(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】メモリ構造体
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240702BHJP
【FI】
H10B12/00 801
(21)【出願番号】P 2022128896
(22)【出願日】2022-08-12
【審査請求日】2022-08-12
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599129074
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樊 聖亭
(72)【発明者】
【氏名】陳 威臣
(72)【発明者】
【氏名】呂 函庭
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0358913(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0358598(US,A1)
【文献】特表2007-525004(JP,A)
【文献】特表2011-527515(JP,A)
【文献】特開2012-150876(JP,A)
【文献】特開2017-130644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0300886(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0335798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置されており、第1方向に沿って互いから分離しており、それぞれ第2方向及び第3方向に沿って延在する、第1ゲート構造体、第2ゲート構造体、及び第3ゲート構造体であって、前記第2ゲート構造体は、前記第1ゲート構造体と前記第3ゲート構造体との間に配置されており、前記第1方向、前記第2方向、及び前記第3方向は、互いに交差している、第1ゲート構造体、第2ゲート構造体、及び第3ゲート構造体と、
互いから分離しており、前記第1方向に沿って前記第1ゲート構造体、前記第2ゲート構造体、及び前記第3ゲート構造体を通過する複数のチャネルボディで
あって、前記複数のチャネルボディの各々が、第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部は、前記第1ゲート構造体に隣接しており、前記第2端部は、前記第3ゲート構造体に隣接しており、前記第2端部は、前記第1端部の反対にある、複数のチャネルボディと、
前記第1ゲート構造体と前記複数のチャネルボディとの間、前記第2ゲート構造体と前記複数のチャネルボディとの間、及び前記第3ゲート構造体と前記複数のチャネルボディとの間に配置された複数の絶縁膜と、
前記基
板に電気的に接続された第1サイドプラグと
、
前記第3方向に沿って積層され、前記第3方向に沿って互いから分離し、前記第2方向に沿って延在するリング状である複数の第1サイドパッドであって、前記複数の第1サイドパッドの各々は、前記第1サイドプラグに対向する第1面において前記第1サイドプラグと全面で電気接触し、その反対側の第2面において前記複数のチャネルボディのうちの対応する1つの前記第1端部に電気的に接続され、これにより前記第1サイドプラグが前記複数の第1サイドパッド及び前記複数のチャネルボディと電気的に接続される、複数の第1サイドパッドと、
を備え、
前記第1ゲート構造体、前記第2ゲート構造体、及び前記第3ゲート構造体は、前記複数の絶縁膜の各々及び前記複数のチャネルボディの各々を囲んでおり、前記複数の絶縁膜は、電荷蓄積構造体を含まず、
前記基板は、上面を有し、前記上面は、前記第1方向及び前記第2方向と平行であり、前記上面の法線方向は、前記第3方向と平行であり、
前記第3ゲート構造体は、第1島構造体、第2島構造体、及び第3島構造体を有し、前記第1島構造体、前記第2島構造体、及び前記第3島構造体は、前記第3方向に沿ってそれぞれ延在し、前記第2方向に沿って互いから分離しており、かつ前記複数のチャネルボディのうちの少なくとも1つにそれぞれ対応して設けられ、
前記第1ゲート構造体および前記第2ゲート構造体は、前記複数のチャネルボディの全てに対応して設けられる、
メモリ構造体。
【請求項2】
前記第3方向における前記第1島構造体、前記第2島構造体、又は前記第3島構造体の高さは、前記第3方向における前記第1ゲート構造体又は前記第2ゲート構造体の高さに等しく、前記第2方向における前記第1島構造体、前記第2島構造体、又は前記第3島構造体の幅は、前記第2方向における前記第1ゲート構造体又は前記第2ゲート構造体の幅よりも小さい、請求項1に記載のメモリ構造体。
【請求項3】
前記第3方向に沿って積層され、前記第3方向に沿って互いから分離している複数の第2サイドパッドであって、前記複数の第2サイドパッドの各々は、前記複数のチャネルボディのうちの対応する1つの前記第2端部に接続されている、複数の第2サイドパッドと
をさらに備える、請求項
1に記載のメモリ構造体。
【請求項4】
複数の第2サイドプラグをさらに備え、前記複数の第2サイドプラグは、前記第2方向に沿って互いから分離しており、それぞれ、前記複数の第2サイドパッド上の複数のランディング領域と電気的に接触するように前記第3方向に沿って延在する、請求項
3に記載のメモリ構造体。
【請求項5】
前記第3方向における前記複数の第2サイドプラグの高さは、前記第2方向に沿って増加し、前記複数のランディング領域は、段差構造を形成している、請求項
4に記載のメモリ構造体。
【請求項6】
前記複数の第2サイドプラグは、それぞれ、ビット線に接続されている、請求項
4に記載のメモリ構造体。
【請求項7】
前記複数の第1サイドパッドは、第1導電型を有し、前記複数の第2サイドパッドは、前記第1導電型を有する、請求項
3に記載のメモリ構造体。
【請求項8】
前記複数の第1サイドパッドは、第1導電型を有し、前記複数の第2サイドパッドは、第2導電型を有する、請求項
3に記載のメモリ構造体。
【請求項9】
前記複数の絶縁膜の材料は、高誘電率材料を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のメモリ構造体。
【請求項10】
前記複数のチャネルボディの材料は、単結晶シリコンを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のメモリ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、半導体構造体に関し、より詳細には、メモリ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)は、現在一般的な半導体メモリである。従来型DRAMの構造は非常に単純であり、各ビットのデータが処理のために1つのトランジスタ(1T)及び1つのキャパシタ(1C)を必要とする、すなわち、1T1C DRAMである。しかしながら、市場の需要を満たすためには、メモリ構造体のサイズをさらに小さくする必要がある。従って、従来のDRAMの構造をさらに改善することが必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、メモリ構造体に関する。本願のメモリ構造体は、メモリのサイズ低減に有益であり、メモリ構造体の性能を維持することもできる。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、メモリ構造体が提供される。このメモリ構造体は、基板、第1ゲート構造体、第2ゲート構造体、及び第3ゲート構造体、複数のチャネルボディ、複数の絶縁膜、並びに第1サイドプラグを含む。第1ゲート構造体、第2ゲート構造体、及び第3ゲート構造体は、基板上に配置されており、第1方向に沿って互いから分離しており、第2方向及び第3方向に沿ってそれぞれ延在し、第2ゲート構造体は、第1ゲート構造体と第3ゲート構造体との間に配置されており、第1方向、第2方向、及び第3方向は、互いに交差している。チャネルボディは、互いから分離しており、第1方向に沿って、第1ゲート構造体、第2ゲート構造体、及び第3ゲート構造体を通過する。絶縁膜は、第1ゲート構造体とチャネルボディとの間、第2ゲート構造体とチャネルボディとの間、及び第3ゲート構造体とチャネルボディとの間に配置されている。第1サイドプラグは、基板及びチャネルボディに電気的に接続されている。ここで、第1ゲート構造体、第2ゲート構造体、及び第3ゲート構造体は、絶縁膜の各々及びチャネルボディの各々を囲んでおり、絶縁膜は、電荷蓄積構造体を含まない。
【0005】
本発明の上記及び他の態様は、好ましいが非限定的な実施形態の以下の詳細な説明に関連して、より十分に理解されるであろう。下記説明は、添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態によるメモリ構造体の概略的立体図を示す。
【0007】
【
図2】本発明の別の実施形態によるメモリ構造体の概略的立体図を示す。
【0008】
【
図3A】本発明の別の実施形態によるメモリ構造体の等価回路図を示す。
【0009】
【
図3B】本発明の別の実施形態によるメモリ構造体のプログラミング動作及び消去動作のシミュレーション結果を示す。
【
図3C】本発明の別の実施形態によるメモリ構造体のプログラミング動作及び消去動作のシミュレーション結果を示す。
【0010】
【
図4A】本発明の一実施形態による異なる動作モードにおけるメモリ構造体の電圧と時間の関係図を示す。
【0011】
【
図4B】本発明の一実施形態によるメモリ構造体における第3ゲート構造体とビット線との間のバンド間トンネリングの発生を示す。
【0012】
【
図4C】本発明の一実施形態によるメモリ構造体のプログラミング動作モードにおける、プログラミングパルス時間と、プログラム済み状態と消去状態との間でのビット線の電流差との間の関係を示す図を示す。
【0013】
【
図4D】本発明の一実施形態によるプログラミング動作モード中及び消去動作モード中のメモリ構造体の第3ゲート構造体の電圧とビット線電流との間の関係を示す図を示す。
【0014】
【
図5A】バンド間トンネリング機構のシミュレーション結果を示す。
【
図5B】バンド間トンネリング機構のシミュレーション結果を示す。
【
図6A】バンド間トンネリング機構のシミュレーション結果を示す。
【
図6B】バンド間トンネリング機構のシミュレーション結果を示す。
【0015】
【
図7A】サイリスタの動作機構における実施形態B及び比較例Bのシミュレーション結果を示す。
【0016】
【
図7B】サイリスタの動作機構における実施形態Bの実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は、図面と共に、本開示によって提供されるメモリ構造体を詳細に説明する関連実施形態である。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。詳細な構造、製造方法のステップ、及び材料の用途などのような実施形態の説明は、例示のみを目的としており、本開示の保護の範囲は、言及される実装態様に限定されるものではない。
【0018】
同時に、本開示が全ての実施可能形態を示すものではないことに留意されたい。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、実際の応用のニーズを満たすために、実施形態の構造及び製造方法に変更及び修正を行うことができる。従って、本開示で提案されていない他の実装態様も適用可能であり得る。さらに、図面は、実施形態の内容を明確に説明する目的で単純化されており、図面中の寸法及び比は、実際の成果物の縮尺によって描かれたものではない。従って、説明及び図面は、本開示の保護範囲を限定するためではなく、実施形態を説明するためにのみ使用される。同一又は同様の参照符号は、同一又は同様の要素を表すために使用されている。
【0019】
DRAMのスケーリングを保証すべく、産業界では、キャパシタレスDRAMの様々な代替形態が研究されてきた。シングルトランジスタDRAM(1T DRAM)は、チャネル電位が制御不可能であることに起因して、商品として成功することができなかった。ワード線(WL)バイアスが、読み取り、プログラミング、又は消去中に他の動作にスイッチされると、1T DRAMの大きなWLキャパシタンスにより、ゲートバイアスがフローティングボディに容易に結合し、ごく小さなメモリウィンドウがもたらされる。2トランジスタDRAM(2T DRAM)にも、格納されたデータが過渡動作中にワード線バイアスによって容易に撹乱されるという同様の問題がある。さらに、2T DRAMは、三次元DRAM(3D DRAM)を実現するために、非常に高価なモノリシック集積化の使用を必要とする。
【0020】
上記の問題を克服すべく、本発明は、3D DRAM特性及びサイリスタ動作のために3つのトランジスタ(3T)を含む三次元メモリ構造体(
図1及び2のメモリ構造体10及び20に示すとおり)を提供する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態によるメモリ構造体10の三次元概略図である。
図1に示すように、本実施形態において、Z方向は第1方向を表し、Y方向は第2方向を表し、X方向は第3方向を表す。
【0022】
図1を参照すると、メモリ構造体10は、基板100、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、第3ゲート構造体116、複数のチャネルボディ120、複数の絶縁膜122、第1プラグ132、第2プラグ134、第3プラグ136、及び第1サイドプラグ140を含む。基板100は、上面100aを有し、上面100aは、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、X方向)と平行であり、上面100aの法線方向は、第1方向(例えば、Z方向)と平行である。基板100の上面100aに隣接した領域100Dには、ドーパントがドープされていてもよい。一実施形態において、基板100の上面100aに隣接した領域100Dは、第1導電型、例えば、高濃度のN型ドープ(N+)を有する。基板100の領域100Dは、共通のソース線として機能し得る。
【0023】
第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116は、基板100上に配置されており、第1方向(例えば、Z方向)に沿って連続して積層され互いから分離しており、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、X方向)に沿ってそれぞれ延在し、第2ゲート構造体114は、第1ゲート構造体112と第3ゲート構造体116との間に配置されており、第1方向、第2方向、及び第3方向は、互いに交差しており、例えば、互いに直交しており、すなわち、Z方向、Y方向、及びX方向は、互いに直交していてもよい。図面をより簡潔にするために、
図1において、いくつかの絶縁材料は省略されている。例えば、基板100、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116の間の絶縁材料は省略されている。いくつかの実施形態において、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116は、それぞれワード線として機能し得る。
【0024】
チャネルボディ120は、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、X方向)に沿って互いから分離しており、第1方向(例えば、Z方向)に沿って第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116を通過し、基板100まで延在する。例えば、チャネルボディ120は、縦型チャネル構造体を形成するように基板100と電気接触している。チャネルボディ120は、例えば、フローティングボディである。チャネルボディ120とゲート構造体(すなわち、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116)の各々との間の交差点の各々において、トランジスタが形成されている。チャネルボディ120の各々は、基板100の上面100aと電気的に接触している第1端部120Aと、上面100aから離れている第2端部120Bとを有し、第2端部120Bは、第1端部120Aの反対にある。チャネルボディ120の第2端部120Bに隣接した領域120Dには、ドーパントがドープされていてもよい。
【0025】
バンド間トンネリング(BTBT)が動作機構として使用される一実施形態のような一実施形態において、チャネルボディ120の第2端部120Bに隣接した領域120Dは、第1導電型、例えば、高濃度のN型ドープ(N+)を有する。サイリスタが動作機構として使用される一実施形態のような別の実施形態では、チャネルボディ120の第2端部120Bに隣接した領域120Dは、高濃度のP型ドープ(P+)のような第2導電型を有する。
【0026】
一実施形態において、領域100Dをソースとして機能させることができ、領域120Dをドレインとして機能させることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
絶縁膜122は、第1ゲート構造体112とチャネルボディ120との間、第2ゲート構造体114とチャネルボディ120との間、及び第3ゲート構造体116とチャネルボディ120との間に配置されている。すなわち、絶縁膜122は、第1方向(例えば、Z方向)に沿って延在し、チャネルボディ120の側面を囲んで第1ゲート構造体112をチャネルボディ120から分離させ、第2ゲート構造体114をチャネルボディ120から分離させ、第3ゲート構造体116をチャネルボディ120から分離させる。一実施形態において、異なるチャネルボディ120を囲んでいる絶縁膜122は、互いに接続されており、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、X方向)に沿って、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116をカバーするように、例えば、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116の上面及び下面をカバーするように延在する(図示せず)。
【0028】
第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116は、絶縁膜122の各々及びチャネルボディ120の各々を囲んでおり、また、隣接したチャネルボディ120間の空間に、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、X方向)に沿って延在する。第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116は、チャネルボディ120の側面全体の対応する位置(すなわち、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116の間の交差位置)を囲んでいるので、これはゲートオールアラウンド(GAA)構造とも呼ばれる。さらに、チャネルボディ120の各々は、3つのゲート(すなわち、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116)によって制御され得る。
【0029】
第1サイドプラグ140は、第1方向(例えば、Z方向)及び第3方向(例えば、X方向)に沿って延在し、基板100と電気接触している。例えば、第1サイドプラグ140は、基板100及びチャネルボディ120に電気的に接続されている。
【0030】
基板100は、メモリアレイエリアMA及び階段エリアSAに対応する。チャネルボディ120は、メモリアレイエリアMA内に配置されている。階段エリアSAは、メモリアレイエリアMAに隣接している。第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116は、階段エリアSA内で段差構造を形成し、第1ランディング領域LR1、第2ランディング領域LR2、及び第3ランディング領域LR3をそれぞれ露出させる。第1プラグ132、第2プラグ134、及び第3プラグ136は、それぞれ、第1ランディング領域LR1、第2ランディング領域LR2、及び第3ランディング領域LR3上に配置されており、それぞれ、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116と電気的に接触するように、第1方向(例えば、Z方向)に沿って延在する。
【0031】
いくつかの実施形態において、基板100は、バルクシリコン基板のような半導体基板を含み得る。本実施形態において、チャネルボディ120は、エピタキシャル成長プロセスによって形成されていてよく、チャネルボディ120の材料は、単結晶シリコンを含み得る。メモリデバイス10の動作(例えば、プログラミング又は消去)中、チャネルボディ120は、キャリア(例えば、電子又は正孔)を蓄積するために使用され得る。絶縁膜122がキャリア(例えば、電子又は正孔)を蓄積する機能を有する必要はないので、絶縁膜122は、酸化物-窒化物-酸化物(ONO)構造のような電荷蓄積構造体を含まない。換言すると、チャネルボディ120とゲート構造体(すなわち、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116)との間の空間にONO構造は存在しない。一実施形態において、絶縁膜122の材料は、酸化物などの誘電材料を含み、絶縁膜122は、単一層構造体であり得る。一実施形態において、絶縁膜122の材料は、高誘電率材料(高k材料)を含み得る。一実施形態において、第1プラグ132、第2プラグ134、第3プラグ136、第1サイドプラグ140、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116の材料は、半導体材料又は金属材料を含み得る。例えば、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116は、単結晶シリコン若しくはポリシリコン又は金属を含み得る。本発明の上述の要素の材料はこれに限定されるものではないことを理解されたい。
【0032】
図2は、本発明の別の実施形態によるメモリ構造体20の概略的立体図である。
図2に示すように、本実施形態において、Z方向は第3方向を表し、Y方向は第2方向を表し、X方向は第1方向を表す。
【0033】
図2を参照すると、メモリ構造体20は、基板200、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、第3ゲート構造体216、複数のチャネルボディ220、複数の絶縁膜222、第1プラグ232、第2プラグ234、第3プラグ236、第1サイドプラグ240、第2サイドプラグ250、複数の第1サイドパッドCP、及び複数の第2サイドパッドBPを含む。基板200は、上面200aを有し、上面200aは、第1方向(例えば、X方向)及び第2方向(例えば、Y方向)と平行であり、上面200aの法線方向は、第3方向(例えば、Z方向)と平行である。
【0034】
第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216は、第1方向(例えば、X方向)に沿って基板200上に配置されており、第1方向(例えば、X方向)に沿って互いから分離しており、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、Z方向)に沿って延在し、第2ゲート構造体214は、第1ゲート構造体212と第3ゲート構造体216との間に配置されている。第1方向、第2方向、及び第3方向は、互いに交差しており、例えば、互いに直交しており、すなわち、Z方向、Y方向、及びX方向は、互いに直交していてもよい。第3ゲート構造体216は、第1島構造体2161、第2島構造体2162、及び第3島構造体2163を含み、第1島構造体2161、第2島構造体2162、及び第3島構造体2163は、第3方向(例えば、Z方向)に沿ってそれぞれ延在し、第2方向(例えば、Y方向)に沿って互いから間隔を空けている。一実施形態において、第3方向(例えば、Z方向)における第1島構造体2161、第2島構造体2162、又は第3島構造体2163の高さH3は、第3方向(例えば、Z方向)における第1ゲート構造体212又は第2ゲート構造体214の高さH1又はH2に等しく、第2方向(例えば、Y方向)における第1島構造体2161、第2島構造体2162、又は第3島構造体2163の幅WD31、WD32、又はWD33は、第2方向(例えば、Y方向)における第1ゲート構造体2161又は第2ゲート構造体2162の幅WD1又はWD2よりも小さいが、本発明はこれに限定されるものではない。図面をより簡潔にするために、
図2において、いくつかの絶縁材料は省略されている。例えば、基板200、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216の間の絶縁材料、並びに第1島構造体2161、第2島構造体2162、及び第3島構造体2163の間の絶縁材料は省略されている。いくつかの実施形態において、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216は各々、ワード線として機能し得る。
【0035】
チャネルボディ220は、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、Z方向)に沿って互いから分離しており、第1方向(例えば、X方向)に沿って第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216を通過し、すなわち、チャネルボディ220の延在方向は、基板200の上面200aと平行であり、横型チャネル構造体を形成する。チャネルボディ220は、例えば、フローティングボディである。チャネルボディ220の各々は、第1端部220A及び第2端部220Bを有し、第1端部220Aは、第1ゲート構造体212に隣接し、第3ゲート構造体216から離れており、第2端部220Bは、第3ゲート構造体216に隣接し、第1ゲート構造体212から離れており、第2端部220Bは、第1端部220Aの反対にある。
【0036】
第1サイドパッドCPは、第3方向(例えば、Z方向)に沿って積層され、第3方向(例えば、Z方向)に沿って互いから分離しており、第1サイドパッドCPの各々は、チャネルボディ220のうち対応する第1端部220Aに接続されている。第2サイドパッドBPは、第3方向(例えば、Z方向)に沿って積層され、第3方向(例えば、Z方向)に沿って互いから分離しており、第2サイドパッドBPの各々は、チャネルボディ220のうち対応する第2端部220Bに接続されている。第1サイドパッドCP及び第2サイドパッドBPには、ドーパントがドープされていてもよい。
【0037】
バンド間トンネリング(BTBT)が動作機構として使用される一実施形態のような一実施形態において、第1サイドパッドCPは、例えば高濃度のN型ドープ(N+)を有している、第1導電型を有し、第2サイドパッドBPは、例えば高濃度のN型ドープ(N+)を有している、第1導電型を有する。サイリスタが動作機構として使用される一実施形態のような別の実施形態では、第1サイドパッドCPは、例えば高濃度のN型ドープ(N+)を有している、第1導電型を有し、第2サイドパッドBPは、例えば高濃度のP型ドープ(P+)を有している、第2導電型を有する。
【0038】
一実施形態において、第1サイドパッドCPをソースとして使用することができ、第2サイドパッドBPをドレインとして使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
絶縁膜222は、第1ゲート構造体212とチャネルボディ220との間、第2ゲート構造体214とチャネルボディ220との間、及び第3ゲート構造体216とチャネルボディ220との間に配置されている。すなわち、絶縁膜222は、第1方向(例えば、X方向)に沿って延在し、チャネルボディ220の側面を囲んで第1ゲート構造体212をチャネルボディ220から分離させ、第2ゲート構造体214をチャネルボディ220から分離させ、また、第3ゲート構造体216をチャネルボディ220から分離させる。一実施形態において、異なるチャネルボディ220を囲んでいる絶縁膜222は、互いに接続されており、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、Z方向)に沿って、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216をカバーするように延在する(図示せず)。
【0040】
第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216は、絶縁膜222の各々及びチャネルボディ220の各々を囲んでおり、また、隣接したチャネルボディ220間の空間内に、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、Z方向)に沿って延在する。第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216は、チャネルボディ220の対応する位置(すなわち、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、第3ゲート構造体216、及びチャネルボディ220の間の交差位置)の側面を囲んでいるので、これはゲートオールアラウンド(GAA)構造とも呼ばれる。さらに、チャネルボディ220の各々は、3つのゲート(すなわち、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216)によって制御され得る。具体的には、第1島構造体2161に対応するチャネルボディ220は、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第1島構造体2161によって制御することができ、第2島構造体2162に対応するチャネルボディ220は、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第2島構造体2162によって制御することができ、第3島構造体2163に対応するチャネルボディ220は、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3島構造体2163によって制御することができる。チャネルボディ220とゲート構造体(すなわち、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、並びに第3ゲート構造体216内の第1島構造体2161、第2島構造体2162、及び第3島2163)の各々との間の交差位置の各々において、トランジスタが形成されている。
【0041】
第1サイドプラグ240は、第2方向(例えば、Y方向)及び第3方向(例えば、Z方向)に沿って延在し、基板200及び第1サイドパッドCPと電気接触している。例えば、第1サイドプラグ240は、基板200及びチャネルボディ220に電気的に接続されている。
【0042】
第2サイドプラグ250は、第2方向(例えば、Y方向)に沿って互いから分離しており、それぞれ、第2サイドパッドBP上の複数のランディング領域R1~R8と電気的に接触するように、第3方向(例えば、Z方向)に沿って延在する。本実施形態において、第3方向(例えば、Z方向)における第2サイドプラグBPの高さは、第2方向(例えば、Y方向)に沿って徐々に増加し、ランディング領域R1~R8は、段差構造を形成している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。第2サイドプラグ250の上部は、それぞれ、ビット線(図示せず)に接続されていてもよい。異なる第2サイドプラグ250は、異なるビット線(図示せず)に接続される。すなわち、同一層にあるチャネルボディ220は、同じ第2サイドプラグ250及び対応するビット線(図示せず)に電気的に接続されていてもよい。第2サイドプラグ250の数は、第3方向(例えば、Y方向)に沿った、第1サイドパッドCPの数、チャネルボディ220の数、及び第2サイドパッドBPの数とそれぞれ同じ、例えば8であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、他の実施形態において、第2サイドプラグ250の数、第3方向(例えば、Y方向)に沿った第1サイドパッドCPの数、第3方向(例えば、Y方向)に沿ったチャネルボディ220の数、及び第3方向(例えば、Y方向)に沿った第2サイドパッドBPの数は、8より大きくてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、基板200は、バルクシリコン基板のような半導体基板を含み得る。本実施形態において、チャネルボディ220は、エピタキシャル成長プロセスによって形成されていてよく、チャネルボディ220の材料は、単結晶シリコンを含み得る。メモリデバイス20の動作(例えば、プログラミング又は消去)中、チャネルボディ220は、キャリア(例えば、電子又は正孔)を蓄積するために使用され得る。絶縁膜222がキャリア(例えば、電子又は正孔)を蓄積する機能を有する必要はないので、絶縁膜222は、酸化物-窒化物-酸化物(ONO)構造のような電荷蓄積構造体を含まない。換言すると、チャネルボディ220とゲート構造体(すなわち、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216)との間の空間にONO構造は存在しない。一実施形態において、絶縁膜222の材料は、酸化物などの誘電材料を含み、絶縁膜222は、単一層構造体であり得る。一実施形態において、絶縁膜222の材料は、高誘電率材料(高k材料)を含み得る。一実施形態において、第1サイドプラグ240、第2サイドプラグ250、第1サイドパッドCP、第2サイドパッドBP、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216の材料は、半導体材料又は金属材料を含み得る。例えば、第1サイドパッドCP、第2サイドパッドBP、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、及び第3ゲート構造体216は、単結晶シリコン若しくは多結晶シリコン又は金属を含み得る。本発明の上述の要素の材料はこれに限定されるものではないことを理解されたい。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、メモリ構造体20は、積層ゲートオールアラウンドナノシートCMOSプロセスによって形成され得る。縦型チャネルを有するメモリ構造体10と比較すると、横型チャネルを有するメモリ構造体20は、積層されているチャネルボディ220の層をより多く有することができるため、より多くのビットを形成することができ、横型チャネルを有するメモリ構造体20は、より高い密度のメモリセルを有することができ、これはメモリ構造体のサイズの小型化のためにより有益である。
【0045】
図3Aは、本発明の別の実施形態によるメモリ構造体20の等価回路図を示す。
図3B及び3Cは、本発明の別の実施形態によるメモリ構造体20のプログラミング動作及び消去動作のシミュレーション結果を示す。
【0046】
図2及び3Aを同時に参照すると、
図3Aは、
図2における4つの隣接したチャネルボディ220を例示し、例えば、チャネルボディ220、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、並びに第3ゲート構造体216内の第1島構造体2161及び第2島構造体2162の間の交差位置の各々において、トランジスタが形成されている。
図3Aに示すように、同じチャネルボディ220によって接続されたトランジスタTA1、TA2、及びTA3は、共にメモリセルユニットCAを形成し、同じチャネルボディ220によって接続されたトランジスタTB1、TB2、及びTB3は、共にメモリセルユニットCBを形成し、同じチャネルボディ220によって接続されたトランジスタTC1、TC2、及びTC3は、共にメモリセルユニットCCを形成し、同じチャネルボディ220によって接続されたトランジスタTS1、TS2、及びTS3は、共にメモリセルユニットCSを形成する。チャネルボディ220の第1端部220Aは、対応する第1サイドパッドCPに接続されている。異なる層の第1サイドパッドCPは、第1サイドプラグ240に電気的に接続されており、ソース線SLに電気的に接続されている。従って、メモリセルCA、CB、CC、及びCSは、同じソース線SLに接続されている(すなわち、等電位である)。チャネルボディ220の第2端部220Bは、対応する第2サイドパッドBPに接続されており、第2サイドパッドBPの異なる層は、異なる第2サイドプラグ250と電気的に接触し、異なる第2サイドプラグ250は、それぞれ、異なるビット線に電気的に接続されており、例えば、同一層にあるメモリセルCC及びCSは、第1ビット線BL1に電気的に接続されており、同一層にあるメモリセルCA及びCBは、第2ビット線BL2に電気的に接続されている。メモリセルCA、CB、CC、及びCSは、第1ゲート構造体212及び第2ゲート構造体214をそれぞれ共有する。メモリセルCA及びCSは、第3ゲート構造体216内の第1島構造体2161を共有する。メモリセルCB及びCCは、第3ゲート構造体216内の第2島構造体2162を共有する。
【0047】
図2及び3Aに示したメモリ構造体20の動作性能は、技術コンピュータ支援設計(TCAD、Technology Computer Aided Design)ツールを使用したコンピュータシミュレーションによって観測することができ、ここで、メモリセルユニットCSが、選択されたメモリセルユニットであり、他のメモリセルユニットCA、CB、及びCCは、非選択のメモリセルユニット(例えば、禁止されたメモリセルユニット)であり、その結果は、
図3B及び3Cに示してある。シミュレーション中、下記の表1にリストした異なるバイアス電圧を、第1ゲート構造体212、第2ゲート構造体214、第1島構造体2161、第2島構造体2162、第1ビット線BL1、第2ビット線BL2、及びソース線SLに適用して、プログラミング動作モード又は消去動作モードのような異なる動作モードを実行することができる。本実施形態及び図面において、「W1」は、プログラミング動作モードとも呼ばれる、メモリ構造体20のメモリセルを「1」のデータ状態(すなわち、ロジック「1」)にプログラミングする動作モードを示す「書き込み1(write 1)」の略語であり、「W0」は、消去の動作モードとも呼ばれる、メモリ構造体20のメモリセルを「0」のデータ状態(すなわち、ロジック「0」)にプログラミングする動作モードを示す「書き込み0(write 0)」の略語である。
【0048】
【0049】
図3Bに示すように、動作シーケンスが「W0」モードから「W1」モードである場合、選択されたメモリセルユニットCSは、「W1」モードにおいてより高い、例えば約10μA/μmのビット線電流を有し、非選択のメモリセルユニットCA、CB、及びCCは、「W1」モードにおいてより低い、例えば約2μA/μmのビット線電流を有する。本発明の一実施形態の動作方法によれば、「W1」モード後に約8μA/μmのウィンドウが存在してよく、選択されたメモリセルユニットCSを非選択のメモリセルCA、CB、及びCCから区別することができ、メモリセルユニットCA、CB、及びCCの禁止に成功することが分かる。
【0050】
図3Cに示すように、動作シーケンスが「W1」モードから「W0」モードである場合、選択されたメモリセルユニットCSは、「W0」モードにおいてより低い、例えば約0μA/μmのビット線電流を有し、非選択のメモリセルユニットCA、CB、及びCCは、「W0」モードにおいてより高い、例えば約7~10μA/μmのビット線電流を有する。本発明の一実施形態の動作方法によれば、「W0」モード後に少なくとも約7μA/μmのウィンドウが存在してよく、選択されたメモリセルユニットCSを非選択のメモリセルユニットCA、CB、及びCCから区別することができ、メモリセルユニットCA、CB、及びCCの禁止に成功することが分かる。
【0051】
図4A~4Dは、技術コンピュータ支援設計(TCAD)ツールを使用したコンピュータシミュレーションによる動作性能の観測のような、本発明の一実施形態によるメモリ構造体10の異なる動作のシミュレーション結果を示す。
【0052】
シミュレーション中、下記の表2にリストした異なるバイアス電圧を、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、第3ゲート構造体116、ビット線BL(領域120Dに電気的に接続されており、
図1には示していない)に適用して、プログラミング、消去、又は読み取りの動作モードのような異なる動作モードを実行することができる。本実施形態及び添付図面において、「W1」は、メモリ構造体10のメモリセルユニットを「1」のデータ状態(すなわち、ロジック「1」)にプログラミングする、プログラミング動作モードとも呼ばれる動作モードを示す「書き込み1(write 1)」の略語であり、「W0」は、メモリ構造体10のメモリセルユニットを「0」のデータ状態(すなわち、ロジック「0」)にプログラミングする、消去動作モードとも呼ばれる動作モードを示す「書き込み0(write 0)」の略語であり、「読み取り」は、個々のメモリセルの電圧データ状態を検証するためにメモリ構造体10のメモリセルを読み取る動作モードを示す。
【0053】
【0054】
図4Aは、本発明の一実施形態による異なる動作モードにおけるメモリ構造体10の電圧(V)と時間(マイクロ秒、μs)の関係図を示す。
図4Bは、本発明の一実施形態によるメモリ構造体10のプログラミング動作モードにおける第3ゲート構造体116とビット線BLとの間のバンド間トンネリングの発生を示す。
図4Cは、本発明の一実施形態によるメモリ構造体10のプログラミング動作モードW1における、プログラミングパルス時間(秒)と、プログラム済み状態と消去状態との間でのビット線BLの電流差との間の関係を示す図である。
図4Dは、本発明の一実施形態によるプログラミング動作モードW1中及び消去動作モードW0中のメモリ構造体10の第3ゲート構造体116の電圧(V)とビット線電流(A)との間の関係を示す図である。
【0055】
図4Aを参照すると、X軸は時間(μs)を表し、Y軸は電圧(V)を表す。
図4Aは、それぞれ第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、第3ゲート構造体116、及びビット線BLにおける、電圧と、プログラミング動作モードW1、消去動作モードW0、及び読み取り動作モード(読み取り)の時間との間の関係を示す。
【0056】
図4Bを参照すると、プログラミング動作モードW1中の第3ゲート構造体116とビット線BLとの間のバンド間トンネリングの発生を示す、
図1のA-A'線に沿った部分断面図が示されている。ドットの密度が高いほど、バンド間トンネリングがより多く発生する。すなわち、プログラミング動作モードW1では、電子及び正孔が生成され、正孔がチャネルボディ120に流れ込んでチャネルボディ120の電位を上昇させ、その結果、閾値電圧が低下し、電流が増加する。
【0057】
図4Cを参照すると、X軸は、プログラミングパルス時間(秒)を表し、Y軸は、プログラム済み状態と消去状態との間でのビット線BLの電流差(A)を表し、実施形態1~5はそれぞれ、プログラミング動作モードW1中のメモリ構造体10のビット線BLに1V、2V、3V、4V、又は5Vが適用される実施形態を表し、第3ゲート構造体116には、実施形態1~5の全てにおいて1Vが適用される。プログラミング動作モードW1の時間が増加するに従い、より多くの電子及び正孔が生成され、より多くの正孔がチャネルボディ120に流れ込むので、チャネルボディ120内の電流がより高くなり得、消去動作モードW0とプログラミング動作モードW1との間の電流差もより大きくなる。ここで、実施形態1~4と比較すると、実施形態5では、プログラミング動作モードW1と消去動作モードW0との間の電流差がより大きいため、5Vがプログラミング動作モードW1の動作電圧としてより適切である。
【0058】
図4Dを参照すると、X軸は、第3ゲート構造体116の電圧(V)を表し、Y軸は、ビット線電流(A)を表す。同じ電圧で第3ゲート構造体116の結果を読み取ったとき、プログラミング動作モードW1の電流は消去動作モードW0の電流より大きいことが見出され得る。例えば、第3ゲート構造体116の電圧が1.5Vであるとき、プログラミング動作モードW1の電流は約4μAであり、消去動作モードW0の電流は約9μAである。
【0059】
図5A~6Bは、コンピュータシミュレーションによってその動作性能を観測するために、例えば技術コンピュータ支援設計(TCAD)ツールを使用した、バンド間トンネリング機構のシミュレーション結果を示す。
図5Aは、本発明の一実施形態Aによるメモリ構造体10のバンド間トンネリング機構における正孔の分布を示す。
図5Bは、本発明の実施形態Aによるバンド間トンネリング機構におけるメモリ構造体10の保持時間(秒)とビット線電流(μA)との間の関係を示すグラフである。
図6Aは、比較例Aによるメモリ構造体30のバンド間トンネリング機構における正孔の分布を示す。
図6Bは、本発明の比較例Aによるメモリ構造体30の保持時間(μs)とビット線電流(μA)との間の関係を示すグラフである。
図5A及び6Aでは、ドットの密度が高いほど、バンド間トンネリング機構においてより多くのキャリア(例えば、正孔)が生成されている。
【0060】
図5Aを参照すると、A-A'線に沿って見たメモリ構造体10の断面図が示されている。実施形態Aでは、基板100の上面100aに隣接した領域100Dと、チャネルボディ120の第2端部120B(例えば、上部)に隣接した領域120Dの両方が、第1導電型を有しており、例えば、高濃度のN型ドープ(N+)を有していてもよく、領域100Dは、ソース線に対応し、領域120Dは、ビット線に電気的に接続されている。バンド間トンネリングの動作が実行されると、正孔がチャネルボディ120の中間位置(すなわち、第2ゲート構造体114に隣接した位置)に集中する。
【0061】
図6Aを参照すると、メモリ構造体30の断面図が示されている。メモリ構造体30とメモリ構造体10との間の相違点は、メモリ構造体30が2つのゲート構造体(すなわち、第1ゲート構造体312及び第2ゲート構造体314)のみを有し、第3ゲート構造体を有しないことである。比較例Aでは、基板の上面に隣接した領域300Dと、チャネルボディ320の第2端部(例えば、上部)に隣接した領域320Dとの両方が、高濃度のN型ドープ(N+)のような第1導電型を有しており、領域300Dは、ソース線に対応し、領域320Dは、ビット線に電気的に接続されている。バンド間トンネリング機構の動作が実行されると、正孔がチャネルボディ320の低い位置(すなわち、第1ゲート構造体312に隣接した位置)に集中する。
【0062】
図5Bに示すように、実施形態Aでは、保持時間が10
-5秒であるとき、メモリ構造体10のプログラミング動作モードW1と消去動作モードW0との間の電流差は、約10μAであり、保持時間が10
-1秒であるとき、メモリ構造体10のプログラミング動作モードW1と消去動作モードW0との間の電流差は、依然として約2μAに到達し得る。
図6Bに示すように、比較例Aでは、開始時におけるメモリ構造体30のプログラミング動作モードW1と消去動作モードW0との間の電流差は約1.2μAである。しかしながら、時間が80μsに到達すると、メモリ構造体30におけるプログラミング動作モードW1と消去動作モードW0との間の電流差はほとんどなく、そのため、ロジック「1」をロジック「0」から区別するのは不可能である。従って、メモリ構造体10は、メモリ構造体30よりも良好な保持時間を有し得る。
【0063】
メモリ構造体30と比較すると、バンド間トンネリングの動作機構において、正孔がメモリ構造体10内で集中する場所は、
図5A及び6Aに示すように、基板100から遠く離れて(すなわち、ソース線から遠く離れて)いてもよく、そのため、
図5B及び6Bに示すように、漏洩電流が低減し得、キャリアの蓄積位置の損傷が減り、保持時間が増加し得、その結果、メモリ構造体10は、より良好な保持特性を有する。
【0064】
図7Aは、コンピュータシミュレーションによってその動作性能を観測するために、例えば技術コンピュータ支援設計(TCAD)ツールを使用した、サイリスタの動作機構における実施形態B及び比較例Bのシミュレーション結果を示す。
図7Bは、サイリスタの動作機構における実施形態Bの実験結果を示す。
【0065】
実施形態Bは、実施形態Aのものと部分的に類似する特徴を有する。例えば、実施形態Bによるメモリ構造体10は、
図5Aのメモリ構造体10と同一又は同様の外観を有し、3つのゲート構造体(すなわち、第1ゲート構造体112、第2ゲート構造体114、及び第3ゲート構造体116)を有する。比較例Bは、比較例Aのものと類似するいくつかの特徴を有する。例えば、比較例Bによるメモリ構造体30は、
図6Aのメモリ構造体30と同一又は同様の外観を有し、2つのゲート構造体(すなわち、ゲート構造体312及び第2ゲート構造体314)を有する。実施形態Bと実施形態Aとの間の相違点は、実施形態Bによるメモリ構造体10では、チャネルボディ120の第2端部120Bに隣接した領域120Dが、高濃度のP型ドープ(P+)のような第2導電型を有することである。比較例Bと比較例Aとの間の相違点は、比較例Bによるメモリ構造体30では、チャネルボディ320の第2端部に隣接した領域320Dが、第2導電型、例えば、高濃度のP型ドープ(P+)を有することである。
【0066】
図7Aを参照すると、X軸は、ドレイン電圧(Vd)(V)を表し、Y軸は、ドレイン電流(Id)(A)を表す。実線の曲線は、順バイアス(例えば、左から右へのスイープ)を表し、点線の曲線は、逆バイアス(例えば、右から左へのスイープ)を表す。同じドレイン電流下における実線の曲線と点線の曲線との間の距離は、サイリスタウィンドウのサイズを表し、すなわち、サイリスタウィンドウがより大きいとき、プログラミング動作モードW1と消去動作モードW0との間の電流差はより大きく、ロジカル「1」とロジカル「0」とを区別することがより容易になる。
図7Aに示すように、実施形態Bによるメモリ構造体10では、ドレイン電流が1μAであるとき、サイリスタウィンドウは約2Vである。比較例Bによるメモリ構造体30では、ドレイン電流が1μAであるとき、サイリスタウィンドウは約0.3Vである。比較例Bによるメモリ構造体30と比較すると、実施形態Bによるメモリ構造体10は、ロジック「1」とロジック「0」とを区別するのにより有益である、より大きなサイリスタウィンドウを有し得ることが分かる。
【0067】
図7Bを参照すると、X軸は、ビット線バイアス(V)を表し、Y軸は、ビット線電流(A)を表す。実線により形成された曲線は、順バイアス(例えば、左から右へのスイープ)を表し、点線から形成された曲線は、逆バイアス(例えば、右から左へのスイープ)を表す。実験結果から、実施形態Bによるメモリ構造体10は、実際にロジック「1」とロジック「0」とを区別できることが分かる。例えば、
図7Bに示したように、ビット線電圧が1.5Vであるとき、電流ウィンドウにおける6桁の差のような、異なる大きさの電流が区別され得る。
【0068】
さらに、実施形態Bによるメモリ構造体10の領域120Dは高濃度のP型ドープ(P+)を有するため、実施形態Aによるメモリ構造体10(すなわち、バンド間トンネリング機構を使用するもの)と比較して多くの正孔がそれ自体に存在し、実施形態Bによるメモリ構造体10(すなわち、サイリスタ機構を使用するもの)は、正孔をより低い動作電圧でチャネルボディ120内に移動させることができ、生成される電界はより低くなり得、その結果、保持時間を延長でき、耐久特性が向上し得る。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、NORメモリに適用され得る、3つのゲートを有するフローティングボディセルDRAM(FBC DRAM)が提供される。
【0070】
ゲート構造体を2つのみ有するメモリ構造体と比較すると、本発明の一実施形態によるメモリ構造体は、3つのゲート構造体を有し、ゲートの長さの調整においてより高い柔軟性を有し、フローティングボディ内の電位が比較的安定し得、これにより、メモリウィンドウが改善される。さらに、キャリア(例えば正孔)は、ソースから遠く離れておりデータ保持がより良好である、チャネルボディの中央部(すなわち、チャネルボディにおいて第2ゲート構造体に隣接した位置)に蓄積され得る。さらに、3ゲート構造(すなわち、3つのビット線)は、より柔軟な動作方法を提供することができ、その結果、キャリア生成を改善することができ、データ保持を維持するためにバイアスを適用する際のオプションが増える。
【0071】
本発明を例として、また好ましい実施形態の観点から説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、様々な修正並びに同様の構成及び手順をカバーすることを意図しており、従って、添付の特許請求の範囲には、そのような修正並びに同様の構成及び手順の全てを網羅するために最も広義の解釈が与えられるべきである。