクを3次元方向に移動させることができる。
【0165】
さらに、第4リンクは、外力を受けていないとき、付勢部材によって、進退方向で進退可動部から離れる方向の所定位置に移動される。受動アームがエンドエフェクタによって対象物に作用を加えるように構成されるため、ロボットアームによる受動アームの動作の制御が容易である。
【0166】
さらに、ロボットアームは、エンドエフェクタ又はその近傍で受動アームと連結される。エンドエフェクタは、ロボットアームの動作に追従して移動する。よって、エンドエフェクタを目的位置、目的姿勢又はこれらの組み合わせに移動するためのロボットアームの動作の制御が容易になる。
【0167】
さらに、エンドエフェクタは、突出部の突出方向に移動可能であり、当該移動により突出部を対象物の窪み又は開口に係合させることができる。さらに、突出部が延出部の先端に配置されるため、エンドエフェクタと対象物との接触の低減が可能である。よって、エンドエフェクタを対象物の窪みに係合させるためのロボットアームの動作の制御が容易になる。
【0168】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記2つ以上の自由度を形成し且つ前記受動アームに外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部を含み、前記2つ以上の受動可動部は、進退動作可能である進退可動部と、回動動作可能である第1回動可動部及び第2回動可動部とを含み、前記受動アームは、前記進退可動部と連結される第1リンクと、前記進退可動部及び前記第1回動可動部を連結する第2リンクと、前記第1回動可動部及び前記第2回動可動部を連結する第3リンクと、前記第2回動可動部と連結される第4リンクとを含み、前記第1リンクは前記受動アームの基端側に位置し、前記第4リンクは前記受動アームの先端側に位置し、前記第1回動可動部の回動軸方向及び前記第2回動可動部の回動軸方向は、同方向であり、前記進退可動部の進退方向は、前記第1回動可動部の回動軸方向及び前記第2回動可動部の回動軸方向と交差する方向であってもよい。
【0169】
上記態様によると、受動アームは、第2から第4リンクの全体を第1リンクに対して進退可動部の進退方向に移動させることができる。受動アームは、第1回動可動部及び第2回動可動部の回動軸方向と垂直な方向に、第3リンク及び第4リンクを旋回させることができる。よって、受動アームは、第2リンクの進退移動と第3リンク及び第4リンクの旋回移動とを含む広範囲な移動を、第4リンクにさせることができる。
【0170】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記第3リンクは平行リンクであり、前記第3リンクは、前記第1回動可動部及び前記第2回動可動部を連結する第1部材と、前記第1部材に沿って延び且つ一端で前記第2リンクに回動可能に連結される第2部材と、一端で前記第2部材の他端と回動可能に連結され且つ他端で第4リンクと一体に回動するように前記第2回動可動部と連結される第3部材とを含んでもよい。上記態様によると、受動アームは、第1部材及び第2部材が回動する場合に、第2リンクに対する第4リンクの姿勢を一定に維持することができる。
【0171】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、受動アームは、前記第3リンクと一体に移動するように前記第3リンクに連結される荷重体をさらに備え、前記荷重体は、前記第1回動可動部を挟んで前記第3リンクと反対側に配置されてもよい。
【0172】
上記態様によると、荷重体は、第1回動可動部を中心とする回動方向の荷重を第3リンクに与えることができる。例えば、第1回動可動部の回動軸方向が水平方向である場合、第3リンクは、第2回動可動部を下方に移動するような回動方向の作用を重力から受けるが、荷重体は上記回動方向と反対方向への荷重を第3リンクに与え得る。これにより、ロボットアームが第3リンクを回動させるために受動アームに与える力が低減され、ロボットアームの小型化及び低出力化が可能になる。例えば、荷重体は、所定以上の質量を有する重り等の質量体であってもよく、第3リンクに付勢力を与えるばね等の付勢部材であってもよい。
【0173】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記受動アームは、前記第4リンクの先端に連結され且つ前記対象物に対して作用を加えるように構成されるエンドエフェクタをさらに含み、前記ロボットアームと連結される前記受動アームのアーム連結部は、前記エンドエフェクタ又は前記第4リンクに配置され、前記エンドエフェクタは、前記第4リンクが延びる方向と交差する方向に延びる延出部と、前記エンドエフェクタから前記第4リンクに向かう方向に前記延出部の先端から突出し且つ前記対象物の窪み又は開口に係合可能である突出部とを含んでもよい。
【0174】
上記態様によると、ロボットアームは、エンドエフェクタ又はその近傍で受動アームと連結される。エンドエフェクタは、ロボットアームの動作に追従して移動する。よって、エンドエフェクタを目的位置、目的姿勢又はこれらの組み合わせに移動するためのロボットアームの動作の制御が容易になる。
【0175】
さらに、エンドエフェクタは、突出部の突出方向に移動されることによって、突出部を対象物の窪み又は開口に係合させることができる。突出部が延出部の先端に配置されるため、エンドエフェクタと対象物との接触の低減が可能である。よって、エンドエフェクタを対象物の窪み又は開口に係合させるためのロボットアームの動作の制御が容易になる。
【0176】
本開示の一態様に係る制御方法は、ロボットアーム及び受動アームを含むロボットシステムの制御方法であって、自身で駆動可能である前記ロボットアームに動作させ、前記ロボットアームを前記受動アームに接近させることと、前記ロボットアーム及び前記受動アームのいずれか又は両方に配置され且つ前記ロボットアームと前記受動アームとの連結を検出する第1センサの検知信号に基づき前記ロボットアームに動作させ、前記ロボットアームと前記受動アームとを連結することと、2つ以上の自由度を有する前記受動アームの2つ以上の可動部に配置される2つ以上の係止装置に係止解除動作させることと、前記ロボットアームに前記受動アームを動作させ、前記受動アームに配置され且つ所定の方向に存在する物体を検出する第2センサの検知信号に基づき、前記受動アームの係合部を係合させる対象物の係合対象部を検出することと、前記ロボットアームに前記受動アームを動作させ、前記係合対象部に前記係合部を係合させることと、前記ロボットアームに前記係合対象部と係合した前記受動アームを動作させ、前記対象物に動作させることと、前記係止装置に前記受動アームの前記可動部を係止動作させることと、前記第1センサの検知信号に基づき前記ロボットアームに動作させ、前記ロボットアームと前記受動アームとの連結を解除することとを含む。
【0177】
上記態様によると、本開示のロボットシステムと同様の効果が得られる。例えば、上記制御方法は、CPU、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。本開示の技術は、上記制御方法を実行するためのプログラムであってもよく、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0178】
本開示の一態様に係る受動アームは、アーム本体と、前記アーム本体に配置され、且つ自身で駆動可能なロボットアームのロボット連結部と連結されるアーム連結部とを備え、前記アーム本体は、前記アーム本体に2つ以上の自由度を与え且つ前記アーム本体に外力が付与されることによって動作する2つ以上の受動可動部を含み、前記アーム連結部は、前記ロボット連結部と連結された状態で前記アーム本体と前記ロボットアームとの相対的な回動を可能にする。
【0179】
上記態様によると、ロボットアームは、アーム本体と連結されている状態で動作することによって、2つ以上の自由度でアーム本体に動作させることができる。このようなアーム本体の受動可動部は、受動可動部を動作させるための駆動装置を不要にする。さらに、ロボットアームは、アーム本体と連結及び連結解除することができる。よって、受動アームは、ロボットアーム単独での対象物に対する作業が困難である場合に当該ロボットアームによって必要に応じて利用されて当該作業を補助することを、簡略な構成により可能にする。
【0180】
さらに、互いに連結状態のロボットアームとアーム本体とは、ロボット連結部において互いに対して回動可能であるため、ロボットアームの動作に追従してアーム本体に動作させるための構成が簡易になる。ロボット連結部及びアーム連結部が互いに対して回動可能であるよう構成されてもよく、ロボット連結部自体が回動可能であるように構成されてもよく、アーム連結部自体が回動可能であるように構成されてもよい。
【0181】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0182】
上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0183】
機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、一部の機能を他のブロックに移す、又はこれらの2つ以上を組み合わせてもよい。類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0184】
本開示は、その本質的な特徴の精神から逸脱することなく、様々なかたちで実施され得るように、本開示の範囲は、明細書の記載よりも添付の請求項によって定義されるため、例示的な実施の形態及び変形例は、例示的なものであって限定的なものではない。請求項及びその範囲内にあるすべての変更、又は、請求項及びその範囲の均等物は、請求項によって包含されることが意図されている。