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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電話制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20240702BHJP
   H04M 3/38 20060101ALI20240702BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20240702BHJP
   H04M 1/60 20060101ALI20240702BHJP
   H04M 1/72463 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
H04Q3/58 106
H04M3/38
H04M3/42
H04M1/60 D
H04M1/72463
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020057904
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158566
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】城下 貴史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】大金 英樹
(72)【発明者】
【氏名】霜田 綾
(72)【発明者】
【氏名】紺野 峻史
(72)【発明者】
【氏名】上家 聖来
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-359159(JP,A)
【文献】特開2016-032183(JP,A)
【文献】特開平10-023510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 3/58
H04M 3/38
H04M 3/42
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、
前記複数の内線電話端末のそれぞれが、セキュリティ区画内に存在するか否かを特定するための位置情報を記憶する記憶部とを備え、
前記制御部は、前記複数の内線電話端末のいずれかで通話を開始する際、前記位置情報に基づいて前記通話を開始する通話端末が前記セキュリティ区画内に位置するか否かを判定し、前記通話端末が前記セキュリティ区画内に位置する場合、前記通話端末の送話音量通常レベルより低い制限レベルまで低下させ
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置において、
前記位置情報は、コードレス子機からなる前記複数の内線電話端末を前記制御部に無線中継するためのコードレス親機ごとに、当該コードレス親機がセキュリティ区画内に設置されているか否かを示す位置情報からなり、
前記制御部は、前記位置情報を参照して、前記通話端末を無線中継しているコードレス親機がセキュリティ区画内に設置されているか否かを確認することにより、前記通話端末が前記セキュリティ区画内に位置するか否かを判定する
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電話制御装置において、
前記制御部は、前記通話端末が通話を開始した後に移動して、前記通話端末を無線中継しているコードレス親機が前記セキュリティ区画内に設置されているコードレス親機に切り替わった場合、前記通話端末での通話に対する規制を開始することを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、
前記複数の内線電話端末のそれぞれが、セキュリティ区画内に存在するか否かを特定するための位置情報を記憶する記憶部とを備え、
前記制御部は、前記複数の内線電話端末のいずれかで通話を開始する際、前記位置情報に基づいて前記通話を開始する通話端末が前記セキュリティ区画内に位置するか否かを判定し、前記通話端末が前記セキュリティ区画内に位置する場合、前記通話端末での通話を規制する電話制御装置において、
前記位置情報は、前記複数の内線電話端末のそれぞれが、セキュリティ区画内に設置されているか否かを示す位置情報からなり、
前記制御部は、前記位置情報を参照して前記通話端末がセキュリティ区画に設置されているか否かを確認するとともに、前記セキュリティ区画のドアに設けたセンサからの出力に基づいて前記ドアの開閉状態を検知し、前記通話端末がセキュリティ区画に設置されていて、かつ、前記ドアが開いている場合、前記通話端末での発信および着信を禁止する
ことを特徴とする電話制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の話し声が通話に混入して漏洩するのを抑制するための通話制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムでは、内線電話端末の筐体やハンドセットにミュートスイッチを設け、このミュートスイッチが押下されている場合、ハンドセットや筐体に取り付けられているマイクから入力された送話音声の送出を停止し、あるいは音声レベルを低減する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これにより、通話中にマイクを手で覆ったり通話の保留操作を行ったりすることなく、通話相手の音声を聞きながら、自己からの不要な音声の送出を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-270537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電話システムが設置されるケースの1つとして、セキュリティ区画に内線電話端末が設置される場合がある。例えば、ビジネスシーンでは、内線電話端末の一部を研究室などのセキュリティ区画に設置して、外部と通話可能とする場合がある。このようなセキュリティ区画内の内線電話端末で利用者が外部の電話端末と通話を行う場合、研究室内で行われている秘密事項に関する会話の音声が、内線電話端末のマイクから通話に混入して外部に漏洩する可能性がある。
【0005】
このような秘密事項に関する会話の内容は、利用者が予測することはできないため、前述した従来技術のように、利用者がミュートスイッチを操作して、秘密事項に関する会話の音声を停止したり音声レベルを低減したりすることは難しく、情報漏洩のリスクに対応することはできないという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、セキュリティ区画に位置する内線電話端末での通話に、周囲の話し声が混入して秘密事項が漏洩するのを抑制できる通話制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話制御装置は、複数の内線電話端末を呼制御することにより電話網に交換接続する制御部と、前記複数の内線電話端末のそれぞれが、セキュリティ区画内に存在するか否かを特定するための位置情報を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、前記複数の内線電話端末のいずれかで通話を開始する際、前記位置情報に基づいて前記通話を開始する通話端末が前記セキュリティ区画内に位置するか否かを判定し、前記通話端末が前記セキュリティ区画内に位置する場合、前記通話端末での通話を規制するようにしたものである。
【0008】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記位置情報が、コードレス子機からなる前記複数の内線電話端末を前記制御部に無線中継するためのコードレス親機ごとに、当該コードレス親機がセキュリティ区画内に設置されているか否かを示す位置情報からなり、前記制御部は、前記位置情報を参照して、前記通話端末を無線中継しているコードレス親機がセキュリティ区画内に設置されているか否かを確認することにより、前記通話端末が前記セキュリティ区画内に位置するか否かを判定するようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記制御部が、前記通話端末が通話を開始した後に移動して、前記通話端末を無線中継しているコードレス親機が前記セキュリティ区画内に設置されているコードレス親機に切り替わった場合、前記通話端末での通話に対する規制を開始するようにしたものである。
【0010】
また、本発明にかかる上記電話制御装置は、前記制御部が、前記通話端末が前記セキュリティ区画内に位置する場合、前記通話端末の送話音量を通常レベルより低い制限レベルまで低下させるようにしたものである。
【0011】
また、本発明にかかる上記電話制御装置は、前記位置情報が、前記複数の内線電話端末のそれぞれが、セキュリティ区画内に設置されているか否かを示す位置情報からなり、前記制御部は、前記位置情報を参照して前記通話端末がセキュリティ区画に設置されているか否かを確認するとともに、前記セキュリティ区画のドアに設けたセンサからの出力に基づいて前記ドアの開閉状態を検知し、前記通話端末がセキュリティ区画に設置されていて、かつ、前記ドアが開いている場合、前記通話端末での発信および着信を禁止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通話端末がセキュリティ区画内に位置する場合には、通話端末の通話が自動的に規制されることになる。このため、セキュリティ区画内に通話端末が位置していて、周囲の話し声に秘密事項が含まれていたとしても、通話端末のマイクから混入する周囲の話し声の音声レベルがある程度低下するため、秘密事項の漏洩を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態にかかる電話システムおよび電話制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態にかかる位置情報の構成例を示す説明図である。
図3】第1の実施の形態にかかる電話制御装置の通話制御処理を示すフローチャートである。
図4】第2の実施の形態にかかる電話システムおよび電話制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】第2の実施の形態にかかる位置情報の構成を示す説明図である。
図6】第2の実施の形態にかかる電話制御装置の通話制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システム1の電話制御装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる電話システムおよび電話制御装置の構成を示すブロック図である。
この電話システム1は、全体としてビジネスホンやPBXシステムなどの電話システムからなり、複数の内線電話端末20と、これら内線電話端末20を電話網NWに対して交換接続する電話制御装置10とから構成されている。
【0015】
本実施の形態では、図1に示すように、内線電話端末20がコードレス子機22からなる場合を例に説明する。この際、電話制御装置10には、内線回線L2を介して複数のコードレス親機21が接続されており、これらコードレス親機21がコードレス子機22と電話制御装置10とを無線中継する。以下では、コードレス子機22を内線電話端末20という場合がある。図1には、内線電話端末20としてコードレス子機22のみを電話制御装置10に内線接続した構成例が示されているが、これに限定されるものではない。コードレス子機22に加えて、内線回線L2を介して内線電話端末20を内線接続した構成であってもよい。
【0016】
コードレス親機21は、マルチライン方式のコードレス親機からなり、複数のコードレス親機21を無線中継することができ、コードレス子機22の移動に応じて隣接するコードレス親機21へハンドオーバーする機能を備えている。これらコードレス親機21の一部がセキュリティ区画P内に設置されており、利用者は、コードレス子機22を用いてセキュリティ区画P内で通話を行うことができ、通話しながらセキュリティ区画Pを出入りすることも可能である。
【0017】
[電話制御装置]
電話制御装置10は、全体としてビジネスホンの主装置やPBXシステムのPBX装置などの電話制御装置からなり、主な処理部として、網I/F11、内線I/F12、音声処理部13、記憶部14、および制御部15を備えている。
【0018】
[網I/F11]
網I/F11は、通信回線L1を介して電話網NWとの間でデータ通信を行うことにより、呼制御メッセージや音声データをやり取りする機能を有している。
以下では、電話網NWがIP(Internet Protocol)電話網、ISDN(Integrated Services Digital Network)網、携帯電話網などのデジタル電話網からなる場合を例として説明する。電話網NWについてはPSTN(Public Switched Telephone Network)網などのアナログ電話網であってもよい。アナログ電話網の場合、網I/F11は、呼制御メッセージや音声データに代えて呼制御信号や音声信号をアナログ電話網との間でやり取りする。
【0019】
[内線I/F12]
内線I/F12は、内線回線L2およびコードレス親機21を介してコードレス子機22(内線電話端末20)との間でデータ通信を行うことにより、コードレス子機22で利用者が操作した内容を示す操作データ、コードレス子機22を制御するための制御データや、通話のための音声データをやり取りする機能を有している。
【0020】
[音声処理部]
音声処理部13は、網I/F11を介して電話網NWとやり取りする通話などの音声データと、内線I/F12を介してコードレス子機22とやり取りする通話などの音声データとを相互に変換する機能と、着信音などの各種の信号音を示す音声データを網I/F11や内線I/F12へ出力する機能とを有している。なお、音声処理部13については、制御部15の処理部により実現してもよい。
【0021】
[記憶部]
記憶部14は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、電話制御装置10の処理動作に用いる各種の処理データやプログラム14Pを記憶する機能を有している。
プログラム14Pは、制御部15のCPUと協働することにより、制御部15での呼制御処理や通話規制処理を実行するための各種処理部を実現するプログラムである。プログラム14Pは、電話制御装置10に接続された外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から、予め読み込まれて記憶部14に保存される。
【0022】
[位置情報]
記憶部14で記憶する主な処理データとして、位置情報14Aがある。位置情報14Aは、コードレス子機22(内線電話端末20)のそれぞれが、セキュリティ区画P内に存在するか否かを特定するための位置情報である。前述したように、コードレス子機22はセキュリティ区画Pを出入り可能であるため、コードレス子機22ごとに位置情報を固定化することはできない。本実施の形態では、コードレス子機22を無線中継しているコードレス親機21の位置情報でコードレス子機22がセキュリティ区画P内に存在するか否かを特定する。
【0023】
図2は、第1の実施の形態にかかる位置情報の構成例を示す説明図である。図2には、コードレス親機21を識別するための親機IDごとに、当該コードレス親機21がセキュリティ区画P内に存在するか否か示す設置位置が登録されている。図2の例では、親機ID「001」のコードレス親機21の設置位置は「N」であり、セキュリティ区画P外に設置されていることを示している。また、親機ID「101」のコードレス親機21の設置位置は「P」であり、セキュリティ区画P内に設置されていることを示している。親機IDとして、例えば、コードレス親機21が電話制御装置10との間のデータ通信に用いるアドレスを用いれば、通話時にコードレス子機22との間でやり取りする制御データから、親機IDを容易に取得することができる。
【0024】
[制御部]
制御部15は、CPUとその周辺処理部を有し、CPUと記憶部14のプログラム14Pとを協働させることにより、呼制御処理や通話規制処理を実行するための各種処理部を実現する機能を有している。制御部15で実現する主な処理部として呼制御部15Aと通話規制部15Bがある。
【0025】
[呼制御部]
呼制御部15Aは、網I/F11および通信回線L1を介して電話網NWとの間で呼制御メッセージや音声データをやり取りするとともに、内線I/F12、内線回線L2、およびコードレス親機21を介してコードレス子機22との間で制御データや音声データをやり取りすることにより、電話網NWを用いた、発信・着信・保留・転送などの一般的な各種の電話サービスをコードレス子機22に提供する機能を有している。
【0026】
また、呼制御部15Aは、通話規制部15Bでの判定結果が通話規制要を示す場合、コードレス子機22に対して通話規制を適用する機能を有している。通話規制適用の具体例としては、コードレス子機22に送話音量調整用の制御データを送信することにより、コードレス子機22の送話音量を通常レベルより低い制限レベルまで低下させる方法がある。この際、送話音量のレベル低下に代えて、送話信号の低周波数領域を低減するようフィルタリング処理してもよい。これら送話音声に対する音声処理は、コードレス子機22の音声処理部(図示せず)または電話制御装置10の音声処理部13のいずれかで実行すればよい。
【0027】
[通話規制部]
通話規制部15Bは、コードレス子機22のいずれかで、発信時や着信時などの通話を開始する際、記憶部14の位置情報14Aに基づいて、通話を開始するコードレス子機22(通話端末)がセキュリティ区画P内に位置するか否かに応じて、通話規制の要否を判定する機能と、得られた判定結果を呼制御部15Aに通知する機能とを有している。
【0028】
具体的には、通話規制部15Bは、通話を開始するコードレス子機22から受信した制御データから、コードレス子機22を無線中継しているコードレス親機21の親機IDを取得する機能と、取得した親機IDの設置位置を位置情報14Aから取得する機能と、取得した位置情報が「P」すなわちセキュリティ区画P内を示す場合には通話規制要と判定し、取得した位置情報が「N」すなわちセキュリティ区画P外を示す場合には通話規制不要と判定する機能とを有している。
【0029】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の通話制御方法について説明する。図3は、第1の実施の形態にかかる電話制御装置の通話制御処理を示すフローチャートである。
【0030】
通話規制部15Bは、コードレス子機22のいずれかで、発信時や着信時などの通話を開始する際、通話を開始するコードレス子機22から受信した制御データから、コードレス子機22を無線中継しているコードレス親機21の親機IDを取得する(ステップS100)。
次に、通話規制部15Bは、記憶部14の位置情報14Aを参照し(ステップS101)、親機IDの設置位置がセキュリティ区画P内を示すか否か確認する(ステップS102)。
【0031】
ここで、親機IDの設置位置がセキュリティ区画P内を示す場合(ステップS102:YES)、通話規制部15Bは、コードレス子機22の通話に対して通話規制が必要と判定し、通話規制要を示す判定結果を呼制御部15Aに通知する(ステップS103)。
呼制御部15Aは、通話規制部15Bから通知された判定結果が通話規制要を示す場合、コードレス子機22に対して通話規制を適用する(ステップS104)。
【0032】
これにより、コードレス子機22に対して通話規制が適用されて、送話音量が通常レベルから制限レベルまで低下するため、セキュリティ区画P内にコードレス子機22が位置していて、周囲の話し声に秘密事項が含まれていたとしても、コードレス子機22のマイクから混入する周囲の話し声の音声レベルがある程度低下するため、秘密事項の漏洩が抑制される。
【0033】
一方、親機IDの設置位置がセキュリティ区画P内を示していない場合(ステップS102:NO)、通話規制部15Bは、コードレス子機22の通話に対して通話規制が不要と判定し、通話規制不要を示す判定結果を呼制御部15Aに通知する(ステップS105)。
呼制御部15Aは、通話規制部15Bから通知された判定結果が通話規制不要を示す場合、コードレス子機22に対して通話規制を適用せず、また、適用中であれば適用を停止する(ステップS106)。
【0034】
以上では、通話開始時のコードレス子機22の位置に基づき、通話規制の要否を判定する場合を例として説明したが、図3の通話制御処理は、通話開始時に限定されるものではなく、通話中に間欠的に実行してもよい。例えば、コードレス子機22が通話を開始した後に移動して、コードレス子機22を無線中継しているコードレス親機21がセキュリティ区画P内に設置されているコードレス親機21に切り替わった場合、コードレス子機22での通話に対する規制を開始することができる。
【0035】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、記憶部14で、複数の内線電話端末20のそれぞれが、セキュリティ区画P内に存在するか否かを特定するための位置情報14Aを記憶しておき、制御部15が、複数の内線電話端末20のいずれかで通話を開始する際、位置情報14Aに基づいて通話を開始する通話端末がセキュリティ区画P内に位置するか否かを判定し、通話端末がセキュリティ区画P内に位置する場合、通話端末での通話を規制するようにしたものである。
【0036】
具体的には、通話端末がセキュリティ区画P内に位置する場合、通話端末の送話音量を通常レベルより低い制限レベルまで低下させるようにしてもよい。
これにより、通話端末がセキュリティ区画P内に位置する場合には、通話端末の通話が自動的に規制されることになる。このため、セキュリティ区画P内に通話端末が位置していて、周囲の話し声に秘密事項が含まれていたとしても、通話端末のマイクから混入する周囲の話し声の音声レベルがある程度低下するため、秘密事項の漏洩を抑制することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態において、通話中のコードレス子機22(通話端末)を無線中継しているコードレス親機21がセキュリティ区画P内に設置されているか否かを示す位置情報14Aを用いて、通話中のコードレス子機22を無線中継しているコードレス親機21がセキュリティ区画P内に設置されているか否かを確認することにより、通話中のコードレス子機22がセキュリティ区画P内に位置するか否かを判定するようにしてもよい。これにより、コードレス子機22の所在位置が移動により変化する場合であっても、精度よく通話規制要否を判定することができる。
【0038】
また、本実施の形態において、コードレス子機22が通話を開始した後に移動して、コードレス子機22を無線中継しているコードレス親機21がセキュリティ区画P内に設置されているコードレス親機21に切り替わった場合、コードレス子機22での通話に対する規制を開始するようにしてもよい。これにより、利用者がコードレス子機22で通話しながらセキュリティ区画Pに入った場合、コードレス子機22での通話を直ちに規制することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システム1の電話制御装置10について説明する。図4は、第2の実施の形態にかかる電話システムおよび電話制御装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、前述したコードレス子機22ではなく、図4に示すように、内線電話端末20が内線回線L2を介して電話制御装置10に接続されており、その一部がセキュリティ区画Pに設置されている場合について説明する。
【0040】
[位置情報]
本実施の形態において、記憶部14の位置情報14Aは、複数の内線電話端末20のそれぞれが、セキュリティ区画P内に設置されているか否かを示す位置情報からなる。図5は、第2の実施の形態にかかる位置情報の構成を示す説明図である。図5には、内線電話端末20を識別するための内線番号ごとに、当該内線電話端末20がセキュリティ区画P内に存在するか否か示す設置位置が登録されている。図5の例では、内線番号「1001」の内線電話端末20の設置位置は「N」であり、セキュリティ区画P外に設置されていることを示している。また、内線番号「1101」の内線電話端末20の設置位置は「P」であり、セキュリティ区画P内に設置されていることを示している。
【0041】
[呼制御部]
呼制御部15Aは、網I/F11および通信回線L1を介して電話網NWとの間で呼制御メッセージや音声データをやり取りするとともに、内線I/F12、内線回線L2を介して内線電話端末20との間で制御データや音声データをやり取りすることにより、電話網NWを用いた、発信・着信・保留・転送などの一般的な各種の電話サービスをコードレス子機22に提供する機能を有している。
【0042】
また、呼制御部15Aは、通話規制部15Bでの判定結果が通話規制要を示す場合、内線電話端末20に対して通話規制を適用する機能を有している。通話規制適用の具体例としては、内線電話端末20での発信および着信を禁止する方法がある。また、このような通話規制に加えて、セキュリティ区画Pに設置されているドアDの開状態を内線電話端末20で可視表示(警告表示)してもよい。
【0043】
[通話規制部]
通話規制部15Bは、内線電話端末20のいずれかで、発信時や着信時などの通話を開始する際、記憶部14の位置情報14Aに基づいて、通話を開始する内線電話端末20がセキュリティ区画P内に位置するか否かを特定する機能と、セキュリティ区画PのドアDに設けたセンサ30からの出力に基づいて、ドアDの開閉状態を検知する機能と、これら確認結果および検知結果に基づいて通話規制の要否を判定する機能と、得られた判定結果を呼制御部15Aに通知する機能とを有している。
【0044】
具体的には、通話規制部15Bは、通話を開始する内線電話端末20の内線番号と対応する設置位置を位置情報14Aから取得する機能と、取得した位置情報が「P」を示す場合にはセキュリティ区画P内に位置するものと特定し、取得した位置情報が「N」を示す場合にはセキュリティ区画P外に位置するものと特定する機能と、内線電話端末20がセキュリティ区画P内に位置しており、かつ、ドアDが開状態である場合、内線電話端末20に対して通話規制要と判定し、その他の場合には、内線電話端末20に対して通話規制不要と判定する機能とを有している。
【0045】
本実施の形態にかかる電話制御装置10におけるその他の構成については、図1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0046】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の通話制御方法について説明する。図6は、第2の実施の形態にかかる電話制御装置の通話制御処理を示すフローチャートである。
【0047】
通話規制部15Bは、内線電話端末20のいずれかで、発信時や着信時などの通話を開始する際、通話を開始する内線電話端末20から受信した制御データから、内線電話端末20の内線番号を取得する(ステップS200)。
次に、通話規制部15Bは、記憶部14の位置情報14Aを参照し(ステップS201)、内線番号の設置位置がセキュリティ区画P内を示すか否か確認する(ステップS202)。
【0048】
ここで、内線番号の設置位置がセキュリティ区画P内を示す場合(ステップS202:YES)、通話規制部15Bは、センサ30の出力がドアDの開状態を示すか否か確認する(ステップS203)。センサ30の出力がドアDの閉状態を示す場合(ステップS203:NO)、後述するステップS206へ移行する。
【0049】
また、センサ30の出力がドアDの開状態を示す場合(ステップS203:YES)、通話規制部15Bは、内線電話端末20の通話に対して通話規制が必要と判定し、通話規制要を示す判定結果を呼制御部15Aに通知する(ステップS204)。
呼制御部15Aは、通話規制部15Bから通知された判定結果が通話規制要を示す場合、内線電話端末20に対して通話規制を適用し(ステップS205)、一連の通話制御処理を終了する。
【0050】
これにより、内線電話端末20に対して通話規制が適用されて、内線電話端末20の発信および着信が禁止されるため、セキュリティ区画P内に内線電話端末20が位置していて、セキュリティ区画PのドアDを通って入室した人の話し声に秘密事項が含まれていたとしても、内線電話端末20での通話による秘密事項の漏洩が抑止される。
【0051】
一方、内線番号の設置位置がセキュリティ区画P内を示してない場合(ステップS202:NO)、通話規制部15Bは、内線電話端末20の通話に対して通話規制が不要と判定し、通話規制不要を示す判定結果を呼制御部15Aに通知する(ステップS206)。
呼制御部15Aは、通話規制部15Bから通知された判定結果が通話規制不要を示す場合、内線電話端末20に対して通話規制を適用せず、また、適用中であれば適用を停止し(ステップS207)、一連の通話制御処理を終了する。
【0052】
なお、セキュリティ区画PのドアDが閉状態である場合、セキュリティ区画P内に設置されている内線電話端末20で発信および着信が許可されるため、通話が可能である。ここで、セキュリティ区画P内に設置されている内線電話端末20が通話中である場合、センサ30で検知されたドアDの開状態を呼制御部15Aから内線電話端末20に通知して、内線電話端末20で可視表示するようにしてもよい。これにより、通話中の利用者が、ドアDが開いたことを可視表示で確認でき、周囲の話し声がマイクから混入しにくくなるような処置、例えばマイクを手で塞ぐような処置を行うことができる。
【0053】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、位置情報14Aとして、内線電話端末20のそれぞれが、セキュリティ区画P内に設置されているか否かを示す位置情報を用いて、位置情報14Aを参照して通話を開始する内線電話端末20がセキュリティ区画Pに設置されているか否かを確認するとともに、セキュリティ区画PのドアDに設けたセンサ30からの出力に基づいてドアDの開閉状態を検知し、内線電話端末20(通話端末)がセキュリティ区画Pに設置されていて、かつ、ドアDが開いている場合、内線電話端末20での発信および着信を禁止するようにしたものである。
【0054】
これにより、内線電話端末20がセキュリティ区画P内に位置する場合、セキュリティ区画PのドアDが開状態にある場合には、内線電話端末20での発信および着信が自動的に禁止されることになる。このため、セキュリティ区画P内に内線電話端末20が位置していて、セキュリティ区画PのドアDを通って入室した人の話し声に秘密事項が含まれていたとしても、内線電話端末20(通話端末)での通話による秘密事項の漏洩が抑止される。
【0055】
また、本実施の形態において、内線電話端末20(通話端末)が通話中である場合、センサ30からの出力に基づいて検知したドアDの開状態を通話端末で可視表示するようにしてもよい。これにより、通話中の利用者が、ドアDが開いたことを可視表示で確認でき、周囲の話し声がマイクから混入にくくなるような処置、例えばマイクを手で塞ぐような処置を行うことができる。
【0056】
[実施の形態の拡張]
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成は、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F、12…内線I/F、13…音声処理部、14…記憶部、14A…位置情報、14P…プログラム、15…制御部、15A…呼制御部、15B…通話規制部、20…内線電話端末、21…コードレス親機、22…コードレス子機、30…センサ、L1…通信回線、L2…内線回線、NW…電話網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6