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特許7512565選択的に取外し可能な攪拌器を有する引火点決定器具のための攪拌装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】選択的に取外し可能な攪拌器を有する引火点決定器具のための攪拌装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/52 20060101AFI20240702BHJP
   B01F 35/33 20220101ALI20240702BHJP
   B01F 35/45 20220101ALI20240702BHJP
   B01F 27/213 20220101ALI20240702BHJP
   B01F 35/92 20220101ALI20240702BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20240702BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20240702BHJP
【FI】
G01N25/52
B01F35/33
B01F35/45
B01F27/213
B01F35/92
B01F27/112
B01F27/90
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021576215
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020066714
(87)【国際公開番号】W WO2021013436
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】102019119918.2
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519175684
【氏名又は名称】アントン パール プルーブテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイネ、クリスチャン アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】スコール、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ストラッサー、フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】テュアエヴ、ゼニア
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-002869(JP,A)
【文献】米国特許第05145250(US,A)
【文献】特開2010-196812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00
B01F 35/00
B01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に燃焼点決定のためにも形成されている引火点決定器具であって、前記引火点決定器具は、
検査されるべきサンプルを収容するための容器と、
前記容器を閉鎖するための蓋と、
前記蓋により閉鎖可能な前記容器内で前記サンプルを攪拌するための、引火点決定試験及び/又は燃焼点決定試験のための拌装置とを備え前記攪拌装置は、
前記容器に入った前記サンプルを攪拌するために、少なくとも部分的に前記蓋を通り抜けて延在し得る攪拌器と、
少なくとも部分的に前記蓋の外側に配置され得る、前記攪拌器を駆動する、特に回転駆動するための駆動器と、
前記攪拌器を前記駆動器と連結するための連結器と、
特に前記連結器を調整するために、選択的に、
第1操作位置において、前記駆動器を引き上げて、前記蓋を前記攪拌器と一緒に前記容器から取外し可能であるか、又は
第2操作位置において、前記駆動器を引き上げて、前記駆動器を前記容器から取外し可能であり、かつ前記攪拌器及び前記蓋が前記容器にとどまるように操作可能な操作器と、を備える、引火点決定器具
【請求項2】
前記連結器は、前記駆動器に割り当てられた、特に前記駆動器と接続された、又は前記駆動器と一体に形成された第1コンポーネントと、前記攪拌器に割り当てられた、特に前記攪拌器と接続された、又は前記攪拌器と一体に形成された第2コンポーネントと、を有する、請求項1に記載の引火点決定器具
【請求項3】
前記連結器は、少なくとも1つの第1ロック体、特に少なくとも1つの第1ロックボール、さらに特にロックボールの第1列を有し、前記第1操作位置において、前記操作器が前記少なくとも1つの第1ロック体に作用する場合に、前記少なくとも1つの第1ロック体が前記第1コンポーネントを前記第2コンポーネントと、特にトルク伝達ロックする、請求項2に記載の引火点決定器具
【請求項4】
前記操作器が前記第2操作位置にあり、かつ前記少なくとも1つの第1ロック体を解放する場合に、前記少なくとも1つの第1ロック体が前記第1コンポーネント及び前記第2コンポーネントをロック解除のままにする、請求項3に記載の引火点決定器具
【請求項5】
前記連結器は、前記第1コンポーネントと前記第2コンポーネントとの間で選択的にトルク伝達するための連行体を有し、特に前記連行体は、前記攪拌器及び前記駆動器とは別個に設けられる、請求項3または請求項4記載の引火点決定器具
【請求項6】
前記連結器は、少なくとも1つの第2ロック体、特に少なくとも1つの第2ロックボール、さらに特にロックボールの第2列を有し、前記第2操作位置において、前記操作器が前記少なくとも1つの第2ロック体に作用する場合に、前記少なくとも1つの第2ロック体が前記連行体に、特にトルク伝達するように作用する、請求項5に記載の引火点決定器具
【請求項7】
前記操作器が前記第1操作位置にあり、かつ前記少なくとも1つの第2ロック体を解放する場合に、前記少なくとも1つの第2ロック体は前記連行体に作用しない、請求項6に記載の引火点決定器具
【請求項8】
前記第2コンポーネントは、先細りになる外側プロファイルを有し、前記第1コンポーネントは、前記先細りになる外側プロファイルを収容するための先細りになる内側プロファイルを有する、請求項6又は請求項7に記載の引火点決定器具
【請求項9】
前記先細りになる外側プロファイルは、前記少なくとも1つの第1ロック体を収容するための、特に周りに延びる凹部を有する、請求項8に記載の引火点決定器具
【請求項10】
前記先細りになる内側プロファイルは、前記少なくとも1つの第2ロック体を収容するための、特に周りに延びる凹部を有する、請求項8又は請求項9に記載の引火点決定器具
【請求項11】
前記第2コンポーネントは、前記連行体の少なくとも一部分を収容するための中心空所を有する、請求項に記載の引火点決定器具
【請求項12】
前記操作器は、前記連結器を少なくとも部分的に取り囲む、特に付加的に前記攪拌器及び/又は前記駆動器を少なくとも部分的に取り囲むスリーブを有する、請求項~請求項11のいずれか一項に記載の引火点決定器具
【請求項13】
前記スリーブは、前記第1操作位置と前記第2操作位置との間の移行のために軸方向に変位可能に形成され、特に、前記スリーブは、前記攪拌器から離れる方向に前記第1操作位置から前記第2操作位置へ移すために、及び前記攪拌器に向かって前記第2操作位置から前記第1操作位置へ移すために変位することができるようになっている、請求項12に記載の引火点決定器具
【請求項14】
前記スリーブは、前記少なくとも1つの第1ロック体及び/又は前記少なくとも1つの第2ロック体及び/又は前記連結器に作用するための少なくとも1つの内側の突出部を有する、請求項12又は請求項13に記載の引火点決定器具
【請求項15】
前記操作器は、ユーザにより手動、特に片手で操作するように形成されている、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の引火点決定器具
【請求項16】
前記連結器は、前記第1コンポーネントを前記第2コンポーネントと特にトルク伝達ロックのための少なくとも1つの、特に付勢力を加えることができるロック体を有し、
前記操作器は、少なくとも1つの操作要素、特に少なくとも1つの操作ねじを有し、前記少なくとも1つの操作要素は、前記第1操作位置において、前記第1コンポーネント及び前記第2コンポーネントのうちの少なくとも1つに前記少なくとも1つのロック体を取り付けることによって、前記少なくとも1つのロック体がロックするように、かつ前記第2操作位置において、前記第1コンポーネント及び/又は前記第2コンポーネントから前記少なくとも1つのロック体を遠ざけることによって前記少なくとも1つのロック体がロック解除するように形成されている、
請求項2に記載の引火点決定器具
【請求項17】
前記操作器がロック器具を有し、前記ロック器具を、ユーザにより特に手動で、又はそれに代えて自動化された方式で選択的に前記第1操作位置又は前記第2操作位置に移すことができ、特に前記第1操作位置と前記第2操作位置との間で変位可能である、請求項2に記載の引火点決定器具
【請求項18】
前記連結器と前記操作器は、
前記第1操作位置のみならず前記第2操作位置でも前記駆動器から前記攪拌器へのトルク伝達が可能にされ、かつ
前記第1操作位置において、前記駆動器と前記攪拌器が軸方向に互いに取外し不可能に互いに連結され、前記第2操作位置において、前記駆動器と前記攪拌器が軸方向に取外し可能に連結解除されるように互いに協働するよう形成されている、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の引火点決定器具
【請求項19】
前記容器内に入った前記サンプルを温度調節するための温度調節器を有する、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の引火点決定器具。
【請求項20】
前記容器内に入った前記サンプルに点火するための点火装置を有する、請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の引火点決定器具。
【請求項21】
前記攪拌器は、前記蓋に固定的に取り付けられている、請求項~請求項20のいずれか一項に記載の引火点決定器具。
【請求項22】
引火点決定試験及び/又は燃焼点決定試験のための、蓋により閉鎖される容器内のサンプルを攪拌する方法であって、
攪拌器を、前記サンプルを攪拌するために、前記蓋を通り抜けて前記容器内の前記サンプルまで少なくとも部分的に挿通することと、
前記攪拌器によって前記サンプルを攪拌するために、少なくとも部分的に前記蓋の外側に配置された駆動器によって、前記攪拌器を駆動する、特に回転駆動することと、
連結器によって、前記攪拌器を前記駆動器と連結することと、
特に前記連結器を調整するために、選択的に、
第1操作位置において、前記駆動器を引き上げて、前記蓋が前記攪拌器と一緒に前記容器から取り外されるか、又は
第2操作位置において、前記駆動器を引き上げて、前記駆動器が前記容器から取り外され、かつ前記攪拌器及び前記蓋が前記容器にとどまるように操作器を操作することと、を包含する方法。
【請求項23】
前記方法が、ユーザによる前記連結器の調整のために前記操作器を片手で操作することを包含する、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋により閉鎖可能な引火点決定試験及び/又は燃焼点決定試験のための容器内のサンプルを攪拌するための攪拌装置と方法、ならびに引火点決定器具に関する。
【背景技術】
【0002】
引火点試験の分野では引火点を決定するための引火点試験器が用いられる。引火点は、点火源の適用により、液体上に形成された蒸気が発火するサンプルの最低温度である。この試験方法は、例えばASTM、D93、EN ISO2719などの多数の規格によって決定される。
【0003】
相応の引火点試験器は、例えば燃料(例えばディーゼル、灯油、暖房油)、溶剤、潤滑油、又は化学物質を特性評価するために用いられる。引火点及び/又は燃焼点を決定するために、所定量の検査対象物質が測定坩堝に充填され、コントロールして加熱され、必要な場合に攪拌される。その際、液体サンプル上に気相が形成され続ける。液体サンプル上に形成されたガス空気混合物に点火するために、定期的な時間間隔及び/又は温度間隔で坩堝に点火源を導入するか、あるいは開いた坩堝上を移動させる。燃焼継続時間が5秒未満の炎が検出された場合に引火点が決定される。燃焼継続時間が5秒より長い場合はサンプルの燃焼点が決定される。
【0004】
例えばi)ペンスキー、ii)ペンスキー-マルテンス、iii)アーベル、iv)アーベル-ペンスキー、v)タグ(Tagliabue)及びvi)クリーブランドなどの様々な標準手法が引火点決定に適している。
【0005】
予め定められた回転数(例えば最大500rpm)でサンプルを攪拌できることが望ましい、又は必要な場合がある。
【0006】
そのために、上から駆動される撹拌機を坩堝蓋に位置決めすることができる。攪拌機と、その上に着座する、垂直方向に移動可能な駆動装置との間の連結器はトルクを伝達するために用いられる。このために、その種の引火点試験器のサンプルウェルにおいて、攪拌機が坩堝蓋に位置決めされている。
【0007】
一般的な従来技術は、中国実用新案登録第206311531号明細書、独国特許発明第19609413号明細書、米国特許第2823824号明細書、独国実用新案登録第29720027号明細書、中国実用新案登録第2632672号明細書、及び中国実用新案登録第202075255号明細書に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国実用新案登録第206311531号明細書
【文献】独国特許発明第19609413号明細書
【文献】米国特許第2823824号明細書
【文献】独国実用新案登録第29720027号明細書
【文献】中国実用新案登録第2632672号明細書
【文献】中国実用新案登録第202075255号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、柔軟に運転可能な引火点決定器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、独立請求項に記載の特徴を有する主題により解決される。他の実施例は、従属請求項に示されている。
【0011】
本発明の一実施例によれば、蓋により閉鎖可能な引火点決定試験及び/又は燃焼点決定試験のための容器内のサンプルを攪拌するための攪拌装置であって、容器に入ったサンプルを攪拌するために、少なくとも部分的に蓋を通り抜けて延在し得る攪拌器と、少なくとも部分的に蓋の外側に配置され得る、攪拌器を駆動(特に回転駆動)するための駆動器と、攪拌器を駆動器と連結するための連結器と、(しかし好ましくは、必ずしも連結器を調整するためではない)、選択的に、第1操作位置において、駆動器を引き上げて、蓋を攪拌器と一緒に容器から取外し可能であるか、又は第2操作位置において、駆動器を引き上げて、駆動器を容器から取外し可能であり、かつ攪拌器及び蓋が容器にとどまる、ように操作可能な操作器と、を備える、攪拌装置が提供される。
【0012】
本発明の別の実施例によれば、特に燃焼点決定のためにも形成されている引火点決定器具が提供され、引火点決定器具は、検査されるべきサンプルを収容するための容器と、容器を閉鎖するための蓋と、蓋により閉鎖可能な容器内のサンプルを攪拌するための上記の特徴を有する攪拌装置とを有する。
【0013】
他の例示的実施例によれば、引火点決定試験及び/又は燃焼点決定試験のための、蓋により閉鎖される容器内のサンプルを攪拌する方法であって、攪拌器を、蓋を通り抜けて容器内のサンプルまで少なくとも部分的に挿通することと、攪拌器によってサンプルを攪拌するために、少なくとも部分的に蓋の外側に配置された駆動器によって、攪拌器を駆動(特に回転駆動)することと、連結器によって、攪拌器を駆動器と連結することと、(好ましくは必ずしも連結器を調整するためではない)、選択的に、操作器の第1操作位置において、駆動器を引き上げて、蓋が攪拌器と一緒に容器から取り外されるか、又は操作器の(第1操作位置とは異なり得る)第2操作位置において、駆動器を引き上げて、駆動器が容器から取り外され、かつ攪拌器及び蓋が容器にとどまるように操作器を操作することと、を包含する方法が提供される。
【0014】
本出願の範囲内で、「攪拌装置」とは、容器に入ったサンプルを攪拌ブレードを備えた攪拌軸又はそれに類するものにより、攪拌軸又はそれに類するものを回転運動させ、それにより攪拌ブレードがサンプルを動かすことにより攪拌することができる器具と解することができる。特にモータを有し得る駆動機器によって攪拌軸又はそれに類するものを駆動(特に回転駆動)することができる。
【0015】
本出願の範囲内で、「引火点決定試験及び/又は燃焼点決定試験」とは、特に、どの温度でサンプル発火(例えば5秒未満の間)、若しくはサンプルの燃焼(特に5秒より長く)が開始するのかのサンプルの試験と解することができる。
【0016】
本出願の範囲内で、「攪拌器」とは、容器内のサンプルの実際の攪拌を行う部品と解することができる。換言すれば、攪拌ブレード又はそれに類するものによりサンプルを動かすために、攪拌機器を駆動、特に回転駆動することができる。
【0017】
本出願の範囲内で、用語「駆動器」とは、特に、駆動器が攪拌器を動かす、特に回転させる、攪拌器に作用する部品と解することができる。したがって、駆動器は、例えばモータにより回転駆動され、この運動を攪拌器に伝達する可動要素、特に駆動軸を有することができる。
【0018】
本出願の範囲内で、用語「連結器」とは、特に攪拌器を駆動器と機械的に連結若しくは連結解除する部品と解することができる。したがって、この種の連結器は、攪拌器と駆動器との間の力伝達を可能にし、同時に、動作モード若しくは操作位置に依存して攪拌器及び駆動器の特定のコンポーネントを選択的に連結又は連結解除することができる。
【0019】
本出願の範囲内で、用語「操作器」とは、特にユーザにより手で、又は手動で操作可能な、工具を用いて操作可能な、又は制御器によって自動的に操作可能なアセンブリと解することができ、攪拌装置若しくは引火点決定器具の、どのコンポーネントを互いに連結すべきか、及びどのコンポーネントを互いに連結解除すべきかを調整するために、アセンブリを様々に異なる操作位置に移すことができる。
【0020】
本出願の範囲内で、用語「引火点決定器具」とは、特に容器内のサンプルの引火点決定を実行するために適した、若しくは形成された器具と解することができる。特に、これに代えて、又はこれに加えて、この種の引火点決定器具は、容器に入ったサンプルの燃焼点決定試験を実行するように形成することができる。
【0021】
本発明の例示的実施例によれば、サンプルを攪拌するための攪拌器と攪拌器を機械的に駆動するための駆動器との間で、操作器によって様々に異なる動作状態に移すことができる連結器を有する攪拌装置が提供される。操作器を第1操作位置又は第2操作位置に直観的に移すことができることで、攪拌器と駆動器との間のトルク伝達を維持しながら、ユーザ側で、選択的に、容器から駆動器を取り外して引火点決定器具の蓋を、これと接続された攪拌器と共に取り外すか否かを調整することができる。例えば引火点決定若しくは燃焼点決定を邪魔しないようにするため、又はサンプル上のガスの漏れを回避するために、駆動器を取り外して、攪拌器及び蓋を容器に取り付けておくことが有利であり得る。他の適用時には、駆動器を取り外すときに攪拌器も蓋と共に容器から取り外すことがユーザにとって望ましいこともある。例えば、特定の適用シナリオにおいて、攪拌器の清掃が望ましい場合があるという観点ではこれは有利であり得る。本発明の一実施例では、ユーザは、操作器を2つの操作位置間で単に直観的に移行させることによって上記の2つの動作モード間を切り替えることができる。このためにユーザ若しくは制御器によるそれ以上の作業の必要はない。したがって、わずかな労力で、エラーロバストで、かつ特別な専門知識なしでも選択的に、特に良好に再現可能な引火点決定若しくは燃焼点決定が、サンプル上のガスが漏れる危険なしに可能にされるか、又は簡単なアクセス性と、わずかな労力で実行可能な攪拌器の清掃可能性とが可能にされる。
【0022】
操作器によって異なった動作状態に移すことができる連結器を設けることに代えて、2つの動作モード間の移行は、(例えば蓋及び容器をユーザにより選択的にロック又はロック解除するように形成されたロック器を)ユーザにより操作することによっても行うことができる。
【0023】
したがって、本発明の一実施例では、攪拌機構連結器若しくは連結器と協働する、上から手動で攪拌機若しくは攪拌器に載置することができるか、若しくは押し下げることができる(例えば、有利には操作スリーブを有する)操作器が提供される。操作器(特に上記のスリーブ)のポジションに応じて、駆動器の駆動軸を、攪拌器の上部に固定するか、又は固定しないことができる。すなわち、この種の攪拌機構連結器を用いて、ユーザは、操作器の2つの異なった操作位置に対応する2つの動作モード(a)及び(b)間で選択する。
(a)試験終了後の容器蓋の連行(坩堝蓋の連行):
これは、攪拌装置若しくは引火点決定器具を完全に分解することなく簡単かつ迅速な清掃を可能にする。したがって、測定終了後に蓋を掛かった状態で置いておくことができ、サンプル残留物を拭き取るために攪拌器に自由にアクセスすることができる。簡単な取扱いで蓋を要望に応じて引火点決定器具から完全に遠ざけて、別個に清掃することができる。使い勝手を良くするために重要な連結箇所の機能は、引火点決定器具による測定後に容器の蓋が持ち上げられ、攪拌器の下部のサンプル残留物を簡単に清掃することができるポジションへ移すことができる場合に、サンプルスループットを著しく高めることができるということである。
(b)試験終了後に容器から蓋を取り外さない。
この動作状態若しくはこの操作位置では、容器蓋は容器上にとどまることができる。それによって、引火点決定器具からサンプルウェルを取り外すための決定が能動的に行われるまで、サンプル蒸気負荷を確実に回避することができる。蓋で閉じられた、充填済み容器若しくは坩堝は、測定後、ユーザにより引火点決定器具から取り外すことができる。ユーザは、サンプルを廃棄し、容器及び蓋(特に2部分からなる蓋の両方の部分)を別々に清掃することができる。このことは、実験室痛風ドラフトチャンバで相応の溶媒を用いて行うことができる。
【0024】
以下、攪拌装置、方法、及び引火点決定器具の付加的な例示的実施例について説明する。
【0025】
好ましい一実施例では、連結器と操作器とは、
-操作器の第1操作位置のみならず第2操作位置でも駆動器からサンプルを攪拌するための攪拌器へのトルクの伝達が可能にされ、かつ第1操作位置において、駆動器と攪拌器が軸方向に互いに取外し不可能に互いに連結され、第2操作位置において、駆動器と攪拌器が軸方向に取外し可能に連結解除されるように互いに協働するよう形成され得る。
【0026】
その場合、両方の操作位置において駆動器から攪拌器へのトルク結合が可能にされるが、第1操作位置でのみ、容器からの駆動器の取外しが容器からの攪拌器の取外しにつながり、これに対して第2操作位置ではその限りでないことが確保されている。
【0027】
本発明の一実施例では、連結器は、駆動器に割り当てられた(特に駆動器と接続された、又は駆動器と一体に形成された)第1コンポーネントと、攪拌器に割り当てられた、(特に攪拌器と接続された、又は攪拌器と一体に形成された)第2コンポーネントと、を有し得る。一方が、例えば攪拌器の一部分であり、他方が、例えば駆動器の一部分であり得る2つのコンポーネントを有する連結器の実施形態では、攪拌装置の組立て又は分解時に取り扱われるべきコンポーネントの数が少なく抑えられる。同時に、第1コンポーネントと第2コンポーネントとの間の境界で、駆動器を取り外し、攪拌器を取り外さずに互いに分離される部品連結を行うことができる。これに対して、駆動器の取外しと共に攪拌器も(特に蓋と共に)取り外される別の動作モードでは、2つのコンポーネントを軸方向に互いに固定的に接続することができる。
【0028】
本発明の一実施例では、連結器は、少なくとも1つの第1ロック体、(特に少なくとも1つの第1ロックボール、さらに特にロックボールの第1列)を有することができ、第1操作位置において、操作器が少なくとも1つの第1ロック体に作用する場合に、第1ロック体が第1コンポーネントを第2コンポーネントと(特にトルク伝達)ロックする。例えば、少なくとも1つのロック体を、操作器が第1操作位置にある場合に、操作器(例えば操作器の内側の突出部)によってロック操作可能な複数のロックボールの円周にわたる配列として形成することができる。その場合、少なくとも1つの第1ロック体が2つのコンポーネント間、したがって攪拌器と駆動器との間でトルク伝達する、及び軸方向に固定的な接続を実行する。
【0029】
本発明の一実施例では、操作器が第2操作位置にあり、かつ少なくとも1つの第1ロック体を解放する場合に、少なくとも1つの第1ロック体が第1コンポーネントと第2コンポーネントをロック解除若しくは解放することができる。したがって、操作器が第2操作位置にある場合に、例えばスリーブ状又はカフ状の操作器の内面における上記の突出部又はそれに類するものが少なくとも1つの第1ロック体を解放することができ、それにより連結器の2つのコンポーネントを軸方向に分離できることによって攪拌器からの駆動器の取外しが可能にされる。
【0030】
本発明の一実施例では、連結器は、第1コンポーネントと第2コンポーネントとの間の選択的なトルク伝達のための連行体を有することができる。
【0031】
上記の連行体は、攪拌器及び駆動器とは別個に設けることができる。例えば、連行体は、第2コンポーネントに設置することができる。連結器が3つの主要コンポーネントのみ(すなわち第1コンポーネント、第2コンポーネント、及び連行体)から(場合によっては1つ又は複数のロック体を実装して)製造できることにより、簡単な製造及びエラーロバストな運転が確保されている。
【0032】
本発明の一実施例では、連結器は、少なくとも1つの第2ロック体、(特に少なくとも1つの第2ロックボール、例えば第2ボール列)を有することができ、第2操作位置において、操作器が少なくとも1つの第2ロック体に作用する場合に、第2ロック体が連行体に、特にトルク伝達するように作用する。例えば、少なくとも1つの第2ロック体を、周方向に配置することができると共に第1ボール列よりも容器から遠くに離れるロックボールの第2列として形成することができる。駆動器を攪拌器に組付けた場合、駆動器によって攪拌器の回転駆動が可能にされ得る。これに対して、駆動器が取り外された場合、ロック解除されている少なくとも1つの第1ロック体にもとづいて、攪拌器を蓋と共に容器から取り去ることなしに、駆動器を取り外すことができる。
【0033】
本発明の一実施例では、操作器が第1位置にあり、少なくとも1つの第2ロック体を解放する場合、少なくとも1つの第2ロック体は連行体に作用しない。操作器が第1操作位置にある場合、少なくとも1つの第2ロック体は連行体に作用しない。この場合、駆動器と攪拌器との間のトルク伝達結合は、ロックされている少なくとも1つの第1ロック体を介して行うことができる。それにより、第1操作位置において、駆動器と攪拌器を容器から一緒に取り外すときのように駆動器による攪拌器の回転駆動も可能にされる。
【0034】
本発明の一実施例では、第2コンポーネントは、先細りになる外側プロファイルを有し、第1コンポーネントは、先細りになる外側プロファイルを収容するための先細りになる内側プロファイルを有し得る。第1コンポーネントと第2コンポーネントの互いに対応する2つのプロファイルは、第1コンポーネントと第2コンポーネントとを接続する場合に、具体的に機械的ガイドとして用いられる。このことは、ユーザが連結器を連結状態に移行することを容易にする。
【0035】
本発明の実施例では、先細りになる外側プロファイルは、少なくとも1つの第1ロック体を収容するための、(特に周りに延びる)凹部を有することができる。例えば、凹部を、例えば接続ウェブ間の円周方向の複数の凹部を有する環状溝として形成することができ、それによりそれぞれの第1ロック体をそれぞれの凹部に挿入することができる。
【0036】
本発明の一実施例では、先細りになる内側プロファイルは、少なくとも1つの第2ロック体を収容するための、(特に周りに延びる)凹部を有することができる。内側プロファイルの凹部は、外側プロファイルの凹部と類似に形成することができる。
【0037】
本発明の一実施例では、第2コンポーネントは、連行体の少なくとも一部分を収容するための中心、若しくは軸近くの空所を有することができる。連行体を中心近くで第2コンポーネントの対応する空所に収容できることにより、省スペース的でコンパクトな構成が可能にされる。
【0038】
本発明の実施例では、操作器を、連結器を少なくとも部分的に取り囲むスリーブ又はカフとして形成することができるか、又はこのようなスリーブ又はカフを有することができる。スリーブ若しくはカフは、付加的に、少なくとも部分的に攪拌器及び/又は駆動器を取り囲むことができる。
【0039】
すなわちスリーブ若しくはカフは、具体的に貫通穴を有し、この貫通穴に連結器の少なくとも一部分、及び任意的に攪拌器及び/又は駆動器の一部分を収容することができる。操作器がスリーブを有する場合、スリーブは、一方で、その中に収容された連結器を周辺からの機械的作用及び汚れから守ることができる。他方で、ユーザがスリーブ状の操作器を単に直観的に操作することにより攪拌装置を第1操作位置と第2操作位置との間で簡単に移行させることができることが可能にされる。
【0040】
本発明の一実施例では、第1操作位置と第2操作位置との間で移行させるために、スリーブを軸方向に変位可能に形成することができる。このことは、特に、スリーブが駆動器の方向に第1操作位置から第2操作位置へ移行させるために、及び攪拌器の方向に第2操作位置から第1操作位置に変位させることができるように行うことができる。したがって、2つの操作位置間で操作器を導くために、ユーザが特に直観的にスリーブを攪拌装置の軸方向の延在方向に沿って上へ、又は下へ変位させることで十分である。例えば、スリーブ位置「下」は第1操作位置に相当し得、これに対してスリーブ位置「上」は第2操作位置に相当し得る。
【0041】
本発明の一実施例では、スリーブは、連結器に作用するために少なくとも1つの内側の突出部を有することができる。少なくとも1つの内側の突出部が少なくとも1つの第1ロック体及び/又は少なくとも1つの第2ロック体に作用するように形成されていることも可能である。例えば、この種の内側の突出部は、周方向に一続きに、又は途切れて形成することができる。有利には、内側の突出部は、第1操作位置において、少なくとも1つの第1ロック体に作用することができ、第2操作位置において少なくとも1つの第2ロック体に作用することができる。このようにして、第1操作位置においてスリーブの少なくとも1つの内側の突出部が、駆動器と攪拌器との間のトルク結合のみならず、駆動器と攪拌器との間の軸方向の連結をももたらすことができる。さらに、第2操作位置において、スリーブの少なくとも1つの内側の突出部は、駆動器と攪拌器との間のトルク結合のみを実行し、駆動器と攪拌器とは軸方向に連結されないままにすることができる。
【0042】
本発明の一実施例では、操作器を、ユーザにより手動で、特に片手で操作するように形成することができる。本発明の一実施例では、方法は、ユーザにより連結器を調整するために操作器を片手で操作することを包含し得る。したがって、片手のみでの操作器の2つの操作位置間の移行をユーザに可能にすることができる。したがって、ユーザのもう一方の手が自由であり、攪拌装置若しくは引火点決定アーキテクチャの操作中に別の仕事を行うことができる。このことは、攪拌装置の簡単かつエラーロバストな取扱いを可能にする。
【0043】
本発明の一実施例では、連結器は、第1コンポーネントを第2コンポーネントと(特にトルク伝達)ロックするための少なくとも1つの(特に付勢力を加えることができる)ロック体を有することができる。さらに、操作器は、少なくとも1つの操作要素(特に少なくとも1つの操作ねじ)を有することができる。これは、第1操作位置において第1コンポーネント及び第2コンポーネントのうちの少なくとも1つに少なくとも1つのロック体を取り付けることによって少なくとも1つのロック体をロックするように形成することができる。さらに、少なくとも1つの操作要素は、第2操作位置において少なくとも1つのロック体を第1コンポーネント及び/又は第2コンポーネントから少なくとも1つのロック体を遠ざけることにより少なくとも1つのロック体をロック解除するように形成することができる。上記の代替の実施形態では、特に簡単であるが、それでも攪拌装置の2つの操作位置間の移行と、関連する機能性とを可能にする連結器が提供される。1つ又は複数のロック体、例えばロックボールには、例えば機械的ばねによって、又は磁力によって付勢力を加えることができる。その場合、1つ又は複数のロック体を連結器のコンポーネントの溝に係合させるために、操作要素(例えばそれぞれのねじ)を連結器のコンポーネントの空所に挿入することで十分であり得る。それによって、連結器のコンポーネントを互いに連結することができ、その結果として攪拌器と駆動器とを互いに連結することができる。ユーザが連結器の2つのコンポーネント間、若しくは駆動器と攪拌器との間の連結を所望しない場合、操作要素が対応する収容部からねじを緩めて抜かれる。そのことによっても2つの操作位置間の簡単な移行が可能にされる。
【0044】
代替的又は追加的実施形態では、操作要素は、ロック器(特にボルト)を有することができ、ボルトは、ユーザにより手動で、又はそれに代えて自動化されて、選択的に第1操作位置又は第2操作位置にすることができ、例えば第1操作位置と第2操作位置との間で変位可能である。この種のボルトは、例えば坩堝蓋の近傍に位置決めすることができ、かつユーザにより、ボルトが容器に蓋をロックし、それにより坩堝蓋連行を阻止する位置に移すことができる。この場合、ユーザはねじを操作しなくて済む。ロック器を、例えば機械的ロック器として、例えば変位可能なボルトとして及び/又はクランプとして形成することができる。この種の機械的ロック器を、付勢要素、例えば機械的ばねによって特定のポジションに付勢することもできる。しかし、ロック器を、磁力によってロック若しくはロック解除を行う磁気ロック器として形成することも可能である。ロック要素を用いる選択的ロックは、特に、容器と蓋との間で行うことができるか、又は連結器に作用することができる。本発明の一実施例によれば、引火点決定器具は、容器に入ったサンプルを温度調節するための温度調節器を有することができる。サンプルの温度調節によって、引火点決定若しくは燃焼点決定を簡単かつ正確に実行することができる。
【0045】
本発明の一実施例では、引火点決定器具は、サンプルに点火するための点火装置を有することができる。点火装置は、発火可能若しくは燃焼可能なサンプルの点火をもたらすことができる。殊に、点火装置は、容器の内部にまで、さらに、殊にサンプルの液面の上まで延びる。
【0046】
本発明の一実施例では、攪拌器は、蓋に固定的に取り付けることができる。攪拌器を(例えばねじ締めによって)蓋に取り付けることによって、攪拌器を取り外す場合に蓋も連行されることを確保することができる。それにより攪拌器から蓋を別途遠ざける必要がない。
【0047】
さらに、引火点決定アーキテクチャは、サンプル若しくは容器の内部の温度を検知するための温度プローブを有することができる。この種の温度プローブは、サンプルの燃焼点若しくは引火点を検知するために用いることができるセンサデータを容器内部から送ることができる。
【0048】
例えば、本発明の実施形態は、引火点試験器のための以下の規格を根拠とすることができる:ASTM D93、DIN EN ISO2719、GB/T261、IP34、JIS K2265、ISO13736、ISO1516、ISO1523、DIN51755-1(アーベル-ペンスキーと対応する付属品);ASTM D56、ASTM D3934、ASTM D3941;ASTM D92、DIN EN ISO2592、IP36、IP403。本発明の他の実施形態は、他の、ここに挙げられない規格に対応することができる。
【0049】
以下、本発明の例示的実施例を以下の図を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明の例示的実施例による引火点決定器具の横断面図を示す。
図2図2は、本発明の別の例示的実施例による第1操作位置にある引火点決定器具の一部分の横断面図を示す。
図3図3は、第2操作位置にある図2による引火点決定器具の部分の横断面図を示す。
図4図4は、図2及び図3による引火点決定器具の連結器の分解図を示す。
図5図5は、図2図4に対応する引火点決定器具の3次元図を示す。
図6図6は、組立状態の本発明の別の例示的実施例による引火点決定器具の横断面図を示す。
図7図7は、分解状態の図6による引火点決定器具の3次元図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
異なる図の同一又は類似のコンポーネントには同じ参照番号が付されている。
【0052】
図を参照しながら本発明の例示的な実施形態を説明する前に、本発明のいくつかの一般的な態様及び基礎となる技術について説明する:
本発明の例示的な一実施例では、測定後に駆動装置が配置されたヘッド若しくは機器部分から容器蓋又は坩堝蓋が一緒に持ち上げられるべきか、又は容器若しくは坩堝にとどまるべきかを測定前に能動的に決定する可能性を開く、引火点決定器具若しくは引火点測定技術を提供することができる。
【0053】
従来の一実施形態は、坩堝に載置するたびにヘッドをサンプルウェルと連結し、その結果、連結されたままである。別の一実施形態では、ヘッド及びサンプルウェルは常に連結解除されたままである。試験終了後に、蓋は、常にヘッドから連行され、傾いたポジションに運ばれる。この場合、サンプル残留物が攪拌機構から蓋開口部の方向に動くことができ、蓋がさらに汚れる可能性がある。坩堝蓋を(本発明の例示的実施例でのように)素早く連結解除することは可能でない。なぜなら、蓋を引火点決定器具から引き離すことができる前に、手間をかけて連結を解くことに加えて、つながれたケーブル(特に点火ケーブル、検出器ケーブルなど)をすべて別途切り離さなければならないからである。
【0054】
別の従来の実施形態は、蓋を外すことを全く可能にしない。部品はヘッドと固定的に接続されている。
【0055】
本発明の例示的実施例による攪拌装置の連結器と操作器との協働により、特に以下の利点を達成することができる。
試験終了後に、坩堝蓋連行をもたらす第1操作位置を選択した場合、全体を分解することなく簡単かつ迅速な清掃を達成することができる。特に、蓋は測定終了後に掛かった状態で置いておくことができる。その場合、サンプル残留物を拭き取るために攪拌器に自由にアクセスできる。簡単な操作で蓋を要望に応じて引火点決定器具から完全に遠ざけることができる。
【0056】
坩堝蓋が坩堝上にとどまるための別の第2操作位置を選択した場合、サンプルを汚れから効果的に保護することができる。さらに、引火点決定器具からサンプルウェルの取り外しが能動的に行われるまで、周辺をサンプル蒸気から守ることができる。例えば、測定を監視して開始でき、監視せずに終了でき、及びサンプルウェルを遠ざける決定を後から初めて行うことができる(例えば数時間後に初めて)。周辺及びサンプルは保護されたままである。
【0057】
図1は、本発明の例示的実施例による、選択的に引火点決定又は燃焼点決定を行うことができる引火点決定器具140の横断面図を示す。
【0058】
引火点決定器具140は、検査されるべき液体サンプル106(例えばディーゼル燃料)を収容するための坩堝又は容器104を有する。容器104から取外し可能な蓋102は、測定中に容器104を閉鎖するために用いられる。
【0059】
攪拌装置100は、蓋102によって閉鎖可能な容器104内のサンプル106を攪拌するように企図されている。
【0060】
容器104は、容器104に入ったサンプル106の温度調節(特に加熱)のための温度調節器142と熱結合され、熱結合は、直接、又は温度調節器142と容器104との間のここに図示されない空隙を介して間接的に行うことができる。温度調節器142によって、サンプル106を所望の温度にすることができる。
【0061】
さらに、サンプル106上に形成されるガス-空気-サンプル混合物に点火するための点火装置144が容器104に導入されている。
【0062】
図1によれば、攪拌装置100の攪拌器108は、蓋102に固定的に取り付けることができる。
【0063】
上記の引火点決定器具140の上記の攪拌装置100は、取外し可能な蓋102により閉鎖される容器104に充填されたサンプル106を攪拌するために用いられる。引火点決定試験若しくは燃焼点決定試験のために、サンプル106を攪拌することが望ましいか、又は必要であり得る。このために、攪拌装置100は、図1によれば攪拌装置100の下領域に攪拌器108を有している。攪拌器108は、容器104に入ったサンプル106を攪拌するために、例えば蓋102を通り抜けて延在し、すなわち部分的に蓋102の上方に、及び部分的に下方に配置されている。
【0064】
さらに、図1によれば、攪拌装置100は、蓋102の外側に配置された、攪拌器108を駆動するための駆動器110を有する。駆動器110は、駆動器110の駆動軸を回転させるモータ(図示せず)を有することができる。駆動器110から攪拌器108への力伝達によって、攪拌器108も回転させることができ、それによりサンプル106が攪拌される。
【0065】
攪拌装置100の連結器112は、選択的に、攪拌器108を駆動器110と、機械的に連結するか、又は攪拌器108を駆動器110から機械的に連結解除する機能をする。
【0066】
さらに、攪拌装置100は、両頭矢印で示されるように、連結器112を調整するために操作可能、及びこのために垂直方向に移動可能な操作器114を含む。操作器114は、選択的に、駆動器110を引き上げて、蓋102を攪拌器108と一緒に容器104から取り去ることができる第1操作位置に移すことができる。これに対して操作器114の第2操作位置において、駆動器110を引き上げて、駆動器110を容器104から取り去ることができるが、これに対して攪拌器108及び蓋102は容器104にとどまる。
【0067】
すなわち、図1に断面図で示された、特に燃焼点決定のためにも形成されている引火点決定器具140は、液体状態にある、検査されるべきサンプル106を収容するための容器104を備えている。さらに、引火点決定器具140は、容器104に入ったサンプル106の温度調節のための温度調節器142を備えている。引火点決定器具140は、さらに、サンプル106上に形成されるガス-空気混合物に点火するように企図されている点火装置144を備えている。攪拌装置100は、サンプル106を攪拌するために用いられる。さらに、引火点及び温度検出器161に温度プローブ159が提供され、この温度プローブは、サンプル106の液体部分の中にまで突出する。
【0068】
引火点決定若しくは燃焼点決定のために、容器104内のサンプル106が温度調節器142によって加熱される。温度プローブ159によって容器104内のサンプル106の温度を検出することができる。攪拌器108の容器側の端にある攪拌ブレード162を回転駆動することによって、サンプル106を動かすことができる。点火器具144によって、サンプル106上に形成されたガス-空気混合物の引火点又は燃焼点を決定するために発火を生成することができる。
【0069】
引火点決定器具140の制御は、制御器163(例えばプロセッサ)によって行われる。制御器163は、駆動器110、点火器具144、及び温度調節器142を制御する。さらに、制御器163は、引火点及び温度検出器161の信号を受信及び処理することができる。所望により、制御器163は操作器114を操作できるが、好ましい実施例ではこの行為は、ユーザにより行われる。
【0070】
駆動器110を容器104から取り外して、蓋102を攪拌器108と共に取り外すことができるか、又はできないかを調整するために、ユーザがスリーブ状の操作器114を手で上又は下へ押し動かすことで十分である。スリーブ138が第1操作位置にある場合、第1コンポーネント116が駆動器110に連結されている連結器112の第1コンポーネント116を、攪拌器108に取り付けられた連結器112の第2コンポーネント118から連結解除することができない。駆動器110の引き抜きは、攪拌器108も蓋102と共に上へ取り去り、次いで、攪拌機構の清掃を可能にする。これに対してスリーブ138を軸方向に変位させることにより操作器114を第2操作位置へ押し動かした場合、第1コンポーネント116と第2コンポーネント118が互いに連結解除される。その場合、駆動器110を引き抜いても、攪拌器108は蓋102と共に容器104にとどまる。
【0071】
対応する機械的解決策の一例を、図2図5を参照しながらさらに詳細に説明する。
図2は、本発明の例示的実施例による第1操作位置197にある引火点決定器具140の一部分の横断面図を示す。図3は、第2操作位置199にある図2による引火点決定器具140の上記の部分の横断面図を示す。図4は、図2及び図3による引火点決定器具140の連行体126と共に連結器112の分解図を示し、さらに、他のコンポーネント(特に攪拌器108の攪拌軸及び操作器114のスリーブ138)を示す。
【0072】
図5は、引火点決定器具140の3次元図を示す。
【0073】
図2図5でも、攪拌装置100は、攪拌器108、駆動器110、連結器112、及び連結器112を操作するための操作器114を、選択的に、図2に示された(蓋102を攪拌器108と共に駆動器110と一緒に取り外すための)第1操作位置197、又は図3に示された(蓋102なし、及び攪拌器108なしで駆動器110を取り外すための)第2操作位置199に調整され得るように操作するための操作器114を有する。
【0074】
図2図4に見て取れるように、連結器112は、駆動器110に割り当てられた、かつ駆動器と一体に形成された第1コンポーネント116と、攪拌器108に割り当てられた、かつ攪拌器と一体に形成された第2コンポーネント118を有する。
【0075】
さらに、連結器112は、周りに延びる第1のロックボールの列として形成された第1ロック体120を含み、第1ロック体は、第1操作位置197において、操作器114が第1ロック体120に作用する場合に、第1コンポーネント116が第2コンポーネント118とトルク伝達するようロックする。これに対して、第1ロック体120は、操作器114が第2操作位置199にあり、かつ第1ロック体120を解放する場合に、第1コンポーネント116と第2コンポーネント118を互いに連結解除させる。
【0076】
さらに、連結器112は、第2操作位置199において第1コンポーネント116と第2コンポーネント118との間で選択的にトルク伝達するための連行体126を含む。連行体126は、この例では攪拌器108及び駆動器110とは別個に設けられている。これに代えて、連行体126は、攪拌器108の一部であることもできる。
【0077】
連結器112は、付加的に、周りに延びる第2ロックボールの列として形成された第2ロック体122を有し、第2ロック体は、第2操作位置199において操作器114が第2ロック体122に作用する場合に連行体126にトルク伝達するように作用することができる。これに対して、操作器114が第1操作位置197にあり、かつ第2ロック体122を解放する場合、第2ロック体122は連行体126に作用しない。
【0078】
図2及び図3に見て取れるように、第1ロック体120の形式で周りに延びる第1ロックボールの列は、第2ロック体122の形式で周りに延びる第2ロックボールの列の下に位置する。換言すれば、第1ロック体120は、攪拌機側に配置され、第2ロック体122は駆動側に配置されている。
【0079】
図2図4にも見て取れるように、第2コンポーネント118は、駆動側で先細りになる外側プロファイル128を有し、第1コンポーネント116は、これに対応する、同様に駆動側で先細りになる、先細りになる外側プロファイル128を収容するための内側プロファイル130を有する。先細りになる外側プロファイル128は、第1ロック体120を収容するための周りに延びる凹部132を有する。これに対応して、先細りになる内側プロファイル130は、第2ロック体122を収容するための取り囲む凹部134を有する。さらに、第2コンポーネント118は、連行体126を収容するための中心空所136を有する。
【0080】
図2及び図3に良好に見て取れるように、操作器114は、連結器112の周りを取り囲むカフ又はスリーブ138として形成され、スリーブは、付加的に攪拌器108の一部分及び駆動器110の一部分を取り囲むことができる。上記のスリーブ138は、攪拌装置100を第1操作位置197と第2操作位置199との間で移行させるように機能し、この目的で軸方向に移動可能に形成されている。第1操作位置197から第2操作位置199へ移行させるために、スリーブ138を駆動器110の方向に押し動かすことができるか、若しくは第2操作位置199から第1操作位置197へ移行させるために攪拌器108の方向に変位させることができる。操作器114は、ユーザにより手動で、かつ有利には片手で操作するように形成されている。
【0081】
スリーブ138は、連結器112に作用するために内側の突出部195を備えている。厳密には、突出部195は、第1操作位置197において、第1ロック体120に作用することができるが、第2ロック体122には作用することができない。これに対して、突出部195は、第2操作位置199において、第2ロック体122に作用することができるが、第1ロック体120には作用することができない。
【0082】
図2図5による実施例は、ペンスキー及びペンスキー-マルテンスによる引火点試験器の攪拌機連結を具体的に提供する。引火点決定器具140は、攪拌機の基本的な機能性と、攪拌装置100を取り去る場合に蓋102を取り去るための使い勝手のよい、かつ柔軟なオプション(坩堝蓋連行とも呼ばれる)を付与する攪拌機連結器を含む。攪拌装置100は、トルク伝達のための連行体126を備える連結器112を含む。連行体126は、攪拌器108の攪拌軸とねじ締めすることができる。しかしこれに代えて、連行体126を攪拌機軸に組み込むこともできる。攪拌装置100は、駆動器110と攪拌器108の、第1操作位置197に相当する、連結された状態(図2を参照)と、第2操作位置199に相当する連結されない状態(図3を参照)で、それぞれ縦断面図として示されている。図4は、インターフェース若しくは連結器112の構成要素を示す。
【0083】
ユーザは、操作器114のスリーブ138を上へ、又は下へ移動させるだけで手動のオプション選択を行うことができ、行われた、又は阻止された坩堝蓋連行を調整することができる。その場合、「上へ」若しくは「下へ」の移動とは、軸方向で「上へ」及び「下へ」のことである。すなわち、「上」及び「下」は、引火点決定器具140が動作している時点での方向を示す。
【0084】
攪拌連結を、引火点決定器具140において完全に見えるように(例えば図5を参照)組み込むこともできるし、部分的に見えないように組み込むこともできる。したがって、図5は、攪拌機連結若しくは攪拌装置100のアセンブリの取付け例を示す。殊に、連結箇所は、坩堝蓋連行のオプションを簡単に作動及び作動停止できるために簡単にアクセスできるように位置決めされる。
【0085】
図示される例では、連結器112が攪拌装置100に直接取り付けられると直ちに坩堝蓋連行のオプションの選択を片手で行うことができる。外側スリーブ138は、引火点測定の開始前に手動で押し下げることができ、すなわち第1操作位置197に移行させることができる。これを片手で行うことができる。その場合、連結器112の第1ロック体120の下列のボールがスリーブ138によって回転中心に向かってロックされる。
【0086】
それにより、下に降ろされた攪拌機軸が連結器112の円錐収容部に押し込まれ、ロック体120が円錐溝に押し込まれる。連結器112のコンポーネント116、118、120間に生じた力結合は、攪拌器108へのトルク伝達をもたらし、それに加えて、機器ヘッドによる容器104の蓋102の連行を可能にする。連結は、スリーブ138が手動で再び上へ押し動かされるまで、すなわち第2操作位置199へ移されるまでこの状態のままである。この場合、第1ロック体120の下列のボールが解放され、第2ロック体122の上列のボールが再び回転中心に向かってロックされる。その場合、ロックされたボールが連行体126にぶつかり、回転運動が攪拌機軸に伝達されると直ちにトルク伝達が行われる。連結器112のコンポーネント116、118、120間の力結合が解除されるので、この状態で、ヘッドを持ち上げたときに坩堝若しくは容器104の蓋102は連行されない。
【0087】
スリーブ138が下ポジションにある場合(図2)、第1ロック体120のボールが切欠き若しくは凹部132に押し込まれ、軸は、引火点決定器具140の上部に固定される。持ち上げられた場合に蓋102は連行される。
【0088】
これに対してスリーブ138が上ポジションにある場合(図3)、第1ロック体120のボールが解放され、第2ロック体122のボールは固定される。後者は、引火点決定器具140の中心にある連行体126への力伝達をもたらす。引き上げられる場合、蓋102は、容器104上にとどまる。この簡単に操作できる任意的な蓋連行は、本発明の実施例の重要な利点である。
【0089】
すなわちスリーブ138が図2による位置にある場合、攪拌器108を清掃するために、駆動器110を取り外すことによって、攪拌器108も蓋102と共に容器104から取り外すことができる。これに対して図3による位置では、駆動器110の取外しが攪拌器108の連行なしに可能にされる。図5に示されるように、引火点決定器具140を図2及び図3による2つの操作位置197、199間で移すために、スリーブ138を軸方向に移動させることで十分である。
【0090】
図2図5に示される攪拌装置100は、攪拌器108と駆動器110を容器104から一緒に取り外すことができるのか(図2による動作状態)、又は駆動器110のみを容器104から取り外すことができるのに対して攪拌器108は容器104にとどまるのか(図3による動作状態)を、ユーザがスリーブ138を上下に動かすだけで選択できることにより、ユーザに快適な操作性を提供する。この動作原理は、ロック体120、122と連行体126との協働によってもたらされ、スリーブ138を垂直方向に移動させることだけで上記の構成部品に相応に作用させることができる。ロックボールとして形成された下若しくは第1ロック体120は、スリーブ138が下へ移動される場合に(図2を参照)力結合をもたらす。この動作状態において、上若しくは第2ロック体122は自由に動くことができ、機能的に重要でない。この動作状態でも提供される攪拌器108と駆動器110との間のトルク結合によって、攪拌が可能にされ、攪拌装置100のヘッド、したがって駆動器110を取り外した場合に蓋102が連行される。図3によるスリーブ138が上へ移動される場合、上若しくは第2ロック体122が炉臆され、突起若しくは連行体126を連行する。この動作状態において、下若しくは第1ロック体120は機能的に重要でない。したがって、攪拌器108と駆動器110との間で軸方向に連結されない状態では、攪拌器108と駆動器110との間のトルク結合が依然として可能なままであり、したがって、攪拌器108と駆動器110との間の軸方向の連結解除にも関わらず攪拌が可能である。したがって、図3による攪拌器108と駆動器110との間の比結合状態でも、図2による攪拌器108と駆動器110との間の結合状態でも攪拌のためのトルク伝達が可能なままである。第2ロック体122の形式の上列のボールが形状結合をもたらし、これに対して第1ロック体120の形式の下列のボールは攪拌時に力結合をもたらす。スリーブ138が連行体126の連行のために上へ押し動かされる場合、連行体126は、攪拌軸へのトルク伝達を第2ロック体122によって可能にする。スリーブ138が下側の状態にある場合、第1ロック体120によって力結合が達成され得る。
【0091】
連結器112と操作器114の上記の協働によって、第1操作位置197と第2操作位置199とにおいて駆動器110から攪拌器108へのトルクの伝達が行われ、それにより両方の操作位置197、199で攪拌が可能にされている。これに対して、第1操作位置197においてのみ駆動器110と攪拌器108を互いに軸方向に取外し不可能に互いに連結されている。これに対して、第2操作位置199において、駆動器110と攪拌器108とは互いに軸方向に取去り可能に連結解除されている。
【0092】
図6は、組み立てられた状態の本発明の別の例示的実施例による引火点決定器具140の横断面図を示す。図7は、分解状態の図6による引火点決定器具140の3次元図を示す。
【0093】
図6及び図7によれば、連結器112は、第1コンポーネント116を第2コンポーネント118とトルク伝達ロックのための付勢力を加えることができるロック体124を有する。さらに、図6及び図7による操作器114は、(ここでは操作ねじとして形成されている)操作要素150を有する。これらの操作要素は、第1操作位置197においてロック体124を第1コンポーネント116及び第2コンポーネント118に取り付けることによってロック体124をロックするために用いられる。ロック体124のロック解除は、第2操作位置199において第1コンポーネント116若しくは第2コンポーネント118からロック体124を遠ざけることによって行われる。
【0094】
これに代えて、操作要素114を、蓋をロックし、それにより坩堝蓋連行を阻止する位置にユーザが運ぶことができるボルトを備えるロック要素153として形成することができる。この場合、ユーザはねじを操作する必要がない。
【0095】
したがって、図6及び図7は、自動的な坩堝蓋連行を用いる実施例を示すが、この坩堝蓋連行は、操作要素150及び/又は坩堝蓋ロックによってオフにされるか、若しくは作動停止させることができる。
【0096】
容器104の蓋102のこのような自動化された連行では、引火点決定器具140は、自動的に坩堝蓋102を駆動器110と連結する。図示された実施例では、ヘッドとサンプルウェルとの連結が自動的に行われる。さらに、蓋102の連結解除は、連結の部品がさらに付加的にロック解除される、及び/又は動かされる必要なく、単に引き下げることによって行うことができる。このような連結は、ロック体124の形式のばね荷重がかけられるボール列によって操作要素150との協働において実現することができる。自動的坩堝蓋連行では、上記のばね荷重がかけられるボール列は駆動軸に配置されている。このボール列は、攪拌軸の長穴溝に押し付けられ駆動トルクを攪拌機に伝達する。さらに、それによって自動的坩堝蓋連行を、駆動器110が設けられている機器ヘッド若しくは機器部品によって可能にすることができる。ばね荷重がかけられたボール列は、攪拌機軸及び蓋102の離脱を阻止し、機器ヘッドが持ち上げられる場合にこれを連行する。特に、図6は、自動的坩堝蓋連行のための連結の横断面を示す。
【0097】
図6及び図7による実施例は、操作ねじとして形成された操作要素150を操作することによってロック体124と、コイルばねとして形成された付勢要素とを用いることによってコンポーネント116、118の簡単な接続を可能にする。操作要素150が第1コンポーネント116の収容開口にねじ込まれた場合、ロック体124としてのそれぞれのロックボールが第2コンポーネント118の空所に押し込まれる。
【0098】
それによって、コンポーネント116、118が互いにロックし合う。次いで、駆動器110の取外しによって攪拌器108の連行も行われる。これに対して、操作ねじとして形成された操作要素150が第1コンポーネント116の収容部にねじ締めされない場合、ロックボール124も第2コンポーネント118の溝に押し込まれない。この場合、駆動器110の取外しは、攪拌器108を容器104に残す。
【0099】
図7は、さらに、凹部132の周方向に第2コンポーネント118に、ウェブを介在させ周方向に配置された一連の凹部として形成されていることを示す。その場合、ロックボールとして形成されたロック体124を、2つのコンポーネント116、118を互いに接続するために任意の深さに導入することができる。
【0100】
図6及び図7において、参照符号153により操作器114の任意的なロック器具153が示されている。ユーザがロック器具153を操作することによって、選択的に、坩堝蓋連行を不可能にするために蓋102を容器104にロックすることができるか、又は坩堝蓋連行を可能にするために蓋102を容器104に対してロック解除することができる。例えば、ロック器具153は、機械的又は磁気的ボルトとして形成することができる。
【0101】
さらに、「有する」は、他の要素又は工程を除外するものではなく、単数形が複数を除外するものではないことに留意されたい。さらに、上記の実施例の1つを参照して説明された特徴又は工程は、上記の他の実施例の別の特徴又は行程と組み合わせて使用することもできる。請求項の参照符号は限定とみなされるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7