IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両の前部構造 図1
  • 特許-車両の前部構造 図2
  • 特許-車両の前部構造 図3
  • 特許-車両の前部構造 図4
  • 特許-車両の前部構造 図5
  • 特許-車両の前部構造 図6
  • 特許-車両の前部構造 図7
  • 特許-車両の前部構造 図8
  • 特許-車両の前部構造 図9
  • 特許-車両の前部構造 図10
  • 特許-車両の前部構造 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20240702BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B62D25/12 M
B62D25/08 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020029313
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021133716
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】池田 征弘
(72)【発明者】
【氏名】平井 稔泰
(72)【発明者】
【氏名】茶園 匠音
(72)【発明者】
【氏名】池田 剛
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-95056(JP,A)
【文献】特開2009-166603(JP,A)
【文献】特開2015-9574(JP,A)
【文献】特開2008-1154(JP,A)
【文献】特開2009-107413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部で車幅方向に延在するフロントエンドアッパーバーと、
前記フロントエンドアッパーバーの下部に配置され、車幅方向に延在するフロントエンドクロスメンバーと、
前記フロントエンドアッパーバーと前記フロントエンドクロスメンバーとの間に配置され、前記フロントエンドクロスメンバーによって下方から保持されるラジエータと、
フード閉時の荷重を吸収するダンパと、
前記フロントエンドアッパーバーの上部に取り付けられ、前記ダンパを前記フロントエンドアッパーバーに対して保持させるフードダンパブラケットと、
前記ラジエータを上方から保持する保持部と、
前記フロントエンドアッパーバーの下部に取り付けられ、前記保持部を前記フロントエンドアッパーバーに対して保持させるラジエータ保持ブラケットと、
を備え、
前記保持部は、ゴムブッシュであって、
前記ラジエータ保持ブラケットと前記フードダンパブラケットとは、各々の少なくとも一部分が鉛直線上に配置されていることを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記フードダンパブラケットは、前記ダンパの取付部から分岐形成された複数の脚部を有し、
前記複数の脚部が前記フロントエンドアッパーバーの上部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記ラジエータ保持ブラケットは、前記保持部の取付部から分岐形成された複数の脚部を有し、
前記複数の脚部が前記フロントエンドアッパーバーの下部に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記ラジエータ保持ブラケットの前記複数の脚部には、前記フロントエンドアッパーバーの縁部に対応する形状をなす複数のフランジ部が設けられ、
前記複数の脚部は、前記複数のフランジ部において前記フロントエンドアッパーバーの下部を支持しつつ取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記フードダンパブラケットの前記複数の脚部と前記フロントエンドアッパーバーとの取付部と、前記ラジエータ保持ブラケットの前記複数の脚部と前記フロントエンドアッパーバーとの取付部とは、少なくとも一つの一対の該取付部が鉛直線上に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記フロントエンドアッパーバーの車幅方向側端部にそれぞれ連結される一対のフロントエンドアッパーバーサイドをさらに備え、
前記フードダンパブラケットおよび前記ラジエータ保持ブラケットは、前記フロントエンドアッパーバーと前記フロントエンドアッパーバーサイドとの連結部に配置されていることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の車両前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部で車幅方向に延在する車両骨格部材としてのフロントエンドアッパーバーの上部に、フード閉時の荷重を吸収するダンパを保持するフードダンパブラケットを取り付けた車両の前部構造が知られている(特許文献1参照)。
上記フロントエンドアッパーバーは、断面形状が下方に開放されたハット状を呈している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-1154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両の前部構造において、フードを閉じた場合、フードからダンパ、フードダンパブラケットを介してフロントエンドアッパーバーに荷重が入力するが、フロントエンドアッパーバーはその断面形状がハット状であることから車両前部の骨格断面強度を確保する点で不利となり、フード閉時の荷重による負荷の蓄積に伴ってフロントエンドアッパーバーの変形が生じることが懸念される。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、車両前部の骨格断面強度を向上させると共に、フード閉時の荷重を下方へと効率的に分散し、負荷の蓄積に伴う変形を防止する上で有利な車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、車両前部で車幅方向に延在するフロントエンドアッパーバーと、前記フロントエンドアッパーバーの下部に配置され、車幅方向に延在するフロントエンドクロスメンバーと、前記フロントエンドアッパーバーと前記フロントエンドクロスメンバーとの間に配置され、前記フロントエンドクロスメンバーによって下方から保持されるラジエータと、フード閉時の荷重を吸収するダンパと、前記フロントエンドアッパーバーの上部に取り付けられ、前記ダンパを前記フロントエンドアッパーバーに対して保持させるフードダンパブラケットと、前記ラジエータを上方から保持する保持部と、前記フロントエンドアッパーバーの下部に取り付けられ、前記保持部を前記フロントエンドアッパーバーに対して保持させるラジエータ保持ブラケットと、を備え、前記ラジエータ保持ブラケットと前記フードダンパブラケットとは、各々の少なくとも一部分が鉛直線上に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
ラジエータ上部保持ブラケットとフードダンパブラケットとは、各々の少なくとも一部分が鉛直線上に配置されているので、車両前部の骨格断面強度を向上させる上で有利となる。
また、フード閉時にダンパからフードダンパブラケットに入力する荷重をフードダンパブラケットおよびラジエータ上部保持ブラケットを介して下方へと効率的に分散することができるため、フードを閉じるたびに加わる負荷の蓄積に伴うフロントエンドアッパーバーの変形を防止する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態の車両の前部構造の正面図である。
図2】実施の形態の車両の前部構造の分解斜視図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4図1のB-B線断面図である。
図5図1のC-C線断面図である。
図6】フロントエンドアッパーバーに取り付けられたフードダンパブラケットとラジエータ保持ブラケットを車両前方から見た図である。
図7図6のD-D線断面図である。
図8図6のE-E線断面図である。
図9】フロントエンドアッパーバーに取り付けられたフードダンパブラケットとラジエータ保持ブラケットを車両前方の斜め下方から見た図である。
図10】ラジエータ保持ブラケットを車両後方の上方から見た斜視図である。
図11】ラジエータ保持ブラケットを車両前方の下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号OUTは車幅方向外側を示す。
【0009】
本実施の形態では、発明が適用される車両が化石燃料をエネルギーとして使用する内燃機関を駆動源とする場合について説明するが、本発明は、モータのみを駆動源とする電気自動車、あるいは、ハイブリッド車、あるいは、プラグインハイブリッド車などの電動車に広く適用可能である。
【0010】
図1図2に示すように、ダッシュパネルの車両前方の車両前部空間Sは、エンジンルームとして利用される。
車両前部空間S内の車幅方向の両側部には、車両骨格部材として、一対のサイドメンバ12と、一対のヘッドランプサポート14と一対のフロントエンドアッパーバーサイド16とが位置している。
一対のサイドメンバ12は、車幅方向に間隔をおいて車体10の前後方向に延在している。
一対のヘッドランプサポート14は、一対のサイドメンバ12の前端に連結されそれぞれ車幅方向両側で上下方向に延在している。
ヘッドランプサポート14は、車両前方を向いて上下方向に延在する前面板部1402と、前面板部1402の車幅方向両側から車両後方に屈曲された一対の側面板部1404と、一対の側面板部1404の後端から互いに離れる方向に突設された一対のフランジ1406とを備えている。
【0011】
図2図5に示すように、ヘッドランプサポート14の上端には、中間ブラケット18が取り付けられている。
中間ブラケット18は、上方を向いた上面部1802と、上面部1802の車両前端から下方に延在する前面部1804と、前面部1804の下端から車両前方に突設された前フランジ1806と、上面部1802の車両後端から下方に延在する後面部1808と、後面部1806の下端から車両後方に延在する後フランジ1810とを備えている。
ヘッドランプサポート14の上端は中間ブラケット18の前面部1804と後面部1808の間に挿入され、ヘッドランプサポート14の前板部1402に中間ブラケット18の前面部1804が重ね合わされ、ヘッドランプサポート14の一対のフランジ1406に中間ブラケット18の後面部1808が重ね合わされた状態でそれら重ね合わされた箇所が溶接により接合されている。
【0012】
図1図2に示すように、一対のフロントエンドアッパーバーサイド16は、ヘッドランプサポート14の上端でフロントエンドアッパーバー20の車幅方向両端に連結されると共に、車両後方に延在して不図示の一対のアッパーフレームの車両前端に連結されている。
図2図5に示すように、フロントエンドアッパーバーサイド16は、その断面が下方に開放状のハット状を呈しており、フロントエンドアッパーバーサイド16は、上方を向いて車両前後方向斜めに延在する上面部サイド1602と、上面部サイド1602の車幅方向外側の端部から下方に延在する外面部サイド1604と、外面部サイド1604の下端から車幅方向外側に延在する外フランジサイド1606と、上面部サイド1602の車幅方向内側の端部から下方に延在する内面部サイド1608と、内面部サイド1608の下端から車幅方向内側に延在する内フランジサイド1610とを含んで構成されている。
【0013】
図1に示すように、車両前部空間Sの前端には、すなわち車体10の前部には、車両骨格部材としてフロントエンドアッパーバー20とフロントエンドクロスメンバー26が位置している。
フロントエンドアッパーバー20は、車両前部で車幅方向に延在し、言い換えると、車両前部空間Sの前端の上部で車幅方向に延設され、一対のヘッドランプサポート14の上端間および一対のフロントエンドアッパーバーサイド16の前端間を連結している。言い換えると、フロントエンドアッパーバー20の車幅方向側端部にそれぞれ一対のフロントエンドアッパーバーサイドが連結されている。
【0014】
図1図2に示すように、フロントエンドアッパーバー20は、フロントエンドアッパーバーアッパー22と、フロントエンドアッパーバーアッパー22の下方からその内側に組み込まれたフロントエンドアッパーバーロア24とを含んで構成されている。
図2図5に示すように、フロントエンドアッパーバーアッパー22は、その断面形状が下方に開放状のハット状を呈し、上面部アッパー2202と、前面部アッパー2204と、前フランジアッパー2206と、後面部アッパー2208と、後フランジアッパー2210とを含んで構成されている。
上面部アッパー2202は、上方を向いて車幅方向に延在している。
前面部アッパー2204は、上面部アッパー2202の車両前端から下方に延在している。
前フランジアッパー2206は、前面部アッパー2204の下端から車両前方に延在している。
後面部アッパー2208は、上面部アッパー2202の車両後端から下方に延在している。
後フランジアッパー2210は、後面部アッパー2208の下端から車両後方に延在している。
前フランジアッパー2206および後フランジアッパー2210から上面部アッパー2202までの寸法は、すなわち、上面部アッパー2202の高さ、言い換えるとフロントエンドアッパーバーアッパー22の高さH1(図1図5参照)は車幅方向に沿って均一に形成されている。
【0015】
図2図5に示すように、フロントエンドアッパーバーロア24は、下方に開放状のハット状を呈し、上面部ロア2402と、前面部ロア2404と、前フランジロア2406と、後面部ロア2408と、後フランジロア2410とを含んで構成されている。
上面部ロア2402は、最も上位に位置し上方を向いて車幅方向に延在している。
前面部ロア2404は、上面部ロア2402の車両前端から下方に延在している。
前フランジロア2406は、最も下位に位置し前面部ロア2404の下端から車両前方に延在している。
後面部ロア2408は、上面部ロア2402の車両後端から下方に延在している。
後フランジロア2410は、最も下位に位置し後面部ロア2408の下端から車両後方に延在し、したがって、前フランジロア2406と後フランジロア2410は、フロントエンドアッパーバーロア24の延在方向と直交する方向に離れている。
図5に示すように、上面部ロア2402は、上面部アッパー2202の下方に離れた箇所に配置され、前面部ロア2404は、前面部アッパー2204の車両後方に離れた箇所に配置され、後面部ロア2408は、後面部アッパー2208の車両前方に離れた箇所に配置されている。
そして、前フランジロア2406の上面に前フランジアッパー2206が重ね合わされ溶接により接合され、後フランジロア2410の上面に後フランジアッパー2210が重ね合わされ溶接により接合され、フロントエンドアッパーバーアッパー22とフロントエンドアッパーバーロア24との2つの部材からなるフロントエンドアッパーバー20が構成されている。
【0016】
フロントエンドアッパーバー20において、前フランジロア2406および後フランジロア2410から上面部ロア2402までの寸法は、すなわち、上面部ロア2402の高さは、言い換えるとフロントエンドアッパーバーロア24の高さH2(図1図5参照)は車幅方向中央部が低く車幅方向の両側部が高く形成されている。
本実施の形態では、図1図2に示すように、上面部ロア2402は、高さが最も低い均一の高さの車幅方向中央部2402Aと、車幅方向中央部2402Aの車幅方向両端から車幅方向外側に至るにつれて上面部ロア2402の高さが次第に大きくなる中間部2402Bと、中間部2402Bの車幅方向両端から高さが最も高い均一の高さで車幅方向両端に至る両側の車幅方向側部2402Cとを含んで構成されている。
【0017】
図3に示すように、上面部ロア2402の車幅方向中央部2402Aが位置するフロントエンドアッパーバー20の車幅方向中央部20Aは、上下方向において互いに対向する上面部アッパー2202と上面部ロア2402と、車両前後方向において互いに対向する前面部アッパー2204と後面部アッパー2208とによって囲まれた断面が矩形状の閉断面構造、言い換えるとボックス形状となっている。
また、図1図4に示すように、上面部ロア2402の中間部2402Bが位置するフロントエンドアッパーバー20の中間部20Bは、車幅方向側部2402Cに至るにつれて前面部ロア2404の上下方向の寸法と後面部ロア2408との上下方向の寸法とが次第に大きくなると共に、車幅方向側部2402Cに至るにつれて上面部アッパー2202と上面部ロア2402との間隔が次第に小さくなるように設けられ、フロントエンドアッパーバーロア24とフロントエンドアッパーバーアッパー22とで囲まれた空間がハット形状を呈している。
また、図1図5に示すように、上面部ロア2402の車幅方向側部2402Cが位置するフロントエンドアッパーバー20の車幅方向側部20Cでは、前面部アッパー2204の上下方向の寸法と後面部アッパー2208の上下方向の寸法が最も大きく、かつ、前面部ロア2404の上下方向の寸法と後面部ロア2408との上下方向の寸法が最も大きく、上面部アッパー2202と上面部ロア2402とが近接している。
また、フロントエンドアッパーバー20の車幅方向側部20Cでは、上下方向において僅かな隙間を介在させて互いに対向する上面部アッパー2202と上面部ロア2402と、車両前後方向において僅かな隙間を介在させて互いに対向する前面部アッパー2204と前面部ロア2404と、かつ、車両前後方向において僅かな隙間を介在させて互いに対向する後面部アッパー2208と後面部ロア2408とで囲まれた空間がハット形状を呈している。
したがって、一対のヘッドランプサポート14の上端で、一対のフロントエンドアッパーバーサイド16の前端はフロントエンドアッパーバーロア24の車幅方向の両側の車幅方向側部2402Cの内部に組み込まれている。
【0018】
フロントエンドアッパーバー20とヘッドランプサポート14とフロントエンドアッパーバーサイド16との連結は以下のようになされている。
図5に示すように、ヘッドランプサポート14の上端に上述のように中間ブラケット18が接合されている。
ヘッドランプサポート14の上端の中間ブラケット18の上面部1802の上に、フロントエンドアッパーバーサイド16の上面部サイド1602が重ねられ、この上面部サイド1602の上に、フロントエンドアッパーバー20の上面部ロア2402が重ねられ、それらはボルトB1とウェルドナットN1を介して中間ブラケット18の上面部1802に取り付けられている。なお、ヘッドランプサポート14の上端の上方にはフロントエンドアッパーバーアッパー22の上面部アッパー2202の欠部2220が位置しており、上面部アッパー2202は中間ブラケット18の上面部1802に取り付けられていない。
また、中間ブラケット18の前フランジ1806の上にフロントエンドアッパーバーサイド16の外フランジサイド1606が重ねられ、この外フランジサイド1606の上にフロントエンドアッパーバーロア24の前フランジロア2406と、フロントエンドアッパーバーアッパー22の前フランジアッパー2206とが重ねられ、それらはボルトB2とウェルドナットN2を介して中間ブラケット18の前フランジ1806に取り付けられている。
また、中間ブラケット18の後フランジ1810の上にフロントエンドアッパーバーサイド16の内フランジサイド1610が重ねられ、この内フランジサイド1610の上にフロントエンドアッパーバーロア24の後フランジロア2410と、フロントエンドアッパーバーアッパー22の後フランジアッパー2210とが重ねられ、それらはボルトB3とウェルドナットN3を介して中間ブラケット18の後フランジ1810に取り付けられている。
このように、ヘッドランプサポート14とフロントエンドアッパーバー20とフロントエンドアッパーバーサイド16とが連結される箇所の断面形状は、下方に開放されたハット形状となっている。
【0019】
また、フロントエンドアッパーバー20とヘッドランプサポート14とフロントエンドアッパーバーサイド16とをボルトB1、B2、B3を用いて着脱可能に連結したので、フロントエンドアッパーバー20を簡単に取り付け取り外すことができ、フロントエンドアッパーバー20の下部に対するラジエータ36などの部品の着脱作業の効率化が図られている。
また、フロントエンドアッパーバー20とヘッドランプサポート14とフロントエンドアッパーバーサイド16とが連結された状態で、フロントエンドアッパーバーロア24の前面部ロア2404とフロントエンドアッパーバーサイド16の外面部サイド1604との間、フロントエンドアッパーバーロア24の後面部ロア2408とフロントエンドアッパーバーサイド16の内面部サイド1608との間、フロントエンドアッパーバーサイド16の外面部サイド1604と中間ブラケット18の前面部1804との間、フロントエンドアッパーバーサイド16の内面部サイド1608と中間ブラケット18の後面部1808との間に、それぞれ隙間が確保されている。
このような隙間が確保されることにより、防錆処理のために車体10を防錆液に浸漬した際に防錆液が隙間を介してフロントエンドアッパーバーロア24、フロントエンドアッパーバーサイド16、中間ブラケット18の間に確実に浸透し、防錆処理が確実に効率よく行われるように図られている。
なお、中間ブラケット18は省略してもよいが、中間ブラケット18を設けると、フロントエンドアッパーバー20とヘッドランプサポート14とフロントエンドアッパーバーサイド16との連結箇所の強度、剛性を高め、耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0020】
また、図1図2図3に示すように、フロントエンドアッパーバー20の車幅方向中央部20Aには、フードを係止するラッチ機構28を支持する取り付けブラケット30が取り付けられている。
取り付けブラケット30は、前板部3002と、後板部3004とを備えている。
前板部3002の下端の取り付け片3002Aが前面部アッパー2204に重ね合わされて溶接により接合されると共に、後板部3004の取り付け片3004Aが上面部アッパー2202に重ね合わされて溶接により接合され、前板部3002の上端3002Bと後板部3004の上端3004Bは重ね合わされて溶接により接合されている。
このように取り付けブラケット30がフロントエンドアッパーバー20の車幅方向中央部20Aに取り付けられた状態で前板部3002は斜め下方を向いており、詳細には、前板部3002は上方に至るにつれて次第に前方に変位する傾斜をもって配置され、この前板部3002の車両前方を向いた前面2602Cにラッチ機構28が取り付けられている。
【0021】
また、図1図2に示すように、フロントエンドアッパーバー20の上部に(本実施の形態では車幅方向側部20Cの上部に)、フード閉時の荷重を吸収するダンパ32をフロントエンドアッパーバー20に対して保持させるフードダンパブラケット34が取り付けられている。
言い換えると、一対のフードダンパブラケット34がフロントエンドアッパーバー20の延在方向の両側部に設けられている。
図6図7に示すように、フードダンパブラケット34は、ダンパ32が取り付けられる取付部3402と、取付部3402の車両前端から下方に延在する第1脚部3404と、取付部3402の車幅方向の両端から下方に延在する一対の第2脚部3406とを含んで構成されている。
言い換えると、フードダンパブラケット34は、取付部3402から分岐形成された複数の脚部3402、3404を有している。
第1脚部3404の車幅方向の中央には、車両前方に突出しつつ上下方向に延在する前面ブラケットビード3408が形成されている。
第1脚部3404の下端の屈曲部3404Aは、車両前方からフロントエンドアッパーバー20の前面部アッパー2204に溶接により接合されている。
一対の第2脚部3406の車両前後方向に沿った幅方向の中央には、互いに離間する方向に突出しつつ上下方向に沿って延在する側面ブラケットビード3410が形成されている。
一対の第2脚部3406の下端の屈曲部3406Aは、フロントエンドアッパーバー20の上面部アッパー2202に溶接により接合されている。
すなわち、複数の脚部3404、3406がフロントエンドアッパーバー20の上部に取り付けられている。
このようにフードダンパブラケット34がフロントエンドアッパーバー20に取り付けられた状態で、図7に示すように、取付部3402はその前部がその後部よりも低い箇所に位置するように傾斜しており、第1脚部3404と一対の第2脚部3406は上方に至るにつれて車両前方に位置するように傾斜しており、これによりダンパ32の軸心は車両前方に傾斜している。
【0022】
また、図8に示すように、ダンパ32のフードダンパブラケット34の前面ブラケットビード3408の車幅両側に対応する前面部ロア2404の箇所に、車両前方に突出しつつ上下方向に延在する一対の前面部ロアビード2420が車幅方向に間隔をおいて設けられている。
一対の前面部ロアビード2420の車両前方の箇所(突出端)は、車両後方から前面部アッパー2204に溶接により接合され、第1脚部3404が車両前方から前面部アッパー2204に接合される箇所と、一対の前面部ロアビード2420の車両前方の箇所が車両後方から前面部アッパー2204に接合される箇所とは、車両前方から見ると前面ブラケットビード3408の車幅方向両側においてオーバーラップしている。
したがって、前面ブラケットビード3408と一対の前面部ロアビード2420とが車幅方向に並べられることになり、第1脚部3404が取着されるフロントエンドアッパーバー20の箇所の強度、剛性が確保されている。
【0023】
図1に示すように、フロントエンドクロスメンバー26は、フロントエンドアッパーバー20の下部に配置され車幅方向に延在し一対のヘッドランプサポート14の下端間を連結している。
一対のヘッドランプサポート14の間でフロントエンドアッパーバー20とフロントエンドクロスメンバー26と間にラジエータ36が配置され、ラジエータ36はフロントエンドクロスメンバー26によって下方から保持されている。
本実施の形態では、ラジエータ36が、エンジンを冷却する冷却水の熱交換を行なうラジエータである場合について説明するが、車両がモータを駆動源とする電動車である場合は、ラジエータ36は、モータを冷却するオイルの熱交換を行なうラジエータを含むものであってもよい。
【0024】
ラジエータ36の下部はフロントエンドクロスメンバー26の延在方向の両側部の上部に取り付けられたラジエータ下部保持ブラケット38に、下部の保持部を構成する不図示の弾性部材(ゴムブッシュ)を介して保持されている。
言い換えると、ラジエータ36は下部の保持部により下方から保持され、下部の保持部はラジエータ下部保持ブラケット38によりフロントエンドクロスメンバー26に対して保持されている。
ラジエータ36の上部はフロントエンドアッパーバー20の延在方向の両側部(車幅方向側部20C)の下部に取り付けられたラジエータ上部保持ブラケット40(本発明のラジエータ保持ブラケットに相当)に、上部の保持部を構成する不図示の弾性部材(ゴムブッシュ)を介して保持されている。
言い換えると、ラジエータ36は上部の保持部により上方から保持され、上部の保持部はラジエータ上部保持ブラケット40によりフロントエンドアッパーバー20に対して保持されている。
【0025】
図10図11に示すように、ラジエータ上部保持ブラケット40は、取付部4002と、第1脚部4004と、一対の第2脚部4006と、第1フランジ部4008と、一対の第2フランジ部4010と、一対の第3フランジ部4012とを含んで構成されている。
すなわち、ラジエータ上部保持ブラケット40は、取付部4002から分岐形成された複数の脚部4004,4006を有している。
また、それら複数の脚部4004,4006には、フロントエンドアッパーバー20の縁部に対応する形状をなす複数のフランジ部4008,4010,4012が設けられている。
図7図9に示すように、取付部4002は、ラジエータ上部保持ブラケット40がフロントエンドアッパーバー20に取り付けられた状態でその長手方向が車両前後方向を向いた細長の矩形状を呈している。
取付部4002の車両前方寄りの箇所には取り付け孔4014が貫通形成され、この取り付け孔4014に不図示の弾性部材(ゴムブッシュ)が装着され、この弾性部材38にラジエータ36の上面から突出された軸部が圧入されることでラジエータ36の上部と取付部4002とが連結されている。
【0026】
第1脚部4004は取付部4002の車両前端から上方に起立している。
一対の第2脚部4006は、取付部4002の車幅方向両端から上方に起立している。
第1脚部4004の車幅方向両端と一対の第2脚部4006の車両前端とは屈曲部を介して連結されている。
第1フランジ部4008は、第1脚部4004の上端から車両前方に取付部4002と平行して延在しており、図7図9に示すように、第1フランジ部4008は、その上面がフロントエンドアッパーバーロア24の前フランジロア2406の下面に重ね合わされて溶接により接合されている。すなわち、第1フランジ部4008は、フロントエンドアッパーバー20の車両前後方向の前部下端に接合されている。
一対の第2フランジ部4010は、一対の第2脚部4006の上端から互いに離間する方向で取付部4002と平行して延在しており、第1フランジ部4008と一対の第2フランジ部4010とは同一平面上を延在している。
図7図9に示すように、一対の第2フランジ部4010の上面は、フロントエンドアッパーバーロア24の後フランジロア2410の下面に重ね合わされて溶接により接合されている。すなわち、一対の第2フランジ部4010は、フロントエンドアッパーバー20の車両前後方向の後部下端に接合されている。
【0027】
一対の第3フランジ部4012は、一対の第2フランジ部4010の車両前端から上方に起立し、車両前後方向を向いて車幅方向で同一平面上を延在している。
図7図9に示すように、一対の第3フランジ部4012は、その車両後方を向いた後面がフロントエンドアッパーバーロア24の内部で後面部ロア2408の前面の下部に重ね合わされて溶接により接合されている。すなわち、第3フランジ部4012は、フロントエンドアッパーバー20の内部でフロントエンドアッパーバー20の壁面に接合されている。
言い換えると、第1脚部4004、一対の第2脚部4006、第3脚部4008は、フロントエンドアッパーバー20の下部に取り付けられている。
また、第1脚部4004、一対の第2脚部4006、第3脚部4008は、第1フランジ部4012,一対の第2フランジ部4010、一対の第3フランジ部4012においてフロントエンドアッパーバー20の下部を支持しつつ取り付けられている。
第1フランジ部4008と一対の第3フランジ部4012とは、図10に示すように、第1脚部4004および一対の第2脚部4006により連結され、言い換えると、ラジエータ上部保持ブラケット40は第1フランジ部4008と一対の第3フランジ部4012とを連結する壁部を含んで構成されている。
なお、本実施の形態では、第3フランジ部4012が第2フランジ部4010から起立している場合について説明したが、第3フランジ部4012は第1フランジ部4008から起立していてもよい。
図1図6図9に示すように、ラジエータ上部保持ブラケット40とフードダンパブラケット34とは、各々の少なくとも一部分が鉛直線上に配置されている。
すなわち、フードダンパブラケット34の複数の脚部3404、3406とフロントエンドアッパーバー20との取付部3402と、ラジエータ上部保持ブラケット40の複数の脚部4004、4006とフロントエンドアッパーバー20との取付部4002とは、少なくとも一つの一対の該取付部3402、4002が鉛直線上に配置されている。
また、フードダンパブラケット34およびラジエータ上部保持ブラケット40は、フロントエンドアッパーバー20とフロントエンドアッパーバーサイド16との連結部に配置されている。
【0028】
また、図6図8に示すように、車幅方向においてフードダンパブラケット34の前面ブラケットビード3408およびフロントエンドアッパーバーロア24の一対の前面部ロアビード2420と、ラジエータ上部保持ブラケット40とは同じ位置に位置している。
これにより、フードダンパブラケット34が設けられたフロントエンドアッパーバー20の箇所をラジエータ上部保持ブラケット40によって補強する上で有利となり、フードを閉じる際に入力する荷重に対するフロントエンドアッパーバー20の延在方向の両側部の箇所の強度、剛性を高める上で有利となる。
【0029】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、ラジエータ上部保持ブラケット40とフードダンパブラケット34とは、各々の少なくとも一部分が鉛直線上に配置されているので、車両前部の骨格断面強度を向上させる上で有利となる。
また、フード閉時にダンパ32からフードダンパブラケット34に入力する荷重をフードダンパブラケット34およびラジエータ上部保持ブラケット40を介して下方へと効率的に分散することができるため、フードを閉じるたびに加わる負荷の蓄積に伴うフロントエンドアッパーバー20の変形を防止する上で有利となる。
また、既存の一対のラジエータ上部保持ブラケット40とフードダンパブラケット34とを利用しているため、フロントエンドアッパーバー20に専用の補強部材を設ける必要がなく、部品コストの抑制を図る上で、車体10の軽量化を図る上でも有利となる。
【0030】
また、本実施の形態では、フードダンパブラケット34は、ダンパ32の取付部3402から分岐形成された複数の脚部3404、3406を有し、複数の脚部3404、3406がフロントエンドアッパーバー20の上部に取り付けられている。
したがって、複数の脚部3404、3406を介してフード閉時にダンパ32からフードダンパブラケット34に入力する荷重を効率的にフロントエンドアッパーバー20へ分散させる上で有利となり、フード閉時に加わる負荷の蓄積に伴うフロントエンドアッパーバー20の変形を防止する上でより有利となる。
【0031】
また、本実施の形態では、ラジエータ上部保持ブラケット40は、上部の保持部の取付部4002から分岐形成された複数の脚部4004、4006を有し、複数の脚部4004、4006がフロントエンドアッパーバー20の下部に取り付けられている。
したがって、ラジエータ上部保持ブラケット40は、上方から伝達された荷重を効率的に下方へ伝達させて逃がすことができ、フード閉時に加わる負荷の蓄積に伴うフロントエンドアッパーバー20の変形を防止する上でより有利となる。
【0032】
また、本実施の形態では、ラジエータ上部保持ブラケット40の複数の脚部4004、4006には、フロントエンドアッパーバー20の縁部に対応する形状をなす複数のフランジ部4008,4010,4012が設けられ、複数の脚部4008,4010,4012は、複数のフランジ部4004,4006においてフロントエンドアッパーバー20の下部を支持しつつ取り付けられている。
したがって、フロントエンドアッパーバー20を断面補強する上で有利となる。
また、ラジエータ上部保持ブラケット40をフロントエンドアッパーバー20に対してより強固に保持し、ラジエータ36の取り付け機能を向上させる上でより有利となる。
【0033】
また、本実施の形態では、フードダンパブラケット34の複数の脚部3404、3406とフロントエンドアッパーバー20との取付部3402と、ラジエータ上部保持ブラケット40の複数の脚部4008,4010,4012とフロントエンドアッパーバー20との取付部4002とは、少なくとも一つの一対の該取付部が鉛直線上に配置されている。
したがって、フード閉時の荷重をフードダンパブラケット34およびラジエータ上部保持ブラケット40を介してより効率的に下方へ伝達させて逃がす上で有利となり、フード閉時に加わる負荷の蓄積に伴うフロントエンドアッパーバー20の変形を防止する上でより有利となる。
【0034】
また、本実施の形態では、フードダンパブラケット34およびラジエータ上部保持ブラケット40は、フロントエンドアッパーバー20とフロントエンドアッパーバーサイド16との連結部に配置されている。
したがって、フロントエンドアッパーバー20とフロントエンドアッパーバーサイド16との部品結合部剛性を向上させる上で有利となり、そのため、車体10のねじれに対する強度、剛性を高め、操安剛性を向上させる上で有利となる。
【符号の説明】
【0035】
10 車体
12 サイドメンバ
14 ヘッドランプサポート
16 フロントエンドアッパーサイド
20 フロントエンドアッパーバー
22 フロントエンドアッパーバーアッパー
24 フロントエンドアッパーバーロア
26 フロントエンドクロスメンバー
32 ダンパ
34 フードダンパブラケット
3402 取付部
3404 第1脚部
3406 第2脚部
36 ラジエータ
40 ラジエータ上部保持ブラケット(ラジエータ保持ブラケット)
4004 第1脚部
4006 第2脚部
4008 第1フランジ部
4010 第2フランジ部
4012 第3フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11