(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】販売情報管理装置、決済システム、販売情報管理装置の制御方法、販売情報管理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20240701BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q20/32 330
G06Q20/20
(21)【出願番号】P 2024022583
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391064946
【氏名又は名称】三菱UFJニコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 竜介
(72)【発明者】
【氏名】大前 良太
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0255930(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2018-0114575(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が所持する複数の顧客端末装置と通信可能な販売情報を管理する販売情報管理装置であって、
少なくとも前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置の一部の通信領域が相互に重複して配置され、
超近距離無線通信を使用して、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に前記決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、
前記特定決済識別情報を受信した前記顧
客端末
装置が、前記特定決済識別情報に前記顧
客端末
装置の識別情報を含めた応答通信情報を生成し、送信した前記応答通信情報を受信し、
同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信したときは、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、
特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行することを特徴とする販売情報管理装置。
【請求項2】
前記超近距離無線通信は、前記販売情報管理装置と前記顧
客端末
装置との間の近距離無線通信で、前記販売情報管理装置が、前記顧
客端末
装置との通信を確立した後に実行され、
前記特定処理には、前記応答通信情報を受信したときに、前記販売情報管理装置が、長時間、アドバタイズ通信を受信しているか否かで判断することを含むことを特徴とする請求項1に記載の販売情報管理装置。
【請求項3】
前記特定処理には、追加処理情報を、複数の前記顧客端末装置に求め、前記顧客端末装置の前記追加処理情報の結果情報に基づき、前記決済実行対象端末装置を特定することが含まれることを特徴とする請求項1に記載の販売情報管理装置。
【請求項4】
販売情報を管理すると共に通信可能な複数の販売情報管理装置と、顧客が所持すると共に通信可能な複数の顧客端末装置を備え、少なくとも前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置の一部の通信領域が相互に重複して配置される決済システムであって、
前記販売情報管理装置が、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に向けて、超近距離無線通信を使用して、当該決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、
前記特定決済識別情報を受信した前記顧
客端末
装置は、前記特定決済識別情報に前記顧
客端末
装置の識別情報を含めた応答通信情報を前記販売情報管理
装置に向けて送信し、
同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信した前記販売情報管理装置は、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、
前記販売情報管理装置が、特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行することを特徴とする決済システム。
【請求項5】
前記超近距離無線通信は、前記販売情報管理装置と前記顧
客端末装置との間の近距離無線通信で、前記販売情報管理装置が、前記顧
客端末
装置との通信を確立した後に実行され、
前記特定処理には、前記応答通信情報を受信したときに、前記販売情報管理装置が、長時間、アドバタイズ通信を受信しているか否かで判断することを含むことを特徴とする請求項4に記載の決済システム。
【請求項6】
前記特定処理には、追加処理情報を、複数の前記顧客端末装置に求め、前記顧客端末装置の前記追加処理情報の結果情報に基づき、前記決済実行対象端末装置を特定することが含まれることを特徴とする請求項4に記載の決済システム。
【請求項7】
前記超近距離無線通信は、音波通信であって、前記顧客端末装置は、前記音波通信を受信するマイクロフォンを有し、前記顧客端末装置が、前記販売情報管理装置を認識すると自動的に前記マイクロフォンを起動させる構成となっていることを特徴とする請求項4に記載の決済システム。
【請求項8】
前記決済識別情報は、有効時間が限定されており、前記応答通信情報は、前記決済識別情報に基づいて暗号化されることを特徴とする請求項4に記載の決済システム。
【請求項9】
前記顧客端末装置は
、決済関連情報に購入に関する付加情報を加えることができることを特徴とする請求項4に記載の決済システム。
【請求項10】
顧客が所持する複数の顧客端末装置と通信可能な販売情報を管理する販売情報管理装置の制御方法であって、
少なくとも前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置の一部の通信領域が相互に重複して配置され、
超近距離無線通信を使用して、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に前記決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、
前記特定決済識別情報を受信した前記顧
客端末
装置が、前記特定決済識別情報に前記顧
客端末
装置の識別情報を含めた応答通信情報を生成し、送信した前記応答通信情報を受信し、
同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信したときは、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、
特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行することを特徴とする販売情報管理装置の制御方法。
【請求項11】
少なくとも顧客が所持する複数の顧客端末装置と一部の通信領域が相互に重複して配置される販売情報を管理する販売情報管理装置において、
超近距離無線通信を使用して、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に前記決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信する機能、
前記特定決済識別情報を受信した前記顧
客端末
装置が、前記特定決済識別情報に前記顧
客端末
装置の識別情報を含めた応答通信情報を生成し、送信した前記応答通信情報を受信する機能、
同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信したときは、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行する機能、
特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行する機能、を実現させるための販売情報管理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売情報の管理に関する販売情報管理装置、決済システム、販売情報管理装置の制御方法、販売情報管理装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から店舗等において、携帯端末で決済を行うため、NFC(Near Field Communication)やQRコード(登録商標)等の二次元バーコードを利用した決済方法が提案されている。
しかし、NFCはこれを読み取るカードリーダーのコストが高く、店舗にとっての導入障壁となっており、二次元バーコードを利用した決済は、利用者自身が二次元バーコードを読み取る・提示するなど、手間がかかるという課題がある。
このため、上述の技術を用いずに決済システムを構築すべく、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信と音波通信とを組み合わせたシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
このような近距離無線通信と音波を組み合わせたシステムでは、音波通信を用いて、決済における重要な情報を、当該決済を行う携帯端末等に対してのみ送信し、その他の携帯端末には送信され難いという点では効果的なシステムであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近距離無線通信と音波通信とを組み合わせた決済システムを店舗等のPOS(Point of sale:販売時点情報管理)システムとして使用する場合、店舗等の会計カウンタに複数のPOS装置が近接して配置され、それぞれのPOS装置の周辺に顧客の携帯端末等が通信可能な状態で多数、存在する事態が発生する。
また、音波の性質上、微小な音量とすると周囲の音の影響を受け、通信を失敗してしまう一方、大きな音量とすると、複数の顧客の携帯端末等が通信を受信してしまうジレンマが存在する。後者の場合は、誤って当該顧客の携帯端末以外の他の顧客の携帯端末と通信し、安全な決済に支障をきたすおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、複数のPOS装置等の販売情報管理装置や複数の顧客端末装置が、近接して配置されていても、安全に決済を行うことができる販売情報管理装置、決済システム、販売情報管理装置の制御方法、販売情報管理装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、顧客が所持する複数の顧客端末装置と通信可能な販売情報を管理する販売情報管理装置であって、少なくとも前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置の一部の通信領域が相互に重複して配置され、超近距離無線通信を使用して、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に前記決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、前記特定決済識別情報を受信した前記顧客端末装置が、前記特定決済識別情報に前記顧客端末装置の識別情報を含めた応答通信情報を生成し、送信した前記応答通信情報を受信し、同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信したときは、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行することを特徴とする販売情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、販売情報管理装置は、決済実行対象端末装置(例えば、決済を実行する顧客携帯端末等)との通信は音波等の超近距離無線通信を介して行うことで、当該通信を他の顧客携帯端末が受信し難い構成としている。
しかし、このような構成としても当該通信を他の顧客端末装置が受信等する場合がある。
このため、本発明では、先ず、販売情報管理装置は、決済No.等の特定決済識別情報を、超近距離無線通信で、決済実行対象端末装置に送信する。
そして、受信した決済実行対象端末装置は、この特定決済識別情報に決済実行対象端末装置の識別情報を付加した応答通信情報を販売情報管理装置に送信する。
したがって、販売情報管理装置は、決済実行対象端末装置の識別情報(例えば、BTアドバタイズ情報の番号等)を確認することができる。
このように販売情報管理装置は、応答通信情報で決済実行対象端末装置を確認した後、決済実行対象端末装置に対して近距離無線通信を使用して、決済処理を実行する構成となっているので、誤って他の顧客端末装置に、決済関連情報を要求することを防ぐ構成となっている。
【0008】
さらに、販売情報管理装置が同じ特定決済識別情報を含む応答通信情報を複数の顧客端末装置から取得した場合は、決済実行対象端末装置を特定するための特定処理(例えば、長時間のアドバタイズを受信している端末の排除、追加処理情報を複数の顧客端末装置に求め、顧客端末装置の追加処理情報の結果情報に基づき、決済実行対象端末装置を特定等)を実行し、特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行する。
このため、決済実行対象端末装置を精度良く特定することができる。
このように本発明では、販売情報管理装置と複数の顧客端末装置が、相互に近接し、これらの装置の一部の通信領域が相互に重複して配置されていても、通信相手を間違うことなく、安全に決済を行うことができる。
【0009】
好ましくは、前記販売情報管理装置において、前記超近距離無線通信は、前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置との間の近距離無線通信で、前記販売情報管理装置が、前記顧客端末装置との通信を確立した後に実行され、前記特定処理には、前記応答通信情報を受信したときに、前記販売情報管理装置が、長時間、アドバタイズ通信を受信しているか否かで判断することを含むことを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、超近距離無線通信は、販売情報管理装置と顧客携帯端末との間の近距離無線通信で、販売情報管理装置が、顧客携帯端末との通信を確立した後に実行される構成となっている。
このため、販売情報管理装置は、より確実に顧客携帯端末と超近距離無線通信を行うことができる。
また、販売情報管理装置の特定処理には、応答通信情報を受信するときに、販売情報管理装置が、端末等から長時間、アドバタイズ通信を受信しているか否かで判断することを含むため、アドバタイズ通信の継続時間の長さ情報を得るための確認時間(例えば、所定時間)内において、アドバタイズ通信を受信し続け、通信時間が通常のアドバタイズ通信時間よりも長い場合は、当該通信相手は、顧客端末装置ではなく、例えば、販売情報管理装置の近傍に配置される販売情報管理装置の店員の端末装置等であると判断し、その通信等を効果的に排除することができる。
【0011】
好ましくは、前記販売情報管理装置において、前記特定処理には、追加処理情報を、複数の前記顧客端末装置に求め、前記顧客端末装置の前記追加処理情報の結果情報に基づき、前記決済実行対象端末装置を特定することが含まれることを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、特定処理には、追加処理情報を、複数の前記顧客端末装置に求め、前記顧客端末装置の前記追加処理情報の結果情報に基づき、前記決済実行対象端末装置を特定することが含まれる。
このため、複数の顧客端末装置から追加処理情報を取得し、これらの追加処理情報から決済実行対象端末装置を精度良く特定することができる。
このように本発明では、販売情報管理装置と複数の顧客端末装置が、相互に近接し、これらの装置の一部の通信領域が相互に重複して配置されていても、通信相手を間違うことなく、安全に決済を行うことができる。
【0013】
上記目的は、本発明にあっては、販売情報を管理すると共に通信可能な複数の販売情報管理装置と、顧客が所持すると共に通信可能な複数の顧客端末装置を備え、少なくとも前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置の一部の通信領域が相互に重複して配置される決済システムであって、前記販売情報管理装置が、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に向けて、超近距離無線通信を使用して、当該決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、前記特定決済識別情報を受信した前記顧客端末装置は、前記特定決済識別情報に前記顧客端末装置の識別情報を含めた応答通信情報を前記販売情報管理装置に向けて送信し、同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信した前記販売情報管理装置は、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、前記販売情報管理装置が、特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行することを特徴とする決済システムにより達成される。
【0014】
好ましくは、前記決済システムにおいて、前記超近距離無線通信は、前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置との間の近距離無線通信で、前記販売情報管理装置が、前記顧客端末装置との通信を確立した後に実行され、前記特定処理には、前記応答通信情報を受信したときに、前記販売情報管理装置が、長時間、アドバタイズ通信を受信しているか否かで判断することを含むことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記決済システムにおいて、前記特定処理には、追加処理情報を、複数の前記顧客端末装置に求め、前記顧客端末装置の前記追加処理情報の結果情報に基づき、前記決済実行対象端末装置を特定することが含まれることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記決済システムにおいて、前記超近距離無線通信は、音波通信であって、前記顧客端末装置は、前記音波通信を受信するマイクロフォンを有し、前記顧客端末装置が、前記販売情報管理装置を認識すると自動的に前記マイクロフォンを起動させる構成となっていることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、顧客端末装置が、販売情報管理装置に近づかない位置で、マイクロフォンを起動させることを防止することができるので、顧客端末装置の消費電力が大きくなることを防止することができる。
【0018】
好ましくは、前記決済システムにおいて、前記決済識別情報は、有効時間が限定されており、前記応答通信情報は、前記決済識別情報に基づいて暗号化されることを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、近距離無線通信で送信される応答通信情報が第三者に知られることを未然に防止することができる。
【0020】
好ましくは、前記顧客端末装置は、決済関連情報に購入に関する付加情報を加えることができることを特徴とする。
【0021】
前記構成によれば、顧客端末装置は、決済関連情報に購入に関する付加情報を加えることができるので、顧客は購入に関する情報を口頭や注文や指示等をすることなく行うことができる。
【0022】
上記目的は、本発明にあっては、顧客が所持する複数の顧客端末装置と通信可能な販売情報を管理する販売情報管理装置の制御方法であって、少なくとも前記販売情報管理装置と前記顧客端末装置の一部の通信領域が相互に重複して配置され、超近距離無線通信を使用して、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に前記決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、前記特定決済識別情報を受信した前記顧客端末装置が、前記特定決済識別情報に前記顧客端末装置の識別情報を含めた応答通信情報を生成し、送信した前記応答通信情報を受信し、同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信したときは、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行することを特徴とする販売情報管理装置の制御方法により達成される。
【0023】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも顧客が所持する複数の顧客端末装置と一部の通信領域が相互に重複して配置される販売情報を管理する販売情報管理装置において、超近距離無線通信を使用して、決済を実行する前記顧客端末装置である決済実行対象端末装置に前記決済実行対象端末装置専用の決済識別情報である特定決済識別情報を送信する機能、前記特定決済識別情報を受信した前記顧客端末装置が、前記特定決済識別情報に前記顧客端末装置の識別情報を含めた応答通信情報を生成し、送信した前記応答通信情報を受信する機能、同じ前記特定決済識別情報を含む前記応答通信情報を複数、受信したときは、前記決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行する機能、
特定された前記決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して、決済処理を実行する機能、を実現させるための販売情報管理装置の制御プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、複数のPOS装置等の販売情報管理装置や複数の顧客端末装置が、近接して配置されていても、安全に決済を行うことができる販売情報管理装置、決済システム、販売情報管理装置の制御方法、販売情報管理装置の制御プログラムを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る「決済システム」の実施の形態に係る「店舗決済システム1」の主な構成を示す概略図である。
【
図2】モバイルPOS装置1号機10a等と顧客携帯端末100a等との間の通信に関する概略説明図である。
【
図3】
図1のモバイルPOS装置1号機10a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図4】
図1の顧客携帯端末100a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】
図1の店舗決済システム1の主な動作例を示す概略フローチャートである。
【
図6】
図1の店舗決済システム1の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
【
図7】
図1の店舗決済システム1の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0027】
(店舗決済システム1の主な構成)
図1は、本発明に係る「決済システム」の実施の形態に係る「店舗決済システム1」の主な構成を示す概略図である。
図1に示すように、店舗Xには、顧客が会計を行う「会計カウンタK」が配置されており、この会計カウンタKには、複数の販売情報管理装置である例えば、モバイルPOS(Point of sale:販売時点情報管理)装置1号機10a、モバイルPOS装置2号機10b、モバイルPOS装置3号機10cが設置されている。
【0028】
これらモバイルPOS装置1号機10a等は、POS装置の機能を発揮する携帯端末であり、ここで、POSは、販売時点情報管理を意味し、小売業等において商品等の販売・支払いが行われるその場(販売時点)で、その商品に関する情報(商品名、価格、売れた時間など)を単品単位で収集・記録し、商品売り上げ情報を把握し、それに基づいて売り上げや在庫を管理するためのシステムを意味する。
【0029】
また、本実施の形態では、モバイルPOS装置1号機10a等は、顧客が非現金決済手段である、例えば電子通貨(マネー)を使用可能な構成となっている。
ここで「電子マネー」とは、例えば、特定の会社が発行する「電子マネー」で、特定の店舗で商品の購入及び/又は役務の提供を受ける際に、現金と同様に、その対価の支払い等として使用できる電子通貨である。
本実施の形態では、A社が発行する「A社電子マネー」とB社が発行する「B社電子マネー」での決済が可能となる決済用アプリケーションをモバイルPOS装置1号機10a等は備えている。
【0030】
このため、本実施の形態では、
図1に示すように、モバイルPOS装置1号機10a等は、「A社決済サーバ3」と「B社決済サーバ4」とインターネット網2によって通信可能に接続されている。
また、モバイルPOS装置1号機10a等は、POSサーバ5とも接続され、売上げデータ等を送信等する構成となっている。
【0031】
図1に示すように、モバイルPOS装置1号機10a等には、それぞれ、操作を行う店員a、b、cがおり、それぞれ、店員携帯端末11a、11b、11cを有している。
また、会計カウンタKには、モバイルPOS装置1号機10a等のそばにレジ前商品である「POS前商品12a、12b、12c」が配置されている。
【0032】
また、
図1に示すように、顧客a乃至iが、それぞれ、自己の顧客端末装置である顧客携帯端末100a乃至100iを保持して、商品の会計をするため会計カウンタKのモバイルPOS装置1号機10a乃至10cの近傍に位置している。
具体的には、顧客携帯端末100a乃至100cは、モバイルPOS装置1号機10aの近傍に位置し、顧客携帯端末100d乃至100fは、モバイルPOS装置2号機10bの近傍に位置している。
さらに、顧客携帯端末100g乃至100iは、モバイルPOS装置3号機10cの近傍に位置している。
【0033】
(モバイルPOS装置1号機10a等と顧客携帯端末100a等との通信について)
図2は、モバイルPOS装置1号機10a等と顧客携帯端末100a等との間の通信に関する概略説明図である。
モバイルPOS装置1号機10a等は近距離無線通信装置を備えている。この近距離無線通信は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)で、例えば、使用周波数帯域は短波帯の2.4GHzを使用し、通信可能な距離は出力パワーにより3段階のクラスに分けられ数m~100m程度である。
【0034】
本実施の形態では、「Bluetooth Low Energy(BLE)」が用いられ、これは従来の「Bluetooth」より省電力化した通信方式である。
本実施の形態の近距離無線通信装置は、BLE通信が可能な構成となっており、通信距離は、例えば3m程度に設定される。
「BLE」の通信方式では、例えば、以下のような流れで通信が行われる。
1)子機である顧客携帯端末100a等から親機であるモバイルPOS装置1号機10a等へ通信を行う。なお、顧客携帯端末100a等は、アドバタイズ通信を行う。
2)モバイルPOS装置1号機10a等は、スキャンすることで、アドバタイズ通信で送られたデータを取得し、モバイルPOS装置1号機10a等は、顧客携帯端末を認識する。
3)モバイルPOS装置1号機10aに認識された顧客携帯端末100a等はアドバタイズ通信を終了し、モバイルPOS装置1号機10a等と通信する。
4)データ通信を行い、やり取りが終了したらモバイルPOS装置1号機10a等が通信を終了する。
【0035】
ここで、「アドバタイズ(ブロードキャスト)通信」とは、顧客携帯端末100a等が自己の位置をモバイルPOS装置1号機10a等へ伝えるための無線信号のことであり、モバイルPOS装置1号機10a等は、顧客携帯端末100a等からの無線信号をキャッチし、顧客携帯端末100a等を認識・把握することができる。
【0036】
図2のV1及びV2は、それぞれ、モバイルPOS装置1号機10a、モバイルPOS装置2号機10bの「BLE通信距離」を示し、
図2に示すように通信範囲は広範囲となっている。
【0037】
また、モバイルPOS装置1号機10a等と顧客携帯端末100a等とは、超近距離無線通信である例えば、音波通信が可能な構成となっている。
具体的には、モバイルPOS装置1号機10a等は、データ等を音波データに変換(変調)して、モバイルPOS装置1号機10a等のスピーカから出力する。
本実施の形態では、音波データの通信距離は例えば、30cmに設定されるが、設定は音量等を変更することで調整することができる。
モバイルPOS装置1号機10a等のスピーカから出力された「音波データ」は、顧客携帯端末100aのマイクロフォンが受信し、データを取得する。
音波データによる通信は、近接通信および認証技術基盤である。
音波通信は、一般的な仕様のマイクロフォンとスピーカをインターフェースとするため、携帯端末をはじめとしたあらゆる機器で利用可能となっている。
【0038】
図2のW1とW2は、それぞれ、モバイルPOS装置1号機10a、モバイルPOS装置2号機10bの「音波通信距離」を示し、
図2に示すように通信範囲は極めて狭い範囲となっている。
【0039】
本実施の形態では、
図2に示すように、顧客携帯端末100a等とモバイルPOS装置1号機10a等との通信は、最初、BLE通信で行い、モバイルPOS装置1号機10a等は顧客携帯端末100a等を認識した後に、モバイルPOS装置1号機10aが、顧客携帯端末100aと「のみ」通信したい場合は、「音波通信」に切り替えることで、他の顧客携帯端末100b等との通信を効果的に排除することができる構成となっている。
【0040】
また、本実施の形態では、上述のように、顧客携帯端末100a等とモバイルPOS装置1号機10a等との通信は、最初、BLE通信で行い、モバイルPOS装置1号機10a等は顧客携帯端末100a等を認識した後に、モバイルPOS装置1号機10aが、顧客携帯端末100aと「のみ」通信したい場合は、「音波通信」に切り替える構成となっているが、本発明はこれに限らず、顧客携帯端末100a等とモバイルPOS装置1号機10a等との通信を、最初、BLE通信で行わず、最初から音波通信とする構成としても構わない。
【0041】
また。
図1の「本システム1」モバイルPOS装置1号機10a等、顧客携帯端末100a、A社決済サーバ3,B社決済サーバ4及びPOSサーバ5等は、コンピュータを有し、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等を有し、バスを介して接続されている。
【0042】
(モバイルPOS装置1号機10a等の主な構成)
図3は、
図1のモバイルPOS装置1号機10a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
モバイルPOS装置1号機10a乃至10cは、同じ構成であるため、モバイルPOS装置1号機10aを例に以下、説明する。
図3に示すように、モバイルPOS装置1号機10aは、「POS側制御部20」を有し、同制御部20は、
図1の顧客携帯端末100a等と通信するための「POS側通信装置21」、音声を出力する「スピーカ22」そして、各種情報を入力し、表示する「POS側タッチパネル23」を有している。
POS側タッチパネル23は、表示部である例えば、ディスプレイと、位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、ディスプレイ上の表示に利用者が触れることで各種情報を入力できる入力装置である。
【0043】
また、同制御部20は、
図3で示すように「POS側決済用アプリケーション記憶部24」、「決済識別情報生成部25」、「音波情報生成部26」、「コリジョン判断部27」及び「POS側各種情報記憶部28」も制御するが、これらの内容については後述する。
【0044】
(顧客携帯端末100a等の主な構成)
図4は、
図1の顧客携帯端末100a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
顧客携帯端末100a乃至100iは、同じ構成であるため、顧客携帯端末100aを例に以下、説明する。
図4に示すように、顧客携帯端末100aは、「端末側制御部110」を有し、同制御部110は、
図1のモバイルPOS装置1号機10a等と通信するための「端末側通信装置111」、音声を入力する「マイクロフォン112」そして、各種情報を入力し、表示する「端末側タッチパネル113」を有している。
端末側タッチパネル113は、
図2のタッチパネル23と同様である。
【0045】
また、同制御部110は、
図4で示すように「端末側決済用アプリケーション記憶部114」、「アドバタイズ起動判断部115」、「マイクロフォン起動部116」、「応答通信情報生成部117」及び「端末側各種情報記憶部118」も制御するが、これらの内容については後述する。
【0046】
(店舗決済システム1の主な動作例)
図5乃至
図7は、
図1の店舗決済システム1の主な動作例を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、顧客aが、自己の顧客携帯端末100aを所持して、店舗Xに買い物に行き、A社の電子マネーを利用して、モバイルPOS装置1号機10aで決済を行うことを例に以下、説明する。
【0047】
先ず、事前準備を行う。
具体的には、モバイルPOS装置1号機10a等及び顧客携帯端末100a等は、決済用アプリケーション(「A社電子マネーアプリケーション」等)をインストールして、それぞれ、
図3の「POS側決済用アプリケーション記憶部24」、
図4の「端末側決済用アプリケーション記憶部114」に記憶する。
【0048】
次いで、
図5のステップ(以下「ST」とする)1へ進む。
ST1では、顧客aが自己の顧客携帯端末aを持参して、店舗Xへ行き、購入予定の商品をカゴ等に入れて会計カウンタKへ向かう。
【0049】
次いで、ST2へ進む。ST2では、モバイルPOS装置1号機10aは、「POS側通信装置21」を動作させ、常時、BLE通信で、自機のアドバタイズ(BLEで、ブロードキャスト通信を行う)を継続しながら、「決済スキームを利用する」顧客携帯端末100a等を発見するためスキャンを継続する。
【0050】
次いで、ST3へ進む。ST3では、顧客携帯端末100aは、「端末側通信装置111」及び「端末側決済用アプリケーション記憶部114」を参照し、「決済アプリケーション(A社電子マネーのアプリケーション等)」を動作させ、常時、周囲のモバイルPOS装置1号機10a等を発見すべくスキャンする。
【0051】
次いで、ST4へ進む。ST4では、顧客携帯端末100aの
図4の「アドバタイズ起動判断部(プログラム)115」が動作し、モバイルPOS装置1号機10a等を確認したか否かを判断し、確認したときは、アドバタイズを開始する。
なお、このとき、顧客携帯端末100aは「モバイルPOS装置1号機10a」を検索するのではなく、すべてのモバイルPOS装置を検索するので、モバイルPOS装置1号機及び2号機等を検知すると、これらに対し同じ動作を実行する。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、顧客携帯端末100aは、常時、アドバタイズを行わず、スキャンでモバイルPOS装置1号機10a等を確認した後に、初めてアドバタイズを実施する構成としたことで、顧客携帯端末100aの電池消費を抑えることができる。
【0053】
次いで、ST5へ進む。ST5では、モバイルPOS装置1号機10aは、アドバタイズで顧客携帯端末100aから送られたデータを取得し、顧客携帯端末100aを認識する。
【0054】
次いで、ST6へ進む。ST6では、顧客携帯端末100aを所持する顧客aは、会計するため、会計カウンタKのモバイルPOS装置1号機100a前に近づく。
【0055】
次いで、ST7へ進む。ST7では、顧客携帯端末100aの
図4の「マイクロフォン起動部(プログラム)116」が動作し、モバイルPOS装置1号機10a等に近づいたことを認識すると、マイクロフォン112を自動的に起動させる。
【0056】
また、本実施の形態と異なり、顧客携帯端末100aは、モバイルPOS装置1号機10aに近づいたことをBLEの電波の強度から認識する構成としても構わない。すなわち、BLEの電波の強度(例えば、RSSI値等)で、自機とモバイルPOS装置1号機100aとの距離を推定し、適切な距離に近づいたときに、初めてマイクロフォン112を起動させる構成としても構わない。
【0057】
顧客携帯端末100aが、モバイルPOS装置1号機10aに近づかない位置で、マイクロフォン112を起動させる構成とすると、マイクの起動時間が長くなり、消費電力が大きくなる。
この点、本実施の形態では、モバイルPOS装置1号機10aに近づいて初めて、マイクロフォン112を起動させるため、顧客携帯端末100aの消費電力が大きくなることを未然に防止することができる。
【0058】
次いで、ST8へ進む。ST8では、モバイルPOS装置1号機10aの担当店員aは、顧客携帯端末100aの顧客aの購入予定商品をモバイルPOS装置1号機10aを介して登録し、決済方法、具体的には、「A社電子マネー」又は「B社電子マネー」のいずれで決済するかを顧客に確認する。
【0059】
また、本実施の形態とは異なり、顧客aが「電子マネー」を選択する構成としても構わない。
例えば、顧客aが「A社電子マネー」での決済を希望する場合は、顧客携帯端末100aは、予め「A社電子マネー」のアプリケーションを「優先処理」に設定することにより、担当店員aが「A社電子マネー」又は「B社電子マネー」のいずれで決済するかを顧客aに確認することなく、自動的に「A社電子マネー」で決済が行われる構成とすることができる。
【0060】
また、上述の「優先処理」ではなく、顧客携帯端末100aの端末側タッチパネル113に「A社電子マネー」と「B社電子マネー」の選択通知をその都度、表示し、その都度、顧客に選択させる構成としても構わない。
【0061】
次いで、ST9へ進む。ST9では、モバイルPOS装置1号機100aの
図3の「決済識別情報生成部(プログラム)25」が動作し、決済識別情報である例えば、顧客携帯端末用の決済識別No.(有効時間が限定され、時間制限がある決済識別番号)と発信元のモバイルPOS装置1号機100aを示す発信元識別データ、さらに決済を行う電子マネーの種類、例えば「A社電子マネー」のデータを含む特定決済識別情報である例えば、「決済識別データ(決済実行対象端末装置専用の決済識別情報の一例)」を生成し、記憶する。
【0062】
次いで、ST10へ進む。ST10では、モバイルPOS装置1号機10aの
図3の「音波情報生成部(プログラム)26」が動作し、「決済識別データ」を人間が聞くことができない周波数の音波(非可聴域)に変調して「決済識別音波」を生成し、
図3の「スピーカ22」から「決済識別音波」を発信する。
【0063】
また、この「決済識別音波」は、乱数要素を有し、外部から類推され難い構成となっている。
【0064】
このように、非可聴域の音波を使用することで、通信可能なデータ容量を大きくすることができる。
また、可聴域の音(例えば、人の話声やBGMの音楽等)の影響を受け難く、ノイズを避けることができる。
さらに、発信元のモバイルPOS装置1号機10aを示す発信元識別データを含ませることにより、これを受信した顧客携帯端末100aは、複数のモバイルPOS装置をBLEで認識していた場合、単一のモバイルPOS装置1号機10aに対して、後述する「応答通信」を行えば良く、対象外のモバイルPOS装置は、この通信を受ける必要が無く全体の通信を効率化することができる。
【0065】
また、本実施の形態のように、音波通信は、
図2に示すように、通信可能範囲が狭いことから、モバイルPOS装置1号機10aが、音波を発信した場合、モバイルPOS装置1号機10aから離れて所在する顧客携帯端末100c等とは通信できず、近傍に所在する顧客携帯端末100a等とのみ通信可能であるため、不必要な情報を他の顧客携帯端末100c等に送信することを未然に防ぐことができる。
【0066】
また、本実施の形態では、音波データの通信距離は例えば、30cmに設定されているが、店員は、モバイルPOS装置1号機100a等の「音量」を変化(音量を上下)させることで、通信距離を任意の距離に調整することができる。
【0067】
これにより、周囲の他の顧客の顧客携帯端末100c等に到達しないように調整することが可能である
また、モバイルPOS装置1号機10aが周囲の環境音を聞き、環境音の大きさに応じて、自らの発信させる音量を自動で変化させる構成としても構わない。
【0068】
また、顧客携帯端末100aのマイクロフォン112の受信可能状態を端末側タッチパネル113に表示し、一定の閾値以下の感度であるとき、顧客aに警告等を表示し、再トライ又は別の決済方法を促す構成としても構わない。
【0069】
このような構成とすることで、決済不能状態等であることを、決済前に迅速に顧客aに報知し、モバイルPOS装置1号機10a等前の混乱や会計待ちの渋滞等の発生を未然に防止することができる。
【0070】
次いで、ST11へ進む。ST11では、顧客携帯端末100aが、「決済識別音波」の決済No.データ、発信元データ及び決済電子マネーデータを受信すると、
図4の「応答通信情報生成部(プログラム)117」が動作し、顧客携帯端末100aは、受信した「決済No.データ」に、顧客携帯端末aの「識別情報(BTアドバタイズ情報の番号等)」を追加したデータを、受信した決済No.データに基づき暗号化した「応答通信情報」を生成し、記憶する。
その後、「応答通信情報」をBLEで発信元のモバイルPOS装置1号機10aに送信する。
【0071】
次いで、ST12へ進み、モバイルPOS装置1号機10aが一定時間内で、複数の顧客携帯端末10a等から送信された同じ「決済No.」を含む「応答通信」を受信しているか否かを判断する。
【0072】
ST12で、複数の「応答通信」を含むと判断したときは、ST13へ進む。
ST13では、モバイルPOS装置1号機10aの「コリジョン判断部(重複決済情報(決済No.)判断部)27」が動作し、所定の時間(長時間の一例)以上、アドバタイズ受信状態が維持されている端末を顧客携帯端末でない(例えば、店員携帯端末等)と判断し、排除する(特定処理の一例)。
すなわち、店員携帯端末11a等から、モバイルPOS装置1号機10aが発信した「決済No.」を含む情報が「応答通信」として送信され「コリジョン」となる場合あるので、そのような情報を排除するためである。
【0073】
すなわち、モバイルPOS装置1号機10aは、アドバタイズを受信し続けるので、アドバタイズ受信時間が通常の応答通信の場合よりも長い場合は、当該通信相手は、顧客携帯端末100aではなく、例えば、モバイルPOS装置1号機10aの近傍に配置される店員aの店員携帯端末11a等であると判断し、その通信等を効果的に排除することができる。
具体的には、モバイルPOS装置1号機10aは、アドバタイズ受信継続時間と比較するための確認時間(例えば、所定時間)を有する。
そして、モバイルPOS装置1号機10aは、この確認時間(例えば、1時間等)を超えて、アドバタイズ通信を受信し続ける場合は、アドバタイズ受信時間が通常の応答通信の場合よりも長いと判断し、当該通信相手は、顧客携帯端末100aではなく、例えば、モバイルPOS装置1号機10aの近傍に配置される店員aの店員携帯端末11a等であると判断し、その通信等を効果的に排除する。
【0074】
一方、この「応答通信」をモバイルPOS装置2号機10bが受信した場合は、受信した「決済No.」は自機が送信した情報ではないので、特に反応しない。
【0075】
次いで、ST14へ進む。ST14では、モバイルPOS装置1号機10aは、依然として、同じ「決済No.」を含む「応答通信」を複数、受信しているか否かを判断し、複数、受信しているときは、ST15へ進む。
【0076】
ST15では、モバイルPOS装置1号機10aが受信した複数の顧客携帯端末等に、BLEを経由して追加の処理(更なる信号の発信、端末を強く振る等)を要求する(特定処理の一例)。
これは、追加の処理の結果情報に基づいて、当該応答通信を送信している複数の顧客携帯端末a等から当該決済を希望する特定の顧客携帯端末aを定めるためである。
【0077】
次いで、ST16へ進む。ST16では、顧客携帯端末100a等は、BLEで追加の処理(更なる信号の発信)を行い、その結果情報をモバイルPOS装置1号機10aへ送信する。
【0078】
次いで、ST17へ進む。ST17では、モバイルPOS装置1号機10aは、各顧客携帯端末100a等から受信した「更なる信号(追加の処理)」の結果情報に基づいて、モバイルPOS装置1号機10aでの決済を希望する顧客携帯端末100aを特定する。
【0079】
このような処理をすることで、例えば、店舗Xにおける隣のモバイルPOS装置2号機10bでの決済を希望する顧客携帯端末100d等からの「応答通信情報」を効果的に排除することができる。
【0080】
また、これに限らず、複数の顧客携帯端末100a等に「複数検知した」旨の情報をBLE経由で伝え、当該顧客携帯端末100a等の端末側タッチパネル113に識別情報を表示し、複数の顧客携帯端末100a等が選択した識別情報に基づき、モバイルPOS装置1号機10aが、当該決済を求めている顧客携帯端末100aを選択する構成としても構わない。
【0081】
この場合、複数の顧客携帯端末100a等を検知した場合でも、一律に「エラー」として終了処理をすることなく、迅速且つ適切に対象の顧客携帯端末を特定することができる。
【0082】
以上のように、本実施の形態では、先ず、モバイルPOS装置1号機10a等は、決済No.の情報を、音波通信で、顧客携帯端末100aに送信する。
そして、受信した顧客携帯端末100aは、この決済No.の情報に自機の識別情報を付加した応答通信情報をモバイルPOS装置1号機10aに送信する。
したがって、モバイルPOS装置1号機10aは、顧客携帯端末100aに決済関連情報の取得要求情報を送信する前に、その装置の識別情報(例えば、BTアドバタイズ情報の番号等)を確認することができる。
このようにモバイルPOS装置1号機10aは、応答通信情報で顧客携帯端末100aの確認をした後、顧客携帯端末100aに、より秘匿性が高い決済関連情報の取得要求をすることで、誤って他の顧客端末装置に、決済関連情報を要求することを防ぐ構成となっている。
【0083】
特に、モバイルPOS装置1号機10aが、同じ決済No.の情報を含む応答通信情報を複数の顧客端末装置から取得した場合は、これらの顧客端末装置から追加処理情報を取得し、これらの追加処理情報から決済をすべき顧客携帯端末100aを精度良く特定することができる。
このように本実施の形態では、複数のモバイルPOS装置1号機10a等と複数の顧客携帯端末100a等が、相互に近接し、これらの装置の一部の通信領域が相互に重複して配置されていても、通信相手を間違うことなく、安全に決済を行うことができる。
【0084】
次いで、ST18へ進む。ST18では、モバイルPOS装置1号機10aは、決裁を行う「顧客携帯端末10a」(決済実行対象端末装置の一例)に対し、決済に用いる情報である「決済関連情報」の取得要求をBLEで行う。
この「決済関連情報」には、想定する決済手段(A社電子マネー等)の識別情報、パスワード等の情報が含まれる。
ただし、決済関連情報は、これらの情報に限らず、他の情報であっても構わない。
【0085】
また、本実施の形態と異なり、決裁情報の取得要求を「音波通信」で行っても構わない。
この場合、より的確に対象の「顧客携帯端末10a」に限定して「決裁情報の取得要求」の情報を送信することができる。
【0086】
次いで、ST19へ進む。ST19では、取得要求を受けた顧客携帯端末10aは、決済関連情報をBLE通信でモバイルPOS装置1号機10aに送信する。
【0087】
次いで、ST20へ進む、ST20では、当該決済を求める顧客携帯端末100aが特定され、決済関連情報等を受領できたとき、モバイルPOS装置1号機10aは、A社決済サーバ3と通信して、A社電子マネーで決済を実行する。
一方、モバイルPOS装置1号機10aが、当該決済を求める顧客携帯端末100aを特定できないときは、「エラー」として処理を終了する。
【0088】
次いで、ST21へ進む。ST21では、A社電子マネーで決済を実行した後、モバイルPOS装置1号機10aは、電子レシートを顧客携帯端末100aに直接送信する。
【0089】
このようにすることで、BLE通信と音波通信で、確実に顧客本人の端末であることを特定できるので、従来のように、決済後、顧客aが自己の顧客携帯端末100aからサーバにアクセスして「電子レシート」を確認する必要がなく、決済と同時に「電子レシート」を入手することができる。
【0090】
また、従来の決済手段(NFC決済やICチップによる決済等)では、転送できるデータ量が少なく、二次元バーコード(QRコード(登録商標))を用いたコード決済も、QRコード(登録商標)自体に含められるデータは多くないため、インターネットを介してサーバ等と接続すること必要となる。
【0091】
これに対して、本実施の形態では、モバイルPOS装置1号機10aと顧客携帯端末100a間で直接、BLEによってデータ通信が行われるため、インターネットを介さず、「オフライン」で多くのデータを送信することができる。
【0092】
(本実施の形態の変形例)
以下の実施の形態は、上述の本実施の形態とその構成の多くが共通しているため、以下、相違点を中心に説明する。
上述の本実施の形態におけるST19で、顧客携帯端末100aが「決済関連情報」に以下の「付加情報」を含めて、この情報をモバイルPOS装置1号機10aにBLEで送信する点が相違する。
付加情報としては、以下の情報がある。
【0093】
1)顧客の属性情報やアンケートへの回答などを「付加情報」として添付する。
顧客の誕生日、性別、年齢、住所、家族構成など、事前に顧客が顧客携帯端末aに保存した情報や、何らかの手段で事前に顧客に対し配布されたアンケートに対する回答を送信することで、これを基にした割引サービスやモバイルPOS装置を通じた処理(店舗間で来店客のトレンドを把握するなど)を行うことができる。
【0094】
2)顧客携帯端末100aで、自動的に収集された情報(GPSや各種センサ情報)を「付加情報」として送信する。
顧客携帯端末100aに保存された情報(例えば、GPSに基づく当日の移動距離や、他に近接・認識した当該スキームのPOS情報など)をモバイルPOS装置1号機10aに送信することで、これを基にした割引サービスやモバイルPOS装置を通じたデータ処理(店舗側で来店客のトレンドを把握するなど)を行うことができる。
【0095】
3)顧客携帯端末100aに事前に配布されるクーポン等の使用に係るデータを「付加情報」として送信する。
顧客携帯端末が、事前に何らかの方法(決済サービスアプリケーション上での処理によるものなど)で取得したクーポンを利用することに関するデータをモバイルPOS装置が取得して活用する。
【0096】
4)「レジ前商品(POS前商品)」など、販売商品に関する注文データを「付加情報」として顧客携帯端末100aへ送信する。
モバイルPOS装置1号機10aから顧客携帯端末100aに対してレジ前で取り扱う商品(レジ前商品)や特殊なサービスなどの情報を送信し、これを顧客が事前に選択し、注文するため「付加情報」として送信する。
【0097】
具体的には、モバイルPOS装置1号機は、自機が認識して顧客携帯端末a等に対して、クーポン情報やレジ前で販売するレジ前商品のカタログなどをBLE経由で送信する。
これにより、一般的なモバイルオーダーと異なり、当該注文のデータは、店舗での決済処理の過程で、同時に送信されるため、その場で決済を済ませながら、口頭での注文や指示を省略することができるというメリットがある。
また、顧客携帯端末100aは、当該POS前商品の購入希望情報を「付加情報」とすることで、他の商品と共に「一括に」決済処理をすることができる。
【0098】
(付加情報以外の変形例)
店舗X内で配布されるクーポンの使用に関するデータをモバイルPOS装置1号機10a等が顧客携帯端末100aに送信する。
モバイルPOS装置1号機10a等から顧客携帯端末100a等に対してクーポンを配布することができる。クーポン情報は、一般に秘匿性がないことから当該通信は、モバイルPOS装置1号機10a等が、顧客携帯端末100a等を特定する前に行われる。
クーポン情報とクーポンを利用することに関するデータが送信される。
【0099】
また、モバイルPOS装置1号機10aと接続されているPOSサーバ5には、当該顧客の過去の購入履歴情報を記憶しているため、直近の特定期間に一定数、連続して同じコーヒーを購入している場合、当該コーヒーの購入と判断して、顧客携帯端末100aに確認情報をBLEで送信し、確認情報を受信(BLE)したときは、決済処理を行う。
【0100】
これにより、モバイルPOS装置1号機10aからの「確認情報」に応答するだけで、顧客は、口頭での注文等を省略することができる。
【0101】
また、顧客aが自己の顧客携帯端末100aを持参して、店舗Xに近づいた場合にBLE通信をし、この通信で、顧客携帯端末100aに店舗X を記録し、店舗XのモバイルPOS装置1号機10aに顧客携帯端末100aを記憶させても構わない。
【0102】
以上説明した本実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0103】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0104】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0105】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0106】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0107】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0109】
1・・・店舗決済システムシステム、2・・・インターネット網、3・・・A社決済サーバ、4・・・B社決済サーバ、5・・・POSサーバ、10a・・・モバイルPOS装置1号機、10b・・・モバイルPOS装置2号機、10c・・・モバイルPOS装置3号機、11a、11b、11c・・・店員携帯端末、12a、12b、12c・・・POS前商品、20・・・POS側制御部、21・・・POS側通信装置、22・・・スピーカ、23・・・POS側タッチパネル、24・・・POS側決済用アプリケーション記憶部、25・・・決済識別情報生成部、26・・・音波情報生成部、27・・・重複決済情報(コリジョン)判断部、28・・・POS側各種情報記憶部、100a乃至100i・・・顧客携帯端末、110・・・端末側制御部、111・・・端末側通信装置、112・・・マイクロフォン、113・・・端末側タッチパネル、114・・・端末側決済用アプリケーション記憶部、115・・・アドバタイズ起動判断部、116・・・マイクロフォン起動部、117・・・応答通信情報生成部、118・・・端末側各種情報記憶部、K・・・会計カウンタ、X・・・店舗、
【要約】
【課題】複数のPOS装置等の販売情報管理装置が、近接して配置されていても、安全に決済を行うことができる販売情報管理装置等を提供すること。
【解決手段】複数の顧客端末装置11aと通信可能で、顧客端末装置の一部の通信領域と相互に重複し、超近距離無線通信を使用して、決済実行対象端末装置に決済識別情報である特定決済識別情報を送信し、顧客携帯端末が、特定決済識別情報に顧客携帯端末の識別情報を含めた応答通信情報を生成、送信し、同じ特定決済識別情報を含む応答通信情報を複数、受信したときは、決済実行対象端末装置を特定するための特定処理を実行し、特定された決済実行対象端末装置に対して、近距離無線通信を使用して決済処理を実行する販売情報管理装置10a。
【選択図】
図1