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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】眼内レンズインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023125428
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2020571634の分割
【原出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2023133462
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】62/696,078
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ブレント ウェンスリッチ
(72)【発明者】
【氏名】トッド テイバー
(72)【発明者】
【氏名】レン タクズワ マガラ
(72)【発明者】
【氏名】チエン リウ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-103809(JP,A)
【文献】特表2008-535573(JP,A)
【文献】特表平11-513576(JP,A)
【文献】特開2006-297146(JP,A)
【文献】特表平8-505540(JP,A)
【文献】特表2013-523193(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119787(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ(IOL)インジェクタであって、
インジェクタ本体であって、
主要本体であって、
ボア、及び
前記ボアによって画定され、遠位部分及び近位部分を含む内壁、
を備える主要本体と、
前記主要本体の遠位端に結合されたノズルであって、
前記ボアと流体連通する通路、及び
前記通路と流体連通する遠位開口部、
を備えるノズルと
を備えるインジェクタ本体
前記ボアに受け入れられたプランジャであって、
プランジャ本体と、
前記プランジャ本体の遠位端に結合されたプランジャロッドと、
前記プランジャロッドの遠位端に形成され、IOLに接触するように適合されたプランジャ先端と
を備え、前記内壁及び前記プランジャ本体の一方がねじ面を含み、前記内壁及び前記プランジャ本体の他方が、前記プランジャ本体の軸方向の動き又は回転に応答して前記ねじ面と係合して前記プランジャの軸方向の動きを生成するように適合された特徴部を含む、
プランジャ、並びに、
前記プランジャに取り外し可能に結合可能であり、前記ねじ面と、前記ねじ面と係合するように適合された前記特徴部の係合を防止するように適合されたプランジャキャップを備える、眼内レンズ(IOL)インジェクタ。
【請求項2】
前記内壁が遠位部分及び近位部分を備え、前記ねじ面又は前記ねじ面に係合するように適合された前記特徴部が前記内壁の前記遠位部分に配置される、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項3】
前記ねじ面に係合するように適合された前記特徴部が第2のねじ面である、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項4】
前記ねじ面が、前記主要本体に沿って変化するピッチを含む、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項5】
前記ピッチが前記主要本体の近位端でより広く、前記主要本体の遠位端でより狭い、請求項4に記載のIOLインジェクタ。
【請求項6】
前記プランジャが、前記プランジャ本体から回転的に切り離されるフランジをさらに備える、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項7】
前記内壁が遠位部分及び近位部分を含み、前記プランジャが、前記プランジャ先端が前記ノズル内の格納位置に近位に隣接する第1の位置から、前記プランジャ先端が滞留位置に近位に隣接する第2の位置まで、前記内壁の前記近位部分に沿って前記ボアを通ってスライド可能であり、前記第2の位置が、前記ねじ面及び前記ねじ面に係合するように適合された前記特徴部の最初の係合に対応する、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項8】
前記インジェクタ本体が、1つ又は複数の指によって係合されるように適合された1つ又は複数のタブをさらに備える、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項9】
前記1つ又は複数のタブが、前記インジェクタ本体の近位端よりも前記インジェクタ本体の遠位端の近くに配置される、請求項8に記載のIOLインジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年7月10日に提出された米国仮特許出願第62/696,078号明細書の利益を主張する。
【0002】
本開示は、眼科手術、より具体的には、眼内レンズ(IOL:intraocular lens)インジェクタ及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
眼科学において、眼の手術、又は眼科手術は、毎年数万人の患者の視力を救い、改善している。しかしながら、目の小さな変化に対する視力の感受性と、多くの目の構造の微細で繊細な性質を考えると、眼科手術は至難の業であり、軽微又はまれな手術ミスの減少又は外科技術の精度のささやかな改善が、手術後の患者の視力に大きな違いをもたらし得る。
【0004】
光は、眼の外側部分に位置し且つ瞳孔及び虹彩を覆う透明な角膜を通って人間の眼に入る。光は瞳孔を通って進み、虹彩の後ろに位置する水晶体に当たる。光が水晶体を通って移動するとき、水晶体は光を屈折させて、眼の後部に位置する網膜で光が焦点を合わせるようにする。網膜の特殊な細胞が光を検出し、光に基づいて視神経を介して脳に信号を送る。脳は信号を視覚として解釈する。
【0005】
したがって、視覚の質は、角膜及び水晶体の透明性及び屈折特性を含む多くの要因によって影響を受ける。残念ながら、人が年を取るにつれ、又は外傷若しくは病気のために、水晶体の透明度が低下し、白内障が発症する可能性がある。白内障は視力の低下を引き起こし、しばしば外科的に矯正される。一部の白内障手術中、水晶体は外科的に除去され、人工眼内レンズ(IOL)で置き換えられる。
【0006】
多くの白内障水晶体は、水晶体超音波乳化吸引術と呼ばれる外科的技術によって除去される。この処置の間に、前嚢に開口部が作られ、水晶体超音波乳化吸引術のカッティングチップが患部の水晶体に挿入され、超音波で振動させられる。振動するカッティングチップは水晶体を液化又は乳化し、水晶体を目から吸引できるようにする。患部の水晶体は、除去されると、眼内レンズ(IOL)とも呼ばれる人工レンズに置き換えられる。
【0007】
IOLは小さな切開を通して眼に注入され、時折、患部の水晶体を除去するために使用されたのと同じ切開を通して眼に注入される。IOLインジェクタが、IOLを眼に送達するために使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本開示は、インジェクタ本体及びインジェクタ本体に受け入れられたプランジャを含む眼内レンズ(IOL:intraocular lens)インジェクタに関する。インジェクタ本体は、主要本体と、主要本体の遠位端に結合されたノズルとを含み得る。主要本体は、ボアと、ボアによって画定される内壁とを含み得る。内壁は、遠位部分及び近位部分を含み得る。ノズルは、ボアと流体連通する通路と、通路と流体連通する遠位開口部とを含み得る。プランジャは、プランジャ本体、プランジャ本体の遠位端に結合されたプランジャロッド、及びプランジャロッドの遠位端に形成され、IOLに接触するように適合されたプランジャ先端を含み得る。内壁及びプランジャ本体の一方はねじ面を含み得、内壁及びプランジャ本体の他方は、プランジャ本体の軸方向の動き又は回転に応答してねじ面と係合してプランジャの軸方向の動きを生成するように適合された特徴部を含み得る。内壁は、遠位部分及び近位部分を含み得、ねじ面又はねじ面に係合するように適合された特徴部は、内壁の遠位部分に配置され得る。ねじ面に係合するように適合された特徴部はピンである。ねじ面に係合するように適合された特徴部は、第2のねじ面であり得る。アパーチャを内壁を通して形成することができ、ピンは、アパーチャ内に取り外し可能に受け入れられるように適合させることができる。ピンは、アパーチャ内に配置されると、ねじ面及びねじ面と係合するように適合された特徴部が互いに係合して、プランジャ本体の軸方向の動き又は回転に応答してプランジャの軸方向の動きを生成するのを防ぐように適合され得る。ねじ面は、主要本体に沿って変化するピッチを含み得る。ピッチは、主要本体の近位端でより広く、主要本体の遠位端でより狭くてもよい。プランジャはまた、プランジャ本体から回転的に切り離されたフランジを含み得る。
【0009】
ねじ面に係合するように適合された特徴部はピンであり得;内壁は遠位部分及び近位部分を含み得;ねじ部分は内壁の遠位部分に形成され得;プランジャはピンを含み得;内壁の近位部分は、主要本体の近位端からねじ部分の近位端まで延びるトラックを含み得る。ピンはトラックに受け入れ可能であり得、それに沿って移動可能であり得る。内壁は、遠位部分及び近位部分を含み得る。プランジャは、プランジャ先端がノズル内の格納位置に近位に隣接する第1の位置から、プランジャ先端が滞留位置に近位に隣接する第2の位置まで、内壁の近位部分に沿ってボアを通ってスライド可能であり得る。第2の位置は、ねじ面及びねじ面に係合するように適合された特徴部の最初の係合に対応し得る。
【0010】
圧潰可能部分を主要本体とノズルとの間に配置することができ、圧潰可能部分は、圧潰された構成と圧潰されていない構成との間で移動可能である。圧潰可能部分は、第1のスリーブと、第1のスリーブに伸縮自在に受け入れられた第2のスリーブとを含み得る。圧潰可能部分は、第1のスリーブが第2のスリーブに対して第1の位置にある圧潰されていない構成から、第1のスリーブが第2のスリーブに対して第2の位置にある圧潰された構成に移動可能であり得る。プランジャ先端は、圧潰可能部分が圧潰されていない構成から圧潰された構成に移動するときに、第1のプランジャ先端位置から、第1のプランジャ先端位置の遠位の第2のプランジャ先端位置に移動可能であり得る。プランジャは、圧潰可能部分が圧潰されていない構成から圧潰された構成に移動されるとき、主要本体に対して静止したままであり得る。プランジャキャップが、プランジャに取り外し可能に結合され、ねじ面と、ねじ面と係合するように適合された特徴部の係合を防止するように適合され得る。インジェクタ本体は、1つ又は複数の指によって係合されるように適合された1つ又は複数のタブを含み得る。タブは、インジェクタ本体の近位端よりもインジェクタ本体の遠位端の近くに配置することができる。
【0011】
本開示及び関連する特徴及び利点をより完全に理解するために、ここで添付の図面と併せて以下の記載を参照する。図面は一定の縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
図2図1の例示的なIOLインジェクタの長手方向断面図である。
図3】例示的なワンピースIOLを示す。
図4】基部及び光学部品を含む例示的なツーピースIOLを示す。
図5】IOLインジェクタの例示的なノズルの斜視図である。
図6図5に示されるIOLインジェクタの例示的なノズルの断面図である。
図7】IOLインジェクタのノズルの遠位先端の例示的な断面図である。
図8】例示的なノズルの詳細図である。
図9】滞留位置に配置されたIOLを示す例示的なノズルの断面の別の詳細図である。
図10】プッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを有し、プランジャのねじ面がインジェクタ本体のねじ面と部分的に係合している例示的なIOLインジェクタの断面図である。
図11A】プッシュ及びスクリュードライブの組み合わせとハードストップを有する例示的なIOLインジェクタの主要本体の断面図である。
図11B】ノズルが省略された例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
図12】例示的な可変ピッチねじを示す。
図13A】プランジャがインジェクタ本体から取り外されている、プッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを有する例示的なIOLインジェクタを示す。
図13B図13AのIOLインジェクタを示し、プランジャがインジェクタ本体に形成されたボアに挿入されており、ストップピンがインジェクタ本体に受け入れられている。
図13C図13AのIOLインジェクタを示し、プランジャがインジェクタ本体に形成されたボアに挿入され、ストップピンがインジェクタ本体に形成されたアパーチャから取り外されている。
図13D図13AのIOLインジェクタを示し、インジェクタ本体に形成されたボア内でプランジャが完全に前進した状態である。
図13E図13Dの線13E-13Eに沿って取られた図13AのIOLインジェクタの部分断面図であり、インジェクタ本体に形成されたボア内で完全に前進したプランジャを示す。
図14A】プッシュ及びスクリュードライブの組み合わせと圧潰可能部分とを有する例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
図14B図14Aの例示的なIOLインジェクタの部分断面図を示す。
図14C】圧潰可能部分が作動されている、図14Aの例示的なIOLインジェクタの部分断面図である。
図14D図14Aの例示的なIOLインジェクタの部分断面図であり、圧潰可能部分が作動され、プッシュ及びスクリュードライブが作動されている。
図15】IOLインジェクタを使用する方法の例である。
図16】IOLインジェクタを使用する別の例示的な方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記載において、開示された主題の考察を促すために、例として詳細が示されている。しかしながら、開示された実践形態は例示的なものであり、すべての可能な実践形態を網羅しているわけではないことは、当業者には明らかであるはずである。
【0014】
本開示の原理の理解を促す目的で、ここで、図面に示されている実践形態を参照し、特定の言語を使用してそれを記載する。それにもかかわらず、本開示の範囲の制限は意図されていないことが理解されよう。記載された装置、器具、方法に対する任意の変更及びさらなる修正、並びに本開示の原理の任意のさらなる適用は、本開示が関係する技術分野の熟達者が通常思い付くように完全に想定される。特に、1つの実践形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実践形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせることができることが完全に想定される。
【0015】
本開示は、眼科手術、より具体的には、眼内レンズ(IOL)インジェクタに関する。
【0016】
水晶体超音波乳化吸引術による白内障水晶体の除去に続いて、白内障水晶体は、本明細書においてIOLと呼ばれる人工レンズに置き換えられる。IOLは通常、患部の水晶体を除去するために使用されたのと同じ小さな切開を通して眼に注入される。IOLインジェクタはIOLを眼の中に送達するために使用される。
【0017】
図1及び2は、例示的なIOLインジェクタ10の概略図である。IOLインジェクタ10は、インジェクタ本体20を有する。インジェクタ本体20は、近位端50及び遠位端22を有する主要本体21を含む。インジェクタ本体20は、近位端23及び遠位端60を有するノズル25を含む。ノズル25は通路31を画定する。インジェクタノズル25の近位端23は、主要本体21の遠位端22に結合される。ノズル25の近位部分は、眼に挿入する前にIOL70を収容するように動作可能なキャビティ81を画定するIOL格納区画80を含む。ノズル25はまた、IOLがIOLインジェクタ10から送達される開口部29を画定する遠位先端27を含む。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、格納区画80は、IOL格納位置808を画定する。格納区画80は、近位端26及び遠位端24を有し、IOL格納区画80の近位端26は、主要本体21の遠位端22に結合されている。いくつかの例では、IOL格納区画80へのアクセスを提供するためにドア90が含まれ得る。ドア90は、IOL格納区画80を開くためにドア90をヒンジ100の周りで回動できるようにヒンジ100を含み得る。インジェクタ本体20は、開口部29と接合し且つ流体連通するボア40を画定する。長手方向軸75が、ボア40に沿って延びる。ボア40は主要本体21及びノズル25を通って延びる。主要本体21内のボアの部分は主要本体ボアと呼ぶことができ、ノズル25内のボアの部分はノズルボアと呼ぶことができる。インジェクタ本体20はまた、例えば、主要本体21の近位端50に形成されたタブ110を含み得る。他の構成が可能である。例えば、他の実践形態では、タブ110は、主要本体21の遠位端22に配置され得る。タブ110は、ボア40を通してプランジャ30(以下で考察する)を前に進めるために、眼科医又は他の医療専門家などのユーザの指によって操作され得る。
【0018】
いくつかの実践形態では、例えば図14Aに示されるように、一方のタブ110は、もう一方のタブ110よりも短い距離、インジェクタ本体20から(例えば、長手方向軸75から垂直に)延び、その結果、ユーザは一方の手でIOLインジェクタ本体20を快適に保持する一方、もう一方の手でプランジャ本体200を回転することができる。いくつかの実践形態では、タブ110の少なくとも1つは2.0cm未満の長さを有し得る。
【0019】
いくつかの実践形態では、IOLインジェクタ10の様々な操作、及び様々な方法ステップは、1人の人によって、又は複数の人によって実行され得る。例えば、本明細書に記載の方法のいくつかのステップは看護師によって実行され得るが、他のステップは眼科手術医によって実行され得る。例えば、IOLインジェクタ10のインジェクタ本体20内のIOL70を格納位置808から(例えば、図9に示されるような)滞留位置809に前進させることは看護師によって実行され得る一方、眼へのIOL70の注入は手術医によって実行され得る。
【0020】
IOLインジェクタ10はまた、ボア40内に受け入れられ且つその中で移動可能なプランジャ30を含み、その結果、プランジャ30はボア40内でスライド可能である。プランジャ30がボア40内で遠位方向に変位すると、プランジャ30は区画80に含まれるIOL70などのIOLと係合し、IOLを前進させる。
【0021】
図2に示すように、プランジャ30は、プランジャ本体200と、プランジャ本体200から遠位に延びるプランジャロッド210と、プランジャロッド210の遠位端230に形成され、例えば、IOLインジェクタ10のIOL格納区画80内に配置されたIOLに接触するように適合されたプランジャ先端220とを含む。プランジャ30はまた、プランジャ本体200の近位端250に形成されたフランジ240を含み得る。プランジャ30は、矢印78の方向にプランジャ30に加えられた軸方向の力に応答して、ボア40に沿って移動可能である。軸方向の力は、ユーザの親指などによってフランジ240に加えられ得る。
【0022】
本明細書に記載のいくつかの実践形態では、プランジャ30の様々な部分は、IOLインジェクタ10のインジェクタ本体20内で互いに物理的に分離又は切り離され得る。例えば、いくつかの実践形態では、プランジャ本体200は、プランジャロッド210から物理的に分離又は切り離され得る。プランジャ30の様々な部分が互いに物理的に分離又は切り離される様々な実践形態において、IOLインジェクタ10の追加の構成要素は、プランジャ30の一部の動きを、プランジャ30の別の部分の動きに応答して作動させることができる。
【0023】
いくつかの実践形態では、IOL70はワンピースのIOLであり得る。すなわち、いくつかの実践形態では、IOL70は、図3に示されるように、光学部品460及び触覚部品450を含み得る。触覚部品450のそれぞれは、先端452を含む。いくつかの実践形態では、光学部品460及び触覚部品450は、単一の材料片から一体的に形成され得る。他の実践形態では、光学部品460は一片の材料から形成され得、触覚部品450は別の材料片、及び光学部品460から形成され得、触覚部品450は、眼に送達される前に一緒に結合され得る。いくつかの例では、光学部品460及び触覚部品450は、IOLインジェクタに挿入されて眼の中に送達される前に、互いにしっかりと固定され得る。光学部品460は、遠位エッジ462及び近位エッジ463を含む。
【0024】
他の実践形態では、IOL70はマルチピースのIOLであり得る。例えば、一部の実践形態では、IOL70は2つ以上の個別の構成要素を含む。図4は、2つの取り外し可能に取り付けられた構成要素を含む例示的なIOL70である。図4に示されるように、IOL70は、光学部品460と、触覚部品450を含む基部461とを含む。光学部品460及び基部461は、一体型IOLへ一緒に結合されて、その後、必要に応じて、別個の構成要素へ互いに分離されるように適合される。いくつかの例では、例えば、図4に示されるツーピースIOL70などのマルチピースIOLの1つ又は複数の構成要素は、患者の眼に別々に注射可能である。眼に入ると、それら構成要素を完全なIOLに組み立てることができる。例えば、図4に示されるツーピースIOL70、光学部品460及び基部461は、眼に別々に注射可能である。注入されると、光学部品460は、基部461に結合され、その上に載るように適合される。基部461は、遠位エッジ464及び近位エッジ465を含む。光学部品460は、遠位エッジ467及び近位エッジ468を含む。
【0025】
時折、患者はIOLの交換を必要とし得、そしてIOLを交換する処置は眼に損傷を与える可能性がある。例えば、ツーピースIOLを使用する場合、交換処置は、光学部品のみを交換して、基部を眼内の所定の位置に残すことができる。
【0026】
上で説明したように、いくつかの実践形態では、IOL70は、基部461及び光学部品460が患者の眼に別々に注入されるツーピースIOLであり得る。したがって、ツーピースIOLの場合、基部461と光学部品460は、眼に挿入するために別々のIOLインジェクタ10に含まれていてもよい。他の実践形態では、ツーピースIOLのそれら2つの構成要素は、単一のIOLインジェクタを使用して別々に眼に挿入することができる。単一ピースIOLの場合、光学部品460と触覚部品450は一体型IOLを形成し、単一IOLインジェクタを使用して同時に眼に挿入される。
【0027】
したがって、いくつかの実践形態では、ユーザは、例えば、上記のIOLインジェクタのIOL格納区画80などのIOLインジェクタのIOL格納区画にIOLをロードすることによって、ワンピースIOLをIOLインジェクタに配置することができる。同じく説明されるように、格納区画は、ドア90などのドアを介してアクセスされ得る。いくつかの実践形態では、IOLは、IOLインジェクタにインストールする前に、圧縮又は折り畳み構成に手動で折り畳むことができる。
【0028】
ツーピースIOLの場合、いくつかの実践形態では、ユーザは、例えばドアを介して、基部(基部461に類似し得る)をIOLインジェクタのIOL格納区画にロードすることができる。の光学部品(光学部品460に類似し得る)は、例えばドアを介して、別個のIOLインジェクタのIOL格納区画に導入することができる。いくつかの例では、IOL格納区画は、ドア90と同様のドアを介してアクセスすることができる。いくつかの実践形態では、基部及び光学部品の一方又は両方は、IOLインジェクタにインストールする前に、圧縮又は折り畳み構成に手動で折り畳むことができる。
【0029】
いくつかの実践形態では、IOLは、例えば、製造中又はエンドユーザに配布する前に、IOLインジェクタの格納区画にプリロードすることができる。したがって、ワンピースIOLの場合、ワンピースIOLは、エンドユーザが受け取る前に、格納区画IOLインジェクタにプリロードすることができる。ツーピースIOLの場合、基部を1つのIOLインジェクタの格納区画にプリロードできる一方、光学部品を別のIOLインジェクタのIOL格納区画にプリロードすることができる。本明細書で使用される「プリロードされた」という用語は、ワンピース又はマルチピース構成(例えば、ツーピース構成を含む)のいずれかのIOLが、ユーザによってIOLインジェクタにロードされるのではなく、IOLは、ユーザがIOLインジェクタを受け取ったときに、IOLインジェクタにインストールされ、すでに含まれていることを意味する。例えば、IOLは、製造する間及びIOLインジェクタがエンドユーザに出荷される前、インストールすることができる。IOLインジェクタは、ユーザが受け取るときに無菌包装内に包装されていてもよい。
【0030】
当業者によって理解され得るように、IOLインジェクタにプリロードされたIOLは、ユーザによって実行されるIOLインジェクタへのIOLの手動インストール及び折り畳みを凌ぐ利点を有する。例えば、IOLを手動でインストールして折り畳むと、エラーが発生する可能性が高くなり、すでに複雑な処置の間に不要な二次操作や修正が発生する可能性がある。IOLの手動インストール及び折り畳みは、人為的ミスや不十分な無菌技術などによるIOLの汚染の可能性を取り込む可能性もある。IOLの汚染は、患者の無菌環境を損ない、感染やその他の患者への危害のリスクをもたらす可能性がある。
【0031】
図5~7は、例示的なノズル25の詳細を示している。いくつかの例では、ノズル25は、先細状の外面を有する。さらに、ノズル25の通路31は、ボア40の一部を形成し得る。通路31は、開口部29に向かって先細になっている。遠位先端27は、IOLを植え込むことができるように眼に挿入するように適合されている。IOLは、遠位先端27に形成された開口部29から放出される。図7に示されるように、遠位先端27は、楕円形の断面を有し得る。さらに、遠位先端27は、面取りされた先端130を含み得る。格納区画80のキャビティ81、通路31、及び開口部29は、送達通路127を画定し得る。送達通路127のサイズは、その長さに沿って変化し得る。すなわち、いくつかの例では、送達通路127の高さH1は、その長さに沿って変化し得る。送達通路127のサイズの変動は、IOLがそれに沿って前進するにつれて、IOLの折り畳みに寄与する可能性がある。
【0032】
いくつかの例では、インジェクタ本体20は、挿入深度ガード140を含み得る。挿入深度ガード140は、眼の外側表面に当接するように適合されたフランジ面150を形成し得る。挿入深度ガード140は、眼の表面に当接し、それにより、その開示内容が参照により完全な形で本明細書に組み込まれている米国特許出願第15/049,315号に記載されているように、遠位先端27が眼内に延びることができる量を制限する。
【0033】
図8は、例示的なノズル25の一部の詳細図である。ノズル25は、先細部分62及び挿入深度ガード140を含み得る。遠位先端27は、折り畳まれた又は部分的に折り畳まれたIOL70の滞留位置809(例えば図9に示される)の視覚的指示を提供する境界1900を含み得る。本明細書で使用される際「滞留位置」という用語は、IOLがIOLインジェクタから排出される前に存在し得るノズル25の遠位端60に隣接する位置を指す。例えば、いくつかの実践形態では、滞留位置809は、遠位端60から2mmから10mmの間の位置であり得る。IOLは、外科的処置の前に滞留位置に配置され得る。IOLは、使用のためにIOLインジェクタを準備する看護師又は他の医療専門家などによって、滞留位置に配置され得る。滞留位置にIOLを配置すると、IOLを部分的又は完全に折り畳むことができ、医師が患者の眼の中にIOLを植え込むためにIOLを手中に収めたときにIOLの移動距離を短くすることができる。したがって、滞留位置に配置されたIOLを配置することは、医師がIOLインジェクタを手中に収めたときに医師がより迅速に外科的処置を実行できるようにする、外科的処置の助手によって実行される準備ステップであり得る。例えば、図8に示す例では、境界1900は、ノズル25の全部又は一部を取り囲む細い隆起又は線である。いくつかの例では、境界1900は、窪み又は溝又は突出する隆起などによって、ノズル25に形成され得る。他の実践形態では、境界1900は、製造中又はその後のある時点でなど、ノズル25を形成する材料に適用される塗料又は他のコーティング又は付加物又はインサートによって形成され得る。いくつかの例では、境界1900は、先細部分62と挿入深度ガード140との間に配置され得る。深度ガード140が省略される実践形態では、境界1900は、遠位先端27と先細部分62との間に配置され得る。インジェクタ本体20の少なくとも一部は、ユーザがインジェクタ本体20内のIOLを見ることができるようにする透明又は半透明の材料から形成され得る。特に、インジェクタ本体20のノズル25は、IOLがプランジャ30によってそれを通って移動するときに、IOLの観察を可能にするため透明な材料から形成され得る。
【0034】
図9は例示的なノズル25の図を示し、IOL70が滞留位置809でその中に配置されている。プランジャ220は、近位エッジ463、465、又は468に接触して示される。図9に示されるように、IOL70の滞留位置809は、IOL70の光学部品460の遠位エッジ462が境界1900と整列する位置として定義され得る。基部461及び光学部品460が別々に眼に植え込まれる、図4に示されるIOL70などツーピースIOLの場合、ツーピースIOL70の滞留位置809は、光学部品460の遠位エッジ467又は基部461の遠位エッジ464が境界1900と整列する位置として定義され得る。触覚部品450又はその一部は、境界1900を越えて延び得る。さらに、図9は触覚部品450を含むものとしてIOL70を示しているが、図9に示されているIOL70はまた、触覚部品を省略する、図4に示されるツーピースIOL70などのツーピースIOLの光学部品460を表し得る。
【0035】
眼の組織及び構造の感受性及び繊細さのために、ユーザが、許容可能なピーク又は最大速度及び力でIOLインジェクタを介してIOL70を前進させることができることが重要である。いくつかの既存のIOLインジェクタでは、IOLを折り畳んで眼の中に進めるとき、通常、IOLがIOLインジェクタから放出される直前に、例えばユーザが適用しなければならない高いピーク軸方向力がある。しかしながら、IOLがIOLインジェクタから出現し始めると、IOLを前進させ続けるために必要な力は急速に減少する。その結果、場合によっては、IOLを前進させるために必要なより大きな変化力により、IOL70が制御しにくい方法で高速で排出される可能性がある。例えば、ユーザは、IOLの前進に関連する抵抗の変化に十分に迅速に反応できない場合がある。IOLインジェクタからIOLを放出する直前にIOLが経験する前進に対する抵抗の変化、及びIOLインジェクタからのIOLの急速な排出を回避するために、これらの抵抗の変化に迅速に反応する際にユーザが経験する困難は、IOLインジェクタの、最終的にはIOL送達のユーザ制御を低減し得る。IOLを送達する際の課題には、ユーザの相互作用によって加えられる力の大きさが一定であり、再現性があり、所望のレベルであることを保証することが含まれる。また、直感的で、様々なレベルのスキルと技術を持つユーザが利用できるIOLインジェクタを用意することも重要である。
【0036】
本開示は、IOLインジェクタを通してIOLを前進させるように動作可能なプッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを有するIOLインジェクタを記載する。本開示のIOLインジェクタは、プランジャのフランジの軸方向の押し込み又はプランジャのプランジャ本体の回転のいずれかに応答してIOLを前進させるように適合されたねじ部分を有するプッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを有する。
【0037】
図10は、プッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを有する例示的なIOLインジェクタ10の部分断面図である。IOLインジェクタは、インジェクタ本体20を含む。インジェクタ本体20は、近位端50及び遠位端22を有する主要本体21と;近位端23及び遠位端60を有するノズル25であって、ノズル25の近位端23は主要本体21の遠位端22に結合されているノズル25と;インジェクタ本体20を通って延びるボア40とを含む。長手方向軸75は、ボア40に沿って延びる。図10には示されていないが、IOLインジェクタ10はまた、上記の格納区画80と同様の格納区画を含み得、及び、格納区画にアクセスするために、例えば、IOLを格納区画のキャビティにインストールするため又はそこからIOLを取り出すために、ドア90と同様であり得るドアも含み得る。
【0038】
主要本体21は、近位の非ねじ部分1401及び遠位のねじ部分1402を有する内壁1203を含む。ねじ部分1402は、以下プランジャねじ1404と呼ばれ、以下でより詳細に記載される、プランジャ上に形成されたねじ面と係合するように適合された、以下ボアねじ1403と呼ばれるねじ面を含む。このねじ係合は、プランジャの回転に応答してプランジャの軸方向変位を提供する。
【0039】
IOLインジェクタ10はまた、ボア40内で移動可能にプランジャ30を含む。いくつかの例では、ボア40、したがってプランジャ30は、インジェクタ本体20内に同心円状に配置され得る。プランジャ30は、プランジャ本体200と;プランジャ本体200の遠位端202から延びるプランジャロッド210と;プランジャロッド210の遠位端222に形成され、IOLに接触するように適合されたプランジャ先端220と;インジェクタ本体200の近位端250に配置されたフランジ240とを含む。プランジャねじ1404は、インジェクタ本体200の少なくとも一部に沿って形成される。プランジャねじ1404は、主要本体21の内壁1203に形成されたボアねじ1403と係合し、主要本体21に対するプランジャ30の回転に応答してインジェクタ30を軸方向に前進させるように噛み合い式に作られている。プランジャロッド210は、例えばアクスル1405によって、プランジャ本体200から回転的に切り離され、その結果、プランジャ本体200の回転がプランジャロッド210の回転を引き起こさないようにする。プランジャ本体210に対するプランジャ本体200の回転を可能にする他のタイプのリンケージを使用することもできる。
【0040】
プランジャ本体200は、矢印78の方向にプランジャ30、例えばフランジ240に加えられた軸方向の力に応答して、インジェクタ本体200のプランジャねじ1404が主要本体21のボアねじ1403と係合するまで、ボア40の非ねじ部分1401内でスライド可能に移動可能である。ねじ面が係合されると、プランジャ本体200は、矢印78の方向にプランジャ30、例えばフランジ240に加えられた軸方向の力に応答して、又は、プランジャ本体200の回転、例えば矢印75の方向の回転に応答して、ボア40のねじ部分1402内で回転可能に且つ軸方向に移動可能である。
【0041】
ノズル25は、IOL格納位置808及びIOL格納位置808の遠位にあるIOL滞留位置809を含む。ボアねじ1403は、近位端1501及び遠位端1502を有し、プランジャねじ1404は、近位端1503及び遠位端1504を有する。いくつかの実践形態では、プランジャ先端220は、IOL格納位置808に近位に隣接する第1の位置から、IOL滞留位置809に近位に隣接する第2の位置まで、矢印78の方向に、プランジャ30、例えばフランジ240に加えられた軸方向の力に応答して移動可能である。第1の位置は、ボア40に最初に挿入されたときのプランジャ30の位置に対応し得る。第2の位置は、プランジャねじ1404の遠位端1504がボアねじ1403の近位端1501と最初に係合したときの、例えば、プランジャ本体200のプランジャねじ1404が主要本体21のボアねじ1403と係合し始めたときのプランジャ30の位置に対応し得る。いくつかの実践形態では、プランジャ先端220は、矢印78の方向にプランジャ30に、例えばフランジ240に加えられた軸方向の力に応答して、又は、プランジャ本体200の回転に、例えば矢印75の方向の回転に応答して、IOL滞留位置809に近位に隣接する第2の位置から、ノズル25の遠位端60まで移動可能である。
【0042】
いくつかの実践形態では、第1の位置に配置されると、プランジャ先端220は、格納位置808に配置されたIOLの5から20mm近位に配置され得、第2の位置に配置されると、プランジャ先端200は、シングルピースIOL又はマルチピースIOL(例えばツーピースIOL)のリング若しくは光学部品に直ぐ近位に隣接して配置され、接触し得、シングルピース又はマルチピースIOLの構成要素は、図9に関して上で記載したような滞留位置809に対して配置される。本明細書に記載されるように、例えば、滞留位置809は、境界1900に対するIOL70又はその一部の配置によって示され得る。
【0043】
図11Aは、IOLインジェクタ10の例示的な主要本体21の断面図を示す。図11Bは、図11Aに示される主要本体21を含むIOLインジェクタ10の斜視図を示すがノズルが省略されている。主要本体21は、主要本体21に形成されたアパーチャ1406に受け入れられ、主要本体21の内壁1203と外面1408との間に延びる取り外し可能なピン1407を含む。主要本体21に取り付けられた場合、ピン1407はプランジャ30の一部、例えば、プランジャねじ1404の遠位端1504と係合するように動作可能であり、プランジャ30が第2の位置に到達したときにプランジャ30の追加の軸方向移動を防止するハードストップとして機能する。取り外し可能なピン1407がアパーチャ1406に取り付けられると、取り外し可能なピン1407は、プランジャねじ1404とボアねじ1403との係合又は不注意な係合を防止する。取り外し可能なピン1407がアパーチャ1406から取り外されると、プランジャねじ1404はボアねじ1403と係合することができる。いくつかの実践形態では、滞留位置809へのIOLの配置は、プランジャねじ1404の遠位端1504と取り外し可能なピン1407との係合に対応し得る。
【0044】
いくつかの実践形態では、ボアねじ1403は、ボア40の長さに沿って変化するピッチを有し得る。いくつかの実践形態では、プランジャねじ1404は、プランジャ30の主要本体21の長さに沿って変化するピッチを有し得る。ねじのピッチは、同じ軸方向平面内で、隣接する表面上の対応する点の間で、ねじの軸に平行に測定された距離である。したがって、ピッチは、ねじの隣接する頂部の間の距離であると見なすことができる。図12は、例示的な可変ピッチねじ1200の概略図を示しており、これは本明細書ではボアねじ又はプランジャねじのねじに当てはまり得る。例えば、比較的狭いピッチは1409で示され、比較的広いピッチは1410で示される。IOLインジェクタの内面に形成された可変ピッチのねじ面をうまく利用するために、プランジャは、例えば図13A及び13Bに関して示されるように、及び以下でより詳細に考察するように、ねじ面に対向するねじフォロワを必要とするだろう。ねじフォロワは、プランジャの表面から延びるピン又は突起の形態であり得る。
【0045】
いくつかの実践形態では、ボアねじは、ねじの遠位端よりもねじの近位端でより広いピッチを有し得る。可変ピッチねじの結果として、インジェクタ本体を通るプランジャの軸方向速度は、所与の回転速度に対して変化するであろう。したがって、図12の矢印78の方向が遠位方向を示す場合、ねじ1200と係合するプランジャの軸方向の動きは、所定の回転速度に対して、プランジャが最初にねじ1200と係合する場所でより速い軸方向速度を有するであろうが、インジェクタを出て眼の中に至るIOLの最終的な前進中に遅くなるだろう。所与の回転速度に対して軸方向の動きを遅くする遠位端でピッチがより狭い可変ピッチねじを有する場合、プランジャを軸方向にノズルの遠位端に向かって前進させるために、回転軸の周りのプランジャのより多くの回転数が必要である。例えば、可変ピッチねじは、遠位端で5mmから又は約5mmから10mmのピッチを有し得、近位端で15mmから、又は約15mmから30mmのピッチを有し得る。
【0046】
いくつかの実践形態では、ボア40は、非ねじ部分1401を欠く場合がある。これらの実践形態では、ボアねじ1403は、主要本体の近位端50まで延在し得、プランジャ30のプランジャ本体200は同じく、プランジャ本体200の遠位端202まで延びるプランジャねじ1404を有し得る。したがって、いくつかの実践形態では、IOLプランジャねじ1404及びボアねじ1403は、プランジャ30をインジェクタ10の主要本体21に挿入するとすぐに係合する。このような実践形態では、プランジャ本体200は、矢印78の方向にプランジャ30に加えられる、例えばフランジ240に加えられる軸方向の力に応答して、又は、プランジャ本体200の回転、例えば、矢印75の方向への回転に応答して、ボア40のねじ部分1402内で回転可能に且つ軸方向に移動可能である。これらの実践形態では、プランジャ先端220は、矢印78の方向にフランジ240に加えられた軸方向の力に応答して、又はプランジャ本体200の回転、例えば矢印75の方向の回転に応答して、ノズル25の遠位端60まで移動可能である。さらに、いくつかの実践形態では、ボアねじ1403は、ボアねじ1403のピッチが遠位端1502よりも近位端1501でより広い可変ピッチを有し得る。そのような実践形態において、プランジャ本体200の所与の回転速度に対して、プランジャ30の軸方向の動きは、IOL70を格納位置808からIOL滞留位置809に前進させるためにより速く、IOL70がIOL滞留位置809から眼の中に最終的に前進する間、より遅くなる。
【0047】
いくつかの実践形態では、フランジ240は、プランジャ本体200上に保持することができるが、そこから回転的に切り離すことができる。したがって、フランジ240をプランジャ本体200から回転的に切り離すことにより、プランジャねじ1404がボアねじ1403と係合するときにフランジ240自体が回転することなく、フランジ240に軸方向の力を加えることが可能になる。例えば、いくつかの実践形態では、フランジ240は、例えば、アクスル結合を介して、プランジャ30のプランジャ本体200の遠位端250に回転可能に結合されたディスクであり得る。
【0048】
図13A~13Cを参照すると、いくつかの実践形態では、上で説明したように、プランジャねじ1404は、プランジャ本体200の外面1302上に形成された又は別の方法で配置されたピン1300で置き換えることができる。ピン1300の断面形状は、ボアねじ1403の断面形状に一致し得る。ピン1300は、ボアねじ1403と係合し、ボアねじ1403内を移動するように適合されている。
【0049】
ピン1300は、ボアねじ1403の寸法内に適合するようなサイズにされる。例えば、いくつかの実践形態では、ピン1300は、約1mmから2mmの長さ及び/又は幅を有し得る。いくつかの実践形態では、ボアねじ1403は可変ピッチを有し得る。ピン1300は、可変ピッチボアねじ1403と共に移動するようなサイズにすることができる。
【0050】
さらに、いくつかの実践形態では、主要本体21の非ねじ部分1401は、主要本体21の近位端50から、ボアねじ1403の近位端1501に対応し得るねじ部分1402の近位端まで延びる線形トラック1409を有し得る。トラック1409は、ボア40の長手方向軸75と整列され得る。トラック1409は、ピン1300を受け入れ、ピン1300の、ひいてはプランジャ本体200の非ねじ部分1401内の直線運動を可能にする。トラック1409は、交差部1304でボアねじ1403と接合し、プランジャ本体200がボアねじ1403に追従することを可能にする。
【0051】
図13B及び13Cは、ノズルが省略された例示的なIOLインジェクタ10を示しており、これはプッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを含む。IOLインジェクタ10は、プランジャねじ1404及び主要本体21に形成された隣接するトラック1409の両方と、プランジャ本体200上に配置され、トラック1409及びボアねじ1403に追従するように適合されたピン1300と、主要本体21に形成されたアパーチャ1406に取り外し可能に受け入れられるように適合された取り外し可能なピン1407とを含む。トラック1409は線形であり得る。アパーチャ1406は、ボアねじ1403の近位端1501に対応するねじ部分1402の近位端に位置する。ピン1407は、アパーチャ1406に挿入されると、主要本体21のねじ1402に沿ったプランジャ本体200の前進を防止するハードストップを画定する。
【0052】
図13Cは、主要本体21に挿入されたプランジャ30と、アパーチャ1406から取り外されたピン1407とを示している。図13Dは、主要本体21内で完全に前進したプランジャ30を示している。図13は、図13Dの線13E-13Eに沿った断面図である。
【0053】
図13A~13Dは、ねじがインジェクタ本体の主要本体の内面に形成され、ピンがプランジャ本体に形成される例を示しているが、本開示の範囲はそのように限定されない。他の実践形態では、ねじ面に係合するように動作可能なピンがインジェクタ本体の内面に形成され得、そのピンに係合するように適合されたねじ面がプランジャの外面に形成され得る。プランジャに軸方向の力が加えられると、又はプランジャが回転されると、ピンとねじ面が協働してプランジャを軸方向に前進させる。
【0054】
本開示はまた、IOLインジェクタからIOLを分配する方法に関する。IOLは、IOLインジェクタから眼の中に分配され得る。例示的な方法が図15に示されている。1502において、この方法は、プランジャを軸方向に押して、プランジャ先端を第1の位置から第2の位置に移動させることを含む。1504において、この方法は、IOLがIOLインジェクタから排出されるまで、プランジャをさらに軸方向に押すか、又はプランジャ30のプランジャ本体を回転させて、プランジャ先端を第2の位置から、IOLインジェクタのノズル25の遠位端などIOLインジェクタの遠位端までさらに前進させることを含む。第1の位置は、IOLインジェクタのボアに最初に挿入されたときのプランジャ先端の位置に対応し得る。第2の位置は、プランジャねじの遠位端がIOLインジェクタ内に形成されたボアねじの近位端に最初に係合するとき、例えば、プランジャねじがボアねじに係合し始めたときのプランジャ先端の位置に対応し得る。第1の位置は、IOLの格納位置に隣接するプランジャ先端の位置に対応し得、第2の位置は、IOLを滞留位置に置くプランジャ先端の位置に対応し得る。
【0055】
いくつかの実践形態では、方法はまた、プランジャ先端220を第1の位置から第2の位置まで軸方向に押した後、及びプランジャを軸方向に押すかプランジャのプランジャ本体を回転させてプランジャ先端を第2の位置からIOLインジェクタの遠位端までさらに前進させる前に、取り外し可能なピンを取り外すことを含み得る。
【0056】
いくつかの実践形態では、IOLインジェクタ10は、例えば、図10に示されるように、1つ又は複数のタブ110を有し得る。ユーザは、使用中にIOLインジェクタを保持するために、タブ110に1つ又は複数の指を置くことができる。いくつかの実践形態では、図10に示されるように、タブ110は、IOLインジェクタ本体20の近位端50よりもインジェクタ本体20の遠位端60の近くに配置され得る。
【0057】
図14A~14Dを参照すると、IOLを格納位置808から滞留位置809に前進させる間、IOLインジェクタ10の長さを短縮するように構成された圧潰可能部分800を有するインジェクタ20を含む例示的なIOLインジェクタ10が示されている。圧潰可能部分800は、互いに対して伸縮自在に配置されたスリーブを有する伸縮自在な構成を形成する。
【0058】
「伸縮」という用語は、一般に、第2の部分から滑り出る、又は第2の部分に滑り込む第1の部分の動きを指し、ここで、2つの部分は結合され、拡張構成、すなわち圧潰されていない構成と、短縮構成、すなわち圧潰された構成とを有する。圧潰可能な部分は、異なる断面サイズを有するスリーブの形態であり得、伸縮自在に配置された第1の部分及び第2の部分を含み得る。スリーブは円筒形であってもよい。いくつかの例では、スリーブは、円形の断面形状を有するシリンダ又はチューブの形態であり得、スリーブは、一方のスリーブが他方のスリーブにスライド可能に受け入れ可能であるように、異なる直径を有し得る。他の実践形態では、スリーブは、非円形の断面形状を有するシリンダ又はチューブであり得るが、一方のスリーブが他方のスリーブにスライド可能に受け入れ可能であるようなサイズである。スリーブは、より小さな断面サイズを有するスリーブ(すなわち、「内側スリーブ」)が、より大きな断面サイズを有するスリーブ(すなわち、「外側スリーブ」)に受け入れられ、それと同軸に配置される同心又は入れ子状の配置を有し得る。圧潰可能な部分では、2つ以上の同心円状に結合された伸縮スリーブを使用することができる。1つのスリーブが別のスリーブから滑り出る又は滑り込む動きにより、圧潰可能な部分をそれぞれ長くしたり短縮したりすることができる。長くされた、すなわち拡張された構成は「圧潰されていない」と呼ぶことができ、例えば、内側スリーブの長さが完全に又はほとんど外側スリーブ内に含まれる短縮された構成は、「圧潰された」と呼ぶことができる。図14A及び14Bは圧潰可能部分800が圧潰されていない構成にあるIOLインジェクタ10を示し、図14C及び14Dは圧潰可能部分800が圧潰された構成にあるIOLインジェクタ10を示している。
【0059】
例えば、図14A~14Dに示されるように、圧潰可能部分800は、近位端802及び遠位端803を有する第1のスリーブ801と、第2のスリーブ804とを有する。第2のスリーブ804は、第1のスリーブ801の近位端802に受け入れられる。第2のスリーブ804は、近位端805及び遠位端22を含む。この例では、主要本体21の遠位部分が第2のスリーブ804を形成する。他の実践形態では、第2のスリーブ804は、主要本体21から分離され得る。第1のスリーブ801の近位端802は、第2のスリーブ804の遠位端22とスライド可能に結合される。いくつかの実践形態では、第1のスリーブ801は外側スリーブを形成し、第2のスリーブ804は内側スリーブを形成し、第2のスリーブ804は、第1のスリーブ801内で同心円状に配置され、スライド可能であり、その結果、主要本体21の遠位部分810は、第1のスリーブ801内で同心円状にスライドする。他の実践形態では、第1のスリーブ801は内側スリーブを形成し、第2のスリーブ804は外側スリーブを形成し、第1のスリーブ801は、第2のスリーブ804内で同心円状に配置され、スライド可能であり、その結果、第1のスリーブ801は、主要本体21の遠位部分内で同心円状にスライドする。圧潰可能部分の他の構成が可能である。例えば、他の実践形態では、圧潰可能部分は、伸縮式に配置された3つ以上のスリーブを含み得る。
【0060】
再び図14Bを参照すると、第1のスリーブ801は、第2のスリーブ804内で同心円状に配置され、スライド可能である。第1のスリーブ801及び第2のスリーブ804は、第2のスリーブ804が第1のスリーブ801から完全に拡張されるかそれに関して圧潰されていない構成にあるとき、第2のスリーブ804が第1のスリーブ801内に保持されるように結合され得る。例えば、第1のスリーブ801及び第2のスリーブ804は、すべり継手によってスライド可能に結合され得る。圧潰されていない構成では、第2のスリーブ804の遠位端22は、第1のスリーブ801の近位端802に隣接している。圧潰された構成では、第2のスリーブ804の遠位端22は、第1のスリーブ801の遠位端803に隣接している。
【0061】
IOLインジェクタ10は、取り外し可能なプランジャキャップ2100を含む。プランジャキャップ2100の遠位端2101は、圧潰可能部分800が圧潰された構成にあるときに、第1のスリーブ801の近位端802に接触するように適合される。取り付けられると、プランジャキャップ2100はまた、ユーザによるプランジャ30へのアクセスを防止し、それにより、プランジャ30のプランジャ本体200の押し下げ又は回転のいずれかによる、ユーザによるプランジャ30の不注意な軸方向前進を防止する。圧潰可能部分800を圧潰されていない構成から図14Cに示すように圧潰された構成に置くと、プランジャロッド210のプランジャ先端220がIOL格納位置808に近位に隣接する第1の位置から、IOL滞留位置809に近位に隣接する位置にプランジャ30を前進させる。圧潰された構成への圧潰可能部分800の作動は、プランジャ先端220が格納位置808に位置するIOLを滞留位置809に前進させるように動作可能である。プランジャキャップ2100は取り外し可能であり、IOLインジェクタ10の圧潰可能部分800を圧潰された構成に置いた後、取り外されるように意図されている。次に、プランジャキャップ2100が取り外された状態で、プランジャ30を前進させて、患者の眼の中へなど、IOLインジェクタから出るIOLの前進を完了することができる。したがって、いくつかの実践形態では、プランジャキャップ2100を取り外さないと、プランジャ30のプランジャ本体200を軸方向に押すか又は回転させることによってプランジャ先端220をノズル25の遠位端60に向かって第2の位置から軸方向に前進させることができない。
【0062】
ノズル25の近位端23は、第1のスリーブ801の遠位端803に結合されている。いくつかの実践形態では、プランジャ先端220は、圧潰可能部分800が圧潰されていない構成にあるとき、格納位置808のIOLの5mmから20mm近位にあり得、プランジャ先端200は、圧潰可能部分800が圧潰された構成にあるとき、滞留位置809のIOLの後続の又は近位に向けられた触覚部品(又はツーピースIOLの光学部品の近位エッジ)に近位に隣接し接触し得る。
【0063】
本明細書に記載されるように、例えば、滞留位置809の位置は、上に記載した境界1900など、ノズル25上に形成される境界に対するIOL70又はその一部の配置によって示され得る。さらに、滞留位置809にIOLを位置付けることは、プランジャ30のプランジャ本体200に軸方向又は回転の力を適用する前に、プランジャキャップ2100の遠位端2101と、第1のスリーブ801の近位端802との係合に対応し得る(これは、圧潰可能部分800の圧潰された構成に対応する)。他の実践形態では、圧潰された構成に満たない構成に対応する第1のスリーブ801及び第2のスリーブ804が、IOLを滞留位置809に位置付ける結果をもたらし得る。
【0064】
いくつかの実践形態では、圧潰された構成のIOLインジェクタ10の長さは、圧潰されていない構成のIOLインジェクタの長さよりも10から20%短い場合がある。しかしながら、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、パーセンテージ値は単なる例として提供されている。他の実践形態では、本開示の範囲内のIOLインジェクタの相対的な長さは、10%未満又は20%超である場合がある。図14Cは、第2のスリーブ804が第1のスリーブ801に滑り込まれ、その結果、圧潰可能部分800が圧潰された構成にあるIOLインジェクタ10を示している。圧潰可能部分800は圧潰された構成にあるので、第2のスリーブ804の遠位端22は、第1のスリーブ801の遠位端803に隣接し、プランジャキャップ2100の遠位端2101は、第1のスリーブ801の近位端802と接触し、そして、プランジャ先端220は、滞留位置809に近位に隣接する第2の位置にある。
【0065】
図14Dは、プランジャキャップ2100が取り外され、プランジャ30の主要本体200が矢印75の方向に回転した後のIOLインジェクタ10を示している。矢印75の方向の回転によるプランジャ30の軸方向の前進の結果として、プランジャ先端220は、滞留位置809からノズル25の遠位端60に向かって前に進められる。プランジャ30の主要本体200の回転が続くにつれ、IOLインジェクタ10に含まれるIOLは前進し続け、最終的には、IOLインジェクタから排出される、例えば患者の眼に注入される。したがって、プランジャキャップ2100の取り外しは、プランジャ30のプランジャ本体200のロックを解除し、滞留位置809からのIOLの前進及びIOLインジェクタ10からのIOLの排出を可能にする。
【0066】
図14Dに示すように、プランジャ本体200は、プランジャねじ1404を含む。プランジャねじ1404は、主要本体21の内壁に形成されたピン又は主要本体21の内壁に形成されたねじ面に係合し得る。
【0067】
したがって、本開示はまた、IOLを格納位置から滞留位置に前進させ、IOLをIOLインジェクタから、例えば患者の眼の中に排出する方法に関する。図16に示される例示的な方法1600は、ステップ1602において、第1のスリーブを第2のスリーブに対して軸方向にスライドさせることによって、IOLインジェクタの圧潰可能部分を圧潰することを含む。圧潰可能部分を圧潰すると、プランジャのプランジャ先端が、格納位置に隣接する第1の位置から滞留位置に隣接する第2の位置に配置される。図14Aから14Dの例に示されるように、圧潰可能部分800の圧潰は、矢印78の方向に実行される。圧潰可能部分を圧潰する方法ステップは、インジェクタ本体に対してプランジャをスライドさせることを含まないことが理解されよう。さらに、このように圧潰可能部分を圧潰すると、患者の眼の中などに、IOLインジェクタからIOL70を排出する際に使用するためのより短いIOLインジェクタが得られる。したがって、圧潰可能部分を圧潰すると、IOLインジェクタ10の全長が短くなることにより、人間工学が向上される。圧潰可能部分を圧潰することにより、プランジャのプランジャ先端はIOLインジェクタの格納位置に隣接する第1の位置からIOLインジェクタ内の滞留位置に進められる。
【0068】
ステップ1604において、プランジャは、プランジャを軸方向に押すか、又はプランジャを回転させることによって、さらに遠位に進めることができる。プランジャのさらなる前進は、滞留位置内のIOLを滞留位置を越えて前進させ、最終的には、患者の眼の中など、IOLインジェクタから前進させるように動作可能である。
【0069】
本明細書に記載され、本開示の範囲内にあるIOLインジェクタの様々な実践形態は、マルチピースIOLのIOL基部及び/又はIOL光学部品、又は単一ピースIOLを送達するように構成され得る。本明細書に記載のIOLインジェクタの様々な実践形態及び関連する方法は、ユーザによってIOLインジェクタに手動でロードされるか、又はユーザによる送達の前にそこにプリロードされるIOL基部及び/又は光学部品とともに使用され得る。
【0070】
本明細書に記載のIOLインジェクタの利点には、以下が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載のIOLインジェクタは、プランジャを押すこと及び回転させることの両方によってプランジャを前進させるように動作可能なプッシュ及びスクリュードライブの組み合わせを含む。この組み合わせは、ねじを介した力の機械的伝達により、IOLインジェクタからIOLを送達する際に滑らかさと制御された動きを追加する、ねじ係合の利点をもたらす。ねじ係合を有するIOLインジェクタは、通常、処置中に両手を使用する必要があり、これにより、ユーザは処置中により多くの制御を行うことができる。本明細書に記載のIOLインジェクタは、プランジャに軸方向の力を加えることでプランジャを前進させることができるため、片手操作と両手操作の両方に対応している。
【0071】
本明細書に記載のプッシュ及びスクリュードライブの組み合わせは、スムーズ且つ制御された方法で、IOLの軸方向前進運動を生成するための解決策を提供する。ねじは、IOLが進められる速度をねじが制限するため、組み込み式の減衰を提供する。
【0072】
本明細書に記載のIOLインジェクタは、ユーザが軸方向プッシュを使用してIOLを滞留位置に前進させ、次に軸方向プッシュ又はプランジャに適用される回転を使用してIOLをIOLインジェクタから排出するように前進させるかどうかを選択できるようにユーザに柔軟性を提供する。本明細書に記載されるこのIOLインジェクタは柔軟性を提供し、IOLインジェクタを操作する間、異なる技術及びスキルを利用するユーザに対応している。
【0073】
上に開示された主題は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内にあるすべてのそのような修正、改良、及び他の実践形態を網羅することを意図する。したがって、法律で許可される最大限の範囲で、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も許容される解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な記載によって制限されることもなければ限定されることもない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16