(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】シュリンクラベル用インキ組成物、積層体及び包装材
(51)【国際特許分類】
C09D 11/102 20140101AFI20240701BHJP
C09D 11/107 20140101ALI20240701BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20240701BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
C09D11/102
C09D11/107
B32B27/40
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2024033005
(22)【出願日】2024-03-05
【審査請求日】2024-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100209347
【氏名又は名称】内田 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 祐子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 猛
(72)【発明者】
【氏名】濱田 誠士
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-209677(JP,A)
【文献】特開2006-219670(JP,A)
【文献】特表2019-513858(JP,A)
【文献】特開2022-99239(JP,A)
【文献】特開2022-166508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、ロジン誘導体(C)と、を含有するシュリンクラベル用インキ組成物であって、
前記ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度が-60~-20℃であり、
前記(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価が10mgKOH/g未満であり、
前記ロジン誘導体(C)の酸価が150~310mgKOH/gであ
り、
前記シュリンクラベル用インキ組成物の総質量に対して、前記ウレタン樹脂(A)の含有量が固形分換算で2~10質量%であり、前記(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量が固形分換算で0.5~5質量%であり、前記ロジン誘導体(C)の含有量が固形分換算で2~6質量%であり、かつ前記ウレタン樹脂(A)と前記(メタ)アクリル樹脂(B)と前記ロジン誘導体(C)の含有量の合計が固形分換算で5~15質量%である、シュリンクラベル用インキ組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル樹脂(B)のガラス転移温度が30~80℃である、請求項1に記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリル樹脂(D)をさらに含有し、
前記(メタ)アクリル樹脂(D)の酸価が40~100mgKOH/gであり、
前記シュリンクラベル用インキ組成物の総質量に対して、前記(メタ)アクリル樹脂(D)の含有量が固形分換算で0.1~2質量%である、請求項1に記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
【請求項4】
シリカ(F)をさらに含有する、請求項1に記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
【請求項5】
グラビア印刷用である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
【請求項6】
プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの一方の面上に設けられたインキ層と、を備える積層体であって、
前記インキ層が請求項
5に記載のシュリンクラベル用インキ組成物を用いて形成された層である、積層体。
【請求項7】
請求項
6に記載の積層体を備える、包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンクラベル用インキ組成物、積層体及び包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンクラベルは熱収縮性を有するプラスチックフィルムであり、シュリンクラベルの基材フィルムとしては熱収縮性ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等が用いられている。シュリンクラベルは、意匠性の付与や、商品情報などを表示するラベルや包装材として、飲料品、食品、日用品等に広く用いられている。
シュリンクラベルは、対象物に巻き付けた後、加熱することで熱収縮し、対象物の形状に追従できることから、複雑な形状の容器等にも適切に装着できる。
【0003】
通常、シュリンクラベルは、視認する方向から見た場合に、基材フィルム、インキ層の順に配置された構成となっている。
インキ層を形成するインキ組成物としては、基材フィルムに対する密着性などの観点から、熱収縮性ポリエステル系フィルムにはウレタン系インキが、ポリスチレン系フィルムにはアクリル系インキが、一般的に使用されている。
【0004】
また、ウレタン系インキより形成されたインキ層(以下、「ウレタン系インキ層」ともいう。)の耐熱性や耐摩擦性等の塗膜物性を向上させるために、ウレタン系インキ層上にアクリル系樹脂を含む保護層(以下、「アクリル系保護層」ともいう。)を設ける場合がある。
例えば特許文献1には、ラベル基材と、ラベル基材の少なくとも一方の面に設けられた、ウレタン樹脂を含有する印刷層(ウレタン系インキ層)と、印刷層の少なくとも一部を覆うように設けられた保護層とを有し、保護層がポリアクリルポリオール樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物層が硬化した層(アクリル系保護層)であり、印刷層が硬化剤に由来する構成単位を含有しないシュリンクラベルが開示されている。
【0005】
近年、マイクロプラスチック問題をはじめとする環境問題に対する取り組みとして、プラスチックフィルムの再利用が求められている。
しかし、包装材に用いられているプラスチックフィルムを再利用する場合、プラスチックフィルムにインキが付着していると、再生プラスチックフィルムの色相の悪化や、物性の低下を引き起こしてしまう。そのため、再利用する際には予めインキ層をプラスチックフィルムから除去しておくことが好ましい。インキ層の除去には、脱離剤であるアルカリ剤が水に溶解した水溶液等を使用する場合が多いことから、インキ層にはアルカリ脱離性に優れることが求められる。
【0006】
アルカリ脱離性を有するインキ組成物として、例えば特許文献2には、酸価が15~70mgKOH/gであるポリウレタン樹脂を含有する有機溶剤系印刷インキが開示されている。
また、特許文献3には、第1の基材と、第1の基材を脱離するためのプライマー層と、印刷層とをこの順に備え、プライマー層がウレタン樹脂とポリイソシアネートとの硬化物を含む包装材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-67928号公報
【文献】特開2020-90627号公報
【文献】特開2021-88408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたシュリンクラベルでは、ウレタン系インキ層が硬化剤を含有しないことで熱収縮時の白化を抑制することはできるものの、ウレタン系印刷層とアクリル系保護層との間の密着性が十分ではない。そのため、特許文献1に記載されたシュリンクラベルを温水に浸漬させると、ウレタン系印刷層とアクリル系保護層との層間に水が入り込み、白化することがある。
【0009】
特許文献2に記載された有機溶剤系印刷インキは、ポリエステル基材(PET)、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(OPP)等のプラスチック基材を印刷対象としているものの、シュリンクラベルに用いられることを想定したものではなく、シュリンクラベル用インキに求められるシュリンク適性を十分に満足するものではない。
特許文献3に記載された包装材は、フィルム収縮時のインキ追従性が低く、シュリンク適性を十分に満足するものではない。また、アルカリ脱離性を付与するためにプライマー層を設ける必要があるため、包装材を製造する際の製造工程が増えてしまう。
【0010】
本発明は、耐温水白化性、シュリンク適性、及びアルカリ脱離性に優れるインキ層を形成できるシュリンクラベル用インキ組成物、前記インキ層を備える積層体、及び前記積層体を備える包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] ウレタン樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、ロジン誘導体(C)と、を含有するシュリンクラベル用インキ組成物であって、前記ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度が-60~-20℃であり、前記(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価が10mgKOH/g未満であり、前記ロジン誘導体(C)の酸価が150~310mgKOH/gである、シュリンクラベル用インキ組成物。
[2] 前記(メタ)アクリル樹脂(B)のガラス転移温度が30~80℃である、前記[1]に記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
[3] 前記シュリンクラベル用インキ組成物の総質量に対して、前記ウレタン樹脂(A)の含有量が固形分換算で2~10質量%であり、前記(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量が固形分換算で0.5~5質量%であり、前記ロジン誘導体(C)の含有量が固形分換算で2~6質量%であり、かつ前記ウレタン樹脂(A)と前記(メタ)アクリル樹脂(B)と前記ロジン誘導体(C)の含有量の合計が固形分換算で5~15質量%である、前記[1]又は[2]に記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
[4] (メタ)アクリル樹脂(D)をさらに含有し、前記(メタ)アクリル樹脂(D)の酸価が40~100mgKOH/gであり、前記シュリンクラベル用インキ組成物の総質量に対して、前記(メタ)アクリル樹脂(D)の含有量が固形分換算で0.1~2質量%である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
[5] シリカ(F)をさらに含有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
[6] グラビア印刷用である、前記[1]~[5]のいずれかに記載のシュリンクラベル用インキ組成物。
[7] プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの一方の面上に設けられたインキ層と、を備える積層体であって、前記インキ層が前記[1]~[6]のいずれかに記載のシュリンクラベル用インキ組成物を用いて形成された層である、積層体。
[8] 前記[7]に記載の積層体を備える、包装材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐温水白化性、シュリンク適性、及びアルカリ脱離性に優れるインキ層を形成できるシュリンクラベル用インキ組成物、前記インキ層を備える積層体、及び前記積層体を備える包装材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において、シュリンクラベル用インキ組成物中のウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、ロジン誘導体(C)、(メタ)アクリル樹脂(D)、及びセルロース樹脂(E)の含有量はそれぞれ、固形分換算(「不揮発分換算」ともいう。)での量である。
「固形分」とは、シュリンクラベル用インキ組成物に含まれる成分のうち、有機溶剤等の揮発する媒体を除いた成分、すなわち不揮発分を指し、最終的にインキ層を形成することになる成分である。具体的にはJIS K 5601-1-2:2008に準拠して測定したものである。
また、本明細書において「インキ層」とは、本発明のシュリンクラベル用インキ組成物により形成されるインキ塗膜のことである。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」との文言には、「アクリル」及び「メタクリル」の両方の文言が含まれることを意味する。
また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。例えばA~BはA以上B以下と同義である。
【0015】
また、本明細書において、「温水白化」とは、温水にインキ層が浸漬したときに白化が生じることを意味し、「耐温水白化性」とは温水白化しにくい性能を意味する。温水白化は、インキ層が保護層と接しており、インキ層の表面が保護層で保護されて露出していない状態であっても、インキ層と保護層との密着性が不十分であると、これらの界面で白化が生じることがある。特に、インキ層が(メタ)アクリル樹脂を含む層と接した状態で温水に浸漬したとき、インキ層と(メタ)アクリル樹脂を含む層との密着性が不十分であると、これらの界面で白化が生じやすい傾向にある。
ここで「温水」とは35~60℃の水を意味する。
【0016】
また、本明細書において、「シュリンク適性」とは、インキ層を備えた積層体(シュリンクラベル等)を対象物に接触させた状態で加熱して熱収縮させたときに、インキ層が割れにくい性能を意味する。
シュリンクラベルを対象物に装着する際には、まず、印刷面(インキ層)を内側として、シュリンクラベルの端同士を数mmから1cm程度重ね合わせ、溶剤等で溶融、圧着させることによってシュリンクラベルを筒状に加工する。これを対象物に被せて、加熱して熱収縮させることで対象物にシュリンクラベルを装着させる。このとき、シュリンクラベルの重なっている部分に圧が大きく加わるため、シュリンクラベルの重なっている部分にインキ層が存在していると、当該箇所のインキ層に割れが生じる、いわゆる耳割れという不具合が生じやすくなる。本明細書における「シュリンク適性」とは、この耳割れの発生の程度を表す評価項目である。
【0017】
また、本明細書において、「アルカリ脱離性」とは、アルカリ剤(脱離剤)が水に溶解したアルカリ水溶液によりインキ層が膨潤、溶解、又は浸食等でプラスチックフィルムから脱離(除去)する性能を意味する。
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0018】
[シュリンクラベル用インキ組成物]
本発明の一実施形態に係るシュリンクラベル用インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」ともいう。)は、以下に示すウレタン樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、ロジン誘導体(C)とを含有する。
インキ組成物は、ウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)及びロジン誘導体(C)に加えて、以下に示す(メタ)アクリル樹脂(D)、セルロース樹脂(E)、及びシリカ(F)から選ばれる1つ以上をさらに含有することが好ましい。
インキ組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じてウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、ロジン誘導体(C)、(メタ)アクリル樹脂(D)、セルロース樹脂(E)、及びシリカ(F)以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。例えば、インキ組成物は、典型的には、さらに有機溶剤を含む。
【0019】
<ウレタン樹脂(A)>
ウレタン樹脂(A)としては、ポリイソシアネートとポリオールとを重合して得られる反応生成物(ポリウレタン)が挙げられる。特に、後述する有機溶剤に可溶な熱可塑性のポリウレタンが好ましい。
これらのウレタン樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
ポリウレタンは、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であるウレタンプレポリマーに、必要に応じて鎖伸長剤及び反応停止剤を反応させて得られたものをウレタン樹脂(A)として用いることができる。
【0021】
ポリイソシアネートは、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。
ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート化合物が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4-ジイソシアネート、2,2-ジフェニルプロパン-4,4-ジイソシアネート、3,3-ジメチルジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、4,4-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、及び3,3-ジメトキシジフェニル-4,4-ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、及び水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
ポリオールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物である。
ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸類と、多価アルコール類又は第2級若しくは第3級アミン類との脱水重縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
多価カルボン酸類の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及びトリメリット酸等のポリカルボン酸;これらポリカルボン酸の酸エステル若しくは酸無水物などが挙げられる。
これらの多価カルボン酸類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
多価アルコール類の具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド若しくはプロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、及びペンタエリスリトール等の低分子アルコール化合物;モノエタノールアミン、及びジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール化合物などが挙げられる。
これらの多価アルコール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
第2級若しくは第3級アミン類の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、及びイソホロンジアミン等の低分子アミン化合物などが挙げられる。
これらの第2級若しくは第3級アミン類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子アルコール化合物及び低分子アミノアルコール化合物等を開始剤として用い、ε-カプロラクトン及びγ-バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーを開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオールを用いることもできる。
【0027】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物とホスゲンとの脱塩酸反応で得られるもの;この低分子アルコール化合物と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びジフェニルカーボネート等のカーボネート類とのエステル交換反応で得られるもの等が挙げられる。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物、低分子アミン化合物及び低分子アミノアルコール化合物、並びにフェノール類等を開始剤として用い、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、並びにテトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール等が挙げられる。さらに、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤とするポリエステルエーテルポリオールが挙げられる。
【0029】
鎖伸長剤としては、イソシアネート基との反応可能な官能基(例えばアミノ基及び水酸基等)を1分子中に2つ以上有する化合物を用いることができる。
鎖伸長剤の具体例としては、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、及び2-エチルアミノエチルアミン等のジアミン化合物;ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミン等のポリアミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコール等の低分子ジオール化合物;アミノエチルエタノールアミン、並びにアミノプロピルエタノールアミンなどが挙げられる。
これらの鎖伸長剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
反応停止剤としては、例えば、n-プロピルアミン、及びn-ブチルアミン等のモノアルキルアミン;ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン;モノエタノールアミン、及びジエタノールアミン等のアルカノールアミン;メタノール、及びエタノール等のモノアルコールなどが挙げられる。
これらの反応停止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度は、-60~-20℃であり、-58~-25℃が好ましく、-55~-30℃がより好ましい。ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性、耐熱性、及びシュリンク適性が向上する。ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度が上記上限値以下であれば、インキ層のシュリンク適性、及び基材フィルム(例えば後述するプラスチックフィルム等)に対する密着性が向上する。
ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度は、JIS K 7121:2012の規定に準じて、示差走査熱量測定(DSC)により求められる値である。具体的には、示差走査熱量計を用い、ウレタン樹脂(A)10mgを-100℃から160℃まで、20℃/分の条件で昇温させて得られる曲線(DSC曲線)におけるベースラインと吸熱カーブの接線との交点からガラス転移温度を求める。
【0032】
ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、10000~120000が好ましく、20000~110000がより好ましく、30000~100000が特に好ましい。ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性、及び耐熱性が向上する。ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、インキ層のシュリンク適性がより向上する。また、インキ組成物が例えば後述の顔料(G)を含有する場合、顔料分散性が向上する。
ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である。
【0033】
ウレタン樹脂(A)のアミン価は、0.1~5mgKOH/gが好ましく、0.2~3mgKOH/gがより好ましく、0.3~1mgKOH/gが特に好ましい。ポリウレタン樹脂(A)のアミン価が上記下限値以上であれば、インキ層の基材フィルムに対する密着性が向上する。ウレタン樹脂(A)のアミン価が上記上限値以下であれば、インキ組成物の印刷適性、及びインキ層の耐ブロッキング性が向上する。
アミン価とは、試料1g中に含まれる全塩基性窒素(1級、2級及び3級アミン)を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものである。
ウレタン樹脂(A)のアミン価は、JIS K 7237:1995の規定に準じて、塩酸を用いた中和滴定により求められる値である。
【0034】
ウレタン樹脂(A)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率(E’;動的貯蔵弾性率)は、0.1~10MPaが好ましく、0.1~8MPaがより好ましく、0.1~5MPaが特に好ましい。ウレタン樹脂(A)の貯蔵弾性率が上記上限値以下であれば、インキ層のシュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性がより向上する。
ウレタン樹脂(A)の貯蔵弾性率は、ウレタン樹脂(A)の乾燥膜(膜厚20μmのフィルム状試料)について、動的粘弾性測定装置を用いて、温度100℃及び周波数11Hzの条件で動的粘弾性を測定して得られる値である。
【0035】
<(メタ)アクリル樹脂(B)>
(メタ)アクリル樹脂(B)は、重合性単量体として(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、主な構造単位として(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むものである。
【0036】
(メタ)アクリル樹脂(B)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;複数種の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体;(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の重合性単量体との共重合体;これら単独重合体や共重合体をウレタン変性若しくはシリコーン変性したウレタン変性樹脂若しくはシリコーン変性樹脂等が挙げられる。なお、これらを総称して「アクリル系樹脂」ともいう。
これらの(メタ)アクリル樹脂(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、及び(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、及び(メタ)アクリル酸ナフチル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、及び(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
他の重合性単量体としては(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、及びそれらの誘導体等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等の不飽和カルボン酸系単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらの他の重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価は、10mgKOH/g未満であり、9mgKOH/g以下が好ましく、8mgKOH/g以下がより好ましい。(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価が上記上限値未満であれば、インキ層の耐水性、及び耐温水白化性が向上する。
(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価の下限値については特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価は1mgKOH/g以上が好ましい。
酸価とは、試料1g中に含まれるカルボキシ基等の酸基を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものである。
(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価は、JIS K 0070:1992に規定される中和滴定法に準じて測定される値である。
【0040】
(メタ)アクリル樹脂(B)のガラス転移温度は、5~100℃が好ましく、30~80℃がより好ましく、40~70℃が特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂(B)のガラス転移温度が上記下限値以上であれば、インキ層の耐熱性、及びシュリンク適性がより向上する。(メタ)アクリル樹脂(B)のガラス転移温度が上記上限値以下であれば、インキ層の耐温水白化性、及びシュリンク適性がより向上する。
(メタ)アクリル樹脂(B)のガラス転移温度は、ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度と同様の方法により求められる値である。
【0041】
(メタ)アクリル樹脂(B)の重量平均分子量は、10000~150000が好ましく、20000~140000がより好ましく、30000~130000が特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂(B)の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、インキ層の耐熱性、及び耐ブロッキング性が向上する。(メタ)アクリル樹脂(B)の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、インキ層のシュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性がより向上する。
(メタ)アクリル樹脂(B)の重量平均分子量は、ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量と同様の方法により求められる値である。
【0042】
<ロジン誘導体(C)>
ロジン誘導体(C)としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル、水添ロジン、重合ロジン、テルペンフェノール樹脂が挙げられる。
これらのロジン誘導体(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ロジン誘導体(C)の酸価は、150~310mgKOH/gであり、160~280mgKOH/gが好ましく、170~250mgKOH/gがより好ましい。ロジン誘導体(C)の酸価が上記下限値以上であれば、インキ層のアルカリ脱離性が向上する。ロジン誘導体(C)の酸価が上記上限値以下であれば、インキ層の耐水性、及び耐温水白化性が向上する。
ロジン誘導体(C)の酸価は、(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価と同様の方法により求められる値である。
【0044】
ロジン誘導体(C)の軟化点は、80~200℃が好ましく、90~190℃がより好ましく、100~180℃が特に好ましい。ロジン誘導体(C)の軟化点が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性、耐熱性、シュリンク適性がより向上する。ロジン誘導体(C)の軟化点が上記上限値以下であれば、インキ層の基材フィルムに対する密着性が向上する。
ロジン誘導体(C)の軟化点は、JIS K 5601-2-2:1999に準拠した環球法により求められる値である。
【0045】
<(メタ)アクリル樹脂(D)>
インキ組成物が、上述したウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、及びロジン誘導体(C)に加えて(メタ)アクリル樹脂(D)をさらに含有すると、インキ層のアルカリ脱離性がより向上する。
(メタ)アクリル樹脂(D)は、重合性単量体として(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、主な構造単位として(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むものである。
【0046】
(メタ)アクリル樹脂(D)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;複数種の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体;(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の重合性単量体との共重合体;これら単独重合体や共重合体をウレタン変性若しくはシリコーン変性したウレタン変性樹脂若しくはシリコーン変性樹脂等が挙げられる。なお、これらを総称して「アクリル系樹脂」ともいう。
これらの(メタ)アクリル樹脂(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル樹脂(B)の説明において先に例示した(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
他の重合性単量体としては、(メタ)アクリル樹脂(B)の説明において先に例示した他の重合性単量体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル及び他の重合性単量体はそれぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
(メタ)アクリル樹脂(D)の酸価は、40~100mgKOH/gであり、50~95mgKOH/gが好ましく、60~90mgKOH/gがより好ましい。(メタ)アクリル樹脂(D)の酸価が上記下限値以上であれば、インキ層のアルカリ脱離性がより向上する。(メタ)アクリル樹脂(D)の含有量が上記上限値以下であれば、インキ層の耐水性、及び耐温水白化性がより向上する。
(メタ)アクリル樹脂(D)の酸価は、(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価と同様の方法により求められる値である。
なお、(メタ)アクリル樹脂(D)の酸価は、(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価よりも高いことから、本発明においては、(メタ)アクリル樹脂(B)を「低酸価(メタ)アクリル樹脂(B)」ともいい、(メタ)アクリル樹脂(D)を「高酸価(メタ)アクリル樹脂(D)」ともいう。
【0049】
(メタ)アクリル樹脂(D)のガラス転移温度は、5~100℃が好ましく、30~80℃がより好ましく、40~70℃が特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂(D)のガラス転移温度が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性、耐熱性、及び基材フィルムに対する密着性が向上する。(メタ)アクリル樹脂(D)のガラス転移温度が上記上限値以下であれば、インキ層のシュリンク適性がより向上する。
(メタ)アクリル樹脂(D)のガラス転移温度は、ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度と同様の方法により求められる値である。
【0050】
(メタ)アクリル樹脂(D)の重量平均分子量は、10000~100000が好ましく、15000~90000より好ましく、20000~80000が特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂(D)の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、インキ層の耐水性、耐熱性が向上する。(メタ)アクリル樹脂(D)の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、ウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、及びロジン誘導体(C)と、(メタ)アクリル樹脂(D)との相溶性が向上する。
(メタ)アクリル樹脂(D)の重量平均分子量は、ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量と同様の方法により求められる値である。
【0051】
<セルロース樹脂(E)>
インキ組成物が、上述したウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、及びロジン誘導体(C)に加えてセルロース樹脂(E)をさらに含有すると、インキ層の耐ブロッキング性、及びシュリンク適性がより向上する。
セルロース樹脂(E)としては、セルロース、及びセルロースが有する水酸基の一部が他の基に置換されたセルロース誘導体等を用いることができる。これらの中でも、セルロース誘導体が好ましい。
【0052】
セルロース樹脂(E)としては、例えば、ニトロセルロース(ニトロ基置換体);セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレート等の低級アシル基置換体;メチルセルロース及びエチルセルロース等の低級アルキル基置換体;ベンジルセルロース等のアラルキル基置換体;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシメチルプロピルセルロース等のヒドロキシアルキル基を有するセルロース誘導体などが挙げられる。
これらのセルロース樹脂(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
<シリカ(F)>
インキ組成物が、上述したウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、及びロジン誘導体(C)に加えてシリカ(F)をさらに含有すると、インキ層の耐ブロッキング性が向上する。
シリカ(F)は、天然物であってもよいし、合成品であってもよい。
合成品としては、燃焼法、及びアーク法等の乾式法により得られたシリカ;沈降法、及びゲル法等の湿式法により得られたシリカなどが挙げられる。
シリカ(F)は、結晶性であってもよいし、非結晶性であってもよい。
シリカ(F)は、水性であってもよいし、親水性であってもよい。
これらのシリカ(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
シリカ(F)の平均粒子径は、0.01~200μmが好ましく、0.1~150μmがより好ましく、1~100μmが特に好ましい。シリカ(F)の平均粒子径が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性が向上する。シリカ(F)の平均粒子径が上記上限値以下であれば、インキ組成物の保存安定性、透明性、及び印刷適性が向上する。
シリカ(F)の平均粒子径は、レーザー回析・散乱法により体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される体積基準の累積頻度50%の粒子径(メジアン径:D50)であり、体積平均粒子径ともいう。
【0055】
<任意成分>
任意成分としては、例えば、有機溶剤、顔料(G)、これら以外の添加剤等が挙げられる。
これらの任意成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
上述した中でも、有機溶剤としては、トルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤を実質的に含有しない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤又はノンキシレン系有機溶剤)が好ましい。すなわち、インキ組成物は、トルエン又はキシレンを実質的に含有しないノントルエンタイプ又はノンキシレンタイプのインキ組成物であることが環境面で好ましい。
ここで、「実質的に含有しない」とは、意図せずして含有するものを除き、インキ組成物に積極的に配合しないことを意味する。
【0058】
また、有機溶剤としては、エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、及びアルコール系有機溶剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
有機溶剤中のエステル系有機溶剤の含有割合は、有機溶剤の総質量に対して、5~80質量%であることが好ましい。有機溶剤中のケトン系有機溶剤の含有割合は、有機溶剤の総質量に対して、5~90質量%であることが好ましい。有機溶剤中のアルコール系有機溶剤の含有割合は、有機溶剤の総質量に対して、0~50質量%であることが好ましい。
【0059】
インキ組成物は、顔料(G)を含有していてもよいし、実質的に顔料(G)を含有しなくてもよい。
なお、顔料(G)を含有するインキ組成物を特に「カラーインキ組成物」ともいう。顔料(G)を実質的に含有しないインキ組成物を特に「無色インキ組成物」又は「メヂウム」ともいう。
【0060】
顔料(G)としては、例えば、体質顔料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
体質顔料の具体例としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
無機顔料の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ等の白色顔料;カーボンブラック、鉄黒等の黒色顔料;アルミニウム粒子、マイカ、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化亜鉛等の各色無機顔料などが挙げられる。
有機顔料の具体例としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系等の各系統の有機顔料等が挙げられる。
これらの顔料(G)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
添加剤としては、例えば、顔料誘導体、滑剤、離型剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、分散剤、安定剤、ワックス等が挙げられる。
これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
<含有量>
ウレタン樹脂(A)の含有量は固形分換算で、インキ組成物の総質量に対して、2~10質量%が好ましく、2.3~9.5質量%がより好ましく、2.5~9質量%が特に好ましい。ウレタン樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であれば、インキ層のシュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性がより向上する。ウレタン樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であれば、インキ層の耐温水白化性、耐ブロッキング性、及びアルカリ脱離性がより向上する。
【0063】
(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量は固形分換算で、インキ組成物の総質量に対して、0.5~5質量%が好ましく、0.6~4質量%がより好ましく、0.7~3質量%が特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量が上記下限値以上であれば、インキ層と後述する保護層との親和性がより向上し、インキ層と保護層との層間の密着性がより向上し、その結果、インキ層の耐温水白化性がより向上する。(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量が上記上限値以下であれば、インキ組成物の保存安定性が向上する。加えて、インキ層のアルカリ脱離性、シュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性がより向上する。
【0064】
ロジン誘導体(C)の含有量は固形分換算で、インキ組成物の総質量に対して、2~6質量%が好ましく、2.5~5.5質量%がより好ましく、3~5質量%が特に好ましい。ロジン誘導体(C)の含有量が上記下限値以上であれば、インキ層のアルカリ脱離性がより向上する。ロジン誘導体(C)の含有量が上記上限値以下であれば、インキ層の耐水性、耐温水白化性、耐ブロッキング性、シュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性がより向上する。
【0065】
ウレタン樹脂(A)と(メタ)アクリル樹脂(B)とロジン誘導体(C)の含有量の合計は固形分換算で、インキ組成物の総質量に対して、5~15質量%が好ましく、6~14.5質量%がより好ましく、7~14質量%が特に好ましい。ウレタン樹脂(A)と(メタ)アクリル樹脂(B)とロジン誘導体(C)の合計の含有量が上記下限値以上であれば、インキ組成物の保存安定性が向上する。また、インキ組成物が顔料(G)を含有する場合、顔料分散性が向上する。加えて、インキ層のシュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性がより向上する。ウレタン樹脂(A)と(メタ)アクリル樹脂(B)とロジン誘導体(C)の合計の含有量が上記上限値以下であれば、インキ層の耐熱性、耐ブロッキング性、及び隠蔽性が向上する。
【0066】
(メタ)アクリル樹脂(D)の含有量は固形分換算で、インキ組成物の総質量に対して、0.1~2質量%が好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.3~1質量%が特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂(D)の含有量が上記下限値以上であれば、インキ層のアルカリ脱離性がより向上する。(メタ)アクリル樹脂(D)の含有量が上記上限値以下であれば、ウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、及びロジン誘導体(C)と、(メタ)アクリル樹脂(D)との相溶性が向上する。加えて、インキ層の耐水性が向上する。
【0067】
セルロース樹脂(E)の含有量は固形分換算で、インキ組成物の総質量に対して、0.5~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、1.5~6質量%が特に好ましい。セルロース樹脂(E)の含有量が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性、及びシュリンク適性がより向上する。セルロース樹脂(E)の含有量が上記上限値以下であれば、インキ層のアルカリ脱離性がより向上する。
【0068】
シリカ(F)の含有量は、インキ組成物の総質量に対して、0.1~2質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましく、0.1~0.5質量%が特に好ましい。シリカ(F)の含有量が上記下限値以上であれば、インキ層の耐ブロッキング性がより向上する。シリカ(F)の含有量が上記上限値以下であれば、インキ組成物の透明性、及び印刷適性が向上する。
【0069】
有機溶剤の含有量は、インキ組成物の総質量に対して、10~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、30~85質量%が特に好ましい。有機溶剤の含有量が上記下限値以上であれば、インキ組成物の流動性が向上する。有機溶剤の含有量が上記上限値以下であれば、インキ層の乾燥性が向上する。
【0070】
顔料(G)の含有量は、インキ組成物の着色力等を確保するのに十分な量に設定すればよく、特に制限されないが、例えば、インキ組成物の固形分の総質量に対して、1~80質量%が好ましい。
【0071】
<製造方法>
本実施形態のインキ組成物は、例えばウレタン樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、ロジン誘導体(C)と、必要に応じて(メタ)アクリル樹脂(D)、セルロース樹脂(E)、シリカ(F)、及び有機溶剤以外の任意成分のうちの1つ以上とを、各成分が所望の含有量となるように有機溶剤に溶解又は分散させることで得られる。
各成分の混合方法としては特に限定されず、種々の方法により各成分を混合することができる。
【0072】
<作用効果>
以上説明した本実施形態のインキ組成物は、上述したウレタン樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、ロジン誘導体(C)とを含有することによって、耐温水白化性、シュリンク適性、及びアルカリ脱離性に優れるインキ層を形成できる。
【0073】
上述したように、インキ層が保護層と接しており、インキ層の表面が保護層で保護されて露出していない状態であっても、インキ層と保護層との密着性が不十分であると、これらの界面で白化が生じることがある。特に、インキ層が(メタ)アクリル樹脂を含む層と接しており、インキ層と(メタ)アクリル樹脂を含む層との密着性が不十分であると、これらの界面で白化が生じやすい傾向にある。
しかし、本実施形態のインキ組成物より形成されるインキ層は、保護層、特に(メタ)アクリル樹脂を含む層との密着性に優れる。よって、インキ層の表面が露出している場合はもちろんのこと、インキ層が保護層、特に(メタ)アクリル樹脂を含む層に接して設けられる場合であっても、温水浸漬時の白化を抑制できる。
【0074】
<インキ組成物の用途>
本実施形態のインキ組成物は、シュリンクラベル用のインキとして好適であるが、特に、グラビア印刷又はフレキソ印刷により、プラスチックフィルム等の基材フィルムの表面(基材フィルムの表面に任意の層が形成されている場合は、この任意の層の表面)に印刷する際のインキとして好適である。その中でも、グラビア印刷により基材フィルムの表面又は前記任意の層の表面に印刷する際のインキとして好適である。すなわち、本実施形態のインキ組成物は、グラビア印刷用として好適である。
特に、インキ組成物が顔料(G)を含有していれば、カラーインキとして使用できる。インキ組成物が顔料(G)を実質的に含有していない場合は、無色インキ又はメヂウムとして使用できる。
なお、インキ組成物は、そのままインキとして用いてもよいし、有機溶剤等で希釈した希釈液をインキとして用いてもよい。
【0075】
[積層体]
図1に、本発明の一実施形態に係る積層体の一例を示す。なお、
図1における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
図1の積層体10は、基材フィルムであるプラスチックフィルム11と、プラスチックフィルム11の一方の面上に設けられたインキ層12と、を備える印刷物である。
なお、積層体10をシュリンクラベルとして対象物に装着する場合、プラスチックフィルム11が、インキ層12よりも外側、すなわち、インキ層12が内側(対象物と接する側)となるように装着する。
【0076】
<プラスチックフィルム>
プラスチックフィルム11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリ乳酸等のポリエステルフィルム;ポリエチレン(PE)、及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられる。
これらのプラスチックフィルム11は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
プラスチックフィルム11は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。すなわち、プラスチックフィルム11は、単層フィルムであってもよいし、積層フィルムであってもよい。プラスチックフィルム11が積層フィルムである場合、同じ種類のフィルムを2枚以上積層した構成であってもよいし、異なる種類のフィルムを2枚以上積層した構成であってもよい。
【0078】
プラスチックフィルム11の厚さは、10~80μmが好ましく、15~70μmがより好ましく、20~60μmが特に好ましい。
【0079】
<インキ層>
図示例の積層体10において、インキ層12は、プラスチックフィルム11の一方の面上に設けられている。
インキ層12は、上述した本発明のインキ組成物を用いて形成された層であり、インキ塗膜ともいう。
インキ層12の厚さは、0.1~5μmが好ましく、0.3~4μmがより好ましく、0.5~3μmが特に好ましい。
【0080】
<積層体の製造方法>
本実施形態の積層体10の製造方法は、プラスチックフィルム11の一方の面上に、本実施形態のインキ組成物を用いてインキ層12を形成する工程を含む。
本実施形態の積層体10の製造方法では、例えばプラスチックフィルム11の一方の面上に本発明のインキ組成物を塗工し、乾燥させてインキ層12を形成する。
なお、本発明のインキ組成物をプラスチックフィルム11の一方の面上に塗工し、乾燥させてインキ層12を形成した後、さらに本発明のインキ組成物を塗工(重ね塗り)してもよい。
【0081】
インキ組成物の塗工方法としては特に限定されず、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、ハケ塗り、グラビアコーター法、ダイコーター法、バーコーター法、スプレーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法及びカーテンコート法等の公知の塗工方法を用いることができる。これらの中でも、乾燥性に優れ、高速印刷に対応可能であることから、グラビア印刷、フレキソ印刷に適している。その中でも特に、諧調再現性に優れる点から、グラビア印刷が好ましい。
【0082】
乾燥方法としては、プラスチックフィルム11の一方の面上に塗工されたインキ組成物に含まれる有機溶剤を除去できれば特に制限されず、自然乾燥であってもよいし、減圧乾燥、加圧乾燥、加熱乾燥、風乾等の強制乾燥であってもよい。
加熱により乾燥する場合、乾燥温度は、30~60℃が好ましく、35~55℃がより好ましい。
【0083】
<作用効果>
以上説明した本実施形態の積層体は、プラスチックフィルムの一方の面上に、上述した本発明のインキ組成物を用いて形成されたインキ層が形成されているので、シュリンク適性に優れ、また、温水に浸漬してもインキ層が白化しにくい。さらに、インキ層はアルカリ脱離性に優れるので、使用済みの積層体を再利用する際に、インキ層をプラスチックフィルムから容易に除去でき、再生プラスチックフィルムの色相や物性の低下を抑制できる。を再利用できる。
【0084】
<用途>
本実施形態の積層体10は、飲料品、惣菜や弁当などの食品、化粧品などの日用品等の収容に用いられる容器に装着されるプラスチックラベル等の各種ラベルとして用いることができ、特に、シュリンクラベルとして好適である。
【0085】
<他の実施形態>
積層体は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、
図1に示す積層体10の場合、インキ層12はプラスチックフィルム11の一方の面の全体に設けられているが、インキ層12はプラスチックフィルム11の一方の面の一部に設けられていてもよい。この場合、プラスチックフィルム11の一方の面のインキ層12が設けられていない領域には、他の層が設けられていてもよい。
【0086】
また、インキ層12のプラスチックフィルム11とは反対側の表面、及びプラスチックフィルム11の他方の面(すなわち、インキ層12とは反対側の表面)の少なくとも一方には、保護層が設けられていてもよい。
さらに、プラスチックフィルム11とインキ層12との間には、任意の層(「中間層」ともいう。)が設けられていてもよい。
【0087】
保護層としては、例えばニス組成物より形成される層が挙げられる。
ニス組成物としては特に限定されず、公知のものを使用できるが、一例として、バインダー樹脂と、溶剤とを含む組成物が挙げられる。
バインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;複数種の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体;(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の重合性単量体との共重合体;これら単独重合体や共重合体をウレタン変性若しくはシリコーン変性したウレタン変性樹脂若しくはシリコーン変性樹脂が挙げられる。なお、(メタ)アクリル樹脂を含むニス組成物より形成される層を特に「(メタ)アクリル樹脂を含む層」又は「アクリル系保護層」ともいう。
溶剤としては、水;有機溶剤;水と有機溶剤との混合溶剤などが挙げられる。有機溶剤としては、本発明のインキ組成物の説明において際に例示した有機溶剤が挙げられる。
【0088】
[包装材]
本発明の積層体は、例えば、包装材として用いることができる。具体的には、飲料品、食品、日用品等の収容に用いられる容器等に本発明の積層体を巻き付けた後、加熱により積層体を熱収縮させて容器に装着させることで、飲料品、食品、日用品等に向けた軟包装用の包装材(軟包装パッケージ)となる。
ここで、「軟包装」とは、柔軟性を有する材料で構成されている包装材、すなわちフレキシブルパッケージのことである。
本発明の包装材は、例えば、飲料品、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、洗剤、及び化学薬品等の包装に用いられる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例15~20は参考例である。
【0090】
[使用原料]
ウレタン樹脂(A)として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1: 三洋化成工業株式会社製、商品名「サンプレン」、ガラス転移温度:-50℃。
・A-2:三洋化成工業株式会社製、商品名「サンプレン」、ガラス転移温度:-38℃。
・A-3:ペルノックス株式会社製、商品名「ペルウレタン」、ガラス転移温度:-70℃。
・A-4: 三洋化成工業株式会社製、商品名「サンレタン」、ガラス転移温度:15℃。
【0091】
(メタ)アクリル樹脂(B)として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、酸価:1.3mgKOH/g、ガラス転移温度:66℃。
・B-2:三菱ケミカル株式会社製、商品名「ダイヤナール」、酸価:7.8mgKOH/g、ガラス転移温度:48℃。
・B-3:大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、酸価:2.5mgKOH/g、ガラス転移温度:24℃。
・B-4:三菱ケミカル株式会社製、商品名「ダイヤナール」、酸価:3.3mgKOH/g、ガラス転移温度:97℃。
・B-5:大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、酸価:26.5mgKOH/g、ガラス転移温度:37℃。
・B-6:大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、酸価:100mgKOH/g、ガラス転移温度:80℃。
・B-7:大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、酸価:12.9mgKOH/g、ガラス転移温度:67℃。
【0092】
ロジン誘導体(C)として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:ハリマ化成グループ株式会社製、商品名「ハリマック」、酸価:190mgKOH/g、軟化点:160℃。
・C-2:荒川化学工業株式会社製、商品名「マルキード」、酸価:305mgKOH/g、軟化点:150℃。
・C-3:荒川化学工業株式会社製、商品名「マルキード」、酸価:100mgKOH/g、軟化点:100℃。
・C-4:ハリマ化成グループ株式会社製、商品名「ハリエスター」、酸価:8mgKOH/g、軟化点:80℃。
・C-5:荒川化学工業株式会社製、商品名「パインクリスタル」、酸価:320mgKOH/g、軟化点:120℃。
【0093】
(メタ)アクリル樹脂(D)として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:BASFジャパン株式会社製、商品名「JONCRYL JDX-C3000A」、酸価:85mgKOH/g、ガラス転移温度:65℃。
【0094】
セルロース樹脂(E)として、以下に示す化合物を用いた。
・E-1:ニトロセルロース(キミア株式会社製、商品名「RS1/16」、種類及び粘度記号:H1/8)。
【0095】
シリカ(F)として、以下に示す化合物を用いた。
・F-1:東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールE220A」、平均粒子径:1.5μm。
【0096】
顔料(G)として、以下に示す化合物を用いた。
・G-1:テイカ株式会社製、商品名「チタニックスJR-701」。
・G-2:大日精化工業株式会社製、商品名「セイカファーストエロー2270」。
・G-3:大日精化工業株式会社製、商品名「セイカファーストカーミン3870」。
・G-4:トーヨーカラー株式会社製、商品名「リオノールブルーFG7351」。
・G-5:コロンビアケミカル社製、商品名「ラーベン450」。
【0097】
有機溶剤として、酢酸n-プロピル:メチルエチルケトン:イソプロパノール=2:2:1(質量比)の混合溶剤を用いた。
【0098】
顔料(G)及び有機溶剤以外の任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・ワックス:三井化学株式会社製、商品名「ハイワックス320MP」。
・消泡剤:BYK社製、商品名「BYK-1752」。
【0099】
[評価方法]
<密着性の評価>
積層体(I)のインキ層の表面の一部に、セロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けた後、このセロハンテープを速やかに剥がし、基材フィルム(プラスチックフィルム)上に残ったインキ層の状態を目視にて確認し、以下の評価基準にてインキ層の基材フィルム(プラスチックフィルム)に対する密着性を評価した。
5:セロハンテープの接着面積に対して、剥離したインキ層の面積の割合が10%未満である。
4:セロハンテープの接着面積に対して、剥離したインキ層の面積の割合が10%以上、20%未満である。
3:セロハンテープの接着面積に対して、剥離したインキ層の面積の割合が20%以上、50%未満である。
2:セロハンテープの接着面積に対して、剥離したインキ層の面積の割合が50%以上、80%未満である。
1:セロハンテープの接着面積に対して、剥離したインキ層の面積の割合が80%以上である。
【0100】
<耐温水白化性の評価>
積層体(II)を密閉容器中で40℃の水(温水)に浸漬させ、24時間静置させた後の白化の程度を目視にて確認し、以下の評価基準にて耐温水白化性を評価した。
5:温水に浸漬させる前の積層体(II)と比較し、ほとんど白化が認められない。
4:温水に浸漬させる前の積層体(II)と比較し、わずかに白化する。
3:温水に浸漬させる前の積層体(II)と比較し、やや白化する。
2:温水に浸漬させる前の積層体(II)と比較し、明らかに白化する。
1:温水に浸漬させる前の積層体(II)と比較し、著しく白化する。
【0101】
<シュリンク適性の評価>
印刷を施していない無地の熱収縮性PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ヒシペットLX-21S」、厚さ:40μm)を1cm幅の短冊状に切断した。切断したフィルムの一端をマヨネーズ瓶の口部に、他端をマヨネーズ瓶の底部に、それぞれセロハンテープ(ニチバン株式会社製)で固定した。この操作にしたがって、マヨネーズ瓶1つにつき、短冊状のフィルムを離れた位置の4箇所に固定した。
次いで、積層体(I)を、インキ層が内側になるようにホッチキスを用いて筒状にし、上記の短冊状のフィルムが固定されたマヨネーズ瓶の上から覆うように被せ、85℃の水に20秒間浸漬させることで熱収縮を行った後、ただちに冷却し、短冊状のフィルムと接していた箇所のインキ層の割れを目視にて確認し、以下の評価基準にてシュリンク適性を評価した。
5:短冊状のフィルムと接した4箇所の全てにおいて、インキ層の割れが認められない。
4:短冊状のフィルムと接した1箇所において、インキ層の割れが認められる。
3:短冊状のフィルムと接した2箇所において、インキ層の割れが認められる。
2:短冊状のフィルムと接した3箇所において、インキ層の割れが認められる。
1:短冊状のフィルムと接した4箇所の全てにおいて、インキ層の割れが認められる。
【0102】
<アルカリ脱離性の評価>
積層体(I)を3cm×3cmに切断した。切断した積層体(I)を80℃の水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウムの濃度:1.5質量%)に浸漬し、10分間撹拌した。次いで、積層体(I)を水酸化ナトリウム水溶液から引き上げ、水洗した後のインキ層の状態を目視にて確認し、以下に示す評価基準にてアルカリ脱離性を評価した。
5:インキ層の総面積に対して、脱離したインキ層の面積の割合が100%である。
4:インキ層の総面積に対して、脱離したインキ層の面積の割合が80%以上、100%未満である。
3:インキ層の総面積に対して、脱離したインキ層の面積の割合が50%以上、80%未満である。
2:インキ層の総面積に対して、脱離したインキ層の面積の割合が20%以上、50%未満である。
1:インキ層の総面積に対して、脱離したインキ層の面積の割合が20%未満である。
【0103】
<耐ブロッキング性の評価>
製造直後の積層体(I)のインキ層側の表面(印刷面)と、積層体(I)のプラスチックフィルム(熱収縮性PETフィルム)側の表面(非印刷面)とが接するように、2枚の積層体(I)を重ね合わせて、7kg/cm2の荷重をかけ、25℃の恒温機内で20時間保管した。その後、2枚の積層体(I)同士を剥離し、以下に示す評価基準にて耐ブロッキング性を評価した。
5:インキ層の総面積に対して、非印刷面へ移行したインキ層の面積の割合が10%未満である。
4:インキ層の総面積に対して、非印刷面へ移行したインキ層の面積の割合が10%以上、20%未満である。
3:インキ層の総面積に対して、非印刷面へ移行したインキ層の面積の割合が20%以上、50%未満である。
2:インキ層の総面積に対して、非印刷面へ移行したインキ層の面積の割合が50%以上、80%未満である。
1:インキ層の総面積に対して、非印刷面へ移行したインキ層の面積の割合が80%以上である。
【0104】
[実施例1~23、比較例1~9]
<インキ組成物の調製>
表に示す組成にしたがって、ウレタン樹脂(A)、(メタ)アクリル樹脂(B)、ロジン誘導体(C)、(メタ)アクリル樹脂(D)、セルロース樹脂(E)、シリカ(F)、顔料(G)、ワックス、消泡剤、及び有機溶剤を混合した後、得られた混合物をペイントシェーカーで練肉して、インキ組成物を得た。
【0105】
<積層体の作製>
(積層体(I)の作製)
ザーンカップ#3を用いて測定される、25℃における粘度が16秒となるように、インキ組成物を混合溶剤(酢酸n-プロピル:メチルエチルケトン:イソプロパノール=2:2:1(質量比))で希釈して、希釈液を調製した。
基材フィルム(プラスチックフィルム)として、片面をコロナ放電処理した熱収縮性PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ヒシペットLX-21S」、厚さ:40μm)を用いた。
ヘリオ175線/inchグラビア彫刻版を備えたグラビア印刷機(松尾産業株式会社製、商品名「Kプリンティングプルーファー」)を使用して、熱収縮性PETフィルムの処理面に希釈液を印刷し、20℃で5分乾燥させてインキ層を形成し、熱収縮性PETフィルム上にインキ層が積層した、印刷物である積層体(I)を得た。
得られた積層体(I)を用いて、密着性、シュリンク適性、アルカリ脱離性、及び耐ブロッキング性を評価した。結果を表1~4に示す。
【0106】
(積層体(II)の作製)
ザーンカップ#3を用いて測定される、25℃における粘度が16秒となるように、インキ組成物を混合溶剤(酢酸n-プロピル:メチルエチルケトン:イソプロパノール=2:2:1(質量比))で希釈して、希釈液を調製した。
基材フィルム(プラスチックフィルム)として、片面をコロナ放電処理した熱収縮性PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ヒシペットLX-21S」、厚さ:40μm)を用いた。
熱収縮性PETフィルムの処理面に、予め有機溶剤にて適切な粘度に希釈した(メタ)アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、ガラス転移温度:66℃、酸価:1.3mgKOH/g)を塗布し、20℃で5分乾燥させて(メタ)アクリル樹脂を含む層を形成した。
次いで、ヘリオ175線/inchグラビア彫刻版を備えたグラビア印刷機(松尾産業株式会社製、商品名「Kプリンティングプルーファー」)を使用して、(メタ)アクリル樹脂を含む層の上に希釈液を印刷し、20℃で5分乾燥させてインキ層を形成し、熱収縮性PETフィルム上に(メタ)アクリル樹脂を含む層、及びインキ層がこの順に積層した、印刷物である積層体(II)を得た。
得られた積層体(II)を用いて、耐温水白化性を評価した。結果を表1~4に示す。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
表中の有機溶剤以外の各成分の配合量は、固形分換算での量である。また、表中の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量%)を意味する。また、表中の「残分」は、インキ組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように調整した、インキ組成物に含まれる全ての有機溶剤の配合量の合計量である。
【0112】
表1~4の結果から明らかなように、各実施例で得られたインキ組成物より得られたインキ層は、耐温水白化性、シュリンク適性、及びアルカリ脱離性に優れていた。また、プラスチックフィルムに対する密着性、及び耐ブロッキング性にも優れていた。
なお、耐温水白化性は積層体(II)を用いて評価したが、熱収縮性PETフィルム上にインキ層及び(メタ)アクリル樹脂を含む層がこの順に積層した積層体であっても、同様の傾向が見られた。
【0113】
一方、表4の結果から明らかなように、ガラス転移温度が-70℃であるウレタン樹脂(A-3)を用いた比較例1で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、シュリンク適性、及び耐ブロッキング性に劣っていた。
ガラス転移温度が15℃であるウレタン樹脂(A-4)を用いた比較例2で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、シュリンク適性、及び基材フィルムに対する密着性に劣っていた。
酸価が26.5mgKOH/gである(メタ)アクリル樹脂(B-5)を用いた比較例3で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、耐温水白化性に劣っていた。
酸価が100mgKOH/gである(メタ)アクリル樹脂(B-6)を用いた比較例4で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、耐温水白化性、及びシュリンク適性に劣っていた。
酸価が12.9mgKOH/gである(メタ)アクリル樹脂(B-7)を用いた比較例5で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、耐温水白化性に劣っていた。
酸価が100mgKOH/gであるロジン誘導体(C-3)を用いた比較例6で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、アルカリ脱離性に劣っていた。
酸価が8mgKOH/gであるロジン誘導体(C-4)を用いた比較例7で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、アルカリ脱離性に劣っていた。
酸価が320mgKOH/gであるロジン誘導体(C-5)を用いた比較例8で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、耐温水白化性に劣っていた。
ロジン誘導体(C)を含まない比較例9で得られたインキ組成物により形成されたインキ層は、アルカリ脱離性に劣っていた。
【0114】
[応用例]
ザーンカップ#3を用いて測定される、25℃における粘度が16秒となるように、実施例5で調製したインキ組成物を混合溶剤(酢酸n-プロピル:メチルエチルケトン:イソプロパノール=2:2:1(質量比))で希釈して、希釈液(藍インキ)を調製した。
別途、ザーンカップ#3を用いて測定される、25℃における粘度が16秒となるように、実施例1で調製したインキ組成物を混合溶剤(酢酸n-プロピル:メチルエチルケトン:イソプロパノール=2:2:1(質量比))で希釈して、希釈液(白インキ)を調製した。
基材フィルム(プラスチックフィルム)として、片面をコロナ放電処理した熱収縮性PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ヒシペットLX-21S」、厚さ:40μm)を用いた。
ヘリオ175線/inchグラビア彫刻版を備えたグラビア印刷機(松尾産業株式会社製、商品名「Kプリンティングプルーファー」)を使用して、熱収縮性PETフィルムの処理面に藍インキを印刷し、40℃で5秒乾燥させて第一のインキ層を形成した。
次いで、ヘリオ175線/inchグラビア彫刻版を備えたグラビア印刷機(松尾産業株式会社製、商品名「Kプリンティングプルーファー」)を使用して、第一のインキ層上に白インキを印刷し、40℃で5秒乾燥させて第二のインキ層を形成した。
次いで、予め有機溶剤にて適切な粘度に希釈した(メタ)アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット」、ガラス転移温度:66℃、酸価:1.3mgKOH/g)を第二のインキ層上に塗布し、40℃で5秒乾燥させて(メタ)アクリル樹脂を含む層を形成し、熱収縮性PETフィルム上に第一のインキ層、第二のインキ層、及び(メタ)アクリル樹脂を含む層がこの順に積層した、印刷物である積層体(III)を得た。
得られた積層体(III)を用いて密着性及び耐ブロッキング性を評価し、第一のインキ層及び第二のインキ層が基材フィルムに対する密着性、及び耐ブロッキング性に優れていることを確認した。
別途、積層体(III)をマヨネーズ瓶に巻き付け、85℃の水20秒間浸漬させて熱収縮させ、シュリンク適性及び耐温水白化性を評価し、第一のインキ層及び第二のインキ層がシュリンク適性及び耐温水白化性に優れていることを確認した。
その後、マヨネーズ瓶から積層体(III)を剥がしてアルカリ脱離性を評価し、第一のインキ層及び第二のインキ層がアルカリ脱離性に優れていることを確認した。
以上の結果より、積層体(III)が使用上問題ないことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のインキ組成物は、耐温水白化性、シュリンク適性、及びアルカリ脱離性に優れるインキ層を形成でき、グラビア印刷用のインキとして有用である。
【符号の説明】
【0116】
10 積層体
11 プラスチックフィルム
12 インキ層
【要約】
【課題】耐温水白化性、シュリンク適性、及びアルカリ脱離性に優れるインキ層を形成できるシュリンクラベル用インキ組成物、前記インキ層を備える積層体、及び前記積層体を備える包装材の提供。
【解決手段】ウレタン樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、ロジン誘導体(C)と、を含有するシュリンクラベル用インキ組成物であって、前記ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度が-60~-20℃であり、前記(メタ)アクリル樹脂(B)の酸価が10mgKOH/g未満であり、前記ロジン誘導体(C)の酸価が150~310mgKOH/gである、シュリンクラベル用インキ組成物。
【選択図】なし