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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20240702BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240702BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/00 463
B65H85/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020079331
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173927
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】束村 慎一
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-291900(JP,A)
【文献】特開2008-299254(JP,A)
【文献】特開2019-020583(JP,A)
【文献】特開2009-115842(JP,A)
【文献】特開2004-069917(JP,A)
【文献】特開2013-023330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 15/00
B65H 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
形成された前記画像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
前記画像が定着された前記記録媒体の表裏を反転して前記画像形成部に搬送する反転搬送経路と、
前記画像が定着された前記記録媒体の表裏を反転せずに前記画像形成部に搬送する非反転搬送経路と、
前記記録媒体の表裏の少なくとも一方において前記定着部により定着された下地画像としての第1画像の上に前記画像形成部により上層画像としての第2画像を重ねて形成する場合、前記第1画像を定着させた後であって前記第2画像を形成する前に、画像形成条件に応じて、前記記録媒体が前記反転搬送経路および前記非反転搬送経路のいずれかを経由するように制御を行う制御部と、を備え
前記制御部は、前記記録媒体の表裏において前記定着部により定着された前記第1画像の上に前記第2画像を重ねて形成する場合、前記表裏の一方に前記第1画像を定着させて前記記録媒体が前記反転搬送経路を経由した後に、前記表裏の他方に前記第1画像を形成するか、または、前記表裏の一方に前記第1画像を定着させて前記記録媒体が前記非反転搬送経路を経由した後に、前記表裏の一方の前記第1画像の上に前記第2画像を形成するかについて、前記画像形成条件に応じて切り替える、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録媒体の坪量が所定値より小さい場合、前記表裏の一方に前記第1画像を定着させて前記記録媒体が前記反転搬送経路を経由した後に、前記表裏の他方に前記第1画像を形成する一方、前記記録媒体の坪量が前記所定値以上の場合、前記表裏の一方に前記第1画像を定着させて前記記録媒体が前記非反転搬送経路を経由した後に、前記表裏の一方の前記第1画像の上に前記第2画像を形成するように制御を行う、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像形成条件に応じて、前記記録媒体の前記表裏の一方において、前記画像形成部により形成された定着前の前記第1画像の上に前記第2画像を重ねて形成する場合に、前記記録媒体が前記反転搬送経路および前記非反転搬送経路を経由させないように制御を行う、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、
第1トナーを用いて前記第1画像を形成する第1画像形成部と、
前記第1トナーとは異なる第2トナーを用いて前記第2画像を形成する第2画像形成部と、
を有する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成条件は、前記記録媒体に対するトナー付着量である、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成条件は、前記記録媒体の坪量である、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成条件は、前記記録媒体のサイズである、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成条件は、前記画像形成装置の周囲の湿度である、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成条件は、前記記録媒体の含水率である、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成条件は、前記記録媒体の紙種である、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記記録媒体が前記反転搬送経路および前記非反転搬送経路を経由するか否かについて、ユーザーの指示に応じて切り替える制御を行う、
請求項1~10の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体(像担持体)へ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に記録媒体(用紙)に転写させた後、定着装置において加熱、加圧して定着させることにより用紙に画像を形成する。
【0003】
画像形成装置においては、記録媒体(例えば、色紙)に下地画像を形成した上で、当該下地画像の上に上層画像を形成する技術が知られている。当該技術では、例えば白色の下地画像(白色画像)を記録媒体に形成した上で、YMCKの各色の上層画像(カラー画像)を下地画像の上に形成することによって、カラー画像の発色を良くして狙いの色を再現することができる。
【0004】
下地画像(白色画像)の上に上層画像(カラー画像)を形成する方式としては、上層画像(カラー画像)を形成する画像形成ユニットの下流側に、下地画像(白色画像)を形成する画像形成ユニットを設け、一度中間転写体に下地画像および上層画像を形成して記録媒体に一括転写する方式(1パス方式)がある。
【0005】
ところで、下地画像(白色画像)の形成に伴うトナー付着量を多くすればするほど、上層画像(カラー画像)の発色は良くなるものの、下地画像および上層画像の形成に伴うトナー付着量が多くなるため、記録媒体に対する下地画像および上層画像の定着性が悪くなり定着不良等が発生する場合がある。
【0006】
そこで、記録媒体に対して下地画像(白色画像)を形成して定着させた後、下地画像の上に上層画像(カラー画像)を形成して定着させる、すなわち下地画像と上層画像とを2回に分けて記録媒体に形成および定着させる方式(2パス方式)がある。
【0007】
2パス方式により記録媒体の表裏(両面)に対して下地画像を形成した上で当該下地画像の上に上層画像を形成する場合、片面で各2回の画像形成が発生し、ひいては両面で計4回の画像形成が発生する。この場合、画像形成処理の生産性を向上させる観点からは、画像形成面を表裏で切り替える記録媒体の反転動作の回数をなるべく小さくすることが望ましい。
【0008】
特許文献1には、例えば1枚のシートの両面に順次画像を形成する場合において、シートの反転動作の回数を減らして、シートの搬送に要する時間の増加を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2013-23330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、記録媒体の表裏において2パス方式により下地画像を形成した上で当該下地画像の上に上層画像を形成する場合、特許文献1に記載されている技術のように、画像形成面を表裏で切り替える記録媒体の反転動作の回数を1回にすると、同一面における連続した下地画像および上層画像の形成および定着が、表裏のそれぞれで合計2回発生する。このように同一面において連続した定着処理が発生すると、記録媒体に皺が発生しやすい。具体的には、記録媒体の同一面において1回目の定着処理で用紙変形が発生した場合、2回目の定着処理によって当該用紙変形が助長され、皺の発生頻度が増大してしまう。その結果、記録媒体の通紙不具合や、紙皺による画像品質の低下といった問題が発生する。
【0011】
本発明は、記録媒体の同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生を防止しつつ、画像形成処理の生産性を出来るだけ向上させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
形成された前記画像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
前記画像が定着された前記記録媒体の表裏を反転して前記画像形成部に搬送する反転搬送経路と、
前記画像が定着された前記記録媒体の表裏を反転せずに前記画像形成部に搬送する非反転搬送経路と、
前記記録媒体の表裏の少なくとも一方において前記定着部により定着された下地画像としての第1画像の上に前記画像形成部により上層画像としての第2画像を重ねて形成する場合、前記第1画像を定着させた後であって前記第2画像を形成する前に、画像形成条件に応じて、前記記録媒体が前記反転搬送経路および前記非反転搬送経路のいずれかを経由するように制御を行う制御部と、を備え
前記制御部は、前記記録媒体の表裏において前記定着部により定着された前記第1画像の上に前記第2画像を重ねて形成する場合、前記表裏の一方に前記第1画像を定着させて前記記録媒体が前記反転搬送経路を経由した後に、前記表裏の他方に前記第1画像を形成するか、または、前記表裏の一方に前記第1画像を定着させて前記記録媒体が前記非反転搬送経路を経由した後に、前記表裏の一方の前記第1画像の上に前記第2画像を形成するかについて、前記画像形成条件に応じて切り替える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録媒体の同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生を防止しつつ、画像形成処理の生産性を出来るだけ向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態における画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】本実施の形態における画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図3】白色画像の形成に伴うトナー付着量と定着可能温度との関係を示す図である。
図4】用紙の表裏(両面)において白色画像を形成した上で当該白色画像の上にカラー画像を形成する例を説明する図である。
図5】本実施の形態における制御テーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0017】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)およびW(ホワイト)の各色トナー像を中間転写体に一次転写した後、用紙(本発明の「記録媒体」に対応)に二次転写することにより、画像を形成する。
【0018】
また、画像形成装置1には、CMYKWの5色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0019】
本実施の形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のトナー(本発明の「第2トナー」に対応)は、入力画像データ(入力画像情報)に基づくカラー画像(上層画像とも言う、本発明の「第2画像」に対応)を、中間転写体を介して用紙に形成するためのトナーとして使用される。一方、W(ホワイト)の白色のトナー(本発明の「第1トナー」に対応)は、カラー画像の発色を良くして狙いの色を再現する観点から、用紙におけるカラー画像の下に白色画像(下地画像とも言う、本発明の「第1画像」に対応)を形成するためのトナーとして使用される。
【0020】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備えている。
【0021】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102およびRAM(Random Access Memory)103等を備えている。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103(揮発性メモリ)に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されているLUT(Look Up Table)等の各種データが参照される。
【0022】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)またはWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された入力画像データを受信し、この入力画像データに基づいて用紙に画像を形成する。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0023】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備えて構成される。
【0024】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0025】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿Dまたはコンタクトガラス上に載置された原稿Dを光学的に走査し、原稿Dからの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0026】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面及び各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキーおよびスタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0027】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正およびシェーディング補正等の各種補正処理、並びに圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0028】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分およびK成分の各有色トナーによるカラー画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K(本発明の「第2画像形成部」として機能)、W成分の白色トナーによる白色画像を形成するための画像形成ユニット41W(本発明の「第2画像形成部」として機能)及び中間転写ユニット42等を備えている。
【0029】
なお、カラー画像のみを形成する場合、画像形成ユニット41Wの耐久性を向上させる観点から、画像形成ユニット41Wの動作を停止しても良い。また、白色画像のみを形成する場合、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kの耐久性を向上させる観点から、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kの動作を停止しても良い。
【0030】
Y成分、M成分、C成分、K成分およびW成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、41Wは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、CKまたはWを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41K、41Wの構成要素については符号が省略されている。
【0031】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備えている。
【0032】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)及び電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層することで構成された、光導電性を有する感光体である。感光体ドラム413は、例えば負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0033】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。帯電装置414は、ストロコロン帯電器である。
【0034】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されると、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。その結果、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0035】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーとキャリアー(磁性体)とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412における現像ローラーは、回転駆動される円筒状の現像スリーブ412Aと、現像スリーブ412A内に内挿され、回転しないように現像装置412の筺体に固定された円柱状のマグネットローラーとからなる。
【0036】
マグネットローラーは、その周方向に沿って複数の磁石が配されてなり、その磁力によってキャリアーが現像スリーブ412Aの外周面上に担持されて搬送され、感光体ドラム413と対向する現像位置で起立して磁気ブラシが形成される。キャリアーに静電吸着されて搬送されてきたトナーが、現像位置において、現像スリーブ412Aと感光体ドラム413との電位差により感光体ドラム413側に移動し、その周面に形成された静電潜像が現像される。
【0037】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0038】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0039】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0040】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
【0041】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0042】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0043】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0044】
その後、二次転写ニップを用紙Sが通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0045】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0046】
定着部60は、用紙Sの定着面、すなわちトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面すなわち定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0047】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0048】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
【0049】
定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、この用紙Sを定着可能温度(例えば、160~200℃)で加熱する。ここで、定着可能温度とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙Sの紙種、坪量によって異なる。
【0050】
定着ベルト61は、例えば、基体として厚さ70μmのPI(ポリイミド)を用い、基体の外周面を弾性層として厚さ200μmの耐熱性のシリコンゴムで被覆し、更に、表層に耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のコーティングをしている。
【0051】
加熱ローラー62は、定着ベルト61ひいては定着ローラー63を加熱する加熱源としてハロゲンヒーターを内蔵している。
【0052】
定着ローラー63は、例えば、鉄等の金属から形成された中実の芯金を、表層部の弾性層として厚さ20mmの耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS-A10°)で被覆し、更に、低摩擦で耐熱性樹脂であるPTFEでコーティングした樹脂層で被覆している。
【0053】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61を介して定着ローラー63を所定の定着荷重(例えば、2200N)で加圧する。このようにして、加圧ローラー64は、定着ベルト61を介して定着ローラー63との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0054】
加圧ローラー64は、定着ニップを用紙Sが通過する場合(通紙時)、押圧手段(図示略)により定着ベルト61を介して定着ローラー63のシリコンゴム(弾性層)に圧接する一方、定着ニップを用紙Sが通過しない場合(非通紙時)、定着ローラー63のシリコンゴムから離間する。加圧ローラー64の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、回転数等)は、制御部100によって行われる。
【0055】
加圧ローラー64は、アルミニウム等から形成された円筒状の芯金の外周面を、弾性層として厚さ3mmの耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS-A10°)で被覆し、更に、PFAチューブの樹脂層で被覆している。加圧ローラー64の外径寸法は、例えば70mmである。加圧ローラー64の温度は、例えば80~120℃に制御されている。
【0056】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
【0057】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー53a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー53aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sの一方の面に転写され、定着部60において定着工程が施される。定着工程によりトナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により画像形成装置1の外部に排紙される。
【0058】
また、用紙搬送部50は、反転搬送経路54および非反転搬送経路55を備える。反転搬送経路54は、定着部60により画像(トナー像)が定着された用紙Sの表裏を反転して画像形成部40に搬送する搬送経路である。非反転搬送経路55は、定着部60により画像(トナー像)が定着された用紙Sの表裏を反転せずに画像形成部40に搬送する搬送経路である。
【0059】
上述したように画像形成装置1においては、白色の白色画像(下地画像)を用紙S(例えば、色紙)に形成した上で、YMCKの各色のカラー画像(上層画像)を白色画像の上に形成することによって、カラー画像の発色を良くして狙いの色を再現することができる。
【0060】
下地画像(白色画像)の上に上層画像(カラー画像)を形成する方式としては、一度中間転写ベルト421に下地画像および上層画像を形成して用紙Sに一括転写する1パス方式がある。
【0061】
ところで、下地画像(白色画像)の形成に伴うトナー付着量を多くすればするほど、上層画像(カラー画像)の発色は良くなるものの、下地画像および上層画像の形成に伴うトナー付着量が多くなるため、用紙Sに対する下地画像および上層画像の定着性が悪くなり定着不良等が発生する場合がある。
【0062】
図3は、白色画像の形成に伴うトナー付着量(横軸)と定着可能温度(縦軸)との関係を示す図である。図3に示すように、白色画像の形成に伴うトナー付着量が多くなるにつれて定着可能温度(用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度)が高くなり下地画像(白色画像)および上層画像(カラー画像)の定着性が悪くなる。
【0063】
そこで、用紙Sに対して下地画像(白色画像)を形成して定着させた後、非反転搬送経路55を経由させ(用紙Sの表裏を反転せずに画像形成部40に搬送させ)、下地画像の上に上層画像(カラー画像)を形成して定着させる、すなわち下地画像と上層画像とを2回に分けて用紙Sに形成および定着させる2パス方式がある。
【0064】
図4に示すように、2パス方式により用紙Sの表面S1および裏面S2(両面)のそれぞれに対して下地画像W1,W2を形成した上で当該下地画像W1,W2の上に上層画像C1,C2を形成する場合、片面で各2回の画像形成が発生し、ひいては両面で計4回の画像形成が発生する。この場合、画像形成処理の生産性を向上させる、すなわち画像形成処理に係る時間を短くする観点からは、画像形成部40により画像が形成される画像形成面を表裏で切り替える用紙Sの反転動作の回数をなるべく小さくすることが望ましい。例えば、用紙Sの表面S1に対して下地画像(白色画像)W1を形成して定着させた後、非反転搬送経路55を経由させ、下地画像W1の上に上層画像(カラー画像)C1を形成して定着させる。その後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像(白色画像)W2を形成して定着させた後、非反転搬送経路55を経由させ、下地画像W2の上に上層画像(カラー画像)C2を形成して定着させる。この場合、用紙Sの反転動作の回数は1回となり、画像形成処理の生産性を向上させる観点から最も望ましい。
【0065】
しかしながら、用紙Sの表裏S1,S2において2パス方式により下地画像W1,W2を形成した上で当該下地画像W1,W2の上に上層画像C1,C2を形成する場合、用紙Sの反転動作の回数を1回にすると、同一面(表面S1または裏面S2)における連続した下地画像(W1またはW2)および上層画像(C1またはC2)の形成および定着が、表裏のそれぞれで合計2回発生する。
【0066】
このように同一面において連続した定着処理が発生すると、用紙Sの先後端が入れ替わらずに画像形成部40および定着部60を通過するように搬送されるため、用紙Sに皺(シワ)が発生しやすい。具体的には、用紙Sの同一面において1回目の定着処理で用紙変形が発生した場合、2回目の定着処理によって当該用紙変形が助長され、皺の発生頻度が増大してしまう。その結果、用紙Sの通紙不具合や、紙皺による画像品質の低下といった問題が発生する。
【0067】
なお、一般的な両面印刷時においては、同一面において連続した定着処理が発生することはなく、定着処理が行われる度に、用紙Sの表裏が反転される、つまり当該用紙Sの先後端が入れ替わるように搬送されるため、上記問題は発生しない。
【0068】
さらに言えば、用紙Sの種類や定着部60の構成に依存して用紙Sに同一方向のカールが発生する場合がある。この場合、用紙Sの同一面において連続した定着処理が発生すると、同一方向に大きなカールが発生し、搬送中の用紙Sに用紙ジャムが発生しやすくなる。
【0069】
上記問題は、用紙Sが薄い、すなわち用紙Sの坪量が小さい場合、用紙Sが厚い、すなわち用紙Sの坪量が大きい場合より顕著に発生する。また、上記問題は、用紙Sに対するトナー付着量(印字率やカバレッジとも言う)が大きい場合、用紙Sに対するトナー付着量が小さい場合より顕著に発生する。また、上記問題は、用紙Sのサイズが大きい場合、用紙Sのサイズが小さい場合より顕著に発生する。また、上記問題は、画像形成装置1の周囲の湿度が高い場合、画像形成装置1の周囲の湿度が低い場合より顕著に発生する。また、上記問題は、用紙Sの含水率が高い場合、用紙Sの含水率が低い場合より顕著に発生する。以上のように、上記問題の発生しやすさは、画像形成装置1における画像形成条件の違いによって異なる。
【0070】
そこで本実施の形態では、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生を防止しつつ、画像形成処理の生産性を向上させることが可能な画像形成装置1を構築している。制御部100は、用紙Sの表面S1および裏面S2において画像形成部40により下地画像(白色画像)W1,W2の上に上層画像(カラー画像)C1,C2を重ねて形成する場合、下地画像W1,W2を形成した後に上層画像C1,C2を形成する前に反転搬送経路54および非反転搬送経路55を経由するか否かについて、画像形成条件に応じて切り替える制御を行う。
【0071】
例えば、画像形成条件としての用紙Sの坪量が小さい場合、用紙Sの坪量が大きい場合と比べて上記問題が発生しやすい。そのため、制御部100は、用紙Sの坪量が例えば所定値より小さい場合(例えば、90g/m未満)、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生しないように、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1を形成して定着させた後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2を形成して定着させる。次に、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1の上に上層画像C1を形成して定着させた後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2の上に上層画像C2を形成して定着させる。このような画像形成および定着動作を以下、第1の動作モードと称する。第1の動作モードを実行する場合、用紙Sの反転動作の回数は3回となり、画像形成処理の生産性を向上させる観点から望ましくないものの、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生を防止することができる。
【0072】
一方、制御部100は、用紙Sの坪量が例えば所定値以上の場合(例えば、90g/m以上)、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1を形成して定着させた後、非反転搬送経路55を経由させ、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1の上に上層画像C1を形成して定着させる。次に、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2を形成して定着させた後、非反転搬送経路55を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2の上に上層画像C2を形成して定着させる。このような画像形成および定着動作を以下、第2の動作モードと称する。第2の動作モードを実行する場合、用紙Sの反転動作の回数は1回となり、画像形成処理の生産性を向上させる観点から望ましく、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題は発生しにくい。
【0073】
また、本実施の形態では、用紙Sの種類によって定着性が異なることを考慮し、定着性が良い画像形成条件においては、制御部100は、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1および上層画像C1を形成して定着させた後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2および上層画像C2を形成して定着させる。すなわち、用紙Sの同一面に下地画像および上層画像を一括(1パス)で形成して定着させる。このような画像形成および定着動作を以下、第3の動作モードと称する。第3の動作モードを実行する場合、片面における画像形成および定着の回数が1回であるとともに、用紙Sの反転動作の回数が1回であるため、片面における画像形成および定着の回数が2回である第2の動作モードよりも画像形成処理の生産性を向上させる観点でさらに望ましく、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題も発生しにくい。
【0074】
図5は、用紙Sの表面S1において下地画像W1および上層画像C1を形成し、用紙Sの裏面S2において下地画像W1および上層画像C1を形成する場合、実行対象の動作モードを決定するために用いられる制御テーブルの例を示す。
【0075】
図5に示すように、領域R1に示される画像形成条件を満たす場合(すなわち、用紙Sの紙種が紙種A~Eの何れかであり、用紙Sの坪量が92~350g/mの何れかである場合)、制御部100は、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題が発生しないため、画像形成処理の生産性を向上させる観点から、実行対象の動作モードとして第2の動作モードを決定する。
【0076】
また、領域R2に示される画像形成条件を満たす場合(すなわち、用紙Sの紙種が紙種A~Eの何れかであり、用紙Sの坪量が62~91g/mの何れかである場合)、制御部100は、画像形成処理の生産性を向上させる観点から望ましくないものの、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生を防止するため、実行対象の動作モードとして第1の動作モードを決定する。
【0077】
また、領域R3に示される画像形成条件を満たす場合(すなわち、用紙Sの紙種が紙種D,Eの何れかであり、用紙Sの坪量が62~80g/mの何れかである場合)、制御部100は、当該画像形成条件が定着性の良い条件であるため、第2の動作モードよりも画像形成処理の生産性をさらに向上させる観点から、実行対象の動作モードとして第3の動作モードを決定する。
【0078】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1は、用紙S(記録媒体)に画像を形成する画像形成部40と、形成された画像を用紙Sに定着させる定着部60と、画像が定着された用紙Sの表裏を反転して画像形成部40に搬送する反転搬送経路54と、画像が定着された用紙Sの表裏を反転せずに画像形成部40に搬送する非反転搬送経路55と、用紙Sの表裏において画像形成部40により下地画像W1,W2(第1画像)の上に上層画像C1,C2(第2画像)を重ねて形成する場合、下地画像W1,W2を形成した後に上層画像C1,C2を形成する前に用紙Sが反転搬送経路54および非反転搬送経路55を経由するか否かについて、画像形成条件に応じて切り替える制御を行う制御部100と、を備える。
【0079】
具体的には、制御部100は、用紙Sの坪量が小さい場合、表裏の一方(表面S1)に下地画像W1を形成し用紙Sが反転搬送経路54を経由した後に表裏の他方(裏面S2)に第1画像W2を形成する第1の動作モードを実行する一方、用紙Sの坪量が大きい場合、表裏の一方(表面S1)に下地画像W1を形成し用紙Sが非反転搬送経路55を経由した後に表裏の一方(表面S1)に上層画像C1を形成する第2の動作モードを実行する。
【0080】
このように構成した本実施の形態によれば、画像形成装置1における画像形成条件(例えば、用紙Sの坪量)の違いによって、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生しやすさが異なる点に注目して、実行対象の動作モードを切り替える。つまり、上記問題が発生しやすい場合、画像形成処理の生産性を向上させる観点から望ましくないものの、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生しないように第1の動作モードを実行する一方、上記問題が発生しにくい場合、画像形成処理の生産性を向上させる観点から、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生する第2の動作モードを実行する。したがって、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題の発生を防止しつつ、画像形成処理の生産性を出来るだけ向上させることができる。
【0081】
なお、上記実施の形態では、白色のトナーを使用し、下地画像としての白色画像を形成する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、透明トナー(本発明の「第1トナー」に対応)を使用し、下地画像としての白色画像(本発明の「第1画像」に対応)を形成しても良い。
【0082】
また、上記実施の形態では、Y、M、C、Kの4色のトナーを使用し、上層画像としてのカラー画像を形成する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、Y、M、C、K以外の特色のトナー(本発明の「第2トナー」に対応)を使用し、上層画像としての特色画像(本発明の「第2画像」に対応)を形成しても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、用紙Sの坪量が大きい場合、第2の動作モードを実行する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1を形成して定着させた後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2を形成して定着させる。次に、非反転搬送経路55を経由させ、用紙Sの裏面S2に対して下地画像W2の上に上層画像C2を形成して定着させた後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの表面S1に対して下地画像W1の上に上層画像C1を形成して定着させる。この場合、用紙Sの反転動作の回数は2回となり、第1の動作モードより画像形成処理の生産性を向上させる観点から望ましく、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生することに起因する問題は第2の動作モードより発生しにくい。
【0084】
また、上記実施の形態では、用紙Sの表裏S1,S2において下地画像W1,W2を形成した上で当該下地画像W1,W2の上に上層画像C1,C2を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、用紙Sの表裏の一方において下地画像を形成した上で当該下地画像の上に上層画像を形成する場合についても本発明を適用することができる。この場合、用紙Sの坪量が小さい場合、用紙Sの同一面に連続した定着処理が発生しないように、用紙Sの表面に対して下地画像を形成して定着させた後、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの裏面に対して画像の形成および定着を行わない(空通紙)。次に、反転搬送経路54を経由させ、用紙Sの表面S1に対して下地画像の上に上層画像を形成して定着させる。一方、用紙Sの坪量が大きい場合、用紙Sの表面S1に対して下地画像を形成して定着させた後、非反転搬送経路55を経由させ、用紙Sの表面S1に対して下地画像の上に上層画像を形成して定着させる。また、定着性が良い画像形成条件においては、用紙Sの表面S1に対して下地画像および上層画像を形成、すなわち、用紙Sの同一面に下地画像および上層画像を一括(1パス)で形成して定着させても良い。
【0085】
また、上記実施の形態では、用紙Sの紙種および坪量について規定した制御テーブル(図5を参照)を用いて、実行対象の動作モードを決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、用紙Sに対するトナー付着量によっても定着性が異なることを考慮し、用紙Sに対するトナー付着量および坪量について規定した制御テーブルを用いて、実行対象の動作モードを決定しても良い。ここで、トナー付着量は、用紙Sに形成される白色画像およびカラー画像の最大付着量でも良い。また、カラー画像に関しては画像パターンによって様々に変化するため、その都度画像パターン(トナー付着量)の変化に応じて情報から動作モードを決定するのは困難である。そのため、トナー付着量は、通常は1回の印刷ジョブでは変化させない白画像の付着量でも良い。なお、白画像のトナー付着量は、ユーザーの好みで決定する場合もあるが、用紙Sの色によって変える場合もある。
【0086】
また、上記実施の形態において、用紙Sの紙種、坪量およびトナー付着量に限らず、用紙Sのサイズ、含水率や画像形成装置1の周囲の湿度等の画像形成条件について規定した制御テーブルを用いて、実行対象の動作モードを決定しても良い。また、実行対象の動作モードを決定するために規定された制御テーブルの内容を、ユーザーの指示に応じて任意に変更しても良い。すなわち、制御部100は、下地画像W1,W2を形成した後に上層画像C1,C2を形成する前に用紙Sが反転搬送経路54および非反転搬送経路55を経由するか否かについて、ユーザーの指示に応じて切り替える制御を行っても良い。
【0087】
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
71 通信部
72 記憶部
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
図1
図2
図3
図4
図5