(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240702BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/01 J
G03G15/01 114
(21)【出願番号】P 2020034893
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下平 彬
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-234891(JP,A)
【文献】特開2000-298413(JP,A)
【文献】特開2017-116591(JP,A)
【文献】特開2015-138203(JP,A)
【文献】特開2016-184036(JP,A)
【文献】特開2013-200361(JP,A)
【文献】特開2019-167169(JP,A)
【文献】特開平06-110338(JP,A)
【文献】特開2015-169672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00-13/02
13/14-13/16
13/34-15/02
15/14-15/16
15/36
21/00-21/04
21/10-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一帯電像が静電的に保持された記録媒体の該保持面に対して、重ねられた複数の第二帯電像を転写する転写部と、
前記転写部より前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記第一帯電像が静電的に保持された記録媒体を除電する除電部と、
を有し、
前記除電部は、
前記記録媒体の種類が高抵抗種類である場合において、前記記録媒体を除電し、
前記記録媒体の種類が高抵抗種類でない場合において、前記除電を行わない
画像形成装置。
【請求項2】
第一帯電像が静電的に保持された記録媒体の該保持面に対して、重ねられた複数の第二帯電像を転写する転写部と、
前記転写部より前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記第一帯電像が静電的に保持された記録媒体を除電する除電部と、
を有し、
前記除電部は、
前記記録媒体の種類が高抵抗種類である場合において、当該種類が高抵抗種類でない場合
よりも前記記録媒体を除電する
除電能力が高く設定されている
画像形成装置。
【請求項3】
第一帯電像が静電的に保持された記録媒体の該保持面に対して、重ねられた複数の第二帯電像を転写する転写部と、
前記転写部より前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記第一帯電像が静電的に保持された記録媒体を除電する除電部と、
環状に形成され、外周面が前記記録媒体の保持面とは反対側の面に接触して、該記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
を有し、
前記除電部は、前記搬送ベルトの内側に配置され、
前記搬送ベルトの内周面に接触して前記搬送ベルトに従動回転する従動ロールであって、前記搬送ベルトを介して前記記録媒体を除電する
画像形成装置。
【請求項4】
前記転写部は、
複数の前記第一帯電像が重ねられて静電的に保持された記録媒体の該保持面に対して、重ねられた複数の第二帯電像を転写する
請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写部は、
金属顔料を含有するトナーを含む前記第二帯電像を前記記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される
請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写部は、
通常トナーよりも粒径が大きいトナーを含む前記第二帯電像を前記記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される
請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写部は、
扁平顔料を含有するトナーを含む前記第二帯電像を前記記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される
請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートを縦方向へ搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトにシートを吸着させる吸着ロールと、を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トナー像等の第一帯電像が記録媒体に転写等されることで保持されたときに、該記録媒体が帯電し、その帯電状態を該記録媒体が維持したまま、第二帯電像がさらに該記録媒体に転写されると、帯電像が乱れる場合がある。
【0005】
本発明は、第一帯電像が保持されたときにおける記録媒体の帯電状態が、第二帯電像が転写されるまでの間、常に維持される構成に比べ、帯電像が乱れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、第一帯電像が静電的に保持された記録媒体の該保持面に対して、重ねられた複数の第二帯電像を転写する転写部と、前記転写部より前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記第一帯電像が静電的に保持された記録媒体を除電する除電部と、を有する。
【0007】
第2態様では、前記転写部は、複数の前記第一帯電像が重ねられて静電的に保持された記録媒体の該保持面に対して、重ねられた複数の第二帯電像を転写する。
【0008】
第3態様では、前記転写部は、金属顔料を含有するトナーを含む前記第二帯電像を前記記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0009】
第4態様では、前記転写部は、通常トナーよりも粒径が大きいトナーを含む前記第二帯電像を前記記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0010】
第5態様では、前記転写部は、扁平顔料を含有するトナーを含む前記第二帯電像を前記記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0011】
第6態様では、前記除電部は、前記記録媒体の種類が高抵抗種類である場合において、該記録媒体を除電する。
【0012】
第7態様では、前記転写部は、前記記録媒体の種類が高抵抗種類である場合に、該種類が高抵抗種類でない場合の転写電圧よりも高い転写電圧に設定される。
【0013】
第8態様は、環状に形成され、外周面が前記記録媒体の保持面とは反対側の面に接触して、該記録媒体を搬送する搬送ベルト、を備え、前記除電部は、前記搬送ベルトの内側に配置され、前記搬送ベルトを介して前記記録媒体を除電する。
【0014】
第9態様では、前記除電部は、前記搬送ベルトの内周面に接触して前記搬送ベルトに従動回転する従動ロールである。
【発明の効果】
【0015】
第1態様の構成によれば、第一帯電像が保持されたときにおける記録媒体の帯電状態が、第二帯電像が転写されるまでの間、常に維持される構成(以下「構成X」という)に比べ、帯電像が乱れることが抑制される。
【0016】
第2態様の構成によれば、帯電像の乱れが視認されやすい構成において、構成Xに比べ、帯電像が乱れることが抑制される。
【0017】
第3態様の構成によれば、金属顔料を含有するトナーを含む第二帯電像を記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧と同じ転写電圧に設定される構成に比べ、帯電像が乱れることが抑制される。
【0018】
第4態様の構成によれば、通常トナーよりも粒径が大きいトナーを含む第二帯電像を記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧と同じ転写電圧に設定される構成に比べ、帯電像が乱れることが抑制される。
【0019】
第5態様の構成によれば、扁平顔料を含有するトナーを含む第二帯電像を記録媒体に転写する場合に、該トナーを含まない第二帯電像を転写する場合の転写電圧と同じ転写電圧に設定される構成に比べ、帯電像が乱れることが抑制される。
【0020】
第6態様の構成によれば、除電部が記録媒体の種類が低抵抗種類である場合にのみ、記録媒体を除電する構成に比べ、帯電像が乱れることが抑制される。
【0021】
第7態様の構成によれば、記録媒体が高抵抗記録媒体である場合に、記録媒体が高抵抗媒体でない場合の転写電圧と同じ転写電圧に設定される構成に比べ、第二帯電像の高抵抗記録媒体への転写性が向上する。
【0022】
第8態様の構成によれば、除電手部が、搬送ベルトで搬送される記録媒体に対して非接触で記録媒体を除電できる。
【0023】
第9態様の構成によれば、除電部が搬送ベルトに対して相対的に摺動する構成に比べ、除電部と搬送ベルトとの摩擦抵抗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る搬送ベルト、第一画像形成ユニット、及び第二画像形成ユニットの構成を示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る第一画像形成ユニット(第二画像形成ユニット)の構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る除電ロールの動作を制御する制御系を示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係る扁平トナーに含有される扁平顔料の側面図である。
【
図6】本実施形態に係る扁平トナーに含有される扁平顔料の平面図である。
【
図7】本実施形態に係る扁平トナーの側面図である。
【
図8】本実施形態に係る扁平トナーの平面図である。
【
図9】本実施形態に係る白色トナーに含有される球形顔料の側面図である。
【
図10】本実施形態に係る白色トナーに含有される球形顔料の平面図である。
【
図11】本実施形態に係る白色トナーの側面図である。
【
図12】本実施形態に係る白色トナーの平面図である。
【
図13】本実施形態に係る通常トナーに含有される顔料の側面図である。
【
図14】本実施形態に係る通常トナーに含有される顔料の平面図である。
【
図15】本実施形態に係る通常トナーの側面図である。
【
図16】本実施形態に係る通常トナーの平面図である。
【
図17】本実施形態に係る記録媒体に積層されたトナー像の積層パターンの一例を示す側面図である。
【
図18】本実施形態に係る記録媒体に積層されたトナー像の積層パターンの他の例を示す側面図である。
【
図19】本実施形態に係る記録媒体に積層されたトナー像の積層パターンの他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0026】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上、定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。
【0027】
また、装置の上方及び下方に沿った方向を、装置の縦方向と称する場合がある。装置の縦方向は、重力方向でもある。また、装置の左方及び右方に沿った方向を、装置の左右方向と称する場合がある。装置の左右方向は、装置の幅方向(水平方向)でもある。また、装置の前方及び後方に沿った方向を、装置の前後方向と称する場合がある。装置の前後方向は、装置の奥行方向(水平方向)でもある。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して称する場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と称する場合がある。
【0028】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0029】
<画像形成装置10>
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0030】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、
図1に示されるように、画像形成装置10は、装置本体11と、収容部12と、排出部18と、搬送部13と、画像形成部14と、定着装置19と、除電ロール81、82と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(装置本体11、収容部12、排出部18、搬送部13、画像形成部14、定着装置19及び除電ロール81、82)について説明する。
【0031】
(装置本体11、収容部12及び排出部18)
図1に示される装置本体11は、内部に各構成部品を収容する機能を有している。装置本体11は、例えば、箱状に形成された筐体で構成されている。
【0032】
収容部12は、記録媒体Pを収容する機能を有している。この収容部12は、
図1に示されるように、装置本体11の内部における下部に設けられている。本実施形態では、記録媒体Pは、収容部12に積載されることで、収容部12に収容される。なお、記録媒体としては、普通紙の他、フィルム、コート紙、OHP等の樹脂又は樹脂含有の媒体などが用いられる。
【0033】
排出部18は、トナー像が形成された記録媒体Pが排出される機能を有している。この排出部18は、
図1に示されるように、装置本体11の上部に設けられている。本実施形態では、排出部18へ向けて排出された記録媒体Pが、排出部18に積載される。
【0034】
(搬送部13)
図1に示される搬送部13は、記録媒体Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送部13は、縦方向に沿って延びる搬送経路38にて記録媒体Pを搬送する機能を有している。さらに具体的には、搬送部13は、搬送経路38にて、収容部12から上方へ向かって排出部18へ記録媒体Pを搬送する機能を有している。
【0035】
さらに説明すると、
図1に示されるように、搬送部13は、送出ロール32と、複数の搬送ロール34と、搬送ベルト20と、排出ロール36と、を有している。送出ロール32は、収容部12に収容された記録媒体Pを送り出すロールである。複数の搬送ロール34は、送出ロール32によって送り出された記録媒体Pを搬送ベルト20へ向かって搬送するロールである。
【0036】
搬送ベルト20は、縦方向に沿って延びる搬送経路38に沿って配置されている。この搬送ベルト20は、記録媒体Pの片面に接触して記録媒体Pを搬送する機能を有している。
【0037】
具体的には、搬送ベルト20は、前後方向に幅を有する帯状であって、環状に形成されている。さらに具体的には、搬送ベルト20は、例えば、端部を有しない無端状に形成されている。
【0038】
さらに説明すると、搬送ベルト20は、一対のロール22に巻き掛けられている。具体的には、搬送ベルト20は、上下(縦方向)に間隔をおいて配置された一対のロール22に張力を付与された状態で巻き掛けられている。さらに具体的には、搬送ベルト20は、一対のロール22として、装置本体11の内部における下部に配置された従動ロール22Aと、従動ロール22Aの上方側に配置された駆動ロール22Bと、に張力を付与された状態で巻き掛けられている。本実施形態では、駆動ロール22Bが駆動源(図示省略)によって一方向(矢印A方向)へ回転することで、搬送ベルト20は、一方向(矢印B方向)へ周回する。
【0039】
さらに説明すると、搬送ベルト20は、外周面が記録媒体Pの非画像面に接触して記録媒体Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送ベルト20は、外周面のうち左側(後述の第一中間転写ベルト71及び第二中間転写ベルト72側)を向く接触面20Aで記録媒体Pの非画像面に接触して該記録媒体Pを搬送する。さらに具体的には、搬送ベルト20は、当該接触面20Aに記録媒体Pの非画像面を静電吸着して搬送する。なお、接触面20Aは、具体的には、縦方向に沿って直線状に延びる面である。また、記録媒体Pの非画像面とは、トナー像が形成される画像面(保持面の一例)とは反対側の面である。このように、本実施形態では、搬送ベルト20は、重力方向の下方側から上方側へ向けて記録媒体Pを搬送する構成とされている。
【0040】
排出ロール36は、搬送ベルト20で搬送された後に定着装置19を通過した記録媒体Pを排出部18へ排出するロールである。
【0041】
以上のように、搬送部13では、記録媒体Pを上方へ向かって搬送する。したがって、搬送部13では、上方へ向かう方向が搬送方向とされる。また、搬送部13において、下方側が搬送方向上流側であり、上方側が搬送方向下流側となる。
【0042】
(画像形成部14)
図1に示される画像形成部14は、トナー画像(画像の一例)を記録媒体Pに形成する機能を有している。具体的には、
図1に示されるように、画像形成部14は、第一画像形成ユニット41と、第二画像形成ユニット42と、2つの二次転写ロール47、48と、を有している。
【0043】
以下、第一画像形成ユニット41、第二画像形成ユニット42及び2つの二次転写ロール47、48の構成について説明する。
【0044】
〔第一画像形成ユニット41〕
第一画像形成ユニット41は、
図1に示されるように、装置本体11の内部における下部に設けられている。具体的には、第一画像形成ユニット41は、収容部12における上側であって、搬送ベルト20の左側に配置されている。
【0045】
この第一画像形成ユニット41は、
図2に示されるように、ユニット本体60と、4つのトナー像形成部50と、4つの一次転写ロール75と、第一中間転写ベルト71と、を有している。また、第一画像形成ユニット41は、
図3に示されるように、モータ68と、電源基板62と、制御基板64と、高圧電源基板66と、を有している。
【0046】
具体的には、第一画像形成ユニット41は、
図2に示されるように、4つのトナー像形成部50として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ホワイト(W)の計4色のトナー像形成部50を有している。
図2に示す(Y)、(M)、(C)、(W)は、上記各色に対応する構成部分を示している。また、各色のトナー像形成部50は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部50を代表して、
図2ではトナー像形成部50(Y)の各部に符号を付している。以下、第一画像形成ユニット41の各部(ユニット本体60、4つのトナー像形成部50、4つの一次転写ロール75、第一中間転写ベルト71、モータ68、電源基板62、制御基板64、及び高圧電源基板66)について説明する。
【0047】
[ユニット本体60]
図3に示されるユニット本体60は、第一画像形成ユニット41の各部を支持する支持体として機能する。ユニット本体60は、例えば、板金で形成されたフレームで構成されている。ユニット本体60は、
図3に示されるように、例えば、上壁60U、前壁60F、後壁60R及び左壁60L(側壁)を有している。なお、
図2では、前壁60F及び左壁60L(側壁)を省略して図示している。
【0048】
[トナー像形成部50]
各色のトナー像形成部50は、トナー像を形成する機能を有している。具体的には、各色のトナー像形成部50は、
図2に示されるように、一方向(矢印E方向)に回転する感光体ドラム52(感光体)を有している。さらに、各色のトナー像形成部50は、帯電装置53と、露光装置54と、現像装置56と、除去装置58と、を有している。
【0049】
各色のトナー像形成部50では、帯電装置53が感光体ドラム52を帯電させる。さらに露光装置54が、帯電装置53によって帯電された感光体ドラム52を露光して、感光体ドラム52に静電潜像を形成する。また、現像装置56が、露光装置54によって感光体ドラム52に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。除去装置58は、第一中間転写ベルト71へのトナー像の転写後に感光体ドラム52に残留したトナーを除去するブレードで構成されている。
【0050】
[一次転写ロール75]
4つの一次転写ロール75は、
図2に示されるように、第一中間転写ベルト71の内側(内周側)に配置されている。具体的には、4つの一次転写ロール75の各々は、第一中間転写ベルト71を介して各色の感光体ドラム52に対向して配置されている。
【0051】
各一次転写ロール75は、各色の感光体ドラム52のトナー像を、感光体ドラム52と一次転写ロール75との間の一次転写位置T1にて第一中間転写ベルト71に転写する機能を有している。本実施形態では、一次転写ロール75と感光体ドラム52との間に一次転写電圧が印加されることで、感光体ドラム52に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて第一中間転写ベルト71に転写される。これにより、各色の感光体ドラム52のトナー像が第一中間転写ベルト71に重ねて一次転写される。
【0052】
[第一中間転写ベルト71]
第一中間転写ベルト71は、第一画像形成ユニット41の各色の感光体ドラム52から転写されたトナー画像を、後述の第一の二次転写位置T21へ搬送する機能を有している。具体的には、第一中間転写ベルト71は、以下のように構成されている。
【0053】
第一中間転写ベルト71は、前後方向に幅を有する帯状であって、環状に形成されている。具体的には、第一中間転写ベルト71は、例えば、端部を有しない無端状に形成されている。
【0054】
さらに説明すると、第一中間転写ベルト71は、一対のロール74に巻き掛けられている。具体的には、第一中間転写ベルト71は、左右方向に間隔をおいて配置された一対のロール74に張力を付与された状態で巻き掛けられている。さらに具体的には、第一中間転写ベルト71は、一対のロール74として、装置本体11の内部における右側部分(搬送ベルト20側)に配置された駆動ロール74Aと、駆動ロール74Aの左側(駆動ロール74Aに対する搬送ベルト20とは反対側)に配置された従動ロール74Bと、に張力を付与された状態で巻き掛けられている。本実施形態では、駆動ロール74Aがモータ68(
図3参照)によって一方向(矢印C方向)へ回転することで、第一中間転写ベルト71は、一方向(矢印D方向)へ周回する。なお、駆動ロール74Aは、二次転写ロール47の対向ロール(バックアップロール)として機能する。
【0055】
第一中間転写ベルト71は、駆動ロール74Aに巻き掛けられた部分において、搬送ベルト20に接触する接触領域71N(ニップ領域)を有している。この接触領域71Nが、第一中間転写ベルト71のトナー像が記録媒体Pに転写される第一の二次転写位置T21とされている。また、第一中間転写ベルト71は、接触領域71Nにおいて搬送ベルト20との間に記録媒体Pを挟んで搬送する。
【0056】
なお、第一画像形成ユニット41は、トナー像の記録媒体Pへの転写後に第一中間転写ベルト71に残留したトナーを除去する除去部78を有している。除去部78は、第一中間転写ベルト71の上方側であって、高圧電源基板66と搬送ベルト20との間に配置されたブレードで構成されている。除去部78の下側には、第一中間転写ベルト71を介して除去部78に対向する対向ロール79が設けられている。
【0057】
[モータ68]
モータ68は、
図3に示されるように、第一画像形成ユニット41におけるユニット本体60の後壁60Rに設けられている。このモータ68は、第一画像形成ユニット41における駆動部分を駆動する駆動源として機能する。具体的には、モータ68は、例えば、感光体ドラム52、現像装置56の現像ロール56A、第一中間転写ベルト71が巻き掛けられた駆動ロール74A等を、ギア列(図示省略)を介して駆動する。さらに、モータ68の駆動力は、例えば、搬送部13の送出ロール32、複数の搬送ロール34等に伝達されて、送出ロール32及び複数の搬送ロール34が回転駆動される。
【0058】
[電源基板62、制御基板64及び高圧電源基板66]
電源基板62、制御基板64及び高圧電源基板66は、
図2及び
図3に示されるように、ユニット本体60の上部に設けられている。
【0059】
電源基板62は、画像形成装置10の外部の電源(図示省略)から電線(図示省略)を介して電力が供給されると共に、予め定められた電圧の電力をモータ68等に供給する機能を有している。電源基板62は、その上面に電子部品62Aを有している。
【0060】
制御基板64は、第一画像形成ユニット41の各部の駆動を制御する機能を有している。この制御基板64は、プロブラムが記録されたROM(ロム)やストレージ等で構成された記録部と、プログラムに従って動作するプロセッサと、を有している。制御基板64は、その上面に電子部品64Aを有している。
【0061】
制御基板64には、
図4に示されるように、操作部としてのユーザインターフェース17(以下「UI17」という)が接続されている。UI17は、例えばタッチパネル付き液晶表示器により構成される。その画面上には、操作ボタン(仮想ボタン)及び、操作者(ユーザー)に報知する情報が表示される。
【0062】
UI17を通じて、操作者により、操作ボタンが操作されることで、記録媒体Pの種類の選択を含む画像形成条件が指定される。なお、操作部としては、例えば、画像形成装置10に対してネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータ(PC)などであってもよく、画像形成条件を指定する操作が可能な操作部であればよい。
【0063】
高圧電源基板66は、画像形成装置10の外部の電源(図示省略)から電線(図示省略)を介して電力が供給されると共に、電源基板62の電圧よりも高電圧の電力を、帯電装置53、現像装置56、4つの一次転写ロール75、二次転写ロール47、48、及び除電ロール81、82等に供給する機能を有している。高圧電源基板66は、その下面に電子部品66A(
図2参照)を有している。なお、高圧電源基板66は、電源基板62から電力が供給される構成であってもよい。
【0064】
〔第二画像形成ユニット42〕
第二画像形成ユニット42は、
図1に示されるように、装置本体11の内部における上部に設けられている。具体的には、第二画像形成ユニット42は、第一画像形成ユニット41の上側であって、搬送ベルト20の左側に配置されている。また、第二画像形成ユニット42は、第一画像形成ユニット41と縦方向に重なって配置されている。
【0065】
本実施形態では、第二画像形成ユニット42は、第一画像形成ユニット41と同様に構成されている。具体的には、第二画像形成ユニット42は、
図2示されるように、ユニット本体60と、4つのトナー像形成部50と、4つの一次転写ロール75と、第二中間転写ベルト72と、を有している。第二画像形成ユニット42は、
図3示されるように、モータ68と、電源基板62と、制御基板64と、高圧電源基板66と、を有している。
【0066】
この第二画像形成ユニット42は、
図2に示されるように、4つのトナー像形成部50として、透明(T)、銀(S)、金(G)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部50を有している。
図2に示す(T)、(S)、(G)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。また、各色のトナー像形成部50は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部50を代表して、
図2ではトナー像形成部50(T)の各部に符号を付している。また、第二画像形成ユニット42のトナー像形成部50は、用いるトナーを除き、第一画像形成ユニット41のトナー像形成部50と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0067】
また、第二画像形成ユニット42におけるユニット本体60、4つの一次転写ロール75、電源基板62、制御基板64、及び高圧電源基板66の各々は、第一画像形成ユニット41におけるユニット本体60、4つの一次転写ロール75、電源基板62、制御基板64、及び高圧電源基板66の各々と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0068】
第二画像形成ユニット42におけるモータ68は、例えば、感光体ドラム52、現像装置56の現像ロール56A、第二中間転写ベルト72が巻き掛けられた駆動ロール74A等を、ギア列(図示省略)を介して駆動する。さらに、モータ68の駆動力は、例えば、搬送ベルト20の駆動ロール22B、定着装置19の後述の加熱ロール92等に伝達されて、駆動ロール22B及び加熱ロール92が回転駆動される。なお、第二画像形成ユニット42の各部において、第一画像形成ユニット41の各部と同一機能を有する部分について、適宜、同一の符号を付している。
【0069】
[第二中間転写ベルト72]
第二中間転写ベルト72は、第一画像形成ユニット41の第一中間転写ベルト71と同様に構成されている。この第二中間転写ベルト72は、第二画像形成ユニット42の各色の感光体ドラム52から転写されたトナー画像を第二の二次転写位置T22へ搬送する機能を有している。
【0070】
具体的には、第二中間転写ベルト72は、駆動ロール74Aに巻き掛けられた部分において、搬送ベルト20に接触する接触領域72N(ニップ領域)を有している。この接触領域72Nが、第二中間転写ベルト72のトナー像が記録媒体Pに転写される第二の二次転写位置T22とされている。
【0071】
また、第二中間転写ベルト72は、第一中間転写ベルト71と搬送ベルト20とで挟まれた状態の記録媒体Pを、接触領域72Nにおいて搬送ベルト20とで挟む機能を有している。換言すれば、第二中間転写ベルト72は、第一中間転写ベルト71と同時に記録媒体Pを搬送ベルト20とで挟む機能を有している。
【0072】
さらに説明すると、第二中間転写ベルト72と第一中間転写ベルト71とは、重力方向(すなわち上下)に重なっている。具体的には、第二中間転写ベルト72は、第一中間転写ベルト71の上側に、第一中間転写ベルト71に対して重力方向に重なるように配置されている。
【0073】
〔第一画像形成ユニット41及び第二画像形成ユニット42で用いられるトナー〕
第一画像形成ユニット41におけるトナー像形成部50(Y)、50(M)、50(C)では、以下に説明する通常トナーを用いる。第一画像形成ユニット41におけるトナー像形成部50(W)では、以下に説明する白色トナーを用いる。
第二画像形成ユニット42におけるトナー像形成部50(T)、50(K)では、以下に説明する通常トナーを用いる。第二画像形成ユニット42におけるトナー像形成部50(S)、50(G)では、以下に説明する扁平トナー100を用いる。
【0074】
[扁平トナー100]
扁平トナー100は、
図7に示されるように、扁平顔料110と結着樹脂120とを含有している。扁平顔料110は、アルミニウム(金属の一例)で構成されている。結着樹脂120には、公知の樹脂材料が用いられる。
【0075】
前述のように、扁平顔料110は、アルミニウム(金属の一例)で構成されており、金属顔料でもある。したがって、扁平トナー100は、金属顔料を含有する金属トナーでもある。
【0076】
図5に示されるように、扁平顔料110を平面500上に置いた状態において、扁平顔料110を側方から見ると、扁平顔料110は、左右方向の寸法X1が上下方向の寸法Y1に対して長くなる形状とされている。
【0077】
また、
図5に示す扁平顔料110を上方から見ると、扁平顔料110は、
図6に示されるように、側方から見た形状に対して広がった形状とされている。このように、扁平顔料110は、扁平形状とされている。
【0078】
扁平顔料110が扁平形状とされることで、扁平顔料110を含有する扁平トナー100も、扁平顔料110に倣った扁平形状とされている。したがって、扁平トナー100を平面500上に置いた状態で、扁平トナー100を側方から見ると、扁平トナー100は、
図7に示されるように、左右方向の寸法A1が上下方向の寸法C1に対して長くなる形状とされている。
【0079】
また、
図7に示す扁平トナー100を上方から見ると、扁平トナー100は、
図8に示されるように、側方から見た形状に対して広がった形状とされ、略円形状(略楕円形状)をしている。
【0080】
扁平トナー100を上方から見た場合の最大長A1(最長径)と、最大長A1に直交する直交長さB1と、扁平トナー100を側方から見た場合の厚みC1(上下方向の寸法)の関係は、A1≧B1>C1となる。
【0081】
最大長A1は、カラーレーザ顕微鏡「VK-9700」(キーエンス社製)を用いて拡大観察し、画像処理ソフトでトナー平面の最大長を算出することで得られる。
【0082】
扁平トナー100の最大長は、例えば、6μm以上16μm以下とされている。
【0083】
なお、「厚さC1/直交長さB1」の値が、0.001以上0.500以下の範囲であることが望ましい。「厚さC1/直交長さB1」の値が、0.001以上であることにより、トナーの強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。一方、「厚さC1/直交長さB1」の値が、0.500以下であることにより、優れた金属光沢感が得られる。
【0084】
なお、トナー像形成部50(G)に用いられるトナーは、扁平顔料110としてのアルミニウムに、例えば、イエローの顔料を含有することで金色のトナーとされる。
【0085】
[白色トナー200]
白色トナー200は、
図11に示されるように、球形顔料210と結着樹脂220とを含有している。球形顔料210は、酸化チタン(金属酸化物の一例)で構成されている。結着樹脂220には、公知の樹脂材料が用いられている。
【0086】
前述のように、球形顔料210は、酸化チタン(金属酸化物の一例)で構成されており、金属顔料でもある。したがって、白色トナー200は、金属顔料を含有する金属トナーでもある。
【0087】
図9に示されるように、球形顔料210を平面500上に置いた状態において、球形顔料210は、
図9に示される側方から見た場合の左右方向の寸法X2及び上下方向の寸法Y2と、
図10に示される上方から見た場合の左右方向の寸法X2及び前後方向の寸法Z2と、が同等とされている。
【0088】
したがって、球形顔料210は、
図9に示される側方から見た場合の左右方向の寸法X2と上下方向の寸法Y2との寸法比が、扁平顔料110における寸法比よりも小さくされている。すなわち、球形顔料210は、扁平顔料110よりも球形に近い形状をしている。
【0089】
球形顔料210を含有する白色トナー200も、球形顔料210と同様に球形形状とされている。したがって、
図11に示されるように、白色トナー200を平面500上に置いた状態において、白色トナー200は、
図11に示される側方から見た場合の左右方向の寸法A2及び上下方向の寸法C2と、
図12に示される上方から見た場合の左右方向の寸法A2及び前後方向の寸法B2と、が同等とされている。
【0090】
白色トナー200は、扁平トナー100よりも粒径が小さくなっている。本実施形態では、トナーの粒径は、トナーの最大長によって比較するものとする。したがって、白色トナー200の最大長は、扁平トナー100の最大長A1よりも短くされている。白色トナー200の最大長は、白色トナー200を球形状とみなし、白色トナー200の体積平均粒径を最大長とする。
【0091】
体積平均粒径は、例えば、コールターカウンターTAII(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定器を用いて測定される。具体的には、当該測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対し、体積基準で小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径(D50v)を、体積平均粒径とした。なお、以下の体積平均粒径についても同様に測定される。
【0092】
白色トナー200の体積平均粒径は4μm以上14μm以下とされ、より望ましくは、5μm以上12μm以下とされ、さらに望ましくは、6μm以上10μm以下とされる。この体積平均粒径が14μmを超えると、良好な帯電性(電荷量や電荷分布)や、その適切な帯電性を長期にわたって維持し得ることができなくなり、微細なドットの再現性、階調性、粒状性の改善効果が乏しくなる。一方、体積平均粒径が4μm未満では、トナーの流動性が悪化するばかりでなく、キャリアから十分な帯電能を付与されにくくなるため、背景部へのカブリが生じたり、濃度再現性が低下したり、しやすくなることがある。
【0093】
なお、白色トナー200に対する球形顔料210の濃度(含有量)は、例えば、20質量%以上50質量%以下とされている。
【0094】
[通常トナー300]
通常トナー300は、
図15に示されるように、扁平顔料110及び球形顔料210を含有せず、扁平顔料110及び球形顔料210以外の顔料310と結着樹脂320とを含有している。顔料310には、例えば、非金属及び非金属酸化物である顔料(例えば、有機顔料など)が用いられる。すなわち、通常トナー300は、扁平顔料110及び球形顔料210よりも導電性が低い顔料を有している。結着樹脂320には、公知の樹脂材料が用いられる。
【0095】
図13に示されるように、顔料310を平面500上に置いた状態において、顔料310は、
図13に示される側方から見た場合の左右方向の寸法X3及び上下方向の寸法Y3と、
図14に示される上方から見た場合の左右方向の寸法X3及び前後方向の寸法Z3と、が同等とされている。
【0096】
したがって、顔料310は、
図13に示される側方から見た場合の左右方向の寸法X3と上下方向の寸法Y3との寸法比が、扁平顔料110における寸法比よりも小さくされている。すなわち、顔料310は、扁平顔料110よりも球形に近い形状をしている。
【0097】
顔料310を含有する通常トナー300も、顔料310と同様に球形形状とされている。したがって、
図15に示されるように、通常トナー300を平面500上に置いた状態において、通常トナー300は、
図15に示される側方から見た場合の左右方向の寸法A3及び上下方向の寸法C3と、
図16に示される上方から見た場合の左右方向の寸法A3及び前後方向の寸法B3と、が同等とされている。
【0098】
通常トナー300は、白色トナー200よりも粒径が小さくなっている。本実施形態では、トナーの粒径は、トナーの最大長によって比較するものとする。したがって、通常トナー300の最大長は、白色トナー200の最大長(体積平均粒径)よりも短くされている。通常トナー300の最大長は、通常トナー300を球形状とみなし、通常トナー300の体積平均粒径を最大長とする。なお、体積平均粒径の測定方法は、前述のとおりである。
【0099】
通常トナー300の体積平均粒径は、3μm以上9μm以下が望ましく、3μm以上8μm以下がより望ましい。当該粒径が3μm未満だと帯電性が不十分になり、現像性が低下する場合があり、9μmを超えると画像の解像性が低下する場合がある。
【0100】
なお、通常トナー300に対する顔料310の濃度(含有量)は、例えば、5質量%以上20質量%以下とされている。
【0101】
なお、通常トナー300は、2価以上の金属元素からなる化合物が添加されていてもよい。当該化合物は、例えば、通常トナー300を乳化重合凝集法により作製する場合の凝集剤として添加される。通常トナー300における当該化合物の含有量は、例えば、0.05質量%以上2質量%以下とされる。
【0102】
このように、通常トナー300は、金属又は金属酸化物を含んでいてもよいが、その含有量(質量%)は、扁平トナー100及び白色トナー200よりも少なく、扁平トナー100及び白色トナー200よりもトナーとしての導電性が低い。
【0103】
なお、通常トナー300は、乳化重合凝集法等の重合法で得られる重合トナー(ケミカルトナー)であってもよいし、粉砕法で得られる粉砕トナーであってもよい。なお、扁平トナー100及び白色トナー200も、同様に、重合トナー(ケミカルトナー)であってもよいし、粉砕法で得られる粉砕トナーであってもよい。
【0104】
以上のように、本実施形態において用いられるトナーの粒径は、通常トナー300<白色トナー200<扁平トナー100の関係を有している。
【0105】
また、本実施形態では、扁平トナー100及び白色トナー200は、導電性を有する金属顔料を有しているため、転写時に電荷注入を生じやすい。本実施形態において用いられるトナーの電荷注入の生じやすさは、通常トナー300<白色トナー200<扁平トナー100の関係を有している。
【0106】
また、本実施形態では、各トナーは、現像装置56において摩擦帯電されるが、粒径が大きく、形状が非円形(すなわち、いびつ)であるほど、摩擦が生じにくく帯電性が低い。このため、本実施形態において用いられるトナーの帯電性は、通常トナー300>白色トナー200>扁平トナー100の関係を有している。なお、トナーの帯電性が低いと電荷注入が生じた際に、極性が反転して逆極性になりやすい。
【0107】
〔二次転写ロール47、48〕
2つの二次転写ロール47、48の各々は、
図2に示されるように、搬送ベルト20の内側(内周側)に配置されている。具体的には、2つの二次転写ロール47、48の各々は、搬送ベルト20を介して第一中間転写ベルト71及び第二中間転写ベルト72の各々に対向して配置されている。さらに具体的には、二次転写ロール47は、接触領域71N(第一の二次転写位置T21)において、搬送ベルト20及び第一中間転写ベルト71を、第一画像形成ユニット41の駆動ロール74Aとで挟んでいる。また、二次転写ロール48は、接触領域72N(第二の二次転写位置T22)において、搬送ベルト20及び第二中間転写ベルト72を、第二画像形成ユニット42の駆動ロール74Aとで挟んでいる。
【0108】
2つの二次転写ロール47、48の各々は、第一中間転写ベルト71及び第二中間転写ベルト72の各々に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する機能を有している。本実施形態では、二次転写ロール47と第一中間転写ベルト71の駆動ロール74Aとの間に二次転写電圧が印加されることで、第一中間転写ベルト71に重ねられた複数のトナー像(以下「第一トナー像」という)が、第一の二次転写位置T21にて記録媒体Pの画像面へ二次転写される。これにより、複数の第一トナー像が記録媒体Pの画像面に静電的に保持されると共に、記録媒体Pが帯電する。
【0109】
さらに、二次転写ロール48と第二中間転写ベルト72の駆動ロール74Aとの間に二次転写電圧(以下「二次転写電圧A」という)が印加されることで、第二中間転写ベルト72に重ねられた複数のトナー像(以下「第二トナー像」という)が、第二の二次転写位置T22にて記録媒体Pの画像面へ二次転写される。これにより、該複数の第二トナー像が記録媒体Pの画像面に静電的に保持される。なお、本実施形態では、二次転写ロール48に印加される印加電圧は負極性の転写電圧である。
【0110】
ここで、第一トナー像及び第二トナー像は、帯電した像である。第一中間転写ベルト71から記録媒体Pに転写される第一トナー像は、第一帯電像の一例である。また、第二中間転写ベルト72から記録媒体Pに転写される第二トナー像は、第二帯電像の一例である。
【0111】
なお、複数の帯電像には、例えば、色が異なる複数の帯電像、顔料などの混入物が異なる複数の帯電像、粒体の粒径が異なる複数の帯電像、及び、これらを任意に組み合わせた複数の帯電像が含まれる。さらに、複数の帯電像には、色、顔料などの混入物、及び粒体の粒径が同じである複数の帯電像であってもよい。
【0112】
重ねられた複数の帯電像は、一の記録媒体Pの内において全領域が重ねられる必要はなく、一の記録媒体Pの内において一部の領域が重ねられていればよい。また、重ねられた複数の帯電像は、一の記録媒体Pの内において全種類が重ねられる必要はなく、一の記録媒体Pの内において一部の種類が重ねられていれば良い。
【0113】
記録媒体Pの画像面は、トナー像が保持される面であり、保持面の一例である。また、二次転写ロール48は、転写部の一例である。なお、二次転写ロール48の対向ロールである駆動ロール74Aを含めて、転写部の一例と把握してもよい。また、二次転写ロール47を第一転写部の一例と、二次転写ロール48を第二転写部の一例と把握してもよい。
【0114】
〔第一、第二画像形成ユニット41、42におけるトナー像形成部50の配置〕
本実施形態では、第一画像形成ユニット41が、4つのトナー像形成部50として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ホワイト(W)の計4色のトナー像形成部50を有し、第二画像形成ユニット42が、4つのトナー像形成部50として、透明(T)、銀(S)、金(G)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部50を有していたが、これに限られない。例えば、第一画像形成ユニット41及び第二画像形成ユニット42の各々が有する色のトナー像形成部50を一部または全部を入れ替えて配置してもよく、上記の色以外の色のトナー像形成部50を有していてもよい。具体的には、例えば、第二画像形成ユニット42がホワイト(W)のトナー像形成部50を有し、第一画像形成ユニット41が銀(S)、金(G)のトナー像形成部50を有する構成であってもよい。本実施形態では、第一画像形成ユニット41及び第二画像形成ユニット42における任意の位置に、各色のトナー像形成部50を配置することが可能である。
【0115】
このように、第一画像形成ユニット41及び第二画像形成ユニット42における任意の位置に、各色のトナー像形成部50を配置することで、本実施形態では、各色のトナー像を記録媒体P上に任意に重ねられることが可能である。具体的には、
図17に示されるように、色紙やOHPなどの記録媒体P上において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等のカラー色のトナー像350の上に、ホワイト(W)のトナー像250を重ねることが可能である。また、
図18に示されるように、色紙やOHPなどの記録媒体P上において、ホワイト(W)のトナー像250の上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のカラー色のトナー像350を重ねることが可能である。さらに、
図19に示されるように、OHPなどの透明な記録媒体P上において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のカラー色のトナー像350の上に、該カラー色のトナー像を覆うように、ホワイト(W)のトナー像250を重ねて、記録媒体P側から視認してもよい。なお、
図17、
図18及び
図19に示されるホワイト(W)のトナー像250に替えて、銀(S)、金(G)のトナー像を用いてもよい。
【0116】
また、本実施形態では、第一画像形成ユニット41は、4つのトナー像形成部50を有していたが、これに限られない。第一画像形成ユニット41が有するトナー像形成部50は、2つ又は3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。また、第一画像形成ユニット41が有するトナー像形成部50は、1つであってもよい。換言すれば、第一の二次転写位置T21にて、単一のトナー像が、第一中間転写ベルト71から記録媒体Pの画像面へ二次転写される構成であってもよい。この構成の場合では、第一の二次転写位置T21にて、単一のトナー像が記録媒体Pの画像面に静電的に保持される。
【0117】
また、本実施形態では、第二画像形成ユニット42は、4つのトナー像形成部50を有していたが、これに限られない。第二画像形成ユニット42が有するトナー像形成部50は、2つ又は3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。すなわち、第二画像形成ユニット42は、複数のトナー像形成部50を有する構成であればよい。
【0118】
(定着装置19)
図1に示される定着装置19は、記録媒体に転写された画像を記録媒体に定着する定着部として機能する。具体的には、定着装置19は、二次転写ロール47、48によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。さらに具体的には、定着装置19は、
図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール92と、加圧部材としての加圧ロール94と、を有している。定着装置19では、加熱ロール92及び加圧ロール94が記録媒体Pを挟んで搬送しながら、該記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0119】
(除電ロール81、82)
図2に示される除電ロール81、82は、第一トナー像を保持した記録媒体Pを除電する除電部の一例である。この除電ロール81、82は、第一の二次転写位置T21と第二の二次転写位置T22との間に配置されている。換言すれば、除電ロール81、82は、二次転写ロール48よりも記録媒体Pの搬送方向上流側に設けられている。具体的には、除電ロール81は、第一の二次転写位置T21と第二の二次転写位置T22との間における下側に配置されている。除電ロール82は、第一の二次転写位置T21と第二の二次転写位置T22との間における上側に配置されている。
【0120】
さらに、除電ロール81と第一の二次転写位置T21と間の距離L1は、除電ロール82と第二の二次転写位置T22と間の距離L2よりも短くなっている。換言すれば、除電ロール81、82は、第二の二次転写位置T22よりも第一の二次転写位置T21に近接しているといえる。また、距離L1は、第一の二次転写位置T21と第二の二次転写位置T22との距離L3よりも短くなっている。なお、距離L2は、距離L3と同じ距離とされている。本実施形態では、距離L1、L2、L3は、各ロールのロール中心(ロール軸)間の距離である。
【0121】
さらに説明すると、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の内側(内周側)に配置されている。具体的には、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の接触面20Aとは反対側の反対面20B(内周面の一例)に配置されている。換言すれば、除電ロール81、82は、反対面20Bに接触している。
【0122】
除電ロール81、82は、搬送ベルト20の反対面20Bに接触することで、搬送ベルト20に従動して回転する。すなわち、除電ロール81、82は、搬送ベルト20に従動回転する従動ロールである。
【0123】
そして、除電ロール81、82は、例えば、第一画像形成ユニット41の高圧電源基板66から電力が供給されることで、二次転写ロール47との間に電圧が印加される。このように、除電ロール81、82は、電圧が印加されることで、第一の二次転写位置T21で帯電した記録媒体Pとは逆極性の電荷を記録媒体Pに付与して、記録媒体Pを除電する構成とされている。
【0124】
前述のように、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の反対面20Bに接触しているため、本実施形態では、記録媒体Pは、搬送ベルト20を介して除電ロール81、82によって除電される。
【0125】
なお、除電とは、帯電した記録媒体Pの電荷の少なくとも一部を除去(中和)することを言い、完全に電荷を除去することに限定されない。すなわち、記録媒体Pの帯電量が小さくなって静電気力が弱められる状態となればよい。そして、本実施形態においては、除電ロール81、82に印加される電圧は、記録媒体Pの種別により正極の電圧または負極の電圧のいずれか一方が印加される。
【0126】
(除電ロール81、82の駆動制御)
本実施形態では、記録媒体Pの情報を受け付ける受付部としての制御基板64が、受け付けた記録媒体Pの情報に基づいて、除電ロール81、82に印加される電圧を変化させる。具体的には、例えば、記録媒体Pの種類情報を第一画像形成ユニット41の制御基板64が受け付け、制御基板64は記録媒体Pの種類情報に基づいて、高圧電源基板66を駆動制御し、除電ロール81、82に印加される電圧を変化させる(
図4参照)。
【0127】
記録媒体Pの種類情報は、記録媒体Pの情報の一例であり、記録媒体Pの種類を示す情報である。記録媒体Pの種類情報は、例えば、記録媒体Pの種類がUI17を通じて選択されることで、第一画像形成ユニット41の制御基板64が受け付ける。なお、記録媒体Pの種類情報は、画像形成装置10に接続された外部装置から受け付けてもよい。さらに、センサ等の検出部により記録媒体Pの種類(例えば、電気抵抗値)を検出し、その結果を記録媒体Pの種類情報として受け付けてもよい。
【0128】
そして、制御基板64は、例えば、受け付けた記録媒体Pの種類情報の種類が、電気抵抗が高抵抗である高抵抗種類である場合に、除電ロール81、82に電圧を印加させる制御を高圧電源基板66に対して行う。本実施形態では、具体的には、制御基板64は、例えば、受け付けた記録媒体Pの種類情報の種類が、高抵抗種類である場合に、該種類が高抵抗種類でない場合よりも、除電ロール81、82に印加する電圧を高くする。
【0129】
換言すれば、制御基板64は、例えば、受け付けた記録媒体Pの種類情報の種類が第一種類である場合に、第一電圧を除電ロール81、82に印加させ、受け付けた記録媒体Pの種類情報の種類が第一種類よりも抵抗が高い第二種類である場合に、第一電圧よりも高い第二電圧を除電ロール81、82に印加させる制御を高圧電源基板66に対して行う。これにより、除電ロール81、82の帯電量を高くし、除電能力を上げる。
【0130】
ここで、高抵抗種類にはOHP、厚紙などが含まれる。なお、黒紙は、低抵抗であるので、高抵抗種類に含まれない。高抵抗種類は、例えば、普通紙よりも表面抵抗値が高い種類をいう。さらにいえば、高抵抗種類は、表面抵抗値で14[logΩ]以上である種類をいう。
【0131】
なお、本実施形態では、制御基板64は、例えば、受け付けた記録媒体Pの種類情報の種類が第一種類である場合に、除電ロール81、82に印加させず、受け付けた記録媒体Pの種類情報の種類が第一種類よりも抵抗が高い第二種類である場合に、電圧を除電ロール81、82に印加させる制御を高圧電源基板66に対して行う構成であってもよい。
【0132】
また、本実施形態では、第一画像形成ユニット41の高圧電源基板66から除電ロール81、82へ電力が供給される構成とされていたが、これに限られない。例えば、除電ロール81、82へ電力を供給する電源としては、第二画像形成ユニット42の高圧電源基板66であってもよい。第一画像形成ユニット41の高圧電源基板66が、除電ロール81、82の一方に電力を供給し、第二画像形成ユニット42の高圧電源基板66が除電ロール81、82の他方に電力を供給する構成であってもよい。さらに、第一画像形成ユニット41の高圧電源基板66及び第二画像形成ユニット42の高圧電源基板66とは別に、装置本体11に設けられた電源から除電ロール81、82へ電力を供給してもよい。
【0133】
(二次転写電圧Aの制御)
本実施形態では、制御基板64が、二次転写ロール48と第二中間転写ベルト72の駆動ロール74Aとの間に印加される二次転写電圧Aを制御する。具体的には、制御基板64は、第二トナー像に含まれるトナーに基づき、二次転写電圧Aを制御する。
【0134】
この結果、本実施形態では、二次転写電圧Aが、扁平顔料110を含有する扁平トナー100を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、扁平トナー100を含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0135】
具体的には、二次転写電圧Aは、銀色のトナー像形成部50(S)及び金色のトナー像形成部50(G)の少なくとも一方で形成されたトナー像を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、銀色のトナー像形成部50(S)及び金色のトナー像形成部50(G)で形成されたトナー像を含まない第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0136】
本実施形態では、前述のように、扁平トナー100は、通常トナー300よりも粒径が大きくなっている。したがって、本実施形態では、二次転写電圧Aが、通常トナー300よりも粒径が大きいトナーを含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、該大きいトナーを含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定されるともいえる。
【0137】
また、本実施形態では、前述のように、扁平トナー100が含む扁平顔料110は、金属顔料でもある。したがって、本実施形態では、二次転写電圧Aが、金蔵顔料を含有するトナーを含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、金属顔料を含有しないトナーを含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定されるともいえる。
【0138】
さらに、制御基板64は、記録媒体Pの種類に基づき、二次転写電圧Aを制御する。具体的には、二次転写電圧Aが、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に、記録媒体Pの種類が高抵抗種類でない場合の転写電圧よりも高い転写電圧に設定される。
【0139】
なお、記録媒体Pの種類が高抵抗種類であって、且つ、銀色のトナー像形成部50(S)及び金色のトナー像形成部50(G)の少なくとも一方で形成されたトナー像を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合(以下「場合A」という)では、以下のように二次転写電圧Aが設定される。すなわち、場合Aにおいて、記録媒体Pの種類が高抵抗種類であることの影響を優先して解消する場合では、二次転写電圧Aは、記録媒体Pの種類が高抵抗種類でない場合の転写電圧よりも高い転写電圧に設定される。また、場合Aにおいて、銀色のトナー像形成部50(S)及び金色のトナー像形成部50(G)の少なくとも一方で形成されたトナー像を含むことの影響を優先して解消する場合では、二次転写電圧Aは、銀色のトナー像形成部50(S)及び金色のトナー像形成部50(G)で形成されたトナー像を含まない第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0140】
なお、第二画像形成ユニット42がホワイト(W)のトナー像形成部50を有する場合では、二次転写電圧Aが、白色トナー200を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、白色トナー200を含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定されてもよい(該構成を以下「変形例A」という)。
【0141】
白色トナー200は、前述のように、通常トナー300よりも粒径が大きくなっている。したがって、変形例Aは、二次転写電圧Aが、通常トナー300よりも粒径が大きいトナーを含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、該大きいトナーを含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定されるともいえる。
【0142】
また、白色トナー200が含有する球形顔料210は、前述のように、金属顔料でもある。したがって、変形例Aは、二次転写電圧Aが、金属顔料を含有するトナーを含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、金蔵顔料を含有しないトナーを含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定されるともいえる。
【0143】
<本実施形態に係る作用>
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0144】
本実施形態では、搬送ベルト20で上方へ搬送される記録媒体Pは、二次転写ロール47と第一中間転写ベルト71の駆動ロール74Aとの間に二次転写電圧が印加されることで、第一中間転写ベルト71に重ねられた複数の第一トナー像が、第一の二次転写位置T21にて第一中間転写ベルト71から転写される。これにより、複数の第一トナー像が記録媒体Pに保持されると共に、記録媒体Pが帯電する。
【0145】
第一の二次転写位置T21で帯電した記録媒体Pは、さらに搬送ベルト20で上方へ搬送され、第一の二次転写位置T21と第二の二次転写位置T22との間にて、除電ロール81、82によって除電される。除電ロール81、82によって除電された記録媒体Pは、さらに搬送ベルト20で上方へ搬送され、二次転写ロール48と第二中間転写ベルト72の駆動ロール74Aとの間に二次転写電圧Aが印加されることで、第二中間転写ベルト72に重ねられた第二トナー像が、第二の二次転写位置T22にて、第二中間転写ベルト72から転写される。
【0146】
ここで、第一トナー像が保持されたときにおける記録媒体Pの帯電状態が、第二トナー像が転写されるまでの間、常に維持される構成(以下「第一構成」という)では、記録媒体Pとの電位差を大きくするべく、二次転写電圧Aを大きくする必要がある。そして、例えば、第一構成において、許容値を超えて二次転写電圧Aを大きくすると、記録媒体Pとの間で放電が生じ、記録媒体Pに保持されていた第一トナー像が、飛び散ることで乱れる場合がある。一方、第一構成において、許容値を下回って二次転写電圧Aを小さくすると、静電力が弱く、第二トナー像の転写不良が生じて、第二トナー像が乱れる場合がある。
【0147】
これに対して、本実施形態では、記録媒体Pは、除電ロール81、82によって除電されるので、第一構成に比べ、二次転写電圧Aの許容値の範囲が広くなり、トナー像、(具体的には第一トナー像及び第二トナー像の少なくとも一方)が乱れることが抑制される。
【0148】
特に、本実施形態では、複数の第一トナー像が記録媒体Pに保持されるため、単一の第一トナー像が記録媒体Pに保持される構成に比べ、トナー像の乱れが視認されやすい。すなわち、本実施形態では、トナー像の乱れが視認されやすい構成において、第一構成に比べ、トナー像が乱れることが抑制される。
【0149】
また、本実施形態では、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の内側に配置され、搬送ベルト20を介して記録媒体Pを除電する。このため、除電ロール81、82は、搬送ベルト20で搬送される記録媒体Pに対して非接触で記録媒体Pが除電される。このように、除電ロール81、82は記録媒体Pに対して非接触であるので、除電ロール81、82が接触する構成に比べ、記録媒体Pの搬送ベルト20からの剥がれや、記録媒体Pのしわが抑制される。
【0150】
また、本実施形態では、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の反対面20Bに接触して搬送ベルト20に従動回転する従動ロールとされている。このため、除電ロール81、82が搬送ベルト20に対して相対的に摺動する構成に比べ、搬送ベルト20との摩擦抵抗が低減される。なお、摺動とは、滑りながら動く状態をいう。
【0151】
また、本実施形態では、搬送ベルト20が上方側へ記録媒体Pを搬送し、且つ、第二中間転写ベルト72と第一中間転写ベルト71とが重力方向の上下に重なっている。このため、搬送ベルト20が水平方向へ記録媒体Pを搬送し且つ第一中間転写ベルト71の全体が第二中間転写ベルト72に対して水平方向にずれて配置された構成に比べ、画像形成装置10の水平方向に沿った寸法を小さくしつつ、第二の二次転写位置T22におけるトナー像の転写性に影響が生じることが抑制される。
【0152】
また、本実施形態では、除電ロール81、82は、電圧が印加されることで、第一の二次転写位置T21で帯電した記録媒体Pとは逆極性の電荷を記録媒体Pに付与して、記録媒体Pを除電する構成とされている。このため、除電ロール81、82が、基準電位(グランド)に接地されることで記録媒体Pの電荷を逃がすだけのアースとして機能する構成に比べ、除電ロール81、82の除電能力が高くなる。
【0153】
また、本実施形態では、制御基板64は記録媒体Pの種類情報に基づいて、高圧電源基板66を駆動制御し、除電ロール81、82に印加される電圧を変化させる。このため、除電ロール81、82に印加される電圧が一定である構成に比べ、記録媒体Pに応じて除電ロール81、82の除電能力を変化させられる。
【0154】
ここで、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合には、記録媒体Pが第一の二次転写位置T21にて帯電しやすい。これに対して、本実施形態では、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に、除電ロール81、82に電圧が印加されて、除電ロール81、82が記録媒体Pを除電する。このため、除電ロール81、82、記録媒体Pの種類が低抵抗種類である場合にのみ、記録媒体Pを除電する構成に比べ、トナー像が乱れることが抑制される。
【0155】
本実施形態では、具体的には、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に、該種類が高抵抗種類でない場合よりも、除電ロール81、82に印加する電圧を高くするので、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に該種類が高抵抗種類でない場合と同じ電圧が印加される構成に比べ、トナー像が乱れることが抑制される。
【0156】
また、本実施形態では、二次転写電圧Aが、扁平トナー100を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、扁平トナー100を含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定される。
【0157】
ここで、二次転写電圧Aが、扁平トナー100を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、扁平トナー100を含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧と同じ転写電圧に設定される構成(以下「第二構成」という)では、扁平トナー100が金属顔料である扁平顔料を含有するため、電荷注入が生じやすい。
【0158】
また、扁平トナー100は、通常トナー300よりも粒径が大きく、且つ、扁平顔料を含有することで扁平形状をしているため、摩擦帯電が生じにくく、帯電性が低い。このため、第二構成では、第二トナー像を記録媒体Pに転写する際に、扁平トナー100に電荷注入が生じて、扁平トナー100が逆極性となりやすい。扁平トナー100が逆極性になると、記録媒体Pに対して静電的に反発し、第二中間転写ベルト72に戻る現象(いわゆるリトランスファー)が発生する場合がある。
【0159】
これに対して、本実施形態では、前述のように、二次転写電圧Aが、扁平トナー100を含む第二トナー像を記録媒体Pに転写する場合に、扁平トナー100を含まない第二トナー像を転写する場合の転写電圧よりも低い転写電圧に設定されるので、第二構成に比べ、扁平トナー100に電荷注入が生じにくく、転写不良(具体的にはリトランスファー)が生じにくい。このため、本実施形態によれば、第二構成に比べ、トナー像が乱れることが抑制される。
【0160】
また、本実施形態では、二次転写電圧Aが、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に、記録媒体Pの種類が高抵抗種類でない場合の転写電圧よりも高い転写電圧に設定される。
【0161】
ここで、二次転写電圧Aが、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に、記録媒体Pの種類が高抵抗種類でない場合の転写電圧と同じ転写電圧に設定される構成(以下「第三構成」という)では、記録媒体Pの種類が高抵抗種類であるため、記録媒体Pが帯電しやすく、記録媒体Pとの電位差が小さくなる。このため、第二トナー像の記録媒体Pへの転写性が低下する場合がある。
【0162】
これに対して、二次転写電圧Aが、記録媒体Pの種類が高抵抗種類である場合に、記録媒体Pの種類が高抵抗種類でない場合の転写電圧よりも高い転写電圧に設定されるので、第三構成に比べ、第二トナー像の記録媒体Pへの転写性が向上する。
【0163】
<変形例>
本実施形態では、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の内側(内周側)に配置されていたが、これに限られない。例えば、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の外側であって、第一画像形成ユニット41と第二画像形成ユニット42との間の空間に配置される構成であってもよい。この構成では、除電ロール81、82に変わる他の除電部を用い、例えば、第一の二次転写位置T21と第二の二次転写位置T22との間で、搬送ベルト20の接触面20A側に配置されることになる。この場合、第一画像形成ユニット41から転写されたトナー像を乱すことなく、記録媒体Pを除電することが必要である。したがって、具体的には、除電部は接触面20Aに非接触に対向して配置され、搬送ベルト20の内側面に除電のための経路が形成されるよう、搬送ベルト20の進行方向と交差する方向の端部から内側面に周り込むような電気的経路が形成される必要がある。
【0164】
また、本実施形態では、除電ロール81、82は、搬送ベルト20の反対面20Bに接触して搬送ベルト20に従動回転する従動ロールとされていたが、これに限られない。除電ロール81、82は、例えば、周回する搬送ベルト20に対して相対的に摺動する構成であってもよい。この構成における除電部の一例としては、例えば、除電針(デタックソー)や、除電フィルムなどが挙げられる。
【0165】
また、本実施形態では、除電ロール81、82と二次転写ロール47との間に電圧が印加される構成とされていたが、これに限られない。例えば、除電ロール81と除電ロール82との間に電圧が印加される構成とされていてもよい。
【0166】
また、本実施形態では、搬送ベルト20が上方側へ記録媒体Pを搬送する構成であったが、これに限られない。例えば、搬送ベルト20は、下方側へ向かって記録媒体Pを搬送する構成であってもよい。また、搬送ベルト20は、水平方向に向かって記録媒体Pを搬送する構成であってもよい。
【0167】
また、本実施形態では、制御基板64は記録媒体Pの種類情報に基づいて、除電ロール81、82に印加される電圧を変化させていたが、これに限られない。例えば、除電ロール81、82に印加される電圧が一定である構成であってもよい。
【0168】
また、本実施形態では、除電ロール81、82に電圧が印加されていたが、これに限られない。例えば、除電ロール81、82は、基準電位(グランド)に接地されることで、帯電した記録媒体Pの電荷を逃がすアースとして機能する構成であってもよく、除電部としては、帯電した記録媒体Pの電荷の少なくとも一部を除去するものであればよい。
【0169】
また、本実施形態では、画像形成部14は、2つの画像形成ユニット(第一画像形成ユニット41及び第二画像形成ユニット42を有していたが、これに限られない。画像形成部14は、さらに、第三画像形成ユニットを有していてもよく、画像形成部14は、3つ以上の画像形成ユニットを有する構成であってもよい。
【0170】
また、本実施形態では、搬送ベルト20にて搬送される記録媒体Pに対して、二次転写ロール47、48がトナー像を転写していたが、これに限られない。例えば、搬送ロール等の搬送部材によって搬送される記録媒体Pに対して、二次転写ロール47、48がトナー像を転写する構成であってもよい。
【0171】
本実施形態では、第一中間転写ベルト71に重ねられた複数のトナー像が、第一の二次転写位置T21にて記録媒体Pの画像面へ転写されることで、複数のトナー像が記録媒体Pに保持されていたが、これに限られない。例えば、単一のトナー像が、第一の二次転写位置T21にて記録媒体Pの画像面へ転写されることで、単一のトナー像が記録媒体Pに保持される構成であってもよい。
【0172】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0173】
10 画像形成装置
20 搬送ベルト
48 二次転写ロール(転写部の一例)
81、82 除電ロール(除電部の一例)
P 記録媒体