(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】エレベータ昇降路測定装置、エレベータ昇降路測定システム、及びエレベータ昇降路測定方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B66B7/00 Z
(21)【出願番号】P 2023140665
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶泰
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173270(JP,A)
【文献】特開2018-173392(JP,A)
【文献】特開2017-026487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172439(US,A1)
【文献】特開2005-060066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びるエレベータの昇降路内で周囲の形状を測定する測定器と、
前記測定器と結合され、前記昇降路に設置され前記鉛直方向に延び前記エレベータの乗りかごを前記鉛直方向に案内可能なガイドレール上を巻上機の動力によって移動し、前記測定器を前記ガイドレールに沿って案内するガイド部と、
を備
え、
前記ガイド部は、前記乗りかごとは別であり、前記乗りかごが前記昇降路内に設けられていない状態で、前記昇降路に設けられる、
エレベータ昇降路測定装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記ガイドレールに応じて、交換または前記測定器に対する位置を調整可能である、
請求項1に記載のエレベータ昇降路測定装置。
【請求項3】
鉛直方向に延びるエレベータの昇降路内で周囲の形状を測定する測定器と、前記測定器と結合され、前記昇降路に設置され前記鉛直方向に延び前記エレベータの乗りかごを前記鉛直方向に案内可能なガイドレール上を巻上機の動力によって移動し、前記測定器を前記ガイドレールに沿って案内するガイド部と、を備えたエレベータ昇降路測定装置と、
前記測定器の測定結果を用いて、前記形状の3次元形状を算出する算出装置と、
を備
え、
前記ガイド部は、前記乗りかごとは別であり、前記乗りかごが前記昇降路内に設けられていない状態で、前記昇降路に設けられる、
エレベータ昇降路測定システム。
【請求項4】
前記算出装置は、前記ガイドレールを前記3次元形状の算出における水平方向の座標基準として用いる、
請求項3に記載のエレベータ昇降路測定システム。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記ガイドレール上を回転するローラと、前記ローラの回転に関する物理量を検出する検出部と、を有し、
前記算出装置は、前記3次元形状の算出において前記鉛直方向の座標を前記検出部の検出結果に基づいて特定する、
請求項3に記載のエレベータ昇降路測定システム。
【請求項6】
鉛直方向に延びるエレベータの昇降路内で周囲の形状を測定する測定器と、前記測定器と結合され、前記昇降路に設置され前記鉛直方向に延び前記エレベータの乗りかごを前記鉛直方向に案内可能なガイドレール上を巻上機の動力によって移動し、前記測定器を前記ガイドレールに沿って案内するガイド部と、を備えたエレベータ昇降路測定装置を、前記ガイドレール及び前記巻上機に組み付ける組付工程と、
前記巻上機の動力によって前記エレベータ昇降路測定装置を前記ガイドレールに沿って移動させるととともに、前記測定器によって前記形状を測定する測定工程と、
を含
み、
前記ガイド部は、前記乗りかごとは別であり、前記乗りかごが前記昇降路内に設けられていない状態で、前記昇降路に設けられる、
エレベータ昇降路測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ昇降路測定装置、エレベータ昇降路測定システム、及びエレベータ昇降路測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの据付作業において、昇降路内における乗りかご用のガイドレールが設置される。ガイドレールの据付精度が取付寸法設計値から外れると、乗りかごと昇降路内の機器との接触や干渉等が発生する虞があるため、ガイドレールの据付精度は非常に重要である。そのため、昇降路内に実際に据付られた機器の寸法測定の精度が重要となっている。
【0003】
エレベータの据付作業における測定技術として、作業の効率化や自動化を目的とした3次元測定装置が知られている。例えば、特許文献1の技術は、据付作業開始前の昇降路内の3次元測定技術であり、昇降路内の床から天井まで張られたワイヤーにより姿勢を安定させた3次元測定装置を揚重機等の巻上動力により昇降させており、昇降する3次元装置自身の3次元測定座標を定義するために、測定装置本体とは別に、外部に座標基準となるレーザー装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、昇降路内の形状の測定のために据付後のエレベータには不要なワイヤーが必要であり、昇降路内の形状の測定のための準備に手間がかかるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の実施形態は、昇降路内の形状の測定の準備に掛かる手間を低減させることができるエレベータ昇降路測定装置、エレベータ昇降路測定システム、及びエレベータ昇降路測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のエレベータ昇降路測定装置は、鉛直方向に延びるエレベータの昇降路内で周囲の形状を測定する測定器と、前記測定器と結合され、前記昇降路に設置され前記鉛直方向に延び前記エレベータの乗りかごを前記鉛直方向に案内可能なガイドレール上を巻上機の動力によって移動し、前記測定器を前記ガイドレールに沿って案内するガイド部と、を備える。前記ガイド部は、前記乗りかごとは別であり、前記乗りかごが前記昇降路内に設けられていない状態で、前記昇降路に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のエレベータ昇降路測定システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態のエレベータ昇降路測定システムを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のエレベータの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のエレベータ昇降路測定装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態のエレベータ昇降路測定装置の一部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態のエレベータ昇降路測定方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例のエレベータ昇降路測定装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、エレベータ昇降路測定装置、エレベータ昇降路測定システム、及びエレベータ昇降路測定方法の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成や制御(技術的特徴)、ならびに当該構成や制御によってもたらされる作用及び結果(効果)は、一例である。
【0010】
図1は、実施形態のエレベータ昇降路測定システムを示すブロック図である。
図2は、実施形態のエレベータ昇降路測定システムを示す斜視図である。
図1に示されるように、エレベータ昇降路測定システム1は、測定装置10と、データ処理装置11と、を備える。
図2に示されるように、測定装置10は、エレベータ100の昇降路101内に設けられ、昇降路101内において当該測定装置10の周囲の形状を計測する。
図1に示されるデータ処理装置11は、測定器21の測定結果を用いて、測定器21の周囲の形状の3次元形状を算出する。測定装置10は、エレベータ昇降路測定装置の一例であり、データ処理装置11は、算出装置の一例である。
【0011】
エレベータ100について説明する。
図3は、実施形態のエレベータの一部を示す断面図である。
図3に示されるように、エレベータ100は、昇降路101と、二つのガイドレール102と、乗りかご103と、を備える。昇降路101は、建物に設けられた壁111によって形成されている。昇降路101は、鉛直方向に延びている。二つのガイドレール102は、昇降路101内に設けられている。
【0012】
ガイドレール102は、昇降路101に設置され鉛直方向に延びエレベータ100の乗りかご103を鉛直方向に案内可能である。具体的には、ガイドレール102は、レールブラケット104を介して壁111の面である壁面111aに固定されている。ガイドレール102は、それぞれ昇降路101の延び方向すなわち鉛直方向に延びている。二つのガイドレール102は、互いに間隔をあけて対向している。
図1に示されるように、ガイドレール102は、ベース部102aと、レール部102bとを有する。ベース部102aは、鉛直方向に延びる板状に形成され、レールブラケット104を介して壁面111aに固定されている。レール部102bは、鉛直方向に延びる板状に形成されるとともに、ベース部102aから昇降路101の内方に突出している。
【0013】
乗りかご103は、昇降路101内に設けられる。乗りかご103には、乗りかご用ガイドローラ(不図示)が設けられている。乗りかご用ガイドローラは、ガイドレール102上を回転可能である。乗りかご用ガイドローラは、乗りかごをガイドレール102に沿って案内する。乗りかご103は、乗りかご用の巻上機(不図示)の動力によって昇降路101内をガイドレール102に沿って昇降する。すなわち、乗りかご103は、乗りかご用の巻上機の動力によって鉛直方向に移動する。
【0014】
図1及び
図2に示されるエレベータ昇降路測定システム1の測定装置10は、例えば、昇降路101内に乗りかご103が設けられる前に、昇降路101内に設けられ、当該昇降路101内の形状を測定する。
【0015】
図4は、実施形態のエレベータ昇降路測定装置を示す斜視図である。
図4に示されるように、測定装置10は、測定器21と、支持部22と、二つのガイド部23Aと、を備える。
【0016】
測定器21は、ケース31と、取付部32と、測定部(不図示)と、を有する。ケース31内に測定部が収容されている。取付部32は、ケース31の上面に設けられている。取付部32には、ロープ13の一端部が取り付けられる。ロープ13の他端部は、巻上機12に連結されている。巻上機12は、例えば、エレベータ100の据付作業等に使用される揚重機等である。
【0017】
測定器21の測定部は、エレベータ100の昇降路101内で周囲の形状を測定する。換言すると、測定器21の測定部は、昇降路101内で周囲の物体の寸法を測定する。測定部は、既知の構成であってよい。例えば、測定部は、2次元スキャナであり、レーザー光で水平方向をスキャンし、昇降路101内の各部の形状(物体)を点群データとして検出してよい。点群データ中の各点のデータには、測定器21と各部との距離や測定器21に対する各部の位置が含まれる。すなわち、測定部は、測定器21と各部との距離や測定器21に対する各部の位置を検出する。また、別の一例として、測定部は、3次元スキャナであり、測定器21の周囲をスキャンして昇降路101内の各部の形状を点群データとして検出してもよい。上記スキャンは、いずれも、鉛直方向に沿う軸回りの360度のスキャンである。測定装置10は、測定器21の測定結果である点群データを通信装置(不図示)によって、データ処理装置11に出力する。
【0018】
支持部22は、二つのガイドレール102の間に位置し、二つのガイドレール102の対向方向に延びる。支持部22は、例えば、鉄骨部材によって構成されている。支持部22の上壁22a上に、測定器21が固定されている。測定器21は、例えば、二つのガイドレール102の中間位置に設置されている。支持部22は、担架台とも称される。
【0019】
二つのガイド部23Aは、二つのガイドレール102の対向方向における支持部22の両端部に設けられている。ガイド部23Aは、支持部22を介して測定器21と結合され、ガイドレール102上を巻上機12の動力によって移動し、測定器21をガイドレール102に沿って案内する。なお、ガイド部23Aは、一つであってもよい。
【0020】
具体的には、ガイド部23Aは、支持部41と、複数(一例として3つ)のローラ42A~42Cと、を有する。
【0021】
支持部41は、ローラ42A~42Cを回転可能に支持している。支持部41は、ベース壁41aと、立壁41bと、を有する。ベース壁41aは、支持部22の上壁22aの上面に重ねられた状態で上壁22aに固定されている。
【0022】
支持部22に対するベース壁41aの固定構造について
図5を参照して説明する。
図5は、実施形態のエレベータ昇降路測定装置の一部を示す断面図である。
図5に示されるように、支持部22の上壁22aには、上壁22aを鉛直方向に貫通した貫通孔22bが設けられている。ベース壁41aには、ベース壁41aを鉛直方向に貫通した貫通孔41cが設けられている。貫通孔41cは、貫通孔22bと重ねられている。そして、ベース壁41aは、貫通孔22b,41cに入れられたボルト51と当該ボルト51と結合したナット52とによって、支持部22の上壁22aに固定されている。
【0023】
ローラ42A~42Cは、立壁41bにボルト等の結合具によって結合され、ガイドレール102上を回転可能である。ローラ42A,42Bは、ガイドレール102のレール部102bを挟んでいる。換言すると、ローラ42A,42Bは、ガイドレール102のレール部102bを掴んでいる。ローラ42Cは、レール部102bにおける突出方向側の端部、すなわち昇降路101の内方側の端部に接触している。
【0024】
また、
図1に示されるように、測定装置10は、検出部24を備える。検出部24は、ローラ42A~42Cの回転に関する物理量を検出する。具体的には、検出部24は、ロータリエンコーダであり、ローラ42A~42Cの回転に関する物理量として回転量(回転角度)を検出する。検出部24は、例えば、ローラ42A~42Cのうちのいずれか一つに設けられている。測定装置10は、検出部24の検出結果を通信装置(不図示)によって、データ処理装置11に出力する。なお、検出部24は、上記に限定されない。
【0025】
図2に示されるデータ処理装置11は、測定装置10から出力されたデータを処理する装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信装置等を含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。データ処理装置11の通信装置は、測定装置10と無線または有線で通信を行う。
【0026】
データ処理装置11は、検出部24の検出結果に基づいて、測定開始地点からの測定装置10の鉛直方向の移動距離を算出する。データ処理装置11は、算出した移動距離に基づいて、点群データの各点の鉛直方向の位置を算出(特定)する。すなわち、データ処理装置11は、測定装置10の検出結果と検出部24の検出結果とに基づいて、測定器21の周囲の形状の3次元形状を算出する。これにより、データ処理装置11は、昇降路101の壁面111aの形状の寸法(幅寸法や奥行寸法)、昇降路101内の各部材の取形状の寸法や取付寸法等の各種の寸法を算出することができる。
【0027】
このとき、データ処理装置11は、ガイドレール102を3次元形状の算出における水平方向の座標基準として用いる。例えば、データ処理装置11は、二つのガイドレール102のうちの一方の一点を座標系200(
図4)の原点として設定する。データ処理装置11は、水平方向の面内において、二つのガイドレール102のうちの一方の一点から他方の一点に向かう方向に沿うX軸を設定し、X軸と水平方向の面内において直交あるY軸を設定する。また、データ処理装置11は、X軸及びY軸と直交するZ軸を設定する。なお、座標系の原点は、測定開始地点を基準として設定される。X軸及びY軸は、水平測定座標を構成し、Z軸は、鉛直(垂直)測定座標を構成する。なお、座標系200は、上記に限定されない。
【0028】
次に、エレベータ昇降路測定方法について
図6を参照して説明する。
図6は、実施形態のエレベータ昇降路測定方法の流れを示すフローチャートである。
【0029】
図6に示されるように、まずは、測定装置10をガイドレール102及び巻上機12に組み付ける組付工程が行われる(S11)。具体的には、作業員が、ガイド部23Aをガイドレール102に組み付ける。このとき、作業員は、ローラ42A~42Cがガイドレール102に接触した状態で、当該ローラ42A~42Cを縦壁41bにボルト等の結合具によって結合する。また、作業員は、ロープ13の一端部を測定器21の取付部32に取り付けることにより、測定装置10をロープ13を介して巻上機12に組み付ける。
【0030】
次に、測定工程が行われる(S12)。具体的には、作業員の所定の操作によって、巻上機12の動力によって測定装置10をガイドレール102に沿って移動させるとともに、測定器21によって形状を測定する。換言すると、作業員の所定の操作によって、巻上機12の動力によって測定装置10をガイドレール102に沿って移動させながら、測定器21によって形状を測定する。一例として、測定装置10は、初期位置から鉛直方向の上方に移動され、この移動過程で、測定装置10による形状の測定が繰り返し行われる。
【0031】
以上のように、本実施形態では、測定装置10(エレベータ昇降路測定装置)は、測定器21と、ガイド部23Aと、を備える。測定器21は、鉛直方向に延びるエレベータ100の昇降路101内で周囲の形状を測定する。ガイド部23Aは、測定器21と結合され、昇降路101に設置され鉛直方向に延びエレベータ100の乗りかごを鉛直方向に案内可能なガイドレール102上を巻上機12の動力によって移動し、測定器21をガイドレール102に沿って案内する。
【0032】
この構成によれば、測定器21がガイド部23Aを介してガイドレール102によって案内されるので、測定器21の姿勢を安定させるための専用部材であるワイヤーを昇降路101内に設置する必要がない。よって、昇降路101内の形状の測定のための準備に掛かる手間を低減させることができる。
【0033】
また、上記構成によれば、実際に据え付けられたガイドレール102の位置寸法や、ガイドレール102を基準とした周囲の用品の位置寸法精度の測定を、従来技術のように3次元測定座標を定義するための特別な座標原点定義装置を用意すること無く行うことができる。また、ガイドレール102と巻上動力があれば昇降路101内の3次元測定が行えるので、ガイドレール102の位置精度の確認だけでなく、一般的にガイドレール102の据付後に取付作業がなされる出入り口用品やエレベータの他の用品との干渉有無の確認を乗りかご103の取付作業前に行うことができる。また、据付済みのガイドレール102を撤去せずにエレベータ100の設備の更新を行うリニューアル工事においても、速やかな3次元測定対応が可能となる。
【0034】
また、エレベータ昇降路測定システム1は、測定装置10と、データ処理装置11(算出装置)と、を備える。データ処理装置11は、測定器21の測定結果を用いて、測定器21の周囲の形状の3次元形状を算出する。
【0035】
この構成によれば、昇降路101内の形状の3次元形状が得られる。
【0036】
また、データ処理装置11は、ガイドレール102を3次元形状の算出における水平方向の座標基準として用いる。
【0037】
この構成によれば、水平方向の座標基準として専用の部材を設置する必要がない。よって、昇降路101内の形状の測定のための準備に掛かる手間を低減させることができる。
【0038】
また、ガイド部23Aは、ガイドレール102上を回転するローラ42A~42Cと、ローラ42A~42Cの回転に関する物理量を検出する検出部24と、を有する。データ処理装置11は、3次元形状の算出において鉛直方向の座標を検出部24の検出結果に基づいて特定する。
【0039】
この構成によれば、3次元形状の算出において比較的簡素な構成で鉛直方向の座標を特定することができる。
【0040】
また、エレベータ測定方法は、測定装置10を、ガイドレール102及び巻上機12に組み付ける組付工程と、巻上機12の動力によって測定装置10をガイドレール102に沿って移動させるとともに、測定器21によって形状を測定する測定工程と、を含む。
【0041】
この構成によれば、測定器21がガイド部23Aを介してガイドレール102によって案内されるので、測定器21の姿勢を安定させるためのワイヤーを昇降路101内に設置する必要がない。よって、昇降路101内の形状の測定のための準備に掛かる手間を低減させることができる。
【0042】
次に、変形例について説明する。
図7は、実施形態の変形例のエレベータ昇降路測定装置を示す斜視図である。
【0043】
図7に示されるように、本変形例では、二つのガイドレール102の間隔が
図1のガイドレール102の間隔よりも長い。そして、本変形例では、ガイド部23Aに替えてガイド部23Bが設けられている。
【0044】
ガイド部23Bは、2つのガイドレール102の対向方向での支持部41におけるベース壁41aの長さが、ガイド部23Aに対して異なる。具体的には、ガイド部23Bは、2つのガイドレール102の対向方向での支持部41におけるベース壁41aの長さが、ガイド部23Aのベース壁41aの長さよりも長い。すなわち、本変形例では、ガイドレール102に応じて、ガイド部23A,23Bを交換可能である。なお、ガイド部23A,23Bのベース壁41aの貫通孔41cを、2つのガイドレール102の対向方向を長手方向とする長孔にすることにより、測定器21に対する位置を調整可能として、二つのガイドレール102の間隔違いに対応させてもよい。また、ガイドレール102の形状(仕様)違いに対応させて複数のガイド部23A,23Bを作り、ガイドレール102の形状に合うガイド部23A,23Bを測定装置10に設けてもよい。
【0045】
以上のように、ガイド部23A,23Bは、ガイドレール102に応じて、交換または測定器21に対する位置を調整可能である。
【0046】
この構成によれば、ガイドレール102のサイズやガイドレール102の位置(二つのガイドレール102の間隔)に応じてガイド部23A,23Bを交換または測定器21に対するガイド部23A,23Bの位置を調整することができる。すなわち、ガイド部23A,23Bの交換や位置調整により、ガイドレール102のサイズや配置が違う様々な物件の測定に容易に対応することができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10…測定装置(エレベータ昇降路測定装置)、11…データ処理装置(算出装置)、12…巻上機、21…測定器、23A,23B…ガイド部、24…検出部、42A~42C…ローラ、100…エレベータ、101…昇降路、103…乗りかご。
【要約】
【課題】昇降路内の形状の測定の準備に掛かる手間を低減させることができるエレベータ昇降路測定装置、エレベータ昇降路測定システム、及びエレベータ昇降路測定方法を提供する。
【解決手段】実施形態のエレベータ昇降路測定装置は、鉛直方向に延びるエレベータの昇降路内で周囲の形状を測定する測定器と、測定器と結合され、昇降路に設置され鉛直方向に延びエレベータの乗りかごを鉛直方向に案内可能なガイドレール上を巻上機の動力によって移動し、測定器をガイドレールに沿って案内するガイド部と、を備える。
【選択図】
図1