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特許7512461エレベータシステム及び自律移動ロボットの乗降誘導方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】エレベータシステム及び自律移動ロボットの乗降誘導方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240701BHJP
   B66B 1/14 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
B66B3/00 M
B66B3/00 L
B66B1/14 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023039513
(22)【出願日】2023-03-14
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】菅野 豊明
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125198(JP,A)
【文献】特開2012-18645(JP,A)
【文献】特許第7168103(JP,B2)
【文献】特開2011-88721(JP,A)
【文献】特開2003-81544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動ロボットと無線接続されて当該自律移動ロボットの移動を制御するロボットクラウドサーバと、エレベータのかごを制御するエレベータクラウドサーバとが相互に接続されたエレベータシステムであって、
前記かご内に光線照射装置を備え、
当該光線照射装置は、乗場で乗車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、かご内の床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットのかご内への自律移動を誘導する、エレベータシステム。
【請求項2】
自律移動ロボットと無線接続されて当該自律移動ロボットの移動を制御するロボットクラウドサーバと、エレベータのかごを制御するエレベータクラウドサーバとが相互に接続されたエレベータシステムであって、
前記かご内に光線照射装置を備え、
当該光線照射装置は、前記かご内で降車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、降車階の乗場の床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットの乗場への自律移動を誘導する、エレベータシステム。
【請求項3】
前記自律移動ロボットは、光線読取センサを備え、前記光線照射装置から照射された光線ガイドを読み取り、当該光線ガイドに沿って所定位置まで自律移動する、請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記自律移動ロボットは、光線読取センサを備え、かごドアに設置されたドアセンサの光を読み取ってかごドアの戸開を認識する、請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記ロボットクラウドサーバは、
前記自律移動ロボットとの通信が途絶したか否かを判定する通信途絶判定部と、
前記通信途絶判定部により前記自律移動ロボットとの通信が途絶したと判定した場合には、前記エレベータクラウドサーバに対して前記光線照射装置による光線ガイドの照射を要請する光線照射要請部と、を備える請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記エレベータクラウドサーバは、前記エレベータクラウドサーバから前記光線ガイドの照射を要請された場合には、前記光線照射装置に対して照射指令を出力する照射指令出力部を備える請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
自律移動ロボットと無線接続されて当該自律移動ロボットの移動を制御するロボットクラウドサーバと、エレベータのかごを制御するエレベータクラウドサーバとが相互に接続されたエレベータシステムにおける自律移動ロボットの乗降誘導方法であって、
乗場で乗車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、かご内に設置された光線照射装置からかご床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットのかご内への自律移動を誘導する、自律移動ロボットの乗降誘導方法。
【請求項8】
自律移動ロボットと無線接続されて当該自律移動ロボットの移動を制御するロボットクラウドサーバと、エレベータのかごを制御するエレベータクラウドサーバとが相互に接続されたエレベータシステムにおける自律移動ロボットの乗降誘導方法であって、
前記かご内で降車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、かご内に設置された光線照射装置から降車階の乗場の床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットの乗場への自律移動を誘導する、自律移動ロボットの乗降誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステム及び自律移動ロボットの乗降誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動ロボット(以下、単に「ロボット」とも称する)はロボットクラウドサーバと無線接続され、ロボットクラウドサーバからの無線指示により建物内を走行したり、エレベータを利用したりしている。
【0003】
従来、自律移動ロボットがエレベータを利用する場合、利用者が居ないことを検知して自律移動ロボットがかごに乗車する技術がある。また、かご内に利用者とロボットが共存する場合に、ロボットが利用者を避けて降車する技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-081544号公報
【文献】特開2011-088721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自律移動ロボットがエレベータを利用する場合、エレベータが目的階(呼出階)に到着して乗車する際に、ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶することがある。また、自律移動ロボットがかご内へ乗車し戸閉した後、密閉空間であるかごにより電波が遮断され、通信が途絶えてしまうこともある。自律移動ロボットは、SLAM (Simultaneous Localization and Mapping)技術により、マップ作成及び自己位置確認を行っているものの、エレベータが目的階へ移動して戸開した後、自律移動ロボットのかご降車がスムーズに行われないこととなる。
【0006】
このように、自律移動ロボットとロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶すると、エレベータを利用した自律移動ロボットの移動ができないという問題がある。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の実施形態は、自律移動ロボットとロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶した場合にあっても、自律移動ロボットの乗降を可能にするエレベータシステム及び自律移動ロボットの乗降誘導方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための実施形態は、自律移動ロボットと無線接続されて当該自律移動ロボットの移動を制御するロボットクラウドサーバと、エレベータのかごを制御するエレベータクラウドサーバとが相互に接続されたエレベータシステムであって、前記かご内に光線照射装置を備える。
【0009】
当該光線照射装置は、乗場で乗車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、かご内の床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットのかご内への自律移動を誘導する。
【0010】
他実施形態は、当該光線照射装置は、前記かご内で降車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、降車階の乗場の床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットの乗場への自律移動を誘導する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のエレベータシステムの外観を示す構成図。
図2】実施形態のエレベータシステムにおいて自律移動ロボットが乗車する際の処理を示す説明図。
図3】実施形態のエレベータシステムにおいて自律移動ロボットが降車する際の処理を示す説明図。
図4】実施形態のエレベータシステムのシステム構成を示すブロック図。
図5A】実施形態のエレベータシステムにおいて自律移動ロボットが乗車する際の処理手順を示すフローチャート。
図5B】実施形態のエレベータシステムにおいて自律移動ロボットが乗車する際の処理手順を示すフローチャート。
図6】実施形態のエレベータシステムにおいて自律移動ロボットが降車する際の処理手順を示すフローチャート。
図7】実施形態のエレベータシステムにおいて2台の自律移動ロボットが乗車する際の処理を示す説明図。
図8】実施形態のエレベータシステムにおいて2台の自律移動ロボットが降車する際の処理を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態の構成>
図1は、実施形態のエレベータシステムの外観を示している。
【0013】
図1に示すように、エレベータシステム1を構成するかご2のドア付近には、ドアセンサ3が設置され、かごドアの戸開を検出するとともに、戸開した際に利用者及び自律移動ロボット10の乗降を検知している。ドアセンサ3としては、例えば、多光軸センサが好適である。
【0014】
また、かご2の入口ドアの天井付近には、光線照射装置4が設置されている。後述するように、光線照射装置4は、かご2内及び乗場5に光線ガイド6を照射して自律移動ロボット10の乗降時における案内として機能する。光線照射装置4は、プロジェクタ等で構成され、後述するエレベータクラウドサーバ20からの指示により、赤外線や可視光線などの光線または光点を光線ガイド6として、かご2が戸開した時点で床面に向けて照射する。
【0015】
また、乗場5の床面には、自律移動ロボット10の待機エリア7が設定され、かご2の床面にも自律移動ロボット10の待機エリア8が設置されている。また、乗場5の壁面には、利用者が操作する乗場呼びボタン9が設置されている。
【0016】
図2図3は自律移動ロボット10の乗降時の処理(自律移動ロボットの乗降誘導方法)を示している。
【0017】
自律移動ロボット10はロボットクラウドサーバ30(図4参照)からの無線操作により、かご2に対する乗降が制御されている。ロボットクラウドサーバ30との間で通信が途絶すると、自律移動ロボット10のかご2への乗降が不能になる。
【0018】
そこで、実施形態のエレベータシステム1では、図2に示すように、乗場5に居る自律移動ロボット10がかご2内に乗車する際、光線照射装置4から床面に光線ガイド6を照射して自律移動ロボット10を所定の待機エリア8まで誘導する。乗車時の処理手順は図5のフローチャートに基づいて後述する。また、図3に示すように、かご2内に居る自律移動ロボット10が乗場5に降車する際、光線照射装置4から床面に光線ガイド6を照射して自律移動ロボット10を乗場5の所定の待機エリア7まで誘導する。降車時の処理手順については図6のフローチャートに基づいて後述する。
【0019】
図4は、エレベータシステム1のシステム構成を示すブロック図である。
【0020】
同図に示すように、かご2はエレベータ制御装置40、およびエレベータクラウドサーバ20により制御されている。また、自律移動ロボット10はロボットクラウドサーバ30により制御されている。エレベータ制御装置40とエレベータクラウドサーバ20、エレベータクラウドサーバ20とロボットクラウドサーバ30、およびロボットクラウドサーバ30と自律移動ロボット10とはそれぞれ無線により相互接続されている。なお、エレベータクラウドサーバ20とロボットクラウドサーバ30とは有線により相互接続される構成でもよい。
【0021】
自律移動ロボット10は、通信部11と、ロボット指令入力部12と、通信途絶判定部13と、光線読取センサ14とを備える。
【0022】
通信部11は、ロボットクラウドサーバ30との間で無線通信により情報や指令の送受を実行する。
【0023】
ロボット指令入力部12は、自身の移動を制御するためにロボットクラウドサーバ30からのロボット指令を入力する。
【0024】
通信途絶判定部13は、ロボットクラウドサーバ30との間で通信が途絶したか否かを判定する。
【0025】
光線読取センサ14は、かご2の戸開時にドアセンサ3から照射される光線を読み取って戸開を認識するために利用される。また、光線照射装置4から照射された光線ガイド6を読み取って移動経路を認識するために利用される。センサとしては、超音波センサ、ミリ波センサ、LiDAR、ステレオカメラ等の種々のものが適用できる。
【0026】
エレベータクラウドサーバ20は、通信部21と、ロボット呼び登録部22と、呼び登録部23と、照射指令出力部24とを備える。
【0027】
通信部21は、ロボットクラウドサーバ30からのロボット呼びや光線照射装置4に対する光線照射要請等を入力する。また、エレベータ制御装置40との間での通信を実行する。
【0028】
ロボット呼び登録部22は、ロボットクラウドサーバ30から出力されたロボット呼びを登録する。
【0029】
呼び登録部23は、利用者により乗場呼びボタン9が操作されたときに乗場呼びを登録する。
【0030】
照射指令出力部24は、ロボットクラウドサーバ30から光線照射要請があった場合に、光線照射装置4に対する光線照射指令をエレベータ制御装置40を介して出力する。
【0031】
ロボットクラウドサーバ30は、通信部31と、ロボット指令出力部32と、通信途絶判定部33と、光線照射要請部34とを備える。
【0032】
通信部31は、自律移動ロボット10に対してロボット指令を出力するとともに、自律移動ロボット10からのデータを入力する。また、エレベータクラウドサーバ20に対してはロボット呼びや光線照射装置4に対する光線照射要請等を出力する。
【0033】
ロボット指令出力部32は、自律移動ロボット10に対してロボット指令を出力する。
【0034】
通信途絶判定部33は、自律移動ロボット10との間で通信が途絶したか否かを判定する。通信が途絶したと判定した場合には、光線照射要請部34に光線照射要請を出力するよう指示する。
【0035】
光線照射要請部34は、通信途絶判定部33により自律移動ロボット10との間で通信が途絶したと判定された場合に、エレベータクラウドサーバ20に対して光線ガイド6を照射するように要請する。
【0036】
エレベータ制御装置40は、かご2の走行を制御するもので、通信部41と、かご割付部42と、呼び登録部23とを備える。通信部41は、エレベータクラウドサーバ20との間の通信を実行する。かご割付部42は、呼び登録部43からの呼び登録に基づいて最適なかご2を割り付ける。呼び登録部43は、利用者により乗場呼びボタン9が操作されたときに乗場呼びを登録する。
【0037】
また、かご2は、前述したドアセンサ3と光線照射装置4とを備える。また、光線照射装置4の照射指令を入力する照射指令入力部51を備える。照射指令入力部51は、自律移動ロボット10とロボットクラウドサーバ30との間の通信が途絶した際にロボットクラウドサーバ30から出力される光線照射要請指令を入力して光線照射装置4を制御する。
<実施形態の処理手順>
《ロボット乗車時》
図5A、図5Bは、自律移動ロボット10が乗車する際の処理手順(自律移動ロボットの乗車誘導方法)を示している。図5Aに示すステップS1~S7はロボットクラウドサーバ30の処理を示している。ステップS11~S17はエレベータ側の処理を示している。ここで、エレベータ側の処理は、エレベータクラウドサーバ20、エレベータ制御装置40、およびかご2内の処理を時系列的に示している。また、図5Bに示すステップS21~S30は自律移動ロボット10の処理手順である。
【0038】
ロボットクラウドサーバ30からロボット呼びが出力されると(ステップS1)、エレベータクラウドサーバ20のロボット呼び登録部22は、ロボット呼びを登録する(ステップS11)。ロボット呼びの登録は、エレベータクラウドサーバ20から対応するエレベータ制御装置40に送信される。一方、ロボットクラウドサーバ30からロボット呼びが出力されると自律移動ロボット10は待機エリア7へ移動する(ステップS21)。ロボット呼びに応答したエレベータ制御装置40はかご2を呼出階へ移動させる(ステップS12)。かご2が呼出階に到着してかごドアが開扉すると、戸開信号が出力される(ステップS13)。戸開信号はエレベータ制御装置40からエレベータクラウドサーバ20を経由してロボットクラウドサーバ30へ出力される。
【0039】
ロボットクラウドサーバ30は、エレベータクラウドサーバ20から出力される戸開信号の受信を監視している(ステップS2)。戸開信号を受信した場合には、戸開信号を自律移動ロボット10へ出力する。
【0040】
自律移動ロボット10は、ロボットクラウドサーバ30からの戸開信号を受信したか否かを監視している(ステップS22)。受信した場合には、ロボットクラウドサーバ30に対して確認信号を出力する(ステップS23)。ロボットクラウドサーバ30は、自律移動ロボット10からの応答が有る場合には(ステップS3)、自律移動ロボット10に対して乗車を指示する(ステップS4)。自律移動ロボット10は、乗車指示信号を受信した場合(ステップS24YES)、ロボットクラウドサーバ30に対して確認信号を出力して(ステップS25)、かご2内へ移動する(ステップS26)。移動終了後、確認信号をロボットクラウドサーバ30に出力する(ステップS27)。ロボットクラウドサーバ30は、ロボットの乗車を確認すると処理を終了する(ステップS7YES)。
【0041】
自律移動ロボット10は、ステップS22において、所定時間が経過しても戸開信号を受信しない場合(ステップS28YES)、または戸開信号を受信して確認信号を出力した後、所定時間を経過しても乗車指示信号を受信しない場合には(ステップS23,S24NO,S29YES)、ロボットクラウドサーバ30との通信が途絶したものと判断する。
【0042】
一方、ロボットクラウドサーバ30は、エレベータクラウドサーバ20から戸開信号は受信したものの、自律移動ロボット10からの応答が無い場合には(ステップS3NO)、自律移動ロボット10との間の通信が途絶したと判定する(ステップS5)。そして、光線照射要請部34からエレベータクラウドサーバ20に対して、光線照射装置4の作動を要請する(ステップS6)。
【0043】
エレベータクラウドサーバ20は、光線照射装置4の作動要請が有ると(ステップS14)、照射指令出力部24からエレベータ制御装置40に対して光線照射指令を出力して、光線照射装置4に対して光線ガイド6を照射するよう指令する。かご2の照射指令入力部51は、光線照射指令を入力すると、光線照射装置4を作動させる。これにより、かご2内に光線ガイド6が照射される(ステップS15)。
【0044】
自律移動ロボット10は、光線読取センサ14を作動し、床面に照射された光線ガイド6に沿ってかご2内へ自律移動する(ステップS29YES,S30)。
【0045】
エレベータ制御装置40はロボット乗車を確認すると、かご2を目的階へ移動させる(ステップS16,S17)。ロボットクラウドサーバ30はロボット乗車を確認すると処理を終了する(ステップS7)。
【0046】
《ロボット降車時》
図6は、自律移動ロボット10が降車する際の処理手順(自律移動ロボットの降車誘導方法)を示している。図6に示すステップS41~S43はロボットクラウドサーバ30、ステップS51~S53はエレベータ側の処理(エレベータクラウドサーバ20、エレベータ制御装置40、およびかご2の処理)、ステップS61~S65は自律移動ロボット10の処理手順である。
【0047】
かご2内に自律移動ロボット10が乗車した状態で目的階に到着すると(ステップS41YES,S51YES)、ロボットクラウドサーバ30は自律移動ロボット10に対して降車を指示する(ステップS42)。
【0048】
自律移動ロボット10は、ロボットクラウドサーバ30から降車指示が有ると(ステップS61YES)、降車する。降車が終了すると、降車終了信号を出力する(ステップS65)。
【0049】
自律移動ロボット10は、ロボットクラウドサーバ30から降車指示が無いとき、所定時間が経過すると(ステップS61NO,S62YES)、自律走行に移動する。そして、光線読取センサ14を作動してドアセンサ3の光線を検出してかごドアの戸開を確認した後、光線ガイド6に沿って乗場5へ移動する(ステップS63)。降車が終了すると、降車終了信号を出力して処理を終了する(ステップS64YES,S65)。
【0050】
エレベータ制御装置40およびエレベータクラウドサーバ20は、自律移動ロボット10の降車が確認されると(ステップS52)、降車終了信号を出力して処理を終了する(ステップS53)。
【0051】
このように、本実施形態によれば、ロボットクラウドサーバ30と自律移動ロボット10との間の通信が途絶えた場合、自律移動ロボット10は、かご2内に設置された光線照射装置4からの光線ガイド6に沿ってかご2の乗降を実施することができる。このため、通信途絶時、通信復帰を待たずにかご内外へ速やかに移動することができ、自律移動ロボット10が乗場5やかご2内で立ち往生して移動できない状態を回避することができる。また、マップのズレや通信途絶によるオペレーションの中断を防ぎ、時間のロスやサービス低下を抑制することができるという効果を奏する。
<変形例>
図7図8は自律移動ロボットが2台の場合の乗降を示している。なお、基本的なシステム構成は図4と同様であるため、図示は省略する。
【0052】
図7に示すように、乗場5には、第1自律移動ロボット10Aと第2自律移動ロボット10Bが乗車待機している。この状態で自律移動ロボット10とロボットクラウドサーバ30との間の通信が途絶すると、図2と同様、2台の自律移動ロボット10A,10Bの移動経路を光線ガイド6A,6Bによって示し、かご2内の待機エリア8A,8Bにそれぞれ移動するように制御する。
【0053】
また、図8に示すように、かご2内には第1自律移動ロボット10Aと第2自律移動ロボット10Bが降車待機している。この場合も図3と同様、2台の自律移動ロボット10A,10Bの移動経路を光線ガイド6A,6Bによって示し、乗場5の待機エリア7A,7Bにそれぞれ移動するように制御する。
【0054】
このように、複数台の自律移動ロボット10A,10Bが乗降する場合に通信途絶が発生しても、それぞれの自律移動ロボット10A,10Bは光線ガイド6A,6Bに沿って待機エリア7A,7Bまたは8A,8Bに移動することが可能になる。
<他の変形例>
上述した実施形態では、自律移動ロボット10はドアセンサ3の光線を光線読取センサ14により読み取ることでかごドアの戸開を認識するようにしたが、かご2内の照明の消灯、かご2内の無音状態を検知することで、かごドアの戸開と判断するようにしてもよい。また、自律移動ロボット10がかご2内の到着アナウンス、戸開アナウンスを聞き取ることで、目的階への到着、戸開を認識するようにしてもよい。さらに、自律移動ロボット10の光線読取センサ14として、カメラが搭載されている場合には、かご内表示装置の表示画面を撮像することで、目的階への到着、戸開を認識するようにしてもよい。
【0055】
また、プロジェクタ等で構成された光線照射装置4による光線、光点による光線ガイド6に代えて、床面に設置した発光体からの発光により自律移動ロボット10の移動経路を示すようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…エレベータシステム、2…かご、3…ドアセンサ、4…光線照射装置、5…乗場、6,6A,6B…光線ガイド、7,7A,7B,8,8A,8B…待機エリア、9…乗場呼びボタン、10…自律移動ロボット、10A…第1自律移動ロボット、10B…第2自律移動ロボット、11…通信部、12…ロボット指令入力部、13…通信途絶判定部、14…光線読取センサ、20…エレベータクラウドサーバ、21…通信部、22…ロボット呼び登録部、23…呼び登録部、24…照射指令出力部、30…ロボットクラウドサーバ、31…通信部、32…ロボット指令出力部、33…通信途絶判定部、34…光線照射要請部、40…エレベータ制御装置、41…通信部、42…かご割付部、43…呼び登録部、51…照射指令入力部
【要約】
【課題】自律移動ロボットとロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶した場合にあっても、自律移動ロボットの乗降を可能にする。
【解決手段】自律移動ロボットと無線接続されて当該自律移動ロボットの移動を制御するロボットクラウドサーバと、エレベータのかごを制御するエレベータクラウドサーバとが相互に接続されたエレベータシステムであって、前記かご内に光線照射装置を備える。当該光線照射装置は、乗場で乗車を待機している前記自律移動ロボットと前記ロボットクラウドサーバとの間の通信が途絶したとき、かご内の床面に光線ガイドを照射して当該自律移動ロボットのかご内への自律移動を誘導する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8