IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

特許7512660画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置
<>
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図1
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図2
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図3
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図4
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図5
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図6
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図7
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図8
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図9
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図10
  • 特許-画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240702BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N1/00 567Z
H04N1/00 J
H04N1/00 L
G03B27/62
G03G21/14
G03G21/00 386
G03G21/00 502
G03G15/00 107
G03G21/16 147
G03G21/16 119
G03G21/00 390
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020078204
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021175101
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】早川 泰正
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-162016(JP,A)
【文献】特開2005-348113(JP,A)
【文献】特開平10-243192(JP,A)
【文献】特開2011-023792(JP,A)
【文献】特開2004-020804(JP,A)
【文献】特開2005-043659(JP,A)
【文献】特開2004-193935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/58 -27/64
G03G 13/00
G03G 13/04
G03G 13/045
G03G 13/056
G03G 13/34 -15/00
G03G 15/04 -15/043
G03G 15/047
G03G 15/056
G03G 15/36
G03G 21/00 -21/02
G03G 21/14 -21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有する筐体と、前記筐体内に収容され、前記コンタクトガラス上に載置された原稿の画像を読取る読取部と、一端縁部が前記筐体に対して回動可能に支持された原稿カバーとを備え、該原稿カバーが、前記コンタクトガラスの上面を覆うことで該コンタクトガラス上に載置された原稿の取出しを規制する閉位置と、該閉位置から、前記一端縁部を支点に上方に回動した位置であって前記コンタクトガラス上の原稿が取出し可能になる開位置との間で移動可能に構成された画像読取装置であって、
前記原稿カバーの前記一端縁部を回動可能に支持するヒンジ機構と、
前記原稿カバーを前記閉位置から、前記一端縁部を支点に上側に回動させることで、前記原稿カバーと前記コンタクトガラスの上面との間に手の指を挿入可能な隙間を形成する原稿カバー駆動部と、
前記原稿カバーを閉位置から前記開位置側に回動させるべき所定のタイミングになると、前記原稿カバー駆動部を作動させることで前記原稿カバーと前記コンタクトガラスの上面との間に前記隙間を形成する隙間形成制御を実行するカバー駆動制御部と、を備え、
前記カバー駆動制御部は、下降端位置と上昇端位置との間で移動可能な昇降スライダーを有していて、前記原稿カバーが閉位置にある状態で前記昇降スライダーを前記下降端位
置から前記上昇端位置に移動させることで、該昇降スライダーにより前記原稿カバーを押上げて前記隙間を形成するように構成され、
前記カバー駆動制御部は、前記隙間形成制御の実行に際して、前記カバー駆動制御部の前記昇降スライダーを前記上昇端位置に移動させることで前記隙間を形成し、該隙間を形成した後、前記昇降スライダーを前記下降端位置に戻すように構成され、
前記ヒンジ機構は、前記昇降スライダーが前記上昇端位置に移動して前記隙間が形成された後、当該隙間を維持するように前記原稿カバーを保持する保持機構を有している、画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取装置において、
前記所定のタイミングは、前記読取部による画像の読取動作が完了した直後のタイミングである、画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像読取装置を備えた画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
ファクシミリー通信を行うファクシミリー通信部と、
ファックス開始信号を受信した場合に、前記画像読取装置の読取部によって前記コンタクトガラス上の原稿の画像データを読取る読取処理と、該読取処理後に、該画像データを前記ファクシミリー通信部を介して相手側の通信端末に送信するファクシミリー送信処理とを順次実行するファクシミリー制御部と、
前記コンタクトガラス上に原稿が存在するか否かを検出する原稿検出部とを備え、
前記原稿カバーを前記開位置側に回動させるべき前記所定のタイミングは、前記ファクシミリー制御部が、前記読取部による前記読取処理を実行した直後のタイミングであり、
前記ファクシミリー制御部による前記読取処理が完了して前記カバー駆動制御部が前記隙間形成制御を実行した後、前記原稿検出部により前記コンタクトガラス上の原稿が検出される状態では、前記ファクシミリー制御部により前記読取処理の後に実行される予定の前記ファクシミリー送信処理の実行を禁止する一方、前記原稿検出部により前記コンタクトガラス上の原稿が非検出の状態になると、該ファクシミリー送信処理の禁止を解除する送信禁止部とを備えている、画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
情報を表示する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、前記ファクシミリー制御部による前記読取処理の完了時から所定時間が経過した後も、前記原稿検出部により前記コンタクトガラス上の原稿が検出される場合には、前記表示部にエラー表示を行うように構成されている、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有する筐体と、筐体内に収容され、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像を読取る読取部と、コンタクトガラスの上面を開閉可能に覆う原稿カバーとを備えた画像読取装置が知られている。原稿カバーは、一端縁部が筐体に対して回動可能に軸支されている。そして、原稿カバーは、一端縁部を支点に回動することで、コンタクトガラスの上面を覆う閉位置と、コンタクトガラスの上面を開放する開位置とに切替え可能に構成されている。閉位置では、コンタクトガラス上に載置された原稿が原稿カバーによって取出し不能に覆われる。一方、開位置では、コンタクトガラスの上面と原稿カバーとの間が開放されるので、コンタクトガラス上の原稿を取出し可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-197769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した画像読取装置では、通常、ユーザーが原稿カバーを閉位置から開位置側に回動させる際に、原稿カバーの端縁部に指を掛けて回動操作を開始する。この回動操作は、ユーザーにとって指にかかる負担が大きく、特に、該回動操作の開始時には、原稿カバーとコンタクトガラスとの密着力に抗して原稿カバーを回動させる必要があり、しかも原稿カバーの全重量が指先にかかる。このため、ユーザーの指先にかかる負担が特に増加する。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像読取装置のコンタクトガラスの上面を開閉可能に覆う原稿カバーを備えた画像読取装置及び画像形成装置において、ユーザーが原稿カバーに指を掛けて行う回動操作を、指先にかかる重量負担を低減しつつ容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有する筐体と、前記筐体内に収容され、前記コンタクトガラス上に載置された原稿の画像を読取る読取部と、一端縁部が前記筐体に対して回動可能に支持された原稿カバーとを備え、該原稿カバーが、前記コンタクトガラスの上面を覆うことで該コンタクトガラス上に載置された原稿の取出しを規制する閉位置と、該閉位置から、前記一端縁部を支点に上方に回動した位置であって前記コンタクトガラス上の原稿が取出し可能になる開位置との間で移動可能に構成されている。そして、前記画像読取装置は、前記原稿カバーを前記閉位置から、前記一端縁部を支点に上側に回動させることで、前記原稿カバーと前記コンタクトガラスの上面との間に、手の指を挿入可能な隙間を形成する原稿カバー駆動部と、前記原稿カバーが閉位置にある場合において前記原稿カバーを前記開位置側に回動させるべきタイミングになると、前記原稿カバー駆動部を作動させて前記原稿カバーと前記コンタクトガラスの上面との間に前記隙間を形成する隙間形成制御を実行するカバー駆動制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像読取装置のコンタクトガラスの上面を開閉可能に覆う原稿カバーを備えた画像読取装置及び画像形成装置において、ユーザーが原稿カバーに指を掛けて行う回動操作を、指先にかかる重量負担を低減しつつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、画像読取装置を備えた画像形成装置を示す全体概略図である。
図2図2は、画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図3図3は、画像読取装置の左側端部を前後方向に沿った鉛直面で切断したカットモデルである。
図4図4は、図3における原稿カバー駆動部を拡大して示す斜視図であって、昇降スライダーが下降端位置にある状態を示す図である。
図5図5は、図3における原稿カバー駆動部を拡大して示す斜視図であって、昇降スライダーが上昇端位置にある状態を示す図である。
図6図6は、スキャナー装置を左側から見た側面図であって、原稿カバー駆動部の昇降スライダーが下降して原稿カバーが閉位置にある状態を示す図である。
図7図7は、スキャナー装置を左側から見た側面図であって、原稿カバー駆動部の昇降スライダーが上昇して原稿カバーとコンタクトガラスの上面との間に隙間が形成された状態を示す図である。
図8図8は、制御部により実行される原稿カバー駆動制御の内容を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態の変形例1に係る原稿カバー駆動制御の内容を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態の変形例2に係る原稿カバーのヒンジ機構の構成を示す概略図である。
図11図11は、実施形態の変形例2における原稿カバーの開放角度に応じたヒンジ軸回りに作用する回転モーメントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
《実施形態》
図1は、本実施形態におけるスキャナー装置200を備えた画像形成装置1を示している。この画像形成装置1は、プリンター機能の他に、コピー機能、スキャナー機能、及びファクシミリー機能を有する複合機(MFP)である。画像形成装置1は、画像形成装置本体100と、画像形成装置本体100の上部に取り付けられたスキャナー装置200と、操作パネル250とを備えている。尚、以下の説明において、前側、後側はそれぞれ、画像形成装置1の前側(操作パネル250が位置する側)、後側を意味し、左側、右側は、画像形成装置1を前側から見たときの左側、右側を意味する。
【0011】
画像形成装置本体100は箱状の筐体60を有している。筐体60の上端部にはスキャナー装置200が固定されている。
【0012】
前記筐体60内には、給紙部10、画像形成部20、定着部40が収容されている。給紙部10から排紙トレイ部50に至る用紙搬送路Lには、用紙Pを挟持して搬送する複数の搬送ローラー対11~13が配置されている。また、筐体60内には、用紙搬送路Lの下流側から分岐して上流側に合流する反転搬送路L´が設けられている。反転搬送路L´には搬送ローラー対14~16が配置されている。
【0013】
前記給紙部10は、筐体60内の下部に配置されている。給紙部10は、用紙Pが収容される給紙カセット10aと、該給紙カセット10a内の用紙Pを取り出して該カセット外に送り出すためのピックアップローラー10bとを有している。給紙カセット10aよりカセット外に送り出された用紙Pは、搬送ローラー対11を介して画像形成部20に供給される。画像形成部20では、ブラック、マゼンタ、シアン及びイエローの各色にそれぞれ対応するトナー画像を形成する作像ユニット20BK、20M、20C及び20Yが一列に配置されている。
【0014】
各作像ユニット20BK、20M、20C、20Yは、感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23及びクリーニング装置24を備えている。各作像ユニット20BK、20M、20C、20Yの構成は同じであるため、図1では、見易さを考慮して、最も右側に位置するイエローの作像ユニット20Yにのみ符号21~24を図示している。各作像ユニット20BK、20M、20C及び20Yの下方には、各感光体ドラム21の表面にレーザー光を照射する露光装置25が配置されている。また、作像ユニット20BK、20M、20C及び20Yの上方には、中間転写ユニット26が配置されている。中間転写ユニット26には、各感光体ドラム21に接して走行する中間転写ベルト27が設けられている。中間転写ベルト27の内側には、各感光体ドラム21との間で中間転写ベルト27を挟み込むように一次転写ローラー28が設けられている。また、作像ユニット20Bkの下流側には、中間転写ベルト27の表面に接触するように二次転写ローラー29が設けられている。中間転写ユニット26の上方には、作像ユニット20BK,20M、20C、20Yの各現像装置23に補給する各色のトナーを収納したトナーコンテナ30Bk、30M、30C、30Yが配置されている。
【0015】
画像形成部20では、露光装置25によって各感光体ドラム21の表面に所定の画像データ(例えば、スキャナー装置200により読み込んだ原稿画像データ)に基づくレーザー光を照射することで静電潜像を形成し、形成した静電潜像を現像装置23によって現像することで各色のトナー像を形成する。各感光体ドラム21の表面に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラー28によって中間転写ベルト27の表面に転写されて重ね合わせられる。そして、中間転写ベルト27上に転写されたトナー像は、給紙部10より供給された用紙Pに対して二次転写ローラー29により転写される。転写後の用紙Pは定着部40に供給される。定着部40では、画像形成部20より供給される用紙Pを定着ローラー40a及び加圧ローラー40b間で加圧することにより、当該用紙Pにトナー像を定着させる。そして、定着部40にてトナー像が定着された用紙Pは、両ローラー40a,40bにより下流側へと送り出される。定着部40より送り出された用紙Pは、複数の搬送ローラー対12,13を介して前記排紙トレイ部50に排出される。また、用紙Pの両面にトナー像を形成する場合には、搬送ローラー対13によって用紙Pはスイッチバックされて、反転搬送路L´に搬送される。
[スキャナー装置200の構成]
前記スキャナー装置200は、扁平な矩形箱状のスキャナー筐体201と、原稿カバー202と、原稿自動供給装置203とを有している。スキャナー筐体201の上面には略矩形状の開口部が形成されており、この開口部にはコンタクトガラス201aが嵌め込まれている。
【0016】
原稿カバー202は、その後側端縁部(一端縁部の一例)がヒンジ機構204を介してスキャナー筐体201に固定されている。原稿カバー202は、ヒンジ機構204のヒンジ軸204aを支点に上下に回動することでコンタクトガラス201aの上面を開閉可能に覆っている。より具体的には、原稿カバー202は、コンタクトガラス201aの上面を覆う閉位置と、コンタクトガラス201aの上面を開放する開位置との間でヒンジ軸204aを支点に回動可能になっている。閉位置では、コンタクトガラス201a上の原稿の取出しが規制される一方、開位置では、原稿カバー202とコンタクトガラス201aの上面との間が開放されることで原稿の取出しが可能になる。原稿カバー202の最大回動角度は、例えば50°~60°であって前記ヒンジ機構204によって制限される。
【0017】
原稿自動供給装置203は原稿カバー202の上面に設けられている。原稿自動供給装置203は、不図示の給紙トレイにセットされた束状の原稿を一枚ずつ所定の搬送路に沿って搬送してコンタクトガラス201a上の所定の画像読取位置を通過させる。
【0018】
前記スキャナー筐体201の内部には、読取部としてのスキャナー部205(図2参照)が設けられている。スキャナー部205は、シートスルー方式では原稿自動供給装置203によって前記画像読取位置に向けて間欠的に供給される原稿の画像を読取る一方、シート固定方式ではコンタクトガラス201a上に載置された原稿の画像を読取る。スキャナー部205は、例えば、スキャナー筐体201内において左右方向(副操作方向)に移動可能なキャリッジと、キャリッジに支持されたCISセンサーとによって構成される。また、キャリッジにCISセンサーの代わりに反射ミラーを搭載して、原稿からの反射光を該反射ミラーによりCCDセンサーに導く構成を採用してもよい。いずれの構成においても、キャリッジには、原稿に向けて読取り用の光を照射する光源が搭載される。
【0019】
スキャナー部205は、光電変換により原稿画像の画像信号を生成して後述する制御部300(図2参照)に送信する。制御部300では、受信した画像信号を基に原稿の画像データを生成する。
【0020】
前記スキャナー筐体201内には、前記スキャナー部205の他に、コンタクトガラス201a上の原稿を検知可能な原稿検知センサー206(図2参照)と、後述する原稿カバー駆動部210とが収容されている。原稿検知センサー206は、例えば反射型の光学センサーにより構成される。
【0021】
[制御部300を含む制御系の構成]
制御部300は、CPU、ROM及びRAM等を含むマクロコンピューターにより構成されている。図2に示すように、制御部300は、前記画像形成部20、前記スキャナー装置200、ファクシミリー通信部70、操作部251、及び表示部252に信号の授受可能に接続されている。制御部300は、本発明における原稿カバー駆動制御部、ファクシミリー制御部、送信禁止部、及び表示制御部として機能する。
【0022】
ファクシミリー通信部70は、公衆回線を介して外部端末とデータの通信を行う。操作部251は、前記操作パネル250に設けられていて、例えばユーザーが指で操作可能なタッチボタン等により構成されている。ユーザーは、操作部251を指で操作することで、プリンター機能、スキャナー機能、コピー機能、及びファクシミリー機能のうちいずれか一つを画像形成装置1に実行させる機能として選択可能になっている。表示部252は、操作部251と同様に操作パネル250に設けられている。表示部252は、情報を表示可能な表示画面を有していて、例えば液晶モニター等により構成される。表示部252の画面の表示内容は制御部300により制御される。
【0023】
制御部300は、操作部251によりプリンター機能が選択されている場合において、画像データの印刷開始信号(印刷要求)を受付けた場合には、画像形成部20によって該画像データを印刷出力する。この画像データは、例えばUSBメモリ等の外部記憶媒体に記憶されたデータであってもよいし、画像形成装置1にLAN接続されたPC端末等から受信した画像データであってもよい。
【0024】
制御部300は、操作部251によりスキャナー機能が選択されている場合において、操作部251からスキャン開始信号を受信した場合には、スキャナー部205によって原稿画像の読取処理を実行し、該読取処理の実行後に、原稿画像の画像データを所定のフォルダ(記憶領域)に保存する。
【0025】
制御部300は、前記操作部251によりコピー機能が選択されている場合において、操作部251からスキャン開始信号を受信した場合には、スキャナー部205によって原稿画像の読取処理を実行し、該読取処理の実行後に、原稿画像の画像データを画像形成部20により印刷出力する。
【0026】
制御部300は、操作部251によりファクシミリー機能が選択されている場合において、操作部251からファックス開始信号を受信した場合には、ファクシミリー送信制御を実行する。このファクシミリー送信制御では、スキャナー部205により原稿画像の読取処理を実行した後、原稿画像の画像データをファクシミリー通信部70により相手側の通信端末に送信する処理(ファクシミリー送信処理)を実行する。相手側の通信端末は、ファクシミリー通信部を有する端末であればよく、例えばファクシミリー装置や複合機(MFP)等により構成される。
【0027】
制御部300は、操作部251によりコピー機能、スキャナー機能、又はファクシミリー機能が選択されている場合において、スキャナー部205によってシート固定方式による読取処理が実行されたときには、該読取処理の完了直後に後述する隙間形成制御を実行する。隙間形成制御では、スキャナー筐体201内に収容された前記原稿カバー駆動部210を使用する。
【0028】
[原稿カバー駆動部210の構成]
図3図5を参照して原稿カバー駆動部210の詳細構成を説明する。原稿カバー駆動部210は、図3に示すように、スキャナー筐体201内における左側端部に収容されている。原稿カバー駆動部210は、図3及び図4に示すように、上下方向に移動可能な昇降スライダー211と、昇降スライダー211の下端面に当接しながら回転する偏心カム212と、偏心カム212を回転駆動するモーター213とを有している。
【0029】
図4に示すように、昇降スライダー211は、上下方向に延びる扁平な樹脂部材からなり、その厚さ方向が左右方向に一致する状態で配置されている。昇降スライダー211は、厚さ方向から見て上端部及び下端部がそれぞれ上側及び下側に凸となるアーチ状をなすように形成されている。昇降スライダー211の厚さ方向の一側面には、上下方向に延びる一対の突条レール部211aが形成されている。一対の突条レール部211aは、昇降スライダー211の幅方向(前後方向)に間隔を空けて配置されている。そして、一対の突条レール部211aが、スキャナー筐体201内に固定されたガイド部材220によりガイドされている。ガイド部材220は、スキャナー筐体201の底壁部に立設された逆L字状の脚部221と、脚部221の上端縁に立設されて前後方向に延びる鉛直板部222とからなり、鉛直板部222には前記一対の突条レール部211aと係合する一対のガイド溝222a(図4及び図5では一方のガイド溝222aのみを示す)が形成されている。
そして、昇降スライダー211は、偏心カム212によって、予め設定した下降端位置と上昇端位置との間でスライド駆動される。偏心カム212は、最小半径部212aと最大半径部212bとを有する略扇型状の回転板カムであって、左右方向に延びる連結シャフト214を介して回転ギア215に連結されている。回転ギア215は、前記モーター213の出力軸に装着されたピニオンギア216に動力伝達可能に噛合している。モーター213は、出力軸側がモーター本体側に比べて高くなるように水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。モーター213は制御部300により駆動制される。
【0030】
図4に示すように、昇降スライダー211が下降端位置にある状態では、昇降スライダー211全体がスキャナー筐体201内に収まる。この状態からモーター213によりピニオンギア216を介して回転ギア215を180°回転させると、偏心カム212が回転ギア215と共に連結シャフト214の軸心回りに180°回転する。この結果、図5に示すように、昇降スライダー211が偏心カム212により上側に押し上げられて上昇端位置に移動する。上昇端位置では、昇降スライダー211がスキャナー筐体201の上壁に形成された貫通孔201b(図3参照)を貫通して、昇降スライダー211の上側半部がスキャナー筐体201の上面よりも上側に突出する。
図6は、昇降スライダー211が下降端位置にあり、原稿カバー202が閉位置にある状態を示している。この状態で、原稿カバー駆動部210を作動させて、昇降スライダー211を下降端位置から上昇端位置に移動させると、図7に示すように、原稿カバー202の前後方向の中間部が昇降スライダー211により上側に押し上げられる。これに伴い、原稿カバー202がヒンジ軸204a回りに開放側に角度θ1だけ回動して、原稿カバー202とコンタクトガラス201aの上面との間には隙間δが形成される。この原稿カバー202の開放側への回転角度θ1は、原稿カバー202の最大開放角度θ2よりも小さく(例えば1/4以上1/3以下)設定されている。原稿カバー202とコンタクトガラス201aの上面との間に形成される隙間δは、少なくともユーザーが手の指を前側から挿入可能な程度の大きさを有している。
【0031】
[原稿カバー駆動制御の説明]
図8は、制御部300により実行される原稿カバー駆動制御の内容を示すフローチャートである。制御部300は、スキャナー部205がシート固定方式による原稿の読取処理を実行中であるか否かを判定して(ステップSA1)、実行中であると判定した場合には、この読取処理が完了した直後(例えば、読取完了時点から数秒以内)に原稿カバー駆動部210のモーター213を回転駆動して昇降スライダー211を下降端位置から上昇端位置に移動させる(ステップSA2及びSA3)。その後、制御部300は、原稿検知センサー206によりコンタクトガラス201a上の原稿が検知されるか否かを判定して(SA4)、原稿が検知される場合には、モーター213を停止状態に維持して昇降スライダー211を上昇端位置に維持し(ステップSA5)、原稿が検知されない場合には、モーター213を更に回転させて昇降スライダー211を下降端位置に移動させ(ステップSA6)、しかる後にリターンする。尚、図8に示すステップSA1~ステップSA6制御処理は、原稿カバー202が開位置にある状態でも実行し得るが、この場合は、昇降スライダー211が上昇しても原稿カバー202に当接しないので隙間形成制御が実行されることにはならない。
【0032】
以上のように構成されたスキャナー装置200では、原稿カバー202が閉位置にある状態でスキャナー部205によってシート固定方式による原稿の読取処理が完了すると、制御部300により隙間形成制御が実行されて、原稿カバー202とコンタクトガラス201aの上面との間に隙間δが形成される。
ここで、スキャナー部205がシート固定方式により読取処理を完了した直後のタイミング(ステップSB2の直後のタイミング)が、原稿カバー202を閉位置から開位置側に回動させるべきタイミングに相当する。シート固定方式による読取処理が完了した後は、ユーザーがコンタクトガラス201a上の原稿を取出すために、原稿カバー202を閉位置から開位置まで回動させるのが通常だからである。
そして、本実施形態では、制御部300は、原稿カバー202を閉位置から開位置側に回動させるべきタイミングになると(ステップSA2の直後)、隙間形成制御(ステップSA3)を実行して、原稿カバー202とコンタクトガラス201aの上面との間に隙間δを形成する。
これによれば、ユーザーが原稿カバー202を閉位置から開位置側に回動させる際の
初期の回動操作を、原稿カバー駆動部210に行わせることができる。よってこの初期の回動操作時にユーザーの指先にかかる負担を可及的に低減することができる。
【0033】
また、本実施形態では、原稿カバー202を閉位置から開位置側に回動させるべきタイミングの一例として、スキャナー部205によってシート固定方式による原稿の読取処理が完了した直後のタイミングを設定している。
【0034】
これによれば、スキャナー部205がシート固定方式による読取処理を完了した後、制御部300による隙間形成制御が自動的に実行される。よって、スキャナー部205による読取処理の完了後に、ユーザーが原稿カバー202を開放してコンタクトガラス201a上の原稿を取出す作業を、指先への負担を低減しつつ容易に行うことができる。また、ユーザーに対して、原稿カバー202とコンタクトガラス201aとの間に原稿が存在することを注意喚起することができる。よって、コンタクトガラス201a上の原稿の取り忘れを防止する効果も奏する。
【0035】
《変形例1》
次に、実施形態の変形例について説明する。本変形例1では、ファクシミリー機能が選択されている場合の原稿カバー駆動制御の内容が前記実施形態とは異なっている。尚、その他の制御処理及びハードウェア構成については前記実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0036】
図9は、ファクシミリー機能が選択されている場合の原稿カバー駆動制御の一例を示すフローチャートである。図9におけるステップSB1~SB5、及びステップSB8の処理は、前記実施形態におけるステップSA1~SA6の処理と同様であるが、その他のステップの処理が前記実施形態とは異なっている。
【0037】
具体的には、制御部300は、ファクス機能が設定されている場合において、スキャナー部205がシート固定方式により読取処理を完了した後は(ステップSB2)、原稿カバー駆動部210を作動させて昇降スライダー211を下降端位置から上昇端位置に移動させる(ステップSB3)。その後、制御部300は、原稿検知センサー206によりコンタクトガラス201a上の原稿が検知されるか否かを判定して(ステップSB4)、原稿が検知される場合には、モーター213を停止状態に維持して昇降スライダー211を上昇端位置に維持し(ステップSB5)、更に、画像データのファックス送信を禁止する(ステップSB6)。そして、ステップSB3の処理から所定時間経過しても、原稿検知センサー206によりコンタクトガラス201a上の原稿が依然として検知される場合には、制御部300は、表示部252にエラー表示を行う(ステップSB7及びステップSB8)。一方、ステップSB4で原稿が検知されない場合には、制御部300は、モーター213を更に回転させて昇降スライダー211を下降端位置に移動させるとともに、画像データのファックス送信を実行し(ステップS9及びSB10)、しかる後にリターンする。
尚、前記ステップSB8のエラー表示としては、コンタクトガラス201a上からの原稿の取出し促すメッセージ表示や、画像形成装置1の模式図上にてコンタクトガラス201a付近を赤で囲った注意喚起表示などを採用することができる。
【0038】
以上説明したように、本変形例1では、前記実施形態と同様に、スキャナー部205によってシート固定方式による画像読取処理が完了した直後に、制御部300が隙間形成制御(ステップSB3)を実行して原稿カバー202とコンタクトガラス201aの上面との間に隙間δを形成する。したがって、前記実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
また、本変形例1では、制御部300は、隙間形成制御を実行した後、原稿検知センサー206(原稿検出部の一例)によりコンタクトガラス201a上の原稿が検出される状態では、読取処理後に予定される前記ファクシミリー送信処理の実行を禁止する一方、コンタクトガラス201a上の原稿が非検出の状態になるとファクシミリー送信を実行するように構成されている。
【0040】
この構成によれば、シート固定方式で読取った原稿の画像データをファックス送信する際に、コンタクトガラス201a上の原稿を取除かない限り、制御部300によって画像データのファックス送信が禁止される。したがって、ユーザーは、画像データのファックス送信を完了させるためにコンタクトガラス201a上の原稿を取除くように動機付けされる。したがって、ファックス送信の禁止を行わない前記実施形態に比べて、ユーザーによるコンタクトガラス201a上の原稿の取り忘れをより一層確実に防止することができる。
【0041】
また、制御部300は、スキャナー部205による原稿画像の読取処理の完了時から所定時間が経過した後も、原稿検知センサー206によりコンタクトガラス201a上の原稿が検出される場合には、表示部252にエラー表示を行う。
【0042】
したがって、ユーザーは、表示部252のエラー表示を見て原稿の取り忘れに気づくとともに、画像データがファックス送信されない原因が画像形成装置1の故障によるものでないと認識することができる。
【0043】
《変形例2》
更に、実施形態の変形例2について説明する。
本変形例2では、原稿カバー202のヒンジ機構204の構成と原稿カバー駆動部210の動作制御が前記実施形態及び前記変形例1とは異なっている。
すなわち、前記実施形態及び前記変形例1では、制御部300が、原稿カバー駆動部210の昇降スライダー211を上昇端位置と下降端位置との間で移動させることで、原稿カバー202を昇降スライダー311に追従させて、前記閉位置と前記角度θ1の位置との間で開閉する。これに対して、本変形例2では、原稿カバー駆動部210は、昇降スライダー311を上昇端位置に移動させて原稿カバー202を前記角度θ1の位置に押し上げた後、昇降スライダー311を下降させて原位置(下端位置に)に戻すが、原稿カバー202は該昇降スライダー311の下降に追従せずに、ヒンジ機構204により前記角度θ1の位置に保持される。そして、本変形例2では、ユーザーは、コンタクトガラス201a上の原稿を取り除いた後、手動で原稿カバー202を閉じる。
【0044】
図10は、本変形例2係る原稿カバー202のヒンジ機構204の構成を示す概略図である。ヒンジ機構204は、原稿カバー202を角度θ1の位置で保持するための保持機構230を備えている。保持機構230は、原稿カバー202をヒンジ軸204a回りに開放方向に付勢する付勢手段231と、ヒンジ軸204a回りの回動に対してブレーキとなる制動力を付与する制動手段232を備えている。
【0045】
付勢手段231は、ヒンジ軸204a上に設けられた捩りコイルバネ231aを備える。付勢手段231による原稿カバー202に作用する開放方向へのモーメントは原稿カバー202の開放角度が小さくなるのに比例して増加する。付勢手段231としては、トーションバネ、カムと圧縮コイルバネなどを用いて構成することも可能である。また、原稿カバー202に作用する開放方向へのモーメントはバネ定数、バネの支持構造、カム形状などにより開放角度に応じた大きさに適宜設定可能である。
【0046】
制動手段232は、ヒンジ軸204a上に設けられて原稿カバー202とともに回動するトルクリミッタ232aを備える。制動手段232は原稿カバー202が開く方向にも閉じる方向にも同じ大きさの制動力を作用させる。制動手段232は、摩擦部材などを用いて構成することも可能である。また、原稿カバー202が閉じる方向に回動する際にのみ制動力が作用する、ないしは開く方向と閉じる方向とで制動力の大きさが異なる構成とすることも可能である。
【0047】
図11は、本変形例2における原稿カバー202の開放角度に応じたヒンジ軸204a回りに作用する回転モーメントを示す図である。ヒンジ軸204aの軸方向に見た原稿カバー202と原稿自動供給装置203を合わせた重心Gは図6に示す位置である。原稿カバー202と原稿自動供給装置203の自重によりヒンジ軸204a回りの閉じる方向に重力モーメントGM(点線で示す)が作用する。ヒンジ機構204の付勢手段231により原稿カバー202を開放する方向に付勢モーメントHM(点線で示す)が作用する。したがって、原稿カバー202には、重力モーメントGMから付勢モーメントHMを差し引いた閉方向モーメントCM(一点鎖線で示す)が閉じる方向に作用する。また、原稿カバー202が回動する際には、制動手段232による制動モーメントRM(二点鎖線で示す)がブレーキとして作用する。したがって、原稿カバー202を開放する方向に回動させるには、閉方向モーメントCMと制動モーメントRMを足し合わせた開方向モーメントOM(実線で示す)以上のモーメントが必要である。
【0048】
本変形例2においても、前記実施形態及び変形例1と同様に、原稿カバー駆動部210が原稿カバー202をヒンジ軸204回りに角度θ1の位置まで開放する。角度θ1の位置では、原稿カバー202の閉方向モーメントCMは、制動手段232により作用する制動モーメントRMよりも小さいため、昇降スライダー211が下降端位置に移動しても原稿カバー202は角度θ1の位置に保持される。ユーザーは原稿カバー202が角度θ1の位置に保持されることで、コンタクトガラス上の原稿の取り出し及び別の原稿の載置が可能である。また、ユーザーは手動で原稿カバー202を角度θ1から最大開放角度θ2までの間の任意の角度に開放することが可能である。原稿カバー202を手動で開放するには開方向モーメントOM以上のモーメントが必要であるが、閉位置から開放する場合に比べて小さな力で開放することが可能である。また、角度θ1から最大開放角度θ2の間では閉方向モーメントが制動モーメントRMより小さいため、ユーザーは原稿カバー202を任意の角度に開放して保持することが可能である。原稿カバー202を閉じる場合には、角度θ1よりも小さい所定の角度まで手動で回動させると閉方向モーメントCMが制動モーメントFMよりも大きくなるため、自重により閉位置まで移動する。
【0049】
本変形例2においては、原稿カバー202を角度θ1の位置に開放させる際に偏心カム212を途中で停止させることなく一回転させればよいので、原稿カバー駆動部210の制御を簡単にできる。また、原稿カバー駆動部210により原稿カバー202を角度θ1の位置に長時間保持する必要がないため、機能や耐久性などにおいて原稿カバー駆動部210の設計の自由度が高めることができる。
【0050】
《他の実施形態》
前記実施形態及び変形例では、スキャナー部205が固定方式による読取処理を完了した後、制御部300により隙間形成制御を自動的に実行するようにしているが、これに限ったものではなく、ユーザーによる所定の操作が実行されたときに、制御部300に隙間形成制御を実行させるようにしてもよい。具体的には、例えば操作部251に上昇ボタン及び下降ボタンを設けておき、制御部300において、上昇ボタンの押圧信号を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合には、原稿カバー駆動部210のモーター213を制御して昇降スライダー211を上昇端位置に位置させる。また、制御部300は、下降ボタンの押圧信号を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合には、原稿カバー駆動部210のモーター213を制御して昇降スライダー211を下降端位置に位置させる。この場合、制御部300が上昇ボタンの押圧信号を受信したときが、原稿カバー202を閉位置から前記開位置側に回動させるべきタイミングに相当する。
この構成によれば、スキャナー部205が固定方式による読取処理を完了するか否かに拘わらず、ユーザーが望むタイミングで、制御部300に隙間形成制御を実行させることができる。したがって、例えば、コンタクトガラス201aの上面の清掃を行うために原稿カバー202を開位置側に回動させる際に、前記上昇ボタンを押して原稿カバー202をリフトアップさせることで、原稿カバー202の回動操作の初期に指先にかかる負担を低減することができる。
【0051】
また、前記実施形態及び変形例では、原稿カバー駆動部210による原稿カバー202の回転角度θ1は、原稿カバー202の最大開放角度θ2よりも小さく設定されているが、これに限ったものではなく、最大開放角度θ2と同じであってもよい。
【0052】
前記実施形態及び変形例では、コンタクトガラス201a上の原稿を検知する原稿検知センサー206をスキャナー部205とは別に設けているが、これに限ったものではなく、スキャナー部205を原稿検知センサーとして兼用するようにしてもよい。
【0053】
前記実施形態及び変形例では、原稿カバー駆動部210は、偏心カム212によって昇降スライダー211を昇降させる構成を採用しているが、これに限ったものではなく、例えば、直動式のソレノイドバルブや、直道式のエアーシリンダーを採用してもよい。また、原稿カバー202とヒンジ軸204aとを回転一体に固定して、ヒンジ軸204aをモーターにより直接又は減速機を介して回動させる構成を採用してもよい。
【0054】
前記実施形態及び変形例では、画像読取装置(スキャナー装置200)が搭載される画像形成装置1の一例として複合機(MFP)を挙げて説明したが、これに限ったものではなく、画像形成装置1は、複写機、又はファクシミリー等であってもよい。
【0055】
また、前記実施形態及び変形例では、スキャナー装置200が原稿自動供給装置203を有している例を説明したが、これに限ったものではなく、原稿自動供給装置203を排除してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置に有用であり、特に、ファクシミリー、複写機、又は複合機(MFP)に適用する場合に有用である。
【符号の説明】
【0057】
δ :隙間
1 :画像形成装置
60 :筐体
70 :ファクシミリー通信部
101 :原稿カバー駆動部
200 :スキャナー装置(画像読取装置)
201 :スキャナー筐体
201a :コンタクトガラス
202 :原稿カバー
206 :原稿検知センサー(原稿検知部)
210 :原稿カバー駆動部
211 :昇降スライダー
230 :保持機構
252 :表示部
300 :制御部(カバー駆動制御部、ファクシミリー制御部、禁止部、表示制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11