(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】セット販売管理装置、セット販売システム、セット販売管理方法、およびセット販売管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240702BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q30/02 450
(21)【出願番号】P 2020083026
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川勝 崇司
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-226539(JP,A)
【文献】特開2017-139011(JP,A)
【文献】特開2009-163332(JP,A)
【文献】特開2003-141643(JP,A)
【文献】特開2009-169760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セット販売が行われている取引対象の組み合わせ毎に、セット販売価格を含む販売データを記憶する販売データ記憶部と、
第1の単品価格で販売されている第1の取引対象に対して、第2の単品価格で販売されている第2の取引対象
を組み合わせたセット販売
を希望するセット販売要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記セット販売要求により、セット販売が希望された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との
組み合せについて、セット販売
を許可するかどうかを判定する判定部と、
前記判定部でセット販売を許可すると判定された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との
組み合せについて、前記販売データを前記販売データ記憶部に登録する価格設定部と、を備えたセット販売管理装置。
【請求項2】
前記第1の取引対象別に、セット販売を許可する前記第2の取引対象の条件を登録した許可条件データを記憶する
許可条件記憶部を備え、
前記判定部は、
前記受付部が受け付けた前記セット販売要求により、セット販売が希望された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との組み合せについて、前記許可条件記憶部に記憶している当該第1の取引対象の前記許可条件データを参照して
、セット販売
を許可するかどうかを判定する、請求項1に記載のセット販売管理装置。
【請求項3】
前記受付部は、外部機器か
ら前記許可条件データの
通知要求を受け付けると、この
通知要求に応じて、当該外部機器に対して前記許可条件データを送信する、請求項2に記載のセット販売管理装置。
【請求項4】
前記販売データには、前記セット販売価格を、前記第1の取引対象と前記第2の取引対象とで分配するのに用いる分配情報が含まれている、請求項1~3のいずれかに記載のセット販売管理装置。
【請求項5】
前記販売データには、
購入者が購入する取引対象として、前記第1の取引対象を前記第2の取引対象よりも先に選んだとき
に、前記セット販売価格を、前記第1の取引対象と前記第2の取引対象とで分配するのに用いる第1の分配情報と、
購入者が購入する取引対象として、前記第2の取引対象を前記第1の取引対象よりも先に選んだとき
に、前記セット販売価格を、前記第1の取引対象と前記第2の取引対象とで分配するのに用いる第2の分配情報と、が含まれている、請求項1~
3のいずれかに記載のセット販売管理装置。
【請求項6】
購入する取引対象として前記第1の取引対象、または前記第2の取引対象を選んだ購入者に対して、前記第1の取引対象と前記第2の取引対象とがセット販売されている旨の通知を出力する出力部を備えた、請求項1~5のいずれかに記載のセット販売管理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のセット販売管理装置と、
前記第1の取引対象に対
して、前記第2の取引対象
を組み合わせたセット販売
を希望するセット販売要求を前記セット販売管理装置に対して送信する外部機器と、を有するセット販売システム。
【請求項8】
セット販売が行われている取引対象の組み合わせ毎に、セット販売価格を含む販売データを記憶する販売データ記憶部を備えたセット販売管理装置のコンピュータが、
受付部で、第1の単品価格で販売されている第1の取引対象に対して、第2の単品価格で販売されている第2の取引対象
を組み合わせたセット販売
を希望するセット販売要求を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記セット販売要求により、セット販売が希望された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との
組み合せについて、セット販売
を許可するかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップでセット販売を許可すると判定された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との
組み合せについて、前記販売データを前記販売データ記憶部に登録する価格設定ステップと、
を実行するセット販売管理方法。
【請求項9】
セット販売が行われている取引対象の組み合わせ毎に、セット販売価格を含む販売データを記憶する販売データ記憶部を備えたセット販売管理装置のコンピュータに、
受付部で、第1の単品価格で販売されている第1の取引対象に対して、第2の単品価格で販売されている第2の取引対象
を組み合わせたセット販売
を希望するセット販売要求を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記セット販売要求により、セット販売が希望された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との
組み合せについて、セット販売
を許可するかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップでセット販売を許可すると判定された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象との
組み合せについて、前記販売データを前記販売データ記憶部に登録する価格設定ステップと、
を実行させるセット販売管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品、サービス等の取引対象を組み合わせてセットで販売する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの店舗では、顧客(エンドユーザ)に対するサービスの1つとして、複数の取引対象(以下、商品と言う。)を組み合わせて販売するセット販売が行われている(特許文献1等参照)。ここで言う店舗には、リアル店舗、およびネット上の仮想店舗が含まれる。また、ここで言う商品(取引対象)には、物品だけでなくサービスも含まれる。
【0003】
セット販売は、周知のように、このセット販売にかかる複数の商品を組み合わせて購入した場合の購入金額(セット販売価格)を、これらの商品を単品で購入したときの購入金額(単品合計価格)よりも、安価にして販売する顧客サービスである。このセット販売は、他店舗との差別化のために実施される顧客サービスである。このことから、セット販売にかかる商品の組み合わせは、通常、店舗側で決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商品を製造している事業者や、サービスを顧客に提供する事業者(以下、総称して事業者と言う。)が、自身の商品の販売促進等のために考えた、他の事業者の商品と組み合わせたセット販売については、ほとんど店舗で実施されていない。これは、事業者が、他の事業者の商品と組み合わせたセット販売を考えても、そのセット販売を店舗に実施してもらうための交渉が煩雑であることが1つの要因であった。言い換えれば、店舗とのセット販売にかかる交渉が煩雑であることから、事業者が他の事業者の商品と組み合わせたセット販売を考える頻度が少なく、また、他の事業者の商品と組み合わせたセット販売を考えても、それを店舗に提案しないケースが多い。
【0006】
そして、このことが、多種、多様な商品を組み合わせたセット販売を顧客に提供する妨げになっている。
【0007】
この発明の目的は、多種、多様な商品を組み合わせたセット販売を顧客に提供することで、顧客サービスの向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のセット販売管理装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0009】
受付部が、第1の単品価格で販売されている第1の取引対象に対して、第2の単品価格で販売されている第2の取引対象のセット販売にかかる要求を受け付ける。判定部が、第1の取引対象と第2の取引対象とのセット販売を許可するかどうかを判定する。価格設定部が、判定部でセット販売を許可すると判定された第1の取引対象と第2の取引対象とのセット販売価格を設定する。
【0010】
この構成では、商品を製造している事業者や、サービスを顧客に提供する事業者(以下、総称して事業者と言う。)が、自身の商品である第2の取引対象を他の事業者の商品である第1の取引対象と組み合わせたセット販売の要求を簡単に行える。ここで言う商品には物品だけでなくサービスも含まれる。これにより、他の事業者の商品とのセット販売を望む事業者からのセット販売の要求を増加させることができる。したがって、多種、多様な商品を組み合わせたセット販売を顧客に提供し、顧客サービスの向上が図れる。
【0011】
また、例えば、第1の取引対象別に、セット販売を許可する第2の取引対象の条件を登録した許可条件データを記憶する第1の記憶部を備え、判定部が、許可条件データを参照して、第1の取引対象と第2の取引対象とのセット販売は許可するかどうかを判定する、構成にしてもよい。
【0012】
このように構成すれば、要求された第1の取引対象と第2の取引対象とのセット販売を許可するかどうかの判定が人手をかけることなく行える。また、セット販売を要求された第1の取引対象の事業者の意向を、許可条件データとして登録しておくことで、第1の取引対象の事業者の意向に反したセット販売が許可されるのを防止できる。
【0013】
また、例えば、受付部を、外部機器からの許可条件データの要求を受け付けると、この要求に応じて、当該外部機器に対して許可条件データを送信する構成にしてもよい。
【0014】
このように構成すれば、事業者が、自身の商品をセット販売する、他の事業者の商品の候補を検討することができる。また、事業者が、無駄にセット販売を要求するのを抑えられる。
【0015】
また、例えば、セット販売が行われる第1の取引対象と、第2の取引対象との組み合わせ毎に、セット販売価格を含む販売条件を記憶する第2の記憶部を備えてもよい。
【0016】
また、例えば、価格設定部を、第1の取引対象と第2の取引対象とのセット販売におけるセット販売価格に加えて、
(1)購入者が購入する取引対象として、第1の取引対象を第2の取引対象よりも先に選んだときにおける、第1の取引対象または第2の取引対象の少なくとも一方の価格を設定するとともに、
(2)購入者が購入する取引対象として、第2の取引対象を第1の取引対象よりも先に選んだときにおける、第1の取引対象または第2の取引対象の少なくとも一方の価格を設定する、構成にしてもよい。
【0017】
このように構成すれば、セット販売価格内で、顧客が先に選んだ商品によって、個別の商品価格を変更することができる。
【0018】
また、例えば、購入する取引対象として第1の取引対象、または第2の取引対象を選んだ購入者に対して、第1の取引対象と第2の取引対象とがセット販売されている旨の通知を出力する出力部を備えてもよい。
【0019】
このように構成すれば、第1の取引対象と第2の取引対象とがセット販売されていることを、第1の取引対象、または第2の取引対象の一方を購入する購入者に知らせることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、多種、多様な商品を組み合わせたセット販売を顧客に提供することができ、顧客サービスの向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この例にかかるセット販売システムを示す概略図である。
【
図2】セット販売管理装置の主要部の構成を示す図である。
【
図4】商品Aと商品Bのセット販売にかかる販売データを示す図である。
【
図5】セット販売管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】許可条件登録処理を示すフローチャートである。
【
図7】許可条件通知処理を示すフローチャートである。
【
図8】セット販売判定処理を示すフローチャートである。
【
図9】セット販売通知処理を示すフローチャートである。
【
図10】変形例1における商品Aと商品Bのセット販売にかかる販売データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
<1.適用例>
図1は、この例にかかるセット販売システムを示す概略図である。この例のセット販売システムは、インタネット等を利用したWebサイトの仮想店舗4で商品をエンドユーザである顧客に販売するシステムである。ここで言う商品には、物品、およびサービス等が含まれる。
【0024】
この例のセット販売システムは、セット販売管理装置1と、複数の事業者端末2(2a~2c)と、複数の顧客端末3(3a~3c)を有している。複数の事業者端末2は、インタネット等のネットワークを介して、セット販売管理装置1との間でデータ通信可能に接続されている。また、複数の顧客端末3は、Webサイトの仮想店舗4にアクセスできる。
【0025】
この例では、仮想店舗4は、セット販売管理装置1によって開設されているサイトであるとして説明するが、セット販売管理装置1とは異なる装置によって開設されているサイトであってもよい。セット販売管理装置1は、仮想店舗4において、顧客が購入するために選択した商品を判断することができればよい。
【0026】
なお、
図1では、3つの事業者端末2a~2cを例示しているだけであって、セット販売管理装置1に接続されている事業者端末2が3つであるという意味ではない。同様に、
図1では、3つの顧客端末3a~3cを例示しているだけであって、仮想店舗4にアクセスできる顧客端末3が3つであるという意味ではない。
【0027】
セット販売管理装置1は、仮想店舗4における商品のセット販売を管理する。事業者端末2は、商品を製造している事業者や、サービスを顧客に提供する事業者(以下、総称して事業者と言う。)が所有する端末である。事業者端末2は、公知のパーソナルコンピュータを用いることができる。顧客端末3は、商品、サービス等の取引対象(以下、総称して商品と言う。)を購入する顧客が所有する端末である。顧客端末3も、事業者端末2と同様に、公知のパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0028】
セット販売管理装置1は、事業者端末2からのセット販売の要求を受け付ける。例えば、ある事業者が、事業者端末2を操作して、他の事業者の商品に対して、自身の商品を組み合わせたセット販売をセット販売管理装置1に要求する。セット販売管理装置1は、要求されたセット販売を許可するかどうかを判定する。セット販売管理装置1は、要求されたセット販売を許可する場合、このセット販売におけるセット販売価格を設定する。セット販売管理装置1は、仮想店舗4で許可した商品のセット販売を実施させる。
【0029】
このように、各事業者は、自身の事業者端末2を操作して、簡単に他の事業者の商品とのセット販売を要求することができる。
【0030】
また、顧客は、顧客端末3でWebサイトの仮想店舗4にアクセスし、商品の購入にかかる操作を行う。セット販売管理装置1は、顧客が仮想店舗4で購入するために商品を選択すると、選択された商品がセット販売にかかる商品であるかどうかを判定する。セット販売管理装置1は、顧客が選択した商品がセット販売にかかる商品であれば、今回選択された商品と組み合わせてセット販売されている商品を顧客端末3に通知する。このとき、セット販売管理装置1は、セット販売価格等も顧客端末3に通知する。この通知は、仮想店舗4を介して行われる。
【0031】
これにより、顧客は、今回選択した商品がセット販売されている商品であること、今回選択した商品と組み合わせてセット販売されている商品、およびこれらの商品のセット販売価格を確認することができる。
【0032】
このように、この例のセット販売システムでは、事業者は、他の事業者の商品とのセット販売を考えたとき、自身の事業者端末2を操作することによって、簡単にセット販売を要求することができる。これにより、各事業者からのセット販売の要求を増加させることができる。したがって、多種、多様な商品を組み合わせたセット販売を顧客に提供し、顧客サービスの向上を図ることができる。
【0033】
<2.構成例>
図2は、セット販売管理装置の主要部の構成を示す図である。セット販売管理装置1は、制御ユニット11と、通信部12と、Webサイト管理部13と、許可条件データベース14(許可条件DB14)と、販売データデータベース15(販売データDB15)とを備えている。
【0034】
制御ユニット11は、セット販売管理装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、判定部11a、および価格設定部11bを有している。判定部11a、および価格設定部11bの詳細については、後述する。
【0035】
通信部12は、事業者端末2との間でデータ通信を行う。この通信部12が、この発明で言う受付部に相当する。また、事業者端末2が、この発明で言う外部機器に相当する。
【0036】
Webサイト管理部13は、仮想店舗4での商品の販売を管理する。Webサイト管理部13が、この発明で言う出力部を有する構成である。
【0037】
許可条件DB14は、仮想店舗4で販売している商品(この発明で言う第1の取引対象に相当し、以下の説明で主商品と言う場合もある。)別に、セット販売を許可する商品(この発明で言う第2の取引対象に相当し、以下の説明で従商品と言う場合もある。)の条件を示す許可条件データを登録したデータベースである。
【0038】
図3は、商品Aの許可条件データを示す図である。許可条件データには、主商品の商品名(商品識別コードでよい。)、セット販売を許可する従商品の種別(商品種別)、セット販売を許可する従商品の値引率(セット販売を許可する商品の通常販売価格に対する値引率)、およびセット販売を許可する従商品の値引金額(セット販売を許可する商品の通常販売価格に対する値引金額)等が含まれている。ここで言う通常販売価格は、仮想店舗4でのセット販売を許可するかどうかを判定する従商品の単品価格である。
図3に示す例では、商品Aについて、商品種別がゲーム機、ゲームソフト等が、セット販売を許可する従商品として設定されている。また、商品Aについて、値引率が30%以上であり、且つ値引金額が600円以上であることをセット販売を許可する条件として設定されている。
【0039】
なお、
図3に示す許可条件データは、一例であり、上記以外の項目の条件が含まれていてもよいし、上記のいずれか1つ以上の項目の条件が含まれていなくてもよい。
【0040】
販売データDB15は、仮想店舗4でセット販売している商品の組み合わせ別に、セット販売価格、セット販売にかかる各商品(主商品、および従商品)の販売価格を販売データとして登録したデータベースである。
【0041】
図4は、商品Aと商品Bのセット販売にかかる販売データを示す図である。販売データは、セット販売商品の組み合わせ、セット販売価格、セット販売価格に占める主商品の価格、およびセット販売価格に占める従商品の価格、を登録したものである。
図4に示す例では、商品Aと商品Bのセット販売におけるセット販売価格が18,000円であり、セット販売における主商品Aの価格が13,000円であり、さらにセット販売における従商品Bの価格が5,000円であることを示している。
【0042】
なお、
図4に示す販売データは、一例であり、上記以外の項目が含まれていてもよいし、上記のいずれか1つ以上の項目が含まれていなくてもよい。
【0043】
次に、制御ユニット11が有する判定部11a、および価格設定部11bについて説明する。
【0044】
判定部11aは、通信部12において受信したセット販売の要求について、セット販売を許可するかどうかを判定する。セット販売の要求には、セット販売の対象である主商品と、この主商品に組み合わせてセット販売したい従商品、およびセット販売における従商品の単品価格が含まれている。例えば、判定部11aは、商品A(主商品)に対して商品B(従商品)を組み合わせたセット販売の要求を受け付けると、許可条件DB14に登録されている商品Aの許可条件データを参照し、今回セット販売が要求された商品Bとのセット販売を許可するかどうかを判定する。このとき、判定部11aは、商品Bの種類、および通常価格を、仮想店舗4で販売している商品Bの登録情報から取得する。
【0045】
なお、判定部11aは、この例では、セット販売を許可するかどうかの判定において、値引率、および値引金額の両方を満足していることを許可する条件にして判定するが、値引率、および値引金額の一方を満足していることを許可する条件にして判定してもよい。
【0046】
また、価格設定部11bは、判定部11aにおいてセット販売を許可すると判定された商品の組み合わせについて、販売データを販売データDB15に登録する。この例では、セット販売における主商品の価格は、この主商品の単品価格であり、セット販売における従商品の価格は、この従商品の単品価格から値引金額を差し引いた金額である。
【0047】
セット販売管理装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかるセット販売管理プログラムを実行したときに、判定部11a、および価格設定部11bとして動作する。また、メモリは、この発明にかかるセット販売管理プログラムを展開する領域や、このセット販売管理プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかるセット販売管理方法を実行するコンピュータである。
【0048】
また、事業者端末2、および顧客端末3は、上記したように周知のパーソナルコンピュータであるので、ここでは、その構成の説明を省略する。
【0049】
<3.動作例>
図5は、セット販売管理装置の動作を示すフローチャートである。セット販売管理装置1は、許可条件登録要求、許可条件通知要求、セット販売要求、または商品選択通知があるのを待っている(s1~s4)。許可条件登録要求、許可条件通知要求、およびセット販売要求は、事業者端末2から送信されてくる。許可条件登録要求、許可条件通知要求、およびセット販売要求は、通信部12において受信される。また、顧客が、顧客端末3を操作して仮想店舗4において販売している商品の中から、いずれかの商品を購入する商品として選択すると、そのことをWebサイト管理部13が商品選択通知として検知する。
【0050】
セット販売管理装置1は、許可条件登録要求を通信部12で受信すると、後述する許可条件登録処理を行い(s5)、s1に戻る。また、セット販売管理装置1は、許可条件通知要求を通信部12で受信すると、後述する許可条件通知処理を行い(s6)、s1に戻る。また、セット販売管理装置1は、セット販売要求を通信部12で受信すると、後述するセット販売判定処理を行い(s7)、s1に戻る。さらに、セット販売管理装置1は、商品選択通知があると、後述するセット販売通知処理を行い(s8)、s1に戻る。
【0051】
図6は、許可条件登録処理を示すフローチャートである。事業者は、自身の商品を主商品としたセット販売を受け付けたいとき、事業者端末2を操作して、その商品の商品名(識別コード)、セット販売を許可する従商品の種類、従商品の値引率、および従商品の値引金額を含む許可条件登録要求をセット販売管理装置1に送信させる。
【0052】
セット販売管理装置1は、通信部12において事業者端末2からの許可条件登録要求を受信すると、受信した許可条件登録要求の主商品の許可条件データが、許可条件DB14に登録されているかどうかを判定する(s11)。セット販売管理装置1は、s11で未登録であると判定すると、今回受信した許可条件登録要求に基づき許可条件データを生成し、生成した許可条件データを許可条件DB14に新規登録し(s12)、本処理を終了する。また、セット販売管理装置1は、s11で登録済であると判定すると、今回受信した許可条件登録要求に基づき許可条件データを生成し、生成した許可条件データと、登録済の許可条件データとを比較して、許可条件DB14に登録されている許可条件データを更新し(s13)、本処理を終了する。
【0053】
このように、事業者は、自身の商品を主商品としたセット販売を受け付けてもよいと考えたとき、自身の事業者端末2を操作して、その商品の許可条件データを簡単にセット販売管理装置1に登録することができる。
【0054】
図7は、許可条件通知処理を示すフローチャートである。事業者は、例えば、自身の商品を従商品としたセット販売を検討したいとき、事業者端末2を操作して、主商品の商品名(識別コード)含む許可条件通知要求をセット販売管理装置1に送信させる。この許可条件通知要求には、1つ以上の主商品の商品名(識別コード)が含まれている。すなわち、許可条件通知要求には、複数の商品の商品名(識別コード)が含まれている場合もある。
【0055】
セット販売管理装置1は、通信部12において事業者端末2からの許可条件通知要求を受信すると、許可条件通知要求に含まれている主商品毎に、許可条件データが許可条件DB14に登録されているかどうかを判定する(s21)。セット販売管理装置1は、今回受信した許可条件通知要求に含まれているいずれの主商品についても、許可条件データが許可条件DB14に登録されていなければ、本処理を終了する。
【0056】
また、セット販売管理装置1は、今回受信した許可条件通知要求に含まれている主商品の中に、許可条件データが許可条件DB14に登録されている主商品があれば、登録されている許可条件データを今回許可条件通知要求を送信してきた事業者端末2に送信し(s22)、本処理を終了する。s22では、許可条件データが許可条件DB14に登録されている全ての主商品について、許可条件データを事業者端末2に送信する。
【0057】
このように、事業者は、自身の商品を従商品としたセット販売を考えたとき、自身の事業者端末2を操作して、主商品とする1つ以上の主商品について、許可条件データを確認することができる。
【0058】
図8は、セット販売判定処理を示すフローチャートである。事業者は、例えば、自身の商品を従商品としたセット販売を希望するとき、自身の事業者端末2を操作して、セット販売要求をセット販売管理装置1に送信する。このセット販売要求には、セット販売において主商品とする他の事業者の商品の商品名、従商品とする自身の商品の商品名、従商品とする自身の商品の値引率、および従商品とする自身の商品の値引金額が含まれている。
【0059】
セット販売管理装置1は、通信部12において、いずれかの事業者端末2からセット販売要求を受信すると、判定部11aが、このセット販売要求に含まれている主商品の許可条件データを参照し、従商品の種別、従商品の値引率、および従商品の値引金額のそれぞれについて、許可条件を満足しているかどうかを判定する(s31~s33)。判定部11aは、従商品の種別、従商品の値引率、または従商品の値引金額のいずれかが、主商品の許可条件を満足しないとき、今回のセット販売要求の却下を事業者端末2に返送し(s36)、本処理を終了する。
【0060】
なお、セット販売管理装置1は、s36で、今回のセット販売要求を却下した理由を事業者端末2に通知してもよい。
【0061】
また、判定部11aが、従商品の種別、従商品の値引率、および従商品の値引金額の全てについて許可条件を満足していると判定すると、価格設定部11bがセット販売にかかる販売データを生成し、この販売データを販売データDB15に登録する(s34)。セット販売管理装置1は、今回のセット販売要求を許可し、販売データを販売データDB15に登録したことを示す登録通知を事業者端末2に返送し(s36)、本処理を終了する。
【0062】
価格設定部11bは、主商品の販売価格をこの主商品の通常価格にする。また、価格設定部11bは、従商品の販売価格を、この従商品の通常価格から、今回のセット販売要求に含まれていた値引金額を差し引いた金額にする。セット販売価格は、これらの金額の合計である。
【0063】
このように、事業者は、自身の事業者端末2を操作して、自身の商品を従商品としたセット販売要求を行うことによって、希望する主商品とのセット販売を登録することができる。
【0064】
図9は、セット販売通知処理を示すフローチャートである。顧客は、顧客端末3を操作して、仮想店舗4で販売されている商品の中から、購入する商品を選択する。
【0065】
Webサイト管理部13は、仮想店舗で顧客が商品を選択すると、選択された商品がセット販売されている商品であるかどうかを判定する(s41)。顧客が、今回選択した商品がセット販売している一方の商品でなければ、本処理を終了する。
【0066】
また、Webサイト管理部13は、顧客が今回選択した商品がセット販売している一方の商品であれば、他方の商品がすでに選択されているかどうかを判定する(s42)。Webサイト管理部13は、顧客がすでに他方の商品を選択していると判定すると、本処理を終了する。
【0067】
Webサイト管理部13は、顧客が他方の商品を選択していないと判定すると、今回選択した商品とセット販売されている商品があることを、顧客端末3に通知し(s43)、本処理を終了する。s43では、セット販売されている商品であって、未選択の商品、およびこれらの商品のセット販売価格を顧客端末3に通知する。これにより、顧客に対して、直前に選択した商品がセット販売されている商品であること、およびこれらの商品のセット販売価格を知らせることができる。
【0068】
このように、この例にかかるセット販売システムにおいては、事業者が自身の商品を他の事業者の商品と組み合わせたセット販売の要求を簡単に行える。これにより、他の事業者の商品とのセット販売を望む事業者からのセット販売の要求を増加させることができる。したがって、多種、多様な商品を組み合わせたセット販売を顧客に提供し、顧客サービスの向上が図れる。
【0069】
<4.変形例>
・変形例1
この変形例1では、顧客がセット販売されている商品を選んだ順番で、各商品の価格を異ならせた例である。この変形例1のセット販売管理装置1は、
図2に示す構成である。
図10は、この変形例にかかる販売データを示す図である。この変形例1では、
図10に示すように、セット販売されている商品A、Bを顧客が選択した順番に応じて、商品A、Bの個別価格を異ならせている。ただし、セット販売価格は、顧客がセット販売されている商品A、Bを選択した順番に関係なく同一価格である。
【0070】
図10に示す例では、顧客が商品A、商品Bの順番に選択したとき、商品Aの価格が13,200円であり、商品Bの価格が4,800円である。一方、顧客が商品B、商品Aの順番に選択したとき、商品Aの価格が12,900円であり、商品Bの価格が5,100円である。この例では、商品A、または商品Bのどちらが主商品であってもよい。
【0071】
また、この変形例1は、仮想店舗4での販売データとして、商品A、Bのセット販売の販売数を、商品A、Bが選択された順番で分けて記憶する。
図10では、顧客が商品A、商品Bの順番に選択したセット販売の販売数がXであり、顧客が商品B、商品Aの順番に選択したセット販売の販売数がYである、ことを示している。
【0072】
また、顧客が商品A、Bを選択した順番に応じて、商品A、Bの価格を変化させる金額については、主商品の許可条件データに含ませておけばよい。
【0073】
この変形例1においては、商品Aの事業者と、商品Bの事業者との間における仮想店舗4での商品A、Bのセット販売にかかる売り上げの分配を、商品A、商品Bの順番で選択されたセット販売と、商品B、商品Aの順番で選択されたセット販売の2つに分けて行える。すなわち、他の事業者の商品とのセット販売を要求した事業者は、自身の商品が先に選択されたときに、値引金額の一部を、他の事業者に負担してもらえる。これにより、事業者は、他の事業者の商品とのセット販売を要求しやすくなるので、他の事業者の商品とのセット販売を望む事業者からのセット販売の要求を増加させることができる。したがって、より多くの種類のセット販売(商品の組み合わせ)を顧客に提供し、顧客サービスの向上が図れる。
【0074】
・変形例2
また、セット販売における主商品の販売価格を、この主商品の通常価格より大きくするように構成してもよい。このように構成すれば、事業者は、主商品の許可条件データを登録した主商品が、他の事業者から要求されたセット販売で販売されることにより、この主商品を通常価格よりも高い価格で販売できる。これにより、許可条件DB14に許可条件データが登録される主商品を増加させることができる。したがって、より多くの種類のセット販売(商品の組み合わせ)を顧客に提供し、顧客サービスの向上が図れる。
【0075】
なお、上記の例では、仮想店舗4における商品のセット販売を例にして説明したが、実店舗での商品のセット販売にも、本願発明は適用できる。
【0076】
また、上記の例における販売データについては、主商品、または従商品の一方の価格を含まないデータにしてもよい。価格が販売データに含まれていない商品の価格は、セット販売価格から、価格が販売データに含まれている商品の価格を差し引いた金額である。
【0077】
また、主商品の許可条件データは、セット販売を許可する条件として、主商品の販売価格を通常価格よりも割り増す割増金額を含めてもよいし、その他の条件を含めてもよい。
【0078】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0079】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
第1の単品価格で販売されている第1の取引対象に対して、第2の単品価格で販売されている第2の取引対象のセット販売にかかる要求を受け付ける受付部(12)と、
前記第1の取引対象と前記第2の取引対象とのセット販売は許可するかどうかを判定する判定部(11a)と、
前記判定部(11a)でセット販売を許可すると判定された前記第1の取引対象と前記第2の取引対象とのセット販売価格を設定する価格設定部(11b)と、を備えたセット販売管理装置(1)。
【符号の説明】
【0080】
1…セット販売管理装置
2(2a~2c)…事業者端末
3(3a~3c)…顧客端末
4…仮想店舗
11…制御ユニット
11a…判定部
11b…価格設定部
12…通信部
13…Webサイト管理部
14…許可条件データベース(許可条件DB)
15…販売データデータベース(販売データDB)