(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240702BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240702BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240702BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240702BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20240702BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20240702BHJP
H10K 50/852 20230101ALI20240702BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240702BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G09F9/30 349A
G09F9/30 365
H05B33/12 B
H05B33/12 E
H05B33/14 Z
H05B33/22 Z
H10K50/84
H10K50/852
H10K59/10
H10K59/38
(21)【出願番号】P 2020083830
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】腰原 健
(72)【発明者】
【氏名】色部 潤
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0182814(US,A1)
【文献】特開2019-117941(JP,A)
【文献】特開2018-163734(JP,A)
【文献】特開2018-124540(JP,A)
【文献】特開2018-125168(JP,A)
【文献】国際公開第2010/150535(WO,A1)
【文献】特開2016-102733(JP,A)
【文献】特開2018-081831(JP,A)
【文献】特開2016-029611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H10K 50/00-102/20
H05B 33/00-38/28
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する電気光学装置であって、
発光素子層と、
透光性基板と、
平面視で前記発光素子層と重なるカラーフィルターと、
前記透光性基板と前記カラーフィルターとの間に設けられた透光層と、
前記発光素子層と前記カラーフィルターとの間に設けられた保護層と、を備え、
前記発光素子層は、
第1発光領域から第1波長域の光を発する第1発光素子と、
第2発光領域から第2波長域の光を発する第2発光素子と、
第3発光領域から第3波長域の光を発する第3発光素子と、を画素ごとに有し、
前記カラーフィルターは、
前記第1波長域の光、および前記第3波長域の光を透過し、前記第2波長域の光を遮る
複数の第1フィルターと、
前記第2波長域の光、および前記第3波長域の光を透過し、前記第1波長域の光を遮る
複数の第2フィルターと、を有し、
前記複数の画素は、平面視で、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に行列
状に配置され、
前記複数の第1フィルターと前記複数の第2フィルターとは、前記第1方向または前記
第2方向にストライプ状に交互に並
び、
平面視で、前記複数の第1フィルターのうちの1つ
は、前記第1発光領域および前記第
3発光領域にわたって連続して重なり
、かつ、前記第1発光領域と前記第3発光領域との
間の領域において、前記透光層および前記保護層と接し、
前記複数の第2フィルターのうちの1つは、前記第2発光領域と重なることを特徴とす
る電気光学装置。
【請求項2】
第4発光領域から前記第3波長域の光を発する第4発光素子を、前記画素ごとに有し、
前記第1発光領域、前記第2発光領域、前記第3発光領域および前記第4発光領域の配
列は、ベイヤー配列であり、
前記第3発光領域は、平面視で、前記複数の第1フィルターのうちの1つと重なり、
前記第4発光領域は、平面視で、前記複数の第2フィルターのうちの1つと重なる請求
項
1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1発光領域、前記第2発光領域、および前記第3発光領域の配列は、レクタング
ル配列であり、
前記第3発光領域は、平面視で、前記複数の第1フィルターのうちの1つ、および前記
複数の第2フィルターのうちの1つの両方と重なる請求項
1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第3波長域は、前記第2波長域よりも短い波長域であり、
前記第2波長域は、前記第1波長域よりも短い波長域である、請求項1から
3のいずれ
か1項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記第3発光素子は、互いに異なる光共振
構造を有する請求項1から
4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子等の発光素子を有する電気光学装置が知られている。この種の装置は、特許文献1に開示されるように、例えば、発光素子からの光のうち所定の波長域の光を透過させるカラーフィルターを有する。
【0003】
特許文献1には、発光素子を含む複数のサブ画素と、各サブ画素に対応する複数のカラーフィルターとを有する。具体的には、赤色を発光可能な発光素子には、赤色のカラーフィルターが重ねて配置され、緑色を発光可能な発光素子には、緑色のカラーフィルターが重ねて配置され、青色を発光可能な発光素子には、青色のカラーフィルターが重ねて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の装置では、サブ画素ごとに、発光素子から発せられる波長域の光に対応するカラーフィルターが配置されている。このため、当該装置では、サブ画素の幅が小さくなったりサブ画素の密度が高くなったりした場合に、視野角特性が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の一態様は、複数の画素を有する電気光学装置であって、発光素子層と、平面視で前記発光素子層と重なるカラーフィルターと、を備え、前記発光素子層は、第1発光領域から第1波長域の光を発する第1発光素子と、第2発光領域から第2波長域の光を発する第2発光素子と、第3発光領域から第3波長域の光を発する第3発光素子と、を画素ごとに有し、前記カラーフィルターは、前記第1波長域の光、および前記第3波長域の光を透過し、前記第2波長域の光を遮る複数の第1フィルターと、前記第2波長域の光、および前記第3波長域の光を透過し、前記第1波長域の光を遮る複数の第2フィルターと、を有し、前記複数の画素は、平面視で、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に行列状に配置され、前記複数の第1フィルターと前記複数の第2フィルターとは、前記第1方向または前記第2方向にストライプ状に交互に並ぶ。
【0007】
本発明の電子機器の一態様は、前述の電気光学装置と、前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の電気光学装置を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図1に示すA1-A1線断面を示す図である。
【
図4】
図1に示すA2-A2線断面を示す図である。
【
図5】第1実施形態の発光素子層の一部を示す概略平面図である。
【
図6】第1実施形態のカラーフィルターの一部を示す概略平面図である。
【
図7】第1実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図8】マゼンタフィルターの特性を説明するための図である。
【
図9】シアンフィルターの特性を説明するための図である。
【
図10】第1実施形態のカラーフィルターの特性を説明するための図である。
【
図11】従来のカラーフィルターを有する電気光学装置を示す概略図である。
【
図12】
図11の電気光学装置を小型化した場合の例を示す概略図である。
【
図13】第1実施形態の電気光学装置を示す概略図である。
【
図14】第2実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図15】イエローフィルターの特性を説明するための図である。
【
図16】第2実施形態のカラーフィルターの特性を説明するための図である。
【
図17】第3実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図18】第3実施形態のカラーフィルターの特性を説明するための図である。
【
図19】第4実施形態のカラーフィルターの一部を示す概略平面図である。
【
図20】第4実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図21】第5実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図22】第6実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図23】第7実施形態の発光素子層の一部を示す概略平面図である。
【
図24】第7実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図25】第8実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図26】第9実施形態の発光素子層とカラーフィルターとの配置を示す概略平面図である。
【
図27】電子機器の一例である虚像表示装置の一部を模式的に示す平面図である。
【
図28】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法や縮尺は実際のものと適宜異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
1.電気光学装置100
1A.第1実施形態
1A-1.電気光学装置100の構成
図1は、第1実施形態の電気光学装置100を模式的に示す平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向とし、X1方向とは反対の方向をX2方向とする。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向とし、Y1方向とは反対の方向をY2方向とする。Z軸に沿う一方向をZ1方向とし、Z1方向とは反対の方向をZ2方向とする。X軸およびY軸を含む面をX-Y平面とする。また、Z1方向またはZ2方向みることを「平面視」とする。また、X1方向またはX2方向は「第1方向」の例示であり、Y1方向またはY2方向は「第2方向」の例示である。
【0011】
図1に示す電気光学装置100は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)を利用してフルカラーの画像を表示する装置である。なお、画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。電気光学装置100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ等に好適に用いられるマイクロディスプレイである。
【0012】
電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の周囲を囲む周辺領域A20と、を有する。
図1に示す例では、表示領域A10の平面視での形状が四角形であるが、これに限定されず、他の形状でもよい。
【0013】
表示領域A10は、複数の画素Pを有する。各画素Pは、画像の表示における最小単位である。本実施形態では、複数の画素Pは、X1方向およびY2方向に行列状に配置される。各画素Pは、赤色の波長域の光が得られるサブ画素PRと、緑色の波長域の光が得られるサブ画素PGと、青色の波長域の光が得られる2つのサブ画素PBとを有する。サブ画素PB、サブ画素PGおよびサブ画素PRによって、カラー画像の1つの画素Pが構成される。以下では、サブ画素PB、サブ画素PGおよびサブ画素PRを区別しない場合、サブ画素P0と表記する。
【0014】
サブ画素P0は、画素Pを構成する要素である。サブ画素P0は、独立して制御される最小単位である。サブ画素P0は他のサブ画素P0とは独立して制御される。複数のサブ画素P0は、X1方向およびY2方向に行列状に配置される。また、本実施形態では、サブ画素P0の配列は、ベイヤー配列である。本実施形態のベイヤー配列は、1つのサブ画素PR、1つのサブ画素PGおよび2つのサブ画素PBを1つの画素Pとする配列である。ベイヤー配列では、2つのサブ画素PBは、画素Pの配列方向に対して斜めに配置される。
【0015】
ここで、青色の波長域、緑色の波長域、および赤色の波長域のうちの任意の1つが「第1波長域」に相当する。他の1つが「第2波長域」に相当する。残りの1つが「第3波長域」に相当する。なお、「第1波長域」、「第2波長域」および「第3波長域」は、互いに異なる波長域である。本実施形態では、赤色の波長域を「第1波長域」とし、緑色の波長域を「第2波長域」とし、青色の波長域を「第3波長域」とする場合を例に説明する。なお、青色の波長域は緑色の波長域よりも短い波長域であり、緑色の波長域は赤色の波長域よりも短い波長域である。
【0016】
また、電気光学装置100は、素子基板1と、光透過性を有する透光性基板7とを有する。電気光学装置100は、いわゆるトップエミッション構造であり、透光性基板7から光を発する。なお、素子基板1と透光性基板7とが重なる方向は、Z1方向またはZ2方向と一致する。また、光透過性とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0017】
素子基板1は、データ線駆動回路101と、走査線駆動回路102と、制御回路103と、複数の外部端子104とを有する。データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、制御回路103および複数の外部端子104は、周辺領域A20に配置される。データ線駆動回路101および走査線駆動回路102は、複数のサブ画素P0を構成する各部の駆動を制御する周辺回路である。制御回路103は、画像の表示を制御する。制御回路103には、図示しない上位回路から画像データが供給される。制御回路103は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路101および走査線駆動回路102に供給する。図示しないが、外部端子104には、上位回路との電気的な接続を図るためのFPC(Flexible printed circuits)基板等が接続される。また、素子基板1には、図示しない電源回路が電気的に接続される。
【0018】
透光性基板7は、素子基板1が有する後述の発光素子20およびカラーフィルター5を保護するカバーである。透光性基板7は、例えば、ガラス基板または石英基板で構成される。
【0019】
図2は、
図1に示すサブ画素P0の等価回路図である。素子基板1には、複数の走査線13、複数のデータ線14、複数の給電線15および複数の給電線16が設けられる。
図2では、1つのサブ画素P0とこれに対応する要素とが代表的に図示される。
【0020】
走査線13はX1方向に延び、データ線14はY2方向に延びる。なお、図示はしないが、複数の走査線13と複数のデータ線14は、格子状に配列される。また、走査線13は
図1に示す走査線駆動回路102に接続され、データ線14は
図1に示すデータ線駆動回路101に接続される。
【0021】
図2に示すように、サブ画素P0は、発光素子20と、発光素子20の駆動を制御する画素回路30とを含む。発光素子20は、OLED(有機発光ダイオード)で構成される。発光素子20は、画素電極23と、共通電極25と、有機層24とを有する。
【0022】
画素電極23には、画素回路30を介して給電線15が電気的に接続される。一方、共通電極25には、給電線16が電気的に接続される。ここで、給電線15には、図示しない電源回路から高位側の電源電位Velが供給される。給電線16には、図示しない電源回路から低位側の電源電位Vctが供給される。画素電極23が陽極として機能し、共通電極25が陰極として機能する。発光素子20では、画素電極23から供給される正孔と、共通電極25から供給される電子とが有機層24で再結合することにより、有機層24が光を発生させる。なお、画素電極23はサブ画素P0ごとに設けられており、画素電極23は他の画素電極23とは独立して制御される。
【0023】
画素回路30は、スイッチング用トランジスター31と、駆動用トランジスター32と、保持容量33とを有する。スイッチング用トランジスター31のゲートは、走査線13に電気的に接続される。また、スイッチング用トランジスター31のソースまたはドレインのうちの一方が、データ線14に電気的に接続され、他方が、駆動用トランジスター32のゲートに電気的に接続される。また、駆動用トランジスター32のソースまたはドレインのうちの一方が、給電線15に電気的に接続され、他方が、画素電極23に電気的に接続される。また、保持容量33の一方の電極は、駆動用トランジスター32のゲートに接続され、他方の電極は、給電線15に接続される。
【0024】
以上の画素回路30では、走査線駆動回路102が走査信号をアクティブにすることで走査線13が選択されると、選択されるサブ画素P0に設けられるスイッチング用トランジスター31がオンする。すると、データ線14からデータ信号が、選択される走査線13に対応する駆動用トランジスター32に供給される。駆動用トランジスター32は、供給されるデータ信号の電位、すなわちゲートおよびソース間の電位差に応じた電流を発光素子20に対して供給する。そして、発光素子20は、駆動用トランジスター32から供給される電流の大きさに応じた輝度で発光する。また、走査線駆動回路102が走査線13の選択を解除してスイッチング用トランジスター31がオフした場合、駆動用トランジスター32のゲートの電位は、保持容量33により保持される。このため、発光素子20は、スイッチング用トランジスター31がオフした後も、発光素子20の発光を維持することができる。
【0025】
なお、前述の画素回路30の構成は、図示の構成に限定されない。例えば、画素回路30は、画素電極23と駆動用トランジスター32との間の導通を制御するトランジスターをさらに備えてもよい。
【0026】
1A-2.素子基板1
図3は、
図1中のA1-A1線断面を示す図である。
図4は、
図1中のA2-A2線断面を示す図である。以下の説明では、Z1方向を上方とし、Z2方向を下方として説明する。以下では、サブ画素PBに関連する要素の符号の末尾に「B」を付し、サブ画素PGに関連する要素の符号の末尾に「G」を付し、サブ画素PRに関連する要素の符号の末尾に「R」を付す。なお、発光色ごとに区別しない場合には、符号の末尾の「B」、「G」および「R」を省略する。
【0027】
図3および
図4に示すように、素子基板1は、基板10と、反射層21と、発光素子層2と、保護層4と、カラーフィルター5とを有する。なお、前述の透光性基板7は、接着層70により素子基板1に接合される。
【0028】
基板10は、詳細な図示はしないが、例えばシリコン基板上に、前述の画素回路30が形成された配線基板である。なお、シリコン基板に代わりに、例えば、ガラス基板、樹脂基板またはセラミックス基板が用いられてもよい。また、詳細な図示はしないが、画素回路30が有する前述の各トランジスターは、MOS型トランジスター、薄膜トランジスターまたは電界効果トランジスターのいずれでもよい。画素回路30が有するトランジスターがアクティブ層を有するMOS型トランジスターである場合、当該アクティブ層は、シリコン基板で構成されてもよい。また、画素回路30が有する各要素および各種配線の材料としては、例えば、ポリシリコン、金属、金属シリサイドおよび金属化合物等の導電材料が挙げられる。
【0029】
基板10上には、反射層21が配置される。反射層21は、光反射性を有する複数の反射部210を含む。光反射性とは、可視光に対する反射性を意味し、好ましくは可視光の反射率が50%以上であることをいう。各反射部210は、有機層24で発生する光を反射する。なお、複数の反射部210は、図示はしないが、平面視で、複数のサブ画素P0に対応して行列状に配置される。反射層21の材料としては、例えば、Al(アルミニウム)およびAg(銀)等の金属、あるいはこれらの金属の合金が挙げられる。なお、反射層21は、画素回路30と電気的に接続される配線としての機能を有してもよい。また、反射層21は、発光素子層2の一部として捉えてもよい。
【0030】
反射層21上には、発光素子層2が配置される。発光素子層2は、複数の発光素子20が設けられる層である。また、発光素子層2は、絶縁層22と、素子分離層220と、複数の画素電極23と、有機層24と、共通電極25とを有する。絶縁層22、素子分離層220、有機層24および共通電極25は、複数の発光素子20で共通である。
【0031】
絶縁層22は、反射部210と後述の共通電極25との間の光学的な距離である光学距離L0を調整する距離調整層である。絶縁層22は、絶縁性を有する複数の膜で構成される。具体的には、絶縁層22は、第1絶縁膜221、第2絶縁膜222、および第3絶縁膜223を有する。第1絶縁膜221は、反射層21を覆う。第1絶縁膜221は、画素電極23G、23Gおよび23Rに共通で形成される。第1絶縁膜221上には、第2絶縁膜222が配置される。第2絶縁膜222は、平面視で画素電極23Rおよび23Gと重なり、かつ、平面視で画素電極23Bと重ならない。第2絶縁膜222上には、第3絶縁膜223が配置される。第3絶縁膜223は、平面視で画素電極23Rと重なり、かつ、平面視で画素電極23Bおよび23Gと重ならない。
【0032】
絶縁層22上には、複数の開口を有する素子分離層220が配置される。素子分離層220は、複数の画素電極23の各外縁を覆う。素子分離層220が有する複数の開口により、複数の発光領域Aが規定される。具体的には、発光素子20Rが有する発光領域ARと、発光素子20Gが有する発光領域AGと、発光素子20Bが有する発光領域ABが規定される。
【0033】
絶縁層22および素子分離層220の各材料としては、例えば、酸化ケイ素および窒化ケイ素等のケイ素系の無機材料が挙げられる。なお、
図3に示す絶縁層22では、第3絶縁膜223が第2絶縁膜222上に配置されるが、例えば、第2絶縁膜222が第3絶縁膜223上に配置されてもよい。
【0034】
絶縁層22上には、複数の画素電極23が配置される。複数の画素電極23は、複数のサブ画素P0に対して1対1で設けられる。図示はしないが、各画素電極23は、平面視で、対応する反射部210に重なる。各画素電極23は、光透過性および導電性を有する。画素電極23の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)およびIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料が挙げられる。複数の画素電極23は、素子分離層220によって、互いに電気的に絶縁される。
【0035】
複数の画素電極23上には、有機層24が配置される。有機層24は、有機発光材料を含む発光層を含む。有機発光材料は、発光性の有機化合物である。また、有機層24は、発光層以外に、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層等を含む。有機層24は、青色、緑色および赤色の各発光色が得られる発光層を含んで白色発光を実現する。なお、有機層24の構成は、前述の構成に特に限定されるものではなく、公知の構成を適用することができる。
【0036】
有機層24上には、共通電極25が配置される。共通電極25は、有機層24上に配置される。共通電極25は、光反射性、光透過性および導電性を有する。共通電極25は、例えば、MgAg等のAgを含む合金で形成される。
【0037】
以上の発光素子層2では、発光素子20Rは、第1絶縁膜221と第2絶縁膜222と第3絶縁膜223と素子分離層220と画素電極23Rと有機層24と共通電極25とを有する。発光素子20Gは、第1絶縁膜221と第2絶縁膜222と素子分離層220と画素電極23Gと有機層24と共通電極25とを有する。発光素子20Bは、第1絶縁膜221と素子分離層220と画素電極23Bと有機層24と共通電極25とを有する。なお、各発光素子20は、反射部210を有すると捉えてもよい。
【0038】
ここで、反射層21と共通電極25との間の光学距離L0は、サブ画素P0ごとに異なる。具体的には、サブ画素PRの光学距離L0は、赤色の波長域に対応して設定される。サブ画素PGの光学距離L0は、緑色の波長域に対応して設定される。サブ画素PBの光学距離L0は、青色の波長域に対応して設定される。
【0039】
このため、各発光素子20は、所定の波長域の光を反射層21と共通電極25との間で共振させる光共振構造29を有する。発光素子20R、20Gおよび20Bは互いに異なる光共振構造29を有する。光共振構造29は、有機層24が有する発光層で発生する光を反射層21と共通電極25との間で多重反射させ、所定の波長域の光を選択的に強める。発光素子20Rは、反射層21と共通電極25との間で赤色の波長域の光を強める光共振構造29Rを有する。発光素子20Gは、反射層21と共通電極25との間で緑色の波長の光を強める光共振構造29Gを有する。発光素子20Bは、反射層21と共通電極25との間で青色の波長の光を強める光共振構造29Bを有する。
【0040】
光共振構造29における共振波長は、光学距離L0によって決まる。当該共振波長をλ0とするとき、次のような関係式[1]が成り立つ。なお、関係式[1]中のΦ(ラジアン)は、反射層21と共通電極25との間での透過および反射の際に生じる位相シフトの総和を表す。
{(2×L0)/λ0+Φ}/(2π)=m0(m0は整数)・・・・・[1]
取り出したい波長域の光のピーク波長が波長λ0となるよう、光学距離L0が設定される。この設定により、取り出したい所定の波長域の光が増強され、当該光の高強度化およびスペクトルの狭幅化を図ることができる。
【0041】
本実施形態では、前述のように、サブ画素PB、PGおよびPRごとに絶縁層22の厚さを異ならせることにより、光学距離L0が調整される。なお、光学距離L0の調整方法は、絶縁層22の厚さによる調整方法に限定されない。例えば、サブ画素PB、PGおよびPRごとに画素電極23の厚さを異ならせることにより、光学距離L0が調整されてもよい。
【0042】
複数の発光素子20上には、保護層4が配置される。保護層4は、複数の発光素子20を保護する。具体的には、保護層4は、複数の発光素子20を外部から保護するために、複数の発光素子20を封止している。保護層4は、ガスバリア性を有しており、例えば、各発光素子20を外部の水分または酸素等から保護する。保護層4が設けられていることで、保護層4が設けられていない場合に比べ、発光素子20の劣化を抑制することができる。このため、電気光学装置100の品質信頼性を高めることができる。なお、電気光学装置100がトップエミッション型であるため、保護層4は、光透過性を有する。
【0043】
保護層4は、第1層41と、第2層42と、第3層43とを有する。第1層41、第2層42および第3層43は、この順に発光素子層2から遠ざかる方向に向かって積層される。第1層41、第2層42および第3層43は、絶縁性を有する。第1層41および第3層43の各材料は、例えば、酸窒化シリコン(SiON)等の無機化合物である。第2層42は、第3層43に平坦な面を提供するための層である。第2層42の材料は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂、または無機化合物である。
【0044】
カラーフィルター5は、所定の波長域の光を選択的に透過させる。当該所定の波長域は、前述の光学距離L0によって決まるピーク波長λ0を含んでいる。カラーフィルター5を用いることで、カラーフィルター5を用いていない場合に比べ、各サブ画素P0から発せられる光の色純度を高めることができる。カラーフィルター5は、例えば、色材を含むアクリル系の感光性樹脂材料等の樹脂材料で構成される。当該色材は、顔料または染料である。カラーフィルター5は、例えば、スピンコート法、印刷法またはインクジェット法を用いて形成される。
【0045】
素子基板1上には、接着層70を介して透光性基板7が接合される。接着層70は、例えば、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等の樹脂材料を用いた透明な接着剤である。
【0046】
図5は、第1実施形態の発光素子層2の一部を示す概略平面図である。
図5に示すように、発光素子層2は、1つの発光素子20R、1つの発光素子20Gおよび2つの発光素子20Bを、画素Pごとに有する。本実施形態では、発光素子20Rは「第1発光素子」に相当し、発光素子20Gは「第2発光素子」に相当する。また、各画素Pに設けられる2つの発光素子20Bのうちの、発光素子20RのX1方向に位置する発光素子20Bが「第3発光素子」に相当し、発光素子20RのY2方向に位置する発光素子20Bが「第4発光素子」に相当する。
【0047】
発光素子20Rは、赤色の波長域を含む波長域の光が出射される発光領域ARを有する
。当該赤色の波長域は、580nmを超え、700nm以下である。発光素子20Gは、
緑色の波長域を含む波長域の光が出射される発光領域AGを有する。当該緑色の波長域は
、500nm以上、580nm以下である。発光素子20Bは、青色の波長域を含む波長
域の光が出射される発光領域ABを有する。当該青色の波長域は、具体的には400nm
以上、500nm未満である。
【0048】
本実施形態では、発光領域ARは「第1発光領域」に相当し、発光領域AGは「第2発光領域」に相当する。「第3発光素子」に相当する発光素子20Bが有する発光領域ABが「第3発光領域」に相当し、「第4発光素子」に相当する発光素子20Bが有する発光領域ABが「第4発光領域」に相当する。
【0049】
複数のサブ画素P0が行列状であるため、複数の発光領域Aは、行列状に配置される。また、前述のように、サブ画素P0の配列は、ベイヤー配列である。このため、発光領域Aの配列は、ベイヤー配列である。よって、1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび2つの発光領域ABが1組を構成し、当該2つの発光領域ABは、画素Pの配列方向に対して斜めに配置される。ベイヤー配列では、1つの画素Pにおいて、2行2列に発光素子20が配置される。
【0050】
具体的には、各画素Pにおいて、2つの発光領域ABは、X-Y平面においてX1方向およびY2方向に交差する方向に並んで配置される。また、各画素Pにおいて、発光領域AGは、発光領域ARに対してX1方向およびY2方向に交差する方向に配置される。また、
図5に示す例では、3つの発光領域ARおよび3つの発光領域ABが、X1方向に交互に並ぶ。また、3つの発光領域AGおよび3つの発光領域ABが、X1方向に交互に並ぶ。
【0051】
なお、図示の例は、発光領域Aの平面視での形状は、ほぼ四角形であるが、これに限定されず、例えば六角形であってもよい。発光領域AR、AGおよびABの平面視での形状は、互いに等しいが、互いに異なってもよい。発光領域AR、AGおよびABの平面視での面積は、互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。
【0052】
図6は、第1実施形態のカラーフィルター5の一部を示す概略平面図である。
図6に示すように、カラーフィルター5は、2種類のフィルターを有する。具体的には、カラーフィルター5は、複数のマゼンタフィルター50Mと、複数のシアンフィルター50Cとを有する。複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cは、互いに同一平面上に位置する。マゼンタフィルター50Mは、マゼンタの着色層である。シアンフィルター50Cは、シアンの着色層である。本実施形態では、マゼンタフィルター50Mは「第1フィルター」に相当し、シアンフィルター50Cは「第2フィルター」に相当する。
【0053】
複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cは、ストライプ状に交互に並んでいる。カラーフィルター5では、2種類の異なる色の長尺なフィルターが交互に並んでいる。図示の例では、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの各平面視での形状は、X1方向に延びた長尺状である。複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cは、Y2方向に交互に並ぶ。
【0054】
なお、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの平面視での面積は、互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。なお、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの平面視での形状は、互いに等しいが、互いに異なってもよい。
【0055】
図7は、第1実施形態の発光素子層2とカラーフィルター5との配置を示す概略平面図である。
図7に示すように、カラーフィルター5は、発光素子層2と平面視で重なる。
【0056】
マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cは、複数の発光領域Aの列方向であるY2方向に交互に並んでいる。マゼンタフィルター50Mは、発光領域Aの奇数行に配置され、シアンフィルター50Cは、発光領域Aの偶数行に配置される。なお、最もY1方向に存在する発光領域Aの行が1行目である。
【0057】
各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、対応する行に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図7に示す例では、各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、X1方向に交互に並ぶ3つの発光領域ARおよび3つの発光領域ABに重なる。同様に、各シアンフィルター50Cは、平面視で、対応する行に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図7に示す例では、各シアンフィルター50Cは、平面視で、X1方向に交互に並ぶ3つの発光領域AGおよび3つの発光領域ABに重なる。また、
図7では、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの各幅は、発光領域Aの幅よりも若干大きいが、等しくてもよい。なお、幅は、Y2方向に沿った長さである。
【0058】
また、別の見方をすると、各画素Pには、1つのマゼンタフィルター50Mと1つのシアンフィルター50Cが重なっている。つまり、各画素Pには、2種類のフィルターが配置される。各画素Pにおいて、発光領域ARは、平面視でマゼンタフィルター50Mに重なる。発光領域AGは、平面視でシアンフィルター50Cに重なる。発光領域ARに対してX1方向に位置する発光領域ABは、平面視でマゼンタフィルター50Mに重なる。発光領域ARに対してY2方向に位置する発光領域ABは、平面視でシアンフィルター50Cに重なる。
【0059】
図8は、マゼンタフィルター50Mの特性を説明するための図である。
図8には、発光素子層2の発光スペクトルSpと、マゼンタフィルター50Mの透過スペクトルTMとが図示される。発光スペクトルSpは、3色の発光素子20のスペクトルを足し合わせたものである。
【0060】
図8に示すように、マゼンタフィルター50Mは、赤色の波長域の光と青色の波長域の光を透過させ、かつ、緑色の波長域の光を遮る。すなわち、マゼンタフィルター50Mは、赤色の波長域の光と青色の波長域の光の各透過率に対し、緑色の波長域の光の透過率が低い。マゼンタフィルター50Mを透過する可視光の最大透過率の波長に対して、マゼンタフィルター50Mの緑色の波長域の光の透過率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは20%以下である。
【0061】
図9は、シアンフィルター50Cの特性を説明するための図である。
図9には、
図3に示す発光素子層2の発光スペクトルSpと、シアンフィルター50Cの透過スペクトルTCとが図示される。
【0062】
図9に示すように、シアンフィルター50Cは、緑色の波長域の光と青色の波長域の光を透過させ、かつ、赤色の波長域の光を遮る。すなわち、シアンフィルター50Cは、緑色の波長域の光と青色の波長域の光の各透過率に対し、赤色の波長域の光の透過率が低い。シアンフィルター50Cを透過する可視光の最大透過率の波長に対して、シアンフィルター50Cの赤色の波長域の光の透過率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは20%以下である。
【0063】
図10は、第1実施形態のカラーフィルター5の特性を説明するための図である。
図10では、説明の便宜上、マゼンタフィルター50Mの透過スペクトルTM、およびシアンフィルター50Cの透過スペクトルTCを簡略化して示す。
【0064】
図10に示すように、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの2種類のフィルターを用いることで、カラーフィルター5は、赤色、緑色および青色の波長域の光を透過させることができる。
【0065】
図11は、従来のカラーフィルター5xを有する電気光学装置100xを示す概略図である。従来の電気光学装置100xに関連する要素の符号に「x」を付す。
【0066】
電気光学装置100xが有するカラーフィルター5xは、サブ画素P0ごとに、発光素
子20xに対応するフィルターを有する。カラーフィルター5xは、赤色の波長域の光を
選択的に透過するフィルター50xRと、緑色の波長域の光を選択的に透過するフィルタ
ー50xGと、青色の波長域の光を選択的に透過するフィルター50xBと、を有する。
平面図は省略するが、フィルター50xRは平面視で発光素子20Rに重なり、フィルタ
ー50xGは平面視で発光素子20Gに重なり、フィルター50xBは平面視で発光素子
20Bに重なる。
【0067】
電気光学装置100xでは、発光素子20Bから発せられる青色の波長域の光LBは、フィルター50xBを透過する。なお、当該青色の波長域の光LBは、フィルター50xBに隣接するフィルター50xGおよびフィルター50xRによって遮られる。同様に、発光素子20Rから発せられる赤色の波長域の光LRは、フィルター50xRを透過する。なお、詳細な図示はしないが、当該赤色の波長域の光LRは、フィルター50xRに隣接するフィルター50xGおよびフィルター50xBによって遮られる。また、発光素子20Gから発せられる緑色の波長域の光LGは、フィルター50xGを透過する。なお、詳細な図示はしないが、当該緑色の波長域の光LGは、フィルター50xGに隣接するフィルター50xRおよびフィルター50xBによって遮られる。
【0068】
図12は、
図11の電気光学装置100xを小型化した場合の例を示す概略図である。
図11の電気光学装置100xの小型化を図るために、
図12に示すように、画素Pの幅W1を小さくすると、各サブ画素P0の幅も小さくなる。なお、カラーフィルター5xと各発光素子20xとの間の距離D0は変更していない。サブ画素P0の幅が小さくなることに伴って、各フィルター50xの幅も小さくなる。この結果、カラーフィルター5xを透過した光の広がり角が小さくなってしまう。具体的には、フィルター50xGを透過した光LGの広がり角、フィルター50xRを透過した光LRの広がり角、およびフィルター50xBを透過した光LBの広がり角のそれぞれは、小さくなってしまう。
【0069】
図13は、第1実施形態の電気光学装置100を示す概略図である。
図13に示すように、本実施形態では、3種類の発光素子20を有する発光素子層2に対して、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの2種類のフィルターを有するカラーフィルター5が配置される。カラーフィルター5が有するフィルターの種類数は、発光素子20の種類数よりも少ない。そして、マゼンタフィルター50Mは平面視で発光素子20Rおよび発光素子20Bに重なり、シアンフィルター50Cは平面視で発光素子20Gおよび発光素子20Bに重なる。
【0070】
前述のように、発光素子20Bから発せられる青色の波長域の光LBは、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cを透過する。よって、光LBは、カラーフィルター5により遮られることなくカラーフィルター5を透過する。
【0071】
また、発光素子20Rから発せられる赤色の波長域の光LRは、マゼンタフィルター50Mを透過する。また、マゼンタフィルター50Mは平面視で発光素子20Rおよび発光素子20Bに重なる。このため、
図13に示すように、発光素子20Rからの光LRは、当該発光素子20Rに隣接する発光素子20Bに対応するフィルター50xBで遮られずに済む。よって、マゼンタフィルター50Mを透過した光LRの広がり角を、従来のフィルター50xRを透過した光LRの広がり角よりも大きくすることができる。
【0072】
同様に、発光素子20Gから発せられる緑色の波長域の光LGは、シアンフィルター50Cを透過する。また、シアンフィルター50Cは平面視で発光素子20Gおよび発光素子20Bに重なる。このため、
図13に示すように、発光素子20Gからの光LGは、当該発光素子20Gに隣接する発光素子20Bに対応するフィルター50xBで遮られずに済む。よって、シアンフィルター50Cを透過した光LGの広がり角を、従来のフィルター50xGを透過した光LGの広がり角よりも大きくすることができる。
【0073】
以上説明した電気光学装置100は、前述のように、複数の発光素子20R、発光素子20Gおよび発光素子20Bを有する発光素子層2と、複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cを有するカラーフィルター5と、を備える。そして、
図7に示すように、複数のマゼンタフィルター50Mと複数のシアンフィルター50Cとは、Y2方向にストライプ状に交互に並ぶ。各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、X1方向に延びる長尺状であり、X1方向に1列に並ぶ3つの発光領域ARおよび3つの発光領域ABと重なる。同様に、各シアンフィルター50Cは、平面視で、X1方向に延びる長尺状であり、X1方向に1列に並ぶ3つの発光領域AGおよび3つの発光領域ABと重なる。
【0074】
よって、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、当該発光領域ARの直上だけでなく、当該発光領域ARからX1方向およびX2方向に広がってマゼンタフィルター50Mを透過する。また、発光領域AGからの緑の波長域の光は、当該発光領域AGの直上だけでなく、当該発光領域AGからX1方向およびX2方向に広がってシアンフィルター50Cを透過する。さらに、発光領域ABからの青色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5を透過する。
【0075】
したがって、電気光学装置100によれば、従来のように発光素子20からの光がフィルターで遮られることにより、光の広がり角が小さくなることが抑制される。それゆえ、サブ画素P0の幅が小さくなったりサブ画素P0の密度が高くなったりしても、視野角特性が低下するおそれを抑制することができる。また、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制されるので、サブ画素P0ごとの開口率の向上を図ることができる。
【0076】
また、電気光学装置100では、カラーフィルター5が有するフィルターの種類数は、発光素子20の種類数よりも少ない。フィルターの種類数は2種類であり、発光素子20の種類数は3種類である。2種類のフィルターが設けられることで、3種類のフィルターが設けられる場合に比べ、各フィルターの平面積を大きくすることができる。よって、3種類のフィルターが設けられる場合に比べ、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、画素Pごとに、発光領域ARを有する発光素子20Rと、発光
領域A
Gを有する発光素子20Gと、発光領域ABを有する2つの発光素子20Bが設け
られる。そして、発光領域AR、発光領域AGおよび2つの発光領域ABは、ベイヤー配
列である。
図7に示すように、1つの画素Pにおいて、2つの発光領域ABの一方は、平
面視でマゼンタフィルター50Mと重なり、他方は、平面視でシアンフィルター50Cと
重なる。また、発光領域ARは、平面視でマゼンタフィルター50Mと重なり、発光領域
AGは、平面視でシアンフィルター50Cと重なる。
【0078】
発光領域Aがベイヤー配列である場合に、マゼンタフィルター50Mとシアンフィルター50Cとがストライプ状に配置されることで、マゼンタフィルター50Mとシアンフィルター50Cとを効率よく配置することができる。よって、各色の光の広がり角を大きくすることができる。特に、赤色および緑色の各波長域の光のX1方向およびX2方向の視野角を広げることができる。また、マゼンタフィルター50Mとシアンフィルター50Cとがストライプ状に配置されることで、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの総数の低減を図ることができる。よって、設計および製造が容易である。
【0079】
また、マゼンタフィルター50Mが平面視で発光領域ARに重なることで、平面視で発光領域ARに対してずれて配置される場合に比べ、発光領域ARからの光を効率良くマゼンタフィルター50Mに入射させることができる。なお、発光領域ABおよび発光領域AGについても同様である。したがって、明るく、かつ視野角の広い電気光学装置100を実現することができる。
【0080】
また、本実施形態では、カラーフィルター5が有するマゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cのそれぞれは、最も短い波長域である青色の波長域の光を透過させる。例えば、発光素子20Bの構成上、発光素子20Bからの光の広がり角、または発光効率が、他の発光素子20に比べて劣る場合、青色の波長域の光を透過させる2種類のフィルターを用いることで、各波長域の光の強度の差を抑制することができる。また、発光素子層2では、各画素Pにおいて、青色の波長域の光を発する発光領域ABの総面積が最も大きい。例えば、発光素子20Bの寿命が他の発光素子20に比べて劣る場合、発光領域ABの総面積を最も大きくすることで、各波長域の光の強度の差を長期にわたって抑制することができる。
【0081】
また、発光素子20の配列がベイヤー配列であることで、各画素Pにおいて、3種類の発光素子20が2行2列で並ぶ。このため、例えば3種類の発光素子20が3行1列に並ぶストライプ配列、および後述のレクタングル配列に比べ、視野角特性を向上させることができる。特に、ベイヤー配列であることで、隣接するサブ画素P0の組み合わせにより、X1、X2、Y1およびY2方向での視野角特性の差を低減することができる。よって、発光素子20の配列がベイヤー配列である発光素子層2と、カラーフィルター5とを用いることで、様々な方向における視野角特性の低下を抑制することができる。
【0082】
また、前述のように、発光素子20R、発光素子20Gおよび発光素子20Bは、互いに異なる光共振構造29を有する。発光素子20Rは、赤色の波長域の光を強める光共振構造29Rを有し、発光素子20Gは、緑色の波長域の光を強める光共振構造29Gを有し、発光素子20Bは、青色の波長域の光を強める光共振構造29Bを有する。光共振構造29を備えることで、光の高強度化および光のスペクトルの狭幅化が図られる。かかる光共振構造29を備える発光素子20に対してカラーフィルター5を用いることで、色純度および視野角特性を高めることができる。
【0083】
1B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0084】
図14は、第2実施形態の発光素子層2Aとカラーフィルター5Aとの配置を示す概略平面図である。以下では、発光素子層2Aおよびカラーフィルター5Aについて、第1実施形態の発光素子層2およびカラーフィルター5と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は省略する。
【0085】
図14に示す発光素子層2Aは、1つの発光素子20R、1つの発光素子20Bおよび2つの発光素子20Gを、画素Pごとに有する。なお、図示はしないが、本実施形態では、各画素Pは、1つのサブ画素PR、1つのサブ画素PB、および2つのサブ画素PGを有する。
【0086】
本実施形態では、発光素子20Rは「第1発光素子」に相当し、発光素子20Bは「第2発光素子」に相当する。各画素Pに設けられる2つの発光素子20Gのうちの、発光素子20RのX1方向に位置する発光素子20Gが「第3発光素子」に相当し、発光素子20RのY2方向に位置する発光素子20Gが「第4発光素子」に相当する。また、発光領域ARは「第1発光領域」に相当し、発光領域ABは「第2発光領域」に相当する。「第3発光素子」に相当する発光素子20Gが有する発光領域AGが「第3発光領域」に相当し、「第4発光素子」に相当する発光素子20Gが有する発光領域AGが「第4発光領域」に相当する。また、赤色の波長域が「第1波長域」に相当し、青色の波長域が「第2波長域」に相当し、緑色の波長域が「第3波長域」に相当する。
【0087】
また、発光領域Aがベイヤー配列であるため、1つの発光領域AR、1つの発光領域ABおよび2つの発光領域AGが1組を構成し、当該2つの発光領域AGは、画素Pの配列方向に対して斜めに配置される。各画素Pにおいて、2つの発光領域AGは、X1方向およびY2方向に交差する方向に並んで配置される。各画素Pにおいて、発光領域ABは、発光領域ARに対してX1方向およびY2方向に交差する方向に配置される。
【0088】
カラーフィルター5Aは、複数のイエローフィルター50Yと、複数のシアンフィルター50Cとを有する。複数のイエローフィルター50Yおよび複数のシアンフィルター50Cは、互いに同一平面上に位置する。本実施形態では、イエローフィルター50Yは「第1フィルター」に相当し、シアンフィルター50Cは「第2フィルター」に相当する。イエローフィルター50Yは、イエローの着色層である。
【0089】
複数のイエローフィルター50Yおよび複数のシアンフィルター50Cは、ストライプ状に交互に並んでいる。イエローフィルター50Yおよびシアンフィルター50Cの各平面視での形状は、X1方向に延びた長尺状である。図示の例では、複数のイエローフィルター50Yおよび複数のシアンフィルター50Cは、複数の発光領域Aの列方向であるY2方向に交互に並んでいる。イエローフィルター50Yは、発光領域Aの奇数行に配置され、シアンフィルター50Cは、発光領域Aの偶数行に配置される。
【0090】
各イエローフィルター50Yは、平面視で、対応する行に存在する全ての発光領域Aと重なる。具体的には、各イエローフィルター50Yは、平面視で、X1方向に交互に並ぶ3つの発光領域ARおよび3つの発光領域AGに重なる。また、各シアンフィルター50Cは、平面視で、X1方向に交互に並ぶ3つの発光領域ABおよび3つの発光領域AGに重なる。また、
図14では、イエローフィルター50Yの各幅は、発光領域Aの幅よりも若干大きいが、等しくてもよい。
【0091】
また、別の見方をすると、各画素Pには、1つのイエローフィルター50Yおよび1つのシアンフィルター50Cが重なっている。各画素Pにおいて、発光領域ARは、平面視でイエローフィルター50Yに重なる。発光領域ABは、平面視でシアンフィルター50Cに重なる。2つの発光領域AGのうちの一方は、平面視でイエローフィルター50Yに重なり、他方は、平面視でシアンフィルター50Cに重なる。
【0092】
図15は、イエローフィルター50Yの特性を説明するための図である。
図15には、イエローフィルター50Yの透過スペクトルTYが図示される。
図15に示すように、イエローフィルター50Yは、赤色の波長域の光と緑色の波長域の光を透過させ、かつ、青色の波長域の光を遮る。すなわち、イエローフィルター50Yは、赤色の波長域の光と緑色の波長域の光の各透過率に対し、青色の波長域の光の透過率が低い。イエローフィルター50Yを透過する可視光の最大透過率の波長に対して、イエローフィルター50Yの青色の波長域の光の透過率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは20%以下である。
【0093】
図16は、第2実施形態のカラーフィルター5Aの特性を説明するための図である。
図16では、説明の便宜上、イエローフィルター50Yの透過スペクトルTY、およびシアンフィルター50Cの透過スペクトルTCを簡略化して示す。
図16に示すように、イエローフィルター50Yおよびシアンフィルター50Cの2種類のフィルターを用いることで、カラーフィルター5Aは、赤色、緑色および青色の波長域の光を透過させることができる。
【0094】
以上に説明したように、本実施形態では、複数のイエローフィルター50Yと複数のシアンフィルター50Cとは、ストライプ状に交互に並ぶ。
図14に示すように、各イエローフィルター50Yは、平面視で、X1方向に延びる長尺状であり、X1方向に1列に並ぶ複数の発光領域ARおよび複数の発光領域AGと重なる。各シアンフィルター50Cは、平面視で、X1方向に延びる長尺状であり、X1方向に1列に並ぶ複数の発光領域ABおよび複数の発光領域AGと重なる。
【0095】
よって、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、当該発光領域ARの直上だけでなく、当該発光領域ARからX1方向およびX2方向に広がってイエローフィルター50Yを透過する。発光領域ABからの青の波長域の光は、当該発光領域ABの直上だけでなく、当該発光領域ABからX1方向およびX2方向に広がってシアンフィルター50Cを透過する。さらに、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Aを透過する。
【0096】
したがって、本実施形態も第1実施形態と同様に、従来のように発光素子20からの光がフィルターで遮られることにより、光の広がり角が小さくなることが抑制される。それゆえ、サブ画素P0の幅が小さくなったりサブ画素P0の密度が高くなったりしても、視野角特性が低下するおそれを抑制することができる。また、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制されるので、サブ画素P0ごとの開口率の向上を図ることができる。
【0097】
また、発光領域Aの配列はベイヤー配列である。発光領域Aがベイヤー配列である場合に、イエローフィルター50Yとシアンフィルター50Cとがストライプ状に配置されることで、イエローフィルター50Yとシアンフィルター50Cとを効率よく配置することができる。よって、各色の光の広がり角を大きくすることができる。特に、赤色および青色の各波長域の光のX1方向およびX2方向の視野角を広げることができる。
【0098】
また、カラーフィルター5Aは、発光領域AGからの緑色の波長域の光を透過する2種類のフィルターを有する。さらに、発光素子層2Aでは、各画素Pにおいて発光領域AGの総面積が最も大きい。例えば、所望の色バランスに応じて、緑色の波長域の光を他の波長域の光より強度を高くしたい場合、発光素子層2Aおよびカラーフィルター5Aを用いることが有効である。
【0099】
以上の第2実施形態の発光素子層2Aおよびカラーフィルター5Aによっても、第1実施形態と同様に、視野角特性の向上を図ることができる。
【0100】
1C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0101】
図17は、第3実施形態の発光素子層2Bとカラーフィルター5Bとの配置を示す概略平面図である。以下では、発光素子層2Bおよびカラーフィルター5Bについて、第1実施形態の発光素子層2およびカラーフィルター5と異なる事項を説明し、同様の事項の説明は省略する。
【0102】
図17に示す発光素子層2Bは、1つの発光素子20G、1つの発光素子20Bおよび2つの発光素子20Rを、画素Pごとに有する。なお、図示はしないが、本実施形態では、各画素Pは、1つのサブ画素PG、1つのサブ画素PB、および2つのサブ画素PRを有する。
【0103】
本実施形態では、発光素子20Gは「第1発光素子」に相当し、発光素子20Bは「第2発光素子」に相当する。各画素Pに設けられる2つの発光素子20Rのうちの、発光素子20GのX1方向に位置する発光素子20Rが「第3発光素子」に相当し、発光素子20GのY2方向に位置する発光素子20Rが「第4発光素子」に相当する。また、発光領域AGは「第1発光領域」に相当し、発光領域ABは「第2発光領域」に相当する。「第3発光素子」に相当する発光素子20Rが有する発光領域ARが「第3発光領域」に相当し、「第4発光素子」に相当する発光素子20Rが有する発光領域ARが「第4発光領域」に相当する。また、緑色の波長域が「第1波長域」に相当し、青色の波長域が「第2波長域」に相当し、赤色の波長域が「第3波長域」に相当する。
【0104】
また、発光領域Aがベイヤー配列であるため、1つの発光領域AG、1つの発光領域ABおよび2つの発光領域ARが1組を構成し、当該2つの発光領域ARは、画素Pの配列方向に対して斜めに配置される。各画素Pにおいて、2つの発光領域ARは、X1方向およびY2方向に交差する方向に並んで配置される。各画素Pにおいて、発光領域ABは、発光領域AGに対してX1方向およびY2方向に交差する方向に配置される。
【0105】
カラーフィルター5Bは、複数のイエローフィルター50Yと、複数のマゼンタフィルター50Mとを有する。複数のイエローフィルター50Yおよび複数のマゼンタフィルター50Mは、互いに同一平面上に位置する。本実施形態では、イエローフィルター50Yは「第1フィルター」に相当し、マゼンタフィルター50Mは「第2フィルター」に相当する。イエローフィルター50Yは、イエローの着色層である。
【0106】
複数のイエローフィルター50Yおよび複数のマゼンタフィルター50Mは、ストライプ状に交互に並んでいる。イエローフィルター50Yおよびマゼンタフィルター50Mの各平面視での形状は、X1方向に延びた長尺状である。図示の例では、複数のイエローフィルター50Yおよび複数のマゼンタフィルター50Mは、複数の発光領域Aの列方向であるY2方向に交互に並んでいる。イエローフィルター50Yは、発光領域Aの奇数行に配置され、マゼンタフィルター50Mは、発光領域Aの偶数行に配置される。
【0107】
各イエローフィルター50Yは、平面視で、対応する行に存在する全ての発光領域Aと重なる。具体的には、各イエローフィルター50Yは、平面視で、X1方向に交互に並ぶ3つの発光領域AGおよび3つの発光領域ARに重なる。また、各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、X1方向に交互に並ぶ3つの発光領域ABおよび3つの発光領域ARに重なる。また、
図17では、イエローフィルター50Yの各幅は、発光領域Aの幅よりも若干大きいが、等しくてもよい。
【0108】
また、別の見方をすると、各画素Pには、1つのイエローフィルター50Yと1つマゼンタフィルター50Mが重なっている。各画素Pにおいて、発光領域AGは、平面視でイエローフィルター50Yに重なる。発光領域ABは、平面視でマゼンタフィルター50Mに重なる。2つの発光領域ARのうちの一方は、平面視でイエローフィルター50Yに重なる。他方は、平面視でマゼンタフィルター50Mに重なる。
【0109】
図18は、第3実施形態のカラーフィルター5Bの特性を説明するための図である。
図18では、説明の便宜上、イエローフィルター50Yの透過スペクトルTY、およびマゼンタフィルター50Mの透過スペクトルTMを簡略化して示す。なお、イエローフィルター50Yの特性は、
図15に示す。
【0110】
図18に示すように、イエローフィルター50Yおよびマゼンタフィルター50Mの2種類のフィルターを用いることで、カラーフィルター5Bは、赤色、緑色および青色の波長域の光を透過させることができる。
【0111】
以上に説明したように、本実施形態では、複数のイエローフィルター50Yと複数のマゼンタフィルター50Mとは、ストライプ状に交互に並ぶ。
図17に示すように、各イエローフィルター50Yは、平面視で、X1方向に延びる長尺状であり、X1方向に1列に並ぶ複数の発光領域AGおよび複数の発光領域ARと重なる。各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、X1方向に延びる長尺状であり、X1方向に1列に並ぶ複数の発光領域ABおよび複数の発光領域ARと重なる。
【0112】
よって、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、当該発光領域AGの直上だけでなく、当該発光領域AGからX1方向およびX2方向に広がってイエローフィルター50Yを透過する。発光領域ABからの青の波長域の光は、当該発光領域ABの直上だけでなく、当該発光領域ABからX1方向およびX2方向に広がってマゼンタフィルター50Mを透過する。さらに、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Bを透過する。
【0113】
したがって、本実施形態も第1実施形態と同様に、従来のように発光素子20からの光がフィルターで遮られることにより、光の広がり角が小さくなることが抑制される。それゆえ、サブ画素P0の幅が小さくなったりサブ画素P0の密度が高くなったりしても、視野角特性が低下するおそれを抑制することができる。また、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制されるので、サブ画素P0ごとの開口率の向上を図ることができる。
【0114】
また、発光領域Aの配列はベイヤー配列である。発光領域Aがベイヤー配列である場合に、イエローフィルター50Yとマゼンタフィルター50Mとがストライプ状に配置されることで、イエローフィルター50Yとマゼンタフィルター50Mとを効率よく配置することができる。よって、各色の光の広がり角を大きくすることができる。特に、緑色および青色の各波長域の光のX1方向およびX2方向の視野角を広げることができる。
【0115】
また、カラーフィルター5Bは、発光領域ARからの赤色の波長域の光を透過する2種類のフィルターを有する。さらに、前述のように、発光素子層2Bでは、各画素Pにおいて発光領域ARの総面積が最も大きい。例えば、所望の色バランスに応じて、赤色の波長域の光を他の波長域の光より強度を高くしたい場合、発光素子層2Bおよびカラーフィルター5Bを用いることが有効である。
【0116】
以上の第3実施形態の発光素子層2Bおよびカラーフィルター5Bによっても、第1実施形態と同様に、視野角特性の向上を図ることができる。
【0117】
1D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0118】
図19は、第4実施形態のカラーフィルター5Cの一部を示す概略平面図である。
図19に示すカラーフィルター5Cが有するマゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの各平面視での形状は、Y2方向に延びた長尺状である。本実施形態では、複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cは、X1方向に交互に並ぶ。
【0119】
図20は、第4実施形態の発光素子層2とカラーフィルター5Cとの配置を示す概略平面図である。本実施形態では、各画素Pに設けられる2つの発光素子20Bのうちの、発光素子20RのY2方向に位置する発光素子20Bが「第3発光素子」に相当し、発光素子20RのX1方向に位置する発光素子20Bが「第4発光素子」に相当する。
【0120】
図20に示すように、複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cは、複数の発光領域Aの行方向であるX1方向に交互に並んでいる。マゼンタフィルター50Mは、発光領域Aの奇数列に配置され、シアンフィルター50Cは、発光領域Aの偶数列に配置される。なお、最もX2方向に存在する発光領域Aの列が1列目である。
【0121】
各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、対応する列に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図20に示す例では、各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、Y2方向に交互に並ぶ3つの発光領域ARおよび3つの発光領域ABに重なる。同様に、各シアンフィルター50Cは、平面視で、対応する列に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図20に示す例では、各シアンフィルター50Cは、平面視で、Y2方向に交互に並ぶ3つの発光領域AGおよび3つの発光領域ABに重なる。本実施形態では、発光領域ARに対してY2方向に位置する発光領域ABが平面視でマゼンタフィルター50Mに重なる。発光領域ARに対してX1方向に位置する発光領域ABが平面視でシアンフィルター50Cに重なる。
【0122】
カラーフィルター5Cを用いた場合、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、発光領域ARからY1方向およびY2方向に広がってマゼンタフィルター50Mを透過する。また、発光領域AGからの緑の波長域の光は、発光領域AGからY1方向およびY2方向に広がってシアンフィルター50Cを透過する。さらに、発光領域ABからの青色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Cを透過する。
【0123】
以上の第4実施形態のカラーフィルター5Cおよび発光素子層2を用いることで、第1実施形態と同様に、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制される。よって、視野角特性の向上、およびサブ画素P0ごとの開口率の向上を図ることができる。
【0124】
また、本実施形態は、第1実施形態に比べ、Y1方向およびY2方向の視野角特性に優れる。よって、Y1方向およびY2方向の視野角特性を特に必要とする機器に用いることが有効である。使用目的に応じて、最適な形態を選択することが望ましい。
【0125】
1E.第5実施形態
第5実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第2実施形態と同様である要素については、第2実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0126】
図21は、第5実施形態の発光素子層2Aとカラーフィルター5Dとの配置を示す概略
平面図である。本実施形態では、各画素Pに設けられる2つの発光素子20
Gのうちの、
発光素子20RのY2方向に位置する発光素子20Gが「第3発光素子」に相当し、発光
素子20RのX1方向に位置する発光素子20Gが「第4発光素子」に相当する。
【0127】
図21に示すカラーフィルター5Dが有するイエローフィルター50Yおよびシアンフィルター50Cの各平面視での形状は、Y2方向に延びた長尺状である。本実施形態では、複数のイエローフィルター50Yおよび複数のシアンフィルター50Cは、複数の発光領域Aの行方向であるX1方向に交互に並んでいる。イエローフィルター50Yは、発光領域Aの奇数列に配置され、シアンフィルター50Cは、発光領域Aの偶数列に配置される。なお、最もX2方向に存在する発光領域Aの列が1列目である。
【0128】
各イエローフィルター50Yは、平面視で、対応する列に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図21に示す例では、各イエローフィルター50Yは、平面視で、Y2方向に交互に並ぶ3つの発光領域ARおよび3つの発光領域AGに重なる。同様に、各シアンフィルター50Cは、平面視で、対応する列に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図21に示す例では、各シアンフィルター50Cは、平面視で、Y2方向に交互に並ぶ3つの発光領域ABおよび3つの発光領域AGに重なる。本実施形態では、発光領域ARに対してY2方向に位置する発光領域AGが平面視でイエローフィルター50Yに重なる。発光領域ARに対してX1方向に位置する発光領域AGが平面視でシアンフィルター50Cに重なる。
【0129】
カラーフィルター5Dを用いた場合、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、発光領域ARからY1方向およびY2方向に広がってイエローフィルター50Yを透過する。また、発光領域ABからの青の波長域の光は、発光領域ABからY1方向およびY2方向に広がってシアンフィルター50Cを透過する。さらに、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Dを透過する。
【0130】
以上の第5実施形態のカラーフィルター5Dおよび発光素子層2Aを用いることで、第2実施形態と同様に、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制される。よって、視野角特性の向上、およびサブ画素P0ごとの開口率の向上を図ることができる。
【0131】
また、本実施形態は、第2実施形態に比べ、Y1方向およびY2方向の視野角特性に優れる。よって、Y1方向およびY2方向の視野角特性を特に必要とする機器に用いることが有効である。使用目的に応じて、最適な形態を選択することが望ましい。
【0132】
1F.第6実施形態
第6実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第3実施形態と同様である要素については、第3実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0133】
図22は、第6実施形態の発光素子層2Bとカラーフィルター5Eとの配置を示す概略平面図である。本実施形態では、各画素Pに設けられる2つの発光素子20Rのうちの、発光素子20GのY2方向に位置する発光素子20Rが「第3発光素子」に相当し、発光素子20GのX1方向に位置する発光素子20Rが「第4発光素子」に相当する。
【0134】
図22に示すカラーフィルター5Eが有するイエローフィルター50Yおよびマゼンタフィルター50Mの各平面視での形状は、Y2方向に延びた長尺状である。本実施形態では、複数のイエローフィルター50Yおよび複数のマゼンタフィルター50Mは、複数の発光領域Aの行方向であるX1方向に交互に並んでいる。イエローフィルター50Yは、発光領域Aの奇数列に配置され、マゼンタフィルター50Mは、発光領域Aの偶数列に配置される。なお、最もX2方向に存在する発光領域Aの列が1列目である。
【0135】
各イエローフィルター50Yは、平面視で、対応する列に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図22に示す例では、各イエローフィルター50Yは、平面視で、Y2方向に交互に並ぶ3つの発光領域AGおよび3つの発光領域ARに重なる。同様に、各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、対応する列に存在する全ての発光領域Aと重なる。
図22に示す例では、各マゼンタフィルター50Mは、平面視で、Y2方向に交互に並ぶ3つの発光領域ARおよび3つの発光領域ABに重なる。本実施形態では、発光領域AGに対してY2方向に位置する発光領域ARが平面視でイエローフィルター50Yに重なる。発光領域AGに対してX1方向に位置する発光領域ARが平面視でマゼンタフィルター50Mに重なる。
【0136】
カラーフィルター5Eを用いた場合、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、発光領域AGからY1方向およびY2方向に広がってイエローフィルター50Yを透過する。また、発光領域ABからの青の波長域の光は、発光領域ABからY1方向およびY2方向に広がってマゼンタフィルター50Mを透過する。さらに、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Eを透過する。
【0137】
以上の第6実施形態のカラーフィルター5Eおよび発光素子層2Bを用いることで、第3実施形態と同様に、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制される。よって、視野角特性の向上、およびサブ画素P0ごとの開口率の向上を図ることができる。
【0138】
また、本実施形態は、第3実施形態に比べ、Y1方向およびY2方向の視野角特性に優れる。よって、Y1方向およびY2方向の視野角特性を特に必要とする機器に用いることが有効である。使用目的に応じて、最適な形態を選択することが望ましい。
【0139】
1G.第7実施形態
第7実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0140】
図23は、第7
実施形態の発光素子層2Fの一部を示す概略平面図である。本実施形態
では、発光素子層2Fは、第1実施形態の発光素子層2と異なる点を有する。以下では、
発光素子層2Fについては、第1実施形態の発光素子層2と異なる事項を説明し、同様の
事項の説明は省略する。
【0141】
なお、本実施形態では、図示はしないが、サブ画素P0の配列は、レクタングル配列である。レクタングル配列は、1つのサブ画素PR、1つのサブ画素PGおよび1つのサブ画素PBを1つの画素Pとする配列であって、ストライプ配列とは異なる。レクタングル配列が有する3つのサブ画素P0が並ぶ方向は、一方向でない。
【0142】
図23に示すように、発光素子層2Fは、1つの発光素子20R、1つの発光素子20Gおよび1つの発光素子20Bを、画素Pごとに有する。発光領域Aの配列は、レクタングル配列である。よって、1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび1つの発光領域ABが1組を構成する。さらに、発光領域ARと発光領域AGとの並ぶ方向は、発光領域ARと発光領域ABとの並ぶ方向、および発光領域AGと発光領域ABとの並ぶ方向と異なる。発光領域ARと発光領域ABとの並ぶ方向と、発光領域AGと発光領域ABとの並ぶ方向とは同じであり、図示の例ではX1方向である。発光領域ARと発光領域AGとの並ぶ方向は、Y2方向である。
【0143】
また、本実施形態では、3つの発光領域Aのうちの発光領域ABの面積が最も大きい。発光領域ABは矩形であり、発光領域ARおよび発光領域AGのそれぞれは正方形である。Y2方向において、発光領域ABは、発光領域ARおよびAGより幅広である。なお、発光領域ARおよびAGの平面視での面積は、互いに等しいが、異なっていてもよい。また、複数の発光領域ARおよび複数の発光領域AGは、Y2方向に並ぶ。同様に、複数の発光領域ABは、Y2方向に並ぶ。複数の発光領域ARおよび複数の発光領域AGの並ぶ列と、複数の発光領域ABの並ぶ列とは、X1方向に交互に配置される。また、本実施形態の各画素Pが有する1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび1つの発光領域ABは、第1実施形態のサブ画素P0の2行2列内に収まっているといえる。各画素Pにおいて、本実施形態の発光領域ABの平面視での面積は、第1実施形態の2つの発光領域ABの平面視での面積の合計以上である。
【0144】
図24は、第7実施形態の発光素子層2Fとカラーフィルター5との配置を示す概略平面図である。
図24に示すように、発光領域ARは、平面視で、マゼンタフィルター50Mと重なる。発光領域AGは、平面視で、シアンフィルター50Cと重なる。発光領域ABは、平面視で、マゼンタフィルター50Mと重なる部分と、シアンフィルター50Cと重なる部分とを有する。よって、発光領域ABは、マゼンタフィルター50Mおよびシアンフィルター50Cの両方と重なる。
【0145】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、発光領域ARからX1方向およびX2方向に広がってマゼンタフィルター50Mを透過する。また、発光領域AGからの緑の波長域の光は、発光領域AGからX1方向およびX2方向に広がってシアンフィルター50Cを透過する。さらに、発光領域ABからの青色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5を透過する。
【0146】
したがって、発光素子層2Fおよびカラーフィルター5を用いることで、第1実施形態と同様に、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制される。よって、サブ画素P0ごとの開口率の向上、および視野角特性の向上を図ることができる。
【0147】
また、本実施形態では、前述のように、発光領域AR、AGおよびABの配列は、レクタングル配列であり、発光領域ABの平面積が最も大きい。そして、複数のマゼンタフィルター50Mおよび複数のシアンフィルター50Cは、発光領域ARおよび発光領域AGが並ぶ方向にストライプ状に並んでいる。発光領域Aがレクタングル配列である場合に、複数のマゼンタフィルター50Mと複数のシアンフィルター50Cとがストライプ状に配置されることで、マゼンタフィルター50Mとシアンフィルター50Cとを効率よく配置することができる。よって、各色の光の広がり角を大きくすることができる。また、2種類のフィルターがストライプ状に配置されることで、3種類のサブ画素P0ごとにフィルターが配置される場合に比べ、より広い面積で各フィルターと発光素子層2Fとを密着させることができる。このため、設計および製造が容易である。
【0148】
また、前述のように、第1実施形態のベイヤー配列では、各画素Pには4つの発光素子20が設けられる。これに対し、レクタングル配列では、各画素Pには3つの発光素子20が設けられる。よって、レクタングル配列であることでベイヤー配列である場合に比べ、発光素子20の数を減らすことができる。このため、発光領域ABの平面積を大きくすることができる。よって、発光領域ABの開口率の向上を図ることができる。
【0149】
以上の第7実施形態の発光素子層2Fおよびカラーフィルター5によっても視野角特性の向上を図ることができる。
【0150】
1H.第8実施形態
第8実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第2実施形態と同様である要素については、第2実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0151】
図25は、第8実施形態の発光素子層2Gとカラーフィルター5Aとの配置を示す概略平面図である。以下では、発光素子層2Gについて、第2実施形態の発光素子層2Aと異なる事項を説明し、同様の事項の説明は省略する。なお、本実施形態では、図示はしないが、サブ画素P0の配列は、レクタングル配列である。
【0152】
図25に示すように、発光素子層2Gは、1つの発光素子20R、1つの発光素子20Gおよび1つの発光素子20Bを、画素Pごとに有する。発光領域Aの配列は、レクタングル配列である。よって、1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび1つの発光領域ABが1組を構成する。さらに、発光素子層2Gでは、発光領域ARと発光領域ABとの並ぶ方向は、発光領域ARと発光領域AGとの並ぶ方向、および発光領域ABと発光領域AGとの並ぶ方向と異なる。発光領域ARと発光領域AGとの並ぶ方向と、発光領域ABと発光領域AGとの並ぶ方向とは同じであり、図示の例ではX1方向である。発光領域ARと発光領域ABとの並ぶ方向は、Y2方向である。
【0153】
また、本実施形態では、3つの発光領域Aのうちの発光領域AGの面積が最も大きい。発光領域AGは矩形であり、発光領域ARおよび発光領域ABのそれぞれは正方形である。Y2方向において、発光領域AGは、発光領域ARおよびABより幅広である。なお、発光領域ARおよびABの平面視での面積は、互いに等しいが、異なっていてもよい。また、複数の発光領域ARおよび複数の発光領域ABは、Y2方向に並ぶ。同様に、複数の発光領域AGは、Y2方向に並ぶ。複数の発光領域ARおよび複数の発光領域ABの並ぶ列と、複数の発光領域AGの並ぶ列とは、X1方向に交互に配置される。また、本実施形態の各画素Pが有する1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび1つの発光領域ABは、第1実施形態のサブ画素P0の2行2列内に収まっているといえる。各画素Pにおいて、本実施形態の発光領域AGの平面視での面積は、第2実施形態の2つの発光領域AGの平面視での面積の合計以上である。
【0154】
発光領域ARは、平面視で、イエローフィルター50Yと重なる。発光領域AGは、平
面視で、シアンフィルター50Cと重なる。発光領域AGは、平面視で、イエローフィル
ター50Yと重なる部分と、シアンフィルター50Cと重なる部分とを有する。よって、
発光領域ABは、イエローフィルター50Yおよびシアンフィルター50Cの両方と重な
る。
【0155】
本実施形態においても第2実施形態と同様に、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、X1方向およびX2方向に広がってイエローフィルター50Yを透過する。また、発光領域ABからの青色の波長域の光は、X1方向およびX2方向に広がってシアンフィルター50Cを透過する。さらに、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、イエローフィルター50Yおよびシアンフィルター50Cを透過する。このため、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Aを透過する。
【0156】
したがって、発光素子層2Gおよびカラーフィルター5Aを用いることで、第2実施形態と同様に、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制される。よって、サブ画素P0ごとの開口率の向上、および視野角特性の向上を図ることができる。
【0157】
また、本実施形態では、前述のように、発光領域AR、AGおよびABの配列は、レクタングル配列であり、発光領域AGの平面積が最も大きい。そして、複数のイエローフィルター50Yよび複数のシアンフィルター50Cは、発光領域ARおよび発光領域ABが並ぶ方向にストライプ状に並んでいる。発光領域Aがレクタング配列である場合に、複数のイエローフィルター50Yと複数のシアンフィルター50Cとがストライプ状に配置されることで、イエローフィルター50Yとシアンフィルター50Cとを効率よく配置することができる。よって、各色の光の広がり角を大きくすることができる。また、2種類のフィルターがストライプ状に配置されることで、3種類のサブ画素P0ごとにフィルターが配置される場合に比べ、より広い面積で各フィルターと発光素子層2Gとを密着させることができる。このため、設計および製造が容易である。
【0158】
また、前述のように、第2実施形態のベイヤー配列では、各画素Pには4つの発光素子20が設けられる。これに対し、レクタングル配列では、各画素Pには3つの発光素子20が設けられる。よって、レクタングル配列であることでベイヤー配列である場合に比べ、発光素子20の数を減らすことができる。このため、発光領域AGの平面積を大きくすることができる。よって、発光領域AGの開口率の向上を図ることができる。
【0159】
以上の第8実施形態の発光素子層2Gおよびカラーフィルター5Aによっても視野角特
性の向上を図ることができる。
【0160】
1I.第9実施形態
第9実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第3実施形態と同様であ
る要素については、第3実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適
宜に省略する。
【0161】
図26は、第
9実施形態の発光素子層2Hとカラーフィルター5Bとの配置を示す概略
平面図である。以下では、発光素子層2Hについて、第3実施形態の発光素子層2Bと異
なる事項を説明し、同様の事項の説明は省略する。なお、本実施形態では、図示はしない
が、サブ画素P0の配列は、レクタングル配列である。
【0162】
図26に示すように、発光素子層2Gは、1つの発光素子20R、1つの発光素子20Gおよび1つの発光素子20Bを、画素Pごとに有する。発光領域Aの配列は、レクタングル配列である。よって、1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび1つの発光領域ABが1組を構成する。さらに、発光素子層2Hでは、発光領域AGと発光領域ABとの並ぶ方向は、発光領域AGと発光領域ARとの並ぶ方向、および発光領域ABと発光領域ARとの並ぶ方向と異なる。発光領域AGと発光領域ARとの並ぶ方向と、発光領域ABと発光領域ARとの並ぶ方向とは同じであり、図示の例ではX1方向である。発光領域AGと発光領域ABとの並ぶ方向は、Y2方向である。
【0163】
また、本実施形態では、3つの発光領域Aのうちの発光領域ARの面積が最も大きい。発光領域ARは矩形であり、発光領域AGおよび発光領域ABのそれぞれは正方形である。Y2方向において、発光領域ARは、発光領域AGおよびABより幅広である。なお、発光領域AGおよびABの平面視での面積は、互いに等しいが、異なっていてもよい。また、複数の発光領域AGおよび複数の発光領域ABは、Y2方向に並ぶ。同様に、複数の発光領域ARは、Y2方向に並ぶ。複数の発光領域AGおよび複数の発光領域ABの並ぶ列と、複数の発光領域ARの並ぶ列とは、X1方向に交互に配置される。また、本実施形態の各画素Pが有する1つの発光領域AR、1つの発光領域AGおよび1つの発光領域ABは、第1実施形態のサブ画素P0の2行2列内に収まっているといえる。各画素Pにおいて、本実施形態の発光領域ARの平面視での面積は、第3実施形態の2つの発光領域ARの平面視での面積の合計以上である。
【0164】
発光領域AGは、平面視で、イエローフィルター50Yと重なる。発光領域ABは、平面視で、マゼンタフィルター50Mと重なる。発光領域ARは、平面視で、イエローフィルター50Yと重なる部分と、マゼンタフィルター50Mと重なる部分とを有する。よって、発光領域ARは、イエローフィルター50Yおよびマゼンタフィルター50Mの両方と重なる。
【0165】
本実施形態においても第3実施形態と同様に、発光領域AGからの緑色の波長域の光は、X1方向およびX2方向に広がってイエローフィルター50Yを透過する。また、発光領域ABからの青色の波長域の光は、X1方向およびX2方向に広がってマゼンタフィルター50Mを透過する。さらに、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、イエローフィルター50Yおよびマゼンタフィルター50Mを透過する。このため、発光領域ARからの赤色の波長域の光は、フィルターに遮られることなく、カラーフィルター5Bを透過する。
【0166】
したがって、発光素子層2Hおよびカラーフィルター5Bを用いることで、第3実施形態と同様に、各発光素子20からの光がフィルターで遮られることが抑制される。よって、サブ画素P0ごとの開口率の向上、および視野角特性の向上を図ることができる。
【0167】
また、本実施形態では、前述のように、発光領域AR、AGおよびABの配列は、レクタングル配列であり、発光領域ARの平面積が最も大きい。そして、複数のイエローフィルター50Yよび複数のマゼンタフィルター50Mは、発光領域AGおよび発光領域ABが並ぶ方向にストライプ状に並んでいる。発光領域Aがレクタング配列である場合に、複数のイエローフィルター50Yと複数のマゼンタフィルター50Mとがストライプ状に配置されることで、イエローフィルター50Yとマゼンタフィルター50Mとを効率よく配置することができる。よって、各色の光の広がり角を大きくすることができる。また、2種類のフィルターがストライプ状に配置されることで、3種類のサブ画素P0ごとにフィルターが配置される場合に比べ、より広い面積で各フィルターと発光素子層2Hとを密着させることができる。このため、設計および製造が容易である。
【0168】
また、前述のように、第3実施形態のベイヤー配列では、各画素Pには4つの発光素子20が設けられる。これに対し、レクタングル配列では、各画素Pには3つの発光素子20が設けられる。よって、レクタングル配列であることでベイヤー配列である場合に比べ、発光素子20の数を減らすことができる。このため、発光領域ARの平面積を大きくすることができる。よって、発光領域ARの開口率の向上を図ることができる。
【0169】
以上の第9実施形態の発光素子層2Hおよびカラーフィルター5Bによっても視野角特
性の向上を図ることができる。
【0170】
1J.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0171】
各実施形態では、発光素子20は、色ごとに異なる共振波長を有する光共振構造29を備えるが、光共振構造29を備えなくてもよい。また、発光素子層2は、例えば、有機層24を、発光素子20ごとに仕切る隔壁を備えてもよい。また、発光素子20は、サブ画素P0ごとに異なる発光材料を含んでもよい。また、画素電極23は、光反射性を有してもよい。その場合、反射層21は省略してもよい。また、複数の発光素子20で共通電極25は共通であるが、発光素子20ごとに個別の陰極が設けられてもよい。
【0172】
第1実施形態では、カラーフィルター5が有するフィルター同士は互いに接触するように配置されるが、カラーフィルター5が有するフィルター同士の間には、いわゆるブラックマトリックスが介在していてもよい。また、カラーフィルター5が有するフィルター同士は互いに重なる部分を有してもよい。なお、他の実施形態においても同様である。
【0173】
発光領域Aの配列は、ベイヤー配列およびレクタングル配列に限定されず、例えばデルタ配列、ストライプ配列であってもよい。
【0174】
「電気光学装置」は、有機EL装置に限定されず、無機材料を用いた無機EL装置、またはμLED装置であってもよい。
【0175】
複数の画素Pの行方向と列方向とは、互いに直交しておらず、90°未満で交差していてもよい。
【0176】
2.電子機器
前述の実施形態の電気光学装置100は、各種の電子機器に適用することができる。
【0177】
2-1.ヘッドマウントディスプレイ
図27は、電子機器の一例である虚像表示装置700の一部を模式的に示す平面図である。
図27に示す虚像表示装置700は、観察者の頭部に装着されて画像の表示を行うヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。虚像表示装置700は、前述した電気光学装置100と、コリメーター71と、導光体72と、第1反射型体積ホログラム73と、第2反射型体積ホログラム74と、制御部79と、を備える。なお、電気光学装置100から発せられる光は、映像光LLとして出射される。
【0178】
制御部79は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。コリメーター71は、電気光学装置100と導光体72との間に配置される。コリメーター71は、電気光学装置100から出射された光を平行光にする。コリメーター71は、コリメーターレンズ等で構成される。コリメーター71で平行光に変換された光は、導光体72に入射する。
【0179】
導光体72は、平板状をなし、コリメーター71を介して入射する光の方向と交差する
方向に延在して配置される。導光体72は、その内部で光を反射して導光する。導光体7
2のコリメーター71と対向する面721には、光が入射する光入射口と、光を出射する
光出射口が設けられる。導光体72の面721とは反対の面722には、回折光学素子と
しての第1反射型体積ホログラム73および回折光学素子としての第2反射型体積ホログ
ラム74が配置される。第2反射型体積ホログラム74は、第1反射型体積ホログラム7
3よりも光出射口側に設けられる。第1反射型体積ホログラム73および第2反射型体積
ホログラム74は、所定の波長域に対応する干渉縞を有し、所定の波長域の光を回折反射
させる。
【0180】
かかる構成の虚像表示装置700では、光入射口から導光体72内に入射した映像光LLが、反射を繰り返して進み、光出射口から観察者の瞳EYに導かれることで、映像光LLにより形成された虚像で構成される画像を観察者が観察することができる。
【0181】
虚像表示装置700は、前述の電気光学装置100を備える。前述の電気光学装置100は視野角特性に優れており、品質が良好である。このため、電気光学装置100を備えることで、表示品質の高い虚像表示装置700を提供することができる。
【0182】
2-2.パーソナルコンピューター
図28は、本発明の電子機器の一例であるパーソナルコンピューター400を示す斜視図である。
図28に示すパーソナルコンピューター400は、電気光学装置100と、電源スイッチ401およびキーボード402が設けられた本体部403と、制御部409とを備える。制御部409は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。パーソナルコンピューター400は、前述の電気光学装置100は視野角特性に優れており、品質が良好である。このため、電気光学装置100を備えることで、表示品質の高いパーソナルコンピューター400を提供することができる。
【0183】
なお、電気光学装置100を備える「電子機器」としては、
図27に例示した虚像表示装置700および
図28に例示したパーソナルコンピューター400の他、デジタルスコープ、デジタル双眼鏡、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなど眼に近接して配置する機器が挙げられる。また、電気光学装置100を備える「電子機器」は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、カーナビゲーション装置、および車載用の表示部として適用される。さらに、電気光学装置100を備える「電子機器」は、光を照らす照明として適用される。
【0184】
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0185】
1…素子基板、2…発光素子層、4…保護層、5…カラーフィルター、7…透光性基板、10…基板、13…走査線、14…データ線、15…給電線、16…給電線、20…発光素子、21…反射層、22…絶縁層、23…画素電極、24…有機層、25…共通電極、29…光共振構造、30…画素回路、31…スイッチング用トランジスター、32…駆動用トランジスター、33…保持容量、41…第1層、42…第2層、43…第3層、50C…シアンフィルター、50M…マゼンタフィルター、50Y…イエローフィルター、70…接着層、71…コリメーター、72…導光体、73…第1反射型体積ホログラム、74…第2反射型体積ホログラム、79…制御部、100…電気光学装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…制御回路、104…外部端子、210…反射部、220…素子分離層、221…第1絶縁膜、222…第2絶縁膜、223…第3絶縁膜、400…パーソナルコンピューター、401…電源スイッチ、402…キーボード、403…本体部、409…制御部、700…虚像表示装置、721…面、722…面、A…発光領域、A10…表示領域、A20…周辺領域、D0…距離、EY…瞳、L0…光学距離、P…画素、P0…サブ画素、Sp…発光スペクトル、TC…透過スペクトル、TM…透過スペクトル、TY…透過スペクトル。