(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】調整装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/74 20060101AFI20240701BHJP
A61B 17/72 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61B17/74
A61B17/72
(21)【出願番号】P 2023205558
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508183900
【氏名又は名称】株式会社イーピーメディック
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】田部 公資
(72)【発明者】
【氏名】草場 大市
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/174787(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/042688(WO,A1)
【文献】特開2017-094102(JP,A)
【文献】特開2005-205201(JP,A)
【文献】特開2016-195746(JP,A)
【文献】特開2014-124451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/74
A61B 17/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨から分離した骨片を係合する主ラグスクリュー及び副ラグスクリューを用いる髄内釘において前記主ラグスクリューを固定するための調整装置であって、
当該調整装置は、制御部品と、回転部品を備え、
前記回転部品は、支持部と
、連結部を備え、
前記制御部品は、先端部と、第1側部と、第1突出部と、第1掴持部と、第2側部と、第2突出部と、第2掴持部を備え、
前記制御部品は、前記髄内釘において当該調整装置が挿入される調整装置用孔において前記回転部品よりも前記主ラグスクリューに近く、
前記先端部は、前記制御部品において前記主ラグスクリューに最も近く、
前記第1側部及び前記第2側部は、
前記調整装置用孔において前記先端部
の異なる位置
において前記主ラグスクリューから遠くに存在し、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、
当該調整装置の他の外面よりも外に突出した形状の部分を有するものであって、それぞれ、前記第1側部及び前記第2側部の
前記主ラグスクリューから遠くに存在し、
前記第1掴持部及び前記第2掴持部は、それぞれ、前記第1突出部及び前記第2突出部の内
側に形成され、
前記支持部は、前記調整装置用孔において前記連結部よりも前記主ラグスクリューに近く、
前記第1掴持部及び前記第2掴持部は前記連結部を挟持し、
前記副ラグスクリューは前記第1側部及び前記第1突出部と前記第2側部及び前記第2突出部の間に存在し、
前記回転部品が前記調整装置用孔において回転して前記主ラグスクリューに向かって移動して、前記先端部
が前記主ラグスクリューを押して固定する、調整装置。
【請求項2】
前記第1側部、前記第1突出部及び前記第1掴持部において、
前記第1側部及び前記第1突出部は、前記第1掴持部に外向きの力がかかると前記第2側部及び前記第2突出部とは独立に広がり、
前記第1突出部に内向きの力がかかると前記第1掴持部に内向きの力がかかる、請求項1記載の調整装置。
【請求項3】
前
記調整装置用孔の側面には異なる凹部である第1凹部及び第2凹部が形成されており、
前記第1突出部及び前記第2突出部
において当該調整装置の他の外面よりも外に突出した形状の部分は、それぞれ、前記第1凹部及び前記第2凹部にはまる、請求項1記載の調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髄内釘において主ラグスクリューを固定するための調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にあるように、出願人は、大腿骨から分離した骨片を係合する主ラグスクリュー及び副ラグスクリューを用いる髄内釘を提案している。
【0003】
特許文献2には、髄内釘において使用される調整具の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-104号公報
【文献】WO2018/042688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6は、特許文献1の髄内釘103の一例を示す。
図6において、髄内釘103は、大腿骨101から分離した骨片を係合する主ラグスクリュー105及び副ラグスクリュー107を用いる。髄内釘103において主ラグスクリュー105を固定するための調整具は、回転する回転部111と、回転せずにスライドするスライド部109を備えるものが知られている。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、回転部とスライド部を独立な部品としていたため、例えば回転部が入り口付近にあるにもかかわらず、スライド部が奥に入ってしまうような場合があった。また、スライド部には回転を防止するために突出部を設けていたが、この突出部は、副ラグスクリュー107を挟む部分に分かれていて、同じ凹部にはまるものであった。そのため、スライド部が回転する可能性があった。特に、主ラグスクリュー105は必ず使用するものであるが、副ラグスクリュー107は使用しない場合もある。副ラグスクリュー107を使用しない場合に回転する可能性が高くなる。
【0007】
また、特許文献2には、回転部に横からスライド部を差し込むことによって、回転部に対してスライド部を回転自在に連結することが記載されている。しかしながら、回転部とスライド部を単に連結するに留まり、特許文献1のようにスライド部によって副ラグスクリューを固定する機能を果たすものではない。さらに、このように連結した調整具を髄内釘に差し込むと、スライド部を入れた状態で手元が震えてしまうと容易に外れ、スライド部が回転部から離れた状態で髄内釘に入ってしまうことがある。そして、一度外れてしまうと、連結するために細かな作業が必要になる。
【0008】
そこで、本願発明は、回転部品に制御部品を容易に取り付けることができる調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の側面は、大腿骨から分離した骨片を係合する主ラグスクリュー及び副ラグスクリューを用いる髄内釘において前記主ラグスクリューを固定するための調整装置であって、当該調整装置は、制御部品と、回転部品を備え、前記回転部品は、支持部と、前記支持部の上に連結部を備え、前記制御部品は、先端部と、第1側部と、第1突出部と、第1掴持部と、第2側部と、第2突出部と、第2掴持部を備え、前記第1側部及び前記第2側部は、前記先端部において異なる位置の上に存在し、前記第1突出部及び前記第2突出部は、それぞれ、前記第1側部及び前記第2側部の上に存在し、前記第1掴持部及び前記第2掴持部は、それぞれ、前記第1突出部及び前記第2突出部の内側の上部に形成され、前記第1掴持部及び前記第2掴持部は前記連結部を挟持し、前記副ラグスクリューは前記第1側部及び前記第1突出部と前記第2側部及び前記第2突出部の間に存在し、前記先端部は前記主ラグスクリューを押して固定する。
【0010】
本願発明の第2の側面は、第1の側面の調整装置であって、前記第1側部、前記第1突出部及び前記第1掴持部において、前記第1側部及び前記第1突出部は、前記第1掴持部に外向きの力がかかると前記第2側部及び前記第2突出部とは独立に広がり、前記第1突出部に内向きの力がかかると前記第1掴持部に内向きの力がかかる。
【0011】
本願発明の第3の側面は、第1又は第2の側面の調整装置であって、前記髄内釘において当該調整装置が挿入される調整装置用孔の側面には異なる凹部である第1凹部及び第2凹部が形成されており、前記第1突出部及び前記第2突出部は、それぞれ、前記第1凹部及び前記第2凹部にはまる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、制御部品において副ラグスクリューが通るための空間を利用して第1側部、第1突出部及び第1掴持部と第2側部、第2突出部及び第2掴持部を分離して独立に形成することにより、第1側部と第2側部が変形できる長さを十分に確保して、利用者は容易に回転部品に制御部品を取り付けることができる。さらに、先端部により主ラグスクリューを固定することを利用して、第1側部及び第1突出部と第2側部及び第2突出部を内側に湾曲させて間を狭めて副ラグスクリューも固定するようにすることもできる。
【0013】
さらに、本願発明の第2の側面にあるように、いわば先端部を支点として、例えば、制御部品を回転部品に取り付けるために支持部に押し付けて第1掴持部に外向きの力がかかると端が広がるように変形して容易に取り付けることができ、髄内釘において第1突出部などに内向きの力がかかると第1掴持部に内向きの力がかかって強固に掴持して制御部品が回転部品から外れにくい状況になる。
【0014】
さらに、突出させる部分を同じ凹部にはめると、外からかかる力によってねじれなどの意図しない状態が生じる可能性があった。本願発明の第3の側面にあるように、第1突出部及び第2突出部が異なる凹部にはまり、同じ凹部にははまらないようにすることにより、このような意図しない状態を避けることができる。副ラグスクリューを使用しない場合でも、同様に回転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願発明の実施の形態に係る調整装置を構成する制御部品3の構成の一例を示す図である。
【
図2】本願発明の実施の形態に係る調整装置を構成する回転部品5(エンドキャップ)の構成の一例を示す図である。
【
図3】本願発明の実施の形態に係る調整装置1の構成を示す図である。
【
図4】髄内に挿入される髄内部品のうち、調整装置1が挿入される部分を示す図である。
【
図5】
図4の髄内部品に
図3の調整装置1が挿入された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本願発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本願発明の実施の形態に係る調整装置を構成する制御部品3の構成の一例を示す図である。制御部品3は、髄内に挿入される髄内部品に挿入される主ラグスクリューに対する固定度を制御する。
【0018】
制御部品3は、先端部11と、穴13と、第1側部15と、第2側部17と、第1突出部19と、第2突出部21と、第1掴持部23と、第2掴持部25を備える。
【0019】
先端部11は、制御部品3において髄内部品に先に挿入される先端に位置する。先端部11は穴13を備える。
【0020】
制御部品3は、先端部11の上に、一方の側に第1側部15を備え、他方の側に第2側部17を備える。第1側部15及び第2側部17の外面は、先端部11よりも内側に存在する。
【0021】
制御部品3は、第1側部15及び第2側部17の上に、それぞれ、第1突出部19及び第2突出部21を備える。第1突出部19及び第2突出部21は、外面の一部が、先端部11よりも外側に突出している。
【0022】
制御部品3は、第1突出部19及び第2突出部21の内側に、それぞれ、第1掴持部23及び第2掴持部25を備える。第1突出部19及び第2突出部21の内側は、第1掴持部23及び第2掴持部25で狭くなり、その下に広がる形状である。
【0023】
図1(b)及び(d)は、それぞれ、制御部品3の正面図及び平面図である。
図1(b)にあるように、第1側部15、第1突出部19及び第1掴持部23は、第2側部17、第2突出部21及び第2掴持部25とは分離しており、先端部11のみによってつながっている状態である。
図1(c)は、制御部品3の中央の断面での断面図である。
【0024】
図2は、本願発明の実施の形態に係る調整装置を構成する回転部品5(エンドキャップ)の構成の一例を示す図である。回転部品5は、雄溝部31と、回転操作部33と、支持部35と、連結部37を備える。
図2(a)は回転部品5の斜視図であり、
図2(b)は回転部品5の中央の断面図であり、
図2(c)及び(d)は、それぞれ、回転部品5の平面図及び正面図である。
【0025】
雄溝部31は、外面に雄ネジの溝が形成されたものである。
【0026】
回転操作部33は、上から六角形の柱状の穴が形成されている。利用者は、六角形の棒状の部材を差し込んで回すことにより回転部品5を回転させることができる。
【0027】
支持部35は、外面が雄溝部31よりも内側に存在する。連結部37は、支持部35と雄溝部31を連結するものであり、外面は支持部35よりも内側に存在する。
【0028】
図3は、本願発明の実施の形態に係る調整装置1の構成を示す図である。調整装置1は、
図1の制御部品3と
図2の回転部品5を組み合わせた状態である。
図6の髄内釘103において、スライド部109及び回転部111を備える調整具に代えて、制御部品3及び回転部品5を組み合わせた調整装置1を用いることにより、髄内釘を実現できる。
【0029】
図3(a)は調整装置1の斜視図であり、
図3(b)及び(c)はそれぞれ調整装置1の平面図及び正面図であり、
図3(d)は調整装置1の中央の断面図である。
【0030】
図3(d)を参照して、制御部品3は、先端部11の一方の側から上に第1側部15及び第1突出部19が存在し、上部の中空の内側に第1掴持部23が形成されている。先端部11の他方の側から上に第2側部17及び第2突出部21が存在し、上部の中空の内側に第2掴持部25が形成されている。このように、第1側部15及び第2側部17は、先端部11において異なる位置の上に存在する。
【0031】
第1掴持部23及び第2掴持部25は、回転部品5の連結部37を両側から挟んで持つ。第1掴持部23及び第2掴持部25は、支持部35により下へ外れることなく挟持することができる。支持部35は円柱状(断面が円形であるもの)であるため、制御部品3が回転することなく上下に移動しても、回転部品5は回転できる状態となる。
【0032】
第1突出部19及び第2突出部21は、調整装置1の他の外面(特に雄溝部31の外面)よりも外に突出した形状である。そのため、第1突出部19及び第2突出部21を上下に形成した溝によって回転させずに上下に移動させるようにすることにより、制御部品3は回転することなく上下に移動させることができる。第1突出部19及び第2突出部21は、中央が突出し、端は突出しない形状である。そのため、外側から第1突出部19及び第2突出部21にかかる力は、先端部側を支点として第1掴持部23及び第2掴持部25を内側に包むように抱える力として作用し、連結部37を掴んで持つ状態を保つことができる。
【0033】
第1側部15、第1突出部19及び第1掴持部23は、第2側部17、第2突出部21及び第2掴持部25とは分離している。そのため、第1掴持部23及び第2掴持部25を回転部品5の連結部37に取り付けるときに、利用者は、例えば、第1掴持部23及び第2掴持部25を支持部35に押し付ける。すると、支持部35から第1掴持部23及び第2掴持部25に対して、外に広がる向きに力がかかる。そうすると、第1側部15及び第2側部17が延在すること(延びて存在すること)により、第1側部15及び第2側部17の上が広がるように変形し、第1掴持部23及び第2掴持部25の間の距離が支持部35よりも広くすることができる。そして、支持部35を超えると外に広がる向きの力がなくなって第1側部15及び第2側部17が元の状態に戻り、第1掴持部23及び第2掴持部25が連結部37を挟持する。このように、第1側部15、第1突出部19及び第1掴持部23は、制御部品3において副ラグスクリューが通るための空間を利用して、第2側部17、第2突出部21及び第2掴持部25と分離させている。そのため、第1掴持部23及び第2掴持部25に外向きの力がかかると、第1側部15及び第1突出部19は第2側部17及び第2突出部21とは独立に広がり、第1側部15及び第2側部17の上が広がるように変形できる長さを十分に確保している。そのため、利用者は容易に回転部品5に制御部品3を取り付けることができる。
【0034】
図4は、髄内に挿入される髄内部品のうち、調整装置1が挿入される部分を示す図である。髄内部品は、主ラグスクリューが挿通する主貫通孔53と、副ラグスクリューが挿通する副貫通孔51を備える。調整装置用孔41は、髄内部品の上面から内部に長手方向の下に柱状に形成されて、副貫通孔51を通って主貫通孔53まで形成されている。調整装置1が挿入される調整装置用孔の側面には、上下に延びる第1凹部43が形成され、第1凹部43に対向する位置に上下に延びる第2凹部45が形成される。
【0035】
髄内釘は、骨折により大腿骨から分離した骨片を大腿骨に係合する際などに用いられる器具である。髄内部品は髄内釘を構成する部材の一つであって、全体として棒状をなしている。髄内部品は、導入される髄内の入口に近い近位部と、この近位部より長くて髄内の奥へと導入されていく遠位部とを含む。
図4の部分は、近位部に含まれる。近位部は主貫通孔53及び副貫通孔51が設けられるために太く形成される。遠位部は大腿骨の内腔(骨髄腔)への挿入のためにその形状に合わせて細く形成されている。主貫通孔53及び副貫通孔51は、髄内部品の近位部において、斜め方向に設けられる。主貫通孔53には主ラグスクリューが挿通され、副貫通孔51には示す副ラグスクリューが挿通される。
【0036】
副ラグスクリューは、大腿骨から分離した骨片と係合するために先端部にねじ部などの係合部位を備えており、係合部位を先頭に向けて大腿骨に挿入され、そのまま髄内部品の副貫通孔51に挿通されて、さらに分離した骨片に貫入するように配置される。
【0037】
また、副貫通孔51は、副ラグスクリューを入れる側と出る側で穴の径は異なる。そのため、副ラグスクリューにおいて係合部位がない方の端は、副貫通孔51に挿通された状態で、小さい方の穴を支点にして髄内部品の長手方向に軸線上を上下に動かすことができる。このように、副貫通孔51に挿通された状態の副ラグスクリューに可動域があると、副ラグスクリューを髄内部品の長手方向軸に対して様々な角度で配置することができる。すると、副ラグスクリューを大腿骨及び分離した骨片に貫入させた状態で、大腿骨と分離した骨片との間の角度を適正な位置に整合させることができたり、患者ごとの差異に対処したりすることができる。
【0038】
主ラグスクリューは、大腿骨から分離した骨片と係合するために先端部にねじ部などの係合部位を備えており、その基端部側には軸線方向に伸びる複数の溝が形成されている。この主ラグスクリューは、係合部位を先頭に向けて大腿骨に挿入され、そのまま髄内部品の主貫通孔53に挿通されて、さらに分離した骨片に貫入するように配置される。そして、分離した骨片に主ラグスクリューの一方の端部の係合部位を係合させることによって骨片に主ラグスクリューが固定、保持され、大腿骨に挿入された髄内部品の主貫通孔53に主ラグスクリューを固定することによって、分離した骨片が大腿骨に固定される。さらに、第1側部15及び第1突出部19と第2側部17及び第2突出部21が互いに内側に湾曲して狭まることにより、副ラグスクリューも固定される。副ラグスクリューと主ラグスクリューは分離した骨片と髄内部品との間に2つの固定軸を形成することで、分離した骨片が回転することを防止する。
【0039】
調整装置用孔41の内側には、上から一部において、雄溝部31の溝に対応して雌ネジの溝が形成される。利用者は、回転部品5を調整装置用孔41の内部に入れて回転操作部33を使って回転させると、内側の雌ネジの溝と雄溝部31の溝によって回転部品5を上下に移動させることができる。制御部品3は、回転部品5の上及び下への移動に従って、ともに、上及び下に移動する。
【0040】
第1凹部43及び第2凹部45は、それぞれ、第1突出部19及び第2突出部21の形状に対応して上下に形成された溝である。制御部品3は、第1凹部43及び第2凹部45に第1突出部19及び第2突出部21がはまることにより、上下に形成した第1凹部43及び第2凹部45に従って回転せずに上下に移動する。第1突出部19及び第2突出部21が同じ凹部にはまると、外からかかる力によってねじれなどの意図しない状態が生じる可能性があった。第1突出部19及び第2突出部21がそれぞれ異なる第1凹部43及び第2凹部45にはまり、同じ凹部にははまらないようにすることにより、このような意図しない状態を避けることができる。副ラグスクリューを使用しない場合でも、同様に回転を防止することができる。
【0041】
図5は、
図4の髄内部品に
図3の調整装置1が挿入された状態を示す図である。
図5(a)は斜視図を示す。
図5(b)は正面から透過させて内部の状態を示した図である。
図5(c)は髄内部品を中央で切って内部の状態を示した図である。
図5(d)は平面図を示す。
図5(e)及び(f)は中央の断面図を示す。
図5(e)は第1側部15及び第2側部17のそれぞれの中央を通る断面によるものである。
図5(f)は第1側部15及び第2側部17を分けるように通る断面によるものである。
【0042】
制御部品3の先端部11は、回転部品5が下に移動すると主貫通孔53に挿通された主ラグスクリューを下に押し付けて固定し、回転部品5が上に移動すると主貫通孔53に挿通された主ラグスクリューを押し付けた状態を解除して入れたり出したりできる状態にする。
【0043】
副貫通孔51に挿通された副ラグスクリューは、第1側部15、第1突出部19及び第1掴持部23と、第2側部17、第2突出部21及び第2掴持部25の間の空間に存在する。そのため、副ラグスクリューは角度などを調整することができる。さらに、制御部品3が上下に動いても副ラグスクリューの状態に影響しない。
【符号の説明】
【0044】
1 調整装置
3 制御部品
5 回転部品
11 先端部
13 穴
15 第1側部
17 第2側部
19 第1突出部
21 第2突出部
23 第1掴持部
25 第2掴持部
31 雄溝部
33 回転操作部
35 支持部
37 連結部
41 調整装置用孔
43 第1凹部
45 第2凹部
51 副貫通孔
53 主貫通孔
101 大腿骨
103 髄内釘
105 主ラグスクリュー
107 副ラグスクリュー
109 スライド部
111 回転部
【要約】
【課題】 本願発明は、回転部品に制御部品を容易に取り付けることができる調整装置を提供する。
【解決手段】 調整装置1は、大腿骨から分離した骨片を係合するための髄内釘において主ラグスクリューを固定する。調整装置1は、制御部品3と、回転部品5を備える。回転部品5は、支持部35と、支持部35の上に連結部37を備える。制御部品3は、先端部11と、第1側部15と、第1突出部19と、第1掴持部23と、第2側部17と、第2突出部21と、第2掴持部25を備える。第1掴持部23及び第2掴持部25は連結部37を挟持する。第1側部15及び第1突出部19は、第1掴持部23に外向きの力がかかると第2側部17及び第2突出部21とは独立に広がる。副ラグスクリューは第1側部15及び第1突出部19と第2側部17及び第2突出部21の間に存在する。先端部11は主ラグスクリューを押して固定する。
【選択図】
図3