(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】管状留置具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20240702BHJP
A61F 2/90 20130101ALI20240702BHJP
A61M 29/00 20060101ALI20240702BHJP
A61M 29/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A61F2/04
A61F2/90
A61M29/00
A61M29/04
(21)【出願番号】P 2021537696
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2020028518
(87)【国際公開番号】W WO2021024814
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019143541
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100154759
【氏名又は名称】高木 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】白濱 憲昭
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0020347(US,A1)
【文献】特開2017-185299(JP,A)
【文献】特表2002-541909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0192273(US,A1)
【文献】特表2008-529703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
A61F 2/90
A61M 29/00
A61M 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内に留置されて管状の流路を形成する管状留置具であって、
他の部分よりも小さい開口面積を有し、前記生体管腔内を流れる流体の流出口が設けられ、
膜体により形成された、管状の本体部を備え、
前記流出口の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部が、
前記本体部の前記膜体の破断により流体の流れ方向の下流側の端部に形成されるように変換可能に構成されている管状留置具。
【請求項2】
前記本体部における
前記膜体の前記流れ方向の下流側の部
分は、前記開口部が形成されるように変換可能に構成されている請求項1に記載の管状留置具。
【請求項3】
前記本体部
における前記膜体の前記流れ方向の下流側の部分に破断用のミシン目が設けられている請求項2に記載の管状留置具。
【請求項4】
生体管腔内に留置されて管状の流路を形成する管状留置具であって、
他の部分よりも小さい開口面積を有し、前記生体管腔内を流れる流体の流出口が設けられ、
管状の本体部と、前記本体部における前記流れ方向の下流側に設けられ、前記流出口を有する弁部と、を備え、
前記弁部は、前記本体部の軸方向中央側より前記流れ方向の下流側に先細り形状となるように膜体により形成され、
前記流出口の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部が、
前記弁部の前記膜体の破断により流体の流れ方向の下流側の端部に形成されるように変換可能に構成されている管状留置具。
【請求項5】
前記弁部における前記膜体の前記流れ方向の上流側の部分は、前記開口部が形成されるように変換可能に構成されている請求項4に記載の管状留置具。
【請求項6】
前記弁部は、
前記膜体の前記流れ方向の下流側の端部よりも上流側の部分が破られることで前記開口部が形成される請求項
5に記載の管状留置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状留置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管や消化管などの生体管腔内に留置される管状留置具が知られている。この種の管状留置具は、一般に、管状の形状を有し、径方向において拡縮可能な骨格部と、骨格部に沿って設けられる皮膜部と、を備える。また、例えば、胆管の狭窄や閉塞の治療に用いられる管状留置具では、本体部の一端から筒状に突出する筒状突起部が形成されているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生体管腔内に留置された管状留置具の状態、生体管腔における管状留置具よりも奥側の管腔内面の状態などを確認するために内視鏡を用いる場合がある。生体管腔における管状留置具よりも奥側部分を処置するための処置具を用いる場合もある。
しかしながら、上記特許文献1等の場合、筒状突起部の膜体が密着すると、流出口の開口部が閉塞されてしまう。管状留置具の内側に内視鏡や処置具を挿入し難く、観察や処置を容易に行うことができないといった問題がある。
上記した問題は、胆管用の管状留置具に限らず、他の部分よりも小さい開口面積の流出口を有する管状留置具で同様に生じる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、管状留置具の内側への冶具の挿入を容易に行うことができる管状留置具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の管状留置具は、
生体管腔内に留置されて管状の流路を形成する管状留置具であって、
他の部分よりも小さい開口面積を有し、前記生体管腔内を流れる流体の流出口が設けられ、
膜体により形成された、管状の本体部を備え、
前記流出口の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部が、前記本体部の前記膜体の破断により流体の流れ方向の下流側の端部に形成されるように変換可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の他の態様の管状留置具は、
生体管腔内に留置されて管状の流路を形成する管状留置具であって、
他の部分よりも小さい開口面積を有し、前記生体管腔内を流れる流体の流出口が設けられ、
管状の本体部と、前記本体部における前記流れ方向の下流側に設けられ、前記流出口を有する弁部と、を備え、
前記弁部は、前記本体部の軸方向中央側より前記流れ方向の下流側に先細り形状となるように膜体により形成され、
前記流出口の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部が、前記弁部の前記膜体の破断により流体の流れ方向の下流側の端部に形成されるように変換可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、管状留置具の内側への冶具の挿入を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る管状留置具の端部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の管状留置具の皮膜部の一部分を取り除いた状態を示す斜視図 である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態の変形例に係る管状留置具の端部を示す斜視図で ある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る管状留置具1の下流側端部2aを示す斜視図であり、
図2A及び
図2Bは、管状留置具1の下流側端部2aの平面図である。また、
図3は、管状留置具1の皮膜部20のうち、下流側の部分を取り除いた状態を示す斜視図である。
なお、以下の説明では、管状留置具1の長手方向を「管軸方向」とし、「管軸方向」に直交する一方向を「幅方向」とし、「管軸方向」及び「幅方向」に直交する一方向を「上下方向」とする。また、管状留置具1が留置された状態での「管軸方向」の一端側(胆のう側)を「基端側」とし、他端側(十二指腸側)を「先端側」とする。
【0011】
管状留置具1は、例えば、胆管(生体管腔)V内に留置され、胆管Vの閉塞部又は狭窄部などの病変部を径方向外側に押し拡げて病変部の治療に使用される。管状留置具1は、一般的に、胆管ステントと称呼される。このとき、管状留置具1は、基端側及び先端側がそれぞれ胆のう側及び十二指腸側を向くように留置され、胆汁の流れ方向において、基端側が上流側となり、先端側が下流側となる。
【0012】
図1及び
図2Aに示すように、管状留置具1は、例えば、管状の本体部2における胆管V内を流れる胆汁(流体)の流れ方向の下流側端部2aに、流出口23(後述)を有する弁部3が設けられている。具体的には、管状留置具1は、骨格部10と、皮膜部20と、を備えて構成されている。
【0013】
<骨格部>
骨格部10は、自己拡張可能に構成され、本例では、胆汁などの流体を導通させるための流路を形成するための管状構造を有する骨格本体部11を有する。
骨格本体部11は、金属線材が管軸方向に山部と谷部とが交互に形成されるように屈曲しながら螺旋状に巻回して構成され、全体として筒状の形状を有している。
【0014】
骨格本体部11の巻回する金属線材の一部は、管端部11aから流出口23に向けて延びて一対の延出部12,12を構成している。
一対の延出部12,12は、管状留置具1の管軸を挟んで向かい合うように配置されている。骨格本体部11の径方向に対向する2つの山部の高さは、他の山部の高さよりも高くなっている。
これら一対の延出部12,12は、後述するように、皮膜部20の突出部22を支持する支持部材としての機能を果たす。なお、一対の延出部12,12は、互いに離れる向きに広がることで突出部22を幅方向に開くような力を突出部22に及ぼしてもよいし、及ぼしていなくてもよい。
【0015】
骨格部10は、径方向内側に収縮した縮径状態から径方向外側に拡張して拡径状態へと拡縮可能に構成されている。骨格部10が拡径状態にあるとき、管状留置具1は、その内部に筒状の流路を形成する。骨格部10は、例えば、管軸方向に引っ張られることで径方向内側に収縮しながら管軸方向に伸長し、縮径状態から解放されることで径方向外側に拡張しながら管軸方向に短縮するように構成される。骨格部10は、このように構成されることで、胆管留置時、骨格部10の外周面、特に骨格本体部11の外周面によって胆管Vの病変部の内面を径方向外側に押圧し、胆管Vの病変部を径方向外側に押し拡げることができる。
【0016】
骨格部10を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni-Ti合金(すなわち、ニチノール)、チタン合金などに代表される公知の金属又は金属合金が挙げられる。また、骨格部10の位置を体外から確認できるように、骨格部10の一部または全部をX線造影性を有する合金材料から構成してもよい。骨格部10は、セラミックや樹脂などの金属材料以外の材料で構成されてもよい。
【0017】
骨格部10を構成する金属線材の材料、線種(例えば、ワイヤ等の円形線材、又は、レーザーカットによる角状線材)、線径(断面積)、周方向におけるジグザグの往復回数及びジグザグ形状、並びに、管軸方向における線材間隔(単位長さ当たりの骨格量)等は、留置する生体管腔などに応じて適宜選択可能となっている。
【0018】
管状留置具1の下流側端部2aには、当該管状留置具1を抜去する際に使用される抜去補助部4が設けられている。
抜去補助部4は、骨格本体部11(例えば、骨格本体部11の端部)から軸方向に延在し、先端に係着部41が設けられている。すなわち、抜去補助部4は、骨格本体部11の管軸方向両端部のうちの下流側端部2aよりも軸方向に突出するように設けられている。 これにより、例えば、内視鏡を用いて管状留置具1の留置状態や生体管腔における管状留置具1よりも奥側部分を確認後、当該管状留置具1を抜去する必要が生じても、係着部41に回収用カテーテルの先端の回収用引掛け具(図示略)を係着させて当該管状留置具1の抜去を適正に行うことができる。
なお、抜去補助部4を形成する線材には、例えば、骨格本体部11と同様の物を適用することができ、骨格本体部11と1つの部品として一体的に形成されていてもよい。
【0019】
<皮膜部>
皮膜部20は、膜体として機能する。皮膜部20は、骨格部10の骨格本体部11に沿って設けられる筒状部21と、この筒状部21の端部から突出する突出部22と、が一体的に繋がった構成を有する。
【0020】
筒状部21は、骨格本体部11に沿って設けられ、胆管留置時に骨格本体部11が拡張状態にあるとき、胆汁を突出部22に向けて案内する流路を形成する。すなわち、筒状部21は、骨格本体部11とともに、管状の本体部2を構成している。
ここで、筒状部21は、骨格本体部11を挟み込むように骨格本体部11の外周面と内周面とに配置されてもよい。また、筒状部21は、骨格本体部11の外周面のみに配置されてもよいし、骨格本体部11の内周面のみに配置されてもよい。筒状部21は、例えば、縫い付けやディッピング等の公知の手法を用いて骨格本体部11に固定され得る。
【0021】
突出部22は、皮膜部20における、筒状部21の先端側端部から連続して管軸方向先端側に突出する。突出部22は、胆管留置時に胆汁を十二指腸に向けて放出する部分である。突出部22は、全体として、筒状部21に繋がる基端側の流路断面積よりも筒状部21から離れる先端側の流路断面積が小さい先細り形状を有する。本実施形態では、突出部22は、骨格部10の一対の延出部12,12に沿って基端側から先端側に向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる第1部分22aと、この第1部分22aから先端側に向けて流路断面積が実質的に同一である状態で延びる第2部分(先端部構成部)22bと、を有している。第2部分22bでは、突出部22を構成する膜体を上下方向において実質的に密着させるようにして扁平状に形成されている。
第2部分22bには、骨格部10が設けられておらず、このような形状の皮膜部20は、例えば、ディッピング等の公知の手法を用いて形成される。
【0022】
突出部22の管軸方向先端側端部(胆汁の流れ方向下流側)の開口は、筒状部21から突出部22内に流れ込んだ胆汁などの液体を十二指腸に流出させる流出口23として機能する。
流出口23は、管状留置具1内を液体が流れないときには、幅方向に直線状に延びて閉塞した状態に維持される。一方で、管状留置具1内を液体が流れるときには、その液体自身の圧力によって流出口23が上下に開口するようになっている。この結果、突出部22は、胆管留置時に胆管Vから十二指腸への胆汁の流出および十二指腸から胆管Vへの異物の逆流の抑制を行う逆止弁状の機能を果たすことになる。
すなわち、本体部2(骨格本体部11、筒状部21)における胆汁の流れ方向の下流側端部2aに弁部3が設けられている。そして、弁部3は、本体部2の軸方向中央側より離れる方向に先細り形状に形成され、その先端部に他の部分よりも小さい開口面積の流出口23が設けられている。
【0023】
ここで、流出口23が「閉塞」するとは、流出口23の開口面積が減少するように突出部22が変形することを表す。突出部22は、流出口23の開口面積が実質的にゼロになる程度まで変形されてもよい。また、突出部22は、流出口23から胆汁が流出するときの開口面積よりも小さく且つゼロよりも大きい所定の開口面積となるまで変形されてもよい。
【0024】
筒状部21の下流側端部2aよりも上流側の部分には、破断用のミシン目24(
図1等において、一点鎖線で示す。)が形成されている。
ミシン目24は、その一部分が骨格本体部11における管軸方向の最も先端側(下流側)の屈曲部(山部及び谷部)よりも基端側(上流側)に位置するように、筒状部21に周方向に沿って環状に形成されている。なお、ミシン目24の位置は適宜任意に変更可能であり、例えば、皮膜部20における筒状部21と突出部22との境界にミシン目24を設けるようにしてもよい。
【0025】
ここで、例えば、鉗子等により突出部22の流出口23側の部分が挟まれて管軸方向の先端側に引っ張られると(
図2Aにおける矢印A参照)、ミシン目24に沿って筒状部21が破断される。これにより、筒状部21におけるミシン目24よりも管軸方向の先端側の部分及び突出部22を骨格本体部11及び一対の延出部12,12から分離させて取り除くことができる。その結果、流出口23の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部25が形成される(
図2B参照)。すなわち、管状の本体部2における流体の流れ方向の下流側の部分は、流出口23の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部25が流れ方向の下流側の端部に形成されるように変換可能に構成されている。
そして、ミシン目24の破断により形成される開口部25を介して、例えば、内視鏡や処置具等の冶具200を管状留置具1の内腔に管軸方向に沿って挿入可能となる(
図3における矢印B参照)。
【0026】
なお、皮膜部20を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエチレン樹脂などが挙げられる。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る管状留置具1は、生体管腔(胆管V)内に留置されて管状の流路を形成する管状留置具1であって、他の部分よりも小さい開口面積を有し、生体管腔内を流れる流体の流出口23が設けられ、流出口23の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部25が、流体(胆汁)の流れ方向の下流側の端部に形成されるように変換可能に構成されている。
これにより、他の部分よりも小さい開口面積の流出口23を有する管状留置具1であっても、流出口23の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部25を形成し、この開口部25を介して管状留置具1の内腔に冶具200を挿入することができる。したがって、管状留置具1の内側への冶具200の挿入を容易に行うことができる。
【0028】
また、管状留置具1は、管状の本体部2と、本体部2における流体の流れ方向の下流側に設けられ、流出口23を有する弁部3と、を備える。本体部2における流れ方向の下流側の部分が、開口部25が形成されるように変換可能に構成されているので、逆流抑制効果を有する弁機能を具備する管状留置具1において流出口23が閉塞した状態であっても、本体部2における流れ方向の下流側の部分に流出口23の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部25を形成し、この開口部25を介して管状留置具1の内側に冶具200を容易に挿入することができる。
特に、皮膜部20における流体の流れ方向の下流側の部分に設けられたミシン目24に沿って皮膜部20(筒状部21)を破断することで、開口部25を容易に形成することができ、この開口部25を介して管状留置具1の内側への冶具200の挿入を容易に行うことができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
<変形例>
例えば、上記実施形態では、骨格本体部11として、金属線材が管軸方向に山部と谷部とが交互に形成されるように屈曲しながら螺旋状に巻回して構成されたものを例示したが、骨格本体部11の形状は適宜任意に変更可能である。例えば、
図4に示すように、管状留置具100の骨格本体部111は、金属線材が管軸方向にジグザグ状に往復しながら周方向に環状に延びて構成される複数のジグザグ環状部が管軸方向に並ぶように配置され、隣接するジグザグ環状部同士が周方向における複数の箇所にて金属線材で管軸方向に連結されるように構成されていてもよい。骨格本体部111の管端部11aから延びるように一対の延出部112,112が設けられている。一対の延出部112,112は、例えば、連結部12aにより骨格本体部11の所定箇所に連結され、骨格本体部111から離れるにつれて上下方向の幅が徐々に小さくなるように構成されている。また、一対の延出部112,112の各々は、最も管軸方向の先端側に位置する頂点12bから基端側に向けて斜め上方及び斜め下方に延びるV字状部分12cを有するように形成されている。
なお、この場合においても、一対の延出部112,112は、互いに離れる向きに広がることで突出部22を幅方向に開くような力を突出部22に及ぼしてもよいし、及ぼしていなくてもよい。
【0030】
また、上記実施形態及び変形例では、管状の本体部2における流体の流れ方向の下流側の部分が開口部25を形成するように変換可能に構成されたものを例示したが、開口部25の形成位置は一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。例えば、図示は省略するが、弁部3の突出部22における流れ方向の下流側の端部(流出口23)よりも上流側の部分にミシン目(図示略)を設け、このミシン目が破られることで開口部(図示略)を形成するようにしてもよい。さらに、突出部22にミシン目を設けなくとも、突出部22の第1部分22aに針を突き刺したり第1部分22aを鋏で切断したりして、流出口23よりも大きい開口面積の開口部を形成するようにしてもよい。
このような構成としても、上記実施形態と同様に、流出口23の開口面積よりも大きい開口面積を有する開口部25を形成し、この開口部25を介して管状留置具1の内側に冶具200を容易に挿入することができる。
【0031】
また、上記実施形態及び変形例では、管状の本体部2における下流側端部2aに弁部3が形成されたが、弁部3の形成位置は一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。例えば、図示は省略するが、本体部2の管軸方向の中央部に弁部が設けられていてもよい。この場合も同様に、本体部2における弁部3が設けられた位置よりも流れ方向の上流側(基端側)の部分や弁部3における流れ方向の上流側の部分が開口部25を形成するように変換可能に構成されていればよい。
【0032】
また、上記実施形態及び変形例では、本体部2として円筒状に形成されたものを例示したが、本体部2の形状は一例であってこれに限られるものではない。例えば、本体部2の管軸方向の一部が径方向に突出した形状や凹んだ形状であってもよい。つまり、他の部分よりも小さい開口面積の流出口23を有するように管状留置具1、100が形成されていれば、本体部2の形状は適宜任意に変更可能である。
【0033】
また、上記実施形態及び変形例では、管状留置具1及び100は、胆管Vに留置されたが、一例であってこれに限られるものではない。管状留置具1及び100は、逆流抑制効果を有する弁機能をより適正に発揮させることが求められる他の生体管腔に対して用いられてもよいし、そのような弁機能が求められない他の生体管腔に対して用いられてもよい。他の部分よりも小さい開口面積の流出口23を有する管状留置具1、100を留置可能であれば、管状留置具1及び100は如何なる生体管腔に用いられてもよい。
【0034】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0035】
本出願は、2019年8月5日に出願された日本特許出願である特願2019-143541号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願のすべての記載内容を援用する。
【符号の説明】
【0036】
1、100 管状留置具
2 本体部
3 弁部
10 骨格部
20 皮膜部
21 筒状部
22 突出部
23 流出口
24 ミシン目
25 開口部
200 冶具
V 胆管(生体管腔)