IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図1
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図2
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図3
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図4
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図5
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図6
  • 特許-バッテリ状態診断装置及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】バッテリ状態診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20240701BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20240701BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20240701BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240701BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/392
G01R31/367
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023507478
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2021013633
(87)【国際公開番号】W WO2022075708
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0128194
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ボ-ミ・イム
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-078131(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107643495(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109063260(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111103544(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111200168(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0018472(US,A1)
【文献】特開2006-118928(JP,A)
【文献】特表2013-519893(JP,A)
【文献】特表2023-534823(JP,A)
【文献】特表2023-527806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
H02J 7/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリのそれぞれの電圧、容量、内部抵抗、SOC、及びSOHのうち少なくとも1つを含むバッテリ情報を獲得し、該獲得されたバッテリ情報に基づいて、複数のバッテリプロファイルを前記複数のバッテリのそれぞれに対して周期ごとに生成するように構成されたプロファイル生成部と、
前記バッテリ情報及び前記プロファイル生成部によって生成された複数のバッテリプロファイルを用いて、前記複数のバッテリのそれぞれに対して複数の特徴値を抽出するように構成された特徴値抽出部と、
前記特徴値抽出部によって抽出された複数の特徴値に対する複数の主成分を算出するように構成された主成分算出部と、
前記複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値に基づいて、前記複数の主成分に対する前記複数のバッテリの分布を示す主成分別分布度を算出し、既定の基準値と算出された主成分別分布度とを比較した結果によって、前記複数の主成分のうち1つ以上をターゲット成分として選択し、該選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれを複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成されたバッテリ分類部と、
前記周期ごとに前記バッテリ分類部によって、前記複数のバッテリのそれぞれが分類されるグループに関する分類履歴を更新し、該更新された分類履歴に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれの状態を診断するように構成されたバッテリ状態診断部と、
を含み、
前記複数のグループは、異常セルに対応して設定された参照セルが属する異常グループと、前記参照セルが属さない正常グループを含むように構成されたことを特徴とする
バッテリ状態診断装置。
【請求項2】
前記バッテリ分類部は、
前記選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記参照セルを前記複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成され、
前記バッテリ状態診断部は、
前記複数のグループのうち、前記参照セルが属するグループを前記異常グループとして設定し、残りのグループを前記正常グループとして設定するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項3】
前記分類履歴は、
前記複数のバッテリのそれぞれに対して備えられ、直前周期から分類されたグループ、現在周期から分類されたグループ、前記異常グループへの転換回数及び前記正常グループへの転換回数を含むように構成されたことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項4】
前記バッテリ状態診断部は、
前記複数のバッテリのうち、前記直前周期から分類されたグループと前記現在周期から分類されたグループとが異なるターゲットバッテリを決定し、該決定されたターゲットバッテリに対する前記異常グループへの転換回数または前記正常グループへの転換回数に基づいて、前記ターゲットバッテリの状態を正常または異常と診断するように構成されたことを特徴とする、請求項3に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項5】
前記バッテリ状態診断部は、
前記現在周期で前記ターゲットバッテリが前記異常グループに分類された場合、前記異常グループへの転換回数が所定の回数以上であれば、前記ターゲットバッテリの状態を異常と診断し、
前記現在周期で前記ターゲットバッテリが前記正常グループに分類された場合、前記正常グループへの転換回数が前記所定の回数以上であれば、前記ターゲットバッテリの状態を正常と診断するように構成されたことを特徴とする、請求項4に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項6】
前記バッテリ分類部は、
前記複数の主成分のうち少なくとも1つを選択し、該選択された1つ以上の主成分に対応する主成分別分布度の合計が、前記既定の基準値以上である場合、前記選択された1つ以上の主成分を前記ターゲット成分として選択するように構成されたことを特徴とする、請求項2~5の何れか一項に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項7】
前記バッテリ分類部は、
前記合計が、前記既定の基準値以上になるまで、前記複数の主成分のそれぞれに対応する主成分別分布度を大きさが大きな順に加えて、前記合計を算出するように構成されたことを特徴とする、請求項6に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項8】
前記バッテリ分類部は、
前記周期ごとに、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを前記複数のグループに分類する代表モデルを生成するように構成されたことを特徴とする、請求項6に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項9】
前記バッテリ分類部は、
前記選択された1つ以上のターゲット成分を含むターゲット集合を生成し、該生成されたターゲット集合のうちの少なくとも1つのターゲット成分を含む複数のターゲット部分集合を生成し、前記複数のターゲット部分集合のそれぞれに対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを分類する1つ以上の分類モデルを生成し、前記複数のターゲット部分集合に対して生成された複数の分類モデルのうち何れか1つを当該周期に対する代表モデルとして設定するように構成されたことを特徴とする、請求項8に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項10】
前記バッテリ分類部は、
前記生成された複数の分類モデルのそれぞれに対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルの分類度を算出し、前記生成された複数の分類モデルのうち、算出された分類度が最も低い分類モデルを前記周期に対する前記代表モデルとして設定するように構成されたことを特徴とする、請求項9に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項11】
前記バッテリ分類部は、
前記複数のターゲット部分集合のそれぞれに含まれた1つ以上のターゲット成分に対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルの内積を算出し、該算出された複数の内積の大きさによって、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを分類する前記複数の分類モデルを生成するように構成されたことを特徴とする、請求項9に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項12】
前記バッテリ分類部は、
前記複数の分類モデルのそれぞれに対して、分類されるグループの総個数が、既定の基準個数以下になるように制御するように構成されたことを特徴とする、請求項9に記載のバッテリ状態診断装置。
【請求項13】
請求項1~12のうち何れか一項に記載のバッテリ状態診断装置を含む、バッテリパック。
【請求項14】
請求項1~12のうち何れか一項に記載のバッテリ状態診断装置を含む、エネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
複数のバッテリのそれぞれの電圧及び容量間の対応関係を示すバッテリプロファイルを前記複数のバッテリのそれぞれに対して周期ごとに生成するプロファイル生成段階と、
前記プロファイル生成段階から生成された複数のバッテリプロファイルのそれぞれから複数の特徴値を抽出する特徴値抽出段階と、
前記特徴値抽出段階から抽出された複数の特徴値に対する複数の主成分を算出する主成分算出段階と、
前記複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値に基づいて、前記複数の主成分に対する前記複数のバッテリの分布を示す主成分別分布度を算出する主成分別分布度算出段階と、
既定の基準値と前記主成分別分布度算出段階から算出された主成分別分布度とを比較した結果によって、前記複数の主成分のうち1つ以上をターゲット成分として選択するターゲット成分選択段階と、
前記ターゲット成分選択段階から選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれを複数のグループのうち何れか1つに分類するバッテリ分類段階と、
前記周期ごとに前記バッテリ分類段階で前記複数のバッテリのそれぞれが分類されるグループに関する分類履歴を更新し、該更新された分類履歴に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれの状態を診断するバッテリ状態診断段階と、
含み、
前記複数のグループは、異常セルに対応して設定された参照セルが属する異常グループと、前記参照セルが属さない正常グループを含むように構成されたことを特徴とする
バッテリ状態診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年10月5日付の大韓民国特許出願番号第10-2020-0128194号に対する優先権主張出願であって、当該出願の明細書及び図面に開示されたあらゆる内容は、引用によって本出願に援用される。
【0002】
本発明は、バッテリ状態診断装置及び方法に係り、より詳細には、バッテリの状態を診断することができるバッテリ状態診断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、ノート型パソコン、ビデオカメラ、携帯用電話機のような携帯用電子製品の需要が急激に増大し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化されることによって、反復的な充電・放電が可能な高性能バッテリについての研究が活発に進められている。
【0004】
現在、商用化されたバッテリとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリなどがあるが、そのうち、リチウムバッテリは、ニッケル系のバッテリに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充電・放電が自在であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所によって脚光を浴びている。
【0005】
従来、バッテリの電圧、電流、及び/または温度などのバッテリ情報を獲得し、該獲得されたバッテリ情報を基準電圧または基準電圧範囲と単純に大小を比較した結果に基づいてバッテリの状態を診断した。例えば、バッテリの電圧が基準電圧範囲に属するか否かによってバッテリの状態が正常状態、過電圧(Over voltage)状態、または不足電圧(Under voltage)状態と診断された。
【0006】
しかし、実際には、バッテリの電圧、電流、及び/または温度などが基準範囲に属するとしても、火災が発生する場合があるために、バッテリの特徴値(例えば、電圧値)と参照値(例えば、基準電圧または基準電圧範囲)とを単純に比較してバッテリの状態を診断するものではなく、バッテリのプロファイルの変化を追跡して統計学的な観点からバッテリの状態を正確に診断する技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであって、バッテリの多様な特徴値に基づいて、バッテリの状態を追跡診断することができるバッテリ状態診断装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解され、本発明の実施例によってより明らかになるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に表われた手段及びその組み合わせによって実現可能であるということを容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によるバッテリ状態診断装置は、複数のバッテリのそれぞれの電圧、容量、内部抵抗、SOC、及びSOHのうち少なくとも1つを含むバッテリ情報を獲得し、該獲得されたバッテリ情報に基づいて、複数のバッテリプロファイルを前記複数のバッテリのそれぞれに対して周期ごとに生成するように構成されたプロファイル生成部;前記バッテリ情報及び前記プロファイル生成部によって生成された複数のバッテリプロファイルを用いて、前記複数のバッテリのそれぞれに対して複数の特徴値を抽出するように構成された特徴値抽出部;前記特徴値抽出部によって抽出された複数の特徴値に対する複数の主成分を算出するように構成された主成分算出部;前記複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値に基づいて、前記複数の主成分に対する前記複数のバッテリの分布を示す主成分別分布度を算出し、既定の基準値と算出された主成分別分布度とを比較した結果によって、前記複数の主成分のうち1つ以上をターゲット成分として選択し、該選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれを複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成されたバッテリ分類部;及び前記周期ごとに前記バッテリ分類部によって、前記複数のバッテリのそれぞれが分類されるグループに関する分類履歴を更新し、該更新された分類履歴に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれの状態を診断するように構成されたバッテリ状態診断部;を含みうる。
【0010】
前記バッテリ分類部は、前記選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、異常セルに対応して設定された参照セルを前記複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成することができる。
【0011】
前記バッテリ状態診断部は、前記複数のグループのうち、前記参照セルが属するグループを異常グループとして設定し、残りのグループを正常グループとして設定するように構成することができる。
【0012】
前記分類履歴は、前記複数のバッテリのそれぞれに対して備えられ、直前周期から分類されたグループ、現在周期から分類されたグループ、前記異常グループへの転換回数及び前記正常グループへの転換回数を含むように構成することができる。
【0013】
前記バッテリ状態診断部は、前記複数のバッテリのうち、前記直前周期から分類されたグループと前記現在周期から分類されたグループとが異なるターゲットバッテリを決定し、該決定されたターゲットバッテリに対する前記異常グループへの転換回数または前記正常グループへの転換回数に基づいて、前記ターゲットバッテリの状態を正常または異常と診断するように構成することができる。
【0014】
前記バッテリ状態診断部は、前記現在周期で前記ターゲットバッテリが前記異常グループに分類された場合、前記異常グループへの転換回数が所定の回数以上であれば、前記ターゲットバッテリの状態を異常と診断するように構成することができる。
【0015】
前記バッテリ状態診断部は、前記現在周期で前記ターゲットバッテリが前記正常グループに分類された場合、前記正常グループへの転換回数が前記所定の回数以上であれば、前記ターゲットバッテリの状態を正常と診断するように構成することができる。
【0016】
前記バッテリ分類部は、前記複数の主成分のうち少なくとも1つを選択し、該選択された1つ以上の主成分に対応する主成分別分布度の合計が、前記既定の基準値以上である場合、前記選択された1つ以上の主成分を前記ターゲット成分として選択するように構成することができる。
【0017】
前記バッテリ分類部は、前記合計が、前記既定の基準値以上になるまで、前記複数の主成分のそれぞれに対応する主成分別分布度を大きさが大きな順に加えて、前記合計を算出するように構成することができる。
【0018】
前記バッテリ分類部は、前記周期ごとに、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを前記複数のグループに分類する代表モデルを生成するように構成することができる。
【0019】
前記バッテリ分類部は、前記選択された1つ以上のターゲット成分を含むターゲット集合を生成し、該生成されたターゲット集合のうちの少なくとも1つのターゲット成分を含む複数のターゲット部分集合を生成し、前記複数のターゲット部分集合のそれぞれに対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを分類する1つ以上の分類モデルを生成し、前記複数のターゲット部分集合に対して生成された複数の分類モデルのうち何れか1つを当該周期に対する代表モデルとして設定するように構成することができる。
【0020】
前記バッテリ分類部は、前記生成された複数の分類モデルのそれぞれに対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルの分類度を算出し、前記生成された複数の分類モデルのうち、算出された分類度が最も低い分類モデルを前記当該周期に対する前記代表モデルとして設定するように構成することができる。
【0021】
前記バッテリ分類部は、前記複数のターゲット部分集合のそれぞれに含まれた1つ以上のターゲット成分に対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルの内積を算出し、該算出された複数の内積の大きさによって、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを分類する前記複数の分類モデルを生成するように構成することができる。
【0022】
前記バッテリ分類部は、前記複数の分類モデルのそれぞれに対して、分類されるグループの総個数が、既定の基準個数以下になるように制御するように構成することができる。
【0023】
本発明の他の側面によるバッテリパックは、本発明の一側面によるバッテリ状態診断装置を含みうる。
【0024】
本発明のさらに他の側面によるエネルギー貯蔵装置は、本発明の一側面によるバッテリ状態診断装置を含みうる。
【0025】
本発明のさらに他の側面によるバッテリ状態診断方法は、複数のバッテリのそれぞれの電圧及び容量間の対応関係を示すバッテリプロファイルを前記複数のバッテリのそれぞれに対して周期ごとに生成するプロファイル生成段階;前記プロファイル生成段階から生成された複数のバッテリプロファイルのそれぞれから複数の特徴値を抽出する特徴値抽出段階;前記特徴値抽出段階から抽出された複数の特徴値に対する複数の主成分を算出する主成分算出段階;前記複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値に基づいて、前記複数の主成分に対する前記複数のバッテリの分布を示す主成分別分布度を算出する主成分別分布度算出段階;既定の基準値と前記主成分別分布度算出段階から算出された主成分別分布度とを比較した結果によって、前記複数の主成分のうち1つ以上をターゲット成分として選択するターゲット成分選択段階;前記ターゲット成分選択段階から選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれを複数のグループのうち何れか1つに分類するバッテリ分類段階;及び前記周期ごとに前記バッテリ分類段階で前記複数のバッテリのそれぞれが分類されるグループに関する分類履歴を更新し、該更新された分類履歴に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれの状態を診断するバッテリ状態診断段階;を含みうる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一側面によれば、バッテリ状態が周期的に診断されてバッテリの欠陥による事故が未然に防止される。
【0027】
また、本発明の一側面によれば、所定の周期ごとに獲得されるバッテリのプロファイルに基づいてバッテリの状態が追跡診断される。すなわち、バッテリの状態が異常と診断される時点とその時点でのバッテリ状態が特定されて保存されるので、バッテリの状態についての具体的な診断情報が提供されうる。
【0028】
本発明の効果は、前述した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、請求範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【0029】
本明細書に添付される次の図面は、後述する発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を行うものなので、本発明は、そのような図面に記載の事項のみに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置を概略的に示す図面である。
図2】本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置によって生成されたバッテリプロファイルのうち、電圧-微分容量プロファイルを概略的に示す図面である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置によって算出された主成分別分布度の一例示を概略的に示す図面である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置が現在周期で生成した分類モデルを概略的に示す図面である。
図5】本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置が現在周期で生成した分類モデルを概略的に示す図面である。
図6】本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置を含むバッテリパックの例示的構成を開示した図面である。
図7】本発明の他の実施例によるバッテリ状態診断方法を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常の、または辞書的な意味として限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義できるという原則を踏まえて、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0032】
したがって、本明細書に記載の実施例と図面とに示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をいずれも代弁するものではないので、本願の出願時点において、これらを代替しうる多様な均等物及び変形例があるということを理解しなければならない。
【0033】
また、本発明を説明するに当って、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0034】
第1、第2のように序数を含む用語は、多様な構成要素のうち何れか1つを残りと区別する目的として使われるものであり、そのような用語によって構成要素を限定するために使われるものではない。
【0035】
明細書の全体において、ある部分が、ある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうるということを意味する。
【0036】
また、明細書の全体において、ある部分が、他の部分と「連結」されているとする時、これは、「直接連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。
【0037】
以下、添付図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100を概略的に示す図面である。
【0039】
図1を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、プロファイル生成部110、特徴値抽出部120、主成分算出部130、バッテリ分類部140、及びバッテリ状態診断部150を含みうる。
【0040】
ここで、バッテリは、負極端子と正極端子とを備え、物理的に分離可能な1つの独立したセルを意味する。一例として、ポーチ型リチウムポリマーセル1つが1個のバッテリと見なされる。
【0041】
プロファイル生成部110は、複数のバッテリのそれぞれの電圧、容量、内部抵抗、SOC(State of charge)、及びSOH(State of health)のうち少なくとも1つを含むバッテリ情報を獲得するように構成することができる。
【0042】
具体的に、プロファイル生成部110によって獲得されるバッテリ情報は、バッテリが充電される過程で獲得された情報である。
【0043】
例えば、バッテリが充電される間に、バッテリの電圧及び容量が測定される。また、バッテリの電圧及び/またはバッテリに対する充電電流に基づいてバッテリのSOCが推定される。また、バッテリの電圧及びSOCに基づいてバッテリの内部抵抗が推定される。例えば、拡張カルマンフィルター(Extended Kalman Filter、EKF)とバッテリに対する等価回路モデル(Equivalent circuit model、ECM)とに基づいてバッテリの電圧及びSOCからバッテリの内部抵抗が推定される。また、推定されたバッテリのSOCに基づいてバッテリのSOHが推定される。
【0044】
そして、プロファイル生成部110は、獲得されたバッテリ情報に基づいて複数のバッテリプロファイルを前記複数のバッテリのそれぞれに対して周期ごとに生成するように構成することができる。
【0045】
ここで、周期とは、既定の時間的間隔で設定しうる。このような周期に対する設定は、変更されうる。周期は、一時的にも変更されうる。例えば、周期は、基本的に第1時間間隔を有するように設定しうる。第n周期から第1時間間隔による第n+1周期が到来する前に特定のイベントが発生すれば、プロファイル生成部110は、バッテリ情報と複数のバッテリプロファイルとを獲得することができる。そして、前記第n周期が到来すれば、プロファイル生成部110は、バッテリ情報と複数のバッテリプロファイルとを獲得することもできる。ここで、特定のイベントが発生した場合とは、外部からバッテリ状態診断装置100にバッテリ状態診断要請が入力された場合である。
【0046】
プロファイル生成部110は、バッテリの電圧(V)とバッテリのSOCとの対応関係を示す電圧-SOCプロファイル及びバッテリの電圧(V)と容量(Q)との対応関係を示す電圧-容量プロファイルを生成することができる。
【0047】
また、プロファイル生成部110は、バッテリの充電時間(t)と微分電圧(dV/dt)との対応関係を示す微分電圧プロファイルを生成することができる。ここで、微分電圧は、バッテリの電圧値[V]を充電時間値[秒]に対して微分した値である。
【0048】
また、プロファイル生成部110は、バッテリの電圧(V)と微分容量(dQ/dV)との対応関係を示す電圧-微分容量プロファイルを生成することができる。ここで、微分容量は、バッテリの容量値[mAh]をバッテリの電圧値[V]で微分した値である。
【0049】
プロファイル生成部110は、複数のバッテリのそれぞれに対するバッテリプロファイルとして電圧-SOCプロファイル、微分電圧プロファイル、電圧-容量プロファイル、及び電圧-微分容量プロファイルのうち1つ以上を生成することができる。
【0050】
図2は、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100によって生成されたバッテリプロファイルのうち、電圧-微分容量プロファイルを概略的に示す図面である。
【0051】
図2を参照すれば、プロファイル生成部110は、バッテリが充電される間に獲得された電圧値及び容量値に基づいて、バッテリの電圧と微分容量に対する電圧-微分容量プロファイルとを生成することができる。
【0052】
特徴値抽出部120は、前記バッテリ情報及び前記プロファイル生成部110によって生成された複数のバッテリプロファイルを用いて、前記複数のバッテリのそれぞれに対して複数の特徴値を抽出するように構成することができる。
【0053】
例えば、図2の実施例において、特徴値抽出部120は、プロファイル生成部110によって生成された電圧-微分容量プロファイルで充電開始地点(I)、第1特徴(f1)、第2特徴(f2)、第3特徴(f3)、第4特徴(f4)及び充電終了地点(F)を決定することができる。
【0054】
ここで、第1特徴(f1)、第2特徴(f2)及び第4特徴(f4)は、電圧に対する微分容量の瞬間変化率が0である地点である。望ましくは、第1特徴(f1)、第2特徴(f2)及び第4特徴(f4)のそれぞれを基準に電圧に対する微分容量の瞬間変化率が正の値から負の値に変わる。例えば、図2の実施例において、特徴値抽出部120によって選択された第1特徴(f1)の電圧値は、V1であり、微分容量値は、dQ1である。また、第2特徴(f2)の電圧値は、V2であり、微分容量値は、dQ2である。また、第4特徴(f4)の電圧値は、V4であり、微分容量値は、dQ4である。
【0055】
また、第3特徴(f3)は、電圧値(V3)が第2特徴(f2)の電圧値(V2)及び第4特徴(f4)の電圧値(V4)の間に位置し、第3特徴(f3)を基準に電圧に対する微分容量の瞬間変化率が所定大きさ以上変わる地点である。具体的に、第3特徴(f3)は、バッテリの正極の退化と関連したものであって、第2特徴(f2)と第4特徴(f4)との間の電圧区間で表われる。
【0056】
特徴値抽出部120は、電圧-微分容量プロファイルで、充電開始地点(I)の電圧値、第1ないし第4特徴(f1、f2、f3、f4)の電圧値及び微分容量値、充電終了地点(F)の電圧値、充電開始地点(I)とそれぞれの特徴(f1、f2、f3、f4)との間の電圧に対する微分容量の平均変化量、及び充電開始地点(I)とそれぞれの特徴(f1、f2、f3、f4)との間の電圧に対する微分容量の面積など電圧-微分容量プロファイルで獲得することができる多様な因子をバッテリの特徴値として抽出することができる。
【0057】
例えば、図2の実施例において、充電開始地点(I)の電圧値は、VIであり、充電終了地点(F)の電圧値は、VFである。また、充電開始地点(I)の微分容量値は、dQIであり、充電終了地点(F)の微分容量値は、dQFである。
【0058】
例えば、充電開始地点(I)と第1特徴(f1)との間の電圧に対する微分容量の平均変化量は、「(dQ1-dQI)÷(V1-VI)」の数式によって算出される。また、充電開始地点(I)と第1特徴(f1)との間の電圧に対する微分容量の面積は、dQIを基準にVIからV1までの面積によって算出される。これと類似した方式で、電圧-微分容量プロファイルで多様なバッテリの特徴値が抽出される。
【0059】
また、特徴値抽出部120は、プロファイル生成部110によって生成された電圧-SOCプロファイルで、充電開始地点(I)のSOCと充電終了地点(F)のSOCとを抽出することもできる。すなわち、特徴値抽出部120は、バッテリの下段SOC(充電開始地点(I)のSOC)と上段SOC(充電終了地点(F)のSOC)とを特徴値としてさらに抽出することができる。
【0060】
また、特徴値抽出部120は、プロファイル生成部110によって生成された微分電圧プロファイルで、最小微分電圧値、最大微分電圧値、及び平均微分電圧値を特徴値としてさらに抽出することができる。
【0061】
また、特徴値抽出部120は、バッテリ情報でバッテリのSOHと内部抵抗値[Ω]とを特徴値としてさらに抽出することができる。
【0062】
主成分算出部130は、前記特徴値抽出部120によって抽出された複数の特徴値に対する複数の主成分を算出するように構成することができる。
【0063】
具体的に、主成分算出部130は、主成分分析法(Principal component analysis)を用いて、複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値の分散に基づいて複数の主成分を算出することができる。すなわち、ここで、主成分(Principal component)とは、前記抽出された複数の特徴値に対する固有ベクトルを意味する。
【0064】
例えば、特徴値抽出部120が、複数のバッテリのそれぞれに対してN個の特徴値を抽出したと仮定する。主成分算出部130は、主成分分析法を用いて、N個の特徴値からN個の主成分を算出することができる。すなわち、主成分算出部130によって第1主成分(PC1)ないし第N主成分(PCN)が算出される。
【0065】
より具体例として、第1バッテリの特徴値は、a1、b1、及びc1であり、第2バッテリの特徴値は、a2、b2、及びc2であり、第3バッテリの特徴値は、a3、b3、及びc3であると仮定する。ユークリッド座標系を参照すれば、第1バッテリの特徴値は、(a1、b1、c1)と表現され、第2バッテリの特徴値は、(a2、b2、c2)と表現され、第3バッテリの特徴値は、(a3、b3、c3)と表現される。主成分算出部130は、(a1、b1、c1)、(a2、b2、c2)、及び(a3、b3、c3)に対する第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)を算出することができる。
【0066】
バッテリ分類部140は、前記複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値に基づいて、前記複数の主成分に対する前記複数のバッテリの分布を示す主成分別分布度を算出するように構成することができる。
【0067】
まず、バッテリ分類部140は、複数のバッテリのそれぞれの複数の特徴値を複数の主成分のそれぞれに対して射影することにより、複数の主成分のそれぞれに対する複数のバッテリの分布値を算出することができる。
【0068】
例えば、以前の実施例のように、特徴値抽出部120によって第1バッテリ、第2バッテリ、及び第3バッテリに対して3個の特徴値が抽出され、主成分算出部130によって第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)が算出されたと仮定する。バッテリ分類部140は、第1ないし第3バッテリの特徴値を第1主成分(PC1)に対して射影して、第1主成分(PC1)に対する第1ないし第3バッテリの分布値を算出することができる。すなわち、バッテリ分類部140は、(a1、b1、c1)、(a2、b2、c2)、及び(a3、b3、c3)を第1主成分(PC1)に対して射影することができる。例えば、第1主成分(PC1)に対して射影された第1バッテリの特徴値が、(a1’、b1’、c1’)であり、射影された第2バッテリの特徴値が、(a2’、b2’、c2’)であり、射影された第3バッテリの特徴値が、(a3’、b3’、c3’)であると仮定する。バッテリ分類部140は、(a1’、b1’、c1’)と(a2’、b2’、c2’)との距離、(a1’、b1’、c1’)と(a3’、b3’、c3’)との距離、及び(a2’、b2’、c2’)と(a3’、b3’、c3’)との距離のうち、最大距離を第1主成分(PC1)に対する第1ないし第3バッテリの分布値で算出することができる。このような方式で、バッテリ分類部140は、第2主成分(PC2)に対する第1ないし第3バッテリの分布値と第3主成分(PC3)に対する第1ないし第3バッテリの分布値とを算出することができる。
【0069】
そして、バッテリ分類部140は、複数の主成分のそれぞれに対して算出された分布値に基づいて、複数の主成分のそれぞれに対する主成分別分布度を算出することができる。具体的に、バッテリ分類部140は、下記の数式1を用いて主成分別分布度を算出することができる。
【0070】
【数1】
【0071】
数式1において、nは、主成分算出部130によって算出された主成分の個数であって、自然数である。PCiは、第i主成分を意味し、PCjは、第j主成分を意味する。例えば、PC1は、第1主成分(PC1)であり、PC2は、第2主成分(PC2)であり、PCnは、第n主成分(PCn)を意味する。すなわち、iとjは、該当する主成分を特定するための臨時変数であり、jは、1以上n以下の自然数である。
【0072】
また、数式1において、PCjvは、主成分別分布度である。例えば、PC1vは、第1主成分(PC1)の分布度であり、PC2vは、第2主成分(PC2)の分布度であり、PCnvは、第n主成分(PCn)の分布度である。
【0073】
また、数式1において、Var(PCi)は、第i主成分に対して射影された複数のバッテリの特徴値間の距離の集合を意味する。また、max{Var(PCi)}は、第i主成分の分布値である。すなわち、max{Var(PCi)}は、第i主成分に対して射影された複数のバッテリの特徴値間の距離のうち、最大距離を示す。
【0074】
図3は、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100によって算出された主成分別分布度の一例示を概略的に示す図面である。
【0075】
図3を参照すれば、主成分算出部130によって第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)、第4主成分(PC4)、及び第5主成分(PC5)が算出される。ここで、第1主成分(PC1)の分布度は、55%であり、第2主成分(PC2)の分布度は、25%であり、第3主成分(PC3)の分布度は、11%であり、第4主成分(PC4)の分布度は、6%であり、第5主成分(PC5)の分布度は、3%である。
【0076】
バッテリ分類部140は、既定の基準値と算出された主成分別分布度とを比較した結果によって、前記複数の主成分のうち1つ以上をターゲット成分として選択するように構成することができる。
【0077】
望ましくは、前記バッテリ分類部140は、前記複数の主成分のうち少なくとも1つを選択し、該選択された1つ以上の主成分に対応する主成分別分布度の合計が、前記既定の基準値以上である場合、前記選択された1つ以上の主成分を前記ターゲット成分として選択するように構成することができる。
【0078】
より具体的に、前記バッテリ分類部140は、前記合計が、前記既定の基準値以上になるまで、前記複数の主成分のそれぞれに対応する主成分別分布度を大きさが大きな順に加えて、前記合計を算出するように構成することができる。
【0079】
例えば、図3の実施例において、基準値が90%にあらかじめ設定されたと仮定する。バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)を先に選択し、第1主成分(PC1)の分布度(55%)と基準値(90%)とを比較することができる。第1主成分(PC1)の分布度(55%)が基準値(90%)よりも小さいために、バッテリ分類部140は、第2主成分(PC2)を選択して第1及び第2主成分(PC2)の分布度の合計を80%に算出することができる。第1及び第2主成分(PC2)の分布度の合計(80%)も、基準値(90%)よりも小さいために、バッテリ分類部140は、第3主成分(PC3)を選択して第1ないし第3主成分(PC3)の分布度の合計を91%に算出することができる。第1ないし第3主成分(PC3)の分布度の合計(91%)は、基準値(90%)よりも大きいために、バッテリ分類部140は、ターゲット成分として第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)を選択することができる。
【0080】
また、バッテリ分類部140は、選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれを複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成することができる。すなわち、ターゲット成分は、複数のバッテリを分類するために選択されたものであって、複数の主成分の一部または全体成分である。
【0081】
具体的に、前記バッテリ分類部140は、前記選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、異常セルに対応して設定された参照セルと前記複数のバッテリとを前記複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成することができる。
【0082】
例えば、参照セルは、複数のバッテリと同種のバッテリであって、EOL(End of Life)状態の退化セルである。バッテリ分類部140は、選択した1つ以上のターゲット成分に基づいて、複数のバッテリと参照セルとを複数のグループのうち何れか1つに分類することができる。
【0083】
バッテリ状態診断部150は、前記周期ごとに前記バッテリ分類部140によって前記複数のバッテリのそれぞれが分類されるグループに関する分類履歴を更新するように構成することができる。
【0084】
望ましくは、前記バッテリ分類部140は、前記選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、異常セルに対応して設定された参照セルを前記複数のグループのうち何れか1つに分類するように構成することができる。そして、前記バッテリ状態診断部150は、前記複数のグループのうち、前記参照セルが属するグループを異常グループとして設定し、残りのグループを正常グループとして設定するように構成することができる。
【0085】
すなわち、複数のグループのうち、参照セルが分類されたグループは、異常グループとして設定され、複数のグループのうち、異常グループを除いた残りのグループは、正常グループとして設定しうる。
【0086】
また、前記分類履歴は、前記複数のバッテリのそれぞれに対して備えられうる。すなわち、複数のバッテリのそれぞれに対して分類履歴が備えられうる。そして、分類履歴は、直前周期から分類されたグループ、現在周期から分類されたグループ、前記異常グループへの転換回数及び前記正常グループへの転換回数を含むように構成することができる。
【0087】
例えば、バッテリ状態診断部150は、周期ごとに複数のバッテリのそれぞれの分類履歴を更新することができる。更新される分類履歴は、直前周期から分類されたグループ及び現在周期から分類されたグループが含まれる。また、現在周期でのバッテリのグループ分類結果によって、異常グループへの転換回数または正常グループへの転換回数が更新されうる。
【0088】
また、バッテリ状態診断部150は、更新された分類履歴に基づいて前記複数のバッテリのそれぞれの状態を診断するように構成することができる。
【0089】
具体的に、バッテリ状態診断部150は、前記複数のバッテリのうち、前記直前周期から分類されたグループと前記現在周期から分類されたグループとが異なるターゲットバッテリを決定するように構成することができる。
【0090】
ここで、ターゲットバッテリとは、直前周期から分類されたグループと現在周期から分類されたグループとが異なるバッテリを意味する。現在周期から決定されるターゲットバッテリは、分類結果によって、存在しないか、1つ以上存在しうる。例えば、直前周期では、異常グループに分類されたが、現在周期では、正常グループに分類されたバッテリがターゲットバッテリと決定される。逆に、直前周期では、正常グループに分類されたが、現在周期では、異常グループに分類されたバッテリがターゲットバッテリと決定される。
【0091】
そして、バッテリ状態診断部150は、決定されたターゲットバッテリに対する前記異常グループへの転換回数または前記正常グループへの転換回数に基づいて、前記ターゲットバッテリの状態を正常または異常と診断するように構成することができる。
【0092】
ここで、異常グループへの転換回数は、直前周期では正常グループに分類されたが、現在周期では異常グループに分類された回数である。逆に、正常グループへの転換回数は、直前周期では異常グループに分類されたが、現在周期では正常グループに分類された回数である。すなわち、ターゲットバッテリの場合、グループ分類結果によって異常グループへの転換回数または正常グループへの転換回数が更新される。例えば、転換回数は、1ずつ増加する。
【0093】
望ましくは、バッテリ状態診断部150は、前記現在周期で前記ターゲットバッテリが前記異常グループに分類された場合、前記異常グループへの転換回数が所定の回数以上であれば、前記ターゲットバッテリの状態を異常と診断するように構成することができる。
【0094】
逆に、バッテリ状態診断部150は、前記現在周期で前記ターゲットバッテリが前記正常グループに分類された場合、前記正常グループへの転換回数が前記所定の回数以上であれば、前記ターゲットバッテリの状態を正常と診断するように構成することができる。
【0095】
例えば、所定の回数は、2以上にあらかじめ設定しうる。バッテリ状態診断部150は、ターゲットバッテリで複数回決定された場合に、当該バッテリの状態を異常または正常と診断することができる。
【0096】
すなわち、バッテリ状態診断部150は、バッテリの分類結果が異常から正常に、または正常から異常に一回変わったことに基づいてバッテリの状態を判断せず、バッテリの分類結果が複数回変更された場合に、バッテリの状態を判断することができる。したがって、バッテリ状態診断部150によるバッテリ状態判断の正確度は高い。
【0097】
本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、主成分分析法とバッテリ分類とに基づいて複数のバッテリのそれぞれの状態を診断するために、多様な側面を考慮してバッテリの状態を診断できるという長所がある。また、バッテリ状態診断装置100は、バッテリの特徴値を所定の参照値と単純に比較して、バッテリの状態を診断する従来技術よりも、バッテリ状態の診断正確度を高めうる。
【0098】
一方、参照セルは、複数個備えられうる。この場合、複数の参照セルのそれぞれは、互いに異なる原因によって退化するように構成することができる。
【0099】
例えば、第1参照セルは、正極反応面積が損失されて退化するように構成され、第2参照セルは、可用リチウムが損失されて退化するように構成することができる。また、第3参照セルは、負極反応面積が損失されて退化するように構成することができる。
【0100】
この場合、それぞれの参照セルと同じグループに分類されたバッテリの状態がより詳細に診断される。
【0101】
例えば、以前の実施例を参照すれば、第1参照セルと同じグループに分類されたバッテリの状態は、正極反応面積が損失と診断される。また、第2参照セルと同じグループに分類されたバッテリの状態は、可用リチウムが損失された状態と診断される。また、第3参照セルと同じグループに分類されたバッテリの状態は、負極反応面積が損失された状態と診断される。
【0102】
本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、多様な原因によって退化するように構成された複数の参照セルを備えることにより、複数のバッテリの状態をより具体的に診断できるという長所がある。
【0103】
例えば、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100のプロファイル生成部110、特徴値抽出部120、主成分算出部130、バッテリ分類部140、及びバッテリ状態診断部150のそれぞれは、当業者に知られているプロセッサで構成することができる。
【0104】
他の例として、バッテリ状態診断装置100のプロファイル生成部110、特徴値抽出部120、主成分算出部130、バッテリ分類部140、及びバッテリ状態診断部150は、1つのプロセッサに備えられうる。すなわち、プロファイル生成部110、特徴値抽出部120、主成分算出部130、バッテリ分類部140、及びバッテリ状態診断部150は、1つのプロセッサの機能的構成要素として区分されうる。または、プロファイル生成部110、特徴値抽出部120、主成分算出部130、バッテリ分類部140、及びバッテリ状態診断部150のそれぞれは、1つのプロセッサに備えられた単位コアとしても具現される。
【0105】
そして、このようなプロセッサは、当業者に知られているASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含みうる。また、前記制御ロジックがソフトウェアとして具現される時、前記プロセッサは、プログラムモジュールの集合として具現可能である。この際、プログラムモジュールは、メモリに保存され、プロセッサによって実行可能である。前記メモリは、プロセッサの内部または外部にあり、よく知られた多様な手段でプロセッサと連結される。
【0106】
図1を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、保存部160をさらに含みうる。
【0107】
ここで、保存部160は、本発明によってバッテリの状態が診断されるのに必要なプログラム及びデータなどを保存することができる。すなわち、保存部160は、バッテリ状態診断装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータ、プログラム、または動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存することができる。保存部160は、データの記録、消去、更新及び読出可能であると知られた公知の情報保存手段であれば、その種類に特に制限はない。一例示として、情報保存手段には、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EEPROM、レジスタなどが含まれる。また、保存部160は、バッテリ状態診断装置100によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存することができる。
【0108】
例えば、保存部160は、複数のバッテリに対する分類履歴を保存することができる。また、保存部160は、複数のバッテリプロファイル、及び複数の特徴値を保存することにより、複数のバッテリについての多様な情報を保存することができる。
【0109】
すなわち、バッテリ状態診断装置100によれば、複数のバッテリのそれぞれの状態変化が追跡診断される。したがって、当該バッテリに対する事故が発生する場合、保存部160に保存された該当バッテリについての多様な情報に基づいて、事故の原因が多様な側面で分析される。
【0110】
以下、バッテリ分類部140が、ターゲット成分に基づいて複数のバッテリ及び参照セルを複数のグループのうち何れか1つに分類する内容について具体的に説明する。
【0111】
前記バッテリ分類部140は、前記周期ごとに、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを前記複数のグループのうち何れか1つに分類する代表モデルを生成するように構成することができる。
【0112】
具体的に、前記バッテリ分類部140は、前記選択された1つ以上のターゲット成分を含むターゲット集合を生成するように構成することができる。
【0113】
例えば、図3の実施例において、基準値が90%に設定されたと仮定する。第1主成分(PC1)の分布度(55%)、第2主成分(PC2)の分布度(25%)、及び第3主成分(PC3)の分布度(11%)の合計が、91%なので、第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)が、ターゲット成分として選択されうる。そして、選択された第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)が、ターゲット集合を成すように構成することができる。
【0114】
そして、バッテリ分類部140は、生成されたターゲット集合のうちの少なくとも1つのターゲット成分を含む複数のターゲット部分集合を生成するように構成することができる。
【0115】
以前の実施例において、バッテリ分類部140は、ターゲット集合に含まれた第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)のうち少なくとも1つを選択して複数のターゲット部分集合を生成することができる。
【0116】
例えば、元素羅列法の表記方式によって説明すれば、ターゲット集合は、{第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)}である。そして、複数のターゲット部分集合は、{第1主成分(PC1)}、{第2主成分(PC2)}、{第3主成分(PC3)}、{第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)}、{第1主成分(PC1)、第3主成分(PC3)}、{第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)}、及び{第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)}である。ここで、ターゲット成分によって複数のバッテリが分類されるために、ターゲット部分集合に空集合は除外されることを留意する。したがって、バッテリ分類部140によって生成されるターゲット部分集合の個数は、2-1であり、ここで、nは、ターゲット成分の総個数である。すなわち、前記の実施例において、ターゲット成分が3個であるので、ターゲット部分集合の個数は、「2-1」の数式によって7個である。
【0117】
バッテリ分類部140は、前記複数のターゲット部分集合のそれぞれに対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを分類する1つ以上の分類モデルを生成するように構成することができる。
【0118】
具体的に、バッテリ分類部140は、1つのターゲット部分集合に対して1つ以上の分類モデルを生成することができる。そして、ターゲット部分集合ごとに生成される分類モデルの個数は、ターゲット部分集合ごとに独立的である。すなわち、あるターゲット部分集合に対しては、1個の分類モデルが生成され、他のターゲット部分集合に対しては、10個の分類モデルが生成されうる。
【0119】
図4及び図5は、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100が現在周期で生成した分類モデルを概略的に示す図面である。
【0120】
具体的に、図4及び図5に示された分類モデルは、現在周期から生成されたものであって、1つのターゲット部分集合に対してランダムに生成された互いに異なる分類モデルである。
【0121】
例えば、図4及び図5を参照すれば、バッテリ分類部140によって生成される分類モデルは、意思決定木である。すなわち、分類モデルは、ルートノード(Root node、RN)、内部ノード(Internal node、IN)、及びターミナルノード(Terminal node、TN)を含む。ルートノード(RN)と内部ノード(IN)には、複数のバッテリを分類するための分類条件が含まれ、ターミナルノードには、分類されたバッテリについての情報が含まれる。ターミナルノードのそれぞれがバッテリが分類されるグループに該当する。但し、複数のターミナルノードの一部は、バッテリが分類されていない空白ノードでもある。
【0122】
例えば、図4の実施例において、第1ターミナルノード(TN1)に参照セルが分類されたと仮定する。バッテリ状態診断部150は、複数のバッテリのうち、第1ターミナルノード(TN1)に分類されたバッテリの状態を異常と診断することができる。
【0123】
他の例として、図4の実施例において、正極反応面積が損失された第1参照セルが第1ターミナルノード(TN1)に分類され、可用リチウムが損失された第2参照セルが第4ターミナルノード(TN4)に分類されたと仮定する。バッテリ状態診断部150は、複数のバッテリのうち、第1ターミナルノード(TN1)に分類されたバッテリの状態を正極反応面積の損失による異常と診断し、第4ターミナルノード(TN4)に分類されたバッテリの状態を可用リチウム損失による異常と診断することができる。
【0124】
そして、図4及び図5の実施例において、ルートノード(RN)と内部ノード(IN)とに含まれる分類条件は、バッテリ分類部140によって任意に生成されうる。例えば、図4の分類モデルのルートノード(RN)には、第1主成分(PC1)と関連した分類条件が含まれ、図5の分類モデルのルートノード(RN)には、第3主成分(PC3)と関連した分類条件が含まれる。したがって、同じターゲット部分集合に対して生成された分類モデルが互いに異なる。ルートノード(RN)及び内部ノード(IN)に含まれる分類条件について具体的な内容は、後述する。
【0125】
バッテリ分類部140は、前記複数のターゲット部分集合に対して生成された複数の分類モデルのうち何れか1つを当該周期に対する代表モデルとして設定するように構成することができる。
【0126】
具体的に、前記バッテリ分類部140は、前記生成された複数の分類モデルのそれぞれに対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルの分類度を算出するように構成することができる。
【0127】
バッテリ分類部140は、下記の数式2を用いて、分類モデルのそれぞれの分類度を算出することができる。ここで、分類モデルの分類度とは、当該分類モデルに対する分類性能を示す指標である。すなわち、分類モデルの分類度とは、当該分類モデルが複数のバッテリセル及び参照セルをどれほどよく分類したか否かを示す指標である。例えば、分類モデルの分類度は、ジニ不純度(Gini impurity)である。
【0128】
【数2】
【0129】
ここで、GI(n)は、分類モデルの分類度であり、nは、1つのターゲット部分集合に対して生成された複数の分類モデルのそれぞれを指すための臨時変数である。そして、iは、ターミナルノードを指すための臨時変数であり、mは、分類モデルに含まれたターミナルノードの個数である。そして、Piは、複数のバッテリと参照セルとの全体個数に対する第iターミナルノードに分類されたバッテリ及び/または参照セルの個数の比率である。
【0130】
例えば、図4の分類モデルの分類度は、「1-(P1+P2+P3+P4+P5+P6)」の数式によって算出され、図5の分類モデルの分類度は、「1-(P1+P2+P3+P4+P5+P6+P7+P8)」の数式によって算出される。
【0131】
具体例として、複数のバッテリは、5個であり、1個の参照セルがあると仮定する。すなわち、数式2のmは、6である。そして、図4の分類モデルで第1ターミナルノード(TN1)に参照セルが分類され、第2ないし第6ターミナルノード(TN2、TN3、TN4、TN5、TN6)のそれぞれに1個のバッテリが分類されたと仮定する。複数のバッテリと参照セルとの全体個数は、6であり、第1ないし第6ターミナルノード(TN1、TN2、TN3、TN4、TN5、TN6)のそれぞれに分類されたバッテリ及び/または参照セルの個数は、1である。図4の実施例において、P1ないしP6は、いずれも「1÷6」である。したがって、図4の分類モデルの分類度は、「1-{(1÷6)2×6}」の数式によって計算された「5÷6」である。
【0132】
他の例として、図5の分類モデルで第1ターミナルノード(TN1)に参照セルが分類され、第3ないし第7ターミナルノード(TN3、TN4、TN5、TN6、TN7)のそれぞれに1個のバッテリが分類されたと仮定する。図5の実施例において、P1及びP3ないしP7は、いずれも「1÷6」である。そして、P2及びP8は、分類されたバッテリ及び/または参照セルがないために「0」である。したがって、図5の分類モデルの分類度は、「1-{(1÷6)2×6}」の数式によって計算された「5÷6」である。
【0133】
そして、バッテリ分類部140は、前記生成された複数の分類モデルのうち、算出された分類度が最も低い分類モデルを前記当該周期に対する前記代表モデルとして設定するように構成することができる。
【0134】
数式2によれば、算出された分類度が低いほど分類モデルは、複数のバッテリ及び参照セルを均一に分類したと判断される。したがって、バッテリ分類部140は、複数のターゲット部分集合に対して生成された複数の分類モデルのうち、算出された分類度が最も低い分類モデルを当該周期の代表モデルとして設定することができる。
【0135】
例えば、第n周期において、ターゲット部分集合がp個生成され、それぞれのターゲット部分集合に対してq個の分類モデルが生成されたと仮定する。すなわち、第n周期には、総p×q個の分類モデルが生成されうる。バッテリ分類部140は、p×q個の分類モデルのそれぞれの分類度を算出し、該算出された分類度が最も低い何れか1つの分類モデルを第n周期の代表モデルとして設定することができる。
【0136】
もし、p×q個の分類モデルのうち、算出された分類度が最も低い分類モデルが複数である場合、バッテリ分類部140は、算出された分類度が最も低い複数の分類モデルのうち、空白ではないターミナルノードの個数が最も多い分類モデルを代表モデルとして設定することができる。言い換えれば、バッテリ分類部140は、算出された分類度が最も低い複数の分類モデルのうち、バッテリ及び/または参照セルが分類されたターミナルノードの個数が最も多い分類モデルを代表モデルとして設定することができる。
【0137】
すなわち、数式2に基づいて算出された分類度は、同一であるが、空白ではないターミナルノードの個数が少ないほど複数のバッテリ及び参照セルが均一に分類されたと判断される。したがって、バッテリ分類部140は、複数の分類モデルの分類度だけではなく、空白ではないターミナルノードの個数を考慮して、代表モデルを設定することができる。
【0138】
もし、算出された分類度が最も低いながら、空白ではないターミナルの個数も同じ分類モデルが複数である場合、バッテリ分類部140は、前記複数の分類モデルのうち何れか1つを任意に選択して代表モデルとして設定することができる。
【0139】
例えば、以前の実施例を参照すれば、図4及び図5の分類モデルの分類度は、「5÷6」である。そして、図4の分類モデルで空白ではないターミナルノード(TN1、TN2、TN3、TN4、TN5、TN6)の個数は、6である。また、図5の分類モデルで空白ではないターミナルノード(TN1、TN3、TN4、TN5、TN6、TN7)の個数は、6である。したがって、バッテリ分類部140は、図4の分類モデルまたは図5の分類モデルを現在周期の代表モデルとして設定することができる。
【0140】
そして、バッテリ状態診断部150は、バッテリ分類部140によって設定された代表モデルに基づいて、参照セルと同じグループに分類されたバッテリの状態を異常と診断することができる。
【0141】
すなわち、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、一周期で複数の分類モデルを生成し、該生成された複数の分類モデル間の分類度を比較して代表モデルを設定することができる。そして、設定された代表モデルによってバッテリの状態を診断することができるために、バッテリ状態診断装置100は、バッテリ情報の単純比較を通じてバッテリの状態を診断する従来技術よりも、バッテリの状態を統計学的にさらに正確に診断することができる。
【0142】
以下、ルートノード(RN)及び内部ノード(IN)に含まれる分類条件について具体的に説明する。
【0143】
前記バッテリ分類部140は、前記複数のターゲット部分集合のそれぞれに含まれた1つ以上のターゲット成分に対して、前記複数のバッテリ及び前記参照セルの内積(inner product)を算出するように構成することができる。
【0144】
ここで、ターゲット成分は、複数のバッテリに対して抽出された複数の特徴値に対する固有ベクトルである。このようなターゲット成分のそれぞれに対して、バッテリの特徴値に対するベクトルを内積して、ターゲット成分に対する当該バッテリの内積を算出することができる。
【0145】
例えば、ターゲット部分集合が、{第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)}であると仮定する。そして、第1バッテリ、第2バッテリ、及び参照セルが備えられたと仮定する。説明の便宜上、第1主成分(PC1)の開始点をA地点とし、第2主成分(PC2)の開始点をB地点とする。
【0146】
まず、バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対して第1バッテリの内積、第2バッテリの内積、及び参照セルの内積を算出することができる。
【0147】
具体的に、バッテリ分類部140は、開始点がA地点であり、終点が第1バッテリの特徴値が位置した地点である第1臨時ベクトルを算出する。そして、バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)と第1臨時ベクトルとの間の内積を計算して、第1主成分(PC1)に対する第1バッテリの内積を算出することができる。
【0148】
同様に、バッテリ分類部140は、開始点がA地点であり、終点が第2バッテリの特徴値が位置した地点である第2臨時ベクトルを算出する。そして、バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)と第2臨時ベクトルとの間の内積を計算して、第1主成分(PC1)に対する第2バッテリの内積を算出することができる。
【0149】
前記のような方式で、バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対する参照セルの内積、第2主成分(PC2)に対する第1バッテリの内積、第2主成分(PC2)に対する第2バッテリの内積、及び第2主成分(PC2)に対する参照セルの内積を算出することができる。
【0150】
また、バッテリ分類部140は、算出された複数の内積の大きさによって、前記複数のバッテリ及び前記参照セルを分類する前記複数の分類モデルを生成するように構成することができる。
【0151】
具体的に、バッテリ分類部140は、複数のターゲット部分集合のうち、分類モデルを生成しようとする1つのターゲット部分集合を選択することができる。そして、バッテリ分類部140は、選択したターゲット部分集合に属したターゲット成分のうち1つを任意に選択することができる。
【0152】
そして、バッテリ分類部140は、選択したターゲット成分に対する複数のバッテリの内積と参照セルの内積とを任意に設定された比較値と大小比較した結果に基づいて、複数のバッテリと参照セルとを分類することができる。ここで、任意に設定された比較値は、バッテリ分類部140によって設定される値である。
【0153】
すなわち、選択されたターゲット成分に対する複数のバッテリ及び参照セルの内積の大きさと任意に設定された比較値の大きさとを比較する分類条件が分類モデルのルートノード(RN)または内部ノード(IN)に含まれ、分類結果によって複数のバッテリ及び参照セルが分類される。
【0154】
以後、バッテリ分類部140は、選択したターゲット部分集合に属したターゲット成分のうち1つを任意に選択して、複数のバッテリ及び参照セルを再び分類することができる。すなわち、バッテリ分類部140によって選択されるターゲット成分は、重複される。そして、前記任意に設定された比較値は、任意に選択された値であるために、変更されうる。
【0155】
例えば、図5の実施例において、ターゲット部分集合が、{第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、第3主成分(PC3)}である場合、バッテリ分類部140は、ルートノード(RN)に対して第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)のうち、第1主成分(PC1)を任意に選択することができる。
【0156】
バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対する複数のバッテリの内積と参照セルの内積とを算出することができる。そして、バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対する第1比較値を任意に生成して設定することができる。バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対する複数のバッテリ及び参照セルの内積の大きさと任意に設定された比較値の大きさとを比較した結果によって、ルートノード(RN)で複数のバッテリ及び参照セルを分類することができる。
【0157】
以後、バッテリ分類部140は、第1内部ノード(IN1)に対してターゲット部分集合で第1主成分(PC1)を任意に再び選択することができる。そして、バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対する第2比較値を任意に生成して設定することができる。ここで、第1比較値と第2比較値は、任意に生成された値であって、互いに独立した値である。望ましくは、第1比較値と第2比較値は、互いに異なる。
【0158】
バッテリ分類部140は、第1主成分(PC1)に対する一部バッテリ(ルートノード(RN)から分類された結果によって第1内部ノード(IN1)側に分類されたバッテリ及び/または参照セル)の内積の大きさと第2比較値の大きさとを比較した結果によって、第1内部ノード(IN1)で一部バッテリを分類することができる。
【0159】
このような方式で、図5の実施例において、バッテリ分類部140は、1個のルートノード(RN)、6個の内部ノード(IN1、IN2、IN3、IN4、IN5、IN6)、及び8個のターミナルノード(TN1、TN2、TN3、TN4、TN5、TN6、TN7、TN8)を含む分類モデルを生成することができる。
【0160】
望ましくは、前記バッテリ分類部140は、前記複数の分類モデルのそれぞれに対して、分類されるグループの総個数が、既定の基準個数以下になるように制御するように構成することができる。
【0161】
すなわち、バッテリ分類部140は、分類モデルに含まれるターミナルノードの個数が基準個数以下になるように制御することができる。
【0162】
例えば、ターミナルノードの個数に対する制限がなければ、分類モデルは、複数のバッテリ及び参照セルがそれぞれ1つのグループに分類されるまで拡張される。このような場合、1つの分類モデルを生成するのにかかるシステム資源が過度に無駄遣いされるという問題がある。
【0163】
また、数式2を参照すれば、複数のバッテリ及び参照セルが、それぞれ別途のグループに分類されるならば、複数の分類モデルの分類度は、いずれも同一である。例えば、複数の分類モデルで、複数のグループのそれぞれに最大1個のバッテリまたは参照セルが含まれるならば、数式2のPiが0または「1÷(複数のバッテリの個数+参照セルの個数)」であるために、複数の分類モデルの分類度は、いずれも同一である。
【0164】
このような場合、参照セルと同じグループに分類されるバッテリがないために、バッテリの状態を異常と診断することができない結果が導出される。
【0165】
したがって、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、分類モデルに含まれるターミナルノードの総個数、すなわち、分類されるグループの総個数を既定の基準個数以下に制御することにより、分類モデルの生成にかかるシステム資源を節約することができ、バッテリの状態を正確に診断することができる。
【0166】
本発明によるバッテリ状態診断装置100は、BMS(Battery Management System)に適用可能である。すなわち、本発明によるBMSは、前述したバッテリ状態診断装置100を含みうる。このような構成において、バッテリ状態診断装置100の各構成要素のうち少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現可能である。例えば、バッテリ状態診断装置100のプロファイル生成部110、特徴値抽出部120、主成分算出部130、バッテリ分類部140、及びバッテリ状態診断部150は、BMSの構成要素として具現可能である。
【0167】
また、本発明によるバッテリ状態診断装置100は、バッテリパックに備えられうる。すなわち、本発明によるバッテリパックは、前述したバッテリ状態診断装置100及び1つ以上のバッテリセルを含みうる。また、バッテリパックは、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含みうる。
【0168】
図6は、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100を含むバッテリパック1の例示的構成を開示した図面である。
【0169】
例えば、図6を参照すれば、バッテリパック1は、複数のバッテリ(B1、B2、B3、B4)、測定部10、充放電部20、及びバッテリ状態診断装置100を含みうる。充放電部20は、複数のバッテリを充電させることができる。そして、測定部10は、複数のバッテリが充電される間に、複数のバッテリのそれぞれの電圧及び電流を測定することができる。そして、測定部10は、複数のバッテリのそれぞれの容量を測定することができる。また、測定部10は、複数のバッテリのそれぞれの内部抵抗、SOC、及びSOHを推定することができる。プロファイル生成部110は、測定部10からバッテリ情報を受信し、該受信したバッテリ情報に基づいて電圧-SOCプロファイル、電圧-容量プロファイル、微分電圧プロファイル、及び電圧-微分容量プロファイルを生成することができる。
【0170】
また、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、エネルギー貯蔵装置に備えられうる。すなわち、本発明によるエネルギー貯蔵装置は、バッテリ状態診断装置100を含みうる。
【0171】
例えば、本発明の一実施例によるバッテリ状態診断装置100は、エネルギー貯蔵装置に備えられて、エネルギー貯蔵装置に含まれたそれぞれのバッテリの状態を周期的に診断することができる。したがって、エネルギー貯蔵装置で火災が発生しても、バッテリ状態診断装置100によって保存された情報を活用して火災発生時点及び火災発生の原因が容易に究明される。
【0172】
図7は、本発明の他の実施例によるバッテリ状態診断方法を概略的に示す図面である。ここで、バッテリ状態診断方法の各段階は、バッテリ状態診断装置100によって行われる。
【0173】
以下、前述した内容と重複される内容は、簡略に説明する。
【0174】
図7を参照すれば、バッテリ状態診断方法は、プロファイル生成段階(ステップS100)、特徴値抽出段階(ステップS200)、主成分算出段階(ステップS300)、主成分別分布度算出段階(ステップS400)、ターゲット成分選択段階(ステップS500)、バッテリ分類段階(ステップS600)、及びバッテリ状態診断段階(ステップS700)を含みうる。
【0175】
プロファイル生成段階(ステップS100)は、複数のバッテリのそれぞれの電圧及び容量間の対応関係を示すバッテリプロファイルを前記複数のバッテリのそれぞれに対して周期ごとに生成する段階であって、プロファイル生成部110によって行われる。
【0176】
例えば、プロファイル生成段階(ステップS100)で複数のバッテリのそれぞれに対して電圧-SOCプロファイル、電圧-容量プロファイル、微分電圧プロファイル、及び電圧-微分容量プロファイルが生成されうる。
【0177】
特徴値抽出段階(ステップS200)は、前記プロファイル生成段階(ステップS100)から生成された複数のバッテリプロファイルのそれぞれから複数の特徴値を抽出する段階であって、特徴値抽出部120によって行われる。
【0178】
主成分算出段階(ステップS300)は、前記特徴値抽出段階(ステップS200)から抽出された複数の特徴値に対する複数の主成分を算出する段階であって、主成分算出部130によって行われる。
【0179】
例えば、主成分算出部130は、主成分分析法を用いて複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値の分散によって複数の主成分を算出することができる。
【0180】
主成分別分布度算出段階(ステップS400)は、前記複数のバッテリのそれぞれに対して抽出された複数の特徴値に基づいて、前記複数の主成分に対する前記複数のバッテリの分布を示す主成分別分布度を算出する段階であって、バッテリ分類部140によって行われる。
【0181】
ターゲット成分選択段階(ステップS500)は、既定の基準値と前記主成分別分布度算出段階(ステップS400)から算出された主成分別分布度とを比較した結果によって、前記複数の主成分のうち1つ以上をターゲット成分として選択する段階であって、バッテリ分類部140によって行われる。
【0182】
例えば、図5の実施例において、基準値は、90%にあらかじめ設定しうる。そして、第1主成分(PC1)の分布度(55%)、第2主成分(PC2)の分布度(25%)、及び第3主成分(PC3)の分布度(11%)の合計が、基準値(90%)以上なので、バッテリ分類部140は、ターゲット成分として第1主成分(PC1)、第2主成分(PC2)、及び第3主成分(PC3)を選択することができる。
【0183】
バッテリ分類段階(ステップS600)は、前記ターゲット成分選択段階(ステップS500)から選択された1つ以上のターゲット成分に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれを複数のグループのうち何れか1つに分類する段階であって、バッテリ分類部140によって行われる。
【0184】
バッテリ状態診断段階(ステップS700)は、前記周期ごとに前記バッテリ分類段階(ステップS600)で前記複数のバッテリのそれぞれが分類されるグループに関する分類履歴を更新し、該更新された分類履歴に基づいて、前記複数のバッテリのそれぞれの状態を診断する段階であって、バッテリ状態診断部150によって行われる。
【0185】
例えば、バッテリ状態診断部150は、複数のバッテリのうち、直前周期から分類されたグループと現在周期から分類されたグループとが異なるバッテリをターゲットバッテリと決定することができる。以後、バッテリ状態診断部150は、現在周期でターゲットバッテリが異常グループに分類された場合、異常グループへの転換回数が所定の回数以上であれば、ターゲットバッテリの状態を異常と診断するように構成することができる。逆に、バッテリ状態診断部150は、現在周期でターゲットバッテリが正常グループに分類された場合、正常グループへの転換回数が所定の回数以上であれば、ターゲットバッテリの状態を正常と診断するように構成することができる。
【0186】
前述した本発明の実施例は、装置及び方法を通じてのみ具現されるものではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現されることもあり、このような具現は、前述した実施例の記載から当業者ならば、容易に具現することができる。
【0187】
以上、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたとしても、本発明は、これによって限定されず、当業者によって本発明の技術思想と下記に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということはいうまでもない。
【0188】
また、前述した本発明は、当業者において、本発明の技術的思想を外れない範囲内でさまざまな置換、変形及び変更が可能なので、前述した実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、多様な変形が行われるように、各実施例の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成することができる。
【符号の説明】
【0189】
1:バッテリパック
10:測定部
20:充放電部
100:バッテリ状態診断装置
110:プロファイル生成部
120:特徴値抽出部
130:主成分算出部
140:バッテリ分類部
150:バッテリ状態診断部
160:保存部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7