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特許7512441個人認証システム、個人認証装置、表示装置、及び個人認証方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】個人認証システム、個人認証装置、表示装置、及び個人認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20240701BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20240701BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240701BHJP
   G06V 40/12 20220101ALI20240701BHJP
【FI】
G06F21/32
G06F21/31
G06T7/00 530
G06V40/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022573092
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2021048693
(87)【国際公開番号】W WO2022145437
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2020218840
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邵 剛
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184717(JP,A)
【文献】特表2017-504853(JP,A)
【文献】特開2001-167274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31-21/46
G06T 7/00
G06V 40/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部に接触又は近接する被検出体を検出する第1期間と、前記被検出体の表面の凹凸を検出する第2期間と、を有する検出装置と、
前記検出装置の出力に応じた処理を行う制御装置と、
を備え、
前記検出装置は、
パスワードの入力キーとして、前記センサ部の検出領域内に複数の第1領域が設けられ、
前記パスワードのキー入力ごとに、前記第1期間において検出された前記第1領域内のタッチ検出座標を中心座標とする第2領域内において相対的に異なる分割領域を割り当て、
前記パスワードのキー入力ごとに、前記第2期間において分割領域で取得される分割イメージを前記制御装置に出力し、
前記制御装置は、
前記パスワードのキー入力ごとに取得した複数の分割イメージを合成して、指紋イメージを生成する、
個人認証システム。
【請求項2】
前記検出装置は、
前記制御装置から出力される第1制御信号に応じて、前記第1期間から前記第2期間に移行し、前記制御装置から出力される第2制御信号に応じて、前記第2期間から前記第1期間に移行し、
前記制御装置は、
前記第1期間において前記検出装置から出力されるタッチ検出座標が前記第1領域内の座標である場合に、前記第1制御信号を出力し、
前記第2期間において分割イメージを取得した場合に、前記第2制御信号を出力する、
請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記第2領域の分割数は、前記パスワードの桁数以下である、
請求項1又は2に記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記パスワードのキー入力ごとに分割イメージの取得を開始する検出開始座標を設定し、
前記検出装置は、
前記検出開始座標を始点として分割イメージを取得する分割領域を割り当てる、
請求項1から3の何れか一項に記載の個人認証システム。
【請求項5】
前記パスワードのキー入力ごとに分割イメージが取得される複数の分割領域は、第2領域内において相対的に指紋のスキャン方向に並ぶように割り当てられている、
請求項4に記載の個人認証システム。
【請求項6】
前記検出開始座標は、前記パスワードのキー入力ごとに、第2領域内において相対的に指紋のスキャン方向に所定間隔となるように設定される、
請求項5に記載の個人認証システム。
【請求項7】
前記検出装置は、
前記パスワードのキー入力ごとに、分割領域を含む領域のイメージを生成し、
前記制御装置は、
当該分割領域に含まれる領域のイメージを分割イメージとして取得し、当該分割領域に含まれない領域のイメージを破棄する、
請求項6に記載の個人認証システム。
【請求項8】
前記パスワードのキー入力ごとに分割イメージが取得される複数の分割領域は、第2領域内において相対的に指紋のスキャン方向と当該スキャン方向とは異なる方向との2方向に並ぶように割り当てられている、
請求項4に記載の個人認証システム。
【請求項9】
前記検出装置は、
前記パスワードのキー入力ごとに、分割領域を指紋のスキャン方向に複数のサブフレームに分割して各サブフレームのイメージを生成し、
前記制御装置は、
当該分割領域に対応する各サブフレームのイメージを1つの分割イメージとして取得する、
請求項8に記載の個人認証システム。
【請求項10】
センサ部に接触又は近接する被検出体を検出する第1期間と、前記被検出体の表面の凹凸を検出する第2期間と、を有する検出部と、
前記検出部の出力に応じた処理を行う処理部と、
を備え、
前記検出部は、
パスワードの入力キーとして、前記センサ部の検出領域内に複数の第1領域が設けられ、
前記パスワードのキー入力ごとに、前記第1期間において検出された前記第1領域内のタッチ検出座標を中心座標とする第2領域内において相対的に異なる分割領域を割り当て、
前記パスワードのキー入力ごとに、前記第2期間において分割領域で取得される分割イメージを前記処理部に出力し、
前記処理部は、
前記パスワードのキー入力ごとに取得した複数の分割イメージを合成して、指紋イメージを生成する、
個人認証装置。
【請求項11】
前記検出部は、
前記処理部から出力される第1制御信号に応じて、前記第1期間から前記第2期間に移行し、前記処理部から出力される第2制御信号に応じて、前記第2期間から前記第1期間に移行し、
前記処理部は、
前記第1期間において前記検出部から出力されるタッチ検出座標が前記第1領域内の座標である場合に、前記第1制御信号を出力し、
前記第2期間において分割イメージを取得した場合に、前記第2制御信号を出力する、
請求項10に記載の個人認証装置。
【請求項12】
前記第2領域の分割数は、前記パスワードの桁数以下である、
請求項10又は11に記載の個人認証装置。
【請求項13】
前記処理部は、
前記パスワードのキー入力ごとに分割イメージの取得を開始する検出開始座標を設定し、
前記検出部は、
前記検出開始座標を始点として分割イメージを取得する分割領域を割り当てる、
請求項10から12の何れか一項に記載の個人認証装置。
【請求項14】
前記パスワードのキー入力ごとに分割イメージが取得される複数の分割領域は、第2領域内において相対的に指紋のスキャン方向に並ぶように割り当てられている、
請求項13に記載の個人認証装置。
【請求項15】
前記検出開始座標は、前記パスワードのキー入力ごとに、第2領域内において相対的に指紋のスキャン方向に所定間隔となるように設定される、
請求項14に記載の個人認証装置。
【請求項16】
前記検出部は、
前記パスワードのキー入力ごとに、分割領域を含む領域のイメージを生成し、
前記処理部は、
当該分割領域に含まれる領域のイメージを分割イメージとして取得し、当該分割領域に含まれない領域のイメージを破棄する、
請求項15に記載の個人認証装置。
【請求項17】
前記パスワードのキー入力ごとに分割イメージが取得される複数の分割領域は、第2領域内において相対的に指紋のスキャン方向と当該スキャン方向とは異なる方向との2方向に並ぶように割り当てられている、
請求項13に記載の個人認証装置。
【請求項18】
前記検出部は、
前記パスワードのキー入力ごとに、分割領域を指紋のスキャン方向に複数のサブフレームに分割して各サブフレームのイメージを生成し、
前記処理部は、
当該分割領域に対応する各サブフレームのイメージを1つの分割イメージとして取得する、
請求項17に記載の個人認証装置。
【請求項19】
請求項10から18の何れか一項に記載の個人認証装置と、
画像を表示するための表示領域が前記個人認証装置の検出領域に重なって設けられている表示パネルと、
を有する、
表示装置。
【請求項20】
センサ部に接触又は近接する被検出体を検出する第1期間と、前記被検出体の表面の凹凸を検出する第2期間と、を有し、
パスワードの入力キーとして、前記センサ部の検出領域内に複数の第1領域が設けられ、
前記パスワードのキー入力ごとに、前記第1期間において検出された前記第1領域内のタッチ検出座標を中心座標とする第2領域内において相対的に異なる分割領域を割り当て、
前記パスワードのキー入力ごとに前記第2期間において分割領域で取得される複数の分割イメージを合成して、指紋イメージを生成する、
個人認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証システム、個人認証装置、表示装置、及び個人認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の個人認証の手法として、パスワードによる個人認証のセキュリティレベルが高いとされている。一方、パスワードによる個人認証では、パスワードが分かれば本人以外であっても認証可能であるため、なりすましによる不正アクセスが懸念される。このため、パスワード認証と指紋や顔等の生体認証とを組み合わせてセキュリティを強化する手法が考えられるが、複数の認証手段を設けるとユーザーの利便性が損なわれる可能性がある。例えば、ユーザーが入力したキーの指紋を検出し、パスワード認証と指紋認証とを組み合わせてセキュリティを強化する個人認証手段が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-85559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パスワード入力の際にキーにタッチした状態が維持される時間は極めて短い。このため、上記従来技術では高精度な指紋読み取りが出来ず、指紋イメージが登録されている場合でも認証に失敗する可能性がある。
【0005】
本発明は、利便性を損ねずセキュリティの強化と認証精度の向上とを両立することができる個人認証システム、個人認証装置、表示装置、及び個人認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る個人認証システムは、センサ部に接触又は近接する被検出体を検出する第1期間と、前記被検出体の表面の凹凸を検出する第2期間と、を有する検出装置と、前記検出装置の出力に応じた処理を行う制御装置と、を備え、前記検出装置は、パスワードの入力キーとして、前記センサ部の検出領域内に複数の第1領域が設けられ、前記パスワードのキー入力ごとに、前記第1期間において検出された前記第1領域内のタッチ検出座標を中心座標とする第2領域内において相対的に異なる分割領域を割り当て、前記パスワードのキー入力ごとに、前記第2期間において分割領域で取得される分割イメージを前記制御装置に出力し、前記制御装置は、前記パスワードのキー入力ごとに取得した複数の分割イメージを合成して、指紋イメージを生成する。
【0007】
本開示の一態様に係る個人認証装置は、センサ部に接触又は近接する被検出体を検出する第1期間と、前記被検出体の表面の凹凸を検出する第2期間と、を有する検出部と、前記検出部の出力に応じた処理を行う処理部と、を備え、前記検出部は、パスワードの入力キーとして、前記センサ部の検出領域内に複数の第1領域が設けられ、前記パスワードのキー入力ごとに、前記第1期間において検出された前記第1領域内のタッチ検出座標を中心座標とする第2領域内において相対的に異なる分割領域を割り当て、前記パスワードのキー入力ごとに、前記第2期間において分割領域で取得される分割イメージを前記処理部に出力し、前記処理部は、前記パスワードのキー入力ごとに取得した複数の分割イメージを合成して、指紋イメージを生成する。
【0008】
本開示の一態様に係る表示装置は、上記個人認証装置と、画像を表示するための表示領域が前記個人認証装置の検出領域に重なって設けられている表示パネルと、を有する。
【0009】
本開示の一態様に係る個人認証方法は、センサ部に接触又は近接する被検出体を検出する第1期間と、前記被検出体の表面の凹凸を検出する第2期間と、を有し、パスワードの入力キーとして、前記センサ部の検出領域内に複数の第1領域が設けられ、前記パスワードのキー入力ごとに、前記第1期間において検出された前記第1領域内のタッチ検出座標を中心座標とする第2領域内において相対的に異なる分割領域を割り当て、前記パスワードのキー入力ごとに前記第2期間において分割領域で取得される複数の分割イメージを合成して、指紋イメージを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る個人認証システムを構成する検出装置を有する表示装置の平面図である。
図2図2は、図1のII-II’線に沿う断面図である。
図3A図3Aは、実施形態に係る個人認証システムを示す平面図である。
図3B図3Bは、実施形態に係る個人認証装置を示す平面図である。
図4A図4Aは、実施形態1に係る個人認証システムの構成例を示すブロック図である。
図4B図4Bは、実施形態1に係る個人認証装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための説明図である。
図6図6は、センサ基板の平面図である。
図7図7は、第1電極及び第2電極の一部を拡大して示す平面図である。
図8図8は、図7のVII-VII’線に沿う断面図である。
図9図9は、第1期間と第2期間との切替動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10図10は、第1検出モードの一例を示す図である。
図11図11は、第2検出モードの一例を示す図である。
図12図12は、第3検出モードの一例を示す図である。
図13図13は、第4検出モードの一例を示す図である。
図14図14は、実施形態1に係る個人認証方法における検出領域の一例を示す図である。
図15図15は、第1領域と第2領域との位置関係を示す図である。
図16図16は、実施形態1におけるイメージ合成後の指紋イメージを示す図である。
図17A図17Aは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第1図である。
図17B図17Bは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第2図である。
図17C図17Cは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第3図である。
図17D図17Dは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第4図である。
図18図18は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における個人認証用データ取得処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における個人認証処理の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置におけるパスワード認証処理の一例を示すサブフローチャートである。
図21図21は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における指紋認証処理の一例を示すサブフローチャートである。
図22図22は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における処理の具体例を示すシーケンス図である。
図23A図23Aは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第1図である。
図23B図23Bは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第2図である。
図23C図23Cは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第3図である。
図23D図23Dは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第4図である。
図24図24は、実施形態2におけるイメージ合成後の指紋イメージを示す図である。
図25A図25Aは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第1図である。
図25B図25Bは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第2図である。
図25C図25Cは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第3図である。
図25D図25Dは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第4図である。
図26A図26Aは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第1図である。
図26B図26Bは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第2図である。
図26C図26Cは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第3図である。
図26D図26Dは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第4図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
図1は、実施形態に係る個人認証システムを構成する検出装置を有する表示装置の平面図である。図2は、図1のII-II’線に沿う断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の表示装置100は、表示領域AAと、額縁領域GAと、検出領域FAとを有する。表示領域AAは表示パネル30の画像を表示する領域である。額縁領域GAは、表示領域AAの外側の領域である。検出領域FAは、接触又は近接する指等の表面の凹凸を検出する領域である。検出領域FAは、表示領域AAの全面に重なって設けられる。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の表示装置100は、カバー部材101と、検出装置2と、表示パネル30とを含む。カバー部材101は、第1面101aと、第1面101aと反対側の第2面101bとを有する板状の部材である。カバー部材101の第1面101aは、検出装置2の検出面であり、検出面に被検出体が接触することにより、当該被検出体の検出面上における平面的な座標位置、及び当該被検出体の表面の凹凸が検出される。なお、本実施形態においては、被検出体は使用者の手指であり、被検出体の表面の凹凸とは指紋を含む。同時に、カバー部材101の第1面101aは、表示パネル30の画像を表示する表示面であり、使用者が当該画像を観察する観察面ともなる。カバー部材101の第2面101b側に、表示パネル30及び検出装置2のセンサ部10が設けられる。カバー部材101はセンサ部10及び表示パネル30を保護するための部材であり、センサ部10及び表示パネル30を覆って設けられる。カバー部材101は、例えばガラス基板、又は樹脂基板である。
【0014】
なお、カバー部材101、センサ部10及び表示パネル30は、平面視で長方形状である場合に限られず、円形状、長円形状、或いは、これらの外形形状の一部を欠落させた異形状の構成であってもよい。また、例えば、カバー部材101が円形状であり、センサ部10及び表示パネル30が正多角形状等である場合のように、カバー部材101と、センサ部10及び表示パネル30との外形形状が異なっていてもよい。カバー部材101は、平板状のみならず、例えば表示領域AAが曲面で構成され、或いは額縁領域GAが表示パネル30側に湾曲する等、曲面を有する曲面ディスプレイも採用可能である。
【0015】
図1及び図2に示すように、額縁領域GAにおいて、カバー部材101の第2面101bに加飾層110が設けられている。加飾層110は、カバー部材101よりも光の透過率が小さい着色層である。加飾層110は、額縁領域GAに重畳して設けられる配線や回路等が観察者に視認されることを抑制することができる。図2に示す例では、加飾層110は第2面101bに設けられているが、第1面101aに設けられていてもよい。また、加飾層110は、単層に限定されず、複数の層を重ねた構成であってもよい。
【0016】
検出装置2は、カバー部材101の第1面101aに接触又は近接する指Fin等の表面の凹凸を検出するセンサ部10を含む。図2に示すように、検出装置2のセンサ部10は、表示パネル30の上に設けられる。すなわち、センサ部10は、カバー部材101と表示パネル30との間に設けられ、第1面101aに対して垂直な方向から見たときに、表示パネル30と重なっている。センサ部10には、フレキシブルプリント基板76が接続されており、センサ部10からの検出信号を外部に出力することができる。
【0017】
センサ部10の一方の面は、接着層71を介してカバー部材101と貼り合わされる。また、センサ部10の他方の面は、接着層72を介して、表示パネル30の偏光板35と貼り合わされる。接着層71は、例えば、液状のUV硬化型樹脂である光学透明樹脂(OCR:Optical Clear Resin又は、LOCA:Liquid Optically Clear Adhesive)である。接着層72は、例えば、光学粘着フィルム(OCA:Optical Clear Adhesive)である。
【0018】
表示パネル30は、第1基板31と、第2基板32と、第1基板31の下側に設けられた偏光板34と、第2基板32の上側に設けられた偏光板35とを有する。第1基板31にフレキシブルプリント基板75が接続されている。第1基板31と、第2基板32との間には、表示機能層として液晶表示素子が設けられる。すなわち、表示パネル30は、液晶パネルである。これに限定されず、表示パネル30は、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED: Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。或いは、表示パネルは、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。
【0019】
図2に示すように、センサ部10は、カバー部材101の第2面101bと垂直な方向において、表示パネル30よりもカバー部材101に近い位置に配置される。このため、例えば、表示パネル30と一体に指紋検出用の検出電極を設けた場合に比べ、検出電極と、検出面である第1面101aとの距離を小さくすることができる。したがって、本実施形態の検出装置2を備える表示装置100によれば、検出性能を向上させることができる。
【0020】
なお、表示装置100は、センサ部10と表示パネル30がそれぞれ独立している所謂アウトセル方式の構成であるが、センサ部10と表示パネル30の一部の基板、又は、電極が兼用された所謂インセル方式やオンセル方式の構成であってもよい。
【0021】
(実施形態1)
図3Aは、実施形態に係る個人認証システムを示す平面図である。図3Aに示すように、個人認証システム1は、検出装置2と、制御装置9と、を含む。検出装置2は、基板3と、配線基板4と、を有する。制御装置9は、制御基板5を有する。基板3には、配線基板4を介して制御基板5が電気的に接続される。
【0022】
基板3は、上述した検出領域AA及び周辺領域GAを有する。センサ部10は、検出領域AAに設けられる。第1電極選択回路15及び検出電極選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。
【0023】
配線基板4には、検出回路6が設けられている。検出回路6は、例えば検出用ICに設けられている。
【0024】
制御基板5には、制御回路7が設けられている。制御回路7は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されるホストICに設けられている。制御回路7は、センサ部10、第1電極選択回路15、検出電極選択回路16、及び検出回路6に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。なお、第1電極選択回路15及び検出電極選択回路16のいずれかのうち一方又は両方を検出回路6又は制御回路7に設ける構成も採用可能である。
【0025】
第1電極選択回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。検出電極選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路6との間に設けられる。
【0026】
なお、第1方向Dxは、基板3と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板3と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板3の法線方向である。
【0027】
図3Bは、実施形態に係る個人認証装置を示す平面図である。図3Bに示すように、個人認証装置1aは、図3Aに示す個人認証システム1の検出装置2に対応する。
【0028】
図3Bに示す個人認証装置1aにおいて、配線基板4には、個人認証回路8が設けられている。個人認証回路8は、例えば検出用ICに設けられている。
【0029】
図3Bに示す例において、制御装置9aの制御基板5には、制御回路7aが設けられている。図3Aに示す個人認証システム1の検出回路6と図3Bに示す個人認証装置1aの個人認証回路8とは、割り当てられた機能が異なる。
【0030】
次に個人認証システム1及び個人認証装置1aの詳細な構成について説明する。
【0031】
図4Aは、実施形態1に係る個人認証システムの構成例を示すブロック図である。図4Aに示すように、個人認証システム1は、検出装置2と、検出装置2のホストデバイスとしての制御装置9とを含む。検出装置2は、センサ部10と、検出制御部11と、第1電極選択回路15と、検出電極選択回路16と、検出部40を備えた検出回路6と、を含む。制御装置9は、処理部50を備えた制御回路7を含む。
【0032】
図4Bは、実施形態1に係る個人認証装置の構成例を示すブロック図である。図4Bに示すように、個人認証装置1aは、センサ部10と、検出制御部11と、第1電極選択回路15と、検出電極選択回路16と、検出部40及び処理部50を備えた個人認証回路8と、を含む。すなわち、図3B及び図4Bに示す個人認証装置1aでは、図3A及び図4Aに示す個人認証システム1の制御回路7が有する処理部50の機能を、個人認証回路8が有する構成としている。以下の説明における各構成部は、図3A及び図4Aに示す個人認証システム1、及び、図3B及び図4Bに示す個人認証装置1aの何れにも適用可能である。
【0033】
センサ部10は、第1電極選択回路15から供給される第2駆動信号Vtx2に従って検出を行う。すなわち、第1電極選択回路15の動作により複数の第1電極Tx(図6参照)を個々に又は同時に選択する。そして、第1電極選択回路15は、選択された複数の第1電極Txのそれぞれに対して、所定の符号に基づいて位相が決められた第2駆動信号Vtx2を供給する。センサ部10は、相互静電容量方式の検出原理に基づいて、接触又は近接する指Fin又は手の表面の凹凸の変化を電気信号の変化に変換して検出回路6に出力する。
【0034】
また、センサ部10は、第1電極選択回路15から供給される第1駆動信号Vtx1に従って、接触又は近接する指Fin等の位置(座標)の検出も可能となっている。センサ部10は、複数の第1電極Txを含む第1電極ブロックごと又は複数本に1本の割合で第1電極Txを走査し、検出領域FA全体にわたって検出する。センサ部10は、相互静電容量方式の検出原理に基づいて、検出面に接触している指Finの有無に伴う電気信号の変化を検出回路6に出力する。なお、上記第1駆動信号Vtx1による検出面のタッチ検出は、指の座標さえ検出・特定できればよいので、検出解像度は第2駆動信号Vtx2による検出よりも低い。
【0035】
検出制御部11は、第1電極選択回路15、検出電極選択回路16及び検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、駆動部11aと、クロック信号出力部11bとを含む。駆動部11aは、電源電圧VPを第1電極選択回路15に供給する。検出制御部11は、クロック信号出力部11bのクロック信号に基づいて、各種制御信号Vctrlを第1電極選択回路15に供給する。
【0036】
第1電極選択回路15は、各種制御信号Vctrlに基づいて複数の第1電極Txを同時に又は個々に選択する回路である。第1電極選択回路15は、各種制御信号Vctrlと1又は複数の電源電圧VPに基づいて、選択された複数の第1電極Txに第1駆動信号Vtx1又は第2駆動信号Vtx2を供給する。第1駆動信号Vtx1と第2駆動信号Vtx2は、それぞれ波長や振幅を含む波形そのものが異なるものであることはもちろん、波形を同じくする一方センサ部10に出力される期間が異なるものも含む。センサ部10は、第1電極選択回路15による第1電極Txの選択の状態を異ならせることで、第1検出モードM1、第2検出モードM2、第3検出モードM3、第4検出モードM4(図10から図13参照)を実現できる。
【0037】
検出電極選択回路16は、複数の第2電極Rx(図6参照)を同時に選択するスイッチ回路である。検出電極選択回路16は、検出制御部11から供給される第2電極選択信号Vhselに基づいて、複数の第2電極Rxを選択し、当該複数の第2電極Rxと検出回路6とを接続する。
【0038】
検出部40は、検出制御部11から供給される制御信号と、センサ部10から供給される第1検出信号Vdet1及び第2検出信号Vdet2に基づいて、比較的大きなピッチで検出面への指のタッチの有無を検出し、また、比較的細かいピッチで当該指の指紋を検出する回路である。検出部40の各構成部は、検出制御部11から供給される制御信号に基づき、同期して動作する。検出部40は、各構成部として、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、指紋検出領域設定部46と、分割イメージ生成部47と、検出タイミング制御部48と、を備える。なお、以下の説明において第1検出信号Vdet1及び第2検出信号Vdet2を区別して説明する必要がない場合には、単に検出信号Vdetと表す。
【0039】
検出タイミング制御部48は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、分割イメージ生成部47と、が同期して動作するように制御する。
【0040】
検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0041】
信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、所定の復号処理を行う。具体的に、信号処理部44は、検出信号Vdetの差分の信号(絶対値|ΔV|)を取り出す処理を行う。信号処理部44は、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較して出力する。
【0042】
座標抽出部45は、信号処理部44の復号処理結果に基づいて、センサ部10に接触又は近接する被検出体の座標(以下、「タッチ検出座標」とも称する)を抽出し、処理部50に出力する。
【0043】
指紋検出領域設定部46は、処理部50から出力される検出開始座標から、検出を行う領域を設定する。検出開始座標及び検出を行う領域については後述する。
【0044】
分割イメージ生成部47は、信号処理部44の復号処理結果に基づき、被検出体の表面の凹凸を抽出して分割イメージを生成する。分割イメージについては後述するが、この分割イメージの生成手法により本開示が限定されるものではない。
【0045】
本実施形態において、図4Aに示す個人認証システム1及び図4Bに示す個人認証装置1aは、静電容量型の検出原理に基づいて、センサ部10の検出面に接触する指Finを検出する(以下、「タッチ検出」と称する)。また、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、静電容量型の検出原理に基づいて、センサ部10に接触している指Finの表面の凹凸を検出することで指紋を検出する(以下、「指紋検出」と称する)。
【0046】
なお、静電容量型のタッチ検出動作において、指Finの接触によって容量変化が生じている状態を、以下「タッチ状態」と称する。また、指Finによる容量変化が生じていない状態を、以下「非タッチ状態」と称する。
【0047】
ここで、図5を参照して、本実施形態の個人認証システム1及び個人認証装置1aの相互静電容量方式によるタッチ検出の基本原理について説明する。図5は、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための説明図である。なお、図5は、検出回路を併せて示している。
【0048】
図5に示すように、容量素子C1は、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極、駆動電極E1及び検出電極E2を備えている。容量素子C1は、駆動電極E1と検出電極E2との対向面同士の間に形成される電界(図示しない)に加え、駆動電極E1の端部から検出電極E2の上面に向かって延びる電界が生じる。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)に接続され、他端は電圧検出器DETに接続される。電圧検出器DETは、例えば、図4に示す検出部40に含まれる積分回路である。
【0049】
交流信号源から駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz~数百kHz程度)の交流矩形波Sgが印加される。電圧検出器DETには、容量素子C1の容量値に応じた電流が流れる。電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動に変換する。
【0050】
指によって形成される静電容量C2が、検出電極E2と接触し、又は接触と同視し得るほど近傍近づくにつれて、駆動電極E1と検出電極E2との間にあるフリンジ分の電気力線が導体(指)により遮られる。このため、容量素子C1は、非接触状態での容量値よりも接近に応じて徐々に容量値の小さい容量素子として作用する。
【0051】
電圧検出器DETから出力される電圧信号の振幅は、非接触状態に比べて指Finが接触状態に近づくにつれて小さくなる。この電圧差分の絶対値|ΔV|は、検出面に接触する指Finの影響に応じて変化することになる。検出部40は、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較することで、指Finの検出面への接触/非接触を判断する。なお、本実施形態においては、かかる判断は、検出部40の信号処理部44と座標抽出部45のいずれか一方又は両方の協働によってなされる。
【0052】
また、検出部40は、絶対値|ΔV|に基づいて指Finの凹凸等を判断する。当該凹凸の判断においても絶対値|ΔV|と所定のしきい値と比較することで判断することも可能であるが、当該しきい値は指Finの接触/近接を判断するしきい値とは異なる値を採用することもできるし、複数のしきい値を用いることも可能である。なお、本実施形態においては、かかる判断は、検出部40の信号処理部44によってなされる。このようにして、検出部40は相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出及び指紋の検出が可能となる。
【0053】
なお、本開示において、指紋イメージとは、複数の第2電極Rxからの出力に基づいて形成される面情報としてのデータであって、検出面における1又は数か所の座標位置を特定するタッチ座標(点情報)とは異なる。より具体的には、指紋イメージとは、複数の検出単位領域における検出データの集合体で、各検出データとは、例えば、検出単位領域の座標及び各座標位置における凹凸の判断結果を含む。当該凹凸の判断は、上述の如くあるしきい値を境としてしきい値よりも検出結果が大きいと凹と判断し、小さいと凸と判断するといったような2値の判断結果を採用することができる。また、これに替えて、実際の検出信号を複数のしきい値に基づいてより細かくデジタル化したデータであっても構わない。また、各座標における出力信号の大きさをそのままRAWデータとして備えたデータであっても構わない。これら座標ごとのデータが集積されることにより、二次元の広がりを持った面情報が形成される。
【0054】
なお、本実施形態は被検出体としての指Fin及びその指紋を検出対象としているが、被検出体は指に限定されず、被検出体の凹凸としても、指紋に限定されないことは言うまでもない。
【0055】
次に、第1電極Tx及び第2電極Rxの構成について説明する。図6は、センサ基板の平面図である。図7は、第1電極及び第2電極の一部を拡大して示す平面図である。図8は、図7のVII-VII’線に沿う断面図である。
【0056】
図6に示すように、センサ基板21上に複数の第1電極Tx及び第2電極Rxが設けられる。センサ基板21は、可視光を透過可能な透光性を有するガラス基板である。又は、センサ基板21は、ポリイミド等の樹脂で構成された透光性の樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。センサ部10は、透光性を有するセンサである。
【0057】
第1電極Txは、第1方向Dxに延びており、第2方向Dyに複数配列される。第2電極Rxは、第2方向Dyに延びており、第1方向Dxに複数配列される。第2電極Rxは、平面視で、第1電極Txと交差する方向に延びている。各第2電極Rxは、額縁配線(図示せず)を介して、センサ基板21の額縁領域GAの短辺側に設けられたフレキシブルプリント基板76に接続される。第1電極Tx及び第2電極Rxは、検出領域FAに設けられている。第1電極Txは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電材料で構成されている。第2電極Rxは、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属材料で構成されている。なお、第1電極Txを金属材料で構成し、第2電極RxをITOで形成してもよい。ただし、第2電極Rxを金属材料とすることで、検出信号Vdetに係る抵抗を低減することができる。
【0058】
なお、第1方向Dxは、センサ基板21と平行な面内の一方向であり、例えば、検出領域FAの一辺と平行な方向である。また、第2方向Dyは、センサ基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、本明細書において、「平面視」とは、センサ基板21に垂直な方向から見た場合を示す。
【0059】
第2電極Rxと第1電極Txとの交差部分に、それぞれ静電容量が形成される。センサ部10において、相互静電容量方式のタッチ検出動作を行う際、第1電極選択回路15は、第1電極Txを選択し、選択された第1電極Txに同時に第1駆動信号Vtx1又は第2駆動信号Vtx2を供給する。そして、接触又は近接する指等の表面の凹凸による容量変化に応じた検出信号Vdetが第2電極Rxから出力されることにより、指紋検出が行われる。又は、接触又は近接する指等による容量変化に応じた検出信号Vdetが第2電極Rxから出力されることにより、タッチ検出が行われる。
【0060】
図6に示すように、第1電極選択回路15及び検出電極選択回路16等の各種回路は、センサ基板21の額縁領域GAに設けられている。第1電極選択回路15は、第1選択回路151、第2選択回路152、第3選択回路153及び第1電極ブロック選択回路154を含む。ただし、これはあくまで一例である。各種回路の少なくとも一部は、フレキシブルプリント基板76に実装された検出用IC(Integrated Circuit)に含まれていてもよい。或いは、各種回路の少なくとも一部は、外部の制御基板に設けられていてもよい。また、第1選択回路151、第2選択回路152、第3選択回路153及び第1電極ブロック選択回路154は、それぞれ個別の回路として設けられる構成に限定されない。第1選択回路151、第2選択回路152、第3選択回路153及び第1電極ブロック選択回路154の機能を含む1つの集積回路として、第1電極選択回路15が設けられていてもよい。第1電極選択回路15は、半導体集積回路(IC)であってもよい。
【0061】
次に、第1電極Tx及び第2電極Rxの構成について説明する。図7に示すように、第2電極Rxは、ジグザグ状の線であり、全体として第2方向Dyに長手を有する。例えば、第2電極Rxは、複数の第1直線部26aと、複数の第2直線部26bと、複数の屈曲部26xと、を有する。第2直線部26bは、第1直線部26aと交差する方向に延びている。また、屈曲部26xは、第1直線部26aと第2直線部26bとを接続している。
【0062】
第1直線部26aは、第1方向Dx及び第2方向Dyと交差する方向に延びている。第2直線部26bも、第1方向Dx及び第2方向Dyと交差する方向に延びている。第1直線部26aと第2直線部26bは、第1方向Dxに平行な仮想線(図示せず)を軸に、対称となるように配置されている。第2電極Rxは、第1直線部26aと第2直線部26bとが第2方向Dyに交互に接続される。
【0063】
複数の第2電極Rxの各々において、第2方向Dyにおける屈曲部26xの配置間隔をPryとする。また、隣り合う第2電極Rx間において、第1方向Dxにおける屈曲部26xの配置間隔をPrxとする。本実施形態では、例えば、Prx<Pryであることが好ましい。なお、第2電極Rxは、ジグザグ状に限定されず、波線状、直線状など他の形状であってもよい。
【0064】
図7に示すように、複数の第1電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4…は、複数の電極部23a、23bと、複数の接続部24と、をそれぞれ有する。なお、以下の説明において、第1電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4…を区別して説明する必要がない場合には、単に第1電極Txと表す。
【0065】
第2電極Rxの第2直線部26bと交差する第1電極Tx-1、Tx-2は、第2直線部26bと平行な2辺を有する電極部23aを備える。また、第2電極Rxの第1直線部26aと交差する第1電極Tx-3、Tx-4は、第1直線部26aと平行な2辺を有する電極部23bを備える。言い換えると、電極部23a、23bは、第2電極Rxに沿って複数配置されている。これにより、平面視で、ジグザグ状の第2電極Rxと、電極部23a、23bとの離隔距離を一定の大きさにすることができる。
【0066】
複数の第1電極Tx-1、Tx-2において、複数の電極部23aは第1方向Dxに並んでおり、互いに離れて配置されている。また、複数の第1電極Txの各々において、接続部24は、複数の電極部23aのうち隣り合う電極部23aを接続している。また、平面視で、複数の第2電極Rxの各々は、隣り合う電極部23aの間を通って接続部24と交差している。第1電極Tx-3、Tx-4も同様の構成である。第2電極Rxは、金属細線であり、第2電極Rxの第1方向Dxの幅は、電極部23a、23bの第1方向Dxの幅よりも小さい。このような構成により、第1電極Txと第2電極Rxとが重なり合う面積が小さくなり、寄生容量を抑制することができる。
【0067】
また、第2方向Dyにおける第1電極Txの配置間隔をPtとする。配置間隔Ptは、第2電極Rxの屈曲部26xの配置間隔Pryの1/2程度である。なお、これに限定されず、配置間隔Ptは、配置間隔Pryの半整数倍以外であってもよい。配置間隔Ptは、例えば50μm以上、100μm以下である。また、1つの第1電極Txにおいて、第1方向Dxに隣り合う接続部24は、第2方向Dyでの配置間隔Pbを有して、互い違いに配置される。なお、電極部23a、23bは、それぞれ平行四辺形状であるが、その他の形状であってもよい。例えば、電極部23a、23bは、矩形状、多角形状、異形状であってもよい。
【0068】
次に、図7のVII-VII’線に沿う断面構造について説明する。なお、図8において、額縁領域GAの断面は、第1電極選択回路15に含まれる薄膜トランジスタTrを含む部分を切断した断面である。図8では、検出領域FAの層構造と額縁領域GAの層構造との関係を示すために、検出領域FAのVII-VII’線に沿う断面と、額縁領域GAの薄膜トランジスタTrを含む部分の断面とを、模式的に繋げて示している。
【0069】
図8に示すように、センサ基板21上の額縁領域GAに薄膜トランジスタTrが設けられている。薄膜トランジスタTrは、半導体層61と、ソース電極62と、ドレイン電極63と、ゲート電極64と、を含む。ゲート電極64は、センサ基板21上に設けられる。第1層間絶縁膜81は、センサ基板21上に設けられてゲート電極64を覆う。ゲート電極64の材料としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金が用いられる。第1層間絶縁膜81の材料としては、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)が用いられる。また、第1層間絶縁膜81は単層に限定されず、積層構造の膜でもよい。例えば、第1層間絶縁膜81は、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜が形成された、積層構造の膜であってもよい。
【0070】
また、半導体層61は、第1層間絶縁膜81上に設けられる。第2層間絶縁膜82は、第1層間絶縁膜81上に設けられて半導体層61を覆う。第2層間絶縁膜82に設けられたコンタクトホールの底部では、半導体層61が露出している。半導体層61の材料としては、ポリシリコン又は酸化物半導体が用いられる。第2層間絶縁膜82の材料としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜又はシリコン酸化窒化膜が用いられる。また、第2層間絶縁膜82は単層に限定されず、積層構造の膜でもよい。例えば、第2層間絶縁膜82は、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜が形成された、積層構造の膜であってもよい。
【0071】
また、ソース電極62と、ドレイン電極63とは、第2層間絶縁膜82上に設けられる。ソース電極62と、ドレイン電極63とは、それぞれ第2層間絶縁膜82に設けられたコンタクトホールを介して半導体層61に接続される。ソース電極62と、ドレイン電極63及び接続部24の材料としては、チタンとアルミニウムとの合金である、チタンアルミニウム(TiAl)が用いられる。
【0072】
さらに、第2層間絶縁膜82上には、絶縁性の樹脂層27と、第1電極Txの電極部23b及び接続部24が設けられている。額縁領域GAに設けられた樹脂層27は、ソース電極62及びドレイン電極63を覆っている。また、額縁領域GAに設けられた樹脂層27に設けられたコンタクトホールを介して、ドレイン電極63は、第1電極Txと電気的に接続される。
【0073】
一方、検出領域FAに設けられた樹脂層27は、第1樹脂層27Aと、第1樹脂層27Aよりも薄膜の第2樹脂層27Bとを有する。第1樹脂層27Aは、接続部24において、第2電極Rxの直下に位置する部位を覆っている。また、検出領域FAに設けられた第2樹脂層27Bは、接続部24において、電極部23bの直下に位置する部位を覆っている。
【0074】
第2樹脂層27BにはコンタクトホールH1、H2が設けられている。検出領域FAにおいて、電極部23bの周縁部は、コンタクトホールH1、H2を介して接続部24に接続されている。なお、この例では、電極部23bは第2層間絶縁膜82に接している。
【0075】
第2電極Rxは、第1樹脂層27A上に設けられている。第2電極Rxは、例えば、第1金属層141、第2金属層142及び第3金属層143を有する。第3金属層143上に第2金属層142が設けられており、第2金属層142上に第1金属層141が設けられている。例えば、第1金属層141、第3金属層143の材料には、モリブデン又はモリブデン合金が用いられている。第2金属層142の材料には、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。第1金属層141を構成するモリブデン又はモリブデン合金は、第2金属層142を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金よりも可視光の反射率が低い。これにより、第2電極Rxの不可視化を図ることができる。
【0076】
樹脂層27、電極部23b及び第2電極Rx上に絶縁膜83が設けられている。絶縁膜83によって、第2電極Rxの上面及び側面は覆われている。絶縁膜83には、シリコン窒化膜など、高屈折率で低反射率の膜が用いられる。
【0077】
以上のような構成により、第1電極Txと第2電極Rxとは、同一のセンサ基板21の上に形成される。そして、第1電極Txと第2電極Rxとは、絶縁層である樹脂層27を介して異なる層に設けられる。
【0078】
以下、本実施形態に係る個人認証システム1及び個人認証装置1aにおける個人認証用データ取得期間について説明する。
【0079】
本開示において、個人認証システム1及び個人認証装置1aにおける個人認証用データ取得期間は、タッチ検出を実行するタッチ検出期間(座標検出期間)を設けた第1期間と、指紋検出を実行する指紋検出期間(面情報検出期間)を設けた第2期間と、を有している。図9は、第1期間と第2期間との切替動作の一例を示すタイミングチャートである。図9において、TPはタッチ検出期間(座標検出期間)を示し、FPは指紋検出期間(面情報検出期間)を示している。
【0080】
図9に示すように、本実施形態に係る個人認証システム1及び個人認証装置1aは、処理部50から出力される第1制御信号に基づき、第1期間から第2期間に移行する。また、本実施形態に係る個人認証システム1及び個人認証装置1aは、処理部50から出力される第2制御信号に基づき、第2期間から第1期間に移行する。
【0081】
次に、個人認証システム1及び個人認証装置1aにおける検出モードの具体例について説明する。図10は、第1検出モードの一例を示す図である。図11は、第2検出モードの一例を示す図である。図12は、第3検出モードの一例を示す図である。
【0082】
図10に示すように、第1検出モードM1において、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第2検出モードM2(図11参照)に比べて大きい第1検出ピッチPtsで、検出領域FAの全面を走査することで、指Fin等の検出、より具体的には、検出面における指の位置(検出面における指の座標位置)の検出を行う。第1検出モードM1では、第1電極選択回路15は、隣り合う又は所定のピッチで配される複数の第1電極Txを束ねて第1電極ブロックとし、該第1電極ブロックごとに第1駆動信号Vtx1を供給する。各第1電極ブロックに含まれる複数の第1電極Txには、同じ第1駆動信号Vtx1が供給される。これにより、第1検出モードM1では、後述する第2検出モードM2と比較して大きい第1検出ピッチPtsで検出ができる。なお、第1検出モードM1では、検出電極選択回路16は、隣り合う又は所定のピッチで配される複数の第2電極Rxを束ねて第2電極ブロックとし、該第2電極ブロックごとに第2駆動信号Vtx2を供給する構成としても良い。また、全ての第2電極Rxがそれぞれ検出部40に接続される態様であっても良い。
【0083】
図11に示すように、第2検出モードM2において、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第1検出モードM1(図10参照)に比べて小さい第2検出ピッチPfで、検出領域FAの全面を走査することで、指Fin等の検出、より具体的には、検出面における被検出体の表面の凹凸(例えば、検出面に接触している被検出体の指紋イメージ)の検出を行う。第2検出モードM2では、第1電極選択回路15は、複数の第1電極Txにそれぞれ所定の符号に基づいて位相が定められた第2駆動信号Vtx2を供給する。また、第1電極選択回路15は、各第1電極Txを個々に走査し、当該走査に伴って第2駆動信号Vtx2としてのパルス波を供給する構成も採用可能である。以下、第2駆動信号Vtx2を供給とは、これらいずれの態様も含むものとする。これにより、第2検出モードM2において、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第1検出モードM1と比較してより小さい第2検出ピッチPfで検出を行うことができる。より具体的には、マクロ的な視点で見た場合には検出面に指が接触している状態であっても、ミクロの視点で見ると指の表面の凹凸によって当該指の一部は検出面に接触し、一部は検出面からやや離間している、という状態になる。該第2検出モードM2では、当該ミクロ的な観点で見たときの被検出体の表面の凹凸(ここでは指の表面の凹凸、すなわち指紋)を検出するものである。なお、当該第2検出ピッチは、第1検出ピッチよりも小さいものであればよく、最も小さい第2検出ピッチは、隣り合う2本の第1電極又はそれらに交差する隣り合う2本の検出電極によって形成されるピッチである。
【0084】
第2検出モードM2において、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、検出領域FAの全面で検出を行う。このため、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、指紋検出のみに限定されず、例えば掌紋を検出することができる。或いは、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、検出領域FAに接触又は近接する手の形状を検出し、指先の位置を特定することができる。この場合、指先が接触又は近接する領域のみで、信号処理や演算処理を行うことで指紋を検出することができる。
【0085】
指紋検出では、検出面において指紋検出を行う領域を検出面の一部の領域としても良い。例えば、図12に示すように、第3検出モードM3において、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、検出領域FAのうち一部分の第1部分領域FA1において第2検出ピッチPfで検出を行う。この第3検出モードM3において、第1電極選択回路15は、第1部分領域FA1に含まれる複数の第1電極Txにのみ第2駆動信号Vtx2を供給する。第3検出モードM3においても、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第2検出ピッチPfで検出を行うことができる。例えば、第3検出モードM3では、第1部分領域FA1のみで検出を行うため、検出に要する時間を短縮し、また、検出部40(図4A図4B参照)が行う処理を低減できる。第1部分領域FA1は、あらかじめ設定された固定領域である。ただし、第1部分領域FA1の位置や大きさは、適宜変更してもよい。
【0086】
上述した第2検出モードM2に代えて、第3検出モードM3により指紋検出を実行する態様であっても良い。具体的に、第1期間では、第1検出モードM1によりタッチ検出を実行し、第2期間では、第3検出モードM3による指紋検出を実行する。これにより、指紋検出期間FPを短縮することができ、検出に要する時間を短縮できる。
【0087】
図13は、第4検出モードの一例を示す図である。例えば、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第1期間に第1検出モードM1のタッチ検出を実行し、検出面上に指が接触しているか否かを検出する。指Fin等が検出された場合、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第2期間に移行し、第4検出モードM4による指紋検出を実行する。この第4検出モードM4において、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、指Fin等が検出された位置を含む所定の領域である第2部分領域FA2においてのみ、第2検出ピッチPfで検出を行う。第2部分領域FA2の位置や大きさは、タッチ検出期間TPにおいて検出された指Fin等の情報に基づいて変更できる。このように、第1検出モードM1の検出結果に基づいて第4検出モードM4の指紋検出を行ってもよい。これにより、第2部分領域FA2の面積を小さくすることができるため、検出領域全面に亘って指紋を検出する場合と比べて指紋検出に要する時間を大幅に短縮できる。
【0088】
以下、本開示の個人認証方法について説明する。なお、個人認証システム1及び個人認証装置1aにおける個人認証方法は、以下に示す個人認証方法に限定されるものではない。
【0089】
図14は、実施形態1に係る個人認証方法における検出領域の一例を示す図である。本実施形態に係る個人認証方法では、図14に示すように、検出領域FA内にそれぞれ異なる入力キーが割り当てられた複数の第1領域KYが設けられている。図14では、入力キーとして「0」から「9」までの10個の数字がそれぞれ割り当てられた10個の第1領域KY「0」,「1」,「2」,・・・,「9」が設けられた例を示している。なお、入力キーは数字に限らず、例えば大文字や小文字のアルファベットや、「♯」や「*」等の記号を含む態様であっても良い。
【0090】
本実施形態に係る個人認証方法において、個人認証システム1及び個人認証装置1aでは、上述した第2検出モードM2によりタッチ検出を行い、ユーザーが入力したキーを識別する。具体的に、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、ユーザーがタッチした検出領域FA上の座標が、例えば第1領域KY「5」内の座標である場合に、入力キー「5」が入力されたと識別する。
【0091】
また、本実施形態に係る個人認証方法では、ユーザーがタッチした検出領域FA上の座標が、第1領域KY「0」,「1」,「2」,・・・,「9」内の何れかに該当するとき、この座標を中心座標Cとする所定領域を第2領域FGとし、当該第2領域FGを、指紋イメージを取得する際の領域とする。
【0092】
図15は、第1領域と第2領域との位置関係を示す図である。図15では、個人認証用のパスワード入力において、入力キー「5」が入力されたと識別した座標を第2領域FGの中心座標C(Cx,Cy)とした例を示している。すなわち、ユーザーは入力キー「5」をタッチすべく検出面をタッチしたが、当該入力キー「5」の中心位置からややずれた位置をタッチし、検出部や処理部を経てかかるタッチを演算処理した結果、当該ユーザーがタッチした中心位置を中心座標C(Cx,Cy)として認識された、ということになる。そして、当該中心座標Cとの関係で指紋検出のための第2領域FGが決定される。
【0093】
本実施形態に係る個人認証方法では、パスワードの各キーが入力されるごとに、図15に示す第2領域FGよりも小さい領域のイメージを取得する。これにより、パスワード入力の際に各入力キーにタッチした状態が維持される時間に検出すべき検出領域、及びその結果として取得されるイメージを可及的小さくできる。このため、パスワードのキー入力ごとに取得するイメージの精度を高めることができる。
【0094】
そして、パスワードのキー入力ごとに取得したイメージを合成して、個人認証用の指紋イメージを生成する。これにより、高精度な指紋イメージを取得することができる。
【0095】
本実施形態に係る個人認証方法において、タッチ検出及び指紋検出におけるスキャン方向は、第2方向Dyに沿う方向である。図16は、実施形態1におけるイメージ合成後の指紋イメージを示す図である。本実施形態では、図16に示すように、指紋のスキャン方向に4分割された分割イメージを合成して指紋イメージを生成する例について説明する。図16では、指紋イメージを取得するための第2領域FGに対応して、各分割イメージを取得するための分割領域SF1,SF2,SF3,SF4が相対的に指紋のスキャン方向に並ぶように割り当てられた例を示している。
【0096】
なお、第2領域FGの分割数、すなわち、分割領域SFの数は4つに限らない。第2領域FGの分割数は、パスワードの桁数に依存する。例えば、図16に示すように、第2領域FGに対応して4つの分割領域SF1,SF2,SF3,SF4を割り当てる場合、パスワードの桁数は4以上である必要がある。換言すれば、第2領域FGの分割数は、パスワードの桁数以下である必要がある。
【0097】
図4A及び図4Bに戻り、処理部50は、タッチ判定部51と、検出開始座標設定部52と、分割イメージ受信部53と、第1記憶部54と、指紋イメージ生成部55と、第2記憶部56と、第3記憶部57と、指紋認証部58と、指紋認証結果記憶部59と、パスワード記憶部511と、パスワード認証部512と、パスワード認証結果記憶部513と、個人認証部514と、個人認証結果記憶部515と、を備える。第1記憶部54、第2記憶部56、第3記憶部57、指紋認証結果記憶部59、パスワード記憶部511、パスワード認証結果記憶部513、及び個人認証結果記憶部515は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、レジスタ回路等であっても良い。また、第1記憶部54、第2記憶部56、第3記憶部57、指紋認証結果記憶部59、パスワード記憶部511、パスワード認証結果記憶部513、及び個人認証結果記憶部515は、1つのRAM、ROM、レジスタ回路等であっても良い。
【0098】
タッチ判定部51は、上述した第1期間において検出部40から出力されたタッチ検出座標に基づき、本開示の個人認証方法において有効なタッチ状態であるか否かを判定する。
【0099】
ここで、「本開示の個人認証方法において有効なタッチ状態」とは、上述したように、ユーザーがタッチした検出領域FA上の座標、すなわち検出部40から出力されたタッチ検出座標が、図14に示す第1領域KY内の座標であることを示している。具体的に、タッチ判定部51は、図14に示す第1領域KY内の座標においてタッチ状態であると判定した場合に、第2期間に移行するための第1制御信号を検出制御部11に出力する。以下、上述した「本開示の個人認証方法において有効なタッチ状態」であることを、「キー入力された」と称する。具体的には、例えば、検出部40から出力されたタッチ検出座標が、図15に示すように、第1領域KY「5」内の座標である場合には、「5」がキー入力されたとする。すなわち、タッチ判定部51は、キー入力されたことを検出した場合に、第2期間に移行するための第1制御信号を検出制御部11に出力する。
【0100】
また、タッチ判定部51は、キー入力されたキー(図15に示す例では、「5」)をパスワード記憶部511に順次格納する。
【0101】
タッチ判定部51は、パスワード記憶部511に格納されたキーの蓄積数nが所定数N(予め設定されたパスワードの桁数N)に達すると、後段のパスワード認証部512にパスワード認証開始指令を出力する。
【0102】
検出開始座標設定部52は、タッチ判定部51がキー入力されたことを検出した場合に、キー入力されたタッチ検出座標から、指紋検出の開始座標(以下、単に「検出開始座標」と称する)を設定する。
【0103】
図17Aは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第1図である。図17Bは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第2図である。図17Cは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第3図である。図17Dは、実施形態1に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第4図である。
【0104】
図17Aは、パスワードの1桁目のキー入力の際の第2領域FG1において、分割イメージを取得するための分割領域SF1を割り当てる例を示している。図17Bは、パスワードの2桁目のキー入力の際の第2領域FG2において、分割イメージを取得するための分割領域SF2を割り当てる例を示している。図17Cは、パスワードの3桁目のキー入力の際の第2領域FG3において、分割イメージを取得するための分割領域SF3を割り当てる例を示している。図17Dは、パスワードの4桁目のキー入力の際の第2領域FG4において、分割イメージを取得するための分割領域SF4を割り当てる例を示している。図17A図17B図17C図17Dにおいて、分割領域SF1,SF2,SF3,SF4は、各分割イメージを取得する際の第2領域FG1,FG2,FG3,FG4内において、相対的に指紋のスキャン方向に並ぶように割り当てられる例を示している。
【0105】
ここでは、検出装置2及び個人認証装置1aにおいて、指紋検出領域、すなわち、本実施形態における分割イメージの取得領域を任意に指定可能である例について説明する。図17A図17B図17C図17Dにおいて、第2領域FGのサイズは、第1方向Dxに256、第2方向Dyに256の256×256サイズである。
【0106】
検出開始座標設定部52は、後述する個人認証用データ取得処理(図18参照)において、パスワードの1桁目のキー入力では、まず、図17Aに示すように、第2領域FG1の中心座標C1(Cx1,Cy1)に対し、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を設定する。
【0107】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図17Aに示す検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を始点とする256×64サイズの分割領域SF1を割り当てる。
【0108】
また、検出開始座標設定部52は、後述する個人認証用データ取得処理(図18参照)において、パスワードの2桁目のキー入力では、図17Bに示すように、第2領域FG2の中心座標C2(Cx2,Cy2)に対し、検出開始座標S2(Cx2-128,Cy2-128+64)を設定する。ここでは、パスワード2桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目とは異なる。このため、ここではパスワード2桁目の中心座標が中心座標C2(Cx2,Cy2)として示される。
【0109】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図17Bに示す検出開始座標S2(Cx2-128,Cy2-128+64)を始点とする256×64サイズの分割領域SF2を割り当てる。すなわち、指の中心座標に基づいて規定される256×256の検出領域を第2方向Dyに4分割した際の、上から2段目の検出領域(分割領域SF2)が割り当てられる。
【0110】
また、検出開始座標設定部52は、後述する個人認証用データ取得処理(図18参照)において、パスワードの3桁目のキー入力では、図17Cに示すように、第2領域FG3の中心座標C3(Cx3,Cy3)に対し、検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3-128+64×2)を設定する。ここでは、パスワード3桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目及び2桁目とは異なる。このため、ここではパスワード3桁目の中心座標が中心座標C3(Cx3,Cy3)として示される。
【0111】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図17Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3-128+64×2)を始点とする256×64サイズの分割領域SF3を割り当てる。すなわち、指の中心座標に基づいて規定される256×256の検出領域を第2方向Dyに4分割した際の、上から3段目の検出領域(分割領域SF3)が割り当てられる。
【0112】
また、検出開始座標設定部52は、後述する個人認証用データ取得処理(図18参照)において、パスワードの4桁目のキー入力では、図17Dに示すように、第2領域FG4の中心座標C4(Cx4,Cy4)に対し、検出開始座標S4(Cx4-128,Cy4-128+64×3)を設定する。ここでは、パスワード4桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目、2桁目、及び3桁目とは異なる。このため、ここではパスワード4桁目の中心座標が中心座標C4(Cx4,Cy4)として示される。
【0113】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図17Dに示す検出開始座標S4(Cx4-128,Cy4-128+64×3)を始点とする256×64サイズの分割領域SF4を割り当てる。すなわち、指の中心座標に基づいて規定される256×256の検出領域を第2方向Dyに4分割した際の、上から4段目の検出領域(分割領域SF4)が割り当てられる。
【0114】
このように設定した分割領域SF1,SF2,SF3,SF4の各分割イメージを取得して合成することで、認証精度が高い個人認証用の指紋イメージを生成することができる。
【0115】
図4A及び図4Bに戻り、分割イメージ受信部53は、上述した第2期間において検出部40から出力された分割イメージを受信し、当該分割イメージをバッファリングデータとして第1記憶部54に格納する。
【0116】
指紋イメージ生成部55は、第1記憶部54にバッファリングデータとして格納された分割イメージを読み出し、第2記憶部56に順次バッファリングデータとして格納する。このとき、指紋イメージ生成部55は、第1期間に移行するための第2制御信号を検出制御部11に出力する。
【0117】
また、指紋イメージ生成部55は、第2記憶部56に格納された分割イメージの蓄積数mが所定数M(図16に示す例では、4つの分割領域SF1,SF2,SF3,SF4における分割イメージ数M)に達すると、第2記憶部56に格納された分割イメージを合成して個人認証用の指紋イメージを生成し、生成した個人認証用の指紋イメージを第3記憶部57に格納し、後段の指紋認証部58に指紋認証開始指令を出力する。
【0118】
指紋認証部58は、指紋イメージ生成部55からの指紋認証開始指令に基づき、第3記憶部57に格納された個人認証用の指紋イメージの認証判定処理を行い、当該指紋認証判定結果を指紋認証結果記憶部59に格納する。この認証判定手法により本開示が限定されるものではない。例えば、予め取得された照合用の指紋イメージと、第3記憶部57に格納された個人認証用の指紋イメージとを照合し、所定の特徴点が一致する場合に認証成功とする態様であっても良い。
【0119】
パスワード認証部512は、タッチ判定部51からのパスワード認証開始指令に基づき、パスワード記憶部511に格納されたキーを合成して個人認証用のパスワードを生成し、当該個人認証用のパスワードの認証判定処理を行い、当該パスワード認証判定結果をパスワード認証結果記憶部513に格納する。具体的には、例えば、予め設定された照合用のパスワードと、生成した個人認証用のパスワードとを照合し、一致する場合に認証成功とする。
【0120】
個人認証部514は、パスワード認証結果記憶部513に記憶されたパスワード認証判定結果と、指紋認証結果記憶部59に記憶された指紋認証判定結果とを参照し、個人認証判定処理を行い、当該個人認証処理結果を個人認証結果記憶部515に格納する。具体的に、個人認証部514は、パスワード認証判定結果が認証成功であり、かつ、指紋認証判定結果が認証成功である場合に、個人認証が成功したものとする。
【0121】
以下、実施形態1に係る個人認証システム1及び個人認証装置1aの検出部40及び処理部50において実現する個人認証方法の具体例について、図18図19図20、及び図21を参照して説明する。図18は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における個人認証用データ取得処理の一例を示すフローチャートである。図19は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における個人認証処理の一例を示すフローチャートである。図20は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置におけるパスワード認証処理の一例を示すサブフローチャートである。図21は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における指紋認証処理の一例を示すサブフローチャートである。図22は、実施形態1に係る個人認証システム及び個人認証装置における処理の具体例を示すシーケンス図である。
【0122】
まず、実施形態1に係る個人認証システム1及び個人認証装置1aにおける個人認証用データ取得処理について、図18及び図22を参照して説明する。
【0123】
図18に示す個人認証用データ取得処理の前提条件として、個人認証システム1及び個人認証装置1aは、第1期間において検出領域FAへのタッチの有無を検出すべくタッチ検出を連続して実行しているものとする。また、分割イメージ蓄積数m及びキー蓄積数nがリセット(m=0,n=0)されているものとする。
【0124】
処理部50のタッチ判定部51は、第1期間において取得されたタッチ検出座標に基づき、キー入力されているか否かを判定する(ステップS101)。キー入力されていなければ(ステップS101;No)、タッチ判定部51は、キー入力されるまで(ステップS101;Yes)、ステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0125】
キー入力されていると判定した場合に(ステップS101;Yes)、タッチ判定部51は、キー蓄積数nをカウントアップ(インクリメント)し(ステップS102)、キー入力されたキー(図15に示す例では、「5」)をパスワード記憶部511に格納する(ステップS103)。
【0126】
タッチ判定部51は、第2記憶部56に格納された分割イメージの蓄積数mが所定数M(第2領域FG内の分割領域SFの数M)以上であるか否かを判定する(ステップS104)。例えば現段階においてはパスワードの1桁目のキー入力を実施したところで、まだ分割イメージが全く蓄積されていない状態とする。この場合、分割イメージの蓄積数は0であり、所定数(本実施例においては4)より小さい。この場合、次ステップS106に移行する。
【0127】
第2記憶部56に格納された分割イメージの蓄積数mが所定数M以上となると(ステップS104;Yes)、続いて、タッチ判定部51は、パスワード記憶部511に格納されたキーの蓄積数nが所定数N(パスワードの桁数N)に達したか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、本実施形態においては4つのパスワード入力に伴って4つの分割イメージを順次取得していくので、4つのパスワードの入力キーの入力後は、分割イメージの蓄積数がm=4となり、所定数M=4と等しくなるとパスワードのキーの蓄積数n=4が所定数N=4と等しくなる(ステップS104;YesかつステップS105;Yes)。
【0128】
パスワード記憶部511に格納されたキーの蓄積数nが所定数N(パスワードの桁数N)に達していなければ(ステップS105;No)、ステップS101の処理に戻り、パスワード記憶部511に格納されたキーの蓄積数nが所定数Nに達するまで(ステップS105;Yes)、ステップS105までの処理を繰り返し実施する。なお、上記の通り、本実施形態においては、分割イメージの蓄積数と、パスワードの入力キーの蓄積数nの数は等しくなり、また、いずれの蓄積数も等しくなることが想定される(m=nかつM=N)。この場合、S105を省略する構成も採用可能である。
【0129】
第2記憶部56に格納された分割イメージの蓄積数mが所定数M未満である場合(ステップS104;No)、タッチ判定部51は、タッチ検出を行う第1期間から、指紋検出を行う第2期間に移行するための第1制御信号を検出制御部11に出力する(ステップS106)。
【0130】
検出制御部11は、タッチ判定部51から出力される第1制御信号に基づき、指紋検出領域設定部46により設定された分割領域において指紋検出を行うように、第1電極選択回路15及び検出電極選択回路16を制御する。これにより、指紋検出を行う第2期間に移行する。上記の通り、現段階においてはパスワードの1桁目のキー入力を実施した段階であるので、以下、図17Aに示される分割イメージを取得する制御を実施していく。
【0131】
検出開始座標設定部52は、キー入力されたタッチ検出座標から、図17Aにおいて説明した検出開始座標を設定し(ステップS107)、当該検出開始座標を検出部40の指紋検出領域設定部46に出力する。
【0132】
指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する領域として、検出開始座標設定部52から出力される検出開始座標を始点として、図17Aにおいて説明した分割領域を割り当てる(ステップS108)。
【0133】
検出部40の分割イメージ生成部47は、信号処理部44の復号処理結果に基づいて、指紋検出領域設定部46において割り当てられた分割領域の分割イメージを生成し(ステップS109)、処理部50に出力する。上記ステップを経ることで、現段階においては、パスワードの1桁目のキー入力に伴って図17Aに示す分割イメージが生成され、処理部50の分割イメージ受信部53に出力される。
【0134】
処理部50の分割イメージ受信部53は、検出部40の分割イメージ生成部47から出力された分割イメージを受信し、当該分割イメージをバッファリングデータとして第1記憶部54に格納する(ステップS110)。したがって、当該処理過程においては、図17Aに示す分割イメージが第1記憶部54に格納される。
【0135】
なお、指紋イメージ生成部55は、第1記憶部54に分割イメージが格納されているか否かを判定する(ステップS111)。第1記憶部54に分割イメージが格納されていなければ(ステップS111;No)、指紋イメージ生成部55は、ステップS111の処理を繰り返し実行する。
【0136】
第1記憶部54に分割イメージが格納されていると判定した場合(ステップS111;Yes)、指紋イメージ生成部55は、バッファリングデータとして格納された分割イメージを読み出し(ステップS112)、分割イメージ蓄積数mをカウントアップ(インクリメント)し(ステップS113)、第1記憶部54から読み出した分割イメージをバッファリングデータとして第2記憶部56に格納する(ステップS114)。したがって、当該処理過程においては、図17Aに示す分割イメージが第2記憶部56に格納される。
【0137】
そして、指紋イメージ生成部55は、指紋検出を行う第2期間からタッチ検出を行う第1期間に移行するための第2制御信号を検出制御部11に出力する(ステップS115)。
【0138】
検出制御部11は、指紋イメージ生成部55から出力される第2制御信号に基づき、検出領域FAの全域においてタッチ検出を行うように、第1電極選択回路15及び検出電極選択回路16を制御する。これにより、タッチ検出を行う第1期間に移行する。
【0139】
続いて、指紋イメージ生成部55は、第2記憶部56に格納した分割イメージの蓄積数mが所定数M(第2領域FGの分割数)に達したか否かを判定する(ステップS116)。
【0140】
第2記憶部56に格納した分割イメージの蓄積数mが所定数Mに達していなければ(ステップS116;No)、ステップS101の処理に戻り、第2記憶部56に格納した分割イメージの蓄積数mが所定数Mに達するまで(ステップS116;Yes)、ステップS116までの処理を繰り返し実施する。すなわち、当該S101~S114までの処理過程を経ることで、パスワードの1桁目の入力キーの入力が確認されると共に、当該入力キーの入力に伴う指紋の分割イメージの取得も完了した。また、S115~S116の処理過程を経ることで、指紋認証のモードから通常のタッチ検出モードに移行すると共に、いまだ分割イメージの蓄積数が所定数に到達していないことが確認された。この結果、当該処理はS101に戻り、再度S101~S114の処理を経ることでパスワードの2桁目の入力キーを取得すると共に図17Bに示される分割イメージを取得する。その後、同じような処理を経ることで各パスワードの入力キーを取得すると共に、図17C図17Dに示される指紋の分割イメージを取得するため処理を順次実施する。
【0141】
図17Dに示す分割イメージの取得が完了すると、第2記憶部56に格納した分割イメージの蓄積数mが所定数Mに達する(ステップS116;Yes)。ここで、指紋イメージ生成部55は、第2記憶部56に格納した分割イメージを1つの個人認証用の指紋イメージとして第3記憶部57に格納し(ステップS117)、後段の指紋認証部58に指紋認証開始指令を出力する(ステップS118)。
【0142】
その後、ステップS101に戻り、パスワード記憶部511に格納されたキーの蓄積数nが所定数Nに達すると(ステップS105;Yes)、タッチ判定部51は、分割イメージ蓄積数m及びキー蓄積数nをリセットして(ステップS119)、後段のパスワード認証部512にパスワード認証開始指令を出力する(ステップS120)。
【0143】
続いて、実施形態1に係る個人認証システム1及び個人認証装置1aにおける個人認証処理について、図19図20図21図22を参照して説明する。
【0144】
個人認証処理を開始すると、パスワード認証部512は、図20に示すパスワード認証処理(図19のステップS201)を実行する。
【0145】
パスワード認証部512は、タッチ判定部51からのパスワード認証開始指令の有無を判定する(ステップS301)。パスワード認証開始指令が出力されていなければ(ステップS301;No)、パスワード認証部512は、タッチ判定部51からパスワード認証開始指令が出力されるまで(ステップS301;Yes)、ステップS301の処理を繰り返し実行する。
【0146】
タッチ判定部51からパスワード認証開始指令が出力されると(ステップS301;Yes)、パスワード認証部512は、パスワード記憶部511に格納されたキーを読み出して(ステップS302)、個人認証用のパスワードを生成して当該パスワードの認証判定処理を実行し(ステップS303)、パスワード認証判定結果をパスワード認証結果記憶部513に格納する(ステップS304)。
【0147】
図19に戻り、個人認証部514は、パスワード認証結果記憶部513に記憶されたパスワード認証判定結果を読み出し(ステップS202)、パスワード認証が成功したか否かを判定する(ステップS203)。
【0148】
パスワード認証が成功すると(ステップS203;Yes)、指紋認証部58は、図21に示す指紋認証処理(図19のステップS204)を実行する。
【0149】
指紋認証部58は、指紋イメージ生成部55からの指紋認証開始指令の有無を判定する(ステップS401)。指紋認証開始指令が出力されていなければ(ステップS401;No)、指紋認証部58は、指紋イメージ生成部55からの指紋認証開始指令が出力されるまで(ステップS401;Yes)、ステップS401の処理を繰り返し実行する。
【0150】
指紋イメージ生成部55からの指紋認証開始指令が出力されると(ステップS401;Yes)、指紋認証部58は、第3記憶部57に格納された個人認証用の指紋イメージを読み出して(ステップS402)、当該指紋イメージの認証判定処理を実行し(ステップS403)、指紋認証判定結果を指紋認証結果記憶部59に格納する(ステップS404)。
【0151】
図19に戻り、個人認証部514は、指紋認証結果記憶部59に記憶された指紋認証判定結果を読み出し(ステップS205)、指紋認証が成功したか否かを判定する(ステップS206)。
【0152】
指紋認証が成功すると(ステップS206;Yes)、個人認証部514は、個人認証が成功したことを示す個人認証処理結果を個人認証結果記憶部515に格納する(ステップS207)。
【0153】
パスワード認証が失敗(ステップS203;No)、あるいは、指紋認証が失敗(ステップS206;No)した場合、個人認証部514は、上位の処理装置(不図示)に対してパスワードの再入力要求を出力する(ステップS208)。
【0154】
上述した個人認証用データ取得処理、及び個人認証処理により、パスワード入力の際に高精度な指紋イメージを取得することができるので、認証精度を向上することができる。また、パスワード入力の際に指紋イメージを取得することができるので、利便性を損ねずセキュリティを強化することができる。
【0155】
本実施形態により、利便性を損ねずセキュリティの強化と認証精度の向上とを両立することができる個人認証システム1、個人認証装置1a、表示装置100、及び個人認証方法を得ることができる。
【0156】
(変形例)
以下、実施形態1の変形例について説明する。上述した実施形態1では、検出装置2及び個人認証装置1aにおいて、指紋検出領域が任意に指定可能である例について説明したが、実施形態1の変形例では、指紋検出領域の大きさが固定されている例について説明する。
【0157】
図23Aは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第1図である。図23Bは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第2図である。図23Cは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第3図である。図23Dは、実施形態1の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第4図である。図23A図23B図23C図23Dにおいて、指紋検出領域の大きさは、第2領域FGのサイズと同じく、第1方向Dxに256、第2方向Dyに256の256×256サイズである。
【0158】
図23Aは、パスワードの1桁目のキー入力の際の第2領域FG1において、分割イメージを取得するための分割領域SF1を割り当てる例を示している。図23Bは、パスワードの2桁目のキー入力の際の第2領域FG2において、分割イメージを取得するための分割領域SF2を割り当てる例を示している。図23Cは、パスワードの3桁目のキー入力の際の第2領域FG3において、分割イメージを取得するための分割領域SF3を割り当てる例を示している。図23Dは、パスワードの4桁目のキー入力の際の第2領域FG4において、分割イメージを取得するための分割領域SF4を割り当てる例を示している。図23A図23B図23C図23Dにおいて、分割領域SF1,SF2,SF3,SF4は、各分割イメージを取得する際の第2領域FG1,FG2,FG3,FG4内において、相対的に指紋のスキャン方向に並ぶように割り当てられる例を示している。
【0159】
実施形態1の変形例では、図18に示す個人認証用データ取得処理において、検出開始座標設定部52によるステップS107、指紋検出領域設定部46によるステップS108、分割イメージ生成部47によるステップS109が異なっている。以下、検出開始座標設定部52、指紋検出領域設定部46、分割イメージ生成部47の図18とは異なる処理について説明する。
【0160】
実施形態1の変形例において、検出開始座標設定部52は、パスワードの1桁目のキー入力では、第2領域FG1の中心座標C1(Cx1,Cy1)に対し、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を設定する(図23A参照)。
【0161】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図23Aに示す検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を始点とする256×256サイズの領域を割り当て、当該領域をスキャン方向に4分割した256×64サイズの4つのサブフレームに分割する。
【0162】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、4つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を含む分割領域SF1に対応したサブフレームの分割イメージをバッファリングデータとして第1記憶部54に格納し、残る3つのサブフレームの分割イメージを破棄する。
【0163】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの2桁目のキー入力では、第2領域FG2の中心座標C2(Cx2,Cy2)に対し、検出開始座標S2(Cx2-128,Cy2-128+64)を設定する(図23B参照)。ここでは、パスワード2桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目とは異なる。このため、ここではパスワード2桁目の中心座標が中心座標C2(Cx2,Cy2)として示される。
【0164】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図23Bに示す検出開始座標S2(Cx2-128,Cy2-128+64)を始点とする256×256サイズの領域を割り当て、当該領域をスキャン方向に4分割した256×64サイズの4つのサブフレームに分割する。すなわち、指の中心座標に基づいて、図23Bに示す検出開始座標S2(Cx2-128,Cy2-128+64)を始点とする256×256の検出領域を第2方向Dyに4分割した際の、最上段の検出領域(分割領域SF2)から順にサブフレームが割り当てられる。
【0165】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、4つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S2(Cx2-128,Cy2-128+64)を含む分割領域SF2に対応したサブフレームの分割イメージをバッファリングデータとして第1記憶部54に格納し、残る3つのサブフレームの分割イメージを破棄する。
【0166】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの3桁目のキー入力では、第2領域FG3の中心座標C3(Cx3,Cy3)に対し、検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3-128+64×2)を設定する(図23C参照)。ここでは、パスワード3桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目及び2桁目とは異なる。このため、ここではパスワード3桁目の中心座標が中心座標C3(Cx3,Cy3)として示される。
【0167】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図23Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3-128+64×2)を始点とする256×256サイズの領域を割り当て、当該領域をスキャン方向に4分割した256×64サイズの4つのサブフレームに分割する。すなわち、指の中心座標に基づいて、図23Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3-128+64×2)を始点とする256×256の検出領域を第2方向Dyに4分割した際の、最上段の検出領域(分割領域SF3)から順にサブフレームが割り当てられる。
【0168】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、4つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3-128+64×2)を含む分割領域SF3に対応したサブフレームの分割イメージをバッファリングデータとして第1記憶部54に格納し、残る3つのサブフレームの分割イメージを破棄する。
【0169】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの4桁目のキー入力では、第2領域FG4の中心座標C4(Cx4,Cy4)に対し、検出開始座標S4(Cx4-128,Cy4-128+64×3)を設定する(図23D参照)。ここでは、パスワード4桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目、2桁目、及び3桁面とは異なる。このため、ここではパスワード4桁目の中心座標が中心座標C4(Cx4,Cy4)として示される。
【0170】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図23Dに示す検出開始座標S4(Cx4-128,Cy4-128+64×3)を始点とする256×256サイズの領域を割り当て、当該領域をスキャン方向に4分割した256×64サイズの4つのサブフレームに分割する。すなわち、指の中心座標に基づいて、図23Dに示す検出開始座標S4(Cx4-128,Cy4-128+64×3)を始点とする256×256の検出領域を第2方向Dyに4分割した際の、最上段の検出領域(分割領域SF4)から順にサブフレームが割り当てられる。
【0171】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、4つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S4(Cx4-128,Cy4-128+64×3)を含む分割領域SF4に対応したサブフレームの分割イメージをバッファリングデータとして第1記憶部54に格納し、残る3つのサブフレームの分割イメージを破棄する。
【0172】
このように設定した分割領域SF1,SF2,SF3,SF4に対応する各分割イメージを取得して合成することで、認証精度が高い個人認証用の指紋イメージを生成することができる。なお、上記ではそれぞれ指紋検出において4つのサブフレームに分割するとしているが、最終的に必要とされるサブフレームはそれぞれの指紋検出においていずれも最上段のサブフレームのみである。したがって、いずれの指紋検出においても、最上段のサブフレームの検出開始座標から256×64だけをサブフレームとして認識し、残りはサブフレームとしてそもそも認識しない、とした指紋検出フローも採用可能である。
【0173】
(実施形態2)
図24は、実施形態2におけるイメージ合成後の指紋イメージを示す図である。実施形態1では、第2領域FGを第2方向Dy、すなわちスキャン方向に4分割された分割イメージを合成して指紋イメージを生成する例について説明したが、本実施形態では、図24に示すように、第2領域FGをスキャン方向に2分割、スキャン方向とは異なる第1方向Dxに2分割された分割イメージを合成して指紋イメージを生成する例について説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略し、実施形態1とは異なる点について説明する。
【0174】
図25Aは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第1図である。図25Bは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第2図である。図25Cは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第3図である。図25Dは、実施形態2に係る個人認証方法における分割イメージの取得領域を説明する第4図である。
【0175】
図25Aは、パスワードの1桁目のキー入力の際の第2領域FG1において、分割イメージを取得するための分割領域SF1を割り当てる例を示している。図25Bは、パスワードの2桁目のキー入力の際の第2領域FG2において、分割イメージを取得するための分割領域SF2を割り当てる例を示している。図25Cは、パスワードの3桁目のキー入力の際の第2領域FG3において、分割イメージを取得するための分割領域SF3を割り当てる例を示している。図25Dは、パスワードの4桁目のキー入力の際の第2領域FG4において、分割イメージを取得するための分割領域SF4を割り当てる例を示している。図25A図25B図25C図25Dにおいて、分割領域SF1,SF2,SF3,SF4は、各分割イメージを取得する際の第2領域FG1,FG2,FG3,FG4内において、相対的に指紋のスキャン方向(第2方向Dy)と当該スキャン方向とは異なる方向(第1方向Dx)との2方向に並ぶように割り当てられている。
【0176】
ここでは、検出装置2及び個人認証装置1aにおいて、指紋検出領域、すなわち、本実施形態における分割イメージの取得領域を任意に指定可能である例について説明する。図25A図25B図25C図25Dにおいて、第2領域FGのサイズは、第1方向Dxに256、第2方向Dyに256の256×256サイズである。
【0177】
実施形態2では、図18に示す個人認証用データ取得処理において、検出開始座標設定部52によるステップS107、指紋検出領域設定部46によるステップS108が実施形態1とは異なっている。以下、検出開始座標設定部52、指紋検出領域設定部46の図18とは異なる処理について説明する。
【0178】
実施形態2において、検出開始座標設定部52は、パスワードの1桁目のキー入力では、第2領域FG1の中心座標C1(Cx1,Cy1)に対し、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を設定する(図25A)。
【0179】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図25Aに示す検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を始点とする128×128サイズの分割領域SF1を割り当てる。
【0180】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの2桁目のキー入力では、第2領域FG2の中心座標C2(Cx2,Cy2)に対し、検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を設定する(図25B)。ここでは、パスワード2桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目とは異なる。このため、ここではパスワード2桁目の中心座標が中心座標C2(Cx2,Cy2)として示される。
【0181】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図25Bに示す検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を始点とする128×128サイズの分割領域SF2を割り当てる。すなわち、指の中心座標に基づいて、図25Bに示す検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を始点とする128×128の分割領域SF2が割り当てられる。
【0182】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの3桁目のキー入力では、第2領域FG3の中心座標C3(Cx3,Cy3)に対し、検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を設定する(図25C)。ここでは、パスワード3桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目及び2桁目とは異なる。このため、ここではパスワード3桁目の中心座標が中心座標C3(Cx3,Cy3)として示される。
【0183】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図25Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を始点とする128×128サイズの分割領域SF3を割り当てる。すなわち、指の中心座標に基づいて、図25Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を始点とする128×128の分割領域SF3が割り当てられる。
【0184】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの4桁目のキー入力では、第2領域FG4の中心座標C4(Cx4,Cy4)に対し、検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を設定する(図25D)。ここでは、パスワード4桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目、2桁目、及び3桁目とは異なる。このため、ここではパスワード4桁目の中心座標が中心座標C4(Cx4,Cy4)として示される。
【0185】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、分割イメージを取得する指紋検出領域として、図25Dに示す検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を始点とする128×128サイズの分割領域SF4を割り当てる。すなわち、指の中心座標に基づいて、図25Dに示す検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を始点とする128×128の分割領域SF4が割り当てられる。
【0186】
このように設定した分割領域SF1,SF2,SF3,SF4の各分割イメージを取得して合成することで、認証精度が高い個人認証用の指紋イメージを生成することができる。
【0187】
(変形例)
以下、実施形態2の変形例について説明する。上述した実施形態2では、指紋認証を行う領域が任意に指定可能である例について説明したが、実施形態2の変形例では、指紋検出領域の大きさが固定されている例について説明する。
【0188】
図26Aは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第1図である。図26Bは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第2図である。図26Cは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第3図である。図26Dは、実施形態2の変形例に係る個人認証方法におけるイメージ取得領域を説明する第4図である。図26A図26B図26C図26Dにおいて、第2領域FGのサイズは、第1方向Dxに256、第2方向Dyに256の256×256サイズである。
【0189】
図26Aは、パスワードの1桁目のキー入力の際の第2領域FG1において、分割イメージを取得するための分割領域SF1を割り当てる例を示している。図26Bは、パスワードの2桁目のキー入力の際の第2領域FG2において、分割イメージを取得するための分割領域SF2を割り当てる例を示している。図26Cは、パスワードの3桁目のキー入力の際の第2領域FG3において、分割イメージを取得するための分割領域SF3を割り当てる例を示している。図26Dは、パスワードの4桁目のキー入力の際の第2領域FG4において、分割イメージを取得するための分割領域SF4を割り当てる例を示している。図26A図26B図26C図26Dにおいて、分割領域SF1,SF2,SF3,SF4は、各分割イメージを取得する際の第2領域FG1,FG2,FG3,FG4内において、相対的に指紋のスキャン方向(第2方向Dy)と当該スキャン方向とは異なる方向(第1方向Dx)との2方向に並ぶように割り当てられている。
【0190】
実施形態2の変形例では、図18に示す個人認証用データ取得処理において、検出開始座標設定部52によるステップS107、指紋検出領域設定部46によるステップS108、分割イメージ生成部47によるステップS109が実施形態1とは異なっている。以下、検出開始座標設定部52、指紋検出領域設定部46、分割イメージ生成部47の図18とは異なる処理について説明する。
【0191】
実施形態2の変形例において、検出開始座標設定部52は、パスワードの1桁目のキー入力では、第2領域FG1の中心座標C1(Cx1,Cy1)に対し、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を設定する(図26A参照)。
【0192】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図26Aに示す検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を始点とする128×128サイズの領域を割り当てる。また、指紋検出領域設定部46は、当該領域をさらにスキャン方向である上下2分割した128×64サイズの2つのサブフレームに分割し、かかるサブフレームを順次走査するよう検出制御部11に指示を出す。これを受けて検出制御部11は、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を開始点として128×64サイズの走査を実施し、その後、第2の検出開始座標(Cx1-128,Cy1-64)を第2の開始点として128×64サイズの走査を実施する。
【0193】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、2つのサブフレームの分割イメージをそれぞれ生成する。かかる分割イメージは、順次処理部50の分割イメージ受信部53に出力される。処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S1(Cx1-128,Cy1-128)を含む分割領域SF1に対応した2つのサブフレームの分割イメージをそれぞれバッファリングデータとして第1記憶部54に格納する。
【0194】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの2桁目のキー入力では、第2領域FG2の中心座標C2(Cx2,Cy2)に対し、検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を設定する(図26B参照)。ここでは、パスワード2桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目とは異なる。このため、ここではパスワード2桁目の中心座標が中心座標C2(Cx2,Cy2)として示される。
【0195】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図26Bに示す検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を始点とする128×128サイズの領域を割り当て、当該領域をさらにスキャン方向に上下2分割した128×64サイズの2つのサブフレームに分割する。すなわち、指の中心座標に基づいて、図26Bに示す検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を始点とする128×128の分割領域SF2を第2方向Dyに2分割した際の、上段の領域から順にサブフレームが割り当てられる。
【0196】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、2つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S2(Cx2,Cy2-128)を含む分割領域SF2に対応した2つのサブフレームの分割イメージをそれぞれバッファリングデータとして第1記憶部54に格納する。
【0197】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの3桁目のキー入力では、第2領域FG3の中心座標C3(Cx3,Cy3)に対し、検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を設定する(図26C参照)。ここでは、パスワード3桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目及び2桁目とは異なる。このため、ここではパスワード3桁目の中心座標が中心座標C3(Cx3,Cy3)として示される。
【0198】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図26Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を始点とする128×128サイズの領域を割り当て、当該領域をさらにスキャン方向に上下2分割した128×64サイズの2つのサブフレームに分割する。すなわち、指の中心座標に基づいて、図26Cに示す検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を始点とする128×128の分割領域SF3を第2方向Dyに2分割した際の、上段の領域から順にサブフレームが割り当てられる。
【0199】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、2つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S3(Cx3-128,Cy3)を含む分割領域SF3に対応した2つのサブフレームの分割イメージをそれぞれバッファリングデータとして第1記憶部54に格納する。
【0200】
また、検出開始座標設定部52は、パスワードの4桁目のキー入力では、第2領域FG4の中心座標C4(Cx4,Cy4)に対し、検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を設定する(図26D参照)。ここでは、パスワード4桁目を入力しているので、検出面上における指の中心座標はパスワード1桁目、2桁目、及び3桁目とは異なる。このため、ここではパスワード4桁目の中心座標が中心座標C4(Cx4,Cy4)として示される。
【0201】
このとき、検出部40の指紋検出領域設定部46は、指紋検出領域として、図26Dに示す検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を始点とする128×128サイズの領域を割り当て、当該領域をさらにスキャン方向に上下2分割した128×64サイズの2つのサブフレームに分割する。すなわち、指の中心座標に基づいて、図26Dに示す検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を始点とする128×128の分割領域SF4を第2方向Dyに2分割した際の、上段の領域から順にサブフレームが割り当てられる。
【0202】
そして、後段の分割イメージ生成部47において、2つのサブフレームの分割イメージを生成し、処理部50の分割イメージ受信部53において、検出開始座標S4(Cx4,Cy4)を含む分割領域SF4に対応した2つのサブフレームの分割イメージをそれぞれバッファリングデータとして第1記憶部54に格納する。
【0203】
このように設定した分割領域SF1,SF2,SF3,SF4に対応する各分割イメージを取得して合成することで、認証精度が高い個人認証用の指紋イメージを生成することができる。
【0204】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示このような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0205】
1 個人認証システム
1a 個人認証装置
2 検出装置
3 基板
4 配線基板
5 制御基板
6 検出回路
7 制御回路
8 個人認証回路
9 制御装置
10 センサ部
11 検出制御部
21 センサ基板
23a,23b 電極部
24 接続部
30 表示パネル
31 第1基板
32 第2基板
40 検出部
42 検出信号増幅部
43 A/D変換部
44 信号処理部
45 座標抽出部
46 指紋検出領域設定部
47 分割イメージ生成部
48 検出タイミング制御部
50 処理部
51 タッチ判定部
52 検出開始座標設定部
53 分割イメージ受信部
54 第1記憶部
55 指紋イメージ生成部
56 第2記憶部
57 第3記憶部
58 指紋認証部
59 指紋認証結果記憶部
100 表示装置
101 カバー部材
110 加飾層
151 第1選択回路
152 第2選択回路
153 第3選択回路
154 第1電極ブロック選択回路
511 パスワード記憶部
512 パスワード認証部
513 パスワード認証結果記憶部
514 個人認証部
515 個人認証結果記憶部
Vctrl 各種制御信号
VP 電源電圧
Vtx1 第1駆動信号
Vtx2 第2駆動信号
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図26D