(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】セラミック銅被覆積層体及びセラミック銅被覆積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/04 20060101AFI20240701BHJP
C04B 37/02 20060101ALI20240701BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20240701BHJP
C22F 1/08 20060101ALI20240701BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240701BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240701BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
B32B15/04 B
C04B37/02 B
C23C26/00 C
C22F1/08 A
H05K1/03 630H
H05K1/03 610D
H05K3/00 R
C22F1/00 604
C22F1/00 627
C22F1/00 630M
C22F1/00 661Z
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 691Z
(21)【出願番号】P 2023500002
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2021102841
(87)【国際公開番号】W WO2022001983
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】202010605357.8
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】周▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】徐▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼偲偲
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110734295(CN,A)
【文献】特開2019-176152(JP,A)
【文献】特開昭57-082181(JP,A)
【文献】特開昭56-035497(JP,A)
【文献】特開昭60-177635(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015355(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110843272(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C04B
H05K
C23C
C22F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅材を提供するステップと、
前記銅材の表面に銅酸化物層を形成するステップと、
前記銅酸化物層が形成された銅材を熱処理して、前記銅材内に酸素原子を拡散させるステップと、
前記熱処理後の銅材の銅酸化物層を除去するステップと、
銅酸化物層を除去した後の銅材をセラミック基板に溶接して、セラミック銅被覆積層体を得るステップとを含む、セラミック銅被覆積層体の製造方法。
【請求項2】
前記銅酸化層を形成するステップは、前記銅材に対して化学酸化処理を行うステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化学酸化処理は、
(1)次亜塩素酸塩と強塩基の混合液を用いて前記銅材を処理し、
(2)強酸と過酸化水素水の混合溶液を用いて前記銅材を処理し、
(3)酸性過硫酸塩溶液を用いて前記銅材を処理する
という方法のうちの少なくとも1つにより行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学酸化処理は、
(1)30~100℃の条件で、10~200g/Lの次亜塩素酸塩及び10~100g/Lの強塩基を含む酸化液を用いて5~100min酸化し、
(2)30~80℃の条件で、10~200g/Lの強酸及び10~150g/LのH
2O
2を含む酸化液を用いて5~40min酸化し、
(3)30~80℃、PH<4の条件で、30~150g/Lの過硫酸塩を含む酸化液を用いて5~40min酸化する
という方法のうちの少なくとも1つにより行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記銅酸化物層の厚さは、0.5~3μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理の温度は、400~900℃であり、前記熱処理の時間は、5~100minである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理は、真空又は不活性ガスの条件で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
銅酸化物層を除去した後の前記銅材において、酸素元素の質量は、銅材の質量の0.001~0.01%を占める、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記溶接は、活性金属溶接であり、前記活性金属溶接は、
セラミック基板の表面に活性金属はんだを設けるステップと、
銅酸化物層を除去した後の前記銅材を前記活性金属はんだに被覆するステップと、
真空環境で溶接を行うことにより、前記セラミック基板上に銅層を形成して、セラミック銅被覆積層体を得るステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶接後、前記銅材の前記セラミック基板から遠い側の銅の結晶粒サイズは、10~200μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記セラミック基板は、窒化物セラミックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記銅材の表面に銅酸化物層を形成する前に、前記銅材を洗浄するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄処理に用いられる試薬は、水酸化ナトリウム、硫酸、クエン酸ナトリウム、アセトン、エタノールのうちの少なくとも1種を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
順に積層して設けられたセラミック基体、活性金属溶接層及び銅層を含み、前記銅層が酸素元素を含有
し、
前記活性金属溶接層から遠い側の銅層における銅の結晶粒サイズは、10~200μmである、セラミック銅被覆積層体。
【請求項15】
前記銅層における前記酸素元素の質量は、前記銅層の質量の0.002~0.005%を占める、請求項14に記載のセラミック銅被覆積層体。
【請求項16】
前記セラミック基体は、窒化物セラミックである、請求項14に記載のセラミック銅被覆積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年6月29日に中国国家知識産権局に提出された、中国特許出願第202010605357.8号の優先権と利益を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、セラミック銅被覆積層体の技術分野に関し、具体的には、セラミック銅被覆積層体及びセラミック銅被覆積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電力電子分野において、パワーモジュールで発生した熱が主にセラミック銅被覆積層体を介してハウジングに伝導されて外部に放出されるため、セラミック銅被覆積層体は、パワーモジュールのパッケージに不可欠な重要な材料である。セラミック銅被覆積層体は、セラミック基板の表面を金属化する特殊なプロセスによる基板であり、熱伝導率が低い酸化アルミナセラミック銅被覆積層体は、パッケージ要件を満たすことが次第に難しくなり、高熱伝導性の窒化アルミニウム等の窒化物セラミック基板に銅をラミネートすることは、ハイパワー電子モジュールの製造により適する。
【0004】
アルミナセラミックと異なり、窒化物セラミックは、銅直接接合技術(Direct Bonding Copper、DBC)により金属化を行うことができず、常に、活性金属溶接プロセス(Active Metal Brazing、AMB)により銅板との接合を実現し、主に活性金属はんだにより銅材と窒化物セラミックを溶接し、パッケージ用の窒化物セラミック銅被覆積層体を製造する。
【0005】
活性金属はんだの酸化を回避するために、AMBプロセスは、一般的に750~1000℃の高真空条件下で行われるが、該プロセスにおいて、銅材の二次結晶化は、銅結晶粒の急速な成長に繋がり、過大な銅結晶粒は、後続の電荷結合素子(CCD)のセラミック銅被覆基板の回路パターン(銅層)の識別に影響を与え、さらにダイボンディング、バインド等の自動化パッケージに影響を与える。したがって、AMBプロセスで、銅材の結晶粒の成長を制御することは、非常に重要である。
【発明の概要】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本願は、セラミック銅被覆積層体の製造方法を提供し、該方法で得られたセラミック銅被覆積層体の銅結晶粒サイズが適切であり、CCD識別率が高い。
【0007】
本願の第1の態様に係るセラミック銅被覆積層体の製造方法は、銅材を提供するステップと、前記銅材に対して化学酸化処理を行うことにより、前記銅材の表面に銅酸化物層を形成するステップと、前記化学酸化処理後の銅材を熱処理して、前記銅材内に酸素原子を拡散させるステップと、前記熱処理後の銅材の銅酸化物層を除去するステップと、銅酸化物層を除去した後の銅材をセラミック基板に溶接して、セラミック銅被覆積層体を得るステップと、を含む。
【0008】
本願では、銅材とセラミック基板を溶接する前に、銅材に対して化学酸化処理を行うことにより、銅材の表面に銅酸化物層を形成し、次に化学酸化処理後の銅材を熱処理して、銅材内に酸素原子を拡散させ、その後に該銅酸化層を除去して、酸素原子が拡散された銅材を得て、さらに酸素原子が拡散された銅材をセラミック基板に溶接し、銅材内の酸素原子は、銅結晶粒の成長を阻害することができるため、得られたセラミック銅被覆積層体における銅の結晶粒サイズが制御されて、CCD識別率の高いセラミック銅被覆積層体を得ることができる。
【0009】
本願の一態様に係るセラミック銅被覆積層体の製造方法は、銅材を提供するステップと、前記銅材の表面に銅酸化物層を形成するステップと、前記銅酸化物層が形成された銅材を熱処理して、前記銅材内に酸素原子を拡散させるステップと、前記熱処理後の銅材の銅酸化物層を除去するステップと、銅酸化物層を除去した後の銅材をセラミック基板に溶接して、セラミック銅被覆積層体を得るステップと、を含む。本願では、銅材とセラミック基板を溶接する前に、銅材の表面に銅酸化物層を形成し、次に前記銅酸化物層が形成された銅材を熱処理して、銅材内に酸素原子を拡散させ、その後に該銅酸化層を除去して、酸素原子が拡散された銅材を得て、さらに酸素原子が拡散された銅材をセラミック基板に溶接し、銅材内の酸素原子は、銅結晶粒の成長を阻害することができるため、得られたセラミック銅被覆積層体における銅の結晶粒サイズが制御されて、CCD識別率の高いセラミック銅被覆積層体を得ることができる。
【0010】
本願の第2の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、上記セラミック銅被覆積層体の製造方法により製造される。これにより、該セラミック銅被覆積層体は、セラミック銅被覆積層体の製造方法の全ての特徴及び利点を有し、ここで重複して説明しない。
【0011】
本願の別の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、上記セラミック銅被覆積層体の製造方法により製造される。これにより、該セラミック銅被覆積層体は、セラミック銅被覆積層体の製造方法の全ての特徴及び利点を有し、ここで重複して説明しない。
【0012】
本願の第3の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、順に積層して設けられたセラミック基体、活性金属溶接層及び銅層を含み、前記銅層が酸素元素を含有し、前記酸素元素の質量が前記銅層の質量の0.002~0.005%を占める。該セラミック銅被覆積層体の銅層が上記含有量の酸素を含有し、銅結晶粒に対してピンニング作用を果たし、銅結晶粒間の界面の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒成長の過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御する目的を達成することにより、セラミック銅被覆積層体はCCD識別率が高くなる。
【0013】
本願のさらに別の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、順に積層して設けられたセラミック基板、活性金属溶接層及び銅層を含み、前記銅層が酸素元素を含有する。該セラミック銅被覆積層体の銅層が酸素元素を含有し、銅結晶粒に対してピンニング作用を果たし、銅結晶粒間の界面の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒成長の過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御する目的を達成することにより、セラミック銅被覆積層体はCCD識別率が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、若しくは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0015】
本願は、関連技術における技術的課題の1つをある程度解決することを目的とする。
【0016】
本願が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
本願の第1の態様に係るセラミック銅被覆積層体の製造方法は、銅材を提供するステップと、上記銅材に対して化学酸化処理を行うことにより、上記銅材の表面に銅酸化物層を形成するステップと、上記化学酸化処理後の銅材を熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させるステップと、上記熱処理後の銅材の銅酸化物層を除去するステップと、銅酸化物層を除去した後の銅材をセラミック基板に溶接して、セラミック銅被覆積層体を得るステップと、を含む。本願では、銅材とセラミック基板を溶接する前に、銅材に対して化学酸化処理を行うことにより、銅材の表面に銅酸化物層を形成し、次に化学酸化処理後の銅材を熱処理して、銅材内に酸素原子を拡散させ、その後に該銅酸化層を除去して、酸素原子が拡散された銅材を得て、さらに酸素原子が拡散された銅材をセラミック基板に溶接し、銅材内の酸素原子は、銅結晶粒の成長を阻害することができるため、得られたセラミック銅被覆積層体における銅の結晶粒サイズが制御されて、CCD識別率の高いセラミック銅被覆積層体を得ることができる。
【0018】
本願の一態様に係るセラミック銅被覆積層体の製造方法は、銅材を提供するステップと、上記銅材の表面に銅酸化物層を形成するステップと、上記銅酸化物層が形成された銅材を熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させるステップと、上記熱処理後の銅材の銅酸化物層を除去するステップと、銅酸化物層を除去した後の銅材をセラミック基板に溶接して、セラミック銅被覆積層体を得るステップと、を含む。本願では、銅材とセラミック基板を溶接する前に、銅材の表面に銅酸化物層を形成し、次に上記銅酸化物層が形成された銅材を熱処理して、銅材内に酸素原子を拡散させ、その後に該銅酸化層を除去して、酸素原子が拡散された銅材を得て、さらに酸素原子が拡散された銅材をセラミック基板に溶接し、銅材内の酸素原子は、銅結晶粒の成長を阻害することができるため、得られたセラミック銅被覆積層体における銅の結晶粒サイズが制御されて、CCD識別率の高いセラミック銅被覆積層体を得ることができる。
【0019】
本願のいくつかの実施例では、上記銅材に対して化学酸化処理を行う前に、銅材の表面の油汚れ、自然酸化層等を除去するために銅材に対して洗浄処理を行うステップをさらに含み、化学酸化処理時の銅酸化物層の付着及び該銅酸化物層の制御性の増加に役立つ。
【0020】
具体的には、上記洗浄処理に用いられる試薬は、水酸化ナトリウム、硫酸、クエン酸ナトリウム、アセトン、エタノールのうちの少なくとも1種を含むが、それらに限定されない。具体的には、上記銅材は、銅板、銅箔等の形式の原材料を含む。具体的には、上記銅材は、無酸素銅材である。
【0021】
本願のいくつかの実施例では、上記銅酸化層を形成するステップは、上記銅材に対して化学酸化処理を行うステップを含む。具体的には、上記化学酸化処理は、(1)次亜塩素酸塩と強塩基の混合液を用いて上記銅材を処理し、(2)強酸と過酸化水素水の混合溶液を用いて上記銅材を処理し、(3)過硫酸塩溶液を用いて上記銅材を処理するという方法のうちの少なくとも1つにより行われる。
【0022】
本願のいくつかの実施例では、上記銅材に対して化学酸化処理を行い、上記化学酸化処理は、
(1)30~100℃の条件で、10~200g/Lの次亜塩素酸塩及び10~100g/Lの強塩基を含む酸化液を用いて5~100min酸化し、
(2)30~80℃の条件で、10~200g/Lの強酸及び10~150g/LのH2O2を含む酸化液を用いて5~40min酸化し、
(3)30~80℃で、PH<4の条件で、30~150g/Lの過硫酸塩を含む酸化液を用いて5~40min酸化するという方法のうちの少なくとも1つにより行われる。
【0023】
これにより、該化学酸化処理の操作が簡単で、便利であり、実現しやすく、かつ銅材の表面に銅酸化物層を効率的に形成することができる。
【0024】
次亜塩素酸塩及び強塩基を含む酸化液を用いる場合、具体的には、次亜塩素酸塩の濃度は50~120g/Lであり、強塩基の濃度は10~40g/Lであり、酸化温度は40~70℃であり、酸化時間は10~30minである。
【0025】
強酸及びH2O2を含む酸化液を用いる場合、具体的には、強酸の濃度は30~130g/Lであり、H2O2の濃度は20~120g/Lであり、酸化温度は40~70℃であり、酸化時間は10~30minである。
【0026】
過硫酸塩を含む酸化液を用いる場合、具体的には、過硫酸塩の濃度は50~120g/Lであり、酸化温度は40~70℃であり、酸化時間は10~30minである。
【0027】
本願のいくつかの実施例では、上記次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)及び/又は次亜塩素酸カリウム(KClO2)を含んでもよく、上記強塩基は、水酸化カリウム(KOH)及び/又は水酸化ナトリウム(NaOH)を含んでもよく、上記強酸は、硫酸(H2SO4)を含んでもよく、過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム及び/又は過硫酸カリウムを含んでもよい。
【0028】
本願のいくつかの実施例では、上記銅酸化物層の厚さは0.5~3μmである。該厚さは、後続の熱処理により銅酸化物層における酸素を銅材内に拡散させることができ、銅材における銅結晶粒間の界面(銅結晶粒界)に酸素原子が存在することを保証することができる。具体的には、上記銅酸化層の材質は、酸化銅と亜酸化銅のうちの少なくとも1種を含む。
【0029】
本願のいくつかの実施例では、上記化学酸化処理後の銅材に対して熱処理を行い、上記熱処理の温度は400~900℃であり、上記熱処理の時間は5~100minである。本願のいくつかの実施例では、上記熱酸化処理の温度は、400、450、500、550、600、700、800又は900℃であってもよく、上記熱酸化処理の時間は、5、10、20、40、60、80、90又は100minであってもよい。上記熱処理過程により、銅酸化物層における酸素を銅材の銅結晶粒界に拡散させることができ、酸素原子の銅結晶粒へのピンニング作用により、結晶粒界の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒の成長過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御するという目的を達成する。具体的には、上記熱処理の温度は、600~800℃であり、上記熱処理の時間は、5~30minである。
【0030】
本願のいくつかの実施例では、上記熱処理は、真空又は不活性ガス条件で行われる。具体的には、上記熱処理は、雰囲気の含有量を制御できる任意の加熱装置、例えば真空炉、箱型炉、トンネル炉、回転式雰囲気炉、バッチ炉、チェーンコンベヤ炉、管状炉、シャトル炉又はプッシャキルン等で行うことができ、上記不活性ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1種である。
【0031】
本願のいくつかの実施例では、上記銅材を熱処理した後、セラミック基板との溶接前に、熱処理後の銅材の銅酸化物層を除去し、溶接に用いられるはんだの酸化の、溶接品質への影響を防止することができる。
【0032】
具体的には、銅酸化物層の除去は、酸洗又は研磨(例えばサンドペーパー研磨、CMP化学機械研磨プロセス(CMP)による研磨)により行うことができる。
【0033】
具体的には、銅酸化物層の除去方式は、酸洗である。酸洗で銅酸化物層を除去する場合、上記熱酸化処理後の銅材を使用された酸溶液と一定の時間接触させ、さらに取り出した後に水洗し、乾燥させることにより、後続の溶接に役立ち、酸洗により銅酸化物層を除去する時間が短く(例えば2~10s)、除去効率が高く、操作しやすく、銅材の厚さ損失が極めて少ない。具体的には、上記酸洗で用いられる酸は、硫酸、塩酸、リン酸のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、上記酸洗で用いられる酸溶液の濃度は、10wt%以下、例えば1~10wt%であってもよい。
【0034】
本願のいくつかの実施例では、銅酸化物層を除去した後の上記銅材において、酸素元素の質量は、銅材の質量の0.001~0.01%を占める。これにより、銅材が上記含有量の酸素を含有し、酸素原子の銅結晶粒へのピンニング作用により、結晶粒界の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒の成長過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御するという目的を達成することができる。具体的には、銅酸化物層を除去した後の上記銅材において、酸素元素の質量は、銅材の質量の0.002~0.005%を占める。
【0035】
本願のいくつかの実施例では、銅酸化物層を除去した後の上記銅材をセラミック基板に溶接する。具体的には、上記溶接は、活性金属溶接である。活性金属溶接は、一般的に、高温、高真空の環境で行われ、処理されない銅材は、このプロセス過程において二次結晶により、結晶粒が粗大になる。本願に係るセラミック銅被覆積層体の製造方法は、銅材を溶接する前に、銅材を化学的に酸化し、銅材の表面に銅酸化物層を形成し、次に化学酸化処理後の銅材を熱処理して、銅材内に酸素原子を拡散させ、その後、溶接品質に影響を与えないように、銅材とセラミック基板を溶接する前に該銅酸化物層を除去し、溶接過程において、酸素原子の銅材内でのピンニング作用により、その結晶粒界の結合抵抗を増大させることにより、銅結晶粒の二次結晶を抑制し、セラミック銅被覆積層体の結晶粒の大きさが適切な範囲にあり、CCDの銅材に対する識別率を向上させ、銅材とセラミック基板との結合強度を向上させることを実現する。
【0036】
本願のいくつかの実施例では、上記溶接は、セラミック基板の表面に活性金属はんだを設けるステップと、銅酸化物層を除去した後の上記銅材を上記活性金属はんだに被覆するステップと、真空環境で溶接を行うことにより、上記セラミック基板に銅層を形成して、セラミック銅被覆積層体を得るステップとを含む活性金属溶接であり、セラミック基板の表面に活性金属はんだを設ける方法は、セラミック基板の表面に活性金属はんだを印刷するステップを含む。
【0037】
本願のいくつかの実施例では、活性金属溶接は、セラミック基板の表面に活性金属はんだを印刷するステップと、銅酸化物層を除去した後の上記銅材を上記活性金属はんだに被覆するステップと、真空環境で溶接を行うことにより、上記セラミック基板に銅層を形成して、セラミック銅被覆積層体を得るステップとを含む。
【0038】
本願のいくつかの実施例では、上記セラミック銅被覆積層体の銅層において、少なくとも上記セラミック基板から遠い側の銅の結晶粒は10~200μmである。過大な銅結晶粒のCCD位置決めに対する悪影響を回避し、自動識別率を向上させ、後続のダイボンディング、バインド等の自動化パッケージプロセスに影響を与えないだけでなく、過大な銅結晶粒が溶接層と銅材との結合強度に影響を与えることを回避することができ、また、銅材の可塑性が低く、かつセラミック銅被覆積層体における熱応力の放出が不十分であるという過小な銅結晶粒による問題を回避することができる。
【0039】
本願のいくつかの実施例では、上記溶接後、上記銅材の上記セラミック基板から遠い側の銅の結晶粒サイズは10~200μmである。
【0040】
本願のいくつかの実施例では、上記セラミック基板の厚さは0.2~2mmである。上記セラミック基板は、窒化物セラミック板、酸化物セラミック板又はホウ素化物セラミック板を含む。具体的には、上記セラミック基板は、窒化物セラミックである。
【0041】
本願の第2の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、本願の第1の態様に記載のセラミック銅被覆積層体の製造方法により製造される。これにより、該セラミック銅被覆積層体は、セラミック銅被覆積層体の製造方法の全ての特徴及び利点を有し、ここで重複して説明しない。
【0042】
本願の別の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、上記セラミック銅被覆積層体の製造方法により製造される。これにより、該セラミック銅被覆積層体は、セラミック銅被覆積層体の製造方法の全ての特徴及び利点を有し、ここで重複して説明しない。
【0043】
本願の第3の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、順に積層して設けられたセラミック基体、活性金属溶接層及び銅層を含み、上記銅層が酸素元素を含有し、上記酸素元素の質量が上記銅層の質量の0.002~0.005%を占める。該セラミック銅被覆積層体の銅層が上記含有量の酸素を含有し、銅結晶粒に対してピンニング作用を果たし、銅結晶粒間の界面の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒成長の過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御する目的を達成することにより、セラミック銅被覆積層体はCCD識別率が高くなる。
【0044】
本願のさらに別の態様に係るセラミック銅被覆積層体は、順に積層して設けられたセラミック基板、活性金属溶接層及び銅層を含み、上記銅層が酸素元素を含有する。該セラミック銅被覆積層体の銅層が酸素元素を含有し、銅結晶粒に対してピンニング作用を果たし、銅結晶粒間の界面の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒成長の過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御する目的を達成することにより、セラミック銅被覆積層体はCCD識別率が高くなる。
【0045】
本願のいくつかの実施例では、上記銅層における上記酸素元素の質量は、上記銅層の質量の0.002~0.005%を占める。該セラミック銅被覆積層体の銅層が上記含有量の酸素を含有する場合、銅結晶粒に対してピンニング作用を果たし、銅結晶粒間の界面の結合抵抗を向上させるため、二次結晶粒成長の過程に対する抑制作用が強く、結晶粒の大きさを制御する目的を達成することにより、セラミック銅被覆積層体はCCD識別率が高くなる。
【0046】
本願のいくつかの実施例では、少なくとも上記活性金属溶接層から遠い側の銅層における銅の結晶粒は、10~200μmである。過大な銅結晶粒のCCD位置決めに対する悪影響を回避し、自動識別率を向上させ、後続のダイボンディング、バインド等の自動化パッケージプロセスに影響を与えないだけでなく、過大な銅結晶粒が溶接層と銅材との結合強度に影響を与えることを回避することができ、また、銅材の可塑性が低く、かつセラミック銅被覆積層体における熱応力の放出が不十分であるという過小な銅結晶粒による問題を回避することができる。
【0047】
本願のいくつかの実施例では、上記活性金属溶接層から遠い側の銅層における銅の結晶粒サイズは、10~200μmである。
【0048】
本願のいくつかの実施例では、上記セラミック基体は、窒化物セラミック板、酸化物セラミック板又はホウ素化物セラミック板を含む。具体的には、上記セラミック基体は、窒化物セラミックである。
【0049】
以下、具体的な実施例を参照しながら本願の解決手段を説明し、なお、以下の実施例は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するためのものと見なされるべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていない場合、本分野の文献に記載されている技術又は条件に従うか又は製品仕様書に従うものとする。使用される試薬又は機器としては、メーカーが明記されていない場合、いずれも市販で入手できる一般的な製品である。
【実施例1】
【0050】
セラミック銅被覆積層体の製造方法は、以下のステップ(1)~(5)を含む。
【0051】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、洗浄し、乾燥した銅板を60g/LのNaClO2及び20g/LのNaOHを含有する酸化液に入れ、50℃で20min化学酸化処理することにより、銅板の対向して設けられた2つの側面にいずれも厚さが1μmの銅酸化物層を形成し、
ステップ(3)では、化学酸化処理後の銅材をチェーンコンベヤ炉に入れ、窒素ガスを保護ガスとして導入して、700℃で10min熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させ、
ステップ(4)では、上記熱処理後の銅板を硫酸で表面酸洗し、銅酸化物層を除去した後、水洗し、乾燥させて、酸素元素の質量百分率が0.002%の銅板を得て、
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
【実施例2】
【0052】
セラミック銅被覆積層体の製造方法は、以下のステップ(1)~(5)を含む。
【0053】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、洗浄し、乾燥した銅板を60g/LのNaClO2及び20g/LのNaOHを含有する酸化液に入れ、70℃で30min化学酸化処理することにより、銅板の対向して設けられた2つの側面にいずれも厚さが2μmの銅酸化物層を形成し、
ステップ(3)では、化学酸化処理後の銅材をチェーンコンベヤ炉に入れ、窒素ガスを保護ガスとして導入して、700℃で10min熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させ、
ステップ(4)では、上記熱処理後の銅板を硫酸で表面酸洗し、銅酸化物層を除去した後、水洗し、乾燥させて、酸素元素の質量百分率が0.003%の銅板を得て、
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
【実施例3】
【0054】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、洗浄し、乾燥した銅板を80g/LのH2SO4及び100g/LのH2O2を含有する酸化液に入れ、60℃で20min化学酸化処理することにより、銅板の対向して設けられた2つの側面にいずれも厚さが1μmの銅酸化物層を形成し、
ステップ(3)では、化学酸化処理後の銅材をチェーンコンベヤ炉に入れ、窒素ガスを保護ガスとして導入して、700℃で10min熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させ、
ステップ(4)では、上記熱処理後の銅板を硫酸で表面酸洗し、銅酸化物層を除去した後、水洗し、乾燥させて、酸素元素の質量百分率が0.002%の銅板を得て、
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
【実施例4】
【0055】
セラミック銅被覆積層体の製造方法は、以下のステップ(1)~(5)を含む。
【0056】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、洗浄し、乾燥した銅板を60g/LのNaClO2及び20g/LのNaOHを含有する酸化液に入れ、50℃で20min化学酸化処理することにより、銅板の対向して設けられた2つの側面にいずれも厚さが1μmの銅酸化物層を形成し、
ステップ(3)では、化学酸化処理後の銅材をチェーンコンベヤ炉に入れ、窒素ガスを保護ガスとして導入して、600℃で30min熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させ、
ステップ(4)では、上記熱処理後の銅板を硫酸で表面酸洗し、銅酸化物層を除去した後、水洗し、乾燥させて、酸素元素の質量百分率が0.002%の銅板を得て、
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
【実施例5】
【0057】
セラミック銅被覆積層体の製造方法は、以下のステップ(1)~(5)を含む。
【0058】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、洗浄し、乾燥した銅板を60g/LのNaClO2及び20g/LのNaOHを含有する酸化液に入れ、50℃で20min化学酸化処理することにより、銅板の対向して設けられた2つの側面にいずれも厚さが1μmの銅酸化物層を形成し、
ステップ(3)では、化学酸化処理後の銅材をチェーン式コンベヤに入れ、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で15min熱処理して、上記銅材内に酸素原子を拡散させ、
ステップ(4)では、上記熱処理後の銅板を硫酸で表面酸洗し、銅酸化物層を除去した後、水洗し、乾燥させて、酸素元素の質量百分率が0.003%の銅板を得て、
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
(比較例1)
【0059】
セラミック銅被覆積層体の製造方法は、以下のステップ(1)~(2)を含む。
【0060】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、ステップ(1)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
(比較例2)
【0061】
セラミック銅被覆積層体の製造方法は、以下のステップ(1)~(4)を含む。
【0062】
ステップ(1)では、厚さが0.5mmの無酸素銅板(銅含有量が99.999%である)を提供し、表面洗浄を行い、具体的には、まず、希釈NaOH溶液を用いて表面の油汚れを洗浄し、さらにエタノール中で超音波洗浄し、乾燥させ、
ステップ(2)では、洗浄し、乾燥した銅板を60g/LのNaClO2及び20g/LのNaOHを含有する酸化液に入れ、50℃で20min化学酸化処理することにより、銅板の対向して設けられた2つの側面にいずれも厚さが1μmの銅酸化物層を形成し、
ステップ(3)では、上記化学処理後の銅板を硫酸で表面酸洗し、銅酸化物層を除去した後、銅板を水洗し、乾燥させ、
ステップ(4)では、ステップ(3)で得られた銅板と厚さ0.32mmの窒化アルミニウムセラミック基板に対して活性金属溶接を行い、具体的には窒化アルミニウムセラミック基板の表面にTiを含有する活性金属はんだをシルクスクリーン印刷し、上記銅板を上記活性金属はんだに被覆し、真空環境下で850℃で溶接して、セラミック銅被覆積層体を得る。
【0063】
性能試験
結晶粒サイズ:結晶相顕微鏡によりセラミック銅被覆積層体の銅層における銅結晶粒サイズの大きさを観察し、結晶粒サイズを計算する具体的な方法は、リニアインターセプト法であり、銅面の複数箇所でサンプリングし、かつその上に一定の長さの直線を描き、該線を通過した結晶粒の個数を統計し、線の長さを結晶粒の個数で割ると、結晶粒サイズとなる。
【0064】
試験結果:実施例1~5と比較例1~2のセラミック銅被覆積層体の性能をそれぞれ試験し、試験結果を表1に示す。
【表1】
【0065】
表1の試験結果から分かるように、比較例1~2で製造されたセラミック銅被覆積層体と比較して、本願の実施例1~5で製造されたセラミック銅被覆積層体の銅結晶粒サイズが小さく、CCD位置決めに役立ち、後続のセラミック銅被覆積層体にダイボンディング、バインド等の自動化パッケージプロセスの品質を向上させる。
【0066】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その説明が具体的で詳細であるが、本特許出願の範囲を限定するものと理解してはならない。なお、当業者にとっては、本願の構想から逸脱しない前提で、さらにいくつかの変形及び改善を行うことができ、これらは、いずれも本願の保護範囲に属する。したがって、本特許出願の保護範囲は、添付された特許請求の範囲を基準とすべきである。
【0067】
本願の説明において、用語「上」、「下」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明するためのものに過ぎず、本願が特定の方位で構成されて操作されなければならないように要求するものではないため、本願を限定するものとして理解してはならない。
【0068】
本明細書の説明において、用語「1つの実施例」、「別の実施例」等を参照する説明は、該実施例を参照して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な形態で結合することができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。