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特許7512629運動データ取得装置、運動データ取得方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】運動データ取得装置、運動データ取得方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20240702BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20240702BHJP
【FI】
A63B71/06 J
G01P15/18
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020050503
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146025
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】上田 将司
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-034482(JP,A)
【文献】特開2018-082770(JP,A)
【文献】特開2018-079102(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211550(WO,A1)
【文献】特開2016-220924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B71/00
A63B69/00
G01P15/18
A61B5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得部と、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正部と、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正部と、
ジャイロセンサから前記ユーザの体軸回りの動作状態の変化に対応する角速度データを取得する角速度データ取得部と、
前記角速度データに基づいて角度データを導出するとともに、前記角度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記角度データの誤差を導出し、前記角度データの誤差を用いて前記進行方向の角度データを補正する進行方向姿勢補正部と、
を備え、
前記加速度データ取得部は、前記進行方向姿勢補正部により前記進行方向の角度データを補正された加速度データを取得する運動データ取得装置。
【請求項2】
運動データ取得装置により実行される運動データ取得方法であって、
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正ステップと、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正ステップと、
ジャイロセンサから前記ユーザの体軸回りの動作状態の変化に対応する角速度データを取得する角速度データ取得ステップと、
前記角速度データに基づいて角度データを導出するとともに、前記角度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記角度データの誤差を導出し、前記角度データの誤差を用いて前記進行方向の角度データを補正する進行方向姿勢補正ステップと、
を備え、
前記加速度データ取得ステップにおいて、前記進行方向姿勢補正ステップにおいて前記進行方向の角度データを補正された加速度データを取得する運動データ取得方法。
【請求項3】
コンピュータに、
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正ステップと、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正ステップと、
ジャイロセンサから前記ユーザの体軸回りの動作状態の変化に対応する角速度データを取得する角速度データ取得ステップと、
前記角速度データに基づいて角度データを導出するとともに、前記角度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記角度データの誤差を導出し、前記角度データの誤差を用いて前記進行方向の角度データを補正する進行方向姿勢補正ステップと、
を実行させ、
前記加速度データ取得ステップにおいて、前記進行方向姿勢補正ステップにおいて前記進行方向の角度データを補正された加速度データを取得させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動データ取得装置、運動データ取得方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ランニング等の運動時において、慣性センサをユーザの腰に装着して、運動データを取得し、ランニングフォーム等の運動中の体の動きを解析することが行われている。
【0003】
特許文献1は、ユーザに取り付けられた慣性センサから取得した測定データに基づいて、ユーザの左右の動きを算出する運動解析装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-32611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、あるデータに基づいて所望のデータを得ようとする場合、測定誤差、方向推定精度、積分によるドリフト等により誤差が蓄積し、精度良く安定的に左右の動きを算出することは困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運動中のユーザの左右の動きを精度良く安定的に算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運動データ取得装置は、
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得部と、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正部と、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正部と、
ジャイロセンサから前記ユーザの体軸回りの動作状態の変化に対応する角速度データを取得する角速度データ取得部と、
前記角速度データに基づいて角度データを導出するとともに、前記角度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記角度データの誤差を導出し、前記角度データの誤差を用いて前記進行方向の角度データを補正する進行方向姿勢補正部と、
を備え
前記加速度データ取得部は、前記進行方向姿勢補正部により前記進行方向の角度データを補正された加速度データを取得する
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運動中のユーザの左右の動きを精度良く安定的に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る運動データ取得装置の外観を示す正面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の人体への装着状態を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の構成を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る加速度センサおよびジャイロセンサの3軸方向を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の制御部の機能的構成を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の制御部の左右動取得処理手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の制御部の姿勢推定処理手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の進行方向の姿勢のずれを示す図である。
図9】(a)は本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の進行方向の姿勢のずれを示す角速度の波形図、(b)は本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の進行方向の姿勢のずれを示す角度の波形図である。
図10】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の制御部の左右動推定処理手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置の積分誤差を示す位置の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る運動データ取得装置について図面を参照して説明する。
なお、以下における、「走行」は、歩行も含めユーザ自身の足を使って移動する行動の総称である。
【0011】
本実施の形態に係る運動データ取得装置1は、後述する各種の慣性センサが一体となって内蔵されている。運動データ取得装置1は、図1に示すように、正面に電源キー2と、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなる表示部3を備える。電源キー2を操作することによって、慣性センサによるセンサデータの取得が行われる。表示部3は、動作状態を示し、例えば、電源がONされて慣性センサからセンサデータの取得が行われている状態で、LEDが点灯状態を維持する。また、運動データ取得装置1は、背面にクリップ4が設けられており、クリップ4を物に挟み込むことによって取付可能となっている。
【0012】
運動データ取得装置1は、例えば図2に示すように、走行時において、ユーザの背中の腰部の中央付近に装着される。運動データ取得装置1は、クリップ4をユーザの衣服やベルトに挟み込むことによって腰部へ取り付けられる。運動データ取得装置1は、ユーザの腰部に装着されることによって、内蔵された慣性センサにより運動中の体の動きを取得する。なお、運動データ取得装置1は、ユーザの運動中の、体幹を含む胴体の動きを精度よく検出できれば、腰部に限らず胸部や腹部の中央部、頸部等の人体の任意の位置に密着して装着してもよい。また、運動データ取得装置1の取付方法は、ユーザに密着して装着できるものであれば、クリップ4に限らず、ピン、接着テープ等であってもよい。
【0013】
運動データ取得装置1は、図3に示すように、装置全体を制御する中央制御回路31と、不揮発性の記憶回路であるROM(Read Only Memory)32と、揮発性の記憶回路であるRAM(Random Access Memory)33と、外部装置34と、無線通信を行う無線通信モジュール35と、電源キー2による入力、表示部3への出力を制御する入出力制御回路36と、加速度を検出する加速度センサ37と、角速度を検出するジャイロセンサ38と、時間を計測する計時部39と、上記各回路へ電源を供給する、二次電池等のバッテリを含む電源回路40と、を備える。
【0014】
慣性センサである加速度センサ37およびジャイロセンサ38はユーザの運動状態を測定する。加速度センサ37は、3軸加速度センサであり、互いに直交する3軸方向の加速度を検出することにより、ユーザの運動中の動作速度の変化を計測する。
【0015】
ジャイロセンサ38は、3軸角速度センサであり、加速度センサ37において加速度を規定する3軸について各々の軸を中心として回転する角速度を検出することにより、ユーザの運動中の動作方向の変化を計測する。
【0016】
図4は、加速度センサ37およびジャイロセンサ38における3軸方向を示す図である。走行等の運動中の人体の前後方向をy軸方向とする。ここで、ユーザが移動する進行方向を+方向、その反対方向を-方向とする。また、y軸に直交する人体の左右の体側面方向をx軸方向とする。ここで、ユーザの右手方向を+方向、その反対方向を-方向とする。また、x-y平面に直交する人体の上下方向である体軸方向をz軸方向とする。ここで、ユーザの頭上方向を+方向、その反対方向を-方向と規定する。さらに、各軸の+方向に向かって右回り方向に生じる角速度を+方向と規定する。
【0017】
計時部39は、加速度センサ37、ジャイロセンサ38からセンサデータを取得する際の経過時間を計測して時間データとして出力する。ここで、計時部39は、例えば電波時計の機能を有して、送信局から送信される標準電波や、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される時刻情報に基づいて、ユーザの運動中の経過時間を高い精度で計測する。また、内蔵されている水晶振動子により生成される基本クロックを用いて、時間を計測するものであってもよい。
【0018】
中央制御回路31は、プロセッサを備え、バスを通じて各回路と接続されており、ROM32に記憶されている制御プログラムを実行することにより、各種機能を実現して装置全体を制御する。
【0019】
ROM32は、中央制御回路31が各種機能を実現するための制御プログラム、各種固定データを記憶している。RAM33は、中央制御回路31の作業領域として機能する。
中央制御回路31は、所定の制御プログラムを実行することにより、加速度センサ37、ジャイロセンサ38における検出動作、計時部39における経過時間の計測動作、センサデータのRAM33への保存および読出し動作、無線通信モジュール35を介した外部装置34への運動データの送信動作等の制御を行う。
また、中央制御回路31は、センサデータについて、後述する姿勢推定処理、左右動推定処理を行い、運動データの解析処理が正しく行えるよう、運動データを補正する。
【0020】
無線通信モジュール35は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等を介して外部装置34と通信を行うインタフェースを備え、図示しないアンテナを介して外部装置34と無線通信を行う。運動データ取得装置1が取得した運動データは、無線通信モジュール35を介して外部装置34へ送信される。なお、外部装置34との通信は、無線通信モジュール35の代わりに、USB(Universal Serial Bus)等の有線による通信モジュールを介して行われてもよい。
【0021】
入出力制御回路36は、電源キー2から入力された信号をデータに変換して中央制御回路31に送信するとともに、中央制御回路31からの制御信号に基づいて表示部3の点灯を制御する。
【0022】
電源回路40は、電源IC(Integrated Circuit)等を備え、バッテリから各回路に必要な電源を作り出して供給する。また電源回路40は、バッテリを充電する。
【0023】
外部装置34は、運動データ取得装置1から無線通信モジュール35を介して送信されたユーザの運動データを受信する。外部装置34は、受信した運動データを解析し、解析した結果を表示する。外部装置34は、例えば、ユーザが装着するスマートウォッチ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ネットワーク上のサーバ装置等である。すなわち、外部装置34は、ユーザが運動中に解析結果を確認できるように、携帯又は身体に装着しているものであってもよいし、運動後に解析結果をじっくり確認できるように、ユーザが携帯することなく、運動データ取得装置1とは別個に設置されているものであってもよい。
【0024】
運動データ取得装置1は、プログラムに記述された命令に従って中央制御回路31が各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウェアとが協働して動作することにより、図5に示すように、以下に説明する機能を実現する制御部50を構成する。
【0025】
制御部50は、加速度センサ37からの加速度データを取得する加速度データ取得部51と、ジャイロセンサ38から角速度データを取得する角速度データ取得部52と、姿勢推定部53と、左右動推定部54と、を備える。
【0026】
加速度データ取得部51は、加速度センサ37により検出される加速度信号を所定のサンプリング周期でサンプリングして加速度データを取得する。
【0027】
角速度データ取得部52は、ジャイロセンサ38により検出される角速度信号を所定のサンプリング周期でサンプリングして角速度データを取得する。
【0028】
姿勢推定部53は、加速度センサ37やジャイロセンサ38のデータに基づいてユーザの腰部に装着されている運動データ取得装置1の姿勢を推定する。姿勢推定部53は、重力方向推定・補正部53aと、進行方向姿勢推定部53bと、を備える。重力方向推定・補正部53aは、重力方向に対する傾斜を推定し、重力方向に対する軸に沿ったデータに変換する。また、進行方向姿勢推定部53bは、ユーザが走行する進行方向に対する傾斜を推定する。
【0029】
左右動推定部54は、ユーザの腰部に装着されている運動データ取得装置1の左右方向(x軸方向)の動き、すなわち、ユーザの左右方向の動きを推定する。左右動推定部54は、進行方向姿勢補正部54aと、速度データ補正部54bと、位置データ補正部54cと、を備える。進行方向姿勢補正部54aは、進行方向姿勢推定部53bにより推定されたユーザが走行する進行方向に対する傾斜についてy軸を進行方向に平行となるように揃えるように補正する。速度データ補正部54bは、加速度データを積分して算出された速度データに含まれる積分誤差を求めて、速度データから積分誤差を減算することにより、速度データを補正する。位置データ補正部54cは、速度データ補正部54bで補正された速度データを積分して算出された位置データに含まれる積分誤差を求めて、位置データから積分誤差を減算することにより、位置データを補正する。
【0030】
次に、運動データ取得装置1における制御方法(運動データ取得方法)について、図面を参照して説明する。ここで、以下に示す一連の運動データ取得方法は、上述した中央制御回路31において所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0031】
まず、本実施の形態に係る運動データ取得装置1における左右動データ取得方法の概略について説明する。
図6は、本実施の形態に係る運動データ取得装置1における左右動取得処理手順を示すフローチャートである。
ユーザは腰部に運動データ取得装置1を装着して電源キー2を操作して運動データを測定可能状態としてから、走行を開始する。走行が開始されると、加速度センサ37およびジャイロセンサ38からセンサ信号が出力される。センサ信号が出力されると、加速度データ取得部51は、加速度センサ37のセンサ信号を所定の周期、例えば200Hzのサンプリング周波数でサンプリングして、加速度データをRAM33に記憶することによって加速度データを取得する。同様に、角速度データ取得部52は、ジャイロセンサ38のセンサ信号を、200Hzのサンプリング周波数でサンプリングして、角速度データをRAM33に記憶することにより、角速度データを取得する。
【0032】
制御部50は、加速度センサ37から検出される加速度信号、あるいはジャイロセンサ38から検出される角速度信号に基づき、運動状態を監視して、走行が継続しているか、終了したかを判断する(ステップS101)。例えば、所定値以上の加速度信号が所定間隔内で検出される場合は、走行が続いていると判断し、検出されない場合は、走行が終了したと判断する。制御部50は、走行が続いていると判断した場合(ステップS101:NO)、データセンサデータが得られるごとに、姿勢推定処理を行う(ステップS102)。また、同時に制御部50はセンサデータの加速度などからユーザの走行状態として足を2歩移動したか否かの判定を行い(ステップS103)、2歩周期分の加速度データ(x軸方向の加速度データ)が取得されてメモリに格納されることにより、2歩周期分の加速度データが揃ったと判定される(ステップS103:YES)。2歩周期分のx軸方向の加速度データが揃ったと判定されると、制御部50は、ユーザの左右方向の動きを推定する左右動推定処理を行う(ステップS104)。左右動推定処理が実行された後、ステップS101に戻る。また、2歩周期分のx軸方向の加速度データが揃わない場合(ステップS103:NO)、ステップS101に戻り、走行が継続している限り、2歩周期分のx軸方向の加速度データが揃うまでステップS101に戻る動作が繰り返される。また、ステップS101において、走行が終了したと判断された場合(ステップS101:YES)、左右動取得処理は終了する。
【0033】
続いて、姿勢推定処理について図7を参照して説明する。加速度センサ37、ジャイロセンサ38を含む慣性センサは前述したように、ユーザの腰部に装着されている。ここで、ランニングをしている時、ユーザの姿勢が前傾になったり左右に傾いたりしている場合がある。この場合、慣性センサを装着したユーザの腰部の傾斜角度分だけ、本来重力方向と平行となるべきz軸方向、および、ユーザの進行方向と平行となるべきy軸方向が傾斜する。そこで、加速度センサ37やジャイロセンサ38のデータに基づいてこれらの傾斜を推定する姿勢推定処理を行う。
【0034】
姿勢推定処理において、まず、重力方向に対する傾斜を推定し、重力方向に対する軸に沿ったデータ、すなわち、水平方向に沿ってy軸及びx軸をとり、重力方向をz軸方向とした軸座標データに変換する重力方向推定・補正処理を行う(ステップS201)。この推定方式の一例として、加速度センサ37の3軸出力とジャイロセンサ38の3軸出力をカルマンフィルタやローパスフィルタに入力することにより、地面に対する、加速度の3軸データと、角速度の3軸データとを算出して、重力方向の推定を行う。また、カルマンフィルタやローパスフィルタ以外の軸推定方式を採用して重力方向の推定を行ってもよい。重力方向の推定が行われると、加速度センサ37やジャイロセンサ38のデータについて推定された重力方向に姿勢を補正する。この処理により、加速度センサ37とジャイロセンサ38のデータのz軸方向が重力方向を向くこととなる。
【0035】
続いて、ユーザが走行する進行方向に対する傾斜を推定し、y軸を進行方向に平行となるように揃える進行方向推定処理を行う(ステップS202)。重力方向の姿勢の補正処理が行われたジャイロセンサ38からの角速度データを積分することにより角度データを求め、現在のジャイロセンサ38のy軸方向と進行方向との差分を算出して、進行方向の推定を行い、進行方向姿勢補正を行う。しかしながら、角度は角速度データを積分することにより求めるため積分誤差が生じ、また、走行中、ユーザがカーブなどで曲がった場合にも誤差が生じ、これらの誤差が累積することにより、結果がずれてしまうことが考えられる。
【0036】
この状態を図8を参照して説明する。図8は、ユーザが走行している状態を示しており、ユーザは進行方向に対してz軸方向の角速度データGyrZだけずれた状態を示している。走行中において、ユーザは交互に足を出し、腕を振ることから、腰は左右に交互に回転し、z軸回りの角速度データGyrZは、進行方向を中心として正弦波を描いている。しかし、例えば、ユーザがカーブを曲がって走行している場合、角速度の中心にずれが生じる。
【0037】
ユーザが直線からカーブに沿って走行している状態におけるz軸回りの角速度データGyrZを示したのが、図9(a)である。ここで、ユーザがカーブに沿って走行している状態において、角速度の中心にずれが生じている。この角速度のデータを積分して角度データとして示したのが、図9(b)の曲線91である。本来であれば、角速度は曲線93のようになるところ、ユーザがカーブを曲がることによって角度に大きなずれが発生している。
【0038】
このように、進行方向は時々刻々変化し、この変化にしたがい、進行方向の姿勢誤差が増大する。進行方向の姿勢誤差が増大すると、y軸が正しい方向に補正されず、これに伴いx軸も正しい方向に補正されないこととなる。すなわち、左右方向の動きについて精度良く算出することができなくなる。そこで、この姿勢誤差を抽出して角度データから除去することにより、y軸を正しい方向に補正する。本実施の形態において、歩行時、あるいは走行時の2歩周期分の角速度データを用いてこの補正を行う。
【0039】
一般に、走行動作においては、一方の足、例えば右足を進行方向に踏み出して着地してから、一方の足を蹴り出し(右足の離地)、続いて他方の足(左足)が着地し、他方の足を蹴り出し(左足の離地)、再び一方の足(右足)を着地する、左右各1歩の計2歩分を1周期として定義することができる。
【0040】
このとき、右足の踏み出しに対して腰は進行方向から右回りに移動する。その後右足の着地により反転して左回りに移動し、右足を蹴り出す頃には進行方向に戻り、さらに左回りに移動し左足の着地により反転して右回りに移動して進行方向に戻る。
【0041】
すなわち、この間のz軸回りの角度の軌跡は左右対称であり、平均すると0になる。したがって、上述した誤差がなければ、2歩周期の角度の平均は0であり、逆に誤差があれば、2歩周期の角度の平均は進行方向の姿勢誤差を示す。
【0042】
そこで、積分結果に対して2歩周期の長さの移動平均を適用し積分結果から減算する。ここで、2歩周期の移動平均とは、ある時刻tにおける入力信号のデータと当該データの前後それぞれ1歩周期分の入力信号のデータを平均したものをいう。ある時刻tにおける入力信号をs[t]、移動平均をd[t]、1歩周期の長さをcとする。このとき、入力信号s[t]に対する移動平均d[t]は、d[t]=mean(s[t-c],・・・,s[t-1],s[t],s[t+1],・・・,s[t+c])である。
入力信号s[t]に対して、対象時刻tから過去と未来それぞれ1歩周期cずつ(両側で2歩周期:t-cからt+cまで)の幅に収まるデータ群で平均値(mean)を算出していく操作を、各時刻(・・・,t-1,t,t+1、・・・)で行うことで各時刻に対する移動平均(・・・,d[t-1],d[t],d[t+1],・・・)が得られる。以後における2歩周期の移動平均についても同様である。
これにより、進行方向とセンサのy軸方向の差分を2歩周期で平均0にすることができる。
【0043】
2歩周期は、ジャイロセンサ38からの角速度データに基づき求められる。ユーザが走行する場合、左足を進行方向に出して踵を地面についたときに角速度は0となる。左足の踵を地面についた後、後方に蹴り出すことにより角速度は-方向に大きくなる。ユーザが進行方向を向いた状態で角速度は最大となる。ユーザが進行方向を向いた状態となった後、右足が進行方向に移動するにしたがって、角速度は小さくなっていく。そして右足の踵が着地したときに角速度は0となる。
【0044】
右足の踵が着地した後、後方に蹴り出すことにより角速度は+方向に大きくなる。ユーザが進行方向を向いた状態で角速度は最大となる。ユーザが進行方向を向いた状態となった後、左足が進行方向に移動するにしたがって、角速度は小さくなっていく。そして左足の踵が着地したときに角速度は0となる。このように、角速度が0となるとき、あるいは、角速度が最大または最小となるタイミングから2歩周期を求めることができる。
【0045】
あるいは、加速度センサ37からの加速度データから2歩周期を求めることができる。
一連の走行動作において、加速度センサ37により取得され加速度データのうち上下方向の加速度成分は、左右の1歩ごとに周期性を有する信号波形を示す。このことから、上下方向の加速度成分における2歩周期分が、走行動作における1周期に対応することになる。したがって、加速度センサ37により取得された上下方向の加速度成分に基づいて、ユーザが行った走行動作における2歩周期ごとの動作データを安定的に切り出すことができる。これとともに、2歩周期の時間を正確に計測することができる。例えば、右足の踵を着地するタイミングで、+方向の加速度が最大となり、左足の踵を着地するタイミングで-方向の加速度が最大となる。なお、周期推定方法として、他の方式が採用されてもよい。
【0046】
進行方向の推定処理を行う前に、2歩周期分の角速度データが揃うことが必要である。ジャイロセンサ38から検出された角速度信号は、角速度データ取得部52に入力され、角速度データ取得部52は、所定のサンプリング周期でサンプリングし、RAM33に記憶される。RAM33に角速度データが2歩周期分格納されると、RAM33からこの2歩周期分のz軸方向の角速度データGyrZが読み出される。この2歩周期期間のz軸方向の角速度データGyrZについて積分が行われ、角度が算出される。角度が算出されると、2歩周期期間内の角度の平均が算出される。この2歩周期における左右の揺動は対となることから、角度の平均は0となるはずである。
【0047】
しかしながら、積分誤差、カーブ等によるずれがこの平均に表れる。この平均を表す曲線が図9(b)の曲線92である。この平均は移動平均である。この2歩周期は、上記タイミングによりカウントされた時間に基づき、例えば、1サンプリング期間だけ移動して移動平均を求める。移動平均を求めて角度を補正することにより、走行中に補正することができ、安定的で精度良く進行方向を補正することができる。上記タイミングによる2歩周期のカウントは、随時行うようにして時間をカウントしてもよい。同じ人物であっても2歩周期は異なることがあることから、常に周期をカウントして時間を更新してもよい。
【0048】
移動平均が求められると、例えば1サンプリング期間の速度データに対して積分された角度から移動平均が減算され、進行方向が補正される。次のサンプリング期間の速度データに対して積分された角度は、1サンプリング期間移動して算出された2歩周期の角度の平均を減算することにより、進行方向が補正される。1回または数回のデータ信号のサンプリングごとに、直近の2歩周期に対応する時間幅から移動平均を求める。基準タイミングを開始点とした一定期間のサンプリング値の平均を算出するだけでなく、基準タイミングに制限されることなく、任意のタイミングから2歩周期に対応する時間幅の平均を求めるようにしてもよい。
【0049】
前述したように、図7において姿勢推定処理が行われ、2歩周期分の加速度データがRAM33に格納されると、2歩周期分の加速度データがRAM33から読み出され、左右動推定処理が行われる(図6、ステップS104)。
続いて、左右動推定処理について図10を参照して説明する。
【0050】
まず、保存されている2歩周期分の加速度データに対して、姿勢推定処理で得られた進行方向の姿勢誤差を用いて進行方向の姿勢補正を行う。これにより、姿勢推定処理により既に行われた重力方向の姿勢補正に加えて、進行方向の姿勢補正が行われ、z軸が重力方向、y軸が進行方向に沿った加速度、すなわち、x軸方向についても姿勢補正された加速度が取得される(ステップS301)。
【0051】
ステップS301で進行方向の姿勢補正が行われた加速度データは、積分処理が行なわれ、速度が算出される。
しかしながら、積分処理を行うことにより積分誤差が発生し、算出された速度データはこの積分誤差を含んでいる。位置データを算出するためには、さらに速度データを積分する必要がある。速度データを積分することによって、さらに積分誤差が発生し、算出された位置データの誤差は大きくなる。図11は、加速度のデータを2回積分した場合の位置データを示した図であり、曲線111が2回積分した位置データを示している。加速度データの積分による積分誤差と速度データの積分による積分誤差が累積することによって誤差が増大している。そこで、前述の進行方向の姿勢補正の場合と同様に、2歩周期分の積分データの移動平均を求めることにより、この誤差成分を算出する。
前述したように、2歩周期におけるz軸回りの角度の軌跡は左右対称であり、平均すると0になる。同様に、左右方向、すなわち、x軸方向の速度データの変化および位置データの変化も左右対称であり、平均すると0になる。したがって、積分誤差がなければ、2歩周期のx軸方向の速度データおよび位置データの平均は0であり、逆に誤差があれば、2歩周期のx軸方向の速度データおよび位置データの平均は積分誤差を示す。
【0052】
移動平均は、前述と同様、2歩周期の長さに基づき、例えば、1サンプリング期間だけ移動して速度の平均を求める。移動平均を求めて速度データを補正することにより、走行中に速度データを補正することができ、安定的で精度良く積分誤差を補正することができる。上記タイミングによる2歩周期のカウントは、随時行うようにして時間をカウントしてもよい。同じ人物であっても2歩周期は異なることがあることから、常に周期をカウントして時間を更新してもよい。
【0053】
移動平均が求められると、例えば1サンプリング期間の加速度データに対して積分された速度データから移動平均が減算され、積分誤差が補正される。次のサンプリング期間の加速度データに対して積分された速度データは、1サンプリング期間移動して算出された2歩周期の速度データの平均を減算することにより、積分誤差が補正される。このように1回または数回のデータ信号のサンプリングごとに、直近の2歩周期に対応する時間幅から移動平均を求め、2歩周期の速度データの平均を減算することにより、積分誤差が補正された速度が算出される(ステップS302)。基準タイミングを開始点とした一定期間のサンプリング値の平均を算出するだけでなく、基準タイミングに制限されることなく、任意のタイミングから2歩周期に対応する時間幅の平均を求めるようにしてもよい。
【0054】
ステップS302で積分誤差の補正が行われた速度データは、積分処理を行われることにより、位置データが算出される。
【0055】
しかしながら、前述したように、積分処理を行うことにより積分誤差が発生し、算出された位置データはこの積分誤差を含んでいる。そこで、前述と同様に、2歩周期分の積分データの移動平均を求めることにより、この誤差成分を算出する。
【0056】
移動平均は、前述と同様、2歩周期の長さに基づき、例えば、1サンプリング期間だけ移動して位置データの平均を求める。移動平均を求めて位置データを補正することにより、走行中に位置データを補正することができ、安定的で精度良く積分誤差を補正することができる。上記タイミングによる2歩周期のカウントは、随時行うようにして時間をカウントしてもよい。同じ人物であっても2歩周期は異なることがあることから、常に周期をカウントして時間を更新してもよい。
【0057】
移動平均が求められると、例えば1サンプリング期間の速度データに対して積分された位置データから移動平均が減算され、積分誤差が補正される。次のサンプリング期間の速度データに対して積分された位置データは、1サンプリング期間移動して算出された2歩周期の位置データの平均を減算することにより、積分誤差が補正される。図11において、曲線112が移動平均を示している。そして、積分誤差が生じている曲線111から移動平均を示す曲線112を減算した移動データが曲線113である。曲線113において、積分誤差が補正されている。このように1回または数回のデータ信号のサンプリングごとに、直近の2歩周期に対応する時間幅から移動平均を求め、2歩周期の位置データの平均を減算することにより、積分誤差が補正された位置データ(左右動)が算出される(ステップS303)。なお、ステップS302の場合と同様に、基準タイミングを開始点とした一定期間のサンプリング値の平均を算出するだけでなく、基準タイミングに制限されることなく、任意のタイミングから2歩周期に対応する時間幅の平均を求めるようにしてもよい。
【0058】
以上のように、加速度データを積分して速度データを求める際に、2歩周期分の速度データの平均を減算して積分誤差が補正された速度データを得るとともに、補正された速度データを積分して左右動の位置データを求める際に、2歩周期分の平均を減算して積分誤差が補正された左右動の位置データを得ることにより、2回積分による積分誤差の累積による左右動の位置データの誤差を減じ、精度よく左右動の位置データを算出することができる。さらに、2歩周期分の平均として、直近の2歩周期に対応する時間幅の移動平均を用いて位置データを補正することから、さらに安定的に精度よく左右動の位置データを算出することができる。
【0059】
また、角速度データを積分して角度データを算出するとともに、角度データの2歩周期の移動平均を用いて算出された角度データの誤差を用いて進行方向の角度データを補正して進行方向の姿勢を補正することにより、時々刻々変化する進行方向に対応して姿勢が補正可能であり、さらに安定的に精度よく左右動の位置データを算出することができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、姿勢推定処理を行って姿勢を補正した後、左右動推定処理を行い、ユーザの左右動のデータを取得することを説明したが、これに限らず、例えば、姿勢推定処理を省略して左右動推定処理のみを行ってもよい。上述したように、左右動推定処理を行うことにより、加速度データの2回積分による積分誤差の累積を除去することができ、安定的に精度よく左右動の位置データを算出することができる。さらに、本実施の形態のように、姿勢推定処理を追加することにより、進行方向の変化に対応して姿勢を補正でき、さらに、安定的に精度よく左右動の位置データを算出することができる。
【0061】
本実施の形態は、ユーザが歩行や走行を行う場合の運動データを取得することについて説明したが、これに限らず例えばサイクリング等の運動データを収録する場合に適用してもよい。
【0062】
また、本実施の形態において、運動データ取得装置1は、加速度センサ37およびジャイロセンサ38を備えていたが、加速度センサ37およびジャイロセンサ38は運動データ取得装置1とは、別に設けてもよい。この場合、加速度センサ37およびジャイロセンサ38は、ユーザの腰部に装着され、運動データ取得装置1と有線あるいは無線により接続されるようにする。
【0063】
また、本実施の形態において、運動データ取得装置1は、加速度センサ37およびジャイロセンサ38からセンサデータを取得し、左右動の運動データを補正し、補正した左右動の運動データを無線により外部装置34に送信し、外部装置34がデータの解析を行い、解析結果を表示した。したがって、運動データ取得装置1と外部装置34は、運動データを取得・解析するシステムを構成する。しかし、これに限らず、運動データ取得装置1がデータの解析を行い、解析結果を外部装置34に送信してもよい。また、運動データ取得装置1は、液晶表示器等の表示部を備え、表示結果を表示してもよい。
【0064】
また、逆に、運動データ取得装置1は、加速度センサ37およびジャイロセンサ38からセンサデータを取得することのみを行い、左右動の運動データの補正処理は、外部装置34が行ってもよい。
【0065】
また、運動データ取得装置1は、例えばカードスロットを有し、メモリカードのごとき記録媒体が着脱自在に設けられ、この記録媒体に取得されたデータ、補正されたデータを記憶してもよい。
【0066】
また、運動データ取得装置1はセンサとして加速度センサ37とジャイロセンサ38を設けたが、さらに地磁気センサ、GPS受信器等を設けてもよい。
【0067】
上記実施の形態において、中央制御回路31がROM32に記憶されたプログラムを実行することによって、制御部50として機能した。しかしながら、中央制御回路31がROM32に記憶されたプログラムを実行する代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、制御部として機能しても良い。この場合、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現しても良い。
【0068】
また、上記実施の形態において、ROM32に予めプログラムを記憶しておくことはもとより、メモリカード等の外部記録媒体から記録媒体読取部を介してRAM33等に読み込ませて記憶されたものであってもよい。これに加えて、プログラムを搬送波に重畳し、インターネット等の通信媒体を介してRAM33等に読み込ませて記憶することもできる。
【0069】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記の番号は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0070】
(付記1)
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得部と、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正部と、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正部と、
を備える運動データ取得装置。
【0071】
(付記2)
ジャイロセンサから前記ユーザの体軸回りの動作状態の変化に対応する角速度データを取得する角速度データ取得部と、
前記角速度データに基づいて角度データを導出するとともに、前記角度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記角度データの誤差を導出し、前記角度データの誤差を用いて前記進行方向の角度データを補正する進行方向姿勢補正部と、を備え、
前記加速度データ取得部は、前記進行方向姿勢補正部により前記進行方向の角度データを補正された加速度データを取得する付記1に記載の運動データ取得装置。
【0072】
(付記3)
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正ステップと、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正ステップと、
を備える運動データ取得方法。
【0073】
(付記4)
コンピュータに、
加速度センサから走行移動中のユーザの進行方向および体軸に直交する左右の体側面方向の動作状態に対応する加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、
前記加速度データに基づいて速度データを導出するとともに、前記速度データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記速度データの誤差を導出し、前記速度データの誤差を用いて前記速度データを補正することにより補正速度データを生成する速度データ補正ステップと、
前記補正速度データに基づいて位置データを導出するとともに、前記位置データの直近の2歩周期の移動平均を用いて前記位置データの誤差を導出し、前記位置データの誤差を用いて前記位置データを補正することにより補正位置データを生成する位置データ補正ステップと、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0074】
1…運動データ取得装置、2…電源キー、3…表示部、4…クリップ、31…中央制御回路、32…ROM、33…RAM、34…外部装置、35…無線通信モジュール、36…入力制御回路、37…加速度センサ、38…ジャイロセンサ、39…計時部、40…電源回路、50…制御部、51…加速度データ取得部、52…角速度データ取得部、53…姿勢推定部、53a…重力方向推定・補正部、53b…進行方向姿勢推定部、54…左右動推定部、54a…進行方向姿勢補正部、54b…速度データ補正部、54c…位置データ補正部、91,92,93,111,112,113…曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11